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Bon voyage!

#グリードオーシャン #戦後 #伝説の島を目指せ #蒼海の職人市 #水着コンテス島 #ニャンニャンイェー島 #夕狩こあら

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 七大海嘯が全て倒された事で、人々は再び冒険心を、海への浪漫を取り戻した。
 どこまでも広がる海を前にした「水着コンテス島」の若者達も、新たな世界を目指して貪欲に船出する。
「じいちゃん達が云ってた伝説の島……ニャンニャンイェー島を探す時が来た!」
「魔術師ニャルケーが作ったという……本当かどうか、この目で見てやるぜ!」
 冒険の目的は、伝説の島を見つけるだけでは無い。
 件の島に上陸し、ネコビトとかいう原住民と親睦・交易する――特に交易路を開くことは、お互いのメリットになると考えての事だ。
 危険な海域を通る事になるのだが、今回は猟兵も居る事だし、まぁ何とかなるだろう。
 希望に満ちた船乗り達は、発見祈願の為に、士気高揚の為に、何ならいつもの流れで、まるで息をするかのように自然に、甲板に設置した「東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置」に集まった。
「よし、ここいらで水着コンテストやろうぜ!」
「やろう、やろう! メチャ盛り上がるしな!」
 其はどんな物でもゴージャスに登場させる全方向照明せり上がり装置。船上バージョン。
 この装置から登場する水着姿の者達に、ヒューヒューと声を投げるのがコンテス島の住民の楽しみなのだと噛み締めるように言った彼等は、早速、護衛を依頼した猟兵にも「どう?」と誘いかけるのだった。


「――交易品を遠くの島に運んで欲しい、との依頼があった」
 水着コンテス島の船乗り達からだ、と言を添えるは枢囹院・帷(夜帷の白薔薇・f00445)。
 約二年前の羅針盤戦争で、賞金稼ぎ「メリー・バーミリオン」に度々狙われたあの島だと、集まった猟兵達と認識を共有した彼女は、ひとつ呼吸を置いて説明を始めた。
「目的地は、これまで島の住民に『おとぎ話』や『ホラ話』として伝わっていた、ニャンニャンイェー島という伝説の島。偉大なる魔術師ニャルケーが作ったという洞窟を潜ると、その島に着くらしい」
 それは、ネコビトと呼ばれる者達が年中「イェーイ!」ってしているらしい島。
 これまで実在が疑われていたが、もし件の島が実在するならば、交易路を開くことは互いの益になると考えての冒険だそうだ。
 途中、危険な海域を進むに猟兵の支援が必要と確言した帷は、それはそれとして、船内で行われる催しについても説明する。
「コンテス島の船乗り達が、甲板で水着コンテストを行うそうだから、君達もエントリーしてみてはどうだろう」
 楽しい事が大好きな彼等が最も船旅を謳歌できるのが、水着コンテスト。
 甲板に設置した「東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置」から登場すれば、船内の士気は爆上がり、無事に目的地にたどり着けるだろうと、帷は確信を持って云う。
「怪物や海獸が出る気配は無し、楽しんでくるといい」
 柔らかな微笑と共に、ぱちんと指が鳴った。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、グリードオーシャンで危険な海域を突き進み、伝説の島「ニャンニャンイェー島」を目指すMIZUGIアドベンチャーシナリオ(難易度:普通)です。

●シナリオの舞台
 グリードオーシャンの孤島「水着コンテス島」を出発し、第一章は船上から描写します。
 交易品を積んだ船内で水着コンテストを楽しみつつ、伝説の島(第二章)へ向かいましょう。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『伝説の島を目指せ』(冒険)
 水着コンテス島の住民は、船旅に出る時も水着コンテストを欠かしません。
 甲板には島の名物「東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置」が設置されていますので、折角なのでエントリーしてみましょう。イケてるパフォーマンスをすれば、船乗り達が超喜びます。しなくても大丈夫です。

 第二章『蒼海の職人市』(日常)
 島民に口伝される伝説の島「ニャンニャンイェー島」に到着し、職人市場で交易の手がかりを見つけます。
 住民は真珠やサンゴ等の加工品を取引しているようですが、猟兵のアイデアで、もっと交易品が増えるかもしれません。目利きをしてみましょう。
 またキマイラフューチャーから落ちてきたと思われるこの島には、時々コンコンコンが作動しますが、ゲットできるのは「ニャンドルマ」「ニャ-ベット」「ニャイスクリーム」といったアイス類のみ。こちらも工夫次第で交易品になるか……皆様のお口でお確かめ下さい。

 各章で水着イラストを指定する場合、省略して【🏝ID】で指定するか、このシナリオでのみ着用する新作水着などは、文章でのご指定をお願いします。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。呼び名があると助かります。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 冒険 『伝説の島を目指せ』

POW   :    目の前の問題を力任せに解決します。満載された積荷が崩れそうな場合などは、全力で支えたりします

SPD   :    敵が想定しない速度で鉄甲船を操ったり、類まれな操船技術によって困難を乗り切ります

WIZ   :    伝説の島の謎を解いたり、策略を逆手にとって利用する事で、島を目指します

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナミル・タグイール
【リダン(f03694)と】
呼び名リダン
🏝184455
伝説の島の大冒険!も楽しみだけどー、キラキラ☆せり上がり装置って何デスにゃ!きらきらにゃ!?めっちゃ気になるにゃー!

もちろん参加して金ぴか水着を見せつけに行くにゃ。リダンも手伝ってにゃー!
リダンに演出してもらいながらドヤ顔ドヤポーズでせりあがって金ぴかキラキラ登場しますにゃ!流行りの金ぴか水着にゃ!
キラキラ装置にナミルの金ぴか水着とリダンの演出が合わさって最強にきんきらきんのはずデスにゃー!
にゃー!みんなまで金ぴかキラキラになってるにゃ!綺麗にゃ最高デスにゃ!(はしゃぎすぎて呪詛とユベコが漏れ出猫)
みんな金ぴかで盛り上がり楽しいにゃー!


リダン・ムグルエギ
【ナミルちゃん(f00003)】と遊びに来たわ
今年のテーマはカントクのアタシ、いの一番にお立ち台から顔を出すわよ
泳げる、叫べる、指示出来る、そんなアタシからお知らせよ!
今年の流行りはアタシのこの水着…ではなく
皆でキラキラしちゃう水着なのよ!

今回のテーマは全員キラキラ★
金色ピカピカの海パンや競泳水着をいっぱい準備してきたのよ
船員さん達にも配っちゃって盛り上げていくわよ

なんでこんなコトするかって?
ほら、ミンナで同じような衣裳を着ると連帯感でるし、楽しいし
そして、次に出てくるナミルちゃんが喜ぶのよ!

ついでに、新しい|客先《しま》のヒト達への商品アピールになるじゃない?(金ぴかの猫用水着を手に)



 水着コンテス島の住民が、遂に船へ「あの装置」を持ち出した――。
 新時代の幕開けを逸早く察知したリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、この|潮流《トレンド》を|共有《シェア》するに最も相應しい者へ、JK並みの瞬発力でDMしていた。勿論、受信した相手の瞬発力も然り。
 事前準備は万端。
 あとは、浴びるだけだ。
「今年のテーマはカントクのアタシ、一番は貰ったわよ!」
 シュワッと彈けるスプラッシュ、爽快なBGM、全方向から注がれる強烈な照明。
 そして一点に集められる視線に笑顏を返した|服飾師《デザイナー》は、ビタミンカラーのメガホンを手に佳聲を澄み渡らせた。

 \おお! いの一番にお立ち台から現れたのは、戰爭時にも來てくれたミス・トレンド!/
 \水色、ピンク、イエロー! フレッシュカラーを溌剌と纏めたコーディネートはまさにプロ!/

「皆、久しぶり! 伝説の島に向けての船出、おめでとう!」
 泳げる、叫べる、指示出來る! 三拍子揃ったリダンが手を振れば、熱狂した船員が手を振り返す。
 彼女の実績を知る者達なれば、今回は何をしてくれるのだろう? と期待が膨らむが、その胸の昂揚に應えるように照明はクルクルと床を滑ると、|下手《しもて》に移動するリダンとは別の位置に光を集めた。
「今年の流行りはアタシのこの水着……ではなく、皆でキラキラしちゃう水着よ!」
 リダンの水着は、あくまでカントクのもの。
 これより迫り出る水着こそ、そのカントクが提案するイチオシなのだとは、間もなく溢れる燦然が知らしめた。

 \うおっ、このキラキラは……金の水着?/
 \今年のトレンドカラーはゴールドかな?/

「然う、今回のテーマは全員キラキラ★ 金ピカの海パンや競泳水着を取り揃えたわ!」
 船員の目に飛び込んだのは、デザインを違えた金色水着がいっぱい!
 ワイルドな海賊風サーフパンツも、和柄のクォーターも、競技用のボックスも、全てが彼女の自社製――魅力溢れる【|トレンドプランナー・GOATia《ヤギノステキナイショウ》】にかかれば、水着は文字通り“飛ぶように”売れる。
「さぁ皆に配るわよ! このゴールデンリーフ柄が気に入った人は……? ――Hey,ナイスキャッチ!」
 舞台から觀客に向かって金ピカ水着が弧を描き、受け取った者から着替えにゴー。
 水着姿を眺めるだけでない、觀客一体型のイベントに進化させたリダンは、初っ端からテンションをブチ上げて連帯感を出していく。
 漸う船員が金ピカに染まった頃、メガホンは再び朗々とアナウンスした。
「さぁ、今度は皆で喜ばせて頂戴! ――初舞台のナミルちゃんを!」

「これが東西南……キラキラ☆装置デスにゃ? キラキラのピッカピカにゃー!!」

 七彩の光が一斉に金一色に、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)の艶姿を輝かせる。まぶしっ!!
 リダンの合図で「迫」から現れたデカ猫は、ぱぁんと音を広げて舞う金の紙吹雪に驚いたのも一瞬、眼路いっぱいに滿つ金景色に瞳を細めると、ドヤ顔&ドヤポーズで觀客を魅了した。
「ナミルも負けてないにゃ! 流行りの金ピカ水着で、最強最高のきんきらきんデスにゃ!」
 黑々とツヤのある毛並みに差す金も美々しく、じゃらじゃらの金装飾に流行の金ビキニを纏って赫奕燦然。
 全方向から照明を集める装置に対し、その眩しさを全方向に反射するキラピカは、まさに黄金の権化であった。

 \すげーッ!! 存在そのものが黄金みたいだ!!/
 \きんぴかじゃらじゃらLv.MAX……恰好良いぜ!/

「にゃー! みんなまで金ぴかキラキラになってるにゃ! 綺麗にゃ最高デスにゃ!」
 伝説の島の大冒険も期待していたナミルだが、キラキラ装置からせり上がって見た景色も絶景。最の高!
 餘りの金ピカにはしゃぎまくりな呪詛猫は、黄金への執着をダダ漏れに、無意識にも【|ミダスの感染《ナミルカセンノウイショウ》】を蔓延させ、この場に居る觀客をキラピカ黄金大好きに、船旅を共にする者として一体感を作っていく。
「みんな金ぴかで盛り上がってるにゃ! 楽しいにゃー!」

 \うおお、この喜びを伝説の島に届けたくなってきた!/
 \このテンションなら危険な海域も乗り切れるぜー!/

「そうデスにゃ! きんきらきんで乗り込みマスにゃ!」
「いいわね。新しい|客先《しま》のヒト達への商品アピールになるわよ?」
 全方向から燦然が注がれる中、尻尾をブンブン振って金ピカの佳景を楽しむナミル。
 その隣で和々と頬笑んだリダンは、つと瞳を水平線へ――伝説の島があるという方向に|販路《みち》を見出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
【エル(f04770)と】
●呼び名:エル
●🏝ID184400


ニャンニャン、イェー……?
なんスかそのクールな名前した伝説の島
ネコビトなァ
察するにキマフューから落ちて来た系の島ってトコでしょうかや
ま、興味無くもありませんわ
見に行きがてら、ワイルドハント猟団長様が直々に護衛してやんねーでもねっスよ
(魔鍵に夏季限定特別追加搭載したシルバーレイン式回転動力炉をグオングオンいわせる)

そんじゃエル、おたくは船の周りを哨戒してく方向で
オブリビオンくせーのを捕捉したら、許す、撃て
俺めは弾幕から漏れて甲板まで寄せて来たヤツをブン殴――(護衛任務でもガチ戦闘布陣しく)


って何してるんスかおたく??(壇上におるやん)


エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●呼び名:|猟団長《マスター》
●🏝ID184042

ニャンニャンイェー島――
目的地名称を登録しました

躯体番号L-95
当機は船舶護衛に高い適性を発揮します
(戦艦の艤装っぽいアームドフォートを身の周りにモリモリ展開する)
(火砲群はもちろん船体装甲デザインの盾を周囲に浮遊/配置することで防御力もマシマシというフォーム)
(シルバーレイン世界のプール=サバイバルみたいな戦闘訓練の場だと思ってたので、今年の水着はガチ戦闘仕様)

ヤー
ラージャ
完全に理解しました
火器管制システム、ロック解除
(物九郎の命令に追従していると見せ掛けて、キラキラ壇上へウキウキで飛んで着地しちゃ周囲にアピる)



 まだ殆ど書き込みのない海図の前、航海士を差し置いて|中央《ドセン》に立った白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、この船が目指しているという島に記された語を、訝しげに|捺擦《なぞ》った。
「ニャンニャン、イェー……? なんスか、そのクールな名前した伝説の島」
「The island of Nyan Nyan Yeah――目的地名称を登録しました」
 その対面、広げられた海図に燐光を滑らせていたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が|読取《スキャン》の完了を告げば、彼女を連れて船室を出た物九郎は、仄昏い通路を猫背で歩きつつ、先に聽いた情報を重ね合わせた。
「ネコビトなァ。察するにキマフューから落ちて来た系の島ってトコでしょうかや」
「島民がキマイラである可能性は濃厚です」
「――ま、興味無くもありませんわ」
 |他所猫《よそさま》が気になるのは、雄猫の性。
 ちょいとシマの樣子を見てやろうと、好奇心……いや対抗心を兆した物九郎は、交易品を詰め込んだという倉庫に一瞥を呉れると、ガシガシと頭を搔いた左手をそのまま橫へ、自ら輪郭を混ぜた空間に何かを摑んだ。
「見に行きがてら、ワイルドハント猟団長様が直々に護衛してやんねーでもねっスよ」
 昏がりに明々と橙色の光を引いたのは、巨大な魔鍵。
 夏季限定の特別な増幅装置、シルバーレイン式回転動力炉は既にグオングオン哮って準備万端。滾る光熱が物九郎の橫顏を照らす中、彼に楚々と追從したエルは、このまま突き当りまで直進するよう繊指に示した。
「躯体番号L-95_当機は船舶護衛及び『東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置』に高い適性を発揮します」
「東西南北……? 今なんて――」
 なんて言いましたかよ、と。
 鸚鵡返しに尋ねようとした矢先、足元が搖れる。床がせり上がる。
 甲板まで押し上げられるや、カッッ!! と、全方位から注がれる強烈な照明に双眸を眇めた物九郎は、待っていたとばかり歡聲を上げる船乗りと、彼等に應じるように武装解除、全力展開するエルを交互に見た。
「何してるんスかおたく?? いや俺めまで立たされてますけども」
 なんなら壮大なBGMと、スモークマシンのドライアイス噴射まで浴びてますけども。
 ちょっと話がある、と副官に向けられた疑問は、然しMCのゴキゲンなアナウンスにかき消された。

 \猟兵部門の二組目は、仲良くカップルでのエントリー!! お二人ともカッコE!!/
 \おおっと!? 戰艦ガールは空中で艤装展開……これはアームドフォートだーッ!!/

「ヤー」
 柔らかな曲線美を魅せる肢体と、華奢を巡るゴリッゴリに硬質な戰艦。其は海の浪漫、男の浪漫。
 今年、猟兵業界で開催された「水着コンテスト」は銀誓館学園のプールで行われたのだが、会場がサバイバルめいた戰鬪訓練の場と思っていたエルは、モリモリの武裝。これが船乗り達にどストライクだった。

 \外側の完全武装に対して、水着の無防備さがイイネ!/
 \これぞ攻守奪救防殺の極! もっと見せてくれーッ!/

「リクエストを承認します」
 電腦魔術によって浮遊する火砲群は、全方向から注がれる照明を全て撃ち落とす勢いでクルクル。また船体装甲型の盾を周囲に配置することで防御力もマシマシなのだと、輕やかに一回転して見せてくれた。
 ここで陶然としなかったのは、物九郎くらいだろう。
「……。……端から|足場《あすこ》が『迫』と知ってましたわな?」
「船のスキャンは完了しています」
「……。…………。」
 恐ろしく低く冷たい佳聲が頬を掠めるも、エルは涼しげな儘。
 蓋し無表情ながらもウキウキでアピる彼女を見た物九郎は、溜息混じりに交睫ひとつ置くと、次いで視線を船外へ、涯なき海と空を|睼《みむか》えて云った。
「そんじゃエル、おたくは船の周りを哨戒してく方向で」
「ラージャ」
「オブリビオンくせーのを捕捉したら、許す、撃て」
「Order received. 完全に理解しました」
 キラキラと光が躍る中、言を交す。
 |猟団長《マスター》が命じ、而して副官も應じれば、彩を揃えた兩者の金瞳は烱々と研ぎ澄まされよう。
 舞台を降りざま甲板と帆柱に進路を分けた二人は、護衛任務でもガチ戰鬪布陣を取り、「ワイルドハント哨戒版」をはじめる。其がどれほど見応えがあるかは、羅針盤戦争を生き抜いた島民は知っている。
「俺めは彈幕から漏れて甲板まで寄せて来たヤツをブン毆――」
「火器管制システム、ロック解除」
 どこまでも靑い空が明々と浮き立ったのは、その一秒後。
 嵐の王が据わる船に嵐は來させぬと、めっっっちゃ威嚇した空砲が雲を吹き払うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榊・ポポ
(10連チャン有給で浮かれポンチな珍鳥がダバダバ走りでやってくる)
いっけなーい!遅刻遅刻ゥゥ!!
ニャンニャンイェー島ツアーのクルーズ船はこれですか?!
ツアーっていう割に海路がめっちゃ大シケで荒れるとこを突っ切るぽいけどまあいいやー☆
え?惜しいけど違う?ツアーじゃない?目的地的に似た様なもんっしょ!

ア!バブル時代の遺産のお立ち台じゃーん!
ほいじゃま、いっちょゲーミング☆ダンス☆パフォーマンスしてやっかチェケダーン!
ミニポポちゃんズはレーザービーム演出ヨロ!
往生際悪くバブル時代から蘇ったジュリアナ東京だYO!



 榊不動産の事務員・榊・ポポ(|デキる事務員《トンチキカカポ》・f29942)は、営業や会計、家賃の取り立てもデキる高性能アニマロイド(?)故に、バッチリ仕事をこなして10連チャン有給を取得。今年の夏は大いに羽が伸ばせそう。
 唯、浮かれすぎてお寝坊したか、荷物を持ち過ぎたか、コンテス島を出る船が渡り板を仕舞おうとしたギリギリのタイミングで、ポポちゃんはダバダバ走りでやって來た。
「いっけなーい! 遅刻遅刻ゥゥ!! ニャンニャンイェー島ツアーのクルーズ船はこれですか?!」
「あっカカポ」
 乗組員が|稀有《めずら》しいと目を瞠ったのも一瞬。珍鳥はサッと滑り込んで乗船成功。セーフ!
 勢いはその儘、デッキに至れば忽ちバカンスモードに、星形のサングラス越しに遥か水平線を眺めた。
「この先ちょっと荒れてる? ツアーっていう割に難所を攻めるっぽいけど……まあいいやー☆」
 抑もこの船はクルーズ船ではなく、ツアーでもないのだが、ポポちゃんは気にしない。
 こちとら怖いものナシの10連休、真夏の大冒険なのだと一回転した浮かれ珍鳥は、つと、甲板に設えられた装置に気付くと、潮風を集めて飛び立った。

「ア! バブル時代のお立ち台じゃーん! |遺産《レガシー》!」
 羽搏き音を置いたのは、舞台から更に上昇した「迫」の上。
 ジュリ扇代わりに自前の羽根を踊らせたポポちゃんは、全方向に備えられた照明が我が身に集まるよう煽ると同時、爆音のクラブ音楽を以て【|ポポちゃんダンシングナイト《ディスコホール》】の開始を告げた。
「ほいじゃま、いっちょゲーミング☆ダンス☆パフォーマンスしてやっかチェケダーン!」

 \これは……なにが始まっ……眩しい!!/
 \光と音の洪水に、ウキウキしてくる……踊り狂わされる!!/

「ミニポポちゃんズはレーザービーム演出ヨロ!」
「ポポー!」
 半自律式小型カカポロボが配置に付き、目から七彩のレーザーを踊らせる!
 ゴキゲンなDJがパーリィ感を膨らませ、VJがサイケな映像を投影してテンションをブチ上げる!
 然れば觀客はノリノリで踊り狂うパリピに、船全体がアゲアゲな空気で滿たされた!
「往生際悪くバブル時代から蘇ったディスコティークだYO!」
「YO!!」
 バイブスMAX、危険な海域なんて怖くなくね? 無問題!
 一気に士気を高揚させた船員は、荒波を踏み拉く勢いで船を走らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
🏝ID183875

とてもにゃんにゃんして楽しそうな冒険ですね!
ニャン! ニャン! イェー!(掛け声

【薔薇の妖婦】で甘やかな香りを放ち、装置の上でポージング(存在感・誘惑)
船乗りたちの要望があれば応えて【パフォーマンス】
ニャン! ニャン! イェー!

危険な海域、キルケ―……もといニャルケーが関わるなら、スキュラ……もといニャキュラ?でもいそうですね
【サーフィン】で偵察したり、先導したりしましょう
ついでに聖槍を銛代わりに魚を【串刺し】、今夜の晩御飯が少し豪勢になりますね
ネコビトさんたちへの手土産にもなりますかね



 オブリビオンの脅威は去り、涯なき海を求める“貪欲”は人々のものとなった。
 代々の口伝を真実に結ばんとする者達に平和を見たオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、彼等の船出を心から祝福した。
「伝説の島……とてもにゃんにゃんして楽しそうな冒険ですね! 神のご加護があらんことを!」
 陽気な音楽が鳴り、全照明が舞台中央に光を集める中、水飛沫がシュワッとサイダーみたいに彈ける。
 キラキラと輝く水滴を浴びて現れたオリヴィアは、元気よく片手を上げて掛聲した。
「ニャン! ニャン! イェー!」

 \ニャン! ニャン! イェー! おかえり、シスター・オリヴィア!!/
 \ニャン! ニャン! イェー! 今年も俺達の浪漫をありがとう!!/

 輝かしい純白のクロスホルターの、豊滿を一生懸命に支える紐に勇気づけられる。がんばってる!
 項に添えられたリボンや柳腰で搖れるリボンの、引っ張りたくなるような|情動《パトス》も素晴らスィと、拳を突き上げて歡喜した船員達は、危険な海域を乗り切るにもう少し勇気が欲しいと、シスターにおねだりした。

 \頬の近くで、こう……指ハートを作ってくれー!!/
 \膝に手を添えて屈みながら、おくれ毛を項に……!!/

「こう……? こんな感じですか……?」
 なんだかグラビアめいた感じになってくるが、人々の願いに応えるのが神の僕。
 かの伝説に魔術師キルケ……もといニャルケーが関わるなら、スキュラならぬニャキュラ? 等もいるやもしれぬと心を引き締めたオリヴィアは、未知に挑む彼等を奮い立たせるべく【|薔薇の妖婦《ローゼン・ヴァンプ》】を放ち、興奮度MAXにした。
「共に冒険に參りましょう! ニャン! ニャン! イェー!」

 \ニャン!! ニャン!! イエェェェエエーイッ!!/
 \Yeeeeeeeeeeeeeeah!!/

 大・成・功――☆
 男達の恐怖を一瞬で掻き消したセクシーいやシスターは、次いで『アーク・ボード』に乗り船外へ。
 巧みな波乗りで周囲を索敵しつつ、船を先導しつつ、また手に馴染む聖槍を銛代わりに串漁に勤しんだ。
「今夜の晩御飯を少し豪勢に、ネコビトさんたちへの手土産にもなりますかね」
 薔薇の花馨の甘やかなること、海中の魚をホイホイ誘って捕らえる――釣果も頗る大漁であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「お猫さまが陽キャでパリピな島…?よ、良く分かりませんが、お猫さまの下僕として伺候の挨拶に伺いませんと」
カリカリや木天蓼を山のようにリュックに詰めて参加

「成程、此れでお猫さまへの拝謁順位が変わるのですね…本気、出しますとも」
全力勘違い

今年購入した白のモノキニの上に透けラメ長袖羽織って参加
本気で入賞狙いなので投げキッスやウインク、雌豹のポーズ的セックスアピールでガンガン攻める

「天上天下唯我独猫、天はヒトの上にお猫さまを作り、お猫さまの下にヒトを作ったのです。此れは…負けられない戦いなのです(キリッ)」

UC「花見御膳」で元気の出る料理作っても配りまくり
「此れは…退けない戦いなのです」



 水着コンテス島の住民に口伝される伝説の島、ニャンニャンイェー島。
 魔術師ニャルケーによって作られた、ネコビトと呼ばれる者達が住む島だそうだが、語感を聽く限りは頗るゴキゲンな感じだ。
「えぇと、お猫さまが陽キャでパリピな島……? よ、良く分かりませんが、伺候の挨拶に伺いませんと」
 お猫さまの下僕を自称する御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)にとって、此度は重要任務。
 大きな荷物の殆どをカリカリや木天蓼で埋めて乗船した佳人は、甲板に設えられた「東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置」を眺めると、成程これが登竜門かと凛然を兆した。
「ここでの評価で、お猫さまへの拝謁順位が變わると……本気、出しますとも」
 なんと、真面目で天然ボケであるが故の全力勘違い――!
 桜花もそこそこ頓痴気だが、こんな装置を島外に持ち出そうという船乗り達も大概にて、彼女の挑戰を諸手を上げて歡迎した彼等は、存分にアピールして欲しいと舞台に送り出す。
 而して桜花は、その期待に十分に應えた。

「宜しいですか、皆さん。天上天下唯我独猫、天はヒトの上にお猫さまを作り、お猫さまの下にヒトを作ったのです。此れは……負けられない戰いの始まりなのです――!」

 狙うは入賞、いの一番にお猫さまに拝謁する権利!
 全方向から光が集められる中、櫻の花馨を纏って登場した佳人は、清楚な白のモノキニ姿を暴くや投げキッス!
 一気に響めく觀客に向かってウインクすると、フェミニンな日傘の下でクイッと手招き。雌豹めいた妖艶な仕草で一同を魅了した。

 \上半身は透け感の美しいラメ入りの長袖羽織で楚々と、下半身は大胆に脚線美を披露する――ナイス魔性!/
 \とめどない猫愛をポーズに籠める……なんという、なんというゴン攻めだー!/

「さぁ、心を解放した後は、身体もほぐして樂しんで下さいね、うふふ」
 斯くして視覺を攻めた後は、間髪入れず【花見御膳】で胃袋に訴えよう。
 一重、二重、三重と、元気の出る御膳を作って配りまくれば、船乗り達はフルパワー! 危険な海域も何のそのと、ぐんぐん船を走らせていく。
(「此れは……退けない戰いなのです」)
 船嘴が示す方向へ品佳い鼻梁を揃えた桜花は、まだ見ぬ伝説の島に胸を膨らませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
●水着:深い緑色のパーカーを羽織った黒一色のビキニ。

オーシャン戦での約束を露に強請られてこの世界に来た。
来たのはいいがやはり暑い。この気温はどうも慣れないな。
船上でコンテストを催すようだが私は静かな場所に退避だ。

私は一人パラソルのつくった影の中でのんびりしていよう。
潮風は心地いいが暑さに弱いせいか気持ちが落ち着かない。
少し黙考して【凍てつく波動】の呪にアレンジを加え行使。
冷気を微弱に調整しつつ私の周囲だけに範囲を指定してみる。
…ん。中々いい感じだ。…アレンジに成功…したか?
もし少しでも違和感を感じた場合は解術。船の損傷はまずい。

露のことだ。私を探しに来るだろう。それまではのんびりする。
甲板からの歓声を聞きながら目を閉じて島のことを考える。

島には職人がいるらしい。加工技術はみることができるだろうか。
加工技術には興味は尽きないが目利きとなると私には難しい。
…確か珊瑚は護符としても重宝されていたんだったか。
加工した後の欠片や粉をガラスの小瓶に入れたら商品になるかな。


神坂・露
レーちゃん(f14377)
●青色のフリルが付いた白ビキニ。
「わーい♪ ご褒美、ありがとー。レーちゃん」
忘れないでお願いした甲斐があったわ。あったわ♪
暑いの苦手なのに海に連れて来てくれて…優し。
でもレーちゃん少しフラフラだけど大丈夫かしら?

わー♪水着のコンテスト?なんだかとっても面白そうね。
あたし出るからレーちゃん観ててね…って宣言して参戦よ。
【月影】で二人になってノリで適当に二人で踊っちゃうわ♪
え?双子かですって?違うわよ~♪どっちもあたしなの。
踊りの最後はあたし達同士で抱き着いてから腕振って挨拶。
「いえ~い♪ 最後まで見てくれてありがとー♪」

舞台から降りてさっきレーちゃんが居た場所へ急ぐわ。
舞台上からも探してみたけどやっぱりいないわね。
不満よりもレーちゃんの身体が心配であちこち探すわよ。
どこか涼しい場所で休んでたりし倒れてたりしないかしら。
寒いところ出身なのに急に暑い世界に来ちゃったし心配。

「見つけたわ! …あ。寝てる…かわいい♪」
船の隅の方でパラソル差して寝ていたわ。ふふ。可愛い~♪



 ――頑張るけどご褒美が欲しいわ。いつもよりも良いのを。
 ――なに? いつも以上の……まあ、考えておこう。

 二人がそんな言葉を交したのは、レディ・オーシャンと対峙したキャプテンレイジャック島。
 この約束によって大いなる力を引き出した神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は、仲間と共に怪邪『骸の月を喰らう月』を完全封殺した訳だが、あれから数日……沢山おねだりし、遂にこの日を取り付けた。
「わーい♪ ご褒美、ありがとー。いっぱいお願いした甲斐があったわ。あったわ♪」
 どこまでも靑い海。肌膚を撫でる快い潮風。
 すっきりと晴れた空より注ぐ陽光が眩しいと、纎手を翳して佳景を眺めた露は、振り返るや滿面の咲みを零した。
「暑いの苦手なのに、常夏の海に連れて來てくれて、レーちゃんったら優し……――大丈夫?」
「來たのはいいが、やはり暑いな……この気温はどうも慣れない」
 麗瞳に映るは、フラフラと凭れるように日陰へ入るシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)。
 真夏の太陽が苦手な佳人は、|帆柱《マスト》の影から船嘴方向を見ると、これからもっと熱くなるという「水着コンテスト」は辞退しようと|頭《かぶり》を振った。
「私は此処でのんびりしていよう。露は行ってくるといい」
「うん♪ レーちゃんの分も頑張ってくるから、觀ててね!」
 パラソルの下、風通しの良いデッキチェアに橫たわり、輕やかな足取りで会場に向かう露を見送る。
 蓋しずっと弱っている訳にもいくまいと默考したシビラは、読書の代わり魔道書を披くや、己の周囲に微弱な冷気を漂わせた。
「Dormi liniștit...船を損傷させぬよう、私の周りでのみ分子や原子の運動を停止させる」
 花唇が唱うは、【|凍てつく波動《アブソリュート・ゼロ》】のアレンジ。
 威力と範囲を絶妙に調整して周囲の空気を冷やしたシビラは、漸う心身が落ち着いていくのを実感すると、ふうわり羽織っていた深緑色のパーカーのフードを取り去り、初めて花顏を潮風に晒した。
「……ん。中々いい感じだ。これでゆっくりできる」
 彈力のある|帆布《キャンバス》地に花車を預け、露が向かった先のコンテスト会場を眺める。
 パーカーの下に覗く黑の三角ビキニは、麗人の玉肌香膩にコントラストを利かせて見事に映えているが、布越しにも判然る豊滿と、惱ましいまでの脚線美は、パラソルの下に隱した儘。
 己が好む靜穩に佇んだシビラは、歡聲の上がる方向へ――島の名物「東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置」から現れるという露を待つ事にした。

  †

「なんだかとっても面白そうな催しだもの、もちろん參加するわ♪」
「わー、眩しい♪ 光も音も元気に躍って、とっても樂しそう♪」

 全方向から集められる強烈な照明を浴びて現れた影はふたつ。佳聲もふたつ。
 まるで鏡映しにしたようにそっくりな露が二人、元気よく手を振って登場すれば、觀客は目を皿のようにして見る。
 澄んだ靑色のフリルに縁取られた白いビキニ姿も、もぎたて果実のような瑞々しい姿態も、何もかもが一緒なのだ。

 \めちゃくちゃ似てる!! 双子ちゃんかーいっ?/
 \可愛さマシマシ、にこにこ笑顔が揃ってるー!!/

「ふふっ、違うわよ~♪ どっちもあたしなの」
 これは【|月影《ミラージュ・ワルツ》】、もう一人の露を召喚したのだとウインクを揃えた露は、ドライアイスが雲の如く漾う中を鏡合わせに舞い、或いは全く同じ方向にシンクロしながら、重力を感じさせぬリズミカルなダンスを披露する。

 \暑さも吹き飛ぶような笑顔がイイネ!/
 \今度は背中合わせでポーズを取ってくれー!/

「……賑々しいな。危険な航路を往くに士気が上がるのは良い事だ」
 甲板から届く歡聲を聞き、独り言つシビラ。
 あのダンスが終われば露は己を探しに來るだろうが、それまではのんびり出來ると瞼を閉じた佳人は、これより向かう先、「ニャンニャンイェー島」の職人から加工技術を見る事は出來ないかと思案する。
(「……確か珊瑚は護符としても重宝されていたんだったか。その工程を見られたら良いが……」)
 己は商人でなし、目利きが難しいとは知っている。
 ただモノが加工される技術は、魔法とは違った深みがあると知識欲を膨らませたシビラは、この船が無事に上陸を果たしたなら、己も冒険心を豊かに島を見て回りたいと思う。
(「……加工した後の欠片や粉を、ガラスの小瓶に入れたら……商品になるかな……」)
 胸裡に考えて、言ちて。
 そう思案する最中にも、雪膚を撫でる潮風が心地良いと――|意識《こころ》が波音に抱かれていく。

  †

「いえ~い♪ 最後まで見てくれてありがとー♪」
「このままの勢いで、伝説の島へ向かうわよ~♪」
 露と露が舞台の中央に集まり、ぎゅっと抱き合った処でダンスを終える。
 万雷の拍手に包まれる中、元気に腕を振って挨拶した露は、汗を拭いながら舞台を降りてシビラの元へ――もしかこの暑さに滅入ってはいないかと、少し速足で甲板を歩く。
(「レーちゃん、急に暑い世界に來ちゃったし……心配だわ」)
 |彼女《シビラ》は元々、極寒の地の出身。
 躰が好む世界とは眞逆の環境で弱ってはいないかと、急いでパラソルへ駆け寄れば、少しひんやりとした空気が頬を掠め、その心地良さにホッと胸を撫で下ろした。
「見つけたわ! ……あ。寝てる……良かった♪」
 さや、と絹糸の如き銀髪が潮風に搖れ、しっとりと閉じられた瞳を覗かせる。
 夢寐に誘われるほどの快適を得たか、美々しき優姿をデッキチェアに預け、無防備にも寝顔を見せるシビラを見た露は、塊麗の微笑をひとつ。
「ふふ。可愛い~♪」
 綺麗で、|壮麗《うるわ》しき我が|親友《とも》。
 暫しその愛らしい寝姿を堪能させて貰おうと、小さな影がそっと寄り添った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『蒼海の職人市』

POW   :    ぶらぶらする

SPD   :    気になるものを見つける

WIZ   :    珍しいものを探す

イラスト:砂域

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「伝説の島、ニャンニャンイェー♪ ニャンニャンイェー!!」
 猟兵のお陰で「ドキッ☆ 船上水着コンテスト」は大盛り上がり、荒波を搔きわける処か飛ぶ勢いで航海した船は、遂に「Grotta della Maga Nyarce」、ニャルケーの洞窟を抜けて伝説の島に至る。

『初めて見る船だニャン! レッツら挨拶! ニャンニャンイェー!!』
『お前達どこから來たニャン。とまれ握手しようぜニャンニャンイェー!!』

 見慣れぬ船影に集まってきたのは、二足歩行で歩くフレンドリーな猫たち。
 多分、ネコビトと呼ばれる島の住民で、挨拶はきっと「ニャンニャンイェー」。
 ちょうど職人市が開かれていた爲に、見物人でごった返す港に船を着けた一行は、思いのほかスムーズに上陸許可を得ると、島の探索を開始した。

『おう、寄ってけ見てけ、買ってけニャン! 職人が丹精こめて作ったブローチだニャン』
 職人市で多く出回っているのは、近海で採れた珊瑚や真珠の加工品。
 見ればペンダントトップやイヤリングなど、細かな装飾が施されたアクセサリーが殆どだ。
 売り子が威勢よく客を呼び込む店の奥では、職人が默々と手を動かし、商品が売れた時は「ニャンニャンイェー」と挨拶を重ねている。多分、「まいど」くらいの意味だ。

『コンコンコン? そんなものは無いが、ニャンニャンニャンならあるニャン』
 肉球でプニプニプニと、特定の場所だけノックして出てくるものがある。
 それを商売にしていると、サイケな冷凍庫の前に立つネコビト達が売るのは、一般的にアイスと呼ばれるものだ。
『溶けるから、早く食べるニャン』
 にゃるん、と伸びて出てくるアイスを長い棒で練って練って練りまくる「ニャンドルマ」。
 口に含めば、シャリシャリと氷の粒を感じさせる「ニャ-ベット」。
 コーンの上、くるくると螺旋を描いた後にツノを立てる「ニャイスクリーム」。
 これらは店によって樣々なアレンジが加えられており、麺状にしたアイスにローズシロップをかけた「ニャールーデ」だとか、チーズクリームにドライフルーツやナッツを混ぜた「ニャッサータ」だとかが売られている。
 その全てが冷たくて美味しいが、常温だと溶けてしまう爲、交易品としては扱われていないようだが、アイデア次第では島の名物にもなるかもしれない。ならなくても良いかもしれない。

 とまれ、水着コンテス島の船乗り達にとっても、猟兵にとっても、今回が初めての島めぐり。
 伝説として語り継がれた島の魅力を知る爲にも、先ずは積極的に挨拶してはどうだろう。ニャンニャンイェーと。
御園・桜花
「にゃ、にゃんにゃんいぇー…私のぱらいそが、こんな所にあったなんてっ」
暫く猫人さん達の両手握り締め肉球堪能

「…はっ。済みません、少し意識が飛んでおりました」
「以前UDCのお土産で宇宙食アイスをいただいたことがあります。ニャイスクリームもフリーズドライしたら、交易品になるのではないでしょうか」
「宇宙食アイスは砕けて粉になるので、実際には宇宙では食べられないそうです。宇宙食アイスをゼラチンコーティングした物が食料として積み込まれた事はあるそうですが。製法はアイスの水分を低温低圧で固体から直接気化させるそうです」
UC「花見御膳」でニャンドルマとニャイスクリームをフリーズドライ
ネコビト達と味見する



 いの一番にお猫樣に拝謁したい――。
 その一心で船上の水着コンテストを爆盛り上げした御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、好奇心旺盛に集まってきたネコビト達に真っ先に挨拶した。
『はじめましてだニャンニャンイェー!!』
「にゃ、にゃんにゃんいぇー……私のぱらいそが、こんな所にあったなんてっ」
 視界に溢れる、猫、猫、猫――これぞ我が“Paradiso”(樂園)。
 スッと差し出された手を包み込んだ桜花は、ふかふかの毛並み、優しい体温、そして柔らかな肉球を夢心地で堪能する。プニプニでモッチリ、極上の感触に幸せが溢れてくる。
『お嬢、どうしたニャン? 船酔いでもしたニャン?』
「……はっ。済みません、少し意識が飛んでおりました」
 この素晴らしい出逢いに打ち震えているのだと笑顏を零せば、ネコビト達は大いに歡迎し、島の特産品や名物を惜しげなく見せてくれた。
『お嬢はホワホワしてるから、これ食べてシャキッとするといいニャン』
 桜花の頬が薔薇のように紅潮しているのは、真夏の日差しの所爲ではないのだが……ネコビトが涼を取るよう勧めたのが『ニャイスクリーム』。
 交易品では無いが、濃厚なバニラ風味が自慢なのだと語るネコビトを傍らに、ぺろりと一口、舌にヒンヤリと広がる甘味に癒された桜花は、この美味を広める方法があると口を開いた。
「以前、UDCアースのお土産で宇宙食アイスをいただいたことがあります」
『うちゅうしょく?』
「ニャイスクリームも、味や香りの損傷が少ないフリーズドライを試してみては如何でしょう。アイスの水分を低温低圧で固体から直接気化させるのです」
 ことりと首を傾げるネコビトを前に、実際に調理してみる。
 あっという間に例を見せるは【花見御膳】――手始めに粘性のある「ニャンドルマ」、そして水分量の多い「ニャイスクリーム」を次々とフリーズドライして重箱に詰めた桜花は、物珍しそうに集まるネコビトに振る舞いながら言った。
「宇宙食アイスは砕けて粉になるので、実際には宇宙では食べられないそうです」
『あっ、美味しいニャン!』
「ゼラチンコーティングした物が食料として積み込まれた事はあるとか……これを船旅にも応用できませんか?」
『面白いアイデアだニャン!』
 軽量で携行性も良く、希少性もあるとは船乗りの声。
 これは売り物になると瞳を輝かせるネコビトに囲まれた桜花は、噫、やっぱり|樂園《ぱらいそ》だと笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冴島・類
クラウンさん(f03642)と

クラウンさんは楽しげな島と似合いそうだなぁ
和みつつ市をぶらり

そこかしこで元気いい挨拶
同じように返すのは少々気恥ずかしいが
跳ねながら元気に返す彼に助けられ
にゃんにゃんいえーです

珊瑚や真珠の加工品は
海の宝物感あって素敵
クラウンさん気になるものあります?
思い出にとの言葉に
確かにと珊瑚の飾りを手に頷き

僕は、彼方が気になるなあ冷凍庫を見て
あいすは食べたことあるけれど
知らないのがありそうで…挑戦してみましょう
にゃっさーたにしてみようかと

こちらもさっぱりしてて美味しいですよ
麺っぽいというのも気になるな
ええ、少し交換しましょうか

他にも掘り出しものがみつかるかも
探しに行きましょうか


クラウン・メリー
類(f13398)と

にゃんにゃんいぇー!
なんて、類の隣でぴょんと飛び跳ねて

類とお祭りに行けただけでも嬉しいのに
賑やかなお祭りの雰囲気にわくわくと心が踊っちゃう!
類もにゃんにゃんいぇー?ふふー、いっしょにしようっ!

わあ、珊瑚や真珠の加工品?
深紅色の珊瑚のブローチがとても綺麗で
瞳を煌めかせながら手に取る

ね、ね。良ければお揃いで買いたいな!
えへへ、今日の思い出に残したいっ

ひゃわー!アイス食べたい!
わわ、とっても面白い冷蔵庫だねっ!
俺は『にゃーるーで』が気になる!なんだかラーメンみたい!
つるりと食べれば蕩ける頬を押さえて

甘くて美味しいっ!
類も一口食べる?

楽しい時間は始まったばかり
もっと思い出を作ろう!



 港で開かれる市の賑々しさは、この島の縮図。
 全ての挨拶を一言で纏めてしまう豪気と陽気に和みつつ、ぶうらり職人市を歩いた冴島・類(公孫樹・f13398)は、輕快なステップで先をゆく|供友《とも》に瞳を細めた。
「にゃんにゃんいぇー! まるでお祭りみたいな賑わいで、わくわく胸が踊っちゃうね!」
 方々で飛び交う朗聲を|捺擦《なぞ》り、ぴょんと飛び跳ねる影ひとつ。
 くるり振り返って笑顏を零したクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は、もう島の空気に馴染んだか、猫のように手を丸めて類を招いた。
「類もにゃんにゃんいぇー? ふふー、いっしょにしようっ!」
「はい。にゃんにゃんいえーです」
 少々気恥ずかしそうに、それでも|微咲《えみ》が浮かぶのは、朗々たる道化師のお陰。
 共に巡る喜びを花顏いっぱいに、笑顔よ咲けとミモザの馨りを広げるクラウンに続いた類は、市を漫歩いて幾許――威勢の良い呼び込みに足を止めた彼が見る方向へ、品佳い鼻梁を向けた。
「わあ、これって珊瑚と真珠の加工品?」
「見事ですね。海の惠みが、職人の手によって新たな宝物になって」
 好奇心に輝く瞳に撫でられたのは、緻密な細工が施されたアクセサリー。
 元の個性を活かして加工された品々は、色も形も微妙に異なる一点物で、奥で作業をする職人の愛が伝わると感嘆を零した類は、おすまし顏で並ぶ装飾品たちを|凝乎《じーっ》と|瞶《みつ》めるクラウンに水を向けた。
「気になるものあります?」
「うん、このこがとても綺麗だなぁって」
 呼ばれるよう伸びた指先が觸れたのは、優美な深紅色をした珊瑚のブローチ。
 その隣にある装飾品は、同じ場所で採れた兄弟だと店員が説明を添えれば、クラウンは佳聲を彈ませて云った。
「ね、ね。良ければお揃いで買いたいな! えへへ、今日の思い出に残したいっ」
「思い出……慥かに」
 瞳を煌々と燦かせていた彼が、同じく珊瑚の飾りに伸びる手を見るや、更に耀きを増す。
 包もうかと訊ねる店員に「このままで」と代金を支払った二人は、市巡りのお供に揃いの装飾品をつけ、再び歩き出すのだった。

  †

 好奇心旺盛に歩くクラウンを次に射止めたのは、白皙を掠める冷気。
 やたら存在感のある発色の冷凍庫に瞠目した彼は、雪嶺の如く盛られた麺アイスに、鮮やかなローズシロップをたっぷりかける――「ニャールーデ」の実演販売に釘付けになった。
「ひゃわー! 気になる! なんだかラーメンみたい!」
 スパゲティアイスのような、かき氷のような、不思議な魅力を漾わせる涼菓。
 一体どんな食感なのだろうと、まじまじと出來上がりを見るクラウンに吃々と竊笑を零した類は、その隣、こちらもやたら主張の激しい冷凍庫から取り出されるアイスに、二・三度、目を瞬いた。
「……気になる冷凍庫から、気になるあいすが出て參りました」
 ニャン、と販売員の効果音ボイス付きで現れたるアイス。その名も「ニャッサータ」。
 彩美しくドライフルーツやナッツを入れたケーキアイスに惹きつけられた類は、未知なる美味に挑戰すべく、営業上手な店員の前に踏み出た。

 而して、二人は。
 島民に倣って鈴型の|浮標《ブイ》を椅子代わりに、地アイスを堪能する|件《くだり》となった。
「わわ、甘くて美味しいっ!」
 つるりと舌を滑りゆく甘味と涼味……新感覺!
 蕩けるようだと頬を押さえるクラウンに咲んだ類は、ならばと己も一口ぱくり。ごろっとした食感と、滑らかなチーズクリームベースのアイスを味わう。
「……うん。こちらもさっぱりしてて美味しいですよ」
 思った儘を口にするクラウンも、ゆっくりと確かめるように言う類も、花唇を滑る言に世辞は無し。
 となれば、相手を喜ばせた涼味が気になろうか。クラウンはスプーンで掬いつつ、誘うように語尾を持ち上げた。
「ね、類。一口食べる? ニャッサータも食べてみたい!」
「ええ、少し交換しましょうか。にゃーるーでの麺っぽい部分も気になりますし」
「交渉成立!」
 ニヤリと子供のような笑みを浮かべたら、手元で「ニャールーデ」と「ニャッサータ」が一往復。
 一度に二つの美味を堪能した二人は、満足気に破顏を揃えるのだった。

 地元の物を身に着けて、地元の味を愉しんで。
 陽気なネコビトの気風にも馴染んできたら、心はうんと彈もう。
「面白い味に出会えたし、お腹いっぱいになって元気出た!」
「他にも掘り出しものがみつかるかもしれません。もっと探しに行きましょうか」
 二人一緒なら何処までも行けそうな、どんなものも楽しめそうな――そんなワクワクを手に入れたクラウンと類は、ニャンニャンイェーの飛び交う中へ、再び影を走らせていく。
 だって、楽しい時間は始まったばかり。
 もっと思い出を作ろう、もっと!
「奥に人だかりが……猫だかりが見えますね」
「! 何だろう? 行ってみよ!」
 瑞々しい笑顏を見せ合う二人は、冒険少年そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榊・ポポ
ワ!!猫ァ!カカポの天敵ィ!
ぶるぶる、ポポちゃんわるいカカポじゃないよ(マナーモード震え)
...ゑ?大丈夫なヤーツ?

氷菓が名産品なのねェ、何か変わり種~
...あ、そうだ
UDCアースはフィリピンには「ハロハロ」っていう氷菓があってねェ
(以下アイヒョーンのかしこいAIおシリの回答をカンペにしている)
意味は「混ぜこぜ」らしいよ?
昔出稼ぎでフィリピンに渡った日本人が始めたかき氷がルーツだとか聞いたYO
グリードオーシャンもいろんな世界の小島があるじゃん?イメージぴったりじゃね?
名前は「ニャオニャオ」で!



 テンションMAX、船員の士気を爆アゲして危険海域を渡った榊・ポポ(|デキる事務員《トンチキカカポ》・f29942)だが、彼女にとっての危険は、寧ろ島に到着した|後《・》。
「ワ!! 猫ァ! カカポの天敵ィ!」
 港に至るなりネコビトに圍まれたポポちゃんは、バイブス急降下。
 本能で“絶滅”なる恐怖ワードが過ったか、|携帯《スマホ》のマナーモードみたいに震えて云った。
「ぶるぶる、ポポちゃんわるいカカポじゃないよ」
『ニャンニャン、おいら達も悪い猫じゃないニャン』
「……ゑ? 大丈夫なヤーツ?」
『安心しろニャン。好物はアイスだニャン』
 世界が違えば最悪な相性の兩者が、暫し|瞶《みつ》め合う。瞳の色で会話する。
 彼等が根の良いヤツと本能で悟ったポポちゃんは、胸いっぱい息を吸うや、阿吽の呼吸で聲を揃えた。

「ニャンニャンイェー!」
『ニャンニャンイェー!!』

 斯くして挨拶を交せば、ネコビトとカカポはブラザー&シスター。イェー。
 友好の証に島を案内しようというネコビトに随行したポポちゃんは、市のあちこちで営業している氷菓屋を見ると、ふむふむと首を搖らして云った。
「氷菓が名産品なのねェ、何か変わり種~」
『先人達の知恵だニャン』
 島に点在するコンコンコンを重要な資源としているネコビトたち。
 常にアイスの進化を求めているのだと説明すれば、ポポちゃん、何か閃いたようだった。
「あ、そうだ。UDCアースのフィリピンには『ハロハロ』っていう氷菓があってねェ」
『ひゃろはろ?』
 ちょっと言いにくそうに繰り返すネコビトを隣に、詳しく解説してみる。
「意味は『混ぜこぜ』らしいよ? 昔、出稼ぎでフィリピンに渡った日本人が始めたかき氷がルーツと聞いたYO」
『カカポ、物知りニャンだYO』
「カラフルな具材を混ぜこぜにした姿がフォトジェニックだし、グリードオーシャンにも色んな世界の小島があるじゃん? イメージぴったりじゃね?」
 アイヒョーンのかしこいAIおシリの回答をカンペに、すらすら語るカカポ。やはりデキる。
 また、ネコビトには言いにくそうだったと気遣ったポポちゃんは、この島で売るに最適な名前を提案した。
「名前は『ニャオニャオ』で!」
『ニャオニャオ! いいニャン!!』
 これは良いアイデアを貰ったと、肉球をぷくぷく叩いて喜ぶ島民の前、ポポちゃんも猫に対する恐怖を少しだけ和らげるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
【ワイハン】
あーハイハイ、ニャンニャンイェー
(現地ネコビトにとりあえず挨拶)

ン、これで筋は通しましたわな
そんじゃそのヘン見て回ってみるとしましょっかや
(ニャイスクリーム買いつつ)


●ナミル
ヘイ、そこのネコビト
ちょいと魔術師ニャルケーとやらについて訊きたいコトが――ってナミルのねーさんでしたわ(現地人と勘違いした)

●リダン
アリラビでアイス屋切り盛りしてるんですよな
このテのプロデュースは得意技なんじゃねっスか?

●エル
この場合の課題は『保冷』と『デリバリー』でしょうわな
ドローンでも出して協力してやりゃイイんじゃねっスか

●オリヴィア
おっ行きの船でブイブイ言わせてた水着クイーンですわ
貞淑なシスターとは?


エル・クーゴー
【ワイハン】
>文化習俗のインストールを完了しました
ニャンニャンイェー(挨拶)(握手)(ハイタッチ)


●物九郎からの指示に基き、アイス周りの流通普及に尽力
躯体番号L-95
当機は経営コンサルティングにも高い適性を発揮します

・【ウイングキャット『マネギ』】発動、ドローンをモリモリ召喚
・空飛ぶマネギ達の腹に小判の代わりに保冷ケースを持たせ、その中にニャイス等を入れて運搬するノウハウを提案

・また交易にも耐えられるよう、島の物質文明レベルに沿った保冷庫の製造プランを構築(なぜか巨大招き猫デザイン)

・っていうかニャンニャンイェー島に「招き猫」というマスコット的デザインの文化を提唱する(いや案外もうあるか?)


オリヴィア・ローゼンタール
【ワイハン】
ニャン! ニャン! イェー!(ノリノリ)(たのしそう)

交易は物品だけでなく文化も影響を与え合うもの
水着コンテス島の文化といえば、その名の通り水着コンテスト!
【情熱の艶舞】を披露してネコビトさんたちを楽しませます!
貞淑で清楚ですよ?
ナミルさんも一緒に踊りましょう! ニャンニャンイェー!

踊ってひと汗かいたら、ニャイスクリームをいただきましょう!
甘くて冷たくておいしいですね!

お話なら、ニャルケーという魔術師の伝説や逸話を聞けるなら聞いてみたいですね!


リダン・ムグルエギ
【ワイハン】
ニャンニャンイエー!
目指すはニャルケー、流通の壁を壊せそうな魔女との取引ね!

ちーがーいーまーすー
アイスの国で服屋してるだーけーでーすー

ぶっちーの言葉に反論しつつまずは売り込みね
船員さん達も着ているようなキラキラの水着、皆もいかがかしら?

持ってきてた布束から撥水性の布を選び、早業裁縫で手直しして彼ら用の水着風の服を作るのよ
ニャイスが垂れてもすぐ汚れの落ちる優れものよ
…今なら金ピカ招き猫柄もつけちゃうわよ!
対価は輸送手段を出してくれたら…なんて

商談が終わったらニャンドルマを延々グルグルグルグルしつつ島の情景を観光し楽しむわ
お宝の話ならあのエ…情熱の踊りで盛り上がった人達に聞いてみたら?


ナミル・タグイール
【ワイハン】
ニャンニャンイェー!猫ばっかりデスにゃー!
リダンやみんなについていってお宝探しにゃ!真珠や珊瑚のキラキラもきれいだけどー金ぴかな物はないかにゃ(ほぼ観光猫)
ついでに金ぴか水着を見せびらかして金ぴかの素晴らしさを伝えるデスにゃ!

にゃ?猟団長にゃー!ニャルケーって何デスにゃお宝にゃ!?
お宝の話も食べ物の話も気になるにゃー!ナミルもそれ食べたいにゃ!
冷たくてウマウマデスにゃ!
もっと売りたいならーきっと金ぴかにすれば爆売れデスにゃ!(適当猫)

せくしーオリヴィアにゃー!ニャンニャンイェー!(混ざり盛り上げ
伝説の逸話とかお宝とかなにかないデスかにゃー!

アドリブとかなんでも大歓迎にゃー!



 見慣れぬ船影に興味津々、市を訪れていたネコビト達が港に集まってくる。
 陽気で呑気な彼等は警戒心ゼロ、皆々が「ニャンニャンイェー」と手を振って一同を迎える中、尻尾の群れを分けるように現れたのは、彼等にちょっと似た白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だった。
「あーハイハイ、ニャンニャンイェー」
 ハイテンションな挨拶の中を、恐ろしくローテンションなハイ・バリトンが擦り抜ける。
 扨てどんなシマだと烱瞳が鋭く周囲を巡る中、彼の背後に楚々と随行する影があった。
「目的地に到着しました_ニャンニャンイェー」
『ニャンニャンイェー!!』
「これより視察を開始します」
『宜しくだニャン!!』
 波長を合わせて挨拶し、ぎゅっぎゅっと左右交互に握手。そしてハイタッチ。ここまで無表情。
 着港するなり島の文化習俗をインストールしたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、初対面とは思えぬフレンドシップを発揮し、ワイルドハントの|猟団長夫人《ファーストレディ》の役儀を全うする。
 次いで現れたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)らが視察メンバーという訳か、
「この島が、魔術師ニャルケーが作ったという……とてもニャンニャンイェー! ですね!」
 彼女は次々に握手を求めるネコビト達に快く挨拶し、凄まじい勢いで島の気風に馴染んでいく。眞夏の太陽の下、ゴキゲンな島民に圍まれた麗人の花のおもては喜色でいっぱいだ。
 時に、馴染む以上に同化しそうな勢いなのは、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。
 サイズ感こそ違うものの、彼女は「旅に出てた親戚が帰ってきた」くらいの親近感で注目を集めた。
「ニャンニャンイェー! 猫ばっかりデスにゃー!」
「ナミルちゃんもその一助になってない?」
 紛れた時が大変だとは、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)の佳聲。
 |翠《あお》き彩瞳は聢と友を見守りながら、視野は広く島民の服装から|風潮《トレンド》を見極め、早速、交易の筋を探り始めている。
 伝説の島、初めて逢うネコビト達を前に樣々な反応を見せた一同は、先ず上陸を許可してくれた漁協の組合長の元へ、ニャンニャンイェーと挨拶に行った。

  †

「――ン、これで筋は通しましたわな。そんじゃ、そのヘン見て回ってみるとしましょっかや」
 ちょっと小煩いが、ニャンニャンイェー島は視覺的に賑々しいキマイラフューチャーと似ている。
 コンコンコン……いや、そんなキツネっぽいシステムではないと、店員が肉球でポムポムポムとノックして出てきた「ニャイスクリーム」を受け取った物九郎は、果たして何が“伝説”なのかと、涼味を手に歩き始めた。
 コンテス島の住民によれば、この島は魔術師ニャルケーが作ったと言われているが――。
「ヘイ、そこのネコビト。ちょいとニャルケーとやらに訊きたいコトが」
「にゃ? 猟団長にゃー!」
「……ナミルのねーさんでしたかよ」
 現地民かと思いきや、振り返ったのはアクセサリー店の前に居たデカ猫。
 早くも島の特産品を吟味していたナミルは、三角耳をピンと立てて彼の言を|捺擦《なぞ》った。
「ニャルケーって何デスにゃ? お宝にゃ!?」
「モノじゃねーのは慥かですわな」
「! 美味しそうなの食べてるにゃ! ナミルも食べたいにゃ!」
「質問に回答します_この先の角、靑い暖簾の氷菓店にて入手しました」
 物九郎の代わりにエルが答えた0.00001秒後、猛ダッシュしてニャイスクリームを狩りに行くナミル。
 忽ち巻き起こった風に前髪を煽られた物九郎の脇、折しも彼等の会話を聽き拾った本物の原住民が、得意げに語り出した。
『ニャルケーは伝説の島師の名前だニャン』
「島師? 魔術師と耳にしていましたが……その方がこの島の開拓を?」
『そうニャン。洞窟も滝も思いの儘に作り変えるクリエイターだニャン』
「クリエイター……」
 彈かれたように訊き返したのはオリヴィア。
 伝説と幾許の相違があるが、島を自在に作り変える――そんな逸話が魔術師と繋がったかと想像が膨らむ。
「その御方は、今……」
『ババァ猫だけど生きてるニャン。別の島に素材を採りに行ってるニャン』
「ご存命なのですね。しかも元気に活動なされて」
 なんと、生ける伝説であったかと目を丸くする修道女の隣、リダンの目がキラリと光る。
 コンテス島からは危険な海域を通ってきたが、別の島に向かう航路もありそうだと期待した彼女は、宛ら星を結んで星座を作るように、海に点在する島同士が結べるのでは――と口角を持ち上げた。
「目指すはニャルケー、流通の壁を壞せそうな魔女との取引ね!」
 實に浪漫があるとリダンが言えば、物九郎がニャイスクリームのコーンを齧りながら、ぽつり。
「ほーん、リダンのねーさんヤル気ですかよ。アリラビでアイス屋切り盛りしてるって聽きましたけども、このテのプロデュースは得意技なんじゃねっスか?」
「ちーがーいーまーすー。アイスの国で服屋してるだーけーでーすー」
 品佳い鼻梁をついと外に向け、全然違うと反論する。
 この時、店脇に集まる人だかり……ならぬ猫だかりを発見したリダンは、下船した船乗りや氷菓店に攻め込むナミルを追う視線に気付くや、売り込みを始めた。
「ああいうキラキラした水着、皆もいかがかしら?」
『!! あるニャン!?』
 がばっと身を乗り出す若者達に、飛び切りの笑顏を返す。
 持參した布束の中から撥水性の布を取り出したリダンは、シャッと鋏を走らせるや瞬く間に糸を潜らせ、船上コンテストでも注目を集めた「キラピカの水着ネコビトVer.」を仕立てた。
「ニャイスが垂れても直ぐ汚れの落ちる優れものよ。今なら金ピカ招き猫柄もつけちゃうわ!」
『フニャッ!! めちゃニャンニャンイェーだニャン……欲しいニャン……』
 うずうずと前脚を出したり引っ込めたりするネコビト達。
 彼等の正面、ゴー☆ジャスな布地をヒラヒラとさせたリダンは、その脇からチラリと花顏を覗かせると、すっかり商売人の|目色《めつき》に、
「対価は輸送手段を出してくれたら……なんて」
『輸送手段? ふうむ、詳しく聽きたいニャン』
 と、着実に商談を進めていった。

  †

「真珠や珊瑚のキラキラもきれいだけどー金ぴかな物はないかにゃー? お宝さがしデスにゃ!」
 金ピカ水着姿であっちへこっちへ、その艶姿で自ずと金ピカの素晴らしさを振りまいていたナミルが、丁度ニャイスクリームを食べ終わった頃――ワイルドハント視察団はアイスの流通問題をネコビトより聞いていた。
「……この場合の課題は『保冷』と『デリバリー』でしょうわな」
 樣々なアレンジアイスは島の自慢とはいえ、溶けるから交易品にならない――。
 限られた範囲でしか普及できないと口を揃えるネコビト達の前、ティンと勘の働いた物九郎は、我が右腕たる猟団長夫人、いや副団長エルを肩越しに見遣った。
「この件。ドローンでも出して協力してやりゃイイんじゃねっスか」
 おたくのデブ猫なら――と流眄を注げば、彼女もこくりと頷いて電腦魔術を展開する。
「躯体番号L-95_当機は経営コンサルティングにも高い適性を発揮します」
『コンサル……? あっ猫いっぱいニャン!!』
 眩く輝く翠光の円陣からモリモリ現れたるは、総勢680機の【|ウイングキャット『マネギ』《エレクトロレギオン・オルタ》】。
「腹部携行品“招福小判”を換装_保冷ケースを持たせて運搬します」
『!! ここにニャイスクリームを入れれば……溶けないニャン!!』
 この島にもサイケな冷凍庫はあるが、島の遺産を船に積む訳にはいかない。
 ならば島の物質文明レベルに沿った保冷庫の製造プランを構築すれば良いと、何故か巨大な招き猫デザインの保冷庫を提案すれば、折しもリダンから招き猫柄の金ぴか水着を薦められていたネコビト達は、「福(服)が來ている」と験を担いで乗っかり出す。
「現在の潮流を鑑み、ここに『招き猫』なるマスコット的デザインの文化を提唱します」
『マスコットは島の強味になるニャン! でっかく押し出すニャン!』
 元々、諸有る感情をニャンニャンイェーでまとめてしまう豪気な島民。
 招き猫もゴキゲンでイイネ! とニャンニャンイェーしたネコビト達は、なんかでっかくてふくふくした招き猫作ろうぜと、より一層の活気に溢れる。
 ――その後、島の巨大岩山にマウントラシュモア風の招き猫が彫られ、立派な観光資源となったのは、偏に『マネギ』(オルタ)の活躍があったからであろう。

  †

 金ピカと、招き猫。
 ワイルドハントの一行がネコビト達に広めた文化は、實はもう一つある。
 それはナミルがあっちへこっちへ、島内をはしゃぎ回ってほぼ全てのアイスをコンプした頃――新たなムーブメントとして盛り上がり始めていた。
「冷たくてウマウマデスにゃ! でも、もっと売りたいならー金ぴかにすれば爆売れデスにゃ!」
「金箔を塗り込んで……アリかもしれないわね」
 何でも金ピカにすればバッチリという適当猫の隣には、無事に商談を纏めたリダン。
 一仕事終えた彼女は、伸びのよい『ニャンドルマ』を延々グルグルグルグルしつつ、島の情景を樂しむ――すっかりバカンス気分な觀光客と化していた。
「ニャンニャンイェー島たのしいデスにゃ! もっともっとお宝のにおいを嗅ぎつけたいデスにゃ!」
「お宝の話なら、あのエ……情熱の踊りで盛り上がった人達に聞いてみたら?」
「エ?」
 エって何デスにゃ? と訊こうとした矢先、ニャンニャンイェー、ニャンニャンイェーとリズム良く連呼する聲の響きに視線が呼ばれる。
 見れば水着姿のオリヴィアと、彼女が舞う【|情熱の艶舞《パッション・ステップ》】にどっぷり魅了された島の住民ネコビト、そしてコンテス島の船員達が、めちゃくちゃ盛り上がって踊っていた。

「ニャンニャンイェー!」
『ニャンニャンイェー!』

「ニャン、ニャン、イェー!」
『ニャン、ニャン、イェー!』

 もう息ぴったり。ぴったんこ。
「皆さんも一緒に踊りましょう!」
 オリヴィア曰く、交易は物品だけでなく文化も影響を与え合うもの。
 水着コンテス島の文化といえば、その名の通り「水着コンテスト」――これを披露してネコビトを樂しませる事が、兩島を結ぶ第一歩となろうと意気込んだ彼女は、東西南北から注がれる情熱の視線を浴びつつ、中央で輝くばかり鼓舞の舞いを踊っていた。
 而してこの艶舞は、猟兵をも奮い立たせよう。
「せくしーオリヴィアにゃー! ニャンニャンイェー!」
「ナミルさんも一緒に踊りましょう! ニャンニャンイェー!」
 樂しい雰囲気を嗅ぎつけたナミルはシュババッとダンスに混ざり、身に纏う金ピカ水着の魅力を完全開放!
 同樣の水着を着用した者達とニャンニャンイェーの大賑わいを見せる。
「おっ、行きの船でブイブイ言わせてた水着クイーンですわ」
「水着コンテスト並みの盛況を觀測しました」
 次いで現れたのは、一際の歡聲を聞きつけた物九郎とエル。
 猟団員とネコビト、そしてコンテス島の船乗りと、三者の超融合を目の当たりにした物九郎は、この一体感を作り出したオリヴィアを尊敬……するより、ちょっと露出が際どいかとホルターネックを見た。
「貞淑なシスターとは?」
「貞淑で清楚ですよ?」
 我が身はコンテス島とニャンニャンイェー島の友好の爲に熱く燃えていると、情熱的な舞いでひと汗かいた本人が戻れば、ネコビトが労いにとニャイスクリームを差し出すので、これを笑顔で受け取る。
「ニャンニャンイェー!」
『ニャンニャンイェー!』
 多分これは「ありがとうございます」と「どういたしまして」のニャンニャンイェー。完璧に通じている。
 既にニャンニャンイェーのマスターレベルに達したオリヴィアは、濃厚なバニラの味わいを一口、
「――わ。甘くて冷たくておいしいですね!」
 と、火照った身体に涼を得る。
 その何処かホッとした表情を見た物九郎は、そう言えば島に上陸してからというもの、各々がずっと動き回っていたと一日を振り返った。
「ちょっとここらで一息いれますかよ」
「ワイルドハント視察団に“|休憩《ブレイク》”を提案します」
 物九郎が一瞥を呉れるや、傍らのエルがツアーコンダクター並みの手際の良さで旗を振り、猟団章の刻まれた其に気付いたメンバーが集まってくる。
 慰労の一言などは無く、誰かが「乾杯しよう」と言った訳でも無いのだが、其々にニャイスクリームやニャンドルマ、ニャーベットを持った一同は、自ずと輪になって涼味を掲げる。
 而して乾杯の言葉は、言うまでもなく――「ニャンニャンイェー」、その一言で何もかもが揃うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)
わぁ~。猫さん達が二足歩行してるわ。可愛い!
挨拶の『にゃんにゃんいぇー♪』って返しながら握手よ。
島民さん達の名前…総称?…ってネコビトってゆーのね。
ネコビトさんって随分前のお仕事でも会った気がするわ?

歓迎する猫さん達と分かれて早速あたし達は島をお散歩するわ♪
レーちゃんの腕にぎゅーってくっついて島のどこ行こうかしら…。
どこでも着いてくっていうレーちゃんを引っ張って職人市へ向かうわ。

えへへ♪レーちゃんがこの島で一番興味持つだろうな~ってところね。
確か真珠とか珊瑚の加工品を多く扱ってて交易材料にしてたのよね。
だからレーちゃん加工してるところをみたいかなーって思って市へ。
出店に品として置いてある物はどれも素敵で綺麗で心が弾むわ♪
だけどこーゆーのの目利きはあたしには無理ね。え?レーちゃんも?

交易品のアイデアも…うーん。珊瑚を猫手型に加工してみるとか。
猫手型の加工珊瑚をイヤリングとかネックレスにすると可愛いかも。
猫さんって福を呼ぶ言い伝えとかカクリヨ世界にあった気がするわ。


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
降船するなりネコビト達は挨拶や抱き着いてきた。
こういう部分は通常の猫達と全く変わらないようだな。
仕方なく挨拶に応じたら四方八方から同時にしてきた。
…。…通常の猫達の方がよほど行儀がいい気がする…。

今回は露への褒美だ。島の散策は彼女に任せようと思う。
だから島中を歩かされると覚悟していたが…職人市場か。
これはどちらの褒美かわからないな。…全く。
やはり目利きは私は無理のようだ。露に何故か驚かれたが。
加工技術を見せて貰いながら船上で考えていたことを話す。
「とある地域で珊瑚は護符として重宝していたらしいが…」
加工後の欠片や粉を捨てず小瓶に入れ商品化できないか提案。

真珠は…そうだな。スノードームのような商品の材料にと提案。
加工後の真珠粉を海底の砂に見立てるのは面白いのでは…と思う。
珊瑚や真珠の加工後の欠片で魚などを製作しドームに入れ商品に。
「無駄なく使用できるはずだ。加工技術は苦労するだろうが…」
高級志向を持つ者達以外の客層を広げる役に立つかもしれない。
必ず役立つとは言えないが…。



 ニャンニャンイェー島の住民は警戒心が薄いのか好奇心が強いのか、初めて見る船影にわらわらと集まってくる。
 船員に次いで猟兵が下船する時には、港は握手を求めるネコビトでぎっっっしり、陽気な挨拶で賑わっていた。
「……興味の儘に動く部分は、尋常の猫達と殆ど變わらないようだな」
 ひとたび見つかれば無限握手会になるのは、慥かキマイラフューチャーだったか。
 色彩的に五月蠅いかの世界と雰囲気が似ていると、握手するほどテンションを上げるネコビト達を冷靜に眺めていたシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は、進路を塞ぐ猫だかりに仕方なく挨拶を返した。
『ニャンニャンイェー!! ようこそだニャン!!』
「……。……ごきげんよう」
『ニャンニャンイェー!! どこから來たニャン?』
『ニャンニャンイェー!! あの洞窟を抜けてくるなんて凄いニャン!!』
「……。…………」
 四方八方からモフモフの手が伸び、一同が矢継ぎ早に話しかけてくる。
 一匹、二匹、三匹と、これでは返事も間に合うまい。
(「……普通の猫達の方が、よほど行儀がいい気がする……」)
 もうお手上げだと兩手を開いて猫だかりを搔き分けたシビラは、己に遅れること数歩、|和々《ニコニコ》と握手に應じる神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)の彈むような佳聲を背越しに聽いた。
「わぁ~。猫さん達が二足歩行してるわ。可愛い!」
『ニャンニャンイェー!! 友好の握手をするニャン!!』
「にゃんにゃんいぇー♪ よろしくねー♪」
 蓋し露も警戒心はゼロ。尻尾の群れに圍まれた彼女こそ好奇心旺盛に話しかける――心の壁を感じさせぬ朗らかさは、ネコビトとよく似ていた。
「島民さん達のお名前……総称? ……ってネコビトってゆーのね」
『人魚とか魚人とか言うニャン? あっしらは立って歩くからネコビトって呼ばれるニャン』
「そうなの。ネコビトさんって、随分前のお仕事でも会った気がするわ?」
『気になるニャン!! 詳しく訊かせて欲しいニャン!!』
「いいわよ~♪」
 初対面でこれだけ打ち解けられるなら、もう特技と云って良い。
 随分と波長が合うと、露の喜色溢れる鈴音を耳にしたシビラは、この島は彼女にとってはバカンスになるだろうと、胸中で幾許か安堵するのだった。

  †

 ――或いは、若しか。
 ネコビトがニャンニャンイェーなら、露はワンワンイェーなのではないかと思ってみる。
「レーちゃん、レーちゃん! 伝説の島をお散歩しましょ♪」
 何処に行こう? 何を見よう? 色んなものを食べてみたい!
 ネコビトと別れて島の散策に繰り出した露は、シビラの腕にぎゅーっとくっついて笑顏滿点、初めての道を輕やかに歩く。尻尾があれば振り切れているだろう親友は、言うなれば冒険心に滿ちた仔犬のよう。
 而して今回は、この無垢なる仔犬を甘やかすと決めていたシビラだ。
「ね、ね、レーちゃんは何処に行きたい?」
「行き先は任せる。何処にでも附いて行こう」
「……いいの?」
「褒美と云ったろう。島中を歩かされるのも覺悟の上だ」
 露が飛び切りのご褒美を望み、己は其を受諾した。
 ならばとことん付き合うべきだろうと、至近距離でぱちくりと瞬く露に淸かな流眄を注いだシビラは、月白の玉瞳がみるみるうちに耀きを増していく樣を聢と見た。
「――……それじゃあね」
 月光を集めたような麗瞳が嬉しそうに細められると同時、ニャンニャンイェーの聲が行き交う喧噪の方向へ向く。
 あの活気を愉しみたいと露が微笑すれば、シビラが追うようにして鼻梁を結んだ。

「えへへ♪ レーちゃんがこの島で一番興味持つ場所かな~って思ったのだけど」
「……成程」
 露がシビラを引っ張るようにして連れたのは、蒼海に臨む「職人市」。
 店先に立つ売り子が大聲で客を呼び込む中、奧では細工職人が默々と手を動かしており、その店々を交易商人が往來する――海産加工と交易を主産業とする島の縮図を見た気分になる。
「この島は真珠や珊瑚の加工品を交易材料にしてたのよね。だから、加工してるところをみたいかなーって」
 ぎゅうと腕を摑み、シビラの橫顏を見る露。
 上目遣いに伺えば、佳人は鋭い視線を店の奧に結んだ儘、金彩の瞳を|晃然《きらり》と輝かせて言った。
「これではどちらの褒美かわからないな。……全く」
「ふふふっ♪ 行こ?」
 やれやれと嘆聲を零すシビラの隣、柔く瞳を緩めた露が、ムギュムギュと躰ごと押し付けるようにして歩みを促す。
 押されるシビラも悪い気はせず、殷賑の中に靜かに佇む工匠と、彼等が産む細工物を見て回ることにした。
『ニャンニャンイェー!! 真珠のブローチ、買ってけニャン!!』
『ニャンニャンイェー!! 本日の目玉は珊瑚の指輪だニャン!!』
 店に並ぶ品々は、その全てが手作りの一点物。
 海の惠みが花や果実に形を變える――職人の個性が伝わる装飾品群は、特に露の瞳を大いに惹きつけた。
「どれも綺麗で素敵……見ているだけで心が彈むわ♪」
 母なる大地より生まれ、月光を浴びて育った身だからか、海から生まれた彼等を見る目は優しい。
 繊細な装飾を施された海の宝石たちが、船に積まれては如何な人の手に渡って旅するのだろうと思うと、それだけで樂しい気持ちになる。
「だけど、こーゆーのの目利きはあたしには無理ね。優劣は付けられないわ」
「同感だ」
「え? レーちゃんも?」
「何故驚く? 目利きは経験あってこそだろう」
 耳元で差し挟まれる佳聲に、つと視線を結ぶ。
 全てが渾身の力作にて、選び出すのは難しいと品評を諦めたシビラは、寧ろ一品一品に凝らされた技巧を見たいと、裏手に回って職人の作業場へ向かった。
「とある地域では、珊瑚は護符として重宝していたらしいが……」
 この島に至るまで、船上でも幾らか考えていた事を話す。
 匠人の作業風景を暫し見ていたシビラは、エプロンに溜まっては地面に零れゆく珊瑚の欠片を目に追って訊ねた。
「――加工の際に出る欠片や粉を、小瓶に入れて商品にしては如何だろう」
『? カタチになってないのが、商品になるニャン?』
「粒が集まることで、新しい価値が生まれて……とっても綺麗よ」
 良いアイデアだとは露の佳聲。
 小瓶に小さな海の世界を入れるのだと二人が提案すれば、商魂たくましい売り子の方がぐるんっと振り向き、「それいいニャン」「詳しく教えろニャン」と目を輝かせる。
 数多の世界を巡った少女達はアイデアも豊富にて、興味をそそられたネコビトらに多くのヒントを與えた。
「真珠は……そうだな。スノードームのような商品の材料に使えないだろうか」
『スノー……硝子に雪を閉じ込めたアレかニャン?』
「加工後の真珠粉を、海底の砂に見立てるのは面白いのでは……と思う」
 珊瑚や真珠の加工後の欠片で魚などを製作し、硝子のドームに入れる。
 ネコビト達は技術の粋を集めた装飾品にこそ価値を見出しているが、そこに至るまでの過程にも十分に価値があると云えば、彼等も納得の表情を見せよう。
「これなら貴重な海の産物も無駄なく使用できるはずだ。加工技術は苦労するだろうが……高級志向を持つ者達以外の客層を広げる役に立つかもしれない。まぁ、必ず役立つとは言えないが……」
『むむん、慥かに客層が広がるニャン』
 今や海は大航海時代。オブリビオンの脅威が収まり、人々は海に浪漫を求めている。
 いずれ交易品は希少な嗜好品から裾野を広げ、新しい価値を生むものが人気を博してゆくだろうと、交易商人も話の輪に入る中、露は熱く語り出すネコビト達の「手」に注目して口を開いた。
「うーん……珊瑚を猫さんの手の形に加工してみるとか、どうかしら?」
『我々の手のカタチ? 加工は難しくにゃいけど……』
「猫手型の加工珊瑚をイヤリングやネックレスにすると可愛いかも!」
 慥か幽世の世界には、猫が福を呼び、幸運を招く言い伝えがあった気がする。
 猫が縁起物として活躍していると説明を足せば、ネコビト達は目から鱗が落ちたようにピカピカと、新しい商売の道を見つけて活気づいた。
 彼等はふくふくと咲みながら感謝を示し、
『新商品の開発、頑張ってみるニャン! ニャンニャンイェー!』
『我々の伝統技術に別の価値を見出せたよ。ニャンニャンイェー』
 多分これは「ありがとう」のニャンニャンイェー。
 諸有る感情をひとつの言葉で纏めてしまう豪気を目の当たりにしたシビラと露は、一瞥を交すや鈴音を重ね、
「噫、にゃんにゃんいぇー」
「お役に立てたなら何よりだわ。にゃんにゃんいぇー♪」
 而してこれは「どういたしまして」のニャンニャンイェー。
 島に馴染んだならではの可愛らしい挨拶を揃え、場をほっこり和ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月15日


挿絵イラスト