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闇の救済者戦争㉑〜腐朽の理

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #五卿六眼『腐敗の王』

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#五卿六眼『腐敗の王』


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●朽廃
 血管が埋め尽くす大地、ダークセイヴァー第二層で、微かに炎が燻る。
 半身は腐り、半身は業炎となってその身を包んでいる。
「生と死の循環が停止している今、全ての命は|此処《ダークセイヴァー》に在る」
 静かに、呟く。
 眼前より迫り来る群体の気配を感じ取り、五卿六眼『腐敗の王』はただそこに佇んでいた。
「私が『死の循環』を加速すれば、即ち世界は腐敗に満ち……腐り落ちて『過去』となった万物は、オブリビオンとして蘇る……」
 萎れていく。数多の血管、大地の全てが、融けるように崩れ落ちていく。
 『腐敗の王』による死の循環はここに加速する。数多の命は枯れ果て、腐敗し、全てが脆弱な黒墨となって風化していく。
「|私《俺》にその刃が届くか、猟兵。死を超克せんと此処に来ようとも、お前たちの刃さえも容易く腐れ、崩れ落ちよう」
 しかし、だからこそ見たい、と。『私』たる側面の『腐敗の王』は、腐り落ちて骨だらけになった四肢を翻す。
「――腐れ、尽く」
 全ての生命が腐り、黒ずむ地平の中で。『腐敗の王』は、その半身の業火を肥大化させた。

●腐敗を越える
「五卿六眼『腐敗の王』……かつてないほどの強敵かもしれないな」
 ダークセイヴァー第二層が――腐敗の王の周囲全てが、腐り落ちている。
 加速的に肥大化する腐れた領域を魔術で投影し、グリモア猟兵であるアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は集った猟兵たちに告げた。
「ダークセイヴァーの人たちが死んでも魂人として転生してしまうのは、『腐敗の王』が生と死の循環を停止しているからだ。どうにかして、この腐敗の王を撃破しないといけない……」
 しかし、『欠落』は健在のために腐敗の王を滅ぼすことはできない。
「それでも、腐敗の王を倒せば倒すほど、その循環の停止は解けていくようだ。この世界を正常化させるためにも、この五卿六眼の力は削っておきたいな」
 魔術の使用を止めて、アインは周囲を見やる。
「腐敗の王は、視界に映る全てを腐敗させていく。それは世界全てだ。俺達猟兵でさえも例外じゃない。身体は朽ちていく。持っている武器やアイテムは風化し、脆くなる。そして――」
 たん、と杖の柄で地面を叩けば、アインのもう一人、同一存在が傍らに浮かびあがった。
「腐り落ちて消滅したものは全て、『オブリビオン』として蘇る。俺達猟兵の健常な|オブリビオン《コピー》そのものも相手にしないといけない」
 つまり、万全な自分自身たるオブリビオンそのものと、腐敗の王の二人を相手にしないといけない。
 とにかく、危険な相手になる、とアインは続けて口を開いた。
「どんなに万全を期しても、負傷は免れない。十分に準備し、作戦を練ってから対峙してくれ」
 とん、と自分の投影を消し去り、アインは言葉を続けた。
「ただし、腐敗の王がこの能力を発動している最中は、腐敗の王自身も傷を癒せないし、耐久力も脆くなる。みんなの一撃一撃を積み重ねて、この五卿六眼を撃破するぞ!」
 杖を掲げると、猟兵たちに転移の光が纏わり付く。
 転移先は『腐敗の王』の目の前、朽ちて腐敗していく血管の大地の上、猟兵の覚悟が試される。


夕陽
 視界に映るもの全てを腐敗させる脅威の力を持つ五卿六眼との戦いになります。
 OPをご覧頂きましてありがとうございます。初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。
 以下のプレイングボーナスが存在します。

 プレイングボーナス……僅かずつでも腐敗の王に与えたダメージを重ねる。

 以下、注意となります。
 『腐敗の王』は猟兵そのものの身体を腐敗させるだけでなく、武器やアイテム全てもその力で劣化させていきます。
 また、挑戦する猟兵の健常な状態として現れるオブリビオンは、猟兵と同一の攻撃を行います。
 そして重要事項ですが、『重傷描写などが発生します』。たとえ成功、大成功と言えども、無傷で勝利するのは極めて困難となります。判定はかなり厳しめであり、苦戦も発生しうるので予めご了承お願い致します。

 以上、注意事項となります。
 それでは、皆様のプレイングお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『五卿六眼『腐敗の王』』

POW   :    フレイムビースト
自身の【全身】を【熱き魂の炎】化して攻撃し、ダメージと【装備焼却】の状態異常を与える。
SPD   :    オブリビオンソード
【腐敗による「消滅と忘却の宿命」】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【ユーベルコード知識忘却】の状態異常を与える。
WIZ   :    死の循環
【この世界を司る「世界法則」そのもの】から、戦場全体に「敵味方を識別する【死の循環】」を放ち、ダメージと【肉体腐敗】の状態異常を与える。

イラスト:佐渡芽せつこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです

【腐敗に抗う】
ユーベルコヲド!
苦集滅道リヰンカネイシヨン!
これで先ずはユーベルコヲドに対抗しておこう。
腐敗までの時間を伸ばす為に白金塔の武器防具改造、守護稲荷きこやんの結界術、環境耐性で防ぐけど、一撃のグレネード弾で炎上を狙っていこう。
あとは反動の少ないレーザー射撃で、じわじわ削っていくけど、脆くなった部位に部位破壊のレーザーで切断して、少しでも敵の力を削いでいこう。

サクラミラージュ出身のぼくとしては、生と死の循環を断つことは許せない、だからここで、少しでもこの世界が正常に戻れるなら、腐敗の王に一矢報いるよ!


フィルバー・セラ
【アドリブ連携歓迎】
ったく、てめえの都合で森羅万象捻じ曲げやがって。
クソッタレな世界に仕上げた落とし前はつけてもらおうか?

【リミッター解除】、『封印の楔』に蓄積した魔力(【魔力溜め】)を解き放つ。
短期決戦必至なら出し惜しみこそ死だ。
俺から生まれたオブリビオン共が撃つ【呪殺弾/誘導弾】に対し、
対になる【呪詛】で『ムシバムカハホリ』を具現。
密集させて盾にすることで相殺。
自分の考えは自分が一番わかんだよ。

他の攻撃は腐敗の王からのも含め全部【結界術】で致命傷だけ避け、
【指定UC】を叩き込んだらすぐに帰投するぜ。
壊死の速度は限界まで早めておいた、腐敗と相まって奴らの体の崩壊を促進させていくハズだ。



「……来たか……」
 炎が揺らめき、猟兵が現れた事に気づき――五卿六眼『腐敗の王』は、炎熱の宿る眼をそちらへ向けた。
「ったく、てめえの都合で森羅万象捻じ曲げやがって。クソッタレな世界に仕上げた落とし前はつけてもらおうか?」
 フィルバー・セラ(|霧の標《ロードレスロード》・f35726)が、目の前の邪悪を前に剣を抜き放つ。
「サクラミラージュ出身のぼくとしては、生と死の循環を断つことは許せない、だからここで、少しでもこの世界が正常に戻れるなら、腐敗の王に一矢報いるよ!」
 そして、数多の銃火器を携えて、国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)は腐敗の王に立ち向かう。
 腐敗の王は――意に介さずに、静かに告げた。
「……六番目の猟兵たちよ。ならば見せてくれ、死を超克せんとするその力を……」
 二人の猟兵は、この空間に不可視の|力《腐敗》が満ち始めたことに気付くだろう。
 ぐ、と片腕を握る。そこを見れば、すでに腐敗は始まっている。
 指先が萎れ、枯れ果て、そうして肉の一欠片が腐食した血管の大地に落ちる。

「ユーベルコヲド! |苦集滅道リヰンカネイシヨン《ニルバーナ・リベレヰション》!」

 襲い来る腐敗、死の循環に、鈴鹿はユーベルコードを解き放つ。
 ハイカラさんたる光背が活性化し、腐敗の力が神秘の輝きに拮抗し弾き返された――!
「……私の死の循環に抗うか……」
「世界に満ちる、艱難辛苦を祓う! たとえ腐敗の力でも!」
 弾き返された腐敗の力は、腐敗の根源たる腐敗の王そのものに跳ね返る……はずだった。
「……ならば、こうだ……」
 地面から現れた人の影は実像を結んで|肉体を得る《オブリビオンとなる》。
 鈴鹿のオブリビオンが腐敗の王の前に立ちはだかり、成すは暗黒の光、すなわちそれは【苦集滅道リヰンカネイシヨン】だ。
 鈴鹿によって弾き返された腐敗の力が、再びオブリビオンの鈴鹿によって弾き返される。
 暗黒の光と清浄が光が拮抗し、腐敗の力もまたその力の前に拮抗した。
「てめぇの腐敗の力に、呑気に付き合うつもりはないぜ!」
 即座に動いたのはフィルバーだ。
 Crimson Rougeから放たれる呪詛の弾丸、しかしそれもまた、腐敗の王の前に立ち塞がるオブリビオンのフィルバーの銃撃によって相殺された。
「……無駄だ……六番目の猟兵よ……」
 腐敗の王が四肢をしならせて、刹那、圧倒的な速度で鈴鹿に迫った。
 オブリビオンソードが翻る。消滅と忘却、二つの因子が込められた刃が、鈴鹿の胴体を貫こうと輝いた。
「やらせない!」
 白金塔が、腐敗の王の刃を受け止める。激烈な閃光――だが、腐敗の力は猟兵のみではない。
「……私の腐敗は、強靭な盾をも融かす……」
 酷く耳障りな腐食の音だ。白銀塔に突き刺さった刃から、腐敗が広がっていく。
「んなこと分かってんだよ!」
「フィルバー!」
「分かってる!」
 肉体の腐敗は進んでいる。だからこそ、この五卿六眼に一矢報いるための一撃を。
 オブリビオンの呪殺弾、機関銃の制圧射撃をかいくぐるように、フィルバーが大地を蹴り、鈴鹿が白金塔から飛び退くように機関銃と阿穹羅を展開させる。

「喰らいな!」
「言ったはずだよ、一矢報いるって!」

 フィルバーの双眸がユーベルコードの超常に光り輝く。魔弾は、どんな障害があっても命中する。
 【|魔弾・何れ死に至る烙印《フライクーゲル・ネクローシスティグマ》】によって空間に満ちた呪詛弾丸が、腐敗の王を追尾、収束する。
 腐敗の王に降り注いだグレネード弾が、腐敗の力に屈する前に中空で弾けて炎上した。

 四肢が動かなくなる。圧倒的な腐敗の力を前に、猟兵たちは大地に膝を落とした。

 業炎と呪詛の奔流の中、しかし腐敗の王はその中心で立ち続ける。
「……これが六番目の猟兵、その力か」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シノギ・リンダリンダリンダ
この大海賊の海賊版を作っておきながら、よく平気な顔をしていられますね
万死に値する罪とは、まさにこの事ですよ?

この身が腐れ落ちようが、腐れ落ちたその先で、【憤怒の海賊】は発動する
腐敗、呪詛、毒、死。そのものとなったその体に
腐敗の能力がこの死そのものとなった体にすら効くというのなら、
その腐敗を吸収する怨嗟Dead or Dieで、数多の呪詛毒を生み出すCurse Of Tombで
腐敗の王すら腐らせ、私の海賊版すら腐らせるその呪詛を、毒を新たに作り上げる

UC知識が忘却されても、かまわない
この姿になった時はつまり、憤怒に支配されている
腐敗の王への怒りが。海賊版の自分に対する怒りが
全てを、殺す



「……なるほど、この力、脅威に違いない……」
「この大海賊の海賊版を作っておきながら、よく平気な顔をしていられますね。万死に値する罪とは、まさにこの事ですよ?」
 声が聞こえた方向へと腐敗の王は顔を向けた。
 崩れ落ちる。指先から枯れ果てていく猟兵、シノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)は、それでも、自らのオブリビオンが生み出された事に静かに――しかしその瞳に圧倒的な憤怒を秘めて腐敗の王に立ち向かう。
「……お前の力は、過去となり蘇る。そこに罪などあるまい……」
 オブリビオンが現れる。シノギとしてのオブリビオンが不敵に笑い、目の前の猟兵を打ち払おうと行動を開始する。
 ぐずり、と崩れ落ちていく体。腐敗は絶え間なくシノギを侵し続ける。
「……私の腐敗に抗う術もなく、この地で過去となるがいい……」
 そうして、腐敗の王とオブリビオンの一撃が、シノギを貫いた。
 オブリビオンソードはシノギに深々と突き刺さり、消滅と忘却の因子が刻まれる。
 ぐったり、と身を投げ出したシノギはしかし……笑った。

「この身が腐れ落ちようが、腐れ落ちたその先で――」

 融ける。腐敗し、ぐずりと解け落ちていく。
 シノギのミレナリィドールのフレームが、腐食によってひび割れる。
 だが、それこそシノギの思惑だったことに、腐敗の王は最後まで気付かなかった。

「【Emergency,Emergency,憤怒の海賊が解放されます。当機への接触は控えてください。繰り返します――】」
「――……何?」

 シノギが、オブリビオンソードの刀身に手をつけた。次の瞬間。

 融けた。
 圧倒的な呪詛毒。怨嗟。|オブリビオン《コピー》でさえも、その圧倒的な呪詛の奔流に、肉体を維持できずにたちまちに砕かれ崩壊した。

 この姿は憤怒。余りある怒りの化身。
 全てを殺さんとする、【|憤怒の海賊《ラース・シット・ファック》】。

「……私の、腐敗が、呑まれただと……?」

 死霊海賊の王と化したシノギの双眸が怒りの深紅に燃え盛る。
 戦場を包む呪詛の霧が、腐敗の王の体を恐るべき速さで蝕んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
視界に映る全てを腐敗させる……しかもそれがユーベルコードによるものではないと
流石に、王を名乗るだけの事はあるというべきか

神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化しつつ、廻・陸の秘剣【緋洸閃】を発動
速攻で緋色の大太刀を敵陣に叩き込み、分裂した事で生まれる刀の檻で敵を囲い込む

ダメージもそうだが、腐敗の王と自分のオブリビオンを分断するのが目的だ
とはいえ、敵の状態は万全。すぐに破壊するなりして合流するだろうから、その前に少しでも腐敗の王にダメージを与えよう

斬撃波を放って牽制しながら、腐敗の王の元へダッシュで接近、相手の身体が変じた炎を斬り裂いていく
どうせ戦える時間は長くない、防御よりは攻撃優先だ


栗花落・澪
死ぬのも腐るのも怖くない
どんな傷も激痛耐性で耐えてやる

翼は今回宛てにしない
代わりにオーラ防御に破魔を乗せ
浄化で少しでも腐敗の遅延を試しつつ
風魔法で浮遊しての空中戦

集中力、聞き耳、気配感知で敵陣の配置
及び攻撃の予兆を察知、回避重視

僕の操る魔法は属性問わず
だから高速詠唱、多重詠唱で対応した魔力による属性攻撃で防御
※炎には水、光は氷で生成した壁で反射・屈折させる等
翼を狙い炎や氷魔法による攻撃で足止め

アイテムが脆くなってる以上
氷の壁で防ぐ以外に対抗策が思いつかないから
特に敵のSPD技は確実な回避を意識
偽僕と敵を共に射程に入れた瞬間指定UC
破魔の浄化で攻撃

闇や悪だけを攻撃する技
当然僕や味方には効かないよ



「……私の腐敗を……呑み込む程の……まさかこれほどとは……」
 猟兵たちの猛攻によって、腐敗の王の肉体が崩壊を始めている。
 だからこそ、繋がなければならない。猟兵たちの攻撃は、無駄ではないと。
「視界に映る全てを腐敗させる……しかもそれがユーベルコードによるものではないと。流石に、王を名乗るだけの事はあるというべきか」
 神刀【無仭】の神気が、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)に纏わりついている。
 しかし、すでに肉体の腐敗は始まっている。
 指先から腐り落ちた肉片が地面に落ち、オブリビオンとなって腐敗の王の前に現れる。
「神刀解放。爆ぜて囲え、緋の鋭刃――廻・陸の秘剣【緋洸閃】」
 腐敗の王の言葉など待つ必要はない。ここで一太刀、腐敗の王に一撃を叩き込むため。
 緋色の大太刀が、腐蝕の王と|オブリビオン《コピー》を薙ぎ払う。
 その一撃を持ち堪えようと、オブリビオンの太刀がそれを受け止めようと掲げられた。

 空間を裂いた爆裂。オブリビオンの防御は間に合ったが、その一撃によって一瞬ではあるが意表をつけたようだ。
 取り囲むは、緋い刀。オブリビオンと腐敗の王を分断する、神秘の刃。
「……なるほど、私には届かないようだが……」
 全身が炎と化す。腐敗の王が刃を携え、鏡介の装備を焼き切ろうと襲い来る――!
「させないよ!」
 上空から声がした。
 さらに鏡介と腐敗の王を分断するような、巨大な氷壁が魔術によって出現した。
「……新たな六番目の猟兵か……」
「死ぬのも腐るのも怖くない。どんな傷も耐えてやる!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が、浄化のオーラを纏いながら上空で機を伺っていたのだ。
 しかし、腐敗の王の視界に入ったことで腐敗は始まる。
 双翼がぼろぼろと崩れ落ち始める。黒ずんだ羽は地面に落ち、|オブリビオン《コピー》は生まれいでる。
 風魔法で浮遊しているといえど、万全な状態でのオブリビオンとの戦闘は圧倒的に不利だ。
 だからこそ。
「鏡介さん、フォローをお願い! 僕も魔法で援護するよ!」
「よし、いくぞ」
 こくり、と頷いた鏡介が大地から、澪が空から魔法を撃ち放つ。
「……無駄だ。私に時間稼ぎは無意味……遍くものは腐り落ちる……」
 オブリビオンが周囲を取り囲んでいた刃を破壊し大太刀を翻し、双翼を羽撃かせて同じく魔法を放つ。
 ならば、と澪はユーベルコードを発動させる。
 猟兵に気を取られ、逆に密集させすぎた。それこそが、腐敗の王の悪手だった。

「――全ての者に光あれ」

 戦場を覆うような、圧倒的な清浄の輝きだった。
 【|Fiat lux《フィーアト・ルクス》】は、魔性のみを浄化する神秘の光。
 それは、オブリビオンにのみに作用する、オラトリオとしての超常だった。
「闇や悪だけを攻撃する技。当然僕や味方には効かないよ」
「……これ、は……」
「――終わりだ、腐敗の王」
 腐敗の王の懐に入り込み、鏡介は神気に閃く神刀を振るった。
 その体を斬り裂く、神聖の斬撃だった。

 きん、と空間に奔った斬撃は、腐敗の王の胴体を斬り裂いて消失する。

「……私の死の循環を……超克する……か……六番目の……猟兵よ……」

 塵となって四肢から消失していく腐敗の王の言葉が、第二層の世界に小さく響いて掻き消えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年05月24日


挿絵イラスト