闇の救済者戦争⑮〜簒奪の魔装騎士
●血塗られし紋章の祭壇
「御機嫌よう。強敵との戦いが続く闇の救済者戦争、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(望暁のレコンキスタ・f21100)は一礼で出迎えた。
紋章……これを身に付けた者はダークセイヴァーでの戦闘に於いていずれも一筋縄ではいかない脅威として猛威を振るってきた寄生虫型オブリビオン。
夥しい犠牲の上にそれを作り出す生体実験室群、“祭壇”での戦いを予知したのだと彼女は告げる。
「立ち塞がるのはこの祭壇を管理して紋章を作り出していた第五の貴族。魔装騎士ガイウス、“簒奪の紋章”を持つオブリビオンだ」
祭壇の運用を許されたガイウスは第五の貴族の中でも別格。
単純な戦闘能力も圧倒的ながら、やはり鍵を握るのは紋章の攻略となる。
「ガイウスの紋章は相手のユーベルコードを奪う力を持つ。撃破の為には奪われた分とガイウス自身の分、二つの|異能《ユーベルコード》を超える必要がある訳だね」
口にしてしまえばシンプルだが、一つでさえ戦局を左右する切り札を奪われるという不利は生半可なものではない。 ある種の|舞台装置《デウスエクスマキナ》めいた理不尽だが、突破口はあるとカタリナは続ける。
「流石にユーベルコード、それも一つは他者から奪ったものを同時に使うのは負担が大きいらしい。攻撃の前にはこっち側も別のユーベルコードで迎え撃つ隙が出来るのと……敵の攻撃を耐えきった後にはより大きな反撃の機会が生じるみたいだ」
また、一度の戦闘で奪えるユーベルコードは1つのみ。仲間と連携して挑むのも有効な対策になるだろうとグリモア猟兵は指折り数える。
「どれも危険な戦いになるけれど、裏返せば敵の勢力を削る好機とも言える。ダークセイヴァーを解放する為に……どうか勝利と、無事の帰還を」
締め括る言葉を最後に、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
遂に来たダークセイヴァーの戦争シナリオ!
今回の紋章イメージは某死神が卍解を奪われたアレみたいなイメージでどうぞ。
大まかな流れは、
●猟兵側のUC①の使用
●エネミー側の“簒奪の紋章”によるUC①の簒奪
●エネミーの攻撃に対する対処・反撃
(この際UC①とは別にUC②を使用可能)
といった感じになります。
選択UCはUC②(UC②を使わない場合はUC①)を選ぶようお願いします。
なお成功率、エネミーUCとの相性は選択UCのみが参照されます。
プレイングボーナス条件は紋章の弱点を突いて戦う事。
多人数で挑む・攻撃を凌いで敵の消耗した隙を突く・危険なUCを奪わせて自滅させる、などなど。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『魔装騎士ガイウス』
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POW : 魔剣術の奥義
【闇の魔術】によって、自身の装備する【魔剣デスブリンガー】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
SPD : 魔剣術の絶技
自身の【柄頭の魔石】が輝く間、【魔剣デスブリンガー】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 魔剣術の神髄
【闇の魔術】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【魔剣デスブリンガー】で攻撃する。
イラスト:かなめ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「セシリア・サヴェージ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●冒涜の奈落
「我が祭壇を狙うか、猟兵共め。闇の救済者戦争など度し難し」
声は思いの外に明瞭に、言葉は義憤さえ滲ませて紡がれる。
あなたたちが戦場に降り立つと、ガイウスはまるで肩書通りの騎士のように魔剣を構えた。
「主より賜りし紋章に懸け、これ以上の狼藉を許しはせぬ。死にたい者から掛かってくるがいい!」
そこにあるのは主への妄信か、種としての断絶か、理解の及ばぬ狂気か。
確かなのは眼前の相手があなたたち猟兵と相容れない|敵《オブリビオン》であるという事。
苦痛と怨嗟の染みついた呪わしき祭壇に、いま死闘の幕が上がる。
ミア・ミュラー
わたしだってその紋章でたくさんの人が犠牲になるのは、許せない。だからここで終わりにして、あげる。
まずは【プリンセス・ドライブ】で距離を取って光刃を放って、奪われちゃう前に、攻撃。あと反撃に備えてシャボン玉の指輪に魔力を、溜めるよ。
9回攻撃に、高速移動と遠距離攻撃はなかなか、やばそう。ここはあの指輪の、出番。シャボン玉を周囲にばらまいて目隠しになるし、囮にすれば攻撃回数も減らせる、はず。
わたしの魔法は、光。あなたみたいな人が使い続けるのは、無理ね。さらに自分の技で消耗してるところに【闇弾】を、撃つよ。光を吸収してさらに力を奪って、あげる。わたしは、ウィザード。属性の扱いなら負けない、から。
●Wizard's tactics
「わたしだってその紋章でたくさんの人が犠牲になるのは、許せない」
一分の隙も無く待ち構える魔装騎士の前に、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は毅然と歩み出る。
この世界で闇の種族や吸血鬼が積み上げてきた凄惨な犠牲の数々は如何な理由があっても許されるものではない。
「だからここで終わりにして、あげる」
「ならば少女とて容赦はしない。我らに盾突く反逆者として斬り捨てよう」
魔剣の柄に収まった魔石が昏い輝きを帯び、相対する少女もその身に白く輝く魔法の光を纏う。
「我が研鑽、我が絶技。その身でとくと味わうがいい!」
「みんなの想いを光に変えて、今度はわたしが助ける、の」
絶技を冠するに相応しい超高速の斬撃が繰り出され、しかし数多の戦場を超えてきたミアの動きもまた迅速。
ユーベルコード【プリンセス・ドライブ】の加速によりバックステップ、魔剣を躱し光の刃を撃ち返す。
「成程――生半可な戦力ではないか。その力、我が簒奪の紋章を以て貰い受ける!」
「……っ」
騎士鎧の胸甲に埋め込まれた紋章、悪趣味な意匠めいて血走った眼球がミアを睨む。
コンマ秒にも満たない刹那の出来事。
ミアの纏っていた白い光は急速に薄れ消え去り、代わりに同じ白光がガイウスに宿る。
「覚悟せよ猟兵の少女!」
「これはなかなか、やばそう。でも……!」
二重のユーベルコードが猛威を振るう寸前、その僅かな猶予を逃さず掴む。
ここまでの流れは|織り込み済み《・・・・・・》。既に布石は打ってある。
「出番、だよ」
「む――」
魔装騎士の放つ九連の光刃が捉えたのは色とりどりにきらめくシャボン玉。
初手の攻防の裏で魔力を込めていた指輪から溢れ出した泡沫の障壁がガイウスを阻み、その向こうに少女を隠す。
「――だが、逃がしはせん!」
ガイウスの絶技は自らの命を削る諸刃の剣、そして簒奪した【プリンセス・ドライブ】もまた強大な力の反動に寿命を削るリスクを持つ。
ただでさえ負担の大きいユーベルコードの二重行使、その出力に任せ一気呵成に攻め切る判断を下すまでに一瞬。
シャボン玉を力尽くに薙ぎ払い、捉えたミアへと襲い掛かろうとして――
「わたしの魔法は、光。あなたみたいな人が使い続けるのは、無理ね」
がくん、とつんのめるように魔装騎士の疾走が勢いを失う。
【プリンセス・ドライブ】の輝きは助けてくれた人たちの優しい想いを光に変えたもの。
力は奪えても、想いは奪えない。
見誤ったガイウスの隙を逃す事なく、ミアは詰めの一手を打つ。
「其は闇……撃ち抜き、塗り潰せ。……わたしのもらった光……返してもらう、よ」
「抜かったか……!」
勝負を決するは【|闇弾《ダーク・バレット》】。
奪われた白光を吸収し巨大化した闇の弾丸は、ガイウスに残された力をも奪い取りその身を撃ち抜く。
「わたしは、ウィザード。属性の扱いなら負けない、から」
魔装騎士とウィザードの|少女《アリス》。
対照的な両者の戦闘は、ミアの勝利で幕を閉じるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
佐藤・和鏡子
運転のユーベルコードを使って救急車で轢いて攻撃します。
私の運転技術に自動車王国アメリカが誇るV8エンジンのパワー(運転+重量攻撃+蹂躙+吹き飛ばし)を乗せて叩き込みます。
運転のユーベルコードは車がなければ無意味ですから。
魔剣術の絶技は運転技術を使って躱したり、救急車の車体で防ぎます。(運転、武器受け)
御自慢の魔剣デスブリンガー、確かにご立派な得物ですが、数々の獲物を屠ってきた私の救急車も中々の物ですよ。
エリカ・タイラー
※全員リクエスト
「闇の救済者戦争」の戦争シナリオへの参加を希望します。
シナリオ上で必要な怪我や失敗は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
キャラクターのテーマは「青い炎」。
敵フラグメントに対して、あるいは、
目の当たりにした虫酸が走る・反吐が出るような惨状を造り上げた黒幕に対しての怒りに、
時に静かに、時に激しく燃え上がります。
使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」以上の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。
あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。
●MAD RAID RIDERS
「プロドライバーの本領で轢いてあげますね!」
「運転免許に謝れ!!」
第五の貴族にも運転免許という概念はあるのだろうか。
ガイウスが宿した簒奪の紋章は無法とも言える力を発揮し、年季の入った|救急車《モンスターマシン》で襲い掛かった佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)のユーベルコードを奪い取る。
理外の技巧を失った突撃は勢いを減じ、しかし異能に依らない和鏡子自身の技術を以てガイウスの魔剣に食らいつく。
「奪われましたか。でも【|運転《マスタードライバー》】のユーベルコードは車が無ければ無意味ですから」
「少しは考えたようだな。ならば我が魔剣術はどう凌ぐ!」
「|こう潰すのさ《・・・・・・》!!」
「ぐおっ――!?」
天丼であった。
キャバリア“|シュヴェールト《剣》”を操りぶちかましを決めたのはエリカ・タイラー(騎士遣い・f25110)。
横合いからの乱入にも咄嗟に防御行動を間に合わせたガイウスに立て直す機を与えず、エリカは更にユーベルコードを重ね畳み掛ける。
「堅牢だな。だが……これが私の、希望の光……!」
「新手か、猪口才な!」
【シルバー・ライニング】――希望の光は奪えない。
既に簒奪の紋章は和鏡子の【運転】を奪っているが故に、防護無効の力を宿したシュヴェールトの放つ斬撃は今度こそ魔装騎士を吹き飛ばして。
「まだだ! この私が剣を執る以上、反逆者共の好きにはさせんッ!」
「成程、御自慢の魔剣デスブリンガー。確かにご立派な得物ですが」
魔石が昏く輝き、魔剣術の絶技は一閃から九つの斬撃を生み出す……その寸前、獣の狂乱じみたV8エンジンの猛りと共に和鏡子が割って入る。
「数々の獲物を屠ってきた私の救急車も中々の物ですよ」
「もう救急車名乗るのやめてしまえ!!」
祭壇を管理する第五の貴族として強大な力を振るうガイウスをして、巧みな立ち回りを見せる救急車の質量と硬度を突破するには相応の手数を割く必要がある。
だが、そのような隙を共に戦うエリカが許す筈も無い。
和鏡子はシュヴェールトのビームダガーが魔装騎士を捉えるように、エリカは魔剣術の絶技が十全な威力を発揮できないように。即席の連携は着実にガイウスを追い詰めていく。
「度し難いと。好きにさせないと抜かしたか第五の貴族」
「ぬぅ……!?」
燃え上がる青い炎は溢れ出す激情。キャバリアを操る指をフィードバックに軋ませながら、ガイウスの反撃ごと力尽くに押し込むような斬撃がその黒鎧を撓ませる。
「それは私の台詞だ。恥を知るがいい悪鬼の走狗ッ!」
ヴァンパイアの襲撃により故郷を、半身に等しい肉親を奪われたエリカにとってガイウスの言い分は虎の尾を踏むに等しい。
ユーベルコードの代償により寿命を失うガイウス、その動きが鈍ったところに苛烈さを増した猛攻が牙を剥く。
「そろそろお疲れの様子ですね。ナースの目は誤魔化せませんよ」
「しまっ――」
挟み撃つような和鏡子の攻勢。即座に反撃の好機をものにする余力はガイウスに残されておらず、最適のタイミングでもたらされた勝機をエリカは逃さない。
凡そ生身の個人を対象とする規格ではない超巨大剣の一撃が魔装騎士を吹き飛ばし。
「今です、和鏡子様!」
「今、楽にしてあげますね」
ガッ、と地を跳ね飛び出した救急車は墜落軌道の半ばにあった標的を直撃。
|隕石衝突《メテオストライク》にも似た衝撃と共に、犠牲者の列へと新たな名前を加えるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
さあかかってこい拙者のウルトラスーパーすげェどすばいなUCで勝負だ!
などと申していたら奪われたでござる…マジ|悲哀《ぴえん》…【闇魔術】と拙者のUCでやられちまうーッ
…と思うじゃん?
敵の傍らに急に出てくる知らない気配!視認しないと術を撃てないのに思わず感知してそちらを見たな?そこには【知らない人】がいるんだヨ
極めて発見され難く見つからないがじつりきが高いゆえに察知したんでござるな…その一瞬の隙が命取りよ!
小銃で制圧射撃!…は目を引き付けて足止めする為の牽制で本命は足元に手榴弾転がしですぞ!目の良さが命取りだ!
テメーの敗因はたった一つ、奪ったUCから知らない人が出ると予測できなかった事でござる
●未知との遭遇~悪質悪辣ComedicTrap~
「さあかかってこい拙者のウルトラスーパーすげェどすばいなUCで勝負だ!」
「ぬんっ」
「などと申していたら奪われたでござる……マジ|悲哀《ぴえん》……」
エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は絶体絶命の窮地に陥っていた。開幕1秒の早業である。
瞳をうるうるさせる髭にも油断せず魔装騎士は闇の魔術を詠唱、奪い取ったユーベルコードと並列起動を開始。
事前のブリーフィングでは猟兵から奪ったユーベルコードで仕掛けてくるには僅かな隙が出来るとの事だったが、その猶予も決して余裕のあるものではない。
「ウワーッ! 【闇魔術】と拙者のユーベルコードでやられちまうーッ!!」
「失策の代償、その屍を以て我らに盾突く愚を示す礎となるがいい」
「……と思うじゃん?」
「ッ――」
「「誰だお前は!?」」
綺麗にハモる髭と騎士。エドゥアルトの術中である。
ガイウスに油断は無く、故にユーベルコード簒奪という圧倒的有利を得て猶も警戒を怠る事はない。
奪い取ったユーベルコードに召喚された“それ”は極めて発見され難い性質を持つが、祭壇の管理者として第五の貴族でも格別の力を持つガイウスは辛うじてその存在を感じ取り――。
仕掛け人の猟兵でさえ誰が召喚されたのか知らないという迫真のリアクションに、まんまと乗せられたという訳だ。
「|じつりき《実力》が高いゆえに察知したんでござるな……その一瞬の隙が命取りよ! 掛かったなアホめ!!!」
「小癪!」
悪魔の証明という概念がある。
実のところユーベルコードにより召喚された|それ《知らない人》に罠など無く、故に看破不能な潜在的脅威への警戒に絡め捕る事こそ真の狙い。
言ってしまえばハッタリであるが、巧みに意表を突き不意を打ち、騎士がその目論見を見抜く隙を与えない。
|自動小銃《マークスマンライフル》が火を噴き、意識の分散を強いられながらもガイウスは魔剣を振るい踏み止まる。
「ヒャッハー! ハチの巣にしてやるでござると言ったな」
「言ったか……!?」
「|あれは嘘だ《言ってない》」
「そうか……」
制圧射撃でガードの上がった騎士の足元、密やかに転がり込むは手榴弾。
気付いた時にはもう手遅れ。
「目の良さが命取りだったなぁ! イヤッフゥー!」
「Mamma mia…………!」
威力は本物、魔装騎士の姿は爆発オチの彼方へと呑まれ消えるのだった。
「……テメーの敗因はたった一つ。奪ったUCから知らない人が出ると予測できなかった事でござる」
果たして至近で手榴弾が炸裂した彼は無事だったのだろうか。
大成功
🔵🔵🔵
瀬河・辰巳
自分で言うのもあれだけど、俺のUCって基本的に呪詛等の類ばかりで面倒なんだよなぁ…。
囮UCは『毛玉の中の理想郷』。もちろん動物達が危ないので相手には当てるフリのみ。まあ、意外とあの毛玉を動き回る相手にぶつけるのが大変なのもあるけど。
相手のコピーUCに取り込まれたら、中で攻撃用UCを使用し、姿を隠した状態で毛玉から飛び出して狩猟刀で攻撃。敵の攻撃はオトモダチ(影)を囮にし、一撃入れたらすぐに距離を取り、魔剣を避けながら死角から大鎌でデカい一撃を食らわせる。
正々堂々とした騎士への騙し討ち、なかなか楽しいね?
●奪うもの、奪われるもの
「自分で言うのもあれだけど、俺のユーベルコードって基本的に呪詛等の類ばかりで面倒なんだよなぁ……」
魔装騎士の守護する祭壇に降り立ち、瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)はやや困り顔でそう零す。
強敵との戦いでは決め手となる強力な切り札だが、だからこそ敵に回した時の脅威も想像に易いというもので。
「まぁ、それならそれで手の打ちようはあるさ」
「ならば祭壇の運用を任じられし我が力、その身で思い知り果てるがいい」
不敵に見据えた先には魔剣を携えた祭壇の番人。
向かい合った両者は自然体のまま、ほとんど同一のタイミングで動き出す。
「ユーベルコードを奪う簒奪の紋章とやら。その力、お手並み拝見としようか」
「言われるまでもない!」
辰巳が囮としたユーベルコードは【|毛玉の中の理想郷《モフモフワールド》】。
直接的な攻撃力こそ持たず、効果発揮のトリガーとなる毛玉を相手に当てると|動物たち《友達》が危ないため|フリ《・・》のみだが、速攻を仕掛けたように装うのが腕の見せ所。
簒奪の紋章、その中心にギラつく目玉が開くのと浮遊する毛玉の制御を奪われるのは同時。
「本当に一瞬か、理不尽だな。けど……その毛玉を当てるの、意外と大変だろう?」
「我らに盾突くとはそういう事だ。悔いても遅い」
「悔いる? まさか!」
ガイウス自身と遠隔操作の魔剣で襲い掛かる【魔剣術の奥義】、浮遊する黒い毛玉も併せた三方面からの猛攻。
魔装騎士の失策は毛玉を攻撃手段として数えた事、その毛玉の命中を連携の本命に据えた事と言えるだろう。
自ら毛玉に当たり辰巳の取り込まれた先は癒し効果抜群の動物の楽園。
戦闘中である事を察してか遠巻きに応援する動物たちにはにこやかに応え、辰巳は【|冥府の執行人《オクリビト》】の黒炎を纏う。
「冥き想いは常夜を授け、静かに奈落へ誘わん――今度は此方が奪う番だ」
「グゥッ!?」
その黒炎は視聴嗅覚での感知を欺き、楽園から舞い戻った辰巳の狩猟刀は狙いを過たずガイウスを捉える。
咄嗟に放った返す刀の一閃は視界の端に揺らめく影を斬り裂き……残念、ハズレだと呟く辰巳の声はオブリビオンに届かない。実体無き|歪な影《オトモダチ》に気を取られた一瞬で距離を取り、再びヒットアンドアウェイの一撃を叩き込む。
影が囮と悟ったガイウスは受けた斬撃の手応えを頼りに魔剣を薙ぎ払うが、精彩を欠いた反撃を躱し様に更に追撃。
「ッ、――」
「大層な肩書だけあって流石にしぶといな。だが、そろそろ頃合いだろう?」
攻撃・防御・回避の能力、五感、第六感、声……黒炎を生み出す動物の怨念は触れた敵から数多の要素を奪い取る。
ガイウスは猶も戦意を失わず猛り続けるが、もはや辰巳の前では俎上の鯉にも等しい。
大鎌の執行より逃れる術は無く、誰にも聞こえない風切音にゴトリと硬く重い物の崩れる音が続いて。
「ふぅ……正々堂々とした騎士への騙し討ち、なかなか楽しいね?」
決着、勝鬨と呼ぶには些かばかり爽やかに。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
簒奪の紋章……
なるほど、人々の明日を、命を奪う貴様らには相応しい紋章だ
だが、希望は決して潰えない
切なる願い、尊き祈り、希望の象徴を、今ここに――謳い上げるは【闇の世界に青空を】
奪われて敵の手で発動されるが、はっきり言って何の効果もない
自身の強化も、敵の弱体化も、攻撃も回復も……何も起こらない
だが、闇の魔術の使い手よ――貴様には覿面だろう?
夜闇を照らす、希望の青空は!
闇の奥義も神髄も、煌めく陽光に打ち破られる
【気合い】と【根性】で【限界突破】、【因果超越・永劫の勇士】で更にその先へ
破邪の聖槍で斬り打ち穿ち薙ぎ払い、真っ向から激突する!
この暖かな光こそ、貴様らが奪ったもの、我らが希うものだ!
●闇よ去れ、光の前に
「簒奪の紋章……」
なるほど、とオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はその忌名を声に乗せた。
「人々の明日を、命を奪う貴様らには相応しい紋章だ」
「然り。貴様たちに抗う術は無いと知るがいい」
理性的な眼差しに苛烈な戦意を込め、金色の双眸が祭壇の番人を射抜く。
これはオブリビオンが人々から一方的に奪い取る世界の縮図であり真実なのだと悪びれもしない厚顔に、オリヴィアは断じて否であると突き付ける。
「だが、希望は決して潰えない」
凛と胸を張り朗々と。
「切なる願い、尊き祈り、希望の象徴を、今ここに――」
「……全て、無為であると言ったぞ」
いっそ憐れむような溜息交じりの声が遮る。
開眼した簒奪の紋章が効果を発揮し、ガイウスは奪い取った力と【魔剣術の絶技】により猟兵を屠らんとして……
だが、何も起こらない。
強化、弱体化、攻撃、回復。オリヴィアのユーベルコードはそのいずれでもない。
「だが、闇の魔術の使い手よ――貴様には覿面だろう?」
束の間、邪悪な魔石の輝きまでもが怯むように揺らいだ。
本来ならありふれている筈の、しかしこの場では奇跡にも等しいもの。
「夜闇を照らす、希望の青空は!」
「ぬ、ぅ……ッ!」
闇に閉ざされたダークセイヴァーで、それでも生きる人々の胸にある願い。
【|闇の世界に青空を《ウィッシング・スカイ・ゲイザー》】……生きとし生ける者の願いに応え、それ自体はただ青空を見せただけだ。
絶望の走狗たる簒奪者を打ち払うに、これ以上の舞台は在るまい。
「小賢しい……まやかしだ! この世界に希望など……!」
「我が破邪の聖槍に懸け、その絶望を打ち砕く!」
闇の魔術が魔剣を操り、担い手の命をも喰らう凶刃が無数に閃く。
手負いの獣が猛り狂うように苛烈な攻勢も、煌めく陽光の下では悪足掻きの裏返しに他ならず。
「――まだだ!」
さらなる力を。
一喝、【|因果超越・永劫の勇士《アセンション・エインフェリア》】とは即ち気合いと根性。
|死をもたらすもの《デスブリンガー》と破邪の聖槍を以て正面から斬り結び、打ち払い、突き穿ち、そして薙ぎ払う。
「莫迦な……このような、事が……ッ」
「この暖かな光こそ、貴様らが奪ったもの、我らが希うものだ!」
魔剣が打ち合えていたのは半ばまで。
限界のその先に至った連撃は魔剣術との激突を真っ向から制し、此処に魔装騎士を討ち果たすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カイム・クローバー
度し難し?案外そうでもないみたいだぜ?
ケルベロスとやらはくたばりかかってるし、フォーミュラにも手が届いてる。アンタらご自慢の祭壇が落ちるのも時間の問題さ。
ま、別に気にする必要はない。どうせ、アンタは此処で終わりだ。
くれてやるUCは『影に潜む自身』。自分自身を呼び出すっつー便利なUCさ。呼び出した分身はその制御を奪われ、姿形も鎧姿のガイウスと成り果てる。
現状に口笛でも吹きながら。
デスブリンガーだったか?愛用の魔剣が二本に増えたんだ。感謝ぐらいしてくれても良いだろ?なんてへらへら笑いながら、魔剣も銃も準備せず、気安く【挑発】しながら話し掛ける、と同時に指で《幸運を呼ぶ金貨》を弾く。
──結果は表。
魔剣術の絶技、全18回に及ぶ斬撃を【見切り】、軌跡を【盗み】、躱し切る。
遅いな。|アイツ《カタリナ》のに比べたら欠伸が出るぜ。
右手に魔剣を顕現。
技術なんて上等なモンを使わずに、素早く踏み込み【怪力】を以て騎士サマの|魔剣《誇り》毎、叩き斬る。
紋章も魔剣も結構なコトだが…まずは腕を磨く事だな、騎士サマ。
●|確率の悪魔は未熟を嗤う《had it coming》
「度し難し? 案外そうでもないみたいだぜ?」
祭壇の運用を任じられた魔装騎士の前に、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は悠然と歩み出る。
「ケルベロスとやらはくたばりかかってるし、フォーミュラにも手が届いてる。アンタらご自慢の祭壇が落ちるのも時間の問題さ」
ダークセイヴァーを支配してきた超越者たちを相手としても猟兵たちの進撃は破竹の勢いで進み、着実に勝利へと近づいている。
オブリビオンによる絶対的な支配など幻想にすぎないのだと、その事は現在進行形で証明されつつある。
「ま、別に気にする必要はない。どうせ、アンタは此処で終わりだ」
「|唯《ただ》一点のみ同意しよう。此処で終わる貴様には関係の無い事だ」
互いに向けた戦意が揺らぐ事は無く――張り詰めた空気は前触れなく唐突に弾ける。
「【|影に潜む自身《ドッペルゲンガー》】、自分自身を呼び出すっつー便利なユーベルコードだ。奪ってくるんだろう?」
「見過ごしてやる理由も無い。駆け引きのつもりなら無駄な事だ」
目の前でユーベルコードを発動してみせれば魔装騎士の胸甲に埋め込まれた紋章が反応。
分身の制御権は瞬き一つする間もなく奪われ、その姿までもが簒奪の騎士と瓜二つに成り果てる。
頭数が増える利点は単純な戦力の倍増に留まらない。両者とも並外れた力量の持ち主であれば猶の事だ。
ガイウスがユーベルコードの奪取を選んだのは策の可能性を考慮した上でその脅威を重く見たが為。
二人に増えた魔装騎士を前に、カイムは珍しい芸でも見たような気楽さで口笛など吹いてみせて。
「状況を理解していないのか……何も考えていないのか」
「おいおい、デスブリンガーだったか? 愛用の魔剣が二本に増えたんだ。感謝ぐらいしてくれても良いだろ?」
「……莫迦げた自殺志願もあったものだ」
二振りの魔剣の柄に収まった魔石が輝く段に至ってもカイムは武器を手にする事さえなくコインを弾くのみ。
挑発的な振る舞いに影響されるのを嫌ったか、二人のガイウスが繰り出す【魔剣術の絶技】が襲い掛かり――
――落ちてきたコイン、幸運を呼ぶ金貨が示す面は表。
「遅いな。|アイツ《カタリナ》のに比べたら欠伸が出るぜ」
「「ッ!?」」
一振りは九倍に、左右より刹那にして閃いた十八の斬撃は掠りもせずに空を切る。
本来なら一閃ごとに逃げ場を奪う連撃の利、造作も無く正面から捻じ伏せるは【|死線に踊る悪魔の遊戯《デッドラインエングレービング》】。
理解が遅い、判断が遅い、対応が遅い。そんな様では手数ばかり増えたところで届きはしない。
二人のガイウスが体勢を立て直すより早く神殺しの魔剣を顕現。
「ヘバるのは早いじゃねぇか。隙だらけだぜ?」
「「おのれ……ッ!」」
ユーベルコード二重行使のツケを払い振り向く動きさえ緩慢な木偶を斬るのに、技術を用いるなど上等すぎる。
一呼吸に踏み込み力任せに一閃。硬質な、それでいて呆気ない手応え。
黒銀の炎が宙に焼き付き、掲げた|魔剣《誇り》諸共に叩き斬られた魔装騎士は怨嗟の呻きと共に崩れ落ちる。
「紋章も魔剣も結構なコトだが……まずは腕を磨く事だな、騎士サマ」
力に溺れたオブリビオンらしい末路。
敗因は明らかだと手向け代わり、余裕綽々に嘯いて。
―― 魔装騎士ガイウス、撃破 ――
大成功
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