闇の救済者戦争④〜葬炎の蠱毒
●葬炎のスコル
「何もかもを喰らい尽くしたい」それが最初の想いであったような気がする。
この世界はひもじくあまりにも飢えと隣り合わせだ……腹いっぱい喰らいたい、誰にも咎められることなく目一杯腹を満たしたいというのはそんなにも邪悪なことだろうか?
そのような衝動を身に秘めた葬炎のスコルは囚われの身である。
歓喜のデスギガスによって出る事もかなわぬ檻に閉じ込められ与えられたのはあらゆる魔獣、ヴァンパイアそして紋章ばかりだった。
スコルはそれらを喰らった、無節操に全てを喰らった、その身体も精神も変貌してしまっていくことすら理解できなくなるほどにその身はすでに尋常ではないモノへと成り果てた。
あと少しあと少しなのだ、デスギガスが求める『禁獣』として進化するまであと少し喰らうだけでよいのだ。
「もっとよこせ! 餌をよこせ! 血肉を喰わせろっ紋章を喰わせろっ!食わせろ喰わせろ喰わせろろろろろろろろっ!!」
もはや理性は残ってなどいない、ここにいるのは食欲の化身と化した化け物、そしてこのままでは殺害不能の禁獣にまでその身を高めてしまうまさに生きた蠱毒そのもの。
禁獣となるまで出入り不可能な檻の中でバリボリと未だ食べ続け、新たなる餌の到来を心待ちしている生粋の狩人。
猟兵という栄養満点の生餌がやってくることをスコルは本能で感じ取っていた。
●グリモアベース
「お集りいただき、ありがとうございます」
ペコリと一礼しグリモア猟兵のユウラ・キッペンベルグは集まった猟兵達に一礼すると巨大な檻に入れられた一匹の白狼の絵を見せた。
そこは檻というのは巨大だが外に出るのは絶対にできない謎の力で作られた物であり外部から干渉するのはどうやら不可能のようだ。
そしてその足元に散らばる数々の死体などはきっとこの化け物の餌に違いない。
「この葬炎のスコルは何でも喰らいたいとしか考えていない化け物です。そしてこのまま放置するともはや私達には手が出せない不滅の存在へと昇りつめてしまうのです」
ユウラはそのような生き物などあってはならないとキッと唇を噛みしめる。この化け物が進化してしまえば滅ぼすことが不可能な禁獣と呼ばれる物へと成り果ててしまうというのだ。
だからこそここで叩かねばならないとユウラは話を続ける。
「皆さんにはこの檻の中へと直接転送させていただきます。そこから先はお任せしますがここは檻の中であり空中に逃げ出すなど距離を取ることはほぼ不可能だと思ってくださいね」
敵は近接型でありこの檻の中ではそれがおそらくは最善の戦闘法となるだろう。
「なので常に命の危機に晒されつつもスコルに周辺の餌をこれ以上食べれないよう妨害もよろしくお願いします。食べれば食べるほど相手は強くなるとそう考えてもらって間違いありませんから」
つまりは速攻で倒してしまうのが一番だということだろうか。ユウラは戦場でのことは皆さんにお任せしますと再び頭を下げ祈りを捧げた。
グリモアの輝きが満ちていきそして転送の扉が開かれる……恐るべき敵の待つ檻の中への扉が。
轟天
●これは『闇の救済者戦争』の1章完結戦争シナリオになります。
檻の中でありとあらゆるモノを喰らいながら進化を繰り返す化け物が今回の敵となっております。
飢えた化け物である『葬炎のスコル』がこのまま全てを喰らい尽くし禁獣に進化してしまえばもはや猟兵といえどそうそう退治できる相手ではなくなってしまうという大ピンチ。
はたしてこの強敵を狭い檻の中で退治することはできるでしょうか?
檻の外からのスコルへの攻撃は無効、檻の大きさから飛行し続けれるほど広くはないと思っておいてくださいね。
●プレイングボーナス
檻の内部に散乱する「餌」をスコルに食べさせない。
第1章 ボス戦
『忌獣『葬炎のスコル』』
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POW : 灼炎魔狼
【狼のあぎとに似た炎の怒涛】を放ち、命中した敵を【呪詛の炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【対象を獲物に】していると威力アップ。
SPD : 葬炎爪牙
速度マッハ5.0以上の【爪牙の連撃】で攻撃する。軌跡にはしばらく【灼熱の波動を放つ炎の鎖】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : 葬炎咆哮
戦場全体に【凄まじい炎の嵐】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【全身を炎に変えること】による攻撃力と防御力の強化を与える。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アイン・セラフィナイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シーザー・ゴールドマン
さあ、食事の時間はもう終わりだよ。君はもうお休みの時間だ。
『アイオーンの隔絶』を発動。
葬炎方向の炎の嵐を真正面から受けつつ、それを自身の戦闘力に変えながら近接戦を展開。餌を食べる隙を与えません。(食べようとすれば絶好の攻撃のチャンスとなるでしょう)
『オーラセイバー』を圧倒的な暴力と精緻な技巧の融合した剣技で振るって切り刻みます。(怪力×暴力×功夫)
(※オーラセイバーには生命力吸収効果付き)
どんどん戦闘力を増していって後半は拳で殴ったりしているかもしれません。
●
「ガオオオオオン!」
唸り声が檻の中に響きゴウっと暗闇に映える薄ら暗い炎。それはあっという間に檻の中を満たしていき新たなる侵入者をも巻き込んでいく。
「来たまえ」
静かにそう告げたシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は静かな笑みを浮かべつつ全身に魔力が行き渡るのを確信していた。
葬炎のスコルが全身から放つ凄まじい炎の嵐は普通であればシーザーを焼き尽くしていたに違いない。
それほどの威力の熱量がこの場を埋め尽くし数々の餌を丸焦げに焼き尽くしてしまっていたのだから。
だがしかし寸前に発動させた|アイオーンの隔絶《デウス・アウムム》の力がそれを耐えきるチャンスとさらなる反撃への力を与えてくれている。
指先にまで行き渡った|オド《魔力》の制御は完璧であり魔物が放った炎さえも自らの力に変換し続けてくれているのだから。
そんなシーザーの様子に驚きさらなる餌を喰らい力を得ようとする葬炎のスコルに与える時間など1秒たりともありはしない。
「さぁ、食事の時間は終わりだよ……君は、もうお休みの時間だ」
猛烈な踏み込みとそれによって圧倒的速度で繰り出されるオーラセイバーによる横薙ぎの必殺剣。
一撃目はバク転し避けれたろうが迷うことなく二歩目も踏み出し逆薙ぎに振り上げた光の刃。
全身を炎に変化させたことで重力を無視したかのように回し蹴りを叩き込んでくる狼の脚がシーザーの脇腹へと叩き込まれてしまう。
ニィッと笑ったかに見えた葬炎のスコルの表情が驚きに変化したのはその直後、叩き込まれた蹴りを腋に挟み完全にロックしたシーザーの冷酷な瞳の輝きに気圧されたに他ならない。
「なに気にするな。これは私の奢りだ……存分に食べたまえ!」
片足を掴まれ逃げれない葬炎のスコルの胸に突き刺されるオーラセイバーの光の刃。
炎の血潮を噴き出したかのように檻の隅まで転がっていくその姿に先ほどまでの絶対優位性は見受けられない。
戦いはまだ始まったばかり、だがしかし喰らうことしか知らなかった化け物に一つ大事なことを教えれたような気がした。
いつまでも自分が捕食者側でいられるとは限らないという事実に。
大成功
🔵🔵🔵
肆陸・ミサキ
※絡み苦戦ケガアドリブOK
無尽蔵の食欲か
悪食が過ぎるな、手が付けられなくなる前に、速やかに静かに、死んでもらえるとありがたい
というかあいつ、僕たちまで食料だと思ってるってコト?
ほんと、ふざけてるよね、この世界のやつらは、どいつもこいつも
でもまあ、食いたいっていうなら食わせてやる
今まで食ってきたどの餌より、魅力的な肉だと言ってやろう
それで既存の餌よりこっちに来てくれるかもしれないし、やりあいの最中に他所を食いに行くならそれを焼却して叩き潰して馬鹿にしてやる
向かってくるのに合わせてUC
右腕をくれてやる、その代わりにお前の命を削らせてもらう
捨て身は慣れてるからね
●
嗚呼なんと美味そうな雌だ、なんと柔らかな肉と温かな血の気配……喰らってやる喰らってやるぞ。
狂気に似たし渇望を腹の底から沸き立たせ葬炎のスコルは目の前に現れた新たなる餌へとその視線を向けた。
舐めるように吟味してくるその視線に寒気を覚え肆陸・ミサキ(黒白を弁ぜず・f00415)はさっさと片付けるべきだと決意を固める。
(無尽蔵の食欲か……)
そしてそれが理性で留めれないほどのものともなれば誰かが止めねばならない、ここから先にこの世界にプラスになるとはとても思えないその立ち振る舞い、断じて見逃すわけにはいかないのだ。
白いフードを被り表情が見えないようにするとジリジリと間合いを詰めていくミサキ、対して涎を垂らし完全にミサキを餌としか思っていない葬炎のスコルの前のめりのすり足。
互いの睨み合いはそう長くは続かない、飢餓を覚えた野生の狼に我慢などという言葉はないのだから。
「ガウウウウン!」
「来るっ!」
咢のような炎の怒涛、それがミサキのフードに引火し燃え上がるも迷わずそれを脱ぎ捨て密黒のインナー姿になると反撃の拳をその顔面へと叩き込んだ。
拳がめり込むも威力は不十分、咄嗟に間合いを外そうとするもそれよりも素早く大口開けて食欲を隠さない狼の野生。
「食いたいならくれてやるっ! 今まで喰ってきたものより極上の腕をなっ!」
「ガルルルッ!」
顔をガードするように差し出した利き腕に猛烈な痛みが走った、メキメキと肉にめり込み骨にまで食い込んだ野獣の鋭い牙。
熱すぎる炎による肉の焼けた臭いと意識が飛びそうなほどな痛みで意識が持っていかれそうになるのをどうにか耐えしのぐも脂汗が額から流れ落ちていた。
(ヤバっ、意識持ってかれそう……けどようやく見せたね? 大きな隙を!)
ベキボキと利き腕から爆ぜる音がする。だがしかしここで意識を手放しては何のために利き腕をくれてやったかわからない。
ありったけの力を振り絞りゼロ距離から放つ|赫灼たる絶焼《カクシャクタルゼッショウ》。
逆腕で相手の腹筋に叩き込んだ渾身のボディブロー、そのパンチ力そのものが問題ではない。
その殴った個所から発する猛烈なまでの光の輝きが炎を操る敵すらをも焼き尽くしていく。
「せっかくの御馳走、遠慮なく受け取ってよ」
片膝をつき意識が遠のいていくミサキ。
だがその捨て身の一撃を受けた相手がどうなるのかをその目で見る必要はない。
撒き餌に食らいついた時点で結末は予想できていたのだから……。
大成功
🔵🔵🔵
メアリー・ベスレム
まあ、なんてかわいそう!
なんて、ホントはちっとも思っていないけれど
どれだけ食べても膨れない
何を食べても満たされない
それってきっと……本当に美味しい|お肉《アリス》を食べた事がないからでしょう?
【唆る肉体】見せつけて
できるならすり寄り触れて臭いを嗅がせ
敵を【誘惑】してあげる
ああ、なんてかわいそう!
こんなに美味しそうな|お肉《アリス》を知らないだなんて
まあ、食べさせてあげるなんて言ってないけれど?
くすくす笑って身を躱し
【逃げ足】活かして立ち回る
だけれど檻は狭いから
すぐに炎に包まれて
料理されるようにこんがり焼かれ
そのままぱたりと倒れ……そういう【演技】をしてみせて
喰い付いてきたところを【騙し討ち】!
●
檻に入れられ有り余るほどの餌を与えられまるで家鴨のようにぶくぶくと飼われているのと変わりない。
葬炎のスコルを見てメアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)はとてもとても小悪魔な表情で見定めペロリとてへぺろと舌を出した。
「まぁ、なんて可哀そう♪」
いえいえその言葉と表情が全然あってませんよ?
だがそんな冗談じみたメアリーとは対照的に涎をだらだらと垂らし間合いを詰めてきてるのに気づいているのだろうか?
(うふふ♪ 何を食べても満たされないなんて……本当に美味しい|お肉《アリス》を食べたことがないからしょうね❤)
なら話は簡単だ、この魅惑的で同じ狼の臭いを感じさせるこの身をあの化け物へと魅せつけてやればいいのだから。
「ほら、美味しそう……でしょう?」
狼特有に通じるポージングと仕草でむわりと漂う雌の香り、そしてそれは食欲一辺倒だった化け物に違う欲望を抱かせるための布石。
ジリジリと近づいてくるのに飛び掛かろうとしない相手に両腕を上げて見せ腋を見せつけるようにすると鼻を鳴らしながらクンクンとその臭いを嗅ぎ始めたではないか。
さらにスカートを摘まみほんの少し興奮を誘えばもはやそこにいるのは葬炎のスコルというだけでなく発情した雄の狼。
いきなり飛びつこうとするのをひらりと躱し軽やかに反対側へと着してみせた。
「あら? こんなに美味しそうな|お肉《アリス》をタダで食べさせてあげるなんて……言ってないけどね♪」
クスクスと笑うメアリーに再び飛び掛かるも再び華麗に避けられもはや寸止め扱いのスコルの怒りは爆発寸前。
咢に宿った炎が放たれ次第に逃げ場を失っていきとうとう檻の隅にまで追い込まれてしまい……。
「さ、さっさとやりなさいよ!」
「グルルル、ガアアアアアッ!」
最後の意地とばかりに強気の言葉を発したメアリーを呪詛の炎に包み込んでいき転がりながら苦しんだあげくぴくりとも動かなくなってしまった。
あっけないほどのメアリーの死、だが焼け残った死体もまた美味いのだろうと魔物の咢はその柔らかな肉を貪ろうと大きく口を広げた。
ガチン
大きく響く葬炎のスコルの歯を噛みしめた音、だしかしそこに肉を引き千切る音は混じっておらずそれどころか焼き殺したはずのメアリーの姿さえ見えない。
「はい残念♪ 幻惑香でいい想いは出来たかしら? えっ出来てない?出来てない ゴメンね♪」
背後に立ち大きく振りかぶった肉切り包丁、ブンと振り下ろし狼の背に深々と突き刺さる必殺の刃。
真っ赤な鮮血で半身を真っ赤に染めながらメアリーは嗤った。ケタケタと狂気に満ちた気配を漂わせながら。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「しょっぱなからとんでもない敵が出てきたわね…黒影、出し惜しみ無しの全力で叩き潰すわよ!」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!せんせー!やっちゃってください!
(「UC【強制羽化】発動!」)
うおぉぉ!くたばれや!犬ッコロ!
(UCによる『肉体改造』で全身の筋肉と骨を増強し手足を甲冑のように硬化させ『衝撃波』を使った『推力移動』で一気に敵に近寄ると{蜂蜜色の靄}を{誘導灯型合金破砕警棒}の先端に纏わせオーラを槍の穂先のように物質化することで『武器改造』を『早業』で行い喉元を貫く)
●
次々と大ダメージを受け続け次第に怒りだけに支配されていく葬炎のスコルは凄まじいまでの炎の嵐を檻中に充満させていった。
ただそれだけのことで檻の中に現れた新たなる侵入者は窮地に追い込まれてしまうほどに。
(「しょっぱなからとんでもない敵が出てきたわね…黒影、出し惜しみ無しの全力で叩き潰すわよ!」)
教導虫の声が脳内に響き黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)はその後に待ち受ける窮地への覚悟を決め静かに目を閉じる。
一か八かの大博打、一歩間違えば無防備な身体を相手に差し出すはめになる渾身の技。
「はい!せんせー!やっちゃってください!」
兵庫の決意表明と同時にその視界が真っ赤に染まった。
ドンと地面に叩きつけられた衝撃波、そして発射台から放たれた大砲のように鋭い加速で一気に間合いを詰める兵庫。
手にした蜂蜜色の靄を纏った誘導灯を大きく振りかぶりまずは一撃叩き込む、だがしかし手ごたえが無い。
炎と化したスコルの肉体はこのままでは手も足も出せない不定形な気体なのだから。
「うおぉぉ!くたばれや!犬ッコロ!」
だがしかし全身の筋肉をミシミシと酷使し檻を蹴り返し折り返しの二撃目。同じことを繰り返すのかと避けもしないスコルだがその余裕はわずかコンマ数秒で崩れ去る。
ありえない事に炎の肉体に突き刺さった輝く警棒、その先端に纏わりついているのは靄だけでなく必殺のオーラ。
個体相手にしか攻撃が効かないと見せかけオーラの刃を届かせることが最初からの狙いだったのだ。
これならば俊敏な相手であろうと回避を疎かにする……その一瞬の隙を作り出す事こそ兵庫と教導虫とが導き出した解。
(とはいえ……これは時間が足りそうにないですねせんせー)
(「それがわかっているなら出し惜しみは無し! 気合入れなさい黒影!」)
悲鳴を上げる肉体をさらなる高みへと押し上げながら兵庫は必殺の突きを相手の喉元へと突き立てていく。
凶悪な炎と研ぎ澄まされた必殺のオーラ、双方がぶつかり合い檻の中で激しい爆発が何度も何度も炸裂を繰り返していく……。
成功
🔵🔵🔴
堺・晃
檻…なるほど
それは実に好都合
罠を張るにはおあつらえ向きだ
さぁ……いきましょうか
【咎人殺しの檻】を発動
猛毒を纏った鋭いワイヤーを四方八方に伸ばし
檻の隙間を駆使して檻の中全体に張り巡らせます
勿論餌…生き物もいますからね
それらには触れないよう気を付けたうえで
金属すら溶かす毒に、刃物のように鋭いワイヤーだ
無視して攻撃してきても構いませんが、貴方もただではすみませんよ
【毒、罠使い】
念のため自身に★住まう者に【オーラ防御】を張らせ
あぁ、でもこれじゃあ僕自身も動けませんね?
それでは…こうしましょう
★ハンドガンで麻酔弾を撃ち込み動きを鈍らせたところで
★アイアンメイデンスキュアの棘の【一斉発射】で串刺し狙い
●
ガキガキガキと大きく檻を切り裂こうとする強烈な音、強烈な爪牙の連撃が破壊不可能な檻へと叩きつけられたのだ。
逃げ出せない檻がこの場を支配し戦場はここだと完全に固定してしまっている。
「檻、なるほどね」
クスリと口元を動かし笑って見せる堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)にとってこの場所は逃げ場のない檻としては見ていない。
逆だ、逆なのだ……実に好都合、罠を張るのにこれほどおあつらえ向きの場所も早々ないに違いない。
「グルルル!」
葬炎のスコルは自らが切り裂いた空中に灼熱の波動を残滓として残し振り返った、そしてその波動を足場にして一気に避けたはずの晃へと間合いを詰めていく。
マッハ5に達する速度で動けばソニックブームが巻き起こるのは当然のこと、先ほどから飛び跳ねるたびに炸裂している音は空気中で幾度も繰り返されたソニックブームの音だったに違いない。
「ですがね、この狭い檻で考え無しに飛び跳ねて本当に良かったんですか?」
無防備に身を晒した晃へと一直線に飛び込んできたスコルの爪がその直前で届かず停止した。
幾重にも張めぐされた細いワイヤーによって絡み取られ勢いが落ちたとはいえ信じれない事だが灼熱の波動は晃の胸元を確かに抉ったのだ。
が、しかし用心のために纏っておいたオーラがそれを間一髪食い止めてくれていたのだからわからないものだ。
(金属すら溶かす毒に刃物並の切れ味のワイヤー、それにこれでどうですか!)
ホルスターから抜いたハンドガンを突きつけ迷いなくトリガーを引く、二発三発……そのまま全弾を叩き込みその効果が効くことを祈った。
象でも昏倒するはずの麻酔弾をこれだけぶちこんだのだ、ほんの少しでも効果があれば十分だ。
なにせ罠に罠を仕掛けさらにここまで下準備には手間をかけている。オーラで防ぎきれなかった脇腹からの出血で赤く染まっていく着衣。
だが相手を油断させ罠にかけるにはこれは必要な代償だった、空間転移で出現させてから発射までのタイムラグを相殺できる大きな隙を作るためには。
「貫けっアイアンメイデンッ!」
葬炎のスコルを囲むように開放されアイアン・メイデン・スキュアからありったけの棘が飢餓状態の狼の全身を貫いていく。
これだけのチップを払った以上はそれ以上のリターンが無いと釣り合わない。
晃は一撃喰らった何倍もの代償をこの見境ない獣へと与えてやったのだ……躾のなっていない駄狼に!
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
厄介な状況ですが、何とか。
【闊果】を発動、『天果』を宿して火力を強化すると共に、全『損害』を『解除時の反動』に置換出来る状態にしますねぇ。
更に『祭礼の女神紋』により『祭器』全てを肉体の一部とし、同様の保護を行いますぅ。
更に『炎』対策に『FES』の耐火結界を纏い、貫通する分は置換して防げば対処可能でしょう。
後は『FMS』のバリアでスコルの周囲を覆い『FGS』の重力波も重ねて動きを抑え、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]は周囲の『餌』を焼き払いつつ[範囲攻撃]、『FBS』の斬撃と『FAS』の羽弾、『刀』で本体を狙いますねぇ。
問題は、帰還後の『反動』ですが。
●
「くうっ!?」
バチッと大きな火花が飛び呪詛の炎が夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の全身を包み込んでいった。
その直前に浮遊する布地がある程度の減衰を行ってくれたものの貫通してしまった炎のダメージは尋常なものではない。
だというのに今のるこるは何故か無傷でそのまま戦い続けれていた。
「ガルルル!」
続けて葬炎のスコルの放つ咢が直撃した布地もかなりが燃え尽き無力化されているのでいつまでもその防御は続かないとふんだるこるは少しばかり積極的に攻めに転じる事にした。
今の無敵状態は女神の加護でダメージを先送りしているにすぎない、そしてその反動を覚悟でこうして戦っているものの後を考えれば引き際を考えるのもとても大事なことだ。
(一度に30%ずつ生命力が奪われますし、攻撃は3回が限度……チャンスは作って見せますぅ!)
浮遊兵器で攻撃を代替りさせようと思うもすでにいくつかの砲塔や戦輪は失われ残った武装で狙い定めるしかない。
円盤によるバリアでの行動阻害、さらに錫によって操る高重力でのトドメとばかりの阻害で一気に持っていかれる生命力。
他の武装はここで使うわけにはいかない、権能による助力がいかに機能するかは難しいところだから万が一にでも生命力が枯渇は避けたいものだ。
チャンスは一度きり……周囲の餌を攻撃することに無駄なエネルギーは使えない。狙うのは目の前にいる飢えた狼自身。
「大いなる豊穣の女神、楽園の地に……木立の恵みをここにっ!」
手にした刀を構え体重をかけ放つ強烈な突き、牙を突き立ててきた葬炎のスコルの牙と互いに互いを貫く攻撃が交差しるこるは距離を取り蓄積したダメージに少しばかり気が重い。
この反動はおそらくはしばらく動けない重いものになる、互いのダメージ考えればを引き際はこんなところだろうとそう決断するしかないのだ。
……幸い相手もまた今の一撃で傷つき追いかける余力はないだろうから。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
悍ましき暴食の権化……禁獣の座へは至らせない!
バニーガールに変身
狼ならばウサギの出現に、本能的に食欲をそそられる筈(おびき寄せ)
【狂乱の蠱惑兎】で「エサとしての魅力」を3倍化すれば、疑いも警戒も消え失せ、檻の中のエサを無視してこちらへまっしぐら
強化された【視力】で爪牙を【見切って】躱し、【カウンター】に大鎌で斬りつける(切断・急所突き)
ウサギの脚力で蹴り飛ばし(吹き飛ばし)、自ら作った残存する炎の軌跡へ叩き付ける(地形の利用)
その力が強大であるならば、逆に利用してやればいい
●
あのような|美味な兎《えっちなバニー》は見たことが無い、見ているだけで涎が止まらない……柔らかな肢体と肉付きのよい大きな尻から魅惑的な脚線美。
檻の中で与えられた餌は皆そろってグロテスクで硬くとても美味いとは言えない代物ばかり。
だがしかし目の前に今いる|極上の蠱惑兎《えっちなバニーガール》はそれらとはまるで違うと無意識に興奮が止まらない。
葬炎のスコルの視線の先で颯爽と立つオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はそれを承知で大鎌を使いまるでポールダンスのようにポーズまでつけて尻を振って見せた。
「ゲヘッゲヘッグフフフフフッ!」
これまでの殺意に満ちた唸り声ではなく明らかに情欲交じりの鳴き声が混じっていた。骨が散乱する足場を蹴りパンと空気の張り裂けるような猛烈な轟音。
ソニックブームが起こるかのような音速を超える速さで飛び込む強烈な爪牙がオリヴィアに届くまでわずかコンマ数秒でしかない、爪の通った空中に炎の鎖が刻まれるもその一直線に向かっていたはずの軌道は何故かいきなり左折を余儀なくされていた。
「かかりましたね悍ましき暴食の権化!」
大鎌の柄で爪を弾き華麗に受け流すと横薙ぎに振るわれた大鎌が深々と葬炎のスコルの背に突き刺さる。
絶叫と苦悶の声をあげ怒りに燃えた狼が檻を蹴り一直線にオリヴィアへと飛び込んできた、大鎌が突き刺さったままでこれではガードには使えない!
だがしかし裏拳で引き裂こうとする爪の一閃を後ろに反り返りバク転をしながら避けた|バニーガール《オリヴィア》はそのまま強烈な|フッラッシュキック《バク転キック》をそのケダモノへと叩き込んだ。
「グギャ!? フギャアアアア!」
「まだまだぁっ! 貴様などにっ禁獣の座へは至らせないっ!」
マッハの加速を利用しさらに勢いをつけられた葬炎のスコルが叩きつけられたのは空中に刻まれた炎の鎖だ。
受け身などとれる時間はなくメキメキと嫌な音がし血反吐を吐く姿を天地逆さまになりながら見たオリヴィアの追撃は止まらない。
その力が強大であろうとこの狭い檻の中では逆に枷となってしまうと理解する知性も足りていないに違いない。
起き上がりながら鍛えられた美脚を叩きつけての回し蹴り、さらに大鎌を軸に使ってのポールダンスを思わせる後ろ回し蹴りを顔面に叩き込み鳴き声さえあげさせない狂乱の猛攻。
魅惑的な兎がいつでも餌たりえないと言わんばかりに大鎌を振るうオリヴィアの姿は、まるでケダモノを追い詰める狩人に見え始めたに違いない。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…これ以上、禁獣なんていう訳の分からない化け物を増やされたら堪らないもの
…必ず阻止してみせる。そして、この戦争に勝利を…!
事前に吸血鬼化して増幅した自身の生命力を吸収して血の魔力を溜めUCを発動
|全魔力《WIZ》を|肉体《POW》強化に変換する黒騎士鎧を身に纏う
…さあ、往くわよ。遊んであげるわ、犬畜生
限界突破した身体能力を駆使した早業で周囲の餌を食べられる前に敵の懐に切り込み、
敵の攻撃を|吸血鬼の超再生能力《肉体改造》と黒騎士鎧のオーラで防御しつつ、
超強化した怪力による大鎌で敵を乱れ撃ちする物理属性攻撃で敵の食事の妨害を試みる
…お前は此処で朽ち果てなさい。この閉ざされた檻を墓標にして…
●
何故だ、何故こんなことに?
そう考えながら葬炎のスコルは落ちていた魔物の死体を貪ろうと屈もうとした、だがしかし恐るべき殺気を感知し知を蹴り後ろへと大きく跳ねた。
その数瞬後に一閃された死神の刃が通り過ぎたのだから野生の本能というものは侮れない。
漆黒の鎧を纏った死神がいつの間にか目の前に現れていた、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)という恐るべき吸血鬼狩りが。
「そこで朽ちていたらそれ以上苦しまなくてすんだのに。 残念ね?」
重厚な鎧は隠密性など皆無でガシャリと重厚な音を鳴らしまた一歩踏み出すリーヴァルディの自信の表れでもある。
ありったけの魔力を全て肉体強化につぎ込んだ|今の状態《破軍の型》はそう長くは続かないだろう。
「グルルルッガウッガウッ!」
食事を邪魔するなとばかりに飛び込んできた鋭い咢が肩に命中し呪詛の炎がまとわりついてきた。
本来であれば死に等しい苦しみを与えられるそれらも今は無視することができるほどに濃縮された血の魔力。
「遊んでほしいようね? ……往くわよ犬畜生」
万全の防御力を見せつけ怯んだ敵に立ち直る隙など与えまいと一気に大鎌を握りしめる。
本来であれば華麗に死を与えるはずの大鎌に今は優雅さなどまるで感じれない粗雑な振りが右に左にさらに上からと力任せの連撃が次々と叩き込まれていく。
炎を纏った爪でそれらを払おうとする事態は間違っていないし捌ける速度があるということは自慢してもいいだろう。
けれど今のリーヴァルディの一撃一撃の重みは見た目以上にえげつないもので数合受けただけでぐにゃりとありえない方向に曲がった葬炎のスコルの左腕。
餌を食べたくもこの猛攻の前にどこにそんな時間があるだろうか?
「お前は此処で朽ち果てなさい。この閉ざされた檻を墓標にして……」
今度は太ももに刃を突き立て機動力を奪うと檻へと蹴り飛ばす黒騎士の姿は見知らぬものが見れば躾のなっていない狼に罰を与える調教師のようかもしれない。
だが一つ大きく違う事がある、それはこのリーヴァルディにこのケダモノを生かすという考えなどまるで無い事。
そして鎧から覗く瞳からは慈悲の欠片も感じさせない冷たい殺意だけが放たれていたからだ……そう、ここにいるのは化け物に死をもたらす恐るべき狩人なのだから。
大成功
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シャーリィ・リトルウィッチ
君も食べれば食べるほど強くなるタイプ?だったらシャーリィと同じだね!
シャーリィもね、今までたくさん敵を食べて、いーっぱい力を蓄えてきたんだよ
だからぁ、君の溜め込んだ力も全部シャーリィが食べてあげるね❤
スコルの攻撃は【全力魔法】で相殺したり、体を液状に変化させて【受け流し】
餌の方に注意が向かったら、餌を【念動力】でシャーリィのところまで引き寄せて、先に【捕食】しちゃうよ!
餌を横取りされたら怒るよねぇ…敵意がどんどん強まっててシャーリィ凄く怖いなぁ
怖いのは嫌だからぁ、君には弱々の雑魚スライムになってもらおうかな♪
【マジカル・スライム・チェンジ】でスコルをぷちスライムにして、そのまま捕食しちゃうね❤
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何故だ何故なのだと再び葬炎のスコルはボロボロになってしまった肉体を見ながら立ち上がろうとする。
ここにあるのは餌ばかりではなかったのかと、そして思い出すのだここにある餌をもっと食べれば強くなれるのだと。
「グルル……ガウッ」
涎を垂らしながら足元に落ちていた生餌に手を伸ばすもそれらが全てある方向へと引き寄せられていった。
ベチョグチュニチャア……。
この世のモノとは思えない怪しげな水音と共にそれらの餌が次々と青色のゼリー体のようなものの中へと飲み込まれていく。
これはそう、まるで彼の餌を全て横取りしていくようにしか見えない、というか実際その通りなのだが。
「あははは❤ 君も食べれば食べるほど強くなるタイプ?」
青色のゼリー体が人の形を取り始め全裸の美少女が檻の中に降臨した。
化け物には化け物を、シャーリィ・リトルウィッチ(ウィッチスライム・f20008)という共食い相手が狭い檻の中へと姿を現すなどスコルは思いもしなかっただろう。
「シャーリィもね、今まで敵をいーぱい食べて力を蓄えてきたんだよ」
「……グルル」
「だーかーらー❤」
無邪気に笑うシャーリィの上半身が炎の渦で消し飛んだ、だがしかし別の個所の粘液がそれをあっという間に補い元の美少女へと復元されていく。
「もう~せっかちさんね♪ 君の貯めこんだ分もぜーんぶシャーリィが食べてあげる❤」
ケラケラと笑うスライム娘にもはや怒りを止められそうにない、豊富にあった餌を横取りしまるで上半身が弾けたと見せかけ実際は人型を解いていただけというふざけた小娘など丸呑みで食ってやると憎悪が高まっていく。
残った腕とこの凶悪な咢で噛み千切り喰らってやると冷たい殺意と食欲への歯止めがもう効かない。
涎を垂らし前屈みになりながら獲物を狙う目は一直線にシャーリィの青いボディに向けられたもの。
他の餌は全てこちらで捕食してしまったのだから当然といえば当然なのだが。
「ガルルルルルルゥッ!!」
獣の咆哮と地を蹴り伸ばされる恐るべき爪、だが葬炎のスコル最大の失敗は一直線に憎きライムへと飛び込んでしまったということだ。
一直線ということは軌道を読むことも容易、それどころか事前に仕込んでおいた魔法陣が出現する場所に自分から飛び込んでくれるのだから。
「あはは❤ 君は強そうで怖いからぁ……っ」
屈託のない笑顔で伸びてきた腕が無数の魔法陣に囲まれていくのを見るシャーリィ、その爪先が額に届く寸前で恐るべき爪牙が液状化しベチャリと弾ける白い粘液。
そこにはもう魔獣の姿はない、あるのは液状化し真っ白なぷちスライムと化してしまった哀れな犠牲者の姿。
「プルルルルル!?」
「よわよわの雑魚スライムになった気分はどうかなー? あはは♪ ざーこ❤ ざーこ❤」
こうなってしまってはもはや逃げ場など無く青いスライムの中へと飲み込まれていく白きぷちスライム。
混ざり合っていく二色の粘液状生命体、しばらくするうちこの檻の中に宿っていた数々の魔力が全てかき消えていく。
禁獣になり損ねたケダモノの最期は骨一つ残さないより強い者に捕食されてしまう悲惨なもの。
そんな残酷な運命が待つなど思ってもいなかっただろう葬炎のスコルはこうして分解消化されてしまったのだった。
大成功
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