Ace of Disappointment
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捕虜を乗せたトレーラーが荒野を進む。
目指すはトラバス平原。『シュウェリン』とその隣国『リーゼン』の間にある広大な平野だ。
この平原は、古くから小競り合いを続けてきた両国にとって、あるときは戦いの場であり、またあるときは祭典の場でもあった。
そして今回は、捕虜交換の舞台である。
戦争が長引けば、当然戦闘も数を重ねることになり、そうなれば捕虜の数もそれだけ増えていく。それがある程度の数に達したときお互いの国へと帰すことは、いろんな意味で必然となってくるのだ。
ぶっちゃけていえば、捕虜のメシもただではない、ということだ。
そんなごくごく平凡な理由で、定期的に行われている捕虜交換の時期がやってきていた。
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「ということなんだけど……」
話し終えた理緒が、集まってくれた猟兵たちに向き直って、ちょっと言葉を濁す。
「この捕虜交換、なんだか怪しさ満点なんだよね」
捕虜交換自体はおかしなことではない。だからこそそれが予知に引っかかるというのがおかしいのだ。
予知されたということは、オブリビオンマシンが関係しているということ。けれど、今回はその全体像がまったく見えてこない。
今解っているのは結果だけ。
この捕虜交換をきっかけに『シュウェリン』がオブリビオンマシンに襲われるということ。
そしてそうなってしまえば、『シュウェリン』がオブリビオンマシンに制圧されてしまうということだけだ。
どうしようか。理緒が悩んでいたそんなとき、
「以前の依頼での関係もあって、『シュウェリン』政府からこの式典に猟兵を招待するって連絡が来たんだよ。もちろん『シュウェリン』政府の権限が及ぶ限りで、行動の自由も保障してくれるんだって。簡単に言えば、式典に参加して、なにをしてもいいってことだね」
あ、もちろん『リーゼン』と揉め事起こすようなのはダメだけど!
理緒はちょっと考え、あわててそう付け加えた。
せっかくの招待を断るのも申し訳ないし、自由に動けるなら調査するにはちょうどいい。
「この捕虜交換になにが隠されているのか。まずはそれを調べて、企みを阻止してもらえないかな?」
理緒はそういうと、自らのタブレットを操作してゲートを開き、猟兵たちを送り出すのだった。
すい
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かなりなお久しぶりになってしまいました。のんびり系マスターのすいです。オープニングに来てくださり、ありがとうございます。
はじめましてのかたも、お久しぶりのかたも、よろしくお願いいたします。
今回は、以前に出した『シュウェリン』シナリオの第3弾になります。
リンクは張っておきますが、前回を知らなくてもまったく問題ありませんので、お気に召しましたら気にせず参加していただけますと嬉しいです。
Encounter with the unknown(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=35631)
Convoy raid(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=43594)
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第一章は冒険。
転送された猟兵は『シュウェリン』政府の招待で捕虜交換式典に出席することになります。
普通に式典に参列しても構いませんし、警備などをしても構いませんし、気になったことの調査などをしても構いません。
大きなトラブルを起こさない限りは自由に行動できます。
POW/SPD/WIZは目安というくらいでお考えいただいて構いません。
プレイングボーナスとしましては『捕虜交換式典になにがあるのかを推理して行動する』です。
第二章、第三章は断章にてお伝えいたします。
●キャバリアについて
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターは、『シュウェリン』政府からレンタルできます。
●プレイングの募集について。
第一章は断章がありません。
プレイングの受け付けは、、締め切りはタグにてお知らせしますね。第二章以降の募集と締め切りについてもタグにてお知らせいたします。
それでは皆様の素敵なプレイング、お待ちしています。
第1章 日常
『哀悼の意』
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POW : ●『会場などで護衛や仲裁を担う』
SPD : ●『受け入れられるよう、噂や工作を施す』
WIZ : ●『反対する者達を説得する』
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フレスベルク・メリアグレース
では、メリアグレース聖教の教皇として訓示を述べさせてもらいましょうか
UCで強化した技能を使い、人の心を掴む訓示の言葉を作成
それを式典側に提出して反応を見ます
どちらにも寄るでなく、あくまで『人としての当たり前』、つまり根源的幸福を願う事を押し出して尊ぶ文にしました
根源的幸福は政治的事情を超えて人の心を動かします
その様な文にしましたが……それに反応する者が現れたら、要注意という事でしょうね
高まった読心術と情報収集でそれらの動向を見定め、反応を見通していきます
さて、鬼が出るでしょうか?それとも蛇……或いは如来か菩薩でしょうか?
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青く晴れた空の下に広がる平原。そのほぼ真ん中の位置に設えられた壇上に男が上る。
「それではこれより『シュウェリン』『リーゼン』両国による捕虜交換式を行います」
きぃん、という軽いハウリングを落ち着かせ、壇上に立った背広姿の男が静かに告げると。それまで軽いざわつきを見せていた会場が、しん、と静まりかえる。
「まずはじめに、今回の交換式の見届け役として、メリアグレース第十六代教皇である、フレスベルク・メリアグレースさまより、お言葉をいただきたいと思います」
司会の男に呼び込まれ、純白の天衣に身を包んだフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)が、入れ替わるように壇上に立つと、会場に並ぶ捕虜達に一礼してから、マイクの前に立った。
「まず最初に……勇者たちに労いを」
フレスベルクはそう言うと、一歩下がり、もういちど深々と頭を下げると、あらためて捕虜たちをしっかりと見渡してから話し出した。
「あなたたちは自らの守るべきもののため、その身を賭して戦いに臨んだ『勇者』です」
フレスベルクはしっかりとそう言い切り、声音を緩めてあとを続ける。
「自らの大切なものを守ろうとするのは人として至極当たり前のこと。あなた方は、自らの為すべき事を為しただけ、そう思うかもしれません。そしてそれにより囚われの身となり、自らの大切な人たちに心配をかけてしまったことを悔いているかもしれません」
瞳が翠玉の輝きを帯び、その視線が捕虜ひとりひとりに注がれた。
「しかしそれは、そう思っているのならば、それは誤りです。その当たり前をすることがどれだけ難しいことか、なぜならそれは、真に勇気ある者しかできないことだからです」
優しくも凜とした声音が捕虜たちの心を包み込み、それまで後ろ向きに固まっていた気持ちがフレスベルクの言葉を受けて、だんだんと解れていく。
「その行動と志に、非難されるべきことはなにもありません。胸を張り、笑顔で故郷へ帰還されてください。あなたたちは『勇者』であるのですから」
そう締めくくり、フレスベルクは笑顔とともに三度礼をした。会場は静寂を経て大きな拍手に包まれ、中には人目をはばからず涙を流す者までいた。
捕虜たちの大半が不安と自己否定から解き放たれ、会場の雰囲気が柔らかくなっていく。しかしそんな中……。
「……ちっ」
舌打ち。
|威風《マスターマインド・ザ・ナチュラル》によって高められたフレスベルクの感覚はそれを見逃さない。
「『勇者』だと。ふん、そうだな。俺もかつてはそう呼ばれた。だがな『勇者』だろうと『英雄』だろうと、負ければみんな『敗者』なんだよ」
負けっぱなしでいてたまるものか。男は瞳の奥を闇に堕として。たしかにそう呟いていた。
式典が終わり、会食の時間になると男は会場をすり抜けるようにして『シュウェリン』のトレーラーの中へと消えていく。
フレスベルクはそれを確認すると、警備隊の本部へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
お祭りですって!?
わたくしお祭り大好きですわ〜!
お祭りでなくてお捕虜の交換のお式典?
こまけぇこたぁよろしいのですわ〜!
やはりお祭りと言えばお酒ですわね!
お酒を飲んで皆様ハッピーになられるとよろしいのですわ!
そんな時にはこちら!
無限ストロングチューハイですわ〜!
キンッキンに冷えておりますわ〜!
ありがてぇでしょう?
ん?どこからお出ししたのかと?
もちろんお口からですわよ?
こう、オエー!と
さあさあ!遠慮なさらず!
皆様お飲みになって?
お酌致しますわよ〜!
お酒アンドおピース!
お酒で皆様を笑顔にするのですわ〜!
お捕虜の方々もお飲みになられるとよろしいのですわ〜!
お酒は皆で飲むと美味しいのですわ〜!
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式典というものは、多分に政治的な側面があり、形式が重要とされるものだ。
しかし主役であるはずの捕虜達の大半は、長々とした挨拶や形式的な書類の交換などに興味はなく、ただ本国への帰還、家族との再会を望んでいるというのが実際のところである。
しかも式典での演説で、捕虜たちの帰国への念はかなり高まっている。
だから、その形式的手順が一通り終わってからの会食も、さして盛りあがるようなものにはならない。|これまで《捕虜の時》とは違う豪華な食事や美味しい飲み物も、『家に帰れりたい』という気持ちには及ばないからだ。
こんなことで時間を過ごすのならば帰還のトレーラーに早く乗りたい。それが捕虜たちの気持ちだった。それゆえこの会食の時間は、|立ち会いとして参加している高官たち《政治的目論見のあるものたち》以外にとっては、ただただ早く過ぎてほしい時間だったのである。
しかし、そんな焦れるような雰囲気に風を吹き込む者がいた。メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)である。
淡いピンクの長い髪、そしてその色に合わせた柔らかなワンピースに身を包んだ彼女は、笑顔を振りまき、明るい声音で捕虜たちを労い、そして、大いに酔っていた。
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「お祭りですって!? わたくしお祭り大好きですわ〜!」
猟兵として参加していた彼女は、初手からテンションが高かった。
隣にいた『シュウェイン』の武官に、
『お祭りでなくて捕虜の交換の式典なのですが……』と言われた気もする。
けれど彼女は、こまけぇこたぁよろしいのですわ! とばかりに会食の会場にアゲアゲで乗り込んでいったのだ。
「さぁ、みなさま! せっかくお国に帰れるのですから、そんなしけたお面をなさらず楽しく行くのですわ~!」
そう言ってグラスを掲げると、中に入っていた液体が零れそうなくらいに揺れる。それを見てメサイアが、
「こぼしてはもったいないですわ!」
とばかりにグラスを傾ける。
「やはりお祭りと言えばお酒ですわね!」
美味しそうに飲み干し、息を大きく吐き出しながらそう言うと、それを見ていた捕虜のひとりが、
「なぁ、それも酒なのか? 見たことない色してるんだが……?」
と、メサイアの持つグラスを指さした。
「無限ストロングチューハイですわ〜!」
メサイアが胸を張って答えると、効果音が聞こえてきそうな膨らみに捕虜の目が一瞬グラスから離れた。
その一瞬の隙を突いてメサイアが捕虜の口にグラスの酒を流し込む。
「キンッキンに冷えておりますわ~」
ありがてぇでしょう? と、メサイアがとびきりの笑顔で笑う。アルコールでほんのり赤くなった頬とも相まって、その破壊力はバツグンだ。しかし……
メサイアはさっきこのグラスの酒を飲み干していたはずだ。そのことを捕虜が問うと、
「ん? どこからお出ししたのかと?」
そんなことですか、とメサイアは微笑み、次の瞬間。
「もちろんお口からですわよ?」
と、グラスの上で口を開くと、虹色のモザイクが施された映像の裏で、グラスは液体に満たされていく。
「さあさあ!遠慮なさらず! 皆様お飲みになって?」
満たされたグラスをまわりにいた捕虜の人々に押しつけつつ、メサイアは微笑みながら、
「お酌も致しますわよ〜!」
と、グラスの空いている人を見つけては、口を開いて近寄っていく。
「お酒を飲んで皆様ハッピーになられるとよろしいのですわ!」
周りの人のグラスが満たされたことに満足げに頷いてから、自分のグラスをぐいっとあおると、心底幸せそうなメサイアに、まわりの捕虜たちも覚悟を決めてグラスに口をつける。
『美味い!』『美味しい!』『これはいけるな!』
口の中に広がるほんのりした甘さとアルコールの苦み、そしてすっきりした柑橘系のフレーバーが後味に、捕虜たちが口々に声を上げた。
「お酒アンドおピース! お酒で皆様を笑顔にするのですわ〜!」
そんな声に包まれて、メサイアはとびきりの笑顔でガッツポーズを決めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
イクシア・レイブラント
○◇
あなたから依頼を受けるのも久しぶりね。依頼は潜入捜査?
了解。なら、新しい鎧装がよさそうね。これなら目立たないでしょう?
https://tw6.jp/gallery/?id=185953
襲撃するオブリビオンマシンが転移してくるとは考え難いし、どこかに隠れているはず。
警備担当者たちと協力しつつ【追加装備】展開、
光学迷彩を看破する索敵ガジェットを用意して[視力、索敵、気配感知]、
さらに、デコイドローンを検知させて[おびき寄せ]を狙う。
あとは状況に応じて柔軟に動くね。
鳴上・冬季
「これ自体は平和式典ではないのですよね?そしてオブリビオンマシンは予知されていない、と」
「他国では骸の海に汚染され、半ばオブリビオンと化したMIAの兵士達の反乱もどきがありましたが。捕虜交換となると、状況的には近いと思うのですよ。兵士の乗った機体は半ばオブリビオン化し、兵士を倒すと機体も正常に戻りましたから。流石にここでアダムカドモンを名乗る集団は出て来ないと思いますが、似たような科学者達はいそうな気がします」
猟兵は見ればオブリビオンを識別できる筈なので、式神を多数放つ
交換される捕虜を視認後、会場周辺観察
交換会場からの一般市民避難ルートの目星を付ける
「警備キャバリアを強奪し虐殺、でしょうか」
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「あなたから依頼を受けるのも久しぶりね。依頼は潜入捜査?」
式典への潜入捜査、ということになるね。聞かれてそう答えたグリモア猟兵の隣で、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は、
「了解」
と、小さく頷いてから、転送されてきた真新しい鎧装に身を包んだ。
黒のスーツに、翡翠色に彩られた白い手袋とブーツと翼。
「これなら目立たないでしょう?」
くるりとまわるイクシアを見てグリモア猟兵は、セクシーすぎて捕虜さんたちの目の毒かも、そう思いながらも、それはぐっと飲み込んで
「とっても似合っているしみんな喜ぶと思うよ」
と肯定の返事を返したのだった。
そんなグリモア猟兵に、声を掛ける猟兵がもう一人
「これ自体は平和式典ではないのですよね?そしてオブリビオンマシンは予知されていない、と」
鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は問う。
「そうだね。目的が捕虜の交換だから平和的ではあるけど、和平とかを目指した式典ではないかな。でもこの式典でのオブリビオンとの戦闘はないはずだよ」
その答えに頷いて、鳴上とイクシアはゲートへの中へと入っていった。
●
「他国では骸の海に汚染され、半ばオブリビオンと化したMIAの兵士達の反乱もどきがありましたが……」
参加者に紛れて会場内をパトロールしながら、鳴上が隣を歩くイクシアにそう話しかける。
「捕虜交換となると、状況的にはそれに近いと思うのですよ」
鳴上の論に、イクシアはしばし考え込む。
鳴上の話によれば、そのときは兵士の乗った機体が半ばオブリビオン化し、兵士を倒すと機体も正常に戻ったということだ。
流石にまったく同じになることはないと思いうが、それに似た状況にはなり得るのではないか――。
イクシアは歩みを止めると、その言葉とグリモア猟兵の言葉を頭の中で組み合わせてみる。
鳴上の話は的を射ていると思うが、グリモア猟兵はこの場での戦闘はないと言った。ならば式典での戦闘はないのだろう。
(襲撃するオブリビオンマシンが転移してくるとは考え難い、が……)
それはこの場にオブリビオンマシンがいないということではないし、平和的な式典の隙をついて攻め込んでくる――もっといえば、捕虜を連れて帰るところを襲撃される――という恐れは十分考えられる。と、いうことは……。
「どこかに隠れている……?」
イクシアは言葉に出してそういうと、鳴上もその予想をしていたのか頷き返す。
2人は不自然にならないよう肩を並べて歩きながら、警備本部へと向かっていった。
●
「ようこそいらっしゃいました」
警備本部を訪れた2人を、警備責任者のコール中尉が敬礼で出迎える。
2人は丁寧に挨拶をするコール中尉に自分たちの懸念を伝え、動いていいか、と許可を求めると、
「もちろんです。警備にご協力いただけるなんて、こちらからお願いしたいくらいですので」
中尉はすこし安心したような表情になると、その申し出を歓迎した。
許可を得た2人は、式典の見取り図を確認した後、二手に分かれて行動を開始した。
イクシアはコール中尉から警備の担当者を数名借りると、各種受信装置と記録装置の準備をさせ、|【追加装備】《サイバーツール》を発動。光学迷彩を纏わせたドローンを展開して会場の上空へと飛ばした。
イクシアの展開したドローンを見て、
「式鬼神招来急急如律令」
鳴上も印を結び式神を喚ぶ。式神はその場の空気に馴染むように存在感を消すと、捕虜の中へと紛れ込んでいき、その動向を見守った。
イクシアの空の目と、鳴上の地の目。
両の目が変化を捉えたのは会食の席になってからのことだった。
それまでは整然と、いや、むしろお通夜の席のようだった雰囲気も、演説に力づけられ、酒も入ればその雰囲気は砕けていく。
一部ではお祭りのようになっているところすらあるくらいだ。そうなれば人の心も口も緩む。そんな隙を2人の『目』が見逃すはずはない。
「そういえばあのトレーラー、なに乗せてたんだろうな?」
「なにって、捕虜だろ?」
「いや、違うと思うぜ。だって俺、あのトレーラーにメシ持っていった記憶ないからな」
側に立つ式神にはまったく気づくことなく、ほろ酔い気分の『リーゼン』の兵士がグラスを傾けてながら話していた。
気になりすぎる会話。
今回は捕虜交換だ。人間と食料以外でトレーラーで運ぶほどの数を持ってくるものなどないはず。ならばそのトレーラーにはなにが乗せられていたのか――。
これまでの推測を元にすれば、想像するに難くない。
鳴上が『リーゼン』のトレーラーへと式神を向け、その情報を受けたイクシアが周辺地域の探索をしながら警備部隊と鳴上を繋ぐ。
イクシアの電子的な索敵で発見された平原に残る走行パターンと、鳴上の式神がトレーラーで見つけたキャバリアの整備・搬出跡。そこから導き出される結果はもちろん黒……いや赤といったほうがいいだろうか。
警備隊はその結果を受けて、全員に極秘の緊急警戒態勢を発し、本国にコードレッドを送信した。『シュウェリン』の警備隊が静かに警備体制を整えていく。これで『リーゼン』が動いたとしても被害は最小限に抑えられるはずだ。
そしてイクシアはさらに場所を絞り込むべく、エネルギー補給に帰還させていたドローンを再び飛ばして走行痕を辿って行く。
鳴上は式神を還すと、最悪の事態にはならなかったことに息を吐いていた。
それはこの会場で武装を許されたもの――つまりは警備隊――による捕虜の虐殺。
この推測が外れた事には安堵したが、それでもキャバリアが極秘に持ち込まれたことは疑いない。捕虜が無事に帰還できるルートを導き出そうと鳴上は警備隊との打ち合わせに入った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セレーネ・ジルコニウム
「シュウェリンとリーゼンの捕虜交換――そこにオブリビオンマシンですか」
『わしら私設軍事組織ガルヴォルンの目的、オブリビオンマシン殲滅のためには放っておくことはできまいて』
機動戦艦ストライダーの艦長席で、制御AIミスランディアの言葉に首肯します。
「じゃあ、退屈なので、ちょっと式典を見物してきますね」
『待たぬかセレーネ。わしらガルヴォルンは平時は傭兵部隊じゃ。
そんな者がシュウェリン側として式典に参加しておったらどうなる?』
「えーと、大歓迎?」
『ばかもの。シュウェリンが軍事力を誇示しては、リーゼン側の政府高官に不審感を与えるだけじゃ。武力で捕虜を取り返すつもりなのではないか、とな』
「なるほど、力ずくで捕虜を取り返せばお得ですね」
『それだけではない。式典に来ておるリーゼン高官を人質にすれば、一気に戦争に勝てるやもしれぬ。――まあ、その条件はリーゼン側も同じじゃがな。例えばオブリビオンマシンを使って、とかのう』
「大変じゃないですか!
やっぱり式典に行かないと!
退屈ですし!」
『だめじゃと言っておろう』
シャナミア・サニー
せっかくのご招待だし式典参加
いやーシュウェリン久しぶりすぎて思い出すのに時間かかっちゃった
そういやオクトジャミング装甲の研究も止まったまんまだー
あっはっは
まぁそれはさておいて(気まずそうに視線逸らす
あんまり頭使うのは得意じゃないけど
きな臭いのは理緒さんの言う通りだし
さてどうしようか
相対すればオブリビオンマシンってわかるだろうけど
全機見るのは現実的じゃないしなー
うーん
とりあえず飛ぶか
【ドラゴニック・ブレイヴハート】で羽根強化
ぱたぱたと3mくらいの高さで低空飛行して見回りしよう
視察視察
ヤバそうなら戻るけど
『うっかり』リーゼン側の陣地に入れたりしないかなー?
お姉さんの魅力でどうにかならないかなー!!
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「いやー、シュウェリン久しぶりすぎ」
シャナミア・サニー(キャバリア工房の跡取り娘・f05676)が、周囲を見渡しそう言いながらてくてくと歩く。ここにくるのはだいたい1年ぶりくらいになるだろうか。
そのあいだ依頼がなかったことは、平和だったと考えればいいことなのだが、あまりに久しぶりすぎていろんなことを思い出すのに時間がかかった。
そういえば以前『シュウェリン』の工廠でアイディアを見つけ、自身の工房で開発しようとしていたオクトジャミング装甲の件もすっかり止まったままだ。
あっはっは。と乾いた笑いの裏でグリモア猟兵が深々土下座しているイメージが浮かんだが、とりあえずいまは関係ないので横に置いておくことにする。
|閑話休題《なにわともあれ》――。
グリモア猟兵も言っていたが、この捕虜交換にはどうにもきな臭さを感じる。なにが、と問われると、それに対する明確な答えはまだ持ち合わせていないのだが、シャナミアの感覚に引っかかるものがあるのだ。
今まで信じ、裏切られたことのない自分の直感。今回もそれを信じて、シャナミアはガルヴォルンの旗艦ストライダーから降り、捕虜交換の会場へと向かっていった。
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時間は少しだけ巻き戻る。
式典も形式的なプログラムが終わり、会食のはじまった時間。ある程度の行動の自由が認められれ、それまで整列していた捕虜たちがばらばらに動き出した頃。そんな騒がしさを増しつつある式典会場から少し離れて、トラバス平原の外れにぽつねんと佇む艦が一隻。
「シュウェリンとリーゼンの捕虜交換――そこにオブリビオンマシンですか」
機動戦艦ストライダーの艦長席に座り、超長距離望遠鏡で会場を監視しながら、私設軍事組織ガルヴォルン司令官、セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)が今回の依頼の内容を思い出しながら呟くと、
『わしら私設軍事組織ガルヴォルンの目的、オブリビオンマシン殲滅のためには放っておくことはできまいて』
ストライダーのAIにしてガルヴォルン全体の|参謀役《司令官お目付け役》であるミスランディアが、モニターの中で頷きながら言葉を返す。
望遠鏡から見える会場の様子に今のところ怪しい雰囲気はないが、オブリビオンマシンが関係していることは予知で解っている。だから監視の手も緩められない。
オブリビオンマシンがその場にいるならば直接叩く。いなくてもその目論見は潰す。それがガルヴォルンの目的なのだから。だからそのために――。
「そうですよね! じゃあ退屈なので、ちょっと式典を見物してきますね」
ミスランディアの返答をどう解釈したのか、ぱあっ、と笑顔になったセレーネがうっきうきで席を立とうとするが、
『待たぬかセレーネ』
艦長席の後ろからマジックアームが伸び、セレーネの襟首を掴んで引き止める。
『わしらガルヴォルンは平時は傭兵部隊じゃ。そんな者がシュウェリン側として式典に参加しておったらどうなる?』
ツッコミどころの多すぎるセレーネの言葉を聞こえなかったことにして、ミスランディアは手足をぱたぱた動かしてアームから逃れようとするセレーネに問うた。
「えーと、大歓迎?」
セレーネがしばし考えてから、こてん、と首を傾げてそう答える。かわいい。
『ばかもの。今回は『式典』じゃろうが』
一喝。セレーネの愛らしい仕草も、ミスランディアには通じない。
『そこでシュウェリンが軍事力を誇示しては、リーゼン側の政府高官に不審感を与えるだけじゃ。武力で捕虜を取り返すつもりなのではないか、とな』
ミスランディアが諭す。
司令官としての資質は備えているのだが、生来の天然と考えるよりも先に体が動く癖はどうにも直らない。セレーネの年齢を考えれば仕方のないことなのかもしれないが、教えることはまだまだたくさんありそうだ。
一端言葉を切って、ミスランディアがそんなことを思っていると、
「なるほど、力ずくで捕虜を取り返せばお得ですね」
冗談か本気かわからないセレーネの発言に、本気ならば12時間級の特別集中講義確定、と心に決めて、ミスランディアはさらに続ける。
『それだけではない。式典に来ておるリーゼン高官を人質にすれば、一気に戦争に勝てるやもしれぬ』
しかしそれは禁じ手でもある。いくら戦争でも最低限のルールはあるのだ。
その手が! みたいな顔をしているセレーネに、アームでチョップを入れつつ、
『――まあ、その条件はリーゼン側も同じじゃがな。例えばオブリビオンマシンを使って、とかのう』
ミスランディアの言う可能性に、セレーネがさっと顔色を変えた。
「大変じゃないですか! やっぱり式典に行かないと! 退屈ですし!」
そう言うと軍服のジャケットを脱いで、アームからの脱出を図ろうとするセレーネに、
『だめじゃと言っておろう』
ミスランディアはぴしゃりと言い切ると、アームの出力を上げてセレーネを艦長席に引き戻し、さらに手足をロックした。
「ちょ、ちょっと! なにするんですか!」
いきなりの拘束にさすがのセレーネも抗議の声を上げるが、ミスランディアはそんなセレーネをジト目で見つめる。
『セレーネよ。先ほどから監視のためといって覗いていた超長距離望遠鏡……会場の料理しかみておらんかったよな』
「なんで知ってるんですか!?」
セレーネの目が泳ぐ。
『なんで、と言われてものう』
当然である。超長距離望遠鏡は直接の目視もできるが、もちろんモニターにも繋がっている。つまりはストライダーに記録されているのだからミスランディアも同時に見ているに等しい。
そしてただでも座っているのに飽きていたところに美味しそうな料理を見せつけられれば、我慢も限界になっているだろうことなどミスランディアには、いやミスランディアでなくても丸わかりである。
『そんなことより』
ミスランディアの声が一段低くなる。
『もう退屈してる時間などないぞ。これから特別集中講義じゃからな』
ミスランディアの言葉とともに、艦長席が強制的に|CIC《勉強部屋》へと移動を開始する。
「なんでですかーーーーっ!?」
艦長席があったところにぽっかり空いた穴の奥から、セレーネの叫び声が響き渡った。
●
そして会場に視点は戻る。
「さてどうしようか」
通信用のイヤホンから流れるストライダーの艦橋漫才を聞き流しつつ会場内を歩きながら、シャナミアが呟く。
オブリビオンに冒されているなら相対すれば解る。とはいえ、この数を全員というのはとても現実的ではない。
「まぁ、とりあえず――」
飛ぶか。
シャナミアが緑の瞳を輝かせると、翼を広げた。顔がしっかりと確認できる高さまでふわりと浮き上がると、俯瞰で会場を見渡す。これなら歩きながらよりは効率がいいはずだ。
とはいえ、交換される捕虜の数は約300人もいる。これはシュウェイン側からリーゼンに引き渡す数ではあるが、対等な捕虜交換ということならリーゼンからシュウェインに引き渡される捕虜の数もほぼ同数だろう。効率が多少上がったとしても、やはりこの方法では時間がかかりすぎる。
(このまま『うっかり』リーゼン側に入れたりしないかなー?)
ぱたぱたふわふわ。空に浮かびながらシャナミアは、遠くに見えるテントを見つめた。
(いまはもうお酒が入ってる人も多いし、私も酔ってますってことにして、お姉さんの魅力全開でいけばなんとかならないかな?)
キャバリアでも生身でも、戦いにおいて自分の武器を把握しておくことは必須である。そしてシャナミアは、自分の持つ武器の破壊力をしっかり理解していた。
ヤバそうなら戻ればいいし、やってみるか。
そう思い、リーゼンのテントへと向かおうとしたそのとき、
『シュウェリン警備本部、コール中尉だ。トレーラー付近にて不審な行動をする者を確認した。各員留意されたし』
イヤホンから小さなノイズに続いて、やや緊迫した連絡が聞こえてくる。それを聞いたシャナミアも急ぎシュウェリンのトレーラー付近へと戻ると、上空から監視をはじめた。
連絡にあったトレーラーには人の気配はあるが、オブリビオンの気配は感じられなかった。
シャナミアはコール中尉に連絡を入れて許可を得ると、トレーラーに出入りする人が途切れるのを待ってから調査を開始した。
そしてそこでみつけたのは――トレーラーのシャーシの底。タイヤの影に隠されるようにして付けられていた発信器。
外して壊すのは簡単だ。けれどそれでは黒幕が解らなくなる。
そう考え、シャナミアは発信器の存在を警備本部に伝えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アダタラ』
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POW : 支援砲撃
【グレネードキャノン】で射撃している間、射程範囲内の味方全員の行動成功率を若干増やし、敵全員の成功率を若干減らす。
SPD : ガードアタック
【スパイク付き実体盾】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【盾か排土板】で必ず防御し、【ガトリング砲か盾のスパイク】で反撃できる。
WIZ : 対キャバリアミサイル
【照準】を向けた対象に、【多連装ミサイル】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「コール中尉、探知成功しました」
トレーラーに付けられた発信器の電波を追っていたオペレーターから、連絡が入った。
「電波の送信先は式典会場から南西に約60kmにある、トラバス平原外れの岩場に向けられています」
猟兵が発見したキャバリアの走行痕もそちらに向かっていた。そこにリーゼンの部隊が潜んでいるのはまず間違いないだろう。しかし――。
「ぎりぎりリーゼンの勢力圏内、か」
シュウェリンとリーゼンは、緩衝地帯であるトラバス平原を挟んで隣接している。故にトラバス平原は何度も両国の戦闘の舞台になってきたし、今回のような式典の舞台ともなってきた。
だから敵がトラバス平原内に潜んでいるなら遭遇戦という形で仕掛けてみてもいいのだが、相手が駐屯しているのは自国の領内だ。
仕掛けるならば『シュウェリンからの侵攻』ということになる。しかし捕虜交換式典の翌日に奇襲など、国内外に聞こえが悪い。
それに、相手の戦力規模も解っていない。
「リーゼンがなにかを企んでいるだろうことは疑いないが、問題が多すぎる……」
警備隊隊長がする判断としてはいささか荷が重い。
「ここは一度本国の判断を――」
コール中尉がそう言いかけたとき、テントの入り口から数人の人影が入ってきた。
「その件、わたしたちが動きます」
そこにいたのは式典に招待していた猟兵たちだった。コール中尉はその言葉に驚いて彼らを見つめ、口を開いた。
「そう言っていただけるのはありがたいのですが……」
言いにくそうにコール中尉が口ごもる。軍事的だけでなく政治的な問題にまで発展しかねないだけに、おそらくシュウェリンからの依頼というわけにはいかないのだろう。そこは猟兵たちも解っている。だから、
「シュウェリンは無関係。こちらの独断ということで構いません」
そう告げると、猟兵たちはテントを出てトラバス平原へと向かうのだった。
●
クロムキャバリアでは傭兵という認識が強いが、彼らは『猟兵』だ。基本的に国家間の紛争には手を貸さない。
そのように見えることが多いのは、戦火を広げようとするオブリビオンマシンを迎撃することが、結果、攻められた側の国を防衛することになっているからだ。
国境や非戦闘地域なども考慮はするが絶対ではない。
オブリビオンマシンがそこに『いる』。猟兵が動くにはその理由だけで十分なのだ。
●
「隊長、レーダーに反応。アンノウンがこちらに向かってきています!」
トレーラーの中、レーダー探知機の前に座る隊員が叫ぶ。
「アンノウンだと? シュウェリンの奴らじゃないのか?」
「反応パターンがシュウェリンの機体と違います。見たことのない反応です」
ひげ面の隊長は、あごに手をあて考え込むと、
「全機体に戦闘準備をさせろ。急げ」
部下に指示を飛ばすと、自らもキャバリアに乗り込むためテントを出て行った。
数刻の後。
戦闘準備を整えたリーゼンのキャバリア部隊は、トラバス平原を越えてこちらに向かってくる部隊を目視で確認した。
いや、これは部隊といっていいのだろうか。部隊というにはあまりに機体も装備もばらばらだ。これは――。
「猟兵!」
隊長の頬に一筋の汗が流れた。
セレーネ・ジルコニウム
「やはりリーゼンは戦力を――それもオブリビオンマシンを待機させていましたね。私設軍事組織ガルヴォルン、オブリビオンマシンを撃滅します!」
とはいえ、正面からは仕掛けません。
ふっ、何のために私たちが第三勢力として潜んでいたと思いますか?
「ミスランディア、リーゼンの軍と通信回線を開いてください!
我々、傭兵団ガルヴォルンを雇わないか、と!」
私は愛機のスティンガーに乗って戦場に出ます。
迫りくるシュウェリン側に雇われた猟兵たちを迎撃する――ふりをしつつ、周囲にナノマシンを散布。
周りのアダタラの電子機器を誤作動させ、ガトリングガンやスパイクで同士討ちをさせましょう。
さらに、シュウェリン側の猟兵たちにリーゼン軍の部隊配置を暗号通信で伝達します。
「いかがですか。これぞ作戦名・獅子身中の虫!
さらに、シュウェリンだけでなくリーゼンも傭兵を雇ったとあれば、条件は同じ。
今回の紛争に関してシュウェリン側が一方的に非難されることもなくなるでしょう!」
えっと、ミスランディア、カンペの通りに読みましたけどこんな感じ?
フレスベルク・メリアグレース
内包するUCは『白騎士のドローンを展開し、戦場の周囲を探査させる』UC『白き起源の宣託告げし機械天使』
それを使って二つのUCを同時に使用し、情報精査と戦闘を行っていきます
猟兵ならばオブリビオンマシンがいるだけで倒す
そうであっても、わたくしには民がいますからね
お膳立てをさせてもらいますよ
聖教皇国に累が及ばない未来となるパターンの戦闘方式でアダタラをレーザーでガトリング砲とキャタピラを破壊し、行動不能に
ええ、わたくしも国家元首なれど『六番目の猟兵』の一人
故にスマートに解決させてもらいます
ドローンから得た情報の通り、どの国家の問題にならない様に進めますね
メサイア・エルネイジェ
まあ!おタンクの群れですわ!
硬そうですわねぇ
こんな時は!
インストレーションウェポンコール!
ガンフューラー!
重装甲に対抗して攻撃力を超強化ですわ〜!
イオンスラスターオン!
加速して囲まれないように距離を取って戦うのですわ!
足を止めてはなりませんのよ
まずはミサイルを発射ですわ!
動きが遅そうなのできっと逃げられませんわ!
迎撃されてしまっても気にしませんわ!
続けて二連装ビームキャノンをおシュート!
こちらが本命ですわ〜!
強化した火力でぶち抜くのですわ〜!
しつこいミサイルはイオンスラスターで一方向に加速し続けて引き付けるのですわ
そしてビームガンで撃ち落とすのですわ〜!
鳴上・冬季
「これは工作兼用のキャバリアでしょうか。まさかこんな場所で新たな拠点構築もないでしょうし、キャバリアの絶対数不足もないと思うのですが」
嗤う
「まあ解が何であろうと、敵は鏖殺するのみです。…七尾転仙」
人化の術解き七尾の雷狐に
物理攻撃無効・通電物質内移動の能力でキャバリア内部に入り込む
中から雷鳴電撃で焼き尽くしたら次の機体へ移動
同じように中から破壊していく
「あの国が、兵士は使い捨ての道具だという設計思想でなければ。操縦席回りに多少の耐火耐電撃機構があるでしょうしパイロットスーツにもそれなり耐電機能はあるでしょう。ならばギリギリ死なずに済むはずです。そうでないなら。全て、貴方の属するお国が悪い」
嗤う
●
トラバス平原南西部。
迫り来る猟兵の部隊と、防御陣を敷くリーゼンの部隊の戦端は、今まさに開かれようとしていた。
剥き出しの岩が点在する荒野を吹き抜ける風に混じる鉄とオイルの匂い、そして独特の緊張感。 そんな中、メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)は巨体をくねらせるヴリトラのコックピットから地上を見下ろしていた。
「おタンクの群れですわ!」
いかにも重装甲、高火力なキャバリアを見て、メサイアは「硬そうですわねぇ」としばし考える。あれではなまなかの攻撃では弾かれるか迎撃されてしまうだろう。それならば――。
「インストレーションウェポンコール!」
メサイアの瞳が輝き、しなやかな指がコンソールを叩く。
「ガンフューラー!」
たーん、と小気味の良い音と共にキーを弾きながらのメサイアの|コール《召喚》に応えて、喚び出された武装がヴリトラに追加されていく。
「重装甲に対抗して攻撃力を超強化ですわ〜!」
相手の防御が固いならば、それを上回る火力を叩き込めばいい。メサイアらしいシンプルな考え方だった。
背中に装着された2問の大きなビームランチャーがギラリと鈍く輝き、岩陰に隠れていた戦車型キャバリア――アダタラ――に狙いを付ける。
「いっちゃえ、ですわ~」
気合いと共にメサイアの指がトリガーを引くと、2本の光条がプラズマの火花を散らしながら大気を切り裂いていく。左右の砲門から微妙にタイミングをずらして放たれたビームは、一撃目が岩を砕き、二撃目が砕かれた岩の後ろに隠れていたアダタラを貫き、その動きを停止させた。
アダタラからパイロットが脱出するのを確認してメサイアが小さく息を吐く。
(なんとか爆発させずにすみましたわ)
操られていたのならこれで正気に戻るだろう。そうでないのだとしても、パイロットの命まではいらない。逃げるもよし、また戦いに臨むもよし、今後どうするかはパイロットしだいだ。
なるべく爆発させないように――メサイアはそう思いながらヴリトラを上昇させると、次のターゲットへと砲門を向けた。
●
「これは工作兼用のキャバリアでしょうか?」
岩場に配置されたキャバリアを見て、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が呟く。
「まさかこんな場所で新たな拠点構築もないでしょうし、キャバリアの絶対数不足もないと思うのですが……」
アダタラはキャタピラ装備で、見た目は作業用のキャバリアに近いものがあるが、装甲や火力は比べものにならず、拠点構築というよりは拠点制圧や殲滅戦にその真価を発揮するタイプのキャバリアだ。その意味では鳴上の予測は少し外れていたと言えばそうなのだが……。
「まぁ、そんなことはどうでもいい――」
鳴上が嗤う。何であろうと、敵は鏖殺するのみだ。
「……七尾転仙」
力ある言葉とともに鳴上の全身が光に包まれ、輝きの中そのシルエットが人から雷を纏った七尾の雷狐へと変化していく。
いや、変化という言い方は正しくないかもしれない、これが鳴上の真の姿なのだから。
放電の光を残像に残して奔る雷狐を、アダタラのランチャーから放たれたミサイルが、白煙を引いて追う。
鳴上は背後に迫るミサイルを確認すると、わざと走る速度を落として引きつけ、身体を捻ってアダタラへ――それはつまりミサイルの雨の中へ――と突撃をかけた。
優先誘導で飛び来るミサイルの隙間へと体を踊らせ、ミサイルを足場に自らの機動を変えてすり抜けながら、電撃でミサイルを爆散させていく。
しかし、ミサイルの雨を抜けた鳴上を待ちうけていたのはアダタラの右腕から放たれるバルカンの斉射。ばら撒かれる弾丸は音速に近い速度で鳴上を襲い――その体をすり抜け、後方で砂煙を巻き上げた。
鳴上はそのまま真っ直ぐにアダタラへと速度を上げる。
アダタラのパイロットは攻撃を避けられたことには驚きを隠せなかったが、
「生身でこの装甲を抜けるものか!」
いくら猟兵といえど、鋼鉄の装甲を生身でなどできるわけがない。アダタラが左腕の盾を構えて鳴上を迎え撃つ。盾と装甲で突撃を防ぎ、鳴上の動きの止まったところをこんどこそバルカン砲で蜂の巣だ――。
しかしそんな目論見は露と消える。
鳴上は盾とアダタラの装甲を抜けた。そう、文字通り『抜けた』のだ。
鋼鉄の装甲をすり抜け、コックピット内へとその姿を現した鳴上の体が輝き、電撃が内部を灼き尽くした。
計器がショートし、回路が火を噴いて、ブレイクダウンを起こしたキャバリアがその機能を停止する。鳴上は泡を吹き痙攣するパイロットを見つめ、
「スーツに耐電機能がありましたか。使い捨ての道具と認識されていなくてよかったですね」
聞こえていないであろうパイロットにそう言って嗤いかけると、次の得物を求めて戦場へと駆けていった。
●
猟兵の容赦のない攻勢に数を減らされ、じりじりと押されていくリーゼンの部隊。
一気に突き崩されないよう、岩を盾にした防御戦を展開せざるを得なくなっていたリーゼン軍だったが、防御線の崩壊も間近とみられたそんなとき、威容を放つ一隻の艦がその姿を現し――。
「全砲門解放。正面に向けて斉射!」
『了解じゃ』
放たれたビームとミサイルが弾幕となって猟兵たちを襲う。
それまで初手の勢いのまま攻勢を保ってきた猟兵たちだったが、それゆえ不意を突かれた形になった。ヴリトラがイオンスラスターを全開にして上空へと離脱しながらのビームガンの連射でミサイルを撃ち落とし、鳴上も身体を捻って、弾幕の合間をすり抜けていく。
2人とも直撃は免れたものの、攻勢に乗っていたその足は止まった。
「ストライダー……!?」
上空から反転降下してきたメサイアが訝しげにその名を呟くと、鳴上も眉を顰めた。その名を聞いたことがあったからだ。
メサイアにとっては何度も同じ戦場で共に戦ってきた戦友であり、鳴上も初めて見るがその活躍は聞き及んでいる。私設軍事組織ガルヴォルンの旗艦、ストライダー。その司令官は猟兵のはずだ。つまりあれは『猟兵の』艦。
決してオブリビオンに与しないはずのものがそこにいた。
「弾幕そのまま。押し返します」
セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)の命令に、ミスランディアが了解の意を示し、ストライダーが前に出る。
そしてそれはそのまま猟兵たちの後退を意味し、攻撃に晒されていたリーゼン軍に立て直しの時間を与えた。戦列を乱されていたアダタラが再び隊列を整えていく。
「あとは任せます」
リーゼンの部隊が反撃を始めたのを確認して、セレーネは艦橋から飛び出していった。
ストライダーとアダタラの弾幕に、一時後退した猟兵たちが開けたスペースを確認して、
『セレーネよ、進路クリアじゃ』
セットアップを終わらせ、格納庫で待機していたセレーネにミスランディアから通信が入った。
セレーネはデッキアップされていく機体の中で親指を立ててそれに答え、
「セレーネ・ジルコニウム、スティンガーⅡ、でます!」
カタパルトから射出された機体がブースターの炎を煌めかせ、こじ開けたスペースを埋めていく。その手に構えられたライフルは、確実に猟兵の機体へと向けられていた。
●
『オブリビオンマシンはいるだけで倒す』
それは猟兵としての大原則だ。しかし、だからといって無差別に殲滅すればいいというものではない。オブリビオンマシンはその存在を隠して暗躍しているし、猟兵にも立場、立ち位置というものがあるからだ。
フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、そんな立場ある者の一人だ。
教皇という立場上うかつな行動は国際問題になりかねないし、そうなれば民にも類が及ぶことになる。猟兵としての行動が国や民に影響を及ぼすことは避けなければならないのだ。
ノインツェーンのコックピットでフレスベルクの瞳が輝く。
白騎士のドローンが周囲に展開され、こちらに向かってきたアダタラのキャタピラをガトリング砲が吹き飛ばした。
(キャバリアは無力化すれば良いとして……)
問題はこの戦闘をどう理由づけるか、ということだ。
猟兵としての責務と、国家元首としての責任。この2点を両立させる案を見つけなくてはならない。
翠玉の輝きが強さを増す。
聖教皇国に累が及ばない未来。ドローンから送られてくる情報を元に様々なシミュレーションが頭の中を駆け巡る。
その間にもアダタラの部隊は押し寄せているが、白騎士がそれを駆逐している。このままリーゼン軍を押し切ることはできるだろうが、それではどうしても戦闘後がややこしいことになる。
リーゼンは『シュウェリンが|傭兵《猟兵》を雇い、式典の隙をついて攻め込んできた』と主張するだろう。
そうなっては両国の仲はさらに険悪なものになり、戦闘は激化していくことになる。しかも教皇たる自分が参戦しているということになれば、聖教皇国にもなんらかの影響がでるだろうことは疑いない。
それではオブリビオンマシンの思うつぼになってしまう。それを回避する最適解は――。
数十の案が立案されては捨てられる。そんなことを繰り返していたとき、目に入ってきたのは、
「ガルヴォルン?」
その旗艦ストライダーだ。しかし攻撃対象がおかしい。どうみても砲門は|こちら《猟兵》側に向いている。
(どういうことでしょうか?)
猟兵がオブリビオンに与したと……?
そんな考えが頭をよぎった直後、ストライダーから発艦する機体が見えた。白騎士が反射的に機体をロックし、因果に向けたレーザーが放たれる。
しかしそのレーザーは機体を捕らえる前に捩れ、霧散して消えた。フレスベルクの瞳が驚愕に開かれる。
その攻撃は当然その機体――スティンガーⅡ――に捉えられている、スティンガーⅡは当然のように白騎士へとバーニアを噴かして、全力で体当たりをかけた。
●
「みつけました!」
至近距離で霧散したレーザーの発射ポイントを割り出してセレーネが叫んだ。すかさずペダルを踏み込んでそのポイントにいた白騎士へとスティンガーⅡを奔らせる。
この戦闘、かならず情報収集をする猟兵がいるはず。そう考えたセレーネはその猟兵と連絡をとるべく方法を探っていた。そのためレーザーへの反応が遅れたのだが、それが幸運だった。
機体――白騎士――を見つけたセレーネがバーニアを全開にして、白騎士へと体当たりをかけ、そのままスティンガーⅡの両腕をまわし、白騎士の機体を締め上げる。そして――。
「こちら私設軍事組織ガルヴォルン司令官、セレーネ・ジルコニウム大佐です。この通信方法ならリーゼンには聞かれません。応答してください」
セレーネは白騎士の機体を捕まえると、強引に通信回線を開いて話しかけた。フレスベルクもそれに答える。
「セレーネさんですね。わたしはメリアグレース第十六代教皇、フレスベルク・メリアグレースです。猟兵がなぜ|リーゼン《オブリビオンマシン》に助力を?」
「ガルヴォルンの目的はオブリビオンマシンの殲滅。それはありえません」
「ではこの状況のご説明をお願いできますか?」
もちろんです、とセレーネが話し出す。
「リーゼンが|戦力《オブリビオンマシン》を待機させているだろうことは予測していました」
とはいえ、正面からは仕掛けられません。セレーネは言う。
「このまま戦っては、シュウェリンが猟兵を雇い、式典に紛れさせておいて攻撃させた、ということになってしまいます。しかもこちらには教皇さまや王女さまもいます。大きな国際問題になりかねません」
そう、それが今回のいちばんの問題。フレスベルクも危惧しているところだ。
「この行動が解決策なのでしょうか?」
訝しげに問うフレスベルクにセレーネが静かに答える。
「はい。私たちは式典に参加せず、第三勢力として潜んでいました。そして先ほど交渉して、リーゼンの軍に|我々《ガルヴォルン》を雇わせました」
フレスベルクが目を見開く。
「そうです。互いに傭兵を雇っての戦闘とあれば、条件は同じ。今回の紛争に関してもシュウェリン側が一方的に非難されることもなくなるでしょう!」
式典直後というタイミングは非難の対象になるだろうが、これならば両国間の戦闘ということで押し切れる。
「いかがですか。これぞ作戦名・獅子身中の虫!」
このことを他の猟兵のみなさんに伝えて、タイミングを見てこちらに一撃をください、ガルヴォルンはそれで退きます」
フレスベルクは即座にその案に了解の意を示し、猟兵への連絡を請け負った。
「えっと、ミスランディア、カンペの通りに読みましたけどこんな感じ?」
通信を切ったセレーネが、こてん、と首をかしげる。その顔には疲労の色が濃い。
こういうのは苦手なんですけど、とぼやくセレーネをスルーして、
『上出来じゃ。あとはタイミングだけじゃな』
ミスランディアは満足そうに頷いていた。
●
白騎士との戦闘、のように見せかけた打ち合わせを終えて、セレーネとスティンガーⅡが、戦場に戻り、体勢を立て直して再攻撃の体勢に入っていたメサイアと鳴上にランチャーを放つ。
が、これもフェイク。ミサイルの中に入っているのは炸薬ではなく、特製のナノマシン――。
ヴリトラと雷狐めがけて飛ぶミサイルを、それぞれのビームガンと雷撃が迎撃すると、撃ち落とされたミサイルから戦場全体にナノマシンが散布された。
ナノマシンはウィルスの如くアダタラの電子機器を侵し、誤作動した火器管制システムが同士討ちを誘う。
一気に劣勢に追い込まれたリーゼン軍を庇うように、ストライダーが進み出る。
それを機と見た鳴上が、アダタラの間を縫うように奔り、ストライダーに侵入を試みるが、絶縁処理をされた装甲を持つストライダーの中にまでは入ることができない。
ならば、と鳴上は艦の外側から機関部へと取りつくと、エンジンをめがけて雷撃を放った。プラズマの炎を吹き上げて、ストライダーのバーニアの1つが沈黙し、艦速が落ちる。
鳴上はそこから艦内に侵入すると、電撃を放ちながら適当な電子機器を破壊して回る。
「あまり手加減しても見抜かれてしまいますしね」
鳴上はそう言いながら、出力が不安定になる程度に制御システムを壊し、バーニアももうひとつ潰すと、上空に見えるヴリトラの機影を見て船外への離脱を図った。
ストライダーから見て10時の方向、斜め上。|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》の索敵範囲ギリギリを滑りながら、ヴリトラのミサイルランチャーが煌めきを放つ。
「まずはミサイルをお見舞いですわ~」
バーニアを2つ潰され、速度の落ちたストライダーはそれを避けることができない。頼みの綱のスティンガーⅡも白騎士との再戦闘に入っていて、援護は不可能だ。
それならば。
『対空迎撃じゃ!』
ミスランディアの命令にストライダーのCIWSが起動し、ミサイルを中空の華と化す。このまま回避運動を。そう思った瞬間、強烈な振動がストライダーを襲った。
「こちらが本命ですわ~!」
ミサイルは囮、迎撃されることを前提にして、立て続けに放たれた二連装ビームキャノンがストライダーの機関部を貫いていた。動力炉を破壊されたストライダーが浮力を失い、地上へと墜ちていく。
メサイアの頬を汗が一筋流れた。
作戦ではストライダーは一撃を受けてから後退するはずだった。しかしあれではどうみても動けそうにない。
「えっと……そう、リアリティ! リアリティですわ!」
地上で煙を上げるストライダーを見て、メサイアは無理矢理自分を納得させるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルフェウス・シフウミヤ
【雷霆】
※アドリブ大歓迎
母の姉と共に戦えること、至高の悦びです。故、エクティアに負けぬよう私も本気でいきましょう。
まずは煌銀眼で非常に遅い世界の中で戦闘演算と合わせて常に最適解を選択。機獣リュカオンで上がった限界突破して貫通攻撃を付与したレーザー射撃で攻撃させます。
雷剣天使 死の舞踏を発動、ヴェルトール・コアで多次元宇宙のエネルギーを無尽蔵に取り込み無限に出力を上げてヴェルトール・リーラで制御して限界突破した汎ゆる速度を雷速を突破した黒紫の雷剣天使になり、貫通攻撃を付与して雷剣でガンガン斬り裂きます。
敵が機械なので、通電物質内移動で内部をそのまま破壊します。
敵の攻撃は物理攻撃なので無意味です。
エクティア・クロンユナイールゥ
【雷霆】
※アドリブ大歓迎
これはまぁ、ロマンを感じるフォルムですね。スクラップにするのが勿体ないくらいですが、それ故に一切手は抜きません。
蒼煌ギアで非常に遅い世界で常に戦闘演算と瞬間思考力と合わせて最適解を選択。
そして継承されし蒼の魂の因果律崩壊能力で代償を踏み倒し、限界突破した因果律崩壊能力を付与したレベル×200個のレーザービット召喚能力でビットを召喚しロックオン…発射して防御力を可能な限り落としてから、因果律崩壊能力で望むがまま超常現象を引き出し改竄する能力で天から巨大な貫通能力を持つ雷の柱で攻撃し、限界突破した蒼き雷光閃と限界突破したCKSで追撃します。
攻撃は蒼き雷閃の雷速で回避します。
●
それまで前線を支えていた戦艦の沈黙。それは当然戦線の崩壊に直結していた。
これまで猟兵の攻勢を凌いでこられていたのも、その圧倒的な弾幕があればこそだ。それがなくなれば、猟兵たちはそれこそ自由にリーゼンの陣へ攻め入ることができる。
アダタラも重装甲・高火力のキャバリアではあるが、それだけで猟兵の攻撃を防ぎきることは難しいのだ。
そしてそんなとき、戦いの天秤をさらに猟兵側へと傾ける新たな存在が姿を見せた。
「これはまぁ、ロマンを感じるフォルムですね。スクラップにするのが勿体ないくらいです」
おそらくはアダタラの無骨なシルエットのことを言っているのであろう。蒼いドレスを纏った妙齢の女性――エクティア・クロンユナイールゥ(不死身の|蒼煌雷霆《ブラウ・ケラウノス》・f39247)――が、戦場を見つめながらゆるりと薄い笑みをこぼす。
隣に立つ夜空色のドレスに身を包んだ美少女は、その言葉に銀の髪を揺らして恭しく礼をすると、銀紫の瞳で戦場を見据えた。
オルフェウス・シフウミヤ(|冥府の吟遊詩人《オルフェウス》の系譜・f40711)は知っている。エクティアは家族を傷つけるものを許さない。気に入ったものであっても、いや、気に入ったものならばなおのこと、敵に回ったのならば一切の手を抜かず完全に叩き潰す。
「母の姉と共に戦えること、至高の悦びです」
一言告げて、オルフェウスが夜空色のドレスを翻し、大地を蹴ると、エクティアも身体をゆらりと前に倒し、蒼の軌跡を残してアダタラへと駆けだした。
●
アダタラが防衛線を張る岩場に向けて2人が奔る。
数で言えばいまだアダタラのほうが上とはいえ、戦線は崩壊し始めている。ならばここからは、どう効率よく仕留めていくか、ということになる。
アダタラの潜む岩場の前で蒼と濃紺の軌跡が交差した。エクティアの視線とオルフェウスの視線が一瞬交わる。エクティアの瞳とギアが蒼玉に煌めき、オルフェウスの銀紫妖瞳も輝きを帯びる。
極限まで圧縮された時間の中、2人の脳内では数百、いや数千・数万のシミュレートが行われ、エクティアとオルフェウスは、膨大な結果の中からその最適解を選び出した。
全身を包む蒼のオーラが膨らみ、エクティアの後ろの空間から24000を超えるビットが喚び出されると、次の瞬間、全てのビットからのレーザーが周囲一帯に降り注いだ。
豪雨のようなレーザーの雨にセンサーを潰され、装甲を穴だらけにされていくアダタラに向けて、オルフェウスが顕現させた銀狼――リュカオン――とともに突撃をかけていく。
アダタラに向けて走るオルフェウスのヴェルトール・コアの炉が赤熱し、ヴェルトール・リーラの紫水晶が紫紺の輝きを増す。
多次元宇宙からのエネルギーを受けて雷速を超え、オルフェウスとリュカオンの姿がアダタラのセンサーから消失した。
全ての『目』から消えたリュカオンから放たれたレーザーが、アダタラのキャタピラを蒸発させ、その動きをとめる。
移動手段を封じられ、闇雲にガトリングを乱射しながら防御を固めるアダタラに向けてオルフェウスは突っ込むと、盾も装甲も透過してコックピットに姿を現し、雷剣の一振りで真っ二つに斬り裂いた。
火花を散らして割れていくアダタラから必死の形相で脱出を図るパイロットを冷たく見送り、オルフェウスは次の目標へと足を向ける。
オルフェウスの雷剣に次々と破壊されていくアダタラ。しかしその数はやはり多い。ここはやはり――。
全ての因果律から解き放たれたエクティアがふわりと飛び上がり、蒼きオーラを天に向けて放つと、それまで晴れていた空が一転して雲に覆われ雷鳴が轟き出し、放たれたオーラを中心に雷光と雲が渦を巻く。
眼下に見えるはアダタラの部隊。超常的な異常気象を目の当たりにして動きを止めたキャバリアを見下ろし、エクティアが断罪するように右手を振り下ろすと、轟音を上げて降臨した光柱がアダタラの部隊を包み込む。
一瞬にしてモニターが焼き付き、全ての回路が灼き切れて、糸が切れた人形のようにアダタラの両手が落ちる。だがしかし機体の表面に目立ったダメージは見られず、爆発を起こす機体もない。
エクティアが静かに地上に降り立ち両腕を横へ大きく広げると、ふわりと舞うドレスの合間に見える手の甲と腹部から蒼いプラズマが火花を散らした。
その場で、くるりと、一回転。
ダンスのような優雅なターンに合わせ、放電を伴ったレーザーが周囲に擱座するアダタラを焼き払った。しかもこれも因果律崩壊の故なのだろうか、消し炭になると思われたアダタラはコックピットブロックだけを残して燃え尽きていく。
エクティアとオルフェウスは。見える範囲に動けるアダタラのいないこと、そしてパイロットに犠牲がでていないことを確認すると、ゆっくりと踵を返すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャナミア・サニー
おーし、やっとお姉さんの出番だー!
やっぱりこういうのが猟兵らしくていいね!
レッド・ドラグナー、|出撃《で》るよ!
さーてさてさて
いつもは戦況確認してから動くけど
たまには突っ込みますかー!
リミットブレイカー、セット! イグニッション!
いけっ、【運命のロジック】!
低空&超加速&高速飛翔で突撃!
真正面からの攻撃は必ず防御するんでしょ?
防御からの反撃、盾と排土板の形状から
『防御から反撃まで』少しタイムラグがあるはず
そこにカウンターを合わせる!
『ナノクラスタ・ナックルガード』展開
殴り合いで私とレッド・ドラグナーに勝てると思うなー!!
全員殴り倒すまで突撃やめないから!
バーニアが焼き付くまで飛び続けてやる!
●
「おーし、やっとお姉さんの出番だー!」
ちょっと遅くなっちゃったけどね。と、シャナミア・サニー(キャバリア工房の跡取り娘・f05676)が長い髪を揺らしてセルフツッコミをいれる。
いろいろ難しい状況下の戦闘ではあったが、墜ちている戦艦や先ほどのド派手な閃光、それに先ほどから統制の取れなくなっているリーゼン軍の動きなどを見れば、戦闘も終盤戦ということなのだろう。
そう、これはもう掃討戦だ。つまりはオブリビオンマシンを見つけて潰していけばいいのである。
戦闘の終了は、リーゼンがいつ軍を退くか、という一点にかかっている。とはいえ、リーゼンが軍を退いたとしてもオブリビオンマシンであるアダタラを逃がす気はないのだが。
「レッド・ドラグナー、|出撃《で》るよ!」
シャナミアが気合いと共にペダルを踏み込むと、それに応えてレッド・ドラグナーのエンジンが咆吼を上げ、|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》の探知範囲ギリギリまで舞い上がった。
「やっぱりこういうのが猟兵らしくていいね!」
猟兵の本分はオブリビオンマシンの殲滅である。それを思い切りやればいいのだから、とてもやりやすい。
しかも掃討戦に近い戦いだ。いつもならば状況を確認し、戦況を確かめてから動くところだが、それも必要ない。思い切り突っ込んでいって構わないのだ。ならば――。
「リミットブレイカー、セット! イグニッション!」
シャナミアの瞳が輝き、翡翠色のオーラがレッド・ドラグナーを包んだ。赤熱していたバーニアが赤から黄色へ、そして白へとその色を変えていく。
|理論《ロジック》の限界を超えた加速に機体が軽い軋みを上げるが、保たないほどではない。
シャナミアが|操縦桿《スティック》を倒すと、レッド・ドラグナーはさらに速度を上げながら急速降下をかけ、地面ギリギリで水平飛行へと移った。巻き上げられた小石が機体に当たる音が聞こえるほどの超低空を滑るように飛ぶ。
シャナミアは地表から巻き上がる乱気流で吹き飛ばされてもおかしくない機体を神業のような操縦技術で制御し、コースをロックしてアダタラに軸線を合わせると、正対して突っ込みをかけた。
戦車タイプで盾まで装備した重キャバリアだ。防御には絶対の自信があるのだろう。アダタラは真っ正面から突っ込んでくるレッド・ドラグナーに向けて盾を構えると、キャタピラを鳴らして受け止めようと位置を整える。
どちらも譲ることのないチキンレースに当然のように両機が激突を果たす。
アダタラは、オーラを纏ったレッド・ドラグナーの体当たりに盾と左腕をひしゃげさせ、レッド・ドラグナーの肩をボディにめり込んだませながら、それでもその動きを止めてガトリングの斉射を浴びせかけようと銃口を向け――右手がガトリングごと砕け飛んだ。
ショルダータックルの体勢から跳ね上げたレッド・ドラグナーの左拳が、アダタラの肘関節ごと腕を破壊したのだ。
アダタラが反撃に移るまでの間隙。その一瞬に合わせたシャナミアの操縦技術とそれに応えたレッド・ドラグナーの反応速度の結果だ。お前のような量産機が――と言われる機体の本領発揮だった。
「|接近戦《殴り合い》で私とレッド・ドラグナーに勝てると思うなー!!」
レッド・ドラグナーがアダタラのボディに埋まった肩を引き抜き、両拳に編み上げられたナックルガードでアダタラを襲う。右腕の次はキャタピラ、ひしゃげた左腕にボディ、最後に頭部を殴り飛ばし、コックピットユニットのみになったアダタラだったものが地面に転がる。
このまま残りの全機、殴り倒す!
シャナミアはそう心に決めて、バーニアのスロットルを再度全開へと叩き込んだ。
●
かくして、全てのアダタラを失ったリーゼン軍はトラバス平原からの撤退を余儀なくされた。
オブリビオンマシンは殲滅した。撤退していくリーゼンの兵士たちには、もう手を出す理由はない。これで戦闘も一段落、そう思った直後、シュウェインからの通信回線に叫ぶような声が響いた。
『第三基地が帰還兵300名とともに武装蜂起――』
ただの内乱ならば猟兵が手を出すことではない。しかしこれはあまりにもタイミングが良すぎる。
やはりまだなにかあったとみるのが正しいだろう。そんな思いとともに猟兵たちは第三基地へと急いだのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ジェネラル・キャバリア』
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POW : キャッスルウォール
自身の身長の2倍の【後方からの攻撃を無効にするオーラの背後霊】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : ジェネラルホース
【|機械馬《サイキックキャバリア》】を召喚する。騎乗すると【人馬一体】状態となり、【灼熱】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
WIZ : トラクションニール
【棘から電磁パルスを発振】【RXハルバード】による近接攻撃の軌跡上に【引力】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「廿鸚・久枝」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「ハンザ司令! 基地周辺の包囲網、完成しつつあります!」
オペレーターの焦った声が司令室に響いた。
「ばかな……!」
速すぎる。と、ハンザ大佐は席から立ち上がり机を叩いて呻いた。武装蜂起してからまだ24時間も経っていない。
予定では正規軍が動くまでは2日、早くても36時間はかかるはずだった。その間に周辺基地と呼応して議事堂を包囲し、現政府に退陣を要求する、そういう手はずだった。しかし蓋を開けてみればこのザマだ。
武装蜂起の宣言をしてから12時間後には交通路をあらかた押さえられ、周辺基地が兵を挙げる前にこちらの基地が包囲されようとしている。
「周辺基地との連絡は!? どうなっている!?」
オペレーターが慌てて回線を開くが、そこに返ってくるのはノイズの嵐。
「回線、ジャミングされています。通信不能!」
「ふん……ここまでか」
ハンザ大佐の隣にいた男が、ポケットからスキットルを取り出し大きく息を吐く。
「ハロルド中佐?」
「この計画は失敗したってことだ、司令官。援軍も全滅してる」
基地指令の眉がぴくりと上がる。
「全滅……だと?」
ハンザ大佐の頬を冷たい汗が流れた。『援軍』『全滅』周辺基地のことを言っているのではない。
嫌な予感が脳裏をよぎるが、ハンザ大佐はそれを振り払うように「どういうことだ」と声を荒げた。
「解ってんだろ。この計画はリーゼンの脚本だ。そしてどうやらそれも|猟兵《奴ら》にはバレてたようだな」
あいつらが上層部に連絡でも入れたんだろうさ。
ハロルド中佐と呼ばれた男は、スキットルをあおると、懐から取り出したファイルを司令官の前に放り投げた。
『捕虜交換で帰還兵として国に帰ってきた300人が、第三基地でクーデターを起こす』
ざっくりと言えばそんな内容だ。ただその中身は詳細で、|自分《ハンザ大佐》を含め、周辺基地の説得方法や、その後の動きについても指示されている。
そしてなにより、ファイルの最後に押されたリーゼンの国印。
「わが軍のエースが……『英雄』とまで呼ばれた男がなぜ……」
それまでハンザ大佐の後ろで控えていた副官がファイルの中身を見て呆然と呟く。
「なぜ? そうだな……あえていうなら誰かに『敗者』の味ってやつを味わわせてやりたかったのさ」
戦場でキャバリアを何十機墜とそうが、一度の敗北で『敗者』になる――。
ハロルド中佐の口角がにたりとあがる。
「……このことを知っている者は?」
ぎりっ、と奥歯を慣らしてハンザ大佐が問うと、
「ここにいるメンツだけだが、どうする? 降伏でも――」
「そうか」
パァンパンパン!
ハロルド中佐が言い終える前に、司令室に乾いた銃声が響いた。大佐以外の3人が額に穴を開けて崩れ落ちる。
「「司令!?」」
大佐は銃声に驚き飛び込んできた警備の兵も同じように撃ち殺すと、
「これはすべて国を憂いてしたことだ。決してリーゼンの策にはまったのではない!」
自分にそう言い聞かせ、ファイルにもう一度目を通してから火をつける。
そしてファイルが完全に燃え尽きたことを確認すると、そのまま格納庫へと足を向けた。
●
「わたしが出撃したら降伏しろ」
ここに至っては抵抗は無意味。国のためにもいたずらに戦力を消耗させてはいけない。
ハンザ大佐は格納庫で出撃の指揮を執っていた副司令にそう告げると、ハロルド中尉の持ち込んだキャバリアへと乗り込んだ。
「なんだかよくわからんがマトモなキャバリアではないのだろうな」
ファイルに書かれていた『あの声』という言葉。おそらくはいまリーゼンを牛耳っているだろう何か。碌なものではないだろうことは想像できるが、すでに生きていてはいけない身だ。なにがあろうとも気にすることはない。
「さぁ猟兵。しっかり殺してくれよ」
ハンザ大佐はそういうと、戦場へと機体を滑らせていった。
フレスベルク・メリアグレース
ならばいいでしょう
その想いを背負って、この事態の元凶を引きずり落す
それがわたくしの流儀です
指をならすと同時、過去に刻まれた斬撃が現在に浮かび上がり、回避防御不可能の攻撃となって『ジェネラル・キャバリア』を切り刻んでいく
……リーゼンは、オブリビオンマシンの狂気に飲まれていましたか
ならば、その事を踏まえて立ち回る必要がありそうですね
コックピット内で切り刻まれたキャバリアを見据えた後、シュウェリンとリーゼンに関する一連の騒動における結末を思い返し、策を練るべく祈祷し帰投する
メサイア・エルネイジェ
お帰還兵のお武装蜂起ですって!?
しかもいかにもボスっぽいのが出てきましたわ!
こういう時は…暴力ですわ〜!
最終的に全部倒せばよかろうなのですわ〜!
お馬さんに乗っておりますわねぇ
お弾幕を張って落馬させて差し上げますわ〜!
距離が離れている内はビームキャノンで砲撃致しますのよ
進行方向を狙って撃ち込むのですわ
近寄ってきたらビームガンで追い払うのですわ!
扇状に広がるように撃ちますのよ
そして足を止めてミサイルカーニバルですわ〜!
ミサイルを迎撃する装備は持ってなさそうですのできっと効果絶大ですわ〜!
ミサイルから逃げ回っているようでしたらビームキャノンをぶち込んで差し上げますわ〜!
●
『第三基地からキャバリアの出撃を確認しました』
オペレーターの声が緊張を含む。
「何機だ? 15機全機か?」
第三基地にあるキャバリアは15機。うち3機は予備機なので実働は12機だが全力出撃なら15機まではある。鎮圧部隊の司令官はそう考えていたが……。
『一機です! しかし反応、シルエット共に見たことのない型です』
どういうことだ。と、オペレーターの応答に司令官は眉を寄せた。
『司令官、続けて第三基地より通信。『我レ降伏ス。攻撃ヲ中止サレタシ』白旗も掲げられています』
(降伏? ここまでのことをしておいてこんなにあっさりと降伏?)
司令官は訳がわからなかった。そしてその戸惑いは隙となって部隊の動きを止めていた。
その間隙を突いて未確認のキャバリアは高速ですり抜けていく。
「いかん! キャバリア部隊、その未確認のキャバリアを抑えろ!」
その命令は遅すぎた。未確認のキャバリアは鎮圧部隊の包囲を抜けると、猟兵たちの向かい来るトラバス平原へ方面と向かい、消えていった。
「都市直属の部隊は平和ボケ、か」
ハンザ大佐が呟く。
そう、これだ。これが|ハロルド《やつ》のプランに乗った理由だ。前線でのことを都市の連中は解っていない。
戦闘に勝っても負けても、都市の連中はそこまで思うところなどない。安全な場所で数字の計算を繰り返すだけだ
「だから、国を変えたかったんだよ」
ハンザ大佐が自嘲気味に笑いかけたとき、レーダーからのアラートがコックピット内に鳴り響いた。
●
「いかにもボスっぽいのが出てきましたわ!」
同じようにレーダーで相手を捉えたメサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)が、ちょっと興奮気味にモニターを見つめた。
帰還兵の武装蜂起。
素直に考えてもなにかあったのであろうことは間違いない。正直、基地に籠城されるとか、さらに人質を取られるとか、そのうえ徹底抗戦とか、そんな状況になっていたかもしれないのだ。
最終的には全部倒せばいいとは思うのだが、最後の一兵までとかになると、さすがのメサイアといえども気乗りはしない。
しかし基地は降伏の意を示したようだし、ボスは出てきてくれてるみたいだし、これはとてもシンプルで良い。
そう、つまり。
「暴力でいいのですわ〜!」
我が意を得たり! とメサイアのテンションが上がるとともに、ヴリトラの速度も上がっていく。そして視界に捉えた相手は、
「お馬さんに乗っておりますわねぇ」
銀のフルプレートに身を包み、軍馬に乗った騎士。そして手にする得物はハルバード。見たところ近接戦闘に特化したタイプだ。
それならば近づかせないことがいちばん。
ヴリトラの背面で輝くビームキャノンが重キャバリア――ジェネラル――に向けて放たれた。左右の砲門がタイミングをずらしてビームを放つ。
こちらに向かい来るジェネラルの鼻先を狙ったビームを、軍馬が土煙を上げながら跳び、躱す。しかし回避運動を予測して放たれた二撃目が今度こそジェネラルを捉えようとした瞬間。振り抜かれたハルバードが直撃のはずのビームを霧散させた。
「そんなものか猟兵。それではわたしは殺せないぞ!」
ジェネラルがヴリトラに向けて、真っ直ぐに突っ込みをかける。回避など考えていないであろう突撃は、凄まじい速度でヴリトラとの間合いが詰まり、水平に構えられたハルバードがヴリトラを貫こうと鈍く輝く。
「そこまでです」
凜とした声と共に姿を現した純白のキャバリアの剣が、長大なハルバードの穂先を弾いた。
「ちっ」
逸らされた勢いをそのまま利用し、ジェネラルが再び距離をとる。
「新手か。なんだ、お前が殺してくれるのか?」
ハンザ大佐がハルバードの矛先をノインツェーンに向けた。
「それがあなたの望みなのですか?」
フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)が静かに問う。
「そうだな。わたしは死なねばならない。『責任』をとるためにな。だがただで死ぬのもつまらない。わたしが|猟兵《お前たち》に勝てるなら――」
この国は、わたしが支配する。
ハンザ大佐がそう言った瞬間、ジェネラルからどす黒いオーラが噴き上がったように思えた。
「いいでしょう。この事態の元凶を引きずり落します。そしてあなたがどんな想いを持っていても、それはわたしが背負いましょう」
言って、フレスベルクの瞳が冷たく細められる。
「やってみせろ!」
言い放つと、軍馬の後ろ足が大地を蹴り、超速の突撃がノインツェーンを襲った。突き出されるハルバードを、ノインツェーンの剣がふたたび弾く。
しかし今度はジェネラルは距離を取ることをせず、蹄に大地を抉らせてその場に強引に立ち止まるとハルバードを大きく横薙ぎに振るった。
ノインツェーンがそれを後ろに下がって躱そうとする、が、空間を斬り裂いたハルバードの矛跡から生まれた引力がそれを許さない。
動きを封じられたノインツェーンに向けて、ジェネラルがハルバードを振りかぶり、その斧刃を叩き込もうとして――全力で飛び退いた。
一瞬前までジェネラルのいた場所を、ヴリトラから放たれた立て続けのビームが撃ち抜き、大地を抉った。ジェネラルが再び距離をとり、ノインツェーン、ヴリトラの2機へと正対する。
「あのお突撃は脅威ですわ。お弾幕を張って落馬させて差し上げますわ〜!」
三度突撃の姿勢を取るジェネラルを見据えて、メサイアの瞳が碧玉の光を帯び、ヴリトラの太腿に装着されたランチャーからミサイルが吐き出された。
リロードの暇もなく射出されるミサイルの雨を、ジェネラルが軍馬を駆けさせ回避を図る。
回避しきれないミサイルをハルバードで迎撃しても、面で撃ち込まれるミサイルの全てを防ぐ術をジェネラルは持っていなかった。
撃ち込まれ続け防ぎきれなくなったミサイルが、軍馬の足を砕き、腹と頭を吹き飛ばすと、前のめりになった軍馬からジェネラルが投げ出される。
ぱきぃん。
それを見たフレスベルクが指を鳴らすと、立ち上がろうとするジェネラルを包むように空間が幾筋にも裂ける。
朧に浮かぶ裂け目は、これまでにジェネラルが受けてきた斬撃。その数の多さはジェネラルの戦の歴史を物語っていたが、今回はそれが裏目にでた。無数の斬撃がジェネラルを襲い全身を削り、ジェネラルが再び膝をつく。
切り刻まれたジェネラルをコックピット内から見据え、フレスベルクの意識が思考へと向く。
(これがリーゼンの機体ならば、リーゼンはオブリビオンマシンの狂気に飲まれていたということですね。ならば)
今後はそれを踏まえて立ち回らなければならない。そう考えを巡らせ始めたとき、ヴリトラのミサイルがジェネラルを包むように突き刺さった。爆音と爆風、そして猛烈な煙がジェネラルを覆う。
これで決着。そう思ったメサイアとフレスベルクだったが、煙の収まった後にジェネラルの姿はなかった。
あのダメージであの爆発を受けて、なお逃げおおせたというのだろうか。
2人は取り逃したことに悔しさを感じながらも、その執念に気をひきしめ、後の仲間へと連絡をいれるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イクシア・レイブラント
●アドリブ歓迎
すでに大勢は決した。
だけどあえて問う。今回の武装蜂起、あなたたちは何を訴えたかった?
いいわ。気が済むまでつきあってあげる。
鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する。
[推力移動、滑空]で三次元機動、敵の斧攻撃を[武器受け、盾受け、空中機動]を駆使して回避。
反撃に大型フォースブレイドで[空中戦、なぎ払い、鎧無視攻撃]。
【 キャッスルウォール】の巨大武器は、シールドビットを複数展開して【シールドバリア】で受け止める。
私は剣を振り回すことしかできないけれど。
武器を交えることでしかわからないこともあるものよ。
●
ジェネラルが荒野を駆ける。
全身にダメージを負ったが重装甲は伊達ではない。まだ十分戦うことができる。
つまりそれは――。
「まだ死なせてもらえないってことか」
先ほどの攻撃をどうやって凌いだのかハンザ大佐は覚えていない。機体を刻まれ、ミサイルの雨にさらされて覚悟を決めたとき、頭の奥に鈍い痛みが走ったと思ったら、次は荒野を駆けていたからだ。
ときおり沸き起こるどす黒い思考。きっとこれが『あの声』であり『マトモでないキャバリア』ということなのだろう。
●
「すでに大勢は決した」
イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)はジェネラルの前に姿を現すと、そう呼びかけた。しかしそれは、降伏を促そうというものではない。
「今回の武装蜂起、あなたたちは何を訴えたかった?」
イクシアがあえて問う。
ハンザ大佐はその問いに言葉で答えることなく、ジェネラルのハルバードを構えることで答えた。言葉を交わす時間はとうに終わっている、語るならば剣で、ということなのだろう。
それならば話をする気になるまで、つきあうまでだ。
「鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
自らにスイッチを入れるようにイクシアが呟き、フォースブレイドを構えてジェネラルへと向き合う。視線が一瞬交錯し、一人と一機の距離が急激に縮まった。
すれ違いざまに繰り出されたジェネラルのハルバードの一撃をイクシアは剣で捌いて受け流すが、横薙ぎの風圧の凄まじさに煽られ反撃まではたたき込めない。
機動力では圧倒的に分があるイクシアだったが、ジェネラルのパワーはそれを補って余りある。イクシアといえど一撃もらってしまえば大ダメージは免れないだろう。
イクシアは風圧に乗ってスラスターを噴かすと、殲禍炎剣の探知範囲ぎりぎりまで大きく上昇し、そのまま急降下して攻撃に転じた。
パワーで負けているなら、さらなる力を得ればいい。
位置エネルギーを味方につけ碧光の軌跡を残して、イクシアがジェネラルへと迫った。
それを迎え撃つジェネラルの背からはオーラが立ち上り、その手に10mを超えるであろう巨大な斧槍が握る黒騎士が姿を現した。
●
ハルバードは超重武器だ、振り回していては捉えきれない。そう判断したのだろう。
白騎士と黒騎士、二体の巨人が二本の長さの違う斧槍をイクシアを狙い突き出す。それは見事な同期でイクシアの胴を狙い繰り出された。
完璧なタイミングで放たれた突き。一撃目は躱せても、回避したタイミングで襲い来る二撃目までは――。
その完璧な双突がイクシアを捉えようとした瞬間、放たれていたシールドビットがイクシアの周囲に集まると、正八角形の位置を成してバリアを展開し、その穂先を受け止めた。
たて続けの二撃。その負荷に耐えられずシールドビットが砕け散る。双突を防がれバランスを崩すジェネラルに一瞬の――しかし決定的な――隙が生まれた。
イクシアは巨大な斧槍の穂先にフォースブレイドを合わせると、その勢いのまま螺旋を描いて二本のハルバードの間をすり抜けていく。
煌めくサイキックオーラが渦を描いた。
重力の力と螺旋の力、2つの力を刃に乗せて、イクシアのフォースブレイドがジェネラルを薙ぎ払う。
重厚な鎧が大きく深く斬り裂かれ、小爆発と火花が飛び散る。ジェネラルはぐらりと揺らいだが、しかしまだその動きをとめてはいなかった。
そしてイクシアもとどめを刺そうと体勢を立て直すには、今の一撃は威力が大きすぎた。イクシアが再び舞い上がったそのときには、ジェネラルの姿はもうそこにはなかったのだ。
言葉なき剣のみの会話。それでもイクシアは相手のことが少し解った気がした。
伝わってきたのは相手の『覚悟』。あまり良い類いのものではないと感じたが、その想いだけは本物だった。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「MIAから復帰した者がスパイ化するのは、よくある話です」
嗤う
「私達にとって重要なのはオビリビオンマシンの殲滅だけです。第三基地が敵と内応しようが革命を起こそうがどちらでも構いません」
嗤う
「どちらであっても。第三基地が決起したのは、この国を良くしたかったからでしょう?私達の目的は機体の完全破壊だけ。死んでも貴方の願いが叶わないなら、全てを機体のせいにして再起を図ってもいいと思いますよ」
嗤う
敵機と同サイズに巨大化した黄巾力士に融けるように融合
敵の攻撃は仙術+功夫で縮地(短距離転移)し回避
ガンフーして零距離で金磚連射
敵機の手足を吹き飛ばす
説得できなかった場合は金磚で操縦席零距離射撃し願いを叶える
●
大きなダメージを負いながらもジェネラルはトラバス平原を駆ける。
「まだ死ねないか。いやここまできたのなら目標はリーゼン本国――」
平原を越えた向こう。リーゼンのほうを見据えてハンザ大佐が呟いたそのとき。
「MIAから復帰した者がスパイ化するのは、よくある話です」
いきなり割り込んできた通信に、ジェネラルが足を止める。
そうこんなものはよくある話。めずらしくもない謀略だ。それがリーゼンの作戦だったというなら、ただ失敗しただけ。
だからそんなことは、猟兵にとって関係ない。
鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)はそう言って嗤った。
「私達にとって重要なのはオビリビオンマシンの殲滅だけです。第三基地が敵と内応しようが革命を起こそうがどちらでも構いません」
もういちど嗤う。
「謀略か内憂か。どちらであったとしても、第三基地が決起したのはこの国を良くしたかったからでしょう?
鳴上はハンザ大佐に語りかけた。
「私達の目的は機体の完全破壊だけ。死んでも貴方の願いが叶わないなら、全てを機体のせいにして再起を図ってもいいと思いますよ」
冷笑を含んだ言葉が、ハンザ大佐を射貫く。
「機体のせい? 冗談ではない」
ジェネラルのハルバードが鳴上に向かってその穂先を向ける。
「これはわたしの意思で行ったことだ。失敗はわたしの運と実力が足りなかっただけのこと」
だからこそ失敗したならば再起などない――。
ジェネラルの騎馬が大地を蹴り鳴上へと駆けた。
それを見た鳴上は瞳を青く輝かせ、喚び出した自律戦車――黄巾力士に融けこみ融合を果たした。鳴上と一体になった黄巾力士はジェネラルにも匹敵する重装甲の機体を鈍く光らせ、その突撃に対して中段に構えた。
ジェネラルの膂力に騎馬の速度を乗せた一撃が、真正面に捉えた黄巾力士を狙って突き出される、が、ハルバードの切っ先が届く寸前、黄巾力士は霞のように消え、ジェネラルの左真横にその姿を現すと、脇腹をめがけて金磚の引き金を引いた。
零距離で放たれた銃弾を左の手甲で受けながら、ジェネラルが機体を捻って横薙ぎの一撃を繰り出すと、黄巾力士の姿は再びかき消え――ることができなかった。
ジェネラルの肩の棘から放たれる電磁パルスが空を焦がし、ハルバードの軌跡に引力を生み出すと、黄巾力士を引き寄せる。
転移を封じられ、引き寄せられた黄巾力士に向けて振り抜かれたハルバードの刃を、金磚の銃弾が弾き飛ばし、その勢いに上体を反らせたジェネラルの四肢に、さらなる金磚の連射が突き刺さった。
両手足の関節を撃ち抜かれ、騎馬の上にがくりと崩れるジェネラルのオーバーフレームに、黄巾力士が金磚の銃口を押しつけた。
言葉は交わした。説得が拒否されたのならば、こうするしかない。
鳴上が引き金を引こうとした瞬間、それまで静かだった騎馬が突然全身を震わせ、後ろ脚で蹴りを放った。
反応が一瞬遅れた黄巾力士が、バックステップで距離を取ると、騎馬は蹴りの勢いのまま前へと駆けだし、その速度をあげていった。
主を背に乗せた騎馬が離脱していく。
自らも傷を負い、それでも主のために駆ける騎馬を鳴上は追わなかった。
ハンザ大佐は『目標はリーゼン本国』だと言った。このあとにも控える猟兵を相手にどこまでいけるのかはわからない。
追えば自分がとどめを刺すこともできただろう。しかしあのキャバリアと騎馬は自分を『抜いて』いったのだ。
もしリーゼンに辿り着いたのならば、あらためてリーゼンごと滅せばいい。
鳴上はそう思い、今はハンザ大佐の戦いに敬意を表して、その姿を見送った。
大成功
🔵🔵🔵
エクティア・クロンユナイールゥ
【雷霆】
※アドリブ大歓迎
次はお馬さんですか。まぁ、いいでしょう。疾さ比べといきましょうか。
当たると思ったら大間違いですよ?
|TranszendentBlitz《トランスセンデンスブリッツ》を発動、代償の呪縛は因果を破壊して無かったことにします。オルフェウスが疾走なら私は雷速+レベル×500km/hでの飛翔です。
技能を5つ(限界突破、電撃、戦闘演算、貫通攻撃、レーザー射撃)を自分のレベル×900にします。
蒼煌ギアで非常に遅い世界で常に戦闘演算と合わせて最適解を選択。
限界突破した蒼煌の魂で無限に出力が上がったCKSで弱点を攻撃しながら、隙が出来たら限界突破した蒼き雷光閃で攻撃します。
オルフェウス・シフウミヤ
【雷霆】
アドリブ大歓迎
お馬さんと合体ですか。では、私とエクティアのタッグで敵さんと疾さ比べと洒落込みましょうか。月の女神の疾さと鋭さ、とくと味わいなさい。
まずは煌銀眼で非常に遅い世界の中で戦闘演算と合わせて常に最適解を選択。機獣リュカオンの限界突破と貫通攻撃を付与したレーザー射撃で攻撃させます。
|雷光の月女神《オーバードライブ・アルテミス》を発動。雷速+レベル×500km/hでの疾走し、全ての因果律、事象、法則を改竄し操る能力で代償の呪縛を踏み倒し、夜空煌星刃で斬り因果改竄で敵の防御力を落とせるまで落としてから、聖戦神剣を用いて光速を突破して超光速での超速斬撃を連続で急所を狙い斬り裂きます。
●
『我に従え』
頭の中に明確な声が響いた。これが『あの声』なのだろう。ハンザ大佐はそう確信すると、
「誰だか知らないが巫山戯るな。これはわたしの戦いだ」
声に出してしっかりと答えた。
『お前では猟兵には勝てん』
(そんなことは解っているさ)
ハンザ大佐は今度は声に出さなかった。なんだかわからない『モノ』に、わざわざ教えてやる必要もない。
しかし目標はリーゼンと決めたのだ。そこまでたどり着けたのなら、リーゼンを滅ぼし、シュウェリンは自分が治める。
そのためには猟兵と戦い、勝つしかないではないか。
●
戦車の次は騎馬か。
エクティア・クロンユナイールゥ(不死身の|蒼煌雷霆《ブラウ・ケラウノス》・f39247)とオルフェウス・シフウミヤ(|冥府の吟遊詩人《オルフェウス》の系譜・f40711)が。平原を走るジェネラルを視界に捉えて思った。
騎馬の一番の強みは、速度、そしてそれを生かした攻撃力だ。ジェネラルも素晴らしい速度を誇っているように見える。しかし、2人から見ればそれはまだまだ甘かった。
「月の女神の疾さと鋭さ、とくと味わわせてあげましょう」
「ええ、疾さ比べといきましょうか」
エクティアとオルフェウスが視線を交わした。
圧縮された時間の中で弾き出された計算結果を、オルフェウスの銀色に煌めく瞳が幻視する。
数多の結果の中から選び出された最適解。それを現実のものとするため、オルフェウスは銀狼機獣を喚び出すと、ジェネラルへとレーザーを浴びせかけさせた。
許容限界を超え、放電を起こしたレーザーがジェネラルの肩に命中し、ギラつく棘を蒸発させると、攻撃を受けて、騎馬の背にもたれていたジェネラルが上体を起こした。そして手綱を操り、猟兵を振り切ろうとさらに速度を上げる。
しかしエクティアとオルフェウスがそれを許すことはない。エクティアは空へ、そしてオルフェウスは地を、二条の雷と化して2人がジェネラルに張り付く。
空と地、上下を挟まれたジェネラルはそれでもさらに速度を上げた。鎧が赤熱して陽炎が立ち上り、その姿が揺れて霞む。そして灼熱のオーラを纏ったハルバードが周囲を巻き込むように振るわれた、しかし――。
「当たると思ったら大間違いですよ?」
エクティアの瞳が蒼く燦めくと、その姿がかき消え、振るわれた斧槍を軽々と躱す。オルフェウスも深紫に輝く瞳でハルバードを見つめると、最小限の動きでその刃ぎりぎりを見切った。熱波が2人の肌を焼く。
大振りの一撃にできた隙をエクティアは見逃さなかった。
ギアが蒼い燦めきを放ち数千の時間軸が演算状でその結果を導き出され、選びだされた最適解が即座に実行された。
|TranszendentBlitz《トランスセンデンスブリッツ》。瞳が輝きを増すと、多次元から集約されたエネルギーが因果を砕いた。エクティアは全身に雷を纏うと、全身から限界を超えて溢れるエネルギーが雷鳴となり轟音を響かせながら黄金の軌跡を残して空を翔ける。
そしてジェネラルの正面へと舞い出たエクティアのクリスタルから燦めきと共に蒼き雷槍が撃ち出され、鎧に穴を穿っていった。
それとタイミングを合わせるようにオルフェウスもその瞳を輝かせ、|雷光の月女神《オーバードライブ・アルテミス》を発動させた。
エクティアとオルフェウスは空と地に別れ、そしてその間にはジェネラルの巨体がある。しかし互いの姿は見えなくとも、動きは手に取るように解っている。絆の前には目視など必要ないのだ。
因果を書き換えながら奔るオルフェウスの起こしたソニックブームが大地を抉る。オルフェウスは瞬間移動とも思える速度でジェネラルの正面にその姿を現すと、|夜空煌星刃《ナイトライトニングセイバー》を抜き放ち、黒い雷光を放つ刃が騎馬の全身を切り刻んだ。
ジェネラルの巨体がぐらりと傾き、騎馬の足が止まる。
赤熱していた鎧もくすんだ銀色へと変わり、纏っていた陽炎も立ち消えた。
その姿を静かに見据え、オルフェウスは金色の剣を抜き放つと、光速を超えた六連斬――真っ向、右袈裟、左袈裟、右逆下差、左逆袈裟、逆真っ向――を叩き込み、エクティアの腹部に内蔵された砲口からは|蒼き雷光閃《ブラウ・カリドゥス》がジェネラルの壇中を貫かんと放たれた。
(ここまでか)
ハンザ大佐が薄い笑みを浮かべて目を閉じる。たどり着けなかったことは悔しいが、それでも殺してはもらえるようだ。
しかしハンザ大佐の想いはまだ叶わなかった。
エクティアとオルフェウスの必殺の連携に、騎馬が前足を大きく振り上げて後ろ足立ちになると、主をその背から振り落とした。
騎馬は全ての攻撃をその身で受け、オーバーダメージにその姿が虚空へと消えていく。
エクティアとオルフェウスもその光景には驚きを隠せなかった。そしてそのわずかな時間が決定的なものになった。
騎馬の消えたその跡。背より落ち、伏しているはずのジェネラルが黒いオーラの残滓を残して消え去っていた。
行く先はリーゼンだろう。そのことは解っていても、今追う術はない。2人は残る猟兵に後を任せ、その場をあとにするのだった。
大成功
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ミスランディア・ガルヴォルン
「ふむ。作戦通りじゃな。
セレーネにカンペを渡し、セレーネとストライダーを囮にしておる隙に、わしがシュウェイン上層部にリーゼンの狙いを説明。
ガルヴォルンの別働隊を率いて、シュウェイン軍と共に第三基地の武装蜂起を阻止する――」
セレーネとストライダーが派手に動いてくれたおかげじゃろう。
ハンザ大佐とやらは、わしの動きにまったく気づいておらんかったようじゃ。
まあ、一時的とはいえリーゼンに協力したセレーネは、しばらく取調室から出てこれんじゃろうが――
その間に、このわしがオブリビオンマシンとの決着をつけてくれよう。
「量産型試作キャバリア『ストレイワン』、ミスランディア・ガルヴォルン、参るぞ!」
【キャバリア・コントロール】でストレイワンの軍勢を制御し、多数の機体で敵を攻撃じゃ。
機械馬と人馬一体じゃと?
笑止。こちらは無数のキャバリア軍団が一体となって一斉射撃じゃ!
「セレーネよ、お主の犠牲、無駄にはせんからな」
――しかし、ストライダーが大破したのは想定外じゃな。
ガルヴォルン、破産せんじゃろうか……
シャナミア・サニー
やっぱり元凶でてきたかー
なになに?真正面から叩き潰してほしいって?
仕方ないなー私がお相手してあげよう
私のレッド・ドラグナーなら
後ろ取る必要なんて無いからさー
お姉さんとデッド・ヒートの|恋《命懸け》、してみる?
【メインウェポン・チェンジ】!
スチームエンジン・ハンマーガントレットをチョイスで攻撃力↑・射程↓
んでそっから【バーニング・フライングハイ】!
ハンマーガントレットとの重ねで真正面からぶっ飛ばす!
多少の損傷は|必要経費《コラテラルダメージ》
懐まで飛び込めたらこっちのもの!
身長ばかでかいのは確かに脅威だけど
正面からなら所詮は『威力』勝負の殴り合い!
死にたいヤツが!
生きたいヤツに勝てると思うな!
●
『我に従え』『我に従え』『我に従え』
黒いオーラに絡め取られたハンザ大佐の頭の中で澱んだ声が木霊し、うめき声がコックピット内を埋め尽くす。
基地から出撃してからこれまで、何度か死線を乗り越えた。いや、無理矢理乗り越えさせられた。それが頭に響く『あの声』、そしてこのキャバリアのマトモでないところなのだろう。
ならば、この声に従ってしまえば、リーゼンにたどり着けるかもしれない。そんな考えがハンザ大佐の頭を一瞬よぎる。しかしその瞬間、しれはハンザ大佐としての意思ではなくなる。最悪リーゼンに利用されることだってありうるのだ。
それだけは避けねばならない。反乱は、自分の、同士たちの|シュウェリン《国》を憂う心から起こったことなのだ。それ以外では断じてない。
その事実を確定させるためにリーゼンに征く。だからそこに、自分の意思以外の何かがあってはいけないのだ――。
●
「やっぱり元凶でてきたかー」
シャナミア・サニー(キャバリア工房の跡取り娘・f05676)が、ぱしん、と拳を手のひらに打ちつける。
「ふむ。作戦通りじゃな」
ミスランディア・ガルヴォルン(ガルヴォルンのメインサーバー・f33722)も、レーダーにジェネラルを捉えて頷いた。
作戦概要とセリフを書いたカンペを渡し、スティンガーⅡとストライダー、目立つ一機と一艦を囮にしている隙に、ミスランディアがシュウェイン上層部にリーゼンの狙いを説明して基地の武装蜂起を阻止してもらう。その間ガルヴォルンは別働隊としてトラバス平原で待機。脱出してくるであろうオブリビオンマシンを討つ。
作戦は遂行され、読みもほぼ完璧に当たった。
スティンガーⅡとストライダーが派手に動いてくれたこともあり、反乱軍司令――ハンザ大佐は、こちらの動きにはまったく気づいていなかったようだ。
誤算と言えば、一時的とはいえリーゼンに協力したことで、司令官がしばらく取調室から出てこられなくなったことだが――。
「その間に、このわしがオブリビオンマシンとの決着をつけてくれよう」
ミスランディアのレプリカントボディ、その猫耳が重々しく揺れる。
「量産型試作キャバリア『ストレイワン』、ミスランディア・ガルヴォルン、参るぞ!」
●
リーゼン本国へと向かい歩を進めるジェネラルに、ミスランディア率いるストレイワンの部隊が立ちはだかった。
人馬一体、と聞いていたが騎馬の姿はなく、ジェネラル自身もこれまでの猟兵との戦いによるものだろう、機体に相当のダメージを負っている。
それでも歩みを止めないジェネラルを、ミスランディアの号令一下、ストレイワン部隊の一斉射撃が襲った。
傷つき、動きも鈍っていたジェネラルは、そのまま打ち倒されるかに見えたが、手にしていたハルバードを回転させて銃弾を弾くと、ストレイワンの部隊に正面から向き直り、ハルバードを構え直した。
黒い光、そう言うしかないオーラがジェネラルから立ち上る。
ジェネラルはまだ『生きている』。ミスランディアはそう感じ、ストレイワンの部隊をジェネラルを囲むように展開すると、逃げ道を完全に塞いだ。
「なになに? 真正面から叩き潰してほしいって?」
ジェネラルの周囲を取り囲んだストレイワン部隊の中にあって、ひときわ目立つ真っ赤な機体が前へと進み出る。
「仕方ないなー、私がお相手してあげよう」
止めようとしたミスランディアを動きで制して、シャナミアはわざと軽い口調で相手を煽った。
ジェネラルのダメージから見て、このまま一斉射撃を繰り返せばいつかは崩れるだろう。しかしあの黒い光は、オブリビオンのオーラと命のオーラがせめぎ合っているものだ。ジェネラルのパイロットは意地を通そうとして、その結果、意思と命がキャバリアにまで力を与えている。命を削って向かってくる相手に、物量作戦はちょっと味気ない。
それならば。
シャナミアのレッド・ドラグナーがさらに歩を進める。細かいことは関係なしのシンプルな一騎打ちをしよう――。
「お姉さんとデッド・ヒートの|恋《命懸け》、してみない?」
あくまでも気負いなく、シャナミアはレッド・ドラグナーの拳をジェネラルに向けた。
それに応えて、ジェネラルもハルバードをレッド・ドラグナーへと向ける。
同意の証を受け取り、レッド・ドラグナーがウェポン・コンテナからナックルダスターを取り出した。両拳を打ちつけるとナックルから火花が散り、吹き上がる蒸気が拳から立ち上る。
せっかくの一騎打ち、飛び道具なんて無粋というもの。その点このRX-MWスチームエンジン・ハンマーガントレットは射程なんてないかわりに攻撃力は凄まじい。そしてそんな武器で勝つための方法はただひとつ。相手より早く自分の攻撃を叩き込むことだ。
ジェネラルは黒い光を全身から揺蕩わせながらレッド・ドラグナーを正面から見据え、ハルバードを構えたまま微動だにしなかった。
騎馬を失い、全身に大きなダメージを受けているジェネラルにはもう以前のような突撃はできない。一矢を報いる可能性があるとすれば、カウンターしかなかった。シャナミアもそれは解っている。
「おっけー。ならこっちから行ってあげる」
振り向いたら負け、ってね!
シャナミアが瞳を輝かせながらスロットルをオーバーブーストへと叩き込むと、レッド・ドラグナーの背部に格納されていたバーニアが展開され、白い炎を噴き上げた。
シャナミアですらシートに押しつけられるほどのGがレッド・ドラグナーの機体を軋ませながら、ただ真っ直ぐに最短距離をジェネラルへと翔ぶ。
勝負は一瞬。刹那の交錯。
彗星となったレッド・ドラグナーの左拳がジェネラルへと叩き込まれる。しかしジェネラルはそれを躱さない。その場から動かずに構えていたハルバードを引き、柄舌を握り直すと、そのままレッド・ドラグナーの左拳に向けて突き出した。
「こんなのは|必要経費《コラテラルダメージ》っ!」
左腕を斧槍に砕かれるまま、シャナミアはレッド・ドラグナーをジェネラルの懐に潜り込ませると、残る右拳が蒸気の唸りを上げてジェネラルの胴を抉った。
「死にたいヤツが!」
ジェネラルの分厚い鎧に亀裂が走る。
「生きたいヤツに勝てると思うな!」
気合一閃。押し当てられた右拳が蒸気爆発の轟音と共にジェネラルの鎧を砕き、ボディを貫く。
がくん、と痙攣するように機体を震わせ、ジェネラルを包んでいたオーラが輝きを失い、どす黒い闇のみが機体に纏わりついていく。
レッド・ドラグナーはジェネラルを蹴り飛ばすと、自ら左腕をもぎ取り離脱を図った。
ぎしり。胴体に大穴を開けながらなお立ち上がろうとするジェネラルに、
「撃てぃ!」
ミスランディア指揮のストレイワンが一斉に射撃を浴びせかけた。
逃れる術も場所もない。完全包囲状態からの集中砲火にジェネラルの鎧が引き裂かれ、ついには砕け崩れ落ちると、黒いオーラも空に霧散していった。
静けさを取り戻した荒野に風が吹く。
鉄塊となったジェネラルを前に、ミスランディアとシャナミアは大きく息を吐き出すと、空をみつめた。
「お主の犠牲、無駄ではなかったぞ」
「仇はとったよ……」
擱座したジェネラルの後方上空に、ガルヴォルン司令官の笑顔が浮かんだ。
『生きてますよ!?』
どこかからそんな声が聞こえた気がしたが、2人はそれをしれっとスルーした。生きてはいるだろうが、今頃はおそらく魂が抜けているだろう。
(――しかし、ストライダーが大破したのは想定外じゃな)
今もトラバス平原で墜ちたままのストライダーを思うと、ミスランディアのため息は深かった。
(ガルヴォルン、破産せんじゃろうか……)
ひょっとしたら保釈金も必要になるかもしれない。ストレイワンの中で細かな計算をしていたミスランディアは、ひとりこめかみを押さえるのだった。
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捕虜交換から始まった一連の事件は、こうしていちおうの幕を閉じることになった。
リーゼンからシュウェインへはやはり抗議があったものの、猟兵から全ての事情を知らされていたシュウェイン政府は、双方互角の戦闘であったとして抗議を受け流し、有耶無耶にしたのだ。
これはリーゼンの策に乗せられたことを公表したくないシュウェリン政府が、捕虜交換の場を利用したという事実をリーゼンに突きつけ、双方大がかりな調査をしないことにして手打ちにした結果だった。
調略が失敗し戦力を削られたリーゼン。政府の体面を優先し反乱の事情を握りつぶしたシュウェイン。どちらも傷だけを負う結果となり、両国の溝はさらに深くなったと言える。
この結果だけを見てしまうと、結局得をしたのはオブリビオンマシンだけなのかもしれない。シュウェリンとリーゼン。両国の争いは激しさを増すばかりだった。
大成功
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