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嗤う悪意と炎の慟哭

#ダークセイヴァー #戦後 #『紋章』 #第五の貴族 #同族殺し

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●終わりなき地獄に終止符を
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
 グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
「ダークセイヴァーで存在を確認されている“同族殺し”。その矛先がどうやら“第五の貴族”が支配する第五層に向きつつあるらしい」
 此度の戦場は“第五の貴族”黒山羊公コンスタンツが無数の配下と共に待ち受ける邸宅。
 そこでは既に“同族殺し”アウローラが狂乱のままに破壊を振り撒いているのだとグリモア猟兵は眉を顰めた。
「例によって第五の貴族は紋章で自分自身を強化している。コンスタンツが扱うのは“搾取の紋章”だ」
 カタリナによればその効果は“戦場の誰かが肉体的・精神的苦痛を受けるたびに自身を強化する”というもの。
 何より厄介になるのは紋章の力を最大限に活用する為に誂えられた戦場の状況なのだという。

「コンスタンツは攫った多数の民間人を配下に盾として使わせている。アウローラへの効果の程は今一つ、多少怯む事はあっても勢い余って纏めて焼き尽くす形になるけれど……問題はその後だ。民間人を手に掛けたアウローラは直後に回復のユーベルコードで相手を蘇生させる。それを盾にしていたコンスタンツの配下諸共にね」
 狂乱と暴走、もはや能力も碌に制御出来ていないのだろう。その結果どうなるかと言えば至極単純な無限ループ。
 幾ら殺そうとその度に蘇らせていては敵が減る事はなく、ただ蓄積する苦痛だけがコンスタンツを強化し続けるという訳だ。

「搾取の紋章の弱点はコンスタンツ自身が傷を負うと強化も急速に喪われる事。配下や民間人を盾にして被弾を避けようとする敵に攻撃を通す手段が必要になるね」
 戦闘開始時点で既に強化を繰り返しているコンスタンツは素の戦闘力も大きく向上しているから気を付けてほしい、と有翼の人狼は続ける。
 猟兵自身もなるべく攻撃を受けないようにする・敵の配下を一撃で仕留める等、更なる強化を阻止する事も重要だ。
 アウローラが民間人への攻撃を躊躇う一瞬の停滞を突けば或いは民間人を守る事も出来るだろう。
 一連の戦闘終了時に生存していれば彼らに治療を施す事も出来る。
 ……生き地獄に晒された彼らの回復がどれほど叶うかは、その時にならないと分からないが。

「後はそうだね。アウローラは広域攻撃と反撃に長けるから、コンスタンツの撃破前に手を出すのは避ける事を勧めるよ。……類似のケースだと、標的撃破後の同族殺しは説得する事で戦わずして消滅した事もあるようだけど……相手は狂気に染まったオブリビオンだ。奇跡を前提に臨むのはリスクが高いと個人的には思うな」
 そう説明を締め括れば咳払いで切り替え、カタリナのグリモアが輝きを放つ。
「どうか武運を。今回もキミたちの勝利と無事の帰還を祈っているよ」
 見送る言葉と同時、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 此度はダークセイヴァー、第五の貴族・同族殺しと繰り広げる三つ巴バトル!

 一章はVS第五の貴族、黒山羊公コンスタンツ。
 戦場には他にも「第五の貴族の膨大な配下」「人質の民間人」「同族殺し」が存在します。
 配下の戦闘力はモブ並ですが数が酷く多い点、人質に攻撃が当たると同族殺しのヘイトが向く点に御注意を。
 プレイングボーナスはコンスタンツの装備する“搾取の紋章”の弱点を突く事。
 例えば「戦場で発生するダメージの総量を減らす」「肉盾を突破してコンスタンツ本体を叩く」など。
 苦痛を感じる余地なく即死させるのもアリ。

 二章はVS同族殺しアウローラ。
 OPのグリモア猟兵は猜疑的な事を言っていますが説得もばっちり有効。
 フル説得・説得しつつバトルで仕留める・がっつりバトル、いずれも歓迎です。

 また、試験的に難易度オプションも始めました。
 興味のある方はMSページをご覧ください。
 それでは皆様の健闘をお祈りしています。
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第1章 ボス戦 『黒山羊公コンスタンツ』

POW   :    『――嗚呼、折角手に入れたのに台無しだ』
【人狼衛兵に捨て身で時間を稼がせている間に】【お気に入りの少年少女から鮮血を絞り出し】【溢れ出る大量の鮮血を杖や四肢に纏うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    『――痛いのならば好きに啼くといい』
【対象の体内】から【その血液で作られた蔦や茨】を放ち、【重傷】を与えながら【吸血すること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    『――衛兵、粛清しろ』
【紋章付き改造マスケットで武装した人狼衛兵】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【一斉射撃】【銃剣突撃】【野生本能の暴力】で攻撃する。

イラスト:クラコ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はゾーヤ・ヴィルコラカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●呪わしきは黒と緋の無限螺旋
「赦さない――殺す、殺す、殺すッ!」
「情熱的じゃないか。私一人で味わうのは勿体ないな」
 薄く嗤う吸血鬼が合図を出せば、同族殺しとの間に立ちはだかるのは彼に付き従う無数の人狼衛兵。
 そして、憔悴した様子で衛兵に拘束された戦場には似つかわしくない民間人の姿。
「ッ……!!」
 数秒、同族殺しの総身が強張る。或いはまさか万象焼き尽くす魔炎の暴虐を止めようとでもしたのだろうか。
 止められる筈が無い。
 身を焦がす殺意も狂気も――解放の愉悦も。砕けた理性で御せるほど生温いものではない。
 衛兵と人質は断末魔を残して燃え尽き、吸血鬼の紋章がその苦痛を吸い上げ喰らう。
「あ、ああ、ああああああアアアアアアアッ!!」
「いやはや。わざわざ自らの民を幾度も焼き殺しに押しかけてくるとは、思ったより|まとも《・・・》じゃあないか」
「違うッ! こんな事、私は……私は……っ!」
 まるで自分の方が焼き殺されたかのような絶叫と共に緋色の渦が荒ぶり、魂魄まで消し飛んだ筈の犠牲者は巻き戻しのように蘇る。
 そんな茶番を、お気に入りの血袋を肴にしながら飽きもせず繰り返すこと数度。
 殺す絶望、殺される絶望、その苦痛が極上の餌となる。
 ……狂宴は終わらない。
 
四王天・燦
熱くなるな。コンスタンツと同じ殺しの化身に成り果てるなと牽制の一言入れておく
任せろ。アタシは女の子の味方だぜ

闇に紛れ。もしくは火炎耐性で身を守りながら炎に紛れて配下に忍び寄るよ
アークウィンド一閃してサクッと暗殺する
クールに決めるぜ
人質には医術の符を貼って応急処置し、可能なら『夢匣』に入れて保護しとくよ

アークウィンドを振るって風の衝撃波を起こしコンスタンツの部屋を荒らす
破魔力全開で面妖な血液操作の術の効果を低減させ激痛耐性で悲鳴をあげないよう堪え、気配を殺すぜ
土煙や瓦礫の臭いで己を隠しシャドウスラッシュを見舞ってやる
四撃目は刻まずアウローラに向けて蹴って吹き飛ばすぜ

煮るなり焼くなりご自由にってな



●悪意を斬り裂く月影の刃
「熱くなるな。コンスタンツと同じ殺しの化身に成り果てるな」
 四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)が|同族殺し《アウローラ》に掛けた一言は牽制。
 ただでさえ強大な|第五の貴族《コンスタンツ》勢力を相手に、同族殺しの暴走がこれ以上悪化した日には面倒どころの話ではない。
 そして、理由はもう一つ。
「――任せろ。アタシは女の子の味方だぜ」
「貴女、は……」
 それは燦の宿業。救う事に迷いは無いと、笑みを残してその身を闇に溶かす。

「クールに決めるぜ。|端役《モブ》は引っ込んでな」
 民間人を盾にした人狼衛兵は気配を殺した燦に対してあまりに無防備だった。否、猛り続ける炎による焼却と再生に晒され続ければ感覚も麻痺するというものか。
 短剣の一閃はその命を容易く刈り取り、人質にはすかさず治癒の四王稲荷符を貼って応急処置を施す。
「今できる手当はこれくらいだけどさ」
 朦朧としている人質は夢匣へ保護。小箱の内側に広がる安全な箱庭世界なら戦闘の危険に晒される事は無い。
 これまでと異なる死因に一拍遅れて気付き狼狽する衛兵の部隊を後目に駆け抜ければ、荒れ狂う魔炎が容赦なく吸血鬼の走狗を焼き尽くした。
 行き当たる衛兵たちから人質を奪還しながら最短距離で踏み込んだ先は高みの見物を決め込むコンスタンツの自室。

「猟兵だな。宴の招待状を出した覚えは無いのだがね」
「アタシは客じゃないぜ。お前の手に落ちた女の子たちを|奪い《救い》に来たんだからな!」
 此処まで距離が縮めば第五の貴族ほどの相手から自身の存在を隠しきるのは困難を極める。
 億劫そうに出迎えた吸血鬼に応じると同時、妖精の祝福を受けた|短剣《アークウィンド》の巻き起こす旋風が室内を蹂躙した。

(音を消せ、気配を消せ、殺気を消せ)

 身を隠す余地が無いのなら作ってしまえばいい。
 土煙や瓦礫で知覚を惑わしてやればコンスタンツは苛立たしげに杖を振るう。
「小賢しいな。僕から逃れられると思ったか? ――啼け」
(来たか……頼むぜ桃華絢爛!)
 ぞくり、と背筋に氷柱を差し込まれたような第六感の警鐘。
 血液そのものを茨に変え血を啜る不条理の超常が牙を剥き、燦は破魔の力を全開にして抑え込む。

(ただ静かに、速やかに――)

 燦の行動による搾取の紋章での強化は最小限。
 体内から引き裂かれる激痛は身体を強張らせるが……まだ、動ける。
 骨肉に絡みつく血茨の呪縛を振り切り、吸血鬼が血の匂いを嗅ぎ付けるより速く背後へと回り込む。
 闇の闘気を込めた斬撃は音も無く獲物を捉え、意趣返しのように鮮血の飛沫を上げさせた。
「ぐ、ぅッ!? 貴様――」
 搾取した力は血と共に抜け落ち、強化の喪失で隙を晒したコンスタンツへと更に一撃。
 【シャドウスラッシュ】は四撃必殺。だが今回は四撃目を刻む必要は無い。
 人質に阻まれる事の無い|道《・》は作った。
 三撃目、旋風と共に蹴り吹き飛ばした先には憤怒に燃える|同族殺し《アウローラ》の姿。

「煮るなり焼くなりご自由にってな」
「あらゆる罪に制裁を、あらゆる悪に破滅の報いを――地獄に堕ちろ|吸血鬼《ヴァンパイア》ァッ!」
 血を吐くような叫びと共に一閃、叩き斬られたコンスタンツの身は断末魔ごと滅びの魔炎に呑まれて消える。
 第五の貴族は此処に討たれて……残るオブリビオンはあと一体。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー

久々に分かり易いクソ野郎が相手で助かるぜ。
ま、最もアンタに直接、手を下すのは俺じゃ無さそうだがね。

スカした山羊仮面の思い通りに動くのは癪だろ?
だが、アンタはアレ(親指でコンスタンツを指して)を始末したい。
手を貸してやる。――本来、俺は気安く雇える額じゃないんだが。
良いさ、今回の報酬はサービスだ。アレの|もてなし《焼き》方でも考えておきな。
(狂気に囚われた彼女の返事などアテにせず。ヒラリと片手を振って)

二丁銃を構えて、集団に飛び込んでUC。
人質を避けて、衛兵のみをヘッドショット、もしくは心臓を撃ち抜く事で即死させていく。
リロードと銃撃を踊るように、舞うように。見物だろうぜ。“搾取の紋章”とやらがこれ以上、効果を発揮しないサマは。
…狙う対象が山羊の仮面を持ったクソ野郎一匹だったら、遠慮なくその炎をぶち込めるハズだ。

コンスタンツが杖を持つ手を振りかざそうとしたのを見逃さず。
145発目の銃弾でその手を撃ち抜いて。
どうやらCheckmateのようだぜ?
後は荒ぶる魔炎の趨勢でも眺めるとするさ。



●Rondo of Escort
「久々に分かり易いクソ野郎が相手で助かるぜ。ま、尤も……」
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の見やる先には邸宅のテラスから戦場を見下ろすコンスタンツ。
 文字通り高みの見物を決め込む第五の貴族から一度視線を外し、猛り狂う炎の化身へと意識を移す。
「……アンタに直接、手を下すのは俺じゃ無さそうだがね」
 これ以上吸血鬼の思惑通りにさせるつもりは無い。
 灼熱に満たされた戦場を駆け抜け、カイムは瞬く間に|同族殺し《アウローラ》の付近まで辿り着く。

「よう。スカした山羊仮面の思い通りに動くのは癪だろ?」
 邪魔な人狼衛兵を一太刀で斬り捨て、常通り余裕に満ちた声を掛ければ真紅の瞳が猟兵を見返した。
 狂気に囚われた彼女の返事などアテにはしていない。コンスタンツの方向を親指で示し、構わず言葉を続ける。
「だが、アンタはアレを始末したい」
 アウローラの狂気と理性、向けられる殺意をも組み込んだ謀略。状況は詰みと言ってよかった。
 これまでは。
「手を貸してやる。――本来、俺は気安く雇える額じゃないんだが」
 言葉そのものは届いているのだろう。
 軽口と共に告げて再び吸血鬼の陣取るテラスを見上げ、その間を阻む膨大な人狼衛兵と人質たちに視線を下ろす。
「…………」
「良いさ、今回の報酬はサービスだ。アレの|もてなし《焼き》方でも考えておきな」
 僅かに逡巡の色を見せる同族殺しにはヒラリと片手を振り背を向けて。

「Don't think, feel! しみったれたツラしてんじゃねェよ、楽しくいこうぜ!」
 二丁銃を構えて正面から人狼衛兵の只中へ飛び込めば、意表を突かれた集団に動揺が走る。
 相手は地底世界を統べる第五の貴族の走狗。
 すぐさま立て直し乱入者に銃剣を向け、或いは人質を盾にしようとして――その眉間に風穴が空いた。
 |双魔銃《オルトロス》の咆哮が立て続けに響く。
「言ったろ? つまり考えるヒマなんざやらねぇって事さ」
 リロードと銃撃を踊るように、舞うように。
 人質を傷つける事なく、傷つけさせる事もなく、紫雷を纏う研ぎ澄まされた銃撃の【|銃撃の輪舞曲《ガンズ・ロンド》】が数百は下らない衛兵たちを瞬く間に骸の海へ還していく。

「見物だろうぜ。“搾取の紋章”とやらがこれ以上、効果を発揮しないサマは」
「招かれもしない宴に乗り込んで土足で踏み荒らすとは。度し難い狼藉だな」
 遅い。
 観劇気分に浸っていた吸血鬼が眉を顰めた時には既に衛兵の集団は薙ぎ払われ、|輪舞曲《ロンド》の射程外に居た手勢が駆けつけるには充分以上の空白がある。
「……狙う対象があのクソ野郎一匹だったら、遠慮なくその炎をぶち込めるハズだ」
 呟きが彼女に聞こえたのかは分からない。ただ、戦場を満たし渦巻く禍々しい緋の渦が一層強く燃え盛り。

「だが、無駄だ。既に吸い上げた血と力だけでも貴様らを潰すには――」
「能書きが長ぇんだよ」
 145発目の銃声と共に、吸血鬼の杖持つ手から鮮血が散る。
 必中必殺をもたらす血の呪いが形を成す事はなく、紋章から奪い取った力もろともに霧散して。

「ぐあっ……!?」
「どうやらCheckmateのようだぜ?」
 吸血鬼の顔色が変わる。もはやコンスタンツに滅びの魔炎から逃れる術は無い。
「お前は輪廻に還る事も赦さない――解き放て、喰らい尽くせ、在るが儘にッ!」
 その怒りは断末魔さえも焼き払い、灰一つ遺す事も許さず吸血鬼の存在を消し飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
アウローラに
「そこまで苦しむ程に救いたいのならここは預けて貰おうか。
それとも俺も背後から焼くかい?」
茶化す様に言うがアウローラが本当に諸共攻撃しないか見極めつつ。

「人質の盾。こっちはそんな下衆は見飽きているんだよ。」
冥空へと至る影を発動。
敵の配置、状態に注意し同時に多数の衛兵の射撃範囲に
入らない様に注意。
衛兵が突撃や本能の暴力で攻撃してきた際には
人質から注意が逸れた隙に冥界からの魔力を込めた
フレイムテイルの炎で焼く。

呪装銃「カオスエンペラー」を敵に向けて構え
弾幕を張る様に連続発射。
放った死霊の【残像】を発生させて敵を攪乱させつつ
【誘導弾】で死霊を操って敵のみに命中させ。
【マヒ攻撃】や幻覚の作用で敵を行動不能にした隙に
コンスタンツを射程距離内に捉え
ファントムレギオンの死霊の制御に【全力魔法】の魔力を注ぎ集中。
敵が人質を盾にしたら【貫通攻撃】の様に
死霊に人質をすり抜けさせ
敵に触れる瞬間のみ実体化させ攻撃。
「お前みたいなのは見飽きてると言った筈だ。
卑怯者の裏をかく術の一つや二つ用意している。」



●死は生きるべきものをすり抜けて
「そこまで苦しむ程に救いたいのならここは預けて貰おうか。それとも俺も背後から焼くかい?」
「……これは……私の罪よ」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)が茶化すように掛けた言葉に反応はあった。
 |同族殺し《アウローラ》の様子から意図を推し量るなら……状況を理解していたとしても止まれない、といったところか。
 恐らくはそれが彼女の陥った狂気の一端。
(……あまり猶予は無いか。だが、上出来だ)
「そうか。正しく償いたいなら、それこそ選択を誤らない事だ」
 言葉を残して第五の貴族を見据える。間に立ちはだかる吸血鬼の手勢は膨大、討つべき敵との距離は未だ遠い。

「人質の盾。こっちはそんな下衆は見飽きているんだよ」
「ならば構わず纏めて殺すか? 好きにするといい、どうせ生き返る」
 嘲るように喉を鳴らすコンスタンツが杖を掲げるのとフォルクの影が妖しく揺らめくのは殆ど同時。
「……冥府への門たる忌わしき影よ。その枷を外し闇の力を我に届けよ」
「それでは、精々苦痛を献上して死んでくれ。――衛兵、粛清しろ」
 |魔本を素材とした黒手袋《フレイムテイル》に紅蓮の色彩が灯り、放たれた炎が人狼衛兵を迎え撃つ。
 野生本能に身を委ねた敵は人質を活用する能も無い。隙だらけだ。
 突撃しながら人質を盾にしようとする動きにはどうしても遅れが生じる。フォルクの力量であれば衛兵のみを仕留める事も不可能ではない。
 一斉射撃の火力が集中するエリアを巧みに避けつつ、【|冥空へと至る影《ディアボロス》】の魔力を込めた炎で第一波を焼き払う。
 敵は多いが……人質を盾にした個体とその周囲さえ落としてやれば、残りは同族殺しの餌食だ。

「狗共は寄せ付けないか。術士の割にはよくやるものだ」
「そうして侮っているといい。最期の時までな」
 コンスタンツにはまだ余裕がある。事実、人質を盾に射撃してくる衛兵のみを仕留めるのは至難と言っていい。
 対するフォルクの構えた呪装銃「カオスエンペラー」が矢継ぎ早に放つのは弾丸ではなく幾多の死霊。
 それは死霊であるが故に自在に飛び交い、残像を残して衛兵を攪乱する。
 人質を迂回し衛兵だけに触れれば金縛りと幻覚がその身を封じ……苦痛を伴わない無力化に紋章は反応しない。
 並み居る吸血鬼の走狗を沈黙させ、フォルクは遂に第五の貴族を射程内に収める。

「つまらないな。手緩い無力化を選んだのはわざとか?」
 大仰な嘆息を一つ。
 吸血鬼の瞳が昏く輝き、衛兵に放り出された人質が不可視の手に引き寄せられるようにフォルクとの射線を遮る。
「安い手品だ。一度見せた以上、雑魚はともかく僕には通じない」
「……黄泉への導たる我が名の下に|下僕《しもべ》へと命ずる」
 人狼衛兵の軍勢を突破し、【冥空へと至る影】に送られた魔力はこの上なく高まっている。
 此処が人々を虐げる吸血鬼を討つ為の正念場。
 詰めの一手を打つべく、死霊の集合体であるファントムレギオンの制御に全神経を集中させる。

「闇を纏いて魔を宿し、我が意の儘に悪しきを滅せよ――裁きを此処に」

 放たれた死霊は衛兵を攻略したものより遥かに俊敏に、かつ不規則な軌道でコンスタンツに迫る。
 紋章により更に力を増した第五の貴族はその動きにも対応し、死霊の前に人質を割り込ませて。

「お前みたいなのは見飽きてると言った筈だ」
 それも読み通り。
 死霊が人質を避けるのを見せた事も布石の一つ。
「卑怯者の裏をかく術の一つや二つ、用意している」
「なにッ……!?」

 ファントムレギオンは無防備な人質を直撃し、傷つける事なく|すり抜ける《・・・・・》。
 死霊術の粋を凝らした一撃はその直後に実体化。渾身の一撃を吸血鬼へと見舞う。
 紋章の吸い上げた力は鮮血と共に抜け落ち、強化を喪った獲物へと間髪入れずに追撃。
「巫山戯るな……この僕が、こんな……ッ!」
「その手の遺言も聞き飽きたよ」
 ひとたまりもなく魂を打ち砕かれ、コンスタンツは骸の海へと葬られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント

同族殺しも人質を傷付ける事は望んでいないようだ
こちらは人質の防御にも戦力を割こう
…精神的な苦痛も敵を強化してしまうと聞いているからな
あんたは好きに戦って構わない、こちらも勝手に援護させてもらう

「ムーンフェイス」を起動
24枚のカード型ドローンを展開、人質の民間人の防御に回す
特に同族殺しの攻撃に巻き込まれる場合はドローン自身を盾としてでも防御する
身を盾としても機械であり痛みを感じないドローンなら紋章への影響は無いはずだ
まずは人質の被害を防ぎ紋章の強化を妨害する

拳銃にはエンチャントアタッチメントを装着
配下に囲まれたらユーベルコードを発動、凍結による行動妨害を試みる
紋章の強化を抑える為、最低限のダメージで動きを止めて第五の貴族に接近したい

同族殺しの攻撃に乗じて、もしくは敵の大量の配下に紛れ身を隠して一気に駆ける
敵の目がこちらに向かない内に接近できれば攻撃を受ける危険も少ない
第五の貴族が銃の射程に入り次第、射撃で攻撃する
一発でも当たれば弱体化が狙える
そうなれば、同族殺しの追撃でも十分倒せるだろう



●Hunt for save
(同族殺しも人質を傷付ける事は望んでいないようだ)
 それはシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)も同じ事。
 故に為すべき事に迷いは無い。
「こちらは人質の防御にも戦力を割こう。……精神的な苦痛も敵を強化してしまうと聞いているからな」
 戦場に降り立ち24の|カード型ドローン《ムーンフェイス》を展開すると同時、吸血鬼の手勢に囲まれた同族殺しへと声を掛ける。
「あんたは好きに戦って構わない、こちらも勝手に援護させてもらう」
「……言ったわね?」
 引き攣ったような口許には歪な笑み。
 初対面から数秒もしない相手の言葉でも決壊するほど、その本能は限界を迎えていたというだけの事。
 戦場に荒れ狂う緋の渦が激しさを増し、滅びの魔炎は躊躇なく人狼衛兵を薙ぎ払おうとする――人質諸共に。

「難儀なものだな。だが……」
 もちろん自らの言葉を反故にする気は毛頭無い。
 見切るべき要は炎の指向性と人質の位置関係。
 衛兵は膨大だが部隊ごとに人質を引き連れている人数は限られる。
 ならば。
「……問題は無い」
 最適の位置とタイミングに遮蔽としてドローンを割り込ませれば、同族殺しの炎は人質を傷つける事なく敵部隊のみを焼き払う。
 機械であるドローンは侵蝕する滅びの魔炎に焦がされたところで紋章を反応させる事はない。
 手応えは充分。包囲網を崩すまいと押し寄せる膨大な衛兵も寧ろ都合が良い。

「害するものは害されよ、殺めるものは骸を晒せ! 目には目を、歯には歯を、全ての罪業に応報をッ!」
「そこだ――止まれ」
 二つのユーベルコードが重なる。
 【ヘイルストーム】と【狂イ火ノ災厄】は共に戦場全域を捉える制圧範囲・敵味方を識別する精密性を備えた大技。
 氷の魔力を纏った弾丸は|コンスタンツ《本命》の視線を遮るタイミングで衛兵の動きを止め、既にドローンを動かしたシキ自身は標的へと駆けだしている。
 直後、炸裂した魔炎はドローンに護られた人質を除く吸血鬼の走狗を再び纏めて消し飛ばした。

「チッ、半獣一匹に此処まで……」
「そうだな。あんたは此処までだ」
「ぐぅ……!?」

 敵対者がいつまでも膨大な衛兵の相手をする等と油断した事がコンスタンツの隙。
 シキが援護した時点でその策は瓦解している。
 |異能《ユーベルコード》の炸裂に目を奪われ猟兵の接近を許した時点で結果は決まっていた。……この距離ならシキの方が速い。
 一発の銃弾は正確に第五の貴族を捉え……過剰な血飛沫と共に紋章の強化が剥がれ落ちて。

「よくもッ……ならば貴様にも、痛みを……!」
「もう遅い。……こうなればあんたも幕を引けるだろう」
 巻き添えを喰らっては笑い話にもならないと場所を空ける。
 ドローンの援護射撃に導かれ、破壊衝動に猛る|同族殺し《アウローラ》が灼熱を迸らせた。
「絶華絢爛――咲き狂え緋き大輪ッ!」
 怨敵へと収束した魔炎が爆ぜ、断末魔さえ赦さず存在全てを燃やし尽くす。
 視界に焼き付く程のそれが消えた後には、吸血鬼の痕跡一つとて残す事無く。

「気は晴れたか?」
「……おかげさまで、少しは。……だけど……」

 破壊衝動を発散させた為か、応えるアウローラは先刻より僅かに落ち着いたように見える。
 所在なさげに剣の切っ先を下ろし、しかし炎は未だ揺らめいて。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『忌火ノ慟哭』アウローラ・ロストブレイズ』

POW   :    殲火凶閃/来ないで……消えて、居なくなれ……!
【戦場ごと薙ぎ払う一閃】が命中した敵を【荒れ狂う爆炎と爆風】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[荒れ狂う爆炎と爆風]で受け止め[戦場ごと薙ぎ払う一閃]で反撃する。
SPD   :    狂イ火ノ災厄/どうか、どうか私を赦さないで
戦場全体に【壊れた輪廻を司る|禍ツ緋《マガツヒ》の渦】を発生させる。レベル分後まで、敵は【全てを滅ぼし死と破壊を齎す魔炎の暴走】の攻撃を、味方は【傷を癒し命を育む筈の制御不能に陥った聖火】の回復を受け続ける。
WIZ   :    万焼滅却/……傷つけたくなんか、ないのにね
【攻撃や接近を感知し自動的に反撃する翼の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【侵蝕・同化して時空さえ塗り潰す概念的な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。

イラスト:柊花ゆづき

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カタリナ・エスペランサです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Todestrieb/見えない救いに手を伸ばすように
 “第五の貴族”黒山羊公コンスタンツは討たれた。
 吸血鬼のユーベルコードに紐付けられていた配下の人狼衛兵たちもまた、主同様に塵と崩れ消えていく。
 荒れ狂っていた緋の渦は僅かにその勢いを減らし、しかし消える事なく熱を放つ。
 残された|同族殺し《アウローラ》は猟兵に視線を移し……一歩後ずさった。
 次に骸の海へ還るべきは自分だと、薄々気付きながらも受け入れられないエゴの発露。

「私は……まだ、死ねない。贖えて、ない……!」

 それが善性などではなく、寧ろアウローラの根底にある狂気だと猟兵には感じ取れる。
 蹂躙を悦び望む本能とそれを忌避する心の二律背反。死を望み、死を以てしても自分を許せない程の自己嫌悪。
 ……恐らくは生前から焼き付いた烙印。
 罪を償えず災いを振り撒く悪のまま終わる事が何より恐ろしいのだと、狂える炎は幕引きを拒む。
 聖火がアウローラ自身を癒す事は無い。
 コンスタンツの謀略で既に瀕死の有様ながら、しかし死を拒む為なら彼女は|力《災厄》の行使を躊躇わないだろう。

 だとしても――この|オブリビオン《世界の敵》を骸の海へ還す機会は、今をおいて他に無い。


※人質にされていた民間人がどうなっているかはプレイング内で任意に設定可能。
 特に言及無い場合はコンスタンツ消滅時点で全員、安否は不明ながら身柄は戦場の外に保護済みとします。
※別猟兵の説得リプレイで成仏した後に戦闘プレイングとかも問題無く可能。お好みのプレイングでどうぞ。
 
四王天・燦
美人さんには納得して逝ってもいてえな

四王稲荷符を手に結界術と火炎耐性で概念の炎を祓いながら歩み寄って平手打ちをかますぜ
自分のことばかりでなく現実を見ろって説教を始めるよ

焼死のトラウマを刻みこまれた人質多数だ
心の傷を与えた挙句に、アタシが来なければコンスタンツに返討ち待ったなしなんだから笑えない
こんなことを繰り返すのかと

そも何よりすべき償いは傷つけた者たちに謝ることじゃないかと、おかんの如き優しさをもって言い聞かせるよ
人質たちに直接言いにくいならアタシから伝えてあげるさ

邪悪ならなんぼでもアタシが誅してやると約束しとく
納得してくれたらフォックスファイア・伍式の慈悲の炎で包むぜ
どうか安からな眠りを



●Will the scar healed by tenderness?
「美人さんには納得して逝ってもらいてえな」
 手に四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)が一歩踏み出せば、|アウローラ《同族殺し》の翼の炎は警告するように燃え上がる。
「……帰るなら追いはしないわ。……でも、来るなら……」
「冗談。そんな顔してるアンタを放って帰れるかよ」
 溢れ出した万焼滅却の炎は燦が歩み寄るのと同じだけの速度で迫り、迂回こそ困難だが見切る事は容易い。
 火難避けの結界を展開、概念侵蝕が進行しきる前に四王稲荷符を継ぎ足していく事でアウローラの正面に辿り着く。
 剣を振るう事も退く事もしない、或いは出来ない同族殺しの姿は進退窮まった在り方そのものにも見えて。

「なぁ」
 短く声を掛ける。
 結界越しにも肌を削るような灼熱に構わず、途方に暮れたようなその顔を――引っ叩く。
「っ……!」
「アンタの事情なんてアタシには分からないけどさ。自分のことばかりでなく現実を見ろよ」
 吸血鬼の人質にされ、幾度も焼死のトラウマを刻まれた民間人たちを示してみせる。
 コンスタンツとその手勢の消滅後に一通りの手当ては施したが、彼らの負った傷は浅くない。
「心の傷を与えた挙句に、アタシが来なければコンスタンツに返討ち待ったなしなんだから笑えない。……こんな事を繰り返すのか?」
「それは……そんなの望む筈が無い、けれど……!」
「そうだろうな。分かってるよ」
 言い聞かせる声は厳しくも優しく、雁字搦めになった鎖を一つずつ|解《ほど》くように。
 同族殺しの過去は知らずとも、事は彼女の思っているよりずっと単純なのだと燦には分かる。
「そもそもだ。何よりすべき償いは傷つけた者たちに謝ることじゃないか?」
「う……」
「直接言いにくいならアタシから伝えてあげるさ」
「駄目よ。それを人任せにするのは……無責任だわ」
 怯んだのは一瞬。
 拒絶の炎はいつしか消え失せ、燦の見届ける前でアウローラは民間人一人一人に謝罪の言葉を伝えていく。
 謝る者、怒る者、感謝する者、嘆く者。
 返ってくる反応は様々ながらも、彼女はその全てに向き合って……改めて歩み寄る燦に、もう炎は牙を剥かない。

「……こんなの……狡いわ。こんな事で、何も贖えた訳じゃないのに……」
「いいんだよ。罠だと分かってても飛び込んで、あんなに我を忘れるくらい大切だったんだろ?」
 背景や引き起こした結果はどうあれ、少なくともその想いが本物だった事は確かなのだと。
 愛ゆえに深く傷ついたなら、愛ゆえに救われてもいい。
 蟠り一つにケリを付けた、それだけの事で赦されたような気持ちになってもバチは当たらないだろう。

「邪悪ならなんぼでもアタシが誅してやる。だから、さ」
「…………うん」
 最後に人々へ別れを告げ、そして離れたアウローラへと向かい合う。
「御狐・燦の狐火をもって命を貫き焼き尽くせ。苦痛なく安らかに、彼岸の向こうへと渡り給う――」
 幾百と灯り幻想的に揺らめくはただ静かに命を燃焼させ尽くす慈悲の炎。

「――どうか安らかな眠りを」

 それは同族殺しの総身を包み、悪い夢を終わらせるように骸の海へと送り還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「……、贖いか。
確かに過去に対する贖罪は必要だろう。
後悔の念もあって当然だ。
しかし、お前のそれは既に呪いだよ。」

アウローラと燃える炎を見て
「それでも止まれないって言うなら、
最期まで面倒を見てやるよ。」
暴虐の黒竜王を発動して相手のユーベルコードを相殺。
炎を消しながらもそれ以上の攻撃はせずに。

「贖罪とは名ばかりの暴走を続ける事が
これが本当にお前のしたい事なのか?
これまでもそうやって苦しんできたのなら
最期くらい自分の本当に望むものを吐き出しても
良いんじゃないか。」
言外に説得に応じなければ戦って倒すと示しながら。

戦う事になったら暴虐の黒竜王で炎を防ぎつつ
デモニックロッドから闇の魔弾を放って攻撃。



●永劫の呪いに然るべき終わりを
「……、贖いか」
 熱に浮かされるような|同族殺し《アウローラ》の言葉にフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は眉を顰めた。
 確かに過去に対する贖罪は必要だろう。後悔の念もあって当然だ。
「しかし、お前のそれは既に呪いだよ」
 怨敵たる第五の貴族が滅びて猶も燃え続ける炎を見る。
 贖罪を望む意思とは裏腹に、全てを無差別に焼き尽くさんと荒ぶる滅却の劫火。

「このまま、留まるようなら……巻き込まれても、知らないわよ」
「それで? 仮に俺が大人しく去ったとして、その後お前はどうするつもりだ?」
「………………」

 答えは無い。
 前提としてアウローラは過去の亡霊たる|オブリビオン《世界の敵》であり、ましてや同族殺しの狂気に呑まれた今は力の制御さえ儘ならない事もその姿を見れば明白だ。
 理解しているが故の沈黙であり、受け入れられないが故に彼女は未だこの世界に縛られ続けている。

「それでも止まれないって言うなら、最期まで面倒を見てやるよ」
 到底見られたものではないと嘆息し、|呪われし黒杖《デモニックロッド》を緩く揺らす。
「纏う風は黒。羽撃く翼は烈風。その身に宿すは狂乱。上げる咆哮は冥府の陣鐘――」
 呼び出した【|暴虐の黒竜王《ジェノサイドブラック》】は|異能《ユーベルコード》を喰らう。
 過去を観察する【死霊縋纏】を通じ、幾度となく|第五の貴族《コンスタンツ》を屠ろうとした炎は既に解析済みだ。
 概念をも塗り潰す滅びの魔炎であろうと無防備に溢れ出す余波を抑え込む程度、フォルクには造作も無い。

「分かっているんだろう。贖罪とは名ばかりの暴走を続ける事が……これが本当にお前のしたい事なのか?」
「名ばかりだなんて、そんな事……!」
「ならば。誰がお前の罪に赦しを与えられる?」
「っ……それ、は……」
「お前の|贖罪《暴走》には|赦し《終わり》が無い。だから呪いだと言ったんだよ」
 その後悔が生前に由来するものなら猶更だ。
 オブリビオンとなってからも恐らくは、|吸血鬼《コンスタンツ》が人質として目を付ける程度には人々を慈しんだのだろう。
 それでも満たされる事が無かったのなら……もはや今世にアウローラの得られる赦しなど在りはしない。
 彼女に必要なのは赦し|ではない《・・・・》のだとフォルクは考える。

「これまでもそうやって苦しんできたのなら、最期くらい自分の本当に望むものを吐き出しても良いんじゃないか」
「……私の、望み……」
 ローブの奥から真紅の瞳を見つめる。
 猶も受け入れられないのなら猟兵として戦い倒すだけの事。
 望んでもいいのだと、|黄泉への導《フォルク》はただ示すのみ。

「………………私は、もう……止まっても、いいのかしら」
「少し違うな。最初から、|オブリビオン《亡霊》として黄泉還ってまで囚われるような事は無かったんだ」
 漸く零れた弱音に短く返す。贖いを求めて|罪《傷》を増やすなど、本末転倒にも程がある。
 ……嗚呼、と震え声が空気を揺らした。
「そう…………なんだか私……とても……疲れて……」
「……おやすみ」
 もう出番は無いらしいと黒杖を下げ。
 風に吹かれた灯が消えるべくして消えるように、迷える魂は在るべき場所へ還る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
人質は無事に避難できたようだ
彼らの心身の傷は気掛かりだが、治療に手を貸す前にやる事がある
…仕事はまだ残っている

同族殺しは落ち着いたように見える
先制攻撃を受けるリスクを承知で対話を試みる

贖う為に死ねないと言う同族殺しの言葉に
かつて師が自分を庇って逝った後、自分の為に師を死なせたという罪の意識から生にしがみついた自身の記憶が過ぎる
…これは同情かもしれない
そう自覚していながら、戦闘は最後の手段と決めて
対話をもって還す方法を試みる

「まだ死ねない」か
何があんたを突き動かしているのか俺には分からない
しかしあんたがそこまで傷付いてでも戦ったからこそ、第五の貴族を倒し人質を解放できたという確かな事実が有る
それは『贖い』に値する働きではないのか

強化を重ねた第五の貴族と大量の配下を相手に、俺が一人で戦ったところで同じ結果が得られたとは思えない
どうにか倒せたとしても人質まで奪還出来たかどうか

そう考えればあんたの炎が彼らに齎したのは災いではなく救いだった
少なくとも、俺はそう考えている
…もう十分だろう、アウローラ



●罪と罰と、償いと赦しと
(人質は無事に避難できたようだ。彼らの心身の傷は気掛かりだが……)
 |吸血鬼《コンスタンツ》が討たれた事で人々を脅かしていた直近の危機は去った事を確かめ、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は小さく息を吐いた。
 だが、治療に手を貸す前に為すべき事がある。
(……仕事はまだ残っている)
 怨敵を滅ぼし落ち着いたように見える同族殺しだが、彼女が狂気に囚われたオブリビオンである事に変わりはない。
 だとしても……先制攻撃を受けるリスクも承知で、シキは対話を試みる事を選んだ。

「贖う為に死ねないと言ったな」
「……ええ」
 そうか、と頷く。
 過ぎったのはシキ自身の記憶。
 かつて師が自分を庇って逝った事。死ぬべきでない人を自分の為に死なせたという罪の意識。
 これは同情かもしれない。その自覚はあるが、それでも。
「……その苦しみを、識っている」
 銃を手に取る事はない。戦闘は最後の手段だと心に決める。

「何があんたを突き動かしているのか俺には分からない」
 他者の負った傷を推し量る事は出来ても完全に理解する事など出来はしない。
 分かるのはそれが同族殺しに終わりのない贖罪を強いている事だけ。
 しかし、と続ける。
「あんたがそこまで傷付いてでも戦ったからこそ、第五の貴族を倒し人質を解放できたという確かな事実が有る。……それは『贖い』に値する働きではないのか」
「………………」
「強化を重ねた第五の貴族と大量の配下を相手に、俺が一人で戦ったところで同じ結果が得られたとは思えない。どうにか倒せたとしても人質まで奪還出来たかどうか」
 じっと耳を傾ける同族殺しに言葉を重ねる。
 肯定も否定も無い。その間で揺れ動く心がシキには分かる。
 赦せないのはそれだけ悔いているからだ。その後悔を“赦せるような事”にしてしまうのが恐ろしいからだ。
 傷が痛むのは、赦されたいからだ。
 ……もしかしたら、かつて自分が欲しかった救いを重ねているのかもしれない。

 他者の立場から出来るのは背中を押すだけ。
 そして、それは自分自身には出来ない事だ。

「そう考えれば……あんたの炎が彼らに齎したのは災いではなく救いだった。少なくとも、俺はそう考えている」
 揺れる真紅の瞳を正面から見据え、静かに語りかける。
「……もう十分だろう、アウローラ」

「そう……なのかな」
 ぽつりと零れた言葉は自問自答。
 何が何でも現世に留まろうとするのなら、掛けられた言葉は否定すべきだった。
 元より迷いを抱えたままで、否定など出来る筈が無かった。
 限界など疾うに超えていたのだ。
 もう十分だろうと、受け入れてしまえば偏に妄執で維持していた存在は端から解けて消えていく。
 消えない未練や後悔、そして感謝に安堵……シキに向けた泣き笑いのような表情は様々な感情が綯い交ぜに。

「……手間を……掛けさせたわね」
「構わない」
 骸の海に還る緋炎を見届ける。
 ――赦しをありがとう。
 その声が最後に風に溶けて。

 これはある罪の、一つの結末。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー

悪いな、美人なお嬢さん。
|過去《オブリビオン》を骸の海に還すのが俺の仕事でね。

魔剣を顕現させ、己の肩を叩く。
――お嬢さん、アンタ、賭け事は好きかい?
空いた片手で金貨を弾いて、それを掴む。
掌で裏面を表にした金貨には軽く嘆息。
俺と|勝負《賭けを》しよう。瀕死のアンタを相手に剣を向けるのは些か忍びなくてね。美人なら尚更さ。
内容は|単純《シンプル》だ。
アンタの劫火を受けて立って居られれば、俺の勝ち。瀕死のアンタに取っても悪い取引じゃないだろう?

さぁ――|ShowTime《お愉しみの時間》だ。
彼女の炎を【オーラ防御】と【火炎耐性】と【激痛耐性】で耐える。
劫火の中で俺もUC。紫炎は彼女に都合のいい幻覚を見せる。
贖いが終わるように。彼女を良く知る人物が彼女を説得してくれるのを望む。
彼女が自らの意思でこの炎を消してくれるなら――蹂躙を悦び望む本能に勝ったとも言えるんじゃないだろうかね。
ああ、賭けさ。文字通りのな。けど、ま…イカれてるからな、俺は。
あんな苦しそうにしてる女の顔、見たくねぇだろ?



●Truth for you ―― 願わくば、その夢が真実であるように
「悪いな、美人なお嬢さん。|過去《オブリビオン》を骸の海に還すのが俺の仕事でね」
 告げるカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)に迷いは無く、魔剣を顕現させ肩を叩いてみせる。
 アウローラの事情や意思がどうあれ、彼女をこのままにする事はこの世界への災いとなる。
 ……恐らくは彼女自身にとっても。

「そう。……それなら……加減は出来ないわ」
 物憂げな瞳とは裏腹に禍ツ緋の渦は激しく巡り始め、炎は獲物を欲して猛りだす。
「――お嬢さん、アンタ、賭け事は好きかい?」
「賭け……?」
 張り詰めた空気が弾ける寸前、魔剣を持つのとは逆の手で金貨を弾く。
 澄んだ音を立てて宙に舞ったそれを掴み、開いた掌で表になったのは裏の面。
 幸先の良い事だと嘆息一つ、訝しむアウローラへと言葉を続ける。

「俺と|勝負《賭け》をしよう。瀕死のアンタを相手に剣を向けるのは些か忍びなくてね」
 美人なら尚更と軽口を挟み、内容は|単純《シンプル》だと笑ってみせて。
「アンタの劫火を受けて立って居られれば、俺の勝ち。アンタに取っても悪い取引じゃないだろう?」
「無謀ね。……いいわ。苦痛を感じる間も無く終わらせてあげる」
 賭けは成立した。
 呼吸を整え剣を振りかざす。あれほど制御に骨を折った炎は、ただ焼き尽くすだけならこんなにも容易く従う。

「熾天、開闢に炎在り。燦華、黎明に破壊在り。双焼、我が身に咎在りき。故に――」

 歌うように詠唱を紡げば刃を研ぎ澄ますにも似て灼熱は凪ぎ、内包する魔力だけが只管に高まっていく。
 逃げるなら。或いは先手を仕掛けるならこれが最後だと真紅の瞳が告げている気がした。
 望むところだと不敵な笑みで返す。

「――災禍の片鱗、解き放ちて破滅と為す!! 唯殲、燃え尽きろ悉くッ!!」
「ッ……!」

 発した言葉さえ燃え上がった。
 カイムとて備える時間は充分、力の全てを火炎耐性に特化させたオーラの護りは生半可な|異能《ユーベルコード》を凌駕する。
 それを。
 瀕死の状態にも関わらず……或いはそこまで弱り果てて猶も、と言うべきか。
 襲い掛かった魔炎はオーラの上からさえ臓腑を炙り骨肉を焦がす。
 防御を選んでいなければ直撃を避けても余波でさえ先の宣言通りに消し飛ばされていただろう。そうでなくとも障壁を突破され蒸発するまでに何秒の猶予があるか。
 だが、食い止めた。

「さぁ――|ShowTime《お愉しみの時間》だ」
 上等だと滅びの魔炎の只中で笑う。全てを塗り潰す緋色を切り裂き差し込んだのは紫炎の色彩。
 終わらない贖いが終わるように。
 【|万華鏡の微笑《トゥルース・フォー・ユー》】に救いを望み……それは心に働きかける夢幻の炎。
(彼女が自らの意思でこの炎を消してくれるなら――蹂躙を悦び望む本能に勝ったとも言えるんじゃないだろうかね)
 紫炎が見せるのは都合の良い幻。彼女が救いを望まないなら、或いは受け入れられなければ一巻の終わりだ。
 文字通りの賭け、正気の沙汰でないという自覚はある。それでも。
「……あんな苦しそうにしてる女の顔、見たくねぇだろ?」
 紫炎を通じて、呼びかけるように。

 ……果たして、魔炎の暴走は鎮まった。涙はもう炎に消える事無く、静かにその頬を伝い落ちる。
 見れば分かる事だ。
 例えば領民や、アウローラと生前に関わった者。彼女に救いを望んだ者が居たであろう事も……
 心の|弱い《優しい》彼女が、その望みを無碍にする等できない事も。
 救いは彼女自身の中に。
 緋の渦は巡り、聖火は全ての傷に癒しを与える。

「……ごめんなさい。それと……ありがとう」
「構わねぇさ。アンタが笑って還れるなら報酬としちゃ上出来だ」

 花の散るように緋の渦は風に溶け、|忌火《アウローラ》も陽炎のように揺らめき消える。
 冬の足音が近づく暗夜には仄かな温もりだけが残っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年10月25日


挿絵イラスト