●
「うっ……う、うっ……!!」
夜中、城壁際で、一人蹲り涙を流す一人の新米の城塞騎士。彼の頬は打撲によって腫れ、唇の端は切れて、血が流れていた。ぽろぽろと、涙が溢れる彼は、ぎゅうっと拳を握りしめる。
先輩騎士の元で新米騎士達が稽古をつけてもらったこの日。常日頃より体力と筋力の不足に悩んでいた彼は、先輩騎士にぼこぼこにされてしまった。
曰く、鍛錬が足らんと。こんな事では城塞騎士になどなれない。試験を受かったのは何かの間違いだ。
そして、彼は城塞騎士としての証である剣を取り上げられてしまったのだ。
両親と、約束したのに。立派な城塞騎士になると。
その約束の為に寮に住まい、日々朝から晩までの訓練に明け暮れていたのに。
「力が……力が、欲しい……っ!!」
彼の血を吐くような声が辺りに響く。切実なその願いに引き寄せられて、2体の道化が彼の元へと一歩、二歩とにじり寄っていく。
「オマエ、力が欲しいのか……? ならば、俺を手に取れ。そして、オマエを貶す奴らを斬ってやれ」
痩身の道化と肥満の道化は、不気味に笑いながら、喋る一本の剣を彼へと手渡す。
「それを使って憎っくき相手を殺せば、君は最強の城塞騎士になれるよ」
柄に手を伸ばした彼に、道化は笑いながらそう言ったのだった。
しかし、彼は知らなかった。その喋る武器を手渡されたのが、自分だけではなかった事を。彼に暴言を吐いた先輩騎士もまた、喋る武器を手渡された被害者だったと言う事を。
●
「エンドブレイカー! の世界で、城塞都市に喋る武器がばら撒かれる事件が発生しています。願いの力を移植されたマスカレイド……喋る武器を使って人を殺し続ければ、その生命を啜って更なる力を得ることができる、と唆して正気を奪い、血と力に飢えた狂気の殺戮者に変えてしまう」
グリモアベースに集まった猟兵達に、プルミエール・ラヴィンスは事件の概要を説明し始める。
「どうやら黒幕は道化の姿をしたエリクシルであるようですが、奴らはマスカレイドがある程度破壊され、計画が破綻しそうになるまでは姿を表しません。逆にエリクシル達を倒せば、マスカレイド達は消滅します。エリクシルが現れるまで道化達に対処していただき、道化達が現れたらそちらに集中していただきたいと思います」
被害者もとい容疑者は複数人。ある程度の当たりがついてから動かなければ、いたずらに被害が出てしまう可能性がある。
「まず、城塞騎士団の鍛錬や警備活動に励んでいただき、喋る武器を持つ人を探して欲しいと思います。皆さん、よろしくお願いします」
秋野
今回はエンドブレイカー! にて、全3章のシナリオになります。
●第1章
城塞騎士団と一緒に鍛錬や警備活動に参加し、喋る剣を与えられてしまった人を探していきます。
●第2章
ある程度の目星が付いたら、喋る武器を持った人々が殺戮を行うより前にその武器の回収、破壊を試みます。武器自体は普通の武器なので、壊す事は簡単ですが、操られている人は加減ができない状態となっています。
●第3章
怪しい道化のエリクシルが現れたら、これを撃破してください。2体1組のエリクシルです。
ご参加、お待ちしております。
第1章 日常
『城塞騎士団と一緒』
|
POW : 体力の限り騎士団と一緒に活動に勤しむ
SPD : 街区を隅々まで駆け回り、異常を探す
WIZ : 戦術や都市警備術について騎士達と議論する
イラスト:ハルヨリ
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マオ・ロアノーク
エリクシル…聞き覚えがある。前にそのせいで散々追いかけ回されて……でもあの時は確か宝石の事を言ってて、結局偽物だった、んだったかな…?
ともあれ、何の罪もない人達に悲しい事件を起こさせるわけにはいかないよね。
さあ、|みんな《5匹とも》出てきて!
喋る武器を持ってる人を探すよ!
君たちは下から、地面を駆けて捜索をお願い。
僕は上から。屋根の上の移動は*軽業/ダッシュ/ジャンプがあるし、高所から見渡すのは*視力/索敵/集中力がある。任せて!
とはいえ闇雲に探してもなあ…、…もしかしたらその人達は横暴な態度だったり、ぶつぶつ何か呟いてたりするかも…?
そういう人達に絞ってよく観察してみよう。
※連携・アドリブ歓迎
「エリクシル……マスカレイド……聞き覚えがある……」
マオ・ロアノーク(春疾風はるはやて・f40501)は、過去の出来事に思いを馳せつつ、視線を周囲へと巡らせる。城塞都市というだけあって、城壁があったり見張台があったり、周囲に引かれた水路の上に橋がかかっていたりと、都市構造自体が外敵に備えた堅牢なものとなっているらしい。
マオの知るエリクシルとまるでイコールな存在であるかはさておいて、人に害なすものである事は間違いなさそうだ。何の罪もない人達に悲しい事件を起こさせる訳にはいかない。
あらかた町並みを確認した後、路地裏へとさっと身を隠し、人目のない事を確認し、そして。
「さあ、みんな出てきて! 喋る武器を持ってる人を探すよ!」
|遠瞭の跳兎《テレスコープ・ジャッカロープ》で召喚された角兎達へ、マオは町の方を差し示す。
「君たちは下から、地面を駆けて捜索をお願い。僕は上から捜索するから。怪しい人や挙動不審の人は要注意だよ!」
そう言って、マオは樽を登って壁を蹴り、窓辺の出っ張りを掴んで、屋根の上へと登る。
とはいえ、果たして武器は普段から喋っているのだろうか。いくら喋る武器とはいえ、常日頃喋っているとは限らない。
「なぁ、本当に力をくれるんだろうな……くそ、返事しろよ…………」
何を目印にしたら良いだろうかと悩むマオのしゃがみ込む屋根の真下の部屋で、窓を開け放って独り言を言っている青年が一人。
なるほど、武器に話しかけている……つまり、独り言を言っている人は、一つ武器を与えられた者の候補と見て良いかもしれない。
マオは家の場所と僅かに見えた顔とを記憶に留めつつ、足音を忍ばせて隣の屋根へと移動していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ルシア・ナドソコル
POW
【心情】
喋る武器、10年以上前にも似たようなものが現れたと聞きますが……
それと似ているだけの別種なのか、何かしらの力で複製されたものなのかは、実際に調べてみないと分からないですね
【行動】
警備活動のバイトに「少年冒険者」として参加し、城塞騎士団の手伝いを行いつつ情報収集
変に僕の素性を明かして騒ぎを起こすよりかは、この姿ならばれないでしょう
「礼儀作法」には気を使って、周りに怪しまれないように行動
「不眠不休」で熱心に働くくらいはお手の物です
「城塞騎士の方だと、武器にも気を使われているんでしょうか?」
最近新しい武器を使っている人や実力者のうわさを聞き、奇妙な動きをする人を絞っていきましょう
アルジェン・カーム
之は僕も城塞騎士として放置できない案件ですね
「ここがアルジェンの故郷の世界かー…不思議な都市技術だね?」(頭の子鴉がちょこん
ええ…星霊建築は他の世界邪あまりないようですからね?
EBとしての城塞騎士としてこの都市の城塞騎士と協力して警備活動
そして鍛錬も行います
【戦闘知識】
城塞騎士達の能力と伸ばすべき所を観察して分析します
その上で訓練で模擬戦を繰り返しながら助言
防御戦術など鍛錬をしながらも飲食も共にする
【料理】
懐石料理を振舞い
そういえば…最近…剣を奪ったりとかそういうトラブルがあったと聞いているのですが本当ですか?
本来治安維持の為に戦い規範となるべき行為としては宜しい事ではありません
リカルド・マスケラス
「喋る武器っすか。ヤドリガミのパクリでも始めたんすかね?」
何にしても放っては置けないっすよ
【霧影分身術】で分身を作り、本体である自分を装着させたり、城西騎士団の清掃員や食事係として潜入するっすよ。あとは【コミュ力】で情報収集「武器を新調した団員はいるか」「団員間でトラブルとかは大丈夫か」みたいなことをそれとなく聞いて目星をつける。マスカレイドは悪意を抱く人間に憑きやすいっすからね。悪意を抱きやすい人、抱かせやすい人間関係とかチェックっすよ
ついでに新米城塞騎士の話とかも聞いとくっすかね?「飯ちゃんと食ってるんすかね?」彼の長所とか採用された理由とか分かればありがたいんすけどね
●
「おーい少年!! お前昨日の夜警もやったんだって? そんなんじゃへばっちまうぞ」
同じ持ち場の城塞騎士に声をかけられたルシア・ナドソコル(自由と冒険を求めて・f39038)は振り向いて、にこりと笑う。
「大丈夫ですよ! 一人で冒険してればこのくらい起きてる事なんて、普通にありますから!!」
そう言うルシアに彼は数回目を瞬いて、それからひょいと肩を竦める。
「俺らも大概頑丈だと思ってたが、冒険者ってのはもっとタフだな。でもま、休める時に休んどくのも仕事の内だぜ」
そう言って彼は手に持っていた飲み物をルシアに手渡して、隣に腰掛けるよう促す。その誘いに素直に応じ、ルシアは飲み物を受け取って、礼を言う。
「ありがとうございます!」
「良いって事よ。なんか最近急に休むやつとか、いなくなる奴とか居てさぁ、人手不足だったから助かるぜ。俺もこないだまで休みなしの半月連勤だったからさ」
その分のお礼だ、なんて言って笑う彼に、ルシアは飲み物に口をつけながら問う。
「そうなんですね。武器を無くしちゃったとかで言い出し辛くて、いなくなっちゃった……とか…………そんな訳ないですよね」
冗談めかして笑うと、彼は少し考えるように天を仰ぎ、そして。
「そういう奴も居たよ、実際。武器取られただのなんだの」
そう言う彼の話を何気ない様子で聞きながら、ルシアは情報をしっかりと記憶に留めていくのだった。
●
「へぇ……剣を。それは困ったんじゃないですか? その彼は、一体どうしたんです?」
城塞騎士としての経験を活かして、警備の手伝いと鍛錬に付き合ったアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は、参加させてもらったお礼と称して共に剣を交えた相手数人に懐石料理を振る舞っていた。
その場でその内の一人が世間話として話し始めたのが、剣を無くしたという一人の騎士の事だった。
彼は朝起きると剣が無くなっており、慌てて辺りを探したがどこにも見当たらず、かと言ってそれを上司に切り出す事も出来ず、そのまま脱走したのだという。だが、しかし。
「でも次の日、新しい剣を持って帰ってきたんですよね。どこで貰ったんだか、やけに切れ味の良い剣で。俺も欲しいって言ったら、すごい形相で睨まれたんだよな。そういえばあいつ、最近一人でいる事が多いけど……どうしたんだろ」
ぱくり。アルジェン自らの手で配膳した料理を、一口。瞬間、彼らの表情はぱっと明るくなり、笑顔が溢れる。
「めっちゃうまい!! 剣の腕前もすごくて、料理も上手いって、もう完璧じゃないですか!!」
彼らの中で、アルジェンの評判は上々だった。そして、食事の半分が終わった頃、窓から見える中庭に、一人の騎士の姿が見えた。
それに気付いた城塞騎士の一人が、窓の外を指差す。
「あいつですよ。さっき話してた、新しい剣を持ってたやつ。どうしたんだろ。今日は非番の筈なのに……しかも剣なんか持って」
●
俺と同期の新人で、剣を取られた奴がいるんだ。そう語るのは、腫れた頬を氷で冷やしながら食堂に現れた青年だった。
「そりゃ大変じゃないっすか。その人どうなったんです?」
尋ねるのは、料理を運んできたリカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)の厨房の手伝いとして潜り込んだ分身の一体だった。
「なんか変になっちゃって、ろくに飯も食いにこないし、無口になっちゃったし。多分、落ち込んでんだと思う。あのさ、そいつに飯持って行きたいんだ。ちょっと多めに飯くれないかな……」
なるほど、騎士としては優秀とは言い難い彼も、仲の良い相手はいたらしい。ふむふむと思いつつ、リカルドは、ひとまず彼の元に一人分の食事を置いてから、それから厨房の余り物をこっそりと包んで、彼の前に置いた。
「内緒っすからね。その人とお兄さん、仲良かったんすね」
「まぁ……同期だし。俺もよく教官に怒られたり、先輩にボコられたりしてたから。でもあいつは文句も言わないで、ひたすら努力するような真面目な奴でさ、俺は文句ばっかりなのに。だからさ、今まで支えてもらった分のお返し……なんて……」
気恥ずかしそうに、青年は笑う。
そんな彼の思いを他所に、事態は着実に、悪い方向へと進んでいく。
「……あれ、お兄さん?」
清掃員に紛れたリカルドの分身が、抜き身の剣を片手にふらふらと食堂へと向けて歩く、青年を見つける。彼こそが武器を取り上げられた新人騎士であり、食堂に来た彼の同期の青年であるのだが、詳しい容姿を知らないリカルドには、それが探していた当人であると判断は出来なかった。
ただ、様子がおかしい事だけは、確かだ。そもそも抜き身の剣を持って食堂への廊下を歩いているなんて、尋常じゃない。
清掃員として箒とちりとりを手にしているリカルドの声に、剣を持つ彼は顔を上げる。目は血走って、瞳孔が開いているように思える。
「えっと……調子でも悪いっすかね?」
問いかけるリカルドを、彼はじいっと無言で見つめる。数秒後。
「そいつを殺せ。一人殺せば一人分、お前は強くなる」
その声は、彼の口から出たものではなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『「喋る武器」の所持者を追え』
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POW : 真っ向から武器の持ち主に勝負を挑む
SPD : 隙を見て『喋る武器』を盗み出し、破壊する
WIZ : 武器の持ち主を説得し、力を求めるのをやめさせる
イラスト:純志
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
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| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
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ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
それは、ほぼ同時に起こった。
あるものは街の真ん中で、あるものは中庭で、あるものは城塞内の廊下で。喋る武器を持つ者は、騎士だけに留まらない。護身用にと唆された女性、武器屋の店主、食堂の料理人。
喋る剣は、それを握る者に囁く。
目の前にいる者を殺せと。その分だけの力を与えると。
「殺して、やる……!!」
殺戮衝動に支配された人々は、武器の言葉に応えるように、抜き身の刃を手に、獲物を探し、襲いかかっていくのだった。
マオ・ロアノーク
居た…きっとあのお兄さんだ。
…多分まだ誰も殺してない。まだ間に合う…!
堂々と青年の前に姿を表し、正面からの説得を試みる。
予め短剣に持ち替え、けれど反撃は一切行わずに攻撃の*受け流しにのみ使用。多少の怪我も耐える。
その武器のこと、聞いたよ。それで人を…殺し続ければ、強くなれる、って…。でもその話が本当だとも限らないし、もし本当だったとしても!
守るべき人を犠牲にして強くなったって、なんの意味もないよ…!
ねえ、君は…そんな事をする為に城塞騎士になったんじゃないでしょ…?
口頭だけでの説得が無理だと悟った場合は、大きく距離を取り弓に持ち替えUCを使用。
ありったけの想いを魔矢に込めて。
※連携・アドリブ歓迎
ルシア・ナドソコル
pow
【心情】
この街、滞在した時間は短いですが、優しい人も多く、雰囲気の良い街です
だから、こんな剣も送り込んだ存在も許すことは出来ません
さて、早い所終わらせてしまいましょうか
【戦闘】
噂を元に辺りを付けた持ち主が街に出るのを待ち伏せする
「目の前にいる者を殺せ、その分だけの力を与える、でしたっけ? 標的だったらここにいますよ」
挑発して攻撃を誘い、「武器受け」「カウンター」「武器落とし」のUCを放つ
この技、昔から相手の無力化に愛用している技でして
何事も訓練しておくものですね
操られている人に罪はないので傷は残さないようにしたいところですが……もし加減が効かなかったらすいません
抜き身の刃を手に、ふらりふらりと上体を揺らす青年。詰所から出て来た彼に、剣が語りかける。些か堂に入ったその様子から察するに、少なくとも新人ではないだろう。その視点は獲物を探し、右は左へと忙しなく動き回る。
「ほら、殺せよ。こないだみたいなヘマはするなよ。武器だけ取るなんて間抜けな真似、するだけ損だ。あいつを殺してれば、今頃お前も少しはマシになってたろうに」
「うるさい。だから、殺してやるって言ってんだろ。あの鈍臭くて騙されやすい間抜けなんかじゃない。もっとマトモなやつを斬ってやる」
風に流され聞こえて来た声に、屋根の上のマオは確信する。きっと、新人騎士から剣を奪ったのは、あの人だ。
判断したマオは、そのまま地面に飛び降りて、真正面から青年の前に立ちはだかる。
「なんだ、てめえ」
地の底を這うような低い声と共に足を踏み出し、マオが答える前に斬りかかった。その刃を自身の短剣で受け流しながら、呼び掛ける。
「その武器のこと、聞いたよ。さっきも声が聞こえた! それで人を……殺し続ければ、強くなれる、って……」
キンッ! と金属と金属の当たる甲高い音と、ギャリギャリと刃と刃の擦れる耳障りな音が間断なく響く。
「でもその話が本当だとも限らないし、もし本当だったとしても……守るべき人を犠牲にして強くなったって、なんの意味もないよ……っ!! そんな事の為に、城塞騎士になったの?!」
「うるせぇっ! 死ねっ!!」
さっきの会話からしてまだ誰一人殺していないだろうに、その瞳と発言とに理性は見当たらない。
説得は、難しい……かも、しれない。何よりも、全力の斬撃は思ったよりも重い。受け流すのも容易ではない。
悔しさに、唇を噛み締めながら、爪先で地を蹴って飛び退る。元より身軽なマオの方が、移動速度は速かった。
瞬時に距離を取ったマオは、そのまま流れるような所作で弓を構え、そして。
「どうかお願い……僕は、君たちを傷付けたくない」
射った矢が彼の肩を射抜き、数秒後。からんと音をさせながら、地面に剣が落ちたのだった。
「目の前にいる者を殺せ……その分だけの力を与える、でしたっけ?」
ルシアが差し入れをくれた城塞騎士から聞いた話。武器を取られたという騎士。彼が住む区画を警戒していたルシア。扉を開き、誰かをその凶刃の元斬り伏せるべく、街へと繰り出そうとしていた彼は、その声に顔をあげた。
曲がり角から現れたルシアの事を、彼は無言のまま、血走った目で見つめる。
「標的だったらここにいますよ」
そう言って、愛用の斧剣を構える。そんなルシアの姿に、にいっと彼の口角が上がる。
「そうだ。あいつを殺せ。そうすれば、お前は強くなれる」
彼が正眼に構える剣が言った。間違いないと、ルシアが確信するのと同時、彼は駆け出した。
「俺は……お前を、殺す!!」
正気を失った彼の動きは素早く、躊躇いがない。しかし、それに臆するルシアではなかった。
さほど長い時間滞在した訳ではないが、優しい人も多く、雰囲気の良い街だ。この街にそんな武器をばら撒くなんて、許せない。
そんな怒りを胸に秘め、す、と身を屈めたルシア。意識を研ぎ澄ませ、そのまま斬撃を斧部分で受けると剣の刀身を滑らせるように往なすと、鎧の小手の継ぎ目ギリギリを狙って剣の腹の部分で打撃を喰らわせる。
「ぎっ!!」
軋んだような呻き声と共に取り落とした刃の刀身真ん中へと、斧剣を振り下ろしたルシア。呆気なくぱきりと折れた瞬間、彼は手首を抱えたまま、首を傾げる。
「あ……お、俺……」
呆然とした様子で呟く彼に、念の為、トドメとばかりに剣の柄を破壊したルシアは笑いかける。
「傷は残さないようにしたんですが……痛かったですね。すいません」
そんなルシアに、彼は目を丸くしたまま、首を横に振るのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リカルド・マスケラス
「いきなり斬りかかるとか、どういう了見なんすかね?」
分身が斬りつけられて文句を言うお面
「で、強くなってどうするつもりっすか? その力誰かを傷つける力で、自分や誰かを守るような力じゃないっすよ」
などと声をかけて説得を試みる。
更に城塞騎士の青年には
「城塞騎士の仕事は剣で敵を撃ち倒すだけにあらず。その誠実で実直な心が人を救うことだってあるはずっす。何の為に城塞騎士になったか思い出すっすよ!」
などとも言っておく
これで剣を捨てたり、隙を見せてくれるなら【忍犬術】で忍犬を召喚。発見のされにくさを利用して不意打ちで剣を奪って噛み砕かせるっすよ
後は青年に
「黒幕退治に、ちょっと体を貸してくれないっすか?」
と提案
アルジェン・カーム
…随分と沢山の人が喋る武器に道を狂わされているようですね
僕から言う事は一つ
人を殺して得られる物は他者の憎しみの連鎖と…心のマヒです
喋る武器に対して
ええ…実を言うとですね
僕も「喋る武器」を持っているんですよ
ぷっさん!
UC発動
「任せて!やれやれ…持ち主を破滅させるなんて…武器として最低だよ!同じ喋る武器のよしみで…叩き折る!」
対峙する|荒ぶる男の娘《喋るキャバリア》
【戦闘知識】
相手の状態と喋る剣の動きを見据え
【念動力・弾幕・空中戦】
飛び回り念動捕縛弾を乱射
連携し動きを封じ
【二回攻撃・切断・貫通攻撃】
鎌剣と宝剣による連続斬撃を喋る武器に向けて叩き込み粉砕する!
その|終焉《エンディング》…破壊します
「随分と沢山の人が喋る武器に道を狂わされているようですね」
中庭に見える人影に呟きながら、窓を開け放ち、その窓枠に足を掛けるアルジェンの頭には、子鴉が乗っていた。
「みなさんはこの要塞を守っていてください。あちらは私が対処します」
訓練に付き合った城塞騎士の面々に声を掛けてから、アルジェンは窓から飛び出した。その足音と気配とでアンジェンに気付いた彼は、ゆらりと視線を向けた。
「僕から言う事は一つ。人を殺して得られる物は他者の憎しみの連鎖と……心のマヒです」
「うるさいやつだな。斬ってやれよ」
楽しそうにそう言う剣に言われるがままに、彼は刃を振り上げ、アルジェンへと斬りかかる。そんな彼に、アルジェンはふわりと笑ってみせる。
「ええ……実を言うとですね。僕も『喋る武器』を持っているんですよ。ぷっさん!」
呼びかけに、ばっ、と頭の上にいた子鴉、プルートーが少女に姿を変え、そして。
「任せて! やれやれ……持ち主を破滅させるなんて……武器として最低だよ! 同じ喋る武器のよしみで……叩き折る!」
周囲を飛翔し、念動力による弾幕を張るその奥から、両手にそれぞれ鎌剣と宝剣を喋る剣を挟むように振るう。
「その|終焉《エンディング》……破壊します」
アルジェンの姿をその瞳が捉えるよりも早く、彼の持つ刃は喋る武器の刀身をへし折ったのだった。
「いきなり斬りかかるとか、どういう了見なんすかね?」
分身が斬り付けられたリカルド本体を被った食堂の一体が、彼に声を掛ける。先程まで話していた城塞騎士は、呆気に取られたようにその場でただ状況を見守っていた。
「なんだお前」
悪態を突く剣は無視して、リカルドは新人騎士本人に問う。
「で、強くなってどうするつもりっすか? その力は誰かを傷つける力で、自分や誰かを守るような力じゃないっすよ」
その証拠に、君はもう既に一人の友人を心配させて、今まさに傷付けようとしている。勿論彼に剣を向けさせるつもりは毛頭ないが。
その言葉に、元より真面目で努力家だという新人騎士は、僅かに眉を顰めた。
まだ十分、彼に言葉は届くらしい。元々の性格もあるだろうし、その心の奥で誰かを犠牲にして強くなる事を躊躇っているのかもしれない。
そう判断したリカルドは、半身を引いて動きやすいような体勢を整えつつ、続ける。
「城塞騎士の仕事は剣で敵を撃ち倒すだけにあらず。その誠実で実直な心が人を救うことだってあるはずっす。何の為に城塞騎士になったか思い出すっすよ!」
「おいお前!! 何静かに聞いてるんだ?! 強くなるんだろうが!! お前を殴って剣を取り上げた奴を殺したいんじゃなかったのか!!」
喚き散らす剣に、彼は顔を歪めた。その視線の先には、彼の事を気遣ってくれた、友人の姿が。
「お……俺、は……っ!!」
吐き出すように叫びながらも抗う心が限界を迎え、剣を振り翳したその時。
「それじゃ、お願いするっすよ」
「え」
その声と共に、背後で軽く何かが飛ぶ音がしたとほぼ同時に、リカルドの召喚した忍犬が彼の手元から剣を奪い去り、そのまま鋭い牙で刃を砕いた。
「もう大丈夫っすよ。安心してくださいっす」
そう言って笑うリカルドに、新人騎士は数秒間黙った後、がくりと膝を折る。
「俺……俺、なんて事を……」
「大丈夫か?!」
項垂れる彼に駆け寄る友人の騎士。友人の励ましにも、彼は顔を上げられないまま。
「ごめん……俺、そんな……どんな償いをすればいいのか……っ!!」
そう嘆く彼を見守る事暫し。
「そういうことなら、黒幕退治にちょっと体を貸してくれないっすか?」
リカルドの提案に、彼は悩む風もなく、大きく頷くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『道化師『ゾンネンとシュターン』』
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POW : 嘲笑の激光
【道化師ゾンネンの全身】から、物質を透過し敵に【大火傷と視覚破壊】の状態異常を与える【灼熱の太陽光線】を放つ。
SPD : 悲嘆の流星群
【道化師シュターンの目から零れる涙】から、レベル×5mの直線上に【当たると対象の肉を削ぎ落す悲嘆の流星群】を放出する。【目から零れる涙】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ : 悲喜劇の舞踏
【ゾンネンの笑う時間とシュターンが嘆く時間】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。
イラスト:はるまき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「あぁ……あんなにたくさんばら撒いてあげたのに。残念だな、ゾンネン」
痩身の道化が言う。
「もうここには用はないね、シュターン」
太った道化が頷く。
2人の道化が現れたのは、城塞都市の広場だった。
異常事態に城塞内避難した為に、住人達の姿はないが、彼らに街をくれてやる訳にはいかない。
「お前らが犯人か!!」
城塞内から、城塞騎士達が飛び出して、剣を構える。そんな騎士達に、2体の道化はそれぞれに笑い、泣き、そして。
「さぁ、早く早く」
「皆殺しにしてあげよう」
そう告げた。
マオ・ロアノーク
騎士さんや街の人達を唆したのは君達だね?
危うく大勢の人が死ぬところだったんだ…絶対に許さないんだから!
[目立たない/忍び足/軽業/ジャンプ]を活かして気付かれないように高所へ移動。
物陰に潜み基本的には攻撃は行わず、矢を放つべきタイミングを図る。
うわぁ…あんなのに当たったら大変なことになっちゃう…!! 絶対止めなくちゃ!
敵のUC使用に合わせてこちらもUCを使用。[視力/暗視/スナイパー/集中力]を駆使し、放出のタイミングを見逃さない。
敵が|気絶《スタン》している間にのみ通常攻撃に参加。
角度が良好であれば[急所突き]で宝石を狙い、そうでなければ動きを鈍らせるために脚を狙う。
※後方支援につき連携希望
リカルド・マスケラス
青年の頭についた状態で戦場に向かう
「悪巧みもそこまでっすよ!」
敵の攻撃から城塞騎士達を守れるよう【結界術】の展開と【浄化】で状態異常を癒しつつ現れる
敵が仮面である自分を揶揄するようであれば
「マスカレイドじゃあないっすよ。自分は絶望でなく、みんなに希望と笑顔を届ける存在、ヒーローマスクっすから」
氷【属性攻撃】を纏った結界で相手の攻撃を防ぎつつ肉薄。ブラックコートの効果でダメージは自分が負担
「己の、みんなの想いの力を剣に! 行くっすよ!」
【正義代行】の一撃をゾンネンに。【2回攻撃】で返す刀でシュターンを叩く。彼が鍛えていた事は無駄じゃないっす
「想いの力は、まやかしの強さなんかには負けないっすよ!」
ルシア・ナドソコル
【心情】
主犯の道化師たちが現れたようですね
この街から立ち去るのは結構ですが、他の街で同じことをさせるわけにはいきませんね
「生憎と、これ以上あなた達の好きにさせるものはありません」
「僕の旅の行先は、僕だけが決める」
街の方からは飲み物なんかもいただきましたし
【戦闘】
UCを発動し、空中から攻撃を仕掛けます
直線の攻撃に対しては、「空中戦」で回避
「凍結攻撃」「武器を投げつける」で牽制
隙が出来たら、一気に距離を詰めてその仮面を「叩き割り」ましょう
「あなた達の笑いも涙も、この街には不要。武器共々お引き取りを」
戦いの後はそのまま飛び去るとしましょう
人前で説明をするのは苦手ですので
「悪巧みもそこまでっすよ!」
勢いよく城塞騎士達の前に飛び出したのは、彼らのよく知る新人城塞騎士であり、そうではないとも言える。
藍色の髪にオレンジの瞳、斜めに被った白狐の面。
「お、おまえ……まさか……」
動揺する騎士達に、彼の友人が口を開く。
「大丈夫、あいつは……今、リカルドさんと一緒に自分の行いにけじめをつけようとしてるだけ、ですから」
困惑は無くならないものの、騎士達は彼の真剣な様子に、ある程度の納得はしたらしい。それを空気で察しつつ、新人城塞騎士の身体を借りたリカルドは、城塞騎士を守るように結界を張る。
「そういう事っすから、あとは任せてくださいっすよ!!」
ついでに彼らのうちの傷付いたものや精神的なダメージを受けた者達を浄化で癒しながら、相対する二体の道化へと氷を纏った剣を振りかぶり、一閃。しかし、その斬撃はぱっと身体を離した二体の道化の真ん中を通り過ぎる。
「仮面だなんて、もしかして君もマスカレイドなのかな? 悪い子だねぇ」
太い腹を揺らしながら笑うゾンネン。
「あぁ、嘆かわしい……そんな裏切り者がいたなどと……!!」
ぽろぽろと涙を流すシュターン。そんな2体の方へとリカルドは刃の向きを変え、横に引き、身体を捻る。
「マスカレイドじゃあないっすよ。自分は絶望でなく、みんなに希望と笑顔を届ける存在、ヒーローマスクっすから」
ぶん、と振り下ろした勢いを活かすように足を踏ん張り、ゾンネンの腹部へと狙いを済ませ、そして。
「己の、みんなの想いの力を剣に! 行くっすよ!」
ゾンネンの腹部に、被害者、加害者、関係者達の思いを乗せた強烈な|正義代行《ジャスティス・スマッシュ》を叩き込んだ。返す刃で後方で隙を突こうとして構えていたシュターンの胸元を、逆袈裟に斬る。
「な、なに……?!」
狼狽えるシュターンに、リカルドは返す。
「彼が鍛えていた事は無駄じゃないっす」
「く、くそっ……ゾンネン!!」
呼ばれたゾンネンは体勢を立て直し、笑いながら両手を左右に広げた。
「わかっているよ、シュターン!!」
ゾンネンが、何かを仕掛けようとしている。それをいち早く察したのは、音もなく壁を上り、屋根を伝って要塞の見張窓まで行って物陰に身を潜め、機を伺っていたマオだった。
「させない…………っ!!」
騎士や、街のみんな。彼らを唆し、大勢の人の命を危険に晒した黒幕。決して許せる相手ではない。
構えた弓に番えた矢。その照準を合わせ、魔力の矢を持つ手を離す。狙い澄まして高所から射られた|昏絶の矢《イモビリティ》は狙い違わずゾンネンを射抜いた。
「ぐうっ?!」
僅かに身体から放たれていた光は、その一撃にすぅ、と消え失せる。
「ゾンネン!!」
気絶したゾンネンの胸元へ向けて矢を射るマオに、シュターンが叫ぶ。
「なんて事を!!」
ぽろりとシュターンの瞳から、涙が溢れた。それと同時に、マオのいる方向へと肉を削ぎ落す悲嘆の流星群が降り注ぐ。
「くっ……!!」
咄嗟に飛び退ったマオは、元より距離が離れていたが為に直撃は免れ、擦り傷を負ったが、攻撃に支障が出る程ではない。そのまま壁を駆け降りて側方へと移動して、別の屋根へと飛び移り再度矢を構え、追撃を試みていく。
「この、ちょこまかと……!!」
涙の途切れたシュターンが再度攻撃に転じるべく身構えた、その時。
「あなた達の笑いも涙も、この街には不要。武器共々お引き取りを」
上空から聞こえたルシアの声。シュターンが声の聞こえた方へと視線を向けるより早く。
輝く魔力の翼で羽ばたくルシアは、凍結の効果を纏った刃をシュターンの頭上から振り下ろす。
がっ、と口から濁った悲鳴を溢しつつ、地面に叩きつけられたシュターン。
この街から立ち去った後、他の街でも同じように事件を起こす事などないように、ここで倒さなければ。
ぴくぴくと指先を痙攣されるシュターンの背中へと、ルシアは刃を突き立てる。ぐさりと貫かれたシュターンはしかしまだ絶命には至らず、その仮面の隙間から、怨嗟の視線をルシアへと向ける。
「これ以上あなた達の好きにさせるつもりはありません」
ルシアは、シュターンの背中と地面から刃を引き抜いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アルジェン・カーム
貴方方は人の心を弄ぶのが随分とお好きなようですね
では…それを見た人たちの怒りというのを之より楽しんでもらいましょうか
【戦闘知識】
彼らの動きと攻撃の癖を解析し
それと…喋る武器…実は僕も持っているんですよ
ぷっさん
「了解だよアルジェン!」(機神の姿に戻りアルジェン収納
「叩き潰してあげるよ!」
UC発動
【空中戦・念動力・弾幕】
飛び回りながら破壊の波動を交えた念動光弾を乱射して蹂躙
流星群も迎撃かつ消失させる
…貴方方の齎す|悲劇の終焉《エンディング》…破壊させて頂きます
【二回攻撃・切断・串刺し】
連続斬撃と槍による串刺しで粉砕!
道化師とは本来楽しい時間を齎す誇り高き者達でした
残念ながら貴方方にその死角はない
「貴方方は人の心を弄ぶのが随分とお好きなようですね」
手傷を負いつつも、未だ立ち上がり攻撃の意思を示し続けるゾンネンとシュターンの前に、アルジェンは仁王立ちする。
「うるさい小蝿だなぁ!!」
「全く、己の愚かさに気付かぬなど、嘆かわしい……」
卑下しながら笑うゾンネンと、傷をおさえながら嘆くシュターン。猟兵達に勝つべく自らを強化する2体の道化を、アルジェンは鋭く見据える。
「ぷっさん!」
その声に、子烏は大きく羽を広げ、頷く。
「了解だよアルジェン!」
その声と共に機人の姿へと戻るプルートーは、そのままアルジェンを自身の内部へと収納した。
「くっ……!!」
即座に反撃の姿勢をとったシュターンは、ぼろぼろと涙を流し出す。悲嘆の流星群は、機人形態のプルートーへと雨霰と向かっていくが、しかし。
「ぷっさん! その力……今こそ示しましょう!」
超高速で飛びながら念動力を使って張られた弾幕の前に、その流星群はまるで歯が立たない。一瞬にして消え失せた流星群を前に、シュターンが舌打ちをこぼす。
「道化師とは本来楽しい時間を齎す誇り高き者達でした。残念ながら貴方方にその資格はない」
甘言を弄し、努力する人々の日常を壊すような、そんなものは道化を名乗る資格はないのだ。
「貴方方の齎す悲劇の|終焉《エンディング》……破壊させて頂きます」
アルジェンが告げると共に振るわれた槍は、立て続けに悲劇を呼ぶ道化達を貫いた。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能
接近戦で戦う場合は鎖鎌や鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメインだが、プロレスっぽい格闘技や忍者っぽい技もいける
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装による射撃攻撃やキャバリアによる【結界術】
その他状況によって魔術による【属性攻撃】や【破魔】等使用。
猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。
基本的にチャラい上辺ですが、人々の笑顔のため、依頼自体には真面目に取り組みます
櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』
乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
どんな乗り物も乗りこなしてみせる
走りこそが俺の武器!
乗り物と操縦者の総合力で戦う
サイバーアイで路面、相手の動きなど幅広い情報収集
集中力・傭兵の経験・判断速度で攻め所を見極める
シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
走り回って撹乱・誘導
仲間を運ぶ足になるのも好き
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!
明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる
過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲
ぐらぐらと姿勢を崩す道化二体へと、櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)がシールドを展開したバイクで突っ込んでいく。
「華麗なターン、魅せてやるぜ!」
そして、彼らを中心に華麗なるドーナツターンを決め、確実に二体へとダメージを与えていく。すっかりボロ雑巾のようになった二体が、どさりと地面に崩れ落ちる。
「く、ぅ……この……このぉっ!!」
「おのれぇ……!!」
怨嗟の声を漏らして俯きながら、執念で立ち上がった二体へと、剣を手にしたリカルドが距離を詰めていく。
「あんたらしつこいっすよ!!」
その声に、二体の道化が土に塗れた顔を上がる。そして、そこに広がる光景に、息を呑んだ。
「な、何?!」
何体にも増えたリカルドは、忍法・霧影分身術による分身である。
「夢か現か幻か、とくとご覧あれっすよ!」
その全てでもって二体へと殺到し、斬撃を叩き込んでいく。リカルドが借りているこの身体の持ち主の、彼の友人の、そして見ず知らずの被害者の、怒りと悲しみとを込めて。
次々に斬撃を叩き込んだリカルドの分身達がぱっと彼らを囲うように散開したと同時、その真ん中を陽里のバイクが駆け抜けていく。
「行くぜ……っ!!」
ぐ、と陽里は身を低くし、アクセルを全開にしてスピードを上げていく。
「う、うおぉっ!!」
「ひぃいっ!!」
それぞれに悲鳴を上げるゾンネンとシュターンはバイク前面のシールドで轢き潰され、そして。
「トドメっすよ!!」
その間に合体し、一体になったリカルドの振るう刃により、二体の道化はトドメを刺されたのだった。
こうして事件は一応の解決された訳ではあるが、道化と喋る武器とに蹂躙された城塞都市は、それぞれに傷付き、くたびれていた。だが元より訓練された者達であるし、それに何より、優しさと温かさのある者達だ。その事は、この都市の人々と生活をしたり、生活を覗いたりといった調査をした猟兵達は、よくわかっていた。
だからきっと、大丈夫だろう。落ち込む時間もあるだろう。自らを責める事もあるだろう。しかし、きっとまた立ち上がり、平和な都市を取り戻す事ができる。
その時にはきっと、新人騎士達もまた、立派な城塞騎士になっているに違いない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴