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闇の救済者戦争⑱〜わが號叫は休む処を得ざれ

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #禁獣『ケルベロス・フェノメノン』 #囚獄の奈落 #夕狩こあら

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#禁獣『ケルベロス・フェノメノン』
#囚獄の奈落
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 ダークセイヴァー第三層、禁獣禁域に咆哮が響き渡った。
『我らが|惑星《ほし》には、何人たりとも近付かせぬ。たとえ其の者に悪心無くとも、熱き血潮の勇者であっても!』
 猛々しく殺気を迸るは、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。
 祈りの双子によって封印を解かれた「究極禁獣」が一体である。
 数百mの巨体に、ありとあらゆる軍事兵器を有する「三つ首の獣」は、目下、その体内に有する「殺戮の呪詛」を解き放ち、一瞬にして戦場を「ただ呼吸するだけで死の呪いが心身を蝕む魔境」に変えた。
 其は埒外の生命体である猟兵にも、等しく|破滅《ほろび》を齎す――宛ら死の園。
 無敵ゆえに唯一存在する事を許された禁獣は、かの|惑星《ほし》に到達する可能性のある者に対し、揺ぎ無い悪となり、また窮極なる邪となる。
『無論、貴様らもだ。六番目の猟兵達よ! いずれ「|重力の鎖《グラビティ・チェイン》」は貴様らを導くだろう。―― ならばその前に、ここで殲滅してくれる!』
 息苦しい瘴気が靉靆と漂う中、禁獣の邪眼が|炫燿《ギラギラ》と光っていた。


「月光城砦群に隠されていた『ケルベロス・フェノメノン』の欠落が判明したタイミングで、かの禁獣への|戦端《ルート》が開かれたわね」
 見事に制圧を果たした猟兵を労うは、ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)。
 コギトエルゴスム『ヘリオライト』を破壊すれば、禁獣の無敵状態を解除できると拳を握り込めた彼女は、早速、禁獣禁域に向かって欲しいと願い出る。
「猟兵の気配を察した『ケルベロス・フェノメノン』は、今、自身の体内に有する『殺戮の呪詛』を解き放って、戰場全体を死の瘴気が渦巻く魔境に変えてしまったの」
 其処は、吸い込む程に死の呪いが心身を蝕む禁域――。
 肺腑を持たぬ者にさえ滅びを齎す、恐ろしい呪詛の園の中心に禁獣が居ると説明したニコリネは、然し猟兵なら切り開く事が出来ると、その攻略を示す。
「この呪いを跳ね除ける手段はただ一つ。『魂の叫び』を放つこと」
 猟兵自身の非常に強い意思や願い、思いを込めた「魂の叫び」が死の呪いを跳ね除けるのだと確言した花屋は、どうか心を強く保ち、ケルベロス・フェノメノンに挑んで欲しいと云う。
「絶対に禁獣を倒したいとか、戦争が終わったらやりたい事があるとか、どうしても守りたい大切な人が居るとか、これを食べずには死ねないとか……それはもう色々! 其々の想いを言葉にして叫ぶの」
 でなければ、死ぬ。
 それ程までに強いのだと、改めて彼奴が難敵である事を示したニコリネは、然し猟兵なら必ず生きて帰ってきてくれると信じ、ぱちんとウインクする。
「皆の魂の叫びが、禁獣を凌駕すると共に、どこかの世界に繋がるとしたら……面白くない?」
 皆々の想いを、新たな世界を見せて欲しい、と――グリモアが光った。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ゆうかり)こあらと申します。

 このシナリオは『闇の救済者戦争』第十八の戦場、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』と戦うボス戦シナリオ(難易度:やや難)です。

●戦場の情報
 ダークセイヴァー第三層、禁獣禁域。
 数百mもあるケルベロス・フェノメノンの巨体から「殺戮の呪詛」が解き放たれており、戦場は「ただ呼吸するだけで死の呪いが心身を蝕む魔境」となっています。

●敵の情報:禁獣『ケルベロス・フェノメノン』(ボス戦)
 祈りの双子によって封印を解かれた「究極禁獣」の一体。
 我らが惑星に到達する可能性のある猟兵に対し、強い敵意を抱いているようです。
 先に⑰禁獣『デスギガス』が制圧されると、ケルベロス・フェノメノンは何処かに姿を消します。

●プレイングボーナス:『「魂の叫び」を放ち、死の呪いを跳ね除ける』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 二名様以上は【グループ名】を冒頭に記載願います。この場合も呼称があると大変助かります。
 また、このシナリオに導入の文章はありません。
 成功度の高い方から数名程度の採用とし、サポートも採用しつつ早期の完結に努めます。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』

POW   :    グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
あなたの事情など知ったことではありません
この私に向かって殺気を放ち呪いを向けた…
私の敵となったという事実だけがすべてであり
その自業自得故にあなたは滅びるのです

私自身の呪詛に満ちた結界を展開し相手の呪いを中和
地獄の炎はオーラと呪刻の麗衣で防ぎましょう
元より私は悪霊、呼吸など必要ありません
「呼吸するだけで」という条件など無意味

ええ、私は悪霊
希望をもたらす悪夢の化身
故に叫びましょう、我が誓いを
あらゆる希望は私がこの手で繋ぎ止めてみせると
すべての絶望はこの手で撃ち砕いて見せると

さあ消えなさい禁獣
大事な「惑星」とやらが滅んでいく光景を見ながらね
そう、それは私の見せる悪夢
あなたの心と体を共に砕く悪夢です



 蘭麝と馨れる黑髪の、さやと搖れる前髪の奧に覗く瞳は、宛ら漆黑の“鏡”。
 その虹彩に映れる者が殺氣を萌して自分を呪わば、全き同じものを返すだけだと、敵意を露わにする禁獣に相對した黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、紅脣を滑る言に隔絶を置いた。
「あなたは私に向かって殺氣を放ち、呪いを向けた。私の敵となったという事実の爲に、あなたは滅びるのです」
 三つ首の獸が抱える事情など知った事では無い。
 全ては自業自得であると、禁獸『ケルベロス・フェノメノン』が生んだ瘴氣の渦動に進み出た魅夜は、白磁の繊指を躍らせて方陣を描くと、己が周囲に結界を構築した。
『禁域に踏み入るか、六番目の猟兵……!!』
「悪霊である私にとって、死の呪いは障害になり得ません」
 心身を蝕む呪詛を呪詛を以て抗衡させた魅夜は、『呪刻の麗衣』に繋がれた鎖を|沙羅《しゃら》と搖らしつつ歩履を進めると、更に警戒して呪詛と魔力を迸る禁獸の前、轟と迸る地獄の炎を両の玉臂で布を斷つように切り裂く。
「私は悪靈、希望を齎す悪夢の化身」
『ッ、ッッ――!!』
「決意と共に新たなる道に歩み出した私を、呪詛や炎熱で止められよう筈もありません」
 一歩、一歩と死の園を歩ませるは、過酷な運命に決着をつけて得た「決意」。
 凄まじい呪詛が結界を浸蝕し、彼女の玉肌香膩や精神にも痛みを滲ませるが、魅夜は一縷と蛾眉を顰めず、死の呪いを跳ね除ける唯一の「魂の叫び」をここに表した。
「今こそ叫びましょう、我が誓いを。諸有る希望は私がこの手で繋ぎ止めてみせると。総ての絶望はこの手で撃ち砕いて見せると」
 凛然たる佳聲が暗澹の空に澄み渡るや、彼女のオーラが“眞紅の胡蝶”となって羽搏く。
 其は【|滅びの日、最期に舞うもの、紅き翅《ドゥームズデイ・オブ・エターナルレッド》】――妖しき翅の舞いが悪夢を紡いで精神を破壞すると同時、物理的に|泯滅《ほろび》を齎す鱗粉が煌々と|昏闇《くらがり》を踊った。
「さあ消えなさい禁獸」
『ッッ……我らが|惑星《ほし》が……踏破を許し、蹂躙されていく……ッッ!!』
「そう、それは私の見せる悪夢。あなたの心と体を共に砕く悪夢です」
 数百mもある巨躰が苦しげに悶えるのは、禁獸自身が像を結んだ悪夢の所爲。
 宛で山が動くようだと大地の鳴動を受け取った魅夜は、彼奴が見る景色こそ「どこかの世界」の映像に違いないと、怜悧に苦悶を見るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
鍵となるのは魂の叫びって話だ
[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁で身を守りつつ、全霊を込めて叫ぶぜ

「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
大事な人がいる。シンプルでありがちな理由だがこの意思は何よりも強い
かつて小剣に願いを込めて叫んだ他の世界の誰かのように願いを込めて打ち砕く
「俺達が紡ぐ未来を、現象如きが邪魔をするな!」

奴に直接触れられないよう[心眼]でしっかり動きを[見切り]ながらUCを繰り出す
高速でその巨体の周りを飛び回りながら突入角を計算、帝竜より学び取った超重力で圧縮された極大の焔の一撃、この拳で叩き込む!



 死の呪いに滿ちた昏闇の魔境に、一陣の風が渡る。
 靉靆と漂う呪詛の帯を斬ッと切り裂いて疾る槍鋩の如きは、灼光の鐵機『イグニシオン』。
 最新鋭のキャバリアを駆って禁域に進入した久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は、右手は操縦桿を強く握った儘、左手は胸元で輝くペンダントをぎゅうと抱いて言った。
「――鍵となるのは魂の叫び。想いが死を跳ね除けるなら、全身全靈で叫んで遣るぜ」
 鐵機の装甲にも染む「殺戮の呪詛」に蝕まれぬよう結界を構築し、オーラの出力を全開にする。
 この力を呉れたのは、紛れもない最愛の人だと『ヘリオンの凱歌』を掌に包んだ遥翔は、幸運の祝福に機体を輝かせながら一氣推進ッ! 数百mの巨躯を誇る禁獸『ケルベロス・フェノメノン』に照準を結んだ。

「輝けイグニシオン、俺達の未來を守り抜く爲に!」

 遥翔が哮る|號叫《さけび》、彼の魂を熱く燃やすは美し金絲雀の歌聲。
(「――俺には大事な人がいる」)
 其はシンプルでありがちな理由だが、この意思は何よりも強いと緋瞳を耀わせた遥翔は、超重力で圧縮された火焔を纏って翔けると、間もなく振り上がる怪腕の動きに全集中、時が止まるほど注視した。
『我らに抗うか、六番目の猟兵……!!』
「俺達が紡ぐ未來を、現象如きが邪魔をするな!」
 嘗て何處かの世界で、|小剣《グラディウス》に願いを込めて叫んだ者が居た。
 その誰かのように願いを込めて打ち砕くのだと、モニターいっぱいに迫る二筋の爪撃を巧みな操縦で遁れた遥翔は、怪腕が虚空を振り切った瞬間を擦り抜け、巨大かつ強靭な肉体の周りを稲妻の如く駆け回った。
『ッッ、迅速い――!!』
「帝竜より學び取った極大の焔の一撃、この拳で叩き込む! 煌け、イクリプス・バスター!」
 突入角を計算し、出力し得る最大の熱量、速度、そして力を以て突撃する。
 眩く耀く|太陽《いのち》の輝きを拳に籠めた遥翔は、【|闇を蝕む太陽《イクリプス・バスター》】ッ!
 鐵機ごと叩き込むように炎拳閃々、如何な攻撃も受け付けぬという禁獸の躯に痛撃の楔を打ち込むや、赫々と鮮血を躍らせた!
『ぜェァァアア嗚呼――ッ!!』
 彼の肺腑を燃やすは、死の呪いに非ず。
 偏に“大切な人を護りたい”という情熱が、炎の如く滾っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…時は来たれり!
忌まわしき三つ首の禁獣よ…さぁ行くぞ…我が名はアンナ!処刑人が娘也!

凄まじい呪詛…だが…
私が生まれ落ちたこの世界は常闇…地下墓地が如き世界…
ならば…上を目指すしかあるまい!地の底を駆けあがり…
この世界にあるかもしれぬ青空を…太陽を…星々を…この目で見届ける事だ!

処刑人の覚悟を胸に呪詛耐性と浄化で殺戮の呪詛を吹き飛ばし戦おう

地獄の炎纏いて【ゲヘナ・フレイム】を発動
敵目掛けて飛び掛かり、地獄の炎纏わせた鉄塊剣を叩きつけ
怪力と鎧砕きでその身を引き裂き、さらに地獄の炎浴びせて鎧無視攻撃で焼却、蹂躙してやろう…!

死を齎すのは貴様ではない…私だ…!
私は…処刑人だッ!!!



 生肝を取られ荒野に棄てられた妊婦は、死せる腹より|嬰児《あかご》を産んだ。
 息を吹き返し産聲を上げた子は、今、嘗てと同じく命の限り叫ぼうとしている。
「……時は來たれり! 忌まわしき三つ首の獸よ……さぁ行くぞ……我が名はアンナ! 処刑人が娘也!」
 処刑人の男に取り上げられた子の名は、仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)。
 絶望が覆う常闇、地下墓地が如き世界に生まれ落ちたアンナは、這いずるだけの運命を呪うより|上層《うえ》を目指そうと、紅蓮に輝く地獄の炎を纏って魔境に踏み入る。
「地の底を駆け上がり……この世界にあるかもしれぬ青空を……太陽を……星々を……この目で見る爲に、往く!」
 山の如き巨獸が敵意を剥き出しに此方を睨めるが、一縷の恐怖も無い。
 それ以上の死屍の山を見てきたアンナは、肺に入るや灼くような苦痛を齎す呪詛を奧齒に嚙むと、靈劍『|芙蘭舞珠《フランブウジュ》』を一振りして淨め払った。
「死の恐怖や痛みで止まる足では無い……!」
 靉靆と漂う呪詛を劍刃一閃して吹き飛ばし、内に入れば獄炎に灼き尽す。
 猶も蝕む鈍痛を靴底に踏み拉いて進んだアンナは、それ以上の接近は許さぬと怪腕を振り上げる禁獸『ケルベロス・フェノメノン』を前に、更に距離を詰めた――!
『我らが|惑星《ほし》に到達し得る者……六番目の猟兵め!』
「我はアンナ……アンナ・アンダルシャナ……!」
 処刑人は執行前に名乗るもの。
 男より譲り受けた覺悟を示したアンナは、鐵塊の如き巨劍を雪膚に疾らせると、【ゲヘナ・フレイム】――忽ち血溝を疾る地獄の炎を刀身全体に燃え盛らせ、飛び込みざま灼熱の斬撃を叩き付けたッ!
『ッ、ッ……貴樣が持つその重力、|鹵略《うば》ってやる……!!』
「その前に……私が蹂躙する……!」
 炎劍『錆色の乙女』が鮮血を噴かせた瞬間、感覺が變わった自覺はある。
 腕が千切れるほど重くなったり、斬撃が輕くなったり――其が重力であるかは知らないが、己は鎖に繋がれぬと魂の|號叫《さけび》を露わにしたアンナは、内なる炎が滾る儘に焼刃を打ち払い! 叩き付け! 斬り払った!
「死を齎すのは貴樣ではない……この私だ……!」
『くッ、ッッ――!!』
「私は……処刑人だッ!!!」
 炎々と滾る焔を映し、赫々と輝く黑瞳。
 その怖ろしくも美々しき瞳は、諸有る武装が剥がされては虚空を躍るのを聢と映していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
ケルベロス・フェノメノンとやらが何を知り、何を目的として動いているかは分からないが
放置すればこの世界が滅びるだろう……であれば、戦うしかない

俺が叫ぶのは刀を振るう理由
託されたもの、受け継いだものの為に戦うと誓った。それは今、この時も変わりない
叫び、神刀を引き抜くと共に黎の型【纏耀】を発動。真の姿に変身して戦闘能力を強化

とはいえその状態であっても、相手の攻撃を刀で受け流すのは困難か
兵器攻撃を斬撃波で弾き飛ばしつつ接近。重力の与奪は神気の加護で影響を弱めつつ、感覚で動きを調整

強大な相手だからこそ勝負を焦ってはいけない。脚部など、攻撃が確実に届く箇所を狙って斬り込み、少しずつ崩していこう



 祈りの双子が究極禁獸を解き放ったのは、最善を尽す爲と云う。
 而してかの双子が『神殺しの剣』と呼んだ禁獸ケルベロス・フェノメノンは、猟兵が“我らが|惑星《ほし》”に到達する可能性が高いからと殺氣を迸っている樣だが――立ち開かる理由は其だけであろうか。
「禁獸が何を知り、何を目的として動いているかは理解らないが……放置すればこの世界は滅びる」
 眼前の惨景を見れば|瞭然《わか》る。
 昏闇に靉靆と漂う「殺戮の呪詛」が齎すは、万物の死――肺腑に侵入した呪いが灼けつくようだと咳込んだ劍士は、然し翠眉を顰めたのも一瞬の事。長い睫を凛と持ち上げた。
「……であれば、戰うしかない」
 紅脣を滑る科白に決意を示した夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、神刀『無仭』を抜くや、沸豊かな白刃より迸る神氣を全身に纏った。
「幽冥を越えて暁へと至る。――黎の型【|纏耀《テンヨウ》】」
 神器一体の境地に至って暴かれたるは、鏡介の「眞」なる姿。
 濡羽色の艶髪を月光を浴びたように白く染めた彼は、兩の烱瞳を熾えるような東雲色に輝かせ、澎湃と溢れる神氣を炎の如く赫々と、己に浸蝕する「死の呪い」を悉く焼き尽す。
 神刀本來の力を正しく使った鏡介は、猶も縋りつく呪詛を跳ね除けるに「魂の|號叫《さけび》」を、腹底から聲を張った。

「託されたもの、受け継いだものの爲に戰うと誓った。それは今、この時も變わりない――!」

 鏡介には刀を振るう“理由”がある。
 選ばれた者の責務を負って研鑽を積む彼は、その極致に至った躯ごと敵懷に飛び込むと、迎撃に振り上がる怪腕爪撃を目尻の際に掠めながら刃鳴一閃ッ! 間もなく放たれる砲撃を斬撃波で彈きながら接近する。
(「強大な相手だからこそ、勝負を焦ってはいけない……!」)
 拇指球の踏み込み、刀を振う兩腕の強さなど、己の挙動に變化が起きている自覺は充分。
 重力を与奪される違和感を、強く神氣を纏う事で弱めた鏡介は、劍技と共に練磨した「感」と「勘」を更に鋭く――巨樹の如き禁獸の脚部に烱瞳を疾らせると、強靭な防御を打ち崩す一撃を叩き付けたッ!
『ぐッ……、嗚呼ッッ!!』
「少しずつ崩していこう」
 呪詛によって死ぬで無く、己が意志で命を削る。
 強靭な覺悟を神刀に乗せた劍士は、眼前の巨塊が赫々と血斑を躍らせる光景を慥かに見るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ピオニー・アルムガルト
でっかいワンちゃんねー。
しかも敵意剥き出しで、愛嬌がないと嫌われちゃうわよ。その外見だとどっちみ無理っぽいけど。

魂の叫びか…。私にとっては生きる事が一番大事!
ダークセイヴァーでの暮らしは死が隣人みたいな、常に生きるための戦いを強いられてきたから、生きるって事は私達の礎を築いてくれたご先祖様や死んでいった仲間たちの供養になると思うしね。
だから理不尽な攻撃で死ねないし死んであげないわよ!
私の想いが乗った人狼方向を受けてみなさい!

回避は野生の勘頼り。
巨躯な敵なので攻撃は数と範囲で頑張るわ!



 死の黑風が吹き荒ぶ魔境に踏み入るや、山の如き禁獸が瞳に迫る。
 尋常ならその巨影に圧倒される処、ピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)は片手を額に翳し、逆の手を柳腰に宛てて言った。

「でっかいワンちゃんねー」

 でっかいワンちゃん。この一言で収める胆力よ。
 更に佳人は繊手をヒラリ翻すと、イキッた犬を見るように翠眉を顰めた。
「しかも敵意剥き出しで……愛嬌がないと嫌われちゃうわよ?」
 畢竟、心は鏡。
 強く敵意を向けるほど、同等の感情が返されるものだと溜息を挟んだ彼女は、強面の三つ首を其々見て肩を竦める。
「その外見だと、どのみち無理っぽい……?」
『ヨシ死ね!』
 挑発する気は無かったが、結果、ピオニーは禁獸『ケルベロス・フェノメノン』を嗔らせた。
 滾る瞋恚を「殺戮の呪詛」と變えた巨邪は、背に負う機械兵器群の筒先を集めると、彈丸の嵐を叩き付ける――!
『六番目の猟兵め!! 我らが|惑星《ほし》には至らせぬ……地獄に堕ちよ!!』
「わっわっ、これは回避一択ね!」
 而してピオニーは判斷が迅い。
 激烈な砲烟彈雨を勘ひとつで躱した彼女は、その行動の根底にある信念を聲を張って告げた。

「私にとっては生きる事が一番大事! 逃げも一手よ!」

 命を守り、生きて、繋げる。
 其がどれだけ素晴らしく得難いかは、常闇に生きる者だからこそ知る事。
「ダークセイヴァーでの暮らしは、まるで“死が隣人”みたいな、常に生きる爲の戰いを強いられてきたわ」
 吸血鬼による支配と搾取。異端の神の脅威。人狼病。
 多くの困難が多くの命を犠牲にするのを見てきた瞳は、然し金彩の光を失わず。
「生きるって事は、私達の礎を築いてくれたご先祖様や死んでいった仲間達の供養にもなると思うしね!」
 砲音が轟々と哮る中、逆巻く熱風に蘭麝の髪を躍らせて疾るピオニー。
 肺腑に染む呪詛に灼けるような痛みを覺えつつ、それでも大きく息を吸った佳人は、【人狼咆哮】――死の呪いを跳ね除けると同時、高威力かつ無差別の音撃を解き放ッた!

「理不尽な攻撃で死ねないし、死んであげないわよ! 私の想いが乗った|號叫《さけび》を受けてみなさい!」

『ッ、ッッ――!!』
 ピオニーを中心に月弧を描いた衝撃波が疾り、禁獸が背負う兵器群を続々破壞していく。
 肌膚を切り裂く激痛に加え、間近で暴発する兵器に大きく躯を傾けた巨邪は、忌々しげに蹈鞴を踏むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榊・霊爾
私は大声を出す性分ではないが…さて、叫びたくなる程の事はあったか?

あぁ、この炎…
そういや、私は忌み子だったな
禁足地の限界集落、悪魔憑きだと生まれて早々│お焚き上げ《火炙り》されそうになった(見切り・ダッシュで弾丸の嵐を回避)

偶然居合わせた養父が止めに入り養子になり、剣術を習い、用人に化けたUDCを何体も暗殺し、今がある(カウンター・受け流しで追撃を弾きつつ急接近)

独立するとき養父言われたさ
「好きに生きろ」って
多感だった私はその時こう言い返した

『頼まれなくったって生きてやる!』 …ってね
(至近距離で鶚を用い『啓示』の抜刀を放つ)



『六番目の猟兵よ!! 我らが|惑星《ほし》に至る可能性が僅かにもあるなら、貴樣らを滅ぼす!!』
 禁獸『ケルベロス・フェノメノン』は、目下、滾る瞋恚を火砲光彈の嵐に變えている。
 其が理不尽な怒りだとは、彈雨に紛れる溜息に拾えよう。
「……家賃が未納なら、それくらい怒っても良いだろうが、まだ|入居《はい》った訳でも無ければ、見てもいまい」
 まるで言掛りだと言いつつ死の園を駆けるは、“不動産屋のシャッチョさん”こと榊・霊爾(あなたの隣の榊不動産・f31608)。
 靑藍の玉瞳を烱々と、無数に降り注ぐ光条彈道を見切って疾った彼は、間際を掠める爆風、我が白皙に觸れる焦熱に嘗ての記憶を呼び醒していた。
(「あぁ、この炎……そういや私は忌み子だったな」)
 生まれは禁足地の限界集落。
 集落の者に「悪魔憑き」と恐れられ、早々に│お焚き上げ《火炙り》されそうになった処、偶然居合わせた男が止めに入り、養父となった。而して一命を得た仔は、劍術を習い、研鑽を積み、いつしか要人に化けたUDCをシバき回す|暗殺者《アサシン》になっていた。
(「お陰で“|友人《トモダチ》”も沢山できた」)
 眼路に迫る砲彈の射線に『鵲』を擲げ入れ、空中爆発させる。
 可ッと閃く爆炎を隱れ蓑に禁獸へ接近した彼は、己が独立する時に養父が云った科白を、己が口を衝くように返した言を、山の如き巨影を前にした瞬間に|捺擦《なぞ》っていた。

「――“好きに生きろ”って? 頼まれなくったって生きてやるさ!」

「嗚、相應に多感だった」
 大聲を出す性分では無いが、あの時を思えば腹から|號叫《さけび》が出る。
 魂の聲を引き出すに随分と回り道をした自覺はあるが、而して發氣するからこそ呪詛を払い、不動・無表情になれると無の境地に至った霊爾は、抜刀『|啓示《カミダーリ》』――さやと抜き放つ大太刀『小夜啼鳥』に己を預けた。
『ッッ、ガァァアア嗚呼ッッ!!』
 刃鳴一閃、早瀬を|遡上《さかのぼ》る魚鱗の如く美々しい斬撃が至近距離から嚙みつき、袈裟掛けに赫き牡丹の花を咲かせる。
 其は黄昏を告げる致命的な一撃で、三つ首の獸が揃って絶叫を裂くと同時、不氣味な慟哭が重なった。
「……貴樣も今に加わる」
 これまで仕留めた|地下連中《オブリビオン》の魂の號叫を聽いた霊爾は、ぽつり、靜かに言を置いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 ケルベロス・フェノメノン、あなたも、デスギガスも、咎人さん達はみんな自分の事ばかりで、あなた達オブリビオンがみんなをどれほど苦めているのか知ろうともしない。この世界はあなた達のおもちゃじゃないの、どうしてそれが分からないの!

 叫ぶと同時に、彼から放たれた呪詛と魔力塊は〈ジャンプ〉で大きく距離を取って直撃を避けて、〈浄化〉の〈結界術〉で余波の防御を試みるわね。完全に防ぐのは難しいけど、今この時だけ戦えれば十分。【UC:慈悲なき冬、来たれり】(WIZ)を発動よ。

 このままあなたを放ってはおけないわ。わたしはこの世界で生きる人を守りたい。だから、あなたを倒すわ。

(アドリブ負傷等々大歓迎です)



 禁獸禁域より解き放たれた邪は二躰。
 そのどちらも、世界に死を齎す脅威だ。
「……咎人さん達はみんな自分の事ばかり。あなた達オブリビオンが皆をどれほど苦めているか知ろうともしない」
 昏闇たる魔境を前に、翠緑の瞳が哀しげに色を搖らす。
 最早、数多の絶望を抱いてきた常闇自体が壞れてしまうと、ふるふる|頭《かぶり》を振ったゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は、然し敢然と一歩を踏み出した。
(「――わたしは」)
 わたしはゾーヤ。万年雪と絶望に覆われた村で育まれた、唯一の希望。
 希望が絶望に呑まれてはならぬと、綺羅と光れる『氷華の聖痕』に手を添えて進んだ聖者は、山の如き高みから己を睨める巨邪に訴えた。
「この世界はあなた達の玩具じゃないの、どうしてそれが分からないの!」
 生命は弄ばれるものでは無いと、其を言えずに果てた者達に代わって告ぐ。
 己が口が万人の|號叫《さけび》を代わるべきだと佳聲を澄み渡らせた聖女は、返答として放たれる魔彈に烱瞳を絞ると、橫ッ跳びに回避して直撃を遁れた。
『我らの憂いは、貴樣らが“我らが|惑星《ほし》”に到達するか否か!!』
「っ、っ!」
『僅かにも可能性があるなら鏖殺す!!』
 着彈地点に炎が広がる傍ら、受身を取って体勢を整えるゾーヤ。
 追撃の呪詛彈が飛び込めば、膝を付きながらも結界を構築した佳人は、ケホッと咳込んだのも一瞬、肺腑に染み入る呪いを淨化して死を遠ざける。
「完全に防ぐのは難しいけど、今この時だけ戰えれば十分……っ!」
 己が踏み締める大地の下層には、ここまで至れなかった沢山の命がある。
 今の痛みを彼等の痛みと受け取ろうと立ち上がったゾーヤは、聖痕を眩く耀かせて云った。

「このままあなたを放ってはおけないわ」
『ッッ其は我らも同じ事――』
「わたしはこの世界で生きる人を守りたい。共に在りたい。――だから、あなたを倒すの!」

 激しい彈雨に結界が崩れゆく中、魔彈に被せるように降り注ぐは氷の槍。
 目下、魔境を覆い尽すは【|慈悲なき冬、来たれり《ジャッジメント・コキュートス》】――大気を煌々と輝かせながら凍りつかせる氷雪。
 かの嚴冬は、然う、ただ呼吸するだけで死に結ぶ凍氣を齎した。
『くっ、ぉおお!!』
 巨躯が氷槍に切り裂かれ、吸い込む風が肺腑を灼く――宛ら氷獄。
 一気に動きを鈍らせる禁獸を見たゾーヤは、死に至るまで渾身の魔力を迸るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
「…い、い…参り…す!」
究極禁獣に私の技がどれだけ届くのか…試しますね。
これが『魂の叫び』になるかわかりませんが…本心です。

リミッター解除後に限界突破し重量攻撃と破魔を刀に宿らせます。
『兼元』の一振りで【神滅 弐之太刀『神裁』】を使用しますね。
…防御のことは考えずに一撃に私の今の全てを籠めて…。
禁獣の攻撃は見切りと野生の勘と第六感で極力回避しようと。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
これが禁獣かー。凄くかっこいいじぇ~♪
「墨ねーを護るじぇ!」って本心をいうじょ。
どーやら墨ねーは自分の護りを考えないみたいだしねぃ。
…これが『魂の叫び』になるのか不安ではあるんだけど。

パフォーマンスで僕の運動能力を上げてから限界突破を。
それから封印を解いて多重詠唱しながら【雷神の大槌】♪
あ。速度と威力の維持は継戦能力で。脚に重量攻撃を付与。

墨ねーに一呼吸遅れる感じで禁獣に蹴りを入れるじぇ♪
同じ部位を2回攻撃で蹴って禁獣ぶっ飛ばせないかな?
2度目の蹴りはクイックドロウと零距離射撃で蹴ってみる。
蹴る時に鎧無視攻撃と鎧砕きも加えておこうかな。



 五卿六眼『祈りの双子』が解き放った禁獸が一、ケルベロス・フェノメノン。
 殺戮の呪詛に滿ちた昏闇の魔境には、目下、山の如き巨躰を誇る異形が猟兵達を待ち構えているが、無尽蔵に溢れる瘴氣や魔力は勿論、黑鐵の砲筒、更にはオーバーテクノロジーの機械兵器など、諸有る軍事兵器を揃えたその威容は、尋常なら気圧された事だろう。
 ――尋常なら。
 だが然し、この兵器マシマシてんこ盛りの巨獸を前に、少女は好奇の瞳を|絢粲《キラキラ》と輝かせていた。
「これが禁獸かー。頭が三つあって、兵器をたっくさん背負ってて、かっこいいじぇ~♪」
 珠のように澄む美聲の主は、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)。
 不思議の國でも樣々なオウガに遭遇したが、これ程の躯、これ程の兵裝を備えた者は居なかったと、ちみちみアリスはまるで動物園に來たかのよう。惨憺たる死の園でも花顏を輝かせている。
「……盛り……ぎ……では……」
 一方、弁慶も斯くはあるまいと、繊細く佳聲を囀るは浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)。
 蓋し無理も無かろうか、ロベルタは劍と銃の扱いに加え、秀でたプログラマー能力を有し、足技もキレのある謂わばオールラウンダー。多彩な攻撃手段を持つ禁獸に寄り添える部分があるだろう。
 逆に、墨は特化型と云うべきか――切揃えた前髪の奧で「三つ首の獸」を捉えた佳人は、刀袋より『真柄斬兼元』を取り出し、靜かに凛然を兆した。
「……死の呪い、が……心身……を……む、前に……」
「う! 今日も元気に速攻だじょ♪」
 幾許か言を交したこの時も、二人が吸う空気は肺に灼くような痛みを齎している。肌膚もそうだ。
 禁獸の呪詛が躯の内外を蝕み、軈て精神を害するだろうと視線を結び合った二人は、揃って呼吸を整えると、全集中――魔力を極限まで励起させて身体能力を飛躍し、浸蝕のスピードを抑える。
 而して淸らかな白光のオーラを纏った二人は、雪嶺の鼻梁を『|現象《フェノメノン》』に向けて踏み出した。
「……呪詛、を……跳ね除……る……唯一の……」
「うんっ、“魂の叫び”を放つんだったねい」
 試されるは胆力。
 お互い、どんな想いが|號叫《さけび》となり、死の呪いに打ち克つかは不安な面もあったが、偽りない気持ちを明らかにするならと、丹花の脣はスウ……と開かれた。

「……い、い……參り……す!」

 自身の聲を嫌悪する墨が、無口な墨が精一杯に告げたのは――挑戰。
 軍事技術の粋を集めた究極禁獣に、刀一本でどれだけ渡り合えるか。試したいと思う気持ちは本心だと爪先を彈いた墨は、颯ッと吹き渡る破魔の風となる。
(「……私の、技が……どれだけ……届くか……」)
 ロベルタこそ陽気なものだったが、墨とて恐怖は無い。
 全てはこの刀を、数多の戰場を共にした『兼元』を届けるのみと加速した墨は【|神滅《カミゴロシ》 弐之太刀『|神裁《カミタチ》』】ッ!
「滅せ……」
 渾身の一撃は振り切った後が無防備となるが、今は考えまい。
 持てる力の全てを籠めようと決めた墨は、鯉口を切った愛刀を構えるや、魔神の如き劍氣を巨塊に叩き付けた!
『ぐッッ……六番目の猟兵め……!!』
 届いた――!
 足元から抉るような刃撃を受け取った禁獸が、瞋恚を露わに己を睨めるが構わない。
 赫々とした血斑が牡丹の花の如く躍る中、ケルベロス・フェノメノンは怪腕を一振りして墨に爪撃を喰らわせると、彼女の躯にある重力を操作して地面に擦り付ける。二撃目を拒む故にだ。
『嗚呼、否應にも知れる!! 貴樣ら猟兵が、我らが|惑星《ほし》に到達する可能性を……!!』
 此處で鏖殺せねばならぬ! 打ち砕かねばらなぬ!
 重力を奪われた墨が追撃の爪をなんとか躱す中、禁獸は背面の武装を全展開、呪詛と魔力に溢れた炎彈を浴びせんと閃光を放つ。
 而して、その時。
 一縷と曇らぬソプラノが雷光を連れた。

「僕が墨ねーを護るじぇ! 絶対にっ!」

「だって墨ねーは自分の護りを考えないみたいだしねぃ。僕が何とかするじょ♪」
 殺伐たる戰場に朗々と佳聲を澄み渡らせたロベルタが、背面の兵装の更に上から墜下して來る。
 墨の攻撃に一呼吸遅れて禁獸に肉薄した少女は、白熱する武装へと踵落とし! 長大な鞭の如き蹴撃を垂直に入れて兵器群を破壞すると、次いで三つ首の獸のひとつに踵を呉れてやった――!
「Uccidi i nemici in orbita con l'aiuto del ruggito!」
 魂の號叫が齎したのは、【|雷神の大槌《ミョルニル・ハンマァー》】。
 超光速で獸の頭上にキックを落としたロベルタは、宙空で更に加速してもう一蹴ッ!
 今度は別なる獸頭の橫ッ面を蹴り飛ばし、最後の獸頭にぶつけて火花を出させる。
「墨ねー、今だじょ♪」
「……り……した……」
 宙空でロベルタがそう云えば、墨は「心得た」とばかり冱刀を一閃。
 禁獸は天衝く斬撃に全ての首を狩られ、六番目の猟兵の“可能性”を認めさせられるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月17日


挿絵イラスト