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エンドブレイカーの戦い⑦〜野良モーラットと従者兵器

作者：黒代朝希

「さて、開戦から一日たったが……次は『三塔戒律マギラント』での戦いだ」
　蒼い長髪を翼のように靡かせ、ブリュンヒルデ・ブラウアメル（蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903）は盟約の地にてエンドブレイカーと『六番目の猟兵』に依頼のブリーフィングを始めていく。
「この地は伝説の七勇者の一人によって建国された魔術研究に優れる都市国家であり、シンボルでもある「黒の塔」「緑の塔」「銀の塔」の三塔の「塔主」によって分割統治されている」
　メイガスや従者兵器等、様々な魔導運用兵器等がその成果であろう。
　そしてこの度の大戦にてマギラントの『塔主』達は、押し寄せるモンスターやマスカレイドの軍勢に対抗する為にエンドブレイカーと猟兵に魔導生物兵器である従者兵器を貸し出す準備を整えた。
「貸し出されるのは改造悪魔『レッサーデモン』・魔装昆虫『アサルトバグ』・機械妖精『マシンフェアリー』の三種類だ。この三種の従者兵器を使い指揮してマスカレイドの群れを掃討していくのがこの地での流れなのだが……」
　と、ここでブリュンヒルデは自身のグリモアである蒼いエネルギーの翼を広げ、虚空に映像を投影する。
　そこには、従者兵器と共に……何故かシルバーレイン世界にいる筈のモーラット達がマスカレイド相手に立ち向かっているではないか。
「どうも、この大戦を機に神隠しで界渡りをした野良モーラットの群れがいる様でな……彼らを保護しながら共に戦ってくれると助かる」
　野良モーラットはエンドブレイカーや猟兵をサポートする事で、共にマスカレイドと戦ってくれるらしい。
　そうでなくとも、シルバーレイン世界から界渡りしてきた『異世界の存在』を保護しなければならないだろう――

第1章 集団戦 『音楽家アン・カーニーの肖像画』

POW   :    夜中に歌い出す 【口】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【徐々に生命力が失われる】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。 SPD   :    夜中に目を動かす 【目】から【ビーム】を放ち、レベルｍ半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【高笑いの】時間に応じて威力アップ。 WIZ   :    夜中に抜け出して作曲活動をする 【どこからともなく取り出した楽譜】からレベル個の【音符】を召喚する。［音符］は誰かが触れると爆発し、【ダメージと平衡感覚消失】の状態異常を与える。 イラスト：すずや 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「さて……モーラットさんの愛らしくも勇敢なさま、お見事ですが放ってもおけませんね。微力ながらお手伝い致します」
　卓越した結界術とオーラ防御術で防御結界を展開しながら、土御門・泰花（風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833）は『三塔戒律マギラント』にて第六感も頼りに鳴き声や物音を主軸に情報収集しつつモーラットを探し出していく。
　やがて、塔が良く見える場所にてモーラットが敵の軍勢を攪乱している所を泰花は発見する。
「みなさーん、おやつですよ〜♪」
「モキュ！？」
　モーラットは甘党の節がある。
　故に自分の伝手で調達した老舗宗家のお団子【三春子】――草芽吹く大地、春霞の空、春の陽光の、三つの意味が込められた美味しい三色団子を以てモーラットを気を引く泰花。
　すぐさま治癒の真言を込めた符――ユーベルコード『治癒符』を用いる事で敵に攻撃されて怪我をしたモーラットを治療する。
「今、癒しますね。……はいっ！」
　三食団子を食べるモーラットに治療を施した後、泰花は距離を取って敵と対決する。
「さて、保護の邪魔もさせません」
　生者が触れてはならぬ音符を薙刀で斬り払いながら、モーラットの支援を受けて返す刃を『音楽家アン・カーニーの肖像画』に振るう。
　勿論モーラットにも音符が触れない様に立ち回る。
　元銀誓館学園の生徒にして能力者として、モーラットには思い入れがある。
「行きますよ……みなさんは無理をしないで下さいね」
　モーラットの群れにそう言って後方に待機させる泰華。
　彼女は、今度は自ら打って出るべく薙刀を振るっていく――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「突然異世界に来ちゃったのにマスカレイドに立ち向かうなんて、モーラットは勇敢なのね」
　同じく異世界の存在――神殺しのケルベロスである葉月・静夏（せい夏・f40839）は感嘆の息を漏らしながらモーラットとマスカレイドの戦いが行われている場所へと向かう。
　やがて辿り着くと同時、モーラット達の前に立ってユーベルコード『｜西瓜防壁皮《ウォーターメロンランパート》』を発動。
　防御のために腕を構え、後方126mまでの範囲を西瓜のようなバリアで覆っていく静夏。
「従者兵器、行って頂戴！」
　そこに従者兵器へ指示を出し、防御を担う静夏の代わりにマスカレイドを攻撃させていく。
「これで味方と思ってもらえるのかな？」
　背後を振り向くと、モーラットが目を輝かせている。
　少なくとも、敵視はされていない様だ。
「モーラットの攻撃手段がわからないけれど、できるだけ私より前にはでないように戦って頂戴ね」
「モキュ―！」
　静夏の言葉に応じるかの如く、モーラット達は鳴き声を上げる。
　ならばと静夏はユーベルコードを解除し、従者兵器を呼び戻す。
　後は、近接格闘戦型のケルベロスである己が前に出る番だ。
「皆を傷つけさせはしないから！」
　拳を振るい、大音量が発せられる前に喉や口元に叩き込んでいく降魔拳士のケルベロス。
　瞬時にマスカレイドの群れは減少し、そこにモーラット達と従者兵器がサポートを行っていく。
「理不尽な結末が許せないのは、｜私達《ケルベロス》も同じだから」
　神々の如き存在の暴虐に抗うべく、神殺しの力を得た超人。
　人々の怒りの体現者にして『｜最重要本質《ブレイド》』を持つ者の一人として、静夏は拳を振るっていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「むむ、エンドブレイカーにもモーラット発見なのです。迷子のようだけれど案外勇敢なのです」
　オヴィリア・リンフォース（銀色の魔女猫・f25140）はマスカレイドを相手にしても、臆せず立ち向かう界渡りしてきた野良モーラットの群れの元へと駆け付けるべく、ユーベルコードを発動。
　その銘は『｜モーラット呼び《コール・モーラット》』――仲間の野良モーラット達を召喚する事で呼び寄せ、この都市国家に転移してきた野良モーラット達と合流させる。
「傷ついたり弱っているモーラットは後退してもらうのです。終わったら皆でおやつを沢山食べるのです」
　的確にダメージを負ったモーラットを避難させ、マスカレイドの音響系ユーベルコードが発動する前にオリヴィアは無事な野良モーラット達に指示を出して一斉攻撃。
　一斉攻撃の内容は、モーラット達の電撃による雷電の放射だ。
「モキュっと黒焦げにしてやるのです」
　音符には触れないようにも注意しながら、モーラット達に指示を出していくオリヴィア。
　賢い動物の猫として、愛くるしい猫の姿をしているオリヴィアの姿はモーラット達にとって同族意識を彷彿させるのであろう。
　モーラット達はオリヴィアをリーダーとして、優れた統率を以てマスカレイドを追い詰めていく。
「とどめが必要なら猫アタックをするのです。猫の突進力を甘く見てはいけないのです」
　そう言ってオリヴィアは弱ったマスカレイドに体当たりを仕掛け、トドメを刺す。
　その様子に、モーラット達は大喜びだ。
「モーラット達も、エンドブレイカーにデビューなのです？」
　もしかしたら、いずれはオリヴィアが言った通りなるのかもしれない。
　全ての世界の『｜炎の破滅《カタストロフ》』を阻止し、全ての世界が分かりあえた時――そんな光景は広がっているのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ほう、モーラット……モーラット！？　奴らはシルバーレインに生息していたはずでは……ああ、界渡り、なるほど……？」
　驚きながらもフカヒレ・フォルネウス（鮫の悪魔の四天王・f31596）はマギラントにモーラットの群れがいる事を受け入れ、戦場を駆けていく。
「まあ……共に戦ってくれるというのであれば構いません。マギラント防衛、ひいてはエンドブレイカー防衛のために力を合わせましょう！」
　そう言ってユーベルコードを起動させていくフカヒレ。
　鮫の悪魔にして鮫魔術士であるフカヒレは、サメに関するユーベルコードを多数使用する『六番目の猟兵』だ。
「徒党を組みし三柱の一つをここに。出でよ、練子鮫！」
　呼び出されたのは263体の味方の行動成功率を増加する鮫である「ガラパゴス」。
　かの鮫をレッサーデーモンやアサルトバグ、マシンフェアリーにモーラット等友軍へと配布し、支援を施していく。
「さあ、僕の指揮の下でアン・カーニーを打ち倒すのです！」
　マスカレイドが所持するユーベルコードによる『目からのビーム』に気を付けながら、フカヒレは友軍の数と連携を力として指揮を執っていく。
　既に中隊……人間の数で言えば中隊規模の行動成功率を増加させる存在の「ガラパゴス」によって、友軍である従者兵器とモーラット達の行動は軒並み高い成果を上げている。
「このまま、マギラント内の『11の怪物』に所属する存在を排除していきますよ！」
　バブルワンドから放つ魔法の泡でマスカレイドのユーベルコードを防ぎ、フカヒレは高笑いを上げながら従者兵器とモーラット達に指示を出し、やがて完璧な勝利を収めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年09月03日