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闇の救済者戦争㉒〜救われた世界から救世主へ

作者：黒代朝希

　【Q】「ワープドライブの賦与――「一瞬で猟兵の元に現れて痛烈な近距離攻撃を放ち、即座に長距離ワープで離脱する」というヒット＆アウェイ戦法が強みとなる」
　【Q】「天災天賦の賦与――戦場に即席の「簡易型システム・フラワーズ」を構築し、「ダークセイヴァー産の狩猟罠と拷問具」を無尽に出現」。
　【Q】「魔軍転生の賦与――魔軍将がひとり「豊臣秀吉」を憑依。「武装及び全身をコーティングする黒い粘液」や「虚空から突き出す無数の黒槍」でサポート」
　【Q】「骸の海発射装置の賦与――「過去」によって戦場を「これまでダークセイヴァー各地で流された鮮血でできた海」に塗り替える」
　【Q】「無限災群の賦与――津波のように押し寄せる大量のオブリビオンを溢れ出させる」
　【Q】「再孵化の賦与――撃破した「強力なヴァンパイアや魔獣や闇の種族」を蘇らせる」
　【Q】「現実改変ユーベルコードの賦与――恐るべき「イマジンモンスター」に変身」
　【Q】「王笏メガリスの賦与――通常の攻撃手段に加えてメガリス三種を用いた連続攻撃を放」
　【Q】「｜虞《おそれ》の賦与――ありとあらゆる「幽世のカタストロフ」を戦場に次々と再現」
　【Q】「オブリビオン・ストームの賦与――機械甲冑「ヴォーテックス・アーマー」の装着によるオブリビオン・ストームの発生」
　【Q】「異門同胞の賦与……は、私の能力を越えている――故に数十万にも見える多数の「ダークセイヴァー上層のオブリビオン」の使役は不完全」
　【Q】「KING宝珠の賦与――5つの「KING宝珠」の招来」
　【Q】「｜拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》の賦与――無尽に雲海を湧き出させる」
　【Q】「聖杯武器の賦与――語るに及ばず。何事もシンプルなのが強い」
　【Q】「六番目の猟兵達よ。未だ、この名の意味を知らぬ者達よ」
　【Q】「私の名はライトブリンガー。この世界より光奪いし者の責務として、あなた方と戦おう」
　【Q】「そして理解したでしょう。ユーベルコードの強大さで言えばダークセイヴァー最強のオブリビオンは私」
　【Q】「心するがいい。私の言葉は全てが【Q】なのだから」

「皆、次は『始祖ヴァンパイア』である『ライトブリンガー』の元へと向かってもらうわ！」
　予知によってその強大なるユーベルコードを見た猟兵達の、しかし莫大な士気を確かに見てシビュラ・ヴェルムリープ（光桜天樹スプリールの聖女・f39562）は確かに笑みを浮かべる。
「かの存在のユーベルコードは強大――全ての言葉を【Q】にする」
　その力は絶大。
　しかし忘れてはいけない――猟兵は、全ての世界の力を得る事が出来るのだと。
「わたくしはオブリビオン・フォーミュラが撃破された世界の首脳部に対応し、戦力や物資を送ってもらったわ。その戦力や物資を用いて戦えば勝機を見出せるはずよ」
　その『｜救われた《フォーミュラ無き》世界』によって、今度は猟兵が助けられるのだ――

第1章 ボス戦 『五卿六眼『ライトブリンガー』』

POW   :    【Q】天翔ける五つの黄金剣 【天翔ける五つの黄金剣】から、レベル×5mの直線上に【光】を放出する。【精神力】を消費し続ければ、放出を持続可能。 SPD   :    【Q】匣の中の太陽 【手にした匣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【太陽の炎】」を放ち、ダメージと【超業炎】の状態異常を与える。 WIZ   :    【Q】欠落の月より至る光 戦場にレベル×5本の【光の柱】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【弱い】対象を優先して攻撃する。 イラスト：ハルヨリ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「言葉全てが【Q】となるとは恐ろしい相手ですね。ですが私はかつて、その敵を相手してきました……私達に同じ手は通用しません！」
【Q】「承知の上です――とはいえ、ここまでのフォーミュラ能力となれば無視も出来ないでしょう。故に――」
【Q】「オブリビオン・ストームの賦与」
　巻き込んだもの全てをオブリビオン化させる嵐を機械甲冑「ヴォーテックス・アーマー」を纏う事で発生させ、スピネル・クローバルド（家族想いな女の子・f07667）を吹き飛ばそうとする五卿六眼の盟主『ライトブリンガー』。
　しかしその毒の嵐を耐性を以て耐え抜き、スピネルはそのまま嵐の中へと迷彩技術を発揮して溶け込んでいく。
「さぁ、気付く間もなく、仕留めてあげますよ――『ステルス・ハンティング』」
　オーラを放ち周囲と同系色の見えづらい姿へと変貌した後に強化された『フォレストスナイパー』で『ライトブリンガー』へと狙撃を仕掛けるスピネル。
　かの『始祖ヴァンパイア』も負けじと究極の言霊ユーベルコード『全発言の儀式魔術【Q】化』を以て光の柱を降り注がせる。
【Q】「私はオブリビオン・フォーミュラ級のオブリビオン。故に『弱い者を優先的に狙う』このユーベルコードの識別は――」
「甘いですよ！」
　瞬間、銃声が鳴り響き光の柱が粉砕される。
　そこにはストームブレイドによるオブリビオン・ストームの影響を遮断する防壁から射撃を仕掛ける｜奪還者《ブリンガー》達の姿がある。
【Q】「グリモア猟兵の措置」
「その通りです――そして、私は彼らを護ります！」
　そう言ってスピネルは『ライトブリンガー』の胸元へと矢を突き立てるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

【Q】「異門同胞……このユーベルコードだけは、計り知れませんね」
「いかにも……奴の真価は戦闘能力でなくその戦略指揮にある」
　『不動なる者』――『複合型悪霊』の猟兵である馬県・義透（死天山彷徨う四悪霊・f28057）は宝貝……封神武侠界からの支援物資を手に取る。
「なるほど、認識阻害倍増装置か――なれば、これに四天流星を組み合わせての広範囲阻害。同士討ちなどが広がるであろうよ」
【Q】「私の異門同胞に対しては、最適解ですね」
　瞬間、集まったヴァンパイアや闇の種族等はたちまち殺し合いを始めていく。
　これでは軍勢を指揮する等不可能に近いが……しかし『ライトブリンガー』も伊達にオブリビオン・フォーミュラ級の力量を誇っているわけではない。
　儀式魔術【Q】で具現化した『天翔ける五つの黄金剣』から光を放射し、そこに指揮下にあるオブリビオンの軍勢を加えて『不動なる者』を追い詰めていく。
「しかし、その技は精神力の代償がある――つまり、不完全統率ならばより一層、すり減るのよな」
【Q】「――ぬかった」
　――オブリビオンは猟兵の選んだユーベルコードに対応して自身のユーベルコードを選ぶ性質を有する。
　その性質から逆算した『不動なる者』は、一番制御の効かない【Q】「異門同胞の贈与」を狙い撃ちにして『ライトブリンガー』自身のユーベルコードとの相性の悪さを発露させたのだ。
「――見えぬ攻撃は、避けるのが難しいぞ？」
　ヒポグリフに跨り『不可視の生命力を吸収する、四悪霊の呪詛』を付与した未来写す漆黒の剣『黒曜山』を振るい、五卿六眼が一柱『ライトブリンガー』を切り刻んでいく『不動なる者』……
　その攻撃によって『ライトブリンガー』が『異門同胞』の制御を一瞬失い、そこから自らの指揮するオブリビオン軍勢が襲い掛かっていく――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ひとまず真の姿は解放出来たけれど、これはどうしましょうね」
【Q】「｜虞《おそれ》の賦与」
　莫大な量の｜虞《おそれ》によって戦場全体が一瞬で「カクリヨファンタズムが如き空間」に塗り替わっていく様を見ながら、七那原・望（比翼の果実・f04836）は己の『真の姿』を解放。
　聖歌隊のような装束の女神の姿となり、全力で多重詠唱を行い結界を展開。
　そのままカタストロフの影響をなるべく抑えながら、望はカクリヨファンタズムの妖怪達の支援を受けていく。
「やっぱりわたしよりもこの状況に慣れている人達の、カクリヨファンタズムの力を借りた方が良いですからね」
　東方妖怪が、西洋妖怪が、新しい妖怪が、竜神が望の元へと集結。
　戦場に再現されていくありとあらゆる「幽世のカタストロフ」を共に凌ぎながら望は妖怪達に声をかけていく。
「力を貸してください――この世界を外道から解放するために」
　そう言って長らく封印されていた視覚――黄金色の瞳で五卿六眼『ライトブリンガー』……ダークセイヴァーに絶望を齎した組織の盟主という『全ての元凶』を睨みつける。
　黄金剣の光の軌道とカタストロフの影響を西洋妖怪と竜神達の支援を受けて見切り、そのまま東方妖怪と新しい妖怪達と共に攻撃を仕掛けていく。
「全ての望みを束ねて……！――『Lux desire』」
　取り出した願望に応じ、数多の奇跡を引き起こす勝利の果実『真核・ユニゾン』から放出される膨大な光の奔流でカクリヨファンタズムのカタストロフごと五卿六眼『ライトブリンガー』を飲み込んでいき、望は支援攻撃を放ってくれる妖怪達に微笑むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

【Q】「猟兵三名の到来を確認」
【Q】「KING宝珠の賦与」
【Q】「異門同胞の限定的発動」
【Q】「ワープドライブの賦与」

　瞬間、具象化されるのはデビルキング五名の能力を再現する五つの宝珠。
　及び数十万規模のダークセイヴァーのオブリビオン軍団。
　トドメに銀河皇帝の血族が有する空間転移ユーベルコード『ワープドライブ』の発動――
　五卿六眼の盟主『ライトブリンガー』が発動した儀式魔術【Q】を前にしかし、ミュー・ティフィア（絆の歌姫・f07712）、ロリータ・コンプレックス（死天使は冥府で詠う・f03383）、バーン・マーディ（ヴィランのリバースクルセイダー・f16517）は三つの儀式魔術と合わさって繰り出される『ライトブリンガー』のユーベルコードに立ち向かっていく。
「こちらもカクリヨファンタズムの妖怪さん達に――」
「ヒーローズアースのヒーロー達。そこに｜闇の救済者《ダークセイヴァー》数千人……準備としては万全であろう」
「いいえ、まだよ！」
　そういうや否や、ロリータはユーベルコード『｜襲来する天使のロリータちゃん達《キューティー・エンジェルアーミー》』――自身を更に呼び寄せ『神々しさで敵さえも魅了する天使の翼』を生やす召喚系ユーベルコードを起動させ、制御が不安定なオブリビオン軍団を魅了していく。
「聞きなさい！ダクセのオブリビオン達！あなた達を操ろうとしてるのはあの始祖ヴァンパイア！――おそらくはかつて祈りの双子に戦いを挑んだ元『猟兵』よ！」
　予兆で出た情報と『ライトブリンガー』が儀式魔術【Q】を扱える事……そこから推察するに――『ライトブリンガー』とは『六番目の猟兵』以前の『元猟兵』かもしれない。
「貴方達オブリビオンの端くれなら自分達の尊厳くらいは守って見せなさい！――あいつは貴方達を巻き込む攻撃も厭わないわよ？」
　その言葉と同時、闇の種族の軍勢が『ライトブリンガー』へと襲い掛かる。
　しかし五卿六眼の盟主に数の暴力は通じない――光の柱の爆撃によって殲滅させる。
　だが、其れこそがロリータの目論見であった。
「今よ！――オブリビオン軍勢に相手取っている今なら、三勢力を活かせるわ！」
「成程――妙手」
　そこでバーンは防御を捨てたスタイルで炎のオーラを付与したガントレット――筋力を更に増強させる支給された兵装を構える。
　――瞬間、世界が砕けるような轟音が、鳴り響く。
「――判断を誤ったな。敢えて『オブリビオン軍勢に対処している』と思わせて『ワープドライブ』を起動し我の元へと跳ぶつもりだったのだろうが――」
【Q】「最初から差し違え覚悟のつもりで一撃を与えるつもりだったと」
「然り、ここまで上手く嚙み合うとはな……」
　血だらけであるが戦闘継続は十分に可能なバーンは、顔面に拳を叩き込まれた『ライトブリンガー』……『敵の攻撃力に己の全ての力を乗せた反撃』を繰り出すカウンター系ユーベルコード『大いなる叛逆』を発動。
　完全に意表を突ける筈と見積もっていたが、騎士として『正義』に抗ってきた者の心構えを『ライトブリンガー』は甘く見ていたのだ。
【Q】「流石は『紋章つかい』を滅した猟兵……装備開発に特化していたとはいえ、五卿六眼の一柱を駆逐したのは伊達ではありませんか」
「……正義の刃は、ここぞという所で振るわれる。それを意識し続ければ何という事はない」
　光の柱の瀑布を剣で切り刻み、ロリータを護衛していくバーン。
　そして、後の事はミューへと託す――
「とは言え『もう終わっている』、か……絶対先制攻撃権が無いのが仇となったな」
　既にミューのユーベルコード『｜絆歌・歌姫の言霊《ソング・オブ・ボンド》』は『放たれていた』――『戦場全体に因果無視の力を宿す歌声と共に光と闇の波動を発生させる』異能は。
　そう、『因果を無視する戦場全体攻撃』を。
【Q】「理解、どうりでKING宝珠の殆どが作動しない筈」
「それに加えて、先程のオブリビオンの存在意義に訴えかけた言葉もあったのだろうな」
　――ミューは『ワープドライブ』によって時空を超えた『ライトブリンガー』が出現した瞬間からKING宝珠の対応をしていた。
　そう、オブリビオンの手中に落ちているKING宝珠――『オブリビオン化』している存在を。
「あの演説で、どこか揺らぎがあったのでしょうね……！」
　残った『植物怪獣軍団』を、ミューは発動したユーベルコードのもう一つの効果『それぞれが紡いだ他者との絆に比例した歌による攻防強化』によって上昇した地力で対応。
　そのまま歌を歌い残ったKING宝珠を味方につける。
「――これで四勢力か」
「中々に好調ね！」
　バーンは黙々と光の柱等の『ライトブリンガー』の攻撃や強力な個体のオブリビオンの対処を。
　ロリータは魅了の効果を持つ分身を用いて味方に引き込んだオブリビオンを『ライトブリンガー』に嗾け続ける。
「善い――如何なる相手でも叛逆を示すのみ」
「ふん、ロリータちゃんが天使を呼べるのは一度だけだなんて言った覚えはないわよ！多勢に無勢はどっちかしらね！」
　その二人の援護を受けてミューは『ライトブリンガー』へと肉薄。
　そのままビームを射出する――
「貴女の責務も六番目の猟兵の名の意味も私達にはわからないです――でも、私が今するべきことはわかります！」
【Q】「猟兵の責務、シルバーレインで『都怒我阿羅斯等』が絶望した理由がある事は知っている筈」
「それでも！」
　あらゆるものは無為だとしても、それでも美しいと思う何かがあれば無為は無為ではなくなる。
　故に、ミューは『ライトブリンガー』に痛打を与える――！！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

【Q】「異門同胞の限定的発動」
　致命傷に等しいダメージを負った『ライトブリンガー』。
　しかし彼女は足掻く――かつてこの世界より光奪った者の責務として、『六番目の猟兵』と戦う為に。
【Q】「何度でも言おう――心するがいい。私の言葉は全てが【Q】なのだから」
「けれども……その力は万全の物を……打ち破っています……！」
　そこに現れたのは封神武侠界の英傑仙人を引き連れたアリス・フェアリィハート（不思議の国の天司姫アリス・f01939）。
　彼女の背後に控えるが如く、彼らは佇んでいる。
「ライトブリンガーさん達から……この世界を解放する為……どうかお力を貸して下さい……」
　アリスの言葉と同時、英雄や仙人は不完全な『異門同胞』によって軍勢を成すヴァンパイアや闇の種族へと挑みかかる。
　やはり不完全な制御だけあって、個々の強さは抜群だが連係力に欠ける。
「貴方達も……それ程の力をお持ちなのに……言いなりで……良いんですか？」
　そこにアリスが囁く。
　元々ヴァンパイアや闇の種族といったダークセイヴァーのヴァンパイアは悪い意味で貴族的――身に合わないプライドの高さを有している。
　故にそのささやきは、オブリビオンの軍勢が『ライトブリンガー』へと反旗を翻すに十分であった。
【Q】「やはり『六番目の猟兵』は強い……だが、どこまで行けるか」
「どこまでも……です……！」
　そうですよね、妲己さん……
　かつて封神武侠界にオブリビオンの出現を食い止める『封神台』を建設した女性の名を呟き、ユーベルコードを発動。
　スート・ザ・ロッドの薄絹が変化した仙女衣合体し、攻撃力を増加する精霊憑依――『万物を魅了する香気』と『全てを灼く光焔を纏った、胡蝶剣や武装群』……
　彼女のユーベルコードを使い、アリスは『ライトブリンガー』を追い詰めていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　そうして、決着は着く――

「誰が呼んだか「ラ」「ブリ」「ー」ちゃん……いや、あれは絶対そんなかわいいもんじゃねえ」
　死力を尽くすべき相手――久遠寺・遥翔（焔の機神イグニシオン／『黒鋼』の騎士・f01190）はそう確信している。
　彼の傍らにはバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）、空桐・清導（ブレイザイン・f28542）、兎乃・零時（｜其は断崖を《遥か高みを》駆けあがるもの・f00283）の三名。
「清導、バルタン、零時、皆……よろしく頼むぜ」
「ヒャッハー！これよりライトブリンガーとの決戦デース！零時殿、清導殿、遥翔殿！　よろしくお願いしマース！」
「ああ！いよいよ決戦だな！！遥翔！バルタン！零時！全力でぶちかますぞ！」
「ハッ！テメェが最強って言うんなら！それを超えるが俺様達よ！やろうぜバルタン、空桐、久遠寺！――お前の【Q】、全部超えてやる！！！」
　瞬間、駆動する『ライトブリンガー』の儀式魔術【Q】――
　遥翔には『ワープドライブの賦与』を。
　バルタンには『異門同胞の限定的発動』を。
　空桐には『｜虞《おそれ》の賦与』を。
　零時には『現実改変ユーベルコードの賦与』を。
　更に自前の【Q】によるユーベルコードをもぶつけ、五卿六眼の盟主『ライトブリンガー』は猟兵達を葬り去ろうとする。
【Q】「さぁ、見せて見なさい。六番目の猟兵よ」

「ああ――勿論！」
　最初に答えた――応えたのは空桐。
　襲い掛かる幽世のカタストロフには手こずらされているが……今の彼にはヒーローズアースの住民の声がかかっている。
「感じるぜ、みんなの想い！今ならやれるよな！ブレイザイン！！」
　そこに神やヒーロー達の力によって『みんな』――ヒーローズアースやダークセイヴァーの住民の想いや力が清導に流れ込んでいく……！
「いくぜ！超越！変ッ身！！」
　――『｜超克《オーバーロード》』。
　ブレイザインが解けて黄金の輝きとなって空桐の両手足を包み、光焔を纏った黄金の装甲が顕現。
　そこに『真の姿』の解放――その姿は『心臓のあたりから焔が恒星の如く燃え上がる』というものだ。
「そういう訳で――さぁ、まだだ！ここからだぜ！」
　あらゆる幽世のカタストロフを気合と根性でねじ伏せていく空桐。
　かの『始祖ヴァンパイア』もその力に畏敬の念を覚えたようだ。
【Q】「ヒーローらしい猟兵、という事でしょうか」
「いいや、言ったはずだ――まだだ、ってな」
　そこにぶつかるのは――『兀突骨』の如き鎧を身に纏ったバルタンであった。

　膨大多数なオブリビオンの軍勢……それをバルタンはユーベルコード『｜模倣様式・兀突骨軍勢現象《ポーシュボス・レギオン・ゴツトツコツ》』によって突破。
「ポーシュボス！　兀突骨！　そして大空を覆うもののベルセルクパワー！」
　ジェネラル級オブリビオンの中でも屈指の強大さを誇るオブリビオンの名を上げ、バルタンは『自他の狂気の総和を攻撃力へ変換する事』……闇の種族やヴァンパイア等の狂気に満ちたオブリビオンを相手取るには相性の良いユーベルコードで『負傷をものともしない攻勢を繰り出す外骨格』を纏いその上で『正気を保ったまま分身し増殖する現象』によってオブリビオンの軍勢を蹴散らしていく。
「そこにデビルキングワールド……まだブルーアルカディアですかな？ともあれ『スーパーカオスドラゴン』殿に救援を要請して――カオスをひとつまみ」
　瞬間、具象化する『｜超極限《エクストリーム》』状態のバルタン。
　外骨格で固められた、分身増殖するバルタン達が高速飛翔によって『ライトブリンガー』を光の剣ごと打ちのめしていく。

「スペースシップワールドに居る故郷の皆！俺様に力貸してくれ！！――想像力で俺様が負けるかよっ！！」
　そこに零時は『現実改変ユーベルコード』によって『最強の存在』へと変化。
　同じく『ライトブリンガー』もそうするが――
「お前が『この世界の最強』なら俺様は『全世界最強最高』の魔術師に成れば良いッ！覚悟の違いを見せてやる！」
【Q】「成程、シンプルながら論理的な超克方法」
　零時の選んだ手法に『ライトブリンガー』は簡素ながら賞賛を送る。
　確かに『ライトブリンガー』はダークセイヴァー最強のオブリビオン――故に僅かに、『ダークセイヴァー最強』である事に拘っている節を彼女は否めないと心中で呟く。
【Q】「見事に裏をかきましたね」
「へっ、そんなもんじゃねぇ」
　しかし零時はその言葉を否定する。
「俺様は、絶対！全世界最強最高の魔術師になる――其れならば、全ての骸の海の世界の存在より強くなる！」
【Q】「その向上心、正しく『生命体の埒外』と言えるでしょう」
　そこにスペースシップワールドの住民による支援も合わさり、『最強』同士のぶつかり合いは零時に軍配が上がっていく――

「――頼むぜ『｜西洋親分《おうじさま》』」
「勿論だとも、二年前の恩はこれでも返しきれないさ」
　瞬間、その黄金色の肉体で『ライトブリンガー』の『ワープドライブ』による空間転移型奇襲を受け止めるのは西洋親分『しあわせな王子さま』。
　高い防御力でかつての『大祓百鬼夜行』にて猛威を振るった彼はしかし、無事に西洋親分を続けている。
　その恩を返すべく、遥翔をガードしているのだ。
【Q】「世界を超える恩……厄介ですね」
「ああ――そしてここからは、｜俺《イグニス》の世界だ」
　瞬間、ユーベルコード『｜真焔なる世界《プリミティブ・イグニッション》』によって戦場全体に『原初の真焔結界』を発生させる遥翔。
　140分後まで、敵は『終焉の黒焔』の攻撃を、味方は『再誕の白焔』の回復を受け続けるという戦略的に有効なユーベルコードだ。
「｜原初起動《イグニッション》――最先より在りし焔よ、醒めよ」
　心眼と第六感を駆使して『ライトブリンガー』の動きを見切り、二度目のワープ攻撃を回避し時には『しあわせな王子さま』にガードしてもらう遥翔。

　これによって五卿六眼の盟主『ライトブリンガー』の儀式魔術【Q】はほぼクリアされた。
　そして、ここからは猟兵達――『鋼晶戦隊』の時間だ。
「皆、任せた！」
「必殺のアタックを叩き込む猶予を稼ぎマース！」
「最早、俺達を止めるには足りないぜ！」
「叩き込んでやるよ――｜災害《カタストロフ》を超える一撃を！」
　まずは零時が藍玉の杖・改〖Ⅰ型〗を構え、藍玉の杖・改〖Ⅳ型〗によって拳外装を握り、藍玉の杖・改〖Ⅴ型〗を使い足外装へ力を籠めていく。
　その隙を『ライトブリンガー』は狙うが、外骨格で固められた上で分身増殖するバルタンの群れに阻まれる。
「どこへいようと同じだラブリーちゃん。この世界にいる内は俺の焔で焼き尽くす――！」
　そこに遥翔が『｜真焔なる世界《プリミティブ・イグニッション》』によって味方の傷を癒し、溢れ出るオブリビオン軍団を焼き尽くしていく。
　戦場全体を包む真焔結界は、『ライトブリンガー』を含めたオブリビオンを逃しはしない。
「匣の中に押し込められた輝きで俺たちの光を消せると思うな！」
【Q】「最後に一つ。私をラブリーちゃんと呼ぶのは止めて下さい」
　その言葉を無視したのか、更に結界内の火力は上がっていく。
「さて……コイツで決まりだ、ライトブリンガー！超越必殺！オーバーライト・ブレイバー！」
　そこに零時と同じくエネルギーを充填させていた空桐が叫び、零時と共に『ライトブリンガー』へと駆け抜けていく。
「祈り纏う魔力のイメージは全属性――星……此れが、これこそがッ！！限界切り拓く可能性の化身ッ！俺様の｜超克《ｵｰﾊﾞｰﾛｰﾄﾞ》だッ！！」
　偽神×純化形態を完全制御した真の姿、宝神に変身し、藍玉の杖・改の拳と脚の外装武具形態に加えて魔術の威力を増強していく零時。
　そこへ全術式超強化に加えてクリスタリアンの力を完全覚醒させていく――
「――『｜神輝宝煌・超克《クリスタル・オーバーロード》』ッ！」
「『｜超越変身！《ミラクル・トランスフォーメーション》』」
　そこに空桐も想いと勇気にブレイザインが反応させ、全身を光が包み込み『特殊形態』へと変形していく。
　これこそ『鋼晶戦隊』が描いた戦略――
「――『｜神輝宝煌・超克《クリスタル・オーバーロード》・｜星神執行《アストライオス》』ッ！」
「ラブリー殿！　これが六番目であるワタシたちの絆パワーであります！」
「言ったはずだぜ、そんな光で俺達の輝きは消せないってな」
「ああ……それじゃあ『またな』――！！」
　瞬間、迸るただ圧倒的なまでの『光』――
　それはオブリビオン・フォーミュラがいなくなったダークセイヴァーの世界を、一瞬闇を消し去る様に照らし出していく。
　そして、残るのは『ライトブリンガー』がいなくなった戦場であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年06月03日