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暴飲悪食パラダイスロスト

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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「キキ……美味しいニャァ♪」

 むしゃ、ばり、ごくん――。

 仮面の少女は晩餐を楽しむ。
 今宵のディナーはキマイラの子供。
 煩く喚くから喉は潰して。逃げ回って面倒だから足は砕いて。
 頭から骨ごと、バリバリと食べる。

 でも、あチシは美食家だから。
 頭だけ食べればそれでジューブン☆

 むしゃ、ばり、ごくん――。
 むしゃ、ばり、ごくん――。

 足りナいニャァ。
 もっと沢山、食べタい、ニャ。

 少女の周囲は、子供たちの首無し死体で埋め尽くされていた。


「キマイラフューチャーにて、キマイラの子供たちが怪人によって『喰われる』――という予知を視た」
 そう告げたグリモア猟兵、ギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)の表情は、いつになく真剣なものだった。

「事件を起こす怪人の名は『悪食』――正確にはその『欠片』か。他者の頭部を執拗に狙い、喰らおうとする性質を持つタチの悪いオブリビオンだ。このまま彼の者を捨て置けば惨劇は避けられぬ。故に、今ここで一気に叩く必要がある」
 幸い、予知された事件の回避自体は簡単だ。
 その『悪食の欠片』を猟兵たちが倒せば良いという、至ってシンプルな構図。
「しかし、ただ戦いを挑むだけではダメだな。怪人は気紛れ。向こうの土俵に上がってやらねば気分を損ねて何処かへと逃げおおせてしまうだろう」
 そうなってしまえば、再び怪人の消息を掴むのは困難だ。
 猟兵たちの預かり知らぬところで事件が発生し、子供たちが喰われてしまう可能性もある。

「これから卿らを『悪食』の元へと送り込む。『悪食』は現在、プロモーション活動の真っ最中。そこに介入し【対決】する事で、『悪食』を挑発するのだ。公衆の面前で猟兵たちに敗北を喫しておいてそのまま逃げおおせる程、相手は利口ではない。後は戦って、打ち倒すのみ」
 ただし、戦闘へと持ち込んでも油断は禁物だ。
 すっかりネタ怪人に溢れ、あわや平和と見られがちなキマイラフューチャーだが。その中に於いて『悪食』の存在は異質と言っていい。
 【他者を喰らうこと】に特化したその能力は、他の怪人と比べても明らかに高い殺意を秘めている。
「多くの命が懸かった重大な作戦だ。いつも以上に気を引き締め、事にあたって欲しい」
 尤も、余計な心配だとは思うがな。
 ようやく少しの笑みを溢して、ギドは猟兵たちを【悪食の宴】へと送り込んだ。


まさひこ
 割とご無沙汰してました、まさひこです。
 キマイラフューチャー依頼ですが、(たぶん)シリアス枠です。
 お目に留まりましたらよろしくお願いします。

●注意点
 各章の冒頭に描写を挟む予定です。
 プレイングにも影響があるかと思いますので、読んでからのプレイング投稿を推奨します。

●1章:料理バトル
 基本的には作る方ではなく、食べる方のバトルです。
 ダメージを受けそうなくらいヤバイ料理を相手がギブするまで食べ合う競技です。
 PC側が食べたものを『悪食』も食べると言う形になります。
 【観客(住民)たちにウケる】【『悪食』を喰い負かす】あたりが目標です。

  ・ヤバそうなものを食べる。
  ・エクストリームな食べ方。
  ・派手なリアクション。
  ・ヤバそうな料理を作る。
  ・仲間の看護。

 など、思い付く限り好きなように挑んでください。
 料理内容・リアクションなど、お任せも歓迎です。

●2章:『???』
 何らかの、ヤバイものを食べるバトルです。
 詳細は2章冒頭で解説を挟みます。
 性質上、アドリブ描写が主体となりそうなので苦手な方はご注意下さい。

●3章:ボス戦『悪食の欠片』
 1~2章の内容により、強化・弱化など補正を加える可能性があります。
 ダイスボーナスは厳しく見るので、苦戦が出る事も多いかも知れません。

●その他
 今回は1日あたり、2~5件程度のペースでのリプレイ執筆を予定しています。
 よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『これで貴方をイチ殺☆美味死い料理バトル♪』

POW   :    豪快な漢のデスクッキング♪/気合いや肉体の頑強さで耐える

SPD   :    緻密で繊細なデスクッキング♪/手先の器用さを活かして食べたフリ

WIZ   :    レッツ☆アルケミークッキング♪/魔法を駆使した漫画的リアクション芸☆

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 さァ、始まりました!
 第一回『これで貴方をイチ殺☆美味死い(おいしい)料理バトル♪』!

 現チャンピオンこと、怪人『悪食』は鉄の胃袋を持つ女!
 どんなゲテモノだろうと毒物だろうとお構い無しに食べてしまうぞ!!

 果たして、彼女に打ち勝てる挑戦者は現われるのかァーーー!?
 
 
「キキ……ご飯も食べれテ、あチシの人気も鰻登り。シアワせだニャァ♪」
 
マグダレーナ・ナバスクェス
なるほどなるほど、こいつは強敵だね
戦いとなりゃあ話は簡単だけど、まずは相手の得意分野で勝負して引き込まなきゃいけないわけだ
ならアタシはスコヴィル値160億ハッカクキリンカレーで勝負だ!
刺激が強すぎて有毒も有毒だけど、これくらい危険じゃないと勝負にならないかもしれないだろ?
明日トイレと仲良しになる心の準備はできているか?
アタシはできている!

レディー、ゴーかrrrrっらい!!!
いた、痛い!
めちゃくちゃ痛い!
食いもんじゃねーよこれ!
口ン中ジュワーッって言ってるもん!
ひええ……
だけどかーちゃんが、子供に残さず食えって言ってるかーちゃんが出されたもんを残すわけにはいかない……!
あ”あ”あ”あ”あ”!!!




 挑戦者サイド、エントリーナンバーワン!

 幼女? いいや、経産婦。こう見えて六男四女の肝っ玉母ちゃん。マグダレーナァ・ナバスクェスゥゥゥゥ(戦母・f14131)!!

「へへ、どうもどうも!」
 笑顔で手を振りギャラリーの声援に応えるマグダレーナ。
 対する『悪食』の姿を見るなり、その実力を推し量る。
「なるほど、こいつは強敵だね」
 戦うだけなら話は早いが、まずは相手の得意分野で勝負して引き込まなきゃいけないと来た。
 圧倒的に不利な状況。
 しかし、マグダレーナにとってそんなものは日常茶飯事。
 どんな戦況にだって柔軟に対応して見せるのが、一流の傭兵というものだ。

「悪いが、初っ端から勝ちに行かせてもらうよ。――アタシはスコヴィル値160億、『ハッカクキリンカレー』で勝負だ!」

 マグダレーナの威勢のいい啖呵と共に、防護服を着込んだスタッフがクロッシュ(銀色の蓋)に加えてガラスケースによって密封された料理を運んでくる。

 厳重な警戒態勢の元、慎重に封を開かれる“それ”。

 ――『ハッカクキリンカレー』。

 それはキマイラフューチャー史に於いて、幾人ものフードファイターたちの命を断ったと言われる禁断の魔食。
 160億とも言われるスコヴィル値。かの有名な唐辛子、ハバネロでさえそのスコヴィル値は35万程度と言われている。
 つまり、あのカレーは単純計算でハバネロの4万5000倍くらい辛い! 辛いのだ!!
「刺激が強すぎて有毒も有毒だけど、これくらい危険じゃないと勝負にならないかもしれないだろ?」
 ふ、と得意げに鼻を鳴らすマグダレーナ。
「明日トイレと仲良しになる心の準備はできているか? アタシはできている!」
 その言葉は『悪食』に対する挑発だ。
「キキ、あチシにトイレなんて必要ニャァ。何故ならあチシは、老廃物だろうが毒素だろうが、なんだって消化しちゃうニ♪」
 キキキ、と笑って応える『悪食』。
「ハッ、口だけは達者だねぇ。後で吠え面かくんじゃないよ!」
「応ニャ!」

 睨み合う両者。そして今、試合開始のゴングが鳴り響く!

「レディー、ゴーかrrrrっらい!!!」
 ひとくち食べるなりあまりの辛さに噎せるマグダレーナ。堪らず水を飲むが、その水がまた辛さを引き立てる。
「いた、痛い! めちゃくちゃ痛い! 食いもんじゃねーよこれ! 口ン中ジュワーッって言ってるもん!」
 苦悶の表情を浮かべるマグダレーナ。その様子を見て大盛り上がりのギャラリーと、キキキと笑う『悪食』。
「大したことニャァですニャ~~♪ そんなんであチシに勝とうなんて100万年はやオエフッ!?」
 余裕綽々だった『悪食』だが、同じくハッカクキリンカレーをひとくち食べるなり盛大に噎せ返る。
「ほらー! 辛いって言ったーー!」
 無様に噎せ返る『悪食』の姿を見て、それ見たことかと呆れ返るマグダレーナ。

 しかし――。

(ひええ……どうしよ、これホントに食べるの?)
 心が折れそうになるマグダレーナ。
 しかし、それを寸でのところで支えるのは母としての矜持。
(かーちゃんが。子供に残さず食えって言ってるかーちゃんが、出されたもんを残すわけにはいかない……!)
 ひとりの猟兵である前に、ひとりの母として。
 マグダレーナは意を決し、再びカレーを口に運ぶ。
「あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
 全身が痙攣し、ヤバイ汗を掻くマグダレーナ。
 その傍らには、この世で最も愛した英雄の亡霊がひとりでに召喚されている。
「ダメだよ、アンタ……。これは、アタシの!! かーちゃんの戦いなんだ!!」

 うおおおおお! とハッカクキリンカレーを掻き込むマグダレーナ。
 そして見事に、完食!!

 ギャラリーからの拍手喝采、スタンディングオベーション!

 遅れること数分、『悪食』も苦戦しながらハッカクキリンカレーを完食した。

「ぐぬ、猟兵……なかなかやるニャァ」
「ハッ、猟兵じゃないよ。アタシの事はマムと呼びな、ひよっこ!」

 ファーストバトル、軍配は猟兵の側に上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

星磨・璃歩留
そこの食いしん坊怪人!そんなに鰻登りしたいなら、
させてあげようじゃあないか!
(指し堂々と啖呵を切り、注目を集めるのを忘れずに)

これを見ても余裕でいられるかなぁ?
(片手に持ったジョッキには、
蛍光カラーの電気ウナギの稚魚で満たされていて)
キマイラフューチャーの電気ウナギは稚魚でも億千万ボルトの高電圧、
鉄製の胃袋ならびりびりさぁ
電気ウナギ踊り食い行くよー

(一気飲み、と同時にUCでバリア展開、
鰻が胃に届く前に星屑へ還ると疑わず
実際はバリアの内側の出来事なので、どうなるやら)

怪人の胃袋が実際に鉄製なのか検証する目的も兼ねているのだ
それがわかれば、今後何らかの対策が出来るかもね!

※アドリブ絡み大歓迎です!




 挑戦者サイド、エントリーナンバーツー!
 電子の海のお掃除係、食べるのは不要なメモリだけじゃない。星磨ァァ・璃歩留ゥゥゥゥ(スターリーセイラー・f15306)!!

「いえーい! みんな見てるー!?」
 ピースサインでギャラリーに応える璃歩留。どんな時でもファンサービスを忘れない、それがキマフュっ子の嗜みだ。
「そこの食いしん坊怪人! そんなに鰻登りしたいなら、させてあげようじゃあないか!」
「ニャ?」
 璃歩留の言葉と共に再びスタッフが運んできたのは、蛍光色に光り輝くジョッキ。
 よく見ると中はウナギの稚魚によって満たされている。
「それが何だか分かるかい? それはね……キマイラフューチャー産電気ウナギさ!」

 ――キマイラフューチャー産電気ウナギ。
 それは稚魚でも1億数千万ボルトの高電圧持つと言われており、キマフュ危険魚ランキングでも上位に位置付けられるヤバイ魚だ。
 一般の電気ウナギが800ボルトくらいなので、その15万倍くらい危険なのだ!
 璃歩留はそれをあまつさえ、踊り食いしようと言う。
 踊り食いともあれば人体に直接電撃を喰らう事になる。一般の人間であれば1500ボルトの電圧で死に至ると言われているので、恐らくすごい危険だろう。

(それに、あの怪人の胃袋が、本当に鉄の胃袋だったら……)
 鉄は電気をよく通すはず。ならば電気ウナギの電気も、より強力に響く――璃歩留はそう考えた。

 不敵な笑みを浮かべ、互いに睨み合う両者。
 そして試合開始のゴングが鳴る!

「行っくよー!!」
 ジョッキを抱え、勢い良く電気ウナギを飲み干しに掛かる璃歩留。
 と、同時に――。
(『$ planet_fw/.sh』発動……!)
 『$ planet_fw/.sh(シェルスクリプト・プラネットファイアウォール)』。それは全身を包む惑星型バリアを展開し、触れるものを星屑に変えるという璃歩留のユーベルコード。

 つまり胃に届く頃には、ウナギは星屑へと還る筈――、

 だったのだが。

「……ッびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
 全身に電流が走り、マンガかアニメのように中の骨が透けて見える璃歩留。
 如何な無敵のファイアウォールとは言え、内部からの接触には脆弱であった!
「キキ、情けないニャァ♪ あチシもちょうど喉が乾いテたシ、ちょーどいいニャァ!」
 異形の腕で器用にジョッキを掴んで、グビグビと電気ウナギを飲み干す『悪食』。

「……んん"ニ"ャニ"ャニャニャニャニャーッ!!!」
 『悪食』もまた、璃歩留と全く同じように電流で痺れ始めた!
 『悪食』の胃袋が本当に鋼鉄製かどうかは分からない。分からないが、普通の胃袋でも鉄の胃袋でも、どちらも電気は通る……それは間違いないようだ!

 ぷすぷす、と黒い煙を立ち上らせながら暫し沈黙する両者。
 しかしながら両者の見事な踊り飲みっぷりに、観客達は盛大な拍手を送る。

「あふん……、私とした事が思わぬ誤算を……」
「うぐぐ、けどあチシの本領はここからニャァ……!」

 セカンドバトル、ドロー!

 『悪食』の胃袋の容量、そして耐久性は測り知れない。
 しかし、着実にダメージは与えている。

 喰らえよ猟兵。勝利を目指し、ひたすらデスグルメを喰らい続けるのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
その健啖ぶり、実に素敵であるぞ!
ならここで邪神たる妾が参戦するのも当然であろう?

普段からあまり噛まず丸呑みする方であるからな
味がマズかろうが別にそう気にせんよ
ゲテモノでもどんどん来るがよい!

……馬鹿な、野菜サラダのボウル盛りだと!?
妾のプロフに緑黄色野菜系は苦手と書いてあるだろうに、謀りおったな!
うーむ……トマト、ニンジン……

ならば奥の手よ、生配信の観客もこの場の観客も、妾に応援という名の信仰を!(声援やら手拍子を要求)
はーっはっはっは! 力がみなぎってきたぞ!
おお、なんだ美味いではないか! 今まで毛嫌いしていた妾の愚かさを許せ!


……まあ実は吐きそうだしマジで泣きそうだがな
全力で我慢よ!

%




 エントリーナンバー、スリー!
 水面下で人気急上昇中の邪神系ストリーマー、チャンネル登録大歓迎。御形ゥゥゥ・菘ァァァ(邪神様のお通りだ・f12350)!!

「はーっはっはっは! いざ往かん、妾の覇道を!」
 菘はビシッ、と撮影用ドローンに向けてポーズを決めながらお決まりのセリフ。『これで貴方をイチ殺☆美味死い料理バトル♪【菘視点】』の動画配信をスタートする。

「その健啖ぶり、実に素敵であるぞ! ならここで邪神たる妾が参戦するのも当然であろう?」
 そう言って不敵に笑う菘。
 爬虫類の遺伝子を多く持つキマイラである菘は、普段から食事はあまり噛まずに丸呑みするタイプ。味がマズかろうが然程気にならない。量だってそれなりに食べれる自信がある。
 故に、負ける気はしない。
「はっはっは! ゲテモノでも何でも、どんどん来るがよい!」
 そんな高らかな宣言と共にスタッフが料理を運んでくる。

 菘と『悪食』、ふたりの前に運ばれてきた料理は――なんと!

 『野菜サラダ(ボウル盛り)』だ!!

「…………」
「……ニャァ?」

 沈黙するふたり、そして観客達。
 菘の配信では「草」「草で草」などのコメントが流れている。

「……馬鹿な、野菜サラダのボウル盛りだと!?」
 しかし、菘は存外真面目に深刻そうな表情で野菜サラダを見つめていた。

「妾のプロフに緑黄色野菜系は苦手と書いてあるだろうに、謀りおったな!?」
 菘は料理を運んできたスタッフに対してクレームを付けるも、スタッフは静かに首を振っている。

「トマト、ニンジン……それにこれは! ピー、マン……だと……!? 巫山戯るな! 母上でもこんな仕打ち!!」
 菘は、ぐおおおお!と苦悶の表情を浮かべた。

(しかし、これほどの生野菜……『悪食』とて無事では……)
 そう考えた菘は、ちらりと『悪食』の様子を窺う。

「ご馳走さまニャァ☆」
「なん、だとォ……!?」
 一方の『悪食』は、ペロリと野菜サラダを平らげていた。

「流石はオブリビオン、何という豪の者。あれ程の野菜を一気に摂取しておいて顔色ひとつ変えぬとは……」
 『悪食』の想像以上の健啖っぷりに、菘は思わず汗を拭う。

「だが、妾にも……背負うものがあるのだ!!」

 配信者となることを、両親に反対された事もあった。
 生配信で全然視聴者が集まらず、上手く会話も繋げずに苦しい思いをした事もあった。
 キャラ作りがネタ過ぎたかと、他の正統派な配信者さんを見て落ち込んだ日もあった。
 しかし。
 『妾』はひとりではない。
 『妾』の傍には、いつも見守り、応援してくれているファンがいる。

 生配信をいつも見に来てくれるファン。
 生配信は来れずとも、コメントをくれるファン。
 いいね!や拡散をしてくれるファン。

 『御形・菘』は。
 多くのファンに支えられてこそ、此処に在る――!

「おおおおおおおォォォォッッ!!」
 菘はスタッフから生の緑黄色野菜を奪い取ると、その場でスライサーでスライスし、自身のサラダに追加で盛り始める。
 こんもりと積み上げられたパプリカやピーマン、きゅうりにトマトにニンジン。

「妾はこのサラダを――ドレッシングさえ使わずに食してみせるぞ!! さぁ観客どもよ、妾に応援という名の信仰を!」
 バッ、と両手を掲げて観客たちの声援や手拍子を煽る菘。
 その様子に観客たちは心を奪われ、一体となり菘に声援が投げ掛けられる。

『邪神さま頑張ってー!』
『野菜たべてー!』
『好き嫌い無くすの偉い!!』
『なずな様がんばえーーー』

 ファンの声援は菘の力となり、そして勇気へと変わる。

「はーっはっはっは! 力がみなぎってきたぞ! ――いざ、往かん!!」
 ワシャワシャ!と野菜ボウルを掻き込む菘。

「ウフ、ゴフッ……!」
 つらい、くるしい。おいしくない。
 丸呑みにするつもりなのに、苦手意識が先行してしまい丸呑みに出来ない。
 なかなか喉を通らず、口の中で咀嚼し、頑張って少しずつ飲み込んでいく。

 だがダメだ。あまり苦しいところを見せすぎても、今度はファンに引かれてしまう。
 私は菘。御形・菘。真の蛇神にして邪神、御形・菘様だ!!

 菘は決意を固め、残りのサラダも一気に掻き込み、そして呑み干す。

「おお、なんだ美味いではないか! 今まで毛嫌いしていた妾の愚かさを許せ!」
 ぷるぷると震えながらも、邪神様としての矜持を崩さない。
 恐らく熱心なファンには、それが痩せ我慢であることは伝わっているだろう。
 だが、ファンたちは菘のそんな一生懸命な、直向きな姿にも惹かれているのだ。

 サードバトル、ドロー!

 結果は引き分け。しかしこの試合を経て、菘のファンは30人くらい増えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リゥ・ズゥ
アドリブ、他PCとの絡み等全般歓迎

食べれば、良いのか。なら、リゥ・ズゥは、得意、だ。
あるだけ、持って、来い。いくらでも、喰らい尽くす、ぞ。

(POWで挑戦。流動体の身体を1つの巨大な口へと変えて、運ばれる料理を片っ端から飲み込み全身で消化して食べまくります。
料理は食器や串、包み紙ごと、飲み物も缶やペットボトルごと飲み込み、綺麗なお皿や限界まで潰された空き容器だけ吐き出し処分します。
全身が歯であり舌であり胃袋であり手でもある特殊な身体を最大限に活かし、どんな食事が来ても残さず食べます。
ちなみに今の所一番の好物はハンバーガーです。)


ヴィクティム・ウィンターミュート
%

俺に飯は作れない。だが料理は科学と言うだろ?科学だったら俺でもできらぁ!!!というわけで、俺が作るのは20種の猛毒をふんだんに使った、その名も『ヴェノムチーズフォンデュ』
サイケデリックな色合いになったチーズを具につけて食してもらう。
もちろんほんの心遣いに具にも毒を浸してあるぞ!!
これならめんどくせえ料理の行程も必要ねぇ!!チーズ用意して具を切るだけ!簡単!料理is科学!

さて、食わなきゃいけないわけだが…。ユーベルコードによる防御障壁を使って、口から食堂までをぴったり覆う。途中で食ったものを引っかけるようにポケットを創れば完璧。
ちゃんと食ってるように見せて、終わった後でぺってすれば終わり!




 エントリーナンバー、フォー!
 自称・世界最強の端役、お前がステーキなら俺はポテトだ。ヴィクティムゥゥゥ・ウィンタァァミュゥゥゥゥト(impulse of Arsene・f01172)!!

                アーンド!

 あいつは誰だ!? 黒い、そして強い! 謎の黒光り生命体。リゥゥゥ・ズゥゥゥゥッ(惣昏色・f00303)!!

 今度の挑戦者はタッグで試合に参戦だァ!

「へへっ。よろしく頼むぜ、相棒(チューマ)」
「リゥ・ズゥは、食べることならば、得意、だ。あるだけ、持って、来い。いくらでも、喰らい尽くす、ぞ」
「っしゃあ、任せとけ!!」

 そう言ってステージへと上がったヴィクテムの前に運ばれてきたのは、料理ではなく調理台。
 ヴィクテム&リゥ・ズゥ。彼らのうちヴィクテムが料理を担当し、リゥ・ズゥが食事を担当する。

 当初、ヴィクテムは自身で料理をした上で自身が料理を喰らい、料理のダメージをユーベルコードによって無効化するという作戦を取るつもりで居た。
 しかし、それでは『客受け』が良くないのだ。
 キマイラフューチャーの住民たちは、こういった娯楽には目が肥えている。半端な演技、偽りのリアクションでは彼らの心を揺さぶる事は困難。
 美味死い料理バトル――それは単に料理を喰らうだけでなく、その料理を喰らった上でのリアクション、困難なハードルを乗り越えていくという『ドラマ性』が求められる競技なのだ。
「いいんだな、リゥ・ズゥ。手加減はしねえぞ?」
「任せて、おけ。リゥ・ズゥの、言葉に。二言は、無い」
 リゥ・ズゥの赤い瞳(のように見える器官)が笑っているかのように弧を描く。
 心配は無用。好きにやれ、と。ヴィクテムを焚き付けるように。
「オーケイ、後悔すんなよ? んじゃ、クッキング――スタートだ!」
 ヴィクテムは紫に輝く電脳ゴーグルをその目に装着すると、いよいよ調理へと取り掛かった。

「俺に飯は作れない。だが料理は科学と言うだろ? 科学だったら俺でもできらぁ!!!」
 そうやって吠えたヴィクテムの目の前には、その『科学』という言葉が指し示す通りに色とりどりの試験管やフラスコが並んでいる。
 その一つ一つが劇薬。一歩間違えればその場で大惨事を起こしかねないような危険物を前に、ヴィクテムはその分量・温度を繊細に調整しながら料理を『調合』していく。
 彼のゴーグルには今、それぞれの毒物や食材の状態に関する膨大な量のデータが映され、最適な調理法が演算され続けている事だろう。
 鍋にキマイラフューチャーのスイスっぽい地方で職人によりコンコンされた3種のチーズを白ワインと共にゆっくりと溶かす。そこに加えられるのは、調合したての猛毒の数々。その種類は20種にも及ぶ。

「出来たぜ! これが俺の――『ヴェノムチーズフォンデュ』だ!!」

 クツクツと煮えるサイケデリックな色のチーズ。しかし不思議と香りは良い。それは毒素が一切気化しておらず、チーズによって繋がれた状態である事を示していた。

「チーズだけじゃねえ、ほんの心遣いに具にも毒を浸してあるぞ」
 完成したチーズと具材が、リゥ・ズゥと『悪食』の前へと運ばれる。
「これが、チーズ、フォンデュ……か」
「キキ、美味そうニャァ♪」
 料理を前に舌舐めずりをするふたり。

「じゃあ先にあチシが頂くニャァ~~!」
 パンにチーズを付けて、はぐ、と齧りつく『悪食』。
「!!!!!」
 ひとくち、口に入れた瞬間。その動きが固まった。
「こいつは……なかなかのパンチの強さニャァ……」
 口いっぱいに広がる猛毒の風味。それは百戦錬磨の『悪食』をもってしても攻略は容易ではない。

 対するリゥ・ズゥ。
「いただ、こう」
 ズズ、とその身体が変形を始めて。身体全体が巨大なひとつの口へと姿を変えた。
 全身が歯であり舌であり胃袋であり手でもある特殊な身体――今のリゥ・ズゥは、全てが『食』に特化している。
 その口は大きく広がると、そのままずぷりとチーズフォンデュ、及び付ける具材ごとすべて。鍋も皿も全てひっくるめて丸ごと飲み込んでしまった!

 ムシャ……ムシャ……

「うむ。これは、なかなか、美味――!?」
 調子良く喰らっていたリゥ・ズゥだが、その動きが止まる。
 真っ黒だった彼の身体が、その端から徐々にサイケデリックな色へと染まっていく。
「ゴ、ガボ……、馬鹿……な……」
「リゥ・ズゥ!?」
 あまりに強力な毒素は、リゥ・ズゥの許容量すら超えていた。
 しかしそれでもリゥ・ズゥは食べることを辞めない。
「くっ、今すぐカウンタープログラムを……!」
 ヴィクテムは咄嗟にリゥ・ズゥのサポートに回ろうとするが、それをリゥ・ズゥ自身が制止する。
「……不要、だ。今の、ヴィクテムは、料理、人。この、苦しみ、は。ヴィクテムの、仕事が、一流で、あった事の、証左。ならば、リゥ・ズゥも、リゥ・ズゥの、仕事を、果たす……のみ」
 すぐに吐き出す事もできた。だがそうしなかったのは、彼の『喰らうもの』としての矜持だろうか。
 ぴょい、ぴょいと少しずつリゥ・ズゥの中から放り出されていく食器の類。
 それはリゥ・ズゥが徐々に、少しずつではあるがその毒を、チーズフォンデュを平らげていく。

「完食……だ……」
 最後に空になったチーズの鍋が放り出されて、全身をカラフルに染めながらリゥ・ズゥはその場で意識を失った。
 割れんばかりの会場の喝采。即座にリゥ・ズゥは医務室へと運ばれていく。

 サードバトル、勝者はヴィクテム&リゥ・ズゥ!

 究極の調理と究極の消化器官、ふたつ揃って掴んだ見事な勝利だった。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

祷・敬夢
%
キマイラフューチャーは娯楽の世界!
この最高にカッコイイ俺様がこの悪趣味な舞台を盛り上げてやろうではないか!

まず、ここにいる観客たちに何を食ってほしいかのアンケートを取る!
そのアンケを元に何を食うか決めるのだ!
客が参加できる企画にしつつ、客の期待を受け止めてやるという作戦だ!
もちろん、何が来ても食ってやろう!俺様は最強で最高のバトルゲーマー、勝負には勝つからなッ!

あとは、客やオブリビオンを煽りに煽って、場を盛り上げておこうか
それと、俺は口直しも途中で水分も摂らないことを誓おう!
不利な状況でも勝つことで俺様の最強さが伝わるだろう?
まあ、俺のユーベルコードで食道や消化器官を強化するためでもあるが




 エントリーナンバー、ファイブ!
 ゲーム界が生んだ貴公子、クールな見た目とは裏腹な熱いプレイングを今日も魅せる。祷ィィィ・敬ィィィ夢ゥゥゥゥ!!(プレイ・ゲーム・f03234)

「ハーッハッハ! ゲームだろうと大食いだろうと悪食だろうと、この俺様に敗北などあり得ない。宣言しておこう。俺はこの試合――口直しもしなければ、途中で水分も摂らないと!!」
 敬夢の掲げた宣誓に、会場は大いに盛り上がりを見せる。
 だが敬夢のマイクパフォーマンスはまだ終わらない。
「そして! 皆にアンケートを取ろうと思う。そのアンケートを元に、俺様と『悪食』が何を食うか決めるのだ!」
 ざわめき出す会場。
 観客も参加できる企画にしつつ、その期待を受け止めてやるというのが敬夢の作戦であった。
「もちろん、何が来ても食ってやろう! 俺様は最強で最高のバトルゲーマー、勝負には勝つからなッ!」
 ふはは、と笑う敬夢。

 かくして、その場でアンケートが開始される。
 流石にキマイラフューチャーともあって、この手のシステムは現代(UDCアース)と比べて進歩している。
 特にトラブルもなく速やかにアンケートが行なわれ、その結果はこうなった。

   1位:激辛カップやきそば   XXXX票
   2位:ミミズ踊り食い     XXXX票
   3位:いがぐり(丸かじり)   XXX票
   4位:核廃棄物         XX票
   5位:まきびし         XX票

「なるほど、激辛カップ焼きそばか。何やら普通すぎて興醒め――ん?」
 運ばれてきた焼きそばのパッケージにはこう書かれていた。

 ――『ハッカクキリン焼きそば ~MAXジ・エンド~』

「こ、これは……!?」
 そう、カップ焼きそばと言えどただ市販されている激辛焼きそばを用意したわけではない。
 今回の大会の為にメーカーと協賛し、研究を重ねて開発された超激辛カップ焼きそば……それが『ハッカクキリン焼きそば ~MAXジ・エンド~』だ。
 開発に携わった試食スタッフは、今も病院で療養中らしい。

「なるほど。つまり最初の試合で少女が食していたあのカレー……アレと同等以上の辛さを持つと。そういう訳だな!?」
 恐らく、めちゃめちゃ辛い。
 しかしゲーマーにとって、逆境こそが最高のスパイス。
 どんなグルメであろうと、攻略して見せる……!

 お湯を注いで3分。
 湯切りの時点で何かもう鼻や目が痛くなる。
 そしてソースを混ぜ、特製シーズニングを振りかけて完成だ。

 完成したのは、毒々しいまでに赤い焼きそば。

「何という赤さ、そして食べる前から伝わってくる辛さ……だが! それに臆する祷・敬夢では、無いッッッ!!」
 勝負開始のゴングと共に、焼きそばを啜る敬夢。
「あっ、ゴッ……えふんッ!!」
 辛さが気管を刺激し、噎せ返る敬夢。水を飲んで呼吸を整えたいところだが、今回は自らそれを封じている。
 まだまともに食したわけではないというのに、既に口がひりひりと痛む。
「おおおおッ、なんの! この程度の焼きそば……ッッ!!」
 敬夢は焼きそばを大胆に箸で掴むと、そのまま口の中へと放り込んだ!
 
 
 ~電子の海~

「うっ、ここは……」
 敬夢が目覚めると、そこは何かデジタルなオブジェクトがあちこち浮かんでいる電子っぽい空間だった。
 電子の海――それはバーチャルキャラクターが生み出されたと言われる、すべての電子存在の故郷のような場所(推定)。
「そうか……俺は死んだのか」
 敬夢は何となく察していた。自分があの試合中に、命を落としたのだと。
 悔しくないと言われれば嘘になる。
 しかし、試合の中で死ねたのなら、それはゲーマーとして本懐かも知れない、と。
 そう思っていたところに――。

「情けないぜ、祷・敬夢! それでもお前は俺のライバルかよ!」
「……! お前は! あの時あのゲームで戦った、ライバルのアイツ!!」

「ふふ、焼きそばで死ぬだなんて敬夢にはお似合いの最期でしてよ!」
「キミはツンデレお嬢様で事ある毎に俺に突っかかってきたあの子!」

「敬夢よ、ゲームとは心。ゲームとは夢じゃ……」
「ゲーム仙人まで……!!」

 敬夢が今まで歩んできたゲーマー人生の中で接してきたあらゆる人間たちが、その魂を奮い立たせる。

「そうだな。俺は……俺様は! まだこんなところじゃ、死ねない……ッ!」

 ~~~
 
 
「……!!」
 寸でのところで意識を取り戻す敬夢。
 敬夢は口に焼きそばを含んだまま、そのまま気絶していたようだ。
「あっ、がっ……辛ッ……んぐ、おごおおおッッ!」
 ゲーマーとして。今まで数多のライバルを破ってきた祷・敬夢として。無様な姿は見せられない。
 敬夢は口を真っ赤には腫らし、目を血走らせながらも懸命にハッカクキリン焼きそばを食していく。

「完……食だァ……ッ!!」

 天高く、空となった焼きそばの容器を突き上げて。
 観客たちの声援が敬夢を包み込んだ。

 フィフスバトル。勝者、祷・敬夢。
 最強のバトルゲーマーの名に恥じぬ、見事な戦い振りだった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼汁之人・ごにゃーぽさん
のうっこう♪蒼っ汁ー♪
青汁ではない、蒼汁(アジュール)なのだ、OK?
チェレンコフ光の如き蒼い輝き放ってるけど、ポーションだから健康に害のあるものでは無いのだよ?

蒼汁をパイ生地に混ぜ込みスターゲイザーパイマウンテンを創るよ☆
気絶を防ぎ、狂気に至るのを防ぎ、魂が抜け出るのを防ぐ呪詛も練り込んでね☆
ニシンもごすなり様特製蒼汁に漬け込んだ特別製さ☆
そう、ごにゃーぽ神☆ごすなり様特製の蒼汁さ、だから、味覚がどうでアレ対象がもっとも苦しむ味を魂に直接刻みこんでくるよ♪
そして、いーとみぃと鳴きながら組体操みたいに山のように罪上がったスターゲイザーパイが完成しました☆


シリアスブレイカーで爆発四散してリポップ




 エントリーナンバー、シックス!
 小さな身体に大きな狂気、生かさず殺さず苦しめる蒼汁の味わい。蒼汁之人ォォォ・ごにゃァァァぽォォォォ(戦慄の蒼汁(アジュール)・f10447)!!

「のうっこう♪ 蒼っ汁ー♪ 青汁ではない、蒼汁(アジュール)なのだ、OK?」
 カメラに向かって宣伝?をする、ごにゃーぽ。
 彼女の掲げる光り輝く蒼汁は、彼女曰くポーションだから健康に害のあるものでは無い(らしい)。
 ただし、その味は一度飲んだら忘れられないほど、狂気的に不味いと言われている。
 そんな彼女が用意する料理も、当然この『蒼汁』をふんだんに用いたものだ。

「そんな訳で、蒼汁をパイ生地に混ぜ込みスターゲイザーパイマウンテンを創るよ☆」
 特製の蒼汁発酵バターをパイ生地に幾重にも練り込み。そこに気絶耐性の呪詛、狂気耐性の呪詛を練り込んでいくのも忘れない。
 具材となるニシンも、昨晩から蒼汁でマリネして冷蔵庫で寝かせてある。
 使用している蒼汁は、全てが『ごにゃーぽ神☆ごすなり様』特製のもの。蒼汁の権能を操る偉大な神であるからして、その蒼汁の苦さもより狂気的なものらしい。

 にんにくに玉ねぎ、ベーコンを炒めて、マッシュポテトを加えて……隠し味の蒼汁が全てを台無しにしながら、蒼汁に漬け込んだニシンを並べて、パイ生地で蓋をする。
「そして完成品がこちら☆」
 組体操のように積み上がったスターゲイザーパイ。そのニシン、1匹1匹がパクパクと口を開けたり閉めたりしている。
 蒼汁がポーションとして強力な力を持つのは確かなようで、一晩漬け込まれてもオーブンで焼かれても、ニシンの生命力は全く衰えていないようだ。
「ニャァ♪ 美味しソうニャァ♪」
「おお。話が分かるじゃないか、キミ」
 意気投合をするふたり。
 そして鳴り響く試合開始のゴングと共に、まずは『悪食』がスターゲイザーパイへと口を付けた。
「それじゃ、いただきま――ぐニャァ!!」
 ひとくち食べるなり、あまりの不味さにのたうち回る『悪食』。

「ふふ、どうだい。ごにゃーぽ神☆ごすなり様特製の蒼汁――味覚がどうでアレ対象がもっとも苦しむ味を魂に直接刻みこんでくるよ♪」
「うう……めちゃめちゃ不味いニャァ……」
 もそ、もそ……と少しずつ食べ進める『悪食』。
 しかも恐ろしいことに、パイが冷めれば冷めるほどにその不味さは加速していく。

 だが、最強に不味いパイを作り上げたところで、ひとつ問題があった。
 それをごにゃーぽ自身も食さねばならぬのだ。

「ふふ、大丈夫。ボクもばっちりと食べさせてもら――グハァ!!」
 ごにゃーぽは一口パイを食べるなり、その場で爆発四散した。ごにゃーぽのユーベルコード、『シリアスブレイカー』の効果である。
 ごにゃーぽはこの冒涜的な料理のマズさを、ギャグ補正によって乗り切ったのだ。

 ――しかし。

『ええー……、挑戦者が爆発してしまった為、この勝負、勝者はチャンピオン側となります!』

 会場に響くアナウンス。
 第六試合は、『悪食』の勝利として幕を閉じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

宇冠・龍
由(f01211)と参加

「悪食……欠片、ですか。姿形は違えど、その邪悪さは似ています」
子供たちが食べられる事態だけは何としてでも阻止しなければなりません
これ以上、新しい犠牲を生まないためにも

「料理は作るのは得意ですが、食べるとなると……そうです」
【談天雕竜】を使用し、百体の悪霊を、銀食器と共に召喚
私は料理をひたすら作る側に回り、悪霊たちに百人分代わりに食してもらいます
作る料理は「呪詛もりもりの手羽先~闇属性攻撃を添えて~」

頭を喰らう偏食家の悪食の欠片なら、手羽先はそこまで意欲的な食べ物でないはず
そして亡霊なら呪詛や闇に強いでしょう
「幽霊相手に創作料理は初めてですが、美味しく作れたかしら?」


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

「くっ……! 私達家族の怨敵がすぐそこにいるというのに……!」
ここは郷に入っては郷に従えです。戦前の腹ごなしと思いましょう

身体が大きければ入る量も比例して大きくなる。それは自然の摂理です。ですので【七草仏ノ座】で10Mの姿になって、料理を頂きますの

しかしお嬢様たるもの、いかなる場合もテーブルマナーは忘れず……普通の料理は非常に食べ辛いですわ

「仕方ありません」
ここはUDCアースにて作られるという「131フィートのピザ」を頂きましょう
これなら手づかみでも違和感なくいけますし、私の身体炎ですので、食べた先からカロリーは燃焼しますの……しますの!(乙女の誇り)




 エントリーナンバーセブン!
 美しき竜の未亡人、その家庭料理がどこまでデスクッキングに通じるのか。宇冠ィィィ・龍ゥゥゥゥ(過去に生きる未亡人・f00173)!!

             アーンド!

 普段は可愛らしいリスさんマスク、しかしその実態は荒れ狂う炎の魔人。宇冠ィィィ・由ゥゥゥゥ(宙に浮く焔盾・f01211)!!

 なんと今回は、親子でタッグを組んでの参戦だァ!!

 親子ふたりはアナウンスに対して会釈をしながらも、対戦相手――『悪食』を睨みつける。
 一方の悪食はと言えば、ふたりを見ても首を傾げるだけで何も心当たりがない、といった様子だが……。
「悪食……欠片、ですか。姿形は違えど、その邪悪さは似ています」
「くっ……! 私達家族の怨敵がすぐそこにいるというのに……!」
 かつてふたりの目の前で、龍の夫を貪り喰らったという怨敵。その欠片。
 オブリビオンである以上、その存在も必ずしも連続性が在るわけではなく、ある意味でふたりの仇とは全く別の存在だと言えるかも知れない。

 だが――、

(子供たちが食べられる事態だけは何としてでも阻止しなければなりません)
 これ以上、新しい犠牲を生まないためにも。
 龍の決意は固い。
 しかし業腹ながら、まずは相手のフィールドで戦わなければならない。

「まずは私が相手をしますわ!」
 母を制し、先に一歩前へと出たのは由。
 郷に入っては郷に従え。戦前の腹ごなしと思いながら、由は気持ちを切り替えた。
 由はユーベルコード『七草仏ノ座』を使用し、10メートルの炎の鬼人へと転身する。
「ふふ、身体が大きければ入る量も比例して大きくなる。それは自然の摂理です!」
 どうだ、と胸を張る由。
 そして用意された料理は、UDCアースにて作られるという『131フィート(約40メートル)のピザ』。
 それをスタッフが特注で再現したものだ。
「お嬢様たるもの、いかなる場合もテーブルマナーは忘れず……普通の料理は非常に食べ辛い。しかしピザならば! 手づかみでも違和感なくいけますの!」
 ピザと言えば高カロリーなのが気になるところ。しかしそのカロリーすら、炎の身体で燃焼する。いや、してみせる!(乙女の誇り)

 由と『悪食』の前に焼きたての美味しそうな巨大ピザが並べられる。
「それじゃ、いただきま――」
 食べようとしたところで、ピピー!と鳴り響くホイッスル。
 そして走り込んでくるスタッフ。

『おおっと、これはどうやらデスグルメ委員会からのクレームが入ったようです!』
 この試合の趣旨は大食いバトルではなく、『グルメでダメージを負いながら殴り合う』というもの。
 つまり、普通に美味しい料理を食べるだけではいけないのだ!

 スタッフにより、ふたりのピザにペッパーソース(市販)が振りかけられる。

「そ、そんな……私のピザが……」
 ほんのり辛口となったピザを前に膝を付く由。
「ですが、負けないですわ! 見ていて下さい、お母様!!」
 試合開始のゴングと共に、由はピザに齧りつく。
「か、辛~~~い! ですわ!!」
 文字通り口から火を吐き、会場を沸かせる由。
 辛い、でもおいしい。まだ頑張れる。
 由は懸命に辛さに耐えながらピザをどんどん食べ進めていく。
「はぁはぁ、どうですの!? 食べきりましたわ!!」
 マスクにピザソースを付けながらもピザを完食した由。
 しかし、完食しているのは『悪食』も同じ。

「よく頑張りましたね、由。ここからは私が引き継ぎます」
 そう言ってバトンタッチをして前に出た龍。
 龍はその料理のスキルを生かし、手製の呪詛料理で『悪食』へと挑む。
 料理は愛情、その真逆。
 作りながらも憎しみを、恨みを、怨念を込めて丹念に作り上げた『呪詛もりもりの手羽先~闇属性攻撃を添えて~』。
 頭を喰らう偏食家の悪食の欠片なら、手羽先はそこまで意欲的な食べ物でないはず。そして。
「私は料理を作るのは得意ですが、食べるとなると……ですので」
 ユーベルコード『談天雕竜』によって呼び出された、100にも及ぶ死霊。死霊たちであれば、量も食べれるし呪詛や闇にも強いはず。

 さぁ、死霊たちよ。一斉に手羽先を食べ尽くしなさい――と、号令しようとしたところで。
 再び鳴り響くデスグルメ委員会のホイッスル。
『おおっと、再び審査が入りました。これはどうやら……死霊による食事は本人の食事として認められない、という判定のようです!』
 召喚されたばかりで、すごすごと退場を促される死霊たち。折角なのでそのまま応援席へと居座る。

「くっ、そんな……ですが仕方ありません。そうであれば、私自身が手羽先をいただくまで」
 龍は自身が用意した手羽先を前に、息を飲む。あらんばかりに呪詛を込めた手羽先。自分で食べて、無事で居られるか……。
「ファイトですわ、お母様!!」
「……! ……!!」
 龍に声援を送る由と死霊たち。
「ええ、ありがとう。そうですね、こんなところで怯んでいては……私は逃げません。己の呪詛さえも、乗り越えてみせます」
 はぐ、と齧りついた手羽先から溢れ出る肉汁と呪詛。
(これは意外と……行ける!)
 龍の呪詛は、強く『悪食』に対して向けられたもの。対戦相手、『悪食』の方は食べながらも苦しんでいるようだが、龍に対してはその効果は幾分薄れている。(それでも、かなりの負担は強いられるのだが)
 少しずつ、呼吸を整えながら。由や死霊、観客たちの声援を頼りに手羽先を食べ進める。

 そして見事に、完食!
 第七試合。勝者、猟兵サイド!!

(『悪食の欠片』。お前を倒すためであれば、私はいくらでもこの身を削ってみせましょう)
 悲劇は繰り返さぬという決意。
 それこそが宇冠・龍の戦場に立ち続ける理由だった。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

パーム・アンテルシオ
%

怪人が、すごく平和な敵に見える…
…認識が、甘かった。そう、思い知らされる話だよね。
この怪人だけは、止めないと。人の…みんなのために。

●SPD
とは言っても、食べる事に関しては、得意でも何でもないんだよね…
ここはやっぱり、食べたフリでどうにか…
…あ…食べた、フリ…?

九ツ不思議…土蜘蛛。
口に含みさえすれば、これで、全部…!
口を付ければ使えるけど…さすがに怪しいから、一度は口に入れないと…
でも、これなら…ふふ、ふふ…いくらでも、どれだけ危なそうなものでも、持ってきていいよ。
勝てば官軍。たとえズルでも、バレずに使って勝てばいい。そうだよね?

…後で、吐き出してる所だけは…誰にも見られないようにしないと…


蓮花寺・ねも
何戦か見て判ったことがある。
これはもしや命がけの勝負なのでは……?

残念ながら、ぼくはそう健啖でも胃腸が強いわけでもないので救護に回ろう。
プロモーション中に人死にを出す訳にもいくまい。
過剰に過激なシーンはドン引きの元だ。
……とは思うのだけれど、横槍を入れるのも水を差してしまうかな。

ヤバそうな顔色のひとの後ろにスッと回って【生まれながらの光】
状況に応じて何かこう、なんだ。あれだ。
ドーーーーンって気を高めた的な光とか、
宇宙空間を思わせる神秘的な光とか、
ああいう感じのやつを放とう。
演出は任せろ。
なんとかなる。たぶん。きっと。

回復するし画面映えもするなら一石二鳥としたものだろう。
応援している。ガッツ。




 エントリーナンバー、エイト!
 もふもふ尻尾の甘い誘惑、その可愛らしさはデスグルメでの武器となり得るのか。パームゥゥゥ・アンテルシオォォォォ(写し世・f06758)!!

「………………」
 わぁぁぁぁぁ、と盛り上がる観客たちの声援とは裏腹に、真剣な面持ちで『悪食』を見つめるパーム。
 パームは未だ、予知で伝え聞いた光景が忘れられない。
 今までの怪人が、すごく平和な敵に見える。
 ――認識が、甘かった。そう、思い知らされた。
(この怪人だけは、止めないと。人の……みんなのために)
 ぐぐっ、と決意を固め勝負に挑むパーム。

 とは言ったものの。
「食べる事に関しては、得意でも何でもないんだよね……」
 どうしよう、とパームは頭を抱える。
 ここはやっぱり、食べたフリでどうにか……
「……あ。食べた、フリ……?」
 その時、パームに妙案が浮かぶ。

 ――『九ツ不思議・土蜘蛛』。
 自分の口に触れた抵抗しない対象を異空間へと吸い込むユーベルコード。

「口に含みさえすれば、これで、全部……!」
 口を付ければ使えるけど。さすがに怪しいから、一度は口に入れないといけないとは思うけど。でも、これなら……!
「ふふ、ふふ……」
 パームは勝利を確信し、思わず笑い声が漏れてしまう。

「いくらでも、どれだけ危なそうなものでも、持ってきていいよ」
 勝てば官軍。
 たとえズルでも、バレずに使って勝てばいい。そうだよね?
 そんな自信満々なパームの前に、料理が運ばれてきた。
 それは先程大量に余った、特製蒼汁スターゲイザーパイ(※第6試合参照)だ。
「う……」
 パクパクと口を開閉するニシンと目が合い、尻尾がピンと立ちぞわわと震えるパーム。
(これに、口を付けなきゃいけないんだ……)
 艶めかしく光るニシンの唇。
(これは食べ物、これは食べ物……!)
 自分に言い聞かせながら、パームはその唇をニシンへと近付けていく。

「ううう……えいっ!!」
 意を決し、目を閉じたままパームはニシンの頭へと豪快に齧り付いた。
(一瞬で、すぐに『土蜘蛛』で異空間に……!)
 必死だった。パームは全力でユーベルコードを発動させて、ニシンを異空間に送り込もうとするが――。
「…………!!!!」
 ユーベルコードが、一向に効果を発揮しない。それどころか、口の中でニシンが蠢いているのを感じるし、蒼汁の得も言われぬ苦味が口いっぱいに広がる。

 何故ユーベルコードが発動しなかったのか。
 それは、ニシンが未だに「生きていた」為である。
 ニシンが生きていて、異空間への転移を拒んだ。それ故に『土蜘蛛』は効果を発揮しなかったのだ。

(もう……だめかも……)
 パームはそのまま口に含んだニシンを戻しそうになる。あまりに不味い。あまりに生臭い。
 お魚とか、別に生でも全然イケるはずなのに――蒼汁の風味が、それを拒んだ。

 すべてを諦めかけていた、その時。
 パームの背中をスッと支えるひとりの少女。

 ――蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)だ。
 ねもは、生まれながらの光で煌々と輝きながら、パームの背中を支えていた。

 ねもは今回の戦い、救護班及び証明班として裏方の仕事に回っていた。
 試合中のドーーーーンって気を高めた的な光とか、宇宙空間を思わせる神秘的な光とか、ああいう感じのやつは大体ねもがやっていた。

 プロモーション中に人死にを出す訳にもいかない。過剰に過激なシーンはドン引きの元だ。
 しかし、横槍を入れるのも試合に水を差してしまう。
 特別に健啖でも胃腸が強いわけでもない、ねもにとって出来る最大限のサポート……それが照明係であった。

「パーム君。だいじょうぶ、きみならきっとそのパイだって完食できる筈だ。応援している。ガッツ」
 ぐ、と握りこぶしを作ってパームを応援するねも。
 パームも、こくこくと頷いて何とか口の中のニシンを飲み込んだ。
「ありがとう。私……頑張るね……!」
 あたたかな光の支援を受けながら、再びスターゲイザーパイに向き合うパーム。
 頭部さえ片付けてしまえば後はただの死ぬ程苦いだけのパイ。
 口に含む瞬間は本当に魂が飛びそうになるくらいに苦いけど、異空間への転移はできているから胃の容量は何とかなる。

 パームは懸命に、1個、また1個とパイを平らげていく。
 しかし――。
「ダメ、あと1個が……もう無理みたい」
 精神が限界を迎え、その場に項垂れるパーム。
「ごめん、なさい。最後の1個は、あなたに頼んでも……いい?」
「ああ、任せておくといい。……えっ」
 場の空気に飲まれ安請け合いしてしまったねもの返事に、安心して気を失ったパーム。
 そこに残されたのは元気に口をパクパクさせるスターゲイザーパイ。
「これを……食べるのか。ぼくも」
 フォークを持つ手が震える。
 あまり表情を変える事の少ないねもだったが、その顔には僅かに冷や汗が浮かんでいた。
(スターゲイザー……星を見送る者。であれば、ぼくは――)
 いいから早く食べて下さい、とスタッフに急かされ、ねもはすいませんと謝罪しながらスターゲイザーパイに口を付ける。付けた。

「うっ、まずい……おいしくないな、これは」
 ひとくち食べて、ねもはその場に倒れ伏す。
 分かっていた。この手の勝負が苦手だからこそ、裏方に回ったのだ。
 だが……ここで倒れては、パーム君の今までの頑張りが、全て無に帰してしまう。

「どんなに不味くても、どんなに苦くても。ぼくは……」
 ねもは再びフォークを握り、ひとくち、またひとくちとパイを食べ進め――
「完食……だ」
 そのままパームと折り重なるように、その場に気絶した。

 勝者、挑戦者サイド!!

 割れんばかりの声援と共に、ふたりは医務室へと運ばれていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アポリー・ウィートフィールド
……醜悪なり。まるで鏡の中の我自身を見るかのような不快感だ。悪食の怪物、滅ぼすべし。我らのキマイラフューチャーを汝らの好きにはさせん。

悪食対決、か。良いだろう。とびきりの危険物を喰らいあおう。いささか宴会芸めいた品目ではあるがな……
食前酒は濃硫酸、前菜の鋼鉄のロングソード、メインディッシュの手榴弾である。
よもや、食えぬとは言うまい。いや、悪食の汝には簡単すぎるかも知れぬか……
当然、我は喰う。まあ、少々小細工として、胃の中に【貪食の黒き靄】を展開し、蟲にも喰わせることで少々消化を助けてもらうがな。鋼鉄の剣を噛み砕くのも、手榴弾を丸ごと飲み下すのも、我にとっては自力で可能だ。【大食い】【毒耐性】




 エントリーナンバー、ナイン!
 異貌を持つ屈強なフードファイター、世界広しと言えど俺にレポートできないグルメは無い。アポリィィィィ・ウィィィトフィールドォォォォ(暴食のイナゴ男・f03529)!!

「……………」
 観客たちの声援に対し、アポリーは手を合わせ無言で会釈をする。
(……醜悪なり。まるで鏡の中の我自身を見るかのような不快感だ)
 『悪食』を見るなり、アポリーの胸中に嫌悪感が芽生える。
 それは同族嫌悪に近い感情。
 その欲求が、果のない食欲が、多少なりとも理解できてしまう。それ故におぞましい。自身も欲求のタガを外せば、ああなってしまうのではないかという恐怖。
 故に、その存在を許す訳にはいかない。
「悪食の怪物、滅ぼすべし。我らのキマイラフューチャーを汝らの好きにはさせん」
 アポリーは静かな闘志を湛え、決戦の舞台に立った。

「とびきりの危険物を喰らいあおう。いささか宴会芸めいた勝負ではあるがな……」
 ふたりの対決はデスグルメとしてはスタンダードな、危険グルメの食べ比べ。
 勝負はコース料理となっている。最初の品目は食前酒『シェリー酒の濃硫酸仕立て』だ。
「……いただこう」
「いたダくニャァ♪」
 振る舞われた濃硫酸を、一気に飲み干すふたり。
 『悪食』の方は「くぅ~~キくニャァ~~!」などとリアクションしているものの、アポリーに至ってはノーリアクション。ふたりにとって濃硫酸程度のグルメではさしてダメージにはならない様子。

 続いての品目は前菜『鋼鉄のロングソードのサラダ ~季節の毒草と共に~』。
「よもや、食えぬとは言うまい。いや、悪食の汝には簡単すぎるかも知れぬか」
「ニャァ♪」
 バリッ、バリ……と強靭な顎でロングソードを噛み砕くアポリー。曲芸のようにロングソードを丸呑みしていく『悪食』。
 ふたりの様子に観客たちは驚嘆の声をあげる。
(この程度では堪えぬか……尤も、我の方は少々小細工を使わせて貰っているがな)
 そう告げたアポリーは、己の体内にてユーベルコード『貪食の黒き靄』を展開している。
 自身が喰らった食事を蟲によって喰わせる事で、消化の助けとしているのだ。
(この戦い、そして次の戦い。『悪食』に少しでもデスグルメを喰らわせる事が、奴のダメージへと繋がれば良いのだが……)
 そんな事を思案しながらも、ふたりは鋼鉄のロングソードを完食した。

 そしてメインディッシュ『デミグラスハンバーグ ~パイナップル手榴弾添え~』が運ばれてきた。
 『添え』と言われながらも、むしろハンバーグがオマケと言わんばかりに手榴弾が山のように盛られている。
「これで最後か。いただこう」
「美味しソうニャァ~~☆」
 はぐ、とアポリーが手榴弾を齧った瞬間。それは大きな音を立ててその場で盛大に爆発する!
 安全ピンがどうだとか、そういった細かい構造は不明だが。ともあれ手榴弾の方にもおかしな仕掛けがしてあるようだ。
「……っぐ」
 至近距離での爆発を受け、流石によろめくアポリー。
 隣では『悪食』が手榴弾を丸呑みしては腹の中で爆発させ、黒い煙を吐いている。
「流石に化物……、だが!」
 美味の追求からは大きく離れれど、フードファイターとしての矜持が彼を突き動かす。ひとつ、またひとつと手榴弾を爆発させながらも、その火薬ごと手榴弾を貪り食う。食べていく内に爆発を最小限に抑える食し方なども分かって来て、徐々にそのペースは早まっていった。

 そして最後に残った、ハンバーグステーキ。
 むしゃ、と一口齧り付けばそこからは肉汁が溢れ出し。
「これは――!」
 美味い。あまりに美味かった。
 それはアポリーが今まで食してきたグルメの中でも決して引けを取らないような。
 一口、また一口と喰らう。
 ここまでゲテモノばかり食してきたからだろうか。いや、違う。単純にこのハンバーグが、『美味すぎる』。
(どういう事だ……? これは一体――、……ッッ!!)
 ハンバーグを完食したところで、アポリーは腹に違和感を覚える。

 ――死滅してたのだ。
 腹の中の蟲が、1匹残らず。

 アポリーが訝しむ中、試合終了のゴングが鳴る。
 試合結果はドロー。両者完食という結果に収まった。 

 あのハンバーグは、一体……。
 深まる疑惑を残しながらも、アポリーは決戦の舞台を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシス・アルトマイア
😘
美味しくないものを作るなんて、私の矜持が許しません…
と、思っていましたが…皆さんの戦いを見て、分かりました

美味しくて…そして、やばい料理
私になら、やれるはず
やってみせます

従者として磨いてきた、毒物の察知に、危険物の取扱い
なんでもない料理の組み合わせが、
素敵なキノコと、不適切な温度管理が
ちょっとした調味料の、以外に少ない致死量。

一つ手を加えただけで、命を奪える。
その信頼を受け持つのが従者だということを
教えて差し上げましょう

消化するだけで無毒化出来るなんて、誰に保証して貰えましたか?
悪食が既に食べた/これから食べるものとの食い合わせ等による化学反応・毒殺やダメージ増加狙い

料理等全てアドリブ歓迎




 アポリーが食していた謎のハンバーグに隠された秘密。
 その秘密を探るべく、我々は舞台の裏側――厨房へと潜入した。

 それは第9試合の開始前へと遡る。

  ・
  ・
  ・

(美味しくないものを作るなんて、私の矜持が許しません……と、思っていましたが。皆さんの戦いを見て、分かりました)
 キッチンにて、エプロン姿に身を包み。
 アレクシス・アルトマイア(夜天煌路・f02039)は静かな決意を固めていた。
「美味しくて……そして、やばい料理。私になら、やれるはず。やってみせます」

 それはアレクシスの持てる技術、知識、そして経験の集大成。

 従者として磨いてきた毒物の察知に、危険物の取扱い。
 なんでもない料理の組み合わせが。
 素敵なキノコと、不適切な温度管理が。
 ちょっとした調味料の、意外に少ない致死量。

 そう、例えばハンバーグなどで良く使われるナツメグなんかは、たった10グラムを生食するだけで危険な症状を引き起こす。
 厨房を預かるという事は命を預かるという事。今まさに、『悪食』の生殺与奪はアレクシスが握っていた。

 『悪食』が既に食べた・これから食べるものとの食い合わせによる化学反応。
 かと言ってストレートに毒にしては、共に食するアポリーさんまで害してしまう。
 そして可能であれば遅効性。
 『悪食』との直接対決時に、一番の効果を発揮するよう計算して。
 ハンバーグのパテ、そこに加える具材。ソース。
 食前酒や前菜にも少しずつ、細工を加えて。

 そして何より、美味しく作ること。それはアレクシスにとって譲れない、従者としての矜持だ。

 確かに『悪食』は、毒物であろうと何だろうとすべて消化してしまうと言っていた。
 ――しかし。

「消化するだけで無毒化出来るなんて、誰に保証して貰えましたか?」

 アレクシスは笑う。
 排泄しないという事。それは大概に毒素を排出しないという事でもある。
 だったらつまり『悪食』の中には――その胃袋の何処かに、今まで食べてきた食事の【毒】が溜まりこんでいる筈だ。

「一つ手を加えただけで、命を奪える。その信頼を受け持つのが従者だということを
教えて差し上げましょう」

  
 こうして、完成した『ハンバーグ』は決戦の舞台へと届けられた。

 舞台裏、厨房にて繰り広げられていた戦いの一幕。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『闇(鍋)のバトル』

POW   :    勝負を正面から受けて立つ

SPD   :    ワザを編み出す、有利になる情報を掴む

WIZ   :    知恵や口車で勝負自体をうやむやにする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 さぁ、ここまでの試合結果……挑戦者サイドの5勝1敗3引き分け!
 これはチャンピオンも形無しか、挑戦者サイドの圧倒的優勢で勝負は運んでいるゥー!
 だがしかし、これはあくまでもデスグルメバトル。
 最後まで舞台に立っていたものこそが真の勝者なのだ!

 そんな訳でセカンドステージ。
 今度の勝負は闇のバトル――闇鍋対決だァーーーー!!
 
 
●ルール説明
 この戦いは猟兵+『悪食』で3~6名程度のグループを組んで行ないます。
 グループ分けはランダムで決定します。
 猟兵は各自、【好きな具材】を【5種類】持ち込むこと。
 あとは猟兵と『悪食』で鍋を囲み、順に具材をつついていく、というのが基本の流れです。

 具材は、【同じ具材を複数個持ち込む】のも可とします。(具材の当選率が上がります)
 基本的には固形物でお願いします。
 チョコレートやケーキなどを入れた場合でも、何故か形はしっかり残るものとします。(不思議な力で、味も程よく混ざったり混ざらなかったりします)
 リアクションなど、アドリブ描写が主体となりそうなので苦手な方はご注意下さい。(NG事項・意気込み・想定リアクション・何か戦略などあればプレイングに記述して下さい)
 調味料などの持ち込みは自由とします。
 
 ※ルール補足
 【同じ具材を複数個持ち込む】場合、その複数個持ち込んだ具材それぞれを1種としてカウントします。
 つまり、
 【ラーメン】【ラーメン】【ラーメン】【餃子】【おにぎり】の5種の場合、
 ラーメンの当選率が他の具と比べて3倍、と言うことになります。
 
マグダレーナ・ナバスクェス
😘
闇鍋!
相手にダメージを与えようと危険なものを選択すれば、自分がそれを引いてしまう危険があるってことかい……!

けどねぇ、捨て身こそアタシの得意とするところ!
ここで怖がってちゃこの『悪食』にダメージを与えるなんてできないわ!
【ピザ】【いちご】【てんぷら】【スイカ】【レモン】で勝負!

アタシはなにが来ても食うわよ!
たとえ数日寝込むことになっても!
箸で掴んだなら意地でも食う!
それが、親の姿ってモンだろ

あっ、やっべ、アタシが引くならともかく、仲間が引く可能性を考えてなかったワハハ!


叶・都亨
😘

闇鍋かー!めっちゃ楽しそうじゃん!
要するに悪食が思わずもんどり打って泡吹いて倒れるようなもんを用意すればいいんだよな!
大丈夫!俺もんどり打って泡吹いて倒れ慣れてるし、同じもん食べるんだったら俺の勝ちだぜ!

つって5種類かー。難しいな
【キビヤック】【キビヤック】【キビヤック】【キビヤック】【キビヤック】
とかどーでしょーか
ってかこれぶっちゃけ美味しいよ。美味しいんだよ
だから俺が食べたいよね!

うひょほーーう!啜るぜ啜るぜ!
わりかしなんでも食べれるけど辛いのだけは苦手だから
それ食ったら泡吹いて倒れるかもしれんね!
俺の唇が魅惑の明太子に!やめて恥ずかしい!

え?戦略?ないよ!ひたすら食うしかないね!!!


リゥ・ズゥ
食材、持ち込み、か。
持ち合わせは、ない、が。幸い、此処は、キマイラフューチャー、だった、な。
集めてきた、ぞ。
(POWで挑戦。適当にそこら辺をコンコンして出てきた食べ物をぶっ込みます。
出てきたのは「チャーシュー」、「なると」、「メンマ」、「煮玉子」、「十割蕎麦」。
芳しい蕎麦の香りを放つ麺を始めとして美味しい具材をつっこみ台無しにします。
リゥ・ズゥはラーメンも蕎麦も知識がないので全く気にしませんが、
知っているものはその歯がゆさに身悶えることでしょう。
他の者が危険物を持ち込んでいた場合積極的に食べて各種耐性で頑張ります。)


パーム・アンテルシオ
(お手洗いから帰ってきて)
調理された食べ物で、生きてるモノがあるなんて…
…反省は、生かさないと。失敗を成功に変える事こそ、人の強さ。

九ツ不思議…土蜘蛛。もう一度だけ、お願い。
料理がまだ生きてたなら…他の食材だって、生きてたものがある、はず…!
使うのは、闇鍋開始直前。
このイベントで死んだ、食材たちの魂を…食らう。
強化は、防御力に全振り。

持ち込むのは…
全部真っ赤な【カレー餃子】【シュウマイ】【キムチ餃子】【肉団子】【餅巾着】、
それと調味料に…ハバネロペッパー…

不味いのは、精神がきついから。
辛さを、痛さまで変えて…
痛みを、耐えて食べる…!

うぅ…なんでご飯を食べるのに、こんなに全力になってるんだろう…




 最初の鍋を囲むメンバーは、

 パーム
 マグダレーナ
 叶・都亨(空翔・f01391)
 リゥ・ズゥ


 そして『悪食』を加えた5人。
 5人の持ち寄った具材を、それぞれ鍋へと投入していく。

 蓋をして、くつくつと煮込めば準備は完了だ。

●1巡目:パーム
「ちょ、ちょっと待って!」
 勝負が始まる前にパームが静止をかけると、彼女は鍋を前に真剣な様子でそれを見つめる。
(調理された食べ物だって、元を正せば生きていた……それなら!)
 ――『九ツ不思議・土蜘蛛 弐ノ式』。
 パームは鍋から、周囲から。
 このイベントで死んだ、食材たちの魂をその身に集める。

 ピチピチ……、ブモォオォ……、コケーッ!

 一種の『口寄せ』、とでも言えばいいのだろうか。様々な魂がパームの口元へと吸い込まれていった。
 集めた魂は胃に膜を作り、パームの胃袋を一時的に頑強なものとする。
「うん。これで大丈夫、かな。最初、行かせてもらうね……!」
 意を決し、闇鍋へと箸を突き入れるパーム。
 鍋のスープは闇色をしており、何が取れるかは実際に箸で掴んでみる分からない。

「これは……ピザ! ピザだよ!」
 パームが掴んだ食材、それは食べやすい大きさにカットされたピザだった。
 へにょりと濡れてあまり美味しくは無さそうだが、取り敢えず食べ物だ!
「おっと、そいつはアタシが持ち込んだものだね。お嬢ちゃん、ツイてるじゃないか」
 マグダレーナが、へへと笑う。

「これなら全然食べれそう。よかった……」
 心から安堵し、パームはピザを食す。普通に食べた方が100%美味しいだろうが、食べれない味ではなく、むしろやや美味しいとさえ感じる。
 案ずるより産むが易し。闇鍋バトルは『当たり』を引かない限りそう怖い戦いではない。

●1巡目:マグダレーナ
「さて、今度はアタシの番かい……」
 くつくつと煮える鍋の前に息を飲む。
 だがその小さな身体に湛える闘志は、まさに一級のフードファイターが抱くそれであった。
「アタシはなにが来ても食うわよ! たとえ数日寝込むことになっても! 箸で掴んだなら意地でも食う!」
 それが、親の姿ってモンだろ。そう言ってマグダレーナは闇の鍋へと箸を突き入れる。
「こ、こいつは……!」
 マグダレーナの掴んだ食材は、麺。
 そう、これは――蕎麦だ! 【十割蕎麦】だ!
「それは、リゥ・ズゥの、持ち込んだ、ものだな。適当に、コンコン、したものを、持ち込んだ」
「くぅ~~~、誰かそばつゆ! そばつゆは持ってないのかい??」
 マグダレーナは周囲に問いかけるが、みな首を横に振る。
 仕方がないのでズズ……と蕎麦を啜る。
「意外と……イケるね……」
 ズズ、ズズと啜り。マグダレーナは十割蕎麦を完食した。

●1巡目:都亨
「よっっっっっしゃ! 俺の猟兵デビュー戦、華々しく決めてやるぜ!!」
 そう言って意気揚々と鍋に箸を突っ込む都亨。彼はこの闇鍋が記念すべき初依頼。
 闇鍋すら楽しそうと言えるポジティブ精神。
 友達(未確認)からはリアクション芸人として評される彼に相応しい具材を引き当てることは叶うのか。
「おおお、これは……キビヤック! キビヤックじゃないか! 誰だ、これを鍋に入れた奴は!!」

 …………。
 沈黙する周囲。

「そう、俺だぁーーーー!!」
 都亨はひとり盛り上がりながら、テンションの赴くままにキビヤックの羽を毟り始める。
「いや、ってかこれ。ぶっちゃけ美味しいよ。美味しいんだよ。だから俺が食いたくて入れたんだけどさ。まさか一発目から引くとは思わなかったよね」
 キビヤックとは、寒い地域に住む民族の伝統的な発酵食品。
 中身をくり抜いたアザラシの中に小さい鳥をたくさん詰め込んで、地中に埋めて二ヶ月以上熟成させたものらしい。
 めちゃめちゃ臭いらしいが、都亨の言うように好む者は好む味で、完全なゲテモノ……という訳ではないようだ。
「うひょほーーう! 啜るぜ啜るぜ!」
 羽を毟った鳥に口を付け、まずはその内臓を啜る。発行し液状に溶けた内臓の味は濃厚。液状の内臓と言われるとグロテスクに感じるが、レバーペーストと言われれば急に料理然としてしまうのは、まさに言葉のイメージが持つ不思議なところ。
 その後は肉に齧りつき、骨は噛み砕く。スズメの焼き鳥とイメージは近いのかも知れない。
「何かひとりでキビヤック持ち込んでひとりでキビヤック食ってる人になってるけど、俺大丈夫?」
 ムシャムシャとキビヤックを貪りながら、都亨は少し心配になりつつ、次の瞬間には「まぁいいか」と開き直っていた。

●1巡目:リゥ・ズゥ
「では、行かせて、もらう……ぞ」
 リゥ・ズゥは肉体の一部を変化させ、器用に箸を操りながら闇鍋の中身へと手を伸ばす。
 リゥ・ズゥの掴んだもの……それは【スイカ】(マグダレーナの持ち込み)だ!
「ふむ」
 リゥ・ズゥは箸でひょい、とスイカを口の中へ放り込み。シャクシャクと完食する。
(……危険物の持ち込みなども考慮していたが。杞憂だったようだ)
 流石にこれでは呆気ない、と自ら進んでもうひとつ。鍋へと箸を突き入れる。
 次に掴んだものは……【レモン】だ。
「おや、随分と気が合うねえ。そいつもアタシが持ち込んだもんだ」
「そうか」
 すこし嬉しそうに笑うマグダレーナをよそに、リゥ・ズゥはそのレモンも丸呑みにする。
 器官いっぱいに広がる酸味に、リゥ・ズゥはほんの少し身が引き締まり。
「平和、だったな」
 どうせなら、怪人とのバトルではなく普通の鍋をできたら良かったのかも知れない。
 リゥ・ズゥは『鍋』という文化に、少しだけ興味を抱いた。
 
 
●『悪食』が闇鍋で食したもの
 【キビヤック】【カレー餃子】【チャーシュー】【いちご】

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ポケッティ・パフカニアン
ちょっと!こういう話の時は呼びなさいって言ってるでしょ!
何って、料理バトルなんでしょ?タダ飯食べれば勝ちなんでしょ?

猟兵になったんだからお金あるんでしょとか、そういう話じゃないのよ!
こういうのは、タダ食いできるっていう空気を味わうもんなのよ!どやっ!

なんだけど、なんか聞いた話と違くない?あたしも何か出さなきゃいけないの?
しょーがないわねぇ…えーっと…?

【板チョコ】
【ハチミツキャンディー】
【ドライフルーツ(イチゴ)】
【角砂糖】
【UDCアース産カロリーなメイト】

はい、これで。
ちょうど持ってたのがこれだけだったのよ、あっただけいいでしょ!
さーて、入場料は払ったんだから、後は好きに食べさせて貰うわよ!


御形・菘
自分でこなす分には大歓迎であるが、他人にぶつけるのは少々気が引けるのー
【豚骨(ゲンコツ)】【茹で卵(すごく巨大)】【革靴(新品)】【蜂の子(佃煮)】【ヘチマたわし(高級品)】
なので程々のものを用意したぞ、実に無難なチョイス(※自分基準)であるな

はっはっは、妾は食べ物は残さんのがポリシーよ
(…苦手なものは最初から避けるし)
そしてファンたちの前で無様は晒さん!

ただ食べるだけでは妾の名が廃る!
何でも美味しそうに、食レポ風にゆくぞ
余裕さで心理的プレッシャーもかけられるしな
わざとらしい称賛ではなく、ごく自然に…おおこれ意外と美味しいな、という感じがコツよ
たとえ、内心これは絶対無理と思っていてもな!



アポリー・ウィートフィールド
闇鍋か。あまり極端に危険な食材を入れると他の猟兵に致命的なダメージを与えてしまうかもしれぬな。
しかしあえて不味く作らなければ悪食へのダメージにはならない。そのバランスをどう取るか……
【ドリアン】【シュールストレミング】を投入。強烈な臭気をプラス。
そして先程も出た超刺激食、【ハッカクキリンカレー】で刺激をプラス。
ここに【高野豆腐】を2つ加える。これまでに入った全ての食材の味が溶け込んだスープを吸った、悪魔のスポンジが誕生する。
もし事前に何らかの有毒食材が加わっていた場合に備え、ユーベルコード・苦悶の蒼き血潮をスタンバイ。体表に毒物を逃がす。
我に好き嫌いはないが、それでも過酷な戦いになるだろう。


蓮花寺・ねも
😘
話は全て聞かせてもらった(医務室から)

これが……闇鍋……。
『悪食』を削るために殺傷力のみに重きを置くことは、食への敬意を欠いてしまう。
しかし只美味しいお鍋をつつくわけにもいかん。
……難しいな。闇鍋とはいったいなんなのだろうか。

【餅】【おにぎり】【とんかつ】【シュークリーム】【一本うどん】

汁が一番ヤバいのではないかと踏んで沁みそうなものをチョイスした。
頑張れ。

昔ならいざ知らず、美味しいものを知ってしまった今とあっては、美味しくないものはただただ悲しい。
これがパラダイスロストか……。

カレー粉は調味料だろうか。調味料だ。よし。
カレーは七難隠すという。
なんかもうどうにもならなくなったら投入しよう。




 第二の鍋。
 囲むメンバーは、

 ポケッティ・パフカニアン(時織りエトランゼ・f00314)
 菘
 アポリー
 ねも

 加えて『悪食』の5人。
 各々の持ち寄った具材を投入し、闇鍋が完成する。

 
●1巡目:ポケッティ
「料理バトルでタダ飯って聞いてたのに、話が違わない!?」
 だって、具材を徴収されたから実質タダじゃないし。
 しかも料理内容が闇鍋だし。
「まぁ、闇鍋って言っても……みんな自分も食べる可能性があるわけだし、きっと美味しいものとか入れてるわよね! さーて、入場料は払ったんだから、後は好きに食べさせて貰うわよ!」
 ポケッティは気を取り直して、鍋をつつく。
 油断すると自分が具材にされかねないので慎重に。
「じゃあ、これ! えーっとこれは……【トンカツ】! 【トンカツ】だわ!」
 衣がへちょ、ってしているけど。ただ、あまりスープが染みてないだけマシだと言えるかも知れない。
「それは……ぼくが用意したものだな」
 ねもが名乗り出る。
「ふぅん、なかなかいいチョイスじゃない。鍋には合わないけど」
 揚げたてサクサクを卵とじ、とかなら美味しそうなものだが。今回はクツクツと煮てしまっているし、何よりスープが危険そうなので。
「けど、取り敢えず肉でしょ、肉。イケるわよ、多分。それじゃ……ってくっさい! なんかめちゃめちゃ変な匂いするぅーー!!」
 第1の鍋と比較して、割と人外の食べ物を感じさせる匂い。
 くさいし、後なんかこう目と鼻にツーンと刺激がくる。
「だいじょうぶ? ヤバいもの入ってない?? 信じるわよ!?」
 みんなの顔を見てから(みんな静かに視線を逸らす)、ポケッティはトンカツに齧りついた。
「かっ……辛っっら! あ、……くさっ!! すっぱ、からっっっ!!」
 なんと表現していいか分からない。
 だが、これでもポケッティが食べているトンカツはこの鍋においてだいぶ「マシ」な部類に入るだろう。
「ハァ……ハァ……、何なの?? みんなどうしてこんな鍋作っちゃったの??」
 その疑問に答えれる人間は恐らくだれもいない。

 悪食フードバトル――こんな企画は早々に封印してしまうべきだ。
 それはまともな味覚を持ち、食べ物を大事にする者ならば誰しもそう思っただろう。

●1巡目:菘
「なかなかどうして、刺激的な鍋に仕上がったようだな。ポケッティも見事な健啖っぷりであった!」
 はっはっは、と笑いながら味方の健闘を湛える菘。
「続いては妾の番か。食べ物は残さんのがポリシー、ファンたちの前で無様は晒さん!」
 そう言って菘が掴んだ食材、それは……【板チョコ】だ!
「ほう、板チョコ……些か普通すぎて逆に困るが、こう見えてヤバいチョコかも知れぬからな。まずは一口……」
 ぱき、とチョコを齧って咀嚼する。
「これは……口の中にチョコの甘さが広がり、いや、普通に甘くて……うまい」
「あ、それあたしのオヤツだわ。いいでしょ? UDCアースで買ったのよね」
「そうか。うむ、普通にうまい」

 あまりに普通すぎて、物足りない。

「ええい、違うだろう! ファンが妾に求めているのは、もっと何か凄いやつを!!」
 菘は進んでもうひとつ、具材に箸を伸ばす。
 続けて掴んだ具材は、【豚骨(ゲンコツ)】! 【豚骨(ゲンコツ)】だ!
「くぅぅぅ、これ妾が持ち込んだやつ……これも天命、甘んじて受けようぞ」
 あぐ、と骨を丸呑みにしてよく味わう。
「なかなかに美味。豚骨の歯応え、そしてそれを味付ける絶妙なスープ。口いっぱいに広がるカレーのような刺激と……そう、なんか臭さ。これが良いアクセントになっておる」
 内心は、誰が何を入れたのだ……と気になりながらも、菘は美味しそうに笑顔で食レポをする。
「うむ、馳走であった」
 難なく平らげ、次の仲間へとバトンタッチ。

●1巡目:アポリー
「闇鍋、か。鬼が出るか蛇が出るか」
 アポリーはユーベルコード『苦悶の蒼き血潮』を使用し、予め毒への耐性を作っておく。
 リアクションは維持しながらも、自身の肉体へのケアも忘れない。
 アポリーが最初に掴んだ具材、それは……【餅】だ。
「ふむ、問題なし」
 餅程度であれば。むしろ鍋に合う。
 いや、スープは全くもって美味しくないし辛くて酸っぱいし臭いが。
 それは9割9分、アポリーが持ち込んだ食材に起因するものなので元より覚悟はできている。
「……次だ」
 『悪食』は放っておいても勝手に喰らうだろうが、仲間の負担を減らすためにも此処は自分が積極的に食べていくべき場面。
 そう判断したアポリーは、次なる具材へと箸を伸ばす。
 次に掴んだもの、それは【茹で卵(すごく巨大)】だ!
「お、それは妾の用意したものであるな。巨大であろう! 実は妾も何の卵かまでは把握しておらぬ!」
 はっはっは、と笑う菘。対するアポリーは、未知の卵にフードファイターとしての興味を示した。
「これは、面白い……」
 鮮やかな手付きで巨大茹で卵の殻を剥いて、さっそく一口。
「なかなかに濃厚。卵黄が――緑か。毒性などは感じない。どうせならこんな鍋などではなく、もう少しまともに味わいたかったが」
 未知の食材との出会いはどんな時でもわくわくする。
 意外なところでの食材との出会いに、アポリーは感謝を捧げた。

●1巡目:ねも
「これが……闇鍋……」
 初めて相対するジャンルの鍋に、ねもは息を飲む。
 食事はおいしく味わいたい、されど美味しいだけでは『悪食』へのダメージとならない。
 悩ましい。
 昔ならいざ知らず、美味しいものを知ってしまった今とあっては、美味しくないものはただただ悲しい。
「これがパラダイスロストか……。そもそも、食事でバトルと言う発想が間違いなのでは?」
 誰しもが浮かべる疑問。
 この戦いは、観戦するキマイラフューチャーたちに対しても、今一度『食』という文化と見つめ合う為の良い機会となっている……かも知れない。

「よし。食べよう」
 ねもは鍋に箸を突っ込む。
「こ、これは……!」
 ねもが箸で掴んだもの、それは【カレー】だ。
 どうやって箸で掴んだかはよく分からないが、ねもの箸には【カレー】が掴まれている。
「引き当ててしまったか……」
 アポリーは鎮痛な面持ちでねもの掴んだカレーを見る。
「アポリー君、何か知っているのか?」
「それは、先程の試合でも出ていた超刺激食……【ハッカクキリンカレー】だ」
「なっ……!」
 ねもは箸で掴んだ【ハッカクキリンカレー】(概念)を二度見する。
 どうしてこんなものを掴んでしまったのか。
「そうだ。どうにもならなかった時の為に、ぼくは調味料を用意したのだった。よし」

 ねもは持参した調味料を、パラパラと振りかけた。

 カレー粉。

「カレーは七難隠すという」

 隠れていない。

「…………ふふ、」
 ねもは瞳を閉じて、微かに笑みを浮かべたまま。ハッカクキリンカレーを――食べた。
「ねも! ねもーーっ!!」
 もう届かない、ポケッティの悲痛な叫び。
 彼女はその場に倒れ、医務室へと運ばれていった。

 
●『悪食』が闇鍋で食したもの
 【キビヤック】【カレー餃子】【チャーシュー】【いちご】
 (New!)【シュールストレミング】【(雑炊と化した)おにぎり】【ドリアン】【角砂糖】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
%

WIZ
ふーむ…どうせなら、具材に遊び心が欲しいところだな?
やはり闇鍋…最初から運要素の強いものだが…俺はそこにさらに運要素を加える!!

持っていく具材は【ツナマヨおにぎり】【鮭おにぎり】【おかかおにぎり】【梅干しおにぎり】【辛さ・苦み・酸味のトリプルダークマターおにぎり】だ。
【辛さ・苦み・酸味のトリプルダークマターおにぎり】とは!!!
それぞれの味の究極形を追求し!
絶妙なバランスで配合することで!
何故か食感がしゃくしゃくとしている酸味・苦み・辛みが全て最大火力で同時にやってくるダークマターが入ったおにぎりである!!

・リアクション
かーっ余裕だわー普通だわーかーっ
オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!!??


蒼汁之人・ごにゃーぽさん
持ち込む具材は蒼汁くっきんぐ♪で悪食の味覚特攻品を召喚☆
召喚された品はこちらだ♪
【蒼汁ゼリー】蛍光ピンクのスライム。ぐねぐね動いて自ら食べられに。
【いーとみぃチョコボール】いーみぃと鳴きながら自ら喰われにくる拳大のチョコボール。ぎょろりとした単眼と、蒼く輝く蒼汁製のコウモリ翼&タコみたいな触腕がチャームぽいんとさ☆
【蒼汁グミ】色とりどりに輝くグミ。放っておくと分裂して増えるので早めにお召し上がりください。保管の時には周囲に食材を置いておくと食べてしまうことがあるのでご注意を。
【蒼汁グミ】
【いーとみぃチョコボール】

今回のリアクションは、ボクセル(3Dドット絵みたいなやつ)調のカクカクした姿に。


宇冠・龍
由(f01211)と参加

闇鍋ですか……食べ物で遊ぶのは好きではありませんが、
そういう企画であれば仕方ありません

(まさか悪食と鍋を囲む日が来るとは……ごめんなさい、あなた)
夫に謝りながら席に着きます

悪食の欠片は、恐らく本体の一部にしか過ぎません。それでも倒さねばならない敵ですが、他者を巻き込み傷つけてまで自らの目的を果たそうとは思いません。一般的な食材を投入します

【白菜】【しらたき】【お豆腐】【しいたけ】【ネギ】

私は食が細いほうですが、だからといって勝負を降りるつもりもありません
【竜象之力】にて自身を強化、用いるルールは【食べる】こと
食べ続ける限り、消化能力や毒性に対して強くなります


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

この鍋は、何を入れても形はそのまま残る
(ふふふ、我に秘策在り、ですわ)
そして登場するのは、何も持たず手ぶらの仮面

「私の食材は、これですわ!」

【地獄の炎(由の一部)】×5

別に私を食べて、なんていうつもりはございません。
こ、これでも嫁入り前の思春期の娘なんですよ?(恥ずかしがりながら)

私の地獄の炎は「延焼分も含め自身が任意に消去可能」
悪食が私の炎を食べるならそのままで良し、他の方なら、口に含む瞬間、視聴者からは分からないように消してしまえばいいだけのこと

「そうそう、先程濃硫酸を食しておりましたよね?」
炎によって、熱濃硫酸に変化。酸化機能は極悪なまでに高まるでしょう


星磨・璃歩留
【肉塊(角が付いてる)】
【肉塊(ツメが付いてる)】
【肉塊(ヒレが付いてる)】
【肉塊(尻尾が付いてる)】
【肉塊(ビームが出る)】
とある研究施設跡地でコンコンしたら出てきた、新鮮なお肉だよー♪
なんの肉かな

うっ…ウナギはだめ…だめなんだ…電気びりびりも、やだーっ!
(1章のトラウマ)

ヤバそうな具材が当たったら…
UCでコッソリとブラックホールへ、ポイ♪
他の猟兵の方もコッソリ声掛けてね(小声)
ホントなら分子分解だけど、出力を調整して怪人のお箸にワープさせたい…
出来るかな…そもそもそんな設定許されるのかな…
念じろ…念じろ…この想い、怪人に届けー!

※アドリブ大歓迎です
死なない程度に好きなように弄って頂ければ!




 ここまでのバトル、猟兵たちの圧倒的優位に見える。
 しかし、そもそも怪人側はひとり。そして猟兵たちは多数。
 此処で完膚なきまでに叩きのめさなければ、観客たちも怪人……『悪食』側に肩入れしてしまう可能性もある。
 最後の鍋を囲むメンバーは、

 ヴィクテム
 ごにゃーぽ
 宇冠・龍
 宇冠・由
 璃歩留
 『悪食』

 の、6名から構成される。
 それぞれが具材を投入し、最後の狂宴がスタートする。

●1巡目:ヴィクテム
「さて、具材には色々と仕込ませて貰ったが……誰が何を引くかまでは分かんねぇしな。こういう分の悪い賭けっていうのも、嫌いじゃないぜ」
 人生楽しんだもの勝ち。この苦境すらも楽しんでしまうのがヴィクテム流。
 ヴィクテムは颯爽と闇鍋へと箸を伸ばし、最初の具材を――掴んだ!
 箸の先に蠢くのは、ちょうど拳くらいの大きさをした謎の球体。
 そこからぎょろりと、球体の殆どを占めるような単眼が見開かれ。不意にヴィクテムと目が合った。
「なっ……!」
 思わず言葉を失うヴィクテム。
 ゲテモノ食材くらいの覚悟はしていた。
 しかし、しょっぱなから地球外生命体のような謎の物体を引くとは流石に予想だにしていなかった。
「おっと、ボクの持ち込んだ具材だね。それは【いーとみぃチョコボール】さ」

『いーとみぃチョコボール』
 いーみぃと鳴きながら自ら喰われにくる拳大のチョコボール。
 ぎょろりとした単眼、蒼く輝く蒼汁製のコウモリの翼、そしてタコのような触腕がチャームポイント。

「お前……! どう考えてもこんなの、人間の食いモンじゃねえだろうが!!」
 ヴィクテムは自分が持ち込んだ具材の事は一先ず棚に上げ、ごにゃーぽ持ち込みの具材(具材?)に抗議の声を上げる。
「ふふ、甘いねキミ。『人間の食べ物』如きで、あの悪食に決定打を与えれるとでも思っているのかい?」
「ぐっ……!」
 それは、たしかにその通りかも知れない。
 蒼い翼をパタパタさせ、キーキーと鳴くチョコボール。
 ヴィクテムはぐぬぬ、と渋い顔をしながら暫し睨めっこを続けた後に、意を決する。
「っしゃあ! いいぜ、やってやるよ。見てろよ、ごにゃーぽ。お前の生み出したこの狂気の産物、この俺が丸ごと『書き換える』!」
 通常の食べ物であれば、ヴィクテムも甘んじて受け入れただろう。
 しかしこれは完全に人類の埒外の存在。
 であればこちらも、相応の対処は許されるはずだ。

 ヴィクテムは電脳デバイスを複数同時に立ち上げ並列処理で演算。
 召喚生物『いーとみぃチョコボール』の魔術プロトコルへとアクセス。

 まずはその邪魔な蒼い翼をハッキング。見るだけで気が狂いそうになるようなその数値の列を、超高速の演算によって書き換え――削除(デリート)。
 タコのような触腕――削除。
 苦味成分――削除。
 身体の大部分を構成する単眼――削除失敗。

「っち、流石はユーベルコード製のプログラム――ってところか」
 ひとしきりの書き換えを終えて、ヴィクテムはゴーグルを外す。
 そこに残ったのは、ぎょろりとした単眼がグロテスクな謎のチョコレート。
 ぷるぷるとした食感も消せなかったが、味覚に含まれていた呪詛めいた苦味成分は取り除く事に成功している。(同時に、薬効も削がれているが)

「いやー、タコ足くらいは残しておくべきだったかなーーかーっ! 余裕だわー、普通だわー、かーっ!」
 勝ち誇った顔で【いーとみぃチョコボール】を摘むヴィクテムと、若干悔しそうな表情を浮かべる、ごにゃーぽ。
 ヴィクテムのハッキングスキルに、観客たちも大盛り上がりだ!

「ざっとこんなモンよ! んじゃ、いただきま――オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!!??」
 最後、目玉の食感に抗えず盛大に吐き出す所までは、実に二枚目で決まっていたヴィクテムだった。

●1巡目:ごにゃーぽ
「せっかくごすなり様に報いる事ができるチャンスだったのに、惜しかったね。気を取り直して、ボクも鍋を頂こう♪」
 パタパタと羽をはためかせて鍋から具材を摘み取る。
「おや、これは何だろう、何かの肉――」

 シュバァ――!(ティウンティウンティウン……)

 突如、肉塊から放たれた閃光にごにゃーぽの肉体は包まれ、ごにゃーぽの肉体は何かデータ的な、ドット的な何かとなり四方に弾け飛んでいった。

「あっ! ああーーー、ンンッ! ゴホン」

 それ、多分わたしが持ち込んだ【肉塊(ビームが出る)】――。

 璃歩留は素直にそう宣言しようとしたが、それより先に保身が勝った。
 帽子を深く被りなおし、自分の持ち込んだ具材だと悟られぬように。
 よしんばバレたとしても、ビームを放つだなんて心当たりが無かったかのように、全力で平静を保つ事にした。

 ピューピュピュー♪ って口笛とか吹いちゃう。

 ごにゃーぽも恐らく死んだわけではない。次の人が鍋を食べ始める頃には何事も無かったかのようにリポップすることだろう。
 もはやツッコミに疲れたのか、この場でわざわざ犯人探しを始める者は誰も居なかった。
 闇の宴は続く。

●1巡目:宇冠・龍
「闇鍋……食べ物で遊ぶのは好きではありませんが、そういう企画であれば仕方ありません」
 龍も一度は見学に回り、応援に徹する事も考えた。
 これ以上、食に対する冒涜を続けたくはない。

 そして何より。何よりも。

(まさか悪食と鍋を囲む日が来るとは……ごめんなさい、あなた)

 最愛の夫を殺した、目の前で貪り喰らった『悪食』と鍋を囲むなど。
 しかし、他人にばかり負担を強いて『悪食』と相対する事はそれ以上に我慢ならない。

(例え『欠片』に過ぎぬ存在であったとしても、『悪食』――絶対に、逃しはしない!)

 静かに闘志を燃やし、龍は鍋へと箸を伸ばす。
 龍が掴んだ具材は……【炎】だ。真っ赤に燃え盛る、【炎】。

「……………」
 龍は、その炎に心当たりがある。よく見慣れている。

「……由、これは?」
 龍は娘の由に、具材について問いただす。
「はい、お母様! それはまさしく私が用意した食材! それもなんと、【地獄の炎(私の一部)】ですわ!!」

 ――分かっていた。
 分かっていた答えであったが、龍は思わずその場で立ちくらみした。

「お母様!?」
「ええ。大丈夫です、由。そしてあなたの考えも、何となくは分かります」

 恐らく由は、これを『悪食』に食べさせてダメージを与えたかったのだろう、と。
 誰か他の参加者が食べたとしても、自分の意志で炎を消すことが出来るから構わないだろうと、そう考えたのだろう。

 しかし――。

「ごめんなさい、皆さん。私はこの鍋、ここで棄権いたします」
「そんな――! ちゃんと炎は、私が――!!」
「……そういう問題では無いのです、由」

 例え見せかけでも。真似事でも。地獄の炎に過ぎなくとも。
 愛する娘の肉体を喰らう――それだけは、龍にとって絶対たる禁忌。

「ごめんなさい、皆さん。そして由。あなたたちに余計な負担を掛けてしまう事になる……それは分かっているのですが。どうしても私にも、譲れない一線があるのです」
「お母様……」
「由、あなたを責めるつもりはありません。ですがどうか、私の分も頑張って、鍋を……『悪食』を、追い詰めてください」
 そう言い残し、龍は応援席へと退いていった。

●1巡目:宇冠・由
(申し訳ありません、お母様……ですがこの失態は、必ず次で挽回してみせます!)
 母の分も、自分が2倍食べれば良いだけのこと。
 由は気合を入れ直し、鍋へと箸を伸ばした。

 由が最初の引いた具材は【白菜】。それは奇しくも宇冠・龍が鍋へと投じた具材。
「お母様……」
 白菜の優しい甘みが、そのまま母の温もりのように感じられる。
 幸い、出汁自体はまだしも平和なようで、人間の食べ物の味がする。
「まだまだ! 次ですわ、次!!」
 続いて由が引いた具材はヴィクテムの用意した【梅干しおにぎり】。
 由はムシャムシャとフードファイターさながらに、勢い良くおにぎりへと喰らいつき、完食。
「こんなところで……私は立ち止まれませんの。『悪食』、例えあなたの土俵であろうと、私は絶対にあなたを此処で倒してみせる!!」
 当の悪食は「???」といった表情を浮かべているが、そんなのは構わない。
 例え向こうが忘れていようと、私は絶対にあの光景を忘れない。

「ラスト……!」
 由が掴んだみっつめの具材、それはまたして龍が持ち込んだ具材である【しいたけ】だった。

(お母様……)

 他者を巻き込み、傷つけたくは無い……。
 そんな願いの篭められた平凡な具材。

 ――この戦いが終わったら、母と一緒に美味しい鍋を。
 由は来るべき『悪食』との戦いへの決意を漲らせ、そのしいたけを頬張るのだった。

●1巡目:璃歩留
「……………」
 若干キョロキョロと挙動不審になりながら、璃歩留は鍋の前に立つ。
 とりあえずレーザー問題の責任追及は逃れたようで、そこは一安心。

 だが――、

(この鍋、まだまだヤバイものが入ってそう。変なものが当たりませんように、変なものが当たりませんように……!)
 強く念じながらも、璃歩留は鍋へと箸を伸ばす。

 箸の先に当たった存在。
 ちらっと見えた、見覚えのある単眼と、蒼い翼と、タコ足。

「あっっっっ!!!! あああああっっ!!」
 鍋へお帰り、とキャッチアンドリリースしようとするが、タコ足が箸へと絡みついて離れてくれない。
「こいつっ! こいつっ!! このっ!! ああああっ、あああああ!!!」
 何かもうどう足掻いても箸から離れてくれる気配がなくて、心が絶望で塗り潰されていく。
「えっ、いやこれ食べ物じゃないよね?? さっきもう一度出たやつだし、同じネタ繰り返しても……えっ、ええーーー? 普通にヤダ……」

 ゴクリ。

 璃歩留は唾を飲み、件の怪物――【いーとみぃチョコボール】と睨み合う。
「わたしだって、プログラムの端くれ……! さっきのヴィクテムさんみたいに!」

 璃歩留は手旗を構え、ユーベルコード『err: black_security_hole』を発動……

「できませんでしたぁーーーっ!!」
 璃歩留はユーベルコードの擬似ブラックホールにより【いーとみぃチョコボール】を消し去ろうと試みたが、叶わなかった。

 ――何故か?

 それは単純な理屈。
 ヴィクテム、ごにゃーぽ、璃歩留。三名の猟兵としての経験の差が、そのまま表れたというだけの話であった。

 璃歩留は心を無にし、チョコボールを少しずつ食べ進める。
 璃歩留がチョコボールを食べ終えた時。その美しかった青髪は、灰のように真っ白に燃え尽きていたという。

 
●『悪食』が闇鍋で食したもの
 【キビヤック】【カレー餃子】【チャーシュー】【いちご】
 【シュールストレミング】【(雑炊と化した)おにぎり】
 【ドリアン】【角砂糖】
 (New!)【蒼汁グミ】【蒼汁グミ】【肉塊(尻尾が付いてる)】【肉塊(ツメが付いてる)】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪食の欠片』

POW   :    頭喰らい
【異形の口】による素早い一撃を放つ。また、【空腹や飢餓感】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    大喰い
戦闘中に食べた【肉や相手のユーベルコード】の量と質に応じて【全身の細胞が再生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    暴走
【理性】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【腕が数倍に膨張、まるで本体かのよう】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・龍です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『闇鍋バトル、これにて終了ーーーッ!!』
 司会のアナウンスが会場へと響く。
 猟兵たちの健啖っぷりに観客たちも心打たれ、自然と怪人――旧人類への関心は薄れていったようだ。

「ギギ……計画が台無しだニャァ……」

 キマイラたちの人気者となり。
 皆にチヤホヤされて。
 後はまとめて、集まった無警戒の子供たちを食べ放題。

 ――そう思っていたのに。

「……セナイ。ユルセナイ、ユルセナイユルセナイユルセナイ」

「あチシの食事を邪魔する奴は全員まとめて、あチシが喰らってやるニャァ!!」

 『悪食』がようやくその本性を顕にし、猟兵たちへと襲い掛かった。
 
 
●『悪食』に与えた影響
 ◇1章
 ・ハッカクキリンカレー(POW 3↓)
 ・電気ウナギ     (SPD 3↓)
 ・野菜サラダ     (変化なし)
 ・ヴェノムチーズフォンデュ(POW 2↓、WIZ 2↓)
 ・ハッカクキリン焼きそば ~MAXジ・エンド~(WIZ 3↓)
 ・蒼汁スターゲイザーパイ(SPD 2↓、WIZ 4↓)
 ・呪詛もりもりの手羽先~闇属性攻撃を添えて~(WIZ 3↓)
 ・131フィートのピザ(変化なし)
 ・シェリー酒の濃硫酸仕立て(WIZ 1↓)
 ・鋼鉄のロングソードのサラダ ~季節の毒草と共に~(SPD 2↓)
 ・デミグラスハンバーグ ~パイナップル手榴弾添え~(ALL 4↓)

 1章トータル:POW 9↓、SPD 11↓、WIZ 16↓

 ◇2章
 【キビヤック】【カレー餃子】【チャーシュー】【いちご】
 【シュールストレミング】【(雑炊と化した)おにぎり】
 【ドリアン】【角砂糖】【蒼汁グミ】【蒼汁グミ】
 【肉塊(尻尾が付いてる)】【肉塊(ツメが付いてる)】

 ・品目数:23(POW 11↓)
 ・肉やユーベルコード:6(SPD 6↑)

 ◇リザルト
 【POW 20%、SPD 5%、WIZ 16%】が、判定の補正として加わります。
 ただし『悪食の欠片』は強敵として扱いますので、油断なさらぬよう。
 (※先制攻撃などの特別なルールはありません)
 
蒼汁之人・ごにゃーぽさん
実はいーみぃは一番マシな奴だったんだよね、コーティングのチョコが高級チョコだったので。
そして、一番ヤバいをグミを食ったか『悪食』。
そう、ソイツは周りに有るものを栄養源に勝手に分裂する。
さて、『悪食』がどれだけ食べたかは知らないが排出しないなら相当な栄養源の宝庫だろうな?
たった二個、だが、倍々で指数関数的に増殖する蒼汁グミがキミのキャパを越えるのはさほど遠くはないだろうね?
駄目押しとして【ギャグ補正】のリポップ力を利用して更に栄養源を追加しよう。

『悪食』を内側から食い破ったグミはシリアスブレイカーでギャグ時空の彼方へ消し飛ばす。いや、あそこまでいくと共食いしながら増殖始めるので放置は危険危険。


御形・菘
妾の信徒(ファン)が増えたのはこの上ない喜びであるが、動画構成的には物足りん
お主をボコって見事な結末を迎えるとしよう!

…と言ってはみるが、妾の役割は隙を作る囮よ
妾の存在感をもって煽り倒してやれば無視できまい?

此度は美味しい所を持っていってしまって、本当に悪かったの~
まあ気にせん事よ、お主が未熟なのではない、単に妾がスゴかったというだけよ!
徹底的に上から目線、この手のキッズにはよーく効くであろう?
(…良い子の皆は真似するでないぞ、と編集動画ではテロップを入れておくとしよう)

そして好機を逃す皆の衆ではあるまい
はっはっは、肉が美味いというのは誉め言葉よ!
痛みなんぞ我慢して、余裕の表情のままでな!
%


星磨・璃歩留
同じ鍋をつついた仲のよしみで、
生まれ変わったら猟兵としてやり直しなよって祈ってあげる!

ぷークスクス
キミ闇鍋の間ホント空気だったよね
ざまぁ♪
まぁくさくて吸いたくない空気だけどさぁ

って煽って注意を向けさせる作戦どうかな
攻撃を受ける瞬間にUCでバリアを張り、
その腕も口も足も頭も星屑に還してあげようじゃないか

基本方針は我が相棒の宇宙バイクに騎乗しつつ、
悪食にしつこく付きまとっては攻撃を無効化
イライラさせちゃおう♪
周りの猟兵の皆の盾役もお任せあれ
この機動力と防御力ナメないでね!

…でもキミは悲劇の元なんだよね
(切り札は頭上への自由落下からUC発動の体当たり)
前言撤回、消えてなくなれ

※アドリブ絡み大歓迎です




「実はいーみぃ(※『いーとみぃチョコボール』)は一番マシな奴だったんだよね、コーティングのチョコが高級チョコだったので」
 怒り狂う『悪食』を前に、ごにゃーぽは余裕の表情を崩さない。
「そして、一番ヤバいをグミを食ったか『悪食』」
「ンニャァ?」
 ごにゃーぽの言葉の意味を理解できずに、首を傾げるだけの『悪食』。
 
 闇鍋にてごにゃーぽが投入した召喚生物『蒼汁グミ』。
 それは周りに有るものを栄養源に勝手に分裂するという性質を持つ。
 そして今、『悪食』の胃袋にはこれまで喰らってきた沢山の食材が詰まっている。
 それは『蒼汁グミ』が増殖するのに十分な、栄養の宝庫である事を意味していた。

「たった二個、だが、倍々で指数関数的に増殖する蒼汁グミがキミのキャパを越えるのはさほど遠くはないだろうね?」
 不敵に笑うごにゃーぽは、ダメ押しとばかりにユーベルコード『シリアスブレイカー』を発動させる。自身を【理不尽なギャグ補正】によって強化し、『蒼汁グミ』が持つ【馬鹿げた増殖力】をギャグ描写として扱い、その性能を引き上げた。

「ギ、ギ……ギギ、ニャ……!?」
 『悪食』の腹の中で2倍、4倍、16倍……とみるみる内に増殖し膨れ上がっていく『蒼汁グミ』。
 やがて増殖したグミが今度は『悪食』をも栄養素とし喰らい尽くさんと、胃の内側から食い破る――!

 ……かのように、に思えたが。

「面白いニャァ♪ 勝手に膨らむご飯だニャんて♪」
 『悪食』はむしろ嬉しそうに、楽しそうにはしゃいでいた。
 今まで膨張を続けていた腹はその膨張を止めて。今度は徐々に、少しずつではあるが縮まる様子を見せ始める。
 それは単純な理屈だった。
 今まで『悪食』の消化速度を上回っていた『蒼汁グミ』の増殖力が、今度はそれを上回るほどの『悪食』の消化速度によって消化され始めたのだ。
 ユーベルコードによって生み出された『蒼汁グミ』も非常識ならば、『悪食』の胃袋もまた非常識……ということだ。
「それならこっちも、ギャグ補正のリポップ力をもっと高めるだけさ☆」
 再び重ね掛けしたごにゃーぽの『シリアスブレイカー』によって、盛り返す『蒼汁グミ』の増殖。
 負けじと強化される消化と一進一退の攻防を繰り広げるが、ユーベルコード合戦では若干『悪食』の方に分があるようだ。

「なるほど、実に見事!」
 そう言って現れたのは、宇宙バイク『ながれぼし2号』に跨る菘。
「ではそのまま『悪食』の足止めを頼めるか? 後は妾たちが引き継ごう!」
「そういうコト! 任せといて♪」
 菘の後部座席からひょっこりと顔を出し、璃歩留が言葉を続けた。
「ホントはわたしが自分で運転したかったんだけどさぁ……」
 本来であれば『ながれぼし2号』は璃歩留のバイク。当然、自分で運転しながら『悪食』の攻撃を巧みに回避するつもりだった。
 しかし、璃歩留の使おうとしていたユーベルコード、『$ planet_fw/.sh』はその鉄壁の防御と引き換えに機動力を失ってしまうという欠点を持つ。
 故に今回は作戦の都合上仕方なく、菘に運転を任せる事にしたのだ。
「キミ、ちゃんと運転できるの……?」
 不安そうに尋ねる璃歩留。「当然であろう!」と自信満々に答える菘の様子に、璃歩留は胸を撫で下ろした。(※なお、恐らく菘は無免許)

「そういうお主こそ、大丈夫なのであろうな?」
「なにが?」
「お主のユーベルコード、触れているものが星屑と化すのであろう? 妾やバイク、星屑になったりせんか?」
「……………………」

 『$ planet_fw/.sh』
  全身を【包む惑星型バリアを展開、触れるものを星屑】に変える。
  あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

「………………大丈夫、ダヨ?」
「その間!! お主、さては何も考えておらんかったな!?」
「いや! いや、本当に! 大丈夫だよ多分!! ほら、グルメ対決の時も! ウナギに効かなかったから!!」
 危うく作戦開始前からコンビ解散となる危機を乗り越えながらも、ようやくふたりを乗せた『ながれぼし2号』は疾走を始める。

「ぷー、クスクス……キミ闇鍋の間ホント空気だったよね~! ざまぁ♪」
「……ニャァ???」
 バイクで腹を膨らませ身動きを取れずにいる『悪食』の周囲を旋回しながら、璃歩留は罵声を投げかける。
「此度は美味しい所を持っていってしまって、本当に悪かったの~。まあ気にせん事よ、お主が未熟なのではない、単に妾がスゴかったというだけよ!」
 はっはっは、と一緒になって菘もその存在感を十分にアピールしながら『悪食』を挑発し始めた。
「ギギギ……!! ムッカ~~~、ニャ!!」
 痺れを切らせた『悪食』がゴロンと身体を転がしながら異形の左腕を振るう。
「へっへーん、当たらないよ~♪」
 その左腕は地面を抉る程の破壊力を見せるが、未だ『蒼汁グミ』を消化しきれぬ身体では敏捷性が大きく削がれている。
 飛び散った瓦礫は璃歩留の惑星型のバリアに触れると、星屑となって消えていった。
 まさに煽り運転とも言える罵声と微妙にたどたどしい運転の組み合わせは、『悪食』の精神を逆撫でして攻撃をより単調にさせるのには十分過ぎる効果を発揮し。

「ではラスト……決めるぞ、璃歩留!」
「オッケー、派手に決めちゃおう!」
 菘は『ながれぼし2号』をフルスロットル。
 ブォオオオオン! と音を立てながらジャンプすると、そのまま『悪食』の顔面目掛けて突貫した。
「同じ鍋をつついた仲のよしみで、生まれ変わったら猟兵としてやり直しなよって思ってたけど。キミは悲劇の元なんだよね」
 だから前言撤回、消えてなくなれ。
 出力を最大にした惑星型のバリアが、『悪食』の存在を侵食する。
「ン"ニ"ャニ"ャニ"ャニ"ャァ~~~!!」
 火花と星屑を散らせながら身を削るバイクに、『悪食』は激しく抵抗をする。

「妾たちの覇道、貴様如きに阻む事は許さぬ! ――『流星アサルト』!!」
 菘は『ながれぼし2号』から大きく跳躍し、空中で一回転。
 最大限の画面映えを意識したアクロバティックな動き。それは今までの散々な挑発行為・無免許運転と合わせて【逆境】のエネルギーを最大限まで引き出して。
 菘の異形の左腕が、星屑を纏って『悪食』の身体へと振り下ろされた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

宇冠・龍
由(f01211)と参加

「やっと戦えます!!」(魂の叫び)

悪食への引導を渡せるとき、夫の霊と共に――
いえ、別の貴様に喰われた方たちもお怒りのようです。この場は彼に譲りましょう

【群竜無首】にて呼び出されるのは、かつてホワイトラビリンスにて逢った同じ悪食の被害者【首無しの熟練騎士】
「力を貸してください」
白銀に身を包んだ雷鳴の騎士。その技「怒髪天」は、雷に対策のない敵の動きを封じます
むやみに暴れては困るので、他の皆さんが攻撃を当てやすいようサポートを

もしも攻撃の余裕があるのなら、この拳を悪食の欠片に届けます
全力を込めた一撃、その身体を貫く衝撃波と共に、吹き飛ばしましょう


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

(あそこまで散々食べたのですから、少しは飢餓感も薄れている、と思いたいですが)

いくら全身が地獄の炎の私でも、頭を食べられたら敵いません
なので、食べられないように【七草仏ノ座】にて10Mの大鬼に変化

お母様は心配するでしょうが、これも皆で勝つためですわ
「さぁ、ここに食べごたえのある相手がいましてよ」
挑発して、相手を私におびき寄せます。この身に攻撃をかばうことで他の方が行動しやすい隙を作りますの

私の炎はすぐさま再生しますが、相手の食欲とどちらが勝るかどうか
勿論唯で差し上げるほど安い女ではございません
炎のオーラを全力で展開し、相手を拘束。私の一部ごと屠って貰います




「ギギ……やってくれるニャァ」
 切り裂かれ、大きく傷のついた『悪食』の仮面。
 その身体も抉られ真っ赤な血で染まっていたが、内側から肉が盛り上がるとその傷口は瞬時に塞がる。
 驚異の再生能力。しかし、目には見えずとも猟兵たちの与えたダメージは確実に蓄積されている筈だ。

 ようやく元の大きさへと収まった腹をさする『悪食』の前に立ち塞がる二人の親子。
「やっと――、やっと戦えます!!」
 龍が漏らすその言葉には、万感の想いが、魂の叫びが込められていた。
 ここまで長かった。『悪食』の茶番に付き合わされた、付き合わざるを得なかったのも勿論そうだが、数多の世界を渡り歩いてようやく尻尾を掴み、この拳が届くところまで漕ぎ着けることができた。
 相手は『欠片』に過ぎない。その本体へと辿り着くにはこの先どれだけの苦難が待ち構えているのか分からない。
 さりとて、大きな前進には違いない。
 ここで『悪食の欠片』を降し、この無念の、恨みの、一万分の一であってもここで晴らしてみせる。
「今こそ『悪食』への引導を渡せるとき。夫の霊と共に――いえ、別の貴様に喰われた方たちもお怒りのようです。この場は彼に譲りましょう」
 龍の『群竜無首』によって喚び出されたのは、かつて【ホワイトラビリンス】にて逢った、同じ『悪食』の被害者である【首無しの熟練騎士】。
「力を貸してください」
 龍の呼び掛けに、首無し騎士は身体を少し傾げて頷いてみせる。この機を与えてくれた事を感謝する、と言わんばかりに。
 白銀に身を包んだ雷鳴の騎士は掌を天高く掲げ、『悪食』に向けて落雷を放った。

 ――『怒髪天』。魔法剣士の彼が得意とした、雷の魔法。

「ギニャァ!?」
 その落雷は対策無しには防ぎ難く、『悪食』もまた電撃によってその動きを一時的に封じ込められた。
「騎士様、お見事ですわ!」
 その隙を逃さずに、由も攻撃を仕掛ける。
「あの頃の私とは違います――お前を倒す為に磨いてきたこの拳、受けて下さいませ!!」
「フギュッ!!」
 『七草仏ノ座』によって10メートルの鬼人となった由は『悪食』の小さな身体に力いっぱいの拳を放った。痺れて動きを取れない『悪食』は、防御する事も叶わずその拳を受ける。
 凄まじい速度で吹き飛ばされ、スタジアムの壁へと突き刺さる『悪食』。しかし、これで終わるような相手でない事は誰よりもこの親子が知っていた。
「フヒ……少しはやるみたいニャァ♪」
 メキメキと音を立てながら、壁から身体を起こす『悪食』。隙を突くべく駆け出していた首無し騎士の剣閃を『悪食』は事もなげにフォークで受け止め軽くひねって剣を折ると、返す異形の腕で思い切り横殴りにして吹き飛ばした。
「この、出鱈目な……っ!!」
 『悪食』を睨む由。覚悟はしていたが、やはり一筋縄でいく相手ではない。
 ならばやはり、始めから考えていた作戦を実行に移すしかないだろう。

「さぁ『悪食』、ここに食べごたえのある相手がいましてよ」
「ニャァ……?」
「なっ……!」
 自らの肉体を「食べてもいいのよ」と言わんばかりにひらひらと誇示する由。
 その挑発に対し反応を示したのは、『悪食』よりもむしろ龍の方が先だった。
「いけません! 何を考えているのですか、由!」
 必死の剣幕で娘の愚行を止めようとする龍。――当然だ。わざわざ娘を夫の二の舞に、『悪食』に喰わせてやる必要など無いのだから。
「そうですわよね。お母様はきっと心配なさると思ってました」
 龍の剣幕を宥めるように、そっと母の身体を包み込むよう抱きしめる由。
「ですが、お母様……どうか私を信じて下さいまし。私はいつまでも守られるばかりの娘ではなく――お母様を守るために、共に戦う戦士として、この場に居るのです」
「由――、」
 龍はそれ以上、由に対して口を出す事ができなかった。
 もちろん、心配であるという気持ちに変わりはない。
 しかしそれ以上に。ひとりの人間としての強い決意を、決して折れぬ信念のようなものが感じられて。
(過保護に、なりすぎていたのでしょうか……)
 娘の成長が嬉しくもあり、しかし寂しいようにも感じられる。
 だが今の自分がすべき事は母として感傷に浸ることではなく、背中を預けられた戦士として宿敵と相対すること。
「分かりました。頼みましたよ、由」
「はい、お母様!!」
 龍の言葉に勇気を貰い、由は『悪食』の前に出て両手を広げる。
 さぁ何処からでも喰らうがいい、と誘いを掛けて。
 『悪食』も、それに応えるように異形の腕で思い切り由の肩口へと喰らいつく。
「はぐニャ♪ はぐニャ♪」
「っぐ、ぐぐうううううう!!」
 由は『悪食』にその身を喰われながらも同時に再生。地獄の炎を全力で展開し、『悪食』の肉体を拘束する。
「勿論、唯で差し上げるほど安い女ではございません。どうぞ食あたりなさいませ!!」
「ぶわぁああ、熱ニャァァ!?」
 最大出力。自身の肉体も、『悪食』によって喰われた肉体も。内から外から相手を焼き尽くさんと炎を上げる。
「お母様!!」
「ええ、わかっています」
 十分に力は貯め込んだ。おかげでフェイントだの何だの、小技は一切必要ない。
 ただ最大威力を当てるのみ。拳に練り込んだ呪詛――そこには今まで出会ってきた『悪食』の被害者たちの無念、そして自身の怒りや憎しみも、すべての想いが込められている。

「終わりです、『悪食』!!」
 全力を込めた龍の拳は衝撃波を伴い、『悪食』の鳩尾へと突き刺さった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 龍の一撃により地面をボロクズのように転がり動かなくなる『悪食』。
 骨や関節はあちこちおかしな方向へと曲がり、人間であればもう生存など望めぬような状態。

 しかし。

「ウウ……みんな酷いニャァ、あチシの事ばっかり虐めて、ユルセナイニャァ……」
 ふらふらと揺れながら、その身を起こす。
 首もあらぬ方向へと倒れたまま、言葉だけはその頭部から発する。発していた。

 だが今度は、『悪食』の左腕が徐々に膨張を始めて。
 まるでそちらが【本体】であるかのように首をもたげて猟兵たちを睨む。

「お前らゼンイン、喰ってやる。喰い殺してやる。この俺がァ……【悪食】サマがァ!! この世の頭部(グルメ)を喰らい尽くしてやるァ!!」

 【理性】無き暴走体。
 そこに残るのは、ただ貪り喰らうという本能のみを残した怪物。
 
リゥ・ズゥ
アドリブ歓迎

お前が、リゥ・ズゥを喰らうか、リゥ・ズゥが、お前を喰らうか、試して、みるか?
お前のイノチは、先の料理より、美味いと、良いが。

さあ、食らってみろ。リゥ・ズゥの身体は、美味いか?
それが、最後の晩餐、というやつ、だ。

(POWで挑みます。ブラッドガイストを発動し武器である全身を強化、
野生の勘で敵の初動を察知しダッシュ、先制攻撃を狙い身軽になる前に喰らいつきに行きます。
捉えたら怪力で締め上げ、攻撃されても激痛耐性で耐えながら捨て身の一撃、カウンターで反撃、喰らい合いで根比べです。
そのまま自分ごと味方に攻撃してもらい逃さぬように確実に仕留めに行きます。)


マグダレーナ・ナバスクェス
😘😘😘
待っていたんだよ、アンタを直接殴れるときをね!
ずいぶんたくさん食べたろ?
ちょっとは鈍くなったんじゃないかい

その腕の口、裂いてやろうじゃないの!
斧を口にぶっ刺して切れ目を入れたら
あとは強引にこじ開ける!
ダメージぃ? 望むところだよ!
受けたモン、最後には全部返してやるからね!

やれやれ、しかしなにでできてんのかねコイツの胃袋は
アレだけ刺激物食べても平気だなんて……
(カレーを思い出す)アッ(お腹が痛い)




「なるほど、おもしろい」
 異形化した『悪食』を前に、怯むどころか興味を示すリゥ・ズゥ。
「お前が、リゥ・ズゥを喰らうか、リゥ・ズゥが、お前を喰らうか、試して、みるか?」
 ――お前のイノチは、先の料理より、美味いと、良いが。

 そう言ってリゥ・ズゥは『ブラッド・ガイスト』により自身の封印を解き、殺戮捕食態へと変貌させる。
 異形 対 異形。リゥ・ズゥのその異貌は、傍から見ればどちらが味方か区別が付かない程に異様なものだった。
「ゴエェ、アァ……ッ!!」
 もはや声にもならぬ叫びを上げて襲い来る『悪食』。リゥ・ズゥはその初動を察知して、相手が速度を上げるその一歩手前で先手を打って『悪食』へと喰らいついた。
 リゥ・ズゥの捕食器官によって『悪食』の肉が抉られる。
 それと同時にリゥ・ズゥへと喰らいつく『悪食』。
「どうだ、リゥ・ズゥの身体は、美味いか? それが、最後の晩餐、というやつ、だ」
 互いに肉を失っては喰らい、肉を失っては喰らうという、まるで神話の『尾喰らう蛇』のような構図。

 だが、戦況は膠着した訳ではない。
 この場にはまだ他に、味方が居るのだから。

「ホントに良いんだね? 後で恨みっこなしだよ!」
 そう言葉を発したのは、斧を大きく振りかぶったマグダレーナ。
 そして一切の躊躇もなく、その斧は『悪食』をリゥ・ズゥの体ごと真っ二つに両断する。
 ぱっくりとふたつに裂けながらも、みるみる内に傷口がくっついていき再生する『悪食』とリゥ・ズゥ。
「かーっ、アンタら揃って化け物かい! これじゃ斬っても意味無いんじゃ……」
「いや、大丈夫、だ。恐らく、ダメージは、きちんと、通っている」
 再生に使うエネルギーとて無尽蔵ではない。それは同じく再生能力を持つリゥ・ズゥだからこそ理解できる。
「後は、根比べ、だ。どちらが、喰うか、喰われるか」
「アタシはあんな奴、別に食いたか無いけどね!」
 放たれた『悪食』の尾の一撃に、散開するリゥ・ズゥとマグダレーナ。

「くっそ、あんだけ毒物だの刺激物だのを喰っておいて平気だなんて、なにでできてんのかねコイツの胃袋は」
 先程のカレーを思い出し腹をさする。悪態をつきながら、マグダレーナが執拗に狙うのは異形の腕。反撃を受けることを厭わず、果敢に近距離で切り結ぶ。
 高速で突き出されるフォーク、飛び交うテーブルナイフ――暴走しているとは言え相手の武器捌きが衰えた訳ではなく、その攻撃は苛烈。
「ハッ、ダメージぃ? 望むところだよ! 受けたモン、最後には全部返してやるからね!」
「リゥ・ズゥのことも、忘れてもらっては、困る」
 隙を突いては『悪食』へと絡みつき、その肉体に喰らいつくリゥ・ズゥ。その怪力にて『悪食』の肉体をがっちり捉えては離さない。
「よーっし、ナイスだ。そのまま頼むよ! アタシの全力、叩き込んでやる!!」
 あちこちナイフが突き刺さり、満身創痍のマグダレーナ。しかし辛そうな素振りなどおくびにも見せず、竜骨の戦斧を手に空高く跳躍する。

「喰らいな! ――『その命ある限り(エテルノ・イラ)!!』」
 身体に、胃袋に受けたダメージ……その全てを込めた渾身の一撃が、悪食の異形の腕と周囲の地形を破壊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシス・アルトマイア
😘
ふむ、ユーベルコードとお肉では、どうやらパワーアップさせてしまうようですね
舞台裏からの観察で理解いたしました
それでは、料理の仕上げと参りましょう

【従者の礼儀指導】で行儀悪く食べようとする悪食さんをメッ!ってしてあげます

仲間や仲間の放ったユーベルコードを狙うようなら、ばしばしと撃ち払ってあげて
お腹が減るというのなら、ユーベルコードではない短剣や銃弾をそのお口に直接ご馳走して差し上げます。破魔のスパイスもつけて差し上げましょう

お食事の作用は、運動するほど効いてきますよ
遅効性過ぎたかとドキドキしてしまいましたが、ひと安心ですっ

因果応報と言いますし…悪食の報いは悪食によって為されるのが、道理ですね


パーム・アンテルシオ
%

食事の邪魔をされるのって、腹が立つよね。私にもわかるよ。
でも…だったら。大人しく。邪魔されずに済むものだけを、食べて暮らすべきだったね。
人を襲うと、狩人が来るんだ。どこまでも、どこまでも。
さぁ、あなたの狩りはお終い。これからは…狩られる時間だよ。

ユーベルコード…実火葛。
掌の中で圧縮した炎を、開くと同時に爆破。至近距離で爆発を起こす。
…この使い方だと、実は、私自身もかなり痛いんだけど…ね。

具体的なタイミングだけど…
あの腕。見るからにあれが、あいつのメインウェポンだよね。
だったら…あの腕が。口が。こっちに伸びた時。
あの口を吹き飛ばす。それが、最良の結果かな。
子供の肉が好きなら…来るよね?きっと。


ヴィクティム・ウィンターミュート
よーーーやくシンプルなビズになりやがったぜ。うぇ…まだあの食感が残ってる…速いとこ終わらせて口直しがしてぇ…。──よし、クレバーなニューロンに切り替えた。こっからはマジだぜ…悪食!

でっけー火力をぶつけんのは主役に任せた。俺は前線で攪乱し、高機動力で奴のヘイトを稼げないか試してみよう。ダッシュにフェイント、早業を織り交ぜたアクロバットな動きなら早々捉えられねえはずだ。理性が飛んでるなら猶更、向こうの動きは直線的になるだろうし。

問題は奴の『大喰い』だ。これについてはユーベルコードで対策する。一発目で無効化出来たら儲け。失敗してもよーく観察して得た情報から、2回目の再生を無効化できるようになるはずだ


ナノ・ネコ
通りすがりの猫です。

わーーっと敵前へ飛び出て『無敵城塞』!

あっ、ちょっ……ギエピー!!
猫をいじめるなんて
愛護団体が黙ってませんよ!

自分にはこれといった技能も
ありませんし
プレイングの書きかたもよくわかりません!
ユーベルコードは活性化しないといけないんでしたね!

さあみなさん猫がボコボコにされているうちに
なんかこう良い感じに倒してください!




「ギ……ギ、がァ……」
 クレーターの如く抉られた地面の瓦礫から這い出てくる『悪食』。
 マグダレーナの捨て身の一撃によって、その異形の頭は縦にばっくりと裂かれている。
 だがその断面がボコボコと鳴動を始めると、表面から牙を生やして四叉に別れた異形の大口へとその形状を変化させた。
「よーーーやくシンプルなビズになったのはいいが、うぇ……やっぱ問題は奴の『大喰い』だな」
「そうですね、ユーベルコードとお肉では、どうやらパワーアップさせてしまうようです」
 『悪食』の様子を冷静に観察するヴィクテムとアレクシス。
 ふたりの分析の通り、『悪食』の再生能力や戦闘能力の増強はユーベルコード『大食い』に起因するもので間違いない。『悪食』を倒すには、まずこの能力を封じることが先決だとふたりは判断した。
「ええっと……だったら私はどうすればいい? なにか手伝えること、あるかな?」
 パームがふたりに尋ねる。
「んーーー、既に奴のユーベルコードは何度か【見させて】もらってるからな。多分何とかなる――いや、何とかする。だから裏方の仕事は俺に任せて、主役はいつも通り暴れて貰えりゃ大丈夫だ」
「しゅ、主役……!?」
「ヴィクテムさんがパームさんを頼りにしている、ということですよ。ふふ、私もサポートします。料理の仕上げと参りましょう」
「えええー……??」
 頼りにされるのはちょっと嬉しいけど、主役って柄じゃないんだけどな……。
 そんな事を思いながらも、パームは『悪食』を睨んで戦闘準備を整える。
 ちょっと緊張しちゃったけど、いつもどーり、いつもどーり。
「あれ……」
 ふぅ……とパームが呼吸を整えたところで、『悪食』の前にテコテコと歩いていく何者かの姿が目に入る。

 あれは――、

「……ねこ?」
「……猫だな」
「ねこさんですね」

 そう、通りすがりの猫だった。


 まぬけな顔をした白猫のケットシー、ナノ・ネコ(ねこなの・f14815)。
 彼は猟兵として覚醒したのを切っ掛けに、世界を渡り歩きながら消えた主人を探している。
 しかしまぁ、猟兵として登録したからには……こうして任務にも挑戦する事があった。

 ナノには戦い方が分からない。
 これといった技能も無い。
 取り柄と言えば、持って生まれたプリティフェイスくらいなもの。

 だが、ユーベルコードの使い方くらいなら分かる。
 そう、なんとなく。自分は殴られることなら得意……のような、気がしてきた。
 後ろの猟兵さんたちが、自分を期待の眼差し(※怪訝な眼差し)で見ている。

 よし! やります!!

「わーーっ!!」
 意を決して、ナノは『悪食』へと突貫する。
 ユーベルコード、『無敵城塞』発動!

 さあみなさん猫がボコボコにされているうちに、なんかこう良い感じに倒してください!


「ねぇ、あれ……」
「あぁ」
「どうしましょう……」
 パーム、ヴィクテム、アレクシスの三人は、目の前で繰り広げられる凄惨な光景に思わず言葉を失っていた。

 通りすがりの猫が、『悪食』に食べられてる。

 『悪食』の口から尻だけをはみ出させたまま、藻掻くナノ。
 『無敵城塞』を維持しているので何とか生きてる。だが、猟兵としての経験が浅いナノの『無敵城塞』は言うほど無敵ではない。
 このままではナノが『悪食』の餌となってしまうのも時間の問題だろう。

「あっ……えっと、そう! 助けなきゃ!」
「おおわ、やっべぇ!! 俺としたことが出遅れたぜ!」
「ねこさん……! どうかご無事で!」

 予想外の展開に思考がフリーズしていた三人も、慌てて救助に動き出す。
 左右に大きく分かれたヴィクテムとアレクシスによる、息の合ったナイフの等敵による波状攻撃。
 そして『悪食』のメインウェポンである異形の頭は、ナノに喰らいついている。
 今ならば、どんな攻撃でも当てるのは容易。
「陽の下、火の下、弾ける緋色を届けよう――『実火葛』!」
 完全な零距離。『悪食』の懐へと潜り込んだパームは、掌に圧縮した高密度の炎を異形の頭部――その喉元へと叩きつける。
 響き渡る爆音。
 パーム自身さえ、その爆風で吹き飛ばされながら。『悪食』の喉元から響く衝撃によって、ナノの身体はねちょねちょの唾液に塗れたまま、すぽーん!と勢い良く吐き出されて地面を転がった。
「猫を、いじめる、なんて……愛護団体が、黙って……ません、よ」
 遺言を残し、その場に気絶するナノ。
 取り敢えずの生存を確認し、三人は胸を撫で下ろした。
「ったく、人騒がせな主役だぜ。主役……主役か?」
「でも……おかげで攻撃は当てられたし、ね」
「はいっ! ねこさん、ナイスガッツでした」
 ずりずり、とナノを壁際に寄せて、取り敢えずの安全を確保するアレクシス。
「もう一発、行けるな?」
「この使い方、実は、私自身もかなり痛いんだけど……」
 パームは少し弱音を吐いてから、ぷるぷると首を横に振って気合いを入れ直す。
「ううん、大丈夫。ここで……あいつを倒そう」
 予知のような惨劇を、起こさせるわけにはいかないから。
 その為であれば、多少の傷みなんて我慢できる。
「はいっ、必ずここで仕留めましょう!」
 アレクシスも、ぐっと握り拳を固めてパームを鼓舞した。

「食事の邪魔をされるのって、腹が立つよね。私にもわかるよ」
 でも……だったら。大人しく。邪魔されずに済むものだけを、食べて暮らすべきだったね。
 人を襲うと、狩人が来るんだ。どこまでも、どこまでも。
 それが全てではないけれど。だからこそ私たちは、禁忌を犯さず、人と隣り合い暮らしてきた。
「さぁ、あなたの狩りはお終い。これからは……狩られる時間だよ」
 『悪食』を前に、再びパームの掌に圧縮される炎の塊。
 もう食べられている猫は居ない。であれば、『悪食』が狙うのは何か。
 眼の前に転がる『餌』――パーム自身だ。
(子供の肉が好きなら……来るよね? きっと)
 あの腕が。口が。こっちに伸びた時。あの口を吹き飛ばす。
 それがパームの狙いだった。
「ギ、ギ……アアアァァァ!!」
 四叉に避けた大口が、パームの眼前に広がる。
 『喰われる』という本能的な恐怖がパームを襲う。が、ここで退く訳にはいかない。
 タイミングは一瞬、外せば炎ごと喰われてしまうだけ。
 ナノと違い、ユーベルコードの防御もない。あの大口に噛みつかれれば、そのまま上半身が抉り取られてしまうかも知れない。

 その一瞬、絶妙なタイミングを見計らって。
「テーブルマナーがなってませんね」
 アレクシスの放つ漆黒の短剣が、『悪食』の開かれた大口をそのまま縫い付けた。
「アレクシスぅ~……」
 やっぱり怖いものは怖かったから。信じていた仲間の援護に、思わず涙腺が緩むパーム。
「ふふ、まだ終わってませんよ、パームさん。あの大口に、きついのを一発ご馳走して差し上げましょう!」
「うん……!」
 四叉に開いた大口の、その中心。
 食道の奥を目掛けてパームは圧縮した炎――『実火葛』を叩き込む。

 『実火葛』の強烈な爆発はその威力を外に漏らすこと無く、『悪食』の内部にて全ての力を解放した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



「ギ……ゴグ、ゴアァァ……」
 もはや“それ”は人の形すら留めていない。
 『悪食』であったものの、成れの果て。
 辛うじて残る縞の模様が、そこがかつて『悪食』の頭部であったことを指し示している。
 『手足の生えた肉の塊』――そう形容するのが妥当であった。

「ギュル……ゴ、バァァアアア!!」
 雄叫びを上げ、めりめりと盛り上がっていく肉。
 再生能力――『悪食』がユーベルコードによって、新たな頭部を生やそうと働きかけた、その瞬間。

「ハッ、待ってたぜ。もうとっくに解析は終わってんだよな。――対象データのコンパイル完了。ホストユーザー書換終了。No.005ハイジャック、実行」

 ヴィクテムの周囲に浮かぶ、0と1で構成された電子演算の術式。
 それは予め走らせておいたユーベルコード、Attack Program『Hijack』。

「ゴ、ガ……ググ……」
 再生しようと盛り上がった『悪食』の肉は、動きを鎮静化するとそのままただの肉塊へと姿を戻す。

「終わりだ、『悪食』。お前の命運はここで尽きた」

 端役の仕事はこれにて終了。
 後の始末は主役に任せ、ヴィクテムは自らの舞台を降りていった。
 
蓮花寺・ねも
😘
何度でも蘇るとも(医務室から)

――さて。
洒落で済むうちなら、未だ良かったのだがね。
この世界のオブリビオンはどうにも気を削がれるのだけれど、
どうやらおまえは別格らしい。
此処で仕留める。
油断せず相対そう。

あの腕は厄介だな。丸呑みにされてしまいそうだ。
理性がないのは幸いかな。
周囲に食材が残っているのなら、
念動力で飛ばして囮にしよう。
それで気が逸れれば上々だけれど。
上手くいかないなら、ぼくで如何だ。
腕を伸ばせば届くかもな。

そこへ落ちろ、【星の雨】

悪いとも思わんが、これ以上の悪食に付き合う心積もりはない。
おまえに喰わせる未来なんてないんだ。
そんなに食べたいのなら、その口すべてに詰め込んでやろう。


アポリー・ウィートフィールド
さて、本日最後の料理を喰らうとしよう。眼前の敵、悪食のオブリビオンを。

余った料理を両手に構え、【投擲】で敵の頭と腕、2つの口に叩き込みながら【ダッシュ】で一気に接近。敵の2つの口が塞がる僅かな隙にユーベルコード【総てを咬み裂く白き顎】にて敵を喰らう。目には目を。歯には歯を。捕食には捕食である。たとえ食いつかれてもそのまま喰らい返す。射程内に居るうちは攻撃の手を緩めるものか!


我では汝を完全に滅することは叶わぬが……我ら猟兵は汝らオブリビオンにとっての捕食者であること、そして捕食される恐怖と絶望は、骸の海に持ち帰ってもらう。


叶・都亨
いやぁ~闇鍋めっちゃ美味しかったね!!!(いい笑顔)

あれ?なんかそういう感じじゃない?
お互いの胃袋を健闘し合うみたいな、
ライバル校のエースと固い握手を交わすみたいなそんな展開じゃないの?!

上等じゃオルァーーー!!
計画潰されたくらいでブチ切れるなんてバーカ!バーカ!
すぐ潰されるような計画立てるのもバカだと思いまーす!!

っつって俺は近付いて戦えるタイプじゃないんで、
基本的に物陰(とか人)に隠れて攻撃するぜ!
アルデバランで【援護射撃】、しっかり狙って【スナイパー】で決めてやろう
あとはとにかく走って逃げる!近付かれなかったら俺の勝ちぃ!
遠いとこからとにかくチクチク嫌がらせしまあす!!

%


祷・敬夢

フハハハハハ!化けの皮が剥がれたな!
所詮はその程度、企みなんてものはいずれ暴かれ、子供は去っていくわけだ!
その点、カッコよさを求め、カッコよさの極みであるこの俺様は子供に大人気間違いなしというわけだ!
そのカッコよさを思う存分今から見せてやろう!


俺は速さを活かし、有利な位置取りをし、ド派手にマイティ・ピュイサ・シュテルクスを使い、極太レーザーをたらふく喰らわせてやろうッ!観客が驚くようなカッコイイやつをな!
したがって、近くに観客がいればあらかじめ注意程度はしておこう。それでも巻き込まれたらドンマイだ!

俺たちで最高の舞台を作ろうじゃないか!




「フハハハハハ! 化けの皮が剥がれたな! 所詮はその程度、企みなんてものはいずれ暴かれ、子供は去っていくわけだ!」
「いやぁ~闇鍋もめっちゃ美味しかったし、俺は割と満足してたんだけどね」
 高らかに笑い声を上げる敬夢と、その隣で腹をぽんぽんと叩き朗らかに笑う都亨。
 都亨としては、スポーツマンシップに則ってお互いの胃袋を健闘し合うみたいな、ライバル校のエースと固い握手を交わすみたいな……そんな展開でも良いと考えていたが。
「洒落で済むうちなら、未だ良かったのだがね」
 都亨の胸中に同意するかのように、ねもが続ける。この世界のオブリビオンはどうにも気を削がれるのだけれど、どうやらあれは別格らしい。
「此処で仕留める。油断せず相対そう」
「そうだな、本日最後の料理を喰らうとしよう。眼前の敵、悪食のオブリビオンを」
 アポリーも、ねもの言葉に同意した。その両手には、鋼鉄のロングソードを構えて。

 勝敗など、とうの昔に決していた。
 恐らくこの先何があろうとも、猟兵の勝利は揺らぐまい。
 しかし、だからと言って油断のできる相手ではなかった。
 大局で見ればただの「悪足掻き」に過ぎぬ相手の行動。
 そこには理屈など介在しない、純粋な暴力と悪意だけが残されている。

「ギ、ゴォォォアア!!!」
 そのボロボロな体躯からは想像できない程の強靭なバネで『悪食』が大地を蹴る。
 目にも留まらぬ速度で猟兵たちの元へと接近し、力いっぱい怪腕を叩きつけた。
「おおわっ、あっぶねぇ~~!!」
 都亨は大きく飛び退き、空中でくるりと一回転。スタジアムの壁の縁へと着地して、足をかけた。
「こっいつ……、上等じゃオルァーーー!!」
 怒号を発しながら、都亨は大型の弓『アルデバラン』に矢を番え、放つ。
 言葉とは裏腹に冷静に狙いを定め、その矢は『悪食』を正確に射抜く。見事に三射、放たれた矢は『悪食』に深々と突き刺さるが、相手に堪える様子はない。
「うっへ、全然効いて無くない!?」
「フハハハ! なかなか美しい射撃だが、まだ詰めが甘いな」
 輝く銀髪を掻き上げながら、敬夢が告げる。
「ここ一番で勝負を左右するのは、やはり演出。カッコよさを求め、カッコよさの極み――子供に大人気間違いなしであるこの俺様、そのカッコよさの真髄を! 今から思う存分見せてやろう!」
 敬夢は現世に舞い降りた天使の如く両手を広げ、謎の力で宙へと浮かびあがる。
 何処からともなく指す後光。観客が、場の空気が、世界が彼を味方する。
「世界すら飲み込む最強の力をたらふく喰らえ! 『マイティ・ピュイサ――シュテルクス』!!」
 敬夢から放たれた極太の電子レーザーが『悪食』もろとも大地を薙いだ。


「ゴ……グ、ガバァァ……!!」
 悲鳴を上げ、あちこち身を焦がしながら、なおも蠢く『悪食』。
「悪いとも思わんが、これ以上の悪食に付き合う心積もりはない」
 自らの肉体を囮にするように、『悪食』の前へと立つねも。
 大振りで繰り出されるその攻撃を、ひらりひらりと紙一重で躱しながら時間を稼ぐ。
「理性がないのは幸いかな。ほら、腕を伸ばせば届くかもしれないぞ」
 ねもの動きはお世辞にも俊敏とは言えなかったが、それでも被弾無く時間を稼ぎ続ける事ができたのは、要所要所で都亨の援護射撃があったからだ。
 都亨自身、「女の子に前衛を任せて、後ろからチクチク嫌がらせってどうなの!?」とは思ったが、自分はあまり近付いて戦えるタイプじゃないので仕方がない。仕方がないのだ。
「ありがとう、助かる」
「いや、いいっていいって! だって俺、ここで活躍しなかったら自分でキビヤック持ち込んでキビヤック食べて帰った人になっちゃうしね??」
 軽口を叩きながら、都亨は嫌がらせの射撃を継続する。
 その甲斐あってか、十分な時間――ユーベルコード発動の為の猶予は稼ぎ終えた。
 ねもは『悪食』を正面に見据え、指先を静かに『悪食』へと向ける。
「おまえに喰わせる未来なんてないんだ。そんなに食べたいのなら、その口すべてに詰め込んでやろう」
 攻撃を回避しながら、冷静に『悪食』を誘い込み誘導したその地点。廃棄軌道の指し示す先、終着点(ポイント・ネモ)。

「そこへ落ちろ、『星の雨』」

 まさに目と鼻の先。掠めるように降り注ぐ過去の残滓。
 砕けて墜ちたあの日の欠片が、『悪食』の肉体を灼き尽くした。


 スタジアムはもはや原型を留めていない。
 周囲が赤々と燃える衛生の欠片や瓦礫によって囲まれる中、アポリーはゆっくりと『悪食』に歩み寄り、相対した。
「我では汝を完全に滅することは叶わぬが」
 それは『悪食の欠片』であるが故に。本来の『悪食』の姿など、アポリーにとって知る由もない存在だが。
 アポリーは倒れ伏す『悪食』の両の口に、ロングソードを突き刺し地面へと縫い付けた。
「我ら猟兵は汝らオブリビオンにとっての捕食者であること。そして捕食される恐怖と絶望は、その身に刻んでもらう」
 アポリーの放つ『総てを咬み裂く白き顎』。
 視認すら不可能な、全てを喰らう噛み付きが『悪食』の肉体に大きな風穴を空けた。
 ひとくち、またひとくちと喰い進めるたび、『悪食』のパーツが失われていく。
「目には目を。歯には歯を。捕食には捕食を」
 さらばだ、『悪食』。汝の姿、反面教師として我が心に留めておこう。
 

 僅かに残された『悪食』の遺骸。
 そこから溢れ出すように、数多の魂が解き放たれる。

 それは――『首』だ。

 死してなお、オブリビオンとして染み出た後ですら戻る事のなかった、『悪食』によって喰われた者たちの首から先。
 それらが解放され、骸の海へと還っていったのだ。

 あくまでも『欠片』に過ぎぬ存在であるが故に、すべての魂が解放された訳ではなく。戻っていった『首』たちも、元の肉体に上手く巡り会える保証はないだろう。
 だが願わくば、その首が元の持ち主の元へと帰り、死者が安らかな眠りへとつけますように。
 
 
 
 ようやく追い詰めた宿敵のひと欠片。
 その最期を見届けて、親子は何を想うのか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月22日
宿敵 『悪食の欠片』 を撃破!


挿絵イラスト