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闇の救済者戦争⑱〜怨嗟の無い明日は

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #禁獣『ケルベロス・フェノメノン』

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#禁獣『ケルベロス・フェノメノン』


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●repentanceを吼える
 禁獣は|号《さけ》ぶ。
 数百mの巨体を誇り、惑星を揺るがす三つ首はどれもが猟兵の前で武装を向ける。
 これなるは地獄を連れた番犬だ。オーバーテクノロジーの機械兵器を備えた強靭な獣。
 無尽蔵の魔力と呪詛に塗れた、――|フェノメノン《現象》だ。
 そこにあるだけで空気は重く、そこにあるだけで地獄として存在する。

 我らが|惑星《ほし》に、何人もたりとも近づくな。
 例え其の心に悪心の欠片等一つとして存在せずとも。
 悲しきに等しく涙する優しい善良を抱く存在であろうとも。関係ない!
 悪となりて邪となりて、我らが惑星に到達する可能性のある者は、全て打ち砕くのだ!

 貴様らとて例外はない!
 六番目の猟兵たちよ――いずれ、『|重力の鎖《グラビティ・チェイン》』は貴様らを導くだろうが、だがならばその前に!
 此処で殲滅してくれる!抵抗するなら、してみせろ!
 我は此処で、地獄を号び終わりを告げよう!

●殲剣の理を添えて
「本来どんな武器もユーベルコードも受け付けない無敵の獣も、綻びを持つものさ」
 狼姫・荒哉(吹雪謳う爪牙・f35761)はゆるく笑って、資料を叩く。
「月光城砦群に隠されていたのは、コギトエルゴスム『ヘリオライト』――欠落の名前は、そんな宝石の形をしていたそうだね。今や、破壊されて無敵の力は失われたようだから、君たちはあの侵略者を許さない禁獣だって倒せるかもしれない」
 無敵の力を失い、滅ぼす可能性が生まれたとは言え、あの獣は無尽蔵とも思える生命力を持つ敵だ。
 此処ではないどこか、至る道を閉ざすために聳える大きな障害であり、|番犬《ケルベロス》だ。
「彼は破壊に対して気を抜かない殲滅者。巨体なこともあり、ありとあらゆる軍事兵器を保有する神殺しの剣でもあるのでしょう。どんな手段でも敵対した存在を穿つモノ、……うん、言葉にすると余計に強敵に聞こえるね」
 戦場は加速度的に地獄の様相を深めるだろう。
「……ケルベロス・フェノメノンは自身が攻撃を放つのと同時に、時折体内から一振りの光り輝く「|小剣《グラディウス》」を落下させることがあるんだけどね。それは彼が武装として使うものじゃ、ない。むしろ、猟兵の味方をしてくれるはずだよ、具体的にはそう……ケルベロスに対して放つユーベルコードを大幅に増幅させると思う。回収して不利を負うのは常にケルベロスってことさ。強敵相手に、「|小剣《グラディウス》」を拾い上げて攻撃を、……なんて難しい注文をつけているようで心苦しんだけどね」
 でも、君たちならきっとできちゃうんでしょう?
「それは『どこかの世界』に繋がる力を秘めたものだからケルベロス殺しの剣として以外にもなにかに利用できそうな気はするね。「|小剣《グラディウス》」を持ち帰ってもいいけど、何かあったら貸与して貰うけどね?手に入れる事には意味があるさ……後のことは、落ち着いてから考えるべきだし、みんなには色々、頑張って貰わないといけないけれど、ね」


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 この依頼は【一章で完結する】戦争系のシナリオです。

●プレイングボーナス
 |小剣《グラディウス》を拾い、ユーベルコードを増幅する。

●簡単な概要
 相手は、数百mの巨体。祈りの双子によって封印を解かれた「究極禁獣」の1体です。
 気性は荒く殲滅行動に対して好戦的。猟兵を滅ぼせ!の理念で動きます。
 また、ケルベロスは自身の攻撃のタイミングで体から|小剣《グラディウス》を落とします。それを拾い、|小剣《グラディウス》の補正による強化したユーベルコードを叩き込み続けよう。

●その他
 断章などはありません。この戦場を制圧すると、敵が落とした|小剣《グラディウス》はその場に残り、小剣に連なる調査依頼などに戦後に続いていく場合があるようです。ただ、先に⑰禁獣『デスギガス』が制圧されると、ケルベロス・フェノメノンは何処かに姿を消します(このシナリオでは場合により討伐できたとしても)。運用は、時間ギリギリになる可能性が高いです。早い返却は少し難しいですが可能な範囲で頑張ります。
 ご留意いただけますと幸いです。
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第1章 ボス戦 『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』

POW   :    グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クラリス・シドルヴァニス
【WIZ】
あれが禁獣ケルベロス…なんて巨大な怪物なのかしら。今度の相手も手強そうね。

天馬エクレールに騎乗し、空を飛びながら戦います。《動物使い》《動物と話す》技能でエクレールと心を通わせ、《空中戦》《空中機動》で敵の攻撃を誘い、呪力弾の回避に専念するわ。その際に攻撃の予備動作や、有効打を与えられそうな死角を探したいわね。ケルベロスが小剣を落としたら、それを空中でキャッチして【気炎万丈】発動!ブレイブハートで自身とエクレールを《鼓舞》して士気を高め、《騎乗突撃》《ランスチャージ》でケルベロスを全力攻撃します。騎士らしく、どんな敵にも怯むことなく立ち向かう。それが私よ!



●駆ける空に勇気を刻め

「あれが禁獣ケルベロス・フェノメノン……」
 見上げるには大きすぎる巨体。威圧的な三つの首の――特に多眼の中心、内包する|太陽の光《ヘリオライト》で睨む獣と目があった。ぎろり、と全ての目がこちらを向いた。だが、クラリス・シドルヴァニス(天翔ける騎士・f27359)は臆さない。
 無敵と呼ばれる理由を、その視線の圧力に感じたのは言うまでもない。ひと睨みだけで、攻撃的姿勢を顕にするのは相当な――戦いの中に身を置いた者の闘争本能のような物だろう。
 ――…なんて巨大な怪物なのかしら。
 総評として、クラリスは思う。単体で、殺し尽くしてきた戦争屋。そのような|フェノメノン《現象》。
 あれでいて人類の言葉を解し己が正論の牙を通じて"話すのだ"。
 地獄の番犬として、蹂躙するためだけに殺戮を行う事を良しとして、何かを護らんとする荒ぶる獣なのだ。
「今度の相手も強敵そうね、行きましょう――エクレール」
 天馬エクレールの首を撫でるように触れて、騎乗する。
 あなたは空駆ける天馬。決して屈する者ではなく、空を制する者。
『ちょこまかと!空を駆ける小鳥とて、我が砲撃の中で生き延びる事など出来ようものか!』
 身を低く、背負う重機を稼働させていく。重苦しい装填の音、かぱかぱと射出口を開き、超重量の呪詛と魔力の塊をミサイルの弾丸として打ち込みばら撒く。
『空気は重く、終わりは近く。破滅と殲滅の限りを尽く行い続けよう!』
「エクレール、できる限りの離脱を!」
 天馬は意を賢く汲み取って、呪詛弾の群れを掻い潜る。広い空だ。誰も飛行を邪魔など出来ない。
 クラリスが躱した弾丸は、そのうち地上に舞い落ちて――吼える獣の一撃は、逆巻く呪詛の風を爆煙が如く、立ち上らせる。
 地獄のように広がる呪詛の魔力で広範囲が満たし、呼吸するのも嫌になるくらい胸を焼く――。
 クラリスはエクレールと心を通わせて上空へ逃げ、被爆圏内から離脱して地上を見る。
 着弾先は地獄の炎を撒き散らし、あれでは誰も生存を主張できやしない。
 それは獣の嘆きの象徴のようで、どこまでも戦い続ける獣を孤高の一匹狼にした事だろう。
『逃げるな猟兵!戦え、死を恐れぬのだろう!』
 ガァとそれぞれの頭が、吼え号ぶ。あの獣は、飛ばない
 では叩き落としてやるとすぐさま予備動作代わりに身を屈め、次弾装填の構えに移る。
 あれこそは、殲滅式の重戦車。動きを最小にする代わりに、殺す事に特化した獣。
 無尽蔵の魔力で装填する呪詛弾は、尽きることがない。
 だが――構える。
 その瞬間にふわふわと、体から溢れた一振り――煌めく小さな輝きをクラリスは確かに見たのだ。
「ええ、恐れません。ですが、ただ逃げていたわけでもないのよ」
 天馬を駆り、クラリスはすかさず空中で小剣を拾うようにして手に取り、そして再び大きなケルベロスへと向き直る。
「さあお望み通り、一気に叩くわよ!」
 其れなるは、ブレイブハートを高めた気炎万丈(キエンバンジョウ)。
 勇気を滾らせ、エクレールを鼓舞し――神さえ痛みを理解する一撃を与えよう!
 普段よりも何倍も"私ならば出来る"と勇気が溢れ出した。
 ――そう、エクレール、あなたと一緒なら!
 ペガサスは応えて嘶く。
 騎乗突撃の構えを取ったクラリスに合わせて翼をやや畳みながら落下加速度も合わせて挑む。
 ランスチャージの要領でに、構えた武器をすれ違いざまにその首めがけて穿ち、崩さん!
「騎士らしく、どんな敵にも怯むことなく立ち向かう――それが、私よ!」
 ぐらり。ケルベロス・フェノメノンの巨体が、ぐらりと揺れたのだ。
 衝撃は間違いなくかの獣に届き、揺さぶった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズホ・トヒソズマ
※連携・アドリブ歓迎

攻撃した後のアレの足下のを拾えとか本当に無茶ですね?
ま、なんとかしますけどね
こちらにも戦ってきた過去がありますからね!

人形は◆早業で◆操縦
ライダを空中対応飛行形態に変化し◆騎乗し飛翔
クロノの遅延竜巻を弾丸や着弾後の炎に発射
遅延したものをライダで回避し
炎で移動が狭まらないように空を舞う

反動がきつそうですが大物相手
出し惜しみはしません
UCを発動
生と死を分かつものの力を使用
戦場全体に無数の触手を発生
触手に敵を攻撃させ
別の触手に小剣を拾わせ投げさせた物を空中でキャッチ

触手で牽制し
クロノの加速竜巻を纏い一気に接近
増幅したキリングホールで発生させた死の渦に敵を巻き込み生命力を奪います


久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
無敵能力が失われたとはいえ未だ圧倒的な相手、小剣を回収するまでは[残像]による回避に専念する
蓄積された[戦闘知識]と研ぎ澄まされた[心眼][第六感]で敵には直接触れないように立ち回りながら小剣の落下を[見切り]、右掌に回収だ
ここからは小剣で増幅したUCで反撃
一枚に束ねた焔の翼を片翼に、全力ダッシュですれ違いざまに、小剣でさらに増幅した巨大な焔翼で断ち切り[焼却]していく
「俺達は未来に飛び立つ。邪魔をするなァ!」

回収できそうなら小剣はそのまま回収しよう



●|重力《グラビティ》なんて関係ねえ!!

 ケルベロス・フェノメノンが勢いに揺らいだ。誰もがそう思ったのだ。
 だからこそ、揃って行動に移っていく――叩き込め、止まるな、と。
「うえー……マジですか」
 ――攻撃した後のアレの足元の|小剣《グラディウス》を拾え、って無茶な。
 シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)だって、正気を疑った。
 しかし既にやってのけた猟兵の姿がある。
「ま、こっちもなんとかしますけどね。こっちには、戦ってきた過去がありますからね!」
 手繰る糸は早業で繰る。そうだ、いつものようにやれば問題ない。
 騎乗機械変形人形『ライダ』を空中に留めておくように展開し、配置。
 その上にひらりと飛び乗り、同時に動きを揃えた猟兵の姿を視界の隅に見た。
「こちらも準備完了だ」
 キャバリア・イグニシオンに騎乗して、空中から臨む久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)。
「無敵能力が失われたとはいえ、未だ圧倒的な……」
『我が負けるときは惑星が終わるときだ!』
「油断すると痛い目をみそうですね……」
 シズホの一言を吠え声で制圧して潰す。
 吠える三つ首は、一体どれか。考えている間に、ケルベロス・フェノメノンは大きく跳躍。
 背負う重武装など無いような身軽さ。
 重機を加速ブースター代わりに魔力を循環させてエネルギーとして後方へ照射。
 勢いをつけて、遥翔の傍を通り過ぎる刹那の邂逅。
 追いすがる地獄の猛犬と、遥翔の刹那の見切り。
 心眼において、動きの予感を推察し第六感にて予感の確信を得る。
 短くも長い、刹那の時間――不意に、ケルベロスから嘲笑うような音を耳にした。
 着地の音と、轟音がケルベロスから著しく響く中、|小剣《グラディウス》を回収するまで回避に専念、を念頭に置いていたこともありケルベロスの体にあたるようなことはなかったが――しかし、背に乗せた武装に僅かにあたった感触が。
 敵には触れないように立ち回っていた。だが、禁獣の攻撃姿勢が僅かに上回った瞬間があったのだ。
『さあ地に落ちよ、空域とて地表がもたらす|重力《グラビティ》から逃れることは能わずだ!』
 急激に、体が重いと感じる――重力が過剰に与えられたかのような重さ。
『空征く者はいずれ落ちるモノ、例外はない!』
 発揮されたグラビティブレイク――遥翔とて戦闘知識から導き出し、いいや、対策はシズホが割り込む形で展開する。
 これまで静かに静観していたシズホによる時間質量理論搭載人形『クロノ』――両腕の機関を回転させることで加速・遅延を発生させる豪腕を繰る指が、"目に見えず"の"|重力《グラビティ》"を遅延させ緩和させたのだ。
「我々は一人ではないからな」
 遥翔は見逃さなかった。グラビティブレイク発揮後に、燐光のように排出された|小剣《グラディウス》を。
 掴み取るように右掌に回収し、崩されかけたバランスを取り戻し、戦闘の形勢は傾き始める。
「残念、例外は此処にありましたねー」
 インフェルノファクター……空へ向けて射撃口を構えるケルベロスだが、猟兵たちはその上を行く。
 ミサイル射撃が、空中を制する二人によって躱される為、当たらない。
 体格の大きさが露骨に標準を絞らせないのだ。装填する弾丸は全てケルベロスの尽きることのない魔力。
 球切れという言葉がないのが、より戦争屋の異名を誇らせるだろう。
「当たらなければ爆炎も、炎の如く燃え盛る『地獄』も、恐れるにはお呼びません!」

 ――反動がきつそうですが、大物相手出し惜しみはしません。
「これだけ動いたら疲れました……一度だけ私を殺害するチャンスかもですよ、どうぞご自由に?」
 獣は戯言、本音、どちらとしても疑わなかっただろう。
 敵が隙を見せるのなら真っ先に殺害するのが、定め。弱きものから滅びるのが戦いの恒だ。
『では滅びろ、跡形も残すことなく!』
 兵器機構を向け、真っ先にシズホ殺害を狙う獣を他所に、シズホを起点に勢いよく触手が戦場を埋め尽くす!
 幻影装身(アームドオブリビオン・ミラージュ)――其れは、シルバーレイン世界――生と死を分かつモノがやってみせた戦術だ。無尽蔵に覆い尽くす触手の群れに、インフェルノファクターは炸裂し、突き刺さる弾丸は地獄の炎として内側から触手を焼き続ける。攻撃が無尽蔵なら、生と死を分かつモノの触手もまた地獄の底まで無尽蔵。
「まあ……私は痛くも痒くもないですが、これ、貰っちゃいますねー」
 攻撃と同時に発生した、きらりと輝く|小剣《グラディウス》を手の空いた触手で拾い上げ、シズホはひょいと投げさせてキャッチ。そしてニコリと笑う。
 ケルベロスの足を触手の坩堝に絡め取り、猟兵二人はタイミングを合わせて空より距離を図る。
 首も、胴体も、何重にも絡み取られ、ケルベロスはその場から動けない。
『ああ!鬱陶しい!!』
「まあまあ、躾のなってないワンコさんはいたーい罰を受けるものですよって」
 ネ、と合図するシズホは騎乗するクロノの加速竜巻をイグニシオンにも齎して急速接近!
 同時に放つ、ユーベルコードの力を増幅させたキリングホールにケルベロスの体を沈め込み、死の渦でその身から強引に生命力を奪う!無敵ではなくなったとはいえ、倒し切るまでシズホは手は抜かない。
 加速速度の援護を貰い、遥翔は展開する――空を焼く天燃ゆる飛翔(ヒート・ドライブ)。
 一枚に束ねた焔の翼を片翼に、すれ違いざまに激しく全力で切り結ぶ。
 |重力《グラビティ》を振りほどき、|小剣《グラディウス》を手に増幅させた巨大な焔翼で身を翻し、攻撃した胴体向けて追撃の一撃を繰り出す!死せずの個体?無敵は終わったんだ、倒れずとも痛みに啼け!
「俺達は未来に飛び立つ。邪魔をするなァ!」
 突撃の、ずどんと重い轟音が響く。断ち切り、焼却する焔が体表を焦がしながら斬られた傷口で轟々と燃える!ケルベロスにユーベルコードが次々刺さる。既に不動の無敵は崩された。失われ征く者の多さに、獣とて無事では済まないだろう。滅びるその最後の瞬間まで、戦い続ける目の光を失わないのだろうが――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ連携歓迎

大きすぎるの…
それに、なんて威圧感…
ううん、飲まれてる場合じゃないの
ここで退くわけにはいかないから

あの塊は直撃するわけにはいかないの
破邪と浄化の結界を展開、呪詛を減じながら誰もいない方向へ反らせて防御なの
ぐ、強度が足りない…、ならもっと魔力を注ぎ込むの!

あなたがどれだけ強大な存在でも、ぼくたちは決して負けない
だって、ぼくの守るべきものがここにあるから
答えて、|小剣《グラディウス》!
ぼくにこの地を守り、滅びを祓う力が欲しい!

UCを全力魔術で発動
呪詛を浄化し、魔を滅す、破邪の結界
ケルベロスに食らいつく、月の狼の牙、受けてみるの!


レナータ・バルダーヌ
ケルベロスさんの護りたいもの、その理由。
私欲のためというわけではないように見えます。
しかし、殲滅すると言われてしまっては……戦う以外の道はなかったのでしょうか。

両翼の痕から炎の翼を形成して飛行。
敵の攻撃を回避しつつ、予測される着弾地点から離脱します。
炎から逃れられない場合はサイキック【オーラで防御】、負傷も織り込み済みですから【痛みにも耐えて】みせます。
小剣に近付いたら【念動力】で引き寄せて回収。
どう作用するかまではわかりませんけど……小剣の力の使い方、この場合はおそらく。
自身の腿に小剣を突き刺し、【A.B.エンパシー】を増幅して放ちます。

あなたが護りたかった惑星、きっと悪いようにはしません。



●それが|痛み《剣》である限り

「大きすぎるの……それに、なんて威圧的……」
 自分の体格を思えば、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が正しくプレッシャーに気圧されたのは仕方がないことだった。それほどまでに、あの獣は強大であり、障害として立ち塞がっているのだから。
「ううん、でも、うん」
 ――呑まれてる場合じゃないの。
「ここで退くわけにはいかないから」
「ケルベロスさんの護りたいもの、その理由。どうやら、私欲のためというわけではないように見えますね」
 レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は首を傾げる。
 戦う理由は人それぞれ。どのような信念を持ち、どのような野望を持つかは立場による。
 だが、あの獣は私利私欲で言っているようには思えなかった。
「……しかしです。殲滅すると言われてしまっては……」
 ――戦い以外の道筋を見出だせない。
 交渉を必要とせず、武力のみで結果を出すのだと存在が訴えている。
 戦い、勝ち残ったほうが"正解"であると。随分直球であり、真理を吼える獣だ。
「……戦う以外の道はなかったのでしょうか」
 両翼の痕から炎の翼を形成し、レナータは飛ぶ。
 ケルベロス・フェノメノンが攻撃姿勢を取ったのをみた。
 体を屈め、膨大な魔力が動く気配は周囲の空気さえ揺るがす。
 あの巨体が巡らせ、機械兵装へ循環させるエネルギーは世界を滅ぼす楔として動くだろう。
 世界の守護者として配置すれば堅牢で、行く手に立ち塞がるなら堅牢な番犬となる。
『会話に和解など存在せず。侵略するものは巧みに入り込むもの!』
『ならば!行動で語らうべきだ!我も其れに倣おう!』
 かぱかぱと、背中の兵装が口を開き邪悪に特化したサイコフォース・フェノメノンは拡散するように小型ミサイルとして打ち込まれる。猟兵二人がいる地点を爆心地に、被害を広げ追い詰めようというのだ。
「あの塊は直撃するわけにはいかないの」
 空を往くレナータと異なり、飛ばずのロランは、迫り来る地獄の到来に破邪と浄化の結界を展開し、自身へ襲いくるだろう衝撃の軽減を図る。
 数秒後、着弾したミサイル郡は地上のロランの意図したとおりに自分へ向けて降ってきて、驚く速度で呪詛と魔力を暴発させる――呪詛を減じながら誰もいない方向へ起動を強引に反らし、自身の防御を測った。
 逸らされた爆撃の余波が地獄が如き燃え尽きぬ炎となって周囲を埋めていくのを、ロランは見つめ、自身の結界の維持でもわずかばかり、歯がゆい気持ちを抱く。
 ――ぐ、強度が足りない……、ならもっと魔力を注ぎ込むの!
「…あ、あなたがどれだけ強大な存在でも、ぼくたちは決して負けない」
『負けぬと号ぶその声と、同等に見合う働きが出来なければ、それは無きに等しいぞ!』
 炎の勢いは強い。それは、予想される範囲よりはるか遠くへ回避したレナータのもとまで熱波を伸ばして来たほどだ。
 サイキックを展開した防御壁を貼っていてもなお、地獄は熱を留める様子がない。
「……っ、いえ。いえ。負けません。少なくとも、負けて終わるつもりはありません」
 きらり。レナータの目の端に、見て取ったのはケルベロスの背面の上に放置されたように置き去りの|小剣《グラディウス》。ケルベロスは全くの無関心。
 ――ならば。
 レナータは念動力で引き寄せて、小柄なそれを手に取った。
『それひとつでどうなるものでもない。やらねば我がお前たちを殺し尽くすのみ!』
 威圧する怒号は、地獄の炎の流れを後押しする。ジリジリ体が焼けるような熱さを感じたものだが、耐える。
 ――元々、織り込み済みで訪れましたから。
 ――どう作用するかまではわかりませんけど、…小剣の力の使い方、この場合はおそらく。
 焼きに来る熱波の熱さに耐え、それから|小剣《グラディウス》を握り込み、自身の腿に小剣を突き刺す。
 これで条件は整った威力は爆発的に跳ね上がる――。
「そんなことはありません……この身に受けた痛み、すべてあなたにお返しします!」
 A.B.エンパシー(アゴニーブランド・エンパシー)――レナータが感じた痛みを起点に、感覚転写が引き起こる。
 体感的苦痛と同時の痛みがケルベロスを襲う。
 脳が錯覚を引き起こす!今自分は大変に負傷した、動けないほどの痛みを浴びた。
『!?』
 ケルベロスとて、痛覚がないわけではない。自然発生的外傷を受けたと錯覚したらその体は歩むことを拒絶する。
 痛みがどこかを認識するために動きを止める。
「……今です!あなたが護りたかった惑星、きっと悪いようにはしませんから!」
 爆風に乗って、ロランの足元まで吹っ飛び転がり込んできたもの――無造作に扱われたケルベロスを|小剣《グラディウス》を隙を見て拾ったロランは、レナータの声に応えて目つきを変える。
「さあ、ぼくのまもるべきものはここにあるんだ!応えて、|小剣《グラディウス》!」
 ――ぼくは欲しい。この地を守り、滅びを祓う力を!
 輝く剣から力を得てロランの周囲に湧き上がるは強化された輝きの奔流だ。
「地に福音を刻み、空に柱となれ。清浄なる風を呼び、浄化の炎を灯さん。ヒュッテンブレナー式破邪結界、飛翔――」
 破邪結界【Luce a spirale】(ヒュッテンブレナーシキラセンヲエガクヒカリ)。
 周囲の呪詛を浄化して、更には魔を滅する破邪の結界の領域は普段の数倍の速さで囲い始める。
 継続して燃え続ける地獄の炎をかき消すように輝きは突き進む。
 行動を止めたケルベロスへ、周囲の環境より自身への異常を確認している獣の隙を付き、外周からロランが攻め立てる。
「ケルベロス!食らいつく月の狼の牙、受けてみるの!」
 周囲からの同時襲撃。光の起動は幾何学模様を描き複雑に飛ぶ。
 どれほど戦い慣れた番犬だろうと、痛みを浴びたと錯覚した隙を狙われては逃げ道を奪われれば光に飲み込まれるだけ。幻の痛みとは違う、現実的な体中を魔と滅する光の奔流に埋め尽くされ、慟哭が如く絶叫が響き渡る――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくん達の味方をしてくれる小剣を落とす、体質なのだと言ってしまえばそれまでなのでっすがー。
誰かが応援してくれている!
そう思ったほうがやる気出るのでっす!
弾丸や爆風から逃げ足全開時間を稼ぎ!
ケルベロスさんの巨体すら利用して爆風避けなどにし、被弾時は身体に刺さる前に早着替えで地獄ごと脱ぎ捨てつつも!
小剣を拾った後は惑星ステージ展開なのでっす!
ケルベロスさんの故郷を模すのでっす!
無論藍ちゃんくんは知らないのですが、味方してくれる小剣は知ってるでしょうから!
星を護る以上、攻撃を躊躇するor逆鱗に激怒して隙ができるはず!
そのままステージギミックと小剣が導いてくれた虹をかける歌をお届けするのでっす!


ダンド・スフィダンテ
貴殿は貴殿で護りたいものが在るのか……ならばこれは、間違い無く戦争だな。

俺様は俺様の護りたい者達の為、貴殿は貴殿の護りたい者達の為、勝者を決めるしか道は無い。

全て終わって生きていたなら、お互い手を取り合いたいけどな!!

重力が重くなるなら気合いと覚悟で押し切って直接斬りに行くが……軽くなるならアンブロジウスに飛んで貰って、なんとか短剣を手に入れたら怪力でぶん投げて無理矢理当てるぞ!

貴殿が強ければ強い程、この一撃は重くなる!行くぞ!穿ち、貫く!!

短剣は折角だし持ち帰りたいが……そんな暇ある?あったらいいなぁ!

(大怪我苦戦連携改変アドリブ死ななきゃどれも歓迎です。ご自由にお書きください。)



●地獄の空に光の虹を描くんだ

 ちょいちょいとやたらと元気なギザ歯の存在からの手招きが一つ。
 そこへ呼ばれたらしき別の男が一人耳を寄せる。
「ちょっとちょっと聞きましたでっすか!?」
「ほう。なにをかな」
「なんとあの禁獣・ケルベロスさん、都合のいいものを落としてくれるそうなのでっすよ!」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は戦場に合わぬ明るさを此処でもまた発揮していた。
 持ち前のハイテンション。さあ、お前はツイてこられるかダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)。
「な、なんだってー!?」
「まあ、体質と言われてしまえばそれまでなのでっすがー」
 それは一体なんの采配、思召だというのだろう。
 ケルベロス・フェノメノンから発生するという、小剣はまるで別の誰かが手を加えたかのような異質なものだ。
「誰かが乗り越えることを応援してくれている、なんて思ったほうがやる気がでてくるのでっす!」
 空気を壊すような陽気な口調と一緒に繰り出す笑い声!
 戦いの中で負傷を顕にするケルベロス・フェノメノンが厳しい声を振らせてくる。
『我を相手に狩りか何かをしに来たか?我が先に狩るが覚悟は良いのだろうな』
 ぐるると三つ首が振らせてくる大きく鳴る獰猛な唸り声。
 無尽蔵の魔力は健在で、多少の傷も、深手も巨大な地獄の番犬は戦える足が、声が力があるのならと叫びに変えてシックを開始。背負う武装など気にもとめず、狙いを定め射殺す視線はそのままに。
『まずは我が、攻撃をどうにかしてみせよ。我が|惑星《ほし》へは踏み込ませぬ、それが誰であろうとも!』
『噛み潰す。踏み潰す。なんでも方法はあるぞ!』
「ケルベロス……貴殿は貴殿で護りたいものが在るのだったな……ならばこれは、間違い無く戦争だな!」
 これが戦争にならない理由もないな!藍につられて思わず笑だしかけたが、そうもしていられない。
「まずはどうにか逃げて、拾うとこまでするでっすよ!」
 言うが早いか藍は素早く距離を取る。しかし、残されたダンドはそうではない。
「俺様は俺様の護りたい者達の為、貴殿は貴殿の護りたい者達の為、勝者を決めるしか道は無いと考える」
 逃げも一つの手。しかし勝者は逃げぬモノ。
「志としてもデカさとしても見上げたものだ。全て終わって生きていたなら、お互い手を取り合いたいけどな!!」
 その手にお手、なんてされて耐えられる奴がいるのか考えたくもないけれど!
『手か!いいだろう!好きなだけ抱擁しろ!』
 鋭く振り下ろされる前足――なんでそんな時だけ前向きに戦術を切り替えてくれるのか。
 ダンドにはもちろんわからなかった。だが、そんなことは重要ではない。
 だあんと思い切り振り下ろされた「お手」が如何程に恐怖の体験だったかを、語るには文字数が足りない。
 男は当然、避けるを選んだ。あんなの受け止められない!
 しかし掠って居たのも事実。ケルベロスの手は大きいからな――ふわり、とダンドの体から|重力《グラビティ》が奪われる。軽くなる、重力から開放されて、突然のことでバランスを崩す!
「アンブロジウス!……ついでにそれ、拾うから支えて!」
 あんぎゃー、と鳴きながら軽くなったダンドの指示に応えたのは深紅の小型ドラゴン。
 うまくバランスが取れない自身の体に悪戦苦闘しつつも、ひょいと拾い上げたのは輝く爪――ではなく|小剣《グラディウス》。そう、それが噂の落とし物。
「ああもう!うまく投げれる気がしないが――しっかり咥えててくれよっ!!」
 怪力全開!無理やり投げて、ケルベロスを狙う!大型な個体だ。近いなら何処をめがけても当たる。
「――貴殿が強ければ強い程、俺様のこの一撃は意味も味も出る!」
 軽く息を吸い込んで、それからダンドは投げ放つ。
「では行くぞ!穿ち、貫く!!」
 力を溜めて、投擲。
 拾い上げた武器だろうと――それがユーベルコードが発動する条件ならば、普段の威力の倍以上を往く。
 天杭(テンクイ)の発動を見て、身を捩り躱そうとしたケルベロスだったが、時既に遅し。
 頭の一つの素っ首を穿ち、大幅強化の向く軌道のままに貫き、獣の胴体から今生の別れと削ぎ落とされる。
 どさりと落ちる骨身の頭。最強を誇ろうと、無敵を誇ろうと。再生する事など出来ぬだろう?
「……ひゅう、ナイスでっす!」
『我が頭部は一つではない。決て活かしては帰さぬ!!』
 失った頭部の代わりに怒りに吠え、背中の砲台から一斉にミサイルが放たれる。弾丸の数々は尽く楽しげな藍を狙い、自分の体重のバランスを崩したダンドはアンブロジウスに支えられて、無事逃げ果せている。
「藍ちゃんくんの秘技逃げ足は凄いのでっすよ!」
 なんと当たりません!ぶい!と挑発しているわけではない素のアピール。
 これにはケルベロスもブチギレます。
 藍が逃げ、着弾した弾丸。それから遅れで巻き起こる爆風――続けざまに燃え盛る『地獄』の炎の火力を、魔力によって底上げし、轟々と燃える様は悠々と人間の長身を超えた。
「そんな燃え盛らせても、ケルベロスさんの巨体があれば微風でっすねー!」
「ああ、良い風よけだ」
 いつのまにか合流する二人に、ケルベロスの怒りも限界を超え始める。
 なんだこの猟兵達。緊張感をすぐ殺す、なんだこの猟兵達(重要なので二度)。
「おおっと?うっかり燃え移られましたでっすか!」
 慌てた様子を見せず、藍は早着替えで地獄が燃え移った服ごと脱ぎ捨てて、ちゃきっと今度は手元に収めたく小剣《グラディウス》をマイクのように扱って、指を鳴らせば藍の力もまた増幅される。
 いざ始まるぞ、藍ちゃんくん、ショーッタアイッム!(アイチャンクン・スペシャルステーッジ)!
「ケルベロスさんの|故郷《惑星》ってどんなものでっすか?」
 いいやそんな答えはいらない!自身が展開させるステージを、藍は想像で補い展開させる。
「ほしというからには、こうでっすかね?」
 惑星が彩るステージで、藍はウインクを一つ。
『――なぜ、これを!』
 広がる光景は、平和な其れではなかった。瓦礫の街。地獄のように燃え続ける炎。
 ケルベロスと戦う今この状態と、重なるようで些か異なる。空はダークセイヴァーにない色に染まっていた。
「貴殿は知ってたのか」
「いいえ?無論藍ちゃんくんは知らないので、味方してくれる小剣《こちら》の記憶を展開したのでっす!」
 何故手を貸してくるのか?そんなことはわからない。
 ちゃっかりダンドが二本目の小剣を拾っていたが其れはとても些細なことだ。
 こうしてユーベルコードで展開できていて、明らかにケルベロスは動揺している。
「|惑星《ほし》を護るのでしたら、――この炎も、其れ以外もやめなくてよろしいのでっすかねー」
『……くっ』
 打ち込めば抜けることはない炎を、かき消し動揺から隙を生んだケルベロスへ、送る言葉は"歌"。
「ご協力ありがとうございまっす!ではなぜだかこの光景を見ていたら歌いたくなった新曲!」
 歌いだした藍の歌を聞き、強化された歌声に内側のダメージが蓄積していく。
 失われた頭部と、内側から引き起こされる感情の刺激。
「ほら、みてくださいでっす!」
 小剣が導いてくれた虹をかける歌――藍の歌に協力した小剣《グラディウス》はケルベロスへと想いを込めた一撃を届けた。
 大きな獣に、光が刺さる。――欠け始めた禁獣の体表に虹のような強い煌めきを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロー・シルバーマン
何故この世界にこのような兵器の獣が…?
重力の鎖や惑星と気になる言葉は多いが欠落を破壊されたこの好機を逃す訳には行かぬ。
全力で討ち果たさねばな。

周囲の地形や究極禁獣の体表を地面のように利用し移動。なるべくなら敵の真下…無限に空に落下し続けるのは御免じゃからな。
重力が奪われたなら人狼の脚力で強く地形を蹴り跳ねるように移動。
敵攻撃等の危険は野生の勘を活かし致命傷を避けるよう結界で覆った山刀で受け流す。
攻撃後に落下してきた小剣は速やかに回収しつつUC起動、急所と思われる位置か守りの薄そうな位置を狙い威力の増幅された猟銃の弾丸を叩き込んでくれよう。
可能なら使用した小剣を回収し懐へ。

※アドリブ絡み等お任せ



●ブラッドスター・スナイパー

 誰かを眠らせた十字架でもあるかのよう、破壊された瓦礫の数々は、かの獣が踏み砕いた戦痕。血走ったように爛々と輝く多瞳の輝きに殺意が跳ね上がる。
 喉を鳴らし、唸り、――しかし獣が叫びは止まらず。
 一つの首はばちりばちりと溢れて堕ちて今や存在しない。
 しかし、魔力へと変換されてケルベロス・フェノメノン周囲で執念深い炎と化して――尽きぬことのない"地獄"を現象として引き起こし、如く燃え盛っている。ケルベロスは、満身創痍に近いにも関わらず、存在感を喪わなかった。
 あれは獣の姿をした殲滅兵器でもある。
『我がどうなろうとも、譲らぬ。貴様らを殲滅すると決めたのだ!』
 意志の曲がらぬ獣の前に、見上げながら訪れた猟兵はふむ、と声を零すだろう。
「お主……、気風は背水の陣で望んでおるものの、決して死を意識しない鉄砲玉かのう。決して若いわけでもあるまいに」
 それは年老いた人狼、ロー・シルバーマン(狛犬は一人月に吼え・f26164)。
 経験則から|号《さけ》ぶ声でも、死せぬと燃やし続ける決意を"刃"へと変えてケルベロスは自身が武装へと変換する。
 魔力を送り、循環させる。きらりと輝く色を呑み、があがあと喉を荒らげて一歩も引かない。
「地獄の……いや、|惑星《ほし》の番犬かの」
 ――護るに特化し、ただ想いを燃やし狩り尽くす。
 ――ああ、そうじゃな。お主はきっと、"そのような"現象なのじゃろう。
 嵐でもあり、劫火でもあり、粛清者でもあり、|惑星《ほし》を護る概念。
 誰かの無念は獣の中に煮えたぎり、誰かの嘆きは雑音だらけの遠吠えに。
「|重力の鎖《グラビティ・チェイン》や|惑星《ほし》という響き。此処にはないどこかを映すお主からは、気になる部分は多量にあるが、……どうも血気盛んに過ぎるのう」
 ――欠落を破壊されたこの好機を逃す訳には行かぬ。
「何故この世界にこのような兵器の獣が…?その疑問さえ、お主はきっと応えぬのだろうのう?」
 くい、とローが顎をしゃくると同時に怒号の雨が降り注ぐ。
 兵器の獣は待たず、殺しの技を早々に仕掛けてくるのみだ!
 ローはサバイバルガンナーであり、失ってばかりの人生を歩む男。
 特大の獣が大口を開けて、兵器を向けて来ようとも臆するところはひつもなく。やれやれ、とため息を一つ。
 牙がずらりと並ぶ大口を足蹴にひょい、と山のように大きな獣の上に乗り上がり、究極禁獣の体表を地面のように利用して立つ。
『勿論答えぬ!応える言葉は戦いの中に置いてきたのだ!』
 間接的にローはケルベロスに触れている――|重力破壊《グラビティ・ブレイク》が起こる、地上と自身を結ぶ重力が奪われて、バランスを崩しかけるが――脚力にも自信はある。ぐ、と足に力を込めて蹴り跳ねるように離脱する。
 今この軽さがあれば、――ケルベロスの頭の上を飛び抜けた時、ケルベロスはローへ全部の放題をロックオンしていた。
 全てが放たれたなら、ひとたまりもないがそれはそれとして結界で覆った無骨な大型の鉈――山刀で全てを弾く。
 野生の勘は失われず、攻撃の勘もまたこの耳が捕らえる。
「ほう、勇ましく吼えるものよ」
 致命傷を極力避け、ローが見据えるのは一つの煌めき。
 重力を奪われた時、たしかに落下していくのを見つけた輝き。
 ケルベロスの攻撃の本質かも知れないそれは、輝く|小剣《グラディウス》。
「ではこちらも一つ。歴戦の戦術を見舞おうかの」
 掴み取り、ローは眼光鋭く叫び返す。
「――そこじゃ」
 使い込まれた猟銃を|小剣《グラディウス》と共に握り込むなど容易いこと。
 多少の乱暴に扱おうとも|猟銃《相棒》には支障がない。
 狙いを定め、放つは浄化のエネルギーを込めた一発。
 だた一発。――気になるのだ。多眼の頭、その内包する|太陽の光《ヘリオライト》が。
 どの頭よりも、高圧的で。どの頭よりも主張を荒らげるあの頭部の――あのひかりが。
 ――無敵の証はとうに無く。これで破壊出来ぬとしても。
 守りの薄そうである体の"内側"に一発の銃弾(ワンショット)が炸裂したのなら。
『あ、――……!!』
 呪詛、嘆き、体を巡る昏い想いの数々を一気に増大した力で浄化される衝撃は彼が扱う地獄よりも遥かにその身を激しく焼き焦がしたことだろう。獣の鼓動は止まったか?無尽蔵を内包する獣は、言葉を停めて――それからずしんと崩れて沈黙する。
 周辺を焼いていた炎もみるみるうちに消えていく。かの者の意識の喪失――それは"現象"をかき消す光となって炸裂したのだ。
「わしらは全力を尽くした。そこに禁獣の敗北があった。――そうじゃろ?」
 |太陽の光《ヘリオライト》の輝きは色褪せて消えていく。究極禁獣の殺戮を宿す魂はこの暗き空を照らす輝きになど、ならなかった。あの獣の行動理念は、いつかどこかで虹を掛ける日が来たのだろうか。
 叫びは消えて、静寂は生まれる。滅ぼせたか、昏睡させたか――それは分からずだ。
 息の根を停めていたとしても、出来ずであっても――獣の夢もまた、|重力の鎖《グラビティ・チェイン》の導きまでは阻めない。
 理想が尽く崩れ落ちようとも。見送ることしか、出来ない。
 それは――ケルベロスから零れ落ちた|小剣《グラディウス》が、決して朽ち果てはせずその場に残り続け輝くように。


 このダークセイヴァーで人類が今度こそ"勝利"した、その時には――。
 光り輝く虹が、――空で微笑む日も、来るのだろうか。
 静かになった戦場で、静かな空を――見上げた。
 この場に似つかわしくない決して生臭くない穏やかな風が、静かに吹き抜けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月19日


挿絵イラスト