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闇の救済者戦争⑭〜オムネス・プロ・イモータル

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #不死の紋章

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●死を赦されぬもの
「死は赦しである。死は救いである。この苦難に満ちた道行を往く者たちに唯一許されたものである。故にもたらされるものであるべきである」
『渇きの王』は禁獣『デスギガス』の『欠落』の番人である。
『第五の貴族』においては、その力は苛烈にして残虐そのものであった。逆らう者には死を。略奪を旨とし、あらゆるものを奪い続ける。
 それが『渇きの王』であった。

 しかし、彼は狂気に苛まれている。
 理性はなく。
 ただひたすらに奪うことに執心する。
 何か唯一を奪うことにかまけているわけではない。目につくありとあらゆるものを奪い尽くそうとしている。
「死すら奪うことができる。誇りも、矜持も。何もかも」
 彼の瞳に理性はない。
 ただひたすらに狂気だけだった。
「何を回避したかったのか」
 狂気宿る瞳をまぶたが覆い隠す。
 瞼の裏には浮かぶは、懐かしき光景。少なくとも『渇きの王』にとってはそうだった。

 雪降りしきる古城。

 傍らには聖女の姿があった。
 あった、と認識できない。あった、ということは奪われたということだ。
 奪うことを旨とする己から奪ったものがいる。最も奪われたくないものを奪われたという事実が『渇きの王』の心を苛む。
「奪うな。私から、『それ』を奪うな。私は奪うものだ。私から奪うことなどあってはならない。奪われる者は私ではない。生命すら、死すら、私は奪われてもよい。だが、『それ』だけは奪われてはならない。私は」
 そのためだけに生きて良いと思ったのだ。
 例え、それが緩やかな滅びの始まりだったのだとしても、その滅びこそを愛おしいと思っていたのだ。

 甘く甘美な滅び。
 もはや己の視界に『それ』はない。
 喪われてしまったし、手の内に戻ることもない。愛おしき体温も、香りも、かんばせも、何もかも取り戻せない。
 時が逆巻くことがないように。
「滅びるはずだったのだ。なのに、私は滅びていない。何故、と問いかける言葉も意味がない」
 きっと己は無為に生まれ、意味を見出し、そして無為に滅びたのだろう。
 だが、今の己は違う。
 滅びさえ奪われ、忘れてはならぬ物を忘れた、渇望に胸灼く者。
 そう、『渇きの王』は満たされれぬ胸の内を罅割らせるように、ただひたすらに番人たる役目を強いられる――。

●闇の救済者戦争
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ダークセイヴァー世界において第五層は、『第五層の貴族』と呼ばれる強大な存在が治めていました」
 ナイアルテの言葉に頷く猟兵達も在るだろう。
 第四層より地下。
 そこには不可思議な『月光城』や都市があった。
 そして、多くの『第五の貴族』との戦いがあった。

「皆さんが戦った『第五の貴族』には一度倒しても、また再び別の姿を持って現れるオブリビオンがいたと記憶されている方もいらっしゃるでしょう」
 紋章持ちと呼ばれるオブリビオン。
 その力は強大であり、一度倒しても、再び紋章よりひび割れるようにして現れるのだ。
 そんなオブリビオンの正体が遂に明かされる。
「それは禁獣『デスギガス』によって『魂人の如く死ねない存在』に改造されたオブリビオンだったのです」
 猟兵達に緊張が走る。

 禁獣『デスギガス』は打倒不能たる『無敵能力』を有している。
『欠落』を破壊しない限り、この『無敵能力』を排することはできないのだ。そして、この『欠落』を守っている番人たる『第五の貴族』がいる。
「『渇きの王』と呼ばれるオブリビオンです。かのオブリビオンは『不死の紋章』を有しております」
 無論、『デスギガス』による改造の結果であろう。
 理性はない。
 ただひたすらに狂気に冒され、なりふり構わず猟兵達に襲いかかってくるのだという。まさに番人と呼ぶに相応しい存在であろう。

「死ねない、ということはまさに禁獣のようでもあります。『渇きの王』は元より強大なオブリビオンでありますが、『死ねない』という点においては、傷やなりふり構うことはないでしょう。倒したとしても、すぐに復活してくるのです」
 厄介極まりない。
 死んでも復活するからこそ、『渇きの王』は自損をまるで考えていない。苛烈にして残虐たる性質が、ここに来て改造と噛み合っているといってもいい。

「ですが、改造も完全ではありません。『不死の紋章』は『渇きの王』の体内深くに治められています」
 だが、何度も、何度も『渇きの王』を打倒し続ける事ができれば、やがて彼に不滅をもたらしている源『不死の紋章』が体表に露出してくるのだという。
 その紋章さえ破壊できるのならば、『渇きの王』を、不死たる存在を打倒できるのだ。
「言葉で言うのは安易に思えるかもしれません。ですが、敵は強大にして不死。その力を侮ることはできないでしょう」
 そもそも一度殺すということ自体が困難なのだ。
 それを幾度となく繰り返す、というのは途方もないことであろう。

 だが、それでもやらねばならない。
 この不死の怪物を打倒できなければ、『デスギガス』の『欠落』へと至ることはできない。
「禁獣『デスギガス』を打倒するため、この戦場の制圧は必要不可欠。どうかお願い致します。不死たる存在を打倒し、『欠落』を破壊していただきたいのです」
 ナイアルテは頭を下げて猟兵たちを見送る。
『闇の救済者戦争』が始まって以来、無理難題は最早通例になってきている。
 困難なこと。
 苛烈なること。
 全てが言葉にすれば陳腐に思える。けれど、それでも猟兵たちは戦いの場へと向かう。不死、という存在を打倒する。
 まるで実感の湧かぬ戦いなれど、猟兵たちは前に進んでいく――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『闇の救済者戦争』の戦争シナリオとなります。

 ダークセイヴァー世界第五層に存在する禁獣『デスギガス』の『欠落』を守る番人『渇きの王』を打倒するシナリオになります。
『渇きの王』は『不死の紋章』によって何度でも復活してきます。
 また理性を失っており、皆さんの攻撃に関しては防御をしようとしません。ですが、それが何の問題にもなっていないかのように即座に復活し、さらに苛烈さを増すでしょう。

 彼の不死性を打破するためには、幾度となく殺すしかありません。
 そうすることで不死性をもたらしている『不死の紋章』が体表に浮かび上がってきます。これを砕く他に『渇きの王』を完全に消滅させることはできません。

 プレイングボーナス……敵を何度も殺し続け、「不死の紋章」を破壊する。

 それでは、『鮮血の洪水』を防ぎ、己の弱点をひた隠しにしようとする闇の種族を打倒する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『渇きの王』

POW   :    『高貴なる赤』
単純で重い【先制 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    『夜を歩くもの』
無敵の【影の従魔 】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    『渇きの王』
対象のユーベルコードを防御すると、それを【略奪】する。【自身の力を上乗せして 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。

イラスト:なつみか

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ギド・スプートニクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
不死と言っても理性なく死なないだけの状態に何の意味があるのか。
ふふ、御伽噺で不死を望んだ者の末路のようだが……君は望んだようには見えないね。

『真紅の魔神』を発動。
『高貴なる赤』の発動を第六感で先を読み、『光を超えた速度』で接近、先制の一撃を叩きつけようという動作の途上を『惑星破壊級の怪力』で粉砕。
攻撃手段を潰した後に『オーラセイバー』で斬り裂きましょう。
すぐに復活するでしょうから、即座に同様に何度でも。

会話が出来ない相手というのは退屈なものだが……
デスギガス君の欠落は砕いておかないと厄介なのでね。



 不死。
 それは定命持つ者にとっては永遠に焦がれるものであろう。
 権力、財力は満たすことができる。
 されど、不死は如何なる権力者も、王も、手に入れることができない。
 しかし、ダークセイヴァー、第五層において『第五の貴族』、『渇きの王』はそれを実現した王である。
 禁獣『デスギガス』によって改造され『不死の紋章』を埋め込まれたがゆえに死ぬことのない肉体を得ているのだ。
 だが、とシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は首を傾げる。
「不死と言っても理性無く、死なないだけの状態に何の意味があるのか」
 確かに何度も復活する。
 手強い敵であることには代わりはない。

「意味などない。意味など等に尽きたし、奪われた。私の死は既に奪われているのならば、死ぬことのないという事実だけが与えられている。ならば、私は」
『渇きの王』は影たる軍馬と共に戦場を一気に駆け抜ける。
 闇色の閃光であった。
 シーザーの視界から『渇きの王』が消える。
 瞬きの一瞬で軍馬は駆け抜け、その前足を振り上げている。
 叩き降ろされる鉄槌の如き一撃をシーザーは真紅のスーツを揺らし、受け止めた。
 衝撃が大地に走り、砕け、散る。
 されど、シーザーの瞳はユーベルコードに輝いていた。

「死を求める。私は私を殺すことができず、さりとて、私は私の死を取り戻すために死に近づいていく」
「ふふ、御伽噺で不死を望んだ者の末路のようだが……君は望んだようには見えないね」
 シーザーは鉄槌の如き一撃を受け止めながら軋む体と共に、そのユーベルコードを発露する。
 此処にあるのは真紅の魔神(シンクノマジン)。
『渇きの王』が凄まじき踏み込みを可能とするのならば、己は超光速の速度を持って彼の目の前から消える。
 理解できなかっただろう。
 この光乏しき世界にあって尚、光の速度は圧倒的だった。
「受けるがいい。これが惑星を砕く拳というものだ」
 シーザーの拳がユーベルコードに輝く。
『渇きの王』は確実に己に先制してくる。例え、超光速たる速度を持っているのだとしても、それでもユーベルコードは超常の力をもたらすのだ。

 故に、シーザーは一撃を受け止めた。
 完全防御の魔力障壁。鉄槌の如き一撃は重たく、完全防御すらこじ開ける力だった。
「それは君の体が自壊しても構わぬ一撃だということだ。即ち、一度死ぬことまで勘定にいれているのだろう。いや、そこまで考えていないか。自暴自棄とでもいうべきかな」
 振るい上げた一撃は、鉄槌よりも巨大なる一撃。
 惑星を砕く拳。
 その一撃が力を集約し『渇きの王』へと叩き込まれる。
 砕けた大地をさらに砕くかのような衝撃が迸り、『渇きの王』の五体が砕けていく。だが、即座にその傷は修復していく。
「星を砕く力であっても私を殺しきれない。またたく月の光のように、私はまた此処にある」
「ならば、同様に何度でもやってみせようではないか」
「私は求めている。奪われているものを取り戻すためには、私の死が必要なのだ。私の愛しき者。私が、欲したもの。私が私であるためのもの」
「……全く、会話ができない相手というのは退屈なものだ」

 シーザーは嘆息し、手にしたオーラセイバーを閃かせる。 
 斬撃は瞬く間に『渇きの王』の体を切り裂く。
 互いの攻撃は強烈なものだった。並のオブリビオンであれば一撃で消し飛ぶ程の衝撃が乱発され、戦場たる大地を砕きに砕く。
 浮かび上がる大地の破片の上を蹴って、シーザーと『渇きの王』が鍔迫り合うように激突し、力の奔流を撒き散らす。
「だが、退屈とは言え、『デスギガス』君の『欠落』は砕いておかないと厄介なのでね」
 振るう斬撃が閃光のように走り、星砕く力が不死たる『渇きの王』を打ちのめし、砕けた大地へと叩き伏せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

なるほど、紡ぐ戦いを続ければよい、とのことですねー。
そのためにもまずは…この一撃を避けねば。

結界を四重(風、氷雪、炎、重力)展開、少しでも時間を稼いで見切り、回避しましょう。
そして、私のUCつきの漆黒風で反撃を。

一度では無理でしょうから、カウンター警戒は忘れず。
内部三人が四天霊障操って、武器の軌道をそらしてくれるようですから、さらに見切ってひたすらに漆黒風を投げましょう。

…トドメを刺すのは、私でなくてもよい。
削るのも…役目というものですよー。



 大地が砕け、衝撃が荒ぶ。
 飛び散る大地の破片を蹴るようにして『渇きの王』は影たる軍馬を駆り、疾走する。
 傷を厭うことなく。
 ただひたすらに直線的な攻勢でもって猟兵に相対しているのは理性がないからであろう。しかし、同時に、それは愚劣であったが愚直でもあったように思えた。
 ただひたすらに突進を重ねる。
 単純な力押しであったが、あらゆる搦手を覆す一手にもなりえていた。
「私は死を奪われている。奪われたのならば取り戻すしか無い。私の愛しき者がその先にあるのなら、私は死をもって、それを救いとなさねばならない。故に、私は与える」
 禁獣『デスギガス』によって『不死の紋章』を植え付けられた『渇きの王』は、『欠落』の番人に相応しい力を振るう。

「まったくもって自壊を厭わぬ相手というのは」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は迫る影の軍馬が己の眼前に影を落とすのを見た。
 敵の攻撃は確実にこちらに先制してくる。
 躱さねば、と思う以上にこの一撃を受けてならぬという危機感を覚える。
 敵の一撃は己の身を顧みない。
 なぜなら、敵である『渇きの王』は死なないのだ。文字通り不死たる存在。故に、狂っている。
 痛烈な一撃。

 振り下ろされる軍馬の前足の鉄槌。
 その強烈な一撃を四重に結界を張り巡らせる。
 砕ける、砕ける、砕ける、砕ける。
 四重に重ねた結界ですら、『渇きの王』の鉄槌は砕いてくるのだ。あまりにも強烈。されど、その強烈な一撃の代償は大きいものであった。彼の体のほうが持たない。不死であるがゆえの慢心とでも言えば良いのか。
「いえ、慢心には程遠い。己のことを勘定に入れていないのならば……!」
 頬をかすめる一撃。
『疾き者』は大地を蹴って、瞳をユーベルコードに輝かせる。
「さてー、参りましょうかー」

 四悪霊・風(シアクリョウガヒトリ・トノムラヨシツナ)。
 それは投擲された棒手裏剣に宿る力。
 穿つ一撃であれど、些細なる一手。少なくとも『渇きの王』にとってはそうだ。躱す理由もない。
「無駄だ。私は死を奪われたもの。故に――」
「ええ、ですから躱さないでしょう。必要性を感じていらっしゃらない。けれど……」
 放たれた棒手裏剣の一撃は影の軍馬の胴を射抜いて、貫通し、『渇きの王』の胸を穿つ。
 ぐらり、と傾ぐ体。
 敵は鉄槌の一撃を放ち、体勢を崩していた。
 肉体を守るためのリミッターも何もない状態で、そんな一撃を放てば、大地が砕かれるのと同時に彼の体も砕けてしまう。
「……ええ、これは紡ぐ戦い。いつものことですねー」
 連綿と繋ぐ。
 そうすることで、見える勝機がある。

 例え、敵が『不死の紋章』を持っているのだとしても。
 果てさえ見えぬ長き戦いの果てに、不死たる力を引きずり出すことができるというのであれば。
「……トドメを差すのは、私でなくてもよい」
 そう、これは紡ぐ戦い。
 オブリビオンは己たちよりも強大である。猟兵であれば、誰しも理解していることだ。だからこそ、戦う。
 世界の悲鳴に応えるために。
 今生きる人々を鮮血の洪水に飲み込ませぬために。
『疾き者』は己が為すべきことを理解している。

「幾度殺せば、其処に至るのかわかりませんがー……削るのも……役目というものですよー」
 確実に一度は殺した。
 だが、即座に動いてくる『渇きの王』を『疾き者』は見据える。
 一度では無理であるのならば、ニ度。ニ度でもダメなら幾度でも重ねるのみ。次なる者に託すためにこそ、悪霊たる己は現世にとどまり戦いを続けている。
 遺恨も。禍根も。悔恨も。
 何もかも残さぬためには、と『疾き者』は、その瞳をユーベルコードにきらめかせ、解き放った棒手裏剣の一撃を持って確実に『渇きの王』を幾度となく絶命させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

不死殺しなど|自然現象《ありふれた物語》ね。ならば再現いたしましょう、エレメンタル・ファンタジアで|御伽噺属性《フェアリーテイル》の|不死殺し《息止め》を。
まぁ、制御難しくて私も巻き込まれるけど、|魂が肉体を凌駕してる《限界突破、リミッター解除、継戦能力》からどうとでもなるわ、私を止めたくば不滅滅ぼしぐらいは用意してくださる?
|時間質量を圧縮し時を凍結させることで防御をすり抜ける《高速詠唱早業先制攻撃重量攻撃詰め込み凍結攻撃身体部位封じマヒ攻撃気絶攻撃禁呪封印術》わよ。
決闘結界術、この間合いの内は私の領域よ。覚悟はよろしくて?



『不死の紋章』――それは禁獣『デスギガス』による改造。
 かつて『第五の貴族』の紋章持ちのオブリビオンに見受けられた一度倒した者が別の姿で復活する、という事象があった。
 それこそが『デスギガス』による改造であったのだ。
 異様なる力である。
 不死を求める者は多い。
 多くのものが権力、財力の次に求める物であるが、誰しもが手に入れることのできないものであった。
 故に、物語は氾濫する。

 全てがありふれたものである。
「不死殺しなど|自然現象《ありふれた物語》ね」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)はそう言い放つ。
『不死の紋章』持つ『渇きの王』は、その影の軍馬にまたがりながら、『影の従魔』を生み出す。
 溢れるような軍勢。
 無敵たる従魔。
 そのいずれもがアリスにとってはありきたりでしかなかった。
「幼年期の夢で見た魅惑つきせぬ領域。時間と空間を超越するただ一つの窮極的かつ永遠の“アリス”」
 属性と自然現象を合成する混沌魔術。
 それをアリスは手繰り寄せる。
 御伽噺という属性。
 フェアリーテイルは、不死殺しという現象を呼び寄せる。

 混ぜ合わせ、大渦へと至る。
 アリスはユーベルコードに輝く瞳で持って見据える。
 認識するだけでいい。認識した全てを混沌魔術でもって合成した不死を殺すという御伽噺の現象をもって制する。
「私から奪った死で私に死をもたらすというのならば、私は死を得ることができるのであろうか。その問いかけは私に意味をもたらしてくれるのか。私が私足り得るのは、愛しき者があってこそであるはずなのに、奪われたまま、私は死を待つこともできないのか」
 その言葉を飲み込む混沌魔術。
 狂気に彩られた『渇きの王』に言葉は届かない。
 彼の言葉はすでに理性無きもの。
 全てが無意味で、全てに意味がある。

 けれど、それを紐解くことは意味のないことであった。
 死を奪われたということは完結しないということ。
「私を止めたくば不滅滅ぼしぐらいは用意してくださる?」
 その言葉さえも圧縮されるかのように高速で読み上げられる詠唱。あらゆる要素を詰め込むがゆえの混沌魔術であるというのならば、あらゆるものを無意味でありふれた有象無象にする。
『渇きの王』は、その魔術の前に朽ちるだろう。
 だが、しかし。
『不死の紋章』は未だ体の内にありて、その身に死を赦さない。
 死が救いであると嘯くことは、このダークセイヴァー世界においては意味がない。何故ならば、この世界での死は次なる命、転生において魂人として弄ばれることを意味しているからだ。
 世界は残酷で美しい。

 だからこそ、不条理を打ちのめさなければならない。
「どれだけ復活してくるのだとしても、この間合は私の領域よ」
 アリスは告げる。
 ありふれた不死に終わりを。
「覚悟はよろしくて?」
 満ちる力、エレメンタル・ファンタジアは混沌たる魔術に合成された不死殺しでもって『渇きの王』を取り囲み、その生命を奪うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天使・エンジェル
背中の翼で空中機動しながら戦います。
その際には、国民的スタアの演技力でダンスする様に華麗に回避します。
避けきれない攻撃は天使の聖衣の聖なる魔力で弾き、激痛耐性で耐えます。

カリスマオーラと存在感を放ちつつ、ユーベルコードの域に達した国民的スタアの歌唱力で、浄化と破魔の力を込めた聖なる歌を披露します。
耳を塞いだ程度でジョブとオーラと技能の合わさったユーベルコードの歌を防御できますか?
もし仮にユーベルをコピーして力を上乗せできても、ジョブとオーラと技能はできないでしょう。
しかし、油断も慢心もせず、冷静に相手の反応を見極め対応します。

聴き惚れて貰えたのなら聖痕から浄化の光を放ち、更に浄化を進めます。



 いくつものユーベルコードの煌めきが常闇の世界に輝く。
 同時に散る生命がある。
 けれど、その生命は不死。
 禁獣『デスギガス』によって改造され、『不死の紋章』によって得た不死は、同時に死を奪われたと言ってもよかっただろう。
 死ぬことが赦しであるというのならば、不死は赦しを得られぬ牢獄であったとも言える。
 同時に救いでもあったことだろう。
 死することで忘れることもある。
『渇きの王』は摩耗した理性を狂気に染めながら、叫ぶ。
「私の愛したものは何処にあるというのか。私が私であるための私のための愛はどこに消え失せたというのか」

 その言葉は哀切ささえ在ったかもしれない。
 けれど、天使・エンジェル(西洋妖怪「天使」の国民的聖女・f40062)は歌う。
「ショウ・マスト・ゴー・オン」
 歌うことしかできない。
 迫る『渇きの王』は幾度となくユーベルコードにさらされ、その都度絶命してきた。いや、復活してきたと言った方が正しいだろう。
『不死の紋章』は死を赦さない。
 彼が死ぬ時は、『不死の紋章』を砕いた時だけだ。

 未だ『不死の紋章』は浮かび上がらない。
「私の歌は、心に響く。けれど、理性無き貴方に届く歌は別のものように感じられることでしょう。歌を、歌として。歌わずにはいられない心を貴方は理解してくださらないかもしれない」
「私は奪うことしかできない。歌うことも、悲しむことも、愛することも、全てが同義に無意味だ。だからこそ、私は」
 奪うためにこそ戦うというように『渇きの王』はエンジェルに迫る。
 吹き荒れるユーベルコードの旋風。
 例え、己の歌うユーベルコードを奪うのだとしても、『渇きの王』には活用できないだろう。

 歌うことも。悲しむことも。愛することも
 全て同義だと言った。
 同じ意味だと。ならばこそ、彼の歌はエンジェルの心を震わせることはない。同時に『渇きの王』の心も震わせることはないだろう。
 彼はすでに壊れ果てている。
「心壊れても尚戦うことを選ぶのですか」
「私が私であるためには奪うことでしか果たせぬ物があるがゆえに」
 煌めくユーベルコードと歌声。 
 エンジェルの心は震える。『渇きの王』のユーベルコードに、ではない。彼の境遇に震える。その震えは、歌声となって響き渡る。
 浄化と破魔の力を込めた歌声は、世界に響く。

 不死たる怪物に癒やしは施しと同じであったことだろう。
「私にそれは必要ない。癒やしなど。赦しなど。私に必要なのは死である」
「どんな魂にも。どんな存在にも終わりは来るのです。力も、心も。等しく終わる。永遠に続くものなど何一つ無いのです」
 だから、とエンジェルは歌声に乗せる。
 思いを乗せることも。
 感情を乗せることも同じ。
「人々から恐怖を取り除き、全ての世界を愛で満たします」
 それが叶うと信じることこそが、心にある唯一。

 歌声は『渇きの王』の胸の内を満たすのではなく、かき乱していく。
 そうすることで、散り散りになった心は合わさり、狂気に塗り潰された魂は救われると信じるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
先制の一撃、軍馬の鉄槌を人工魔眼の【動体視力】で以て見据え、
【肉体改造】ディスポーザブル02を圧縮鋳造した複腕、|灼熱光剣《メクサラ》生やす拳を鉄槌に叩きつけ【吹き飛ばし攻撃!】

戦え、壊せ!それしか脳がないのだろう!!

複腕が壊れる瞬間、『禍戦・劫焔納』発動。
黒焔となって攻撃を受け流しながら、手から離れた火尖鎗型抗体兵器を
【念動力】で飛ばし【焼却】超高速属性攻撃!

だったら!壊れ失せるまで壊してやる!!

鎗で渇きの王を突き刺し、開いた大炎熱異空間へ放り込む!
自身もその異空間へ突入、【追撃】を叩き込む!

まだだろう!まだ、壊れないだろう!!
何度でも壊してやる!!壊れ果て失せるまで!!何度でもだ!!!

鎗を深く、渇きの王の体へ突き入れ【闘争心】を鎗に焚べ、炎を、熱を生み出す。
抗体兵器の禍々しき生命への呪詛、死を、渇きの王に刻みつける。
この躯を燃やすように、己が瞳を、超克を燃やし、
この|世界《異空間》を満たす大焦熱を際限なく引き上げ、渇きの王を燃やし殺し続ける!

自分を燃やせ、死んで、燃え尽きるまで!!!



「私が求めるものは此処にはない」
『渇きの王』は強大な力を振るう。
 それは彼の体を顧みないものであった。何故ならば、彼は不死。死なないのである。
『不死の紋章』たる力は、彼の理性を削りきっている。
 復活することがわかっているからこそ、割り切った攻撃を猟兵に叩き込む。
 今もそうだ。
 鉄槌のように影の軍馬の前足が振り下ろされる。
 痛烈な痛みが朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の体に走る。
 人口魔眼でもって見据えて尚、その一撃は躱せなかった。吹き飛ばあされながら、小枝子はさらに迫り来る『渇きの王』を見据える。

「偽りを!」
 小枝子の肉体が変貌する。圧縮鋳造された副腕が彼女の背よりせり出すようにして生え、『渇きの王』の突進を受け止める。
「戦え、壊せ! それしか脳がないのだろう!!」
「私は求めている。私は死を求めている。奪われてしまった死を。死が救いだというのならば、私は私自身を救わねばならない。他の誰でもない私のために」
 影の軍馬が小枝子を更に押しやる。
 強靭な肉体を持ってしても尚、『渇きの王』の力は凄まじいものであった。
 背より生えた副腕に灼熱の光剣が出現し、拳ごと『渇きの王』へと叩きつける。脳天を貫き、灼く一撃。
 だが、それでも『渇きの王』は止まらない。死なない。壊れない。

「私は、死を求めている。この程度では死ねない。私は死の先に何を求めていたのかを忘れているが」
 鈍い音がして小枝子の副腕が折れる。
 だが、それよりも早く小枝子の瞳がユーベルコードに輝き、額に亀裂が走る。
 否、亀裂ではない。
 そこにあったのは開眼せし第三の目。
「|燃えろ《壊れろ》、|燃えろ!!《壊れろ!!》」
 ただそれだけを小枝子は叫ぶ。

 炎髪のごとく立ち上る髪。
 さらに副腕がもう一対背より生え、六腕でもって『渇きの王』を捉える。
 そして、彼女の肉体はさらなる変貌を遂げる。
「私は愛したものさえ忘れ去ってしまっている。死の先にこそ、愛したものがいるのならば、それを求めるのは自然ではないかね」
「だったら!」
 小枝子のふくれ上がる肉体は超光熱の黒焔へと変貌を遂げる。
「壊れ失せるまで壊してやる!!」
 放つ槍の一撃が『渇きの王』の胸を穿つ。
 噴出する焔。

 それは、『渇きの王』ごと小枝子を大炎熱たる異空間へと押し込む。
「まだだろう! まだ、壊れないだろう!!」
 小枝子は高熱の焔が立ち上る空間に脚を踏み出す。黒衣翻る『渇きの王』を見据える。そこには狂気しかない。
 理性などない。
 まともな思考などない。
 ただ死を求め、されど、その死を許されぬ者。
 その哀切に小枝子は寄り添うことはない。たとえ、それが望まぬものであったのだとしても。目の前の存在はオブリビオン。
 存在するだけで世界を滅ぼす存在であると知るからこそ、小枝子の瞳は超克の輝きを持って踏み出す。

「此処は、我等の禍戦場だ。何度でも壊してやる!! 壊れ果て失せるまで!! 何度でもだ!!!」
 踏み込む。
 叩き込む一撃は、己の闘争心をくべるかのように黒焔を噴出させる。
 対する『渇きの王』は、冷えていた。
 心の中に燈火がない。寄る辺がないと言ってもいいだろう。縁たるものを失い、なおも生きていかねばならぬ哀しみだけが満ちている。

 そして、それこそが狂気に落ちる最大の原因でもあったことだろう。
「貴様は生命ではない。不死であったから生命ではないのではない! 自らを!!」
 小枝子は槍を叩きつける。
 激突する影の軍馬と焔の槍。
 火花が散り、互いの体が砕ける。六腕が打ち合う度に砕けてひしゃげる。ひしゃげた腕さえも叩きつける。
 だが、その間に再度鋳造された腕が復元し、また叩きつける。
 まるで子供の癇癪めいた行動であったことだろう。やたらめったらに叩きつけるだけの単純な攻撃。
「自分を燃やせ、死んで、燃え尽きるまで!!!」
 小枝子は咆哮する。

 目の前の存在は己を燃やさない。
 小枝子自身が己を燃やして敵を穿つような熱がない。それがどんなに虚ろなことであるかを小枝子は知っている。
 己を燃やすこと。
 己の存在を炉にくべること。その全てが生きるということだ。不死たる存在は、死んでいるように生きているだけでしかないのならば。

「その体、自分が燃やし尽くしてくれよう!! 壊れろ!!!」
 吹き荒れる黒焔と共に小枝子は槍をもって生命を燃やす。己の生命も、『渇きの王』の生命も。
 生命が燃えることこそ、生きる道の標であるというように、示して見せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
トト〇のパチモンを倒す為には、この人を倒さないといけないのか。
強そうだなあ<汗>。

先制の一撃を如何に躱すか、とか思っていたら、もう突撃してきた!
「きたきたきたきたきたきたきたきたきたーっ!!」とか叫びながらも、
仙術の分身をその場に置いて先制攻撃を受ける身代わりにし、
攻撃タイミングを見切りで読んで躱しつつ、
自身の翼と空中戦・限界突破で上空に高速離脱。
オーラ防御も展開。

今度はこちらの番。
瞬間思考力とスナイパーでターゲットロックオン。
光の属性攻撃を両目に集めて威力強化の上、UC:竜闘気波動砲を収束型で発射!
『渇きの王』を貫通攻撃。

目が見えなくなるのは仙術の千里眼でフォローして、後続に繋げて撤退する。



 黒い焔が戦場に噴出する。
 それは猟兵のユーベルコード。
 異空間に『渇きの王』を叩き込み、その超炎熱たる焔でもって生命を焼滅し続けていた。
 だが、その異空間から『渇きの王』は脱出する。
 身を焦がし、生命を焦がしながら、されど彼は未だ死なない。
『不死の紋章』が体内に在るがゆえに彼は死なない。
 死なぬがゆえの無謀なる行動。並のオブリビオンであったのならば、もう何度滅ぼされていたかわからぬほどの攻勢のさなか、『渇きの王』は狂う。
「私には死が訪れない。死が奪われたように、私には何もない。私の愛したものすらも、私の傍らにはいてはくれない。死にすら拒絶されているのだから」
 影の軍馬が嘶くようにして戦場に集まっていた猟兵目掛けて駆け抜ける。

 別に特定の誰かを狙ったわけではない。
 けれど、リューイン・ランサード(波濤踏破せし若龍・f13950)は『渇きの王』と視線がかち合ったのを理解する。
 禁獣『デスギガス』。
 かの無敵能力を持つ敵を打倒するためには『欠落』を破壊しなければならない。そして、その『欠落』を守っているのが、『不死の紋章』を持つ『渇きの王』なのだ。
 番人として、その力の強大さは言うまでもない。
 だが、倒さねばならない。強そうだ、とリューインはへたれていた。だが、そんな猶予もない。
 今まさに彼の目の前に影の軍馬の鉄槌の如き前足が振りかぶられている。
「もう来た!? きたきたきたきたきたーっ!!」
 ちょっと待って! といって待ってくれるのならば、どんなに良かっただろう。
 振り下ろされた前足の一撃がリューインの体を粉砕する……いや、それは戦術の分身だった。

「って、駄目だこれ! 分身でもっ、この衝撃っ!」
 身代わりにした分身は一撃で粉砕された。
 距離を取った己にさえ、一撃の衝撃波が届いているのだ。あれをまともに受けることはできない。
 竜の翼を羽撃かせ、空へと飛ぶ。
「私の死は何処に在る」
「し、知らないよ、そんなの!?」
 影の軍馬が大地を蹴って、さらにリューインに迫る。
「空中戦もできるっていうの!?」
 振るわれる一撃にオーラの防御が砕ける。吹き飛ばされながらも、衝撃を活かしてリューインは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 刹那の思考。
 一瞬で答えを出さなければならない。何をして、何を狙うか。
 彼にとって、それは僅かな時間であったが、己がユーベルコードは視線を合わせるだけでいい。
 彼の瞳は、竜闘気波動砲(リュウトウキハドウホウ)。
 両目から放たれた極大の竜闘気波動が満ちて、収束される。束ねられた熱線の如き波動の一撃が『渇きの王』へと叩き込まれる。
 影の軍馬ごと辛い抜いた波動の一撃が大地を穿つ。
 吹き荒れる衝撃。
 そのさなか、リューインは翼を羽撃かせ、後退する。

 彼の波動砲の一撃は確かに強烈だ。
 だが、その一撃故に彼の瞳は眩しさで灼けるのだ。痛烈な痛みが走る。視神経を焼かれるような痛み。脳へと至る痛み。
 そのどれもがリューインの頭を虐げることだろう。
「けど、此れで後に繋げられる……! 頼んだよ、みんな!」
 リューインは眩しさに眩む目で己の横を駆け抜けていく猟兵たちを見送る。
 猟兵の戦いは繋ぐ戦い。紡ぐ戦い。
 ただ一人では勝てずとも。それでも後を任せられる仲間がいるからこそ、戦うことができる。
 それ故に、リューインの波動の一撃は『渇きの王』を唯一撃で持って絶命さえ、『不死の紋章』を体内からさらに引きずり出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
相手はそう簡単には死なず、こっちは一撃でもまともに喰らえばかなり厳しい事になる
随分と不公平だが、それは今更か

神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
先制の叩きつけは僅かに距離を取って紙一重で回避

まずはタイミングを見計らいたい。適宜攻撃を回避しつつ、叩きつけなど隙の大きい技を使わせたところで、廻・伍の秘剣【灰桜閃】
高速で踏み込んで連続攻撃
三度の斬撃を一点に叩き込む事で、威力を高めた浄化の神気で相手を包み継続ダメージを与えていく
一撃で倒し切る事はできないし、何度も殺し続ける事も当然できないから、後に続ける為の一手だ

不死とはいっても、ダメージを受ければ幾らか影響はでるだろう
ここから反撃にでよう



『不死の紋章』の力は凄まじいの一言であった。
 これまで多くの猟兵達のユーベルコードが『渇きの王』を絶命させてきた。けれど、その都度『渇きの王』は復活してきていた。
 今もそうだ。
 波動の一撃が確かに『渇きの王』の生命を奪ったはずだった。
 しかし、死が訪れない。
「私に死はない。奪われたが故に。私は奪われすぎた。何もかも奪われた。愛しきものも、その記憶も、擦り切れたかのように奪われた」
『渇きの王』が駆る影の軍馬が嘶く。

 その踏み込みは尋常ではなかった。
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はしかして、その一撃を見極める。あの鉄槌の如き軍馬の前足の一撃は、まともに受けてはならない。
 あれを受ければ、こちらはかなり厳しいことになると理解できているからだ。
「随分と不公平だが、それは今更か」
 わかっていたことだ。
 オブリビオンと猟兵の戦いは常に個としてオブリビオンが勝る。
 ただ一人の猟兵で打倒できるほどオブリビオンは甘い存在ではない。けれど、それでも猟兵たちは数々の戦いに勝利してきた。

 途方もない存在もいた。
 けれど、それらの全てを打倒してきたのだ。
「確かにその一撃は強烈だろうな」
 鏡介は迫る一撃を見やる。距離を取る、と判断したが、しかしそれは悪手であると知る。
 先行した猟兵がそうであったように、軍馬の鉄槌の如き一撃は躱したとて衝撃が身を穿つ。
 オーラで防御しても無駄だった。
 砕かれる。
 回避は、間に合わない。
 ならば、自分ができることは唯一。
 タイミングを合わせること。先制たるユーベルコードの一撃。軍馬の蹄が鏡介の鼻先に触れた瞬間、彼の瞳がユーベルコードに輝く。

 封印を開放された神刀の神気が尋常ならざる身体能力へと引き上げる。
 蹄が触れた瞬間、その放つ斬撃は三つ。
 閃光の最中の三連撃。
 それは、一瞬で灰色の桜を舞い散らせる、浄化の神気でもって『渇きの王』を包み込む。「これが、 廻・伍の秘剣【灰桜閃】(カイ・ゴノヒケン・カイオウセン)」
 咲き乱れるように舞い散る神気の花弁。
 蹄の一撃は包まれた神気の花弁によって押し戻され、『渇きの王』は鏡介を見下ろす。睥睨する瞳。
 そこにあるのは狂気だけだった。

「一撃で倒し切ることはできないと思っている」
「私には死が無いがゆえに」
「だから、つなげる。『渇きの王』、お前が不死であったとしても」
 放たれる三連撃。
 交錯する剣閃。その中心にさらに鏡介は踏み込む。

 そう、『不死の紋章』は未だ体表に現れていない。まだ殺し足りないのだ。己の斬撃では届かない。
 だが、それでも後に繋ぐ事はできる。
 何度も、何度も殺し続けることが『不死の紋章』を浮かび上がらせる条件であるというのならば、己の一手は後に繋ぐためのものでいい。
「俺がお前の不死を打倒できなかったとしても。それでも、積み重なったものは、より合わさったものは、紡がれたものは、必ずお前の不死を絶ち切る」 
 故に、と鏡介は、交錯した三連撃をさらに重ねていく。
 灰の桜花嵐が、戦場に煌めき、猟兵達の戦いを繋ぐ鎹となるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
壊れない玩具が欲しいって発想は誰もが抱くもんなのね
アンタの過去がどうこうなんて興味もないけど、その点では同情するわ、ご同類さん

躰から滲み出す「飢渇」の群れを嗾けて喰らい付かせ「微塵」に砕き、爆風で足止めしながら突貫
この程度はどうってことないんでしょうね――私もよ
爆風と敵の攻撃に身を焼かれ、砕かれながらも瞬時に再生し、至近距離に潜り込む

体表から滲み出た「微塵」の爆風が躰を抉り焼き焦がしながら無理矢理加速させる
膝に隆起した「骨身」の杭を膝蹴りで腹のど真ん中に打ち込む
次いで足裏の杭を回し蹴りと共に叩き込む
さらに肘を頭突きを手当たり次第に、針のむしろになるまで

さて、と。何本打ち込めば死ぬのかしらね



 灰色の桜の花弁が戦場に舞う。
 剣閃が交錯し、点を刻む。それは次なる猟兵に託した輝きであったことだろう。その光を手繰り寄せるようにして、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は『不死の紋章』を持つ『渇きの王』へと迫る。
「壊れない玩具が欲しいって発想は誰もが抱くもんなのね」
 哀れみがあった。
 目の前のオブリビオン『渇きの王』は『不死の紋章』を禁獣『デスギガス』によって与えられた存在である。
 改造された存在であり、死を許されぬ存在である。

 メフィスの言うように、それは壊れぬ玩具であったことだろう。
 永遠に壊し続けることのできるものであると言ってもいいだろう。
「私は奪われている。私の愛したものさえも置き去りにしたのは、不死であるというのならば、私は死を奪われている。だからこそ、私は、死を求める」
「アンタの過去がどうこうなんて興味もないけど、死ねない苦しみっていうの。そういう点では同情するわ、ご同類さん」
 迫る影の軍馬の前足による鉄槌の如き一撃。
 先制する一撃。
 強烈な一撃だ。これまで多くの猟兵たちが、この軍馬の痛烈なる一撃にガードを崩され、致命打を防いだとしても衝撃波で吹き飛ばされてきた。

 ならば、とメフィスは己の眷属の群れを影の軍馬に食いつかせる。
 噛み砕き、粉砕する。
 爆風が荒ぶは飢餓たる眷属たちが弾けたからだ。だが、それでも止まらない。蹄の一撃。
 足止めにもならない。
「この程度はどうってことはないんでしょうね――」
 振り下ろされる鉄槌の一撃がメフィスの頭蓋を割る。
 砕け、ひしゃげ、飛沫が飛ぶ。
 だが、その飛んだ飛沫が、砕けた頭蓋が、逆巻くようにして復元していく。

「――私もよ」
 メフィスの瞳がユーベルコードに輝く。
 眷属達の爆風も、蹄の一撃も、何もかも彼女にとっては脚を止める理由にはなっていない。懐に飛び込むためだけに彼女は傷を厭わなかった。
 ともすれば、それは理性無くした狂気に塗れた『渇きの王』と同じであった。
 死を厭わぬからこそ。
 死を許されぬからこそ。
 その道は眼前に広がっている。選択肢は多くなかった。躱すことも、防ぐことも無意味。ならば、メフィスは選んだ。

 己の身が砕けても尚、踏み込むことを。

「――邪魔、だァア!!」
 咆哮と共にメフィスは影の軍馬に騎乗する『渇きの王』へと肉薄する。
 肉体抉る爆風にさえ、メフィスは背中を押されるようにして、その金色の瞳で『渇きの王』の瞳を見る。
 理性もない。狂気しかなく。そして、ただひたすらに虚ろなる瞳。
 これと己が同じであっていいはずがない。
 膝より隆起した『骨身』の杭が『渇きの王』の胴を穿つ。

 杭の如き『骨身』が折れる。だが、それでもメフィスは構わなかった。翻る体が後ろ回し蹴りの要領で『渇きの王』へと叩き込まれ、さらに足裏から隆起した『骨身』がまた、その肉体を抉る。
「私に死を」
「ええ、与えてあげようじゃない。求めているのならば」
 振るい上げた拳が『渇きの王』の顔面を捉え、関節から飛び出した杭が頭蓋を割る。さらに、止まらない。
 反った腰の反動のままにメフィスは額を叩きつけ、割った頭蓋をさらに亀裂走らせるように衝撃を叩き込む。
 そこからは手当たり次第だった。

 一体どれだけ杭を打ち込めば死ぬのか。
 わからない。
 けれど、己ができることは一つだけだった。
 彼女のユーベルコードは、銀(シロガネ)に輝く。不滅、無敵。その概念自体を破壊するユーベルコード。
 それはさんざんに杭となって撃ち込まれ、『渇きの王』の不死に亀裂を走らせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
死ねない…はなんともまあ
気の毒と言えばいいのか…
まあでも敵であるのには違いない…か


相手が不死に近いとはいえやる事は簡単、結局いつも通りだね
一度で駄目なら二度、二度で駄目なら三度
向かってくる限り殺し尽くしてあげよう
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
相手の一撃に対して『カウンター』を仕掛けよう
『斬撃波』をその攻撃に当て、軌道を逸らし更に斬り払って『武器受け』
返す刃で【Code:T.S】起動
雷刃形成
『なぎ払い』、斬り裂いて切断していこう
立ち上がる限りは何度だって斬り裂いてあげるよ
ま、もうまともな意識も感情も無いのかもしれないけれども
死を与えてあげるんだから感謝してよね



 骨身たる杭が幾度となく『渇きの王』へと叩き込まれた。
 不死たる存在は、如何に杭を身に撃ち込まれてもなお、死ぬことを許されていなかった。だが、その不死が揺らぐのを月夜・玲(頂の探究者・f01605)は見た。
「あんなになってもまだ死ねない……は、なんともまあ、気の毒と言えばいいのか……」
 彼女の前にある『渇きの王』より落ちる杭が乾いた音を立てる。
 頭蓋割られ、胴を穿たれ、血に塗れて尚『渇きの王』は痛みに喘ぐでもなく、乾いた心のままに言葉を紡ぐ。
 理性はなく。
 あるのは狂気のみ。
「まだだ。私にはまだ死が訪れない。私から奪われた死は何処にある」

 気の毒、と思ったのは本音だった。
 けれど、それでも敵であること、オブリビオンであることに変わりはない。
「死なない敵とは言え、不死に近いってことだけなら!」
 玲の手には二振りの模造神器が互いの刀身を励起させるように輝く。同時に迫るは『渇きの王』の放つ影の軍馬の踏み込みと、その振り上げた前足による鉄槌の如き一撃であった。
 先制する一撃。
 躱すことはできても衝撃波が身を打ち、防御は容易く砕かれる。

 これまで多くの猟兵たちは、その攻撃を前に己達の力で立ち向かってきた。
 受け止めて尚、滅びぬ身を持って踏み込む者もいた。
 玲は選んだ。
 確かにあの一撃は強烈だ。
「だったら、軌道をそらす!」
 振るう模造神器の刀身が蹄と激突して火花を散らす。それでもなお、止まらない。そらすことができない。だが、励起した模造神器は二振り。
 振るう二撃目でわずかに軌道がずれた瞬間、玲は踏み込む。

「やることは結局いつも通りだね。一度で駄目なら二度、ニ度で駄目なら三度」
 玲の瞳がユーベルコードに輝く。
 振りかぶった模造神器の刀身に雷の刃が形成される。
「Code:T.S(コード・サンダーソード)――立ち向かってくる限り、殺し尽くしてあげよう」
 雷刃が振るわれる。
 一刀が両断し、もう一刀が横薙ぎに揮って分断する。
 十字に刻まれた雷の刃の痕は焼き焦げ、『渇きの王』の身を灼く。
 だが、それでもなお踏み込んでくる。
「雷も私を殺せない。ならば、私は雷さえも、超えている」
「上等!」
 火花が散る。
 雷刃と蹄。
 影と雷光。
 何度も交錯しては、刻まれていく十字。それは、玲と『渇きの王』による斬撃の輪舞曲そのもの。

『渇きの王』はまともではない。
 禁獣『デスギガス』によって改造されているからであろうか、それとも、不死によって得た狂気に寄ってであろうか。
 どちらにせよ、死を望む者に死は訪れないという苦しみ。
 死は救いではないけれど。
「感情も擦り切れているんだろうね。長い、長い、復活の連続で。だから死を求めるというのならば、それは本末転倒ってやつだよ」
 玲は雷光煌めく己の模造神器の刀身が放つ蒼い光と共に『渇きの王』を切り裂き続ける。何度も、何度も、何度も。

 きっと『渇きの王』には焦がれるものがあったのだろう。
 死を超えた先にある何か。
 望んでも、願っても、見果てぬ何か。
 ならば、己たち猟兵のやっていることは、『渇きの王』の望みを叶える行いであった。
 だから、玲は敵に情けをかけるわけではないと十字の閃光共ともに、雷鳴にかき消える言葉を紡ぐ。
「死を与えてあげるんだから感謝してよね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギヨーム・エペー
彼が軍馬に乗っているならおれはバイクでいこう。UCで速度をも増強して苛烈さを軽減する。持っている力と武器を全て使って、彼を殺すよ。何度も。肉体を貫通させ、属性攻撃を撃ちこみ、時にはバイクでタックルかまして、彼を止めよう
狂気耐性と継戦能力で、彼を殺し続けながらも、狂気に呑まれることなく正気を保つ。彼が自身の能力に疑念を持つことはー……なさそうだが、おれが話しかけ続けることによって変化はなくとも、おれはきみに集中できる!

死をもたらすのは時間であってきみじゃない。だが聞こえてはくれないんだろうなー
時間がきみに死をもたらしてくれたらよかったんだよな。きみが欠落の番人なら、おれは時の使いになろう!



 雷光十字の斬撃が『渇きの王』を切り裂く。
 身を分断され、寸断され、両断されてもなお死ねない。
『不死の紋章』は、死を許さない。
 禁獣『デスギガス』の『欠落』を守る番人たる役目のためである。そのために『不死の紋章』は『渇きの王』より死を奪ったといってもいいだろう。
 死ねない体。
 摩耗した理性と正気。
 狂気はすでに虚ろたる瞳に宿り、淀んでいた。

 これほどまでの苛烈なる攻勢を前にして尚、『渇きの王』は身を復元させる。
「私は死ねない。私の死は奪われている。それ以上に、私には、私の愛するものが傍らにいないという事実が、私の心を砕く」
 憂うようにして、されど、『渇きの王』は、その影より従魔を生み出し、猟兵たちへとけしかける。
「まったくもって、何度も殺さないといけないなんてな!」
 ギヨーム・エペー(f20226)は宇宙バイクでもって戦場を駆け抜ける。
 迫る影の従魔たちは、想像より創造されているがゆえに、『渇きの王』が疑念を抱かぬ限り、その能力に陰りはない。
 そして、正気を失っているが故に疑念を抱く余地すらないのだ。
 手にした氷の槍でもって従魔を薙ぎ払いながら、『渇きの王』へと打撃を撃ち込む。

 打撃が通る。当たる。
 それはこれまで猟兵たちが数多ユーベルコードを撃ち込んできたがゆえであろう。
「きみは狂気に飲み込まれているな。だが、おれはそうではない」
「私には死がないだけだ。誰しもに存在している死という賜り物が私の手にはない」
 会話が成り立っていない。
 だが、それでもギヨームは語りかける。
 彼自身に疑念を抱かせることは無理であるとわかっている。けれど、それでもギヨームは言葉を投げかけると同時に氷の槍を叩き込む。

 会話が成り立たずとも、少なくとも己は『渇きの王』に専念である。
「死をもたらすのは時間であってきみじゃない」
 その言葉は届かないだろう。
 わかっていた。
 けれど、それでもギヨームは言わざるをえない。穿つ一撃が『渇きの王』の頭蓋を割る。血潮が溢れ、その虚の如き瞳は再び紋章の力によって復元されていく。
 死が許されぬとは、こういうことだと知らしめるようであった。
「誰もが不死を求めている。時間さえも私の不死を拭うことはできない」
「時間がそうであったのならば、良かったんだよな」
 ギヨームは思う。

 死を望むほどの長い時間、己だけで存在していたのだろう。
『デスギガス』の『欠落』を守るためだけに改造され、得難きものを失って尚、ただ一人死より遠ざけ続けられている。
 人は確かに定められた生命を全うするしか無い。
 故に死を恐れるし、不死を求める。けれど、誰一人として、それをなし得たものがないのだ。
 だからこそ、ギヨームは言うのだ。
「きみのそれは完全なる不死ではないと言えるだろう。おれは、知っているぞ。きみは滅びる。それをもたらすために、おれは」
 叩き込むユーベルコード。
 加速し、振るう氷の槍は『渇きの王』を貫く。

「きみが『欠落』の番人なら、おれは時の使いになろう!」
 それだけが、不死という病に心冒された哀れなる存在に対するただ一つの救いであるというように。
 幾度もの死を超え、望まぬ生に縛り付けられ続ける哀しみに。
 終止符を打つためにギヨームは渾身の一撃を見舞い、身の内に深く刻まれた『不死の紋章』を引きずりあげるように叫ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 死は救いじゃない……けど、死ねないのもそれは苦しみね。大切なものも誇りも、死すらも全て奪われて狂気に落ちてしまったあなたに、わたしは刃を向けるしかできないわ。

 【UC:白魔顕現】(SPD)を発動よ! 尋常じゃない再生速度にはとにかく手数で攻めるわね。〈高速詠唱〉〈多重詠唱〉で氷の〈属性攻撃〉を連続して放ったり、〈怪力〉で長剣を振るったり、力の続く限り一度でも多く咎人さんを倒すわ。

 デスギガスに苦しめられる人を無くすため、この世界のみんなを助けるために、わたしは何としても欠落の元に辿り着かなきゃいけないの。だから、わたしはあなたを何度でも倒すわ、何度でもよ!

(アドリブ等々大歓迎です)



「私に死はない。存在しない。奪われているからだ。私が望む死は救いである。この永遠から解き放たれるために必要なものだ。だから」
 己は死を望むのだと『渇きの王』は虚ろなる瞳を向ける。
 猟兵達のユーベルコードは数多輝く。
 幾度殺しただろう。
 だが、それでもなお禁獣『デスギガス』が『渇きの王』に施した改造、『不死の紋章』は肉体の内部にある。

 それでも、その『不死の紋章』は表層に近づいていることをゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は知る。
 猟兵達のユーベルコードは何一つ無駄ではなかった。
 強大なオブリビオン『渇きの王』をここまで追い込み、幾度となく殺し続けたことにより、『不死の紋章』は表出に近づいていると言ってもよかった。
「死は救いじゃない……」
 ゾーヤは知っている。
 死は救い足り得ない。特にこのダークセイヴァー世界においては、特にそうであった。
 死した後に転生しても地獄は続く。
 魂人として『闇の種族』にもてあそばれるだけの運命でしか無い。だからこそ、死を望む『渇きの王』へとゾーヤは告げる。

「……けど、死ねないのもそれは苦しみね。生きることは苦しみを得ること。大切なものも誇りも、死すらも全て奪われて狂気に落ちてしまったあなたに、わたしは、刃を向けるしかできないわ」
 守護の長剣を抜き払う。
 幅広の刀身が煌めきを放つ。
 ユーベルコードの輝きに寄って、氷華の聖痕に込められた膨大な魔力が放出される。痛みを引き受け、人を癒やすための聖なる聖痕。
 秘められた魔力はゾーヤの身体能力を引き上げる。
 背に煌めくは氷結の華。

「けれど、あなたは知るべきだったのよ。苦しみを得るからこそ、救いを得ることができるのだと。苦しみの後に救いがある。救いの前に苦しみがある。それがとても難しいということ。生きるということ。あなたは死を望むまえに懸命に生きるべきだったのよ!」
 ゾーヤが踏み込む。
 白魔顕現(ブリザード・ウルフ)。彼女の瞳がユーベルコードに煌めくままに、その身に宿った人狼の怪力でもって迫る影の獣魔を切り伏せる。
『渇きの王』は虚ろなる瞳でゾーヤを見据え、影の従魔たちをけしかける。
「生きて、生きて、それでも死ぬことを許されぬことは、苦しみ続けることではないのか。私に救いはないのか。私は、奪うことを、旨としながら、それを是としなかったがゆえに」
 今、こうして不死に囚われている。
『渇きの王』の瞳は、狂気だけではないとゾーヤは見据える。

「苦しみと共にあることが、人の感情でしょう。奪うことは与えることの裏表。あなたを救うことはできないけれど」
 迫る影の獣魔を氷の魔法でもって打ち払いながら、手にした長剣を構える。
 痛みは人の歩みを妨げる。
 足を止めさせるだろう。諦観が人の歩みを止めさせるのと同じだ。躊躇わせるのだ。痛みはどうしたって人には恐怖を呼び起こす。
「それでも『デスギガス』に苦しめられる人を無くすため、この世界のみんなを助けるために」
 ゾーヤは己の心の苦しみを得る。
 救うことのできない誰かのために、己の心に苦しみを得る。
 なんとしてでもやらねばならないことがある。

『欠落』。
『渇きの王』が番人として守る『デスギガス』の『欠落』を破壊すること。
 そこまでたどり着くためには『渇きの王』を打倒しなければならない。
「何度殺しても、何度殺しても、それでもあなたは立ってくる」
 振るう長剣が『渇きの王』の首を捉える。
 斬撃は、鋼鉄の如き皮膚を切り裂き鮮血をほとばしらせる。
「咎人さん。わたしはあなたを何度でも倒すわ」
 氷結の華が血の色に染まる。けれど、ゾーヤは止まらない。止まれない。この心に苦しみある限り、誰かの笑顔を守れると信じているから。

 だからこそ、ゾーヤは剣を振り抜く。
 例え、この行いが咎められるのだとしても、やめない。
「何度でもよ! 何に代えても必ず――!」
 果たして見せると、数え切れぬ死を『渇きの王』へと与えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・スペルティナ
……皮肉ですわね。不死の紋章と言いながら、その在り方は亡霊と変わらない、|精神《こころ》も壊れ、残るは死ねない体とそこに縛られた想いだけ

手首を切り、血晶石とブルートヴァッフェを融かし、制御・制限・召喚の3つ、3重の血の魔法陣を描き……【抗体呪装:|死を運ぶ冥獄の使徒《ナグルファル》】を!!

精神消耗度9、81体、生命を拒絶する疑似抗体兵器を携え、紅き抗体ゴースト達の姿をした、この血に封じた無数の呪詛と怨嗟の想いの化身「冥獄の使徒」を呼びわたくし自身の攻撃に追従させ集中攻撃を!

自身の傷は無視、もし使徒を幾つか奪われても流した血に呪詛と怨嗟を「喰わせ」再度封じ込め、限界ぎりぎりまで攻め続けますわ!



 変わらない。
 何一つ変わらない。
 不死という名を持ちながら、しかして『渇きの王』は求めている。何を、と問うまでもない。
 死を求めている。
 生命である限り、その終着点は死でしかない。
 死を目指して生きる。

 それが生命の在り方であり不文律であり、不可逆である。
 ならば、めの前の存在は一体なんだ。
「……皮肉ですわね」
 メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)の瞳がユーベルコードに輝く。
 数多の猟兵達のユーベルコードが『渇きの王』に施された改造、『不死の紋章』による不死性を削ぎ落とし続けていた。
 幾度殺しただろう。
 幾度立ち上がってきただろう。
 もはや、数えることも意味をなさないことをメリーは知る。

「私が求めるは死。死の先に、私の求めるものがある。愛するものがある。膨れ上がった願望が、私を絶望に叩き落とす。何故、私には死がない」
「『不死の紋章』と言いながら、その在り方は亡霊と変わらない」
 メリーは『渇きの王』を見やる。
 叩き込まれたユーベルコードは確かに死なずの王を追い詰めている。
 後一手。
『不死の紋章』さえ砕くのならば、『欠落』の番人を打倒できる。だが、まだ紋章は表出していない。

「|精神《こころ》も壊れ、残るは死ねない体と縛られた想いだけ」
 わかっている。
 鋭い痛みが手首に走る。
 おのれで傷つけた傷。そこより滴る血が血晶石を染め上げ、手にした呪血剣と合わさっていく。いや、融けていくと言ったほうがいいだろう。
 己の身に受け継いだ呪詛や怨念を抱えた血。
 その血が描くは魔法陣。

 即ち、制御、制限、召喚。
 重なる魔法陣より現われるはゴースト。
「想いは身を縛るもの。あなたを縛るのは紛れもなくあなた自身の想い。その想いが強いからこそ、死ねず、また同時にこの世にあり続けようとしている。死によって救われようとしながら、事実救われぬ体のまま彷徨い続けるのでしょう」
 メリーは見やる。
 体ではなく、己の心が消耗していく。
 ゴーストはただのゴーストではない。

 呪詛を帯びた紅い疑似抗体ゴースト。
 呪血によって生み出された剣を手にした存在。
「 抗体呪装:死を運ぶ冥獄の使徒(ナグルファル)……死者運ぶ船、その名が示す通り、その重き想い持つ者を運びなさい!」
「私は略奪する。私が生来持ち得たものはそれだけだった。だが、私がそうではないと知ったのは」
「あなた以外の誰かがそういったのでしょう。だから」
 メリーは疑似抗体ゴーストたちを手繰る。
 精神は摩耗していく。

 痛みを体ではなく心で感じる。
 激突するユーベルコード。『渇きの王』はユーベルコードを略奪する。奪い、使役し、そして、メリーと同等の力を放ち相殺し続ける。
 だが、それは彼の心を更に擦り切らせるものであった。
 痛みが肉体を凌駕していく。
 メリーは歯を食いしばる。
 痛みに喘ぐことはできる。簡単なことだ。だが、己の中にある呪詛が、怨嗟がそれをさせない。
「血の底に眠る数多の呪詛と怨嗟よ……仮初の肉体を与えたのです。ならば!」
 煌めく瞳があった。
 肉体は、血は、呪いに満ちていたのだとしても。

 それでも彼女の瞳は前を向いている。
 呪詛と怨嗟を抱えながら未来を見ている。死を望み、死を渇望し、しかし手に入れられない者に憐れみをもって己の力を振るうのだ。
 激突する疑似抗体ゴーストたちは相打ちになって消えていく。
 だが、それを勝るものがメリーに一点だけあったというのならば。
「抱えてきたものが違いますのよ!」
 略奪し、片時しか持ち得なかったものと、捨てること無く、こぼすことなく抱えてきた者とでは力の本質が違う。

 故に、メリーは『渇きの王』を炉油がし、その使徒たる疑似抗体ゴーストの振るう紅い呪血の剣でもって『渇きの王』の『不死の紋章』を肉体より抉り出し、表出させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

御守ごくろうさま!
大丈夫だよ!そんなに死にたくないならちゃんと死なせてあげる!

●どんどん削る
こう何本も体力ゲージがあるボスキャラって感じ?
強敵だけどみんなでがんばって削っていこう!
さぁみんな、がんばろー!
っと[球体]くんたちを駆使してダメージを与えていこう
ドリルエッジで削り、質量で押し潰し、その牙で喰らい付けーっ!
強力な先制の一撃を【第六感】でしのいで、最高の一撃(UC『神撃)を打ち込む機会を作り出そう

大事なのは死にたくない、じゃなくて
何で死にたくなかったのか、ってことかなあ?
まあもういいんじゃない?
お疲れ様、もうぜんぶ終わったよ



『欠落』の番人。
 それが『渇きの王』に架せられたものであった。
 守ること。
 略奪を旨とする己が、何かを守るなどと、滑稽である。しかし、そんなことを嘗ての己ならば思ったであろうことを『渇きの王』は自覚などできなかった。
 彼の胸に表出する紋章。
『不死の紋章』と呼ばれる禁獣『デスギガス』によって改造施された体は死すら許されない。永劫に生きるかのごとく、ただひたすらに死を否定し続ける力。

 それこそが彼の苦しみである。
 もしも、『渇きの王』に得難きものがなかったのならば、狂気に至ることもなかっただろ。いたずらに力を振るい、不死たるが故に見を省みぬこともできただろう。
 だが、彼はそれができなかった。
 得難きものを既に得ているがために。
「私が求めるは死。死を求めている。なのに、どうして遠ざかっていく。私は」
 死を、と言う言葉にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は闊達に笑う。

「御守りごくろうさま! 大丈夫だよ!」
 ロニは禁獣『デスギガス』が『欠落』を此処に隠している事を知っている。そして、その『欠落』を破壊さえすれば『デスギガス』の無敵性は損なわれるのだ。
 だからこそ、この先にあるであろう『欠落』を破壊するために番人たる『渇きの王』を打倒しなければならない。
「私は知ってる。私は死を知っている。死を知っているのに、得られないとはどういうことだ。私は略奪者。全て奪い続けてきたはずだ。なのに死を与えるばかりで、死を奪うことができないでいる。何故だ」
 振るう鉄槌の如き影の軍馬の前足がロニに迫る。

 確実に先制してくる一撃に球体がガードを行うが、その球体すら吹き飛ばす一撃。
 重たく、そして鋭い。
 球体と第六感を用いても、その衝撃波はロニを吹き飛ばす。
「あははは! 大丈夫だってば!『デスギガス』が死にたくないって思っているってことも。でもちゃんと死なせてあげるよ!」
 球体が掘削機構を携え、『渇きの王』へと迫る。
 だが、それすら吹き飛ばす尋常ならざる膂力。

 すでに『渇きの王』の胸には『不死の紋章』が表出している。
 あれを後は砕くだけなのだ。
 だが、それが遠い。
「大事なのは死にたくない、じゃなくて。なんで死にたくなったのか、ってことかなあ?」
「理解できまい。死を持っている者には。理解できまい。死ぬことのできぬ懊悩は」
 その言葉にロニは頷く。

 うん、わかんない。

「でもさ、まあもういいんじゃない?」
 ロニは踏み込む。
 拭き荒ぶ衝撃波の最中をロニは駆け出していく。
 球体が吹き飛び、大地が砕ける最中を。飛ぶように、跳ねるようにして飛んでいく。疲れたってことだけが伝わってくる。
 けれど、その疲れさえも『渇きの王』は自覚できていない。
 何故、という問い掛けすら狂い果てている。
 不死という長きに渡る時間が彼の理性をここまで擦り切らせたというのならば、やはりロニにとっても『渇きの王』が持つ不死性は不完全なものであったのだろう。
「お疲れ様って言えばいのかな。全部全部終わってしまえば、こんなものだったんだなって思うかもしれないけれど」

 振るい上げた拳がユーベルコードに煌めく。
 強大なるオブリビオン。
『渇きの王』は、その名が示す通り『渇き』果てていた。
 擦り切れた理性に沁みる痛みのような涙もなく。ただひたすらに死より遠ざけられた者。
 それが故に振るう拳の一撃は、神撃(ゴッドブロー)。
 例え、信仰がないのだとしても。それでも神の存在を知らしめる威光の如き拳が『渇きの王』へと叩き込まれ、大地を砕く。
「もうぜんぶ終わらせてあげるからさ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
ふむ
どうにもダークセイヴァーはシリアスですね

死は救い
以前の貴方ならば、歪んでいたとしてもそれは慈悲だったのでしょう
ですが今の貴方から零れた言葉は|祈り《願い》のようにも聞こえます

ええ、ダークセイヴァーには特段思い入れもありませんから
その願いくらいは叶えて差し上げましょう

メイド《ステラ》、参ります

普段はあまりしませんが背水の陣にて
【メイドズ・ホワイト】発動
その上でユーベルコードを以て畳みかけます!
『ニゲル・プラティヌム』を手に
【スクロペトゥム・フォルマ】近接戦の連打を
隙を作れたなら【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】を叩き込みます
死こそは救いであるならば
今度こそ月光のように注ぎますよう



 どうにも、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思う。
 シリアスだ、と。
 何故そんなことを思うのかと問われたのならば、ステラはいつもコメディタッチな、リリーフピッチャーであったからだ。
 此れもそれも全部近くにいる者達のせいであると責任転嫁することならば、まあできたであろう。
 けれど、もしも、己が『主人さま』と仰ぐ者ならばどう思うかと考えたら、それはしてはならないことだと胸に刻む。
 故に、彼女は見据える。

 数多の猟兵達のユーベルコードが煌めき、ついに『渇きの王』に秘された『不死の紋章』が体表に現われる。
 あれさえ砕けば『渇きの王』の持つ不死性は喪われる。
 そうすれば『欠落』の番人は崩れ果て、禁獣『デスギガス』の無敵性もまた喪われるのだ。だからこそ、進む。
「死は救い」
「そうだ。私にはないものだ。私が失い、奪われ、奪おうとしたものだ。だが、奪えない。私が私である以上、いや。私が私であるということは、乾かねばならないということ。この飢えは、私たらしめるものであったはずだというのに」
 ステラは己に迫る『渇きの王』より放たれる影の獣魔たちを見据える。
 創造より生み出されたもの。

 疑念を抱けば無敵性は喪われるが、理性無きものに、その機会があるとは思えない。
 故にステラは告げる。
「以前の貴方ならば、歪んでいたとしても、それは慈悲だったのでしょう。ですが、今の貴方からこぼれた言葉は|祈り《願い》のようにも聞こえます」
 ステラは迫る影の従魔たちをいなしながら、見つめ続ける。
 乾いた願望。
 切なる願い。
 それらを人は持っている。持っているがゆえに苦しむ。苦しみ続け、そして、得難きものを得るのだろう。

『渇きの王』にさえ、それはあったはずなのだ。
「ですが、ええ。ダークセイヴァーに特段思いれもありませんから。その願いくらいは叶えて差し上げましょう」
 ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
 己は告げる。
 己がなんだるのかを。己を規定するものがあるのならば、己を取り巻く世界が変わる。

 即ち、速度。
 世界の速度すら超越するようにステラの瞳は『渇きの王』を見据える。
 願えど叶わず。
 さりとて、その力は願わぬ一切を叶えるものであるというのならば、それは己の『主人さま』と同じ有様であったように思えたことだろう。
 だからこそ。
「メイド《ステラ》、参ります」
 踏み込む。
 高有能なスーパーメイド。それが己。故にできぬことはない。手にした2丁拳銃が弾丸を放つ。迫る従魔を打ち据え、蹴り飛ばし、さらに踏み込む。

「死こそは救いであるならば」
 ステラは見据える。
 あの『不死の紋章』は数多の猟兵たちが削り、削ぎ落とし、生命を奪い続けてきたからこそ現れたもの。
 その一点を狙う。
 弾丸が飛び、弾かれ、それでもステラは前に踏み込む。
 退くことはない。一歩も退かない。一歩退けば、それだけで遅れると知っているからこそ、ステラは飛び込む。

 従魔溢れる戦場も脇目振ることなく踏み込み、その拳銃の銃口を向ける。
「今度こそ月光のように注ぎますよう」
 救いがあってほしい。
 どんな存在にも。どんな境遇にも。どんな魂にだって。その救いが手のように差し伸べられることを願う。
 故にステラは引き金を引く。
 弾丸は『渇きの王』の頭蓋を打ち抜き、その血潮を噴出させる。

 決定的な隙。

 それこそがこれまで連綿と猟兵たちが紡いできた『不死の紋章』を持つ『渇きの王』の生命を絶ち切る一射。
 鮮血が示すは、救いの道筋。
 ステラは『渇きの王』を蹴り上げ、空へと舞い上げる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
なるほどなのでっす。
その嘆きは藍ちゃんくんが癒やして良いものではないのでしょう。
その嘆きこそが王様さんの愛であり、聖女さんに捧げる歌なのでっすから。
藍ちゃんくんは奪わないのです。
その嘆きを、哀しみを奪わないのでっす。
ですから、ええ!
歌を歌うのでっす。
透き通る歌を。心揺るがす歌を!
胸に残り続ける想いを歌っていいのは王様さん自身なのでっすから!
藍ちゃんくんから歌を奪うというのならどうぞなのでっす!
ですがそれは藍ちゃんくんの歌ではないのでっす!
|自身の力を上乗せ《アレンジ或いはカバー》なのでっす!
王様さん自身の歌をお聞かせくださいなのでっす!
藍ちゃんくんもアンサーソングでお返ししまっすのでー!



 そして、結実する。
 数多の猟兵たちのユーベルコードが結ばれていく。鎹のように、楔のように、撃ち込まれ続けた生命奪う力の奔流。
 ついに現れた『不死の紋章』。
 だが、『渇きの王』は強大なオブリビオンである。
 たとえ、表出したとしても、その『不死の紋章』を容易く破壊はさせないだろう。

 だからこそ、猟兵たちは隙を生み出す。
 空に打ち出された『渇きの王』を赤い月が見ている。
 だが、それ以上に地上に在る猟兵――紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は瞳にユーベルコードを輝かせながら見上げていた。
「その嘆きは」
 藍は思う。
 その嘆きは己が癒やしていいものではないのだと。

「私から死を奪うな。私は死を求めている。死の先にあるものを。きっと、あると信じていたものを、死によって得ることができるというのならば」
 手を伸ばす『渇きの王』。
 ユーベルコードを奪おうというのだろう。
 求めている。
 己を死に追いやる力を。だが、藍のちからは、死に追いやるものではない。
 歌は、そんなものではないのだ。

 この常闇の世界に青空はない。
 あるのは天井だけだ。
 だからこそ、己の歌は、きっと『渇きの王』には届かないだろう。空を知らず、その青さも知らず、ただ闇色の天井に在りし月光しか知らぬ者。
 だが、同時に思うのだ。
「その嘆きこそが王様さんの愛であり、聖女さんに捧げる歌なのでっすから」
 愛は尊い。
 言葉にすれば陳腐だった。
 誰も彼もが軽い言葉だと言うだろう。そんな言葉で愛を語るなと言う者だっているだろう。

 けれど、藍は高らかに言う。
 何も恥じることも、何も軽んじられることも必要としていない。
 今ここに有るのは、己と『渇きの王』、そして彼に死という救いを、この世界に満たす悲鳴の元を断ち切らんとする猟兵達の想い。
 故にユーベルコードをは煌めく。
 歌声は、青空の如く澄み切っていた。青空知らぬ者にさえ、その光景を幻視させる。

 即ち、情景という。

 偽りであっても、幻であっても、しかして心たる物に情を与える声にして歌。

「藍ちゃんくんは奪わないのでっす。その嘆きを、哀しみを奪わないのでっす。ですから、え!」
 歌を歌う。 
 それしかできない。それだけが己であると示すように、歌声は闇夜に響き渡る。たとえ、そのさまを赤き月が見ているのだとしても。
 それでも、その胸に残り続けるものは『渇きの王』だけのものであると。

「さあ、歌いましょう」
「何を歌うというのだ。私にはないものを私は奪う。略奪者。渇き果てるが故に、奪い続け、そして、渇きを是とした……」
「そうでっす! それです! それだけが死さえ奪われて尚、奪いきれなかったもの。渡せなかったもの。狂気に囚われ、擦り切れた理性の最期に残されたものでっす!」
 歌声は『渇きの王』を打つ。
 心無き者にすら感情を呼び起こす魂の歌。

 それが『渇きの王』の胸を張り裂けそうなほどの情動でもって満たしていく。
「奪っても、奪っても、それは藍ちゃんくんの歌ではないのでっす!」
「歌、これが、歌、私の歌」
「そうでっす! 言うなれば、アレンジ! 或いはカバー! なのでっす!」
 さあ、と藍は手を伸ばす。
 赤い月光降りしきる夜空の下、藍は告げる。

「王様さん自身の歌をお聞かせくださいなのでっす!」
 胸に浮かぶ『不死の紋章』が張り裂ける。
 砕け、体が崩れていく『渇きの王』。何故とは言うまい。数多のユーベルエコードの煌めき。
 その輝きこそが、ここまで絆いできた。
 紡いできた。
 ああ、と吐息漏れるように藍は手を天に伸ばす。
 渇き切った声ならぬ声を、歌を耳にし、藍は歌う。
 これが『アンサーソング』。

「青空無くとも心には澄み渡る空がある。空の青さを知らぬでも、目を閉じるだけでいいのでっす。それだけで」
 死たる救いより先の開放を持って、嘗てあった誰かのために歌ったことを思い出せば良い。
 示すは、道筋。
『渇きの王』を満たしたのは、きっといつかの愛。
 張り裂けた煌めきは、『欠落の番人』を霧散させ、不滅を砕いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月14日


挿絵イラスト