ゴーストタウン浄化作戦:石川県金沢市神宮跡地
●秘密の花園
石川県金沢市。
第二次聖杯戦争にて再び荒らされたこの地には、謎のオブリビオン溜まりが発生する現象が相次いでいる。
今回も、そんな邪悪な気配を感じ、地元のゴースト達が立ち上がった。彼らはカブソ。二足歩行のカワウソが、着物と傘を纏っただけの格好をした連中である。
どう見ても新手のゆるキャラにしか思えない姿だが、それはそれ。彼らとて金沢の地を愛する者達であり、それ故に地元の危機に立ち上がった……のは、良かったのだが。
「……ん? なんだ、こりゃ? なんか、目の前がぐるぐるしてきたぞ?」
「おかしいなぁ。さっきから、ずっと同じところを回っているような……」
気が付くと、オブリビオン溜まりに突入したはずの彼らは、美しい花畑の中で立ち往生していた。どうやら道に迷ったらしいが、それにしては様子がおかしい。
「……アヒャ? アヒャヒャヒャヒャ!!」
「うわ! ちょっと、やめろって! オイラは敵じゃ……ぎゃぁぁぁぁっ!」
ある者は、いきなり錯乱して腰の刀で仲間を斬り付け。
「ウヘヘ……お魚……お魚がいっぱいだぁ……」
また別の者は、焦点の定まらない瞳のまま、その辺に生えているキノコをむしって食べ始めた。
「おい、しっかりしろ! 気を確かに……確か……に……#$%&□●!?」
「う、うわぁぁぁぁっ! もうダメだぁ! お家帰るぅぅぅっ!!」
次々に錯乱する仲間を見て、とうとう残るカブソ達は逃げ出した。だが、その先々でやはり錯乱したまま我を見失い、辛うじて外に出られたのは、たった一匹だけだった。
●幻の社
「第二次聖杯戦争は終わったのに、まだ余波が残っているなんて……。早くなんとかしないと、近くの街まで飲み込まれちゃうかもしれないよ」
石川県の金沢市で、オブリビオン溜まりが原因と思しきゴーストタウンの発生が予知された。大至急、現場に向かって浄化を行って欲しいと、穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)は猟兵達に告げた。
場所は、金沢市にある大神宮跡。かつては大きな神社だったようだが、今では廃墟と化し見る影もない。敷地内は鬱蒼とした雑木林と化し、要所に狛犬や石燈篭といったものが、苔生した状態で放置されているだけだ。
知らない者が見たら、単なる藪にしか思わない場所。少なくとも、神社とは思うまい。だが、そんな大神宮の跡地はオブリビオン溜まりとなったことで、急速に変貌を遂げているという。
「社の跡だった場所は、どこまでも続く花畑に変わっているんだ。そこに咲いている花の花粉を吸いこむと、幻覚症状が出るんだよ」
驚くなかれ、その花粉は人だけでなく来訪者やゴーストにも有効であり、機械でさえもシステムに異常が発生するという。耐えられるのは、オブリビオンのみ。そんな猛毒地帯を放っておけば、遠からず周囲にも悪い影響が出る。
「そういうわけで、地元の穏健派なゴーストさん達が、故郷を取り戻すために向かったんだけど……」
結果はお察しの通りであると、耶子は片手で目元を覆って溜息を吐いた。とにかく、勢いに任せて突っ込んだため、彼らは幻影にやられて同士討ちをした挙句、見事に壊滅してしまったのである。
「実は、情報の殆どは、その時に辛うじて生き延びたゴーストから聞いたものなんだよね。もしかすると、まだ生き残りがいるかもしれないし、ついでに助けてくれるとありがたいかも……」
彼らはカブソ……所謂『カワウソ』と呼ばれている者達で、地元ではタヌキやキツネのように人間を化かす妖怪だと思われていた存在である。まあ、実際は妖怪ではなくゴーストなのだが、どちらにせよ彼らの力だけでは、もうオブリビオン溜まりの拡大は止められない。
「花畑を越えて中心部まで辿り着けば、そこにはオブリビオンゴーストがたくさんいるはずだよ。そいつらを全部倒せば、オブリビオン溜まりも消えるはずだからね」
そこに辿り着くまでが大変だが、なんとか工夫して頑張って欲しい。そう言って、耶子は猟兵達を、オブリビオン溜まりとなってしまった石川県の社跡へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
石川県金沢市にて、オブリビオン溜まりの発生が確認されました。
内部は急速にゴーストタウン化現象が進んでおり、放っておくと危険です。
現地の穏健派ゴースト達と一緒に、この地を攻略してください。
●第一章(冒険)
危険な幻覚を生じさせる花粉が漂う花畑を進みます。
花粉にやられると、それだけで味方が敵に見えたり、発狂して錯乱したりします。
ユーベルコードを併用し、なんとか乗り切ってください。
●第二章(集団戦)
オブリビオン溜まりに救うオブリビオンゴーストを退治してください。
彼らを全滅させれば、この地のゴーストタウン化は終息します。
●現地の穏健派ゴースト
地元ではカブソと呼ばれて親しまれている、二足歩行のカワウソのようなゴースト。
なんか役に立ちそうな感じのする道具でサポートしてくれますが、戦闘力は残念な模様。
第1章 冒険
『幻惑の花園』
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POW : 花ごと蹴散らし突き進む
SPD : 花粉を吸わないよう防御して進む
WIZ : 花粉の作用を解毒して進む
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
暗都・魎夜
【心情】
そろそろ半年にもなるってのに、影響残るんだもんな
あんだけのオブリビオンが暴れてたんだから、当然っちゃ当然だよな
なに、だとしてもそれを止めるのが俺の能力者としての仕事だ
【カブソと接触】
「好物知らないからとりあえず持ってきたけど、いるかい?」
酒と寿司をお土産に持って行き「コミュ力」で会話
案内をお願いする
【探索】
「浄化」100レベルのモーラットを「召喚術」で呼び出す
花粉を浄化しながら「索敵」で周囲に警戒
花粉を浄化しきれないようなら「環境耐性」「毒耐性」で耐える
万が一、こいつが市内に広がった日には、街は崩壊だな
「(カブソに)お前らが止めてくれたおかげで、最低限の被害で済みそうだ。ありがとな」
●もふもふ、浄化作戦!
一面に続く花畑。だが、その先は危険な幻覚を見せる花粉の漂う、人が立ち入ってはいけない禁測地。
「そろそろ半年にもなるってのに、影響残るんだもんな。あんだけのオブリビオンが暴れてたんだから、当然っちゃ当然だよな……」
未だ金沢の地に残る爪痕に、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は改めて、第二次聖杯戦争の影響の強さを感じていた。
戦争とは、勝ってからが本当の戦いであるとは、誰の残した言葉だろうか。少なくとも、人と人の戦いでも、戦後の復興の方が大変なのは事実。ゴーストやオブリビオン相手の戦いでも、それは変わらないということなのだろう。
とりあえず、この危険な場所をなんとかしなければならないが、そのためには案内が必須だった。頼りになるのは、地元で妖怪として認識されているカブソ達。普段の彼らは温厚で剽軽なゴーストでもあるので、魎夜は手土産に酒と寿司を持ってきていた。
「好物知らないからとりあえず持ってきたけど、いるかい?」
「おお、これはありがたい! 感謝、感謝……」
どうやら、カブソ達は魎夜の寿司と酒を気に入ってくれたようだ。カブソとはカワウソのことであり、彼らは魚を常食としているため、寿司は大好物である。
「しかし……この先は、迂闊に足を踏み入れてはなりませんぞ」
「あの花の花粉が危険なのです。あれを吸い込んだら最後、頭がおかしくなってしまうようで……」
もっとも、カブソ達は花粉の危険性を生還した仲間から聞いていたのか、遠巻きに花畑を眺めているだけ。このままでは先に進めない。ならば、邪魔な花粉を排除してやろうと、魎夜はイグニッションカードを取り出して。
「そういうことなら、任せときな。手っ取り早く、浄化してやるぜ」
自身が変身する……と、思わせて、彼の持っているカードは変身用ではなく召喚用。カードを掲げれば、そこに現れたのは合わせて9体のモーラット達。しかも、彼らはただのモーラットではない。
「頼んだぜ、モーラット達! しっかり仕事をこなしてくれよ!」
「「「もっきゅ~!!」」」
魎夜の命に従い、モーラット達は一斉に花畑へ突撃して行く。そんなことをすれば、一瞬で花粉にやられて……しまうことはない。彼らは魎夜の使える技能のどれかひとつを、最大で常人の100倍の力で発揮することができるのだ。
今回、魎夜が選んだのは、他でもない浄化の技能だった。モーラット達が漂っている空間だけは、花粉も浄化されて効果を発揮しない。邪魔な花粉がなくなったところで、魎夜とカブソ達は改めて花畑の中を進んで行く。
「万が一、こいつが市内に広がった日には、街は崩壊だな……」
危険な花粉を常時散布している花を横目に、魎夜は奥を目指して進んだ。確かに、見た目だけは美しいが、それも全ては偽りのもの。やがて、花畑を抜けて更に進むと、そこには鬱蒼とした森のような場所が広がっていた。
どうやら、この場所が以前に神宮が建っていた場所らしい。今となっては見る影もなく、ゴーストタウン化に巻き込まれたことで、廃墟としての不気味さが増している。
「お前らが止めてくれたおかげで、最低限の被害で済みそうだ。ありがとな」
「なんの、なんの。こちらこそ、あなた様がおられなければ、まともに道案内もできなかった故に……」
礼を述べる魎夜に、カブソ達は頭を下げた。この先の森に、果たして何が待っているのか。未だ姿は見せていなかったが、それでもなんとも言えぬ嫌な空気が、森の中から漂ってきていることだけは確かだった。
大成功
🔵🔵🔵
クロエ・アスティン
くっ、カブソ様達の仇は自分が取るであります。
まず、ここは一気に駆け抜けるであります!
防毒マスクをつけた後、【戦乙女の鎧】に着替えてスピードアップ、危険な花畑を駆け抜けていきます。
マスク越しとはいえ、なるべく花粉を吸い込まないように息を止めて走っていましたが、さ、流石にそろそろ限界であります。
なんとか花畑の端まで到達して空気をいっぱい吸うであります。
……無事に駆け抜けたと思っていましたが、肌を露出しすぎていたせいか皮膚から少し幻覚成分を吸収していました。
幻覚のせいでいつのまにか服を脱ぎ捨てて下着姿に、それを【戦乙女の鎧】と思い込んで花畑の端まで到達していました。
さぁ、ここからが本番であります!
●気づけば脱いでいました!?
一度でも足を踏み入れたが最後、幻に捕われ脱出困難になる花畑。その効果は人間だけでなくゴーストにさえも及び、既にカブソ達の何匹かは、花畑から帰らぬ存在となってしまった。
「くっ……カブソ様達の仇は自分が取るであります。まず、ここは一気に駆け抜けるであります!」
覚悟を決めて、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は危険な花畑を駆け抜ける。無論、彼女とて何も考えていないわけではない。防毒マスクを装着して少しでも花粉を吸い込まないようにした上で、速度を上げる工夫も忘れない。
「戦女神様、自分に力をお貸しください! ――ヴァルキリーズアーマー!」
戦乙女の鎧を装着すれば、その間はクロエのスピードは何倍にも上がる。もっとも、それで油断して良い状況ではないのは事実。いくら防毒マスクがあるとはいえ、外気を完全に遮断できない以上、どこから花粉の効果が入り込むかは分からないからだ。
(「うぅ……やはり呼吸が……。さ、流石にそろそろ限界であります」)
マスク越しとはいえ、それでも不安が拭えなかったクロエは息を止めて走っていたが、そのせいで顔が真っ赤である。このままでは窒息してしまうと、花畑を抜けた瞬間にマスクを外し、思い切り外の空気を吸い込んだ。
「はぁ……はぁ……。な、なんとか……抜けたであります……」
辛うじて窒息死する寸前で、花畑を抜けたクロエ。目の前に広がるのは何の変哲もない草原と、その先にある不気味な森。
恐らく、あそこがオブリビオンゴーストの巣窟なのだろう。気を取り直し、クロエは森を目指して草原を進む。この場所は花粉も漂っていないので、マスクなしでも安全だと思っていたが……果たして、本当にそうだろうか。
「さぁ、ここからが本番であります!」
森の入り口に到着し、クロエは気合を入れて身構えた。だが、彼女は気づいていなかった。マスクを外した際、自分の身体に付着していた花粉を、思い切り吸い込んでいたことに。そして、花粉の見せる幻覚によって戦乙女の鎧を草原に脱ぎ捨て、今の自分は下着だけの姿であることに。
どうやら、幻覚のせいで、彼女は下着を戦乙女の鎧と思い込んでいるようだ。果たして、こんなので本当に大丈夫なのか? これから先の戦いが、なんとも思いやられるのであった。
成功
🔵🔵🔴
河崎・統治
【POW】
チーム【烈火】
絡み・アドリブ歓迎
あー、特殊空間化した挙句に汚染区域になったのか。地元ゴーストの連中は災難だったな。こっちは一応専門家だ。さっさと片付けるとしよう。
島津有紗(f04210)と行動。
「うわ、こりゃ酷いな。さっさと焼き払うとするか。有紗、フォロー宜しく」
【狂気耐性】【呪詛耐性】で花粉の影響を防ぎつつ、フェニックスストームで花畑自体を炎の嵐で焼きながら進む。
島津・有紗
【SPD】
絡み・アドリブ歓迎
チーム【烈火】
河崎統治(f03854)と行動
ゴーストタウン化した上に汚染区域になるとか、どれだけ運の悪い土地なんでしょうね。それは兎も角、地元ゴーストの方の生存者(?)が居る可能性も有るなら急ぎましょう。
「河崎先輩、フォローはしますけど無茶しないで下さいね?」
【狂気耐性】【呪詛耐性】で花粉を防ぎつつ浄化の嵐で花粉を吹き飛ばしながら進みます。
地元ゴーストの方を発見したらUCの効果で回復しつつ、【浄化】【救助活動】【医術】で手当てをします。
●帰って来た能力者
かつては神宮として地元の人々に愛された地も、今や危険な禁測地。オブリビオン溜まりの発生と、それに伴うゴーストタウン化現象によって、完全に異界と化していた。
「あー、特殊空間化した挙句に汚染区域になったのか。地元ゴーストの連中は災難だったな」
「ゴーストタウン化した上に汚染区域になるとか、どれだけ運の悪い土地なんでしょうね」
もはや、神の加護などあったものではないと、河崎・統治(帰って来た能力者・f03854)と島津・有紗(人間の戦巫女・f04210)は広がる花畑を見て呟いた。
かつて、 銀誓館学園の能力者として戦っていた二人から見ても、この場の汚染は酷い物。彼らが転移させられたUDCアースにも、UDC組織でさえ封印以外に対処の方法がなかった禁測地は存在するが、そこに勝るとも劣らない状況である。
「それは兎も角、地元ゴーストの方の生存者が居る可能性も有るなら急ぎましょう」
「そうだな。こっちは一応専門家だ。さっさと片付けるとしよう」
そう言うが早いか、統治は燃え盛る火炎で周囲の花を焼き払って行く。どれだけ汚染が進んでいても、抗体空間ではないのは幸いだ。確かに花粉の効果は厄介な代物だが、抗体ゴーストの群れに襲われるよりはマシである。かつて銀誓館学園の能力者だった者からすれば、幻覚や誘惑に抗いながら戦うことは、心身共に尋常でない負担の掛かるものだと知っている。
パフュームリリスのような敵の存在が、二人の脳裏を一瞬だけ掠めた。もっとも、今回のオブリビオン溜まりに出現するのは有象無象の敵という話だったので、抗体ゴーストに比べればマシな相手なのかもしれないが。
「河崎先輩、フォローはしますけど無茶しないで下さいね?」
勢いに任せて花を焼き払う統治の後ろから、有紗は浄化の風で花粉の効果を打ち消して行く。統治の炎も味方には癒しの効果を与えるとはいえ、こうも花畑が広いと、その全てを焼くのも不可能だからだ。
「あ、先輩! あそこに誰か倒れていませんか?」
「ん? ああ、そうみたいだな。こいつは……例のカブソってやつか?」
そんな中、有紗が花畑の中に倒れているカブソを目敏く見つけ、統治が地面から引っこ抜いた。幻覚のせいなのか、何故かカブソは下半身を地面の中に埋めていたのである。
「あぁ……ワタシハ、お花……ワタシハ……はっ!? こ、ここは……私は、いったい何をして……?」
どうやら、地面に埋まって倒れてたカブソは、自分のことを花と思い込まされていたようだ。恐るべきは、花粉の幻覚。まさか吸い込んだ存在を、このような形で自身に同化しようとしてくるとは。
「大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」
「……いや、面目ない。まさか、ミイラ取りがミイラになるとは、穴があったら入りた……いえ、もう地面には潜りませんよ!」
有紗の手当てを受けつつ、カブソは慌てて首を横に振る。彼の話では、他にも行方不明になっている仲間がいるとのこと。もしかすると、彼のように、花畑のどこかに埋まっている可能性もあるわけで。
「やれやれ……こいつは随分と大変な捜索になりそうだぜ」
「そうですね。でも、今は先を急ぎましょう。この地を浄化すれば、きっと見つかるはずですから」
闇雲に探しても埒が明かないと、統治と有紗は助けたカブソを連れて先を急いだ。最優先すべき事項は、この地にはびこるオブリビオンゴーストの撃破。それさえ終われば、神宮跡地も元の姿を取り戻し、消えたカブソ達も助けることができるだろうと。
大成功
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第2章 集団戦
『セミキノコ』
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POW : 炸裂毒胞子
自身の【キノコ】から、戦場の仲間が受けた【攻撃の威力】に比例した威力と攻撃範囲の【毒胞子】を放つ。
SPD : 抗体化
【セミの幼虫の殻】を脱ぎ、【「セミ人間」形態】に変身する。武器「【ガトリングガン】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ : セミシャウト
【耳をつんざくようなセミの鳴き声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:かざいエモ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●幻覚森の危ないキノコ
花園を抜けた先に待っていたのは、広々とした草原と、その中央に鎮座する不気味な森。恐らく、あそこがオブリビオン溜まりになった神宮跡地なのだろうが、既に社が取り壊されて久しく、神社としての面影は微塵もない。
どちらにせよ、ここまで到達できたことで、グリモア猟兵が直に森の前まで猟兵を送り届けることも可能となった。こうなれば、後はオブリビオンゴースト達を駆逐するのみ。そんな中、同行していたカブソ達が、何かを見つけて森の方へと走り出した。
「おお、そんなところにいたのか! 心配したぞ」
「助けに来たんだ。さあ、早く逃げ……って、ぎぇぇぇぇっ! な、なんじゃこりゃぁぁぁぁっ!?」
仲間の姿を見つけて駆け寄ったカブソ達が、一斉に悲鳴を上げて逃げ出した。瞬間、地面が唐突に盛り上がり、棒立ち状態のカブソの下から巨大なセミの幼虫が現れた。
「シャァァァァァッ!!」
背中にキノコを乗せたセミの幼虫達が、一斉に鎌のような腕を振り上げる。冬虫夏草というやつだ。見れば、森の前に立っていたカブソと思しきものも、またセミの背中に乗ったキノコであった。
擬態。一部の昆虫が主に行う防衛行為であるが、それをこのキノコは獲物を狩るために用いているのだろう。本能だけで動く低級なゴーストとはいえ、それでもオブリビオン化して強化された個体だけに、撒き散らす毒胞子の効果もまた強化されている。
「むぅぅぅ……こいつらが、異変の原因なのか……」
「こ、怖くなんかないぞ! だから……こっちくるなぁぁぁぁっ!!」
短刀を振り回して牽制するカブソ達だったが、完全にビビっており、戦いではあまり役に立ちそうもなかった。彼らの持っている不思議な道具を使ってもらえば、あるいはキノコの毒を緩和するくらいはできるかもしれないが。
ここは、彼らには後方支援に回ってもらい、猟兵達の手で敵を始末する他になさそうだ。キノコの化け物から社の跡地を解放し、金沢の地に平穏を取り戻させてもらうとしよう。
クロエ・アスティン
さぁ、ここからが本番であります!
おめめぐるぐるさせて幻覚を見ながら、セミキノコ達にびしっと決めます。
けど、戦乙女の鎧を着ていると思い込んでいるが、実際は下着姿。
戦槌でキノコを叩くけれど大したダメージは与えられません。
そんなこんなで苦戦していたらカブソ様達の不思議な道具のおかげで正気に戻り……きゃあああ!?
恥ずかしい思いをしながらも真の姿への変身で戦乙女姿に!(ただし羽ビキニモード)
全力の【戦乙女の戦槍】を叩き込むであります!
なんとか近場のキノコをやっつけたでありますが、カブソ様達が今の恰好もえっちだよなとか噂してます!?
って、これはえっちな恰好じゃないであります!聖なる装備でありますーー!!
●危険なキノコに毒されて
幻覚を見せる花畑を越えて、敵の待つ森へと辿り着いたクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)。しかし、悲しいことに今の彼女は、戦う前から花粉の幻覚にやられて朦朧としていた。
「さぁ、ここからが本番であります!」
そう言って気合を入れるも、既に目玉はぐるぐると回って焦点が定まっていない。あまりに回り過ぎて、謎の宇宙線に選ばれた連中が戦うロボット漫画の登場人物か、あるいは目玉がパニックで大混乱みたいな呪文を食らったヘッポコ勇者みたいな感じになっているぞ!?
「これを食らうであります! でやぁぁぁぁぁ!!」
セミキノコの異様な姿にも恐れることなく、クロエは戦槌でキノコをブン殴る。しかし、ユーベルコードも使わず、ただ力任せに振り回すだけでは、彼女の攻撃は決定打にはならない。おまけに、混乱によって衣服を失ってしまっているので、今の彼女は下着姿の半裸である。
「キシャァァァァッ!!」
クロエのことを鬱陶しく思ったのか、セミキノコは一斉に毒胞子を散布してきた。既に幻覚状態な上、碌な防具も装備していないクロエにとって、これは厳しい! 案の定、毒胞子を正面から食らってしまうことになり、このままでは全身を毒まみれにされて死んでしまう。
「ああ、大変だ!」
「毒消しだ! 毒消し煙幕を投げるんだ!」
見かねたカブソ達が、なにやら不思議な壷を取り出すと、その中にある液体を撒き始めた。すると、キノコの毒胞子の影響が瞬く間に中和され、ついでにクロエの意識も元に戻ったのだが。
「あ、あれ? 自分は、いったい何をして……って、きゃぁぁぁぁっ!?」
自分が下着姿であることに気づき、クロエは思わず両手で胸元を隠してその場に蹲ってしまった。
冗談じゃない。こんな格好で戦えるか! というか、お前達、そんな便利な道具があるのに、なんで花粉にやられたんだよ!?
色々と突っ込みたいところがあるクロエだったが、それはそれ。いつまでも丸まっているわけにもいかないし、このままでは再び毒にやられ兼ねない。
とりあえず、失われた衣服を取り戻す意味合いも込めて、クロエは真の姿へと変身した。が、しかし、その姿はいつものビキニアーマー状態以上にエロティックな羽ビキニ! ある意味、神々しい姿でもあるのだが、何も知らない者からすれば、先の下着となんの違いがあるのかと突っ込みたくなるレベルの露出度である。
「光よ! 女神に仇名す者を貫く槍となれ! ――ヴァルキリーズジャベリン!」
羽とはいえど、聖なる武具を纏ったことで、俄然強気になったクロエは光の槍を投げて近くにいたセミキノコ達を一掃した。もっとも、下着と羽ビキニの違いが分からないカブソ達は、最後までクロエの反応に対してどう返せば良いのか分からないようで。
「あのぅ……ところで、先程から、なぜにそのような格好で戦いを?」
「そちらのお姿も、十分に恥ずかしいものだとお見受けいたしますが……平気なので?」
もしかしなくても、扇情的な格好で戦うのが趣味なのか。そんなことを尋ねられたせいで、クロエは一瞬にして顔面が真っ赤に染まってしまった。
「これはえっちな恰好じゃないであります! 聖なる装備でありますーー!!」
「なるほど『性なる装備』と……。では、そちら様は豊穣と子宝を司る女神様で?」
必死に反論するクロエだったが、カブソ達はますます勘違いして勝手な解釈を始める始末。ああ、このままではシルバーレインの世界において、クロエの信仰する戦女神が水天宮とかそっち系の神様と同一視されてしまうぞ!
「だから、漢字が違うであります! というか、なんでそういう話になるでありますかー!」
弁明すればするほどに、よりおかしな方向へと突き進んでゆく勘違い。この誤解を解くためには、思った以上に時間を要することになりそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
河崎・統治
【SPD】
チーム【烈火】
島津有紗(f04210)と行動
絡み・アドリブ歓迎
「で、次はセミキノコの群れか。さっさと駆除しないとそこら中、毒キノコまみれになっちまうな」
カブソ達には後ろに下がってもらい、道具で風を起こして胞子が来ないようにしてもらう。有紗には後方からの援護と彼らの護衛を頼む。
UCで戦場一帯に炎の嵐を起こし、敵と一緒に毒胞子を燃やす。
【先制攻撃】で【誘導弾】の【一斉発射】による【範囲攻撃】を行い、ガトリングとレールガンによる【弾幕】【砲撃】【制圧射撃】で制圧しつつ接近し、白兵戦距離まで接近して水月を抜刀。
敵に【切り込み】【切断】する。
敵の攻撃は【見切り】【推力移動】【武器受け】で対応
島津・有紗
【SPD】
チーム【烈火】
河崎統治(f03854)と行動
「今度はセミキノコですか。ほっといたらどこかの腐った森になりそうですね。先輩、カブソさん達の護衛と援護射撃はしますから、いつも通り突っ込んで下さい。」
カブソ達を護衛しつつ、UCで嵐を起こし胞子の浄化ついでに敵を攻撃。
強弓による【スナイパー】【援護射撃】で河崎先輩の突進を援護しつつ敵の数を減らします。
敵に接近されたらなぎなたに持ち替え、【切り込み】【切断】
複数の相手は【薙ぎ払い】の【衝撃波】による【範囲攻撃】で対応。
敵の攻撃は【見切り】【推力移動】【武器受け】で対応。
状況に応じて味方を【医術】【救助活動】【浄化】で手当てする。
●雷雨氷炎、悪霊退散!
汚染区域の中枢に巣食い、不幸にも迷い込んだ獲物を屠らんとするセミキノコ。ゴーストとしては低級な存在だが、しかし一般の人間や力の弱いゴーストにとっては、こいつらも十分な脅威である。
「で、次はセミキノコの群れか。さっさと駆除しないとそこら中、毒キノコまみれになっちまうな」
こういう敵は、繁殖力も旺盛だから面倒なのだと、河崎・統治(帰って来た能力者・f03854)は溜息を吐いた。
「ほっといたらどこかの腐った森になりそうですね。先輩、カブソさん達の護衛と援護射撃はしますから、いつも通り突っ込んで下さい」
島津・有(人間の戦巫女・f04210)もまた、辟易とした様子でセミキノコ達を警戒しながら統治へと告げる。
銀誓館学園時代に、こいつのようなゴーストの相手は二人とも幾度となく行って来た。だからこそ、敵の手の内や弱点も、当の昔に看破している。
「風よ! 吹き荒れなさい!」
まずは有紗が、光輝く風を呼ぶ。風は嵐となって戦場を吹き抜け、セミキノコ達を無数の雹と落雷が襲う。
「ギィ……ィ……」
「ギィ……ギィ……」
自慢の毒胞子を撒くこともままならず、セミキノコ達は苦しみ悶えることしかできない。大雨によって胞子が流され、得意な戦術が使えないのだ。
だが、それでも中にはセミの身体を脱ぎ捨てて、本体のキノコだけになり形を変えてくるものもいた。その姿は、まさしくキノコが集まって誕生した人型の怪物。セミキノコというよりは、キノコ人間と呼んだ方が相応しい存在だ。
「抗体空間も展開せずに抗体化か。確かに、昔と比べて厄介な能力を持っているようだが……」
体内から砲身を迫り出し、こちらに狙いを定めて来たキノコ人間達を見て、統治もまた力を解放する。周囲は未だ大雨が降り続いているにも関わらず、彼を中心に放たれるのは、決して消えることのない不死鳥の炎。
「焼き尽くせ! フェニックスストーム!」
「ギィィァァァァァッ!!」
燃え盛る火炎が大地を迸り、キノコ人間達は一斉に焔の中へと包まれた。それでもなお、肉体から直に生やしたガトリングガンで応戦しようとしてくるが、それは統治も承知の上。
「させるか!」
彼もまたガトリングガンと、そしてレールガンも構え、敵の攻撃に対して応戦する。雷雨の中で炎が燃え、銃弾が飛び交うという奇妙な光景。攻撃を食らったキノコ人間が不気味な汁を撒き散らしながら弾け飛び、その亡骸は焔と雷によって焼かれて行く。
「大丈夫か、有紗?」
「こちらは問題ありません。先輩は敵の殲滅を優先してください」
互いの無事を確認し合う統治と有紗だったが、二人はそれぞれに回復効果を与えるユーベルコードを使っていたため、負傷とは無縁だった。発生させる現象こそ違えど、その本質は同じ技。だからこそ、二人で合わせて使うことで、その効果は二倍どころか二乗にもなる。
「生き残りが逃げるつもりか? だが……そうはさせない!」
状況不利と判断し、森の中へと逃げ出そうとするセミキノコ達を見つけ、統治は一気に距離を詰めた。
ここで逃がせば、あの森の中で敵を見つけるのは困難となる。ならば、戦況が有利に傾いている内に、目につく敵は全て殲滅しなければ。
「……ギッ!?」
統治の愛刀が一閃されるのと同時に、セミキノコは一瞬だけ鳴いて身体を両断された。
学生時代、まだユーベルコードも使えない時であればいざ知らず、今の統治や有紗は異世界で邪神や眷属相手にでさえ戦ってきたのだ。
それらの経験を以てすれば、オブリビオンゴーストとて敵ではない。銀誓館学園出身の二人にとっては、ゴースト退治の技のキレは、むしろ学生時代より研ぎ澄まされていたのであった。
大成功
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暗都・魎夜
【心情】
オブリビオン溜まり、危険度がゴーストタウン以上だな
神宮跡地が台無しだぜ
【戦闘】
毒の胞子をまき散らす妖獣セミキノコ
ゴーストとしても大分戦った相手だが、オブリビオンとしてここまで強化された毒胞子を使うとなれば、これ以上暴れさせてやる訳にはいかねえな
「お前ら、帰ったら寿司パーティーだ! 行くぜ、イグニッション!」
UCを発動して、カブソたちを「鼓舞」して攻撃方法を教える
道具を使っての毒対策をお願い
自身も攻撃を「心眼」「見切り」で回避しつつ
「リミッター解除」「斬撃波」で攻撃
「まずは一つ!」
現場のオブリビオンの数は確認し、取りこぼしのないように
救出したカブソは「浄化」で治療を施す
酒井森・興和
あなた方は金沢の土地守妖怪、なのだねえ
僕は葛城土蜘蛛の眷族、鋏角衆の者
あのセミキノコ退治、助太刀するよ
僕は怪力と頑丈が取り柄だし前に出よう
あなた方には毒の中和や解毒をお願いしたいよ
さて
セミキノコ…なんぞ懐かしい
蝉でも蝉人間でも
野生や正気でないなら…
土蜘蛛を手本にしたこの技で焼き払おう
逆鱗を【早業で威嚇射撃】、敵の動きを阻害し遠心力を効かせ大ぶりに振った三砂の【重量攻撃】
敵がぐらつくほど動きが乱れたら足元を【なぎ払い】回避阻止や【逃亡阻止】
UCを撃ち込もう
三砂で地を撃ち、または拳で直に撃ち、UCの火で【追撃】
敵UC攻撃は【集中力】で躱すか【敵を盾にする】ことで回避狙い、多少の被弾より攻撃優先
●懐かしくも異様なる者
危険な花園を抜けた先は、人はおろかゴーストでさえ食らう怪物の巣窟。
誰がどう考えても、禁足地以外の何物でもなかった。こんな場所を放置しておけば、それだけで一般人かゴーストかに関係なく、被害は加速度的に拡大して行く。
「オブリビオン溜まり……危険度がゴーストタウン以上だな。神宮跡地が台無しだぜ」
変わり果てた社の跡地を見て、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は改めてオブリビオンゴーストの脅威を体感していた。単に人に仇を成す残留思念というだけでなく、その戦闘力は雑魚でさえ地元のゴースト達を手こずらせるほどであり、ゴーストや能力者達の持つ技も効果が薄い。加えて、時にゴーストの分類さえも無視した力を発揮するとなれば、それはもはやゴーストではなく異形に近しいものだろう。
「お前ら、帰ったら寿司パーティーだ! 行くぜ、イグニッション!」
能力者として幾度となく戦った妖獣が相手でも、魎夜は油断することなく全力で立ち向かった。セミキノコなど何度も蹴散らしては来たが、あれは姿形だけ同じな別の存在。その証拠に、セミキノコ達は早くもセミの殻を脱ぎ捨てて抗体化し、キノコ人間と化して魎夜に襲い掛かって来たのだから。
「ブジュルァァァァァッ!!」
「ちっ……厄介な弾幕だな」
肉体を変化させて体内より迫り出したガトリングガンで、キノコ人間達は弾幕を張り魎夜のことを接近させない。卓越した戦闘センスと今までの経験から驟雨の如く降り注ぐ弾丸の嵐を紙一重で避け続ける魎夜だったが、こうも防戦一方では、得意な間合いに入るのさえも一苦労。
「悪い! 万が一のために、毒対策を頼む!」
「ええ、お任せください。そ~れ、中和剤でございますよ」
カブソ達が毒の中和剤を散布してくれたことで、魎夜もようやく前に出られた。予想していた通り、あの弾丸には毒の効果も含まれている。迂闊に掠めればそれだけで全身を蝕まれてしまうが、カブソ達の道具で毒の効果を中和されている今なら、多少のかすり傷は気にすることなく一気に距離を詰められる。
「よし……まずは一つ!」
程々に距離を詰めたところで、魎夜は夜空の如き輝きの刃を抜き放った。距離こそ離れているものの、斬撃の剣圧だけで十分に敵を両断できる。が、しかし、それでも敵の方が数的に有利なのは変わりなく、生き残ったキノコ人間達が魎夜を包囲して一斉に銃撃を浴びせようとするが。
「……っ!?」
思わず身構える魎夜だったが、果たして飛来する物体に刺されて倒れたのは、キノコ人間達の方だった。いったい、何が起きたのか。魎夜だけでなく、カブソ達も物体が飛んできた方へと思わず目をやる。そこにあったのは、飄々とした様子で逆鱗を飛ばす、酒井森・興和(朱纏・f37018)の姿だった。
「おお、どちら様ですかな? 少なくとも、敵ではないとお見受けいたしますが……」
事態を飲み込めず、カブソ達が興和に問いかける。もっとも、詳しい説明をしている時間はない。今は一刻も早く目の前のキノコ人間達を排除して、この地を取り戻すことが先決だ。
「あなた方は金沢の土地守妖怪、なのだねえ。僕は葛城土蜘蛛の眷族、鋏角衆の者。あのセミキノコ退治、助太刀するよ」
そう言いながら、興和は更に前へと出た。先ほどの攻撃は、あくまで牽制。案の定、倒れたはずのキノコ人間達が起き上がり、再び攻撃の態勢に入ろうとしている。
「さて、セミキノコ……なんぞ懐かしい」
かつて、銀誓館学園の学生として戦っていた頃のことを思い出し、興和はそんなことを口走った。そうしている間にも、セミキノコ達はガトリングによる攻撃を再開したが、それでも興和は動じない。
蝉人間だかキノコ人間だか知らないが、あれが生粋のゴーストではなく異形にも似た存在である以上、ここで放置しておくわけにはいかない。自分は土蜘蛛の成り損ないではあるが、しかし土蜘蛛の技を模倣したものくらいなら操れると。
「八相、烈火」
三砂で地を撃ち、興和は戦場全体を炎で包んだ。この炎は敵と味方を識別できるため、身体を焼かれるのはキノコ人間だけだ。おまけに、視覚と呼吸まで阻害するとなれば、まともに戦うことなどできはしまい。
「ギィ……ギィ……」
「キィィィ……」
身体を焼かれる苦痛に悶えながら、キノコ人間達は必死に炎から逃れようとするが、どこにも逃げ場などありはしなかった。苦し紛れにガトリングを乱射するものもいるが、そんな攻撃に当たる興和や魎夜ではなく、彼らは着実に敵を葬って行き。
「どうやら、あいつで最後のようだな」
「この期に及んでまだ動けるとは……しぶとさから考えて、あいつが親玉かねぇ?」
他の個体より一回り大きなセミキノコを見つけ、魎夜と興和は最後の攻撃に出る。敵はガトリング砲で二人を攻撃して来るが、その辺に転がっていたキノコ人間の亡骸を広い、まずは興和がそれを盾にして攻撃を防ぎ。
「よし……もらった!!」
その背後から高々と飛翔した魎夜が、最後は敵の脳天を兜割り! 哀れ、セミキノコは真っ二つに両断され、しばし痙攣した後に、完全に動きを止めて消滅した。
「おお……やりましたぞ!」
「どうやら、おかしな花畑もなくなったようですなぁ」
オブリビオン溜まりが消滅し、ゴーストタウン現象も収まって行くのを感じ取って、カブソ達が手を叩いて喜んでいた。元に戻ってしまえば、戦場だった場所は何の変哲もない雑木林と化し、行方不明になっていたカブソの仲間たちも、そこかしこで気を失ったまま倒れているのが発見された。
「おい、大丈夫か? さあ、毒を抜いてやるぜ」
「うぅ~ん……むにゃむにゃ……ハッ!? こ、ここはどこですか? オイラは何を!?」
幸い、魎夜が浄化を施して叩き起こせば、カブソ達は寝ぼけながらも意識を取り戻してくれた。幻覚を見て眠っていただけなので、肉体的な負傷がなかったのは幸いだ。
「どうやら、僕の仕事は終わったようだねぇ。それでは、この辺りでお暇させてもらうよ」
そんな彼らの姿を横目に苦笑しつつ、興和は颯爽と去って行く。自分の立場を理解しているからこそ、彼は積極的に人界と関わることを好まない。
その一方で、魎夜はカブソ達と共に、寂れた社の跡にて盛り上がっていた。彼らと約束した寿司パーティ。実際は社の跡地で簡単に寿司と酒を楽しむ程度のものだったが、それでも金沢の地を守りきれたことを祝って、宴は朝まで続いたという。
大成功
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