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闇の救済者戦争⑬〜重力に■引かれる惑星

作者：黒代朝希

「――何を、している」
　――巨大な｜三つ首の獣《ケルベロス》が、驚愕の表情を浮かべる。
「奴らに、『六番目の猟兵』に『｜重力の鎖《グラビティ・チェイン》』を与えているのか！？――我が『｜惑星《ほし》』よ！」
　それは、かの存在にとっては存在を否定される様な事象。
　ああ、けれども……
　巨大な獣ではなく、無数の個を宿す■として『｜剣《ブレイド》』を『■殺し』から『赦しと救済』に変えた『彼ら』の方が――

「――重力。万物に宿る「重さ」を作り出す原因となる力にして現象……」
　面白い概念ね、と言いながらシビュラ・ヴェルムリープ（光桜天樹スプリールの聖女・f39562）は『闇の救済者戦争』の戦線基地である『影の城』にて、優雅に紅茶を飲みながらブリーフィングを始めていく。
　その余裕は早期の第二層突入によって『五卿六眼』の喉元に刃を突きつける一歩手前まで半分も経たずに戦線を進められたからだろう。
「でも、倒さなければならないのは『五卿六眼』だけじゃないわ――『究極禁獣』の二体、あの二つのオブリビオンを滅ぼさないとダークセイヴァーに安寧は齎せないのだわ」
　そう言ってシビュラはグリモアである星の輪の紋章を虚空に浮かべ、戦場『月光城砦群』……『究極禁獣』が一柱『ケルベロス・フェノメノン』を滅ぼす為の『欠落』が隠されている城塞群を映し出す。
　そこにはかの地を納める『月光城の主達』が施している防衛術式の内が一つ――『魔空回廊』が浮かび上がっている。
「知っての通りこの『魔空回廊』にいる間、『月光城の主達』は戦闘能力が元の『660倍』になるのだわ。だけれども、回廊に取り巻かれる形で作られた｜人間画廊《ギャラリア》に「展示品」として囚われている人間達が解放されたらその加護は失われるのだわ」
　故に迅速に｜人間画廊《ギャラリア》に囚われた一般人を解放し、『月光城の主達』の戦闘力増強を解除する必要がある……のだが。
「そこに加えて……なんだかわたくしのグリモアから猟兵達に『｜重力《グラビティ》』を操作する術式が組み込まれているのだわ。普通に重力操作は強いとは思うけれど……もしかしたら『｜重力《グラビティ》』は色んな事が出来るのかしら？」
　首を傾げながらも、伝わってくる『｜重力《グラビティ》』の温かみを感じるシビュラ。
　――その意味が分かる日は、恐らくそう遠くはないだろう。

第1章 ボス戦 『共棲者』

POW   :    Embraced by wild roses 【勢い良く生え茂る茨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。 SPD   :    One is nine 自身の【左胸の短剣】が輝く間、【茨】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。 WIZ   :    Would you like to 【絡繰る踊り】を披露した指定の全対象に【共に踊りたいと思わせる】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。 イラスト：すろ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「強化された敵と戦うのは、いくら反抗の加護があっても利口じゃないね――まあ、最初から囚われた人達は助けるつもりでいたけどね」
　そう言いながらニクロム・チタノ（反抗者・f32208）はユーベルコード『｜貴女に反抗の竜チタノの加護を《チタノネクサス》』を発動。
　反抗の雷装、護りの蒼焔、重力領域の三つの加護を使用するユーベルコードの内、ニクロムが選んだのは『重力領域』……そう、『｜重力《グラビティ》』だ。
　展開した『重力領域』にて相手を足止めし、その間に反抗の雷装を用いてニクロムは画廊を破壊。
　そのまま囚われている人達を解放していく――
「逃げ出した人達を狙わせはしないよ――護りの蒼焔で伸ばしてきた茨を燃やし尽くしてあげる」
　植物操作ユーベルコード『Embraced by wild roses』によって使役される『勢い良く生え茂る茨』に対し、ニクロムは護りの蒼焔で焼き尽くし一般人を護衛。
　そのまま植物の肉体を持つ『月光城の主達』を反撃として燃やし尽くしていく――
「さあ、ここまでだよ――燃える身体を、反抗の妖刀で切り裂いてあげる」
　瞬間、振るわれる『反抗の妖刀』が異形の身体部位ごと燃え上がっていく『月光城の主達』を深々と切り裂いていく。
　それは正に『反抗者』の『生命体の埒外』――
「反抗の加護あり――これより反抗を開始する、この世界を侵す圧政の茨に反抗の一斬を！」
　そのまま剣戟を繰り出し続け、ニクロムは『月光城の主達』を切り伏せていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「｜重力《グラビティ》？重力を操るのは得意だけど、それとはちょっと違う力なのかな？」
　グリモア猟兵から伝えられた『｜重力《グラビティ》』なるエネルギーにして現象に対し、ロラン・ヒュッテンブレナー（人狼の電脳魔術士・f04258）は首を傾げる。
　だけど、その『｜重力《グラビティ》』はどこか優しい温もりがあって――
「でも、心強いの」
　呟くと同時、ロランは植物操作ユーベルコードを有する『月光城の主達』と相対する。
　しかし、気が付くとロランは『踊っていた』――
「え？踊ってる？む、むぅ、体が、勝手に……っ？――も、桃の精さん、手伝って！桃の香りの闘気を纏って抵抗なの！」
　瞬時に危険性を理解したロランは【魔符桃香】――桃の精から授けられた花びらを入れたサシェで｜抵抗《レジスト》を開始。
　サシェから立ち昇る浄化と癒しの気と香りで何とかユーベルコード『Would you like to』による精神感応を解除する事に成功。
「う、長く持ちそうもないの……急がなくちゃ」
　しかし流石は『魔空回廊』によって660倍に戦闘力を増強させた『月光城の主達』――このままでは数分も｜抵抗《レジスト》は持たないだろう。
　故にロランは迅速に行動を開始する。
「重力操作で人間画廊の方へ落下して、そのまま城主の周辺の重力を「無」にして浮かせて踊れないようにするの」
　一時凌ぎ……であるが構わない。
　ロランが画廊の魔術的拘束を解呪する隙ができれば、それで良い――
「――解呪できたの！」
　瞬間、ロランの掌に浮かび出た魔術陣から『周囲の空間を圧縮して押し潰す重力波』が放射されると同時、ロランは重力方向を変更――ロランは城主の方へ、助けた一般人は出入り口の方へ緩やかに落下運動を開始していく。
「補助を受けてる今なら！――電脳空間アクセス。空間パラメータ解析…局所重力作成式構築…、マナ充填、現実投影完了…。魔術陣、展開…」
　まるでAIの様に無機質に｜詠唱《のりと》を呟いていくロラン。
　それは『月光城の主達』に強大な『｜重力《グラビティ》』を叩きつけるに十分な代物故……
「――『捕え抱き締める虚無の手』」
　ユーベルコードの名の通り、『月光城の主達』は空間圧縮によって押し潰されていく――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「此処にケルベロス・フェノメノンさんを倒す為の『欠落』が……でも……人々を「展示品」にするなんて……」
　ユーベルコード『エンシェントプリンセス・アイスエイジドレッサー』を用いて自身に氷晶のドレスを纏わせ、アリス・フェアリィハート（不思議の国の天司姫アリス・f01939）はグリモア猟兵から｜重力《グラビティ》を受け取り――行使していく。
「私にも……その力……使えるなら……！」
　人々を『万物凍結の力持つ晶槍等魔氷武装や氷雪魔法』を応用する事で救出し、そのまま『傷を癒やすと共に状態異常等も消す冷気を放つ氷晶の実』で回復させていくアリス。
　アリスの髪色が、かの女王をも思わせる氷雪の髪色に変化。更に髪にスノードロップの花が咲いていく。
　そのまま｜万象等に有効な力持つハート細工の長大な金の鍵《クイーンオブハートキー》を手にし、『月光城の主達』に立ち向かっていく。
「――【ハートの｜A《アリス》】、発射……！」
　虹や星々や花々を内に鏤め、万象に有効な力をもつ変幻自在な空翔ぶジュエルのハートを撃ちだし展開していくアリス。
　『重力』の力をのせての全霊の力を込めた『氷雪魔法』も解き放ち、『月光城の主達』を攻撃していく。
「(あの踊りを見ない様……心眼で対処する必要が……ありますね……！)」
　精神感応ユーベルコード『Would you like to』への対策もしっかりと取りながら、アリスは『重力』と『氷雪』を複合させた属性魔法を解き放つ――
「ここで……ケルベロス・フェノメノンさんの……欠落は破壊させてもらいます……！」
　強烈な重力波が付与されたブリザードを展開し、アリスは凛然と『欠落』の破壊を宣告するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ふむ？盾を自負するわし向きの戦場であるが、重力ならばなおさら……」
　馬県・義透（死天山彷徨う四悪霊・f28057）――『複合型悪霊』の猟兵が一人格『不動なる者』はそう言って霹靂に騎乗し、更にユーベルコード『四天境地・山』を発動。
　武器『黒曜山』から放たれる『未来への視認不可な斬撃』を使って茨は切り捨てて攻撃を阻止。
　そのまま返す刀で付与した『重力』を用いて、植物を使役する『月光城の主達』を攻撃していく――
「わしならば、それができる――その間に、結界で防御固めた陰海月が人々を救出しておる」

『ぷきゅ！』
　かわいらしい声と共に、｜人間画廊《ギャラリア》に囚われていた一般人全員を乗せて『陰海月』は『月光城』から離脱。
　これによって『月光城の主達』に施されていた『魔空回廊』の『戦闘能力660倍化』が解除される――

「企みをそのままにしておくわけないであろうが」
『クエッ！』
　そのまま黄金混じりの焦げ茶の羽毛が美しいヒポグリフは雷の結界を展開。
　迫り来る『勢い良く生え茂る茨』を焼き焦がして返り討ちにし、そのまま焦げた茨を突破。
　既に『魔空回廊』の加護を失っていた『月光城の主達』へと突撃していく――
「報いの時よ――父の技を、ここに再現せん」
　瞬間、『月光城の主達』は土下座する様に地面に縫い付けられる――『不動なる者』による『重力』の操作によるものだ。
　そして、そのまま『不動なる者』は『月光城の主達』の首へと『未来への視認不可な斬撃』を放つ。
「これにて、言葉通り――断罪」
　宙を舞う『月光城の主達』の首――それはやがてヒポグリフの雷の結界に触れ、跡形も無く焦げて灰となっていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年05月13日