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【サポート優先】逝くならばあなたの腕で

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。


「香りは人の記憶と深く結びついている」
 明・金時(アカシヤ・f36638)がぽつりと呟く。
「帝都に影朧が現れた。だがこいつは弱り切っててな、と言っても桜學府とやり合ったとかじゃなくてよ」
 何て言ったらいいンだろうな、と金時はひとつ思案して。
「|影朧《オブリビオン》には核がある。世界に染み出して来るのは、その一側面みたいなモンだ。大抵の場合大きな差異はねェが、個体によって細かい部分が違ったりするだろ。コイツは……」
 曰く、辛い記憶の面が非常に強く出てきた存在なのだろうと言う。
 最初から、心が擦り減った状態で影朧として具現化し、弱く儚い存在として彷徨い歩いている。そんな存在なのだと。
「こいつは本来思い込みの激しい奴で、出会う人間を愛した男だと思い込み、愛した男の振る舞いを求めてくる。出来なきゃ偽物だ、騙したなと怒り狂って凍死させる……そんな手合いらしいんだが。今回は、ちゃんとお前らが愛した男じゃねェとハッキリ解ってる」
 だから、立ちはだかるなら邪魔をするなと攻撃してくる。但し、その力は掠り傷にも及ばないほど余りに弱い。
「正直全員で攻撃ユーベルコヲド発動させりゃあ、何の苦もなくあっさり倒せるレベルだ。ただ、こいつには未練があって、それを解決することでも消滅するらしい。なら、助けてやるのが人情ッてモンだろ?」
 何より、影朧の救済は帝都桜學府としても望むところである。救えるものは救うべきだろう。
 して、その未練とは。
「未練……と言っても未練と言っていいのか微妙なんだが。まァ強いて言うなら……愛した男の腕の中で死にたかったッてことらしいんだが」
 え、無理では。
「待て待て。言ったろ、香りは人の記憶と深く結びついている……ッてな。擬似的に叶える方法はあるぜ。そいつは愛した男の香りを覚えてる……それを再現してやるんだ」
 影朧の方も現実問題として己の望みを叶えるのは無理だと理解しているようで、似た香りのしている方角――調香の専門店に無意識に惹かれているらしい。
 但しそのまま行かせると帝都の人間や店員が怯える上に、影朧の求めるそのものの香りはないので、猟兵が付き添いつつ、調香してやる必要がある。
「香りに惹かれるだけあって、材料だけは揃ってる。後は正しく調香してやるだけさ」
 尤も、そのためにはまず一度冷静になって貰わないといけないが。
 猟兵たちは影朧の最期の望みを叶えるべく、まずは彼女の彷徨う帝都へ向かうのだった。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 ひっそりとサポート優先シナリオを運営させていただきます。
 (勿論、通常参加も望外の喜びですので歓迎いたします)

 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:ボス戦『愛執ノ氷華』
 第2章:冒険『はかない影朧、町を歩く』
 第3章:日常『香煙を薫らせて』

 第1章では、彷徨い歩く『愛執ノ氷華』と接触していただきます。
 邪魔をするなと攻撃はしてきますが物凄く弱いので、ちょっと冷たいくらいです。(実質ノーダメージ)
 本来の個体と違って話はそれなりに通じるので、物理的に押し留めつつ一旦落ち着いて貰いましょう。

 第2章では、冷静になった影朧を連れて目的地に向かっていただきます。
 道中、影朧と会話して意識を一般人から逸らすもよし、逆におっかなびっくりな一般人に事情を説明するもよし。
 無事にお店まで辿り着きましょう。

 第3章では、調香関係の専門店で影朧の想い出の香りを再現していただきます。
 必要な材料は店内にありますが、影朧も最初は大体どの棚にあるかくらいしか解りません。
 幾つか目星をつけて影朧に判断して貰い、全ての香りを用いて調香しましょう。

 なお、影朧に対する調香はサポートの方で完結させる予定ですので。
 通常参加で影朧関係なく調香を楽しむことも可能です。(完結するまでにいらっしゃれば、になりますが)
 このお店は帝都外の異国の調香技術も取り入れており、匂い袋の他にアロマオイルの調香もしてくれます。
 希望の香りをお伝えすれば余程マイナー(調べてもパッと出ないよう)なものでなければ調香して貰えるでしょう。

 勿論、通常参加で影朧のお手伝いも可能です。
 (恐らくサポートさんとの合同リプレイになるため高確率で成功判定になってしまいますが)

 サポート優先シナリオのため、調子や現行シナリオの進捗と相談しながら自分のペースで執筆していくことになるかと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『愛執ノ氷華』

POW   :    想イ|閉《トジ》込メシ愛執ノ氷華
【対象を抱きしめ、愛を込める】動作で、自身と敵1体に【(感情に比例して強くなる)氷漬け】の状態異常を与える。自身が[(感情に比例して強くなる)氷漬け]で受けた不利益を敵も必ず受ける。
SPD   :    「何処へ行かれるのですか?」
【視界を真っ白にする猛吹雪】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
WIZ   :    何時デモ私ハ傍ニ居マス
対象に【小さな雪のお守り(形状は任意)】を生やし、自身とのテレパシー会話を可能にする。対象に【いつでも転移したり、即時氷漬け】の状態異常を与える事も可能。

イラスト:mosu

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「………………」
 ふらり、ふらり。
 夏の帝都を彷徨う雪華の、その足取りは覚束ない。けれどその足は無意識に、愛した男の香りを求めて歩き続ける。
「ストップストッープ!」
 その眼前に、まず立ちはだかったのは四王天・焔(妖の薔薇・f04438)だ。
 幸いにして、一般人は影朧を避け道の脇に避けているようで、影朧に何かされたりはしていないようだ。
「……邪魔をしないでください。私は、あの方の元へ……」
 ふっと焔の手元が冷える。気づけば掌の中には白い六華の形をした水晶のようなものが握られていた。
 そして、そこを基点にぶわりと力が迸る!
「わっ、寒い!」
 ……が、それだけだった。
 一瞬(温度的な意味で)ヒヤッとしたが、特に痛みを伴っていたりだとか、ましてや凍ってしまったりなどはしなかった。
 本当に極限まで弱り切っているらしい。
(「邪魔をしないでほしいだけ……なんだよね。じゃあ、倒しにきたんじゃないんだってことを解って貰おう♪」)
 焔は己の胸に手を当て、朗々と歌い始めた。
 清らかで優しい、希望の歌を。
「最後まで聴いてね……♪」
「………………」
 影朧は足を止め、その歌に聴き入る。
 はらはらと、氷の宝石のような涙が溢れた。
 与えられた感情は――想い人への愛、だろうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「待ってください」
 月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)もまた、影朧の前へと進み出る。
 今の影朧を、そのまま進ませるわけにはいかない。話が通じるのであれば尚更。
「貴女も……私の邪魔をするのですか……?」
「!」
 影朧が攻撃の気配を見せる。
 莉愛はその翼を広げて攻撃に備えながらも、全身の力を抜いた。反撃するつもりはないと、証明するかのように。
 しかし焦燥からか、影朧は容赦なく莉愛へと猛吹雪を見舞う――!
「………………あら……?」
 と、思われたが。
 はらはらと、粉雪が舞い散るのみに終わり。
 その粉雪も、莉愛の背に広がる天使の翼に取り込まれ、きらきらと散り消えてゆく。
「……見ての通りです。あなたはひどく弱っている……そして私は、あなたの力を無力化することが出来ます」
「……っ、」
 影朧へと歩み寄る莉愛。身構える影朧。
 しかし莉愛は攻撃の意思はないことを示すべく、両手を胸の前で組んだ。そして、しっかりと影朧の目を見て言葉をかける。
「私達は、あなたの邪魔をしに来たのではありません。あなたのお手伝いをしに来たのです。帝都の方々も、あなたの邪魔をするつもりはないのです。ですから、攻撃をやめてくれませんか。私達と、帝都の方々を、信じてはいただけませんか」
「………………」
 影朧は、迷っているようだったが。
 迷いを生んだことこそが、進歩だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃、灼熱の束縛に加えて
自分たちが押し切られそうになったらオーバーヒートバッシュ
🔴の数が多い場合はバーニングリベンジャーだ

攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
こいつがボスか…
みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

影朧などの場合は説得もしたい




 それでもなお。
 求める香りに惹かれて歩き出す影朧へと。
「ちょっと待ったー!!」
 百地・モユル(ももも・f03218)が、がっしと押さえつけた。
「……離してください」
 傍から見れば、少年であるモユルが一見すると儚げな女性に背後からしがみつき、縋りついているようにも見える、微笑ましげな光景なのだが。
 その実、事前にリミッター解除していたモユルの限界を超えた怪力により、一歩も動けないようホールドしているのだ。
 影朧も何とか振り払おうと、猛吹雪を見舞おうとしているようだが、粉雪程度にしかならず、モユルを振り払うどころかダメージを与えるにすら至らない。
「ボクは……ボクは! まだ、誰かを好きになるとか、よくわからないけど……!」
 少なくとも、この影朧が『愛する男』に向けるものと同じ種類の愛は、まだモユル自身には覚えがない。
 それでも、誰かを好きになる気持ちは、きっと尊いものだとモユルだって思うから。
「キミが、弱っているとは言え誰かを傷つけることなんて、キミの好きな人だって望んでないと思うんだ! だから……!」
 どうか、もっと心穏やかな気持ちでいて欲しいと。
「貴方に……」
 あの方の、何が解るのですか。
 そう、告げようとした影朧は、しかしその言葉を失う。
 かち合ったモユルの瞳が、余りに真っ直ぐだったから。
 影朧は、また迷う。

成功 🔵​🔵​🔴​

リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌や鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメインだが、プロレスっぽい格闘技や忍者っぽい技もいける
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装による射撃攻撃やキャバリアによる【結界術】
その他状況によって魔術による【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。

基本的にチャラい上辺ですが、人々の笑顔のため、依頼自体には真面目に取り組みます




「はーいそこまでっすよー」
 次いで影朧の前に立ちはだかったのは、リカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)――、
「……!?」
 の、大群だった。
 老若男女様々な人々の姿をしていたが、共通してリカルドの本体である狐面を装着している姿。
 正確に言うのならば、彼らはリカルドの忍法・霧影分身術によって生み出された、霧の肉体を持つ分身だ。姿が多彩なのは、過去の装着者を模しているため。
 その中でも、最後の装着者にしてリカルドが真の姿としている青年の姿を取った分身が、代表のようにして進み出る。
「愛する者を求めて進む、大いに結構っす。とは言え、邪魔だと思った人間全員薙ぎ払う的なスタンスはいただけないっすね」
 一応、弱り切っているからダメージはないとされているけれど。
 万が一、影朧の前を横切り邪魔者判定されてしまった一般人が、怒れる影朧によって突如この真夏に急激な寒さに襲われたら、ダメージはなくともトラウマは負うと思うので。
「なら、邪魔をしないでください」
 そんなリカルドをも、影朧は押し退けて進もうとするが。
 猛吹雪のつもりで起こした雪は粉雪にしかならず、厚いリカルド達の壁を突破出来るわけもなく。
「無理に自分らと張り合うより、協力した方が建設的だと思うっすよ。自分らも平和的に解決出来るなら、協力は惜しまないっす」
「………………」
 これだけの超弩級戦力――猟兵を突破するのは難しい。
 しかも、自分の望みを肯定してくれている者もいる。
 どうすべきか、影朧は考え始めているようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

八坂・詩織
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変化。防具『雪月風花』を纏う。

この影朧は雪女なんでしょうか、なんとなく親近感が湧きますね…
…愛した男の腕の中で死にたいとかはまあ、なんとも言えませんが…(少しだけ分かる気もしなくはなく、想う人がいる身としては)

指定UC発動、はいちょっとそこで止まってもらえますか?この網に触れると運動能力が吸収されてしまいますから、どのみち貴女はこの網からは出られません。
私と貴女は同族のようですし、氷の攻撃は効きませんよ。
ですが…

近づいて、可能ならそっと抱きしめる。貴女が抱きしめてほしかった相手にはなれませんが、温もりをあげることはできます。
…少し落ち着きましたか?




(「この影朧は雪女なんでしょうか、なんとなく親近感が湧きますね……」)
 駆けつけた八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)もまた、|異世界《シルバーレイン》の雪女であるゆえに。
「……愛した男の腕の中で死にたいとかはまあ、なんとも言えませんが……ともあれ。――|起動《イグニッション》!」
 少しだけ、想う相手がいる身としては、理解出来る気もしないではないけれど。
 今はその心をぐっと呑み込んで。イグニッションカードに封じた力を解き放てば、雪女としての姿に。解けた髪は艷やかに揺れ、瞳は涼やかな青へ。雪のように清く白い衣には、薄紅の花蝶が淡く舞った。
 さあ、まずは彼女と話をしなければ。
「はい、ちょっとそこで止まってもらえますか?」
「何を、……!?……」
 影朧は詩織を睨めつけたが、すぐにその背後にあるものに気がつく。正確に言えば、自分の周囲に張り巡らされた、雪色の檻を。
「雪に似ていますが、雪ではありませんよ。この網に触れると運動能力が吸収されてしまいますから、どのみち貴女はこの網からは出られません」
「………………」
 じりじりと、詩織に近づく影朧。残された力で邪魔者を排除しようと動いているのだと、詩織は目聡く察知して。
「それに、私と貴女は同族のようですし、氷の攻撃は効きませんよ」
「……っ」
 影朧にとっては万事休す。
 悔しげに歯噛みするその姿に、今度は詩織の方から歩み寄る。
「ですが……」
 それは害するための歩みではなく。
 思い遣りを以て、影朧をそっと抱き締めた。
「……何のつもりですか」
「貴女が抱きしめてほしかった相手にはなれませんが、温もりをあげることはできます」
 誰かの代わりになんて、きっと誰にもなれない。
 けれど、優しさを、温かさを分け与えるのに、唯一の存在である必要はないのだ。
 影朧にとっては他人でも、助けたいと、手を差し伸べたいと、思ったっていい筈だ。
「……少し落ち着きましたか?」
 影朧は答えない。
 ただ、その身体からは少しだけ、硬く強張っていた力が抜けた、気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『はかない影朧、町を歩く』

POW   :    何か事件があった場合は、壁になって影朧を守る

SPD   :    先回りして町の人々に協力を要請するなど、移動が円滑に行えるように工夫する

WIZ   :    影朧と楽しい会話をするなどして、影朧に生きる希望を持ち続けさせる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニノン・トラゲット(サポート)
『冒険はロマンです!』
『まだ見ぬ何かの予感がします……アガってきちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、あれこれ心配するよりはとりあえず「有効かも?」と思ったことを何でも試してみます。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!


赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ


ハル・エーヴィヒカイト(サポート)
▼心情
手の届く範囲であれば助けになろう
悪逆には刃を振り下ろそう

▼戦闘
殺界を起点とした[結界術]により戦場に自身の領域を作り出し
内包された無数の刀剣を[念動力]で操り[乱れ撃ち]斬り刻む戦闘スタイル
敵からの攻撃は[気配感知]と[心眼]により[見切り]
[霊的防護]を備えた刀剣で[受け流し]、[カウンター]を叩き込む


コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




(「一般人を退避させるのならば……」)
 自分が力になれる筈だと、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は影朧とつかず離れずの距離を保ち、その周囲に結界を構築した。
 殺気により一般人の足を遠ざける殺界形成――今回はあくまで一般人相手なので、本当に殺気だけで形作られた結界だが。
 効果は覿面で、遠巻きに見ていた一般人もそそくさと立ち去っていく。
「ごめんなさいねーちょっと通りますよー! すぐ終わりますからねー!」
 赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)もそのサポートに周り、避難誘導を行う。
 今の影朧は力を使い果たし、また先の猟兵達の説得により、一般人に危害を加えるつもりはないようだが。それでも、万が一のことがあっては目も当てられないので。
「……ほ、本当に大丈夫なのかい? あの影朧は……」
「ちょっと顔色は悪いけど、大丈夫! 私達がついてるし、帝都で買いたいものがあるだけみたいだから!」
 話せば長くなるので詳細は割愛しつつも、ちゃんと事情も説明して。
 その間、ニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)が影朧の手を引き、コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)も影朧の隣に寄り添い、彼女を目的の店まで誘導していた。
「あちらから……あの方の香りがいたします……」
「あっちですね! 行きましょうっ」
 アース系世界の大正時代にはまだ日本に普及していなかった筈のアロマも扱う香りのお店。果たしてどのようなものなのか、ニノンも気になる様子で歩いていく。
 余りに匂いがキツいと困ってしまうかも知れないが、それでも楽しみだ。
「……ところで、雪華さんの愛する方の香りって……どんな香りでしょうか」
 おずおずと、コーデリアが影朧へと尋ねる。
 純粋に気になったのもあるが、予め聞いておけば、ある程度は店での香り探しのヒントになるかもしれないと思ったため。
「……柔らかく清々しく、それでいて上品な……お茶のような香りでした」
「……お茶……?」
 ならば、緑茶や抹茶の類だろうか。あるいは両方かも知れないが。
「それに微かですが、爽やかな香りと……異国を感じる甘い香りも……したような……」
「………………」
 ニノンとコーデリアが、顔を見合わせる。
 話はそう単純ではなさそうだ。少なくとも、お茶系の香りを含めても四種類以上の香りを取り入れていそうである。
「爽やかな香り……となると柑橘系……でしょうか?」
「……お花かも知れません。その両方、ということもあるかも……」
 これは、そこそこの長期戦を覚悟しなければならないかも知れない。四種類、或いはそれ以上の香りを全て見つけ出さなければならないのだから。
 それに配分も、かなり重要になってきそうだ。全ての香りを見つけても、同じ分量で調合するのみでは恐らく目的の香りは生まれないだろう。
 と、その時。
 ハルが徐ろに影朧へと近づき、声をかけた。
「あの店か?」
 彼が指差す先には、『心の花森』と看板が掲げられた、アンティーク調の外観をした店があった。
 窓やドアの隙間からは、微かにふわりと香りが漂ってきている。花の香り、木の香り、柑橘系の香り、その他様々な香り……と、匂い袋に包む刻み香料のサンプルや、アロマオイルの瓶が並んでいるのも窓硝子から覗い知ることが出来る。
 香りの店であることに、間違いはないだろう。
 すると、影朧の表情がぱっと明るくなる。
「ああ、ここです、このお店です……!」
 見た目からは想像出来ないほど、軽やかな足取りで入店していく影朧。
 ふとその時、ハルは思った。……思ってしまった。
(「……よくあの微かな香りを離れた場所からでも嗅ぎつけられたな」)
 それはこの個体が影朧として得た能力なのか、或いは――いずれにしても、相当な執念である。
「愛の力ってすごいなー!」
 ただ恐らく、最も確かなことは。
 緋色のその一言だっただろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『香煙を薫らせて』

POW   :    元気の出る香りを楽しむ

SPD   :    リラックスする香りを楽しむ

WIZ   :    ロマンチックな香りを楽しむ

イラスト:樫か

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

八坂・詩織
影朧さんが愛した人は相当いい香りをさせてたんでしょうか、まあ…愛した人の香りだから好きだし覚えてる、という方が適切でしょうけど。
(…あの人なら…トマトジュースの匂い?いやいや、別にトマトも嫌いではないですが)

愛した人の香りとやらも気になりますが、好みの香りを調香するってやってみたいですね。実験みたいで楽しそう。
天文好きとして宇宙や夜のイメージで…天の川銀河の中心はラズベリーの香りがするらしいのでラズベリーを中心に、ベルガモットとレモンで軽やかさを出しつつ、サンダルウッドやイランイランで深みと落ち着きをプラスしたオリジナルのアロマオイルを調香。
宇宙を表現できたかは分かりませんが好みの香りです…♪




 猟兵たちと調香に挑戦する影朧の姿を、八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)はふふと微笑ましげに見守りつつも。
(「影朧さんが愛した人は相当いい香りをさせてたんでしょうか、まあ……愛した人の香りだから好きだし覚えてる、という方が適切でしょうけど」)
 人が先か香りが先か。
 詩織は一瞬、そんなことを考えたものの。すぐに頭を振って、その思考を打ち切った。全ては影朧にしか解らぬことだ。
(「……あの人なら」)
 ふと。
 心密かに想う人の香りを、思い浮かべてみて。
(「……トマトジュースの匂い? いやいや、別にトマトも嫌いではないですが」)
 うんまあ、確かにあの人の愛飲しているものなのだけど。何だか締まらなくて、思わず苦笑してしまう。
 変に気取らず、飾らないところがあの人のいいところだ、ということにしておこうと思いつつ。
 影朧が愛した人の香りとやらも、気になるところではあるけれど。それは今回、サポート支援に来てくれた猟兵たちに任せることにして。
「好みの香りを調香するってやってみたいですね。実験みたいで楽しそう」
 店員さんにやり方をレクチャーして貰い、調香開始!
 勿論、天文好きとして目指すのは、宇宙や夜のイメージ。
(「天の川銀河の中心はラズベリーの香りがするらしいので……」)
 ラズベリーのフルーティーノートを中心に。
 トップノートはベルガモットとレモンで軽やかさを演出。サンダルウッドやイランイランのベースノートで深みと落ち着きをプラスして。
 出来上がったオリジナルのアロマオイルは、甘酸っぱくも爽やかで、それでいて心安らぐ香り。
「宇宙を表現できたかは分かりませんが、好みの香りです……♪」
 詩織は星空に思いを馳せて、銀河の香りに包まれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「いらっしゃいませ。どんな香りをお探しですか?」
 一見、男性とも女性ともつかない中性的な店員が、穏やかな笑顔と共に声をかけてくる。
「再現したい香りがあるんだよー♪」
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)が、ずずいと影朧の背を押した。
 店員と向き合った影朧は、覚えている限りの香りの特徴を伝えた。すると店員はふむと少し思案してから、ややあって再び口を開く。
「使われている香料が多そうですし、アロマオイルかも知れませんね。ハンカチイフや袖の内側に香らせることも出来ますから。……もしかしたらここのお客さんだったのかも」
 店の歴史は長いようで、使われている香りがある程度解れば顧客リストからそれらしい香りに当たりをつけ、再現することは可能かも知れないと言う。尤も、故人であろうとは言え流石に顧客の個人情報そのものを教えることは出来ないようだが。
「守秘義務があるからねー。仕方ないね」
 もっと言うなら、香りの再現もだいぶ黒に近いグレーなのだろう。超弩級戦力が求めるゆえに特例として譲歩してくれた形だろうか。
 ともあれ、善は急げだ。早速香り探しを始める焔と影朧。
「まずはお茶の香りが解りやすいよねー」
「そうですね……この辺りかしら……」
 緑茶に、抹茶。念の為に影朧にサンプルを嗅がせたが、この二種は間違いなさそうとのこと。
「後は爽やかな香りと、異国っぽい甘い香りだっけ」
 それらしい棚の側へと誘導し、影朧が反応した辺りの瓶を確保していく焔。高い位置にある瓶は店員が取ってくれた。
 確定したのは、鈴蘭とアンバー。後は柑橘系の香りだが、ベルガモットか柚子かで影朧は悩んでしまった。それに、まだ何かが足りないと言う。
「少々お待ちくださいね」
 すると、店員がそう言い残して店の奥へと消え。
 調香した二種類のアロマオイルをそれぞれハンカチへと垂らし、影朧に嗅がせてみたところ。
「これです……! ああ、間違いない……!」
 その片方の香りに、影朧が声を上げた。
 トップノートに緑茶と柚子、ミドルノートに抹茶と鈴蘭、そしてベースノートにアンバーとマスティックタイムで纏めたアロマオイルだった。
「ああ、ああ」
 影朧は、再びハンカチに顔を寄せ、その香りを胸一杯に吸い込むと。
 その姿を光の粉雪へと変じ――消えていった。
(「よかったね」)
 笑顔の焔は、確かに見たのだ。
 消えゆく直前の影朧の、この上なく満たされた表情を。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年08月10日


挿絵イラスト