【妬鬼姫戦線A1】第5話 妬鬼姫決戦!!
ここは、妬鬼姫に占拠された皇居。
「この前は遅れを取ったが……今度は負けぬ! 奴らも全ての神器を持ってるわけではなさそうじゃったからな……」
そういって、妬鬼姫は瞳を細めて、キセルを吹かす。彼女の周りには、夥しいゾンビらが陣を組んでいた。
「この強固な陣を破り、妾の元へ来ることが出来るか……見ものじゃな」
ふっと笑みを浮かべ、その出来栄えに妬鬼姫は、満足そうに瞳を細めたのだった。
「皆様、今宵の戦いが最後となりそうです」
そう神妙な面持ちで口を開いたのは、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)。
「妬鬼姫は夥しい数のゾンビを大量に生み出し、陣を敷いているようです。まずはその突破が必要になるかと思います。また、妬鬼姫と戦っている間にゾンビが邪魔してくることでしょう。それを考えると妬鬼姫と戦う前に殲滅しておくと後が楽になりますが……」
その場合は決戦が終わるまで、少し時間がかかってしまう。その場合は迎賓館等を守る桜塚特務部隊の負担が若干大きくなってしまう。
短期戦で進む場合は、多少のダメージを覚悟して、一気に進める必要があるだろう。
「それと帝からの言付けです。決戦に赴くと聞いて、神器は既に用意してあるそうです。必要であれば、すぐにでもこちらに手配してくださるそうです。必要でしたら、お声掛けください」
謁見は必要なく、すぐにでも神器を貸してくれるらしい。ならば、誰がどれを持って行くかをしっかりと相談して決めておくと良いだろう。
「最後の戦い……皆様、悔いのない戦いを。ご武運を祈っています」
そういって、リズは現地へと向かう扉を開いたのだった。
柚葵チハヤ
お待たせしました&とうとう、ここまで来ました!! 柚葵チハヤです。
【妬鬼姫戦線A1】ラストバトルとなります。
泣いても笑っても、今回でラストとなりますので、その分、やりたいことをガッツリやっちゃってください!!
今回から入る方は、シリーズとなってますので、お手数ですが、一連の流れを一度読んでからご参加ください。(タグを見れば一連の流れが見れるようにしてあります)但し、今回だけ参加しても、【イマジン】【アナザー】は、猟兵にはなれません。ご了承ください。
今迄に参加してくださった皆さんが、既にしっかり準備していただいているので、事前の謁見等を省略して、必要な神器を得ることも可能です。
バトルに集中したい場合は、ご利用ください。ですが、その場合も、お手数ですが担当神器を、必ずプレイングに記載をお願いしますね。
バトル前にやりたいことがある方は、早めにプレイングをお願いしますね!!
今回はラストバトルと言うことで、相談期間を出すために、このシナリオ公開後「3日目」から、プレイングを受付したいと思います。その前に来た方は、お手数ですが、一度プレイングをお返しします。但し、オーバーロードに関しては、返さず、そのまま維持して執筆するつもりですので、面倒な方はそちらをご利用いただければ幸いです。
内容的には、必然的に連携となると思います。ですが、どうしてもペアやグループでやることがあるという方は、そちらの旨をプレイングに記載してください。それ以外はグループ名とか記載はなくて大丈夫です。その分、ギリギリまでプレイングを記載していただければ、嬉しいです。
それでは、妬鬼姫戦線のラストバトルな熱いプレイング、お待ちしていますね!!
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
狐々愛・アイ
"月詠(I0045)"を再び持ち出します。
ぼくはかつて「守ってきた人々の気持ちごと、この刀をお借りする」と誓いました。
涼介さんに、妹さんに、帝様に。
出会ってきた皆さんが生きるこの|世界《リフレイン》を、ぼくは助けたいんです。
妬鬼姫さん、と仰るのでしたか……あなたの所業は、確かに多くの犠牲を出してきました。それでも、ぼくは貴女が愛おしい。
己の目的の為に戦う姿。それは、どんな世界でも、誰であっても、美しく輝くものなのですから。
つまりは……勝った方が正義、と言うやつです!
時間をかけて特務部隊への負担を増やすのは避けたいですが、単なる突撃は危険。
まずは"小型のアサルトライフル(I0010)"を弾切れまで撃ち込み、ゾンビの頭数を減らします。
次に月詠を構え、『L.O.V.E.Strafe』の準備を。
疾風の刃と愛の炎を纏う、述べ124回分の連撃です。
この連撃で道を切り開きます……ジグザグに方向を変えながら【切り込み】、一振りで倒せるゾンビの数を増やしながら妬鬼姫に接近……一撃でも良い、その体に傷を!
役所・太助
◯決戦前準備
・すっかり逞しくなった避難所スタッフと避難民に留守を託す
・大事な双子を実家に預ける
・出陣の日の弁当を、ふわさんが戦闘に集中するため、太助がこしらえる
◯出陣!
・前線全体の指揮を取り、鼓舞する。前作経験を踏まえ、反動に注意しつつ神器一斉発動を指示!
・戦場を俯瞰し、前作経験を基に、良い流れは踏襲、悪い流れは防止
・貸与された勾玉について、前作所持者の彩葉の様子から、神通力の増幅と捉えて活用。増幅はふわさんの鬼切丸を優先、戦況を見て仲間の力も。
◯ふわさんを全力フォロー!
・妬鬼姫の「口撃」対策などのメンタルケア
「迷うなふわ!痛みは半分、それがしが!」
前回それを言ったチドリ氏はいない。太助の友人にしてふわの実父の彼だが今は自分の人生(世界線)を生きてる。このリフレインに巻き込むわけにいかない。代わりに自分が守り、痛みを分け合う!
・妬鬼姫の致命的な「攻撃」から「大局を見る目」で何度でも守る!
「例え両眼の光が潰えようとも! 決して皆の希望は消させぬ!!
そのまま、一気にいくでござるよ、ふわ!!」
山田・ふわ
決戦前、ふわはバッタリとキヨに出会う。
よそよそしいキヨにふわは寂しい気持ちに。
「キヨちゃん!ちょっと待って!」
「今のキヨちゃんは知らないかもしれないけど、私とキヨちゃんは……」
それ以上、何も言えなかった。
「怪我とか、しないでね! 怪我したらすぐに逃げてね!」
それだけ言って、ふわは初めてできた親友に背を向けた。
決戦。周りのフォローを受け、ふわは戦場を駆ける。
「妬鬼姫っ!!」
標的をとらえ、鬼斬丸を握りしめる。
真・鬼斬丸。ふわの身体と鬼斬丸が同化していく。
刃が走る。
しかし、その刃は妬鬼姫の首を刎ねることはしなかった。その直前。ピタリと止まる。
「ころさないと、だめかな……」
ふわの目から一筋の涙が流れる。
「一度は貴女を倒した。でもずっと後悔してた。貴女と、お母さんと家族になれる未来もあったんじゃないかって……」
妬鬼姫の目を真っ直ぐ見る。
「本当に、もうダメなんだよね。家族には、なれないんだよね……?」
その答えを待つ。その答え次第で、ふわは刃に力を入れるかどうか、決めることにした。
アルフィナーシャ・ミェーチ
八咫鏡を拝領する。鏡の背の取手にベルトを通し、左腕に固定し、盾のように使う
「古来より、鏡には魔を払う力があるといいますの。この神鏡ならば、きっと、わたくしたちを守ってくれるに違いありませんの」
妬鬼姫に至るまでの道のりは、換気口を通るなど、なるたけゾンビとの戦闘を避ける
妬鬼姫との戦闘では、鏡面を差し向けながら、神速夢想突きで攻め立てる。
(これで三度目の会合・・・あの時より、はるかにわたくしたちは力を増している。神器さえあれば易い相手・・・と、思えますが、油断は禁物ですの。彼の者が同じであるとは限りません)
「今こそ、ミェーチ流銃剣術の真面目を示すとき!死力を尽くして戦いますの!天よ。ご照覧あれ!」
アルフィンレーヌ・ティタンルミエール
「ごめんなさいね。わたしが時空を司る感じの神なら、みんなをピョキーンって、妬鬼姫さんのところまで飛ばせるのだけど。わたしの神の権能でできることいったら、ふわさんが元気な赤ちゃん産めるようにするぐらいなのよねぇ」
対妬鬼姫の切り札である、神器、剣を所持している者たちの力を温存するため、換気口を通るなど、なるたけ、ゾンビとの戦闘は避ける。やむを得ず戦闘になる場合、彼らは下がらせ、ハンマーで蹴散らす。
「切り札があるとはいえ、相手は恐らく神格。侮ってはいけないわ。気を付けてね」
妬鬼姫戦ではゾンビを相手取り、露払いに務めるが、頃合いを見て、アムール・セ・ラヴィで、動きを止める。
「今です!みなで総攻撃を!」
ベスティア・ジェヴォーダン
【草薙担当】
出発時、別れを交わしたり励ましあう仲間の姿を見て
自分は古びた野球のボールを眺めるベス。
文字が書かれていたようだが、今ではかすれてしまって読めない。
しばらくボールを撫でまわし、決意を胸に出発。
仲間に前回利用した通風口を案内
なるべく雑魚ゾンビ戦闘を回避。
妬鬼姫と会うまでにあちこちの非常ベルを鳴らし
雑魚ゾンビが集まるのを阻止
どうしても避けられない雑魚は戦って排除
神器と剣を持ったメンバー全員で妬鬼姫戦。
妬鬼姫がふわの母と聞き少し動揺。
ふわが説得するなら少し待つが、常に何より仲間の命を優先。
ふわや仲間に危険が及ぶなら即座に妬鬼姫を切る。
汚れ役は自分の担当だ
「くさなぎ。お前が世界を守る剣だというなら、それを証明してみろ!」
またリフレインするなら次回こそはそれを止めるヒントが欲しい。
移動中、戦闘中も周囲をよく観察
妬鬼姫にも問い詰め、言葉も聞き洩らさない。
妬鬼姫の背後に別の敵がいるのか、何かの仕掛けがあるのか。
戦いの後は妬鬼姫の血液や体の一部を持ち帰り研究。
早くグラウェルとカレンに会いたい。
◆決戦に赴く前に
そこはかつて、月詠が奉納されていた場所だった。
静かで厳かな場所……ただ一つ残念なのは、ゾンビの襲撃により、その社の一部が壊れてしまっていること。
「ぼくはかつて『守ってきた人々の気持ちごと、この刀をお借りする』と誓いました」
光り輝く月詠を前に、狐々愛・アイ(愛は優しさ、愛は力・f36751)は、静かに告げる。
「涼介さんに、妹さんに、帝様に。……出会ってきた皆さんが生きるこの|世界《リフレイン》を、ぼくは助けたいんです」
力を貸してくれますか?
その言葉は口にはしなかったが……そのアイの言葉に応えるかのように、きらりと月詠が光を放ったように見えた。
「……ありがとう、月詠。共に行きましょう」
アイは一度、社に置いた月詠を再び手にし、仲間の待つ場所へと向かったのだった。
「後は頼んだでござるよ!」
そういって、迎賓館にいる重造や桜塚特務部隊のメンバーと避難所スタッフに後を託すのは、役所・太助(人間の公務員・f39613)。
万が一に備えたマニュアル本を託しながら、太助もまた、戦いに赴く一人となって、仲間達と同行することを決めたのだ。
彼が担当するのは、八尺瓊勾玉……少し前にベスティアが得てきた勾玉を太助が預かることとなっている。その勾玉は、彼の腰にしっかりと括りつけられていた。
ちなみに双子の幼い子供達は、元の世界で太助の実家に預けている。
「おっと、ふわは何処でござるか? せっかくこれをこしらえてきたのでござるが……」
太助は人の多い迎賓館を見渡すものの、妻の姿は見当たらなく。
そんな彼の手には、今日の日の為に早起きして作ったお弁当が用意されていたのだった。
「ふう……なんだか緊張しちゃうな」
そんな太助が探している妻の山田・ふわ(人間のデスブリンガー・f39711)は、決戦の緊張もあってか、じっとしていられない。先ほども用もないのに厠や迎賓館の通路を散歩して、気持ちを落ち着かせようとしていた……そのときだった。
そこにキヨが通りかかった。決戦に備えて、備品を運んでいるようだが……。
「キヨちゃん! ちょっと待って!」
「……えっと、あなたは確か、特務部隊で戦っている、ひと……?」
少し余所余所しい態度を取るキヨに、ふわの胸が締め付けられるようだった。なぜなら、前の戦いでは親友同士になっていたのだ。しかし、ここではキヨとあまり交流を果たしていなかったために、あのときのような絆が感じられない。それが、ふわには辛く悲しい想いをさせていた。
「ふわだよ」
ううん、そうじゃない。首を横に振って、もう一度言い直す。
「今のキヨちゃんは知らないかもしれないけど、私とキヨちゃんは――」
けれど、次の言葉が出なかった。それ以上、言えなかった。その代わり出てきた言葉は。
「怪我とか、しないでね! 怪我したらすぐに逃げてね!」
それだけを告げて、ふわはすぐさまその場に背を向けて、立ち去ってしまった。
「……ふわ……どこかで聞いたような」
キヨもまた、何かを思い出そうとするかのように、窓の外を見上げたのだった。
「ふわ、探したんでござるよ」
「あ、太助さん」
無事、太助とふわが合流を果たす。他にも戦いに向かう者達が次々と集まってきていた。太助はさっそく、ふわにお弁当の入った包みを渡して、幸せそうな笑みを見せていた。
それをそっと遠くで見守る者がいる。
ベスティア・ジェヴォーダン(二人だけの約束・f39599)だ。
彼女は自分の服のポケットから、そっとあるものを取り出した。
――古びた野球のボール。それは親友ともいえる仲間と自分のリボンとを交換して受け取った大切なものだった。
そのボールには文字が書かれていたのだが……長く大切に持ち歩く過程で、今ではかすれてしまって読めなくなってしまっている。
しばらくそのボールを撫でまわしていたが、元気が出たのか少し寂しげな笑みを浮かべて、ベスティアはそのボールをまた、大切そうに服の中へとしまい込んだ。
「……皆、そろそろ行く時間」
そうベスティアの時間を告げる言葉に、仲間達は顔を引き締めると、妬鬼姫のいる皇居へと向かったのだった。
◆ゾンビ達の行進曲
皇居にたどり着くと、そこにはかつてベスティアが潜入した時よりも遥かに多い数のゾンビ達がひしめき合っていた。
「ごめんなさいね。わたしが時空を司る感じの神なら、みんなをピョキーンって、妬鬼姫さんのところまで飛ばせるのだけど。わたしの神の権能でできることいったら、ふわさんが元気な赤ちゃん産めるようにするぐらいなのよねぇ」
そうすまなそうに声をかけてきたのは、アルフィンレーヌ・ティタンルミエール(ユルティムママン・f28065)だ。
「それだけでも十分だよ! ……えっと、また産むことになったら、そのときはよろしくお願いします」
思わず、ぺこりと頭を下げてお願いするふわ。きっとアルフィンレーヌに頼めば、前よりも安産になりそうな気配を感じる。
そんな二人を生暖かく見守りながら、せっせと拝領した八咫鏡をベルトで左腕に取り付けるのは、アルフィナーシャ・ミェーチ(美徳令嬢・f39600)だ。
「古来より、鏡には魔を払う力があるといいますの。この神鏡ならば、きっと、わたくしたちを守ってくれるに違いありませんの」
取り付けを終えて、辺りを見渡すアルフィナーシャ。
「それにしても……うんざりするほど、ゾンビがいますわね」
嫌そうに目の前のゾンビ達を覗き見る。目の前にはこれでもかと、有象無象に動いていくゾンビ達が決戦に向かう者達の行く手を阻んでいる。これらを蹴散らして向かう……というのも難しくはないが、そうなれば、妬鬼姫と戦う前にへばってしまう可能性がある。
「……やっぱ、ガッツーンと倒していくべき?」
愛用の超重量の両手槌を手に、アルフィンレーヌが前に出ようとするのを、ベスティアがやんわり止めた。
「皆、こっちに来る」
「ベスちん?」
「こっちから行けば、ゾンビを躱せる」
「なるほど! 通風口からいけば、正門からのゾンビを避けられるでござるな!」
「そゆこと」
太助の言葉にベスティアがこくりと頷く。
こうして、一行はベスティアが見つけた通風口を通って、妬鬼姫のいる奥の部屋へとたどり着いた。
皆、自身の力を温存したままで。
◆妬鬼姫の最期、再び
「はいはい、邪魔者はさくっと消えてねー!!」
ぶんと大きく槌を振り上げながら、ゾンビを薙ぎ払う。アルフィンレーヌは仲間達が妬鬼姫の元へたどり着けるよう、先に梅雨払いをしていた。
「ほらほら、今のうちに先に行ってー!!」
薙ぎ払うのに忙しくて、皆の顔は見えなかった。けれど、突き進む気配で分かった。
なら、やるべきことは一つ。
切り開いた道に更なる追い風を送るのみ。
「愛は命、愛は力。……愛の光にて、悲しき闇を撃つ」
アルフィンレーヌが放つのは|激烈羅舞羅舞破光撃《アムール・セ・ラヴィ》。ハート形の手をゾンビ達へと、妬鬼姫へと向けて、そのビームで相手の動きを封じるために放ったそれは、残念ながら、妬鬼姫には届かなかった。けれど、行く手を阻むゾンビは次々とその動きを止めて、彼らの道を開いて見せる。
「切り札があるとはいえ、相手は恐らく神格。侮ってはいけないわ。気を付けてね」
そう仲間達を見送った。自分は、アルフィンレーヌの役目は、このゾンビ達を抑えきることだけ。
「……ほう。あの死人を乗り越えて来るとはのう」
煙管を燻らせながら、妬鬼姫はその紅の瞳を細めた。
「まあいい。そんなに死に急ぎたいのなら、妾も本気を見せるとしよう」
煙管を鉈に変えて、妬鬼姫は起き上がる。
「さあ、来るが良い!!」
鉈を大きく振るい、敵を威嚇する。
小型のアサルトライフルで、妬鬼姫の周りにいるゾンビ達を殲滅させていくのは、アイだ。
「妬鬼姫さん、と仰るのでしたか……あなたの所業は、確かに多くの犠牲を出してきました。それでも、ぼくは貴女が愛おしい」
「ふっ……そんな豆鉄砲で妾を倒せるとでも……」
弾が切れたのを見て、今度は月詠に持ち替え、更なる追撃を掛ける。そう、これは前哨戦。これからが本番。
「それはっ!?」
「疾く、鋭く、愛おしく……!」
月詠を見て、表情を変える妬鬼姫に、アイは笑みを浮かべた。アイが放つは|L.O.V.E.Strafe《ラブストレイフ》。疾風の刃と愛の炎を纏う、述べ124回分の連撃を放っていく。
「己の目的の為に戦う姿。それは、どんな世界でも、誰であっても、美しく輝くものなのですから。つまりは……勝った方が正義、と言うやつです!」
「おのれ……その刃、どこで手に入れたっ!!」
そんな妬鬼姫の言葉には耳を傾けず、ただただ、アイは刃を交わすのみ。
(「これで三度目の会合……あの時より、はるかにわたくしたちは力を増している」)
アルフィナーシャは、鏡面を妬鬼姫へと差し向けながら、一撃を与える機会を窺っていた。
(「神器さえあれば易い相手……と、思えますが、油断は禁物ですの。彼の者が同じであるとは限りません」)
相手はリフレインで生み出された妬鬼姫なのだ。それに神器がなくては倒せない敵なのだ。
「今こそ、ミェーチ流銃剣術の真面目を示すとき! 死力を尽くして戦いますの! 天よ。ご照覧あれ!」
がきんと、鉈とアルフィナーシャのミェーチ式銃剣が交差する。そのまま、アルフィナーシャは銃剣での突きを辞めない。
それが、アルフィナーシャの魂を込めた|神速夢想突き《ヴィエーチヌイ・グラート》だ。
「くっ……たかが人間風情がっ!!」
最初は傷つけられなかったが、徐々に押されているのか、妬鬼姫にかすり傷が増えていった。
仲間達の勢いはとどまることを知らず。
駆ける、駆ける、駆ける……!!
「妬鬼姫っ!!」
標的をとらえ、鬼斬丸を握りしめるのは、ふわ。そのまま|真・鬼斬丸《シン・オニキリマル》を発動させ、鬼切丸と同化し、そのまま刃を妬鬼姫へと流れるように突き放った。
「……どうした、不和? 刃が止まっているぞ」
その妬鬼姫の言葉通り、その刃は妬鬼姫の首筋ギリギリでピタリと止まっていた。
「ころさないと、だめかな……」
ぽろりと零れるのは、一筋の美しき涙。
ふわは相手が倒すべき相手なのは、理解している。だがしかし……。
「一度は貴女を倒した。でもずっと後悔してた。貴女と、お母さんと家族になれる未来もあったんじゃないかって……」
妬鬼姫と同じ赤い瞳を向けながら、ふわは続ける。
「本当に、もうダメなんだよね? 家族には、なれないんだよね……?」
その言葉に妬鬼姫は、瞳を閉じて告げた。
「それはお主次第だ、不和。お主が求めるのならば、妾はお主の手を取ろう。不和、妾と共に来い!!」
広げる腕の中、ふわは迷う。願っていいのか、その新たな道を模索しながらも……。
――ガキィン!!
「ベスちん……っ!?」
「ふわ、ちゃんと見ろ!! これがお前の求める未来なのか!!」
ベスティアが間に入らなければ、ふわは死んでいた。妬鬼姫はああいいながら、ふわの命を狙って、鉈を振るっていたことを。
それでもふわの刃は動かない。いや、動かせなかったというのが本音だろう。
そんな迷いを払拭するかのように、力強い声が投げつけられた。
「迷うなふわ! 痛みは半分、それがしが!」
太助だ。前回、そのセリフを告げた者は、ここにはいない。けれど、そこには太助がいた。
ふわの愛する太助がふわの背中を後押しするかのように。ベスティアが間に合ったのも、太助の力、|大局を見る目《リフレイン・サイト》もあったからに他ならない。片目から血を流しながらも、太助は叫ぶ。
「例え両眼の光が潰えようとも! 決して皆の希望は消させぬ!! そのまま、一気にいくでござるよ、ふわ!!」
「はい、太助さんっ!!」
その二人の攻撃を後押しするかのように、遥か後方からアルフィンレーヌの一撃が放たれた。敵の動きを止める|激烈羅舞羅舞破光撃《アムール・セ・ラヴィ》だ。
「今です! みなで総攻撃を!」
アイの熱い月詠から放たれる連撃を。
「一撃でも良い、その体に傷を!」
鏡面を妬鬼姫に向けながら、銃剣を振るうアルフィナーシャ。
「あなたが、悔い改めるまで、突くのを止めない!」
そして、ふわと太助の二人の力が乗った鬼切丸の刃が妬鬼姫を激しく貫いていく。
「あああああああっ!!!」
そして、止めと言わんばかりに飛び込んでくるのは、ベスティアだ。
「くさなぎ。お前が世界を守る剣だというなら、それを証明してみろ!」
ざんと、ひと際重い斬撃が、横薙ぎに振るわれた。
「流石だ……英雄と言われるのも……納得だな……」
ごふりと、大量の血を吐きながら、妬鬼姫はゆっくりと倒れ込む。
「だが……それでも、妾は……」
そう告げて、妬鬼姫はその姿を消え失せた。神器と二つの刃が、目の前の鬼を討ったのだ。
それと同時に、そこまでいたゾンビ達が動きを鈍らせる。その合間にアルフィンレーヌが物凄い勢いのまま、殲滅させていった。
こうして、今回もまた無事に妬鬼姫を討ち果たすことが出来た。
「また、目覚めるのか?」
今はつかの間の平和が訪れているが……それも近いうちにまたリフレインによって繰り返されるのだろうとベスティアは、辺りを見渡す。
新たな糸口はまだ見えないが……それでも探す。
消えずに残った、鉈についた妬鬼姫の血。それを回収すると、そのまま持ち帰り……。
「……以前、見た時とほぼ同じものですね」
今の世界にいるグラウェルに、手渡し調査を依頼していた。
「ほぼ同じ?」
「ええ、ほぼ同じです……ただ」
「ただ?」
「いえ、見間違えでしょう。お疲れ様です、ベス」
そう労うグラウェルにベスティアは若干の違和感を覚えた。
グラウェルは思う。そう、これはただの見間違えだ。再び確認したときは、そんなものはなかったかのように、妬鬼姫の血はあった。
――そうありえない。顕微鏡で見た血が、|ダブるように《・・・・・》ノイズのようなものが走ったことなど、見間違えに違いない。
※妬鬼姫を撃破しました!
アイ:ライフルを使用する際は、再度、弾の用意をお願いします。カレンあたりにお願いするとすぐに補充が可能です。
太助:アイテム「勾玉」を獲得しました。このまま借りることも返すことも可能です。
ふわ:称号「キヨとの絆」「妬鬼姫への想い」を、アイテム「太助のお弁当」を獲得しました。
アルフィナーシャ:アイテム「八咫鏡」を獲得しました。このまま借りることも返すことも可能です。
アルフィンレーヌ:称号「安産祈願の神」を獲得しました。
ベスティア:称号「早く会いたい気持ち」を獲得しました。
※上記のリストの反映には時間がかかります。ご了承ください。また反映後はご確認をお願いします。
大成功
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