5

歓楽街から違法物品を回収・検査せよ！

作者：黒代朝希

「さて、妾の担当する歓楽街では曰く付きの物品が出回っていてな。そこから風紀委員会からの要請で明確に違法な物品を回収、その後妾の担当する学生寮で検査するアルバイトをする事に決めたのだ」
　アドナ・セファルワイド（セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942）はそう言ってセーラー服の袖に『風紀委員』と書かれた腕章を着け、自身の担当している学生寮で集めた者達へと説明を行っていく。
「何せこのような地勢だ。羽目を外して違法な物品……違法ドラッグ(化学薬品は勿論デジタルなものも含む)に違法な改造機器、或いは違法な禁呪が書かれた魔導書なども出回ってくる時期でな。それらを回収し妾の学生寮で検査を行うアルバイトだ」
　ちなみに件の学生寮に住んでいる学生達は出払っているらしい。
　なのでゆっくりと『無人』の状態の学生寮で違法物品の検査を行う事が出来る。
「回収に赴く時は歓楽街を散策し、当たりが無ければ風紀委員会からの情報を元に目的地に。当たりがあれば独自に動いても良いだろう」
　但し違法物品はどれも強力な物であり、物品やそれを持っている者に迂闊に近づいたりしたら行動不能となるかもしれない。
「検査班もこれは同じくだな。しっかりとした手続きで検査しなければ暴発の危険性がある」
　なのでこういった物品に詳しくなければ、検査と全体指揮の為学生寮に残るアドナの指示を聞くなどしておけば暴発に巻き込まれる可能性は無いだろう。
「故に大丈夫だと思うが……くれぐれも両班とも気を付けろよ？」

第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動 SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動 WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動 イラスト：YoNa 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「さぁ、観念しなさいな！」
　ビシッと相手に指を突きつけるイリスフィーナ・シェフィールド（相互扶助のスーパーヒロイン・f39772）。
　風紀委員会からの情報で違法呪術の魔導書の回収に向かった先、当該人物を発見。
　風紀委員の腕章を見せ、当該人物に大人しく該当物品を差し出すよう警告を発する。
「！何か詠唱を……」
　世界で異能を行使する際は、｜詠唱《のりと》を唱える。
　短いフレーズで効果を発揮するのか、当該人物は魔導書から怪物を召喚していく――
「……トカゲ、ですわね」
　召喚されたのは『ディフォルメチックされた二足歩行でぱっくんしそうなトカゲ』……しかし見た目の可愛さに反して大きさは２メートルくらいあるが……
「ならば、迫撃戦で！――なっ！？」
　インファイトに持ち込み、打撃を与えていくイリスフィーナ。
　しかし、弾力ポヨポヨボディ……ディフォルメチックな見た目が、その正体なのだろう。
　打撃業は有効打にならず、虚を付けれるイリスフィーナ。
　その隙を突き、トカゲは彼女を丸呑みする――
「うう……唾液まみれでベチョベト……！」
　おまけに胃の中で服が溶け始め肉壁にぎゅうぎゅう圧迫され酷いことに。
　このままではイリスフィーナの服だけではなく、肉体も融解してしまうだろう。
「轟け雷光っ、ライトニング・プレッシャーですわっ」
　しかしイリスフィーナは自身のホープコードを発動。
　イリスフィーナの思いに呼応して、肉体から溢れ出す「意志の光」である『シャイニング・ウィル』から『意志の光を変換した雷』を放ち、中からトカゲを痺れさせていく。
　流石にこの攻撃にはトカゲも悶絶。
　トカゲに吐き出され脱出し、そのまま当該人物を迅速に鎮圧してトカゲを追儺したイリスフィーナ。
「……お風呂入りたいですわ」
　しかしまず、風紀委員達には自身の服とシャワー室を手配する様に頼むのであった……

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、第六感と、あとその辺の怪しい人間を催眠術にかけつつ目的の物を捜索と……まぁ、禁制品なのがわかっていれば後は問題ないわ」
　篁・綾（幽世の門に咲く桜・f02755）は制服に風紀委員の腕章を着け、歓楽街を捜索している。
　既に禁制品の諸々は把握している彼女だ。
　必然的にそれを求める者の居場所も分かっている――
「さあ、御用改めよ！」
　ドアを開け放ち、部屋に踏み入る……
　ここで一旦、綾の意識は途絶える。
　……監視カメラによって禁制品を取り扱う者達に綾の存在は把握されており、捕獲の為に泳がされていた。
　そして、踏み込んだ部屋に揮発させた違法ドラッグが充満させられて思いっきりそれらを吸って酩酊してしまったのだ――

「うう……」
　お縄になった後綾……武装解除された上、目隠しをされて周囲の状況も録に感知できない。
　更に豊満な胸を強調するように縄をかけられ、椅子へと縛り付けられている屈辱的な状況だ。
「ちょ、ちょっと！」
　その上で念入りに身体検査され、ねちねちと嬲られながら売人達から尋問を受けさせられる綾。
　豊かな乳房を揉みつぶされて、痛みと僅かな『感覚』を感じてしまい、息を漏らす……
「（お、覚えていなさい……！）」
　しかし尋問される間にも、綾は情報収集を続けていた。
　尋問の為聴覚は塞がれておらず、そこから部屋の中の反響音等を利用し周囲の状況を精査し把握。
　そんな状況から情報をある程度収集した後、ユーベルコード『夢魂桜晶』を発動。
「かちり、かちり　爆ぜる輝きの石よ　黒く蠢く悪意の鬼を　貪り喰らいて華へと変えよ」
　綾が全てを桜色の結晶へと変え同化する姿に変身し、眼前に存在する対象の魂及び『悪意』――即ち密売人の悪意を代償として『対象の望む夢を見せながら対象を同化する力』で周囲を夢で包み、制圧していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「バイトに来た西行寺です。アドナ先生、本日はよろしくお願いします」
「ああ、よろしく頼む……早速だが押収された違法物品の解体を任せるぞ」
　検査班に編入した西行寺・銀治郎（国立希島学園の一般的な残念男子学生・f38167）に対してアドナは違法改造機材の解体作業を依頼する……
「職業の体験実習にこんな危険バイトがあるんだ？」
　言いたい事を銀治郎は代弁してくれた様だ。
　まぁ、ホープコードを自在に行使できる存在は余程のことが無い限り死にはしないから大丈夫だろう。
「アドナ先生？このコードを切断して本当に大丈夫ですか？」
「また懐かしい雰囲気のものが……待っていろ、今マニュアルを渡す」
　時限爆弾の装置みたいな機材の蓋を外すとカラフルなコードが盛り沢山な状態に。
　アドナは銀治郎に解体用マニュアルを渡すと、起爆しない為のコードの切断手順を教えていく。
「アドナ先生から手取り足取り教えられて解体作業だ」
「うーん、これが夕暮れの教室で数学とかを教えるとかであれば妾も雰囲気に乗るのだがなぁ」
　何せ解体ですからね、其れも時限爆弾みたいに爆発する奴を。
　ともあれ、アドナの指示通りにコードをニッパーで切っていく。
「さて、次は赤色のコードだな」
「了解です……さっき切った青のコードの隣の奴ですね？」
「は？寧ろ反対側にあるのが赤のコードで――おい、何で青のコードの隣に『朱色』のコードがある？」
　パチン
「え？」
「あ？」
「……しまった」
　突然の放電に対し、銀治郎はアドナの盾となる。
　幸い、殆ど解体後なので微小の爆発で大事に至らなかったのが幸いか。
「後で見舞いに行こう。リンゴでも持ってな」
「ありがとうございます……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、そろそろ終わりに近づきましたかね」
　アレクサンドラ・ヒュンディン（狗孤鈍狼・f25572）はアドナの寮……近くで爆発があったのを確認し、後処理を終えた後に再び押収物の処理にかかる。
　アレクサンドラが処理していたのは違法薬物。
　合法や脱法等の括りで法から逃れていたが、法規制の改定により違法となった薬物……その中でも人気の高かったシリーズの一つだ。
「これを、安全にパッケージして処理、と……」
　こう言った違法薬物はサンプルとして複数個保存処理を行い保管した後、特定の手順で処分する。
　アレクサンドラは恙なく保存用の違法薬物をパッケージし、やがて全ての違法薬物を処理した。
「さて、後はどうなるやら……」
　しかしまだまだ歓楽街を散策している回収班が次の違法物品を持ち運んでくる筈。
　その中には脱法や合法、ハーブ等の新たな違法薬物も存在している事だろう。
「実際、そうなりましたね」
　新たに回収班が確保した違法物品……その中にある違法薬物は担当であるアレクサンドリアの元へと回され、やがて彼女はパッケージ処理を行っていく。
　そうしてアレクサンドラは次々と、黙々と違法薬物を処理し続けていく――

「と、ご苦労様だ」
　やがて歓楽街を舞台とした違法物品摘発作戦が一段落を終え、アドナは休んでいるアレクサンドラに労いの声と夜食のパンケーキを振る舞う。
「美味しそう……」
　香ばしいパンケーキ生地の焼ける匂いに、乗せられたホイップクリームの甘い香りがブレンドして食欲をそそられたアレクサンドラは、フォークとナイフを取りパンケーキを食していく。
　疲れた体に甘いホイップクリームを乗せたパンケーキは染み渡り、食べれば食べる程疲労回復を感じられる程であった。
「口に合ったなら何よりだ」
　そう言ってアドナも自身はベリーソースをかけたパンケーキを食していく。

　ともあれ、風紀委員会が立案した歓楽街における違法物品の回収・検査による摘発作戦は、多数のホープコード使いの協力の元完遂されたのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年07月06日