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魂人の人狼遊戯

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #戦後 #第三層 #魂人の村 #闇の救済者 #【Q】

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#【Q】


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●第三層の人類砦
「皆、戦争お疲れ様! さっそくだけどお願いしたいことがあるの」
 ダークセイヴァーの支配者、五卿六眼との戦いが明けてしばらく。集まった猟兵達に対し、グリモア猟兵のイデア・ファンタジア(空想の描き手・f04404)は語りだした。
「デスギガス災群で、第四層や第五層の土地が第三層に流れ着いたよね。このせいで困ったことが起きてるのよ」
 先の戦争ではデスギガスの歓喜の門を通り、ダークセイヴァー下層の一部が上層へと持ち込まれた。その土地に住む人々ごとだ。
 猟兵達が知っての通り、上層のオブリビオンは下層のそれと比べて圧倒的に強大だ。この過酷な環境で生きるには、下層の人々は脆弱すぎる。
 それは『闇の救済者』――ヴァンパイアの支配に抗う人類のレジスタンス組織だとしても変わらない。下層へ帰還する旅にも耐えられない彼らは、今後も第三層で生きていかざるを得ない。
 一応、流れ着いた彼らの拠点、人類砦は最低限の生活環境は整っている。食料は自給出来ているが、外部の脅威に対抗しきれないことが最大の問題なのだ。
「拠点を守る戦力が必要だわ。つまり魂人達ね」
 魂人に移住してもらい防衛力を強化していけば、いずれは安定した暮らしが送れるようになるのではないか。そのためにも闇の種族に虐げられている魂人達を保護してほしいと、イデアはそう頼むのだった。

●繰り返される遊戯
「予知したのはごく小さな集落ね。二十人くらいの魂人が集められて、闇の種族に弄ばれているわ」
 グリモアの予知によれば、その集落では定期的に住人達を使った遊戯が開かれているらしい。
「人狼ゲームって知ってるかな? それと大体同じって思ってもらっていいわ」
 知らない人のために説明するわね、とイデアは資料を手に取る。

 この村に数体の人狼が紛れ込んだ。奴らは村人になり替わり、夜な夜な住人を食い殺していく。
 誰が人狼なのか、普通の村人には分からない。分かると主張する者もいるが、それこそが人狼の嘘かもしれない。
 仕方ないので怪しい奴を処刑していこう。毎日一人ずつ、人狼の被害が止むまで――。

「こんな感じね。分かってると思うけど、この『人狼』はダークセイヴァーの種族とは関係ないからね」
 魂人達は村人あるいは人狼として、殺し殺されのゲームを強制される。そして闇の種族の遊戯がまともであるはずがない。
 ゲーム内で死亡した者は実際に殺されてしまう。しかし住人達は魂人なので死ぬに死ねず、永劫回帰によって苦しみ続けることになる。
「ゲームが終わったら解放されるけどね。……闇の種族にしては控えめって思った? とんでもない! これの最悪なところはね、ゲームが終わったあとにあるのよ」
 この人狼ゲームは何度も開催されている。毎回同じ顔ぶれで、毎回違う役割で。
 ある時は人狼として殺し、ある時は村人として殺される。ある時は村人を陥れ、ある時は人狼に嵌められる。
 そんなことを繰り返していれば、やがてゲーム内の確執が現実に滲み出てしまう。実際に死の苦しみを味わっているのだから尚更だ。
「仲違いしたり人間不信になったりね。そうやって現実でもゲームでも険悪になっていくのを楽しんでるんだわ、この事件の首謀者は」
 幸いにも魂人達の関係はまだ致命的にはこじれていない。彼らの心を解きほぐし、人類砦へ来てもらおうというのがイデアの考えだ。

 猟兵達にはまず魂人達と交流してもらう。数日は余裕があるのでじっくり取り組んでもいいだろう。
「しばらくしたら、次のゲームを開くために元凶の手下達がやってくるわ。誰が人狼になるか決めたり、『死亡』した人を実際に苦しめたり……ゲームの進行役としてね」
 手下達を蹴散らし追手の心配を無くしたうえで砦へ招く。そうすれば今回の依頼は一応終了だ。
「|小剣《グラディウス》の研究とかも大事だけど、こういうのも続けていかないとね。それじゃ、いってらっしゃい!」


渡来あん
 初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
 参加者が固定されるとメタ読みしがち。

●説明
 第一章では集落に住む魂人達と接触します。
 彼らは繰り返される遊戯のせいで人間関係に罅が入っています。
 心温まる交流で癒してあげましょう。

 第二章では首謀者の手下達がやってきます。
 撃破して追手の心配を無くしましょう。
 猟兵が望めば魂人達も一緒に戦ってくれます。

 それでは、ご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『魂人と語り明かそう』

POW   :    将来、未来について熱く語り合う

SPD   :    現状について、今についてを話し合う

WIZ   :    過去の話に耳を傾け、重荷を少しずつ下ろしていこう

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
【夜桜】
心情)吐き出して開き直れる・受け止められるよな、心強き者ばかりじゃアなかろうてなィ。しかも、こンだけすり減らしあった後なら余計にだ。かうんせりんぐ。おや、ソイツはこないだ手に入れたヤツかい? ひひ、確かにィ。疲れた時ァ食って寝るのがいっとう好いらしいからなァ。
行動)それでは眠ったら俺の出番だ。【夢見の小鳥】よ、穏やかな夢を見せておやり。俺は夢の中に行こう。触れないように、ただ隣に寄り添うよ。愚痴をお言い、不安をお言い。その心の"病み"を吐き出すがいい。すべて受け止めて差し上げる。夢だからね、同時に複数人の夢に出られるよ。さァ、落ち着いたかな?


雨野・雲珠
【夜桜】

村の人同士がお互いを責め合う事態は避けたいんです
心に溜めた澱は、外の人間に吐き出すのがよろしいかと。
そう…『かうんせりんぐ』というやつです!

でもその前に…(箱宮からどさどさ)
ふふふ、そうそう。
サイバーザナドゥで、弟たちがやまほど手に入れてくれた饅頭(マントウ)です!
帝都でいろんな食材も仕入れてきました
ふわふわの饅頭と、あたたかなシチュー
人類砦からの差し入れという名目で、
心身共に疲弊した皆さまに振舞いましょう
数日の猶予は幸いです
人間も魂人も、まずは食べて寝なくちゃ

寝床も整えて、【花吹雪】で眠りの淵までお手伝い
もう大丈夫
目を閉じたら、うんとやさしいかみさまが
お話聞いてくださいますから…


ルパート・ブラックスミス
黒騎士の【存在感】と共に【大声】張り魂人たちを【鼓舞】

遊戯は終いだ、魂人たちよ
我が名は黒騎士ブラックスミス。
我は魂人に非ず。下層、貴殿らの生前の世界からこの鋼身にて参上した!
当方以外にも数多の人々がこの上層に現れ……そして先日、闇の種族の軍勢を退けた!

やや誇張された事実だがUC【騎士示すべき克私無想】の【覇気】で【言いくるめ】る
戦力のアテとしているのだ。後先の為にもまずは今、この環境諸共心情を切り離し、一致団結して奮い立ってもらう

彼らは砦を構え同志として貴殿らを待っている!
立て!遊戯は終いだ、魂人たちよ!
貴殿らは今より闇の種族が弄ぶ玩具に非ず!
奴らから自由を取り戻す、『闇の救済者』となるのだ!



 集落にやって来た見慣れない者達――猟兵達を、村人達が遠巻きに見ている。
 奴らが趣向を変えたのか。もしかして助けが来たのか。聞こえてくる言葉は諦め半分、望み半分というところ。
 そんな彼らを見渡していた雨野・雲珠(慚愧・f22865)は、村人同士の会話が極端に少ないことに気付く。ふとした拍子に目が合っても気まずそうに逸らしているのだ。
「仲が悪いのは聞いてた通り……でも、お互いを責め合う事態はまだみたいです」
 雲珠が零した言葉に対し、それも時間の問題だと返したのは朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)だ。多くを見てきた者として、ありえた未来を語る。
「吐き出して開き直れるよな、受け止められるよな、心強き者ばかりじゃアなかろうてなィ。しかも、こンだけすり減らしあった後なら余計にだ」
 けれどそれも猟兵が来なければの話。早速どさどさと、雲珠の箱宮から溢れんばかりの食料が現れる。
「おや、ソイツはこないだ手に入れたヤツかい?」
「ふふふ、そうそう。サイバーザナドゥで、弟たちがやまほど手に入れてくれた|饅頭《マントウ》です!」
 健全な精神は健全な肉体に宿る。まずは体を癒すことが大事だと、その後で心の澱を外部の者に吐き出せばいいのだと雲珠は神に力説する。
「そう……『かうんせりんぐ』というやつです!」
「かうんせりんぐ。……ひひ、確かにィ。疲れた時ァ食って寝るのがいっとう好いらしいからなァ」

 そうしてしばらく経った頃。
 辺りに食欲をくすぐる匂いが漂い始める。一人、また一人と誘われるように集まった魂人達の前では、即席の食卓の上に美味しそうな料理が並んでいた。
 どうぞ、皆さまに差し入れです。促す青年と料理を交互に見やった魂人達は、やがて席につき恐る恐る口を付け――目を見開いて頬張り始める。
 湯気の立ち昇るシチューにふわふわの饅頭、他にも色々。料理の名前は知らなくても美味しさは世界共通だ。
「ああ、温かい食い物なんて何時ぶりだ……!」
「この丸いの、すごく柔らかいぞ……!」
 不意に訪れた至福の一時。その間、村人達の表情から普段の陰は取り払われ、ただ喜びだけがあった。

「さあさあ、どうぞこちらでお休みになって」
 腹が膨れれば瞼が重くなるものだ。うつらうつらと船をこぎ始めた村人達を、一人ずつ彼らの家へ送っていく雲珠。いつの間にか整えられた寝床の心地良さに、横になった村人の意識は急速に落ちていく。
「もう大丈夫。目を閉じたら、うんとやさしいかみさまがお話聞いてくださいますから……」
 どこか遠くから響いてくる、優し気な声を聞きながら――。

 森の中の一本の樹。そこに背を預けて座っていると、魂人の青年は唐突にそう自覚した。
 見上げた葉の間から覗いているのは、今は遥かな記憶の彼方となった景色。赤き異形の樹に覆われていない、懐かしの故郷の空だ。
『おゥ、いらっしゃい。小鳥の夢はお気に召したかい』
 樹の裏側から話しかけられる。その声に対し、男は不思議と振り向いてはいけない気がした。上手く言い表せないが――畏れ多い、だろうか。
『さて……愚痴をお言い、不安をお言い。すべて受け止めて差し上げる』
 告げられた言葉に何故と返せず、そうしなければいけないという思いが湧きあがる。今まで口に出来なかった想いが零れだす。
「信じてやれなかった。あいつは本当のことを言っていたのに……!」
『あァ』
 そして、不思議な体験をしているのは青年だけではなかった。女性が、老人が、眠りに落ちた村人達がそれぞれの夢の中で懺悔する。
「私が痛かったんだからあの人もって、魔が差してしまったの」
『うン』
「仕方なかった、無理矢理やらされたんだ」
『そうそう。その心の"病み"を吐き出すがいい』
 樹の裏の神は――逢真はその全てを聞き遂げる。彼らの心がすっかり軽くなるまで――。

 一夜が明けて、不思議な夢を見た魂人達は集落の中央に集められた。
 そこには何本もの縄が垂れ下がる絞首台が設置されている。闇の種族が催す人狼遊戯の小道具、この場にいる魂人達の誰もが一度は吊るされたことのある舞台。
 そこには今、声を張り上げるルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)が立っていた。
「聞け、魂人たちよ。我が名は黒騎士ブラックスミス。下層、貴殿らの生前の世界からこの鋼身にて参上した!」
 存在感のある鎧姿で身振り手振り演説するルパート。そんな彼の言葉を魂人達は素直に聞いている。
「当方以外にも数多の人々がこの上層に現れている。そして先日、闇の種族の軍勢を退けた!」
 おお、とどよめきが上がった。村人達の期待する眼差しが黒騎士に注がれる。
 ここだ、とルパートは畳みかける。その手の大剣を振り払い、絞首台を叩き壊してみせたのだ。砕け散る柱、千切れる吊り縄。理想の騎士道の姿は言葉よりも雄弁に希望を語る。
「邪悪な遊戯は終いだ! 立て、魂人たちよ! 同志たちは砦を構え貴殿らを待っている!」
『おおおおお!!』
 歓声が爆発した。そこには疑念も諦念も無く、希望が、意気があった。
「やってやる、やってやるぞ!」
「俺達はもう奴らの言いなりになんてならない!」
「私達だって戦えるわ!」
「砦へ行こう! 僕らの暮らしを取り戻すんだ!」
 演説は大成功と言っていいだろう。魂人達は完全に立ち直った、猟兵達に惜しまず協力するはずだ。
 さあ、これから忙しくなる。荷物を纏めた後は防備を固め、反撃の狼煙を上げるのだ。
 では最後にこれを言っておこう。この単語でもって黒騎士の演説は締めくくられる。
「貴殿らは今より闇の種族が弄ぶ玩具に非ず! 奴らから自由を取り戻す、『|闇の救済者《ダークセイヴァー》』となるのだ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アイソレイティッド・ナイト』

POW   :    インターフィアレンス
【手にした鞭】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、手にした鞭から何度でも発動できる。
SPD   :    ギャンビット
自身の【仲間一体】を代償に【当たれば確実に相手を絶命させる魔槍】を創造する。[当たれば確実に相手を絶命させる魔槍]の効果や威力は、代償により自身が負うリスクに比例する。
WIZ   :    スキュア
自身の身長の2倍の【機動力特化の機械馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。

イラスト:クラコ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●遊戯の駒
「人狼遊戯を始めます。全員集合しなさい」
「なぜ絞首台が壊れているのですか」
「これは反逆です。直ちに鎮圧します」
 やがて現れたのは、全く同一の姿をしたオブリビオン達――アイソレイティッド・ナイト。闇の種族の尖兵だ。
 元はチェスの駒であり、闇の魔術で人の形を取った兵隊達。人狼の姿をしているのは元凶の意地の悪さがゆえか。
 無感動に、無機質に、淡々と処理しようとするナイト達。だがそこに猟兵達が立ち塞がる。
 さあ、人はゲームの駒ではないと分からせてやろう――!
マリエ・ヘメトス
ひとを遊びの道具にして苦しめるなんて、そんな罪深いことを繰り返す相手は主もけしてお許しにならないわ
わたしも微力ながら、みなさんを照らす光のひとすじになれたなら
(魂人の皆さんに協力はお願いしないわ、安全な所で待機していてもらいましょう)

指定UC発動、光の十字で敵を灼き尽くすわ
反撃には護身用の杖も使いつつ【カウンター】【足払い】【誘導弾】【咄嗟の一撃】で対処
素早く動いても【追跡】で追いかける

(オブリビオンたちへ)あなたたちもまた、利用されて罪を犯している哀れな者に過ぎない
首謀者にもいつか必ず、己の業の贖いをさせなければ


朱酉・逢真
【夜桜】
心情)おや…狼が来たとよ、坊。気をお付け。見た目はああだが、どォやらつまらぬ道具らしい。まったく、ヤドリガミやウォーマシンを見習ってほしいモンだねェ。マアいい、"いのち"でないなら愛でもせん。愛らしい"|いのち《連れや村人》"を守るとしよう。
行動)坊と村人らに結界を重ね掛け。運べ|廃疾と螫瘴《プラーグ》、獣も鳥も虫も|植《草木》も、致死の病毒を狼に運べ。槍に当たって道連れにしろ。坊のおかげで機動力が落ちてる、鳥ら虫らは根に引っかからん。狙った村人は狩人に守られてたのさ。残念だったなァ。


雨野・雲珠
【夜桜】

黒騎士様の鼓舞で士気もあげあげ
皆様がようやく「なんとかなるかも」って思えた今、
希望の芽を潰すような行いはできません
無事に人類砦まで送り届けますよ!
かみさまの注意喚起に頷きます
今こそ赤ずきんちゃんの逆襲の時です!

…と拳を握りましたが、前で戦える力はないので
魂人さんたちをお守りしながら援護頑張ります
あの槍、すごく嫌な感じがします
平野でこそありませんが、大きな馬に騎乗して駆け回られるのも厄介
では俺は……逃げ回りながら、
【枝絡み】とUCで集落のあちこちに障害物をたくさん作ります!
太い枝を足元に罠のように張ったり、
魂人の方が逃げやすいよう壁を作ったり
気軽にパカラできると思ったら大間違いですよ!


ルパート・ブラックスミス
愛機こと専用トライクに【騎乗】。戦車戦だ。
爆槍フェニックスを【誘導弾】として地を這うように回転【投擲】、敵の機械馬の脚を【部位破壊】し機動力阻害
その隙に【ダッシュ】ですれ違い様に黄金魔剣で【なぎ払い】

魂人たちにはUC【誉ある者に授ける為の鋼剣】を与え【鼓舞】
自身が戦線にへの【切り込み】隊長を担う【集団戦術】を展開

戦力のアテにしているのだ
永劫回帰で消耗させるわけにも、それだけしか能が無いと本人たちに思われても困る

戦える者は手にとり援護せよ!呪詛でも属性攻撃だろうと構わん!
永劫回帰ではない、生前に得たものこそを振るうのだ!
思い起こせ、かつての自分を!
貴殿らは、捧げられるだけの犠牲ではないのだ!!



●誰が為の戦い
「おや……狼が来たとよ、坊。赤ずきんを喰われンよゥ気をお付け。狩人としてしっかり守ってやらんとなァ」
「皆様がようやく『なんとかなるかも』って思えた今、希望の芽を潰すような行いはさせません。無事に人類砦まで送り届けますよ!」
 遊戯に、あるいは童話になぞらえた朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の言葉に、雨野・雲珠(慚愧・f22865)は頷き返して拳を握った。その傍ではマリエ・ヘメトス(祈り・f39275)が静かに敵へと宣告する。
「ひとを遊びの道具にして苦しめるなんて、そんな罪深いことを繰り返す相手は主もけしてお許しにならないわ」
「彼らはこれからなのだ。その道に立ち塞がるというならこじ開けるまで」
 |トライク《3輪バイク》に騎乗したルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)も蒼炎を燃やし――と、そこで敵が動く。

「大槍変換。装備します」
「鉄馬召喚。騎乗します」
 なんと、いきなり敵が半減したではないか。その代わりだろうか、残った人数分の大槍と機械馬が出現して騎馬隊が組まれる。猟兵達が緊張を高めていく中、その後ろでひぃと悲鳴が上がった。
 思わず猟兵達が振り返れば魂人達が怯えていた。後ずさる者、しゃがみ込む者、行動は様々だが誰一人平静を保てていない。敵は確かに脅威だろうが、それにしてもひどい狼狽具合だ。
 その様子に不穏なものを感じた雲珠が聞いてみれば、返ってきたのは彼らなりの注意喚起だった。
「あ、あんたら、あれには絶対当たっちゃなんねえ!」
「かすり傷一つでも付けられたら死んじまう……!」

「なるほど、即死の魔槍というわけか。それは無理もない……消耗させるわけにもいかんしな」
 演説で上がった士気を挫かれた形となったが、魂人達を臆病と断じるのは酷だろう。むしろ、それだけ虐げられてきたという証左となる。おそらくあの槍は、人狼に『噛まれた』者の死を演出してきたのだ。
「大丈夫、ここはわたしたちが。微力ながら、みなさんを照らす光のひとすじになるわ」
「お前さんらは愛らしい"いのち"だ、しっかり守ってやるともさ」
 けれどルパートが掲げる騎士道のように、守ることもまた猟兵の得意分野。マリエは彼らを後ろにと前へ歩み出し、逢真は身を守る結界を彼らや仲間に施していく。
「俺ももちろんお守りしますが……でも、俺は信じてますよ!」
 駆け出していく雲珠の言葉が魂人達に届いたかどうか。それが分かるのは、もう少し後の話だった。

●その手に掴むものは
 敵の騎馬隊が駆ける。猟兵を、その後ろの魂人達を一直線に狙って襲い来る。スキュア――チェスになぞらえた戦術は敵の十八番なのだろう。
「気軽にパカラできると思ったら大間違いですよ!」
 そうはさせるものかと雲珠のユーベルコードが迎撃する。彼の背負う箱宮、昨日は沢山の食料が出てきたそこからは無数の木の根が湧き出た。瞬く間に集落の地面に張っていき、平坦だった地形は森の中のように凹凸だらけとなる。
 相手の馬が驚いて、ヒヒィンと嘶き立ち上がる。
「……そんなところだけ生き物らしいんですね?」
 何だかそれが無性に可笑しかった雲珠だった。

「あなたたちもまた、利用されて罪を犯している哀れな者に過ぎない。……けれど、償いを」
 桜の根に足を取られたことで突破力の大半を削がれて、それでも進もうとする敵群の先頭をマリエは指し示す。すると次の瞬間、天から降り注いだ一条の光が十字架のように相手の馬へと突き刺さったではないか。
 よろけた先頭を避けることも出来ず、後続の騎馬達が次々と衝突していく。たまらず投げ出されていくナイト達――しかし彼らは欠片も動揺を見せず、すぐに立ち上がっては歩兵として進み始める。
 その無機質な在り方を見て、やはり彼らは道具なのだとマリエは思った。
 彼らは闇の種族の尖兵で、つまりは使い走りに過ぎない。この場で彼らを殲滅したとしても、首謀者である闇の種族が健在な限り、またどこかで邪悪な遊戯が開かれることだろう。
 そんなことはさせない。突き出される槍の穂先を杖で打ち払いながら、改めて決意を固めるマリエ。
「いつか必ず、己の業の贖いをさせなければ」
 続けざまに敵の足を打ち据え転倒させる。倒れこんだナイトは起き上がろうとするが、今度はそれよりも早く十字がその胸を貫いた。
 一つ、また一つ、光の墓標が増えていく。

「まったく、ヤドリガミやウォーマシンを見習ってほしいモンだねェ」
 感情も見せず、断末魔の悲鳴も上げず、淡々と戦い続けるナイト達。やはりこれは愛でるべき"いのち"ではない――早々に見限った逢真は『彼ら』に飛べと命じた。
 ざわり。錯覚ではなく本当にそう音を立てたのは、集落のあちこちに潜んでいた小さな虫達。
 ばさり。一斉に飛び立ったのは、木々の枝にとまっていた様々な鳥達。
「運べ|廃疾と螫瘴《プラーグ》、運べや運べ」
 小さき命、疫病の媒介者、かの神の使い魔。煙のような虫の群れが、嵐のような鳥の群れが人狼兵に特攻する。群れに飲み込まれた敵はあっという間にぐずぐずに腐り落ちていった。
「致死の病毒を狼に運べ、槍に当たって道連れに……おやァ?」
 ふと様子が可笑しいことに気付く。こちらの被害が思った以上に少ないのだ。よくよく観察してみれば、反撃の槍がかすっても平然と飛び続ける使い魔達がほとんどだ。
 その理由を考えて、なるほどと逢真は頷いた。
「つまらぬ道具らしいつまらぬ落ちだねェ」
 あの槍は仲間を代償とする力。だが仲間を失うことを何とも思わないのならば、それは代償たり得ない。それだけのことなのだと。

 即死の魔槍など存在しなかった。では、どうして魂人達は怯えていたのか。
 そこに思い至った瞬間、ルパートは自分自身である鎧から『誉ある者に授ける為の鋼剣』を呼び出していた。
「我が血はもはや栄光なく。されど、彼の者らに誉はありて!」
 召喚された無数の儀礼剣、それらは魂人達一人一人の下へと飛んで行った。彼らの目の前でふわりと、さあ掴めと言うように浮かんでいる。
 そしてルパートは、再び彼らを激励する。
「見よ、あの狼どもの無様な姿を! 魔槍など永劫回帰が見せたまやかしに過ぎん!」
 改竄された記憶、捏造された心的外傷。人狼遊戯で強制された永劫回帰の代償こそ恐怖の正体だったのだ。
「今こそトラウマを乗り越える時! 剣を手に取り戦うのだ!」
 これは試練だ。虐げられる者から抗う者へ、変わる資格を得るための試練。
「思い起こせ、かつての自分を! 貴殿らは、捧げられるだけの犠牲ではないのだ!!」
 黒騎士の声に背中を押され、一人、また一人と剣を掴んでいく。ゾクゾクと湧きあがり体を震わせるのは、儀礼剣がもたらす祝福か、それとも。
「さあ、我らに続け!!」
 トライクのエンジンが大きく唸りをあげて――それ以上に大きな鬨の声が戦場に響いた。

「ああ……皆様!」
 桜の根を操って、盾となる壁を、足を取る罠を作っていく雲珠。その視線の先には果敢に戦う村人達の姿がある。
 これだ、これこそが希望の芽だ。踏みにじられても耐え切って、いずれ開花に至るもの。
 さあ、いよいよこれからだ。村人が人狼を襲うなんてルール違反だと、遊戯ならそう言われるのだろうが――現実にそんな決まりはない。
 これは、そう。かみさまの言葉にあった、あの童話で例えるならば――。
「今こそ赤ずきんちゃんの逆襲の時です!」
 その後の顛末は、語るまでもない。

●人類砦へようこそ
「本当にありがとうございました。皆さんが来てくれなかったらどうなっていたか」
 尖兵を撃破した後、数日間の旅を経て。猟兵と魂人達は目的地である人類砦に辿り着いた。
 猟兵達の役目はここまでだ、後は彼らの頑張り次第。別れの挨拶をしながら猟兵達は彼らの姿を目に焼き付ける。
 先人の『闇の救済者』達とも明るく語らう彼らには、あの集落での暗い陰は見当たらない。すぐに打ち解けてここの一員として活躍してくれるだろう。
「それでは、皆さんもお元気で!」
 そして魂人達に見送られながら、猟兵達はこの地を去るのだった。

 |悪しき遊戯は終わり、人生が始まる《ゲームオーバー&ゲームクリア》。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年06月26日


挿絵イラスト