侵されざるザナドゥの秘境
「この土地は我々の企業が開発を行う。抵抗は無意味だ」
晴れわたる太陽と青空に見守られ、自然の恵みに感謝しながら、昨日と変わらぬ今日を心穏やかに過ごす。
"外"と隔てられた小さな世界で暮らしてきた人々の日常は、その日、鉄を纏った者達によって打ち破られた。
「まさか本当に、このような『秘境』がまだ残っていたとはな」
「汚染されていない土地、天然の動植物……全て貴重な資源だ。我々が接収する」
「や、やめてください!」
突如として現れ、我が物顔で土地に踏み込んできた見慣れぬ人間達に、抗議しようする者もいた。
だが。落雷のような音が鳴り響き、彼らの持っている筒から煙が立ち上ると、そうした者は皆動かなくなった。
「言ったはずだ、抵抗は無意味だと。原住民への配慮は不要だと上司から伝えられる」
「な、なんなんだ……何者なんだアンタらは!」
未知の武器を持つ、知らない匂いのする兵士たちに、人々は恐れおののく。
閉じられた世界で平和を謳歌してきた者達は、外界からの脅威に対してあまりにも無力であった。
「未開人どもめ。文明の力を知るがいい」
|巨大企業群《メガコーポ》より派遣された尖兵達は、原住民の抵抗などものともせずに「土地開発」を進める。
ザナドゥに残された「秘境」のひとつが、この日、地球上から姿を消した――。
●
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイバーザナドゥ辺境の『秘境』と呼ばれる土地を、メガコーポが強引に開発しようとしています」
知っての通り、メガコーポの暴走で壊滅的な打撃を受けたサイバーザナドゥは、全ての生命が体の一部を機械化しなければ生きていけない程、有害物質「骸の海」に汚染されている。しかしこの世界にもごく僅かながら、骸の海に汚染されることなく、自然のままの森林・河川・生態系を保持している土地が存在している。
「文明からも隔絶されたその地は『秘境』と呼ばれ、秘境で生まれ育った人間や動物は皆、現在でも|機械化義体《サイバーザナドゥ》を必要とせず、生身で暮らしていると言われています」
重度の汚染に耐えながら生きているザナドゥ市民からすれば、まさに夢物語のような世界。それゆえ一般的には創作や妄想の類として扱われ、実在については一蹴されてきた「秘境」だが、メガコーポはその支配力をもってして、そうした「秘境」のひとつを発見したのだ。
「メガコーポは秘境に眠る「特殊な鉱物や植物」の類が骸の海汚染を防いでいると推論を立てて、それを奪取するべく開発工事に取り掛かろうとしています」
それは文字通り秘境の大地をひっくり返すほどの大規模なもので、紛れもない環境破壊だ。実行されてしまえば秘境の自然は失われ、そこに住まう人々はたとえ生き延びたとしても、生身の肉体で生きていく事は不可能となるだろう。
「今回の皆様への依頼は、このメガコーポによる環境破壊を阻止する事です」
目的地となる『秘境』は南米大陸の奥地、高濃度汚染地帯の向こう側にある。この辺りは特に骸の海を始めとする有害物質の汚染が酷く、その先にまさか生物が生存できる環境が残っているとは考えられていなかったようだ。皮肉にもメガコーポの作り出した汚染が、メガコーポの手から秘境を守っていたのである。
「高濃度汚染地帯は|機械化義体《サイバーザナドゥ》に換装した一般人はおろか、猟兵でも長時間の滞在は危険を伴います。汚染対策を整えた上で、なるべく素早く通り抜けてください」
メガコーポはすでに発見された「秘境」に向かって先行していると考えられ、急がなければ手遅れになる。土地開発のために派遣された人員は当然オブリビオンであり、彼らは秘境の原住民の抗議や抵抗など意にも介さないだろう。
「メガコーポの尖兵として送り込まれたのは『シンセティック・オフィサー』。様々な企業で開発されているクローンサイボーグの兵士です」
量産型らしく安定したスペックと数の多さが特徴で、集団戦における戦闘能力は侮れない。最初からこんな連中を送り込んでくる時点で、メガコーポが「秘境」の住民や自然に配慮する気がないのは明らかだ。であれば、こちらも武力をもってお帰り願うほかない。
「故郷を守るために戦おうとする秘境の戦士達もいますが、彼らは|機械化義体《サイバーザナドゥ》すら装備しておらず、ユーベルコードも使えないので、オブリビオン相手にはほぼ無力です」
心意気は買ってもいいかも知れないが、なるべく安全に撤退させることができそうなら、そのほうが良いだろう。
ここで秘境の民の血が流れればメガコーポを喜ばせるだけ。秘境に奴らの魔の手が及ぶ前に追いつき、その目論見を完膚なきまでに打ち砕いてやろう。
「無事にメガコーポの開発部隊を撃退できれば、秘境の人々も皆様を歓待してくれると思います」
外界と隔離された生活を送ってきた秘境の人々だが、汚染された外の世界についてまったく無知というわけでは無いようだ。望むのであれば歓待を受け、秘境での暮らしについて話を聞いたりしながら、交流を深めるのも良いだろう。
「すでに汚染され尽くした世界ではありますが、残された貴重な自然を見捨てることはできません。どうか、皆様の力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、サイバーザナドゥの高濃度汚染地帯へと道を開く。
空も海も大地も汚染し尽くされたと思われていた世界に、奇跡的に残されていた天然の自然。果たして猟兵達はそれを守ることができるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、いまだ手つかずの自然が残る「秘境」をメガコーポの開発から守る依頼です。
1章は「秘境」までの道中にある高濃度汚染地帯の攻略です。
公害によって生じたゴミや汚染物質に埋め尽くされたこの地域は、一般人どころか猟兵でも長時間の滞在は危険なので、先行しているメガコーポに追いつく意味でもなるべく迅速に通り抜ける必要があります。
2章はメガコーポから派遣された『シンセティック・オフィサー』との集団戦です。
突出した戦闘力はありませんが数が多く、メガコーポから与えられた命令に忠実で、職務を放棄することなく最後まで戦います。
秘境の戦士達も故郷を守るために立ち向かいますが、正直言って戦力としては期待できません。彼らが命を落とさないようにも配慮してもらえれば幸いです。
無事に敵を撃退できれば、3章は秘境での日常シーンになります。
土地や村を守ってくれた猟兵を、秘境の住民は心から歓待してくれるでしょう。外界の事はほとんど知らないので、武勇伝などを語れば喜ばれるかもしれません。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『高濃度汚染地帯』
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POW : 体力に任せて汚染環境に耐える
SPD : ガスマスクやゴーグルで汚染物質への曝露を避ける
WIZ : 薬物や魔法で生命力を回復しながら進む
イラスト:九印
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カリサ・セントルム
酷いのだ!
住む場所を身勝手な理由で奪うだなんて、絶対にダメなのだー!
だからカリサは激怒したのだ。
指定UCを発動!体にわるそーな空気を、風でぶっとばすのだ。代わりに必要な空気はこちらに取り寄せて、ガンガン進んでいくのだ。
ゴミとか瓦礫とかは、全部カリサの拳でぶっとばすのだ!
カリサは秘境を守りたいのだ。だからひきょーなヤツはブッ倒すのだ!
【絡み、アドリブ歓迎】
「酷いのだ!」
非道な土地開発によって「秘境」を侵略するメガコーポの悪行に、カリサ・セントルム(自由すぎ人造ドラゴン娘・f40359)は激怒した。自分が住めそうな場所を探して旅をしている彼女にとって、それは断じて見過ごせない事だったのだ。
「住む場所を身勝手な理由で奪うだなんて、絶対にダメなのだー!」
秘境にだって原住民がいるのに、他人の都合で追い出されるか、さもなくば殺されるなんて許せない。それを阻止する為にはまず、先行しているメガコーポの部隊に追いつかないといけない。目の前に広がっている高濃度汚染地帯――息をするだけでも肺が腐りそうな、公害の温床を乗り越えてだ。
「体にわるそーな空気は、風でぶっとばすのだ」
高濃度汚染地帯に足を踏み入れたカリサは【黄龍の風】を発動し、汚染された空気を自分の周りから排除する。逆に汚染地帯の外側からはキレイな空気を取り寄せて、呼吸に必要なぶんを確保する。それでも完全に汚染を防げる訳ではないが、バイオモンスターの体は頑丈なので問題はない。
「いくのだ!」
鼻が曲がりそうな臭い空気を追っ払うと、カリサはガンガン汚染地帯の奥へと進んでいく。行く手に立ち塞がるのは不法投棄されたゴミや瓦礫など、汚染物質に浸かりすぎて原型が何だったのか分からないものさえある。汚染に耐性があるはずのサイバーザナドゥの住人すらここには立ち入らないというのも頷ける光景だ。
「邪魔なものは全部カリサの拳でぶっとばすのだ!」
が、そんな障害物くらいでカリサの歩みを止めることはできない。見た目は可愛らしい少女(ツノと尻尾付き)でも伝説の黄龍の血肉をブレンドして生まれたバイオモンスターである彼女は、人間離れした怪力を誇る。力任せにぶん殴っただけで、邪魔なゴミや瓦礫は跡形もなく吹っ飛ばされた。
「急ぐのだ!」
とにかくメガコーポ部隊が秘境に手出しする前に追いつかなければ、という思いもあってかカリサの歩みは一直線。
進路上にあるものは全て殴り飛ばして、文字通り脇目も振らずに進む。その姿を例えるならば怪獣の行進であった。
「カリサは秘境を守りたいのだ。だからひきょーなヤツはブッ倒すのだ!」
それは非常にシンプルで、だからこそ強い決意。相手が悪人なら、カリサは己が人外の力を振るう事を躊躇わない。
秘境に向かうメガコーポの連中は、自分達の後ろから汚染よりもっと恐ろしい相手が近付いているのにまだ気付いていないだろう。やいやいと元気に騒ぎながら歩む人造ドラゴン娘は、着実に敵との距離を詰めていた――。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
『秘境』なんてもんが本当に存在していたとはな。
ククッ、|旨い話《ビジネス》の匂いがプンプンしてるじゃあねえか。
バイクを飛ばして『秘境』に直行だ!メガコーポに先越させるかよ!
高濃度汚染地帯だかなんだか知らねえが、そんなもんにビビってチンタラやってたら追いつけるもんも追いつけねえぜ。
汚染物質の対策に仰々しいモノは必要ねえ。ユーベルコードを使えば向こうがオレを避けていくぜ。
海を割った聖人のようにゴミの山も真っ二つだ。走りやすくて助かるぜ。
こうして原理や理屈を超越するのが超絶美少女の特権って訳よ。
さあ、ゴミだらけの場所はオレには似合わねえ。トップスピードで駆け抜けるぜ!
「『秘境』なんてもんが本当に存在していたとはな」
この星のどこかにまだ、骸の海に汚染されていないクリーンな大地が残っている。そんなのは所詮ストリートの噂話に過ぎないと、堂島・アキラ(|Cyber《サイ》×|Kawaii《かわ》・f36538)も思っていた。しかし彼が「秘境」の実在を聞かされた時、感じたのは憧れやロマンなどではなかった。
「ククッ、|旨い話《ビジネス》の匂いがプンプンしてるじゃあねえか」
メガコーポが発見早々、秘境の価値に目をつけたのも理解できる。汚染されていない土地や天然の動植物など、この世界では黄金よりも貴重な存在がそこにはゴロゴロ転がっているのだ。やり方次第では彼のようなストリートの荒事屋にも、一儲けのチャンスは幾らでもあるだろう。
「メガコーポに先越させるかよ!」
そんな宝の山もメガコーポに土地開発されてしまったら、利益は独占され手の出しようがなくなる。そうはさせまいとアキラは愛車のハイスピードバイク『EDGE -HABAKIRI-』を飛ばして秘境に直行する。道中にはサイボーグでも危険なレベルの汚染地帯が広がっているが、まるでお構いなしだ。
「高濃度汚染地帯だかなんだか知らねえが、そんなもんにビビってチンタラやってたら追いつけるもんも追いつけねえぜ」
先行された分の遅れを取り戻すには、多少のリスクは許容しないといけない。元より彼の生業は死と隣り合わせだ。
汚染物質と骸の雨が混ざり合ってできた灰色の水溜りや、不法投棄されたゴミや瓦礫で埋め尽くされた大地に、彼は躊躇なく飛び込んでいく。
「汚染物質の対策に仰々しいモノは必要ねえ。ユーベルコードを使えば向こうがオレを避けていくぜ」
アキラが発動したのは【世界よ、跪け】。徹底的に可憐さを追求した彼の|機械化義体《サイバーザナドゥ》は、つま先から髪の毛に至るまで完璧な美少女モデルに換装されている。自らの可愛さに対する絶対的な自信がユーベルコードとなって、周囲の生命体や無機物、果ては自然現象にまで影響を及ぼすのだ。
「走りやすくて助かるぜ」
彼が自信に満ちた表情を向ければ、さながら海を割った聖人のようにゴミの山も真っ二つ。あまりに可愛すぎる美少女の前では、汚染も手が出せないらしい。おかげでアクセルを緩める必要もなく、最高速で最短距離をカッ飛ばせる。
「こうして原理や理屈を超越するのが超絶美少女の特権って訳よ」
口だけならともかく実際に現実を捻じ曲げる所を見せられては、ナルシストもここまで極まれば見事なものだと感服せざるを得まい。並みのサイボーグでは一時間と保たない高濃度汚染地帯を、アキラは鼻歌交じりに走り抜けていく。
「さあ、ゴミだらけの場所はオレには似合わねえ。トップスピードで駆け抜けるぜ!」
目指すは秘境と言う名の宝の山。折角のビジネスチャンスを邪魔する奴はメガコーポだろうが何だろうがぶっ潰す。
あまりにも正直でリアルな欲望への忠実さを原動力にして、彼はさらにバイクのスピードを上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
式之・神子
あ?メガコーポの資本主義のイッヌ共、100パーオーガニックが恋しい裏返し?嫉妬乙!
目先の|棒人参《金》に釣られる愚直ドッグは躾が必要なンよ
うっわ汚いンよ、スレ民の部屋のがマシなくらいなンよ
メガコーポの連中、片付けられないマンレディなン?
幾ら馬鹿は風邪ひかない神子チャァンでもバグるンよ
ここはスピード勝負なンよ、メカポポちゃン出動なンよ
\ま”!!/
メカポポちゃンの上に乗って『ディメション★パニック』のワープゲート連続置きワープダッシュで抜けるンよ
「あ? メガコーポの資本主義のイッヌ共、100パーオーガニックが恋しい裏返し? 嫉妬乙!」
折角見つかった「秘境」を強引な土地開発でメチャクチャにしようとするメガコーポに、式之・神子(|人工無能《ネットのカオス》・f36534)は惜しみない罵倒をぶつける。そこにある貴重な動植物も汚染を免れた自然も、連中の目には利益に換算できるものとしか映らないらしい。
「目先の|棒人参《金》に釣られる愚直ドッグは躾が必要なンよ」
取り返しの付かない事をする前に灸を据えてやろうと、彼女はメガコーポの部隊を追って秘境に向かう。その道中に立ちはだかるのは、秘境とは真逆の高濃度汚染地帯だ。重篤な汚染物質に浸かった瓦礫やゴミの山が、足の踏み場もないほどに地面を埋め尽くしている。
「うっわ汚いンよ、スレ民の部屋のがマシなくらいなンよ。メガコーポの連中、片付けられないマンレディなン?」
ある意味でここは、メガコーポの悪行と無法のツケが生み出した最悪の「汚部屋」とも言える。自社の利益のみを追求した結果、壊滅的な打撃を受けた地球環境。それでも尚止まらないメガコーポの暴走によって、こうした汚染地帯は今も広がり続けているのだ。
「幾ら馬鹿は風邪ひかない神子チャァンでもバグるンよ」
骸の海を含んだ汚染物質で満たされたこの地に踏み込むのは、人工式神の神子であっても危険を伴う。彼女は嫌悪の情も露わに眉をひそめるが、ここを通っていく他に秘境に到達する道はない。モタモタしていればメガコーポの連中にも追いつけなくなる。
「ここはスピード勝負なンよ、メカポポちゃン出動なンよ」
『\ま”!!/』
そこで神子が呼び出したのは、変人奇人の巣窟こと「ポポスレ」民の叡智が生んだカカポロボ「メカポポちゃん」。
大袈裟なSEと共に立ち上がったそいつの上に乗って、彼女は【ディメション★パニック】を発動する。これは個人がくぐれる程度の小規模なワープゲートを設置し、一定距離間の高速移動を可能にするユーベルコードだ。
『ウニューン』
と、気の抜けたSEと共に出現したゲートは、少し先にある別のゲートに繋がっている。そのゲートはまた別のゲートに――という具合で、ワープゲート同士をリンクさせれば、実質的な移動距離を短縮しつつ汚染地帯を抜けられる。
「行くンよ、メカポポちゃン」
神子の号令に応じてメカポポちゃんは走り出し、最初のワープゲートに飛び込む。ひとつゲートを通過するたびに彼女らの持つ運動エネルギーは3倍になり、ふたつみっつと通過するうちに目にも止まらぬスピードに。物理法則を無視した加速をもって高濃度汚染地帯を駆け抜けていく。
「待ってるンよ、イッヌ共」
メガコーポの部隊がどれだけ先を行ってたとしても、ワープダッシュの速度には敵うまい。振り落とされないようにメカポポちゃんにしがみつきながら、神子はまっすぐ前方を見る。資本主義者の馬鹿共に、躾を施す時はもうすぐだ。
大成功
🔵🔵🔵
リンカ・ディアベルスター
知恵の星神よ、力を貸しておくれ…
指定UCを発動して“オーラ防御”に汚染物質を浄化する魔法を使用して進む事にした
これは…酷いね、生物が生きられないくらい環境汚染が進んでいるんだね…
周りを見渡しながら進んでいると巨大なゴミが進路を塞ぐ
…不法投棄まで何でもありか
高速詠唱で量子化魔法(指定UCの効果)で消滅させた
森は開拓しがいがあるね、うんうん
微笑みながらも探索魔法で敵の位置を探りながら進んでいた
…捉えたよ
敵を発見した私はそのまま加速して敵のいる方向へ進んだ
開拓はね…環境を破壊してまでやる事では無いんだよ、自分達が住めなくなっては元も子も無いからね!
「知恵の星神よ、力を貸しておくれ……」
骸の海を含んだ高濃度汚染地帯の入り口で、リンカ・ディアベルスター(星神伝説を知る開拓者・f41254)は【『知恵』の星神 ミスティ】を発動する。この先はサイボーグでも長期生存は不可能なほどの危険地帯、生身の彼女が突破するには神秘の助けがいる。
「……これでいいかな?」
召喚した知恵の星神から汚染物質を浄化する魔法を習った彼女は、その魔法を自らのオーラに付与する。これで汚染から身を守りつつ先に進めるはずだ。防御を解かないように細心の注意を払いながら、いよいよ汚染地帯に突入する。
「これは……酷いね、生物が生きられないくらい環境汚染が進んでいるんだね……」
実際に足を踏み入れて見た高濃度汚染地帯の様子は、創造を絶する有様だった。人間はおろかあらゆる生命の気配を感じず、目に入るのは汚染物質と地面を埋め尽くすゴミの山。浄化魔法がなければ呼吸をするだけでも辛かったろう。
「……不法投棄まで何でもありか」
眉をひそめて周りを見渡しながら進んでいると、巨大なゴミが進路を塞ぐ。リンカは素早く呪文を唱え、量子化魔法でそれを消滅させた。『知恵』の星神の力を借りれば、この程度はお手の物。これが太古の昔に獣人戦線に存在したという|星神《アステリオーン》の権能だ。
「森は開拓しがいがあるね、うんうん」
この汚染地帯の向こうに自然豊かな「秘境」があると聞いたリンカは、微笑みながらも探索魔法で敵の位置を探りながら進んでいた。秘境の実在を最初に突き止めたメガコーポの連中は、もう土地開発のために部隊を差し向けている。
「……捉えたよ」
それらしき集団の反応を発見した彼女は、そのまま加速して敵のいる方向へ進む。奴らに先に秘境に到達されるわけにはいかない――自社の利益しか考えていない連中は、この世界に奇跡的に残された自然さえ、根こそぎ破壊してしまうだろうから。
「開拓はね……環境を破壊してまでやる事では無いんだよ、自分達が住めなくなっては元も子も無いからね!」
地球をこのように汚染された星に変えてなお、反省の色もなく同じ事を繰り返すメガコーポには、罰が必要だろう。
こことは違う世界、はるか太古において自由な開拓を目指したリンカの口ぶりは、飄々としていながらも断固とした意志に満ちていた。
「覚悟しておくことだね」
彼女はビハインド――本来ならば、現代にあるはずのない過去の存在。されど未来を守らんとする意志は他の猟兵と同じ。この世界に残された限りある自然環境を守り抜くために、星神の力を借りて足早に汚染地帯を抜けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
この|汚染されし世界《サイバーザナドゥ》に木々や川があったとは…
だがそれを奪い破壊しようとする者がいる…ならばやるべきことは…!
さぁ…行くぞ…私は処刑人…!
仮面を被り毒耐性と環境耐性の加護を得て【ペイル・ライダー】で骸骨馬を召喚
その背に乗り汚染地帯を駆け抜けよう
道なき道をダッシュで進み道がなければジャンプで空中を駆け抜け
障害物があれば鉄塊剣を抜き振るい怪力と地形破壊で障害物を叩き壊し秘境へと急ごう…!
ここで足止めを喰らう訳には行かぬ…!急がねば…!
私は…処刑人だ…ッ!
「この|汚染されし世界《サイバーザナドゥ》に木々や川があったとは……」
過剰発達したテクノロジーとメガコーポの暴走によって、この惑星の環境は壊滅的な打撃を受け、|機械化義体《サイバーザナドゥ》なしでは生きられぬ世界となった――仇死原・アンナ(処刑人、地獄の炎の花嫁、焔の騎士・f09978)を含めた多くの人間はそう考えていただろう。伝説の地とされていた「秘境」が、実在を確認されるまでは。
「だがそれを奪い破壊しようとする者がいる……ならばやるべきことは……!」
環境破壊の元凶たるメガコーポに、同じ愚をこれ以上繰り返させる訳にはいかない。話を聞いた時には驚きもあったが、アンナの決意は明白だった。悪人どもから秘境の自然と、そこで暮らしている原住民や動植物の営みを守るのだ。
「さぁ……行くぞ……私は処刑人……!」
処刑人の証たるペストマスク風の仮面を被り、アンナは蒼い炎を纏う骸骨の騎馬【ペイル・ライダー】を召喚する。
その背に跨った彼女の姿は、さながら死をもたらす黙示録の騎士。見る者に畏怖と恐怖を抱かせるほどの気迫を滲ませながら、いざ秘境への道程にある高濃度汚染地帯に足を踏み入れる。
「聞きしに勝る醜悪さだな……」
不法投棄されたゴミの山、骸の海を含む汚染物質の温床、呼吸するだけで肺を侵食する大気。世界全体に広がる環境汚染をさらに濃縮したような光景が、視界一面に広がっている。毒耐性と環境耐性のある「処刑人の仮面」の加護がなければ、とてもではないが耐えられなかっただろう。
「ここで足止めを喰らう訳には行かぬ……! 急がねば……!」
オブリビオンで編成されたメガコーポの部隊は、汚染を苦にせず先行している。奴らが秘境に到達する前に追いつかねばと、アンナは骸骨馬に鞭を当てて速度を上げた。ゴミで埋め尽くされた道なき道を進み、道がなければジャンプで空中を駆け抜ける。乗り心地はあまり良くないものの、悪路を走破する上ではこれ以上頼もしい騎馬もいない。
「瓦礫の山か……だが、迂回している暇はない……!」
道中に立ち塞がるものがあれば、アンナは鉄塊の如き巨大剣「錆色の乙女」を抜き振るい、人並み外れた怪力と質量を以って障害物を叩き壊す。あまりの威力のため彼女が剣を振るったあとは地形まで変わってしまうほどだ。人の住む場所なら遠慮もしただろうが、この地帯でなら躊躇はいるまい。
「秘境を荒らさんとする者達よ……死から逃れる事は出来ぬぞ……!!!」
散らばる瓦礫と汚染物質の雨を振り払いながら、アンナはさらに速度を上げる。無理をさせても疲労せずに走り続けられるのも骸骨馬のメリットか。この汚染地帯を突破し、メガコーポの部隊に追いつくまで足を止めるつもりはない。
「私は……処刑人だ……ッ!」
仮面の下に隠された彼女の瞳の奥には、爛々たる炎の輝きがある。それは咎人どもを火刑に処す為の地獄の業火だ。
呪われし処刑人の一族の系譜を継ぎ、炎獄の執行人として邪悪なる者を討つ。それが、彼女の使命なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
オブリビオンマシンたるバルバロッサならば骸の海への耐性は十分と思うが、その他全ての有害物質も防げるとは言い切れない
やはり素早く通り抜けるに越したことはあるまい
機体と一体化した状態で、翼状の推進機構を広げて飛翔
なるべく地表から離れ、強化された速度でもって真っ直ぐに突っ切るとしよう
骸の海の汚染を防ぐ新物質の可能性か
実在するのなら間違いなくイノベーションが起こるだろう
他企業に一歩も二歩も先んじるまたとない商機だ
だがしかし、予知に引っかかったのと同じやり方では同じように失敗するだろう
今まさに私が身をもって示しているように
……|我々なりのやり方《猟兵と敵対しないギリギリ》を模索せねばならんな
(オブリビオンマシンたるバルバロッサならば骸の海への耐性は十分と思うが、その他全ての有害物質も防げるとは言い切れない)
とあるメガコーポの荒事担当部署、通称"第6課"の課長にして猟兵であるフリッツ・バーナー(〝少佐〟・f41014)にとって、今回「秘境」を狙っている企業は競合相手でもあった。奴らに先んじられるのを阻止する為にも、ここは万全を期して挑む必要がある。
「やはり素早く通り抜けるに越したことはあるまい」
彼が操縦するオブリビオンマシン「バルバロッサ」は、パイロットと一体化する事でその力を引き出す。まるで彼の肉体の延長線上のように赤黒の機体は滑らかに動き、背面の翼型推進機構「DEMETRIUS」を広げて空に飛び立った。
「なるべく地表から離れ、真っ直ぐに突っ切るとしよう」
【作戦発令:双頭の鷲】により、速度や機動力を含めた全性能が向上したフリッツの「バルバロッサ」は、戦闘機の如きスピードで高濃度汚染地帯上空を飛翔する。投棄されたゴミや有害物質から漏れ出した汚染も、空にいれば比較的マシだろうとの判断だ。また、障害物だらけの地上を歩いて進むよりはペースも早い。
「普通にしていては追いつけんからな」
最初に秘境を発見したメガコーポは、すでに開発部隊を先行させている。遅れを取り戻す為にもここは効率重視だ。
赤黒いオーラを纏いながら空を翔けるオブリビオンマシンの機影は、遠目には怪鳥か流星のようにも見えただろう。
「骸の海の汚染を防ぐ新物質の可能性か。実在するのなら間違いなくイノベーションが起こるだろう」
汚染地帯を眼下に眺めながら、フリッツが考えるのは秘境の価値についてだ。常識的に考えれば、ここまで惑星全土の環境が破壊されたサイバーザナドゥにおいて、自然な環境が残っているほうが「不自然」である。奇跡的な偶然という可能性を排除するのなら、汚染を防ぐ因子がそこにあるという敵対メガコーポの見解を彼も支持する。
「他企業に一歩も二歩も先んじるまたとない商機だ」
もしも汚染を自由に制御、あるいは抑制する事が可能になれば、この世界の社会全体に起こる変化は計り知れない。
これを発見・回収、そして独占することに成功すれば、フリッツの所属企業が得る利益は巨万の富どころではない。
(だがしかし、予知に引っかかったのと同じやり方では同じように失敗するだろう。今まさに私が身をもって示しているように)
破壊や傷害を伴う大規模な行動はグリモアの予知に掛かりやすく、猟兵の介入を招く。自分も猟兵であるからこそ、彼らを敵に回すことは企業的にリスクのほうが高いとフリッツは判断していた。先行した連中は自分達の手で潰すとして、同じ轍を踏むつもりはない。
「……|我々なりのやり方《猟兵と敵対しないギリギリ》を模索せねばならんな」
彼は目的の為なら手段を選ばないが、成果を見込めない愚策に身を投じるほど馬鹿でもない。企業人と猟兵の両方の立場から理解が得られるであろうプランを考察する――男の目線はすでに敵を撃破した後の事業展開を見据えていた。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
おえっ!?げっほげっほっ!!?!おろろろろろ……うげっ、おえっ、ろろろろろろ…(転送早々に死にかけている)
そんな中、なんとかユーベルコードを発動して汚染地帯を影の森でできた迷路で塗り潰す。これで多少はマシになるはず。
迷路ではあるけど自身の領域。勝手知ったる森の中。すいすい進んでいく。
まあ、魔法の才能は特にないのをアイテムの力で無理矢理発動してるわけだから、戦闘で短時間使うのとは違ってこうやって長時間発動してる現状もさっきまでとは別の意味でキツいんだけど…。
全てが汚染されつくした世界なんて絶対に行かない。そう思ってた。でも、自然が残ってるなら話は別。
なんとしてでも自然を守る。敵の命を奪ってでも。
川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)は故郷において、いわゆる熱心な環境活動家として働いている。
環境汚染に弱いシャドウエルフである彼女は、かつて大量の排気ガスによって死にかけた経験があり、その過去から自然を穢す輩を憎む。ゆえに異世界の事とはいえ、貴重な「秘境」の自然を守るための依頼に参加したのだが――。
「おえっ!? げっほげっほっ!!?! おろろろろろ……うげっ、おえっ、ろろろろろろ……」
ただでさえ汚れきったサイバーザナドゥの中でも、特に劣悪な高濃度汚染地帯の環境は、彼女にとって過酷すぎた。
呼吸するだけで肺が腐りそうな空気。ゴミと汚染物質で埋め尽くされた大地。創造を絶する醜悪さにこみ上げる咳と嘔吐感を抑えることができず、転送早々に死にかけていた。
「し……死ぬ……」
そんな中、五十鈴はなんとか【影妖精の帳】を発動して、汚染地帯を影の森でできた迷路で塗り潰す。清浄な空気と植物の香りが辺りを満たせば、ようやくマトモに息を吸えるようになった。あとちょっと対応するのが遅ければ本当に死んでたかもしれない。
「これで多少はマシになるはず」
五十鈴は口元を拭って立ち上がると、気を取り直して移動を開始する。シャドウエルフ以外の種族には右も左も分からない迷いの森も、彼女にとっては勝手知ったる森の中だ。自身の領域で道に迷うはがないと、すいすい進んでいく。
(まあ、魔法の才能は特にないのをアイテムの力で無理矢理発動してるわけだから、さっきまでとは別の意味でキツいんだけど……)
五十鈴が身に着けている魔導金属製のアクセサリーは、魂が保有する重力を魔法に変換する魔導器だ。戦闘中に短時間使用するならまだしも、こうやって道中の間ずっとユーベルコードを維持するのは負担が大きい。さらに長時間に及べば、今後の肉体の成長や寿命などに影響が出るだろう。
「よりにもよってこんな所を通らないといけないなんて……」
そんな無茶をしてまで彼女が地獄の高濃度汚染地帯を攻略する理由は、「秘境」の存在を知ったからに他ならない。
いまだ人間の手によって破壊されていない、ありのままの自然が残された土地。そんな最後の希望までメガコーポに脅かされていると聞いて、黙っていられるはずが無かった。
(全てが汚染されつくした世界なんて絶対に行かない。そう思ってた。でも、自然が残ってるなら話は別)
今も森の外側から流れ込んでくる淀んだ空気が、汚染に弱い五十鈴の身体を蝕む。気分は最低最悪だが、それでも今さら引き返すという選択肢はなかった。メガコーポの部隊は先行して秘境に迫っており、急がなければ手遅れになる。
「なんとしてでも自然を守る。敵の命を奪ってでも」
土地開発などという名目で自然を破壊する外道の輩にかける情けなど、彼女は1グラムも持ち合わせていなかった。
自然を愛し、自然を守ることを己が使命とした少女は、いかなる汚染でも穢せない信念を胸に進み続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
穂藤・野々
非汚染地域が残っているなんて、考えてもみなかったから……今すごくドキドキしてるの
この世界本来の生態系はもう無くなってしまったと思っていたから
絶対に守らなくちゃ!
本当ならその辺の端末から入って光速移動したいところだけど、流石に此処の回線は危なそう
何処でエラーが起こるか分からないもの
スカイカナルで現実世界を駆け抜けた方が手っ取り早いの
装備中のブロンシュシリーズは全部揃えると耐性フルコースになる防具
リボンとケープだけでも大分耐えられると思うの
幻朧桜の色を移しておいた癒しのカードは奥の手ね
メガコーポも放置していた地域なら思わぬ情報が落ちているかも
行きは余裕がなさそうだけど、帰り道に少し探ってみたいな
「非汚染地域が残っているなんて、考えてもみなかったから……今すごくドキドキしてるの」
それはサイバーザナドゥにおいて、空想や伝説としてのみ囁かれていた領域。とうに地球上から失われたと思われていた天然の森や川や野生動物が、まだ実在すると知った時、穂藤・野々(虹を描く少女・f36805)は大いに驚いた。
「この世界本来の生態系はもう無くなってしまったと思っていたから……絶対に守らなくちゃ!」
今となってはどんなレアアイテムよりも貴重で、掛け替えのない「秘境」を、メガコーポの利益のために壊させる訳にはいかない。特製のフロートボード【スカイカナル】に飛び乗って、彼女はいざ高濃度汚染地帯に足を踏み入れた。
(本当ならその辺の端末から入って光速移動したいところだけど、流石に此処の回線は危なそう。何処でエラーが起こるか分からないもの)
不法投棄されたゴミや瓦礫、骸の海を含んだ汚染物質などが散らばる高濃度汚染地帯には、まだ機能が生きていそうな端末もある。が、こんな所でリスクのある選択を野々は取らなかった。彼女のワールドハッカーとしての腕前は確かなものだが、ここで無理にサイバースペースを経由するメリットは少ない。
「スカイカナルで現実世界を駆け抜けた方が手っ取り早いの」
空色のボードから鮮やかな色彩の軌跡を描きながら、彼女はすいすいと汚染地帯を進む。その機動は軽やかで、多少の障害物など意にも介さない。とはいえココは|機械化義体《サイバーザナドゥ》を装着したサイボーグでさえ音を上げる危険地帯、バーチャルキャタクターの彼女でも生存が保障される場所ではなかった。
「ちょっと苦しいけど……まだ大丈夫かな」
野々が装備中のアイテムのうち、レースリボン【エルブロンシュ】とレースケープ【プリュムブロンシュ】は「ブロンシュシリーズ」と呼ばれるセット装備の一部であり、全部揃えると耐性フルコースになる防具だ。今装備しているのは二つだけだが、それでも毒物や環境への耐性効果が発揮され、汚染から彼女の身を守ってくれている。
(癒しのカードは奥の手ね)
辛くなった時のために用意しておいた「切り札」に、彼女はそっとポケットごしに触れる。リボンやケープのように電脳空間のゲームデータから拝借したものとは違い、【虹色パレット】によって自身の心に響いた色彩を保存したもので、その色に因んだ効果を発揮する。これはサクラミラージュを訪れた際、幻朧桜の色を移しておいたものだ。
「メガコーポも放置していた地域なら思わぬ情報が落ちているかも」
装備品の効果で汚染に耐え、秘境に向かって先を急ぎながらも、野々はちらりと辺りの様子を見る。普通の人にとってはゴミとガラクタの山でしかなくても、意外な「お宝」がこういう所に眠っていたりするのはゲームでもお約束だ。
(行きは余裕がなさそうだけど、帰り道に少し探ってみたいな)
誰も近づきたがらないような場所にあっても、マイペースかつ好奇心旺盛。その疾走を止められるものは何もなく、彼女が通り過ぎたあとには美しい虹色が残る。それは薄汚れた汚染地帯に、ほんの少しの彩りを添えていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ベティ・チェン
「…秘境?」
|この地《ザナドゥ》にそんな、ダークセイヴァーのような秘境があるのなら
その地を治めるのは、どんな貴族だろう?
「ドーモ、ベティ、デス」
「手付かずの、|黄金郷《エル・ドラド》。見つけたのは、メガコーポ」
「高濃度汚染地帯の、往復。この情報と、装備代で…ミコ・クノイチを、ロハで」
肌を露出させないボディスーツを2人分で4着(自分とミコ・クノイチの往復分)準備
「汚染物質を持ち込めない、から。着いたらこれは、焼却。帰りの着替え持って、待ってて」
ミコ・クノイチ背負って高濃度汚染地帯を全力疾走
中古でもそこそこまともなボディスーツ準備するが、それでもカバー出来ない汚染をミコ・クノイチに治癒させ強行突破
「……秘境?」
サイバーザナドゥにまだ自然の残された土地が存在すると聞いた時、ベティ・チェン(|迷子の犬ッコロ《ホームレスニンジャ》・f36698)の反応は端的だったが、内心は驚いている様子だった。同時に、この世界ではまるで想像も付かない土地の実態について興味も湧く。
(|この地《ザナドゥ》にそんな、ダークセイヴァーのような秘境があるのなら、その地を治めるのは、どんな貴族だろう?)
真相を確かめるには秘境に向かうほかない。土地開発という名目で秘境の自然を破壊する、メガコーポよりも先に。
そのためには道程に立ち塞がる高濃度汚染地帯を攻略する必要があるのだが――対処法のアテがベティにはあった。
「ドーモ、ベティ、デス」
ベティが発動したのは【リクエスト・シノビユニオン】。どんな場所でも貴方の望むシノビをデリバリーするという謎の組織へのツテである。もちろんお代はタダという訳では無いのだが、今回は体(実働)で返す以外のアテがある。
「手付かずの、|黄金郷《エル・ドラド》。見つけたのは、メガコーポ。高濃度汚染地帯の、往復。この情報と、装備代で……ミコ・クノイチを、ロハで」
サイバーザナドゥにおいて情報は価値だ。これまで実在を確認されていなかった「秘境」関連の情報ならなおさら。
リクエストしたのは病も怪我も何でも治すと噂のミコ・クノイチと、彼女と自分用に肌を露出させないボディスーツを計4着。これは往復分を想定した準備である。
「汚染物質を持ち込めない、から。着いたらこれは、焼却。帰りの着替え持って、待ってて」
「はい、分かりました」
要請した人材と装備が直ちに送られてくると、ベティはボディスーツに身を包み、ミコ・クノイチを背負って、高濃度汚染地帯を全力疾走する。人狼の身体能力にサイバーニンジャの技が加われば、そのスピードはおよそ人間の脚力の限界を超え、疾風の如しとなる。
(中古でも、そこそこまともなボディスーツ、準備した、けど)
骸の海を含んだ汚染物質の影響も、多少なら耐えられはするだろう。だが、長期間の滞在に耐えうる性能ではない。
サイボーグでさえ生存不可能なレベルの汚染地帯は尋常ではない。それが分かっているからこそ彼女も最速でここを突っ切る気なのだ。
「このケガレ、祓い清めます」
ボディスーツでもカバーできない汚染は、ミコ・クノイチに治癒してもらう。実際どういった理屈で治しているのかベティには専門外だったが、それでもミコの祝詞を聞くと体が軽くなるのを感じた。何でも治すという噂はただの売り言葉では無かったようだ。
「これなら、いける」
汚染を耐えきる算段がついたベティは、そのまま最速で汚染地帯を強行突破し、先行するメガコーポの部隊に迫る。
普段は衣食住の確保に必死なホームレスでも、依頼となれば有能ニンジャの顔になる――彼女はそんな猟兵だった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
秘境への道か。なんか、わくわくするね。
ガスマスクや防護服をつけて、完全防御で挑むよ。
コー、ホー。
迷子にならないよう、目印をつけながら進もう。
急ぐ気持ちはあるけど、ここで迷子になったら、本末転倒だからね。
こんな、高濃度汚染地帯の先に秘境があるなんて、本当に奇跡みたいだね。だからこそ、逃れられたんだろうけど。
待っててね。コー、ホー。
「秘境への道か。なんか、わくわくするね」
惑星全土の自然が破壊し尽くされたと思われていたサイバーザナドゥで、最後に残された「秘境」。まるで冒険小説のようなロマンあふれるシチュエーションを、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)が見逃すはずがなかった。
「コー、ホー」
秘境までの道中が高濃度汚染地帯という、この世界で屈指の危険地帯というのも面白い。過程がハードであればお話も盛り上がるというものだ。彼女はガスマスクや防護服をがっちり身に着け、一切素肌を露出しない完全防御で挑む。
(迷子にならないよう、目印をつけながら進もう)
汚染物質で埋め尽くされた大地を踏みしめて、ゴミや瓦礫の山を乗り越えながら、アリスは高濃度汚染地帯を進む。
秘境開発のためにメガコーポが派遣した部隊がすでに先行しているという話は、もちろん彼女も耳にしている。だが焦る様子はなく、自分が歩いてきた道程にひとつひとつ印を刻みつけて堅実に進路と退路を確保していく。
「急ぐ気持ちはあるけど、ここで迷子になったら、本末転倒だからね」
ミイラ取りがミイラになるような愚は犯さない。骸の海汚染に耐性があるオブリビオンでも、この地帯を抜けるには時間をかけるはずだ。迷わずにまっすぐ秘境まで向かえば追いつけるはずと、情報妖精たる彼女は目算を立てていた。
「こんな、高濃度汚染地帯の先に秘境があるなんて、本当に奇跡みたいだね」
ガスマスクのフィルター越しでなければ、呼吸すらできないほどの汚染レベル。発達したテクノロジーとメガコーポの暴走のツケを一手に背負わされたが如き光景は、ある意味壮観ですらあった。まともな人間なら、こんな場所の向こうに生物の生存できる環境が――ましてや汚染されていない自然があるとは思うまい。
「だからこそ、逃れられたんだろうけど」
アリスが口にした通り、まさに奇跡的な条件の重なりによって、今日まで秘境の存在は伝説として隠匿されてきた。
この奇跡がただの偶然ではなく、何らかの因子によるものだとすれば――メガコーポはそれを狙って開発を進めようとしている。折角のロマンを踏みにじるなんて、そんなの許せるはずがない。
「待っててね。コー、ホー」
ガスマスクから独特の呼吸音を鳴らし、アリスは汚染地帯をひたむきに進む。まだ見ぬ秘境で待っているであろう、新たな出会いと物語に期待して。様々な世界で色んな「お話」に立ち会い、それを味わうのが彼女の行動原理なのだ。
灰色の空の下でも、汚れきった大地の上でも、好奇心に満ちた彼女の瞳はキラキラと輝いており、何者にも穢すことはできなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
神野・志乃
サクラミラージュに生まれ、猟兵になってから色んな世界を巡って
サイバーザナドゥは今回初めて来るけれど……
「これは……。……酷い」
思わず袖元で鼻や口を覆ってしまうわ
他の世界にもそれぞれに、遣る瀬ない現状というものはあったけれど
この世界のこの有り様は──事実はどうあれ──『人間の行いの末路』という感覚が色濃くて
何だか……気が滅入るわね
ま……それをこれ以上悪化させないために此処に来ているわけだから
滅入っている場合ではないわ。行きましょう
「“くきつ”、一気に抜けましょう……走るわよ」
UC《くきつ》を【浄化】Lv100で召喚
9羽の小鳥で我が身を囲い
そこから発するやわらかな陽光で、有毒物質を浄化
……臭いも少しマシになったかしら。日光って偉大ね
私自身も陽光の【オーラ防御】で身を包み、駆け抜けるわ
下手にゴミ山を越えようとすると危険でしょうから
獣道のようにうねる路地を走っていくしかないわね
急がば回れ、不器用なりの最短経路。立ち止まらず行きましょう
「サクラミラージュに生まれ、猟兵になってから色んな世界を巡って、サイバーザナドゥは今回初めて来るけれど……」
そこは神野・志乃(落陽に泥む・f40390)の記憶にある限りでも、特筆して悍ましい場所だった。不法投棄されたゴミの山、垂れ流しになった汚染物質。人間が自分達の欲望のままに環境を破壊し尽くした結果生まれた、この世界の歪みの象徴とも言える場所――それが高濃度汚染地帯である。
「これは……。……酷い」
思わず袖元で鼻や口を覆っても、変な匂いのする空気で気分がおかしくなりそうだ。とても人間が生存できるような環境でないことは一目で分かる。本当にこの先に「秘境」という自然環境が残されているのか、予知がなければとても信じられない惨状だ。
「他の世界にもそれぞれに、遣る瀬ない現状というものはあったけれど、この世界のこの有り様は──事実はどうあれ──『人間の行いの末路』という感覚が色濃くて、何だか……気が滅入るわね」
どうしようもない災害や、人類外の脅威によって危機に瀕した世界とはまた違う。サイバーザナドゥの現状を作ったメガコーポの暴走やモラルの崩壊は、間違いなく人間社会の病理と呼べるものであり。ともすれば自分の生まれ故郷もこんな未来に行き着く可能性があるのかと考えると、気落ちせずにはいられない。
「ま……それをこれ以上悪化させないために此処に来ているわけだから、滅入っている場合ではないわ。行きましょう」
少なくともこの世界とて、全部が全部目の前のような有様でないことは分かったのだ。だったらこれ以上の環境破壊を放置するのは忍びない。先行するメガコーポの部隊に追いつくため、志乃はいざ高濃度汚染地帯に足を踏み入れた。
「"くきつ"、一気に抜けましょう……走るわよ」
人命に関わる深刻な汚染に耐えるため、志乃は魔鏡『女神光』から陽光を纏う9羽の小鳥を召喚する。【くきつ】と呼ばれるこの子らは、召喚のたびに特定の技能ひとつに特化した能力で術者を支援する。今回のケースで求められたのは、太陽が持つ浄化の力であった。
「……臭いも少しマシになったかしら。日光って偉大ね」
術者を囲んだ小鳥達が発するやわらかな陽光は、有毒物質を浄化するバリアとなり。さらに志乃自身も陽光のオーラで身を包めば、この汚染地帯でもしばらくの安全は保たれる。あとは自分と「くきつ」達の魔力が尽きてしまう前に、ここを駆け抜けるだけだ。
「下手にゴミ山を越えようとすると危険でしょうから、路地を走っていくしかないわね」
どこもかしこも汚染とゴミに埋め尽くされたこの場所では、道などあって無きが如しではあったが。それでもマシな経路が獣道の如くうねっているのを見て、志乃はそこをひた走る。バイクや魔法の箒のような便利な移動手段は持ってないし、頼れるものは自分の両足ふたつだ。
「"くきつ"も辛いでしょうけど、頑張って頂戴」
ぱたぱたと健気に羽ばたく小鳥達に声をかけつつ、安全第一で汚染地帯を進む。空や大気さえ汚染されたこの世界では、ダークセイヴァーなどとはまた違った理由で太陽の恵みを遠く感じるが――そんな中でもこの子達の放つ陽光は、晴れを好む彼女の心を落ち着かせてくれた。
「急がば回れ、不器用なりの最短経路。立ち止まらず行きましょう」
慎重に、堅実に、自分の歩幅で目的地をめざす。どんなに険しい道程でも、ゴールは必ず存在するものだと信じて。
志乃の方針は誤りではなく、結果として強行軍を行うより体力を温存したまま、先行する敵に追いつきつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
秘境か…サイバーザナドゥにそんな場所があったとはな
だが、そんな楽園はこの汚染地域の先か…フッ、皮肉な話だ
UCを発動
パワードスーツを着用
宇宙空間ですら活動できるこのスーツであれば、汚染された空気や有害なガスも遮断できるな
背部のブースターから推進剤を噴射して汚染地帯を一気に駆け抜けよう
やれやれ、悪臭を感じないとはいえ見ていて気持ちの良いモノではないな
早々に処理させてもらおう、ゴミ回収車も此処までは来てくれんだろうしな
進路を阻む巨大なゴミの山があった場合は、ビームライフルやレーザーブレードで破壊する
ビームライフルに付属してるグレネードランチャーで吹き飛ばしても良いだろう
その場合は可燃性のガスに引火してもいいように、遠くから発射して破壊しよう
ゴミの処理代は、後でコーポの連中に払ってもらうとするか
しかし、本当にこの先に秘境が存在するとは信じられんな…
まぁ、だからこそ企業にも知られずに存在し続ける事が出来たのかもしれんな
「秘境か……サイバーザナドゥにそんな場所があったとはな」
この世界のどこかに汚染されていない水と空気と大地がまだ残されている――なんて、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)がサイバーザナドゥの出身だったとしても、にわかには信じられなかっただろう。実在が確認できれば、そこはこの世界に残された最後の楽園と呼んでいいかもしれない。
「だが、そんな楽園はこの汚染地域の先か……フッ、皮肉な話だ」
目の前に広がるのはそんな夢物語からは程遠いゴミだらけの現実。この高濃度汚染地帯を攻略しなければ「秘境」に辿り着けないとは、なるほど今まで誰も発見できなかった訳である。ここを突破するのは猟兵でも簡単な事ではない。
「Vol Conquérant!」
この難所を超える為、キリカは【ヴォル・コンケラント】を発動し、パワードスーツ「コンケラント」を装着する。
バトルスーツ「ヴェートマ・ノクテルト」の上から召喚・装着された機械装甲は、一瞬にして隙間なく彼女の全身を包み込んだ。
「宇宙空間ですら活動できるこのスーツであれば、汚染された空気や有害なガスも遮断できるな」
サイボーグでさえ生存が覚束無い危険地帯でも、スーツの気密性と保護機能が彼女の身体の安全を保障してくれる。
そして移動手段として見てもこのスーツは一級品だ。背部のブースターから推進剤を噴射すれば、まるでジェット機のような勢いで彼女は空に飛び立った。
「やれやれ、悪臭を感じないとはいえ見ていて気持ちの良いモノではないな」
眼下を埋め尽くす不浄に顔をしかめながら、高濃度汚染地帯を飛翔するキリカ。環境破壊の深刻なサイバーザナドゥの地球でも、ここはとびきり最悪な場所だ。汚染そのものは防げても、不法投棄されたゴミや瓦礫の山が進路を阻む。
「早々に処理させてもらおう、ゴミ回収車も此処までは来てくれんだろうしな」
キリカは「コンケラント」に搭載された武装を用い、障害物を排除しながら進む。右手のビームライフル「Colère」や左手のレーザーブレード「黄泉返太刀」など、強敵との戦いを想定した高火力装備にかかれば、ゴミの山くらい簡単に"掃除"できる。
「ここは纏めて吹き飛ばしても良いな」
どうせ文句を付けてくる人間など誰も居ないだろうと、キリカはビームライフルに付属したグレネードランチャーの照準を合わせ、ひときわ巨大なゴミの山めがけて発射する。腐敗により可燃性のガスが発生している恐れもあるので、安全な距離を取った上でだ。
「ゴミの処理代は、後でコーポの連中に払ってもらうとするか」
そんな軽口を呟いた直後、怒り狂う獣の如き爆音とともにゴミ山は跡形もなく消し飛ばされる。わずかに残った灰と塵の上を、鋼鉄の鎧をまとった傭兵が翔けていく。もはやこの汚染地帯に、彼女の傷害となりうるものは皆無だった。
「しかし、本当にこの先に秘境が存在するとは信じられんな……」
ここまで致命的に汚染されつくされた土地の向こうに、汚染を免れた土地があるとは、なかなか想像しがたい話だ。
メガコーポが部隊を動かしているという事は、相応の確証があっての事なのだろうが、普通ならありえぬ事である。
「まぁ、だからこそ企業にも知られずに存在し続ける事が出来たのかもしれんな」
秘境に「骸の海汚染を防ぐ物質」が存在するというメガコーポの推論も、こうなれば若干の信憑性を帯びてくるか。
いずれにせよ、現地に向かってみれば答えは明らかとなる。一刻も早く企業の部隊に追いつくため、キリカは推進機の出力を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『シンセティック・オフィサー』
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POW : スティック・アンド・ブラスト
【スタンロッドの刺突攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【義眼による高出力ビーム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : フォトンバレット・ストーム
【レーザーSMGの一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : シールド・インパルス
自身が装備する【防弾シールド】から【閃光と衝撃波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【目眩とスタン】の状態異常を与える。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
各々の知恵と工夫と力を駆使して、高濃度汚染地帯を攻略した猟兵達。
その先で彼らが見たものは、二組の人間の集団が争い合っている戦場だった。
「『秘境』は我らが手に入れる。道を開けろ」
「クッ……行かせないぞ……!」
一方は、近未来的な戦闘スーツを身に纏い、銃器と盾と警棒で武装した兵士達。
秘境開発のためにメガコーポから派遣された『シンセティック・オフィサー』の部隊だ。
もう一方は、それとは対照的に未開の部族のようないでたちをした戦士達だった。
持っているのは石や骨や木を加工して作った槍や斧で、着ているものも防具としての強度が期待できる物ではない。
あの者達が噂に聞く「秘境」の住人なのだろうか。
「抵抗するのであれば、容赦はしない」
「クソっ……負けるもんか!」
秘境の戦士達は故郷を守るため必死に抵抗しているようだが、メガコーポの部隊との戦力差は歴然だった。
そもそもからして文明のレベルが違う。しかも彼らが生身の人間なのに対して、敵はユーベルコードを操るオブリビオンだ。|機械化義体《サイバーザナドゥ》すら装備していない者に到底勝ち目などあるはずがなかった。
このままではあの戦士達はみな虐殺され、この先にある「秘境」はメガコーポの手に落ちるだろう。
瀬戸際とも言える状況に、猟兵達はギリギリで間に合った訳である。
このまま事態を静観するわけにはいかない。
猟兵達は即座に戦闘態勢を取り、メガコーポのオブリビオンとの戦闘に突入した――。
リンカ・ディアベルスター
間に合って良かった…!
私は敵と現地人の間に割って入った
こんにちは…私はリンカ、見ての通りただのお姉さんさ♪
笑顔で皆に挨拶をした
オブリビオンだからって全員が敵になるわけじゃないよ?…あっ君達は別さ
警戒する現地人には飄々としながらも笑顔で接するが敵には冷たい目を向ける
敵はUCを発動するが弾は結界に当たり消滅した
何も無駄に会話していた訳ではない…
タネは秘密さ♪
(まあ…結界術にUC『壊滅』の星神の壊滅の力を混ぜて弾丸を消滅させたんだけどね♪)
それ〜!お返しだよ!
『壊滅』の星神の力を銃弾に纏わせて矢弾の雨として放つ
避けきれなかった敵の体は消滅した
私はビハインドだけどね…未来を守りたい想いは同じなんだよ?
「間に合って良かった……!」
メガコーポによる蹂躙が始まるまさにその寸前、敵と現地人の間に割って入ったのはリンカだった。汚染地対からここまで急いだ甲斐はあり、まだ「秘境」に被害は出ていない。ひとまず最悪の事態が起きる前には間に合ったようだ。
「なんだ貴様は。この土地の原住民ではないようだが……」
「だ、誰なの? あなたも"外"のひと?」
突然の乱入者に『シンセティック・オフィサー』は警戒を示し、秘境の戦士達もこのタイミングでやって来た見知らぬ相手には不安を隠せない様子。双方にとって思いもよらない「猟兵」という介入が、一触即発の戦場に波紋を生む。
「こんにちは……私はリンカ、見ての通りただのお姉さんさ♪」
旗幟を鮮明にしようとリンカは秘境の戦士に向かって笑顔で挨拶をする。猟兵にしてビハインドである彼女は間違っても「ただの」と呼べる存在ではない件についてはご愛嬌。伝えたいのは秘境とは敵対する意志はないということだ。
「オブリビオンだからって全員が敵になるわけじゃないよ? ……あっ君達は別さ」
現地人には飄々と笑顔で接する一方、敵には冷たい目を向ける。メガコーポの尖兵として働くオブリビオンどもは、言うまでもなく秘境と、この世界にとっての敵だ。同族意識があるわけではなし、排除するのに躊躇う気持ちもない。
「邪魔をするなら容赦はしない。撃て」
シンセティック・オフィサー側からしても、業務を妨害する存在はすべからく排除対象だ。指揮官の命令のもと射撃体勢を取った彼女達は、レーザーSMGによる一斉射撃――【フォトンバレット・ストーム】で邪魔者を纏めて排除せんとする。
「おっと危ない」
「……なに?」
だが、放たれたレーザーはリンカと現地人の手前に張られた結界に当たって消滅する。標的が傷ひとつ負っていないのを見て、驚きの表情を見せるオフィサー達。今のバリアは明らかに科学的なものとは違う、この世界には存在しない技術によるものだった。
「何も無駄に会話していた訳ではない……タネは秘密さ♪」
リンカは結界術に【『壊滅』の星神 ナヌー・ザーク】の力を混ぜ合わせ、敵の攻撃を消滅させたのだ。壊滅を司る星神の力は概念や次元なども含めた全てを壊す。その力を顕現させた証として彼女の左眼は黒く染まり、背中には翼が生えていた。
「それ~! お返しだよ!」
「なっ……!!」「防御を……ひっ?!」
彼女は迷彩色のガンナイフを構え、銃弾に『壊滅』の力を纏わせて放つ。降り注ぐ漆黒の弾雨を避けられなかった敵は、着弾点から身体を消滅させられる。盾や防具で防ごうとしても無意味で、再生や復活も許さぬ、完全なる破壊だ。
「よっ、避けろ、避けるんだ!」「うわぁぁぁっ?!」
散り散りになって逃げ惑うシンセティック・オフィサー達に、容赦なく襲い掛かる『壊滅』の力。秘境を狙うメガコーポの手先にかける情けはないとばかりに、リンカは手慣れた所作でガンナイフを取り回し、トリガーを引き続ける。
「私はビハインドだけどね……未来を守りたい想いは同じなんだよ?」
最後に残された自然すら失われてしまったら、本当にこの世界の未来は閉ざされてしまう。開拓者として希望を守るため、破壊させないために破壊の力を振るう。すでに己が過去の存在だとしても、彼女の信念に迷いは一切なかった。
大成功
🔵🔵🔵
エクティア・クロンユナイールゥ
※アドリブ大歓迎
これはまた、わらわらいますね。
で、あるならば…蒼煌の魂で無限に出力が上がり限界突破した|蒼雷閃光翼《ブラウブリッツ・フリューゲル・オーバードライブ》を使います。
蒼煌ギアを戦闘演算と瞬間思考力を合わせて非常に遅い世界の中で常に最適解を選択します。
蒼煌ドレスを華麗にひるがえしながら、CKSを撃ちながら蒼き雷閃の雷速で回避しつつ蒼雷閃光翼をチャージして、敵の人数に達したら蒼雷閃光翼で纏めて撃ち貫きます。今の私に当てれると思ったら大間違いですよ?なぜなら全てが遅いのです。さぁ、参ります。
「これはまた、わらわらいますね」
秘境開発のためにメガコーポから送り込まれた『シンセティック・オフィサー』の数を、エクティア・クロンユナイールゥ(|不死身の蒼煌雷霆《ブラウ・ケラウノス》・f39247)は途中で数えるのをやめた。企業もこの案件をよほど重要視しているのか、相当の規模の部隊を送り込んできたようだ。
「貴様らが何者かは知らんが、そこをどけ」「さもなくば排除する」
漆黒の戦闘スーツに身を包んだ兵士達は、機械のように一糸乱れぬ動きでレーザーSMGを構える。企業利益と与えられた命令を最優先する彼女らにはどのような交渉も無意味だろう。実際に猟兵が駆けつけていなければ、それは秘境の民を蹂躙するのに十分な戦力だったはずだ。
「で、あるならば……」
エクティアは「蒼煌の魂」から異次元のエネルギーを引き出し、出力限界を突破した【蒼雷閃光翼】を起動させた。
彼女の背中に3対6枚の蒼き雷の翼が出現し、エネルギーのチャージが開始される。チャージ時間に比例して攻撃対象数が増加するこのユーベルコードの特性を活かして、敵を一気に殲滅するつもりだ。
「何かする気だぞ、止めろ!」
ユーベルコードの詳細は分からずとも、彼女がエネルギーを溜めているのを認識したシンセティック・オフィサー達は、即座に【フォトンバレット・ストーム】の一斉射撃を開始する。どんなに強力な攻撃が来るとしても、撃たれる前に殺せば問題はない。
「そう来ると思っていました」
しかしエクティアは【蒼雷閃光翼】の起動と同時に「蒼煌ギア」の機能をフル稼働させ、瞬間同時並列思考による戦闘演算を行っていた。神速の領域に達した思考中は全ての事象がスローモーションのように認識され、減速した世界の中で彼女は常に最適解を選択する。
「当たらない?!」「馬鹿な!」
蒼煌ドレスを華麗に翻しながら、余裕の笑みでレーザーを回避する蒼髪の女サイボーグに、シンセティック・オフィサー達は驚愕を隠せなかった。光速の攻撃を避けられるという事は、こちらが撃つタイミングや射線を完全に読んでいるという事だ。一対一ならまだしも多対一でそれを実行できるのは尋常の事ではない。
「今の私に当てれると思ったら大間違いですよ?」
両脚に接続された加速装置「蒼き雷閃」により、エクティアは雷速で戦場を駆け回りながら、両手の甲に取り付けたクリスタル「CKS」から電撃のビームを放って敵を牽制する。シンセティック・オフィサーがどれだけ必死に射撃を続けても、彼女にかすり傷すら負わせることはできず――。
「さぁ、参ります」
「ま、まずい、退避を……きゃぁぁぁぁぁっ!!!?!」
そして遂にチャージを完了した【蒼雷閃光翼】が、目標人数に達したホーミングレーザーを解き放つ。限界を超えた蒼き雷霆の矢から逃れるすべはなく、甲高い悲鳴を上げて敵は次々に撃ち抜かれていき――やがて閃光が収まった時、彼女の視界からメガコーポの尖兵は跡形もなく姿を消していた。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
フン、好き勝手しおって
我エンドブレイカーの前でどんな悲劇であれ、存在を許される道理は存在しないと知れ
愛剣を振るい、戦士を庇う様に立ち塞がる
抑えるのは我に任せ、貴殿らは住民の護衛に迎え
何故なら、奴らは貴殿らより強く、そして我は奴らよりも遥かに強いからだ
そう言って戦士を送り出した後、UCを使いレーザーの一斉射撃を潜り抜ける
最早、我に見える『|終焉《エンディング》』は全て破壊される!
それがエンドブレイカーの基礎にして真骨頂――『終焉を破壊して運命を変える』という事をUC化したUC!
それを以て敵のUCの無力化し、そのまま剣で両断する
貴様らが『世界の全て』ではないと知れ
「フン、好き勝手しおって」
他人の土地に無断で侵入しては所有権を主張し、無許可の開発、果ては虐殺まで行おうとするメガコーポの横暴ぶりには、ブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)も怒り心頭だった。このような暴挙を見過ごすようでは、騎士の名が廃るというもの。
「我エンドブレイカーの前でどんな悲劇であれ、存在を許される道理は存在しないと知れ」
祖国で鍛えられた愛剣「蒼翼羽剣ブラウグラム」を振るい、彼女は秘境の戦士を庇うように立ち塞がる。凛々しくも勇ましい立ち振舞いと宣言は、初見の相手にも強い印象を残すだろう。すなわち護られる者には安堵を、敵対する者には脅威を。
「抑えるのは我に任せ、貴殿らは住民の護衛に迎え」
「えっ? で、でも……」
剣を敵に向けながら背後に語りかけると、秘境の原住民は戸惑いを示した。彼らとて故郷を守る使命と責任を負ってここにいる戦士なのだ。自分達の役割をそう簡単に外部から来た者に預けて良いものかと心配になるのも当然だろう。
「何故なら、奴らは貴殿らより強く、そして我は奴らよりも遥かに強いからだ」
しかしブリュンヒルデは力強い口調で彼らに後退を促す。その発言は決して虚勢ではなく、確かな実力と経験に裏打ちされたものだと分かる。最初は渋っていた戦士達も、この場で悩んでいるよりも信じたほうが良いと判断したのか、やがてコクリと頷いた。
「どなたか知りませんが、頼みます!」
「逃げるか。まあいい、まずは邪魔者を始末してからだ」
戦士達が秘境に撤退していくと、『シンセティック・オフィサー』達はそちらに追撃をかけるよりもブリュンヒルデに銃口を向けた。どのみち彼らではオブリビオンの敵にはならず、逃したところで問題はない。それよりも猟兵という脅威の排除を優先するのは正しい判断だ。
「撃て!」「ハッ!」
部隊長の号令一下、レーザーSMGによる【フォトンバレット・ストーム】の一斉射撃が始まる。機械のような狂いのなさで放たれる閃光の弾幕は、人間を蜂の巣に変えるのに十分な威力を持っている――もしブリュンヒルデが"ただの"人間であったのなら、ここでの死は不可避の|終焉《エンディング》だっただろう。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼!」
「なッ……正気か?!」
しかしブリュンヒルデは臆することなく前進し、蒼いエネルギーの翼を羽ばたかせてレーザーの弾幕を潜り抜ける。
常識的にはあり得ない確率の、まるで攻撃のほうが彼女を避けているような回避。この現象は【蒼翼の終焉破壊・終焉破壊の基礎たる我が瞳】によるものだ。
「最早、我に見える『|終焉《エンディング》』は全て破壊される! それがエンドブレイカーの基礎にして真骨頂――『終焉を破壊して運命を変える』という事をユーベルコード化したユーベルコードだ!」
自身に対して訪れる"死"という|終焉《エンディング》をその都度破壊し、運命を捻じ曲げることで彼女は一切の攻撃を無力化している。彼女を傷つけるには、より強大な武力や運命力をもって終焉を押し付けるしかないが、メガコーポの尖兵如きにそれは不可能な話だった。
「い、一体どうなって……ぎゃぁッ!?」
「貴様らが『世界の全て』ではないと知れ」
何もかもが思い通りになると信じて疑わぬが故に目の前で起きている事態が理解できぬ、傲慢なるメガコーポの手先をブリュンヒルデは真っ向から斬り伏せていく。蒼き翼の剣に両断されたシンセティック・オフィサー達は、断末魔を叫びながら倒れ――戦場に響く銃声はひとつずつ減っていった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
彼等を救う為に私はここへ来た…!
そして…奴らを屠る為にここに来た…!
さぁ行くぞ…私は処刑人…!
地獄の炎纏い悪目立ちと存在感で敵群を威圧し注意を惹きつけ原住民を敵群から護ろう
オーラ防御纏う鉄塊剣を盾代わりにして敵の攻撃を防ごう
拷問具を取り出し敵目掛け投げつけたら【赤錆びた鉄の爪牙】で数多の拷問具を召喚
敵を追尾する数多の拷問具で傷口をえぐる鎧無視攻撃・範囲攻撃でその身を引き裂きながらで蹂躙
そしてその隙に敵に近づき鉄塊剣と妖刀抜き振るい鎧砕きと早業で切断し
敵群に恐怖を与えてやろう…!
抵抗しようが投降しようが容赦はしないぞ…
貴様等を一人残らず屠る為に…逃がすまいぞ…私は…処刑人だッ!!!
「彼等を救う為に私はここへ来た……! そして……奴らを屠る為にここに来た……!」
故郷たる「秘境」を護る戦士達と、開発という名の侵略を進めるメガコーポの『シンセティック・オフィサー』達。
アンナがどちらを味方とし、どちらを敵とするかなど今更語るまでもないだろう。非道の現場を目の当たりにして、彼女が為すべき事はひとつだ。
「さぁ行くぞ……私は処刑人……!」
並の人間ではとても振るえない大きさの鉄塊剣を担ぎ上げ、紅蓮に輝く獄炎を身に纏う。その姿はまさに地獄から現れた処刑人と言われても信じるだろう。畏怖すら感じさせる強烈な存在感は、敵の注意を彼女に引き付けるのに十分な効果があった。
「な、なんだアイツは……」「ひ、怯むな! 虚仮威しだ!」
処刑人の威圧感に動揺したシンセティック・オフィサー達は、慌てて銃口をそちらに向ける。秘境の原住民を敵群の攻撃から護ろうとするアンナの目論見はこれで果たされた訳だが、今度は彼女が敵の集中砲火に晒されることになる。
「威しかどうか試してみるがいい……」
しかしアンナは臆することなく、鉄塊剣「錆色の乙女」を自身の前面に構えた。オーラを帯びた重厚な刀身は盾代わりにしても十分な強度があり、多少の攻撃ではビクともしない。敵が【フォトンバレット・ストーム】の一斉射撃を仕掛けてきても、レーザーの弾幕はことごとく弾き返されていく。
「こんな攻撃で私を殺せると思っていたのか……!」
「ひぃッ……?!」
攻撃を凌ぎきった後に、アンナは拷問具を取り出して敵目掛けて投げつけると、【赤錆びた鉄の爪牙】を発動する。
これにより召喚される数多の拷問具は、 自動的に敵を追尾して攻撃する。処刑人の振るう未知のユーベルコードに対して、シンセティック・オフィサー達は完全に面食らっていた。
「血肉に飢えた赤錆びた獣達よ、存分に喰らうがいい……」
「うぎゃぁッ?!」「か、噛まれたッ!?」
ひとたび齧り付かれたが最後、獲物の血肉の味と匂いを覚えた拷問具は執拗に攻撃を繰り返す。盾で防いでも警棒で振り払っても、相手が疲れるまで止まらない猛攻は、まさに狼の群れが狩りをするが如く。その身を引き裂かれ、傷口を抉られる敵の悲鳴が戦場に響き渡った。
「抵抗しようが投降しようが容赦はしないぞ……」
拷問具による蹂躙が行われている隙に、アンナはゆらりと敵に近付き、鉄塊剣と妖刀「アサエモン・サーベル」を抜き振るう。いずれも数多の罪人の血を啜ってきた呪わしき武具達は、その切れ味を遺憾なく発揮して敵を斬り伏せた。
「ひっ……!」「く、来るな……やめろッ!」
無論その芸当は処刑人の技量あってこそ。防具ごと斬り伏せる豪快さと武器の重さを感じさせぬ早業によって、次々と敵群を屠るアンナの勇姿は、シンセティック・オフィサー達に恐怖を与えるに十分過ぎた。もはや彼女を前にして十全な士気を保てている者は数えるほどしかいない。
「貴様等を一人残らず屠る為に……逃がすまいぞ……私は……処刑人だッ!!!」
「ひ、ひぃぃぃぃっ!!!?」
怒号の如き雄叫びを上げ、拷問具と共に戦場を席巻するアンナの猛威は、野に放たれた火の如く敵を滅ぼしてゆく。
恐慌状態に陥ったシンセティック・オフィサーの悲鳴、そして断末魔が響き渡る中、処刑人による執行はまだ終わる気配を見せなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
穂藤・野々
遠距離攻撃が危ないから、まずは住民さんの安全確保
スカイカナルに乗ったまま両陣営の間に割り込んで
私達、あの悪い人達を追ってきたの
ここは任せて離れた所まで下がって!
こっそりUC発動
プレイヤーは勿論オフィサーの皆さん
小さな段差とか頭上の小枝とか、毒虫一匹にも気を付けて
普段通りに行動したらすぐ死んじゃうよ
機械化義体や戦闘スーツによる強化?
このゲームにそんな甘えたシステムあるわけないの
自滅を狙うだけじゃ足りないの
まごついているうちに一気に駆けて、そのまま轢いたり、カラフルチョークのフルスイングをお見舞いしたり
攻撃の素振りがあれば優先
万が一住民さんに当たったら大変だもん、攻撃は発動前にキャンセルが基本なの
(遠距離攻撃が危ないから、まずは住民さんの安全確保から)
スカイカナルに乗って戦場に駆けつけた野々は、そのまますいっと両陣営の間に割り込んで、秘境の原住民に話しかける。外からやって来た同じよそ者とはいえ、メガコーポの連中とは違うという事実を伝えなければ守りようがない。
「私達、あの悪い人達を追ってきたの。ここは任せて離れた所まで下がって!」
「えっ、で、でも……」
急にそんなことを言われてすぐに従うのは難しかっただろうが、まっすぐな目でもう一度「早く!」と訴えかけられると、秘境の民も心動かされるものがあった。意地を張っても足手纏いになるのも薄々感じていたのだろう、心配そうにしつつも彼らは後ろに下がっていく。
「また邪魔が増えたか……」「構わん、全て排除するだけだ」
奇妙なフロートボードに乗ってやって来た新たな障害に、『シンセティック・オフィサー』達は盾とサブマシンガンの銃口を向ける。脅威にならない未開の原始人を追うよりも、こちらを始末するほうが優先すべきと判断したようだ。それは野々としても受けて立つ所である。
「迂闊に進まない方がいいよ」
「なに……?」
そんな連中に野々は警告する。ここに到着した時点から既に、彼女はこっそりユーベルコードを発動していたのだ。
その名を【ワールドハック「薄っペランカー」】。主人公が脆弱過ぎる事から話題となった高難度アクションゲームの世界観に戦場を書き換え、その法則を強制適用するハッキングだ。
「小さな段差とか頭上の小枝とか、毒虫一匹にも気を付けて。普段通りに行動したらすぐ死んじゃうよ」
「なにをバカな……うわっ?!」
野々の言葉を信じなかったシンセティック・オフィサーの1人が、地面の起伏に足を取られて転倒する。普通ならただの不注意、せいぜい掠り傷になる程度のミスでしかない――が、その兵士は倒れたきり二度と起き上がらなかった。
「お、おい……冗談だろう?」「そんなまさか……!?」
彼女の言ったことは真実だと、仲間の死をもって教えられたオフィサー達は、たちまち大混乱に陥った。このゲームの|主人公《プレイヤー》に指定されたのは勿論ここにいる敵全員。戦場にあるほんの些細な「脅威」の全てが、この者達にとっての死因たり得る。
「機械化義体や戦闘スーツによる強化? このゲームにそんな甘えたシステムあるわけないの」
現代基準ではクソゲー手前のレトロゲーム難易度を押し付けた上で、野々は敵がまごついている内に一気に駆ける。
ここで自滅を狙うだけではまだ足りない。スカイカナルでそのまま轢いたり、特大「カラフルチョーク」のフルスイングをお見舞いしたりと、積極的なキルも狙っていく。
「そーれっ!」
「ぐはぁッ?!」「お、おのれ……!」
通常ならそこまでのダメージにならないような攻撃でも、今のシンセティック・オフィサー達には何でも致命傷だ。
やられる前にやれとばかりに反撃を仕掛ける者もいるが――攻撃の素振りを見せた瞬間、野々はそいつを優先して狙い撃つ。
「万が一住民さんに当たったら大変だもん、攻撃は発動前にキャンセルが基本なの」
「ぎゃ……ッ!!」
ゲーム慣れしている野々の動きに無駄はなく、これが初見プレイとなるシンセティック・オフィサーに勝機はない。
ここまでの道中のように鮮やかな虹色の軌跡を描きながら、少女は薄っぺらな敵群を次々に撃破していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
『抵抗するのであれば容赦はしない』…お優しいこと。
私は抵抗しなくても容赦しない…!
殺界形成・死ノ段と同時に使用するUCはここに到着するまでに使った『影妖精の帳』。
敵の知覚を殺して何も感じ取ることができない状態にした上で影の森の迷路を利用して銃弾を乱射・跳弾させて敵を矢弾の雨で襲う。
敵の閃光と衝撃波は影の森の迷路を利用して防ぐ。敵の位置はオーラを探知することで分かってるし、敵が私の視界の外にいても支障はない。私の知覚と思考は加速しているのもあって敵の攻撃のタイミングを見切るのも容易。
秘境を目指す探検隊は度々無残に全滅するもの。
あなたたちもその一例になるだけ。
死体が森の養分にならなそうなのが残念。
「『抵抗するのであれば容赦はしない』……お優しいこと。私は抵抗しなくても容赦しない……!」
サイバーザナドゥの環境破壊をここまで悪化させ、残された「秘境」の自然さえ破壊しようとするメガコーポの手先を前にして、五十鈴が与える慈悲はせいぜい速やかな死くらいのものだろう。いざ標的を前にして、シャドウエルフの少女が放つ「殺界」はさらに強まる。
「な、なんだ、この娘は……」
そのただならぬ気配と殺気は『シンセティック・オフィサー』にも伝わるようで、若い娘が相手とはいえ油断せずに銃を構える。が、どれだけ警戒したところで手遅れだったろう。彼女は既にユーベルコードを発動しているのだから。
「死ね」
五十鈴が発動したのは【殺界形成・死ノ段】及び、ここに到着するまでに使った【影妖精の帳】。高濃度汚染地帯を塗り替えたものと同じ森林の迷宮が、今度は術者もろともシンセティック・オフィサー達を呑み込む――ここが奴らに用意された処刑場だ。
「ここは……まさか、ここが秘境なのか?」「いや、違う……なんだ、何も見えないぞ!」
突然辺りの風景が森に変われば、オフィサー達は困惑するが。ここは自然に仇なす者に居心地のよい場所ではない。
知覚を殺された彼女らは、何も視えず、聞こえず、感じ取ることができない状態に陥る。どんなに高性能なセンサーやらを装備していても、なんの役にも立ちはしない。
「そこね」
敵が標的はおろか自分の所在さえ見失っている一方、五十鈴はオーラ探知によって敵の位置を完璧に把握している。
彼女は森の地形を利用して銃弾を乱射・跳弾させることで、この迷路内にいる全ての敵への攻撃を可能にしていた。
「ぎゃぁッ?!」「くそっ、どこから撃ってきてるんだっ!?」
知覚の外から襲ってくる銃弾の雨に、シンセティック・オフィサー達は半ばパニックになりながら銃を撃ちまくる。
彼女らの装備であるレーザーSMGは携行火器としてはなかなかの威力だが、森の中での戦闘で有効とは言い難い。ここには五十鈴が利用できる遮蔽物はいくらでもあるからだ。
(敵の位置は分かってるし、視界の外にいても支障はない)
敵の銃撃や盾からの閃光を森の迷路で防ぎつつ、攻撃を継続する五十鈴。彼女の操る「エコ自動式二丁拳銃」は電動ゆえに無音かつ環境に優しいのが特徴で、攻撃の気配を察知されることなく標的を仕留められる。もっとも音があったとしても、現在の敵はそれを知覚できない訳だが。
「秘境を目指す探検隊は度々無残に全滅するもの。あなたたちもその一例になるだけ」
「ひ、ひぃぃっ……!!」
必死に逃げ惑おうが、あるいは反撃を試みようが、【殺界形成・死ノ段】で知覚と思考を加速させている五十鈴には全て見切られている。行動のタイミングを読んだ上で咎めるように撃ち込まれる銃弾は「こんな所に来るべきではなかった」と、深い恐怖と絶望を敵にもたらした。
「死体が森の養分にならなそうなのが残念」
大半を機械に置き換えたその体では、土に還ることさえ難しかろう。影の森に積み重なった屍の山を見て、五十鈴は静かに嘆息した。天性の暗殺者ともいえるシャドウエルフの技は、この汚染された異世界の地においても変わらず冴え渡っていた――。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
原始人VS悪のサイボーグってか?冗談キツいぜまったくよ。
だが悪くない状況だ。『秘境』の連中に恩を売っとけば色々とやりやすくなる。色々と、な……ククッ。
ユーベルコードでサブマシンガンを強化。これで威力が3倍アップだ。
いまのコイツはそのちんけな盾で防げるような豆鉄砲じゃあねえぜ。死ぬ気で避けな!
時間切れで銃がお釈迦になったら放り投げて次の武器で戦えばいい。
壊れるまで使い倒していざ壊れたら簡単に捨てちまう。人も物も土地もな。オレたちはそうやって生きてきた。
ま、銃を捨てたのをチャンスと勘違いしてロッド片手に向かって来るバカはここで死ぬ訳だが。
ロッドが当たる前にマンティスでバラバラに解体してやるよ。
「原始人VS悪のサイボーグってか? 冗談キツいぜまったくよ」
程度で言えば大人と赤子よりも酷いかも知れない戦力差を見て、流石のアキラも溜息を吐かずにはいられなかった。
こういうのは安っぽい映画の中だけの話にしておけばいいのに、妙な場面に駆けつけてしまったものだ。依頼内容としても、まさか見てみぬふりをする訳にもいくまい。
(だが悪くない状況だ。『秘境』の連中に恩を売っとけば色々とやりやすくなる。色々と、な……ククッ)
一瞬にして頭の中で打算を巡らせた彼は、サブマシンガン『Enforcer』を手に戦線へと飛び出していく。相手はメガコーポの戦闘用義体『シンセティック・オフィサー』、だが所詮は量産型のサイボーグに遅れを取るつもりはない。
「とびっきりのプレゼントをくれてやるよ!」
アキラは【使い捨ての玩具】を発動して、サブマシンガンの威力を3倍にする。これは耐久限界を無視して装備品を強化するユーベルコードで、効果時間が過ぎると使用したアイテムは破損してしまうが、そのぶん効果は強大である。
「いまのコイツはそのちんけな盾で防げるような豆鉄砲じゃあねえぜ。死ぬ気で避けな!」
「くっ……この女!」「邪魔をするな!」
悪人めいた笑みを浮かべてノリノリで銃を乱射するアキラから、シンセティック・オフィサー達は渋い顔で回避行動を取る。ユーベルコードの詳細までは分からずとも、あんな撃ち方をすればすぐに弾切れになるのは目に見えている。反撃に転じるのはそれからだと考えたようだ。
「チッ、時間切れか」
射撃開始から3分が経過すると、アキラは舌打ちしながらお釈迦になった「Enforcer」を放り捨てる。思ったよりも敵の回避が巧みだったせいで、何人かは仕留めたもののまだ少なくない頭数が残っている。彼女らは銃撃が止むや否やスタンロッドを片手に突撃を仕掛けんとする。
「今だ、袋叩きにして……!」
「おっと、じゃあおかわりだ」
ここを勝機とみたシンセティック・オフィサー達による【スティック・アンド・ブラスト】。しかしアキラは慌てず次の武器を取り出した。サブマシンガンより大口径なヘビーマシンガン『Tyrant』の銃口が、敵の眼前に晒される。
「壊れるまで使い倒していざ壊れたら簡単に捨てちまう。人も物も土地もな。オレたちはそうやって生きてきた」
「くそっ……!」
再開された銃撃によってシンセティック・オフィサー達は攻撃の機会を逸し、大口径弾の弾幕から必死に逃げ惑う。
ある種、消費文明の極みともいえるサイバーザナドゥの摂理を、アキラの戦いぶりは体現していた。まるで出し惜しむ気配のない乱射によって、ヘビーマシンガンの弾倉もすぐに空となる。
「コイツもお釈迦か」
「ッ、今度こそ……!」
次の武器を出される前にと、敵は再度の突撃を仕掛けてくるが――その時、アキラの前腕内部からシャキンと金属音が鳴る。同時に飛び出したのはマンティスセイバー『MuramasaⅩ』。サイボーグの機械装甲すら容易く斬り裂く折り畳み式ブレードだ。
「ま、銃を捨てたのをチャンスと勘違いして向かって来るバカはここで死ぬ訳だが」
使い潰すことを前提にした戦い方だからこそ、アキラは常に大量の武器を所持している。それは携行する銃器だけではなく、自らの義体の内部にもだ。人工筋肉『Gorilla』が生み出す膂力で振るわれるブレードは、ともすれば弾丸以上の破壊力を生み出す。
「ロッドが当たる前にバラバラに解体してやるよ」
「な――……ッ!!!!」
一合と交える隙もなく、白兵戦の間合いに踏み込んだシンセティック・オフィサー達は次の瞬間に斬り捨てられる。
一切の容赦なく、それ以上に遠慮のない。敵に回した相手が悪かったと悟った時には、彼女らは既に事切れていた。
大成功
🔵🔵🔵
ベティ・チェン
「ドーモ、メガコーポ・イッヌ=サン。ベティ、デス。ゴートゥ・アノヨ!」
視聴嗅覚で感知できない状態になって接敵
存在奪い弱体化した敵を偽神兵器(身長ほどある大剣)でどんどんぶった斬っていく
敵の攻撃は素の能力値で回避
「メガコーポが、来て。ボクらも、来た。ここはもう、秘境じゃ、ない。征服者に食い荒らされるだけの、|黄金郷《エル・ドラド》」
「インガオホー。今日はキミ達が、死ぬ番な、だけ。サンズリバーの渡し賃は、恵んでやる」
小銭弾く
「サイオー・ホース。まず疑うことから、掛かるべし。困ってる人を助けないのは腰抜け、だけど。ボクらは別に、善人じゃ、ない」
「キミ達の長に、話が、ある。受けてもらえる、だろ?」
「ドーモ、メガコーポ・イッヌ=サン。ベティ、デス。ゴートゥ・アノヨ!」
秘境に迫る『シンセティック・オフィサー』達にニンジャとしてのアイサツを行った直後、ベティは【世界を分かつ神意】を発動した。偽神兵器からもたらされる神威が彼女の身体を包み、視聴嗅覚での感知を不可能にする。敵からはまるで彼女が透明になったように感じるだろう。
「消えた……?!」「センサーにも反応ありません!」
敵はゴーグル越しに辺りを見回して索敵を行うが、そんなオモチャでユーベルコードの隠密を見破れるものか。この隙にベティは接敵を図り、自らが身に纏った神威を敵にも浴びせることで、彼女らの存在の元となる力を奪っていく。
「メガコーポが、来て。ボクらも、来た。ここはもう、秘境じゃ、ない。征服者に食い荒らされるだけの、|黄金郷《エル・ドラド》」
「どこから喋って……ぐっ?!」「か、身体が重い……!」
声はすれども姿は見えず。得体の知れない相手に右往左往する間にも、シンセティック・オフィサーは生命力・思考力・耐久力を奪われていく。彼女らが十分に弱体化するのを待ってから、ベティは偽神兵器を思い切り振り下ろした。
「インガオホー。今日はキミ達が、死ぬ番な、だけ。サンズリバーの渡し賃は、恵んでやる」
「ぎゃぁッ!!?」
使い手の身の丈ほどもある大剣にぶった斬られれば、いかな戦闘用サイボーグとして耐えられる筈もなく。真っ二つとなった敵の屍の上に、ベティは小銭をぴんと弾いた。業にまみれた悪党へのせめてもの情けが、乾いた音を立てる。
「クソっ、来るな、来るなッ!」
仲間を殺られ、見えない敵への恐怖がピークに達したシンセティック・オフィサー達は、闇雲にスタンロッドを振り回し、義眼からビームをばら撒く。そんな半狂乱になった連中の攻撃を避けることくらい、ベティには素の能力だけで十分だった。
「ハイクを読むのは、アノヨで」
「アバーッ!」
ニンジャの敏捷性をもって攻撃の合間を駆け抜け、目についた敵をばったばったと斬り捨てる。程なくして敵の命は全て神威に奪い尽くされるか、大剣の錆となるかの末路を辿る。ひと仕事を終えたベティがユーベルコードを解除して姿を現したとき、その偽神兵器は真っ赤に染まっていた。
「すごい力……」「あなたは、私達を助けに来てくれたの?」
恐ろしい"外"からの来訪者をまたたく間にやっつけてしまった銀髪の少女に、秘境の原住民は驚きの視線を向ける。
彼らが「ありがとう」お礼を言おうとすると、ベティはそれを制してブンッと剣の血を払い、ひとつ忠告を伝える。
「サイオー・ホース。まず疑うことから、掛かるべし。困ってる人を助けないのは腰抜け、だけど。ボクらは別に、善人じゃ、ない」
外界との接触が断たれてきた秘境の民は、どうも警戒心が薄いように感じる。正確には危険な相手とそうでない相手を見分ける見識と知識が不足していると言うべきか。メガコーポだけでなく猟兵にも様々なタイプがいることだし、今後は気をつけておいたほうが良い。
「キミ達の長に、話が、ある。受けてもらえる、だろ?」
「はっ、はい……もちろんです!」
その上でベティが「秘境」との交渉を持ちかけると、戦士達は命を救われた恩から迷うことなく彼女を受け入れた。
この様子ならいざ自分達が秘境に入っても無碍な扱いはされまい。あとは、余計な連中まで追ってこないよう始末するのみ――まだ息の根があるメガコーポの残党を仕留めるべく、ベティは再び剣を構えた。
大成功
🔵🔵🔵
カリサ・セントルム
こういうのは領域侵犯、ってやつなのだ。
ぶれいものー!
指定UCを発動するのだ。
怪力でオフィサーたちがいる場所の空間をもろとも引っ張って収束、そこから連続コンボでオラオラパンチしてやるのだ!大多数はまとめて叩き込めって教わったから、多分こうすればいいのだ。
それにしても、あっちは機械ばかりでズルいのだ!物理で来てやり直してほしいのだ!
カリサも機械を使えるなら欲しいのだー!
【アドリブ・絡み歓迎】
「こういうのは領域侵犯、ってやつなのだ。ぶれいものー!」
礼儀のなっていないメガコーポの尖兵どもを、臆面もなく怒鳴りつけるのはカリサ。野生の獣はお互いのナワバリを重視するが、それは人間だって同じ事。カリナだってもし自分が住める場所を見つけた時、勝手に土足で荒らされれば怒るだろう。
「法的に『秘境』は誰の所有する土地でもない、最初に発見した我が社のものだ」
「そして現在秘境に在住する人間は不法居住者ということになる。排除が妥当だ」
しかし『シンセティック・オフィサー』達はあくまでメガコーポ視点による勝手な理屈を付けて、この侵略行為を正当化しようとする。それで納得しようがしまいが、彼女達は武力で秘境の開発を進めるつもりだ。ならばこちらも言葉ではなく武力でお帰り願うほかない。
「お前から来るのだドーン!」
カリサは【縮握・黄金四連撃】を発動し、自分と敵の間にある空間を"掴む"。ただの力持ちでは説明が付かないような芸当を、超常の域に達した彼女の怪力はやってのける。まるで透明な布がしわむように、空間がぐにゃりと歪んだ。
「なっ、引き寄せられる……?!」
空間もろとも引っ張られたシンセティック・オフィサー達は、強制的に肉弾戦の間合いまで引きつけられる。そこで彼女らを待っているのは、黄龍のエネルギーを全身から放出し、ぶん殴る気まんまんのカリサだ。これは不味いと顔色を変えてももう遅い。
「オラオラパンチしてやるのだ!」
「「がっ、げっ、がはっ、ごほぉッ!!!?!」」
小さな拳をぎゅっと握りしめ、繰り出す打撃は圧倒的パワーにものを言わせたもの。単純だがそれゆえ強烈で、全てヒットすれば相手は木っ端微塵に爆発四散する。さっきまでの道中でも見たようなスクラップの破片が、バラバラになって辺りに散らばった。
「大多数はまとめて叩き込めって教わったから、多分こうすればいいのだ」
「ッ……!!」
一体誰に教わったのかは知らないが、無邪気にして容赦のないカリサの戦いぶりは、敵を戦慄させる凄みがあった。
だからと言って遠距離から【フォトンバレット・ストーム】で攻撃するのも不可能。空間を引っ掴むあの技がある限り、間合いという概念は文字通り"掌握"されているのだから。
「それにしても、あっちは機械ばかりでズルいのだ! 物理で来てやり直してほしいのだ!」
それからカリサは目についた敵を引き寄せては殴り、殴っては引き寄せの繰り返し。ギュッと拳が握られるたびに、一箇所に密集させられたシンセティック・オフィサーが砕け散る。本人はズルいと言うものの、|機械化義体《サイバーザナドゥ》に換装されたサイボーグを生身で粉砕するフィジカルこそ、向こうから見ればズルだろう。
「カリサも機械を使えるなら欲しいのだー!」
「な、なにをガキのようなことを……ぐはぁッ?!」
駄々っ子のように突き出したパンチがまた1体、敵を骸の海まで吹っ飛ばす。あとには連中が使っていた装備品だけが残されるが――果たして彼女が機械を使えないのは、技術や資金面での問題なのか、あるいは性格上の問題なのか。この戦いを見る限りではなんとも言えなかった。
大成功
🔵🔵🔵
オルフェウス・シフウミヤ
※アドリブ大歓迎
中々素敵なフォルムですね。ですが、それはそれとして皆殺しします。悪滅一切慈悲は無し。
|真・超越雷天使《トゥルー・オルフェウスラミエル》を発動。
全てを電子単位で分解する雷天使の召喚し、技能を4つ自分のレベル×450します。技能は限界突破、戦闘演算、残像、切断です。
代償の呪縛は因果律崩壊能力でなかったことにします。
まず、煌銀眼を発動して戦闘演算と合わせて最適解を選択します。
召喚した雷天使と高速移動する相棒の機獣リュカオンと連携してリュカオンはレーザーを、私は限界突破した黒雷疾走で雷速での高速移動をして、攻撃は見切りつつ回避しながら、残像を残して接近して因果ごと聖戦神剣で切断します。
「中々素敵なフォルムですね。ですが、それはそれとして皆殺しします」
悪滅一切慈悲は無し。同じサイボーグとして『シンセティック・オフィサー』のスペックに評価すべき点は見ても、オルフェウス・シフウミヤ(|冥府の吟遊詩人《オルフェウス》の系譜・f40711)に彼女達を生かす気はさらさらない。それが依頼でもあるし、オブリビオン相手に容赦は不要だ。
「皆殺しだと?」「舐めるなよ」
対するはメガコーポが秘境開発のために送り込んだ精鋭部隊。たった一人で何ができるつもりなのかと、オフィサー達はレーサーSMGを構える。確かにこの人数差であれば多少スペックが違っても勝敗は揺らぐまい――しかし、製造過程からして特殊なオルフェウスのスペックは尋常ではなかった。
「あぁ、何故私は貴女に追いつけない。私は貴女なのに、涙を流しながら悲しみを胸に貴女の超越の領域に、冥奏を奏でながら足を踏み入れよ」
詩歌を吟じるように詠唱を紡ぎながら、オルフェウスは【|真・超越雷天使《トゥルー・オルフェウスラミエル》】を発動。自らの傍らに雷天使を召喚し、戦闘技能を大幅に強化する。そして「|煌銀眼《オルフェウスハヤトロギア》」による瞬間同時並列思考を開始し、加速された思考の世界に没入する。
「撃……て……!」
今の彼女の視界では、全ての事象が非常に遅く見える。それは神域に達した思考速度と戦闘演算が生み出す境地だ。
敵が何体いようとこれなら訓練用のマネキンと同じ。"母"という目標に比べれば、ここにいる連中はあまりに遅い。
「リュカオン、行きましょう」
召喚した雷天使に加えて相棒の「機獣リュカオン」と連携し、オルフェウスは敵の殲滅にかかった。前述した思考力と人工神経「|黒雷疾走《ライトニング・リミットブレイク》」が可能にする雷速の機動力は、敵部隊の放つ【フォトンバレット・ストーム】を見切るのには十分だった。
「速い……ッ?!」
あまりのスピードにシンセティック・オフィサーが反応できていない間に、オルフェウスは残像だけを残して彼女らに接近し「|聖戦神剣《クルセイドテスタメント》」を振るう。金色に煌めくその刀身には雷天使の加護が宿り、あらゆる存在を因果ごと切断する。瞬きする間もない刹那の内に、斬り捨てられた敵は自分が斬られた事にすら気付いていなかっただろう。
「な、なんてヤツ……ぐわッ?!」
生命の限界を超えた早業に驚愕する暇もなく、追撃がシンセティック・オフィサー達を襲う。雷天使は稲妻をもって敵を電子単位で分解し、リュカシオンはレーザー射撃で敵を射抜く。前線で敵を撹乱するオルフェウスと連携すれば、その成果はより大きなものとなった。
「さようなら」
「ま、待て……ッ!!!」
本来その高機動にかかる代償さえも因果律操作により無効化したオルフェウスを、止められる者はこの場にいない。
最初に彼女が放った宣言に偽りはなく、その視界に立った敵は誰一人として残らず、無惨な屍を晒すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
式之・神子
はーい、そこまでなンよ
薄汚いサイバネヤローは小汚い街に帰って算盤弾きでもするンよ
ン?こいつらメガコーポの道具のロボじゃね?人件費が惜しいからってマジでドケチなンよ
なら話は早いンよ
『カナコカオス』の超干渉波【ハッキング】で、コイツラのOSを書き換えて、命令元をメガコーポから神子チャァンにするンよ
して、私の一言で一斉に自壊コマンド実行させて自ら動力炉を破壊してもらうンよ
じゃあ、オマエラ…帰ってくれる?
自壊する前に「ハイ!サヨナラまた来世!」って元気よくアイサツする事〜
…どうせメガコーポにデータ送信してるンよ
ここの位置情報を適当なライバル会社の住所にして、スレ民秘蔵画像集の釣り画像に挿げ替えとくンよ
「はーい、そこまでなンよ。薄汚いサイバネヤローは小汚い街に帰って算盤弾きでもするンよ」
パンパンと手を叩いて、秘境の戦士を蹂躙せんとする『シンセティック・オフィサー』を制止するのは神子。口ぶりから緩い雰囲気を感じるものの、これ以上メガコーポの連中に好き勝手させる気はさらさらない。その点に関しては大いに真剣だった。
「ン? こいつらメガコーポの道具のロボじゃね? 人件費が惜しいからってマジでドケチなンよ」
「貴様、バカにするな!」
実際、量産型のクローンサイボーグなどそのレベルの扱いだろうが、明け透けにディスられた敵は怒りを露わにし、手にしたスタンロッドがバチッと火花を散らす。邪魔者は全て排除しろと本社からも命令を受けている以上、力ずくで自分達の性能を思い知らせる気のようだ。
「なら話は早いンよ」
しかし神子からすれば、相手が脳までサイバネに改造されきっているような連中は格好のカモだった。【神子劇場・混沌】を発動した彼女は心臓部の「ニュークリアリアクター」の出力を上げ、大規模な干渉波を敵部隊めがけて放つ。
「壮大な茶番劇の開始なンよ~」
「なッ、なんだ……?!」「なにかが、頭の中に入ってくる……!!」
この超干渉波にひとたび捕まったが最後、対象は神子の手となり足となり、人権はおろか命の尊厳さえも奪われる。
OSを書き換えられたシンセティック・オフィサーは、命令元をメガコーポから神子に変更され、攻撃を中断した。
「じゃあ、オマエラ……帰ってくれる?」
驚異のハッキング能力で敵部隊を掌握した神子は、自分の一言で一斉に自爆コマンドを実行し、自ら動力炉を破壊するように命令を送る。完全に思考を奪われたシンセティック・オフィサーには、その命令に疑問や違和感を抱くことすらできない。
「自壊する前に『ハイ! サヨナラまた来世!』って元気よくアイサツする事~」
「「「ハイ! サヨナラまた来世!」」」
指示通りの遺言を声を揃えて叫んだ直後、彼女達の体内に組み込まれた炉心は臨界に達し、内側から爆発四散する。
爆煙とともにバラバラになったパーツが辺りに飛び散るさまは、まさに「汚い花火」としか言いようがなかった。
「……どうせメガコーポにデータ送信してるンよ」
敵の駆除を終えれば、神子は後始末も忘れない。あの陰険なメガコーポどもが配下の連中にそれくらいの仕込みを行っていないとは考え難いからだ。肝心な「秘境」に到達されることはギリ防いだものの、ここまでの情報と猟兵との交戦記録を回収されるのは面白くない。
「ここの位置情報を適当なライバル会社の住所にして、スレ民秘蔵画像集の釣り画像に挿げ替えとくンよ」
ハッカーらしい遊び心とイタズラを兼ねて、データの改竄とフェイクへの誘導を完了。これでメガコーポが再調査を行おうとしても、さぞかし困惑することになるだろう。ポポスレ住民らしいイイ仕事をした後の神子の顔は、実に清々しい表情だったという。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
バルバロッサと一体化した状態で両軍の間に割り込むように着地
商談中に失礼する
御社にこの土地の開拓事業へ参画する権利は無い
早々にご退出願おう
広域兵器『ODE/AN-DIE-FREUDE』励起
UC発動
動きの止まった敵部隊を制圧するのに、そう時間はかからん
……一応、流れ弾には気を配るとしよう
(優良企業アピール)
拡散レーザーは使用を自粛
広域兵器の衝撃波も開けた場所でのみ
剣のように尖らせた腕部装甲を主軸とする
やはり圧倒的な戦力差を見せつける事は、現地住人との交渉を進めるうえでも決して損では無い
丁度、おあつらえ向きの標的も居ることだ
精々利用させてもらうぞ
「商談中に失礼する」
「うおッ」「わわっ!」
秘境を巡って睨み合うメガコーポの部隊と原住民の戦士達。その両軍の間に割り込むように着地したのは、フリッツと一体化した「バルバロッサ」だった。秘境の利益を狙っているのは彼も同じ事、ここで「商談」を纏められてしまっては介入する機会を失う。
「御社にこの土地の開拓事業へ参画する権利は無い。早々にご退出願おう」
「なにを、貴様……どこの企業の者だ!」
無論『シンセティック・オフィサー』達も、折角発見した秘境の開発権を譲るつもりは無い。彼が他企業の社員だと察するとこれまで以上の敵意をもって銃口を向けてきた。外部には|巨大企業群《メガコーポ》と一括りにされていても、実際の彼らはこの星の利益を奪い合うライバル同士だ。
「『ODE/AN-DIE-FREUDE』励起。斉唱せよ!」
連中が素直に退くとは思っていなかったのだろう、会話が決裂するとフリッツは即座に【作戦発令:金星】を発動。
バルバロッサに搭載された広域兵器『ODE/AN-DIE-FREUDE』が発光し、悪魔の咆哮が如き轟音が戦場を震わせる。
「「ッ……!!!?!」」
その大音量を聞いたシンセティック・オフィサー達は反射的に身を竦ませ、大幅な戦意低下と行動不能状態に陥る。
対象の数が多いほど、このユーベルコードの威力は向上する。防弾シールドとて音響兵器には無意味だ。たった1機のオブリビオンマシンによって、部隊ひとつが停止してしまった。
(動きの止まった敵部隊を制圧するのに、そう時間はかからん)
案山子のように立ち尽くす敵に、フリッツは容赦のない攻撃を仕掛ける。バルバロッサの機体を鎧う外部装甲「GÖTZ-VON/BERLICHINGEN」からは刃状の棘が飛び出しており、ただ腕を振るうだけでも剣のように獲物を斬り裂く。まるで地面に生えた雑草を刈り取るように。
「……一応、流れ弾には気を配るとしよう」
ちらりと意識を向ける先には、秘境の原住民達がいる。なるべく優良企業をアピールするためにも、拡散レーザーは使用を自粛し、広域兵器の衝撃波も開けた場所でのみ使うなど、無闇に被害を拡大させかねない戦法は自粛している。そんな真似をせずとも「力の誇示」というもう一つの目的は果たされているのだから。
(やはり圧倒的な戦力差を見せつける事は、現地住人との交渉を進めるうえでも決して損では無い)
強大な力は敵ならば恐ろしいが、それが自分達を守ってくれるのであれば頼もしい。また、未知の戦力の持ち主には表立って反抗することも気後れするだろう――秘境の民とて同じ人間ならば、そうした心理は働くはず。利権獲得のための「交渉」はすでに始まっているのだ。
「丁度、おあつらえ向きの標的も居ることだ。精々利用させてもらうぞ」
「ひっ……く、来るなぁ?!」「やめろッ……ぎゃぁぁっ!!」
広域兵器による行動不能から立ち直っても、一度下がった士気は簡単に戻るものではない。部隊として瓦解したシンセティック・オフィサー達を、赤黒い人型機体が無慈悲に蹂躙していく。その光景を秘境の住人達は「凄い……」と、驚嘆とも畏怖ともつかぬ表情で見守っていた――。
大成功
🔵🔵🔵
メイ・ナデアウアー
はいダメェー!!
この世界嫌いだけど、自然が残っているんなら、守らないとね!!
ケルベロスディバイトと違うのは汚染し尽くした世界、本来なら守るに値しない世界なんだけどね。
でもね、自然環境が残っている以上、守らないとね。
そして、浄化し次第サイバーシティに自然を侵食させて文明崩壊させちゃえなのね!
だから、アンタたちを邪魔させないと厄介なことしそうだし、お仕置きが必要なのね。
大自然が残っているってことで、飛行で攻撃よけながら周囲の【自然属性】をあたしに吸収するの。
そして自然属性の力を蓄えたら、一気にアイツラ目掛けてブレス吐くのね。
今回は土と風と木属性だけなんだけど、あたしのブレス、周りの自然を活性化させるから気を付けてね。
初動の風ブレスで吹き飛ばなかったら、特に地面から木が一気に生えてくるかもね。
結構悲惨な状況になるね。モズの贄みたいに木の枝に突き刺さって死ぬまで苦しむことになるのね。
でも、大丈夫。
直で音波砲でアンタたち破壊するから。
「はいダメェー!!」
秘境の自然を破壊し、原住民の暮らしと命を奪おうとするメガコーポの連中に、大声で"否"を叩きつけるのはメイ・ナデアウアー(ボクスドラゴンのビーストマスター・f40998)。人間のことは好きではないが、獣の属性を持ち、土と木と風の力を操る彼女は、自然の守護竜なのだ。
「この世界嫌いだけど、自然が残っているんなら、守らないとね!!」
故郷ケルベロスディバイドと比べてここは汚染され尽くした世界、本来なら彼女にとっては守るに値しない世界だ。
しかし、それでも自然環境が残ってる以上は守らないといけない。環境破壊を推し進めるオブリビオンどもを、自然の力で浄化するのだ。
「そして、浄化し次第サイバーシティに自然を侵食させて文明崩壊させちゃえなのね!」
「こ、コイツはなにを言っている……?」
何やら物騒な事を口走る桃色のファードラゴンに、銃口とスタンロッドを向ける『シンセティック・オフィサー』。
妄言のように聞こえるかもしれないが彼女はガチである。人間の文明より大事なのは自然だし、敵であるメガコーポの作った都市なんかに配慮する気はない。
「だから、アンタたちを邪魔させないと厄介なことしそうだし、お仕置きが必要なのね」
「ほざけ害獣め!」「貴様こそ邪魔をするな!」
あくまで自社の利益を第一とするオフィサー達は、邪魔者を袋叩きにしようと【スティック・アンド・ブラスト】で襲い掛かる。しかしメイはふわりと空を飛び、鳥のように軽やかな動きで攻撃を躱す。本来サイバーザナドゥでは彼女の能力は発揮し辛いが、ここは秘境に近い――多少離れていても自然の力を十分に感じられる。
「大自然の息吹を感じてみようよ!!」
メイは周囲の自然属性を【大自然之息吹】で吸収して自らに蓄えると、シンセティック・オフィサー目掛けて一気にブレスを吐いた。爽やかな植物と土の香りを含んだ風が瞬間的な大嵐となり、自然に仇なす者を吹き飛ばさんとする。
「うおぉぉっ?!」「た、耐えろッ!」
オフィサー達は咄嗟に防弾シールドを構えてブレスを防ぐが、何人かは吹き飛ばされて二度と戻ってこない。本来はサイバーザナドゥでは効果を発揮し辛い能力だが、ここでは威力抜群のようだ。そしてもう一つ、このユーベルコードにはサイバーザナドゥ"だからこそ"覿面な追加効果がある。
「今回は土と風と木属性だけなんだけど、あたしのブレス、周りの自然を活性化させるから気を付けてね」
「なっ……これは?!」
初動の風ブレスに耐えたシンセティック・オフィサー達は、周りの地面から木々が一斉に生えてくるのを目撃する。
荒れ果てた大地に自然が甦った――などと喜べる状況ではない。急激な成長を遂げた植物は槍となって、逃げる間もなく敵を貫いた。
「結構悲惨な状況になるね」
「「ぐわぁぁぁぁぁぁッ?!」」
モズの早贄のように木の枝に突き刺さり、悲鳴を上げる連中を見下ろしながら、まるで他人事のようにメイは言う。
さながら中世の串刺し刑の如く、このまま放置すれば彼女らは死ぬまで延々苦しむことになるだろう。いくらオブリビオンと言えども、その激痛は耐えがたいはずだ。
「でも、大丈夫。直でアンタたち破壊するから」
せめてもの慈悲と言うべきか、メイはラッパの先端のような形状をした「音波砲」から、大音量の衝撃を浴びせる。
活性化した自然の猛威に呑み込まれたシンセティック・オフィサーに、逃げる手段などあるはずもなく。共振による破壊は直接体内へと響く。
「ぐ、ぎゃぁッ?!」「ば、かな……!!」
最終的にメイの周囲にいた敵は一人残らず全身から血を噴き出し、自然の養分として木々と土に吸収されていった。
自然の守護竜たる彼女を相手にして、無闇な環境破壊など企んだ報いを、連中は骸の海でも後悔する事だろう――。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、ゴミの山を抜けたと思ったがまだゴミがいたか
お前達の居場所はそこではないだろう?
シガールQ1210を装備してデゼス・ポアとオーヴァル・レイを宙に浮かせる
機関拳銃で敵をなぎ倒しながら秘境の戦士とオフィサーの間に割り込む
原始的な武器の戦士達では流石に分が悪い、後方で控えてもらおうか
機関拳銃の乱れ撃ちに宙を自在に飛ぶデゼス・ポアの刃とオーヴァル・レイの粒子ビーム線で攻撃して敵集団を殲滅しよう
安心して欲しい、私は君達の仲間で奴らの敵だ
此処でのゴミ掃除は任せてもらおうか
スタンロッドで急襲してくる敵にはシガールQ1210による射撃で対応
四方から襲い掛かってきたらデゼス・ポアの斬撃やオーヴァル・レイの粒子ビーム線で吹き飛ばそう
初撃が外れれば次も当たるまい
まったく、数だけは多いな…
そろそろ一気に片付けさせてもらおうか
UCを発動
敵集団に操り糸を打ち込み、同士討ちを誘発させていく
最後は爆破させれば一気に片が付くな
『秘境』は企業の物ではない
いずれ、お前達の雇い主にもしっかりと伝えておこう
「フン、ゴミの山を抜けたと思ったがまだゴミがいたか」
高濃度汚染地帯を突破したキリカは、遭遇したメガコーポの『シンセティック・オフィサー』に軽蔑の目を向ける。この世界をこんな有様にした一番タチの悪い汚染物質こそが奴ら――今もなお環境破壊を続けるオブリビオンどもだ。
「お前達の居場所はそこではないだろう?」
「なんだ貴様は。指図される謂れは無いわっ」
呪いの人形「デゼス・ポア」と浮遊砲台「オーヴァル・レイ」を宙に浮かせ、強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"の銃口を突きつけると、敵は不快感をありありと示す。メガコーポの利益のためにこの地を開発するのが任務であり、彼女らにとってこの星の全てはメガコーポの領土なのだ。
「聞く耳は持たないか。そうだろうな」
ならば予定通り実力行使でいこうと、キリカは機関拳銃のトリガーを引く。秘術で強化された弾丸はドラゴンの皮膚すら貫通するほどの威力を誇り、通常の防弾シールドで防げるものではない。油断した敵兵が「ぐわっ?!」と悲鳴を上げてなぎ倒される。
「君達は後方で控えてもらおうか」
「あ、貴女は……?!」
この隙に敵味方の間に割り込んだキリカは、秘境の戦士達に退避するよう伝える。|機械化義体《サイバーザナドゥ》どころか銃すらない、原始的な武器しか持たない彼らでは流石に分が悪い。オブリビオンにも怯まない勇敢さは立派だが、その生命を賭ける場所はここではないはずだ。
「安心して欲しい、私は君達の仲間で奴らの敵だ。此処でのゴミ掃除は任せてもらおうか」
口元に強気な笑みを浮かべ、機関拳銃を乱れ撃つキリカ。さらに自在に宙を舞うデゼス・ポアの刃と、オーヴァル・レイから放たれる粒子ビーム線が追撃をかける。たった一人でも部隊に引けを取らない働きを見せる、これが歴戦の戦場傭兵の実力だ。
「調子に乗るなよ、傭兵風情が!」
大損害を被ったシンセティック・オフィサー達は、怒気を荒らげてによる急襲を仕掛けてきた。まずスタンロッドで麻痺させ、追撃の高出力ビームでとどめを刺すのが彼女らの得意技だが――間合いに入られる前に、キリカは銃の照準を再設定する。
「初撃が外れれば次も当たるまい」
「キャハハハハハハハ」
「がッ?!」「ぎゃぁっ!!」
正確無比な射撃が敵の手から警棒を弾き飛ばし、無邪気に笑うデゼス・ポアの斬撃が、オーヴァル・レイの砲撃と共に周囲をなぎ払う。四方より迫ったシンセティック・オフィサー達はあえなく撃退され、【スティック・アンド・ブラスト】は不発に終わった。
「まったく、数だけは多いな……そろそろ一気に片付けさせてもらおうか」
これ以上相手をするのは時間の無駄だと、キリカは【La marionnette】を発動。指先から不可視の操り糸を伸ばし、敵の四肢や関節に絡みつける。数が多くていちいち撃ち倒すのが手間なら、敵同士で潰し合ってくれれば良いわけだ。
「その身体が軋み潰れるまで、踊り狂え」
「か、身体が勝手に……」「バカ、何してる、やめろ!」
操り糸を打ち込まれた兵士はキリカに命令されるがまま、同胞に銃口を向けて攻撃を始める。抵抗しようとすれば耐えがたい苦痛に襲われるため、人形の如くされるがままになるしか無いのだ。そうなればまだ操られていない連中も、反撃しない訳にはいかなくなる。
「最後は爆破させれば一気に片が付くな」
「なッ、なにをするつもりだ、やめ……――!!!!」
同士討ちによって敵部隊の被害が甚大になったところで、キリカは糸から呪詛毒を流し込んで"人形"を爆破させる。
操り人形にされた挙げ句最後は爆弾として始末される、哀れなオフィサー達――彼女らの叫びは爆音にかき消され、多くの同胞を巻き込みながら塵と化した。
「『秘境』は企業の物ではない。いずれ、お前達の雇い主にもしっかりと伝えておこう」
冷徹な声音でメガコーポの尖兵どもに告げて、キリカは踵を返す。そこにはもう戦いを継続する敵の姿はなかった。
またこの秘境に手を出そうとするならば、何度でも返り討ちにしてくれる。彼女の発言からはそんな意志がひしひしと滲み出ていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『秘境の村にお邪魔します!』
|
POW : 貴重な自然素材の料理を味わう
SPD : 秘境の人々が喜びそうな武勇伝を語る
WIZ : 逆に秘境の人々に話を聞く
イラスト:ももんにょ
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「助けてくれて、ありがとうございます!」
「あなた達が来てくれなかったら、今頃どうなっていたか……!」
猟兵達の活躍によって『シンセティック・オフィサー』は撃退され、メガコーポによる秘境開発計画は阻止された。
為す術もなく蹂躙されるはずだった「秘境」の原住民は、思いがけない救援に心からの感謝を伝え、喜びの涙と笑顔を見せる。
「ねえ! あなた達ってもしかして、ここに映ってる『|猟兵《イェーガー》』じゃないの?」
ふと、ひとりの若い原住民がそう言って、旧式のタブレットPCの画面を見せる。
そこには、どこぞのライブストリーマーが撮影したらしい、とある事件で活躍する猟兵の姿が映し出されていた。
「この"光る板"を通じて、皆さんの活躍はずっと見てました!」
「まさか本物に会えるなんて!」
外界と隔絶された生活を送っている秘境の人々だが、近くのゴミ山から偶然拾った文明の利器を通じて、多少ながら情報は持ち合わせているようだ。特に、悪いメガコーポに立ち向かう猟兵のことは、遠い世界の事ながらもヒーローのように認識しており、まるで伝説の英雄が現れたかのように大喜びしている。
「ぜひ、私たちの村に来てください!」
「助けてくれたお礼がしたいんです!」
そんな訳で、恩返しがしたい原住民達の案内によって、ついに猟兵達は「秘境」に足を踏み入れる事となる。
そこはまさに、これまで猟兵達が知るサイバーザナドゥとは「異界」だった。汚染されていない空気、澄んだ小川、天然の植物――破壊される前のこの星の自然が手つかずのまま残されている。
原住民達の村は、この秘境の自然と融和するような形で、ひっそりと森の片隅に築かれていた。
文明レベルはほぼ中世以前のもので、質素な暮らしぶりが窺える。豊かな自然の恵みのおかげで、食べて生きるだけなら困っていない様子だ。
「ゆっくりしていってくださいね!」
「良かったら皆さんのお話も聞かせてくれませんか?」
とれたての果物や自然の素材を使った料理など、精一杯の歓待をもって秘境の民は猟兵をもてなそうとしてくれる。
猟兵も彼らに応えて、これまでの武勇伝などを話せば、きっと喜ばれることだろう。
これまで伝説上の存在であったザナドゥの「秘境」。
そこで猟兵達はどのように過ごし、どのような記録を残すのだろうか。
リンカ・ディアベルスター
…これは美しいな
秘境の景色を見ながら感想を述べる
外の話かい?……少しだけしか話せないよ?(だってビハインドになったの最近だし…)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=51766
の出来事を思い浮かべてから
あっじゃあ開拓の話なら沢山あるよ?
これはとある無人島を見つけた話で…
彼らに昔、獣人戦線で開拓していた話をした
果物や穀物を加工すれば良いんじゃないのか?って提案したんだよ、その後皆でアイデアを出して『糧食』を作ったんだよ〜
彼らに糧食の製作の話をしてたら食事が出てきた
肉食はビハインドの性質上暴走の危険があるから果物にしてもらった
ありがとう…とても美味しいよ
「……これは美しいな」
秘境の景色を眺めながら、リンカは素直な感想を述べる。サイバーザナドゥでは言わずもがな、これほど豊かな自然を見る機会はそうそうない。汚染されていない土と水と空気に育まれた動植物の恵みを糧に、原住民が素朴な暮らしを送る――ここまで見てきたものとはまるで別世界の光景だ。
「わたし達にとっては、これが普通ですけど……」「"外"はどんな感じなんですか?」
原住民は猟兵を客人としてもてなしながら、外の世界の話をしきりに聞きたがる。彼らが持つ外界に関しての情報は限られており、異界にも等しい土地の事物は興味の的だ。好奇心に満ちた視線を浴びせられ、黙っているのは難しい。
「外の話かい? ……少しだけしか話せないよ?」
だってビハインドになったの最近だし――と、リンカは心の中で呟きながら過去の出来事を思い出す。かつて『死宝の邪神』と呼ばれる存在に取り憑かれていた彼女は、肉体を乗っ取られないために生き地獄を味わい、邪神を滅ぼして自由の身になったのは最近の事なのだ。
「あっじゃあ開拓の話なら沢山あるよ? これはとある無人島を見つけた話で……」
そこでリンカは邪神に憑依されるさらに以前、大昔の獣人戦線で開拓を行っていた頃の話をする。まだ獣人にとって世界が未踏の地に満ちており、超大国の侵略もなかった時代において、彼女は開拓者として歴史書に名を残していた。
「果物や穀物を加工すれば良いんじゃないのか? って提案したんだよ、その後皆でアイデアを出して『糧食』を作ったんだよ~」
本人曰く、現代の獣人戦線の食生活を支える『|糧食《レーション》』、その製作に関わった人物のひとりがリンカである。植物由来の食材から肉を含めた様々な料理を再現する技術は、肉食草食多様な獣人が共存する世界においては欠かせないものであり、その基礎に携わった彼女の功績はまさに偉人と言えるだろう。
「果物から肉を?! すごいですね!」「あ、よかったらボクたちの料理も食べてみてください!」
リンカの話に秘境の原住民は感心しきりで、食べたことのない糧食の味を想像しながら自分達の食事をお出しする。
狩りや採集によって入手した食材を使った、ごく素朴な料理だ。リンカから見れば開拓がまだ道半ばだった頃に食べていたものとそう変わらないかもしれない。
「ごめんね、肉はちょっと苦手だから、果物にしてもらっていい?」
「あっ、はい!」
肉食はビハインドの性質上暴走の危険があるので下げてもらい、食べられるものは遠慮なくいただくリンカ。純粋な味の良さだけでなく、原住民のもてなしの気持ちが込められた料理は、すでに死人である彼女の心を満たしてくれた。
「ありがとう……とても美味しいよ」
「よかった!」
この滞在期間中、リンカが秘境で得た思い出は穏やかなもので、かつての開拓時代を振り返るきっかけにもなった。
たまにはこういう日も悪くないよねと、思いながら、彼女は大自然でゆったりとした時間をしばし過ごすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
我の英雄譚か
それは『11の怪物』が一つ『ウームー・ダブル―トゥ』を撃破した事だ
奴は他者……他の知性体の『願い』を歪めて叶える事で戦闘に利用する、エリクシルという存在の性質を突き詰めたユーベルコードを有していた
だが、我らは猟兵の中でも『|悲劇の終焉《エンディング》』を破壊する事に長けたエンドブレイカー!
誰かの瞳に悲劇の結末が映る限り、諦める事はない
我らはユーベルコードを使えないながらも、必死で食らいつき……そして撃破した!
奴ら『11の怪物』が如何に強力であろうとも、誰かの悲劇となるなら我らの敵ではない
我らを倒すなら一つ――『幸福な結末』を齎す事でしか倒せない
メガコーポでは、不可能だな
「我の英雄譚か。それは『11の怪物』が一つ『ウームー・ダブルートゥ』を撃破した事だ」
秘境の原住民から武勇伝を尋ねられて、ブリュンヒルデが話しだすのは世界の命運を巡る壮大な戦いの記憶だった。
知的生命体の捕食を求めてエンドブレイカーの世界を襲った「11の怪物」。そのうちの1体との戦いに彼女も参加していたのだ。
「奴は他者……他の知性体の『願い』を歪めて叶える事で戦闘に利用する、エリクシルという存在の性質を突き詰めたユーベルコードを有していた」
サイバーザナドゥの秘境に暮らす人々には、いきなりエリクシルなどと言われてもピンとこないだろう。必要な用語は適宜注釈を入れながら、彼女はその怪物がいかに恐るべき存在であったかを語る。事実、他者の『願い』を利用するウームー・ダブルートゥの力は凄まじいもので、知的生命体にとっては天敵とさえ言えた。
「だが、我らは猟兵の中でも『|悲劇の終焉《エンディング》』を破壊する事に長けたエンドブレイカー! 誰かの瞳に悲劇の結末が映る限り、諦める事はない」
エンドブレイカーであることに特に誇りを抱いているブリュンヒルデは、自分と仲間達の戦いを高らかに語る。理不尽な終焉をそのままにしておけない彼女らは、世界の終焉という最悪のエンディングを前にして果敢に立ち向かった。
「我らはユーベルコードを使えないながらも、必死で食らいつき……そして撃破した!」
「おおっ!」「やった!」
力と技の限りを尽くした死闘についに終止符が打たれ、物語が最高潮に到達すると、聴衆からも拍手が湧き上がる。
かくしてエンドブレイカーの活躍により世界は救われ、人々の希望と願いは守られた。今もまだエリクシルの侵略は続いているが、猟兵となったブリュンヒルデ達も世界を渡り、その野望を挫き続けている。
「奴ら『11の怪物』が如何に強力であろうとも、誰かの悲劇となるなら我らの敵ではない」
悲劇を予知し、破壊する。それがエンドブレイカーの使命である以上、負けはしないとブリュンヒルデは豪語する。
その自信に満ちた振る舞いはまさに英雄的であり、外界のことを知らない秘境の民には鮮烈な印象を与えるだろう。聴衆から「かっこいい……!」と尊敬の声が上がる。
「じゃあその、えんどぶれいかー? さんには弱点もないんですか?」
「我らを倒すなら一つ――『幸福な結末』を齎す事でしか倒せない」
彼らの素朴な疑問にブリュンヒルデはひとつの可能性を答える。悲劇には決して屈さないが、幸福な結末を生み出すものに勝利することは難しい。ただ、彼女らが敵対する相手はそもそも悲劇をもたらすからこそ"敵"であるのだが。
「メガコーポでは、不可能だな」
「なるほど!」
現在進行系で世界に悲劇をもたらしているメガコーポは自分達にとって不倶戴天の敵であり、絶対に負けはしない。
確信をもってそう語るブリュンヒルデに、秘境の民は目を輝かせ、異世界の英雄譚に心を踊らせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ベティ・チェン
「タブレットのある秘境、かぁ。第四層並みかと思った、のに」
苦笑い
「ボクが、勝手に期待して、勝手に失望した、だけ。大したことじゃ、ない」
軽く手を振る
「メガコーポが、来て。ボクらが、来た。ここはもう、食い荒らされるだけの、黄金郷。それだけの、話」
「交渉して、贖え。キミ達自身の、命を。次に来る、メガコーポから。タブレットを使える、なら。」
「ここも、ザナドゥ。タブレットを見られる文明がある、なら。自分達で、|守護者《ガーディアン》を雇え。専売契約で、守護の依頼をすれば、いい」
待たせていたミコ・クノイチの所へ
「キミ達が、独占契約で専売するのが、1番優しい未来な気がする、けど。命は、自ら買うもの、だ」
「タブレットのある秘境、かぁ。第四層並みかと思った、のに」
イメージしていたものとはちょっと違った秘境の現実に、苦笑いを浮かべるのはベティ。現代文明から隔絶された生活を送る、自然豊かな土地――という意味ではおおむね間違っていなかったようだが。たまたま近場に流れ着いたゴミの中から、辛うじて使い道の分かるものを拾ったりはしているようだ。
「あれっ、どうかしましたか……?」
「ボクが、勝手に期待して、勝手に失望した、だけ。大したことじゃ、ない」
最初に"光る板"ことタブレットPCを出してきた原住民が、なにか気に障っただろうかと首を傾げる。ベティはそれに軽く手を振って答え、気持ちを切り替えることにした。想像通りでなかったとはいえ、今更ここにいる人々を突き放す訳にもいかないだろう。
「メガコーポが、来て。ボクらが、来た。ここはもう、食い荒らされるだけの、黄金郷。それだけの、話」
ベティは原住民達にまず、最初の侵略者は撃退したものの、根本的な危機はなにも過ぎ去ってはいないのだと語る。
メガコーポがこの土地を発見した以上、いずれまた次の部隊を送り込んでくる可能性は高く、他の企業に情報が漏れる恐れもある。その都度猟兵が駆けつけて助けてくれる保障はどこにも無いのだ。
「交渉して、贖え。キミ達自身の、命を。次に来る、メガコーポから。タブレットを使える、なら」
「こ、交渉、ですか?」「どうやって……?」
強い口調で語るベティに、原住民達は不安そうな顔をする。閉じられた環境でずっと暮らしてきた彼らは、外部との交渉など一切経験がない。上手くやれる自信がないのも当然だ――だが、これからはそうも言ってられないのである。
「ここも、ザナドゥ。タブレットを見られる文明がある、なら。自分達で、|守護者《ガーディアン》を雇え。専売契約で、守護の依頼をすれば、いい」
少なくとも文明との窓口はここにある。そしてカネはなくとも交渉材料に値する資源もある。だったら、取引次第で雇われてくれる傭兵もいるだろう。自分達に戦う力がないのなら、外部から戦力を集めて秘境を守る――それが、彼らに出来る中で一番現実的な戦いだろう。
「で、でも……私たち、ほんとはこの"光る板"の使い方も、よく分かってなくて……」
「そのくらいは、サービス。ボクが、教える」
これまで手探りで使っていたタブレットの、ウェブサイトや動画を視聴する以外の使い道。メガコーポの傘下にないフリーランスの傭兵とコンタクトする手段。細かいところではチャットやSNSツールの利用法など、交渉事に最低限必要な要素をベティは教える。交渉の世界にも危険は山ほどあるのだ、せめてこの程度は知っておかなければ。
「あとは、キミ達次第」
「はいっ……ありがとうございます!」
これまでより重みを増した"光る板"をぎゅっと抱きしめ、決意の表情を見せる原住民らに手を振って、ベティは歓迎の場を後にする。そこには高濃度汚染地帯攻略の祭に雇用したミコ・クノイチが、はんなりとした所作で待っていた。
「キミ達が、独占契約で専売するのが、1番優しい未来な気がする、けど。命は、自ら買うもの、だ」
最終的に秘境の民が誰と契約を交わすのかは本人次第。そこに余計な口を挟むつもりはないというベティの意志に、雇われの身であるミコ・クノイチは反論しない。果たして、暴かれた黄金郷となったこの秘境はこれからどうなるのか――せめて、少しでも善き未来があることを祈るだけだった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…終わったね
…秘境…ここが…木々がこんなに…空気が澄んでいる…
…果物…ありがとう…瑞々しい…美味しい…本物の果物だ…
…私の話?
私が生まれ落ちた|常闇の世界《ダークセイヴァー》…
メガコーポのような…邪悪なるモノ共が…貴方達のように…必死に生きる者達を弄び蹂躙する世界…
だが…彼等は闇の救世主として立ち向かい…私達は彼等と共に戦い…奴らを退けた…
だが…まだ奴らとの戦いは続いている…
私達は…貴方達のような人達を護る為に戦い続けるのだ…私は処刑人…
奴らを屠る為に…これからもあらゆる世界へ行くのだろう…
…果物…もう一つ貰っていいかな…?…
「……終わったね」
メガコーポの開発部隊との戦いを終えたアンナは、原住民の案内を受けて訪れた、秘境の村の中にたたずんでいた。
これまで通ってきた汚染地帯に比べると、ここはまるで別世界。文明がもたらしたゴミや排気ガスなどは一切なく、手つかずのままの自然で満たされている。
「……秘境……ここが……木々がこんなに……空気が澄んでいる……」
「ここって、そんなに"外"とは違うんですか?」
大きく深呼吸すると、爽やかな心地で胸が満たされる。そんな彼女を秘境の住人達は不思議そうに見ていた。秘境で生まれ育ち、秘境の外の世界を知らない彼らにとっては、これが当たり前の事なのだろう。自分達を取り巻く全てがどんなに貴重なものなのか、彼らはまだ知らない。
「今日は助けてくれて、本当にありがとうございます」「良ければこれ、食べてください!」
「……果物……ありがとう……瑞々しい……美味しい……本物の果物だ……」
心ばかりのもてなしとして差し出された森の果実を、アンナは噛みしめるように味わう。農薬などもちろん使われていない、自然の恵みだけで育った果実だ。素朴な甘酸っぱさと瑞々しい食感、それに村人達の気持ちが心身に染みる。
「お姉さんも、猟兵って方なんですよね?」「お話を聞かせて!」
「……私の話?」
"光る板"を通じて猟兵の活躍を聞き知っていた秘境の民は、しきりに外界の武勇伝を聞きたがる。そこでアンナは少し悩むように首を傾げてから、ぽつりぽつりと語りだす。彼らが期待するようなきらびやかな英雄譚とは、少し違うかもしれないが。
「私が生まれ落ちた|常闇の世界《ダークセイヴァー》……メガコーポのような……邪悪なるモノ共が……貴方達のように……必死に生きる者達を弄び蹂躙する世界……」
アンナのいた故郷の実情は過酷を極める。今日まで侵略の魔の手に怯えず、平和に暮らしてきた秘境の民には想像もできないような世界。恐るべき悪性と圧倒的な力を持つ者達――オブリビオンの脅威が、もっとも身近にある世界だ。
「だが……彼等は闇の救世主として立ち向かい……私達は彼等と共に戦い……奴らを退けた……」
絶望の中から抱き立ち上がった人々と、猟兵達が灯した希望が、大火となり闇を払っていくまでの物語を、アンナは淡々とした口調で、しかし熱を込めて語る。それは決して平坦な道程だったわけではない。幾つもの困難を乗り越え、強敵と対峙し、それでも諦めなかった結果が勝利へと繋がったのだ。
「だが……まだ奴らとの戦いは続いている……」
大戦には勝利したものの闇の勢力は強大であり、全ての人々を支配から解放する日は遠い。だからこそアンナは今も戦っている。ダークセイヴァーでの戦いに限らず、このサイバーザナドゥや他の世界でも、彼女が剣を取る理由は同じである。
「私達は……貴方達のような人達を護る為に戦い続けるのだ……私は処刑人……奴らを屠る為に……これからもあらゆる世界へ行くのだろう……」
――壮絶ささえ感じる彼女の戦歴と覚悟を聞いて、その場にいた者達はしばらく誰も口を開くことができなかった。
果たして、彼女の戦いに終わりはあるのだろうか。いや、たとえ終わりが無かったとしても、その身が灰となり燃え尽きるまで戦い続けるのではないか。そう思わせるほどの気迫が、彼女にはあった。
「……果物……もう一つ貰っていいかな……? ……」
「あ……はいっ。いくつでもどうぞ!」
しばしの沈黙の後、穏やかな調子でアンナが口を開くと、秘境の原住民ははっとして果物を盛った皿を差し出した。
映像越しではない猟兵の体験談は、彼らにとって相当刺激が強かったようだ。だがそれは悪い意味ではなく、単なる憧れではない尊敬の念を抱かせた。
「あなたは、誰かの為に戦える人なんですね。カッコいいです」「私たちには、何もできないけど……応援してます」
「……ありがとう」
人々の気持ちを受け取って、アンナは果実を噛みしめる。この穏やかで平和な世界こそが、自分が守りたい世界だ。
己の決意を再認識した彼女の瞳の奥には、静かな火が点っていた。戦いの終焉まで消える事のない、処刑人の火が。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
どこをスキャンしても汚染の検知なし。何もかもが本物で空気まで美味いときた。まるで別世界だな。
もっと情報を聞き出す必要があるな。カネになりそうな情報がな。クックック。
だが正直言って連中の話は退屈なものばかりだ。
やれ美味い果物が採れただの、どこそこの景色は綺麗だの。刺激ってもんが足りねえぜ。
オレか?オレはコーポの連中とやりあったり、コーポの連中を襲ったり、コーポの……って、こんな話が面白いのかよ?
……ま、悪い気はしねえけどよ。
……ここの情報をコーポに高値で売るつもりだったが、ヤメだ。
コーポの連中に得させるのが嫌になっただけで、別に正義に目覚めた訳じゃねえ。
秘密にしといてやるよ。今のところは、な。
「どこをスキャンしても汚染の検知なし。何もかもが本物で空気まで美味いときた。まるで別世界だな」
原住民に招かれてやって来た『秘境』の環境は、全て情報の通りだった。実際に目の当たりにするとアキラも少なからず驚いた様子で、さっそくデータの採取に勤しんでいる。これだけの証拠があれば、もはや誰も秘境を伝説や妄想の類とは呼べまい。
「もっと情報を聞き出す必要があるな。カネになりそうな情報がな。クックック」
今回撃退したメガコーポだけではない、どの企業や組織もここの存在を知れば放っておかないはずだ。アキラが儲けを得る上で重要なのは、この情報をなるべく高値で売りつけること。その為にはより詳細なデータが必要となるのだ。
「この実は私が採ったんだよ! この時期は森の東のほうに沢山実ってるの!」
「お食事の後は、村の周りを案内しますね。見てほしい所がいっぱいあるんです♪」
だが正直に言って、秘境の連中の話は退屈なものばかりだ。外界から断絶された環境で自給自足の生活を送ってきた彼らは、昨日も今日も明日も変わらない毎日のちょっとした出来事を、さも楽しそうに語る。血と臓物と硝煙の匂いで満ちたバイオレンスな日々を過ごすアキラとは、本当に生きている世界が違う。
(やれ美味い果物が採れただの、どこそこの景色は綺麗だの。刺激ってもんが足りねえぜ)
求めているカネになりそうな情報は全然出てこない。「秘境に骸の海汚染を防ぐ物質がある」という噂についても、この調子では知っている事は何もなさそうだ。若干うんざりした気分になりつつも、アキラは仕方なく彼らの話に付き合っていた。
「あなたは、"外"でどんな事をしてるんですか?」
「オレか? オレはコーポの連中とやりあったり、コーポの連中を襲ったり、コーポの……」
逆に尋ねられてアキラが語るのは、おおむねメガコーポとのドンパチの話である。欲望に忠実で暴力で物事を解決することに躊躇いがなく、おまけに腕も立つせいで止められる奴もいないと、彼の人生はトラブルまみれである。一方で権力や強制を嫌うタチのため、結果的にメガコーポの悪事を台無しにすることも多々あった。
「……って、こんな話が面白いのかよ?」
「はい! カッコいいです!」
実情に詳しくない者からすれば、彼の話は悪の組織と戦うスリリングでワクワクする武勇伝に聞こえるらしく、秘境の民はみんな目を輝かせて耳を傾けていた。ビビられたりドン引きされるのは慣れているアキラも、こんな反応されるのはレアなので、ちょっとばかり扱いに困る。
(……ま、悪い気はしねえけどよ)
結局、アキラは人々にせがまれるまま過去の依頼の話やら、メガコーポに因縁付けたり付けられたりする話を延々とする羽目になった。似たり寄ったりな話でも、純朴な秘境の連中は大袈裟なくらいリアクションするし、「すげー!」「それでそれで?」「やったー!」と大盛り上がりだ。
(……ここの情報をコーポに高値で売るつもりだったが、ヤメだ)
そんな連中の相手をしている内に、アキラも毒気を抜かれてしまったのか。結局彼はそれ以上情報収集を行うこともなく、秘境を後にすることにした。話を聞かせてくれたお礼にと、花やら果物やら手作りのお守りやらを持たされて。
「コーポの連中に得させるのが嫌になっただけで、別に正義に目覚めた訳じゃねえ」
いつもよりテンションの低いトーンで呟いたその発言は、実際本音ではあったのだろう。ストリートに名を馳せた荒くれ者のデスブリンガーが、ちょっと人情に触れたくらいで人が変わるものか。ただまあ――あの秘境の人々との触れ合いを経て、なにも思うことが無いわけでもなかったのかもしれない。
「秘密にしといてやるよ。今のところは、な」
あの閉じられた平和がいつまで続くかは知りゃしない。いずれ別のメガコーポが嗅ぎ付けてくることもあるだろう。
ただ、まあ。今日明日くらいは、あんな風に呑気に過ごさせてやってもいいだろう。いつもと変わらぬ笑みを口元に浮かべ、死神は秘境を去っていった――。
大成功
🔵🔵🔵
カリサ・セントルム
【POW】
よーっし、悪いやつはいなくなったのだ。
ここは心地いいのだ!空気が美味しくて、まるでコキョーに帰って来たような気分なのだ。
ムッ!!ご飯!!いただきますなのだ!!
んぐんぐんぐんぐ
悪いやつらは機械を使ってたけど、こっちは全然使ってなさそうなのだ。チューセー時代みたいなのだ。
けど、そういう生活を送ってきたからこそ、この自然が守られているのだ。機械では作られない世界なのだなぁ……
もぐもぐもぐもぐ
ん?カリサのことを知りたいのだ?だったら教えるのだ!
【アドリブ・絡み歓迎】
「よーっし、悪いやつはいなくなったのだ」
「ありがとう!」「助かったよ!」
メガコーポの開発部隊を見事にとっちめたカリサは、助けた人々にお礼を言われ、ウワサの『秘境』へ案内される。
これまでいた場所はお世辞にも居心地のいい所ではなかったが、そこに入ると一変、豊かな大自然が広がっている。
「ここは心地いいのだ! 空気が美味しくて、まるでコキョーに帰って来たような気分なのだ」
水も土もイヤな匂いがしないし、ゴミ山の代わりに木々や草花が生えている。サイバーザナドゥを侵食する骸の海の汚染も、ここにはない。彼女はこの秘境を守った英雄の一人として大いに歓迎され、住民達のもてなしを受けていた。
「ささやかな物ですが……どうぞお召し上がりください」
「ムッ!! ご飯!! いただきますなのだ!!」
カリサの前に並べられたのは、森で採取された果実やキノコや野草、狩りで得た獣の肉などを使った料理の数々だ。
とれたての天然食材をシンプルに調理した、素朴だがこの村にとっては精一杯のごちそう。ひと暴れしてお腹も空いていたカリサは遠慮なくいただくことにする。
「どうですか?」
「うまいのだ!」
変に凝った加工がされていないぶん、食材の良さが活かされていて美味い。「んぐんぐんぐんぐ」と勢いよく料理をほおばる少女の食べっぷりは、見ているほうも気持ちいいくらいだ。村人たちはそれを見てほっとした様子で、次々におかわりを出してくる。
「悪いやつらは機械を使ってたけど、こっちは全然使ってなさそうなのだ。チューセー時代みたいなのだ」
食事の手を動かしたまま、カリサは改めて村の様子を見回す。秘境の自然と同化するように作られたこの集落には、科学文明の匂いがほとんどしない。"外"から流れ着いたわずかなゴミのうち、まだ動くものを利用したりすることはあるようだが、それも限定的なもの。汚染とは無縁だが不便なことも多いだろう。
「けど、そういう生活を送ってきたからこそ、この自然が守られているのだ。機械では作られない世界なのだなぁ……」
と、しみじみと呟きながら「もぐもぐもぐもぐ」とカリサは食事を続ける。こんな美味しいご飯を食べられるのも、サイバーザナドゥではここくらいだろう。文明の発達によって手に入るものと、引き換えに失われていくものがある。
「よかったら、貴女がいた"外"のことも教えてくれない?」
「ん? カリサのことを知りたいのだ? だったら教えるのだ!」
食事中、秘境の人々からそう尋ねられると、カリサは笑顔で自分の生まれ故郷や、これまであった冒険の話をする。
猟兵として色んな世界を巡り、今回のように悪い奴をやっつけたりしながら、安住の地を探す旅。それは秘境という小さな世界で生きてきた人々にとっては刺激的な物語であり、歓迎の宴は大いに盛り上がったという――。
大成功
🔵🔵🔵
メイ・ナデアウアー
ここが、サイザナに残されてる秘境なのね?
ところで、「猟兵」を知ってるなんてね。
ちょっとばかし飛んでていい??
周りが汚染されてるのにここが浄化されてるの、すっごい気になるのね。
なんか、遺跡とかがないかもチェックしそうなのね。
食べ物とか戴いちゃおうかな。
やっぱり、天然が一番なのね。
「ここが、サイザナに残されてる秘境なのね?」
原住民達の案内にそって『秘境』へとたどり着いたメイは、興味深そうに辺りをきょろきょろと見回す。話には聞いていたものの、実際に見ると信じられないほど豊かな自然が広がっている。すぐ近くには公害と骸の海による汚染地帯が広がっているにも関わらずだ。
「ところで、『猟兵』を知ってるなんてね」
「この"光る板"から喋ってる人が、そう言ってました!」
人々はその汚染地帯のゴミから拾ってきたという、旧式のタブレットPCを持って彼女の疑問に答える。誰かの配信動画にたまたま取り上げられた猟兵の活動が耳に入ったのだろう。メガコーポに対抗する猟兵の戦いが、少しずつではあるが市井にも広まっている証ともいえる。
「ちょっとばかし飛んでていい?? 周りが汚染されてるのにここが浄化されてるの、すっごい気になるのね」
自分達のことを知っているなら話は早いと、メイは住民に秘境の調査許可を求める。ここの環境は確かに自然だが、ある意味ではとても不自然だ。「秘境には骸の海汚染を防ぐ何かがある」という不確定な噂もある事だし、一度きちんと調べておきたい。
「どうぞ! お好きなだけ見ていってください!」
「ありがとうなのね」
快く許可を貰えたところで、メイは羽毛に覆われた翼をぱたぱたと羽ばたかせて、秘境の村から垂直に舞い上がる。
秘境の規模はそれほど大きくはなく、別の世界では普通にあるような森林である。ざっと見渡した限りでは、異常なものは見つからない。
「なんか、遺跡とかがないかもチェックしそうなのね」
メイはしばらく秘境上空を飛び回って気になるものを探してみるが、最初に案内された集落の他に人工物らしき痕跡は見当たらなかった。また、生息している動植物については彼女の故郷でも見たことのあるものもあれば、この土地の固有種もあり、どれかに「骸の海汚染を防ぐ」力があるかは分からない。
「詳しい事はじっくり調査する必要がありそうなのね」
またここに来る機会があるかは分からないが、見て調べた限りのことはしっかり記憶に留めておく。自然を愛する彼女としては、ここの環境がこれからも末永く保たれることを願うばかりだ。再びメガコーポば魔の手を伸ばすような事があれば、容赦はするまい。
「おかえりなさい! ごはんはいかがですか?」
「じゃあ、戴いちゃおうかな」
調査を終えてメイが村に戻ってみると、ちょうど村人たちが宴の準備を整えたところだった。会場にずらろと並んだ料理は、どれも秘境でとれた食材を使ったもの。添加物や遺伝子組換えなど存在しない自然のごちそうを、彼女はありがたく頂くことにする。
「やっぱり、天然が一番なのね」
素朴で質素ながら、この世界においては最高の贅沢ともいえる食事を味わう、メイの表情は朗らかな笑顔であった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
ふむ、礼には及ばない…と言いたいところだが
折角のお誘いを断る事も無いな、お言葉に甘えようか
秘境の中で佇む彼らの村は見事の一言に尽きるな
雄大な自然に囲まれながら、調和を為してる姿は絶景の一言に尽きる
深い森の中にいると此処がサイバーザナドゥだという事を忘れそうだ
天然の果物か、この世界では超が付くほどの貴重品だな
まぁ、此処ではそんなに珍しくはないだろうが
果実を手に取って食べる
都市に持っていけばこれ一つでもかなりの値が付くだろう…コーポが目の色を変えてこの場所を奪おうとするわけだ
私の武勇伝を聞きたいのか?
そうだな…では、此処とは違う世界の話をしよう
果実を手に取りながら話をする
サイバーザナドゥ以外の様々な世界…それこそ十指に余る程の世界を渡り歩いたからな
そんな珍しい異世界の話ならば彼らも喜ぶだろう
そして、襲い来る無数の敵を私は一気になぎ倒した!
…こんな風にね
UCを発動
不可視の糸で手に持った果実を綺麗に切り分ければ場も盛り上がるだろう
ちょっとしたサービスだな
喜んでくれるといいのだが
「ふむ、礼には及ばない……と言いたいところだが。折角のお誘いを断る事も無いな、お言葉に甘えようか」
故郷を救った英雄として住民達から持て囃されても、キリカは傲ったふうもなく応じる。謝礼や利益のためにやった事ではないが、あちらの気持ちを無下にするのも非礼にあたるだろう。そう考えて彼女は『秘境』へ足を踏み入れた。
「こちらです!」「ようこそ、わたしたちの村へ!」
「ほう、これは見事だ」
秘境の中で佇む彼らの村は、その一言に尽きた。汚されていない雄大な自然に囲まれながら、それを損なわず調和を為している姿はまさに絶景だ。過剰に発達した文明がもたらす公害や、骸の海による汚染も、ここでは無縁のようだ。
「深い森の中にいると此処がサイバーザナドゥだという事を忘れそうだ」
「そんなに"外"とは違うんですか?」「あ、これ食べてください!」
秘境で生まれ育った住人達にとっては、この土地がどれだけ特別なのか実感がないようで、首を傾げながらキリカに歓迎の料理を勧める。差し出された皿の上には、今日採ってきたばかりという森の果実が山ほど盛り付けられていた。
「天然の果物か、この世界では超が付くほどの貴重品だな。まぁ、此処ではそんなに珍しくはないだろうが」
ありがとう、と礼を言って果実を手に取って食べてみる。ひと口齧れば素朴な甘さと、瑞々しい果汁があふれ出す。
ヒトの手で加工されていない、まさに自然の恵みそのものの味だ。"外"で食べられている合成食品とは言うまでもなく比べ物にならない。
(都市に持っていけばこれ一つでもかなりの値が付くだろう……コーポが目の色を変えてこの場所を奪おうとするわけだ)
食品に限らず、この土地に自生する動植物や土と水に至るまで全てがサイバーザナドゥにおいて貴重な資源である。
だからこそ、もしメガコーポがここに辿り着いていれば、恐ろしく容赦のない搾取と破壊の嵐が吹き荒れただろう。今回猟兵が未然に阻止できたのは、まったくもって僥倖であった。
「あなたたち猟兵は、この森の外の事を沢山知ってるんですよね?」「良ければ、お話を聞かせてください!」
一方で、外界から隔絶された素朴な秘境の原住民は、キリカ達の来た外の世界の話をしきりに聞きたがる。ゴミ山で拾った端末などを通じて最小限の知識は持っているようだが、こうして実際に外部の人間に出会うのは始めてなのだ。誰も彼もが好奇心で目をキラキラさせている。
「私の武勇伝を聞きたいのか? そうだな……では、此処とは違う世界の話をしよう」
ここで期待に応えないのも野暮だろうと、キリカは新しい果実を手に取りながら話をする。サイバーザナドゥ以外にも、彼女は様々な世界を――それこそ十指に余るほどの世界を渡り歩いてきた。そんな珍しい異世界の話ならば彼らも喜ぶだろう。
「そうだな。あれは私がブルーアルカディア……大地が空に浮かぶ世界を訪れた時の話だ」
「大地が、空に?!」「ほんとうですか!?」
彼女が語る冒険譚はどれも秘境では想像すらできないような、奇想天外なロマンに満ちていた。これだけ聴衆の食いつきが良いと、話すほうも興が乗ってくる。声に抑揚をつけ、身振り手振りも交えて、臨場感たっぷりに語りあかす。
「そして、襲い来る無数の敵を私は一気になぎ倒した! ……こんな風にね」
話が盛り上がってきたところで、キリカは【マリオン・マキャブル】を発動。不可視の操り糸で手に持っていた果実をカットし、綺麗な一口サイズに切り分ける。まるで魔法のように鮮やかなその手並みに、観客たちがどっと沸いた。
「すごぉい!」「とってもお強いんですね、猟兵って!」
喜んでくれると良いのだが、という気持ちで披露したちょっとしたサービスだったが、結果は期待以上のようだ。
ぱちぱちと拍手する人々に微笑みを返して、キリカは切り分けた果実をひとつずつ彼らに配る。そして手元に残った1つを自分の口に放り込んで、喋り乾いた喉を潤した。
「さて、次はどの話をしようか」
これまでの依頼の中から明るい武勇伝に絞っても、話せるネタはまだまだ沢山ある。「わぁっ!」と子供のように喜ぶ人々の前で、キリカは次々に自分のエピソードを披露した。その日の秘境はいつになく賑やかで、楽しい宴になったという――。
大成功
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穂藤・野々
私を愛してくれた人達が見ていた豊かな|現実世界《リアルワールド》
ちゃんと残っていたの
すごく嬉しくて……けど、ちょっとだけしんみりしちゃうのは、|私の生まれたゲーム《失くした故郷》も思い出したから
高度文明が滅びた後の世界が舞台だったから、少し似てるの
なんて、しんみりしてる場合じゃないの!
住民の皆さんが無事で良かった
歓迎してもらったら、きちんとお礼を言うね
伸び伸びと育った不揃いな果実は、無菌培養の高級作物よりずっと美味しい
豊かなのは自然だけじゃないわ
美味しい料理だってそう
心も、文化も、外の世界にはないものが此処には沢山あるの
落ち着いたらいろんな話をしたいな
どういう植物が生えていて、どんな生き物がいて、皆どんな風に生活してるの?
野葡萄もあるかな?
私の名前の由来なの♪
汚染が続く外の世界でも、皆一生懸命生きてるわ
光る板にセキュリティ掛けとくから、これからも沢山応援してね
人は命ある限り何度だって立ち上がるの
だから、いつかきっと
あ、もし良ければ、ポータル設置の許可も貰えたら嬉しいの
また遊びに来て良い?
「私を愛してくれた人達が見ていた豊かな|現実世界《リアルワールド》、ちゃんと残っていたの」
全てが企業と骸の海で汚染し尽くされたと思われていた世界に、宝物のように残っていた未開の秘境。それを実際に目の当たりにした野々は、感動を抑えられなかった。手で触れられる植物の質感、髪をなでる風、小川のせせらぎ――どれも紛れもないリアルの感覚だ。
(すごく嬉しくて……けど、ちょっとだけしんみりしちゃうの)
それは、失くした故郷のことも同時に思い出したからだろう。彼女の生まれたゲームは高度文明が滅びた後の世界を舞台にしたMMORPGで、この秘境とも少し雰囲気が似ている。今まで誰も知らなかった秘境にて、もう帰ることのできない故郷を想う――せめて、ここは守ることができて良かった。
「なんて、しんみりしてる場合じゃないの!」
せっかく歓迎されてここに来ることができたのだ。秘境の住民達も無事で良かったし、どうせならココでしか味わえないものをたっぷり見聞きしなければ勿体ない。そして住民のほうも、自分達を救ってくた恩人が、この地での滞在を楽しんでくれることを願っていた。
「大したおもてなしもできませんけど……」「どうぞ、召し上がってくださいな」
「ありがとう!」
歓迎にはきちんとお礼を言ってから、野々は宴の席に用意された料理をいただく。太陽と水と土のもとで伸び伸びと育った不揃いな果実は、無菌培養の高級作物よりずっと美味しかった。その他にも、もはやここ以外では地球上どこを探しても食べられないであろう、天然食材をふんだんに使ったフルコースだ。
(豊かなのは自然だけじゃないわ。美味しい料理だってそう。心も、文化も、外の世界にはないものが此処には沢山あるの)
ここの住人にとっては当たり前のもの全てが、外からきた野々にとっては新鮮で珍しい。汚染の進んだサイバーザナドゥで、これほど豊かな土地と独自の文化が保たれていたのは本当に奇跡である。その重みをじっくり噛みしめれば、料理の味わいも深みを増す。
「お口にあいましたか?」
「うん。とっても美味しいの♪」
本心からの感想を笑顔で伝えれば、住民達も安堵と喜びの表情を見せる。満足してもらえるか心配だったのだろう。
確かに素朴かもしれないが、彼らのもてなしは心のこもった立派なものだ。おかげで戦いの疲れもすっかり癒えた。
「どういう植物が生えていて、どんな生き物がいて、皆どんな風に生活してるの?」
落ち着いたところで改めて、野々は秘境の人々といろんな話をする。ここでの暮らし方や環境について、知りたい事は幾らでもあった。記録用のアプリを開きながら好奇心の赴くままに尋ねると、住民達は彼女の質問にどれも快く応えてくれた。
「野葡萄もあるかな? 私の名前の由来なの♪」
「ええ、ありますよ。葉や茎を煎じてお茶にしたり、実からお酒を作ったりもしてます」
どうやら外界から完全に隔てられていることもあって、この秘境の生態系は他では見られない独自のものだ。住民の口から出てくる動植物の名前には、他世界にも存在するものもあれば野々が初めて聞く固有種もある。それら自然の恵みを活用しながらも決して取り尽くさないライフスタイルが、この村では確立されているようだ。
「この森の"外"はどうなっているんですか?」
「汚染が続く外の世界でも、皆一生懸命生きてるわ」
逆に秘境の住民達は、野々達が来た外界について興味が尽きない様子だった。楽園の如きこの土地に比べれば、些か汚れてゴチャゴチャしているが、それでも人々から活力は失われておらず、メガコーポの支配に抵抗する者もいる――そんなサイバーザナドゥの現状を、野々はなるべく明るいトーンで語った。
「人は命ある限り何度だって立ち上がるの。だから、いつかきっと」
そう語る彼女の表情は真剣かつ希望に満ちている。長く遠い道程になるだろうが、メガコーポの暴走を止めて汚染を浄化する方法が分かれば、この秘境のような自然を世界に取り戻すことも絵空事ではないはず。そう信じて戦い続けることを、彼女は改めて己に誓った。
「光る板にセキュリティ掛けとくから、これからも沢山応援してね」
「はいっ!」「がんばってね!」
ライブストリーマーの配信を通じて、彼女達猟兵の活躍は今後も見られるだろう。うっかり逆探知をかけられないようにだけ細工をしてから、野々は人々に向けてぱちんとウィンク。さながらアイドルに出会ったファンのように、わっと大きな歓声が上がった。
「あ、もし良ければ、ポータル設置の許可も貰えたら嬉しいの。また遊びに来て良い?」
「もちろんです!」「いつでも大歓迎ですよ!」
楽しい宴も終わって、帰り際に野々が【マイルーム機能「ポータル設置」】の許可を求めると、住民達は快く応じてくれた。この機能は彼女専用のプライベートルームに通じる異界の扉を設置するもので、最大3箇所まで作成できる。あの高濃度汚染地帯をまた抜けて来なくても、いつでもここに来られるわけだ。
「絶対また来てくださいね!」
「ありがとう! またね♪」
かくして村の一角に設置されたポータルの扉をくぐって、野々は大勢の住民たちに見送られながら秘境を後にする。
サイバーザナドゥの希望とも言えるこの豊かな土地が、これからも誰かに侵されぬことを、心から祈りながら――。
――こうして『秘境』に迫るメガコーポの脅威は撃退され、秘境の原住民は元通りの平和な暮らしに戻っていく。
さんさんと輝く太陽、骸の雨降らぬ青空。平和な昨日と変わらぬ明日を、猟兵達は確かに守り抜いたのであった。
大成功
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