エンドブレイカーの戦い⑥〜カッパと猟兵と世界の瞳
●つぶらな瞳のエリクシル
「何と恐ろしい姿よ……」
「よもやここまで到達されるとは……」
「我々ではとても食い止められぬ……」
歯車がガタンゴトンと回る『世界の瞳』の内部構造は、まるで精巧な機械時計のそれである。その一角で、長老衆が何やら絶望に慄いていた。
震える彼らの視線の先にあったモノは、
「大人しく抵抗をやめて楽になるカパー。悪いようにはしないカパー」
カッパだった。
否、赤光のカッパーニアだ。
ぽいんぽいんと柔らかそうな音をたてて、入り組んだ足場から足場へと飛び移ってくる|エリクシル《カッパーニア》。
「も、もうだめじゃ……!」
「儂らじゃあんなの止められんて……!」
遂に頭を抱え始める長老衆。
彼らを、そして都市国家を、猟兵が救ってやらねばなるまい。
●赤光のカッパーニア、襲来
「カッパがあらわれましたカッパが!」
第一声から化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)のテンションがおかしかった。
状況的に戦争、それも紫煙群塔ラッドシティの事件であることは明確だ。背景がそうなっているからである。那由他はこほんと咳払いをして、
「紫煙群塔ラッドシティ……そこにある超巨大遺跡『世界の瞳』がエリクシルに狙われているのです。もし侵攻を許してしまえば、その先へ繋がる小世界群にまで脅威が及ぶでしょう」
結構のっぴきならない状況だった。
「そこで皆様に世界の瞳の防衛をお願いしたいのです。敵はカッパです。もとい、赤光のカッパーニアというエリクシルです」
可愛らしい外見に反してなかなかの強敵であることを強調する那由他。
「幸い、長老衆が猟兵の皆様にラッドシティの最高級武装を貸与してくれるそうなので……それを使えば戦闘を有利に運べるかも知れません」
特注の紫煙銃とかガンナイフとかである。
「戦場となる世界の瞳の一区画は、まるで精巧な時計の内部のようになっています。歯車やら柱やらが複雑に入り組んでいる構造です」
ひととおり説明を終えると、那由他は拳をぐっと握りしめていった。
「恐るべきカッパの蹂躙を止めるのは今をおいてほかにありません。皆様の力で何とか、何とかお願いします!」
相馬燈
おそるべしキャラ造形の魔力。
つぶらな瞳に誘われて気づいたらオープンニングを書いていた相馬燈です。
今回のプレイングボーナスは下記のようです。
『プレイングボーナス:ラッドシティの最高級武装を駆使して戦う/助けた小世界の人々のことを思い出し、彼らの想いに応える』
オープニング直後の断章は特にありませんので、サクッと入っていただければと思います。
それでは、もしお目に止まりましたら、よろしくお願いします!
第1章 ボス戦
『赤光のカッパーニア』
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POW : 貶められた者の国カッパールドキア
【幻想の楽園から現れた兵士たちの攻撃】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
SPD : カッパルコプター
【頭の皿】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
WIZ : 無双相撲
【高速張り手】が命中した敵を【背中の甲羅】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[背中の甲羅]で受け止め[高速張り手]で反撃する。
イラスト:橡こりす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠クリーク・クリークフリークス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィオリーナ・フォルトナータ
河童、ですか…
…河童、ですね
愛らしい外見のエリクシルとは
確かに色々な意味で恐ろしく感じますが
しっかりと倒して参りましょう
長老様にガンナイフをお借りします
世界の瞳の内部を彩る精巧な歯車や柱は
つい足を止めてゆっくりと眺めたくなるものですが
今は脅威を退けるほうが先ですね
足音や気配を悟られぬよう機械の駆動音に合わせて動き
柱の陰などに身を潜めつつ河童の元に向かいます
発見後は速やかに攻撃
幻想の兵士達が現れるよりも早く
一気にダッシュとジャンプを駆使して間合いを詰め
至近距離から破魔の力を込めた聖煌ノ剣の一撃に
紫煙の弾丸を重ねましょう
兵士達の攻撃はオーラ防御と盾による受け流しで軽減します
…おいたはいけませんよ?
「まったく、ちょろいもんだカパー」
がたんごとん、と歯車が回る。
機械式時計を思わせる複雑な機構に阻まれることもなく、つぶらな瞳のエリクシルは超巨大遺跡の中枢へと突き進んでいた。
ぽよんぽよんと足音をたてて、水平に回る歯車から歯車へと飛び移る。
そのコミカルな姿を遠目に見て、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)は両目をぱちぱちと|瞬《しばたた》かせた。
「河童、ですか……河童、ですね」
河童である。
まるで水に浮かべて遊ぶ|玩具《オモチャ》のようでもあるけれど、つぶらな瞳にはまるで感情がこもっていないようにさえ見えて、それも何だか恐ろしい。
「愛らしい外見でも、エリクシルはエリクシル。……しっかりと倒して参りましょう」
多彩な歯車とシャフトが織りなす辺りの光景は、さながら機械仕掛けの森だ。ゆっくり眺めていたくなるけれど、残念ながら状況がそれを許さない。
「この武器、上手く活かせれば良いのですが」
いま手にしているのは、長老衆から借り受けた特注のガンナイフだ。
がたり、ごとり。
歯車を回転させているシャフトの影に隠れつつ、フィオリーナはカッパーニアに近付いていく。自身のユーベルコードやガンナイフの威力を十全に活かすには、やはり間合いが大切だった。
「くふふふ、これなら楽々抜けられそうカパー」
「そうはさせませんよ」
小さく呟くと、フィオリーナは足を早めた。目の前に連なる階段状の平歯車は、まるでこの時のために誂えられたような絶好の|足場《ステップ》だ。
春色のドレスに風を受け、その足音を、世界の瞳の駆動音に紛れ込ませて。
瞬く間に駆け上がったフィオリーナが、遂に敵を正面に捉えた!
「い、いつのまにカパー!?」
「――この光で、あなたの罪を断ちましょう」
借り受けたガンナイフに纏わせたのは|聖煌ノ剣《ブリリアント・ジャッジメント》の輝き。
カッパーニアが咄嗟に兵士たちを召喚しようとするも、不意を突かれてしまった今、その反応は余りに遅かった。
オールドローズの髪がひらりと舞う。
ガンナイフの鋭い切っ先がカッパーニアに突き刺さる。
「まだ終わりではありません」
同時、フィオリーナはすかさずトリガーを引いていた。零距離で放たれた紫煙の弾丸が眩い光を爆ぜさせ、カッパーニアを吹き飛ばす!
「カパアァァァァーー! ……ぐえ!?」
シャフトの一つに叩きつけられ、ぽすんと平歯車の上に墜落するカッパーニア。
「や、やられたカパー……」
何とか起き上がったものの、受けたダメージは決して少なくない。
「……おいたはいけませんよ?」
紫煙燻る銃口を天井に向け、フィオリーナはことりと小首をかしげて見せた。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
陰海月にひっぱられてきました。
まさか、カッパに対抗心とは…。
借ります武器は爪なんですが。それは霹靂へ。
そして、陰海月は影に隠れて。
私は…囮として、漆黒風を投擲…まあ、こっちに来ればいいんですよー。
その兵士たちは…はい、まあ…四天霊障での重量攻撃で押さえつけましてー。
さらに、結界で攻撃弾けるようにしまして。
で、影をカッパにかけまして…あとは、陰海月に。
※友達な二匹
陰海月「ぷきゅ!」
ぼくの方が可愛いもん!いきなり出てきて、UCで光る。
霹靂「クエ…」
友の対抗心…ってなってる。貸してもらった爪で、ざくっといく。
「いたた、とんだ邪魔が入ったカパー。でも邪魔者は皆殺しにするだけカパー」
先行した猟兵の攻撃をまともに喰らって吹っ飛ばされた赤光のカッパーニアだったが、痩せ我慢か何なのか、気を取り直して侵攻を再開した。その可愛らしい見た目に反して、地味に言ってることが恐ろしい。
「陰海月にひっぱられてきてみれば、まさかカッパに対抗心とは……」
世界の瞳に声を響かせたのは、影を伴って悠然と戦場に足を踏み入れた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)だ。
四人が一人を構成する複合型悪霊である彼だが、いま誰が表に出てきているかは、懐に秘めた|漆黒風《棒手裏剣》が証明している。
即ち――風の如く疾き者。
一瞬、その総身より殺気が放たれたかと思うと、鋭い棒手裏剣が赤光のカッパーニアめがけて飛んでいた。
「き、緊急回避カパー!」
歯車から歯車へと飛び移った瞬間を狙われたカッパーニアは、辛くも身を捻り、かすり傷だけに留めてみせた。着地した歯車の上で、すかさず幻想の楽園から兵士たちを呼び出す。
「かかれカパー!」
意趣返しとばかりに槍を投擲しようとする兵士たち。
けれど――妙ではないか。
忍びの者が、かくもあからさまな殺気を放つものだろうか?
「ふむ、首尾は上々と言えますか」
言った刹那、複合型悪霊たる四人の無念が解き放たれ、重圧と化して兵士を投擲姿勢のまま釘付けにした。その四天霊障に結界術を合わせれば、流石の兵士たちも人形同然となる。
同時に。
義透の影からふわりと現れ出たのは、大きなミズクラゲ――陰海月だった。どうやら可愛らしい見た目のカッパーニアに対抗心を覚えているようで、
「ぷきゅ!」
ぼくの方が可愛いもん! と言いたげに、16777216パターン――およそ1680万色の光を放ったのだ。ゲーミングデバイスもかくやの輝きである。
「うわっ、眩しっカパー!」
ぱっちりおめめを小さな手で守ろうとするカッパーニア。
そこへ、怪鳥の如き声が轟いた。急降下してくるのは、義透の影から飛び出していた|かむとけ《霹靂》――焦げ茶の羽毛の中に、煌めく金色をまじえた美しきヒポグリフだ。その爪に装着した鋭利な武器が、ここぞと紫煙を噴いて、飛行機雲さながらの尾を引く!
それこそはラッドシティが誇る最高級の|武装《クロー》だ。ザクッと爪が突き刺さったかと思うと、
「ぎえっ…………カッパアァァァァーーーー!?」
パイルバンカーよろしく炸裂し、カッパーニアが吹っ飛んだ。
「対抗意識とは恐ろしいものですねえ……」
ちょっと口の端をひくつかせながらも、飽くまでのほほんとした雰囲気を崩さない義透。
陰海月と霹靂の連続攻撃を受けた赤光のカッパーニアが、ゴムボールみたいになってバウンドしていた。
大成功
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百鬼・甚九郎
かっぱ。すごいのー。水ぜんぜんないじゃろここ。なのにかっぱ居るんじゃの。やべーの。
ガンナイフとか借りれるんじゃな。ほへー。かっこいー。
いいこと思いついた。儂天才かもしれん。ちょっとガンナイフ四本くらい貸してもらえんか。たぶん壊さんから。なっ? ちょっとだけ貸して。
左手の指と指の間にガンナイフを一本ずつ挟むじゃろ。人間じゃとキツイかもしれんが、儂は鬼なので。握のパワーが強いので。握れるってわけじゃ。
なーにがカッパドキアじゃい。近接範囲に入らんよーにして、右腕えいやーっと伸ばしてかっぱアイアンクロー!&引き寄せ!
このガンナイフハンドでー、ぶん殴る! ガンの火薬もばちこーん! どうじゃ効くじゃろ。
夜刀神・鏡介
まさかこんな所にカッパが出てくるとは思わなかったな……いやほら、都市の景観とはあまりにかけ離れている気がして
さておき刀を借りる事にする。感覚は――普段使っているものとそう変わるものじゃないか
接敵の前に、戦場内に罠の類がないかをざっと確かめておく。罠でなくとも、動く機構に巻き込まれたりしたくないしな
見るべき所を見たところで戦闘へ。居合いの構えで敵を待ち、カッパや召喚された兵士に対して澪式・漆の型【居待】
絶対に命中すると言ってもそれはきちんと攻撃できればの話だろ。先手を取って兵士達を斬り倒す事で無効化してから、追撃でカッパに切り込んでいく
できるだけ周辺の機構を傷付けないように注意しよう
「まさかこんな所にカッパが出てくるとは思わなかったな……いやほら、都市の景観とはあまりにかけ離れている気がして」
カッパという|妖怪《あやかし》について知っている者ならば、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)のそうした所感も、もっともだと思うことだろう。
「そうじゃの。だいたい水ぜんぜんないじゃろここ。なのにかっぱ居るんじゃの。やべーの」
事実、額に小手をかざして遠くの|エリクシル《カッパーニア》を眺めつつ、百鬼・甚九郎(茨鬼童子・f17079)も同じように感嘆していた。シャフトや歯車で構成された『世界の瞳』の一区画は、まるで時計塔の内部めいていて、カッパが好みそうな水場など一つもありはしない。
「ああ、あんなに近くまで。このままでは何もかもお仕舞いじゃ……」
「お前さんがたは相当の手練れと見た。なんとかしてくれんか……」
「武器なら幾らでもある。この通りじゃ……」
長老衆としては、何はともあれ襲い来る脅威を撃退して欲しいようだった。彼らが鏡介と甚九郎に示したのは、紫煙銃やらガンナイフを始めとした多種多様な武器だ。
さながらガンショップか何かのようである。
「刀はあるのかな」
「刀……こういうものは如何ですかな」
鏡介の呟きを聞いて、長老衆の一人が見せたのは、鍔の辺りに特殊な機巧が取り付けられた一種のガンブレードだった。
「なるほど」
柄を握り、重さを確かめ、振ってみる。日本刀と比べれば重心が異なるという特徴こそあるが、
「感覚は――普段使っているものとそう変わるものじゃないか」
流石に剣豪たる鏡介は、手にしたばかりの剣の特徴を早くも掴んでいた。
「ガンナイフとかも借りれるんじゃな。ほへー。かっこいー」
刃のついた紫煙銃を矯めつ眇めつ吟味する甚九郎。
その頭に、ピコンと「!」が浮かんだ。
「いいこと思いついた。儂天才かもしれん」
最高級のガンナイフを一丁取り、二丁取り、三……あ、四丁取った。
「これいっぺんに貸してもらえんか。たぶん壊さんから。なっ? ちょっとだけ貸して」
「だ、大事に扱ってくだされよ……長老衆との約束じゃぞ……」
これ絶対フリですよね……?
「罠の類があると厄介だけど」
鏡介が階段状に並んだ歯車を駆け上がっていけば、やがて戦場を一望できる高さまで到達できた。見たところ罠らしきものは見当たらないが、
「動く機構は少し厄介かな。歯車に巻き込まれるなんて笑えない」
見れば、カッパーニアが猟兵の爆発めいた攻撃に吹き飛ばされてこちらへと飛んできた。ダメージを負いながらもこれ幸いと突き進んでくるカッパーニアを、鏡介は居合の構えで待ち受ける。
「さて、来おったな。なんじゃ、もう傷だらけじゃのう」
手ぐすね引いて待ち構えるとはまさにこのことである。柱の上で借り受けた武器を装備しつつ、甚九郎は不敵に笑った。
「こうして左手の指と指の間にガンナイフを一本ずつ挟むじゃろ……」
そう言って銃を本当に指と指の間に挟んで見せる甚九郎。羅刹たる者の握力のなせる業だ。まさか開発者もこの使い方は想定していまい。
「邪魔者が次から次へと湧いてくるカパー。そこを退くでカパー」
「退かぬよ。押し通れるものなら通ってみるのじゃな」
挑発を受けて眉間にシワを寄せたカッパーニアがユーベルコードを発動しつつ突っ込んできた。
「受けるでカパー! 貶められた者の国カッパールドキア!」
「なーにがカッパドキアじゃい」
「カッパールドキアでカパ、ぎえぇぇぇ!?」
訂正しようとした瞬間、甚九郎の伸ばしたアイアンクローががっちりとカッパーニアをホールドしていた。ゴムボールを握るみたいにぎゅむむむと締め付け、引き寄せる。
「思う壺じゃ。あとはこいつで……ぶん殴る!」
ガンナイフを指と指の間に挟んでいる都合上、トリガーを引くのは難しい。もとより甚九郎にそのつもりはなかったらしく、扇のようになったガンナイフでばちこーんとカッパーニアをぶっ叩いた!
……恐るべき最高級ガンナイフ。刀身に一定の衝撃が加わると魔弾が発射される仕組みになっていたようで、
「カパアァァァァァ!?」
どかーんと零距離射撃を受けて鏡介のところへカッ飛んでいくカッパーニア。
「効果は抜群じゃな。おーい、そっち行ったぞー。あとは頼んだー」
煙を噴き上げるガンナイフハンドをぶんぶん振る甚九郎に、鏡介が頷く。
「一体どれだけいるんだカパー!?」
言いながらもカッパーニアは、ずざーっと滑るように着地。すかさず幻想の楽園から槍兵を召喚し、それらを突貫させて強行突破しようとする。
かなりの数であり、確かに回避は難しそうだが、
「絶対に命中する、か。と言ってもそれは、きちんと攻撃できればの話だろ」
まさに後の先。
「寄らば斬る――澪式・漆の型【居待】!」
ただの一閃で槍兵を撫で斬りにし、返す刀でカッパーニアを斬撃したその瞬間、ガンブレードの弾倉に込められた火薬が炸裂して刀身を震わせた。
「カッッ、パァァァーーーー!?」
深々と斬り裂かれ、衝撃で横回転しつつ飛んでいくカッパーニア。恐るべきことに、これだけの攻撃を放っておきながら、鏡介には周囲の建造物を壊さぬよう配慮する余裕があった。
初めて手にした武器を扱っていてさえ、である。
「ふう……使い勝手は違うけど、悪くないかな」
確かな手応えを感じつつ、鏡介が頷いた。
大成功
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ウルザ・ルーナマリア
なんかゆるい見た目のエリクシルだなあ。
言ってることは物騒だから油断する気はねーけど!
…しかしカッパなら相撲とか強えのかな?ふつーに挑んでみたいけど。
長老衆の爺ちゃんからガンナイフを借りるぜ!
遺跡の地形を確認しながら歯車等の陰に身を隠し索敵。
使い方は何となくこんな感じかな…と弾丸ばら撒くようにして牽制し接近させないようにして、メインの銛からUCで冷気放って網で包んじまおう。
もし近づかれたら逆に真っ向から相撲挑んでみる。
幻想の楽園の兵士が現れる前に、現れたとしても強引に力技で投げ飛ばしてやるぞ!
多少の傷は気にせず倒すこと優先、後で治せばいいしな!
離れたら銃弾撃ちまくって追撃!
※アドリブ絡み等お任せ
「抵抗はやめて楽になるでカパー。世界の瞳を引き渡せば殺しはしないでカパー」
待ち構えていた猟兵たちの猛攻撃を受けて、流石の赤光のカッパーニアも傷だらけになっていた。と言ってもその特徴的なフォルムもあって、使い古されてボロボロになった|玩具《オモチャ》みたいにも見えなくはない。
「なんかゆるい見た目のエリクシルだなあ」
真っ白な毛並みが美しいウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)が、平歯車の上で演説するカッパーニアにジト目を向けた。
「言ってることは物騒だから油断する気はねーけど!」
願いを歪んだ形で叶える力を持つエリクシルだが、世界の瞳に侵攻するという目的上、今回は人の心につけこむような搦手には出にくいようである。
「無駄な抵抗はやめて出てくるでカパー! 悪いようにはしないでカパー!」
歯車の上でぴょんぴょんと飛び跳ね始めるカッパーニア。
それを見上げつつ、ウルザはシャフトと歯車で構成された複雑な機械の森を、野生動物よろしくそろりそろりと進んでいく。
「長老衆の爺ちゃんから借りたガンナイフ、無駄にはしねーぞ」
腰に提げているのは、まさにその特注ガンナイフである。長老衆がシーベアルグの手の形にフィットするよう即席で改修してのけたあたり、その拡張性の高さも超高級品と呼ぶに相応しいものだ。
「使い方は、と」
射程に入ると、長老衆から教えられた通りに構え、狙いを定めて――ウルザはガンナイフの引き金を引いた。どうやらマシンピストルのようになっているらしく、紫色の光条が、カッパーニアに襲いかかる。
「うわあ、下からでカパー!?」
カッパーニアがその場で無様なダンスを踊ると、たまらず歯車の上から飛んだ。そうしてパタパタ短い手で羽ばたきながら落ちてくる。
どうやら射撃地点からウルザの大凡の位置を予測したらしく、ぼすんと着地した直後に突っ込んできた。
「観念するでカパー!」
「相撲か、望むどころだ!」
ぶつかりあう両者。
河童と白熊――何とも不思議な取り組みである。
がっぷり四つに組……いや組めない。
なぜか。
カッパーニアの手が短かすぎるのだ!
「どっせーい!」
ウルザがカッパーニアをゴムボールみたいに投げ飛ばした。いやカッパーニアとてその張り手そのものは侮れないのだが、繰り出す前に近接されてしまうと文字通り手も足も出ない。実際にはウルザの動きを止めたところで、幻想の楽園より兵士を呼び出そうとしていたらしい。
「ぶべ、ぐえ!」
投げられ、複雑に入り組む歯車の一つにぶつかって地面に落ちるカッパーニア。
「捕えたぜ」
ウルザは背負っていた海獣王の三叉銛を構えると、すかさずその先端をカッパーニアに突きつけた。放たれた極寒の冷気がカッパーニアを取り巻いた直後、冷気が針の付いた氷の網と化して身動きを封じる!
「カ、カッ……カパアァァァァァァ!!!!」
ぷるぷる震えたカッパーニアが氷の網を破って飛び出したが、そこへウルザ操る紫煙銃の連射が襲いかかった。
「ちょ、ちょっ! 容赦ないでカパー!」
「獲物に手加減なんてしてられねーからな!」
借り受けた紫煙銃を早くも完璧に使いこなしているウルザであった。
大成功
🔵🔵🔵
ファリシア・グレイスフェーン
連携及びアドリブ歓迎
「紫煙銃、ね。まあ使わせて貰うさ」
「足場を飛んでくるってんなら、ジャンプの瞬間を撃ち抜けばどうなるかね」
なるべく高所に位置取った上、UCで竜巻を発生させてこれによって敵の接近を阻みつつ距離を保ち、ラッドシティの最高級武装(銃器)によるスナイパー技能を用いた狙撃の二回攻撃でダメージを与えてゆく
「距離をとっていれば兵士の攻撃の脅威は半減って言うならな」
「さてと、次の狙撃ポイントに移るかね」
「最高級武装というだけのことはあるな」
「それ以上はさせないぜ?」
近づかせず、空中浮遊や滑空で高所から高所に移動、逃げ道は常に作れるよう心がけ、共闘する味方が居れば援護射撃
「ま、こんなとこかね」
「紫煙銃、ね。まあ使わせて貰うさ」
長老衆から借り受けた最高級の一丁を、ファリシア・グレイスフェーン(降風のファルファリシア・f18261)は興味深げに矯めつ眇めつしていた。手にとって見れば案外軽く、それも最高級品と呼ばれる所以なのかも知れない。
「……来たな」
目線を移せば、ファリシアの宝石めいた青色の瞳が、慌てふためきながら近付いてくる赤光のカッパーニアを映した。
「て、抵抗が激しいでカパー。でもここで諦めるにはいかないでカパー!」
水平に回る歯車から歯車へ。
軽快に飛び移る赤光のカッパーニアは、なるほど長老衆が慌てふためく程度に速かったが――実は迎撃に出た猟兵たちに何度も吹き飛ばされて、振り出しに戻るを繰り返しているのだった。
「足場を飛んでくるってんなら、ジャンプの瞬間を撃ち抜けばどうなるかね」
紫煙銃の観察だけではなく、先程からこの高い柱の上で、猟兵とエリクシルの戦いを見ていたファリシアである。この位置であればシャフトと歯車が構成する機巧の森を見下ろすことができ、敵の不意を突くことも容易と思われた。
「こうなったら意地でも突き進むカパー! 絶対にここを突破するでカパー!」
「性懲りもないね。まあ、来るなら迎撃するまでさ」
歯車から歯車へと跳んだ刹那、カッパーニアが、不意に足下から生じた竜巻に巻き込まれて吹き上げられた。
「カ、カッパアァァァ!?」
仇なすものの行動を封じるとともに、その身を切り刻む攻防一体のユーベルコード――荒風の支配者がカッパーニアを包み込んだのだ。
ぐるんぐるんと面白いように回転しながら斬撃され、天高く舞い上げられるカッパーニア。
「さて、最高級武装とやらを試してみようかな」
あまりにぐるんぐるんしたためか、両目が✗になっているのを確認すると、ファリシアは容赦なく狙い定めて紫煙銃の引き金を引いた。
魔弾の発射と共に余剰の紫煙が銃から派手に噴き出し、虚空を貫いて飛んだ紫色の光条が、狙い過たずカッパーニアに直撃する!
「痛いカパアァァァ!」
噛み合った平歯車の上をごろんごろん転がっていくカッパーニア。痛いで済んでいる辺り流石に力のあるエリクシルだけのことはある。ぴょこんと起き上がると、青筋をたてて幻想の楽園から兵士たちを召喚した。
「射ち殺すでカパー!」
カッパーニアが短い手を振るや否や、弓を構えた兵士たちが一斉に矢を放つ。
「残念、スナイパーが場所を変えるのは鉄則でね。思い通りにはさせないぜ?」
空中浮遊に滑空の技能を駆使して宙に身を躍らせていたファリシア。
そのすぐ後方を矢がかすめるように飛んでいく。
手近なシャフトの上に着地したファリシアは、同一戦場の猟兵たちがカッパーニアに攻撃を仕掛けるのを見下ろして、さらりと言った。
「ま、こんなとこかね」
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
…あのカッパ野郎また出てきやがったのか
「メルシー達が初めて交戦したエリクシルだけど…酷い事してたよねー?」(銀髪少女
どうもこの国はおちつかねー
大臣呼ばわりされるからな
最高級武装
紫煙銃とガンナイフを利用
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で音や匂いを隠蔽
【空中戦・念動力・弾幕・スナイパー】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら紫煙銃で念動光弾を叩き込む
特に頭の皿を狙いその回転を妨害
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
ガンナイフと鎌剣で切り刻みながら皿とか刻んだ肉とか甲羅とか容赦なく強奪していく
余にも珍しい河童の肉とか皿とか甲羅とか…趣味人なら高く買ってくれるだろーよ!
「これ以上の妨害は許さないカパー!」
「……あのカッパ野郎また出てきやがったのか」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は『世界の瞳』を制圧せんと試みるエリクシルを冷たく睨んだ。その特徴的なフォルムには、悪い意味で見覚えがある。
「メルシー達が初めて交戦したエリクシルだけど……酷い事してたよねー?」
少女形態を取った機神――銀髪のメルシーも、記憶されている過去の情報から赤光のカッパーニアが引き起こした事件を思い返しているようだ。
歪んだ形で願望を叶えようとするエリクシル。
眼前のカッパーニアが、かの事件のそれと同一存在というわけではないにしろ、陰惨な事件を引き起こす厄介な魔神であることには違いない。
ちらと主人の横顔を見やるメルシー。
カシムに兆した感情がなんであれ――快いものではあるまい。
「どうもこの国はおちつかねー。大臣呼ばわりされるからな」
カシムが両手でくるくると回転させていたのは、長老衆から借り受けた紫煙銃とガンナイフである。
「ここはサクサクっと倒しちゃうしかないよね☆」
「魔神相手にやることは一つだ」
メルシーが小さく頷いた刹那、二人の存在が歪み、辺りの風景に溶け込んだ。光と水の二属性を組み合わせた特殊迷彩だ。音もなく展開した水の障壁が音や匂いさえも覆い隠し、カッパーニアは、接近するとカシムと|機神《メルシー》に気付くことさえできない。
そう――歯車から歯車へと跳んだカッパーニアが着地した先は、まさしく死地であった。
「いくぞメルシー。魔力と思考をリンクさせろ」
「ラジャったよご主人サマ♪」
「しまったカパー。待ち伏せされていたカパー!?」
漸く気付いたカッパーニアめがけ、メルシーとカシムが螺旋を描くように高速飛翔しつつ、紫煙銃とガンナイフを交えた連携射撃を加えていく。紫の光条と化した魔弾が拡散して、カッパーニアを貫くと同時に行く手を塞いだ。
「曲がれ!」
念動力で魔弾の弾道さえも捻じ曲げて見せるカシム。
「ひい! 追いかけてくるカパー!」
螺旋階段のように並ぶ歯車を無理矢理に駆け上がっていく赤光のカッパーニアだが、螺旋を描いて上昇しながら弾丸を連射するカシムとメルシーが逃す筈もない。カッパーニアの頭の皿が猛回転しはじめるも、そこにさえ紫煙弾が炸裂して、反撃を完全に阻害していた。
「ご主人サマ、やっちゃえー☆」
「言われなくても――!」
たまらず虚空へと跳んだカッパーニアを追って飛ぶカシム。
ガンナイフと鎌剣を手に急速に距離を詰め、斬撃、斬撃、また斬撃――! |盗賊《シーフ》の手並みで敵の体をこそぎ奪っていく!
「てめーを見てると虫酸が走る。解体してやるよ!」
「ぎえええええカパーー!!??」
「余にも珍しい河童の肉とか皿とか甲羅とか……趣味人なら高く買ってくれるだろーよ!」
それはもう酷い有様になった赤光のカッパーニアが、下層へと墜落していった。
大成功
🔵🔵🔵
響納・リズ
まあまあ、なんてことでしょう!! こんな愛らしいカパー……こほん、いえ、カッパ様を倒さねばならぬとは、本当にお辛いでしょう。
皆様の代わりに、この私がカッパ様をもにもにぷにぷにして差し上げますわ!
……いえ、ちゃんと退治しますわよ。
お借りできるのでしたら、私は特注の紫煙銃を。もちろん、愛用の杖も持って行きますわよ。
目指すはカッパ様をむにむにもにゅもにゅ……いえ、ガッツリ倒して差し上げますわ。銃にこのUCがあれば、一気に倒せることでしょう。
でもその前に……ちょっと美味しいお菓子を出して、餌付けして、もふもふぷにぷにできたら嬉しいですわ!
ちゃ、ちゃんと役目は果たしますわよ!! それが猟兵ですもの!
「やーらーれーたーでカパー!」
がたんごとんと回転する歯車の上から、両目を✗にした赤光のカッパーニアが落ちてきた。床の上でぼゆんと潰れたようになったのも束の間、小さな両手をついてゆっくりゆっくり起き上がる。
そのつぶらな瞳が映したのは、
「まあまあ、なんてことでしょう!!」
天使だった。
いやもう少し詳しく書くと響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)だった。
「こんな愛らしいカパー……こほん、いえ、カッパ様を倒さねばならぬとは、本当にお辛いでしょう」
可愛らしいエリクシルを手に掛ける悲哀、それを一身に引き受けようとしているのだろうか? いやその割には、両手を合わせて目をキラキラさせているリズであった。
「ここは皆様の代わりに――この私がカッパ様をもにもにぷにぷにして差し上げますわ!」
どどーんと宣言するその背に、長老衆の視線が突き刺さってる気がして、リズは小声で呟いた。
「……いえ、ちゃんと退治しますわよ」
「天使、まさに過酷な戦場に舞い降りた天使だカパー!」
しかし何を思ったか、当のカッパーニアはつぶらな瞳をきらきらさせて、誘われるようにぽてぽて近付いてくるではないか!
「さあカッパ様、美味しいお菓子は如何でしょう」
リズが懐からお菓子の包みを取り出すと、それを掌にあけた。差し出す動きで地面にころころと何個かこぼれる。……見た感じ、たまごボーロっぽかった。
「いただくカパー!」
飢えた鳥(?)みたいに貪り始めるカッパーニアと、それをきらきら見下ろすリズ――その光景は何だかちょっと倒錯的でさえある。
リズはまずカッパーニアのつやのある丸い体を撫でてやり、怖くない怖くないみたいなノリで存分にむにむにもにゅもにゅし始めた。
どれくらいそうしていただろう。
不意にカッパーニアから殺気が漂い出したのを、リズははっきりと感じ取った。やはり歪んだ形で願いを叶えようとするエリクシル、望みを満たす振りをして、致命の一撃を放つ瞬間を狙っていたのだ!
「かかったなカパー! これで仕留めてやるでカパー!」
「仕方ありませんわね」
だがカッパーニア得意の張り手ならともかく、至近距離での攻撃はリズの方が速い。月を象った愛用の|魔導杖《ルナティック・クリスタ》
――その杖先のクリスタルに光を収束させれば、光の槍が瞬時にカッパーニアを貫き、そして吹き飛ばす!
「おーい、その銃ちゃんと使っとくれよー」
「ちゃ、ちゃんと使いますわよ!!」
長老衆から借り受けた紫煙銃のトリガーを引くと、銃に込められた紫煙が紫色の魔弾と化して、追い打ちとばかりにカッパーニアに直撃する!
「ぎえええええカパーーーー!!??」
吹っ飛ぶカッパーニア。
射撃姿勢のまま、紫煙立ちのぼる銃口の先を見据えるリズ。
「もうちょっと触れていたかったのですけれど、仕方ないですわね」
柔らかく弾力があるまんまるボディを思い、ちょっと名残惜しそうな顔をするのだった。
大成功
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栗花落・澪
かわっ……じゃない
脅威になるならどんな相手にも全力で、ね
最高級武装の紫煙銃を借用
銃の扱いは慣れてるわけじゃないけど
狙いの付け方は魔法も同じだから
可能なら魔法とも組み合わせ
ダンスと空中戦の容量を組み合わせ
どんなに入り組んだ足場も利用してあっちに跳びこっちに跳び
自由自在に動き回りカッパさんと一定距離を保ちながら
高速詠唱で雷魔法と組み合わせた紫煙銃を撃ち
命中したら攻撃ついでに感電も与えられるように
足止めも出来ればありがたいかな
更に彩華満開発動
歯車が気がかりだけど、どんな攻撃しても危険なのは変わらないから
雷の魔力を纏い攻撃力重視で
雷の【属性攻撃、全力魔法】に【破魔、浄化】の力を紫煙銃の弾丸に乗せ攻撃
「あーれーカパー!」
猟兵の攻撃で吹き飛ばされたらしく、赤光のカッパーニアがひゅーんと音を立てて落ちてきた。
「うーん、やってくれたでカパー。でもまだやれるでカパー……」
むくりと起き上がると、今度はぷるぷる首を振る。いや実際のところ首はないので、体を振っていた。
「かわっ……じゃない」
一連のあざと可愛い仕草を見ていた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が思わず口に手を当てて悶えそうになる。けれど相手は倒さなければならない|存在《エリクシル》。今度は澪の方がふるふると首を振る番だった。
「脅威になるならどんな相手にも全力で、ね」
長老衆から借り受けた最高級の紫煙銃をすちゃっと構える澪。
――銃の扱いは慣れてるわけじゃないけど。
『世界の瞳』から発生する紫煙を弾丸に変えるとなれば、それは単に銃というより|魔法の物品《マジックアイテム》の領域である。澪に扱いきれない筈がない。
「むむ、またも邪魔者を見つけたでカパー。容赦しないカパー!」
つぶらな目を直角三角形みたいにして睨んできたかと思うと、カッパーニアが澪めがけてぴょーんと突進してきた。
「だめだめ、魅了されるわけには」
一挙一動がやたらと可愛らしいカッパなエリクシルから目を離さないようにしながら、澪は地を蹴ると、その身軽さを活かして空中戦に打って出た。
歯車やシャフトが複雑に入り組んだ、世界の瞳の内部である。
オラトリオの羽で羽ばたくようにしながら平歯車を蹴り、飛び移り、紫煙銃を連射する澪。その華奢な体を守るように螺旋状の魔力が巡り、高速で詠唱する澪の澄んだ声が虚空を震わせる。
「す、素早いでカパー!」
そう言う赤光のカッパーニアの身軽さもなかなかのもので、同じように歯車を足場にして飛び回り、紫煙銃から放たれるレーザーめいた攻撃を回避してのける。
「そこっ!」
「し、しまったでカパー!?」
しかし空中で身をかわすにも、限度があった。連続射撃で逃げ道を塞がれ、危地へと誘導されてしまったカッパーニアに、遂に本命の光条が炸裂する!
「うべっ!?」
紫煙銃の性能に雷の魔法を組み合わせた雷撃の魔弾は、命中とともにカッパーニアをビリリと痺れさせ、
「この銃なら保ってくれるはず……!」
全力で注ぎ込んだ澪の魔力に、紫煙銃が震え軋みながら蒸気めいた紫煙を噴出した。
銃にも、歯車の上に立った澪の周囲にもバチバチとスパークが爆ぜ、射線上に何層もの魔法陣が出現する。
それは最高級紫煙銃と、澪の魔法とのコラボレーションだ。
「当たって!」
「あ、これは無理カパー……」
直後、膨大な魔力そのものの光条が、カッパーニアを呑み込んで消滅させた。
「ふう、終わったね」
銃口から紫煙を漂わせる銃を手に、澪が一息つく。
かくて赤光のカッパーニアは撃退され、遠くで長老衆が喝采をあげるのが聞こえてきた。
大成功
🔵🔵🔵