難攻不落のマヂノ線
●終わりなき塹壕戦
一時的に戦線を後退させ補給と再編成を済ませた恐るべき機械化兵団の脅威が春季攻勢を仕掛けて来たのはつい先日の話であった。
越冬を補給に費やしたゾルダートグラード軍の砲声が戦場に鳴りやむことはなく、降り注ぐ砲弾の雨嵐は獣人達を消耗させるには十分すぎるほどの飽和攻撃だ。
物量に物を言わせ大規模な攻勢の下地作りを行っているであろう敵砲兵部隊の練度は油断ならないほどに高い。
それでもこの地で獣人達が耐えしのげているのは戦場中に掘られた巨大な塹壕『マヂノ線』に篭り抵抗を続けているからである。
だがそれは予備兵力の余裕なくありったけの兵力をここに投入し続けなければならない消耗戦へと引きずり込まれてしまったということでもある。
確かに今の現在は敵の攻勢をどうにか押し返せている状況ではある。けれど武器弾薬の備蓄もであるが塹壕という汗と埃、さらには汚物に塗れた場所での抵抗活動がいつまでも続けていれるわけもない。
ゾルダートグラード軍もまたマヂノ線と並行して巨大な塹壕を建造し活用をし始めたのはつい最近のことだ。
獣人陣営も塹壕に篭り、守りに徹すればまだそこまでの損耗は避けれたのかもしれないが、獣人達としては敵の砲撃を耐え凌ぐだけという状況が長く続いた事が精神的苦痛を呼んでいたのもまた事実。
攻める目標があるとつい誘いに乗ってしまい、司令部の指示も守れず小隊単位で勝手に敵塹壕へと突入したあげく返り討ちにあう部隊が続出し、より一層生き残りの兵達は消耗を強いられていった。
「中隊集合! 緊急呼集!!」
獣人達の兵達が数少ない休息時間を堪能しようとしたその時、突如として上官が総員に召集をかけ装備類を背負った兵たちは疲れの取り切れていない重い身体にムチを打ち直立不動で整列し集まった。
「さて中隊諸君、よろしくない知らせだ」
上官の淡々とした声に一同は覚悟を決めた、これはかなりマズイ事が起こる前触れだと全員が悟るほどに空気が重いのだ。
急報が届きこの塹壕一帯に向けて浸透してきた敵突撃歩兵の存在が確認されたらしい。
その数はゆうにこちらの部隊2倍近い数であると聞き一同はどこか達観したような顔でそれに応えた。
「支援砲撃は無いのでありますか? 上官殿」
「良い質問だ先任軍曹、書類上は砲兵も砲もこの陣地に配備されているからな、せいぜい我々だけでメインディッシュを楽しむとしよう」
口元を歪め笑う上官に兵達は達観した様子で返答をする。
書類上しか存在しない砲兵などアテにはできないのだから。
「いやはや、配給されていないパンの1日当たりのグラム数を減らされた時以来の衝撃でありますな」
「全くだ。だがしかし敵さんも待ってはくれん、各員配置につけ!プランCに則り対応に当たれ」
「「「了解」」」
兵達は決死の覚悟を秘めた表情で最敬礼を戦友達と交わした。
プランCとはつまり……弾が切れたらチャンバラで応対せよとの死守命令。
塹壕から出れば待っているのは死、逃げ出すのも命がけならばここで徹底的に戦い抜くしかないと彼らは知っている。
だがそれでも騎兵銃の銃剣で突撃を仕掛け塹壕の一たび飛び込めばスコップや手榴弾なども駆使し狭い塹壕内で暴れまわるであろう相手が倍近くの数来るなどを聞けば恐れおののき逃げ出したいもが本当のところだろう。
けれどこの戦場でそれは許されない、一か所でも陥落すれば塹壕は次々と敵の手に堕ちてしまうのはわかりきったことなのだから。
与えられた命令は|持ち場を死守《逃げたら銃殺》なのはすでに受け入れてしまっているのだから。
「それでは諸君、|歓迎会《迎撃》の準備をしよう。鉛玉は自分の奢りだ、せいぜい手厚く歓迎してくれたまえ!」
手持ちの弾薬類もあとわずか、だがこのまま黙って殺されるわけにはいかない。
上官の号令に敬礼で返す者達、ここを生き残れる確率は限りなく低いと覚悟を決めた者達の悲壮に満ちた光景。
全滅どころか壊滅するのが見えている最悪の未来はもうすぐそこまで迫っていた。
●グリモアベース
「いやぁ、これはさすがに全滅は必至なんですよね~」
テーブルの上に築かれた塹壕と地形図を置きグリモア猟兵の村雨・ベルは静かに首を振って見せた。
練度も装備も兵の総数も敵側が倍以上であるといくら防御に徹した塹壕に篭ろうとそう長くはもたないのは当たり前だとそう言いたいようだ。
「ここはマヂノ線を呼ばれる巨大な塹壕がある戦線なのですが、正直ゾルダートグラード軍が本腰をあげてくるのはここからなですよ」
ベルはそう言い獣人達がこれまで耐えしのいできたのが消耗を強いる前哨戦にすぎなかったと告げた。
問題はこの後なのだとベルは敵の布陣を地形図で示していく。
「敵砲兵隊からの砲撃がやむと同時に突撃歩兵2個中隊が突入してきます。なのでここからがお仕事なのですが……塹壕に飛び込んできた敵兵を残らず撃退してください」
塹壕に飛び込まれる所までの阻止はさすがに不可能らしくそこからどう対処するかが猟兵達の仕事ということらしい。
「それでは塹壕の中へと転送しますので心の準備はいいですか?」
ベルはそう言い銃弾飛び交う戦場に猟兵達を送り届ける準備を始めた。命知らずの兵達が襲い来る恐るべき戦場への特攻便の。
轟天
これは『獣人戦線」世界にあるマヂノ線と呼ばれる巨大な塹壕での戦いの1コマです。
獣人達だけではもはやゾルダートグラード軍の侵攻を押しとどめるのは限界が近づいています。
そこで出番なのが猟兵による武力介入となります。
第1章では獣人サイドの「塹壕内」に突入してきた敵兵との交戦となります。
銃剣、ナイフ、拳銃、手榴弾など駆使してきますので上手く撃退してしまいましょう。
第2章以降は章が進むごとに断章にて説明が補足される予定です。
それではご参加お待ちしています。
第1章 集団戦
『突撃歩兵』
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POW : グラナーテ!
【対人柄付手榴弾、対戦車集束手榴弾、火炎瓶】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : アタッケ!
【銃剣による刺突】【自身の爪や塹壕スコップによる斬撃】【取っ組み合いからの殴り合い】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ : アングリフ!
【着剣した騎兵銃を撃ちながら銃剣突撃による】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【砲兵隊による迎撃を阻害する突撃支援砲撃】の協力があれば威力が倍増する。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どうやら急いだ方が良さそうですねぇ。
『FAS』を使用し足場の影響を受けない様僅かに浮遊、『FLS』の空間歪曲障壁で攻撃に備えまして。
『FPS』で敵味方の位置を探知、『FIS』による転移で短時間で援護に入り、味方の獣人達を『FMS』のバリアと『FES』の対火結界でガードしますぅ。
更に【乳焔海】を発動、広域への[範囲攻撃]を行えば、敵兵の放つ『榴弾』は全て空中で対象として焼けますし、所持している『榴弾』の誘爆も可能でしょう。
識別能力故に味方を傷つける可能性は有りませんので、更に『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃による[追撃]を行い、確実に仕留めて参りますねぇ。
●
難攻不落を謳われたマジノ線といえど倍以上の戦力による火力の前には風前の灯火としか言えない有様だった。
長距離砲が降り注ぎ続け塹壕から出れば即戦死するであろう地獄の光景がどこまでも続くかのような耐えるしかない時間。
その恐るべき砲火がようやく収まったのはすでに午後になってからのこと……そしてそれが意味するのは敵突撃歩兵による突入が来るに違いないのだ。
「グラナーデ! グラナーデ!」
「クソッ、とうとう来やがったか」
ポンポンポンと今までの砲撃に比べれば軽い射撃音が聞こえ始めた、弧を描き塹壕へと撃ち込まれていく榴弾が今まさに獣人兵に襲い掛かろうというその時、謎のバリアが張りめぐされ空中で次々と破裂する榴弾達。
「どうにか間に合いましたねぇ~」
戦場に間延びした口調で現れた巨乳美女、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は浮遊兵器を次々と起動し爆風をも防いで見せた。
この戦場とはまるで相容れない服装と雰囲気を見せつけながら塹壕の中を浮遊し高速移動していくるこるは次なる敵へと狙いを定めていた。
「こいつ……早いぞ!」
「させませんよぉ」
火炎瓶や榴弾を持つ敵兵達へとるこるから放たれた女神の波動、それが行き渡ると同時に突入しようとしていた彼らの武器類がいきなり暴発を始め至る場所で火だるまになりながら転がっていく。
塹壕突入前に膝をついた敵兵は残弾が少なく耐えしのいでいた獣人達にはいい的であり半身を乗り出し始まった反撃の音色。
「奴ら不良品でもつかまされたのか? 総員撃てぇ!」
ここがチャンスとばかり始まった獣人達の反撃は半死だった敵兵を確実に仕留めていきるこるとしてはいちいちトドメを刺さなくていいのだからとてもやりやすい。
だがまだ敵は数多くいるのだからここで手を抜くなど問題外だ。
「全砲門……撃てぇ!」
るこるの号令、唸る浮遊兵器達のいくつもの砲門、爆炎と共に放たれた砲弾が突撃兵達を吹き飛ばしていきより一層激しくなる攻防戦。
敵の出鼻をくじくことに成功したるこるの戦いはここからが本番、倒しきれていない敵兵達を駆逐し尽くすまで終わることは許されないのだから。
大成功
🔵🔵🔵
リムティア・クィリス
即興共闘歓迎
「虎の咆哮が聴こえるわね。決して退かぬと、覚悟の気炎を吐き出してるわ。」
それで、ヤケクソになってないんだから、覚悟の決まった軍人って畏れいるわね。
後で使うか迷ったけど、塹壕内の近接戦闘だから出し惜しみなし!
ゲートを潜って到着直後にUC発動。
装甲車を喚んだら、すぐに後部ハッチを開き、女傭兵500名を戦場に投入!
半数は最前線に向かわせ矢面に立つことで、味方の損耗軽減。
半数は援護と負傷兵の後方搬送。治療技能が無いのは申し訳ないけど餅は餅屋ってことで、医療兵さんにお任せ。
自分も、ビームライフルを構えて援護射撃。
「余韻に浸る暇なし!状況確認と再編成されないうちに、こっちの再編成、すぐによ!」
篁・綾
アドリブ連携歓迎、と。
ふぅん。穴蔵の中で戦うのね。ずいぶんと場所の悪いこと。
此岸と彼岸の境目に、わざわざ近付くこともないでしょうに。
指定UCを発動。さっくりと突撃しましょう。
ヒトガタの場合は【鎧無視攻撃、2回攻撃、斬撃波】で、桜の場合は【催眠術、だまし討ち、精神攻撃、生命力吸収、目潰し】を駆使して前線を攻撃するわ。
回避は【見切り、残像、敵を盾にする】等で。
離合集散を繰り返しつつ乱戦に持ち込み、更にUCによる幻も使って同士討ちをさせていきましょう。ついでに【範囲攻撃】で毒、呪詛、マヒも撒き散らし地獄を作るわ。
コレだけ数がいるのだもの。存分に自分達の手で減らして貰いましょうか。
●
「こいつぁ……そろそろ来やがるな」
先ほどまであれほど激しかった長距離砲の砲撃が綺麗さっぱり止んでしまった。
塹壕周辺の地形をそのありえない火力でボコボコに変えてしまい飛び散った土煙と硝煙で視界をどこまでも失わせたあの恐ろしい戦場のBGMがピタリとだ。
けれどそれは次なる段階へと戦いが移行したことにすぎず、次なる恐怖は獣人達のすぐ目の前に近づいていた。
そう……敵前衛部隊が大いに前進してくる前触れだということはわかっていたはずだ。けれど長時間砲撃にさらされ一瞬気を抜きかけてしまった塹壕へと錆銀に鈍く輝く銃剣が突き立てられ響く悲鳴。
始まったのだ、銃剣突撃による本格的な突入が、だがしかし受け手側となる獣人達の士気はまだまだ高い。
あちらこちらで獣のごとき咆哮と共に銃剣を突き合わせての激しい泥試合が幕をあげていたのだから。
「虎の咆哮が聞こえるわね、決して退かぬと、覚悟の気炎を吐き出してるわ」
「ならその覚悟を無駄にさせないために私達も働かないとね」
転送の輝きと共に可憐な女性が二人戦場へと姿を現しそれぞれ状況を察すると目で合図をしながら駆けだしていった。
篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)が颯爽と塹壕の奥へと消えていったのに対し、ムティア・クィリス(愛され看板おねーさん・f26831)はライフルを構え敵突入の最先鋒へとその銃口を向ける。
鉛玉飛び交う中に一際目立つビームの輝きが伸びていき銃剣を構えた敵兵を貫いた。
「不滅の魂、不屈の矜持、不満の意志。今一時、過去を止める力を此処にっ!」
出し惜しみは無しだと言わんばかりに|力の発動《頼れる援軍》を行うと同時に響く重苦しい何かを踏み潰す音。
殺到する敵兵の盾になるかのようにいきなり現れた装甲車がその自重で敵兵を踏み潰し停車した。
「総員速やかに降車! 次が来るわよ」
リムティアの号令と共に何百人もの女傭兵が後部ハッチの中から飛び出し塹壕中へと飛び出していく。
この戦場であまりにも足りていない数の不利を埋めるべく頼りになる援軍たちが。
「あちらは派手にやっているようね?」
塹壕を舞い散る桜吹雪が突入してきた敵兵に纏わりつきその視界を奪うと何故か彼らは互いに銃剣を突きつけあい血飛沫が舞った。
その目はすでに正気を失い目の前にいる者全てが獣人にでも見えているのだろうか?容赦なく貫いた切っ先が戦友の息の根を止めていく。
(数が数だし同士討ちでもしてもらうわ。此岸と彼岸の境目にわざわざ近づいたのだから覚悟はできているわよね?)
桜吹雪が人の形をとると同時に綾の姿が形成され殺意の込められた刃が敵兵を切り裂く。
「アングリフ!」
「バカな何処からこれだけの数が!?」
「クソックソッ、どれだけの数が潜んでいやがった!」
想定外の抵抗に敵突撃歩兵達は混乱に陥り始めていた。獣人達の倍以上の兵力がこの地区に投入されたはずだ。
そして砲撃により確実に防御用陣地の設備も削られたはずだというのにありえないほどの反撃を被り勢いが殺されてしまった。
実際のところ、リムティアが投入した女傭兵の半数が前衛に加わり残りの半数が負傷した獣人達の回収と治療に当たっているのだから戦線は崩壊どころかよりいっそう強化されているなど計算外。
さらには綾が桜吹雪で見せる幻覚により同士討ちが発生させられ数以上の損害が増えていっているなど現場にいても理解しづらい大混戦なのだ。
「通信兵、急ぎ砲撃支援の要請を……うぐっ!?」
小隊指揮官らしき男の身体をビームが貫き崩れ落ちたと同時に通信兵にも何発もの銃弾が撃ち込まれ血の海に沈んでしまう。
混戦状態でどこに砲撃すればいいのか判断がつかない敵砲撃部隊からの次弾発射までこれで少しばかり時間は稼げたはず。
そしてその砲撃を邪魔するべく空の装甲車だけが単独で敵陣地へと突入していったのだから混乱は避けられない。
狙うべき距離感を喪失した長距離砲は見当はずれの位置へと無駄玉を撃ち込むに違いないのだ。
「各小隊、生き残った者でもう一度再編成を行う! 弾薬の分配も今のうちに行っておけ」
女兵士に包帯を巻かれながら獣人の小隊長が声を張り上げた。先ほどまでの絶望と違い今はこんなにも物資と何より増援が送り込まれてきたという事実が心強い。
見知らぬ種族の兵達ではあるがこんなにも統制のとれた兵があるものかと感心するほどだ。
「余韻に浸る暇なし! 状況確認と再編成されないうちにこちらの再編成、すぐによ!」
「アイアイ、マム!」
リムテイアもまた指示を出し予備のエネルギーパックへと入れ替え部下達の様子を見渡した。
奇襲のおかげか損耗はまだまだ想定内のようだ、問題はここからなのだがそこには縦横無尽に塹壕を駆け向ける綾の姿がある。
戦場という場所柄か普段以上に容赦ない攻撃法を選択しそして迷いなく実行する胆力、手数が制限されていた“試合”などとはまるで違う“戦場”でこそその実力は発揮されるということか。
「な。なんだこの香りは……身体が痺れ……て……ごはっ!?」
まるで花粉のように充満した一角にいた兵士たちが苦しみだし前進が停止していく。それは綾が作り出した毒粉の空間。
獣人達がその地区にはもういないことを確認したうえでの容赦ない攻めの一手、それを知らずに手薄とばかり攻め込んだ敵兵だけが罠にかかった形であり次々とその場に崩れ落ちていった。
反撃の狼煙はあがった、戦いの流れは一気に獣人軍へと傾いていく……その中心にいるリムティアと綾の獅子奮迅の戦いぶりは、後に兵士達の語り草となり赤茶と漆黒の髪を入れたお守りが流行したのも無理はない。
勝利の女神の加護が彼らと共にいつもあるとそう信じられ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウールリカ・メリノス
ひえ〜、話には聞いてたけどすごい状況だ〜
こんなんじゃあ、おちおち寝てもいられないねぇ…すやぁ
いえ〜、自分は寝てないであります、サー
わたしの本分は衛生兵だけど、今は戦兵猟兵として前に出ようか〜
まずは飛んでくる手榴弾や火炎瓶、もしくはそれを投げようとしている敵を標的にストライク・イェーガーを発動して、こっちに届く前にぜんぶライフルで撃ち落としちゃお〜
その次は突撃してくる兵隊達だ〜
みんな、よく狙って〜…いまだ撃て〜!
●
「すぴーすぴーむにゃむにゃ」
塹壕に積まれた木箱の上でそれはそれはもう安らかに居眠りしてるヒツジ娘が約一名、つい先ほどまで砲弾の雨が降り注いでいた塹壕でここまで熟睡できるのはある意味達人の領域。
現地に到着するなり砲撃がやむまでどうせ動けないとウールリカ・メリノス(ヒツジの衛生兵・f39990)がちょーっと待機したらこの有様だ。
「こ、この状況でよく寝れる……よなあの子」
「お、おーい。アブナイからそんな場所で寝てたら……っ」
などと獣人兵士たちが声をかけるも大きな花提灯まで作ってるぐらいの熟睡ぶりでパラパラと飛んできた砂塵がかかってようやくモゾモゾ動き出す。
「ふぇっ??? こんな所でおちおち寝ていられないねぇ……すやぁ」
(い、いや……思いっきり寝てただろ今!?)
兵士たちの心のツッコミを|悠々と聞き流し《寝ぼけて聞いてない》ながら起き上がると、うーんと伸びをして抱いていたライフルを杖にしてもう一欠伸。
「……ね、寝てたよね君?」
「いえ~、自分は寝てないであります、サー」
ここが戦場だとはとても思えないほどにマイペースな敬礼をしたウールリカはふと視線を上げ次々と塹壕の外から近づいてくる何かを見つけた。
ポーンと空中に弧を描き塹壕の中へと投げ込まれた手榴弾、このままでは塹壕の中へと落ちてしまい大惨事を引き起こす小さな凶器。
「わたしぃ……衛生兵だけど、今はやるしかなさそうだねぇ」
のほほんとした口調と裏腹に手早くボルトハンドルを引き|チャンバー《薬室》へと次弾を装填し迷うことなく引かれた|トリガー《引き金》。
ライフルが火を吹くのとほぼ同時に投げ込まれた手榴弾が元来た方向に弾かれ視界から消えていく。
「グラナーデ グラナーデ! って何故こっちに戻って……ギャア!?」
ズドンと大きな破裂音と何かが吹き飛ぶ断末魔の声、それも一つ二つではなく次々と右に左にと弾かれ炸裂していく敵前衛達。
「す、すげぇ。 この嬢ちゃんタダ者じゃないな。 総員銃を手に取れ我々には勝利の女神がついているぞ」
「獣人に栄光あれっ!」
守りに徹していた獣人達が塹壕から身を乗り出しありったけの弾薬をここで使い切るつもりで反撃を始めた。
この突撃を止めない事には後が無いと彼らも皆わかっているのだきっと。
「わたしぃも~お手伝いするねぇ」
ウールリカもピョンと箱に飛び乗り塹壕から身を乗り出すとライフルが勝手に狙いを定めピタリと狙いを定めていく。
「みんな、よく狙って~いまだー撃て~!」
撃ちだされた弾丸は次々と敵兵が今まさに投げようとしている火炎瓶に命中し広がる火の海、そして勢い失いただ銃の的になりはてた敵突撃兵。
戦況はこうして引っくりかえされていく、衛生兵の仕事を極限まで減らす最善手……やられる前に全員倒してしまえばいいのだという|圧倒的火力《ストライク・イェーガー》を以てして。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルジニア・ルクスリア
正真正銘の最前線。敵は待ってくれない、すぐさま戦闘に突入するわ。
「猟兵よ!|歓迎会《迎撃》に|参加《参戦》するわ!」
戦場には不向きな服装の小娘が現れれば、友軍も戸惑うでしょうから、声を上げて前線に突入。
敵オブリビオンの攻撃を【心眼】で【見切り】、装備する『蠢く闇』の【オーラ防御・ジャストガード】で何とかやり過ごすけど、敵の数が多すぎる。
いつまでも耐えれそうにはないから、反撃あるのみ。
『毒の芳香』発動
塹壕戦なら毒ガスへの対策ぐらいはしているでしょうけど、敵味方入り乱れる塹壕内で敵にのみ効果を発揮するユーベルコードの『毒の芳香』を予想出来て?
●
「アタッケ!」
「「「アタッケ!!」」」
ゾルダートグラードの指揮官はどうやら一向に進まない塹壕への突入に痺れを切らし総員突撃の命令を下していた。
ライフルに銃剣を取り付ける者、手持ち武器を紛失しスコップを手に突撃を敢行する者など様々だ。
「クソッ、奴らいよいよ本格攻勢を始めやがった」
「総員着剣! 迎え撃てっ!」
腹の底から声を張り上げての突撃をもはや獣人達が押しとどめれるはずはないとの勝利を確信した全面攻勢。
だがしかしそんな彼らの前にヒラリと場違いにも程がある軽装で現れた少女が一人。
「こんな場所に……ガキだとっ?」
「と驚きつつも銃剣で刺すのはやめないのね……」
兵士の銃剣をギリギリで避けながらジト目で見返すも今度は取り囲むように左右からもスコップが突き立てられ絶体絶命。
だがしかし両手を突き出し蠢く闇がそれらをバチッと軽い音と共に弾くとやれやれとばかり少女は溜息をついた。
「猟兵よ!|歓迎会《迎撃》に|参加《参戦》するわ!」
ヴィルジニア・ルクスリア(甘やかな毒・f36395)の声と共に塹壕側から大きな喝采が起こった。
ここに至るまでに数々の猟兵達がその手腕でこの窮地を引っくりかえすのをその目で見てきた兵士たちにヴィルジニアの宣言は何よりも強い心の支えとなったのだから。
とはいえ敵の数は多くそれらをいちいち撃退するなど手間も時間もかかるうえに損害が広がる可能性が高い。
ならばここで手段を選んでいる場合ではないと取り出したのはこの戦場にさらに似つかわしくないデコレーションケーキ。
その魅惑的な外観とは裏腹に見えない恐怖がこの戦場へと充満していく……甘く甘く命さえ溶けてしまいそうなそんな甘い香りが塹壕中に。
「くそっ、ここまでか……っ」
「グア、アアアアアア!?」
死を覚悟した獣人軍の目の前で“ゾルダートグラードの兵だけ”が喉を押さえ苦しみながらのたうち回り始めたではないか。
それは甘い甘い毒を吸ってしまった者の末路、ヴィルジニアの毒の芳香を受けてしまった者達の最期の苦しみ。
普通の戦場であれば毒ガス対策もしているだろうがこの敵味方入り乱れた塹壕でまさか使うなど予想外だったに違いない。
「まぁ、これでどうにかなる……わよね?」
懐から取り出したキャンデイをパクリと口に入れると勝利を確信し少女は軽い足取りで塹壕内を見て回ることにした。
第一陣は撃退することができた……だが戦いはこれからだ。さらなる泥試合がこの戦場に吹き荒れるのはすぐのこと。
猟兵達はその到来までにできる事を求め塹壕内を駆けまわることとなる……。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『地獄の塹壕戦』
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POW : 積極的に攻撃を仕掛ける
SPD : 敵の潜んでいそうな箇所を探す
WIZ : 敵の作戦を読み、その裏をかく
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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巨大な塹壕をいくつも繋げたマヂノ線を呼ばれる防御陣地。大戦中の地球で似たような名前の巨大な防御陣地は結局役にたたず終わってしまった時代の徒花。
新技術の発達といくつもの欠点がその存在意義を失わせてしまったことは少しばかり学べば理解できるはず。
先ほどのような敵兵への一斉突撃はしばらく行えないはず、けれどわざわざ疲弊した獣人達を休ませる義理は敵にはなく執拗に繰り返される小規模な嫌がらせの数々。
それらに対応できるのはこの戦場において猟兵達を除いて誰もできないはずだ。
だからこそ敵陣地で砲撃を続ける長距離砲や隠れている塹壕、さらには次なる作戦のために再編成しているであろう敵へと仕掛けるタイミングは今をおいて他にない。
猟兵の自由な発想が戦争の常識を破壊する……それを期待してもきっとおかしくはない。
敵拠点に次なる補充が3日後に届くことが戦死した敵指揮官の私物から発覚したのがつい先ほどのこと。
それまでにどれだけ敵に打撃を与えれるかがきっと戦況を良くするために必要なことだと全員が理解し行動を開始した。
塹壕という地形を利用した次なる作戦を!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、反撃の時間ですぅ。
塹壕と施設なら、『空爆』で叩きましょう。
【晶翼袿】を発動、『祭礼の女神紋』により『祭器』各種共々、極めて隠密性の高い状態で敵陣の上に飛行しますねぇ。
施設の配置は『FPS』の探査で確認、『概念崩壊域』の展開で自壊を促し、また強度を落とすと共に、『FRS』『FSS』の弾頭を『FCS』により『ミサイル弾』に換装、『FDS』も併せて[爆撃]を行い、長距離砲や弾薬庫を中心に狙いますぅ。
隠密性の高さと高速飛行で捕捉は難しく、仮に捉えても『FIS』の転移で大きく移動してしまえばまず攻撃は受けません。
『FTS』内の『爆弾』等も追加で投射、可能な限り潰しますねぇ。
●
「さて、そろそろ反撃の時間ですぅ」
祭器の衣を纏った夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう宣言すると静かに飛翔を始め巨大な塹壕同士で戦いを続ける戦線へと飛び立っていった。
近代戦が成熟し近未来戦へと移行しているこの時代、少し調べれば塹壕というものがどうして時代に取り残され陳腐化していったのかもすぐにわかろうというもの。
ようは|塹壕で対処しきれない《真上からは無防備》という点を徹底的に叩いてやればいいのだ。
黒煙が舞う上空へと舞い上がりるこるは眼下の景色に思わず唖然とする……地平線まで続くかのような塹壕がどこまでも続いているのだから。
これだけの建設に要した資材と労働力があれば他の戦力を整えれたろうにも思わないでもない。
だがこの獣人戦線においてはこれはまだまだ現役の戦法であるし全てを一人で片付けるにはあまりにも国家というものは大きい。
(まずはこの戦線だけでもどうにかしませんとぉ)
執拗に攻撃を続ける塹壕は目視ですらわかるレベル、そしてさらなる探索で後方に控える長距離砲陣を発見し目標は決まった。
ステルス状態で未だ気付かれていない敵陣上空でありったけの武装をミサイル弾に換装し準備は万端。
「さぁ……それでは弾薬のデリバリーですよぅ」
浮遊兵器の砲門が地表を向きロックを解除した、先ほどから見えない『概念崩壊域』の範囲を拡大しすでに敵陣地の強度は限りなく低下しているのも計算済。
とにかくだ、先ほどまでの塹壕戦で一番厄介だったのがこの長距離砲により継続的な砲撃だったことを考えれば何よりも最初に叩くべき目標はこれしかない。
「全門……撃てぇ!」
膠着状態の戦場に舞い降りる砲弾の雨、ゾルダートグラード軍の後方陣地に姿なく襲い来る謎の攻撃。
その出どころも対処も行うにはあまりにも一方的な爆撃が長距離砲を飲みこんでいく。
「アラーーーーーート!」
ジリリリリ……と鳴り響く警報の音と慌てふためく兵達の目の前で弾薬に引火し巻き上がる爆炎。
反撃の狼煙が舞い上がり獣人軍の兵士達が銃を掲げ大きく叫んでいた。
まだ戦いは終わっていない……ここからが反撃の時だと。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルジニア・ルクスリア
次の総力戦の前に一仕事と行こうかしら。
アポなし訪問とか困るのよね。
事前に自軍塹壕で侵入されそうなエリアがあるか友軍に確認。
当該エリアにて、装備する『デビルアイズ』と『星霊ミニチュア・ケツァルコアトル』に周囲を【偵察・情報収集】してもらいましょう。
敵兵が潜んでいそうな場所を探知出来たら、焦らずにスムーズな行動を心掛けて移動。
潜んでいると思われる場所に近づいたら『魅了の芳香』発動
「出てきて頂戴。お話しましょう」
敵兵が出てきたら、他の敵兵の潜伏場所や集合場所、合言葉なども聞き出して【情報収集】。
時間切れの前に【不意打ち・暗殺】。
聞き出した情報をもとに、別エリアに潜んでいる敵兵にも同じ様に行動。
●
鮮烈な反撃で敵軍に大打撃を与えた夜の事、ようやく獣人軍の兵士達も一時の休息を交代でとりながら戦況の行く末に希望が持ててきたようだ。
第一陣は押し返したものの次に待つのはおそらくは敵主力の全面攻勢、そこにどのような戦力が投入されるのかはまだわからないが恐らくは今までの比ではないはずだ。
だがそんな次なる戦いへの合間にも人知れず迫る者達もいる……そう、敵の潜入部隊が暗闇に紛れ前進してきていたのだ。
「奴ら……油断しきっているな。よし、今のうちに各小隊前進だ」
「了解。ん……隊長、あれはいったい何……?」
匍匐前進しているゾルダートグラード兵の目の前に|浮遊する無数の眼球《デビルアイズ》と謎の|羽毛もつ蛇《ケツアルコアトル》が現れ彼らの動きを完璧にトレースしてしまっていたのだ。
それはつまりこの奇襲もばれてしまっている事を意味してしまっていて……。
「しまった!? 総員散開……ぃだ……っ」
急ぎ指示を出した敵兵の動きが緩慢になりトロンとどこか焦点が合わない目をしながら両手を上げ次々に降伏し始めた。
そんな不可思議な行動する兵達の前に無数のデビルアイが左右に分かれ出来た道を歩き怪しげな少女がフフッと不敵に笑みを湛え出迎えた。
「アポ無し訪問とか困るけど、まあいいわ……出てきて頂戴」
「……は、い」
クスクスと朗らかに笑うヴィルジニア・ルクスリア(甘やかな毒ダークメルヘン・f36395)の言葉に何故か従ってしまう敵兵達。
その表情はどれも緊迫感のない発情を交えただらしないもので、言われるがままに近づくと跪き新たなる言葉を待っているかのようだ。
「時間もないことだし、あなた達の知りえる作戦内容をここで話しなさい。 早く!」
「我が隊の作戦は……」
ヴィルジニアの魅了によって語られた敵の大攻勢はもはや時間の問題だということ、こちらの塹壕を無力化すべく機動兵器を投入するということまでペラペラと話す敵兵達。
潜伏場所などもそれなりに聞き出しながら無言で手にしたチェーンソー剣のエンジンを始動し大きく振りかぶった。
「さて、それだけ聞ければ十分だわ。それじゃ……これでサヨナラ、ね」
ウイイイイイイイイイインと大きく響く駆動音と共に横一文字に振られた|『贄咬』《チェーンソー剣》の必殺の横一文字。
無力化されていた敵兵達の首が宙を舞い次々に膝をつき地面へと崩れ落ちていく。
「ふぅっ、どうやら掃除をもう少しやらないといけないようね」
ブンと一振りし血糊を地面へと払い捨てると聞き出したばかりの次なる目標地点へとさっそく歩を進める事にしたようだ。
鮮血の夜はまだ始まったばかり、塹壕に忍び寄る者達に恐るべき悪霊の鉄槌が伸びようとしていた……。
大成功
🔵🔵🔵
篁・綾
アドリブ連携歓迎と。
…さて、では引っ掻き回しに行きましょうか。
指定UCを使用。忍者軍団を召喚。散開し、【闇に紛れ】、【情報収集】と状況の撹乱を開始するわ。
発見した塹壕は火薬で爆破、または毒槍等の罠を設置。砲兵陣地は発見し次第こちらで向かい、人員ごと【範囲攻撃、斬撃波、鎧無視攻撃、捕食】と火薬等等で殲滅。
あちらの陣地の周辺では散発的な襲撃、補給が来ないという誤情報の流布、周辺への毒の散布や罠の設置等を行うわ。
襲撃もその都度違う方向から襲撃させ、疑心暗鬼を煽りましょう。
孤立した歩哨等がいる場合は特に優先的に始末を。私が動ける場合は【催眠術】にかけ、陣地内で暴れさせるわ。
数は十全に生かさないとね。
●
鮮烈な逆転劇で攻め入る突撃兵を撃退した猟兵達、そのため一時中断してしまっていたゾルダートグラードの兵達だったがそれで諦めるほど彼らも甘くはないということだ。
獣人達の疲れがピークに達した夜中になり密かに塹壕から塹壕を匍匐前進し忍び寄るのは特殊な夜戦訓練を受けた精鋭達。
一糸乱れぬ連携で仕掛けられた格子鉄線を切り開き進むこと数百メートル、もうすぐ無防備を晒すマヂノ線を破壊できるというタイミングで爆発音が鳴り響いた。
だがそれはありえない方向、つまりはゾルダートグラード軍側の陣地から聞こえてきた断末魔の悲鳴に他ならない。
「ずらり、ずらり 立つ闇よりの死者よ……」
爆音に気を取られていた兵士たちの前方の暗闇から微かに聞こえてくる美女の囁き声、それは染みわたるように戦場へと広がりそれに応じさらなる災厄達が暗躍を始めていた。
篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)が現世に呼び出した|幻桜忍群《幽世の鬼忍達》がその牙を人知れず突き入れていく。
「馬鹿な!? B集団が戦闘不能だと!」
「それどころか後方の砲兵陣地でも爆発が相次いでいる模様であります」
聞けばB集団は謎の食中毒により行動不能、さらに到着するはずの補充が届かないという噂まで出回り限りなく兵士たちの士気は落ちていくのも当然のこと。
このまま突入するのは危険だと味方の塹壕へと次々に飛び込んだ直後、突然内部から爆発が起こり兵士達が吹き飛んだ。
「……残念ね? そこはすでに私がデリバリー届けておいたわよ」
綾は遠目にその様子を見届け次なる指示を出すと闇夜に消えていく。目標はこの塹壕を
常に狙い続けている敵砲兵達とその装備一式だ。
だがさすがに数が多い以上は絡め手を使うのが一番、であるからして先ほどの爆発で生き残った男を数名連れてこさせ頬を抱くと顔を近づけ口づけをするかのような距離でじっと相手を見つめた。
「さぁ、踊れ踊れ……哀れな人形よ、我が意をくみ華麗に踊れ」
「あぁ……あぁぁぁあぁっ????」
綾の言葉に飲まれたかのように意思の光が消えた敵兵達がゆらゆらと幽鬼のように自陣へと戻っていくのを見送りクスリと笑う綾。
しばらくして長距離砲周辺で巻き起こる大爆発、催眠により綾の手先を成り果てた彼らが何を行ったかなど説明すらいらないことだ。
一人では無理でも人数がいれば対処できる。相手の心を突きゲリラ活動に専念した綾を止めれる者などこの戦場には存在しない。
気付けば後ろから刺されるような戦いを彼らはまだ経験していない、次のチャンスなど残されていない……なぜならばここで彼らは全て戦死することは確定しているのだから。
大成功
🔵🔵🔵
リムティア・クィリス
即興共闘歓迎
「補給三日って早過ぎね。タイミングが重なったの?それとも困っちゃうくらい果断迅速な判断のできる敵がいるのかしら?」
戦術の思索。
他の猟兵は前線型の人が多そうだったし……勝手に支援砲撃潰しやっちゃいましょう!
そんなわけで、キャバリアに搭乗し、狙うは長距離砲陣地。
塹壕から離れた場所で、地形を利用して機体を出来るだけ隠しつつ、UCを使い、火力と射程距離を伸ばしてから狙撃。
炸裂系の広範囲攻撃じゃないけど、質の悪い継続ダメージ型の侵食彈。砲台に当たらずとも陣地としては被害甚大ね。
第一射は、じっくり砲台狙い打ち。
その後、一射毎に移動して的を絞らせず、反撃は見切ってカウンター迎撃。
回避重視で狙撃。
●
獣人達が疲れ切り一時の休息を得ようとする夜中の時間帯、執拗に暗躍するゾルダートグラード軍の支援砲陣地ではこの静かなる夜を引き裂くが如く砲兵達に召集がかけられていた。
昼間の戦闘で敵塹壕の距離は把握済、そして先行し弾着確認を行う部隊も今頃は配置についている手筈であり負ける要素など万が一にもないはずだった。
だというのにだ……突然闇夜を駆け抜けた閃光が長距離砲に突き刺さり、そして大爆発を起こし炎があがる。
「な、なんだ今のは!」
「報告! こ、これは敵砲台によるものではありません! そ、狙撃です……信じられないのですがこれは狙撃っ」
この闇夜でそんなバカなという兵士達の目の前で二発目の閃光が並べられた別の長距離砲へと吸い込まれそして見事に周囲の地形ごと吹き飛び爆炎が陣地を照らした。
「……弾道補正、演算処理開始」
コクピット内でコンソールを睨みつけつつリムティア・クィリス(愛され看板おねーさん・f26831)は各パラメータに諸元を入力しさらなる微調整を施していた。
|リロード《次弾装填》のためレバーを引かせ排莢すると狙撃姿勢のままリムティアそっくりの巨大キャバリアの装甲板がパージされまるで全裸女性が横たわっているかのような外観になっていく。
各アポジモーターよりの発熱と演算システムの発する高熱をここで排気しなければこれ以上の継続は危険だからだ。
幸いにして敵側にサーモグラフがあるとは思えないので今回は細かい事は気にせず狙撃に専念できるというものだ。
「さ、アメノウズメの裸踊り……覗いても覗かなくても、撃ち抜いてあげるわよ」
夜中ということもあり発砲時以外はその全裸の如き外観が人目に触れる事はない、それを比喩しながらも弾道補正が支持され次なる目標へと|ミスティルティン《狙撃銃》の銃口を向けた。
普通の長距離砲以外にもトーチカがどうやら敵にはあるようであり狙いはまさにそれだ。
「弾種“浸食弾”、チャンバー内の冷却確認……いくわよ」
カチリとトリガーが引かれると同時に伝わってくる強烈な反動、キャバリアサイズの大口径による弾丸が闇夜を駆け消えていく。
数秒後はるか地平に近いかに思える場所にあがる新たなる火柱は狙撃成功の証、それを確認するまでもなくリムティアは機体を起き上がらせ次なる狙撃ポイントへと急ぎ移動を開始させた。
(狙撃手の仕事は撃つことより走る事……同じ場所になどいれるわけないわよね)
はたしてその考えが間違いないことは数分後に現実となった。今の今まで狙撃していたポイント周辺へと高密度な反撃の弾着。
そんな事は予測済とばかり銃を構えさせ、砲身冷却の終わった狙撃銃を次なる目標へと向けるリムティアの表情には慢心も奢りもまるで浮かぶことはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ウールリカ・メリノス
も〜、あっちもどうせなら補充が来るまでゆっくりしてればいいのに〜
われわれの安眠を邪魔した罪は重いぞ〜
とは言えわたしはこの状況を一発で打開できるすごいユーベルコードはないから、地道に自分の足でクリアリングしていくしかないね〜
狭い塹壕の中で取り回しやすいサブマシンガンに持ち替えて、いざ出発〜
敵陣にじわじわと迫りつつ、トラップや隠れている敵がいないか注意深く探すよ〜
もし敵と遭遇したら、思いきり投げ飛ばしてやってから、サブマシンガンで蜂の巣だぁ〜
それから|SKY-EYE《偵察ドローン》を飛ばして、空からも偵察させていこうか〜
●
「むにゃむにゃ……ひつじがにまんさんぜんごじゅうごひき……zzz」
塹壕の中に積まれた食料袋をベッドにしてスヤスヤと居眠りしているモフモフ娘が約一名。
……この状況下でも寝息をたてれるなどかなりの心臓の持ち主といわねばならない。
というかウールリカ・メリノス(ヒツジの衛生兵・f39990)ちゃん、目を離した隙にあっという間に居眠りしちゃっていたらしい。
直接戦闘だけでなく衛生兵の仕事は終わった後でさえ色々と忙しくようやく得れた半休息の時間だったのだからこれも仕方がない。
そろそろ大きな花提灯でも作りそうなほどの安らぎはそう長くは続かなかった。
静寂を切り裂き安眠を遮るかのように爆音と衝撃が塹壕一帯を思いきりシェイクし降り注ぐ土砂や破片の数々。
「うみゃあっ!?」
食料袋から転げ落ち口に入った砂をペッペと吐きながらウールリカはようやく起き上がった。
その可愛らしい顔には普段はあまり見せないであろう静かな怒りをたっぷりと湛え。
「も~! あっちもどうせなら補充がくるまでゆっくりしてればいいのに~!」
不平を鳴らしつつも身に着けたままだった|マシンカービン《短機関銃》の|安全装置《セーフティ》を外し口を尖らせるとキョロキョロと周囲を見渡した。
直撃ではなかったとはいえどうやらこの夜中にも方々で戦闘は続行されているらしくまだまだやる事は多そうだ。
(とはいえどっちから動けばいいのかわからないよねぇ?)
ふとそう考え取り出した|SKY-EYE《偵察ドローン》のスイッチを入れると銃火飛び交う夜空へと舞い上がっていく。
それを見届けさっそく塹壕の中を駆けていくウールリカ、上空からの映像ですでに敵の侵入を許したエリアをいくつか把握できたのでさっそくお仕事の時間だ。
はっきりいって眠い、敵の顔を見ただけできっと手が出てしまうに違いない。
塹壕を駆け抜けて見慣れぬ装備の者を見るなり手が出てあっという間に宙を舞う大の男とそれを茫然と見上げてしまう間抜けな敵兵達。
「われわれの安眠を邪魔した罪は重いぞ~!」
あっけにとられた敵兵へと火を吹くマシンカービンの軽やかな連射音、薙ぎ払うように狭い塹壕の通路へと弾幕を張り即座にマガジンを交換しさらに全弾一気に叩き込む。
取り回しのいい短機関銃を持つウールリカに対しライフルのため左右には大きな動きが取り辛い敵兵の間合いへと飛び込み足を払うと同時に掴んだ身体を容赦なく奥へと投げ飛ばす手慣れた近接格闘術で相手に何もさせない一方的展開。
眠れる羊を起こした罪は大きい、彼らはその代償をここで払うことになる……命という大きな対価を。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『爆撃機型パンツァーキャバリア』
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POW : オートガトリング
レベルm半径内の対象全員を、装備した【両腕部から飛び出すガトリング砲】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : キャバリアダイブ
【プロペラ飛行】によりレベル×100km/hで飛翔し、【機体重量】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ : 爆撃機編隊
レベル体の【量産型パンツァーキャバリア】を召喚する。[量産型パンツァーキャバリア]はレベル×5km/hで飛翔し【地上掃射ガトリング砲】で攻撃する。
イラスト:イプシロン
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●アルデンヌ攻防戦
巨大なマヂノ線を呼ばれる塹壕群によって保たれていたはずの鉄壁の防御、だがしかしそれは|二次元《地上》だけで戦っていた時代の戦略概念であり|三次元《航空戦力》の投入と迂回するだけの機動力を持った戦力による電撃戦には脆いという欠点を持つことはまだこの世界では知られていなかったようだ。
広大な森が広がり機動戦力も投入し辛いと判断されらアルデンヌ地方にはこの塹壕が比較的手薄な程度しか建造されていなかった。
今まではそれでも問題なかったのだ、だがしかし次々と投入されるゾルダートグラード軍の新兵器はそれを易々と乗り越える物ばかり。
そう……爆撃機というだけでも手出しできないというのに、それが新型のパンツァーキャバリアとくればもはや戦いの結末は決まってしまったかのようだった。
ブルドーザーで整地した出来合いの飛行場で整備兵達が群がり爆装と燃料補充を行うゾルダートグラート兵達。
その重厚な機体はジェラルミンで出来たただの爆撃機などではない。これは重装甲も備えた恐るべき新兵器。
塹壕戦という代物を過去へと追いやってしまうであろう次世代の兵器。
「|傾聴《アテンション》!」
士官の号令にパイプ椅子に座ったパイロット達が立ち上がり上官へと敬礼をした。それぞれが熟練を思わせる風貌でありこれから始まるであろう一方的殺戮を前に高揚を隠せてはいない。
「各自そのままで聞け。敵はどうやら先遣隊とその支援部隊に痛撃を与えお祭り気分であるらしい。だがしかし我らゾルダートグラートは鋼の意思を以て奴らにわからせてやるとしよう。塹壕などという物がすでに時代遅れの遺物であるということを」
手にしたムチをビシッと鳴らし一同を見渡すと黒板に張られたマヂノ線の地図へと何本もの赤い矢印を書き込み不敵に笑う。
敵の反撃などもはや計算するまでもない一方的な前進の行動計画がそこには記されている。
複数の方向よりの奇襲によりただでさえ新兵器に対処しきれないであろう獣人軍を徹底的に叩くつもりということだ。
「アントン、ベルタ、ケーザル各小隊はアルデンヌの森を抜け地上から迂回し敵陣地へと奇襲せよ。ドーラ、エミール、グスタフ各小隊は高高度よりの急降下攻撃を敢行せよ。ハインリッヒ、イーダ、ヨーゼフ隊は司令部直衛だ我に続け」
指揮官が矢継ぎ早に命令を与えると同時に一斉に機体へと駆け出し次々にコクピットの中へと乗り込んでいった。
「よし……回せぇ!」
「一番ヨーソロ!」
「二番ヨーソロ!」
パンツァーキャバリアの各エンジンのカウフラップを開けスターティング・ハンドルを差し込み準備完了の合図を送る整備兵達。
軽くプロペラを回しキャブレターへと送り込まれていう燃料、そして整備兵達が一斉に|手動慣性起動器《エナーシャ》を勢いよく回していった。
それを確認し慎重にフライホイールを接続すると同時に勢いよく回転を始める二つのプロペラ。
回転良し燃料良し、それらを確認し発動機のスイッチをオンさせるとようやく鈍い爆発音が次第に早くなっていきアイドリング状態にまで安定を始める。
セルモーターなど無い時代であるならば、始動するまでにこれ一発で起動に成功している整備兵達の練度はかなりということを示している。
だがしかし一度起動してしまえば大出力のエンジンが叩き出す馬力は恐ろしいまでのケタ違い。
次々と起動し立ち上がるパンツァーキャバリア部隊の爆音で一気に騒がしくなる後方基地の滑走路は戦意溢れる者達で満たされていく。。
一機また一機と次々に夜明けの空へと消えていく鋼の悪魔達、彼らが目指す先は猟兵達が必死に守っているマヂノ線一帯でありその到着まで30分とかからないだろう。
夜を徹した戦いで疲弊している獣人達が塹壕の中からその姿を見ることになるのはもはや避けようがない。
新兵器による電撃作戦に塹壕で迎え撃つ猟兵達がいかなる戦いを見せるのか?
戦いの行方は再び暗雲蠢く不吉な方向へと流れていっているのかもしれない……。
ヴィルジニア・ルクスリア
塹壕を突破するのに爆撃機で対処する。
まあ、爆撃機があるなら鉄板よね。
でも、爆撃機だけで戦域にやってくるのは迂闊ではないかしら?
「地べたを這いずる虫けらを始末するだけの簡単なお仕事……なんて、思っていないでしょうね?」
「|戦場《ここ》にピクニック気分で来られても不愉快だわ。……さあ、殺し合いましょう」
ウィザードブルーム・改に跨り、空中へ。
飛翔体に射撃を当てるのは難しいのよね。
でも、空中に飛翔する私に突撃してくる敵になら別よね。
『眼光』発動
極大威力の破壊光線が狙うのは、プロペラ部分。
機体を大破させなくとも、プロペラ部分だけ【部位破壊】出来れば充分。
地べたに墜ちて、死ね。
●
戦場全体に響くゾルダートグラード軍の重厚なプロペラ音、暗雲立ち込める空に伸びる複数の飛行機雲。
爆撃機型パンツァーキャバリアの編隊が対空装備の存在しないマヂノ線へと伸びていき獣人軍に危機が迫っていた。
「編隊リーダーより各機へ。地べたを這いずる虫けらを始末するだけの簡単なお仕事だ! 勝利の宴は一番戦績の悪かったものの奢りとする……オーバー!」
キャバリアのコクピット内で冗談を交えつつ指示を出したパイロット達の気持ちもわからないでもない。
猟兵という異分子が混じれ混んでいなければそれは現実のものだったのだから。
「……なんて、思ってるんでしょうね?」
もうすぐ攻撃目標という時点で彼らと同じ高度に何か小さな物が浮かんでいる。それは人間サイズの小さなものであり時代錯誤な箒に乗った魔女の姿。
|ウィザード・ブルーム改《魔法の箒》に跨ったヴィルジニア・ルクスリア(甘やかな毒ダークメルヘン・f36395)は不敵な表情を湛えたま直進してくる敵機を睨みつけた。
「閃け」
たった一言そう呟いて。
戦場において古来より魔女の存在は恐れられるものではある……けれどそれは御伽噺の中だけではなかったのか?
「ま、魔女だと!? 縁起でもない……各機隊列を乱すな! 我々の科学力の前には時代錯誤なものだと思い知らせ……へぶしっ!?」
動揺を隠せないなりに指揮を取ろうとした隊長機のエンジンに集中する謎の怪光線、真っ赤にエンジンが焼けそして瞬時に爆散し火球となって墜落していくまでわずか数秒。
航空燃料と爆装した弾薬類に引火すれば燃え尽きるなど一瞬なのだ。
「わざわざ私に突進してきてくれるんだもの、狙いを定めなくていいのは好都合よね?」
手を翳したヴィルジニアの周辺に先ほどまで偵察で飛び回っていた|無数の眼球《デビルアイズ》から発せられた怪光線は次々とプロペラのみを狙い大盤振る舞い。
あっという間に無数の火の玉ができあがりマヂノ線まで近づける機体は一機として残らなかった。
「地べたに堕ちて、死ね」
ゴミを見下す視線を向けながら箒に乗った魔女は飛ぶ。次なる敵が来ようともここは絶対に通さない……そんな強い意思を秘めながら。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
当然、その手は考えますよねぇ。
【皎翼紈】を発動、『FAS』の障壁と『FMS』のバリア、『FLS』の空間歪曲障壁で守りを固め、速度を活かし塹壕上空到達前に迎撃しましょう。
『ガトリング』は飛行速度で狙いを絞らせず、更に空間歪曲で偏向、尚抜けて来る分は二重防壁で防げば問題有りません。
そして、戦場全体に放射する『覇』は『対象が弱敵かキャバリア搭乗者』に限定される代わりに搭乗者の意識を奪うもの、機体性能に関わらず、搭乗者が失神すれば終わりですぅ。
抵抗を試みたり自動操縦が可能でも、対応力は大きく減衰されますので、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]で仕留めますねぇ。
●
プロペラを回転させ液冷式12気筒V型エンジンDB605Aが各気筒に直噴ポンプで燃料を送り込む爆撃機型パンツァーキャバリアは急降下爆撃を行イマイナスGがかかろうとも息継ぎをしない最新鋭の物だ。
キャブレター式を採用しているライバル機の追撃を悠々と振り切ることができるのもこの性能差のおかげであり負ける要素などない。
それどころかマヂノ線に配備されている獣人軍にはまともに対抗しうる手段すら存在していないのだから問題外だ。
そしてその両腕に装備されたガトリング砲は自動的に敵を追尾し照準を定めるまさに時代を先取りしたような最新装備。
その威力の前には塹壕などという時代錯誤な防御陣地も一網打尽にしてしまえるだろう。
「12時の方向からアンノウン接近。数は1……速度はマッハ10強??? こ、これは敵の小型戦闘機か何かだと思われますが……」
「落ち着け、数はこちらが上だ。戦隊各機ガトリング砲用意……射程に入り次第、蹂躙せよ!」
「|アイサー《了解》!」
動揺を隠せない隊員を落ち着かせ編隊を組んでのガトリングの応酬を前にしてはどのような敵も一網打尽……そう考えてしまったのだが。
「メーデー、メーデーこちら3番機。奴にはガトリングが通じない……通じ……っ」
「どうした3番機? 応答しろ! おいっ!?」
混乱の中で次々と墜落していくパンツァーキャバリアはすでに2ケタになってしまった。
ガトリングは相手に何故か命中せず、彼らの機体には傷一つついていないのに次々とパイロットが意識を失い操縦不能になっていく怪現象。
それらが全て彼らが相手する小さな人影、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が原因であるとはさすがに気付けないらしい。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その威を司る衣紋を此処に!」
急旋回しながら攻撃を回避し周囲へと放つ恐るべき波動。それを受けてしまえば対抗策のないパイロットの意識など風前の灯火と同じ。
トドメとばかりに砲撃が何度か行われただけで周囲の空にはもはや恐るべきプロペラ音は一つとして残されてはいなかった。
どれだけカタログスペックが高くとも使う者次第で戦果は変わるもの、そう言いたいかのように地表で幾つも上がった黒煙を見下ろしるこるは帰還の途についていった。
大成功
🔵🔵🔵
篁・綾
アドリブ連携歓迎、と。
まぁ、そちらはそれなりに有効な手段よね。空への対抗手段がないのなら、尚更。飛兵は居ないし、空に対する砲もないのだから。
とりあえず【空中戦】と【斬撃波、残像】を駆使し様子見兼戦闘を。
出方と手の内を観察した上で、指定UCを【2回攻撃】を駆使して2回発動。6mクラスのサイズへ化身。
望む夢を見せる翼で操縦者の意識を攻撃しつつ、【空中戦】を駆使しながら、増加した攻撃部位から【鎧無視攻撃】を駆使した【斬撃波】を撒き散らしましょう。
近場に寄った【敵は盾にする】なり、【捕食】するなり、有効に使わせて貰うわ。
【催眠術、目潰し、精神攻撃】等による搦め手も交えながら、乱戦を作るとしましょう。
●
このマヂノ線がある領域の空には魔物が住むという……そう戦後に囁かれ始めた元凶は何だったのだろうか?
当時のマヂノ線には爆撃機に対抗できる対空兵器などは何も装備されていなかったと様々な資料から察することは誰にでもできた。
だがしかし不可解な噂は何処にでもたつものだ……爆撃機を次々と喰らう桜色の怪物が出たという御伽噺のような噂が。
「バカなっ!? 奴は何故あの巨体で飛べっ……ぐおおおお!」
爆撃機のパイロットが叫ぶ間もなくコクピットを貫く化け物の腕、それと同時に突き刺さった腕から放たれた衝撃波で内側から破裂し爆散していく|ジェラルミンの塊《撃墜された爆撃機》。
それを見ても桜水晶で出来た化け物は唸るだけで次なる獲物を求めて空中で大きく飛び立ったのだ。
篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)にとってこの凶桜尽鏖で暴れ回ろうと決して興奮を呼ぶものではない。
直進しかできない相手の進行方向に斬撃を飛ばすだけで簡単に切り裂き撃墜できてしまうのだから。
「空に対抗する手段がないと油断したわね? でも残念ね……ここには私がいるのだから……」
6mクラスのサイズである怪物がさらなる変化を起こし破壊した爆撃機を吸収しさらに巨大な姿へと変貌していくのは恐怖の対象でしかない。
巨大な翼によって羽ばたくと次に狙うのは右翼サイドにいる逃げ惑う爆撃機数機だ。
「クソッ、死ねっ死ねっ!」
「(甘いわ!)」
襲い来るガトリングの砲火、だがしかし拳を突き刺した敵機を盾にしてそれらを受けると真正面から突撃し爆撃機同士を激突させ大空にまた大火球が炸裂した。
「ふふ……あなた、恐怖したわね? この私に」
「アァ……神よ、神よっっっ」
半狂乱のパイロットに綾が操る怪物の視線が向けられガチガチと震えながらトリガーを引く。
その機体より放たれたガトリング砲が前方を飛ぶ味方機に命中しあがる火の玉、そして今度はその機体にさらに後ろからのガトリング砲が命中し一瞬で火だるまになり墜落していく爆撃機戦隊。
恐怖に陥った者を催眠で操るなどお手の物、綾にとって乱戦とは自分以外の力を利用して戦い抜ける温い狩場でしかないようだ。
「さぁ、それじゃあもう一搾り……貪ってあげようかしら❤」
ペロリと舌を舐め綾は次なる獲物を求め魔物を敵へと飛翔させた。
大成功
🔵🔵🔵
ウールリカ・メリノス
な、なんだなんだ〜?
せっかくの塹壕を無視して上から来るとかずるいでしょ〜!
まいったな〜、飛行機を撃ち落とせる装備なんて持ってきてないぞ〜
しかもなんかこっちに突っ込んで来そう…
これが噂に聞くカミカーゼってやつ?無茶苦茶すぎる〜!
あ、でもこっちに向かってくるって事は、今はある意味めちゃくちゃ当てやすい状態…?
こんなライフルの弾でも当てられれば、ユーベルコードの効果で明後日の方向に墜落させるくらいはできるかも〜?
迷ってる時間もないし…なんとかなれ〜!
もし効いたとして、敵がどこに行くかはわたしにも分からないから、みんな気をつけてね〜!
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「むにゃむにゃ……ほへっ!?」
ズズンと塹壕全体が揺れ摘まれていた袋の上から転がり落ちたウールリカ・メリノス(ヒツジの衛生兵・f39990)。
口元にちょっぴり涎がまたついてるけれど気にしてはいけない……ちょっと|休憩《居眠り》してただけななんだから。
「な、なんだなんだ~?」
慌てて空を見上げたウールリカの目に飛びこんできたのは無数の爆撃機の編隊だ。性能は劣るものの量産型を交えておりまさに絶体絶命。
これまで鉄壁と言われていたマヂノ線にいよいよ危機が迫ってきているのを感じられずにはいられない。
「まいったな~あれを撃ち落とせる武器なんて持ってきてないし……」
手にしたライフフルは極めて標準的なボルト式、とてもではないがあれらを撃ち落とすには火力不足なのはウールリカ自身がよくわかっている事だ。
だがしかしここで幸運が訪れる、地上を掃射するため高度をわざわざ落としこちらへと突撃してくれるのだから。
地面に次々と撃ち込まれ塹壕どころかトーチカさえも吹き飛び爆発していく味方陣地、一部の機体はそのままトーチカに突っ込み爆発四散するほど無茶苦茶ぶりがまた恐ろしい。
(こ、これが噂に聞くカミカーゼってやつ??? 無茶苦茶すぎる~~~っ!)
ガトリング砲で次々と火柱が一直線に自分へと向かってくるのがもう逃げれない……いや、ここで逃げている場合ではない。
これは逆に考えれば大きなチャンスではないかとふと気づいたのだ。
「こっちに向かってくるということは~ある意味めちゃくちゃ当てやすいってことだよねぇ!」
ガチャリとレバーを引きリロードすると塹壕から上半身だけ乗り出しライフルを慎重に構えて照準を定めていく。
この一発に全てがかかっている、ウールリカの鼓動が高鳴り呼吸と共に上下してしまう銃口。
チャンスはそう何度もないはずだ、ここで決めねば後はないと人差し指に力をこめそして……。
「ね、眠くなってきたねぇ……zzz」
緊張感はそう続かなかった、思いきりうとうとしながら引いてしまったトリガー、そして射出された弾丸はあろうことか敵爆撃機指揮官機のエンジンへと吸い込まれていく。
ボッと火の手が上がりプロペラが停止してしまった、超低空飛行していた爆撃機が一気に地面に叩きつけられウールリカへと降り注ぐ大量の土砂。
「うわぁ……ぺっぺっ、なんだよこれぇ~~~~っ」
と同時に燃料弾薬に引火し大爆発を起こす爆撃機。
それはとても幸運な事だった、指揮官機に召喚された量産型はそれを機に姿がかき消え戦場からいなくなってしまったのだ。
さらには土砂をかぶって埋まっていたウールリカは至近で爆発があったにもかかわらずある意味では無傷。
ちょっと服の中まで泥と埃まみれになったけれどそんなものは帰ってから風呂と洗濯であっという間に解決できるはずだ。
「ど、どうにか勝ったんだねえ……やったぁ!」
緊張が続いていたマヂノ線に久しぶりに訪れた一時の平和な時間、それは皆が一丸となって手に入れたとても貴重な物。
願わくばそれが早く永遠のものになるようすることなのだが。そんな事を思いながらウールリカは大の字に寝ころんで思いきり熟睡を始めた。
しばらくは誰にも邪魔されない静かな空の下で。
大成功
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