人を真に惹きつけるのは
●アックス&ウィザーズの銀細工の町
「がう、集まってくれてありがとー。早速ボクが見た予知をお伝えするね」
今日はグリモア猟兵なアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)がぽふっと椅子に座って話し出す。
「アックス&ウィザーズに、銀細工を町の産業にしているところがあるんだ」
とても有名……ではなく、知る人ぞ知るといった規模の町だが、素晴らしい銀細工を売り物にしているおり、そういう細工を得意とするドワーフたちが数多く住んでいるようだ。
「その町がオブリビオンの女盗賊に襲われる、というのが今回見た予知」
女盗賊たちは町のあらゆるモノを盗んでいく光景をアルファは見たという。
「物はもちろん、お金もだし、最後にはハートまで盗んじゃう。命は盗らないって感じだけど……魅了された人たちは、彼女たちのボス、ハーピーへの献上品になっちゃうんだ」
そこでアルファは少し目を伏せる。その先にあるのは、確実な死である。
「もしかしたら、彼女たちはどれだけ献上できるかとかを競い合ってるのかもしれないけど……とっても迷惑だし、このまま放っておくわけにはいかないから」
よろしくお願いします、とアルファはぺこりと頭を下げた。
●アルファくんからのお願い
「皆にやってほしいことは3つだよ」
にくきゅうが愛らしい猫の手でにゅっと3本の指を立てるアルファ。
「ひとつめは、町を襲撃している女盗賊を撃退すること」
猟兵たちの到着は女盗賊が町に襲撃を仕掛けようとしているタイミングになる。町に着いたらそのまま女盗賊と戦う形になる……のだが。
「なんというか、その、あんまり肉体労働派じゃないみたい」
見た目を活用しつつ、甘えてみたりとか誘惑したりとかして、油断させた後に悪事を働くという流れのようだ。なので、下手をすると遭遇の時点では、天敵同士にもかかわらず、『やっほー』とか言い合って近づくことも可能な緩さかもしれない……。
ただ、油断するとやられます。気を付けて。
「ふたつめは、町の近くで巣を作っているハーピーを倒すこと」
近くに巣を作ったのは偶然だろうが、そんなことで町を食い物にされてはたまったものではない。幸い、ハーピーは女盗賊たちを手足にして自分は巣から動かないようだ。
「戦闘になったら空を飛ぶかもだけど、巣を捨てて逃げるようなことは無いから、叩き落とせば大丈夫だよ」
こっちは相手も臨戦態勢だと思うので、全力で倒してきてほしい。
「最後はボクからの個人的なお願いだよ」
椅子から降りたアルファが皆を見上げながら話し出す。
「ハーピー退治が終わったら、町で銀細工を楽しんできてほしいんだ」
というのは、オブリビオンの襲撃によって今現在も少なからず被害が出ている。今回の事件が解決すれば原因は排除できるが、これまでに蓄積した不安や心配はそう簡単に消えないだろう。
「だからね、町の脅威を倒した皆がそのことを宣伝しながら、町で遊んで行ってくれたら、町の人も喜ぶと思うし、少しでも活気が戻ると思うんだ」
もちろんそれだけじゃなくて。町の自慢である銀細工もしっかり堪能して欲しい。そのためには、退治に直接参加した猟兵だけでなく、友人や旅団の仲間も引き連れてきてもらって、全然OKだ。
「友達の友達は、友達っていう理論でいこう、うん」
ぽふっと両手のにくきゅうを合わせてアルファが頷く。
「というわけで。皆、改めてよろしくね」
るちる
はじめまして、あるいはこんにちは、るちるです。
ハート・ロバー可愛いですね最高ですね、うへへへ。
とか書いているとただの変態になるので、それはさておいて。
全編ゆるゆるっとした感じで進行していきたいと思っています。そして『コメディ』な雰囲気になるところもあると思います。特に1章は。
そう、周りの方とかは気にせず、むしろ空気読みとか投げ捨てて、皆さんのやりたいことをプレイングにゴー!
3章ではアルファくんも町に移動して、ぽふぽふ銀細工を楽しんでおります。お声掛けいただいた際には、もふっと顔を出させていただきます(リプレイに登場するのはお声掛けいただいた時のみとなります)。
それじゃ、プレイングお待ちしておりまーす。
第1章 集団戦
『ハート・ロバー』
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POW : こんなに近いとハートがドキドキするね
【心臓を抉るナイフ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : アナタに一目惚れしたの!
【告白】が命中した対象を爆破し、更に互いを【運命の赤い糸】で繋ぐ。
WIZ : アタシとイイコトしない?
【興味】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ハートマーク】から、高命中力の【キューピッドの矢】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●その運命は出会い?
目的地にたどり着いた猟兵たちは町の中を見渡す。それだけでもちらほらと姿を確認できるハート・ロバー。男女問わず、ちょっかいを出している。籠絡しようと企んでるのだろう。そのナンパのような行為に割り込んで行く必要がありそうだ。
また、町の外からもまだまだハート・ロバーが来る気配も感じられる。こちらはそのまま町の外で遭遇できるかもしれない。その場合は出待ち……じゃない、待ち伏せになる。
いずれにしても出会ったときにはご注意を。いきなり告白されたりするからね!
ノエシア・ファンダーヌ
ふむふむ、同族の危機と聞いたら黙ってはいられないね
私は待ち伏せのほうを担当しようかな
最初は友好的に振る舞ってくるらしいから、私も表面上は親しげにするよ
「こんにちは、お嬢さん。よかったら私が町を案内しようか?」
告白は……本当は、想いを捨て切れない人がいるから断りたいところだけれど
でも、YESと言ったほうが油断を招けるなら、そうしようかな
そして相手に不意を突かれる前に、
機を窺って 魔法で拳銃を具現化し不意打ち(クイックドロウ1)
追撃と、召喚されたハートマークを撃ち落とすために【ウィザード・ミサイル】も使うよ
……意地悪かもしれないけれど、こっちも仕事だからさ
ごめんね?
※他PCとの絡み&アドリブ歓迎
国木田・光星
お、おいおい…そんな敵ってありか…!?
オブリビオンてのはUDCみたいな化けもんばっかじゃねぇのかよ…!
…いやいや、いかんいかん。しっかりやるぞ!
町の外で出待ち…いやさ、待ち伏せとしよう。
…待ち伏せってのも、なんかこう…ストーカーっぽくて嫌だな…
至近距離からの心臓抉りはきついからな。
距離は捕りつつ、イレイザーレーザーでけん制か。
倒しちまった方がいいのはわかるんだが…なんか罪悪感が凄い。
万が一、色仕掛けされちまったら…やばいな。耐えられる自信ないぞ。
だって可愛すぎるだろ…!
※憐憫・優越・傲慢の感情を相手が抱いたら、大量のUCのアレが群れ出て襲いかかる感じです。怖い。
アドリブ共闘歓迎です。
●出会ってしまった(?)
銀細工の町まで辿り着いた猟兵たちは、各々思ったポイントへ足を運ぶ。
ここは町の外。そこに佇むのはひとりの、自身はごくごく平凡の類だという三番星。国木田・光星(三番星・f07200)。今、彼は今苦悩していた。
「お、おいおい……そんな敵ってありか……!?」
そう、今回、もうすぐ姿を見せるであろうオブリビオン、ハート・ロバー。その姿を聞いた光星は、ショックを受けていたのだ。
「オブリビオンてのはUDCみたいな化けもんばっかじゃねぇのかよ……!」
えっ、驚くのそっち?!
「……いやいや、いかんいかん。しっかりやるぞ!」
はい、よろしくお願いします。
(……待ち伏せってのも、なんかこう……ストーカーっぽくて嫌だな……)
とは思いつつも、オブリビオンの所業を看過もできず。光星は町の外で待機していたのだ。
そして出現するハート・ロバー。ホルスターから抜いたイレイザーレーザーで牽制を仕掛ける光星。この牽制は、敵の至近距離からの一撃を避けたいという意味もあるが。
(万が一、色仕掛けされちまったら……やばいな。耐えられる自信ないぞ)
少しでも接近を避けたかった、色んな意味で。とにかく敵(可愛い)から仕掛けられる前に仕留めなけれ……。
「アタシとイイコトしない?」
「……ぐはっ」
遠距離から色目とキューピッドの矢の、ダブルでダメージを受ける光星。だって仕方ないじゃない、可愛すぎるんだもの!
崩れ落ちる光星にびっくりしたのがハート・ロバーである。その様子は想定外だったっぽく、慌てて光星に近付いていく。
「えっと……そんなダメージ入るとアタシたちも心配になるってゆーか」
意外と中身は普通の女の子っぽいハート・ロバーに心配される光星。でも光星だって男だもの、女の子が好きで何が悪いというのか……!
「そっか、嬉しかったんだね……?」
ほろりと涙を流すハート・ロバーの言葉は単純に善意だったのかもしれないが、その感情は……!
突如(?)、召喚される黒い蟲たち。それは誰もが嫌悪感を抱く。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
大量のUDC(蟲・黒いアレ)がぶわーっと、ぶわーっと召喚されて、だだだーとハート・ロバーたちに襲い掛かる。
きっと光星にも悪気はないんだろうけど、なんていうか今回はオート発動っぽい。
「いやぁぁぁぁ!!」
黒いアレの波がハート・ロバーたちを飲み込み。ソレが通り過ぎた後は、何も残ってなかったそうな。
怖い。
●撃ち抜くのはハートマーク
「光星君、大丈夫……?」
肉体的とも精神的にもダメージを負って、座り込んでいる光星に声をかけたのは、ノエシア・ファンダーヌ(夕闇に溶けゆく・f03589)。
光星に少し遅れて、ここで合流したわけだが、大量の黒いアレを見なくて済んだのはよかったのかもしれない。まぁ、ノエシアの振る舞いからすれば、見た目は動揺も無く乗り切りそうな気もするけど。
そんなわけで光星と交代して、ノエシアが待機することしばし。ハート・ロバーの第二波出現である。
(同族の危機と聞いたら黙ってはいられないからね)
ドワーフ族の良家の出であるノエシアにとっては、敵が誰であれ、見過ごすことの出来ぬ事態だったのだろう。
ゆえに、ここは彼女らしく余裕綽々マイペースに。
「こんにちは、お嬢さん。よかったら私が町を案内しようか?」
そう言って、ハート・ロバーたちを町へ誘うのであった。
とはいえ、それはフェイク。敵を油断させるための。
「そう、実はね?」
とまるでデートの提案をするかのごとく、ノエシアがハート・ロバーたちに向き直る。彼女達に向けて差し出した手には……先ほどまでは存在しなかった金色に煌めく拳銃。それはノエシアの魔術によって具現化された『名も無き拳銃』。
不意を突かれる前に……突く!
「……っ!?」
ハート・ロバーが何かを言う前に、拳銃が魔力の弾を撃ち出す。不意を打った一撃は先頭にいたハート・ロバーを撃ち抜くが、まだ決定打には至らない。
「なによそれぇ……!」
不満を表しながらも籠絡しようと誘惑を仕掛けてくるハート・ロバーたち。お互いの攻撃意思を興味ありと判断されたのか、ハート・ロバーたちの頭上にピンクのハートマークが出現し。
「……意地悪かもしれないけれど、こっちも仕事だからさ」
キューピッドの矢が発射される前に、ノエシアが仕掛ける。
ノエシアによって召喚された50本の矢。それはさながら彼女を守る壁であり、そして放たれればハート・ロバーたちのハートマークを押し潰す波となる。
ウィザード・ミサイルの弾幕をすり抜けてきた数本のキューピッドの矢がノエシアにヒットするが、かすり傷。
「なんなのよもう!」
「ごめんね?」
逆ギレしたハート・ロバーが次々と反撃を仕掛けて来るが、冷静を欠いた状態で逆転できるはずもなく。ウィザード・ミサイルと拳銃という説得(物理)で黙らせていくノエシアなのであった。
ばーん。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
※他猟兵との連携・アドリブOK
【POW】
盗賊とはヒーロー的にも許しては置けませんね!
銀細工を守りたい人は職人側でもそうでなくてもいるはず、そういった方の中から装着者を探してから出撃します!見目可愛ければ種族問わず
【挑発・誘惑】してあえて多数の一斉告白を誘い、爆破段階で『無敵城塞』を発動し、赤い糸で自身を結ばせる
「告白ありがとうございます。それでは返答のお時間です。ユンちゃん!」
『降臨、鉄の女王』でユングフラウを女王様モードにチェンジ
チェーンで束縛したシズホごと【ロープワーク】の赤い糸でラバーたちを大量に引き寄せ、トゲだらけの鞭で一気に叩き、【鎧無視攻撃】の鋭いヒールで【踏みつけ】ていく
●愛の形?
一方、こちらは町の中。
既に街の中に入り込んでいるハート・ロバーの姿を確認したシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)の姿があった。
(盗賊とはヒーロー的にも許しては置けませんね!)
と、今回は『盗賊から銀細工を守りたい』という意志をもつ町の人を探すシズホ。彼女の本体はヒーローマスク。装着者がいて初めて力を発揮できるのだ。なお、見た目可愛いは必須条件である。
装着者を見つけ、ハート・ロバーたちを見つけたら、後は仕掛けるだけ。
町の人にちょっかいを出そうとしていたハート・ロバーたちの前に割り込むように入り込み。そして、持ち前の愛らしさで誘惑していく。
「アナタに一目惚れしたの!」
その場にいたハート・ロバーたちから合唱のように解き放たれる、告白という名のユーベルコード。
「告白ありがとうございます。それでは返答のお時間です。ユンちゃん!」
しかし、爆破のダメージを無敵城塞で完全にカットし、赤い糸とつながった状態のみを維持するシズホ。それこそ彼女の狙ったシチュエーションである。
「さあ私を縛り私の快楽を糧に暴れて下さい、鉄の女王様!」
『降臨、鉄の女王』。シズホが『拘束具による、自身の指以外の自由』を代償にして、アイアンメイデン型の戦闘人形を蹂躙女王モードに変化させる。
繋がっている赤い糸を利用して、シズホごとハート・ロバーたちを引き寄せるユングフラウ。そしてトゲだらけの鞭で一気に攻撃を加えていく。
しかし、一撃で仕留められるほど、ハート・ロバーたちもやわいわけではなく。
「ちょっと! アタシたちそんな趣味無いんですけど!」
いきなり始まった愛の鞭にキレるハート・ロバー。
「そんな人とは縁切っちゃうんだから!」
と言って、ハート・ロバーたちは赤い糸をナイフで切り落とす。お返事、一方的な攻撃だったしね……。
こうなると、動けないシズホ+可動範囲はあるけど元気なユングフラウvs体は自由なハート・ロバーという構図になる。
「動けない人は置いておいてー。この人形壊せばいいよね?」
「!?」
という展開にもなったりもするわけで。対象が人であれば心臓すら抉るナイフの一撃がユングフラウを襲う。あと、無敵城塞でダメージ通らないけど動けないので、腹いせに遠距離から何か投げつけられる。
子供の喧嘩か、という様相になりつつも、ユングフラウの頑丈さが功を奏し、なんとかハート・ロバーたちを退治したシズホであった。
苦戦
🔵🔴🔴
フレミア・レイブラッド
良いところのお嬢様といった感じで、華美なドレスを着て楽しそうに【誘惑】で魅力を振り撒きながら歩き周り、町の有力者といった感じで、ハート・ロバーの標的にされるよう惹き付ける。
声を掛けてくるハート・ロバーが現れたら、【魅了の魔眼】で逆に魅了。虜にしたコに濃厚な口づけや快楽を伴う【吸血】等を施して完全に虜にし、他のハート・ロバーを騙して連れてくる様に指示。
連れて来たコを更に魔眼で魅了といった感じに繰り返して、逆にみんなわたしのトリコ…ハーレムにしてあげるわ♪
こんなに可愛い子達だもの。ただ倒すなんて勿体無いじゃない♪
可愛い子…♪アナタはもうわたしのモノ…さぁ、たっぷり可愛がってあげる♪
※アドリブ歓迎
●
その小さな体躯が歩くごとに、金の髪が揺れ、すれ違う人々の視線を集める。赤い瞳が無自覚に、自身に向けられた視線を捉え、魅了する。フレミア・レイブラッド(幼き吸血姫・f14467)は、華美なドレスを纏いながら、周囲に魅力を振り撒いて。街の中を歩いていた。その振る舞いは以前よりこの地に住まう有力者のようで。
そして目論見通り、フレミアを見つけたハート・ロバーたちが声をかけてきたのであった。
絡みつくような甘い、ハート・ロバーの声にフレミアが返した言葉はひとつ。
「わたしの僕になりなさい……」
『魅了の魔眼・快』。強烈な快楽を伴う魅了の魔力が絡み合う視線を通じてハート・ロバーに注ぎ込まれる。瞬時、抵抗する間もなく、フレミアの手の中に堕ちるハート・ロバー。腰が砕け、ぺたんと座り込んだその表情はとろけるような快楽に染まっていた。
「あなたはもう、わたしのトリコ♪」
身じろぎすらしないハート・ロバーの頬に手を当て、濃厚な口づけをかわすフレミア。周囲のハート・ロバーたちが仕掛けて来る前に、フレミアの視線が彼女たちを捉える。
結果。フレミアの周りにはハート・ロバーたちが傅くように侍り。彼女たちはフレミアからの寵愛という名の口づけや吸血(快楽を伴う)をひたすら待ち続ける。
「フレミア、さま……アナタに一目惚れしたの……」
「?!」
ぼん、とフレミアが爆破される。
いや、待ってほしい。これは敵意ではなく、誤爆だ。ハート・ロバーのうっかりと言ってもいい。その証拠にそのハート・ロバーは子猫のごとく、フレミアにすり寄っているのだから。
「いいわ。許してあげる」
その1体を撫でながら、虜になった他のハート・ロバーに指示するフレミア。内容は『さらに他のハート・ロバーを連れてくること』。その際、すり寄っている者がいれば、さらに警戒心も削げるかもしれない。
(こんな可愛い子達だもの。ただ倒すなんて勿体無いじゃない♪)
フレミアの視線にかかれば、すべては彼女の虜。その後は愛でようが弄ぼうが始末しようが、フレミアの自由だ。最終的に町に被害を与えない存在となれば、何の問題もないのだから。
では、僕が次の獲物を連れて来るまで。しばしの間はこの子を愛でるとしよう。
「可愛い子……♪ アナタはもうわたしのモノ……さぁ、たっぷり可愛がってあげる♪」
首筋に牙を突き立て、音を立てる勢いでハート・ロバーの血を吸い上げるフレミア。
その後、働きアリが砂糖を巣に運び込むがごとく。フレミアが町の中に借りてあった拠点へ次々とハート・ロバーが連れ込まれたらしい。
成功
🔵🔵🔴
チェリカ・ロンド
あんたらみたいのがいるから、私たち女子がみんなちょろいと思われるんでしょーが!
誰にでもしっぽ振るバカ犬みたいなこと、やめてよね!!
馴れ馴れしく話しかけてきたら、返事は【チェリカ砲】でするわ。「やっほぉぉぉっ!!」
基本は接近戦よ!聖剣(でかい)でナイフを寄せ付けないように戦うわ。
距離を取られたら【チェリカ砲】で薙ぎ払うわ。私の十八番、見せてあげる!
懐に入られたら、そこからが本番ね。相手のナイフが刺さるより速く、バカ女の胸に手を当てて【零距離チェリカ砲】よ!極大の聖なる光で、消し飛ばしてやるわ!
女の子の威厳は、この私、聖女チェリカが守ってみせるんだから!
●譲れないもの
町の外縁部に当たる区画へ急ぎ、歩を進めるひとりの少女。身の丈ほどの聖剣を携えたチェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)である。その容姿は年の割に育ちが良いが、愛らしい顔はどこかしら不機嫌でして。
「あ、やっほー」
「やっほぉぉぉっ!!」
チェリカを見かけて気軽に声をかけてきたハート・ロバーに対して、お返事は両掌からぶっ放した『チェリカ砲』でした。
そんな不意打ち躱せるわけもなく、吹っ飛ぶハート・ロバー。
「ちょっといきなり何すんの!?」
「アンタらみたいのがいるから、私たち女子がみんなちょろいと思われるんでしょーが!」
ハート・ロバーの抗議に対して、抗議し返すチェリカ。
そう、先の不機嫌な理由はここにあったのだ。ハート・ロバーの振る舞い。良く言えば、女子の能力をフルに活用して、と言えるのだが。
「誰にでもしっぽ振るバカ犬みたいなこと、やめてよね!!」
とチェリカが言うのも当然で。懸命に生き抜く少女にとって、ハート・ロバーの振る舞いは見逃せないものなのだ。
「えー、じゃあ手当たりしだいはやめて、イケメンに養ってもらうー」
「それをやめてって言ってんでしょーが!」
間髪入れず、もう一発『チェリカ砲』が炸裂しました。
お互い相容れぬという認識が完全に共有されたので、戦闘モードに入る両者。
ナイフを構え、接近戦を仕掛けてくるハート・ロバーたちにチェリカは聖剣で応戦する。故郷の教会から預かってきたでかい聖剣で薙ぎ払い、ハート・ロバーたちの接近を許さない。
「私の十八番、見せてあげる!」
と距離を取るハート・ロバーには『チェリカ砲』で追撃する。遠近隙のない攻撃に、ハート・ロバーたちが引き下がるかというと。無理矢理に隙をこじ開けて、チェリカに接近するハート・ロバー。
「こんなに近いとハートがドキドキするね?」
言葉とは裏腹に、妙に鋭いナイフの一撃がチェリカの心臓を狙って繰り出され。
ひゅん。
と風を切ったのはハート・ロバーのナイフ。これすらも計算に入れていたチェリカがその一撃を回避したのだ。
(ここからが本番!)
とん、と。完全に無防備なハート・ロバーの胸にチェリカが手を当てる。
「隙ありぃぃぃっ!」
直後、迸る閃光。凝縮された超破壊的な聖なる光が振り抜かれる掌に乗って、ハート・ロバーに叩き込まる。文字通り消し飛ぶハート・ロバー。
「女の子の威厳は、この私、聖女チェリカが守ってみせるんだから!」
チェリカが声も高らかに言い放った。
その後、見事なまでに、聖なる光のバーゲンセール(他にもあるユーベルコードも使って)でハート・ロバーたちを倒したのであった。
成功
🔵🔵🔴
マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と
その告白、ちょっと待ったぁー!
冬夜さんはわたくしの大切な護衛(おもちゃ)ですわ
相手が可愛い女の子だろうが誰にも渡しません…もとい!
世界を守るために尽くしましょう
【第一幻想】使用
我が家に伝わる守護者の調べで味方を援護です
わたくしの溢れる存在感と歌声で、逆に興味を引かせてみせますわ
…え?男女問わず?お、女同士でも構わないのですか?
困ります、わたくしはあくまでノンケといいますか…
ああもう、冬夜さん!早くやっておしまいなさい!!
※アドリブ歓迎
黒木・冬夜
マヒル【f03414】と
町にやってくるハートロバーを待ち伏せ…って
勘弁してくれ…
俺の周りはろくな女がいねえな
まあガワが可愛くてもオブリビオンだし、容赦はしねえ
【空飛ぶ箒】に乗って高速で移動し翻弄
そんで相手の告白から逃げまくる
出会って秒で好きですとか恐ろしいこと言うな!
第一俺はな…!俺は(言い淀む)
だーっもう鬱陶しい!
俺はともかくその女に手ぇ出すと恐ろしいことになるぞ!主に!俺が!!
俺の安寧のために消えてくれ!
箒に乗ってアサルトウェポンを乱射する
※アドリブ歓迎
●ココロオドル狂想曲(カプリチオ)
町の外にて、土煙をあげながら移動している一団があった。追いかけているのはハート・ロバーの集団。そして逃げるのは。
「俺の周りはろくな女がいねえな!」
『空飛ぶ箒』で変形させたスチーム・ブルームで、低空高速飛行する黒木・冬夜(玄冬・f06002)であった。
少し前。
「町にやってくるハート・ロバーを待ち伏せ……って勘弁してくれ」
げんなりした表情で呟く冬夜。嘆息をついたのは、隣にいる女性の存在が少なからず関係していると思われるのがそれはさておき。
「まあガワが可愛くてもオブリビオンだし、容赦はしねえ」
とか言っていただが、その後ハート・ロバーの集団に遭遇したので、冒頭のシーンに繋がるフラグだったっぽい。
というわけで、空飛ぶ箒を巧みに操り、囮……というより、真っ先に狙われた感が不憫属性の彼らしいとも言えるが、とにかく冬夜が逃げる。
「出会って秒で好きですとか恐ろしいこと言うな!」
告白(物理ダメージを伴う)から必死で逃げる冬夜。
「第一俺はな……! 俺、は……」
ハート・ロバーたちに言い放とうとして、何故か言い淀む冬夜。その心の内に湧き出てきたのは、きっと一言では言い表せない彼の恋の道行、そして複雑な想い。それらが大いに関係しているのだろう。
しかし、ハート・ロバーたちには動きの止った冬夜は狙い目である(無情)。
「つーかまえたっ!」
冬夜の腰に抱きついてくるハート・ロバー。
「アタシ、アナタに……」
「その告白、ちょっと待ったぁー!」
ハート・ロバーの告白に割り込む声。皆の注目が向いたその先に立つのは、マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)である! なお、ちょっと息が切れているのは全力で追いかけてきたからだったりする。
「冬夜さんはわたくしの大切な護衛ですわ。相手が可愛い女の子だろうが誰にも渡しません!」
なお、護衛には『おもちゃ』と心の中でルビをお振りください。そう、マヒルにとって冬夜は無茶振り……こほん、『お願い』を聞いてくれる大切な存在だ。そんな相手がガワの可愛いオブリビオンに翻弄されている姿を楽しむとか、そんなエキセントリックなドSなことは考えていないはずだ、たぶん。
「もとい! 世界を守るために尽くしましょう」
「『もとい』ってどっから来たんだ!?」
マヒルの言葉に即座に反応する冬夜。そこは付き合いの長さの成せる業。そう、ツッコミも、戦闘の連携も、だ。
「はじまりの音……それは果て無き幻想の調べ」
シルバームーン家に伝わる守護者の調べが響く。マヒルの声に乗って想いが広がる。ツッコミを入れていようとも、マヒルの『何があっても世界を守る』という気概は冬夜に伝わり、彼とマヒルに強き力をもたらす。
「よし!」
その力を以て、もう一度ハート・ロバーたちを振り切る冬夜。上空で切り返し、アサルトウェポンを構えて、再突撃……しようと思ったら、ハート・ロバーたちの視線がマヒルに向いている事に気付いた。
「……え? もしかして男女問わず? 女同士でも構わないのですか?」
どうやらマヒルの存在感とか歌声とか、そういうものに興味を抱いたらしい。
「こ、困ります、わたくしはあくまでノンケといいますか……」
想定外の展開におろおろするマヒル。
その様子に危機感を覚えたのは冬夜だ。急降下して、マヒルとハート・ロバーの間に割り込んで叫ぶ。
「俺はともかくこの女に手ぇ出すと恐ろしいことになるぞ! 主に!! 俺が!!!」
どういうことなんだよ?!
とツッコミを入れてくれる相手はこの場にはおらず。
「ああもう、冬夜さん! 早くやっておしまいなさい!!」
「俺の安寧のために消えてくれ!」
その答えに辿り着いた道は違えど、今がチャンスという意思は重なった。マヒルの指示で冬夜がアサルトウェポンを乱射する。唐突に始まった修羅場(深い意味は無い)に悲鳴を上げて消えていくハート・ロバーたち。
「ふぅ、危ないところでした……」
「本当に、な……」
色んな意味で。二人とも、その言葉を飲み込みつつ、安堵のため息をつくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
化野・那由他
私は町の外から来る敵を優先的に迎撃します。
人手が足りなければ町の中の敵にも攻撃を。
【情報収集】で待ち伏せ地点を探し『叢原火』の鬼火で【おびき寄せ】ます。遠くから狙えれば【全力魔法】の【範囲攻撃】で炎の【属性攻撃】。
誘惑対策に実は耳栓をしています。
耳が聞こえない分は【第六感】で。
接近戦となり何か言われた際は、聞こえてもいないのに返事します。
「そうね、よく分かるわ」
「素敵ね、悪くないと思うわ」
とか。噛み合わない筈が変な方向に会話が成り立ったりとか…。
「でもごめんなさいね」
可能なら『付喪神奇譚』で遠隔操作できる包丁の付喪神を呼び出し背中を突き刺します。
※アドリブ歓迎です。ご自由に動かして頂ければと。
●
猟兵たちが町の内外をハート・ロバーから守り抜く中。
その楚々とした儚げな見た目によらず、豪快にハート・ロバーたちを倒しまくっている者がいた。
「昔々の話でございます。京の都に仏道に反する悪僧がおりました」
化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)の声に応じて出現する鬼火。その数は100を超え、最早それ自体が敵にとっての悪い夢といっても差支えの無い。
それを全力で、かつ広範囲に。炎の属性でもって、文字通りハート・ロバーの集団を薙ぎ払う那由他。
町の外、最も死角となる地点を情報収集で得た那由他はそこから侵入しようとするハート・ロバーたちを迎撃しているのだ。
しかしながらハート・ロバーたちもただ吹き飛ばされるだけの存在ではなく。那由他の炎の攻撃を耐え抜き、那由他の元まで辿り着いた個体も少々いる。
そんな個体のひとりが那由他を指差して叫んだ。
「ぜーぜー、ちょっと! いくらなんでもひどすぎない!?」
「そうね。よく分かるわ」
ハート・ロバーの言葉に頷きを返す那由他。
「分かるわって、それならもっとこう、肌を合わせる感じでやり取りするのが普通でしょ!」
「素敵ね、悪くないと思うわ」
微妙にかみ合ってないような会話に首を傾げつつ、ハート・ロバーが仕掛ける。
「じゃあさ、アタシとイイコトしない?」
「…………え?」
ユーベルコード不発。何故か那由他もきょとんとした表情である。
「ちょっと! 目の前にいるのに興味無いとかどういう神経してるの!」
「でもごめんなさいね」
「アナタ、アタシの話……って、耳栓ー?!」
そこで気付いたハート・ロバーが叫ぶ。そう、那由他は耳栓をしてたのだ。なので、声を媒介に仕掛けてきていたハート・ロバーの作戦は効果ゼロ。
なお、耳栓で聞こえていないのに、会話っぽくなっているのは、那由他のコミュ力の成せる技だと思われます。
「くっ、アタシ傷ついた!」
ナイフを手に接近戦を仕掛けようとして来るハート・ロバーに対し。那由他は付喪神を呼び出す。その姿はナイフに対抗するかのように包丁の付喪神。遠隔操作で操り、ハート・ロバーの死角、背中からその一刺しを見舞う。
「本当に、ごめんなさいね」
そう言って那由他はもう一度鬼火を呼び出す。『叢原火』――那由他の紡ぐ物語に在る、京の都の鬼火がハート・ロバーを燃やし尽くす。
自分の前に現れたハート・ロバーたちを倒し切った那由他が辺りを見渡す。
「そろそろ、終わりそうですね」
町の中の喧騒も落ち着き、外に関しても新たに現れるハート・ロバーたちはいない。
町を襲う第一弾は凌ぎ切った。ならば、次は。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『ハーピー』
|
POW : エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
ハート・ロバーたちを撃退した猟兵たちは、休む間も惜しいと次の標的へ向かう。ハート・ロバーたちが現れた方向、その先にあるハーピーの巣。
既に食われてしまった被害者たちは戻らないけれども。これ以上、過去から甦った者に、現在を侵食されるわけにはいかない。
巣を発見した猟兵たちは臨戦態勢を取る。返ってくるのはハーピーの殺気。どうやらハーピーも猟兵たちを生かして帰すつもりはないらしい。
ならば、この先にあるのは……戦いのみだ。
フレミア・レイブラッド
この子も僕に加えられると良いんだけど…。まぁ、良いわ。たくさんの可愛い子達を頂いたお礼よ。本気で相手してあげる♪
虜にしたハート・ロバー達は戦闘で傷つかない様に拠点で待機するよう指示。
敵の攻撃は【見切り】で回避、またはシャウト前に潰す様に攻撃。グングニルによる【2回攻撃、怪力】で攻め立て、【念動力】で動きを一瞬束縛し、隙を作って攻撃を叩き込み、槍についた血を【吸血】で摂取。自身を活性化させ【ブラッディ・フォール】発動。
「血と狂宴のアイジス」で倒した「リーシャ・ヴァーミリオン」のドレスと槍を装備した姿になり、【魔槍連撃】から【魔槍剛撃】で仕留めに掛かるわ♪
本気の力、見せてあげるわ!
※アドリブ等歓迎
●
最初に仕掛けたのは、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。
「この子も僕に加えられると良いんだけど……まぁ、良いわ」
視認したハーピーを不遜に睨みつけ、フレミアは宣言する。
「たくさんの可愛い子達を頂いたお礼よ。本気で相手してあげる♪」
無邪気に微笑むその姿は、まさに吸血の姫君。そんな彼女の脳裏に浮かぶのは、戦いに巻き込まれぬよう、拠点に置いてきた僕たち。先程の戦いで配下としたハート・ロバーたちもこの戦いの後、戻って愛でるくらいの時間はあろう。
真紅の魔槍グングニルを構えて、フレミアがハーピーと相対する。ハーピーもまた迫りくる猟兵たちの気配に殺気立っており、その翼を広げて威嚇の態勢だ。
最初に動いたのは……ハーピー。大きく息を吸い込んで『歌おうとしている』、その動作を見切り、フレミアが駆ける。
(発動前に……潰す!)
ハーピーの声が、衝撃波がこちらに届く前に。フレミアが槍を繰り出した。その攻撃がハーピーの体に突き刺さり、その痛みで攻撃が中断……されることはなく。ハーピーの口から洩れてきたのは歌。
ハーピーズソング。この場において効果があるのはハーピー本人くらいだろう。しかし、その歌を『攻撃』とみなしていたフレミアは回避行動を取っている。発声のタイミングは見切ることができても、声が出る前に『何の声か』を判別するのは難しい。
その食い違いがフレミアにとっての隙となってしまった。ハーピーの爪が迫り、咄嗟に首を捻って回避しようとする。が、フレミアの頬に、血の筋が引かれる。
「くっ、よくも……わたしの血を!」
怒りと共に、ハーピーへ念動力を叩き付けるフレミア。その衝撃に一瞬、ハーピーの動きが止まったその隙へ。
「許さないわ!」
グングニルによる刺突をひと息で2回叩き込む。込められた怪力由来の威力にハーピーが文字通り吹っ飛ぶ。
フレミアが槍の穂先についたハーピーの血をぺろりと舐める。ハーピーの血から力を取り込んで……フレミアは徐に詠唱する。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
『ブラッディ・フォール』、フレミアが過去に倒したオブリビオンの力を再現するユーベルコード。取り込んだ血によって活性化したフレミアの姿が、禍々しい槍を手にした赤いドレスと血を纏うヴァンパイアの姿へと変化する。
「本気の力、見せてあげるわ!」
再度フレミアがハーピーに仕掛ける。今度は叩き潰すつもりで。
手にした槍による単純で重い一撃を全力で叩き付けるフレミア。悲鳴を上げるハーピーに休む暇を与えず。
「仕留めてあげる♪」
今度は槍による刺突を超高速連続に叩き込む。瞬く間にハーピーの体が血に染まっていき……。
「……っ!」
突如、フレミアの攻撃が失速する。見ればその姿がヴァンパイアのオブリビオンのものから、いつものフレミアに戻っている。取り込んだ血による活性化、血の量が少なかったのかその効力が切れたようだ。それに伴い、ブラッディ・フォールもその効果を維持できなかったのだろう。
不意に訪れたこのタイミングを逃さず、ハーピーも上空へ逃れ、息を整えている。
「後は……次に譲ったほうがよさそうね」
その様子を見て、フレミアもまた一度距離を取る。態勢を立て直すためにも、改めて血の力を取り入れるためにも。
そう、まだまだ後続の猟兵たちが到着するはずなのだから。
苦戦
🔵🔴🔴
黒木・冬夜
マヒル【f03414】と
ボスのお出ましだな
さっきみたいなのよりよっぽどやりやすいぜ
(正直魅了系の技を出されなくてほっとした)
無差別衝撃波を回避するのは骨が折れそうだな
先程と同じく【空飛ぶ箒】に乗り、敢えてハーピーに突撃
衝撃波が当たる部分をなるべく小さくすればダメージも最小限で済むし
マヒルを背に突っ込めばあいつに衝撃波が届きにくくなる
怪我したら後で治してもらえばいいし
マヒルの方に行かれたら、それこそ馬鹿な敵だ
アサルトウェポンを撃ちつつ背後または横から突撃する
俺を無視してその女を傷つけられると思うなよ
※アドリブ歓迎
マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と
ハーピー…妖しくも美しい歌声で人を惑わせる怪鳥ですわね
よろしい、では歌合戦といきましょうか
【第二結界】を使用し、雨と共に守りの歌を
第二楽章開始ですわ
音は防げませんが、衝撃波や物理攻撃に対してなら多少の効果はあるでしょう
それに雨に濡れれば、羽根の動きも鈍るかもしれません
冬夜さんも、ピンチの時は結界内に入ってくださいね
近づかれたらマイクで殴ります
歌(物理)ですわ
※アドリブ歓迎
●
フレミアの攻撃から逃れるようにして、空に飛び上がったハーピー。その逃走を逃す猟兵たちではなく、ハーピーを目掛けて空を駆ける流星のごとき影。
「ボスのお出ましだな」
「ハーピー……妖しくも美しい歌声で人を惑わせる怪鳥ですわね」
ユーベルコード『空飛ぶ箒』の力を受けたスチーム・ブルームを駆る黒木・冬夜(玄冬・f06002)とその後ろに乗っているマヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)のコンビだ。対ハート・ロバー戦が町を挟んで真反対であったため、このような手段を取ったのだが、結果的に良い方向に転んだらしい。
「さっきみたいなのより、よっぽどやりやすいぜ」
とは冬夜の言葉。なお、内心『正直、魅了系の技を出されなくてほっとした』とかなんとか思っていたのは秘密である。
急接近してくるモノに警戒しない動物はおらず、またハーピーは手負いである。ゆえに、まずは『攻撃する』ことを選んだハーピーが金切声で叫ぶ。
ハーピーズシャウトによる衝撃波が冬夜たちを襲う。
「こいつは……回避するのは骨が折れそうだな!」
そう叫んで、冬夜は『箒の速度を加速させる』。彼が選んだ対処はハーピーに対する突撃。広範囲で無差別な攻撃ならば、ダメージを最小限にすればいい。幸い、今の冬夜とマヒルの位置関係からハーピーに向かって真っすぐ飛べば冬夜のみのダメージで済む。
(怪我したら、後で治してもらえばいいしな)
その際にどんなやり取りが行われるかはあえて意識の外に置くけども。
衝撃波の当たる箇所を最小限に留めつつ、マヒルにダメージがいかないように。その態勢で突っ込んできた冬夜をハーピーは慌ててかわす。
「外したか!」
「冬夜さん、大丈夫ですの?」
空中で反転した箒の上でそんなやりとりをしつつ、冬夜の無事を確認したマヒルは、さらに上空に逃れたハーピーに対してマイクを構える。
「よろしい、では歌合戦といきましょうか」
静かに、そして確かな決意を以て、マヒルが宣言した。
「ふたつめの音……それは、世界を護る銀色の誓い」
マヒルのユーベルコード『第二結界』が発動する。直後、世界を、あるいは認識を歪めるがごとく、静かに銀色の雨が辺りに降りしきる。マヒル本人を警戒していたハーピーが不意に降ってきた雨に対応できるはずもなく、雨に打たれてその身を焼かれるハーピー。
「このまま、銀の雨に打たれて、消えなさい」
しかし、マヒルの言葉に逆らわんと、ハーピーが歌う。ハーピーズソングによる自己強化を重ね、高速で雨の範囲から逃げ出すハーピー。
銀の雨に止み、辺りに残る水たまり。しかしこれで終わりではない。
「冬夜さん、わたくしをあそこに」
冬夜に対して水たまりを指差し、そこまで移動してから飛び降りるマヒル。ぱしゃっと銀の雨粒が飛び、『その上に立った』マヒルの力が強化される。
「後は手筈通りに」
「わかった」
短く言葉を交わし、冬夜が箒を駆って空へ離脱する。
その隙を逃さず、ハーピーが急降下でマヒルに突進する。鋭い爪がマヒルを斬り裂く……その前に。
「歌(物理)ですわ!」
「?!」
上段に構えた魔法のマイク(ただしく武器である)をハーピー目掛けて振り下ろすマヒル。あまりにも予想外だったマヒルの行動に、ダメージというよりは面食らったハーピーの動きが止まる。
その隙を逃す冬夜ではない。というより、これが『二人の作戦』だ。
「馬鹿な敵だ」
ハーピーの背後から箒を疾走させ、アサルトウェポンを構える冬夜。
「俺を無視してその女を傷つけられると思うなよ!」
冬夜がアサルトウェポンを撃ちながら、さらにハーピーに対して突撃を仕掛ける。冬夜の強襲をかわす余裕はハーピーにあるはずもなく。
その銃弾と箒の突撃をまともに受けてふっとぶハーピー。しかし、ハーピーもまた力尽きるには早いと、金切り声をあげる。
「くっ、しぶとい」
「まだ余力がありそうですわね」
衝撃波をやりすごし、二人が呟き合う。
二人の連携攻撃の鋭さを警戒したハーピーが高速でその場を離脱し……戦いは次の段階へと進む。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
化野・那由他
「貴女が元凶ね。人に仇為した以上、捨て置くことはできないわ」
耳栓は外しておきましょう。
掌の上にヤドリガミの本体である書物を広げ、『仍て件の如し』を発動。情報収集しつつ、戦闘知識も活かして敵の攻撃を避け、好機を探ります。
「羽ばたきに乗せた衝撃波……風の力……」
敵の衝撃波を前に、忘れていた妖奇譚『鎌鼬』を思い出し、2回攻撃。今まで白紙だった鎌鼬の頁を開き能力を発動します。
「瞬刃の風、肉を裂き、瞬刻の妙、骨を断つ――鎌鼬!」
気合いを込め、全力魔法で風の属性攻撃を。第六感も使い範囲攻撃で飛び回るハーピーを切り裂きます。
猟兵が周りにいれば風の刃を飛ばして援護射撃を。
※引き続き台詞等アドリブ大歓迎です!
柊・雄鷹
なんや、やっとハーピーのお出ましかい
戦闘ばっかりで忙しいけど、まぁ……文句は言ってられんなぁ
銀細工の町って言うから、ワイは色々楽しみに来てんねん
作るとなったらそうやなー…ブローチ?指輪?
えーどれも楽しそう、迷う!
さっ!ほんならさっさと終わらせて、楽しい銀細工タイムと行くか!
相手が飛ぶなら、こっちも【空中戦】でお相手願おか
可能なら【先制攻撃】で、お手製ダガーを喰らってもらうで
【2回攻撃】、【一斉発射】…まぁ、状況見て臨機応変に【投擲】
手持ちのダガーが敵に刺さった状態で、第二幕と行こかー
泪花を使用して敵を攻撃
お前のせいで、泣いてる人がおるって知ってるか?
今までのこと、悔やんでどうぞ。還って。
●
冬夜とマヒルの猛攻から離脱したハーピーが向かう先は、町。ハーピーとて無限の体力があるわけでもなく、失えば補充するしかない。であるなら、獲物を狩りに行くのは必至。
その獰猛な悪意が町に辿り着く……その前に。立ち塞がるひとりの猟兵。
「なんや、やっとハーピーのお出ましかい」
鷹の翼を大きくはためかせて空を舞う柊・雄鷹(sky jumper・f00985)である。
「戦闘ばっかで忙しいけど、まぁ……文句は言ってられんなぁ」
何せ、銀細工が待っている。何を隠そう、その銀細工を楽しみにしてここにいる雄鷹。既に頭の中には『何を作ろう』という楽しみがふわふわと浮かんできているのだから。
「さっ! ほんならさっさと終わらせて、楽しい銀細工タイムと行くか!」
その言葉を合図に、雄鷹は戦闘を開始した。
ハーピーと相対する雄鷹を見上げるのは、化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)であった。
「貴女が元凶ね。人に仇為した以上、捨て置くことはできないわ」
掌の上には、数多の怪異譚が綴られているという奇書。それは那由他の本体にして、力の源。それを広げて、『仍て件の如し』を発動する。未来を予言するという物の怪の力を宿し……。
「あ、耳栓は外しておきましょう」
『今までしてたんかーい!?』とツッコミを入れる人もおらず。那由他さん、ちょっと天然さんですか?
翼ある者同士が、空の上にて睨み合う。この空中戦で、先に動いたのはハーピー。歌のためにハーピーが息を吸い込んだその瞬間。
「もろたでっ!」
風を切って飛ぶ2本のダガー。雄鷹の機先を制する先制攻撃。どちらも雄鷹が手ずから作り上げた特製の、鷹と羽をモチーフにしたダガーがハーピーの翼に突き刺さる。
しかしハーピーも怯むことなく、自分の歌声を響かせる。ハーピーズソング。自身の強化に強化を重ねて、ハーピーは次の行動へ移る。素早く、かつ鋭く。ハーピーが雄鷹に迫る。
「ちっ」
次の行動は決めの一手。しかしその隙を与えてくれそうもないハーピーの攻撃に、防戦に回る雄鷹。接近したハーピーを引き離すべく、翼に力を込める雄鷹。
その隙を縫うように。ハーピーが金切り声をあげた。
雄鷹が空中戦を仕掛けてくれたおかげで、那由他まで攻撃の手が届くことは無く。情報を集め、戦況を見定めるには十分な時間があった。
ハーピーは自己強化を重ね、その動きは鋭く、素早いものだが、対処しきれない速度ではない。現に、雄鷹も傷は負っているものの、致命的な怪我には程遠い。
「……っ!」
その時、件の力が未来を視る。ハーピーの金切り声に乗せられた衝撃波。鋭く飛来するそれを、那由他は身を捻ってかわす。自分の体の、すぐ横を通り過ぎる……風の刃。
「……羽ばたきに乗せた衝撃波……風の、力……」
那由他の口から不意に零れる言葉。それは意識したものではなく、文字通り『忘れていた記憶から零れ出た』言葉。すなわち。
「瞬刃の風」
那由他が再び奇書を掌の上に広げる。そのページはつい先ほどまで『白紙だった』ところ。そして今、『思い出すことのできた妖奇譚』のページ。
「肉を裂き、瞬刻の妙、骨を断つ」
その物語の名は。
「『鎌鼬』!」
那由他の声に応じて、風の刃を操るというイタチのようなモノが現れ、那由他の身に宿る。直後、風を纏う那由他。
(これなら……!)
いける、と。風の刃を生成して、視線は空を飛びまわるハーピーへ。再び雄鷹と接近戦を繰り広げているハーピーを狙って、那由他が叫ぶ。
「行きます!」
気合を込め、属性攻撃で力を上乗せした風の刃を、全力で放つ那由他。
(私なら、捉えられる)
と。それは彼女の第六感。その自信はすぐに確信へと変わる。
ハーピーの攻勢に雄鷹の防戦。一種のこう着状態を、文字通り『切り裂く』風の刃が、ハーピーに直撃する。悲鳴を上げて動きを止めるハーピーへ、立て続けに風の刃が襲いかかる。
「……ええ風やな」
ハーピーにとっては苦痛をもたらす風の刃も、雄鷹にとっては追い風だ。この風に乗らない手は無い。
ヒュン、と風を切って飛んだダガーがハーピーに突き刺さる。投擲したのはもちろん雄鷹。
「第二幕と行こかー」
投擲し終わったその態勢のまま、掌をくるりと翻して。
「泪に裂かれて、ここで散れ」
雄鷹が詠唱するのはトドメの一撃。
「『泪花』」
雄鷹の声に応じて、ダガーたちが変化する。それはハーピーのみに降り注ぐ、キンセンカの花びらにして、敵を斬り裂く花の嵐。
「お前のせいで、泣いてる人がおるって知ってるか?」
それに応える声はなく、ただハーピーに悲鳴……いや、断末魔が空に響く。
「今までのこと、悔やんでどうぞ。還って」
雄鷹の言葉を受けて。花びらが消え、ハーピーが墜落していく。
那由他の目の前で、地面に叩き付けられたその身はもはや動くことなく、ただ骸の海に還るのを待つのみ。
銀細工の町を襲う脅威が消えた、その瞬間であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『ドワーフ細工師のシルバーアクセサリー教室』
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POW : とにかく格好いいアクセサリーを作る!
SPD : 洗練された美しいアクセサリーを作る。
WIZ : 神秘的で魅惑的なアクセサリーを作る……。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●脅威の去った町にて
猟兵たちの活躍で、町に迫っていた脅威はすべて去った。正確にはハート・ロバーの数体程度はその辺をうろついているかもしれないが、ハーピーを失った以上、この町に被害を加えることもあるまい。
であるならば、その処遇は猟兵たちに一任されるものであろう。とはいえ、基本的には相容れぬ存在。共に在れたとしてもこの場限りの夢と考えておくのが良いだろう。
町の中には、数か所に渡り、銀細工の工房がある。また、露店のような形態で店を構えているところもあるようだ。
出来そうなことと言えば……銀細工の体験、あるいは本格的なアクセ作り。はたまた、既に作られた銀細工を見て回ったり、あるいは買ってみたり。職人と話をするだけでも楽しいかもしれない。
脅威の去った町ならば。後は楽しむだけ、なのだ。
マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と
脅威は去ったようで、よかったですわね
折角ですから、この街の銀細工を見てみましょう
さあ、行きますわよ冬夜さん!(ぐいぐい
戦うだけですぐに帰ってしまう謙虚なナイトの冬夜さんには
アクセサリー作りはハードルが高そうですわね
というわけで露店を見て回ります
まあっ、こちらの装飾はとても凝っていますね!
どれも素敵ですが、この辺りはどちらかというと女性向けの細工ですわね
もっとこう…スタイリッシュなシルバーアクセ、というのを探してみます
いいものを見つけたら冬夜さんにプレゼントしますね
日頃のお礼ですわ
※アドリブ歓迎
黒木・冬夜
マヒル【f03414】と
さて、敵は倒したしそろそろ帰…ぐえっ!?
おい待て引っ張るなー!
首根っこを掴まれ強引に銀細工を見に行かされる
渋々露店を巡り
きゃっきゃしながら銀細工を見て回るマヒルの背中を見つつ溜息
ああいうのは俺なんかより可愛い女の子がつけた方が似合って…いやいや!
アイツが可愛いのは外見だけで中身は傍若無人プリンセスだからな!
とりあえずマヒルの気が済むまで大人しく待って…え?
プレゼント?俺に?お前が?日頃の礼???
槍でも降るんじゃ、いてっ!痛えよ!?
あーその…あ、ありがとうな
※アドリブ歓迎
●
賑わいを取り戻した町の通りを歩く男女が一組。
「脅威は去ったようで、よかったですわね」
楽しそうに歩いているマヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)と。
「そうだな」
渋々といった感じで側に付き添っている黒木・冬夜(玄冬・f06002)である。
冬夜が何でこんな表情になっているかというと。
ハーピーとの戦いが終わり、その消滅を確認した後のこと。
「折角ですから、この町の銀細工を見てみましょう」
ここまで来たのだから、と街へ戻ろうとするマヒル。それに対して冬夜は。
「さて、敵は倒したしそろそろ帰……ぐえっ!?」
「さあ、行きますわよ冬夜さん!」
速攻で帰ろうとしていた冬夜の首根っこを掴んでぐいぐい引っ張っていくマヒル。
「おい待て引っ張るなー!?」
冬夜の悲痛な訴えも通じず、彼は強引に連れ出されたのである。
とまぁ、そんな経緯がありまして。
通りに時折見える露店を眺めつつ、マヒルも考える。隣にいるのは、『戦うだけですぐに帰ってしまう謙虚なナイト』の冬夜さんであるからして。
(アクセサリー作りはハードルが高そうですわね)
付いて来てくれたとして店の中に佇んでいる可能性が高いわけでして。結論的に、露店巡りとなったわけなのだ。
一方、冬夜としては。
「まあっ、こちらの装飾はとても凝っていますね!」
露店の品揃えにきゃっきゃはしゃいでいるマヒルの背中を見て、溜息ひとつといった感じだ。聞こえてくる声は楽しそうなのでそれを邪魔する無粋な真似もするつもりは無いけれども。
「どれも素敵ですが、この辺りはどちらかというと女性向の細工ですわね……」
顎に手を当てて、うーん、と悩み始めるマヒルを見ていた冬夜は、急に指差される。
「もっとこう……スタイリッシュなシルバーアクセはありませんこと?」
この人でも似合いそうな、と、マヒルに。その行動に、『いやいや』と呆れ顔になる冬夜。
(ああいうのは俺なんかより、可愛い女の子がつけた方が似合ってるって)
そう例えば……目の前にいる……。
(いやいや!)
その考えに至り、思わず首をぶんぶんと振って否定する冬夜。
(アイツが可愛いのは外見だけで中身は傍若無人プリンセスだからな!)
最早誰に向けて言っているのかわからない心の呟きだが、それはさておき。その考えを全力肯定はできない。そう、冬夜のアイデンティティ的に。
「何をしていますの、冬夜さんは?」
今度はマヒルが呆れた感じの声で。冬夜の行動は周りから見て、かなり面白いことになっていたのだろう。
「な、なんでもねぇよ」
色んな意味で平常心を保ててない冬夜はとりあえず深呼吸する。
(とりあえずマヒルの気が済むまで大人しく待って……)
「いいものを見つけたら冬夜さんにプレゼントしますね」
「……え?」
深呼吸中の思考+想定外の言葉に、動きと思考が止まる冬夜。
「プレゼント? 俺に? お前が?」
「ええ、日頃のお礼ですわ」
「日頃のお礼?」
目をぱちくりさせながら思わずマヒルを指差す冬夜。
「槍でも降るんじゃ、いてっ!」
たまたま手にしたステッキで冬夜の足をべしべし叩くマヒル。
「痛えよ!?」
その後、巡った露店にて。ようやくマヒルのお眼鏡に叶った一品が見つかる。
「冬夜さん、どうぞ」
「……あーその……あ、ありがとうな」
そう言ってシルバーアクセを差し出すマヒルに対して。冬夜はどこか照れくさそうだったそうな。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
虜にした子達を伴って、細工師のお店を見て回ったり、オーダーメイドで作って貰おうかしら。デザインはこの子達に選んで貰ってね♪
ただ、かなりの数を虜にしたから、デザイン選びは少し揉めそうかしらね…♪
一通り街での買い物等を楽しんだら、この子達を【魔城スカーレット】へ連れていくわ。
見逃したり放置してまた人に迷惑掛けると、人にもこの子達にもどちらにも良くないし…かといって、虜にした子達を一方的に手に掛けるのはわたしの主義じゃない…。
わたしの城に連れていけば、誰かに迷惑掛ける事もないし、わたしの許可がないと出られないしね♪
…それに、限定的な世界でも共に在る事ができるならそれが一番じゃない♪
※アドリブ等歓迎
●
「フレミアさまー、あっちで可愛いアクセ見つけましたっ」
「ちがうー! 次はこっちでしょ!」
賑やかな一団が町の大通りを歩いていく。フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)とその虜となったハート・ロバーたちである。もちろん、銀細工の店を見て回っているのだ。
「どれがいいかなー」
とかはしゃいでいるハート・ロバーたちは少し前まで町を襲っていた存在だけれども。フレミアが連れて歩いているおかげか、混乱が起きたり、町の人が困ったりということはなさそうだ。
通りの店をぐるっと見て回って、ひとしきり楽しんだ後。
フレミアたちは、人気の少ない広場へ移動していた。
「じゃあ、行くわよ」
そう言ってフレミアが出現させたのは異次元への穴。ユーベルコード『魔城スカーレット』への道。
ハート・ロバーたちを見逃したり放置したりすると、また被害が出るかも知れない。それは、町の人にもハート・ロバーたちにも良い結果とは言えない、とフレミアは考える。
(かといって、虜にした子達を一方的に手に掛けるのはわたしの主義じゃない……)
ならば、と打った手が『魔城スカーレットに連れていく』というもの。
(わたしの城に連れていけば、誰かに迷惑掛ける事もないし)
フレミアの許可なくば出られない世界。そこならば、問題は起こらないだろう。
フレミアの『指示』に従って、ハート・ロバーが異空間に繋がる穴に触れようとした、その時。
「がう? フレミア、何してるのー?」
掛けられた声に振り向くと、そこには通りすがりのグリモア猟兵アルファがとてとて歩いていた。
アルファに事の次第を告げ、フレミアは告げる。
「それに、限定的な世界でも共に在る事ができるなら、それが一番じゃない♪」
「気持ちはわかるし理解できるけど、それはだめー」
フレミアの言葉に両手で×マークを作るアルファ。
何故なら。
オブリビオンは『存在する』だけで世界にダメージを与え、その世界がオブリビオンを倒すために選んだのが猟兵である。共に在ることは可能だろう。しかしそれは、世界が滅亡へ向かうのを止めないのと同じ意味になる。
また、ユーベルコードは万能がゆえに、その効果も保障されないというのが難点だ。魔城はともかく、フレミアが隷属化させた効果も『いつまで続くかわからない』のだから。
ちなみに、上記の理論から無理やり取り込んだり使役したりは論外だと述べておく。
「もしかしたら、他に方法があるかもだけど」
少なくとも、ユーベルコードなどの外的要因で虜にしたりと『相手の意思や想いを確認できる状態では無い』のはマズイ。
「というわけで『ここ』ではやめてねー」
アルファが釘を刺していくのであった。
そう言われるとハート・ロバーたちを連れて帰ることは難しい。彼女たちの顔を見渡して、フレミアは言う。
「せっかくだから、オーダーメイドで何か作って貰おうかしら」
踵を返す先は町の銀細工工房。
「わたしに似合うデザインを選んでちょうだい」
そう、虜にしたハート・ロバーたちに告げて。
「指輪!」
「ネックレス!」
「アンクレット!!」
そして銀細工の工房内が騒がしい。
幸か不幸か、ハート・ロバーたちの感性は一般的な女子のそれに近い。なので、当然のように個人的な好き嫌いがある。あとセンスも個々人で違うっぽい。そんな状態で、仮初めとはいえ、主のためにデザインを選ぶとなれば、それはもはやバトルに近い。
しかし、そんな様子をフレミアは微笑ましく、そして少し寂しげに見守る。
アルファ曰く、彼女らはハーピーが倒された今、無理に手を下さなくてもそのまま自然消滅的に骸の海に還っていくだろうとのことだ。後顧の憂いを考える必要は無い。
であるならば。『今』を彼女たちと楽しむだけ。心行くまでこの町を堪能するまで、帰還は待ってもらうとしよう。
そう思いながら、フレミアは自分に献上されるデザインを心待ちに佇む。
成功
🔵🔵🔴
化野・那由他
折角だし銀細工のお店を見て回りましょうか。
町の人々を安心させるためにも。
「よく出来ているのね」と感心しながら工房や店々を巡ります。
ハート・ロバーを見かけたら笑いかけておきましょう。
もし人に危害を加えでもしたら……分かっているわね?
あ、良かったらアルファさんも露天巡り、一緒にどうかしら。
「予知を伝えてくれてありがとう、お陰で私も少しは役に立てたみたい」
「心を込めて作られた道具には魂が宿るもの。輝いて見えるのはその所為かも知れないわ」
「どの作品がお好みかしら?」
など、お店巡りしながら雑談出来れば。
お店で見つけた猫の銀細工を気に入り、一つ購います。
町を救えたこの日の良き記念に。
※アドリブ大歓迎です
●
長く艶やかな黒髪を揺らし、妖しい魅力を湛えた赤い瞳。その姿は楚々とした儚げな華のようで。銀細工を見て回る女性の名は、化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)という。
「よく出来ているのね」
と銀細工に感心した言葉を紡ぎ、店の人に伝えながら、露店を巡っている。
手にした書は閉じられ、今のこの町で開く必要はもう無さそうだ、と。
(折角だし、銀細工のお店を見て回りましょうか)
町の人々を安心させるためにも、と那由他は町の通りに出ている露店を渡り歩いているのだった。
那由他が通りの交差点に差しかかった時、路地から歩いてくるケットシーが1匹。グリモア猟兵のアルファである。
「あ、アルファさん」
「がう? あ、那由他、やっほー」
那由他の声に手を挙げるアルファ。
「良かったら露店巡り、一緒にどうかしら」
「がう、いいね。一緒にいこー」
とてとてと那由他の元に走ってくるアルファ。横に並ぶと身長差がすごいのだが、ケットシーと遊ぶ時にそれは気にしてはいけない。ちなみに4分の1くらいである。
「予知を伝えてくれてありがとう。お陰で私も少しは役に立てたみたい」
「どういたしまして。こちらこそ。ボクひとりじゃ解決できないし、助かった」
並んで通りを歩きながら、そんな言葉を交わす二人。
良さそうな露店を見つけては足を止め、台に並んだ銀細工を覗き込む。
「心を込めて作られた道具には魂が宿るもの」
輝いて見えるのはその所為かも、と那由他が呟けば。
「がう、ヤドリガミの那由他が言うと説得力があるね」
とアルファも言葉を返して。
そして那由他は猫の銀細工を見つけて、これをひとつ購入する。それが今日見てきた作品の中では、お気に入りとのこと。
「がう、かわいいね」
見せてくれた那由他の掌を覗き込んで、アルファもサムズアップを返す。
「町を救えたこの日の良き記念に」
そう言う那由他にアルファはこくりと嬉しそうに頷きを返して。それから手を差し出す。
「また、ボクが予知を見る時があったら、よろしくね」
そう言うアルファと握手を交わす那由他。
(あ、もふもふぷにぷに)
アルファのにくきゅうともふもふ具合に思わずそう思ったとかなんとか。
大成功
🔵🔵🔵
ノエシア・ファンダーヌ
銀製のアクセサリー、好きなんだよね
あのクールな輝きが好き
せっかくだし、実際に銀細工の体験をしてみようかな
なんとなくブローチを作ってみたい気分だよ
形は……三日月をかたどったものにしよう
職人さんから教わりつつ、いろいろ雑談するよ
……久しぶりに同族と出会えて、ちょっと嬉しかったり
名産品みたいなものがあれば、帰りにそれも買ってこうかな
※他PCとの絡み&アドリブ歓迎
●
那由他たちのように露店を巡り歩く者もいれば、工房での体験に勤しむ者もいるわけで。
誰よりも早く、真っ先に工房へ足を運んだのはノエシア・ファンダーヌ(夕闇に溶けゆく・f03589)であった。この依頼に手を貸した動機も『同族の危機』という彼女ならではの理由なので、その同族に会いに行く、というのは至極当然なのである。
(銀製のアクセサリー、好きなんだよね。あのクールな輝きが好き)
工房内にある作品(非売品含む)に想いを馳せながら、ゆっくりと紳士然とした歩調でその輝きを堪能するかのように、巡るノエシア。
しかし、ここまで来るとただ見ているだけというのも。
「せっかくだし、実際に銀細工の体験をしてみようかな」
なんとなくアプローチしてみたい気分になったらしい。『知る』ということは手を伸ばす行為だから。
体験の旨を工房の人に伝えると、それは嬉しそうに指導役としてノエシアの側に付いてくれた。
「形は……三日月を象ったものにしよう」
テーブルについたノエシアは、さっそく作業に取り掛かる。
「女性の職人さんとかもいるのかな?」
職人の指導に従って銀細工に意識を集中しつつ。時折休憩を兼ねて、ノエシアは気軽に話しかけていく。
「ええ、それなりに」
男の職人よりは大胆なデザインを作る者も多く、またこの町の銀細工職人に腕以外の優劣はないそうで。
(……久しぶりに同族と出会えて、ちょっと嬉しかったり)
そんな会話もまたノエシアにとっては嬉しい話だ。どうもノエシアの身の回りにはドワーフが少ないらしい? そんな事情もあって、今日の邂逅は、会話は、体験はとても有意義なものになりそうだ。
見事、三日月をモチーフにした銀細工を作り上げたノエシアは、ほっと安堵の息をつく。これで完成、と。
そうなると次に気になるのは。
「ところで、名産品みたいなものはあるのかな?」
お土産である。
「ああ、それなら……」
と職人が通りを指差して細やかに教えてくれる。
「細工の町だからね。それを支える工具の類はとても素晴らしい」
そこから派生した日常品やともすれば武器に転用できる工具も。
「ありがとう」
頷きを返しつつお礼を言い、ノエシアは悠々然とした振る舞いで工房を出る。
今回のお土産はその名産品で決まりだ。
大成功
🔵🔵🔵
柊・雄鷹
よっしゃ!これを楽しみにしとったんやっ!
銀細工、ワイ初めてなんやけど上手くできるやろか…
まぁそこそこ手先は器用やし、いけるやろっ!
…ってことで、まずはアルファちゃん(f03963)探そかっ
そのへんでおるやろー、アルファちゃ――――――ん!!
…おった!!
アルファちゃんの作ってるのを横目に見つつ、ワイも作るでー
折角やからカッコいいアクセサリーが良ぇなぁ…
こう、羽モチーフで
アルファちゃんは、そのモフモフお手々でなかなかやるなっ!
ワイも負けてられんっ、頑張るで!!
終わったあとはゆっくり、他の銀細工の店回って行こか
何か良ぇアイディア貰って帰るでー
新しいダガーのネタにすんねん!!
●
「よっしゃ! これを楽しみにしとったんやっ!」
小さくガッツポーズをしながら、町の通りを歩くのは、柊・雄鷹(sky jumper・f00985)。その気分ゆえか、背中の羽も心なしかふわふわ感がアップしているように見える。
しかし不安もある。
(銀細工、ワイ初めてなんやけど上手くできるやろか……)
何事も初めてというのは気負いしてしまうもの。とはいえ、お手製のダガーを作るほどに手先は器用なのだから。気を取り直して、雄鷹は前を向く。
「ってことで、まずはアルファちゃん探そかっ。そのへんでおるやろ。アルファちゃーん!!」
「がう、呼んだ?」
「はやっ?!」
召喚獣かっていうくらいの速度でのやりとりにびっくりする雄鷹。なお、どこにいたかというと、窓越し。すぐ横にあった工房の中でした。
一足先に銀細工の体験をしていたアルファの元へ雄鷹が近付いてくる。せっせと動くアルファの手元になにやら気迫を感じたのだろうか。
「アルファちゃんは、そのモフモフお手々でなかなかやるなっ!」
と雄鷹がアルファに告げれば。
「雄鷹」
「ん?」
真剣な顔をしてアルファが顔をあげる。そして。
「後は頼んだよ……」
「アルファちゃーん?!」
椅子の上でそのまま燃え尽きるアルファ。もふもふが関係あるかどうかはさておき、アルファの手は精密な作業に向かないっぽい。
「一緒に作ろと思てたけど、しゃーないな。ワイが頑張るで!!」
そんなわけで雄鷹の当初の思惑とは少し違うけれども。アルファが見守る中、雄鷹もアクセ作りに挑戦するのでした。
「がう、どういうの作るの?」
「折角やからカッコいいアクセサリーが良ぇなぁ……こう、羽モチーフで」
そういいながらデザインを固めていく雄鷹。羽根とひと言でいっても様々な形がある。「羽っていうと風切り羽とか尾羽とか? 羽毛はもふもふしてそうだけど」
「うーん……モフモフ」
二人で相談しながら、銀細工へと昇華していく作業は、やはりセンスが必要なのだろう。
ただ、デザインが決まれば、後は手先の問題。
「アルファちゃん、それ取って」
「がう」
雄鷹とアルファのコンビネーションで、無事銀細工は完成した。
「よっしゃ、あとはゆっくり、他の銀細工の店回って行こか」
欲しいのは形あるものではなく。アイディアであり、インスピレーションであり、はたまた『作る者としての刺激』かもしれない。それらは雄鷹の新しいダガーの元になるものだ。
「いってらっしゃーい、またあとでね」
少し用事があるというアルファと別れて、雄鷹は町の通りへ繰り出す。
さて、この後はどんな出会いがあるだろうか。
●
銀細工の町を巡る物語はこれにておしまい。猟兵たちが守った町はこれからも未来に向けて、歴史を紡いでいく。
大成功
🔵🔵🔵