1
【雨の日模様】雨降りの日だからこそ

#アナザープレヱス・リフレイン #雨の日模様 #日常シナリオ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アナザープレヱス・リフレイン
#雨の日模様
#日常シナリオ


0




「ああ、また雨か……」
 夏目海斗は思わず、呟く。
 海斗としては、雨は憂鬱になる……ものではない。ただ、本を買った日は、止めて欲しいなと思うだけ。
 しとしと降る雨音は、なぜか落ち着くし、雨に当たりながら帰るのもおつなものと思っている。ただし、本を買った日以外は。
 ふうっと、またため息が零れてしまった。
 恐らく雨脚が弱まっているところを見ると、これはにわか雨だろう。
 雲が晴れていくのを見て、海斗はホッとした表情を見せた。
「今日は良い、読書日和になりそうだ」
 雨が止み、虹がうっすら見えたのを見て、海斗は思わず顔を綻ばせたのであった。

「……最近、雨が多いですわね。帝都も梅雨入りしたようです」
 少し残念そうな口ぶりで響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は告げた。
「まあ、仕方ないんじゃない? 雨の日に好き好んで外に出る人もあまりいないだろうし。せっかくだから、部屋でボードゲームでもする?」
 そう声を掛けたのは、キサラだ。
「へえ、未来の人でもボードゲームするんだ」
 興味深そうにキヨが声を掛けてきた。
「モニター越しだと、なんかつまらなくってね。アナログの方が駒の手触りとか感じられて、意外と楽しいのよね。……エンディカとはしたくないけど」
「えっ?」
 そこにエンディカも入ってくる。
「勘だけはいいの」
「それを言うなら、運じゃないの?」
 どうやら、エンディカは運だけでキサラを負かしている様子。
「でもまあ……エンディカ以外の人と遊べるのは、いいかも」
 ちょっとキサラが乗り気だ。
「じゃあ、また! 今度は私の別邸にご招待いたしますわ! 皆様、ぜひ来てくださいませ。ボードゲームもいろいろと取り揃えておきますわね!」
 こうして、雨降りの楽しいお茶会(?)が始まったのである。


柚葵チハヤ
 どうも、こんにちは。柚葵チハヤです。
 オープニングではお茶会とありますが……そちらに参加せずに、一人でしっとりと過ごすとか、二人だけで過ごすとかも可能です。お好きなシチュエーションで、雨の日をお過ごしください。
 参加者さんに制限もないので、初めてアナリフに参加する方も、気軽にご参加くださいね。気に入っていただけたら、ぜひ他のシナリオも楽しんでくださると嬉しいです。

 お茶会に参加する……特にキサラとゲームする方は、どんなゲームを選び、どのような雰囲気でプレイするのかを書いておいてください。それにより、結果が決まります。どちらが勝つかは、プレイングによります。
 キサラを負かせたい人は、それなりの戦術で挑んでみて下さい。

 場所に関しては、リズの別邸(旅団で使っている場所です)、自宅、帝都等、ご自由に設定可能ですので、好きな場所を選んでください。なお、現代の場所を利用する際は、第六猟兵の世界に赴くことになりますので、ご了承ください。

 当方のグリモア猟兵、海斗等のアナリフNPCも誘うことが出来ます。気になる方がいましたら、ご指名ください。また、複数で参加する場合は、お相手の名前やID、グループ名もお忘れなく。

 それでは、雨の日の楽しいひと時を、どうぞ、お楽しみくださいませ!
78




第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベスティア・ジェヴォーダン
POW:気合を入れてさいころを振る(無意味)

●キサラ・エンディカ(プラス他PC、NPC誰でも)とすごろくをする。

勝負事と聞いて意気揚々とやってきたベスだったが、将棋やチェスはルールが覚えられないので、単純にさいころを振るだけでよいすごろくを遊ぶことに。
すごろく『帝都人生すごろく』には、
・桜坂特務部隊に配属。お祝いにみんなから金一封貰う。
・豪商の若旦那に見初められ、結婚する。
・夜道で最近噂の動く死人に襲われ、治療費に金を一支払う。
などなどのコマがあり(追加いくらでもOK)、ベスはいちいち無暗にエキサイトした反応をして、うるさく盛り上がる。
結局勝敗は実力は関係なく運なので、だれが勝ってもOKです。



◆雨の日の人生勝負!?
 外はしとしと雨模様。
 そんな中、彼らは真剣な表情でゲームに勤しんでいた。

 ――『帝都人生すごろく』。

 それが、彼らのプレイしているゲーム。

「ベスは難しいのはできない!」
 ベスティア・ジェヴォーダン(馬鹿でも考察はできる……はず?・f39599)は、びっくりするほど、ドヤ顔で胸を張っていた。
「あー。それは分かってるわ」
 付き合い始めて、キサラはベスティアの人となりが少しずつ分かってきたように感じられる。
「となると……将棋やチェスはやめた方が良いわね」
「これなら皆でできる」
 と、キサラの隣でエンディカが……これまたドヤ顔で出してきたのは、そう。
 先ほど出してきた、帝都人生すごろくだった。

 このゲームは、人生のゴールを目指して突き進むすごろくだ。更にいうと、このゲームでは人生を詠っているらしく、お金をたくさん持っている者が最終的に勝利する。すなわち、最初にゴールしたからといっても、最終的にお金をたくさん持っていないと負けてしまう。もちろん、最初にゴールするとボーナスが貰えるので、優勝に近くはなるのだが……。
「桜坂特務部隊に配属。お祝いにみんなから金一封貰う」
「くっ……初っ端から良い出費ね」
「次、私……」
 さっそくエンディカが賽を振り。
「市民を迎賓館へ無事に避難させる。金一封貰う」
 どうやら、エンディカは運が良いようだ。
「次は私ね!! 今回は負けないんだから!! えいっ!!」
 キサラが出したのは1。しかも……。
「隊長の大事なツボを割ってしまった。金を三払うっ!?」
 突然の出費にちょっぴり涙目だが。
「い、いいえ、ま、まだ始まったばかりですもの。これから巻き返すわ!」

 どんどんとゲームは進んでいく。
「豪商の若旦那に見初められ、結婚する。伴侶札を得る……これを貰うのか?」
「うんそう」
 無難に進んでいくベスティアにエンディカは頷いて見せる。
 他にも……。
「夜道で最近噂の動く死人に襲われ、治療費に金を五支払う……ま、またあ!?」
 不運なコマにキサラはことごとく止まって、借金が膨れ上がっているようである。

 そして、三人とも、無事ゴールにたどり着き……。
「一位、エンディカだな」
「うん、優勝!」
 ベスティアに言われて、エンディカはちょっぴり得意げだ。
 二位はベスティアで……三位というか、ビリは。
「うううう、ま、また負けた……」
「キサラ、こういうゲームは不運なの。他の大事な時は幸運なんだけど」
 しょんぼりするキサラに、エンディカがそう付け加える。
「それなら、いいじゃないか」
「でも、たまにはこういうゲームでも勝ちたいわ……」
「……もう一回するか?」
 ベスティアの提案に、二人も頷き、第2戦を行うことになり……ちなみに結果は先ほどと変わらずであったことも記しておく。
 こうして、ベスティア達は雨の日のすごろくを大いに楽しんだのであった。

※スキル「無難に双六する」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山田・ふわ
天然パーマ故に、雨の日はくるんくるんとアホ毛が散らかって「こんな頭、太助さんに見せられない!」と憂鬱なふわ。
(※太助と結婚してからは自分の見た目を人並みには気にするようになった)
そんなふわとバッタリ会ったのはキヨちゃん。
ふわはキヨちゃんの綺麗なサラサラな髪に憧れ、「ふわちゃんの頑固アホ毛をどうにか綺麗に梳いてくれないかな?」とお願いすることに。
あとはマスター様にお任せしたいです!



◆雨の日のふわふわヘアー
 今日もまた、雨の日だ。
「ううううう……」
 ふわふわヘアーを気にして、ちょっぴり不機嫌そうなのは、山田・ふわ(人間のデスブリンガー・f39711)だ。
 夫である太助と結婚してからというもの、それまで見た目に気を使ってなかったふわだったが……。
「こんな頭、太助さんに見せられない!」
 湿気でふわんふわんな頭を、鏡に映して、ちょっぴり涙目だ。
 そこに、運よく(?)キヨが通りかかった。
「あれ? ふわ。どうかしたの?」
 研究がひと段落したのか、眼鏡をかけて、書類を抱えるキヨの姿に、ふわは慌てふためく。
「えっと、その……あのね……」
 昔の自分が出会う前のキヨと、姿が重なって、言葉が上手く出ないのを、キヨは察したのか。それとも……。
「その髪、気になるの? 太助さんに何か言われた?」
「ううん、なんにも言われてないんだけどね……」
 と、キヨの髪を見て、ふわは瞳を細める。少し羨ましそうに、その髪に触れながら。
「キヨちゃんの髪、サラサラで綺麗だよね。いいなあ……ふわちゃんの頑固アホ毛を、どうにか綺麗に梳いてくれないかな?」
「いいけど……この書類とか置いてきた後で良い?」
「もちろんっ!!」

 数十分後。
「これは手間がかかるわね……」
 先ほど通りかかったリズから、良い櫛があると言って渡されたのは、取っ手が付いていないブラシ部分だけの櫛だった。
 リズの話によると、子供や人形の髪の毛を梳いていくのに良いらしい。なるほど、使うと引っかかりも少なく、何度梳いても痛みで困るといったこともないようだ。更にドライヤーと整髪スプレーを使えば、よりふわふわの髪の毛に、落ち着きが取り戻されていく。
「キヨちゃん、ありがとう。これなら大丈夫そう」
「それはよかったわ。あともう少ししたら、終りね」
 すっすと櫛を動かすキヨに、ふわは思わず。
「なんだか、キヨちゃん。お母さんみたい」
「えっ……」
「あ、ごめん。お母さんがいたら、こんな感じかなって思っちゃって……」
「そうじゃないの……ふわのお母さん、私達が倒しちゃったから……」
「キヨちゃん達の所為じゃないし、やられて仕方ないことしてたから。本当に気にしないでいいよ。でもね」
 ふわはにこっと笑みを浮かべて、こう続けた。
「キヨちゃんみたいなお母さんだったら、こういうふうにしてくれたのかなって思ったら、なんだか、胸がぽかぽかして嬉しかったんだ」
「…………いいわよ」
 ぽつりとキヨは言う。
「また、髪の毛がぼわぼわになったら、直してあげる。私でよければだけど……わわっ!!」
 ぎゅむっとキヨの胸に抱き付いてきたふわに、キヨは驚いている。なんとか倒れずに済んだが、ちょっとだけ危なかった。
「キヨちゃん、だいすき!!」
「……私も」
 照れたようにキヨもそういって、直ったふわの頭をそっと撫でたのだった。


※権利「キヨがふわの髪を整える権利」を獲得しました。シナリオで行使することができます。後程、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​

役所・太助
リフレインの影響を恐れないことを誓った太助
自分はそれで良いが、大事な大事なふわがリフレインで傷付くのは何より恐ろしい
そこで海斗(呼び方は「海斗氏~!」)に相談し、キヨ本人に率直に話すという案を得て実行
リフレインがふわとキヨの友情に影響する恐れと心配を太助にわかる範囲で率直に相談した上で、キヨからふわに声をかけてもらうよう頼む
(この結果が先のふわさんのリプであるという展開希望)

「覗き見なんて趣味悪い」と渋る海斗を付き合わせ覗き見
二人の変わらぬ仲良しを見て大いに安心してその場を辞す
「もう良いんですか」と問う海斗に「覗き見は趣味悪いのでござろう?」とドヤ顔で。
怒る海斗を背に家路を急ぐ。何食わぬ顔でふわにお帰りを言うために

海斗には後日お礼にご馳走した
丁度帝都の文化振興事業に物書きの力が必要な案件があり(神通力でなく仕事力の大局を見る目で見つけた)、海斗のチャンスにもなる内容なので、打診してみる

恩はきっちり返し、新たな縁をつなぐ
太助の生き様だけはリフレインの影響下にあっても決して変わらないだろう



◆雨音が呼ぶ心配事?
 リフレインの影響を恐れないことを誓った役所・太助(人間の公務員・f39613)だったが……。
「それがしはそれで良いでござるが、大事な大事なふわが、リフレインで傷付くのは何より恐ろしいのでござるよ!!」
 というわけで……。
「海斗氏~~!!」
 この状況を打開すべく、太助は海斗に相談しにやってきた。
「んん……僕としては直接太助さんが、そのことを伝えればいいと思うんだけど、それはやりたくないんだよね?」
「そういう簡単な問題ではござらんよ!!」
 若い眼鏡な青年に、結婚もし、子供を持つお父さんな太助は、少々涙目で訴える。
「じゃあ、取れる方法は一つだね。キヨを使おう」
「キヨ殿でござるか……」
 それも使いたくない選択肢なのか、太助はうーむと考え始める。
「やるの? やりたくないの?」
「わ、わかったでござるよ!! 覚悟を決めて、キヨ殿に相談するでござる!!」
「じゃあ、キヨを呼ぶね。すぐ来てくれると思うし」
 海斗はそのまま、平和な時に受け取ったグラウェルの通信機を使って、キヨを呼ぶのであった。

「……なるほどね。いいわよ。私も気になってたし」
 キヨは全てを聞いた後、快く太助の案を承諾してくれたようだ。
「まあ、私の方から声をかけてあげるわ。どうなるかはその時次第だけど……」
 あまり期待しないでねとキヨは付け加える。キヨもどちらかというと、こういうのは得意な方ではない。
 だが……大切に思うふわと太助の為ならと動いてくれたようだ。
「それと、研究がひと段落したらでもいいかしら? 今、大詰めを迎えてるの。もうすぐ終わるから、終わったら、知らせるわ」
 キヨとの相談が終わった、翌日。
 研究の書類をまとめ終わった後に、ふわと遭遇。
 それが、先ほどのキヨとふわとのやり取りである……。

「……覗き見なんて趣味悪いんじゃない?」
「しっ!! 気づかれるでござるよ」
 そう注意する太助に、海斗は思わず苦笑を浮かべる。ふわとキヨが楽しげに話をしている様子を見守りつつ……太助達はふわ達のいる隣の部屋でこっそり覗き見していたが……それもほんの少しだけ。
 ある程度、見終わったところで太助はそっとその場を立ち去ろうとしていた。
「あれ? 太助さん、もういいの?」
「覗き見は趣味悪いのでござろう?」
 いつになくドヤ顔を見せる太助に、海斗は思わず突っ込もうとしたが……。
「……まあいいけど」
 どうやら、これで太助の気が済んだようだ。そのことを良しとしよう。
 その後、家に帰った太助は、上機嫌に帰ってきたふわを更に上機嫌で出迎えたのであった。

「いやあ、先日はとても助かったでござるよ!!」
「うん、僕も美味しいご馳走にありつけて、嬉しいよ。あっと、キヨにも労いの言葉をあげてね」
 後日、今回の件のお礼にと太助は海斗にご馳走を振舞っていた。ふわには気づかれないよう、いつもの店で友人と夕食を取って来ると言って、今、ここにいるのである。
「で……それだけじゃないよね? なんかそわそわしてるし」
 もぐもぐとお刺身をいただきながら、海斗がそう指摘すると。
「いやあ、偶然見つけた案件でござるが……これ、海斗氏やってみてはどうかと思って」
 そう太助が取り出してきたのは、帝都の文化振興事業の少々分厚い書類だった。
「……なにこれ?」
「その15頁を見て下され」
「……これって、作家を募集しているってこと?」
 キラキラと目を輝かせる海斗を見て、太助はドヤ顔で告げる。
「夢と希望と浪漫あふれる、冒険譚……子供向けでござるが、海斗氏の描く物語に似ていたので、良い案件かと思って、持ってきたでござるよ。募集要項はそれに書いてある通りでござる」
「ありがとう、ぜひ、参加させてもらうよ!」
 恩はきっちり返し、新たな縁をつなぐ。
 そんな太助の生き様だけは、リフレインの影響下にあっても決して変わらないだろう。
 そして、その気持ちがあれば、今回のように問題を打開する力にだってすることもできるだろう。
 太助はこうして、陰ながらに周りの協力を得ながら、ふわを支えていくのであった。


※スキル「縁の下の力持ち」と称号「海斗とキヨへの恩」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狐々愛・アイ
涼介さんと帝都でお出かけ中に雨が降ってきたので、ひとまず雨宿りです。

梅雨は凄いですね、まさに自然の不思議です……まぁ、|人工物《レプリカント》のぼくが言うのもなんですけどね!

雨を見ていると、色々話したいことが出てきちゃいますね。少し、お付き合い大丈夫ですか?

|ぼくの故郷《サイバーザナドゥ》の雨は、骸の海の雨……説明が難しいですけど、要するに体に良くない雨なんです。
好きとか嫌いとかいう感じじゃなくて、避けるのが当たり前みたいな感じで。

だからぼくは、故郷以外の雨が好きなんです。
巡り巡って、ヒトの為になるものなんですから。

……ちなみに涼介さんはどうでしょう。
雨、好きかどうか聞いても大丈夫ですか?



◆雨の中のお出かけ
 お出かけ中の突然の雨に、狐々愛・アイ(愛は優しさ、愛は力・f36751)は、雨粒を払いながら、そのまま甘味処に入って行く。
「いらっしゃいませー! あ、りょんりょん久しぶりだね! そっちはお友達?」
 そう声をかけてきたのは、|藤原晴美《ふじわら・はるみ》だ。この甘味処で給仕として働いている。
「お前くらいだよ、俺のことそう呼ぶのは。そう、こっちは友達の……」
「狐々愛アイです。初めまして」
 アイはにっこりと微笑んで、晴美と挨拶を交わす。
「じゃあ、二人には窓際の良い席を案内するね。こちらにどうぞー」
 ちょっと晴美がにまにましているようにも感じたが、それはそれ。晴美もまた、涼介の……。
「涼介さん、彼女はお友達さんなんですか?」
「ああ、桜子と同じ女学校に通ってたんだ。今はここでバリバリに働いているよ。確かホールのまとめ役にもなってるって聞いたな」
 だから、たまにここに来て、甘いものを食べているらしい。
「美味しいし、雨宿りにもいいと思って。アイも好きなの頼むといいよ。ここは奢るからさ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
 二人は向かい合う様に座って、涼介はプリンアラモードを、アイはイチゴパフェを頼むと、窓の外を眺めた。
 雨はまだ止むことはなく、寧ろ強まっているようにも感じられる。
「梅雨は凄いですね、まさに自然の不思議です……まぁ、|人工物《レプリカント》のぼくが言うのもなんですけどね!」
「そんなに凄いのか? 俺にはただの雨にしか見えないけど……」
 頬杖を突きながら、涼介は嫌そうに雨が降る外を眺めている。
「雨を見ていると、色々話したいことが出てきちゃいますね。少し、お付き合い大丈夫ですか?」
「お付き合いも何も、この雨じゃあ、なかなか帰れないしな。どんな話をしたいんだ?」
 そういって、耳を傾けてくれる涼介が嬉しくて、アイはそっと瞳を細める。
「|ぼくの故郷《サイバーザナドゥ》の雨は、骸の海の雨……説明が難しいですけど、要するに体に良くない雨なんです。好きとか嫌いとかいう感じじゃなくて、避けるのが当たり前みたいな感じで」
「そうなのか? 俺は帝都の雨しか知らないからな……」
 涼介はそういって、アイの言う体に良くない雨を想像する。
「……そんな雨なら、なおさらウンザリしそうだ」
 その言葉にアイはくすりと笑みを浮かべ。
「だからぼくは、故郷以外の雨が好きなんです。巡り巡って、ヒトの為になるものなんですから」
「ああ、そっか。そういや、日照りが続いた後に降る雨は恵みの雨っていうもんな」
「……ちなみに涼介さんはどうでしょう? 雨、好きですか?」
「好きか嫌いかでいうと、あんま好きじゃないな。けど……」
 涼介はそこで言葉を区切る。
「アイのいう人の為に降る雨は、嫌いじゃないよ。それに」
「お待たせしました! プリンアラモードとイチゴパフェです」
 ごゆっくりーと、注文したものを置いていくと、足早に晴美は戻っていった。気を使ってくれたのかもしれない。
「ほらみろよ、虹が出てきた」
「にわか雨だったみたいですね」
「これ食べたら、もう少し散歩していこうか」
 そういう涼介の提案に。
「はい、喜んで!」
 アイは嬉しそうに頷いて見せたのだった。


※称号「涼介と雨の日デート」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年07月09日


挿絵イラスト