●忌獣と禁獣
檻の奥、輝く双光。その主は、白き狼。
だが、その牙と爪は、自らを縛る檻ではなく、別の対象に向けられていた。
檻の中に散らばった、様々な姿かたちの魔獣、ヴァンパイア。そして、『紋章』と呼ばれる寄生虫型オブリビオン。
白狼は、それらを喰らい、喰らい、ただひたすらに喰らい尽くす。
吠声と咀嚼音の二重奏。そんな『食事風景』を、何処からか、うかがうものがいた。
「たくさんお食べよ。そして立派な『禁獣』になるんだ。ぼくみたいなね!」
響く声など構わず、白狼は喰らい続ける。その無限にも等しい食欲が満たされるまで……。
●進化の時
闇の救済者戦争。
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、ダークセイヴァー決戦に挑む猟兵達に、為すべき目的の1つを示した。
「禁獣である『歓喜のデスギガス』が、同じ禁獣を生み出そうとしております。ダークセイヴァー第三層に棲息するオブリビオンを進化させるという方法によって」
デスギガスが進化対象として選んだのは、『葬炎のスコル』。全てを喰らい、全てを燃やすという白き魔獣。
『葬炎のスコル』は、現在、『ダイヤモンド・ケイジ』なる檻の中で、禁獣への進化の時を待っているという。
デスギガスが目を付けたのは「何もかもを喰らい尽くしたい」というスコルの衝動。
あらゆる魔獣、ヴァンパイア、そして紋章を餌として与え、喰わせ続けることで、禁獣へ進化させようとしているのだ。
「ですが、スコルは、紋章の力を取り込みつつも、まだ禁獣への進化は成っておりません。これは好機。スコルが完全体に至る前に、討伐してしまうのです」
スコルへの攻撃はもちろん、スコルの『食事』を妨害することで、その力の増幅を食い止めることも重要だろう。
デスギガス同様に、理解不能、かつ殺害不能の怪物である禁獣が量産され、野に放たれるようなことになれば、猟兵の力をもってしても、勝利は厳しいであろう。
「あのデスギガスと同等の存在が増えるなど、想像しただけでオソロシイ。ギュインと進化せんとするスコルを、ぜひ阻止してくださいませ」
ヴェルタールの目が、力強き意志の光を放った。
七尾マサムネ
こちらは、『闇の救済者戦争』のシナリオです。
一章で完結します。
●目的
禁獣に進化する前に、『葬炎のスコル』を撃破する。
●プレイングボーナス
檻の内部に散乱する「餌」をスコルに食べさせない。
この場合の餌とは、魔獣やヴァンパイア、『紋章』などです。
それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『忌獣『葬炎のスコル』』
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POW : 灼炎魔狼
【狼のあぎとに似た炎の怒涛】を放ち、命中した敵を【呪詛の炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【対象を獲物に】していると威力アップ。
SPD : 葬炎爪牙
速度マッハ5.0以上の【爪牙の連撃】で攻撃する。軌跡にはしばらく【灼熱の波動を放つ炎の鎖】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : 葬炎咆哮
戦場全体に【凄まじい炎の嵐】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【全身を炎に変えること】による攻撃力と防御力の強化を与える。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アイン・セラフィナイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月夜・玲
ただでさえ厄介な禁獣をこれ以上増やされたら困るね
対処できるうちに対処しておこう
けど、何でも食べるからって節操なさすぎでしょ
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:T.S】起動
両剣それぞれに雷刃を形成
片方の雷刃でスコルの近くに居る魔獣やヴァンパイアとかの餌を『なぎ払い』、スコルから遠ざけ処理していこう
その間にもう片方の雷刃でスコルを斬りつけ、攻撃していこう
炎の怒涛も『カウンター』で斬り裂き、炎諸共『吹き飛ばし』てしまおう
雷刃の長さを調節して、距離を詰め過ぎず攻撃していこう
満たされない食欲っていうのも気の毒ではあるんだけど…
まあそれはそれこれはこれ
禁獣は生み出させないよ
既に食い散らかされたもの。これから食い散らかされるもの。
それらの散乱により、陰惨な光景の広がった獣の領域に、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は足を踏み入れた。
荒い息の音が、響く。
近づけば、より鮮明に玲の聴覚を叩く。その主は、食事の真っ最中。
災厄の獣、スコル。その歯牙の間から滴る、体液のおぞましき色と肉片に、玲は顔をしかめた。
「何でも食べるからって節操なさすぎでしょ」
『ガフッ、ガルゥ……』
玲など眼中になく、ただ『供物』をむさぼるスコル。
デスギガスの思惑など知ったことかとばかり、ただただ、喰らう、という純粋な衝動に身を任せる。
たとえ禁獣となったとて、無限の食欲は収まるまい。世界の全てを食らい尽くしてなお、止まるとは思われぬ。
「ただでさえ厄介な禁獣をこれ以上増やされたら困るね。対処できるうちに対処しておこう」
相手がこちらを認識していようがいまいが、関係ない。
《RE》Incarnation、そしてBlue Birdを抜き放つ玲。
二刀を構えた玲は、そのまま、ユーベルコードを解き放つ。【Code:T.S】、起動。
双の剣、それぞれが雷刃を構築する。その初撃は、しかし、スコルに向けられたものではない。
片の雷刃は、『餌』……スコルの近くに溢れる、魔獣やヴァンパイア達を薙ぎ払った。
あるものは細切れとなり、またあるものは焼却される。原型をとどめることができたものもまた、吹き飛ばされ、スコルの手の届く範囲から離される。
スコルが、ようやく玲を敵として認識した瞬間。白狼が振り返った時には、既に玲はその眼前だ。
もう一方の雷刃で、スコルに斬撃を見舞う。
『ガルァッ!!』
噴き上がる鮮血。大剣と化した刃が、スコルの肉に届く。
逆襲として、白狼は、励起した炎を叩きつけた。怒涛たるそれは、狼牙の如きオーラを描き出し、玲へと迫る。
呪詛……あるいは、スコルの衝動を邪魔したものへの怨嗟……に満ち満ちた炎を、玲は二振りの雷刃を交差させ、斬り裂く。
斬撃は衝撃波を生んだ。炎を押し返し、散り散りに吹き飛ばす。
雷刃は、時に長く、時に短く。適正な距離を保ちつつ、玲は相手の命を削り取っていく。
「満たされない食欲っていうのも気の毒ではあるんだけど……まあそれはそれこれはこれ。
禁獣は生み出させないよ」
玲は言葉を投じた。目の前のスコルと……何処かでこの様子をうかがっているであろうデスギガスへと。
成功
🔵🔵🔴
エヴァルト・ヴァイスフルス
なるほど、獣らしい雑食性ですね。
満腹になる前に食事を中断させるとしましょうか。
【指定UC】を発動。血液の鎖でその身体を拘束します。
どの程度持つかは分かりませんが、時間稼ぎにはなることでしょう。
その間にガンナイフを用いて、『魔力溜め』をした弾丸を撃ち込みます。
獣を狩るにはやはり銃が適任でしょう。
掴み、噛みつき、喰い千切る。
スコルの『食事』の席に臨んだエヴァルト・ヴァイスフルス(闇の檻、夜の王・f38930)は、その知性の欠片もない喰いっぷりに、嘆息した。
「なるほど、獣らしい雑食性ですね。ですが、満腹になる前に食事を中断させるとしましょうか」
デスギガスによって与えられた食材の山。その中から、新たな一品を選び出そうとした前脚は、スコルの意志に反して、動きを止めた。
『ガルゥ!?』
振り返る。
暴食の衝動に彩られた双眸に、ようやくエヴァルトの姿が映る。
正確には、虚空に鮮血で描き出された逆十字の紋章が、スコルの視界を支配していた。
紋章は、エヴァルトの戦意を、正しく具現化した。血液の鎖へと転じて絡みつくと、スコルの四肢を拘束する。
『グルァッッ!』
邪魔をするなと、スコルが吠える。
エヴァルトを視界に収めたのも一瞬。衝動の対象……すなわち『食材』の方へとその興味はUターンする。
しかし、それを叶えまいと、鎖は頑丈さを発揮した。ミシミシと軋みをまき散らしながらも、スコルを『食事』に戻らせない。
エヴァルトの鎖は、ただ自由を簒奪するにとどまらず、捕えたものの命さえも削り取る。
鎖と狼の力比べ。しかし、時間経過とともに、命がけの綱引きは、スコル優勢へと傾く。
『グルぁぁッ!!』
咆哮が、炎を呼ぶ。全身から噴き出した炎は、嵐となり、檻じゅうを焼滅させんとする。もちろん、エヴァルトも例外ではない。
無事なのはスコルのみ。炎を統べるものが、己の身を焼かれることはない。
炎のドレスをまとい、灼炎の狼と化したスコルは、血鎖を蒸発させ、自由を取り戻さんとする……。
だがその時、エヴァルトは、既にスコルに照準を定めていた。
炎嵐の中にあっても、涼し気な表情を保っているのは、貴族としての矜持か。それとも、その方がカッコいいからか。
ガンナイフの詠唱銃としての機能が、装填した弾丸に、魔力を注ぎこむ。
「獣を狩るにはやはり銃が適任でしょう」
充填、完了。
トリガーを引く。
満を持して解き放たれた弾丸は、魔力で充溢している。
スコルは、ようやくエヴァルトを脅威として認識するも、時すでに遅し。
一発必中の魔弾が、スコルの白き毛並みに、真紅の点を刻みつけた。
刹那後、蓄えられた魔力が、スコルの体内で炸裂する。檻に響き渡る巨獣の咆哮が、エヴァルトの鼓膜を激しく揺らしたのだった。
成功
🔵🔵🔴
シャオ・フィルナート
妨害、ね
普通に戦う方が楽なんだけどな…
仕方ない、か
氷麗ノ剣を使用
体から剣に流し込んだ水、氷の魔力を駆使して
水流を放出、水圧で動きを止めつつ全身を濡らし
更に氷魔法の【凍結攻撃】で足止め
水を放出した事で檻の内部全体を濡らす事が出来たなら
この戦場はもう俺の支配下だ
自分の身を護るため
餌を喰わせないため
動きを阻害するように氷の壁を生成
まぁ、所詮は氷だから思いっきりぶつかれば割れるかもしれないけど
水分が残ってる限り何度でも修繕できる
【封印解除−駿−】発動
寿命はどうでもいいけど、味方……あぁ、自分でいいか
★死星眼を発動すると同時に片腕を切り
流れる血を代償とするかのように素早い移動
剣による連撃で攻撃、凍結
シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は、黙々と、かつ荒々しく、『食事』を継続する忌獣を見上げた。
シャオを一顧だにせず、飽くなき衝動に身を任せ、貪り食うスコルを。食の細いシャオには、とても真似出来ぬ。
肉を己に取り込むたび、スコルの体は膨れ上がり、紋章がその身に浮かび上がる。
「妨害、ね。普通に戦う方が楽なんだけどな……仕方ない、か」
進化などされたら、たまったものではない。
シャオの嘆息に呼応したように、手元に氷麗ノ剣が生み出される。
スコルが、こちらに興味がないというならこれ幸い。体から剣に流し込んだ水、そして氷の魔力を駆使すると、水流を放出した。
『グガァッ!?』
横腹に水圧を受けたスコルは、ようやくシャオの存在を無視できなくなった。
しかし、圧が、白狼の自由を押さえつける。水撃・氷撃を浴び、スコルの毛並みは、しっとりと濡れそぼっていく。
シャオの攻勢は止まらない。続けて発動した氷魔法がスコルを包み、与えた水分ごと、凍結させる。
僅かな間に、スコルはおろか、檻の内部も、すっかり水に濡れてしまう。
『ガルッ!』
食事の邪魔をするな!
吠えるスコル。食いかけの魔獣を放り出すと、シャオへと飛び掛かった。
自らを束縛する氷を払い、超速の爪撃を浴びせかける。正確には、浴びせかけようとした。
「もう遅い。この戦場はとっくに俺の支配下だ」
自分の身を護るため。
餌を喰わせないため。
スコルの眼前に生成された、氷の壁が、爪を阻んでいたのだ。
『ガルゥッ!』
無数の氷片が、宙を舞う。
魔力で作り出されたものとはいえ、しょせんは氷。スコルの連撃が、氷壁を削り取っていく。爪が振るわれるたび生まれる炎の鎖が、更に勢いをつける。
だが一方で、『しょせん』と、そう呼べるほどありふれたエレメントであるがゆえに、修繕も容易い。
素材となる水分は、この場に満ちている。シャオ自身が用意したものだ。
相手が氷壁と格闘する間に、シャオの瞳が金色の光を放った。代償は……シャオ自身でまかなえばいい。
無造作に片腕を切ると、流れ出る血液をささげ、速力と引き換えた。
数多の紋章の力を得、神速の爪を振るうスコルでさえも捉えられぬ、高速の移動。
そして、速力は、攻撃面においても発揮された。己が鮮血で、虚空に軌跡を描きながら。シャオは、巨狼と剣舞を演じる。
剣が振るわれるたび、斬撃と凍結が、スコルを満腹から遠ざけていく……!
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
恐らく善意で動いているのでしょうが、それだけに、より、|タチ《性質》が悪い、ようですね!
デスギガス程の巨躯では無いにしろ、俊敏さでは厄介かもしれません、しかし…
『〝ダイヤ〟モンド・ケイジ』ですか…はて?
いえ、このデス・マッチを制し、敵の陣容に楔を打ち込もうではありませんか
(※キャバリア騎乗戦闘)
◆ストライク・イェーガー
動体視力+見切りでスコルを|スコープ《 照準 》に収めながら乱れ撃ち+早業のフルオート射撃で灼炎と撃ち合い、追いたてます
たっぷりと鉛玉を喰らいなさい!!
呪炎の直撃は拡散シールドと炎耐性で武器受け
ジャンプ+フェイントの急旋回で躱しつつ位置取り、「餌」に向かえない様に牽制して回り込む
スコルは、殺気立っていた。
猟兵に『食事』の邪魔をされたからだ。一度ならず、何度も。
別に、スコルに、この世界をどうこうしようという意志はないのかもしれない。
ただ、無限の空腹を、無限の食欲で満たしたいだけ。それが世界の迷惑となるのなら、結果論に過ぎぬ。
この一件を画策した存在を思い、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、頭を振った。
「恐らく善意で動いているのでしょうが、それだけに、より、|タチ《性質》が悪い、ようですね!」
クロムキャバリアに乗り込んだ蔵乃祐が、正面に捉えた標的こそ……未来の禁獣。
さすがに、デスギガス程の巨躯では無いようだが、その分、俊敏さを発揮されれば、厄介度は大。
「デスギガス……そしてこの檻の名は『〝ダイヤ〟モンド・ケイジ』ですか……はて?」
奇妙な符号の一致。かの者が口にしたアガメムノンの名。
蔵乃祐は、それらを思案しながら、しかし、今は戦闘への集中を選択する。
「このデス・マッチを制し、敵の陣容に楔を打ち込もうではありませんか」
蔵乃祐とスコルが動いたのは、ほぼ同時だった。
『グ……ガアアアッ!!』
スコルの発した、濃密な拒絶の気迫。それとともに、怒涛の炎が解き放たれる。
「たっぷりと鉛玉を喰らいなさい!!」
対する蔵乃祐も、敵を|スコープ《 照準 》に収め、フルオート射撃で応戦した。超技術の鉛弾が、狼型の灼炎と交錯する。
どちらもが狩人であり、獲物でもある。
怒涛なる炎が、キャバリアを強襲する。とっさにかざした拡散シールドと炎耐性で、延焼を続ける呪炎をしのぐと、そのまま跳躍。衝撃で、地面の『餌』が宙を舞った。
『ガルッ!』
滞空中の蔵乃祐機へも、スコルの追撃は容赦ない。
だが、フェイントの急旋回も交えて、断続的に襲来する炎を躱していく。
「なかなか手ごわい……ですが!」
スコルと『餌』の邂逅を妨げるように、キャバリアを回り込ませる蔵乃祐。
敵の猛攻を回避しながら、同時に、有利な位置取りに持ち込む。蔵乃祐の操縦技術あっての挙動だ。
『グ……ガルルルルゥゥゥッ!!』
スコルの唸り声が、一層激しさを増した。檻内の『餌』と空気を震え上がらせる。
邪魔をするならオマエも喰らってやる。殺気と食欲のブレンド。
「それはどうにも食べ合わせが良くないですね」
スコルの猛攻を受けながらも、蔵乃祐は、相手を追い立てていく。
無尽蔵ともいえる巨狼の体力と、『食事時間』を、簒奪していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
メアリー・ベスレム
まあ、すごい食欲
あなた達とどっちの方がよく食べるかしら
ねえ? と|合成肉生物《チプト》に語り掛け
と言っても聞いているのかいないのか
すぐにでも周囲の「餌」に喰い付きたくて仕方ないみたい
もう! それじゃあ【ごはんの時間】にしましょうか
周囲の「餌」をチプト|たち《・・》が平らげて
その間、敵の攻撃がチプト達へ向かないよう
メアリは【挑発】【誘惑】敵を惹き付ける
あら、だめよ
あなたの|獲物《ごはん》はアリスでしょう?
時折切りつけ注意を惹きながら
【軽業】【野生の勘】身を躱し
敵の強化を許さぬままに
チプトは強く大きく増えていく
そうして多くを平らげたなら
最後は敵を【捕食】する!
あら、チプトの方が大食いだったみたいね
肉も骨も皮も、余すところなく食らい尽くさねば気が済まぬ。
スコルの『食事風景』を目の当たりにして、メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は、ぱちん、と手を打ち鳴らした。
「まあ、すごい食欲。あなた達とどっちの方がよく食べるかしら。ねえ?」
メアリーが問い掛けたのは、|合成肉生物《チプト》。
だが、聞いているのかいないのか。チプトは、魔獣やヴァンパイア、紋章……スコルの『餌』にご執心。すぐにでも、食いつきたくてしょうがない、らしい。
メアリーは、少々ご立腹。
「もう! あの大きな狼さんと一緒ね。それじゃあ【ごはんの時間】にしましょうか」
許しが出た。
チプト達は、一斉に『餌』へと向かうと、旺盛な食欲を発揮した。辺り一面の食材を、片っ端から平らげていく。
誰が来ようと、スコルには関係のない事。だが、自分の『餌』に手出しするものなら、許しはしない。
『ガルルッ!』
スコルが、チプト達へと吠声を浴びせる。それだけで、肉塊達は吹き飛んでしまいそうな勢いだ。
だが、巨狼の爪が振り下ろされようととしたとき、メアリーが立ちはだかった。
「あら、だめよ。あなたの|獲物《ごはん》はアリスでしょう?」
『ガルルルゥ……!』
メアリーの言葉と存在に、思うところがあったのか否か。
挑発と誘惑に引き付けられたスコルは、メアリーへと牙を剥いた。
肉切り包丁を振るい、応戦するメアリー。
肉を割かれ、餌を横取りされ、スコルの怒りは限界に達した。どう猛で、理性も知性も感じさせぬ獣の動きで、メアリーを食い散らかそうとする。
『グルゥゥッ!!』
怒涛の炎が、メアリーへ集中する。『餌』のことを配慮したわけではなく、ただ、邪魔者憎し、その一心である。
技などといえぬその挙動を、メアリーは、同様に野生の勘を以て、軽やかにかわしていく。
メアリーとスコルの追いかけっこ。
その間にも、チプト達は、強く大きく増えていく。この場の『餌』を糧として。
スコルに禁獣への進化を促すほどの量と質。それは、チプト達もその存在を大きく変容させるに足りるものだった。
そうして多くを平らげた果て、最後に至るは敵を捕食するという、境地。
ぐわっ!
巨大な顎が、スコルへと食らいつく。
「あら、チプトの方が大食いだったみたいね」
『ガル……!』
体を削り取られた白狼、その瞳に宿る怒りと衝動は、メアリー達を圧倒するには、あまりに弱々しく。
成功
🔵🔵🔴
ゾーヤ・ヴィルコラカ
こんな暗くて苦しい世界じゃ、お腹もすくわよね。でも、あなたが満足するまで食べさせてあげるわけにはいかないの。こっちよオオカミさん、このゾーヤさんが相手になるわ!
檻に踏み入ったら直ぐにでも【UC:絶凍領域】(WIZ)を発動よ。オオカミさんを〈捕縛〉するように氷の〈結界術〉を、餌になるものに近づけさせないように展開するわね。身動きがうまくいかないところに、すかさず長剣で〈追撃〉よ。〈シールドバッシュ〉も交えて、わたしに引き付ける様に戦うわね。
あなたの悪食もここまでよ。わたしの氷は、誰であろうと逃がしはしないわ。さぁオオカミさん、骸の海に還りなさいな!
(アドリブ等々大歓迎です)
司・千尋
連携、アドリブ可
禁獣への進化か…
見てみたいような気もするけど
後々面倒な事になりそうだからな
攻撃は基本的に『翠色冷光』を使用
回避されても弾道をある程度操作し追尾させる
近接や投擲等の武器も使い
早業、範囲攻撃、2回攻撃など手数で補う
攻撃範囲内にある餌は全て最優先で狙い
檻の外に吹き飛ばす等して食べさせないようにする
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
継続ダメージは厄介だな
余裕をもって回避できるよう身体から少し離して展開しよう
餌に食いつきそうな時も鳥威で妨害
そう簡単に食えると思うなよ?
外界から隔絶された聖域……否、魔域。
司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)とゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)が、足を踏み入れた檻の中は、地獄の風景の如く。
蟲毒、とは呼べない。デスギガスによってお膳立てされたこれは、共食いなどではなく、スコルの一方的な捕食なのだから。
「禁獣への進化か……見てみたいような気もするけど」
千尋は想像する。スコルがどのような姿に変化するのか。
だが、それを見届けるのは、代償が大きすぎる事も、千尋は承知している。デスギガス2世の誕生は、確実に後々面倒を招くだろうから。
ゆえに、挨拶から本気で行く。『翠色冷光』……青き光弾をぶつけ、スコルの食事を中断させた。
『ガルル……』
ぎろり。千尋を振り返るスコル。
さんざん猟兵達に『食事時間』を邪魔されたのだ。その怒りの熱量は、檻内の景色をゆがませるほどに高まっている。
だが、この程度の眼光で、怖気づく千尋ではない。
猟兵と相対しながら、なおも魔獣や紋章を食い漁ろうとするスコルに、ゾーヤが注ぐまなざしは、何処か慈悲を含んでいた。
「仕方ないわ。こんな暗くて苦しい世界じゃ、お腹もすくわよね」
ゾーヤの語り掛けに、スコルは咆哮で応えた。食事を邪魔しているのはオマエ達だろう! そんな抗議をこめて。
それでもゾーヤは、言葉を紡ぐのをやめない。
「残念だけど、あなたが満足するまで食べさせてあげるわけにはいかないの。こっちよオオカミさん、このゾーヤさんが相手になるわ!」
ぱきり、とゾーヤの踏みしめた地面が、硬質の音を立てた。
ゾーヤが檻に踏み入った瞬間から、ユーベルコードによって、この場は氷結空間へと書き換えられていたからだ。
食事にしか興味のないスコルが、そうした異変に気付く事は、ある意味至難の業といえた。
氷の領域は、スコルを包むように展開。捕え、縛るように……それはさながら、ゾーヤ製の新たな檻。
デスギガスに与えられたものと異なり、体温は奪われ、動きも停滞していく。数々の『餌』を喰らい、せっかく蓄えた魔力さえも、ゾーヤへと吸収されてしまう。
だが、ゾーヤの一番の目的は、単にスコルの自由を奪う事ではない。『餌』に近づけさせない事だ。
荒れ狂う冷気に委縮するスコルを、千尋の青の光弾が襲う。
敵の意識を引き付けたところで、千尋は『餌』の除去にかかった。
『烏喙』を投擲し、『月烏』の斬撃で、魔獣たちを薙ぎ払い、吹き飛ばす。
形の違いはもちろん、息のあるもの、ないもの、種々雑多。その中で、意識の残ったものは、悲鳴や苦鳴をこぼし、果てていく。
しかし、千尋の躊躇を誘うことはできない。速やかかつ、間断なく、広範囲にわたって『餌』を駆逐していく。
『ガルルルルルルッッ!!』
光弾を追いかけていたスコルが、千尋の所業に気づく。
よくも我が獲物を! 白狼の双眸が、烈火を放つ。
怒涛の炎が、全身から噴き出した。それ自体が、一頭の巨大な狼の幻影となって、千尋へと襲い掛かる。
敵の反撃は予期している。細分化した『鳥威』を複数展開し、炎の襲来をしのぐ。
これまでの『食事』によって、スコルの力は増している。その火力は、光盾を次々と破砕していく。
だが、塵芥と化したそばから、新たな光盾が更新され、防壁を維持した。千尋自身のオーラを重ね、耐久力も底上げして。
が、白炎の脅威は、止まぬ呪詛にある。炎を防いだ鳥威は、炎をしのいでなお、存在を焼却され続けるのだ。
「厄介だな……」
敵の能力を警戒して、光盾と自身の距離を保っていたのが幸いした。千尋への延焼は免れた。
千尋が守勢に回ったのを好機として、再び、『餌』へと食らいつこうとするスコル。
だが、その牙を、鳥威が食い止める。
「おっと、そう簡単に食えると思うなよ?」
代わりに千尋が与えたのは、青の光弾。口内に飛び込んだ魔力塊が、体内で炸裂する。
『ガハッ……ガルルゥゥッ!!』
ゾーヤ達の執拗な妨害に対し、スコルが怒りの咆哮を上げた。
「あなたの悪食もここまでよ。わたしの氷は、誰であろうと逃がしはしないわ」
吹雪によって動きの鈍化した獣に、ゾーヤは、長剣で追撃を仕掛けた。
食事の邪魔をするものは許さない!
スコルの怒りは、ゾーヤに注がれた。期待通りに。
白狼の全身から炎が噴き出した。怒涛の炎は、狼の顎を模して、ゾーヤに迫る。
とっさに盾をかざし、炎の直撃を免れる。だが、スコルの食事を妨害された恨みは強い。
呪詛のこもった炎が、盾を浸蝕してくる。
だが、ゾーヤはそれには構わず、シールドバッシュを仕掛けた。相手の顔面に、もらった炎ごとお見舞いしてやる。
ゾーヤの抵抗は、スコルの怒りに一層火を注いだ。
いよいよ食事の事など忘れ、ただゾーヤ達を殺し尽くすという目的に邁進する。その足元で、『食材』が踏みにじられているのもお構いなしに。
「さぁオオカミさん、骸の海に還りなさいな!」
ゾーヤの剣が、スコルの額に突き立つ。スコルから奪った力がこめられた一撃が、遂に忌獣の息の根を止めたのである。
禁獣の孵化は、成就しない。
『ああ、残念だなあ。でもまだチャンスはあるもんね。……あるよね?』
千尋とゾーヤの耳に、そんな声が届いた気がした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵