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フルメタル・オーケストラ

#ケルベロスディバイド #黄道神ゾディアック

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#ケルベロスディバイド
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#黄道神ゾディアック


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●決戦、第三新川越市
『小剣型飛翔体、川越市上空に多数飛来!』
『甲種警報発令、|決戦配備《ポジション》の展開を急げ!』
『市民の避難完了を確認しました。対空砲、斉射開始!』
 大規模な運送拠点が立ち並ぶ倉庫街が一転し、その屋上に無数の対空砲が姿を見せる。
 苛烈な斉射が辛うじて敵の|小剣《グラディウス》を幾許か撃ち落とすも、爆発の中より現れた異形は居並ぶ倉庫を薙ぎ倒し、街を無慈悲に蹂躙し続けた。
『クソ! ケルベロスの到着はまだか!?』
 恐るべき不死の敵、デウスエクスの襲来から15年――|この世界《ケルベロスディバイド》の多くの都市は、数多の武装に身を包む『決戦都市』へと変貌した。それはこの街『第三新川越市』も同じ。
『損耗率2割を突破! このペースだと三分後には危険域です!』
 デウスエクスに唯一対抗出来るユーベルコードに覚醒した存在『ケルベロス』は、それを有する特務機関|DIVIDE《ディバイド》によって世界を守る為に戦っている。だが、宇宙より飛来する超小型の魔術物体『|小剣《グラディウス》』の確実な捕捉は未だ成せず――川越は三度の危機を迎えていた。

「ごきげんよう。早速だけど説明に入るわね」
 グレイス・リリィ(レッドウィング・f21749)は一礼して、グリモアベースに集まった猟兵達に言葉を続ける。
「戦場はケルベロスディバイド……つい先ほど繋がった新たな世界の第三新川越市って所」
 その世界は剣と魔法と兵器が飛び交う異形の現代。オブリビオンとは違う、デウスエクスと呼ばれる不死存在に脅かされている地球が戦場だ。その中で何度も滅ぼされ、その都度復興してきた|第三新川越市《決戦都市》が舞台となる。
「敵はデウスエクスの巨人が沢山。それが人々を襲いグラビティ・チェインを収奪しようとしているの」
 グラビティ・チェインとはデウスエクスの不死を支える生存エネルギー。先の戦争で聞き覚えがある言葉だが、今はその事は気にしないで、と付け加えてグレイスは話を進める。
「なので、間に合わないケルベロス達の代わりに、それを片っ端からやっつけるのが今回のお仕事よ。で」
 デウスエクスは不死だが一定のダメージを与えれば活動を停止させられる。つまりやる事はいつもと変わらない。しかも戦場である市街地の事前に市民の避難は完了しているので、思い切り暴れられる状況だ。
「巨人を粗方片付けたら、今度は指揮官の|機械兵《ダモクレス》っていうロボット兵器が出てくるわ。名前は踏破王クビアラ。奴らの中でも最も危険な相手の一人だから気を付けてね」
 |機械兵《ダモクレス》は様々な形をとるロボット兵器の種族だが、今回はキャバリア並みに巨大な人型|機械兵《ダモクレス》が相手となる。スクリーンに映された鈍色の機動兵器は、確かにグレイスの言う通り危険な力強さを感じさせた。
「それと、|決戦配備《ポジション》を利用した支援ってのが受けられるから……詳細は資料にあるわ。じゃ」
 これまでの世界と大きく違う所、この世界では恒常的に人々の支援を受ける事が出来る。それほどまでに苛烈な戦いを続けてきたのだ……ならば。ゲートを開きながら、ウインク交じりにグレイスは言葉を結んだ。
「グッドラック、今度も猟兵の恐ろしさを悪い奴らに味わわせてあげて」

 ゲートの先、第三新川越市は炎に包まれていた。その中を揺らめく影は巨大な異形――ユミルの子。
 全長5m程の巨大なデウスエクスは猟兵達を見やり、悲鳴じみた咆哮を上げる。
 それは終末を想起させる、恐るべき日常の姿だった。


ブラツ
 遅れて済まない。ブラツです。
 今回の舞台は新世界『ケルベロスディバイド』で、
 街を襲う敵を撃退する事が目的です。

 第1章は集団戦です。巨人の様な敵集団を撃滅して下さい。
 第2章はボス戦です。踏破王クビアラとの戦いです。
 第3章は日常です。この世界の人々との交流がメインです。

 また、プレイングで御指定頂ければ、|決戦配備《ポジション》というプレイングボーナスを受ける事が出来ます。
 詳しくはこちらのURL(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)より説明ページをご確認下さい。

 その他、詳細はオープニングに準じます。
 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。

 プレイング募集はシナリオ反映後即時です。
 募集期限は設けませんが、書ける範囲での対応となります。
 その為、プレイングが流れる場合がある事をあらかじめご理解ください。
 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ユミルの子』

POW   :    感染拳撃
自身の【拳】を【病魔】化して攻撃し、ダメージと【侵食】の状態異常を与える。
SPD   :    苦痛の叫び
【病毒に爛れた喉】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【恐怖】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。
WIZ   :    肉片融合
全身を【自身の肉体から千切れた肉片】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暗都・魎夜
【心情】
ここがケルベロスディバイドね
色々言われた気はするが、事情はおおむね理解した
要はあのでかいのをぶっ飛ばせばいいんだろ?

【決戦配備】
クラッシャーを希望

俺と言えばクラッシャーだからな
※『かつての戦い』当時、似たような作戦部隊があり、クラッシャーに所属することが多かった

【戦闘】
巨人の群れ、イメージ通りの怪力とタフネスはシンプルに手ごわいな
オマケに特殊能力も多彩
こいつは現地の苦労が偲ばれるぜ

「なら、こいつでどうだ!」

UCを発動して巨人の動きを鈍らせ、決戦配備による火力と自身の「斬撃波」で攻撃
反撃があれば「見切り」「武器受け」で対応

こっちのクラッシャーも頼りになるじゃねえか


ジークリット・ヴォルフガング
●POW

…番、ウェアライダーにして鎧装騎兵×刀剣士の…おっと、ついヘリポートの癖で点呼を口にしてしまったな
それだけ戦場の空気が懐かしいというのだろうが、それ以外は些か私が居た地球とは勝手が違う…か

グラビティが練られぬのなら磨き上げた剣技で応戦するまでと行きたいが、やはり退屈な宇宙船生活が長かったせいか鈍っているのは否めない
かつての感を取り戻すのを優先し、クラッシャーの|決戦配備《ポジション》を|要請《コール》
発動が完了するまでの時間稼ぎとしてグラビティに代わる|新たな力《ユーベルコード》『タクティカル・トランスフォーム』と斬霊刀で敵の攻撃を往なそう
支援が開始されればアームドフォートで反撃に出る



●放たれた矢
『|戦闘倉庫《コンバットロジ》1番と3番、敵巨人の攻撃により正面ゲート破損!』
『|決戦配備《ポジション》に支障が出るな……どうする?』
 煙が立ち上る|運送拠点《ロジスティクス》――中央指揮所の正門に群がるユミルの子が、コンクリートの壁をぐつぐつに殴り溶かす。神造兵器の侵食の拳はいとも容易く川越の護りを突破して、その魔の手が要たる指揮所に迫ろうとしたその時――。
「巨人の群れ、イメージ通りの怪力とタフネスはシンプルに手ごわいな」
 ゆらりと、揺れた空の狭間より|魔剣《滅びの業火》と共に男が現れた。
「おっと。オマケに特殊能力も多彩――こいつは現地の苦労が偲ばれるぜ」
 爆ぜたコンクリート塊を容易く躱し、男――暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は暴れる巨人を見上げて嘆息した。全く、どの世界も|相変わらず騒々しい《・・・・・・・・・》。
「なら、こいつでどうだ!」
 瞬間、魎夜が放った強靭な蜘蛛糸が溢れる巨人を絡めとる。その糸はもがけばもがく程巨人に食い込み――遂にはその自由を奪い去った。
『敵が止まった! ケルベロス、いや――』
 灯された炎は反撃の狼煙。魎夜の『土蜘蛛禁縛陣』は触れたモノの力を奪う|超常《ユーベルコード》の業。|不死存在《デウスエクス》に仇なせる埒外の業は巨人の戦意をこそぎ取り、ふらついたその首を『|蒼玄の刀《震鎧刀・月魎斬式》』で切り落とした。
「ここがケルベロスディバイドね。色々言われた気はするが、事情はおおむね理解した」
 やる事は変わらない。声を張り上げ魎夜は指揮所に名乗りを上げる。後は戦略級能力者らしく、ここから戦況をひっくり返すだけだ。
「俺は|猟兵《イエーガー》の暗都・魎夜だ。要はこのでかいのをぶっ飛ばせばいいんだろ?」
『出来るのか? だったら――』
 不意に、再び揺れた空の狭間より放たれた、苛烈な砲火が正門の瓦礫を吹き飛ばした。これでゲートは開放される――同時に、漆黒の戦闘服に身を包んだ鎧装騎兵が軽やかな足取りで戦場に降りる。
「任せろ。2番、ウェアライダーにして鎧装騎兵×刀剣士の……おっと、済まない」
 ついヘリポートの癖で点呼を口にしてしまった――ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)はスンと鼻を鳴らして、辺りを見渡し迫るユミルの子に狙いを定めた。
「分かるぜ、分かる。俺達もやっていた」
 ジークリットの様を見やり破顔する魎夜。師匠の言う通り「仲間の絆は最強の武器」なのだ――互いの心を確かめて、最善を尽くし最高の戦果を得る為の、数多の世界の戦士に通ずる戦いを共にする者達の儀式だから。
『正面ゲートの解放を確認、行けます!』
『猟兵、だったな。こっちの事情が分かっているなら――』
 ふと指揮所から通信が入る。これで|決戦配備《ポジション》に着く事が出来る――つまり、この世界の戦いはここからが本番だ。互いに顔を見合わせて、能力者と|番犬《ケルベロス》はニヤリと口元を歪ませた。
「勿論、ポジションは」
「ああ、決まっている」
 それは『かつての戦い』/『彼方の戦い』で、それぞれが使命を果たした栄光の|戦闘陣形《ポジション》。
「「|決戦配備《ポジション》はクラッシャー、よろしく頼む!!」」

『|決戦配備《ポジション》発令、|戦術行動《クラッシャー》確認。戦闘倉庫3番からストックを出します』
『一気に畳みかけろ。無人貨物車輛爆弾、全車投入!』
 ここから砲術部隊を展開するには遅すぎる――ならば、最速で最大の火力を用い彼等を支援する。指揮所の決断と同時に遠隔操作で走る無数の4tトレーラーが爆弾を満載して、並居るユミルの子らに猛然と|突撃《アタック》した。
「何と、クレイジーだな。いや」
 目の前で続々と爆発し、次々と巨人が火炙りにされる光景を見やり嘆息する魎夜。しかし自分らも長距離バスで日本全国討伐の旅を繰り広げたり、バラバラにした敵をコンクリ漬けにして封印したり――こういうのは、どの世界も似たようなモノかと苦笑する。
「ああ……だが」
 激しく立ち昇る火柱を呆然と見上げるジークリット。戦場の空気が懐かしいというのだろうか、しかしそれ以外は些か私が居た地球とは勝手が違う……やはり退屈な宇宙船生活が長かったせいか、戦の勘が鈍っているのは否めない。故に。
「悪くない!」
 己を奮わせ斬霊刀を抜き放ち、|新たな力《ユーベルコード》――『タクティカル・トランスフォーム』で加速したジークリットが地を駆ける。飛び散るユミルの子の肉片を切り伏せて、火柱に踊る影をその砲で撃ち落としながら、異界の番犬は往時の力を取り戻そうと巨人へ牙を突き立てた。
「ハハッ、こっちのクラッシャーも頼りになるじゃねえか」
 その動きに重ねる様に、魎夜の『|滅びの業火《斬撃波》』が放たれる。炎の刃が砲火と共に、ユミルの子らを火柱の中に押し込んで、やがて巨大な踊る影は炭になって消えていく。
 如何に|不死存在《デウスエクス》であろうとも、かつて世界を救った|兵《つわもの》達の前では無力――ここに、新たな世界を獲り戻す戦いが幕を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハル・エーヴィヒカイト

【心情】
似て非なる世界。似て非なる敵。
巨大な体躯を誇る相手にこちらは慣れないUC。
それならば、全力で立ち向かうまでだ。

【戦闘】
キャバリアは使用しない。
ディフェンダーを要請。
敵の叫びが来る時は障害物を収納してもらい反響を少なくしつつ耳を塞いで影響をできるだけ少なくするよう心掛ける。
叫び終わったタイミングを見計らい障壁を展開してもらい目立たないように立ち回りながらそれを足場に相手の首筋まで接近、UCで断ち切る。


オリヴィア・ローゼンタール

ユミルの子……
ジャイアントキャバリアの素体たる脳無き巨人と何か関わりが……?

白きパイロットスーツを身に纏い、鋼の超人ヘラクレスに【騎乗】
どうであろうと、人を襲うのであれば打ち倒すのみ!

決戦配備! ディフェンダーを要請!
巨大な隔壁を盾代わりに構え、吶喊!!

病魔を宿した拳を隔壁の盾で【受け流し】、がら空きの胴体へ【極鋼爆裂拳】!
毒蛇ヒュドラ、巨人ギガース、不死殺しはヘラクレスの得手とするところ
死なぬならば死ぬまで殺す、重ねて繰り出す【極鋼爆裂拳】!

並み居る敵を【怪力】【グラップル】で鎧袖一触【なぎ払い】、【蹂躙】する



●護りし者達
「似て非なる世界。似て非なる敵――」
 市街を蹂躙する眼前の脅威は、|かつての世界《・・・・・・》の唐津市で幾度となく立ち塞がった強敵。ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は内なる剣の響きに従い、じわりと距離を詰めていく。
「巨大な体躯を誇る相手にこちらは慣れない|UC《ユーベルコード》」
 その拳はコンクリートを殴り溶かし、その叫びは心すら引き裂いて――|重力鎖《グラビティ・チェイン》は変わりなくとも、己が磨いた|絶技《グラビティ》の数々が使えない。初めてヘリオンに搭乗した時以来の緊張が、ハルの心を張り詰めさせたその時。
「ユミルの子……ジャイアントキャバリアの素体たる脳無き巨人と何か関わりが……?」
 轟く爆音――人型の獅子の如き|鋼鉄の巨人《スーパーロボット》『ヘラクレス』が|紫の炎《スラスター》を噴いて彼方の空より飛来する。声の主は|操縦者《パイロット》のオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)――白きパイロットスーツを纏い、闘う聖職者は眼下の敵を改めて注視した。
「そうか、こちらの世界でも……」
「何かご存じで?」
 異世界でもその亡骸を悪用されているのか、あるいは――不意に放たれた互いの言葉はしかし、今|質《ただ》すべき事ではない。僅かの邂逅を通じ、互いの使命を改めたハルとオリヴィアは再びユミルの子へ目を向ける。
「いいや。だがやるべき事は変わらない」
 いかなる事情があろうと、あれが世界の脅威ならば、二人の使命はただ一つだから。
「……全力で立ち向かうまでだ」
「ええ! どうであろうと、人を襲うのであれば打ち倒すのみ!」
 かくして舞い降りた剣は振るわれる。これまで通り、ただ世界を護る為に。

「|決戦配備《ポジション》! ディフェンダーを要請!」
「同じくだ。勝手は違うだろうが、そういう|効果《エフェクト》なのだろう?」
『恐らく想像通りだ。|決戦配備《ポジション》発令、|戦術行動《ディフェンダー》確認!』
 即座に互いの使命を理解した二人は、さながら歴戦の古強者めいて息の合った陣形と戦術を選択した。
『了解! 周辺の|戦闘道路防壁《グレートウォール》、|倒立《リフトアップ》します!』
 指揮所の発令と共にユミルの子が闊歩する幹線道路が突如割れる――否、猟兵達とユミルの子の間で障壁となる様に、進路を確保しつつ垂直に立ち上がってユミルの子らの進撃を食い止める。
「見事です。これならば!」
 それだけでは無い。超高硬度アスファルトと|疑似重力障壁《グラビティウォール》の展開により多少のユーベルコードには耐えられる決戦都市の要たる防壁だ。立ち上がりそれらが迷宮の様に配されれば、その間隙を縫う様に舞うヘラクレスが一気呵成に距離を詰めて――。
「毒蛇ヒュドラ、巨人ギガース、不死殺しはヘラクレスの得手とするところ!」
 祝詞の様に放たれた言葉は悪しきに対する宣戦布告。|血塗れの地獄《ダークセイヴァー》より這い上がりし聖女は悪を、絶対に容赦はしない! 声に応じて拳を振ったユミルの子を防壁で躱しつつ、鋼の超人はしなやかな動きでその影より飛び出した!
「死なぬならば死ぬまで殺す! |極鋼爆裂拳《デトネーション・メタルフィスト》」
 炸裂する|超常《ユーベルコード》『|極鋼爆裂拳《デトネーション・メタルフィスト》』の衝撃がユミルの子を通じて舗装路に巨大な亀裂を刻む。その一撃は不死すらも超越する自慢の拳――爆ぜ散った肉片が空に掻き消え、ヘラクレスは次なる獲物を求めて面を上げる。
「これがキャバリアの、猟兵の力か……」
 恐るべき威力を目の当たりにしたハル――それでも|内なる鋼《キャバリア》を使うにはまだ早い――先ずはこの世界での自身の力を知らねばならない。奴が元居た世界のユミルの子と|同質ならば《・・・・・》、手の内を全て見せるのはまだ先でよいだろう。この後に控える|奴《クビアラ》も|同質ならば《・・・・・》、猶更見せつける訳にはいかないのだから。
「HQ、三秒後に私の周囲にある防壁を一時解除してくれ」
『解除ですか? しかしその方位には――』
 正面の防壁の奥にはユミルの子が一体――承知の上だ。すらりと佩いた『|境界剣"久遠"《斬霊刀》』を抜き放ち、切先を下げて意識を集中しつつ己の気配を解き放つハル。
「大丈夫だ。|こちらの《・・・・》番犬の戦いを見せてやる」
 途端、ゆっくりと倒れた防壁が舗装路に戻ると同時、ユミルの子の悲しい叫びがハルの頭上を貫いた。
「『久遠』よ、久方ぶりの仕事だ――」
 その音を真に受ければ流石のハルも身が持たないだろう。だが反響物を無くし、僅かに通過する程度であれば――電光石火、地を駆けた稲妻はユミルの子の後ろへ周り込み、その一刀は天に昇る刃となる。
「断ち斬れ、絶空斬ッ!」
 跳躍――|神殺し《グラビティ》ではない|埒外《ユーベルコード》――霊力を帯びた一太刀はそのままユミルの子の首筋を逆袈裟に切り裂いて、コールタールの様な体液が辺り一面をどす黒く染めていった。
「これが|地獄の番犬《ケルベロス》――」
 |異世界《ダークセイヴァー》の戦争で対峙した、禁獣と同じ名を持つ|決戦存在《ケルベロス》の威力を見やりオリヴィアは口元を歪める。負けてられませんね――取り囲んだユミルの子らを鎧袖一触、凄烈な剛脚で薙ぎ払い、飛び掛かった拳が再び大地ごと破裂させる。
 ここからだ。世界を獲り戻す戦いは始まったばかりなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルージュ・エリアス
出力良好、駆動系異常なし。システムチェックオールクリア、戦闘可能と判断。
戦闘システム、剣戟戦闘モード起動。
……申し訳ありません。出遅れました。ケルベロス・ルージュ、直ちに迎撃戦闘に移行します。

データ照合、敵性体ユミル。
巨大な体躯とパワーは脅威であれど、懐にさえ飛び込めば勝機はあるでしょう。突入します。
浸食を伴う格闘攻撃とのことですが、直接身体で受けなければいいだけの事。
野太刀で受け、反撃で仕留める。
あるいは、喰らう前に一気に懐に突き込みます。

ルージュよりスナイパー、長距離射撃による支援要請。
死角のフォローを頼みます。撃破は考えなくて構いません。こちらで一体ずつ数を減らすので、隙潰しを任せます。


ベルト・ラムバルド


ふふん…このベルト・ラムバルドがオブリ…じゃない…デウスエクスだっけ?
まぁどちらも容赦なく討ち倒せば事は済むという訳だ!行くぞ!パロメデス!

キャバリアを駆り出撃
空中機動で飛び回り敵群を索敵で情報収集し位置を把握
UCで加速し敵の喉を二刀の剣で切りつけ喉を潰して叫べないようにしてやる

恐怖だと!?私は騎士ベルト・ラムバルドだ!
覇気と勝者のカリスマで恐怖なんぞ吹き飛ばしてやる!

決戦配備はスナイパー!
敵の射程範囲外から長距離攻撃すれば支援部隊も安全だろう

剣で喉を潰しサークランサーの荷電粒子ビームで頭を撃ち抜いて一匹ずつぷちぷち潰してやる!

しかし…ユミルの子っていうのか?あの群れ…脳無き巨人と同じ名だ…



●覚醒
 |反応炉《マシンハート》に火が灯り、目覚めた|電脳《ブレイン》が伝達系に|火花《スパーク》を走らせる。

 Loading......|機械言語《マシンランゲージ》から日本語へ変更
 システムチェック開始
 ジェネレータ出力:良好
 駆動系:異常なし
 火器管制系統:接続確認
 骨格重量許容値:規定範囲
 地形情報:同期完了
 躯体冷却システム:正常
 IFF認証:完了
 グラビティ・チェイン残存量:99%
 システムチェック......オールクリア
 戦闘可能と判断

「戦闘システム、剣戟戦闘モード起動」
 そしてルージュ・エリアス(Red ram・f40859)は真紅の|瞳《カメラ》を滾らせて、巨大な『野太刀』を担いで戦場に舞い降りた。戦闘は既に開始されている――早く合流し、戦線を押し上げねば。
「……申し訳ありません。出遅れました」
『来てくれたか、ケルベロス!』
 指揮所から歓声が上がる――彼女こそ|この世界《・・・・》の|決戦存在《ケルベロス》。ルージュは瞳が捉えた巨大な影を即座に分析し、白い髪を振り乱して巨大な野太刀を抜き放った。
「ケルベロス・ルージュ、直ちに迎撃戦闘に移行します」
 宣言と共に駆けだしたルージュが、八相の構えより強烈な打ち込みを喰らわせる/同時に振るわれた巨人の侵食の拳を辛うじて野太刀で受け止めて、その衝撃で『|Ely型人工筋肉《アブソーバー》』が悲鳴を上げた。やはり|躊躇してる暇など無い相手だ《・・・・・・・・・・・・・》。即座に|電脳《ライブラリ》が敵の|能力《ステータス》を照合する――。
「データ照合、敵性体ユミルの子」
「ユミルの子っていうのか? あの群れ……」
 不意に耳をつんざく爆音と男の声がルージュの|耳《センサ》に入る。それは『|パロメデス《クロムキャバリア》』の空中機動――搭乗するベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)は眼下の巨人の群れを見やり、聞き馴染みのある言葉を訝しんだ。
「肯定。|標的《ターゲット》は全てユミルの子です」
「じゃあ|脳無き巨人《ジャイアントキャバリア》と同じ名だ……」
 |異世界《クロムキャバリア》で稀によく見るあれらの由来がこの世界に――いや、今その事を追及している場合ではない。スロットルを開き加速したパロメデスが白い尾を引いて、高空より眼下の戦場を把握する。
「ふふん……このベルト・ラムバルドがオブリ……じゃない……デウスエクスだっけ?」
 名前が違うだけだが何かしっくりこない……以上。後は仕事の時間だ。『|メタトロン《天使核動力》』が唸りを上げて、|実剣と光剣《カリブルヌスソード&ビームセイバー》を抜き放ち急降下!
「まぁどちらも容赦なく討ち倒せば事は済むという訳だ!」
「支援感謝します、|猟兵《イエーガー》」
 グン、と勢いよく加速したパロメデスは地表スレスレでユミルの子の喉元を掻っ捌く。噴き出したどす黒い体液が噴水の様な飛沫を上げて、接地と同時に跳躍したパロメデスは次の獲物に飛び掛かり――。
「あの、支援――」
「行くぞ! パロメデス!」
 己が戦いに集中するベルトに声は届かない。|間《タイミング》が悪かった――矢張り|口下手の訓練《チューニング》が必要か、と思案しながら、ルージュは極めて冷静に|決戦配備《ポジション》の選定を進める/同時に、飛び掛かったパロメデスの四方よりユミルの子の叫びが届く。心を揺さぶる恐るべき声はされど、ベルトの心をより熱く奮わせた。
「恐怖だと!? 私は騎士ベルト・ラムバルドだ!」
「|決戦配備《ポジション》、スナイパーを申請」
『了解! |決戦配備《ポジション》、|時の鐘を鳴らせ《スナイパー》!』
 |カリスマが放つ輝く覇気《ハイパーカリスマオーラ》が恐怖の叫びを押し返すと共に、ルージュの要請を受けた決戦都市が彼方に巨大な砲を聳え立たせた。まるで巨大な鐘楼――第三新川越市全域をカバーする超長距離砲撃システム『時空凍結鐘楼砲』から、鐘の音と共に空を裂く光条が放たれる!
「死角のフォローを頼みます。撃破は考えなくて構いません。後はこちらで処理します」
 光条に貫かれたユミルの子が彫像の様に動きを止める――|グラビティ・チェイン《オラトリオのユーベルコード》のちょっとした応用だ。即座に野太刀を担いだルージュが一気に懐へ駆け込んで一閃。真一文字に両断された巨人が塵に還ると共に、戦場の奥へとルージュが進む。
「なんだこれ……同じのをもう一つ!」
 今と同じ、敵の射程範囲外から長距離攻撃すれば支援部隊も安全だろう。ベルトの要請を受け鐘楼砲が再び光を放つ。続々と停止するユミルの子を見やり、再び飛翔したパロメデスが高空より『|サークランサー《荷電粒子砲》』で正確にその頭を撃ち抜いていった。
「やるな、ケルベロス」
「……そちらも」
 互いに僅かな言葉を交わし、二人は再び戦線へ――これ以上は、思いは態度で示せばよい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
点呼に、ポジションの宣言……初めて見るのに懐かしい気がするのは何故なのでしょう?
と、考えに浸ってる場合ではありませんね。行きましょうか、精霊さん達。

決戦配備はジャマーを要請
支援内容は敵本体や肉片に向けて重油をぶち撒けてもらいます(手段はお任せ)
わたし自身はステラに乗って出撃し、上空から【本気の炎の精霊さん】発動
総数1360本の炎の槍で以て敵群を爆撃、焼却します
撒いてもらった重油は引火こそしにくいですが、高粘度でべったりとくっついて取れません
つまりぶっかけた後一度燃やしてしまえばかなり消えにくいので、効率良く火葬できますね
肉片もくっつくより先に燃やしちゃいます

近づくなら皆、灰にして差し上げます!


エドゥアルト・ルーデル


なんか拙者も記憶が戻った気がするでござる
まあなんか元いた世界と違うがこの程度の戦いは川越ではよくあることでござるが

じゃあ拙者ジャマーね!戦闘ヘリあるでござろう?アレで拙者乗せて戦場の真上飛んでよ降下すっから
さて降下前に一発【流体金属】でもキメておこうか!うんうん|流体金属《オウガメタル》君もこの世界に仲間が影も形もなくてお怒りでござるね

上空からこんにちは!よくぞ来た!褒美に死をやろう!
何が病魔の浸食だ!金属が病気になる訳ないだろ!ふざけた顔しやがって!ムカつくんだよ!
相手の拳を砕くようなマジモンの鉄拳制裁でござる!死ねぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!

目くるめく暴力も川越ではよくある事でござる



●炎のにおい染みついて
「点呼に、ポジションの宣言……初めて見るのに懐かしい気がするのは何故なのでしょう?」
「なんか拙者も記憶が戻った気がするでござる」
 新世界に感じた|既視感《デジャブ》――それはきっと遥かより続く戦いの記憶がそう思わせたのだろう。だが考えに浸ってる場合ではない。行きましょうか精霊さん達――言葉と共に、ひかるは自身が搭乗する妖精めいた|機動兵器《オブリビオンマシン》『ステラ』を加速させる。
「まあなんか|元いた世界《ケルベロスブレイド》と違うが、この程度の戦いは川越ではよくあることでござるが」
「そうなんですか?」
 エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)の言葉に荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)は小首をかしげた。あれこの人大分前からいたけれど……それにどうして川越に詳しいのだろう。まあいいか。
「……然り」
『風評被害だ!』
 指揮所の怒号を聞き流し、エドゥアルトは両腕をブンブン振り回して早速|決戦配備《ポジション》を要請した。余りにも慣れた振る舞いに指揮所は訝しんだが、その懸念はやがて現実となる。
「じゃあ|拙者《ポジション》ジャマーね! |戦闘ヘリ《ヘリオン》あるでござろう? アレで拙者乗せて戦場の真上飛んでよ降下すっから」
『ヘリ……オン?』
『お前は何を言っているんだ』
『ヘリなら、まあ……』
 猟兵はヘリを所望らしい。だが今一つ話が嚙み合わない。何となく消極的な返答を受けて、エドゥアルトは柄にもなくしょぼんとする。
「無い、の。そう……じゃあ|戦闘ヘリ《普通のヤツ》で」
「大丈夫ですか? あ、私もジャマーでお願いします! 爆装の代わりに重油満タンで!」
 ひかるは『ステラ』で既に戦場の上空で待機している。エドゥアルトも直ちに戦闘ヘリに搭乗し、重油を満載した黒い鋼が爆音と共にステラの真横へやってきた。これですべての準備は整った。後は――。
「……さて降下前に一発|キメ《流体金属》ておこうか!」
 ぬらり、と|流体金属《Spitfire》がエドゥアルトの全身に纏わりつき、滑らかな鋼が五体を包む。このまま久方ぶりの|直接空挺降下《ダイレクトアタック》――昔取った杵柄が伊達では無い事を示してやろう。
「うんうん。|流体金属《オウガメタル》君もこの世界に仲間が影も形もなくてお怒りでござるね」
 刺々しい紫電を纏った|金属融合体《エドゥアルト》が流体金属の気持ちを代弁する。|昆虫《ローカスト》もいないこんな世の中じゃ、折角の平行世界なのに浮かばれないよ。だから。
「上空からこんにちは! よくぞ来た! 褒美に死をやろう!」
「ついでに重油もブチまけて下さい! 盛大に!」
『ええ……』
 |降下開始《リリース》! |地獄の番犬《元ケルベロス》らしく空から盛大に飛び掛かったエドゥアルトは、ユミルの子の拳を受けながら返す拳をその頭に叩き付けた。同時にぶちまけられた重油が戦場を真っ黒に染め上げて、事態は予想もしない方向へと急展開する。
「何が病魔の浸食だ! 金属が病気になる訳ないだろ!」
「重油は引火こそしにくいですが、高粘度でべったりとくっついて取れません」
 流体金属で侵食と衝撃を防ぎ、強化された反射と思考でユミルの子自体を足場に跳躍するエドゥアルト――続々と迫るそれらを踏みつけながら、エドゥアルトは珍しく一方的に殴り始めた。そして着々とばら撒かれる重油を見やり、ひかるはにっこりと微笑んだ。
「ふざけた顔しやがって! ムカつくんだよ!」
「つまりぶっかけた後一度燃やしてしまえばかなり消えにくいので、効率良く火葬できますね」
『成程』
 今までにない位怒り狂ったエドゥアルトは止まらない。ユミルの子と一緒に浴びた重油でどす黒く染まった男は、正しく|鋼の鬼《オウガメタル》――そして、消毒の時が来た。
「さあ焼き尽くしてしまいましょう、炎の精霊さん!」
「ちょっと待、拙者――汚物じゃない……!!!!」
 ひかるの狙いは言葉通り、燃え残りやすい重油に自らの|超常《ユーベルコード》『|本気の炎の精霊さん《フレイム・エレメンタル・オーバードライブ》』で1360本の炎の槍を放ち、戦場を灼熱地獄へ変える事!
「熱い! 何が! 病魔の! 侵食だ!」
 つまり如何にユミルの子が再生し続けようと、終わりなき灼熱がその肉体を蝕み続けるのだ。つまり死ぬ。エドゥアルトも、このままだと死んじゃう。
「まだだ! 金属が! 病気に! なる訳! ないだろ!」
 ――|流体金属《オウガメタル》が無ければ即死だったかも。それでも、炎を纏った鋼の鬼は更に威力を増してユミルの子らへ飛び掛かる。この野郎は唐津と横浜と|魔導神殿《何か凄い要塞》で散々邪魔しやがったからなぁ! 知らんけど!
「ふざけた顔しやがって! ムカつくんだよ! 熱ぅい!!」
「まさに世紀末ですね」
 炎の海を泳ぐ鋼の鬼は止まらない。殴る、殴る、時々蹴る――焼け爛れ崩れ落ちたユミルの子を踏みつけ、常人ならば呼吸も出来ない灼熱はやがて、|不死存在《デウスエクス》すら凌駕する地獄を川越に叩き付けたのだ。
「近づくなら皆、灰にして差し上げます!」
「死ねぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!」
 焼け焦げた大地に残る者は|鋼の鬼《エドゥアルト》と|妖精《ステラ》だけ――圧倒的な猟兵の戦いに、川越指揮所はただ戦慄するのみ。
「目くるめく暴力も川越ではよくある事でござる」
「そうですね」
『風評被害だ!』
 そう、彼らの戦いの中では|よくある事《・・・・・》だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント

鎧装騎兵イクシア。これより戦闘に参加する。
防衛隊に短く通信を入れたら、各部を翡翠色に発光させながら[推力移動、滑空]で飛翔して敵に接近、大型フォースブレイドで[空中戦、鎧攻撃無視、なぎ払い]。白兵剣戟士らしく[存在感、おびき寄せ、陽動]で敵視を集め、[空中機動、武器受け]で敵の攻撃を凌ぐ。
敵が【苦痛の叫び】を使い始めたら、光の翼を展開して【ウイング・オブ・フリーダム】。
恐れることはない。ここには私たちがいる。

決戦配備:スナイパーを要請。連携して敵を叩く。


朱鷺透・小枝子

デウスエクスが最優先破壊対象。
ただそれだけ。

決戦配備:スナイパー

故に、やる事は変わらない!!

亡国の主操縦
『覩剣所甲式』メガスラスター【推力移動】
【闘争心】で恐怖を殺し、
苦痛の叫びを発し出したユミルの子の喉元を竜骨爪で掴み黙らせ、
【怪力】で強引に地に叩きつけへし折り壊す!

唯只管に!壊せ!!!

【瞬間思考力】来る敵集団を認識、
【早業】拳を避け五体と放射旋棍で叩きのめし、火炎放射とブレスでなぎ払い、
敵が集まってきたら叫びの外から長距離ミサイルを攻撃要請。

来い病人共!此処にまだ健常なのがいるぞ!!

【念動力】虚空から無数の騎兵刀を放ち、
敵を刺し縫い止め高速飛翔で離脱。長距離ミサイルで敵を纏めて【焼却】


チェスカー・アーマライト

いつも通りどころか、手厚い支援まであるとあっちゃ上げ膳に据え膳だな
おまけに支払いも良いと来た
まったく、腕がなる戦場だぜ
さて、ありがたく稼がしてもらうとするか!

ビッグタイガー、スタンディングモード
両腕のガトリングは引き金引きっぱなし
主砲も出し惜しみ無しだ
敵が射線に入った端からブッ放す
後ろに下がりながら撃ち続けて、こっちに有利な距離を保つぜ
ビッグタイガーは耐久面にも自信ありだが
侵食となると、あんま食らいたか無ぇな
弾幕で広く制圧して、なるべく近寄らせねーようにしたい所だ

決戦配備はスナイパーを要請する
こっちは引き撃ちしながら動き回って、なるべくそっちの射線に留まらせる
あとは良い感じに削ってってくれ



●Dead End Shoot
 焼け焦げた大地を踏みしめて巨大な戦車――『ビッグタイガー』が履帯の音を響かせる。そのコクピットからチェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)は戦場をじとりと見据え、彼方から押し寄せる無数のユミルの子に睨みを利かせた。これまた大盛況って奴だ――だが。
「いつも通りどころか、手厚い支援まであるとあっちゃ上げ膳に据え膳だな」
 |この世界《ケルベロスディバイド》ではそれが普通なのだという。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》に狙われる|我が故郷《クロムキャバリア》とは偉い違いだ。それに。
「おまけに支払いも良いと来た――まったく、腕がなる戦場だぜ」
 これで戦が尽きぬとなれば楽園じゃあないか――嘯くチェスカーの耳に友軍接近のアラートが鳴る。
「デウスエクスが最優先破壊対象。ただそれだけ」
「恐れることはない。ここには私たちがいる」
 一人は『|亡国の主《ジャイアントキャバリア》』を駆る朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)、もう一人はレプリカントのイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)――共に|同郷《クロムキャバリア》の猟兵達、頼もしい限りだ。これだけ揃えばユミルの子だろうが何だろうが恐れる事は無い。
「故に、やる事は変わらない!!」
「さて、ありがたく稼がしてもらうとするか!」
「鎧装騎兵イクシア。これより戦闘に参加する」
 |全機戦闘開始《さぁ、パーティーしようぜ》! 先に戦場へ躍り出たイクシアが全身に翡翠色の輝きを纏い飛翔――抜いた|決戦武装《フォースブレイド》でユミルの子に飛び掛かり首筋を一閃。同時に、その後ろから加速したチェスカーのビッグタイガーが|変形《スタンディング》し、人型に転じた両腕のガトリング砲が苛烈な斉射を浴びせ続ける。更にその上を跳び越えて、小枝子の亡国の主が『|覩剣所甲式《エグリプランタ》』――解き放った|超常《ユーベルコード》と共に超音速で空に昇り、苦痛の叫びを|爆音《メガスラスター》と闘争心で掻き消して急降下、その『|竜骨爪《ガントレット》』でユミルの子の喉元を掴み黙らせ、怪力で舗装路に叩き付けて首をへし折る。あまりにも圧倒的な三人の立ち回り――されど敵は多い。ならば、ここからは|この世界の力を見せて貰おう《・・・・・・・・・・・・・》。
「|決戦配備《ポジション》はスナイパーを要請する」
「同じく。連携して敵を叩く」
 チェスカーとイクシアが共に伝える。こちらの攻撃力は十分だが如何せん射程が足りない。だからこそ、それをカバー出来ればこの戦場を制圧出来る。猟兵達の緊密な連携に合わせて、決戦都市の火力が合わされば全てが解決するからだ。
『|決戦配備《ポジション》発令、|戦術行動《スナイパー》確認』
『鐘楼砲はチャージに時間が掛かる。直ちに川越工業団地を戦闘形態へ!』
 先の戦いで使用した時空凍結鐘楼砲は消耗が激しく何度も連射が出来ない。代わりに用意されたのは川越工業団地そのものを利用した全自動生産・迎撃システム――指揮所の指令に従い、高々と聳え立つ工場の煙突が一つ、また一つと戦場に向けて折れ曲がる。
「今が勝機! こちらにも頼む!」
『了解、連装煙突ミサイル、全基発射!』
 途端、傾いた煙突から凄まじい煙が噴き出ると共に、無数のミサイルが戦場に飛来した。大小様々な長距離ミサイルはユミルの子の頭上へ辿り着くと、一斉に垂直上昇/反転し、加速と共に膨大な火力となって戦場に叩き込まれる。飽和攻撃はやがて、無数のユミルの子らを再び火の海の中に包み込んだ。
「こいつはゴキゲンな|援護《デリバリー》じゃねえか。だったらこっちも!」
 炎に包まれ膝を突いたユミルの子に、ビッグタイガーが誇る『|コンプレッサー《主砲》』の洗礼が浴びせられる。それだけでは無い。『|カンナ《ガトリング》』『|電動ノコギリ《パルスマシンガン》』『|パジョンカ《バトルライフル》』――ビッグタイガーの全身を包む武装の数々が一斉に火を噴いて、射線上で|蹲《うずくま》るユミルの子らが続々と地に伏せていった。圧倒的な火力があれば回復は追い付かないという先の戦いの教訓通り、チェスカーは徹底して攻撃の手を緩めない。
「来い病人共! 此処にまだ健常なのがいるぞ!!」
 続く小枝子の亡国の主――|ユミルの子と似て非なる者《ジャイアントキャバリア》がスラスターを吹かして空を駆け、ミサイルの連弾に乗じユミルの子の頭上より『覩剣所甲式』の無数の刃の雨を降らす。逃がしはしない、唯只管に! 壊す!!! その脚を降り注ぐ騎兵刀に貫かれ、動きが止まった巨人達は続々と炎の中に沈んでいく。それでも逃げるユミルの子は亡国の主の|怨嗟の炎《フレイムランチャー》が薙ぎ払い、手にした巨大な|無敵斬艦刀《フォースサーベル》で容赦無く叩き潰される。
「|状況更新《アップデート》――鎧装騎兵イクシア、交戦を再開する」
 そしてイクシアの『ウイング・オブ・フリーダム』――光の翼が風を裂いて空を舞う。爆発と炎上から逃れんと後退した眼下のユミルの子らの前に出て、分離した『|エクスターミネイター《アームドフォート》』の連撃が彼奴等の退路を塞ぐ。それでも、と足搔くユミルの子の苦痛の叫びが己を蝕もうとも、核たる『論理的思考制御回路』は一切惑う事無くイクシアは敵を見据える。もう奴らに後は無い――|決戦武装《フォースブレイド》の輝きがユミルの子らの間を縫う様に煌いて、圧倒的な体格差をものともせずに斬り伏せた。
「こっから先はなるべく近寄らせねーようにしたいな。所で――」
 指揮所周辺のユミルの子は粗方片付けられた。だが市街地の方へ向かった一群は未だ残っている。放っておけば二次被害は免れないと、チェスカーは指揮所に問い掛けた。
「で、だ。|ボーナス《残業代》とかはあるのかい?」
『無論だ。人々の生命には代えられないからな……やれるのか?』
 だってよ、と仲間に返すチェスカー。この世界でしか使えないお金だろうが、貰えるものは貰っておく。何よりも純粋に自らの力のみを純粋に信頼され信用されるというのは新鮮で、悪くない。
「ここで日和ったりはしねーよなァ!?」
「敵はまだいる。ならば! やる事は一つ!」
「状況継続中、攻撃対象を選択してください」
 上等だ――流石は|同胞《クロムの民》。アクセルを踏み込み/意識を集中し/翡翠の輝きを放ちながら、鋼鉄の兵達は足を速める。ここから先は猟兵らしく、追い込み猟の時間だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧崎・天音
●(できればケルベロスブレイドでの記憶の描写が多いといいです。)
ユミルの子…この世界は似ているけど違うんだね。
唐津市のあの敵とは違う…
助けを求める人がいるなら、私も戦う…
ケルベロスとして…!

【戦闘】
ポジションはクラッシャーでいく。
ユミルの子に対してはユーベルコードを用いた素早い攻撃と
足止めのための部位破壊の連続攻撃を行う。
クラッシャーの発動のために時間稼ぎを優先する。
戦いの感覚はあれから2年経っても覚えてるみたい…
レプリカントとして、覚えている限りの自分の戦い方をする。


バロメリアン・マルゴール

目的:この世界の世界的塹壕…決戦都市のコトを学ぶ

この決戦都市は面白いな
運用ノウハウを学べば獣人戦線でも活かす手もあるかもしれない
言い方は悪いが、恩を売って学ばせてもらうとしよう

さ、ゲリラライブの…おっと、申請が必要なのかい?
では、キャスターで
反響を防ぐために広く平らな戦場を用意してもらおう
(決戦配備の準備シークエンスをメモし学びながら

さ、そちらの闇の|歌声《さけび》とオレの光の歌
どちらがより良い歌か、勝負と行こうか

数の利にはこちらも手数で対抗しよう
恐怖で体がこわばっても、心震わす光音符を自分や仲間に当ててでも情熱を燃やし
途切れさせずに歌い続けるぜ

塹壕のない広々とした戦場もたまには悪くないね



●リフレイン
 焦げ臭い大気を嗅いで、霧崎・天音(異世界のラストドラゴンスレイヤー・f40814)は未だうろつく巨人を見やり思いを馳せる。
「ユミルの子……この世界は似ているけど違うんだね」
 それは|元の世界《ケルベロスブレイド》の記憶。忌まわしき所業で生み出された禁断の生体兵器。
「唐津市のあの敵とは違う……」
 唐津だけではない。|南関東の決戦《リザレクト・ジェネシス》の横浜港、エインヘリアル追撃戦の双児宮、魔空回廊から溢れ出たユミルの子達は、幾度となく対峙した強敵だった。
「もしかしたら、スルトも……」
 かつて対峙した悲しき巨人、母なるユミルの別の子も、もしかしたら|同じ様に《・・・・》――既にカンギが現れたという話も聞いている。だとしたら、もう一度止めてやらねばなるまい。
「助けを求める人がいるなら、私も戦う……」
 だが、まずはこの街だ。
 目の前の歪められたであろう生に、正しき終わりを齎さなければ。|地獄の番犬《ケルベロス》として……!

「この決戦都市は面白いな。運用ノウハウを学べば獣人戦線でも活かす手もあるかもしれない」
 一方、高所より戦場を見下ろすバロメリアン・マルゴール(戦場の光・f39933)は、|故郷《獣人戦線》と同じ様な境遇ながら、圧倒的に洗練された決戦都市を見やり独り言ちる。
「各戦術に対応した仕掛けを予め用意するとコストが厳しいか。それでも――」
 塹壕の壁に敵を始末する罠を仕込み、誘い込めるよう形状を工夫するとか? もしくは塹壕そのものに都市機能を持たせる……いや冗談じゃあない。これ以上考えるのは後にしよう。今は仕事が先だ。
「さ、|ゲリラライブ《ポジション》の……おっと、申請が必要なのかい?」
 言い方は悪いが、恩を売って学ばせてもらうとしよう。手順に従えば何だって用意してくれる筈――支給された通信機に言葉を続け、バロメリアンは彼方を見下ろした。
「では、キャスターで。反響を防ぐために広く平らな戦場を用意出来るかい?」
 柔らかな声音で要望を伝えるバロメリアン。本当ならば戦場では無い、ライブ会場の方が良かったが――今は戦闘中で自分は猟兵だ。
『――お待たせしました。|決戦配備《ポジション》、|戦術舞台《キャスター》の設営完了。現地へお連れします』
「もう出来たのか。早いね」
『ステージは一般使用も出来ますから。稼働が多い分展開も迅速ですよ』
 言うより早く送迎のヘリがバロメリアンの頭上に現れる。一般使用されている設備と共用とは、確かにステージならばそう言った使い方も出来る。共用部分を増やす事によるリスクもあるだろうが、総力戦ならばこういった運用は有効かもしれない。メモを走り書きしてバロメリアンはヘリに乗り込み、微笑んで言葉を結んだ。
「じゃあ行こう。これ以上|観客《オーディエンス》を待たせられないだろう」

 戦場に辿り着いた天音は残るユミルの子の群れを見やり、両腕のパイルバンカーに火薬を装填する。姉の氷と己の炎、相克する破壊の鉄杭は冷気と蒸気を吹き上げて、慟哭する巨人を穿たんと鈍い光を放っていた。
「|決戦配備《ポジション》はクラッシャー、出せるか?」
『遠隔兵装の次発はセッティングに時間が掛かります。通常兵装なら少し早めに……』
 十分だ。かつての戦いも最初は手厚い支援など無かったのだから。己が身一つで死地に飛び込み、何度も何度も生命を賭けて戦った。やるべき事は変わらない――何を恐れる必要があろうか。
「了解した。ケルベロス、霧崎・天音――戦闘を開始する!」
 電脳を走る火花が|機関《エンジン》を熱くして、駆け出した天音は地を蹴ってユミルの子に飛び掛かる。相手は巨大だ。そこで更に足止めを掛けて動きを封じ、必殺の足刀で首を落とす――レプリカントとして、覚えている限りの自分の戦い方をするだけだ。
「悪いけど、堕ちて貰う!」
 会敵――頭上を狙うと見せかけて、鉄骨の様に分厚い脚に鉄杭を打ち付ける。氷結の一打が片脚を砕き、もう一方を炎熱で焼き抉る/そのまま両腕を支点に宙返り、炎を纏った強靭な脚部が刃となって、剥き出しの肩口に斬りかかる――!
「噛み裂け…地獄の刃…!」
 |神殺し《グラビティ》では無くとも威力は変わらない。その一閃――|超常《ユーベルコード》の『獄炎斬華』がユミルの子をどす黒い噴水へと変貌せしめ、反動で着地した天音は更なる敵を見据え腕を構える。
「それにしても数が多い……」
「遅れてすまない、ここから先は任せて貰おう!」
 途端、煌びやかな光を放つ無数のドローンが戦場を埋め尽くす。同時に響き渡る勇壮なメロディがユミルの子らの慟哭を掻き消して、光は|力ある塊《アーティストフォース》と化して巨人の群れに炸裂した。
「m'aider er er……」
 数の利にはこちらも手数で対抗しよう。バロメリアンの『ユーベルコード』は超常の歌声。装着した『|星《無線式マイク》』が威力を増幅し、中継・拡散するドローンがその音を戦場に響かせる。
(さ、そちらの闇の|歌声《さけび》とオレの光の歌――どちらがより良い歌か、勝負と行こうか)
 バロメリアンが立つ|舞台《ステージ》、ショッピングモールの立体駐車場の屋上に多様な音響機器が設置され、音に合わせてドローンが自動生成された映像と共にユミルの子らを制圧していく。
「――塹壕のない広々とした戦場もたまには悪くないね。ではアンコールと行こうか」
『|砲撃部隊《クラッシャー》準備完了、諸元共有確認、撃ち方初め!』
 再び、バロメリアンの|旋律《カノン》に合わせて|砲撃《カノン》が間断無く放たれる。恐怖などするものか、心震わす光の歌に合わさって、遂にユミルの子達は追い詰められた。
「……させない」
 戦線を離脱しようと駆け出したユミルの子に天音の『螺旋手裏剣』が放たれる。僅か、足を止めた暇に殺到する暴力的な火砲が巨人を飲み込んで――やがて、消えた。
「戦いの感覚はあれから2年経っても覚えてるみたい……」
 排莢し空を見上げる天音。ああ、この青い空を再び守る日が来るなんて。
「悲しいけど、それが戦士の性って奴かね」
 拾った天音のつぶやきにバロメリアンが言葉を溢す。守って見せるさ、それが猟兵の|運命《さだめ》だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『踏破王クビアラ』

POW   :    魔障弾撃
【胸元のコアから拡散光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    魔障核拡散光線
【胸元のコアから拡散光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    魔障バリアー
【両拳】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【電磁バリアー】で必ず防御し、【拳または内蔵兵器】で反撃できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その名は踏破王
『敵性体ユミルの子、制圧完了』
『戦闘市街地の損耗率33%、まだギリギリ戦えます』
 第三新川越市は辛くもユミルの子の群れを退けた。しかし戦いはこれで終わりではない。煙が吹き上がる市街地に残された爪痕は未だ深く、更にこの街へ牙を突き立てようと迫る悪意が一つ、あると言う。
『でなければ困る。猟兵の話通りなら――』
『来ました、新手の小剣型飛翔体が急接近!』
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』が待望した|予知能力《・・・・》――それが示す未来が現実となる。|逸《はや》る気持ちを抑え、指揮官は即座に迎撃指令を総員に告げた。
『残存戦力で撃ち落とせ! 少しでも時間を稼ぐんだ!』
 次の|決戦配備《ポジション》の為に、|更に戦う者達《イエーガーとケルベロス》の為に、この街はまだ堕ちる訳にはいかないのだ。炸裂する対空火器が飛翔体を撃墜――途端、爆発と共に鈍色の巨大な塊が大地を大きく揺らした。
『性懲リモナク、マダ抗ウカ、ケルベロス』
『識別コード『踏破王クビアラ』……本当に出てくるとは』
 鈍色の|機械巨兵《ダモクレス》『踏破王クビアラ』は周囲をじろりと見渡すと、見知らぬ敵意にカメラアイを妖しく光らせる。これが『黄道神ゾディアック』の言う新たな脅威という奴か。
『カカカ……イヤ、ケルベロスダケデハ無イ』
 まるで値踏みする様にセンサを明滅させて、クビアラは満足げに首是する。自身がこの戦場に派遣された真の理由――それは。
『『魔障』機構作動、情報解析ヲ開始スル――』
 このクビアラこそ、長き歴史を戦い抜いた最古参の|機械兵《ダモクレス》の指揮官の一人。収集した戦闘データの分析によって、味方の力を引き上げる恐るべき古強者。
『サアイエーガーヨ、貴様ラノ弱点ヲ見セルガイイ……!!』
イクシア・レイブラント
●決戦配備:スナイパー

デウスエクス。その実力、見せてもらう。
各部を翡翠色に発光させながら[推力移動、滑空]で飛翔して接近、シールドビットを展開して敵のパンチを[盾受け]、【空中機動、武器受け]で敵の攻撃の直撃を避けつつ、大型フォースブレイドで敵の装甲を攻撃。この戦闘結果を[撮影、情報収集、情報解析、情報伝達]して仲間と共有する。
敵の最大射程は数百m程度。長距離からの攻撃を推奨する。

【魔障弾撃】に対しては、再びシールドビットを構えて【シールドバリア】。仲間を護りつつ、今後は装甲の隙間なども狙って[空中戦、鎧無視攻撃、なぎ払い]。前衛に留まり積極的に戦う。

みんな無事ね? このまま押し返すよ。


オリヴィア・ローゼンタール

見てくれは剛腕なパワー型のようだが……その実、情報収集に長けた指揮官か

まずはおさらいだ!
ヘラクレスの鉄拳を叩き込む!(怪力・グラップル)
すでに見せた技、そして真正面なら電磁バリアで防がれ、反撃の――

決戦配備! ジャマー!
戦闘ヘリや戦車による一斉射!
これ見よがしの無謀な攻撃(存在感)は、バリアでカバーできない側面への警戒を怠らせるため
【体勢を崩した】ところへ煙幕弾で視界を奪い、その隙にスーパーロボットらしからぬ身のこなし(功夫)でビルの上へ

【巨神射殺す星辰の強弓】を召喚
全攻撃を必ず防ぐ貴様の電磁バリア、あらゆる防御を打ち砕く我が強弓
矛盾の検証と洒落込もうか
【鎧砕き】【こじ開け】【貫通攻撃】!



●運命の矢
『カカカ……見慣レヌ|奴《タイプ》ダナ』
「デウスエクス。その実力、見せてもらう」
 イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は直ちに戦場へ急行しクビアラと対峙した。奴は情報解析と言った――つまり長期戦は得策では無い。破壊の爪痕が残る街を駆け抜けて、イクシアは翡翠色の輝きを纏い加速する。その手には|決戦武装《フォースブレイド》、そして配下のシールドビット全基を展開し、さながら暴力の嵐と化して巨大な鈍色にぶつかった。
『ソウカ、コレガ|猟兵《イエーガー》――』
 イクシアの進路を遮る様に赤黒い光条を放つクビアラ。その光を受けたシールドビットが辛うじてその威を遮り、間断無く放たれる光条の隙間を縫う様に突撃するイクシア。瞬間、巨大な拳と切先が交差して、衝撃が数多の瓦礫を撒き散らす。
『ダガ、遅イナ』
「――|決戦配備《ポジション》、スナイパーを要請」
 やはり、パワーでぶつかって押し切れる相手では無い。即座に|決戦配備《ポジション》を要請し後退、再びシールドビットを集結させて『魔障弾撃』の猛攻を凌ぐイクシア。攻撃対象が見えなければこれで被害は抑えられる――筈だった。
『了解。|決戦配備《ポジション》、|直接砲撃支援《スナイパー》――川越武装列車砲、配置完了!』
『目標、踏破王クビアラ――全車砲撃開始!』
 指揮所の号令と共に各沿線に配された迫撃砲が、対地ミサイルが一斉に火を噴いた。その爆音は川越全域に轟いて、殺到する火線がクビアラのいる場所を赤と黒で埋めていく。
『カカ……ソレガドウシタ?』
 如何に通常兵器と言えどこれほどの威力が結集すればただでは済まない。今やクビアラの周囲は巨大なクレーターを形成し、すり鉢状の穴から火刑めいた火柱がごうごうと燃え盛っている。しかし、それだけだ。
『デハ、コチラカラ行クゾ』
 巨大な鈍色は川越が誇る火力をものともせずに、展開した『魔障バリアー』であらゆる直撃を防いでいたのだ。ずしり、と重々しい一歩と共に、クビアラの胸が赤々と輝いて光条が放たれる――瞬間。
「見てくれは剛腕なパワー型のようだが……その実、情報収集に長けた指揮官か」
 激しい風と共に鋼の獅子が戦場に舞い降りる。冷静に攻撃を分析し最小の動きで回避する。余りにも戦い慣れした|機械巨人《ダモクレス》に舌打ちして、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は搭乗した『|ヘラクレス《スーパーロボット》』の拳を突き出し加速する。
「だが、まずはおさらいだ!」
 加速した重爆はさながら全身が巨大な砲弾だ。ユミルの子を屠った猛々しい一撃はされど、光条の代わりに張り巡らされた|電磁《魔障》バリアーが壁となって跳ね返す。
『フン……ソレハモウ見切ッタ』
「そうだろうな。だから――!!」
 前評判通り恐るべき適応能力だ。これが通じないならば、この巨重を屠るには|もう一つの矢《・・・・・・》を放つ他無いだろう。あらかじめ指揮所に依頼した作戦通り、今はその隙を稼ぐまで!
「|決戦配備《ポジション》、ジャマー!」
『了解。|決戦配備《ポジション》、|欺瞞妨害攻撃《ジャマー》開始!』
 オリヴィアの声と共に雑多な建造物に続々と角の様な――夥しい数の砲門が生え揃う。先の長距離砲とは違う近接無人防御システム――戦車や戦闘ヘリの武装を満載した『雑居砲塔』が新たに火勢を戦場に注いだ。
『詰マランナ、ソノ程度カ……』
 四方八方からクビアラに殺到する火線。されど無敵のバリアーは未だ破られず。鈍色の巨体はクレーターと化した舗装路の中心で微動だにせず、反撃の光条で火砲群を続々と薙ぎ払っていった。
『砲撃部隊、精密照準砲撃再開!』
『奴に気取らせるな。まだだ……』
 噴煙が戦場を灰色に染め上げて、明滅する砲火と爆音のみが互いの生存を主張する。彼方より放たれた列車砲も拡散光線が一薙ぎに焼き払い、放物線上に放たれた迎撃の光弾が列車砲に迫ろうとした――その時。
『ホウ、ソノサイズデ盾トナルカ』
「大きさは関係ありません。戦いはまだ終わってない!」
 割って入ったイクシアが全身でその威力を受け止める。|超常《ユーベルコード》の『シールドバリア』を楔状に展開し、射角をずらして決戦配備へのダメージを最小限に食い止める。これまでの交戦で大体の威力も射程も把握した。あと少し時間を稼げれば――。
『イイヤ、オワリダ』
 無慈悲な野太い電子音が響き渡る。バリアで防がれるならばバリアと関係の無い全周を攻撃すれば良い/故にイクシアはシールドビットを再び展開し、まるでクビアラを護る様に囲んで拡散光線を塞ぎこむ。
「――みんな無事ね?」
『指揮所も装備も無事だ。それに――』
 決戦配備の火砲は未だ止む事無く、数多の重爆に合わせて戦場を覆い隠す煙幕が放たれる。クビアラのカメラを少しでも妨害出来れば重畳、使える物を全て出し切る決戦である……そう思わせる為に。
『……|煙幕《スモーク》トハ古典的ダナ』
「でも、甘く見てると足元を掬われる」
 煙幕は視界と熱源を欺瞞する。それでも尚叩き込まれる攻撃を捌きながらクビアラは障害を一つ一つ丁寧に屠っていった。いずれにせよ鉄壁のバリアーを破られない限り、時間をかけて攻略すればクビアラは負けぬと自負がある――その僅かな傲慢が命取りになるとも知らずに、不意に放たれた声にクビアラは天を仰いだ。
「顕現せよ、星辰の強弓。不死暴虐の巨神さえ、汝の一撃を耐えるに能わず――|巨神射殺す星辰の強弓《ギガントマキア・シューティングスター》!」
『何ダト!?』
 いつのまにか高所に陣取るヘラクレス――さながら達人めいた身のこなしでスラスターを吹かす事無く密やかに駆け上がっていたのだ。それを隠匿する為の|喧《やかま》しい砲火と煙幕――全ては|超常《ユーベルコード》の一矢を報いる為に!
「――このまま押し返すよ」
「全攻撃を必ず防ぐ貴様の電磁バリア、あらゆる防御を打ち砕く我が強弓……さあ、矛盾の検証と洒落込もうか!」
 今更迎撃しようにもクビアラの拡散光線はイクシアが見切っている/バリアーを張ろうものなら|それ以外の全て《・・・・・・・》が直ちに殺到する/今度こそ逃げ場は無い。真っ向勝負――全てをこじ開け打ち砕くオリヴィアの一撃がクビアラを貫いた時、天に昇る赤黒い光が戦場を引き裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
なるほど、防御に自信があると。
こういう敵には……防御無視のバリア貫通武器が有効ですねっ。

決戦配備はキャスターを要請
術師補助の魔法陣展開を依頼、コードの強化を図る
戦闘は拳銃を向けることで防御態勢を取らせ、攻めあぐねているように見せかけつつ接近
そのまま効果範囲内へ十分に捉えたなら【本気の闇の精霊さん】発動
敵本体へ一万倍の重力をかけての圧殺を狙います
重力攻撃は正面からではなく、どちらかというと環境そのものの書き換え
ですので防御態勢でもバリアーでも防ぐことは出来ません!

精霊さん直々の|重力の鎖《グラビティ・チェイン》のお味は如何です?
遠慮せずに、文字通り「潰れるまで」味わって行って下さいねっ!


霧崎・天音

クビアラ…ダモクレス軍団の一角…
ドレッドノートの戦いを思い出す…
私の世界とは違う存在だけど、脅威なのは一緒みたい…

戦闘においてはダッシュと空中機動を使用して
敵の攻撃の回避を行う。
ポジションはディフェンダーを発動するのを希望する。
隔壁やバリケードを展開してもらって、敵の拡散攻撃をうまく回避したい…。

段々とユーベルコードの使い方にも慣れてきた…
この使い方なら、きっとグラビティと同じように攻撃ができるはず…
地獄化した右足の炎を限界まで高め、敵に向けて勢い良く右足を薙ぎはらって攻撃するグラビティ「獄炎斬華」…それをユーベルコードでも発言させる。



●重力の鎖
「クビアラ……|機械兵《ダモクレス》軍団の一角……」
 霧崎・天音(異世界のラストドラゴンスレイヤー・f40814)は思案する。|向こう側の戦い《ケルベロスブレイド》で最後まで対峙した|機械兵《ダモクレス》軍団。その中でも一際強力だった指揮官級の一体がクビアラだ。
「私の世界とは違う存在だけど、脅威なのは一緒みたい……」
 先の戦いで真っ二つに貫かれた装甲に傷跡はあるものの、中枢メカニズムは迅速に修復されつつあるようだ。流石の|不死存在《デウスエクス》――鬱陶しい魔障が妖しく光を放ち、クレーターの中心で雄々しく吼えるクビアラ。眼前の奴の戦闘力は以前健在、という事か。
「あのバリア、向こうと同じ……」
「なるほど、防御に自信があると」
 傷があろうとバリアーを張れば良い。そう考えているかは分からないが、クビアラはバリアーを展開しながら指揮所へ向けて進撃を再開した。これ以上放っておく事は出来ない――クビアラの真正面に対峙した荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)が『|Nine Number《精霊銃》』の銃口を向け、不敵に言葉を続ける。
「こういう敵には……防御無視のバリア貫通武器が有効ですねっ」
「出来るのか? そんな事が」
 それが|超常《ユーベルコード》の真髄。どんなに相手が強力であろうと、数多の精霊に祝福されたひかるも既に|これ以上《・・・・》と幾度となく対峙し、勝利し続けているのだから。
「|決戦配備《ポジション》キャスター要請! 術師補助の魔法陣展開を!」
「こちらは|決戦配備《ポジション》ディフェンダー、奴の攻撃を押さえたい」
『了解、|決戦配備《ポジション》発令、|戦闘防壁及び魔方陣《ディフェンダー&キャスター》展開!!』
 指揮所の発令と共にクビアラと猟兵の間に無数の防壁が展開される。|疑似重力障壁《グラビティウォール》が連なる戦場はさながら迷宮の如き様相に一変した。
『カカカ……知ッテルゾ、鬼ゴッコトイウ奴ダロウ』
 だが、その|決戦配備《ポジション》は既にクビアラも把握していた。流石のクビアラも鉄拳と拡散光線だけでこの防壁を突破出来るとは考えない。だが|どこに壁が現れるか《・・・・・・・・・》を理解していれば、それで自身が獲物を追い込む狩場に転ずる。
『デハ捕マエテヤロウ!!』
 途端、スラスターを吹かしたクビアラが猛スピードで防壁の迷宮を駆け抜ける。先に叩くべきは目の前の鬼の娘では無い――その後ろのレプリカント、元同胞に裁きを下す時が来た。
(流石、世界は違えど六大指揮官は伊達では無いな)
 戦場は違えどその脅威は身をもって知っている。徐々に近づく爆音にタイミングを合わせて、天音は飛び出て来たクビアラを踏み抜いて離脱――両者の位置は入れ替わり、追撃の拡散光線を防壁で躱しながら再び思案する。
(段々とユーベルコードの使い方にも慣れてきた……これなら)
 今は本調子ではない。だがかつては|もっと恐るべき竜を屠った《・・・・・・・・・・・・》のだ――決して臆する相手では無い。確実に致命の一打を与えるまで力を温存する。地獄化した右足から火を噴いて跳躍した天音は、来たるべき時の為に静かに刃を研ぎ澄ます。
『逃ゲルナヨ猟兵、我ハココダ――』
「知ってますよ」
 不意にクビアラの背後に迫ったのはひかる――いつの間にかその頭上には、光輪めいた数多の魔方陣が展開していた。ドローンを用いた立体魔力増幅陣で高められたひかるの魔力が、まるで天に昇る瀑布の様に煌々と光を放っていた。
「──落ちよ、堕ちよ、理の儘に墜ちよ」
『クカカ! 無駄ダ。我ガ魔障バリアーハ決シテ破ラレヌ』
 でしょうね。だから|そのまま沈んでもらいます《・・・・・・・・・・・・》。
「天から地へ、地から獄へ。重力の鎖が、今魂引かん……!」
 ひかるの呪文に呼応して光が反転/闇と化した魔力の塊はそのまま地面に引き寄せられるように漆黒の球体と化し、その中にいたクビアラごと大地を飲み込んだ。
「精霊さん直々の|重力の鎖《グラビティ・チェイン》のお味は如何です?」
 漆黒の正体は『|本気の闇の精霊さん《ダーク・エレメンタル・オーバードライブ》』――指定した無機物に最大一万倍の重力を掛ける|超常《ユーベルコード》の御業。この|地球《ほし》に引かれ現れた|不死存在《デウスエクス》にしてみれば、皮肉交じりの甚だしい意趣返しだろう。それでも。
『違ウ……ソウジャナイ……ダガ』
 クビアラは潰れない。元より『|重力の鎖《グラビティ・チェイン》』とはあらゆる生命が存在する為の魂に宿るエネルギー。圧倒的な超重力に苛まされながら律儀に答えたクビアラは、起死回生の一手――自らに組み込まれた反重力フィールドをフル稼働させる。
『悪クナイ。亜空間戦闘ヲ思イ出ス……!』
 |機械兵《ダモクレス》の卓越した環境適応能力――その中でもクビアラは突出した最古参の古強者だ。超重力へ対処する為、魔障を変化させた反重力フィールドを展開。四肢の自由を僅かに取り戻し、すり足で力場から逃れようと藻掻くクビアラにひかるが『|Nine Number《精霊銃》』の銃口を再び向けた。
「だったらそのまま――遠慮せずに、文字通り「潰れるまで」味わって行って下さいねっ!」
 逃しはしない――だがそれはクビアラも同じ。ひかるの動きに合わせクビアラが両手を前に突き出して、全身を反重力フィールド、正面のみ魔障バリアーを展開し万全の防御態勢を取る。合わせて片腕に仕込まれた機関銃が火を噴こうとした刹那、クビアラの足元で炎が舞い上がった。
「今、私の事を忘れたな?」
『!?』
 この使い方なら、きっと|グラビティ《神殺し》と同じ様に攻撃が出来る――零距離、狙いは先の戦いでつけられた胸の傷跡! 地獄化した右足の炎を限界まで高め、天音は真正面から真一文字にクビアラを蹴り上げた。
「噛み裂けッ!!」
『!?!?!?』
 |超常《ユーベルコード》の炎が――『獄炎斬華』の一撃が深々とクビアラに痛みを刻み込む。その衝撃で再びひかるの超重力に巻き込まれ、鈍色の巨兵は声も無く漆黒に圧し潰された。
 情報に無い|想定外《イレギュラー》――二人もまた歴戦の猟兵だという事を、クビアラは思い知ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル

拙者の弱点?強すぎる事かな…

はーっ!この程度の敵、ボロカスな川越の|決戦配備《ポジション》支援無してもぶち殺せるでござるよ!
それに無茶苦茶な方が燃えてくるでござろう?

電磁バリアぶち抜いてやる!正面攻撃だ!
反撃だァ!?そんなもん建物を盾にすればいいだろ!いいじゃねぇかこの辺もう既に瓦礫なんだからヨ!

そんな感じでガンガン仕掛けていくが…所で背後にいるは何かわかる?
戦闘中に流体金属君をこっそり野に放っておいたのさ!今だ!流体金属君と拙者の同時攻撃!
…と見せかけて本命は転がしておいた手榴弾でござるよ
目の良さが命取りだ!

お望みの分析はできたかい?なら覚えておいてくだされ
拙者の方が、ずっと強かったことを



●Not Impossible
『決戦都市、稼働率64%まで減少』
『配置調整したいですね。急拵えの突貫整備だけでは……』
 続くクビアラの猛攻に第三新川越市は疲弊していた。戦術連携システムもさることながら、都市部の被害が大き過ぎる――既に二ヶ所に巨大なクレーターが出来上がり、読み切られた|決戦配備《ポジション》の再構築は急務だった。
『カカカ……ソロソロダロウ』
 一方、再起動を果たしたクビアラが動き出す。狙いは指揮所――連戦による疲弊が猟兵の、ケルベロスの、そして決戦都市の機能を著しく弱めたタイミングが今である事に、クビアラは気付いていたのだ。
「何がソロソロだ」
『カカ……オ前達ノ弱点ダ』
 歩みを進めるクビアラの正面からおっさんの声――エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は呆れ交じりの口調で鈍色の巨兵に言葉を続ける。
「拙者の弱点? 強すぎる事かな……」
『愚カナ。面白イモノハ持ッテイルガ、ソノ程度デ何ガ出来ル』
 ニタリとカメラアイを明滅させ、廃墟同然に瓦礫が積み上がった街を見やりクビアラが宣う。既にユミルの子との戦いで|凡《おおよ》その戦力は見切っていた。そして、それが尽きるであろう今こそがクビアラが全力を投じる機会。それを知ってか知らぬか、エドゥアルトは盛大に溜息を吐いてクビアラを罵った。
「はーっ! この程度の敵、ボロカスな川越の|決戦配備《ポジション》支援無してもぶち殺せるでござるよ!」
『無茶を言うな! 相手はクビアラだぞ!?』
「うっせえさっさと直せってんだ! それに」
 |そんな事俺でも分かる《・・・・・・・・・・》――壊滅した兵站は地獄だ。だがそんな地獄を幾度となく潜り抜けて来たのも自分だ。故に『ムチャおじさん』なんて|超常《ユーベルコード》が出来ちゃったのかもしれないネ! だからエドゥアルトは精一杯渋いヴォイスでこう言うのだ。
「――無茶苦茶な方が燃えてくるでござろう?」

『クカカ! デハドウスル?』
「電磁バリアぶち抜いてやる! 正面攻撃だ!」
 叫ぶと共に『マークスマンライフル』から炸裂した火線が『魔障バリアー』に阻まれてクビアラの目の前で爆ぜる。無茶だ。バリアを正面に展開しつつクビアラの手首の機関砲が火を噴いて、その追撃を躱す様にエドゥアルトは手近な市街地に逃げ込んだ。
『ああ、街が……』
「いいじゃねぇかこの辺もう既に瓦礫なんだからヨ!」
 反撃だァ!? そんなもん建物を盾にすればいいだろ! いいから任せろよ! 己の|妄言《ゴースト》が大音量で囁くのだ……何よりこの|ユーベルコード《超常》は、|非常識な方がより強い《・・・・・・・・・・》。
「……所で背後にいるは何かわかる?」
『ナニ?』
 正面で|凄惨な市街地戦《ブラックホークダウンごっこ》に興じたエドゥアルトの真意は一つ。ガンガン仕掛けて敵の判断を|やわにする《・・・・・》――途端、ぬらりと巨大な水銀めいた『Spitfire』がクビアラの背後より襲い掛かった。
『オウガメタル!?』
「呼んでくれてありがとう! 戦闘中に流体金属君をこっそり野に放っておいたのさ!」
 真正面でドンパチすると見せかけて伏兵を放っていた。今だ! 流体金属君と拙者の同時攻撃!
『――トデモ言ウト思ッタカ』
 まるで花火の様に広がったSpitfireが魔障に阻まれ焼け焦げる/ライフルの精密狙撃を拳で防ぎ、迎撃の機関砲が火を噴く――攻防一体のクビアラの陣形は正に無敵。だからこそ|目に見えない脅威に弱い《・・・・・・・・・・・》。
『!?』
「目の良さが命取りだ!」
 エドゥアルトの声と共にクビアラの足元が爆発した。魔障バリアーの隙間を抜けて、二つの囮が包み隠したものは転がしておいた手榴弾――崩れた足場に動きを取られ、ダメージと共にクビアラは歩みを止める。
「お望みの分析はできたかい?」
『…………カカ』
 いつの間にか接近したエドゥアルトの銃口がクビアラの傷口に狙いをつける。何も面倒な|機械兵《ダモクレス》を相手にするのは初めてでは無い。こういう融通の利かない奴は特にやりがいがある。
「なら覚えておいてくだされ。拙者の方が、ずっと強かったことを」
 クビアラの胸元で炸裂音が続く。常識では測れない恐怖を刻み付ける様に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バロメリアン・マルゴール

目的:ポジションチェンジの挙動を確認しつつ周辺被害を抑える
行動:守る歌で防御専念し、周囲の火力に期待する

さ、次の曲と行こう
主役はオレじゃない
この世界の皆さ

申請、クラッシャー
鋼鉄のムッシュー、この歌も聴いていきな――ユーベルコード!

戦術は単純
中衛で防壁系の歌魔術を使い、仲間と決戦都市を拡散ビームから守る、それだけさ
この戦術なら他猟兵の連携も容易いだろう
都市の砲撃に歌の魔力を纏わせるのもアリかな

解析したらわかるだろ、鋼鉄のムッシュー
オレは歌い手
ムッシューのような強敵相手じゃ火力不足なのが弱点さ
だから歌うんだ
|m'aider《助け合おう》ってね
この世界の|主役《住人》の|力《砲撃》、味わっていきな


ルージュ・エリアス
クビアラ確認、迎撃行動開始。
ディフェンダー部隊、用意を。
流れ弾は十分にあり得ます。これ以上の街への被害は防がなければ。
撃破は我々の仕事です。防衛に注力してください。

重装甲に高火力、それに高度な情報解析。
踏破王の名に偽りなし、一筋縄ではいかないことはよく知っている……。
刀を手に肉薄。野太刀で可能な限り魔障弾を受けながら、突っ込みます。
武器が壊れようと構わない。むしろ、武器を失えば決定打もなくなると思わせれば好都合。
しかし、私の本領は徒手格闘ですので。
射撃直後のがら空きのコアに、指天殺を。……爆ぜ散れ。

ご期待のところ悪いですが、『そちら』製です。
目新しさはありませんので、ご容赦を。



●旋律と|赫《ルージュ》
『|決戦配備《ポジション》、稼働率83%まで回復』
『これ以上落とすなよ。敵の動きは?』
 先の戦いで回復に尽力した結果、決戦都市はその機能を十全とまではいかなくとも支援に供するだけの状態を取り戻す事が出来た。それでも相手は|機械兵《ダモクレス》の精鋭……ようやく五分に返り咲いたと言っても過言では無い。
『クビアラの稼働を確認……来ます!』
 胸に大きな傷を残して、鈍色の巨兵が再び動き出す。その前に立ちはだかるのは|猟兵《イエーガー》――否、|決戦存在《ケルベロス》。
「クビアラ確認、迎撃行動開始。ディフェンダー部隊、用意を」
『了解。|決戦配備《ポジション》、|自律機動防衛《ディフェンダー》セット!』
 巨大な『野太刀』を抜き放ち、ルージュ・エリアス(Red ram・f40859)は眼前の脅威と対峙した。
「流れ弾は十分にあり得ます。これ以上の街への被害は防がなければ」
 重装甲に高火力、それに高度な情報解析――踏破王の名に偽りなし、一筋縄ではいかないことはレプリカントである自分がよく知っている……野太刀を盾の様に構え、ルージュは一気に間合いを詰める。同時に展開した巨大な無人フォークリフトめいた|機動防壁《ディフェンダー》が、クビアラを囲む様にぐるりと円陣を形成した。
「撃破は我々の仕事です。防衛に注力してください」
 迎撃の弾幕が|激しい音《パーカッション》と共に十重二十重の閃光を輪舞させ、肉薄するルージュの進撃を遅滞させながら前に出るクビアラ。防壁が辛うじて流れ弾の被害を抑えるも、クビアラの攻撃はますます苛烈となる――奴も正念場か。しかしこちらも一人では無い。
「そういう事。さ、次の曲と行こう」
 澄んだ声音が戦場に響く。バロメリアン・マルゴール(戦場の光・f39933)は|交差点《特設ステージ》に立ったまま、暴れるクビアラの方を見やり言葉を続ける。|行動目標《ミッション》は決まっている――戦況を見据えこの決戦都市に力を与えよう。雪の様な毛並みをなびかせ、バロメリアンは宣言した。
「主役はオレじゃない――この世界の皆さ」

「踏破王の名に偽りなし、一筋縄ではいかないことはよく知っている……」
『カカカ、大シタ蛮勇ダ』
 機動防壁を囮に、盾に、ルージュはクビアラの周囲を跳ねる様に剣戟を重ねる。爆ぜる『魔障弾撃』を刀身で受けながら返す刃で装甲の継ぎ目を狙うも、|骨格《フレーム》ごとチューニングされたクビアラに致命の一打を与える事は難しい。故にもう一つの牙、この街が誇る精鋭が動き出す。
「|決戦配備《ポジション》申請、クラッシャー」
『|決戦配備《ポジション》確認、|機動攻撃部隊《クラッシャー》配置完了!』
 バロメリアンのコールと共に姿を現したのは荷台に多様な武装を積載した|戦闘商用車《テクニカル》。自動運転レベルMAXのそれらは機動防壁を盾にクビアラの元へと集い、その牙を一斉に解き放つ!
『タイミングは現場に任せる。攻撃開始!』
「鋼鉄のムッシュー、この歌も聴いていきな――ユーベルコード!」
 合わせて重ねた|超常《ユーベルコード》の声音と共に、誘導弾とロケット砲の|重爆《ドラムロール》が、榴弾と機関砲の|連撃《デュエット》が、華々しい業火と共にクビアラを包み込む。
『カカカカ……面白イ! 群体ヲ個トシテ運用スルカ!』
 全周から迫る猛攻を魔障バリアーで遮りながら、ルージュの激しい打込みを拳で往なすクビアラ。しかしそれらの、どの攻撃も一段とその威力を増してきた。否、攻撃自体が強烈になった訳ではない――。
「解析したらわかるだろ、鋼鉄のムッシュー」
 歌の合間に響くバロメリアンの声。この歌声こそ厄介な超常である事は間違いない。しかし先程とは違う旋律――重い声音は威力というよりも、周りの敵に他の力を与えているようだ。
「オレは歌い手。ムッシューのような強敵相手じゃ火力不足なのが弱点さ」
 火力不足、故に味方の力を頼る事は理にかなっている。つまり与えられた火力の強化では無く維持――戦場の流れを解析したクビアラはバロメリアンの作戦を理解する。これは補った火力を護る為の歌。
「だから歌うんだ。|m'aider《助け合おう》ってね――」
 歌声と共に放たれた光がオーロラの様にクビアラの光線を遮って、その間隙を突く様に咲き誇る火力の花。
「この世界の|主役《住人》の|力《砲撃》、味わっていきな」
 赤々と咲き誇る威力に呑まれ、クビアラは遂にその歩みを止めたのだ
『カカ……ダガソレハ知ッテイル』
「でしょうね」
 足を止めたクビアラはより高密度の拡散光線を周囲に放つ。その猛威を受けてひび割れたルージュの野太刀――それも狙いだ。むしろ、武器を失い決定打もなくなると思わせれば好都合――野太刀を舗装路に突き立てて、棒高跳びの様にルージュは高く跳躍する。
「ご期待のところ悪いですが、『そちら』製です」
『ナニ!?』
 この角度に魔障バリアーは無い。むしろ迂闊に角度を変えれば|武装商用車《クラッシャー》の猛攻がクビアラを追い詰める。故に、ルージュはこの一撃に全てを懸けるのだ――私の本領は徒手格闘ですので。
「目新しさはありませんので、ご容赦を」
『モデルEly……貴様!』
 解析結果は|同胞《ダモクレス》と同型。故に手管は掴めてる――それでも、相対速度、突入角度、幾万通りの回避パターンを|試行《シミュレート》しても|この一撃は躱せない《・・・・・・・・・》!
「……爆ぜ散れ」
 クビアラの首筋を抉る様に放たれた『指天狂雷殺』――|超常《ユーベルコード》の指天殺は気脈の代わりに|動力線《パワーライン》ごと骨格を貫いて、内部よりその巨体を爆発せしめた。
「これは、|素敵な掛け合い《コール&レスポンス》をありがとう」
 クビアラから七色の奔流が天に昇る――その様を見やりバロメリアンは独り言ちた。
 それは、ここにいる誰もが無力では無いと示す、反撃の光だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド


あれが機械兵か!キャバリアみたいだが喋るし動く!しかも偉そう!
いいだろう!この騎士ベルト・ラムバルドが貴様の相手となる!行くぞ!

キャバリアに乗り空中機動で飛び回り敵と戦う!
決戦配備はディフェンダー!
あの光線が厄介だ…隔壁展開しながら敵へと近づくぞ!ある程度近づけたら一気に加速!

あの胸元のコア…武器であると同時に弱点と見た!

盾にカリスマオーラを纏わせてオーラ防御で拡散光線を防ぎながらサークランサーを振り回し胸元のコアに串刺し貫通攻撃!
零距離巨大荷電粒子ビームで災いの一撃を喰らわしてやる!喰らえー!

なんで分かったかって?あんな目立って分かりやすい場所にあるんだから間違いないだろう?さっすが私!


チェスカー・アーマライト

おいおい、パーティのシメにゃ大物を期待してたんだ
|観戦武官《覗き魔》はすっこんでな
(野次を飛ばして挑発。ビッグタイガーも中指立てる)

見られて困るモンなんざハナから無ぇ
|思い出したく無くなる《くたばってた方がマシだと思う》様な|火力《とっておき》をくれてやる

ディフェンダー要請!
あたしの攻撃で周辺の建物を巻き込まねー用だ
あの屑鉄野郎とビッグタイガーをグルッと囲ってくれ
お互い、正面切ってのブン殴り合いのが好みだろ?
シンプルに力比べと行こうぜ!

どうせ|後方《おうち》にとんぼ返りするだけなんだろ?
テメーの見たモンをキッチリ報告すりゃいい
猟兵もケルベロスも、敵に回したのは間違いだった、ってな



●Fullmetal Combat
「おいおい、パーティのシメにゃ大物を期待してたんだ。|観戦武官《覗き魔》はすっこんでな」
 |超常《ユーベルコード》の一撃で吹き荒れた奔流が収まると同時、追撃の猟兵が戦場に現れる。クビアラに勝るとも劣らない|鋼鉄の騎兵《量産型キャバリア》『ビッグタイガー』を駆るチェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)は、狭苦しいコクピットで気炎を吐きながら再び動き出した巨兵に狙いを定める。
『クカカ……オ言葉ダナ。マアイイ』
「あれが機械兵か! キャバリアみたいだが喋るし動く! しかも偉そう!」
 もう一人――雄々しき|蒼銀の騎士《クロムキャバリア》『パロメデス』を駆るベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)が|外部出力《スピーカー》でクビアラを煽る。胸元には深い傷跡、首筋から煙を噴く鈍色の巨体には当初の余裕は無い。クビアラはそれでも尚、我は未だ沈まずと言わんばかりの尊大な態度で言葉を返す。
『ジッサイ、偉イ』
「自分で言うか普通よォ!!」
「偉いのか。よし、いいだろう!」
 分かり易い相手だ。分かり易く強く、偉い――ならば、これを叩けば|奴ら《デウスエクス》に知らしめる事が出来る。二人の猟兵は顔も合わさず、互いのやるべき事を理解した。
「見られて困るモンなんざハナから無ぇ――」
「要はお前を倒せばいいんだな!」
 加速する両機――踵の履帯で滑る様に後退したビッグタイガーと『|アンゲロス《メガスラスター》』の推力で一気に距離を詰めるパロメデス。全ては互いのとっておきをクビアラにぶつける為。そして猟兵の恐怖を味わわせる為に。
「|思い出したく無くなる《くたばってた方がマシだと思う》様な|火力《とっておき》をくれてやる」
「この騎士ベルト・ラムバルドが貴様の相手となる! 行くぞ!」

「|決戦配備《ポジション》はディフェンダー!」
「同じく、ディフェンダー要請!」
『了解。|決戦配備《ポジション》、|全隔壁展開《ディフェンダー》!』
 発令された|戦術行動《ディフェンダー》――|戦闘道路防壁《グレートウォール》と|自律機動防壁《ウォールリフト》が戦場を埋め尽くし、クレーターに足を取られたクビアラの進撃を物理的に押し止める。
『何度モ同ジコトヲ……カカカ』
 しかし、それらは既にクビアラが解析し終えた防壁だ。展開位置も、展開速度も、強度も、既に把握し終えた防壁など恐るるに足らず――屹立した幾重もの防壁の合間を掻い潜り、無数の光条が猟兵の元へと殺到した。
「矢張りあの光線が厄介だ……隔壁展開しながら敵へと近づくぞ!」
 それでも、空を舞うパロメデスにしてみれば数を減らされた拡散光線は最大の脅威では無い。吹き飛ばされた機動防壁を踏み越えつつも未だ直撃には至らず――高度を変えながらクビアラの狙いをずらす事で、新たに展開した防壁を盾にして必殺の機会を伺う。こちらの手の内はまだ|出し切ってはいない《・・・・・・・・・》。
「ハッ! どうしてじっとしてるのかって?」
 その一方、後退したビッグタイガーは『ロックアンカー』を展開し、真正面に捉えたクビアラに中指を立てる。あの屑鉄野郎とビッグタイガーを防壁でグルッと囲ってくれ――その分は未だ無傷で展開済みだ。正面に広がった防壁は全て|囮に過ぎない《・・・・・・》。
『マサカ……貴様!』
 頭上を飛び回るパロメデスに気を取られ過ぎたか――忌々しくも正面に陣取るキャバリアは埒外のエネルギーをその内に溜め込んでいた。それが示す答えはただ一つ。
「お互い、正面切ってのブン殴り合いのが好みだろ? シンプルに力比べと行こうぜ!」
 ジェネレーター出力限界解除、エネルギー接続ライン砲身直結。Bチャンバー加圧開始……唸る機関は|超常《ユーベルコード》の発露。目の前全てを吹き飛ばす禁断の大技がその牙をギラリと研いでいた。
『躱セヌカ、ナラバ』
 小刻みにスラスターを吹かして迎撃行動をとっていたクビアラが両足を大地に止める。その中央、胸に瞬く真紅のコアにエネルギーを集束し、ビッグタイガーを迎え撃たんと堂々と相対した――その時。
「足を止めたな! |零距離巨大荷電粒子ビーム《とっておき》で災いの一撃を喰らわしてやる!」
 射線上に飛び込むは蒼銀の騎士――クビアラから放たれるエネルギーの圧をかざした盾の|闘気《オーラ》で往なし、パロメデスは手にした|重槍砲《サークランサー》を真紅のコアへ串刺した!
『グガッ!?』
「矢張り弱点か。さっすが私!」
 これが『災いの一撃』だ。零距離で照射された|超常《ユーベルコード》の荷電粒子砲は鈍色の巨体を貫いて、途端、クビアラは溜め込んだエネルギーの殆どを喪失する。見立てた通り、あんな目立って分かりやすい場所をギラつかせているんだ――そこが弱点に違いないとベルトは踏んでいたのだ。
「いいタイミングだ。離れろッ!!」
「おかわりとは羨ましいな踏破王!」
 胸部装甲破断、頭部パワーライン損壊、そしてエネルギーコア破損……最早、クビアラにビッグタイガーの牙を止める事は叶わない。クビアラの装甲を蹴り飛ばし離脱するパロメデス。ふらついた機械巨兵がその眼にしたものは、破滅を齎す恐るべき|光《暴力》!
「どうせ|後方《おうち》にとんぼ返りするだけなんだろ? テメーの見たモンをキッチリ報告すりゃいい」
 そして『オーヴァードスパークキャノン』が放たれる。大地を穿ったロックアンカーが舗装路に亀裂を走らせ、反動で震える巨体を強引に押し止める。背負った『|コンプレッサー《主砲》』が放つ必殺の光条は聳え立つ防壁ごとクビアラを包み込み、爆ぜた地形を周囲の防壁が辛うじて押し止めて――。
『ガ……ガガ……!?』
 斯様な高出力、街ごと破壊せしめる威力から|街を防壁で守った《・・・・・・・・》というのか――我が身を断ってまで肉薄する猟兵の所業に、機械巨兵は久しぶりに恐怖という感情を味わった。
「猟兵もケルベロスも、敵に回したのは間違いだった、ってな」
「ベルト・ラムバルド、光明の宇宙暗黒騎士だ! 覚えて帰れ!」
 激突する鋼鉄はそして――終局への扉をこじ開ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
●ジャマー要請:チャフ散布

一時で良い!奴の|センサー《情報収集》を妨害して頂きたい!可能か!?
……感謝いたします!!

亡国の主操縦続行
『戦塵突撃』攻性障壁を広く展開し拡散光線を【オーラ防御】
【継戦能力】敵の攻撃から都市や味方を防ぎながら、
クビアラの眼を誤魔化して人工魔眼稼働率、負荷を強める。

……何であろうが、どうだって良い!
敵は!全て!!壊す!!!!進めぇええええあああああ!!!!!!!!

苦痛も敵意も全てを【闘争心】に換え戦闘力増強、
【推力移動】メガスラスターかっ飛ばし最短最高速飛翔突撃!
増強した|攻性障壁《オーラ防御》で拡散光線を受け切り押し返し!
コア目掛け【怪力】で攻性障壁纏う竜骨爪を突き出し──

さ゛せ゛な゛い゛

【瞬間思考力】BS-B戦塵縛鎖のケーブルを伸ばし【早業ロープワーク】
クビアラの側面から両腕を捕縛【増強念動力】で両腕を引っ張り、
両拳での構えを崩し、

壊れろ!|機械仕掛けの巨兵!!《デウスエクスマキナ!!》

両拳、電磁バリアーの隙間に竜骨爪をねじり込み【貫通攻撃】
コアを刺し貫く!!


ハル・エーヴィヒカイト

▼心情
ダモクレスか。ユミルの子よりも強靭な装甲を誇る様だ。
ならばこの力を試すことにしよう。
私も知らない、こことは違う世界でも存在しなかった、いつの間にか我が内に宿っていた大いなる鋼を。

▼戦闘
「む……もしや猟兵をご所望だっただろうか。だとしたらすまない、ケルベロスだ」
なんとなく申し訳なく思いながらもキャリブルヌスに[騎乗]
この機体はどうやら私の内なる剣をそのままキャバリアサイズで振るうことができる増幅器のような役割を持つようだ。
故に戦術は変わらない。

スナイパーを要請し遠距離からの支援を。
敵機の拡散光線の範囲からは離脱してもらい、被害を最小限に抑えながら狙撃を頼む。

そしてUCを発動。
展開した領域内の刀剣をフル活用して装甲を破る連続攻撃を繰り出す。

敵の拡散光線は[気配感知]と[心眼]により[見切り]
[霊的防護]を備えた刀剣で[受け流し]、[カウンター]だ。


暗都・魎夜
【心情】
指揮官役のお目見えか
さっきまでの奴らより動かないようだが、単にその必要がないだけだな
こいつはちょっとした強敵だ

【決戦配備】
クラッシャーを希望

参加している猟兵のジョブやらなんやら整理する必要はないんだな(端末をしまいしまい)

【戦闘】
(クビアラに)
てめぇにゃキチンと名乗ってやらねえとな
ケルベロスなんて柄じゃねぇし、猟兵を名乗るのも口幅ったい
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」

UCを発動
決戦配備へ情報を伝えて、被害を軽減しつつ長期戦が行える構えを取る

「数限りない魔性に異界からの来訪者の跋扈する銀の雨降る世界、そこを戦い抜いた嵐獅丸達(ストームブリンガー)の記憶が俺の武器だ」
「弱点なんざそう簡単に抜けると思うなよ? どっからでもかかってきやがれ!」

「心眼」「見切り」で光線の動きを読み、「ジャンプ」「ダッシュ」でかく乱しつつ回避
自信が囮となりつつ、決戦配備の攻撃が当たるように「地形の利用」

「空中機動」からの「リミッター解除」「斬撃波」で攻撃


ジークリット・ヴォルフガング
●POW

間違いない、確かにアレは弩級ダモクレス『載霊機ドレッドノート』の聖竜領域に座していたとデータベースで見聞した六大指揮官…『踏破王クビアラ』か
魔障の完成に躍起となっていたと聞いていたが…姿のみならず行動パターンとは同じとはな
何の話だと?
あちら同様、魔障は完成には至らず骸の海へ送り返されるだけだという話だ
私自身も貴様が敗れてから最前線たる日本へ渡った身だ
知らぬモノ同士、思う存分やり合おう

さて、|木偶の坊《ユミルの子》相手であったが、|馴らし《
ウォーミングアップ》と幾分かの感は取り戻せたようだ
それなら…星剣、抜刀!
|アームドフォート《鞘》に封じていた|愛剣《ゾディアックソード》に宿りし重力を解放することで武器に|魔法《重力》を纏うが、何せ久々の事だ

要請、|決戦配備《ポジション》ディフェンダー
準備が万全となるまで拡散光弾を|隔壁《シールド》でやり過ごすが、直ぐに破壊されるのは承知の上
準備が整えさえすれば、刀身に帯びた重力で切り払いながら接敵

貰ったぞ…ゾディアックブレイク・オーバーロード!



●フルメタル・オーケストラ
「間違いない、確かにアレは弩級ダモクレス『載霊機ドレッドノート』の聖竜領域に座していた――」
「ああ……奴自身も、その戦術も、恐るべき相手だったよ」
 煙が立ち昇る市街に立って、ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)とハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)はかつての戦いに思いを馳せる。ユミルの子よりも強靭な装甲を誇る|機械兵《ダモクレス》、その中でも桁違いの強敵|だった《・・・》踏破王クビアラ――戦場で、データベースで見聞きした存在が今、こうして目の前にいる。
『貴様達ハ何ヲ言ッテイル? 戦イハコレカラダ……!』
 二人の|番犬《ケルベロス》の言葉に怪訝な声を響かせて、ぐつぐつに煮立った装甲を脱ぎ去り、真新しい鈍色に包まれたクビアラは大地を踏みしめ咆哮する。迸る魔障の煌めきが再び暴力と破壊の嵐を巻き起こし、鋒鋩の体の決戦都市は幾度目かの地獄に遭遇した。これ以上は持たない――だが。
「一時で良い! 奴のセンサーを|妨害《ジャミング》して頂きたい! 可能か!?」
「こいつはちょっとした強敵だ。出来れば|火力支援《クラッシャー》も欲しい所だが……」
 やるしかないのだ、人類が生き延びる為には。この苛烈な生存競争を勝ち抜かなければならないのだ。何度も、何度も、異世界の地獄を踏破した朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)と暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)はその巨大な脅威に臆する事無く声を上げる。
「|防壁《ディフェンダー》がもう持たない! 追加を頼む!」
「あの鐘の|狙撃支援《スナイパー》も動かせるか……?」
 それは猟兵だけでは無い、この街も同じなのだ――重なる|決戦配備《ポジション》の要請に、第三新川越市を預かる指揮官は立ち上がり、精一杯の声で叫んだ。
『出来らぁ! やってやらぁ!! |決戦配備《ポジション》、|制限解除《オーバーロード》!!!!』
 号令一下、街が震える――鳴動する決戦都市の内なる闘志は溢れる鼓動に変わり、掻き集められた機動防壁と無人突撃車輛隊が土煙を舞い上げて、一斉にクビアラの元へ殺到する。
『何ダ、コノ街ハ……コノ戦場ハ!?』
 ある車両は魔障に激突しその場で爆ぜ、ある車両は防壁を盾に前進し果敢にクビアラへ突撃する。爆発と轟音が響くと共に、続々と新たな|戦術支援《エフェクト》が戦場を埋めていった。さながら津波の様に――今や戦場を支配するものは|奴ら《デウスエクス》ではない。この街は決して侵略者のものでは無い。
『|全軍展開《オーケストラ》――さあ全部のせだ、残すんじゃねえぞクビアラッ!!』
 武装市役所の拡声器型|EMP発生《ジャミング》装置がクビアラの電脳を掻き乱し、チャージを完了した|鐘楼砲《スナイパー》がその足を止める。そうだ、敵は猟兵と番犬だけではない。この街そのものが|奴ら《デウスエクス》に対する人類の牙。火を噴いた決戦都市は川越の総決算――ここに最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

「……感謝いたします!! 往くぞ主ッ!!」
『電子攻撃カ、シカモ断続的ニパターンヲ替エテ――』
「ならば私も、この力を試すことにしよう」
 |EMP《ジャマー》と|鐘楼砲《スナイパー》で動きを鈍らせたクビアラへ迫る二体のキャバリア――小枝子の『|亡国の主《ジャイアントキャバリア》』と、ハルがこの世界で得た新たな力――『|剣の騎神《キャリブルヌス》』が戦場を駆ける。迎撃の拡散光線を亡国の主が攻性障壁で受け流し、キャバリア達はその巨体を加速させて――。
『ソレニ魔障ヲ防グ、ト。大シタモノダ』
「……何であろうが、どうだって良い!」
「こちらも忘れて貰っては困る!」
 自身も知らない、こことは違う世界でも存在しなかった、いつの間にか我が内に宿っていた|大いなる鋼《サイキックキャバリア》――それは自身の内なる剣の数々をそのまま|騎神《キャバリア》のサイズで振るう事が出来る、いわば肉体の増幅器の様なもの。故に戦術は変わらない!
「――……!!」
『クカカ! 中々ノ気合イダナ!』
 正面、触刃の間合いから強烈な踏み込みの水平突きを片手で流し受けるクビアラに、開いた体を回転させて打ち込んだ二太刀/重ね掛けした魔障のバリアがそれを遮り、反動で後退する剣の騎神と入れ替わる様に、亡国の主が続けて『竜骨爪』を突き出して立ち向かう。
「敵は! 全て!! 壊す!!!!」
『カカカ……ヤッテミロ、猟兵ッ!』
 力づくで魔障を弾き飛ばすも、巨大なその手で爪ごと亡国の主の一撃を受け止めるクビアラ。グイと手首を捻って主の挙動を制圧し、再び拡散光線の出力を上げる――。
「進めぇええええあああああ!!!!!!!!」
『ゴアアアァァァッ!!』
 裂帛の気勢と共に増強した攻性防壁が光条を爆ぜ散らし、後ずさる亡国の主めがけクビアラの拳が振るわれる。真っ直ぐに伸ばされたその腕を潜り込む様に跳ね上げて、巨大な体躯は互いにたたらを踏んで距離を取った。一進一退の攻防――否、クビアラに後は無い。だからこそ全身全霊で挑むのだ、踏破王の名に懸けて。
『流石ダナ、猟兵ッ』
「む……もしや猟兵をご所望だっただろうか」
 ふとしたクビアラの声にハルが応える。猟兵――確かに今はそうかもしれない。だが本質は、ハルの魂の在り様は|この世界のものでは無い《・・・・・・・・・・・》異次元の踏破者の称号、地獄からの使者にして人類の牙――。
「だとしたらすまない、|ケルベロス《地獄の番犬》だ」
『何……ダト!?』
「ああ。てめぇにゃキチンと名乗ってやらねえとな」
 クビアラの認識が置き換わる。彼等は、猟兵とは、単にデウスエクスの敵対存在のコードでは無い。彼等こそ数多の世界を渡り、そして|世界を救った者《・・・・・・・》達の総称――その在り様は一つでは無い。
「ケルベロスなんて柄じゃねぇし、猟兵を名乗るのも口幅ったい――」
『ナラバ貴様ハ、一体何者ダ!』
 センサを明滅させるクビアラをじろりと見上げ、端末を仕舞いながら魎夜が戦いの言葉を唱える。情報の整理はこれ以上必要ない……後は刃を交えるのみ!
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! |起動《イグニッション》!」
 魎夜が手にしたカードを回すと共に全身を包み込む『魎皇白夜』――赤と黒の装甲と、渦巻く炎が全ての武装を解放する。二度の破局を乗り越えた|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の戦士は二振りの剣を手に戦線に躍り出て、殺到する光条を切先で逸らし破壊の渦中を掻い潜った。
「さっきまでの奴らより動かないようだが、いつまでそうしていられるかな!」
『何故ダ、何故当タラン!?』
 足を止めて撃ち合って退けられる程、魎夜は柔では無い。心の眼と戦士の記憶――『|銀の嵐の記憶《メモリー・オブ・シルバーレイン》』は彼の者に匹敵するかつての戦いの記憶を魎夜に重ね、導かれた答えに従う魎夜に迷いは無い。それは幾度となく駆け抜けた、死と隣り合わせの日常――。
「知らねえのか? 銀誓館の能力者に一度見せた技は通じねえよ」
 戦いの年季と密度が違うのだ。クビアラの知らない戦いの記憶には、十重二十重に張り巡らされた魔障の輝きすら届かない。瓦礫まみれの市街地を飛び跳ねて空を駆け登り迫る魎夜――あと僅かで、届く!
「数限りない魔性に異界からの来訪者の跋扈する|銀の雨降る世界《シルバーレイン》、そこを戦い抜いた|嵐獅丸達《ストームブリンガー》の記憶が俺の武器だ」
 水平に身体を反らし、限界を超えた機動で滑る様に光条の間をすり抜ける――正面、ギラついたセンサ目掛けて振るうは『|滅びの業火《魔剣》』と『|月魎斬式《震鎧刀》』の二重奏!!
『グガッ!?!?』
「弱点なんざそう簡単に抜けると思うなよ? どっからでもかかってきやがれ!」
 二刀の斬撃波が十字の傷を装甲に刻み、魎夜は瓦礫の中へ姿を消す――だが攻撃の手はこれで終わりではない。その後に続くジークリットがクビアラの足元に辿り着き、星辰を纏う武装をギラリと煌かせた。
「さて、|木偶の坊《ユミルの子》相手であったが、|馴らし《ウォーミングアップ》と幾分かの感は取り戻せたようだ」
 クビアラを見上げジークリットはニヤリと口端を歪める。魎夜が齎した戦いの記憶は仲間達にもその力を分け与えた。最早魔障は恐るるに足らず、懐に入り込んだジークリットは|アームドフォート《鞘》に封じていた|愛剣《ゾディアックソード》に宿りし|重力《グラビティ》を解放することで、武器に|魔法《重力》を纏わせる――幾度となく繰り返した戦いの形は身体に染みついている。後は思うだけでいい。
「……星剣、抜刀! 何せ久々の事だ、加減は出来ないと思え!」
『ソノ力、|黄道神《ゾディアック》ノ力ナノカ……!?』
 続くは|異なる世界《ケルベロスブレイド》の戦いの記憶――流星と化したジークリットが放つ一閃が、鈍色の装甲に深々と一文字の痕を刻み込む!
「さあな、貰ったぞ……ゾディアックブレイク・オーバーロード!」
 瞬間、炸裂した|超常《ユーベルコード》の煌めきがクビアラの脇腹で爆ぜた。電磁バリアーの展開も間に合わない刹那の輝きはやがて戦場を染め上げて、ジークリットはふわりと後方へ降り立った。
「魔障の完成に躍起となっていたと聞いていたが……姿のみならず行動パターンとは同じとはな」
『貴様、魔障ノ何ヲ知ッテ――』
 最終的に自らの力と解析を過信する、それがクビアラの弱点。それを凌駕する異世界の埒外があれば切り崩す事は容易だ。そしてジークリットは魔障にこだわり過ぎた|クビアラの最期を知っていた《・・・・・・・・・・・・・》。
「何の話だと? あちら同様、魔障は完成には至らず|骸の海《デスバレス》へ送り返されるだけだという話だ」
 そう、結末は変わらない。踏破王は自らの力に溺れ、やがて沈むのだ――この世界に猟兵が、ケルベロスがいる限り。

「私自身も貴様が敗れてから最前線たる日本へ渡った身だ。知らぬモノ同士、思う存分やり合おう」
 ジークリットの声と同時に、巨大な影――ハルの剣の騎神がクビアラの前に再び躍り出る。四人の攻撃で膝を突いたクビアラを叩くならば今が好機。更に|鐘楼砲《スナイパー》の|追撃《足止め》が巨兵の自由を奪い、刃を纏いし地獄の番犬は一気呵成に距離を詰める。
「――我が内なる刃よ集え」
 凛とした声音が響き、虚空より現れた|十二の刃《ブレードライズ》が円を描いてクビアラを取り囲む。空を震わす鋼の音は徐々に集束し、さながら刃の花弁の如くクビアラへ切先を突き立てた。
「無明を断ち切る刹那の閃き――」
 その刃はどれもが意思を持つかの様に、足を止めたクビアラの装甲の隙間を精緻に、鋭利に切断していく。大小色取り取りの刃にオイルの残滓がどろりと滴り落ちて、剣の騎神は鍵たる|刃《刹那》をその手に取る。剣の境界の支配者を止められる者はここには無い。それこそが殺界の本質、ハルの|超常《ユーベルコード》――。
「絶望を切り裂く|終《つい》の|剣《けん》――|永劫刹那《えいごうせつな》」
 カカシの様に立ち尽くすクビアラに打ち込まれる鋼の螺旋/続けて巨大な|殲滅剣《アイシャ・クラウ》の追撃が鈍色の巨体を吹き飛ばし、倒れ伏せたその胸元に|一対の閃光剣《"蒼星"と"緋月"》が十文字を刻み込む。
『コレ程トハ……ダガ』
 最早クビアラにひび割れた装甲を再生する余力は無い。ならば、と纏った魔障が太陽の様に激しく燃える。圧縮された高密度のエネルギーが紫電と共に爆光を侍らせて、この街ごと全てを崩壊させる気か――!
「さ゛せ゛な゛い゛」
 割れた大地を踏み荒らし、獣が吼える。亡国の主が――小枝子が持てる最大の力を振り絞って最短最高速飛翔突撃! 衝撃と共に組み付いたクビアラへ戦塵縛鎖を絡みつかせ、最大稼働の魔眼の力で内側から破壊の力を流し込む!
「壊れろ! |機械仕掛けの巨兵!!《デウスエクスマキナ!!》」
『全車突撃、ありったけを叩き込め!!』
 最早敵は動けず、残された|突撃車輛《クラッシャー》が満載した火薬ごとクビアラの五体にぶつかった。戦場を埋め尽くす爆音と凄烈な火球が大地を焼き尽くして、紅蓮の奥に佇む影がぐにゃりとその姿を歪める。
「悪く思うな。ちょっと所じゃ済まないぜ!」
「言ったろう、加減は出来んと!」
「鍛えなおして来い、踏破王!」
 そして限界を凌駕した猟兵達の一撃――存在否定の黒き雷が、星辰の眩い光が、嵐の様な刃の数々がその影に殺到し、組み付いた亡国の主は揺るがず、終焉を齎す『|戦塵突撃《トツゲキ》』の爪が巨兵のコアを抉り取る――!
「ァァァ……アアアアアアッ!! 砕けろッ!!!!」
『グ……ガガ……』
「防壁展開! 爆発の被害を最小限に!」
 耳をつんざく轟音と視界を埋める紅蓮の炎。間一髪飛び去った亡国の主が焼け爛れた装甲を空から振り落とす。
 そして、鈍色の巨大な暴力は、形無き影に呑まれ消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ケルベロス密着取材』

POW   :    勇猛に戦う姿を見せる

SPD   :    鍛錬に勤しむ姿を見せる

WIZ   :    プライベートを楽しむ姿を見せる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦い終わって
『まず道路の復旧、その後建造物の復旧。|決戦配備《ポジション》は後回しにするしかないだろう……』
『でも予算が、ね』
『言うな!』
 踏破王クビアラは猟兵達の活躍で遂に滅びた。しかし相手は|不死存在《デウスエクス》――傷を癒せば再び姿を現すだろう。だが、少なくともこの戦いに人類は勝利した。第三新川越市は明日を手に入れる事が出来たのだ。
『まぁ……その、何だ』
 それでも指揮官はバツが悪そうな顔で猟兵達をちらちらと見やる。何か言いたい事があるようだ。
『アンタたちは皆功労者だ。だが、この戦いで大勢の市民が傷ついたのも事実だ。んで』
 確かにこの街は深く傷ついた。無人復旧ロボットが忙しなく壊れた街の設備を直してはいるものの、指揮所はそのコントロールで手一杯の様子。要は死ぬほど忙しい、との事だ。
『……使える|決戦配備《ポジション》は貸しますんでェ、もう僕ら疲れちゃって、全然動けなくてェ……』
 だからこそ、傷ついた人々を勇気付ける為にも、今しばらく力を貸して欲しい、と指揮官は頭を下げる。
『何かその、復旧とか、慰問とか、さっきの戦いのインタビューとか、受けて貰えませんかねェ』
 いつの間にか、マイクとカメラを手にした人々がわらわらと指揮所の周りに押し寄せていた。
 恒例行事らしい。
 兎に角、この戦いについて語るも良し、復旧作業を手伝うも良し。
 何なら思いつく限り自由に動いて貰っても構わない。
 この街が明日を明るく迎える為に、ケルベロスと猟兵達にもう一仕事果たしてもらいたい、のだ。
ジークリット・ヴォルフガング
●WIZ【ケルキュア】
ここのケルベロスは事後のヒール活動をやらんのか
…ようやく姿を見せたか|白饅頭《ナノ》
ふむ、そうなると私が居た世界の『幻想化』は起きぬのか
…まぁ、それが本来の正しき姿なのかも知れぬな

だが、ケルベロスは牙を持たぬ者の剣であるのには変わりあるまい
久しぶりに生放送で…ここにはそんな物はないだと…ッ!?
ケルチューバー…なるほど、個人レベルでの動画投稿か
だいぶ私が居た世界とは変わっているが、郷に入らずんば郷に従えだ
それなら話が早い

|決戦配備要請《ポジション・オーダー》|、キャスター
私もそのケルチューバーになってやろうではないか
コスプレの題目は…魔法剣士ケルキュア
いくぞ、サーヴァント!


ナノ・ナーノ
●WIZ【ケルキュア】

お疲れ様なの
ナノが見込んだ通りの活躍だったのなの
宇宙船の中でナノが説明した通り、ここの世界ではグラビティ・チェインはあってもグラビティは使えないなの
その代わり、ユーベルコードでどうにかしないとならないのなのー

ニコニコ生放送なの?
そんなものこの世界には無いなの
あるとすれば、ケルチューバーなの!
ケルベロスが個人撮影した動画を、動画サイト以外にもSNSとかでバズらせる奴なの

なのなの
ジーク、ものすっごく張り切ってるなの!
やっぱりナノが見込んで猟兵になって貰った人なの!
魔法剣士にはマスコットが必要不可欠だし、ナノもお手伝いするなのー
会場のみんなも『めろめろハート』で癒やすのなのー



●ふたりはケルキュア
「ぶっちゃけあり得ないなの」
「……まぁ、それが本来の正しき姿なのかも知れぬな」
 ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)はしたり顔で、ようやく姿を見せた|白饅頭《ナノナノ》――ナノ・ナーノ(ナノナノなの・f41032)と言葉を交わす。|宇宙船《万能戦艦》の中でナノが説明した通り、|ここの世界《ケルベロスディバイド》ではグラビティ・チェインはあってもグラビティは使えない。故にここのケルベロスは事後のヒール活動をやらないし、世界の『幻想化』――|世界の傷を癒す代わりにあり方を変えてしまう荒療治《建物とかを直すと何か凄い変な形になる世界の法則》――は起きない。
「だが、ケルベロスは牙を持たぬ者の剣であるのには変わりあるまい」
「そうなの。だからユーベルコードでどうにかしないと――」
 代わりにユーベルコードでどうにかする必要がある……と、ナノはジークリットに説明していた。それでも、ジークリットはケルベロスならではのもう一つの戦い方を熟知していた。
「ならば久しぶりに生放送で……ここにはそんな物はないだと……ッ!?」
「ニコニコ生放送なの? お前はさっきから何を言ってるんだなの」
 そう、無いのだ。ここはケルベロスブレイドでは無い。ケルベロスディバイドでは配信プラットフォーム戦争で以下略。つまり生主がなんやかんやしても何も起きない。それらは形を変えてここにある。
「ここのケルベロスは事後のヒール活動をやらん上に、|動画投稿《プロパガンダ》もしないのか」
「そんなものこの世界には無いなの。あるとすれば、ケルチューバーなの!」
 ケルチューバーとは、ケルベロスが個人撮影した動画を、動画サイト以外にもSNSとかでバズらせる事で市井の人々に理解と勇気を促す教養兼広報コンテンツである。それらを個人単位で行う事が浸透している|この世界《ケルベロスディバイド》では、大掛かりなイベントを仕込まなくとも日常的に啓蒙する事が可能なのだ。
「ケルチューバー……なるほど、個人レベルでの動画投稿か。ならば私もそのケルチューバーになってやろうではないか」
「なのなの。ジーク、ものすっごく張り切ってるなの!」
 |決戦配備要請《ポジション・オーダー》、キャスター。だいぶ私が居た世界とは変わっているが、郷に入らずんば郷に従えだ――舞台を用意して貰い、人々を勇気付ける素敵で可憐な物語を伝えようじゃないか。
 |舞台《コスプレ》の題目は……魔法剣士ケルキュア!

――|Where there is gravity, there is DEUS EX, and fear reigns.《グラビティある所に、デウスエクスありき。古の時代より、人々はそれを恐れた》
(ちょっと待て、何か違わないか)

  |But by the blade of Kerberos,mankind was given hope《しかし、デウスエクスを断ち切るケルベロスの剣によって、人類は希望の光を得たのだ》
(違わないなの。会場のみんなも『めろめろハート』で癒やされてるなのー)

 川越ド○キの屋外駐車場に設けられた特設ステージの薄暗い帳の中で、筆文字めいたエフェクトが獣に、悪魔に、剣に、そして剣士の形となる。重々しいアナウンスの声にジークリットは溜息を吐いた。違うそうじゃない。
「癒されて……ええい、ままよ! 行くぞザ……サーヴァント!」
「それ以上言っちゃいけないなの」
 荘厳なオープニングと共に熱い歌声が会場を沸かす。狼を模した漆黒の甲冑――共に戦場を潜り抜けた歴戦の相棒を危うく金メッキされる所だったが断固阻止。|星辰の剣《ゾディアックソード》を手に舞台へ躍り出たジークリットに絶叫と熱狂と万雷の拍手が浴びせられる。魔法剣士というがほぼ剣士じゃないかこれ。
「やっぱりナノが見込んで猟兵になって貰った人なの! 魔法剣士にはマスコットが必要不可欠だし、ナノもお手伝いするなのー」
(なんで指輪から白饅頭の声が……)
 開幕前に預けられた厳めしい髑髏の指輪はナノの声がするリモコンスピーカーだった。しかも若干イケボ気味に加工されており、その|リアクション《ユーベルコード》にオーディエンスはめろめろになっている。対象の傷は治った。
「やってやる……悪しきデウスエクスは、私が斬る!」
 そして、素敵で可憐な物語は、不敵で苛烈な物語に姿を変えて始まった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

怠惰な奴~!まったく何がDIVIDEだ!つくづく地球人は絶滅していい動物の中に入る…っと言いたいのを我慢して…!
密着取材か…ならば思う存分好き勝手にやらせて貰うからな!
あ、配備はキャスターでパフォーマンスもりもりで♪

あー取材陣諸君!私はベルト・ラムバルド!我々はケルベロスでなく猟兵と呼ばれますが…
私のことは騎士と呼んでください!フフン!

そしてこれが我が剣にして鎧にして馬ともなるキャバリアはパロメ…

「皆さま初めまして~!私、クロムキャバリアのパロミですわ~!」

…なぁー!?ま~た勝手に変身したぁ~!
いやぁ違うんです!たまーーーに勝手に女性に変身するんですけどね!?
あーこら撮るな見るな!



●この惑星の住人は
「怠惰な奴~!」
 幾ら激戦の後片付けとはいえ、こうも投げっぱなしなのは如何かと思う。まったく何がDIVIDEだ! つくづく地球人は絶滅していい動物の中に入る……と思っても口に出さないのが騎士道。ベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)は溜め息を飲みこんで深呼吸しながら、カメラを持って右往左往する取材陣を流し見た。
「広報対応など本来は私の仕事ではないがな」
 密着取材か……何を浮かれているのだ。戦争は未だ継続中だとはおくびにも出さず、ゆったりとした足取りでベルトは彼らに近付く。ならば思う存分好き勝手にやらせて貰うからな!
「あ、配備はキャスターでパフォーマンスもりもりで♪」
 |何となく後光《ハイパーカリスマオーラ》が射している猟兵に一抹の不安を覚えつつ、|決戦配備《ポジション》担当は厳かに舞台を整えた。

「あー取材陣諸君!私はベルト・ラムバルド!我々はケルベロスでなく猟兵と呼ばれますが……私のことは騎士と呼んでください!フフン!何を隠そう私こそクロムキャバリアは東方の国に生を受け世界を股にかける光明の宇宙暗黒騎士!思えば遠くへ来たものだ。何せ故郷はいつ始まったとも終わるとも分からない戦争に次ぐ戦争!そう、この世界と同じく私の故郷は戦場そのもの!だからこそ好きにものも言えないこんな世の中を打倒!成敗!正しく導くために日々世界を股にかける光明の宇宙暗黒騎士!こんな私も猟兵としての初仕事は」
 よく喋るなあ……取材陣が面食らったのも無理は無い。しかもベルトのテンションが上がるにつれて後光が眩しく輝く為にどの写真も大変な事になっている。そして配信映像も何か巨大な怪獣兵器が発進しそうな勢いでビカァーッ! ビカァーッ! と逆光が射しているからたまったものでは無い。
「――何といっても私の故郷の特産品はキャバリア。違うクビアラじゃないキャバリア。5m程の人型機動兵器だ。じゃあクビアラと一緒じゃんって?違う違う違う、何もかもが違う。あんな塗装をケチった安っぽい鉛色と一緒にしてもらっては困るんだよ君ィ……よろしい。ならばお見せしよう」
 途端、光が鎮まる。同時にベルトは|指輪をはめた手《エンゲージ・リング》を天に掲げ、厳かに言葉を続けた。
「これが我が剣にして鎧にして馬ともなるキャバリアはパロメ……」
「おーほっほっほ! おーほっほっほ!!」
 爆音と共に空を破って現れたのは巨大なお嬢様。すわデウスエクスの来襲かと色めき立つ現場を横目に、巨大なお嬢様は威風堂々と自己紹介を始める。
「ごきげんよう地球人。そして初めまして~! 私こそ至高にして優雅にして勤勉にして絢爛なるクロムキャバ」
「……なぁーにぃ~!? ま~た勝手に変身したぁ~! いやぁ違うんです! たまーーーに勝手に女性に変身するんですけどね!?」
 呼び出された|キャバリア《パロメデス》は|キャバ嬢飛翔《ソラトブキャバリアオジョウサマ》――異世界の呪いでナニカサレタ巨大な騎士はお嬢様と化して、四方八方に視線を送ればたちまちフラッシュの洪水がベルトの後光すらかき消して光の渦と化す!
「クロムキャバリアのパロミ! パロミ・デス代をよろしくお願いいたしますわ~!!」
「あーこら撮るな見るな! 一枚千円だ! 一枚千円だぞ!」
 ベルトの落胆とは裏腹にヒートアップする会場……これも全てパラダルクって奴の所為なんだ。だが、人々に笑顔が戻るならこれもまた良し、だろう。今日の太陽も相変わらず眩しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト

別に構わねーぜ
|ボーナス《残業代》分の働きにゃ、ちと足りねーなって思ってた所だ

脚部パイルバンカー以外の武装を全部外して、瓦礫の撤去やら道路の補修やらの土木作業を手伝う
デカすぎる瓦礫をパイルで粉砕したり
前面に展開した盾を地面スレスレに構えてブルドーザー代わりにもできる
|決戦配備《ポジション》要請、あたしに作業用重機を貸してくれ
重機の類いは一通り操作出来る
実質二人分の即戦力ってワケだ

今回のボーナスは|予備燃料《美味い酒》の補充に回してやっからな
もう一働き頼んだぜ、ビッグタイガー
(サムズアップで応える)
(ご褒美と聞いて静かにテンションUP)



●その鋼は誰がために
「あっちも随分派手にやってんなー」
 望遠カメラがとらえた盛況ぶりに苦笑しつつ、チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)は『ビッグタイガー』の装備を整える。ここから先に重火器は必要無い――主砲や機関砲といった全身に装着した武装を外し、これから始まる作業に必要な一通りだけを残してチェスカーは機体から降りた。
『お待たせしました。操縦はマニュアルですが、本当によろしいのでしょうか?』
「別に構わねーぜ。|ボーナス《残業代》分の働きにゃ、ちと足りねーなって思ってた所だ」
 丁度、|決戦配備《ポジション》を依頼した担当官から頼んでいた|重機《マシン》が届けられる。操縦系には幸い|音声補助《ボイスコマンダー》もついており、大まかな動きは指示を出せば適切にこなせるとの事。
『しかし……わざわざ貴官までこの様な事をなさらなくても』
「貴官なんて柄じゃねえぜあたしはよ。それに|こうした方が《・・・・・・》仕事になるのさ」
 担当官の言う通りビッグタイガーが自律行動を取るならばここまでする必要は無い。だが、|このユーベルコード《ハードラック・ロックンロール》は連携する事で真価を発揮する――そしてビッグタイガーは、椅子の上でふんぞり返る奴の指示を黙って聞いてる様なタマでは無い。
「仕事は協力して励め、って事さ。じゃあ動かすぜ」
 そもそもチェスカーは重機の類いを一通り操作出来る。細かい操縦法が分かればマニュアル操作でさっさと終わらせるのも良い。安全装置を解除して機関を回すと共に、耳慣れた心地よい振動がチェスカーの全身を揺らした。
「しかしまぁ、こっちも随分派手にやらかしたものだ」
 飛散した瓦礫とひび割れた道路、消火が終わり水浸しになった戦場跡をずらりと見渡して、チェスカーはゆっくりとアクセルを踏み込む。既にビッグタイガーは前面に展開した盾をドーザー代わりに作業経路を確保しつつ、目立つ巨大な瓦礫をパイルバンカーで破砕しながら、その後ろからチェスカーの重機がバケットで瓦礫を丁寧に回収する。
『想定の二倍速い……恐れ入ります』
「動かないマトが相手だ。外しはしねえよ」
 実質二人分以上の即戦力――自動操縦で同じ事をしてもこう上手くはいかないだろう。あっという間に片付いた更地を後にして、チェスカーとビッグタイガーは次の現場へと向かった。
「今回のボーナスは|予備燃料《美味い酒》の補充に回してやっからな。もう一働き頼んだぜ、ビッグタイガー」
 ガラス張りのコクピットで|親指を立てた《サムズアップした》チェスカーに応える様に、ビッグタイガーが激しく機関を唸らせる。自我を持ったマシンにとって|それ《美酒》はご褒美――けたたましく煙を上げながら、二台のマシンは荒れ果てた川越を駆けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル


これから"爆撃"をします

今拙者は空の上にいるんでござる
ゾnowなギアはないでござるが軍用機召喚のUCを使って爆撃機をお出しした訳でござるよ
まさか味方を爆撃しないだろって?やっちゃうんだなぁこれが!

ヒャアがまんできねぇ!投下だ!
爆弾倉に敷き詰められた大量のパンジャンドラムが投下され絨毯爆撃の如く空と地上を埋め尽くし…
虹色の爆発!煙が晴れたらそこには元通りのビル群が!くぅ~これこれ!このわざとらしいヒール味!

これぞ|スクラップ&ビルド《スクラビルド》ならぬスクラップ&スクラップ!
|ヒール《回復グラビティ》が使えない?物が直せない?知るか馬鹿!できちゃうんだなこれが!常識の全てをぶっ壊んDA!



●KAWAGOE WAR
『|決戦配備《ポジション》、|集中爆撃《クラッシャー》!? 誰だそんな指示を出したのは!』
『ふ、不明です。しかし既に入間から爆装したF-35が一機こちらへ向かっているとの報告が……』
 現場は騒然としていた。既にクビアラとの戦闘は終結している。にも拘らず新たな戦力が投入されたという報告――既に現場は復旧作業が始まっており、このまま不明勢力との交戦が始まるとなれば只事では無い。
「あー、テステス。こちら魔王」
『オープンチャンネルより不明な通信を確認! これは……入間のF-35!』
『何者だ、戦闘は既に終わっている! 直ちに引き返せ!』
 どこかで聞いたことがある様なだみ声に対し怒声を浴びせる指揮官。しかし魔王を名乗るパイロットは歯牙にもかけず、言いたい放題言葉を続けた。
「終わってるですと? デュフフ……違いますな」
『目標確認……直上です』
 ステルス機たるF-35の隠蔽能力はダメージを受けた第三新川越市の防空網を易々と通り越した。途端、爆音と共に黒い影が指揮所上空に躍り出る。
「はい、では――これから"爆撃"をします」
『F-35ウェポンベイ展開! ああ、駄目です! 駄目です!』
『馬鹿! 今すぐやめろ! 馬鹿! ここに敵はいない!』
『誰かあの馬鹿を撃ち落とせ! 何、猟兵も武装解除してるだと!?』
 馬鹿馬鹿と傷つくでござるなぁ……パイロットはしょぼんとした表情で丁寧に投下スイッチをポチっとする。それでも止める訳にはいかない。この街を元に戻す為には――。
「ヒャアがまんできねぇ! 投下だ!」
『ア゛ァ゛ーーーー!!!! 馬鹿ァーーーー!!!!』
 途端、風切り音と共に無数の|車輪型爆弾《パンジャンドラム》が投下された。

『ば……馬鹿……な……!?』
 無数のパンジャンドラムが爆発と共に齎したものは|破壊された建造物の修復《ブレイブマイン・パンジャンドラム》だった。
「今拙者は空の上にいるんでござる」
『知ってるよ!』
 声の主、コールサイン魔王――エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は何やかんや軍用機を徴発して爆撃作戦を敢行したのだ。しかし曲がりなりにも猟兵だったりケルベロスだったりするこの黒髭、まさか味方を爆撃しないだろって皆は信じていた。
「やっちゃうんだなぁこれが!」
『これがじゃねえよ! って……』
 しかしその爆発は|超常《ユーベルコード》、物体を修復、生物を治療するカラフルな爆発。悍ましい色味の煙が濛々と立ち込めた奥で、瓦礫まみれの市街地は瞬く間に元通りに――。
『報告! ダメージを受けた市街地が何かされた様に修復されてます!』
『角が生えて、色がけばい感じに……これは一体?』
「虹色の爆発! 煙が晴れたらそこには元通りのビル群が! くぅ~これこれ! このわざとらしいヒール味!」
『一体何なのだこれは!!』
 これぞ|スクラップ&ビルド《スクラビルド》ならぬスクラップ&スクラップ!
 |エドゥアルト《この髭》が元々いたらしい|あっち《ケルベロスブレイド》では日常茶飯事だった建造物のヒールという戦後のお約束。グラビティを使用して破壊された諸々を|幻想化して《何だか変な雰囲気で》修復してしまう、向こうのケルベロスなら大抵誰もが出来る荒業の事。
「安心して下さい。機能は変わりません」
『ああ! 文化遺産が! 文化遺産が!』
 いけね関係無い所までやっちゃった。まあいいやサァ行くか――|ヒール《回復グラビティ》が使えない? 物が直せない? 知るか馬鹿! |できちゃうんだなこれが! 常識の全てをぶっ壊んDA!《http://tw5.jp/html/world/03world_tw5.html》 黒髭はご満悦だった。
『ここからでも入れる保険って無いの……?』
「大丈夫だから! これはただのヒールだから!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧崎・天音
この世界では…やっぱりヒールはできないみたいだね…
(自分の世界と同じようにヒールをかけようとするも、そもそも発動せず)
えっと、何を話せばいいのかな…とりあえず物資の搬入の手伝いをさせてもらっても…いいかな?
(あちこちに置かれている物資の移動など、復旧の手伝いを行う)
アダム・カドモンか…その、あの人はどんな人かな?
(自分の世界のケルベロスたちの最後の戦争の相手。なので気になってしょうがない)
私はその人に感謝かな。あの人の協力でこの街の被害も…少なくなってるんだよね?
出来る限り私も協力したい。



●遠い世界の記憶
「この世界では……やっぱりヒールはできないみたいだね……なのに」
 霧崎・天音(異世界のラストドラゴンスレイヤー・f40814)は道路の亀裂に手をかざしヒールを試みるも、何も起こらない事実を確認して肩を落としていた――たった今まで。
「何してくれてるのですかあの髭は……」
 不意に耳をつんざく爆音と共にカラフルな煙が噴き出して、たった今自身が諦めた|幻想《ヒール》が目の前で展開されたのだ。犯人は髭である。どちらにせよあれはグラビティでは無い、ユーベルコードによる埒外の奇跡だ。
(残念だが同じ事は出来ない。あくまで私がやれる事を進めていこう)
 |あちらの世界《ケルベロスブレイド》では当然だったヒールによる修復と幻想化も|こちらの世界《ケルベロスディバイド》では異常事態に変わりは無い。説明すれば何とかなるだろうが一旦それは置いて、天音は様々な車両がひっきりなしに行き交う指揮所――本来の姿である運送拠点のトラックヤードへ向かった。

「えっと、何を話せばいいのかな……とりあえず」
 トラックヤードには雑多に積まれた救援物資と、それを整理・割振りする担当官、そして只管に救援物資を降ろしたり積んだりと忙しなく動くスタッフがいた。しかしその人数は足りているとは思えない程、明らかに作業が回っていない。来た甲斐があったと安堵した天音は、早速自らも作業に取り掛かった。
「物資の搬入の手伝いをさせてもらっても……いいかな?」
 戦闘後の急造シフトで且つ荷物が定型化されてない現状、細かな救援物資は機械では無く人の手で荷下ろしせざるを得なかった。それが疲弊した現場で一番求められる戦力と理解した天音は、早速ロジの荷下ろし要員として作業を始める。レプリカントの膂力と精密さがあれば、強引に詰め込まれサイズもバラバラな荷物であろうと運びきる事は容易い。
(仕事も分かって来た。折角だし……何か聞いてみようかな)
 大小様々な荷物を丁寧に仕分けた天音は思考を巡らせる。矢張りこの世界に来て一番驚いた事――アダム・カドモン。自分の世界のケルベロス達の最後の戦争の相手にして、最大の――それこそクビアラどころでは無い強敵だった彼が、この世界ではケルベロスを組織化してデウスエクスに対抗する司令長官となっているらしい。正直複雑な思いで一杯だが、その事実は改めて確かめざるを得ない。
「……その、アダム・カドモンってどんな人かな?」
『アダム長官ですか? ええと』
 共に荷物を仕分けしているスタッフにそれとなく聞いてみる。特務機関DIVIDE長官――その功績と実績は枚挙に暇が無い。世界中に決戦都市を建造し、彼奴らの飛翔体『|小剣《グラディウス》』への対抗手段を地球に齎した。もしかしたらその技術は|彼の本星《マキナクロス》(もっとも、この世界でも同じであるかは不明だが)も関わっている可能性がある――何せ|あちら側《ケルベロスブレイド》でも、刃を交えた後に星々へ渡る技術を授けてくれたのは他ならぬ|超神機アダム・カドモン《かつての自分の最高司令官》の言葉があったから、残るダモクレス達が力を貸してくれたのだ。
『何より我々の意思を尊重して下さいますからね』
「ふーん、そうなんだ」
 つまり、基本的なメンタリティはあちらと変わらない、という事だろうか。事情が違うとはいえ、もしもこちらと同じ様に手を取り合う未来があったなら……いや、これ以上は止そう。
「じゃあアダム長官に感謝、かな。その人の協力でこの街の被害も……少なくなってるんだよね?」
『ええ、勿論』
 自ら考え、決断するのだ。存在しない筈の魂に従え。諸君の決断・決定は、私の意志よりも尊いと知れ――いつかの言葉が脳裏を過る。その決断に従い、この街も、私も、今がある。
「ありがとう。出来る限り私も協力するよ。じゃあ次は――」
 にっこりと微笑み、天音はスタッフと共に次の仕事に取り掛かった。その誇るべき意思は自らの物だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリザベス・ナイツ
【ハルさんと参加】アドリブ◎
◆心情
川越市は、昔から小江戸と呼ばれる日本情緒あふれる都市だったのよね?
デウスエクスとの決戦で防衛都市としての機能を備えたといってもきっと住む人の心は依然として変わらず、古い町の外観も残っているのかな。歴史と人の命を紡ぐことが出来るように、街の修復頑張らなくちゃ!


◆行動
メディックで参加。まずは負傷者の治療を。次いで、破壊された施設を修復していきます
途中で、誰かの視線をふと感じたのは私の気のせい?
私を見守っている、力強く優しい視線を受けながら……一人でも多くの人の心に添いつつ、都市と人の治療に専念します


ハル・エーヴィヒカイト
【エリザベスと参加】
アドリブ○
▼心情
エリザは過去の記憶に刻まれた女性
しかしブレイド世界での関係性がどうであれこの世界では未だ出会ったことのない相手だ
ならば今は私もそのように振舞わなくてはならないだろう

▼ポジション
キャスターを要請
癒しの結界を強化

▼行動
私自身はUCを使用し、物理的に傷ついた人々を癒す
これで回復したな? 動ける手数は多いに越したことはない
君たちだけではなく、されど我らだけでもなく、皆共に働くのだ
……ロケットをくっつけられたくはないだろう?

そんな中で治療や復旧作業に力を尽くすエリザを見つける
彼女が困っている所に私は気取られぬようにこっそりと手助けする
あぁ、今はこれでいいさ



●追憶
「川越市は、昔から小江戸と呼ばれる日本情緒あふれる都市だったのよね?」
 煤混じりのべとついた風がエリザベス・ナイツ(もう一つの月・f40801)の頬を撫でる。戦い終わって各地より集められた救援と共に川越へ降り立ったエリザベスは、災厄の爪痕がはっきりと残る市街を一瞥し、同道したオブザーバーの女性に詳しく状況を尋ねていた。
「デウスエクスとの決戦で防衛都市としての機能を備えたといってもきっと住む人の心は依然として変わらず、古い町の外観も残っているのかな」
『ええ。一部は結構な改造がされてますが、景観は可能な限り残しておりますので』
 何せこの街自慢の鐘楼そのものが決戦兵器なのだ――それでも、平時の穏やかな雰囲気を残す為に外観の改装は最小限に抑えられている。今回出番は無かったが、荒川の川底にも武装は色々と仕込まれている。
「歴史と人の命を紡ぐことが出来るように、街の修復頑張らなくちゃ!」
『ありがとうございます。ケルベロスの方にお力添え頂ければ、市民の皆さんも喜ぶでしょう』
 そうだ。エリザベスは決戦都市の武装を見に来たわけではない。一人でも多く、この戦いで傷ついた人達を救う為に――|避雷針《ライトニングロッド》を握る手に力が篭る。エリザベスの戦いはここからなのだ。

(エリザは過去の記憶に刻まれた女性。しかし――)
 意気軒昂に歩を進めるエリザベスを物陰で見守るハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は、己が脳裏に浮かび上がる|異世界の記憶《・・・・・・》に頭を振った。彼女は――エリザは俺の大切な人、らしい。だが、それはあくまで|異世界《ケルベロスブレイド》の話。
(ブレイド世界での関係性がどうであれ、この世界では未だ出会ったことのない相手だ)
 いきなり現れて身の上話をする様な野暮では無い。これ以上敵が現れる事も無いだろうが、今は彼女をそっと見守る事にしよう――思案している内にエリザベスは、目的の救護エリアへと辿り着く。
「まずは負傷者の治療を。次いで、破壊された施設を修復していきます」
『はい。|救護テント《メディック》はこちらに。派手にやりましたからね……』
 彼女らしい選択だ、などと考えてしまうのは余りにも都合が良すぎるだろうか。だが、あの優しくて美しい歌声に何度支えて貰っただろう。それが自分自身の――否、それは俺じゃあ無い。
「ケルベロスです! 救護活動に来ました――」
(ならば、今は私もそのように振舞わなくてはならないだろう)
 避雷針に力を込めて賦活の力を振る舞うエリザベス――先だって|魔力支援《キャスター》の手配をしておいて正解だった。こういう時は異世界の記憶も役に立つ。それに、自身の|超常《ユーベルコード》が周辺に癒しの領域を展開しているのだ。一秒でも早く人々を癒す為に、やれる事は全てやっている。
「……と、私が何もしない訳にもいかないな」
 エリザベスと離れて新たに救護の列を形成するハル。実際、怪我だけでは無くこの戦いで気分を悪くした者だって大勢いる。咲き乱れた『境界・碧月光華』の刃を一振り、顔色の悪い男の額にそっと当てた。
「――これで回復したな? 動ける手数は多いに越したことはない」
 軽い熱中症だろう。刀剣が宿した癒しの霊力が染み渡ればたちまち回復する――自身の内なる刃は決して戦うだけのものでは無い。
「君たちだけではなく、されど我らだけでもなく、皆共に働くのだ」
『ありがとう! ええ、やるべき事は幾らでもありますから!』
 破顔してぺこりと頭を下げる男に手を振るハル。この調子ならば川越の復興もきっと早い。人々の心さえ折れなければ、世界はそう簡単に終わらない事をよく知っているから。
「そうだ。君もロケットをくっつけられたくはないだろう?」
『?』
 不思議そうな顔を浮かべ、回復した男は背を向ける。ありもしない未来に苦笑して、ハルは治療を続けた。

(何だか、急ごしらえの割に治療がしやすい、様な……)
 一方、エリザベスは治療の効きが強くなっている事に小首をかしげる。確かに決戦配置で用意は整えて貰ったが、あくまで場所と段取りだけな筈――何となく感じた違和感を胸にしまって、エリザベスは治療を引き継いで貰い移動を始めた。
「次は施設の修復ですね! ここはどうしましょう?」
『ああ、その施設は――』
 そこはクビアラとの戦いで大きくダメージを受けた展開式防壁の制御装置だった。何度も魔障の直撃を受けながらも本体が落ちぬ様、幾つも張り巡らせたバイパスを全て使い疑似重力障壁を稼働させていた立役者だ。しかし遂に限界を迎えて制御装置は音も無く稼働を止めたのだった。
(ふむ……ヒールとやらは使えないが、これでも役には立つだろう)
 しかし、この場にはハルの超常と|決戦配備《ポジション》の支援が二重に掛かっている。ハルは再び碧月光華の霊力を伝導ケーブル伝いに流し、まずは機械そのものの不調を取り除く。
「? |魔導回路《サーキット》のダメージは、問題無さそうですね」
『はい、あれ? ではこちらの配線を……』
 そうすればエリザベスの魔力で装置を動かす事は出来るだろう。後は同行している技術者に見て貰えばよい――物陰からそっと様子を伺いつつ、ハルは再び姿を消した。
(……誰かの視線をふと感じたのは私の気のせい?)
 ずっと|誰かに助けられている《・・・・・・・・・・》様な違和感――何だか温かい、切ない様な不思議な感情が、エリザベスの内からふつふつと湧き上がっている。
「――うん、良し! では次の現場に参りましょう!」
 この気持ちが何なのかは分からない。でも、それを探るのは今じゃない。無事再稼働を果たした装置を後にして、エリザベスは困っている人の元へ足を進めた。
(あぁ、今はこれでいいさ)
 その姿を遠くより見て、ハルはそっと顔を上げる。
 いつの間にか空には、真昼の月が顔を出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子

……戦闘終了。

|左目《人工魔眼》が熱い。だがまだ戦える。いや違う。

……キャバリア、起動。
……都市修復を行え。

亡国の主に搭乗したまま『灯火の戦塊』発動。
自律キャバリア群を召喚、損傷した都市部の復旧を手伝うよう命じる。
【瞬間思考力】指揮所の要請に応じ、適時指示出し。

(オブリビオンを破壊するのが自分の為すべき事。
……だが、この世界の|オブリビオン《ビハインド》は優先破壊対象ではない。今、優先すべきは、次なる戦いへの備え)

亡国の主の操縦を止め、竜骨装甲が修復されるのと
煙を吐く人工魔眼が冷えるまで静かに沈黙しています

この世界では、オブリビオンの事は、考えてはいけない。
……眼孔が痛いであります。



●骸に願う
「……戦闘終了」
 |左目《人工魔眼》が熱い。だが、まだ戦える……いや違う。激痛と高熱にうなされて朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)はゆっくりと顔を上げた。
 搭乗している『|亡国の主《ジャイアントキャバリア》』のモニタに映された戦の爪痕――煙を上げ、そこかしこに飛び散った瓦礫。ああ、戦いは終わってなどいない。むくりと顔を上げて、小枝子は再び主へ指示を下す。
「……キャバリア、起動」
 声と共に人工筋肉が唸りを上げて、亡国の主はゆったりと足を進める。
「……都市修復を行え」
 それが、この戦場での最後の役目だ。

 無数の瓦礫が飛散する爆心地に到着した小枝子は、亡国の主の両手を広げて厳かに言葉を吐く。
「……起動」
 途端、虫の群れの羽音めいた甲高い駆動音の数々が亡国の主より溢れていく。|その音《ユーベルコード》――『|灯火の戦塊《ライトネスト》』は形となって、姿を現した無数の自律キャバリアがぞろぞろ動き始めた。
(オブリビオンを破壊するのが自分の為すべき事……だが)
 見渡す限り飛び散った瓦礫を自律キャバリアが掻き集める。下した命令は損傷した都市部の復旧、先ずは人々の生活の場を取り戻さなければならない。
(この世界の|オブリビオン《ビハインド》は優先破壊対象ではない。今、優先すべきは、次なる戦いへの備え)
 そして明日を続ける為にも――指揮所の指示を瞬間把握し、自律キャバリアの行動ポイントが刻々と変わる度に、街が元の姿を取り戻していく事が分かる。後は放っておいても大丈夫か。
「…………」
 小枝子は亡国の主の操縦を止めて、コクピットで膝を抱えた。鋼鉄に包まれたまま、時折聞こえるギィという軋み音に耳を傾ける。あれは竜骨装甲が修復されている所為だろうか? だとしたら、よかった。
「…………」
 そっと目を閉じ、瞼の隙間から|煙《水蒸気》を吐いて|人工魔眼《ガンマ》をゆっくりと冷やしていく。|涙《冷却水》はこの為にある――それが悲しい事なのかどうかは分からない。ただ。
「……眼孔が痛いであります」
 この世界では、オブリビオンの事は、考えてはいけない――必要なのは、過去では無く未来。
 己の心に沁みる痛みは、余計な思考を掻き消してくれる。
 それだけが、救いだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
雰囲気は似た世界だけど、こうした手回しの良さは大したもんだな
それに話は早いし、性には合いそうだ

【行動】
慰問を兼ねて、復旧現場の人たちに差し入れを持ち込んで、「コミュ力」「宴会」で盛り上げる
中身は冷やした酒・スポドリ・お菓子・つまみ等

量はあるけど、イグニッションカードで運べば楽だろ

実の所、俺がこうやって他の世界のことに首突っ込んでるのは
他の世界の異変を解決することで、うちの世界の危機を救うヒントなるかもって期待があるからだ

※目の前で何か起きた時に体が動く性分もある

なんでまあ、上手く協力できればいいなってな

嫌がられないなら、決戦配備をうちの世界でも真似できないか、調べられると良いんだけど



●全てを壊し、全てを繋げ
「雰囲気は似た世界だけど、こうした手回しの良さは大したもんだな」
 それに話は早いし、性には合いそうだ――暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)はてきぱきと動く無人機や人々の動きを見やり、一番人が集まっている場所へ足を向けた。|この世界《ケルベロスディバイド》は|自分の世界《シルバーレイン》とよく似ている。それは西暦現代に近しい文化様式だからだろうが、それ以上に人々が戦い抜こうとする気概が魎夜のよく知っている雰囲気がそっくりだった。
「っと……お疲れさんだ」
『おお、差し入れか。助かる!』
『酒もあるじゃねえか!』
『暑いんだから飲みすぎんなよ……まあ貰うけど』
 イグニッションカードに忍ばせた冷やした酒・スポドリ・お菓子・つまみ等々を広げ、小休止に入っていた現場の人達へ振る舞う魎夜。予想外の救援物資に現場は大いに盛り上がる。そう――大きな戦いが終わった後は、あちらでもこうして勝利を祝していたものだった。
「所でよ、|決戦配備《ポジション》って奴ぁ一体どうやって動かしてんだ?」
 ぐいと透明の液体を注ぎながら、イイ気分になって来た現場班長らしき男に魎夜が迫る。慰問したいのは本心からだが、折角だから聞いておきたい事が山ほどあるのだ。
『あン、それはぁ……』
 かつて銀誓館学園では、戦争の度にメガリスの力を借りていた。だがこの世界は|常日頃から似たような事をしている《・・・・・・・・・・・・・・・・》――その秘密が分かれば、自分達の世界の危機を救うヒントになるかもしれない。
『……なぁ~んか凄い技術とかぁ、あと膨大な物資とかあるけどぉ』
 それは見れば分かる。技術的な問題、資源的な問題、それらは一時凌ぎであればどうにかなるかもしれない。しかしそれ以上に、この決戦態勢に関連する重大な秘密がある気がしてならないのだ。
『……|全世界決戦態勢《ケルベロス・ウォー》』
「ほう?」
『なんて、話も合ったんだが非現実的すぎてな』
 あくまで噂に過ぎないが、かつて侵攻してきたデウスエクスに起死回生の一撃を叩き込み早期に戦争を終結させるべく、全世界の装備・人員・資源を結集してこれに立ち向かうという計画があったそうだ。しかしアダム・カドモンとの合流で更に多くのデウスエクスの存在が明るみになり、戦いが一度では済まない事が判明した。代わりにその時培ったインフラやロジスティクスを流用する形で、全世界に決戦都市が建造される運びになった――という事らしい。
『まあ要するに、最後は人の知恵と努力――そして気合いと繋がりが決め手って訳よ』
「ハハッ! やっぱそうだよな。よぅく分かったぜ!」
 そう簡単にはいかないが、どうすれば良いのかは理解した。矢張り「仲間の絆は最強の武器」だ。
 やることは変わらねえ――世界が平和になるまでは。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール

この歓迎ぶりはキマイラフューチャーを彷彿とさせますね

ヘラクレスから降りてインタビューを受ける
地元であるダークセイヴァーならともかく、この世界での知名度は皆無
顔を売っておけば後々の連携がスムーズになるでしょう

簡単な自己紹介やヘラクレスの紹介
パイロットスーツから様々な衣装の姿に変身し、炎や雷に属性特化する能力を見せる
ヘラクレスだけでなく、私自身も戦えますよというアピール

一頻りインタビューを終えたら、再びパイロットスーツを纏い、ヘラクレスに搭乗
ヘラクレスの体躯と怪力で復興作業のお手伝いです



●聖女の行進
「この歓迎ぶりはキマイラフューチャーを彷彿とさせますね……」
 ケルベロス、そして猟兵は存在そのものがこの世界でも大人気! 流石にトンチキなミッションは(このお話の中では)無いだろうが、矢張りというか、何というか、愛機の肩の上に立ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の周りには、重火器めいたカメラを構える取材陣がひっきりなしにやって来るのだ。
『凄いマシンですね! スリーサイズは?』
『いつもこれに乗ってるのですか? スリーサイズは?』
『わ、わぁー! スリーサイズは?』
 困りました……|ヘラクレス《スーパーロボット》の細かいサイズは分かりません。真下から絶妙なアングルで狙いを定めた取材陣を一瞥して、オリヴィアは鮮やかに地上へ着地した。途端にどよめく一同にニッコリと笑顔を返し、パイロットスーツ姿のオリヴィアはゆったりと頭を下げる。
「初めまして皆さん、私はオリヴィア・ローゼンタール――猟兵です」
 清楚な佇まいで微笑みを。地元であるダークセイヴァーならともかく、この世界での知名度は皆無――顔を売っておけば後々の連携がスムーズになるでしょうから、対応はしっかりとしなければ……この様に!

『おお! 神よ……』
『何という事でしょう……』
 電光石火のパフォーマンス! 純白のパイロットスーツから一変、ボディスーツを脱いだオリヴィアは煽情的なチャイナドレスに早着替えして、自身のパシャパシャパシャ得意な|戦法《ポーズ》を説明パシャパシャするパシャパシャパシャパシャ……。
「こう見えて、ヘラクレスに乗らなくても強いんですよ!」
 ビュン、とオリヴィアの綺麗な回し蹴りがパシャパシャうわやべぇ一閃、風を裂いて轟く雷が指揮所の避雷針にぶち当たり、如何にシャッターチャンスと言えど生命あっての何とやら取材陣は自重を覚えた。
「ね? でも普段は……こう」
 くるりと一回転したオリヴィアの衣装が変わる――今度は普段のシスター服、両手を重ねて祈りの姿勢のまま、優しい口調で取材陣に問い掛けた。
「さあ、あなたの罪を懺悔なさい……神は許されるでしょう、なんてね」
 おどけてそのままヘラクレスへ戻るオリヴィア。己の罪に震えた取材陣は丁寧に撮影を再開した。

「それじゃあ行きましょう。復航作業のお手伝いです」
 パイロットスーツに着替え直し、オリヴィアはヘラクレスと共に一際巨大な瓦礫が転がる現場へとやって来た。大分片付いたとはいえ、通常の重機だけではどうしても時間が掛かってしまう。そういう時こそ自分達の出番なのだ。
「では投げ飛ばしていきましょう、ヘラクレス!」
 両腕を大きく上げて咆哮し、ヘラクレスは目の前の時分より巨大なビルだった瓦礫を一掴み、人気の無い緩衝地へ向けて豪快に投げ飛ばした。いかなる状態でも掴めば発動するこの『|暴君投擲《タイラント・スロー》』を阻む障害は無い。その姿を遠目に撮影していた取材陣は理解する。自分達がやらかした事の重大さと、生命の大切さを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バロメリアン・マルゴール
目的:復旧と資金難の手伝いをする
行動:チャリティコンサートとかよくない?

さぁ、強く光を放とう
崩れた街の隙間に虹を架けるよ

マイクやカメラがあるなら他の街々に放送出来るんだろう?
どうだろう、指揮官殿

この世界の曲を中心に色んな場所で歌って行こう
深く傷ついた街や、今回の戦いで熱い支援をしてくれた|奏で手《ポジション》達の様子を順番に映しながらね

めくれたアスファルトの黒に飲み込まれて
それでもずっと輝いた
きっと運命を変えたんだね、この車両達は

被害状況や活躍を褒めつつ紹介し、礼を言い、そして歌うのさ
送別の曲ではなく、次へ繋ぐための歌を

さぁ、これを聞いてくれてる皆
この町のm'aiderに応えてくれるかい?



●君の未来へ届くように

 さぁ、強く光を放とう
 崩れた街の隙間に虹を架けるよ――

 スポットライトに彩られた|トレーラー《ステージ》の上から、心を奮わせる歌が聞こえる。ドローンで撮影されたそのライブを観て、幾千の群衆が遥か彼方から歌に合わせて光を振る――それはバロメリアン・マルゴール(戦場の光・f39933)の提案だった。

「マイクやカメラがあるなら他の街々に放送出来るんだろう? どうだろう、指揮官殿」
『ああ。ビ〇〇ームの屋上でもトレーラー舞台でも配信出来る。こちらこそ頼みたい所だ』
 復旧と資金難の手伝いをする為、チャリティコンサートとかよくない? と思い付きで提案したものの、幸いインフラは死んでおらず、ウェブ上に配信する事で外からお金を貰う仕組みも既に構築されていた事から、あっという間に移動式舞台×ライブビューイング×ウェブ配信の三段構えでバロメリアンのゲリラライブが開催される事となった。
(このフットワークの速さは見習いたいものだな……さて)
 |決戦配備《ポジション》、|移動式舞台《キャスター》――屋上から飛び降りたバロメリアンは移動式ステージ兼移動通信端末たるトレーラーに乗り込んで、颯爽とマイクに音を入れる。折角だ、この世界の曲を中心に色んな場所で歌って行こう。

 めくれたアスファルトの黒に飲み込まれて
 それでもずっと輝いた――

 猟兵やケルベロスだけでは無い。物言わぬ機械も、建物も、何もかもが生き延びる為に全力を尽くした。深く傷ついた街や、今回の戦いで熱い支援をしてくれた|奏で手《ポジション》達の様子を順番に映しながら、バロメリアンはトレーラーの速度を上げていく。

 きっと運命を変えたんだね、この|車両《とも》達は
 終わりの無い戦いを、いつか終わらせる為に――

 被害状況や活躍を褒めつつ紹介し、礼を言い、そして歌う。送別の曲じゃない――次へ繋ぐための歌を、皆に届く様に。確かに復旧は進んでいるが、亀裂の入った道路は未だ沢山残っており、荒れた足場は戦場の瓦礫がそこかしこに飛散した結果、トレーラーで移動しながらだと時折とんでもないバウンドがバロメリアンを襲うのだ。

「まあ、見ての通りこの街が元に戻るには時間が掛かりそうなんだ――」
 閑話休題、歌の合間に第三新川越市の現状を身をもって説明するバロメリアン。同時接続は上々、後はこのライブのもう一つの目的を果たすまで。キィンと一瞬ハウリングしたマイクをポンと叩いて、バロメリアンは思いを込めてオーディエンスに言葉を伝える。
「さぁ、これを聞いてくれてる皆――この町のm'aiderに応えてくれるかい?」
 バロメリアンにオーディエンスの声は聞こえない。
 だけどバロメリアンの思いは間違いなく届いていた。ヘリオライトの光と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
こわれた、まちの、せつび。
(脳裏を過る焼夷爆撃と超重力による陥没)
あ、あははー……なんというか、ゴメンナサイ……?
(加減が効かないので巻き込み被害が出た自覚アリ)

わたしは主に傷ついた人達への慰問をします
メディックの決戦配備をお借りして治療をしてもらいつつ、わたし自身は【水と草木の芳香霧】を発動して全体へのサポートを行います
(治癒促進、メンタルケア、メディック陣の疲労軽減等)
並行して彼ら個々人へ声をかけ、笑顔を振りまいて「鼓舞」して回ります

色々と壊されてもしまいましたが、大丈夫です。
壊れた街は、直せます。そこに皆さんが居れば、蘇ります。
わたし達もお手伝いします。だから……復興、頑張りましょうっ!



●罪と罰と謝罪と補償
「こわれた、まちの、せつび……」
 面食らったのも無理は無い。曲がりなりにもここらは居住区。脳裏を過る焼夷爆撃と超重力による陥没はデウスエクスと人々の脳裏に恐怖を刻み付けた。主に会計的な側面で。だって修理費は川越持ちだから。
「あ、あははー……なんというか、ゴメンナサイ……?」
 姉さん事件です。荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)はしおらしく頭を下げながら、こんな時姉ならどうするだろうと考えた。

『馬鹿ね、あんな|機械《クビアラ》殴ればいいでしょう? レーザーだって筋肉でどうにかなる事を証明したじゃない』
「どうにかなってたよね姉さんが」
『それに瓦礫だって火災だって人命救助だって、筋肉一つで足りるのよ。ねえ?』
「違うのお姉ちゃん、多分それだと結果は変わらないの……」

 ほら、筋肉で全部丸く収まって……なーーーーい!!!!
 やはり精霊さん……精霊さんが全てを解決するのよ……!
 |決戦配備《ポジション》、|救急出動《メディック》――展開した医療チームと共に、ひかるは現場へ歩みを進めた。

 日も落ちて回復した街灯と追加の照明がグラウンドを照らしている。シェルターを出ても尚、自宅ごと破壊された住民に帰る場所は無い。止むを得ず避難所に指定された公立学校に逃げ込んで、僅かな夜を過ごす羽目になっていたのだ。
「色々と壊されてもしまいましたが、大丈夫です。だから怖がらないで、ね」
 泣き喚く子供の頭を撫でながら、ひかるは『|水と草木の芳香霧《エレメンタル・アロマミスト》』で周囲に癒しの空間を広げていく。この場合、肉体的な怪我よりも精神的なダメージが一番辛い。だからこそ心身共に癒されるアロマなミストを振り撒く事で、メディックの負担を減らしながら人々のケアに全力を注ぐのだ。
「ね、これ見て?」
『わァー……』
 ひかるは『水』と『木』の紋章をそっと輝かせ、何やら小さくて可愛らしい精霊達を呼び寄せた。
「清き森よ、浄めし水よ。清浄なる癒しの聖域を、今ここに……」
「わ、わァー!」
 呪文と共に精霊が踊る。癒しの香りを振り撒きながら――その香気に中てられて、人々は徐々に穏やかな心を取り戻していった。泣いていた子供も精霊達を眺めて、一緒ににっこり微笑んでいる。
「壊れた街は、直せます。そこに皆さんが居れば、蘇ります。わたし達もお手伝いします。だから今はゆっくり休んで、心と身体をリフレッシュして……復興、頑張りましょうっ!」
 大丈夫だよと心に篝火を灯す様に、笑顔を振りまいて人々を鼓舞するひかる。
 その篝火は何度でも、何度でも灯るのだ。この星に人々と明日がある限り。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月01日


挿絵イラスト