●
「集合に感謝する。皆は月光城のことを知っているだろうか?」
カイ・シュリック(紫苑の殺戮代行者・f02556)は猟兵達の姿を見遣り、言葉を向ける。
『月光城』とは第五層に存在する城塞だ。闇の世界の謎を解き明かすたに攻略してきた猟兵も多いだろう。
「今回向かってもらうのはその月光城砦群だ。どうやら儀式魔術の結果、この城塞群が発見され、その中央に『ケルベロス・フェノメノンの欠落』が隠されていることが分かったんだ。この戦場を制圧することが出来れば、その欠落を破壊し奴の持つ『無敵能力』も無効化出来るらしい。あの禁獣を相手取るなら攻略しておいた方がいいだろう」
『ケルベロス・フェノメノン』はあまりにも謎の多い存在だ。
その力を削ぐチャンスなら是非とも掴むべきだろうが、そのための困難も大きなものとなるだろう。
「現在城の中には、デスギガス災群に乗って現れた『月光城の主達』が陣取っている。やつらは『月の眼の紋章』によって強大な力を得ているが、問題はそれだけではなくてな」
カイはグリモアを掲げて、城の内部を映し出す。
そこにあったのは多くの人々が展示品のように囚われている、異様な空間だった。
「ケルベロス・フェノメノンの欠落に通じる道は『魔空回廊』と呼ばれる不思議な空間になっているようなんだ。この回廊と紋章が合わさった結果、城主共の能力は元の『660倍』になるのだという」
この状態のオブリビオンとは、全く勝負にならないだろう。
しかし予知が出来た以上、解決策も発見されている。
「回廊にエネルギーを送り込んでいるのは、回廊の周囲に作られた|人間画廊《ギャラリア》に囚われた人々の命だ。彼らを救出していけば、オブリビオンの能力も自ずと元の数値に戻っていくだろう」
目安としては、おおよそ半分。
それだけ人々を救出すれば、オブリビオンも倒せる程度にはなるだろう。
「皆には強化された敵の攻撃を掻い潜りつつ、人々を助け出して欲しい。そうして強化が失われた敵を倒し、先へと進む。それが目標になるな」
禁獣と戦うためにも、この過酷な戦いは乗り越えていかなくてはならない。
しかし猟兵達なら大丈夫だと、カイは信じるように皆を見た。
「どうにか人々を救い、道を切り開いてくれ。それでは、よろしく頼む」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
不思議空間を行こう。
このシナリオは「やや難」です。
●プレイングボーナス
|人間画廊《ギャラリア》に捕らわれた人々を救出する。
囚われた人々は黒い茨に覆われて衰弱しています。
助け出すこと自体は難しくないでしょう。
オブリビオンは救出された人間の奪還より、猟兵への攻撃を優先します。
●『黒茨の魔嬢『メローゼ・トロイメツァライ』』
紋章と魔空回廊によって戦闘能力が660倍になっている強敵です。
まずは苛烈な攻撃を潜り抜けつつ、囚われた人々を救出していきましょう。
人々が救出されれば、いずれ攻撃も通ります。
●
オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『黒茨の魔嬢『メローゼ・トロイメツァライ』』
|
POW : おなか、へった
全身を【黒茨の咎の牢獄】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : ……ねむい
【夢幻の眠りを齎す蝶の残滓】【幻惑し迷いを齎す蝶の亡骸】【焼け焦げた黒茨の咎鞭】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 大輪の薔薇にて紅く染めテ
自身の装備武器を無数の【伝染する呪詛の込められた薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:葛飾ぱち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠パラノロイド・スタングリクス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヘルガ・リープフラウ
月光城には過去何度か訪れたことがあるけれど
今ここに漂う殺気は、当時をも遥かに凌駕する
何より、罪なき人を甚振り命を啜る、悍ましき「人間回廊」……
待っていて。必ず救い出してみせる
翼飛行で飛び立つと同時に歌う【涙の日】
降り注ぐ聖なる光は、善き者を癒し邪悪を焼き払う
序盤は敵本体の撃破よりも人質の救助を最優先
襲い来る薔薇の花びらを裁きの光輝で相殺し、
避けきれない分はオーラ防御で守りを固め呪詛を浄化
敵の攻撃の隙を突いて、人々を拘束する茨を「浄罪の懐剣」で断ち切り
癒しの光で傷ついた自身や仲間、人質たちを回復
ここはわたくしたちに任せ、皆様は安全な場所へ
人質の避難が完了したら、光を敵に一点集中して神罰の一撃を
●
良くも悪くも、月光城はヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)にとって見知った場所だ。
しかしその内部に漂う殺気は一変している。戦争が始まったから、だけでは説明出来ない危険な空気だ。
その殺気は城の奥、城主の待つ場所から漂っているのだろう。その周囲にある|人間回廊《ギャラリア》の存在も無視出来ない。
今も回廊には罪なき人々が捕らえられているはずだ。これ以上彼らを甚振らせてなるものか。
「待っていて。必ず救い出してみせる」
ヘルガは大きく翼を広げると、一気に回廊へと飛び込む。
そのまま響かせるのは、祈りを籠めた『涙の日』だ。
ヘルガの歌声は光と変わり、回廊の中を照らし出す。
その光に呼応するように姿を現すのは、城主であるメローゼだ。
「なぁに……? 邪魔をしないで……」
メローゼは自身の周囲に艶やかな薔薇を咲かせると、その花弁に呪いを乗せてヘルガへと差し向けたようだ。
しかし邪悪なるものが相手なら、ヘルガの光は負けやしない。柔らかな光は裁きの雷へと姿を変えると、迫る薔薇をあっという間に焼き尽くす。
その間にヘルガは更に奥へと突き進むと、浄罪の懐剣を構えた。
煌めく刃を向けるのは、囚われた人々を拘束する茨だ。
「今助けますからね……!」
あっという間に茨を切り裂いて、人々を助け起こして。彼らに向けて聖歌を響かせれば、慈愛の光が皆の傷を癒してくれた。
「ここは……」
「ここは大変危険です。出口はあちらにありますから、逃げて下さい。後はわたくし達に任せて」
「わ、分かった。そっちも気を付けて」
ヘルガに癒やされた人々はすぐさま状況を理解して、協力しながら逃げていく。
メローゼもこの状況には気付いているが、彼女の視線はヘルガへと向けられていた。じっとりとした、怒りの籠もった視線だ。
「……やっぱり邪魔」
メローゼは再び呪詛の薔薇を生み出し、ヘルガへと差し向ける。しかし人々の救出が進んだおかげか、その威力は弱まっているようだ。
ならば、一矢報いることは出来るはず。
「これ以上、悍ましい儀式は行わせません……!」
ヘルガの祈りはより鋭い神罰の矢と化して、薔薇の花弁を突き抜きメローゼを穿つ。
闇と呪詛に包まれる城に、眩い光が迸っていった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
自身に 【破魔】と【呪詛耐性】を乗せた【オーラ防御】を纏い
鎌を手に【なぎ払い】
人々を捕らえる茨を切り裂き救助優先
魔力感知と【気配感知、聞き耳】で攻撃の兆候を察知
自前の足と可能範囲での【空中戦】を相手の動きに合わせて使い分け
上へ下へと回避重視
【浄化と祝福】を発動
武器が花弁なら、燃えるよね
強化されてる以上完全には無理でも
ある程度妨害出来れば充分
更に【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】
手足を凍結させ一時的でもいい
動きを封じて救助の時間を稼ぎます
攻撃が通るようになったら
残った炎の鳥達に【多重詠唱】で紡いだ炎、風魔法を上乗せ
火力を上げた鳥達を風で煽る事で更に炎の勢いを増加して一気にぶつけます
●
薄紅色の鎌を構えつつ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は人間回廊へと飛び込む。
そんな彼を出迎えるのは、悍ましいくらいに咲き誇る薔薇達だ。
茨は人々を捕らえて蠢き、どこか一点を目指して伸びている。そこに佇むのは、城主であるメローゼだ。
「また猟兵……ねむいんだから、あっちいってよ」
メローゼが怒りを籠めた視線で澪を睨めば、その視線に合わせて呪詛を帯びた薔薇が舞う。
澪は咄嗟にオラトリオの翼を広げると、迫る攻撃を飛び越えるように宙空へと向かった。
「生憎、そっちの都合には合わせられないかな……!」
そのまま発動するのは『浄化と祝福』、炎の鳥を生み出すユーベルコード。
浄化の炎で形成された鳥達は次々に呪いの花弁を焼き払いつつ、澪が進む道を切り開く。
それでも追いかけてこようとするメローゼには、直接足止めするのが有効だろうか。
「どこまで効くか分からないけど……!」
澪は手早く氷の術を展開すると、生み出した冷気と礫をメローゼへと差し向ける。
強烈な冷気はメローゼの動きを抑え、礫は身体を直接押さえつけてくれるはず。これで少しは時間も稼げたはずだ。
「よし、今のうちに!」
澪は床の上へと降り立つと、一目散に茨の元へと向かう。
一刻も早く、彼らを目覚めさせるために。
人々を捕らえる茨も呪詛は帯びているが、性質は普通の植物と変わらないようだ。
手にした鎌で切り裂けば、茨はあっという間にバラバラになっていく。
倒れる人々も衰弱はしているが、命に別状はなさそうだ。
「大丈夫だからね。今助けるよ」
励ます言葉と共にひたすら鎌を振るって、茨を破壊していって。そうすれば、城を覆う殺気も少しずつ薄れているような気がした。
しかしいつまでも救出作業を続ける訳にはいかなかった。氷を打ち破ったメローゼが、澪へと接近してきているからだ。
「思ってたより早い……! けど、回廊の効果を弱めた今なら!」
澪は再び炎の鳥を呼び出すと、此方へ向かう城主目掛けて羽ばたかせる。
後ろから更に清らかな風を生み出せば、炎を煽らせ更に勢いを強めていくだろう。
そうして轟々と燃える炎をぶつけてやれば、メローゼも幾らか怯んだようだ。
澪はその手応えから、着実に前に進んでいることを感じ取るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
「捕らわれた人々を救うのが先決か、、、ならば」
自身の握った黒剣と背の随行大剣を用いて技能武器受け、技能オーラ防御を用いて黒茨の魔嬢を掻い潜り、展示された人間達に近づくとUC概念斬断(POW)を発動する。
概念をも断つ剣閃で人々を捕らえる黒い茨のみを切り裂き助け出していく。
敵UCの黒茨の牢獄に捕らわれた場合は、茨の隙間から随行大剣は飛ばし展示された人々を助けていく。
「人々を救出すれば不条理な強化は終わるのだろう?その時がくれば我が概念斬断で貴様を断とう」
●
戦場へと足を踏み入れたサク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)は素早く周囲を見遣る。
片や猟兵から受けた傷を抑える城主メローゼ、片や茨に覆われた人々。
「捕らわれた人々を救うのが先決か……ならば」
サクは黒剣を引き抜くと同時に、背後に随行大剣を展開していく。
そんな彼へ向け、メローゼは呪詛の薔薇を飛ばしてきたようだ。
「おなか、へってるの。その人たち、つれていかないで」
「そうはいかない。これ以上お前達の好きにはさせん」
城主の言葉も薔薇も、手にした剣で両断してみせる。
サクは前へ踏み込むと同時に黒剣にて薔薇を退け、随行大剣を盾にしつつ突き進む。
その行動を前にメローゼは少し考え込むと、より強固に能力を使うことを選んだようだ。
「おなか、すいてるの」
怒りの滲む声と共に展開されるのは、黒茨の咎の牢獄。
禍々しく咲き誇る花は盾に、どこまでも伸びていく茨は鎖に。
メローゼは人々ごと薔薇で覆っていき、自分の内に捕らえることにしたようだ。
サクは手近な茨に刃を突き立ててみるが、返ってきた感触は見た目より重い。
(ユーベルコードを用いれば、薔薇はより城主に近い性質になるのだろうか?)
城主は少女の見た目をしているが、本質的には呪詛の塊に近いらしい。
彼女の拒絶は硬化という性質によって現れているようだ。だったら此方も、ユーベルコードで対抗するのみだ。
サクは黒剣をしっかりと構え、呼吸を整える。
「――全ての不条理を我が剣閃で断ち斬る!」
概念すら切り裂く刃が一閃されれば、例え呪詛だろうと斬ることは難しくない。
煌めく刃は次々に茨を断ち切ると、中で倒れる人々を露出させていく。彼らの身体を掴んで引き上げれば、薔薇はそれ以上追ってこなかった。
助けた人々は安全な位置に寝かせつつ、サクは次々に刃を振るっていく。
「人々を救出すれば不条理な強化は終わるのだろう? その時がくれば我が概念斬断で貴様を断とう」
その切っ先は城主だけでなく、この世界を覆う闇に届くと信じて。
サクの鍛え上げられた剣の技術と強い心は、着実に月光城の主の力を削いでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
ファンの皆様、よろしくなのでっす!
これで頭数だけなら140倍!
660倍にはまだまだ足りないでっすが、出オチは避けれるはず!
もとより真っ向勝負は以ての外、搦め手も強引に突破されるでしょうから!
数を活かして救出優先なのでっす!
猟兵への攻撃を優先するとのことでっすので藍ちゃんくんと100人くらいで囮になるのでっす!
この数と賑やかさなら流石の660倍でも面倒くさがって無敵化してくれませんかねー!?
動けなくなってくださるなら歓迎なのでっすが、そうさせるだけのことはしないといでっすからねー!
オーラ防御と逃げ足込で時間稼ぎしている間に残るファンの皆様には救出よろしくなのでっすよー!
●
月光城の中には多くの人が囚われ、城主の糧とされているらしい。
救出作戦には人手が必要だろう。そこで紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が声をかけるのは――。
「藍ちゃんくんでっすよー! ファンの皆様、よろしくなのでっす!」
「「「おー!!」」」
藍の前にずらりと並ぶのは、どこからともなくやってきた藍くんちゃんのファンの皆様。
特に今回集まったのは、同じく闇の世界を救おうとする同士達だ。彼らも回廊の人々を助け出し、藍の力になろうと気合十分だった。
「そっちからそっちまでの皆様は藍くんちゃんに着いてきて欲しいのでっす! 必ず守るのでっすよー!」
まず呼びかけたのは、比較的戦いに慣れている者を100人ほど。
彼らにオーラの防御を施して、まずは戦いに向かう準備を。
「ここから敵の引く為にライブをするのでっす。皆様には応援をお願いしたいのでっす!」
「そのくらいなら任せてくれ! 精一杯盛り上げるからな!」
力強い返事に藍もニコニコ笑顔を返し、更に作戦会議は続く。
「残りの皆様には回廊で救出作戦をお願いするのでっす!」
「分かった。必ず皆を助けるよ!」
残りの人々も作戦を了承し、しっかりとした頷きを返す。
皆のモチベーションの高さは藍にも伝わってきている。皆で力を合わせれば、困難だって乗り越えられるはず。
「それでは……ライブスタートでっす!」
藍の元気いっぱいの掛け声と共に、始まるのはとっておきのライブの時間だ!
城の中が急に賑やかになったのを感じ取り、メローゼもすぐさま向かってきたようだ。
「なに、これ……うるさい……」
メローゼは苛立たしそうに呪詛の薔薇を差し向けてくるが、ファンに応援されている藍は無敵だ。
そして彼に守られてる人々も傷を負うことなく、どんどんライブを盛り上げてくれている。
「あー……めんどくさい……」
自分が介入出来ないとなると、メローゼも面倒になった様子。彼女は茨に包まれつつ、暫しお休みモードに入ったようだ。
作戦は順調だ。ならば後は、彼女が起きる気力を失くすくらいに盛り上げ続けるのみ。
「まだまだ行くのでっす!」
ライブは続き、その裏で多くの人々が救出されていく。
藍は目の前のファンにも、救出作戦を続けるファンにも、助け出された人々にも、そしてメローゼにも聞こえるくらい――高らかにライブを続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ歓迎
まさか月光城まで来てるなんて…
やっぱり人間画廊があるんだね
閉じ込められた人たちを助けなくちゃ!
う、この薔薇の嵐の中じゃ、避けながらは無理だね…
防御用の破邪結界を多重に張りながら、覚悟を決めて絵画の額縁に触れて魔力接続、ハッキング
結界は薔薇を中和しながらも消耗する毎に張り直して時間を稼ぐの
この人間画廊は結界のような物だから、結界魔術師のぼくなら解除できるはずなの
構成式、把握したの
ぼくの魔力で術式を上書き、無効化して壊すよ
相手の様子は?
囚われてた人たちを結界で守りながら、お城の月光を吸収、満月の魔力を顔に集中してチャージ
あなたの力は、解析済みなの
UC発動
あなたの魔力を消し飛ばすの!
●
デスギガスの出現は月光城にも影響を齎したようだ。
城の中に入り込みつつ、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は聞き耳を欹てる。
「まさか月光城まで来てるなんて……やっぱり人間画廊があるんだね」
ロランの耳は人々の微かな呼吸音を捉えている。一刻も早く彼らを助けなければ。
しかしその道行を塞ぐように、城主メローゼもまた姿を現す。
「あなたも邪魔しにきたの……出ていって……」
メローゼは自身の呪詛を薔薇の嵐に変えると、ロランを弾き飛ばさんと差し向けてきたようだ。
迫る薔薇を前にして、ロランは瞬時に思考を巡らせる。
(これだけの嵐、避けながらは無理だね……だったら人間画廊の方に仕掛けてみようかな……?)
例え嵐の中だろうと、ここは屋内。ロランは壁へ向かって手を伸ばし、何かを探るように動かしていく。
防御は破邪結界にどうにか任せ、暫く手を動かせば――。
「……あった!」
ロランの手が触れたのは、壁にかけられた絵画だ。
これは人間回廊の一部、つまりここから回廊という結界にアクセス出来るはず!
しかしメローゼもそれを理解しているのか、ロランを引き剥がさんとより嵐を強めているようだ。
「手を離して……」
怒りと共に滲むのは強烈な呪詛。しかし術の方向性が分かっているのだから、こちらも対処は出来る。
ロランは結界に破邪の力を流し込みつつ、絵画にゆっくりと魔力を通していく。
破邪と呪詛、結界と解呪。それぞれの力は激しくぶつかり合い、そして――。
「――出来たの!」
勝ったのは、ロランの術式だった。
ロランが明るく声をあげた瞬間、周囲に咲いていた薔薇が一気に萎れていく。
そこから姿を現したのは囚われていた人々だ。彼らにもすぐさま結界を施しつつ、ロランは更に魔力を高めだした。
幸いなことに、ここは月光城だ。月の魔力には満ちている。
それに全力でぶつかり合った結果、メローゼの魔力の癖だって理解出来ているのだ。
「あなたの力は、解析済みなの」
城主にぶつけてやるべきは――清らかな月の魔力!
ロランは顔面に魔力を集中させ、魔術文字による隈取を発生させつつ息を吸い込んだ。
「――あなたの魔力を消し飛ばすの!」
集中させた全てを咆哮として射出すれば、その波は一気にメローゼを飲み込んでいく!
城を覆う呪詛も大きく薄れ、代わりに柔らかな月の光が城を満たすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シノギ・リンダリンダリンダ
660倍って。子供の考える最強の敵ですか。そういう能力をマジで持っちゃダメですよ、本当に
【永久の幸せ】を発動
自分の周囲に腐敗の毒の霧、攻撃がなかなか命中しない呪いの霧、そして攻撃の盾として腐敗の毒の触手を出しておきましょう
これで相手の能力が660倍だろうと、なかなか当たらないでしょう
さすがに能動的に攻撃をできるだけ見切る努力はしますが
後は茨を腐らせる毒を画廊全体に散布。囚われた人を傷つけずに解放させましょうか
ある程度解放したら、腐敗毒の触手、そして黄金化の呪いの霧を散布して攻撃です
やはり、この世界の敵が厄介なのばかりですね……
●
「660倍って。子供の考える最強の敵ですか」
事前説明を思い返しつつ、シノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)は率直な感想を零す。
その言葉を聞いたメローゼはこてんと首を傾げていた。
「だって紋章も回廊も、もらったから」
「そういう能力をマジで持っちゃダメですよ、本当に。それならこっちもそれなりの手段を使いますからね」
元々話の通じる相手とも、まともに立ち向かえる相手とも思っていない。
それならこっちもそれらしく、やるべきことを済ませてしまおう。
シノギは体内の呪詛毒を巡らせて、この場に相応しい毒を生成していく。それを霧として散布すれば、屋内の戦いでは有効的だろう。
「うえ、へんなことしないで」
メローゼも毒に苛まれているのか、表情に怒りが滲む。
彼女は自分自身を茨の牢獄で守りつつ、周囲に呪詛を帯びた薔薇を展開しはじめたようだ。
その薔薇は嵐のようにシノギへと向かうが――。
「この程度なら問題ありませんね」
腐敗の毒が花弁を枯らし、呪いの霧が悪意を阻み、毒の触手が残りの攻撃を叩き潰す。
メローゼの抵抗はシノギへ届くことなく、ただその場で腐れ果てていった。
「むー……」
「さあ、もっと激しく攻撃してみては? いつか届くかもしれませんよ」
拗ねるメローゼに対し、シノギが向けるのは挑発的な笑み。そして次の瞬間始まるのは、呪詛使い同士の激しい攻防だった。
シノギもただ敵を挑発している訳ではない。
彼女の散布した霧は回廊全体に届いているため、人々を捕らえる茨にも作用しているのだ。
腐敗の毒は茨だけを枯らすように調整して、後は時間を稼いでいけば良い。
そうすれば一人、また一人と茨から解放されて、メローゼの力も弱まっていくのだから。
そしてどの程度相手の力が弱まっているかは、呪詛使いであるシノギにとって簡単に感じ取ることが出来るものだった。
(そろそろですかね?)
相手の力が大きく弱まる瞬間を見定め、シノギは呪詛の内容を切り替える。
呪いの霧で茨の牢獄を黄金に変え、その隙間にねじ込むのは腐敗毒の触手だ。
突然の展開にメローゼはついていくことが出来ず、彼女の身体は黄金に包まれつつ焼け爛れていく。
「やはり、この世界の敵が厄介なのばかりですね……遠慮なく行かせて頂きますよ」
貰い物の力で驕るなど言語道断。そんな相手に強欲なる海賊は負けないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
隠神・華蘭
回廊に入る前にUC使用、軍隊狸を召喚し三十匹ずつの四部隊を編成
残りはわたくしと共に救出班とします
戦闘部隊を前に進軍、この数ですからすぐ気づかれるでしょう
会敵次第一つの部隊に銃剣で射撃させつつ残り三部隊を扇型に展開、絶え間なく銃弾を浴びせます
いくら六百六十倍の力でも鬱陶しいことこの上ないでしょう
これで無敵化を誘発、動けなくさせます
その間にわたくし達は人間達を救出、狸に抱えさせ脱出させます
人間救出が終わりましたら一旦銃撃を止めわたくに向かってくるよう挑発、残像が残るくらいの全力逃げ足疾走しつつカウンターの鉈切断ですれ違いざまに足元を切断、体勢を崩させます
最後に全部隊一斉射撃、これでとどめです!
●
聳え立つ月光城を見上げつつ、隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)はふぅ、と息を吐く。
「相変わらず厭な気配が漂う城でございますねぇ……救出作戦も平行しなければならないのでしょう?」
強敵の対処と人々の救出、その二つが自分達に課せられた課題だ。
それをこなすべく、華蘭が選んだのは仲間を増やすユーベルコードだった。
「さぁさぁ、それゆけ我らが軍隊狸! まずは戦闘部隊と救出班に分かれて下さいね」
呼びかけに応じ現れるのは、赤い軍服を纏う化け狸達の大群だ。
そのうち120体は4つの部隊に分けて、城へと突撃の準備をして。残りの狸は華蘭の側で待機する。
華蘭は皆の様子を確認すると、びしっと城を指差す。
「それでは……いざ出陣ですよぉ!」
ダークセイヴァーは夜闇の世界。夜闇の中なら、化け狸達の舞台にも相応しいだろう。
最初に城へ突入したのは戦闘部隊だ。
彼らはわざとらしく足音を立て、自らの存在をアピールしていく。そうすれば、城主も彼らを見過ごせないだろう。
「なにあれ……たぬき……?」
眠たげな城主メローゼは面倒そうに呪詛を操り、生み出した花弁で狸達を攻撃していく。
しかし銃剣を構えた狸達は負けじと突撃し、激しい攻撃へと立ち向かい出した。
後方に控えた狸も扇型に展開すると、絶え間のない銃撃による弾幕を生み出していく。
いくら強力な相手でも、これだけの波状攻撃を喰らえば鬱陶しく感じるものだ。
「……めんどくさい」
メローゼは黒茨の牢獄を生み出すと、その中にすっぽりと身を隠す。これで攻撃は通らなくなるが、身動きも取れなくなるはず。
根比べなら勝てるだろう、そう城主は思っているが――それこそが間違いなのだ。
それから暫く時間は経って。
攻撃が弱まったのを感じ、メローゼは牢獄から顔を出す。そこに立っていたのは、堂々と立つ華蘭だ。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「あなたがこの子達のボス……? じゃま、きえて」
メローゼは華蘭を睨みつけると、再び呪詛の花弁を展開していく。
華蘭はその合間を凄まじいスピードで駆け抜けて、城主へ思い切り笑顔を向けた。
「消えるのはそちらの方ですよ」
次の瞬間、一陣の風がメローゼの足を切り裂いて――いや、その正体は華蘭による斬撃だ。
その一撃でメローゼはバランスを崩し、視線があらぬ方向へと動く。
その瞳が捉えたのは――自身に凄まじい勢いで銃弾を撃ち込む、軍隊狸達の姿だった。
大成功
🔵🔵🔵
マリー・アシュレイ
【花緑青】
…半分、ってところが気に食わないわ
分かってる。だから「ひとまず」よ
敵を倒したら、全員助けるんだから
ウェズリーが庇ってくれてる間に私が人々を救出する…
猟兵としての実力やUCの兼ね合いを考えるとそれが一番だけど
思い描いてたのと立場が逆じゃない
…早く、強くならなきゃ
|時計ウサギ《私》がウェズリーを護るんだから
時間もない。一気に行くわ…!
自慢の速さで手早くチェーンソーで茨だけ断ち、人々を救出
少し辛抱して。すぐに終わらせるから
半分に達したら戦闘加勢
【Price to Pay Someday】併用し一気に接敵してUC
急襲してチェーンソーでの2回攻撃を繰り返す
その澄ました顔、いつまでもつかしらね?
ウェズリー・ギムレット
【花緑青】
闘いに身を投じる方が“いつもらしく”在れるのかと思いきや
(私としては安寧に過ごして欲しいところだが
そうだね、いつだって戦場は理不尽ばかりだ
半分で良い、というのは作戦上理に適っているだろう
だが、私もに納得しているわけではない
彼女に賛同するよ
では、マリー。作戦通りに
オーラ防御を纏うと同時にUC発動
クイックドロウによる呪殺弾で先制攻撃
私は敵の意識の引き付け役だ
マリーや人々に攻撃が行かないよう立ち回り
不意打ちや急所突きを狙おう
強敵ならば、寧ろ嬉しいよ
今の私は、長期戦であるほど有利だからね
UCでの自己治癒と生命力吸収でカバーできない負傷は激痛耐性で凌ぎ
マリーが加勢してくれたら一気に畳みかけよう
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月光城へ向かう道のりで、ウェズリー・ギムレット(亡国の老騎士・f35015)は隣を歩く少女の様子を窺う。
その少女、マリー・アシュレイ(血塗れのマリア・f40314)はいつもと変わらぬ表情を浮かべているが、纏う空気はどこかピリピリしているようだった。
(闘いに身を投じる方が“いつもらしく”在れるのかと思いきや)
本音を言うと、彼女には安寧に過ごして欲しい。しかしマリーは自分と共に戦うことを望んでいる。
それで納得するのなら構わない、しかし闘いの中にあっても心を乱されるなら、それはそれで気になるもので。
「……気に食わない」
ぽつり、零れたのは小さな呟き。ウェズリーはそれを聞き逃さず、マリーの顔をじっと見た。
「気に食わない?」
「ええ。半分、ってところが気に食わないわ」
マリーの機嫌の損ねているのは、此度の作戦内容のようだ。
城主の能力を削ぐためにやるべきことは、囚われた人々のうち半分を救出すること。それが最低条件だ。
「そうだね、いつだって戦場は理不尽ばかりだ。半分で良い、というのは作戦上理に適っているだろう」
「……分かってるわ」
「だが、私もに納得しているわけではない。君の意見には賛同するよ」
ウェズリーが小さく笑みを浮かべれば、マリーの瞳がそれを捉えて。
少し考え込んだ後、マリーはこくりと頷いた。
「ええ、だから『ひとまず』よ。敵を倒したら、全員助けるんだから」
御伽の国でだって、たくさんの理不尽に立ち向かい、それを打ち破ってきた。
夜闇の世界でも二人が抱く気持ちは同じ。だからきっと、同じ方向も向けるはずだ。
城に足を踏み入れれば、すぐに城主メローゼは姿を現した。
「ねむいんだから、じゃましないで……」
メローゼは苛立ちを含む声色で囁くと、すぐに呪詛の薔薇を展開してきた。
それに向かって立ち向かうのはウェズリーの役割だ。
「では、マリー。作戦通りに」
「ええ、行ってくる」
マリーが回廊へと向かう足音を聞きつつ、ウェズリーは父譲りの拳銃を構える。
同時にユーベルコードを発動して緋色のマントを羽織れば、戦う準備も万全だ。
そのまま素早く引き金を引いて、まずは数発。弾丸は薔薇の嵐を突き進みつつ、城主の身体を掠めたようだ。
しかし薔薇の嵐も容赦なくウェズリーの元へ到達すると、彼の身体を強力な呪詛で蝕んでいく。
苦しい。けれど耐えられないほどではない。赤の女神の加護が施されたマントもあるのだから、この程度で膝をつく訳にはいかない。
ウェズリーは身体に足に力を入れて、しっかりと城主の前に立ち塞がる。
「美しい薔薇だね。そのぶん毒も強力なようだが。綺麗な薔薇には棘がある、ということかな?」
「……どうでもいいでしょ」
再び薔薇の嵐は吹き荒れる。分かっていたが、話の通じる相手でもなさそうだ。
ウェズリーは苛烈な闘いの予感を感じつつも、堂々と戦場に立つ。
あの時計ウサギの少女が、きっと作戦を遂行してくれると信じているから。
一方、マリーは人間回廊へ飛び込むや否や、愛用のチェーンソーを振りかぶり人々を救出し始めていた。
「少し辛抱して。すぐに終わらせるから」
的確なチェーンソー捌きは茨だけを切り裂いて、人々を戒めから救い出す。
その様子に安堵する気持ちとは裏腹に、マリーの心の中には強い焦燥感も滲み出していた。
(……やっぱり嫌だわ)
ウェズリーが敵を引きつけ、その間に自分が人々を助ける。
この作戦だって理には適っているはずだし、同意もした。
けれど、これじゃあ。思い描いていた立場と逆じゃない。
パパの願いを果たすためには、自分はまだまだ未熟なのだと、突きつけてくる現実に気持ちだけが逸ってしまう。
(……早く、強くならなきゃ)
|時計ウサギ《私》が|アリス《彼》を護るためにも、早く。
その想いを刃に乗せて、マリーはひたすら走る。
気がつけば、目標くらいの人数は助け終わっていた。
「じゃまだっていってる……」
城主の攻撃は少しずつ苛烈になり、ウェズリーを蝕む毒もじわじわと強力になってきていた。
しかし彼の纏うマントもより強力な加護を与え、周囲に咲く呪詛の薔薇から生命力を吸収し続けてくれている。
その力を糧にして、ウェズリーはひたすらに銃撃を続けていた。
時に城内に置かれた美術品や家具を盾にして、時にただ真っ直ぐに。
緩急をつけて攻撃を続けていけば、城主の身体にも少しずつ傷が刻まれているようだ。
二人の闘いは拮抗している。そのバランスを壊すのは、軽やかな足音とチェーンソーの駆動音だった。
「ウェズリー、あとは任せて」
戦場へと駆けつけたマリーはウェズリーの前へと飛び出し、躊躇なく城主へ向けて武器を振るう。
迫る嵐すら切り裂く一撃が城主の身体を打ちのめすと、大きな隙を作り出したようだ。
「ありがとう、マリー。助かったよ」
「そっちこそ。さ、城主さんはその澄ました顔、いつまでもたせられるかしら?」
畳み掛けるように、マリーはチェーンソーを振り回し続ける。その攻撃も嵐のようで、最早誰にも止められないだろう。
そして刃は城主の胴まで届くと、深々とした傷を刻み込む。傷口に向けられるのは、ウェズリーの構える銃口だ。
「それでは、御機嫌よう」
別れの言葉と共に放たれた呪殺弾は城主の体内へと撃ち込まれ、彼女を内側から破壊していく。
そのままメローゼは枯れ花のように萎れていき、最後には完全に消え去ったようだ。
闘いの終わりを見届けて、二人は改めて人間回廊へと向かう。
残りの人を助け出すために、同じ方向を向いて、同じ場所へ。
並ぶ二人の足取りは、一緒だった。
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こうして猟兵達は人間回廊から人々を救出し、城主を倒すことに成功した。
いずれ『ケルベロス・フェノメノン』の欠落にも届くはず。
苛烈な闘いも、一歩ずつ前へと進んでいるはずだ。
大成功
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