死闘、塹壕最前線
●塹壕と言う名の地獄
「……また仲間が減っちまったな」
塹壕内の陣地で、疲れ切った表情の獣人の兵士が焚火の前でタバコを吹かす。
――襲来してきたゾルダートグラードとの戦いが始まって既に四日目。
散発的な戦闘続きで兵士達の疲労は既にピークに達していた。
「なあ、聞いたか? 俺らの食料と残弾、あと二日も持たないらしいぜ?」
「マジかよ!? 負傷兵も増えてきてるし、そろそろヤバいかもな……」
この劣悪な環境に加え、戦況も思わしくないのか彼らの士気は低下しつつある。
今はどうにか持ち応えている状況だが、このままでは全滅も時間の問題だ。
「ったく、明日は何人生き残れるんだろうな……」
先の見えない戦いの行く末に、ついぼやいてしまう獣人の兵士。
せめてこの不利な状況をひっくり返す事の出来る援軍が来てくれれば、或いは。
そんなありもしない事を考えつつ彼はタバコを焚火の中に投げ捨てた後、立ち上がって銃器を手に取ると僅かな休憩を終え、敵の襲撃に備える。
生きて最前線にいる以上、彼らに休む間は無いのだ……。
●不退転の覚悟
「今回はゾルダートグラードと戦っている獣人達の救援に向かってもらいたいの」
猟兵達が集まってすぐ、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)が話を切り出すと、スクリーンに地図を表示する。
地図上にはうねった赤いラインと黒いラインがいくつも引かれ、重なっていた。
「……この赤いラインは獣人達が掘った塹壕。向こうには腕のいい塹壕工兵がいるのか、彼らのおかげでゾルダートグラードの侵略を押し留めているそうよ」
獣人達の塹壕が予想以上の効果を上げている事を受けてなのか、敵側も塹壕を掘って向こうに直接繋げてしまったらしい。
それが地図上の黒いラインだ。
まるで迷路のように複雑な構造をした塹壕の中で、獣人達とゾルダートグラードは散発的な戦闘を繰り返しつつ、今も睨み合いを続けているとの事である。
「ただ、残念な事に戦力は向こうの方が圧倒的に上……このままだと獣人達はジリ貧になって、やがて全滅してしまう未来を見たわ」
奴らは戦力差を生かし敢えて散発的な戦闘を繰り返し、獣人達の戦う力と気力を削っていきながら最終的に心が折れたところを蹂躙し尽くしてしまうそうだ。
この戦線が突破されてしまえば、塹壕の後方に控えている都市は戦火に晒され数多くの犠牲者が出てしまう事は避けられない。
それ故、ここで戦っている獣人は自分達の故郷を守るため命を張っているのだ。
「と言う訳で、みんなには援軍として直ちに現地へ向かい、彼らを援護して欲しいの」
まずは獣人側の塹壕内に多く潜む『火炎放射兵』を排除するのが最初の任務だ。
塹壕と言う閉所故に、奴らの火炎放射器による攻撃はかなり厄介である。
迂闊に飛び出ては、あっと言う間に黒焦げにされてしまう事だろう。
「火炎放射兵の部隊を倒せば戦況はこっちに傾くはずよ。このまま敵の掘った塹壕に突入し、潜んでいるゾルダート兵を獣人達と共に駆逐しちゃって」
ただし戦況が傾くとは言え、地の利は向こうにある。
思わぬ奇襲攻撃や不意打ちには十分気を付けねばなるまい。
そして一気に塹壕を抜けてしまえば、後は敵の本陣を攻め落とすだけ。
そこには主戦力である爆撃機型パンツァーキャバリアがいるとの事で、奴らも残さず撃破してしまえばこちらの勝ちと言う訳だ。
「今回は塹壕の中と言う事で、閉所での戦いがメインとなるわ。現地で使う武器やユーベルコードには十分気を付けてね。それじゃみんな、頼んだわよ!」
アヤカが激励と共にブリーフィングを〆ると、ゲートを開き硝煙の臭い漂う最前線へと猟兵を送り出すのであった。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
来月は戦争だと思われますが、今度はどこになるんでしょうか。
今月も獣人戦線をお送りします。どうぞよろしくお願いします。
●目的
塹壕内で戦う獣人達を援護し、ゾルダートグラードの部隊を殲滅する。
本シナリオは三章構成です。
第一章は集団戦。獣人側の塹壕に潜む火炎放射兵の排除。
第二章は冒険。獣人達と共に敵側塹壕に潜むゾルダート兵を倒す。
第三章は集団戦。敵本陣に攻め込み、パンツァーキャバリアを撃破する。
……以上の構成となっております。
なお今回は塹壕戦と言う事もあり、『閉所での戦いがメイン』となりますので扱う武器やユーベルコードの選択が重要となる事でしょう。
その辺りも留意した上でプレイングをお願いします。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部分を書き次第、開始します。
リプレイはプレイングが届き次第、早めにお返し出来ればと思います。
また、遅くとも失効までには必ずお返しする方針でやっていきます。
第二章はクリアに必要な青丸が少ないため、この章のみ二名様を先に進めた後でプレイングを少し貯めてからリプレイをお返しする形となります。
その際、プレイング受付締め切り日をタグで制定しておきます。
もしプレイングの数がキャパを超えそうな場合、早めに受付を締め切ります。
その場合はタグに『プレイング受付〆切』と入れるので、ご確認下さい。
また締め切り後にプレイングが来た場合、申し訳ありませんが不採用とさせていただきます事を予めご了承下さい。
それでは地獄の塹壕戦を制し、獣人達と共に敵軍を打ち破って下さい。
第1章 集団戦
『火炎放射兵』
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POW : ステーキになりやがれ〜!
【火炎放射器】から【燃え盛る炎】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD : 10秒後が楽しみだぜ〜!
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【火炎】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ : 吠え面かかせてやるぜ〜!
【火炎放射器】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【火炎放射】の一撃が必ず命中する。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●地獄の塹壕戦・Act1
「熱い、熱いぜェー! 熱くて死ぬぜェー!」
「オラオラ、逃げ遅れたら丸焼きになるぜェー?」
獣人の兵士達がゾルダート歩兵との散発的な戦闘を繰り広げる中、別方向から火炎放射兵が現れると同時に火炎放射で彼らを威嚇する。
例え物陰に隠れたとしても、炎による高熱を浴びてしまえばタダでは済むまい。
「火炎放射兵だと!? ……くそ、後退だ! 焼かれたら終わりだぞ!!」
「煙幕弾を投げろ! その後すぐに下がれッ!!」
思わぬ伏兵……それも厄介な敵である事を瞬時に認識した獣人達が直ちに煙幕弾を投げ込むと、慌ててその場から後退する。
自分達の手持ち武器で奴らと戦うにはかなり分が悪いようだ。
「負傷者は後方陣地に下げろ! 動ける奴は援護してくれ!」
「……なあ、まだ言ってなかった事があるんだけどよ。俺、実はさ」
後退した後、土嚢の壁に隠れつつ獣人兵士の一人が口を開く。
生きて帰れない事を覚悟したのだろうか。
「それは生きて帰ったらいくらでも聞いてやる、今は生き延びる事を考えろ!」
仲間に渇を入れると、獣人兵士が土嚢から身を乗り出してライフルを連射する。
必死の抵抗だ。
(生き延びるっつったって、この状況だぞ……どうしろってんだよ)
半ば詰みに近い状態で内心嘆く獣人。
あの火炎放射兵をどうにか出来れば生き延びるチャンスはあるだろうが、いかんせん不利な状況だ……このままでは全滅も時間の問題だろう。
……もっとも、この直後に待ち望んでいた援軍がやって来る事になろうとは、この時の彼らは知る由もなかったのだが。
チル・スケイル
火を放つ兵隊ですか。侮りはしません
ゴブリンも集えばドラゴンを狩る、とは言います。が、実際の戦闘がどうなるかは別の話
火炎放射器を使って…火炎放射をするつもりのようですね
読めればどうとでもなります
・素早く塹壕を進み、火炎放射兵を見つけ次第撃ち、氷漬けにする
・例え火炎放射で氷が融けても、腕や足腰が凍って動かなければ、火炎放射の射線は固定されている
・あるいは凍った火炎放射器を無理に使おうとして自爆するか
・ついでに戦場をいい感じに涼しくし、士気を高める
敵兵が1000人いようと、1人ずつ倒せばよいのです
●塹壕に絶対零度の花が咲く
「火を放つ兵隊ですか。侮りはしません」
チル・スケイル(氷鱗・f27327)がゲートを抜け戦場となる塹壕内に降り立つ。
遠くから銃声などが聞こえている事から、既に戦闘は始まっているようだ。
「……どうやら急いだ方が良さそうですね」
状況を察したチルは迷路のように入り組んだ塹壕内を駆け抜ける。
おそらく今この瞬間にも、獣人達は火炎放射兵から逃げ回っているに違いない。
この戦いにおける犠牲者は一人でも多く減らしたいところだ。
「さて、敵は……」
チルは自分の勘を信じて塹壕内を走り回っていると、いいタイミングで火炎放射兵の後ろ姿が視界に入る。
幸運にも向こうはこちらに気付いていないようだ。
……で、あればやる事は一つしかない。
(凍れ)
声に出す事なく、チルは『|氷術・凍《アイスフリーズ》』で絶対零度の冷気を突撃杖『ストゥーマ・フシロ』の銃口から放つ。
ストゥーマ・フシロは一見して銃火器にしか見えないが、実際には『そう言う形状をした魔法の杖』だ。
「ゲヘヘヘ、どこに隠れたんだァ? 出てこ」
背後から絶対零度の冷気が迫っている事にも気付かず、獣人兵士を追い回していたであろう火炎放射兵が冷気を背後からモロに浴び、一瞬で氷漬けになる。
奴は獲物を追い立てるサディスティックな笑みを浮かべたまま動かなくなっていた。
「まずは一人。敵兵が千人いようと、一人ずつ倒せばよいのです」
チルは振り返る事なく、次なる獲物を探して塹壕内を進む。
猟兵のゾルダート狩りが始まったのだ。
更にチルが塹壕を進むと、潜んでいたと思しき火炎放射兵と正面から遭遇する。
「おっとォ、みぃーつけたァ!」
「へっへっへ、丸焼きにしてやんぜェ?」
ここは一本道と言う事もあって逃げ場は皆無に等しい状況である。
すぐにでも踵を返さなければ、火炎放射器に焼き殺されてしまうだろう。
「火炎放射をするつもりのようですが、読めればどうとでもなります」
だがチルは取り乱す事なく氷術・凍を撃つと、放たれた冷気が地を走る。
そして冷気が火炎放射兵の全身に纏わり付き……
「なんだァ、こりゃ……さ、寒ィッ!?」
「お……俺の腕と足が、こ、凍ってやがるゥッ!?」
直後、体の一部が凍結した事を受け、火炎放射兵が混乱する。
どうやら奴らはこの凄まじい寒さには慣れていないようだ。
「おや、自慢の火炎放射器も凍ってしまったようですね?」
「な、なめんじゃねぇぜェーッ! 多少凍っていようがこのくらい」
チルに挑発されて怒りに火が付いたか、火炎放射兵が運良く凍らなかった右手で火炎放射器のトリガーを引いた……次の瞬間!
「アバーーーッ!?」
BOOOOOOOOM!!
背部の燃料タンクが急な熱の変化を受け、気圧が内部で膨張を起こしたのか……盛大に自爆!
周囲の火炎放射兵も自爆からの誘爆を喰らい、仲良く爆発四散した。
「……危険物の取り扱いには気を付けるべきでしたね」
やれやれと言った感じで呟くとチルは塹壕内に冷気を広範囲へと漂わせる。
これだけ広ければ地面が凍り付くまでには至らず、精々周囲の空気を冷やす程度に留まる事だろうが……
「む、何か……周囲が涼しくなってきてないか?」
「ああ、さっきの火炎放射の熱が引いていく感じだな。これって……?」
チルの放った冷気で、戦場の空気が変わった事に獣人達も即座に気付く。
――もしかしたら援軍が来てくれたのではないか?
その希望は彼らの消えかけていた士気に再び火を灯すには十分な物であった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、援軍到着ですぅ。
『FPS』で敵味方の配置を探査、『FES』の耐火結界を展開し獣人さん達のガードに回しますねぇ。
私自身は【仰域】を発動し『乳白色の波動』を纏えば、『UCによる攻撃手段』且つ『実体の曖昧な炎』と、全ての条件を満たす彼らの攻撃は問題無く吸収可能、それにより各『祭器』も強化され、より突破は難しくなりますぅ。
その他の通常攻撃は『FSS』のシールドで防御、先を踏まえた『塹壕』自体の破壊は『FVS』の空間歪曲障壁で防ぎましょう。
『FBS』は逃走を防ぐ為相手の背後に回りこませますねぇ。
後は『FAS』の羽弾と『FMS』からのレーザーを中心に、確実に潰して参りますぅ。
●待ち望んだ援軍
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がグリモアベースからゲートを抜けて今回の戦場である塹壕内へ入り込むと、浮遊する涙滴型の水晶・『祭器』FPSで敵と味方の位置を早々に確認する。
今は一人でも多くの獣人を助けるため、一秒でも無駄に出来ない状況だ。
「ふむふむ……これはかなりの数ですぅ」
広範囲レーダーのように青い点と赤い点がFPS上に表示されるが、敵を意味する赤い点の数は相当な数だ。
しかもその大半がほとんど動いていないのを見るに、奴らはまだそこに潜んでいると見ていいだろう。
ならば今すべきは動いている青い点……獣人達の救助に向かう事が先決だ。
「どうやら追われているみたいですねぇ。これは急ぎませんと」
FPS上で青と赤の点が激しく動き回っている様子から戦っている獣人が危機的状況にある事を察し、走り出した。
到着までどうか無事でいてくれと思いつつ、るこるは最短ルートを進む……
「ゲヒャヒャヒャ、追いかけっこは楽しいぜェー!」
――同じ頃、火炎放射兵はわざとらしく火炎放射器から炎を噴き出し、近くの地形を爆破させる事で逃げる獣人に恐怖を与えようと言う悪辣な行為をしつつ、逃げ回る獣人達を追いかけている真っ最中であった。
「ば、爆発する火炎放射なんて聞いた事ねえぞ!」
「いいから今は逃げろ! なんとか撒いてしまえば……あぁっ!?」
一方、無我夢中で逃げ回る獣人達であったが、運悪く行き止まりに当たってしまう。
後ろを振り返れば火炎放射兵……この一本道の途中には別の通路に通ずる逃げ道が開いているが、今から行ったところで間に合う訳もない。
まさに絶体絶命だ。
「追い付いたぜェー! これで一巻の終わりって奴だなァ!」
火炎放射器の噴出口を獣人達向け、トリガーを引き搾る火炎放射兵。
最早これまでかと獣人達が諦めかけた直後、放たれた炎が突然割り込んできた何かに防がれる。
あれは……布か?
「間一髪でしたねぇ……さて、援軍到着ですぅ」
その声と共に逃げ道の横穴から現れたるこるが火炎放射兵の前に立ちはだかる。
ギリギリだが間に合ったようだ。
「な、なんだてめぇは!? 邪魔するってんなら、てめぇもステーキになりなァ!」
突然の乱入者に一瞬驚くも、火炎放射兵はすぐさまるこるに向けて炎を放つ。
放たれた炎が容赦なく彼女を焼き尽くさんとする。
「……あら、今何かしましたかぁ?」
だが、炎を受けたにも関わらず平然とした様子のるこる。
彼女はここに到着する直前、『|豊乳女神の加護・仰域《チチガミサマノカゴ・ノミコマレシセイイキ》』で乳白色の波動を纏った事で放たれた炎を吸収していたのだ。
「ど、どうなってやがる!? クソッ、くたばりやがれェーッ!」
訳も分からず更に炎を噴き、攻撃を続ける火炎放射兵。
だが今度は『祭器』FSSのシールドで炎を遮断し、着弾時の爆発は浮遊する32枚の絵馬・『祭器』FVSの空間歪曲障壁で防いでいく。
最早奴らの攻撃など、るこるには通用しないも同然であった。
「さて今度はこっちの番ですよぉ。それそれぇーっ!」
「なッ、何をグギェーッ!?」
そしてお返しとばかりにるこるが『祭器』FASから羽弾を、『祭器』FSSからはレーザーを放つと火炎放射兵を無慈悲に貫き、火炎放射器のタンクを爆発させる。
あまりにも圧倒的な戦力だ。
「まずはこんなところですねぇ。さあ、次に……」
「ま、待ってくれ! アンタ、援軍なんだよな? 一体何者なんだ……?」
最初の救助を終えた後、すぐ次の援護に向かおうとしたるこるを獣人が呼び止める。
その問いに対し、彼女はふっと笑うとこう返した。
「第六の猟兵、と言えば分かりますよね?」
……と。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「ひたすら戦い続けるのも、それはそれで悪くないと思うのですよ」
嗤う
「純化して特化して、次の仙界大戦を乗りきれるよう、私も精進しなければなりません」
嗤う
「鏖殺せよ、黄巾力士水行軍」
・砲頭から制圧射撃する3体
・砲頭から水行弾やウォーターカッター放ち敵を鎧無視・無差別攻撃する3体
・上記2隊をオーラ防御で庇う3体
9体1組として15組計135体の黄巾力士召喚
15組をそれぞれ塹壕内に送り込む
自分は地上で竜脈操り全黄巾力士の能力底上げして継戦能力を高める
「例え燃えても、黄巾力士はステーキにはなりません。期待は裏切ってこそでしょう?」
嗤う
●塹壕内を蹂躙する者
「ひたすら戦い続けるのも、それはそれで悪くないと思うのですよ」
鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が塹壕内で戦っている獣人達の姿を目にするや一人呟き、嗤う。
彼らからすれば戦う事とは生きる事……だからと言って、いつまでも戦い続けてはいずれ疲弊してしまうのは避けられないのだが。
「純化して特化して、次の仙界大戦を乗りきれるよう、私も精進しなければなりません」
冬季は嗤いつつも、『|黄巾力士・五行軍《コウキンリキシ・ゴギョウグン》』で人間サイズの戦闘用人型自律思考戦車・黄巾力士を地中より召喚する。
――その数、実に135体。
黄巾力士9体を1組とし、計15組の部隊に分け塹壕内の各地へと送り込む。
「さて、ゾルダートの反応が楽しみですね。鏖殺せよ、黄巾力士水行軍」
そう口にするや、冬季はその場に留まって竜脈を操る事で黄巾力士の能力の底上げする、所謂サポート体制に専念するようだ。
「オラァ、燃えろ! 燃えろォ!!」
同じ頃、火炎放射兵が手当たり次第に炎を放ち、着火した地形を爆破する。
隠れ場所をも破壊する事で、獣人達を追い詰めるつもりのようだ。
「うわッ!? ど、土嚢が吹っ飛ばされやがった!」
「さ、下がれ、下がるんだ!」
じわじわと逃げ場を失い、追い込まれる獣人達。
「ゲヒャヒャ、逃がさねぇぜェー!」
狂喜の笑みを浮かべつつ、火炎放射兵が獣人達を追う。
最終的に逃げられなくなってから焼き殺そうとするのが奴らのやり方だ
……そこへ、遠方から砲撃音らしき轟音が鳴り響く。
その次の瞬間、砲撃が火炎放射兵の進攻ルートに着弾し地面を抉った。
「どおぉぉぉッ!?」
間近で砲撃が着弾した事により、爆風で吹き飛ばされる火炎放射兵。
直撃ではないためダメージは少ないが、初手からインパクトを与えるには十分だ。
「なんだ、砲撃!? 一体どこから……」
「お、おい、アレを……!」
突然降ってきた砲撃に獣人達は何事かと周囲を見渡す。
その直後、塹壕の横道から人間サイズの人型兵器らしき物……黄巾力士が9体、隊列を組んでその姿を現した。
「まさか敵の新手なのか!?」
「く、来るぞ!」
こちらに向けて前進する黄巾力士を前に混乱する獣人達。
最早これまでかと覚悟を決めるも謎の9体は獣人達の脇をすり抜け、彼らの盾になるように立ち塞がる。
これには獣人達も目を白黒させるばかりだ。
「くそ、なんなんだ? よく分からんが、てめぇらもステーキになりやがれーッ!」
一方で爆風から立ち直った火炎放射兵が新手を確認するや、すぐさま炎を放つ。
未知の兵器とて、あの炎を浴びてしまえばひとたまりも……
「ハハッ、どうだ……な、何ィーッ!?」
否、効いていない!
放たれた渾身の炎は、前列に出た黄巾力士3体の両手から展開したオーラ防御壁がシャットアウトしていたのだ。
まさに鉄壁の防御だ。
そして前列の3体が壁となっている内に後列の3体が制圧射撃を行いつつ、中列の3体が砲頭から水行弾やウォーターカッターを容赦なく放つ。
「い、一体なんなんぐげばッ!?」
抵抗する間もなく、そのまま圧倒的火力を前に粉々にされる火炎放射兵。
その様子を獣人達は唖然とした様子で見ていた。
「た、助かったのか……?」
「味方って事、なんだよな?」
呆けている獣人達をよそに、黄巾力士の部隊は次なる獲物を探して塹壕内を進む。
……それからも、別の場所で砲撃音や黄巾力士に鏖殺されたであろう火炎放射兵の情けない悲鳴が聞こえてくる。
どうやら首尾は上々なようだ。
「例え燃えても、黄巾力士はステーキにはなりません。期待は裏切ってこそでしょう?」
竜脈経由で戦いの様子を確認していた冬季はそう呟き、嗤うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
初志・貫鉄
即興共闘歓迎
良く耐えた、もう少し耐えれば顎が外れそうなデカイハンバーガーをご馳走してやるぜ。
疲れきった獣人兵士に声をかけて、入れ替わるように前線にでるぜ!
焼けた空気はスカーフで口と鼻を覆い、環境耐性で耐える。
攻撃は、撤退用に展開された煙幕と塹壕地形を利用して、死角から覇気を練り上げ限界突破しリミッター解除した不可視の覇気の拳を放ってやろう。
殴り飛ばしたあと、UCは維持。
殴った敵を掴んで、盾にしながらUCで攻撃しつつ戦線を押し上げよう。
敵の攻撃は、野生の勘で見切り、避けられなければオーラ防御と火炎耐性、激痛耐性で耐える。
さぁ、旨い飯を皆で食うためにくたばるんじゃねぇぞ!
●反撃の狼煙
「なあオイ、戦って死ぬか餓死するか……どっちがマシなんだろうかな」
「泣き言を言ってる場合か! ここを落とされたら終わりなんだぞ!」
弱音を耳にし、思わず仲間に渇を入れる獣人兵士。
塹壕内で苦戦を強いられている獣人達の疲労は極限状態にあった。
休む時間は僅か、かつ支給される食糧も粗末な物と彼らの気力と体力は否が応でも削られていくばかりだ。
「良く耐えた、もう少し耐えれば顎が外れそうなデカイハンバーガーをご馳走してやるぜ」
そこへ救いの手がやってくる。
疲れ切った獣人達へ声を掛けたのは初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)だ。
「な、アンタ……まさか援軍か!?」
「おうよ。ここは俺に任せて、お前さん達は後ろに下がって体勢を立て直してくれ」
「……すまん、助かる!」
貫鉄に礼を述べると獣人達は一時後退する。
今は一人でも援護の手が欲しい状況であるため、彼の登場はまさに地獄に仏だ。
「空気がヒリついているな。まさにここは地獄の戦場って奴か」
一人呟くと、貫鉄はスカーフで口と鼻を覆う。
敵の火炎放射器による攻撃で空気が焼けている悪影響を防ぐためであろうか。
「さて、言ったからにはきっちり働いてみせないとな!」
そして覚悟を決めるや、貫鉄はその場で構えを取る。
果たして彼はいかにして火炎放射兵と戦うのであろうか?
「ハハッ、煙幕で足止めとは考えたじゃねぇかァ」
「だがそんなモンは一時凌ぎでしかない事を……」
同じ頃、火炎放射兵が煙に覆われた通路へ足を踏み入れようとする。
「グワーッ!?」
まさにその時であった。
突然何者かに殴り飛ばされたのかような強烈な衝撃が火炎放射兵の全身を走る。
「なッ、なんだァ!? 敵か!?」
仲間が奇襲を受けた事で火炎放射兵が慌てて武器を握り締め、周囲を見渡す。
……付近の横道に獣人達が隠れている様子は見られない。
「いねえ……一体どこに隠れてやがグワーッ!?」
周囲を警戒していた火炎放射兵が、再び飛んできた見えない攻撃を受け昏倒!
訳も分からず崩れ落ちる。
「よぉし、手応えアリだ。向こうは何が起きてるか、まるで分からんだろうがな」
一方でその場に留まった状態の貫鉄がニヤリと笑う。
この見えない攻撃こそ彼のユーベルコード『|金剛夜叉明王尊掌《ヴァジュラヤクシャ》』による、不可視の覇気の拳だ。
煙幕に覆われた通路と塹壕の地形をフルに生かす事で、死角から放たれた攻撃を避ける事など奴らに出来はしまい。
「そら、反撃開始だ!」
そこから貫鉄は金剛夜叉明王尊掌で殴り飛ばした火炎放射兵を掴んで盾としつつ、前進し戦線を押し上げていく。
「て、てめぇ! 仲間に何をしやがった!」
仲間が昏倒した状態で、宙に浮いたまま塹壕内を進んでいる。
この奇妙な状態に困惑しつつも火炎放射兵が貫鉄を見つけるや即、炎を放つ。
「なんの!」
飛んできた炎に対し貫鉄は野生の勘で見切り、ひらりとサイドステップで躱す。
炎の周囲から放たれる高熱はオーラ防御で遮断している事もあり、彼からすれば多少熱い程度でしかなかった。
「ぬぅんッ!」
「グハッ!?」
そして返す刃で覇気の拳をを遠距離から……叩き込む!
顔面を覇気の拳で撃ち抜かれた事で大きく吹き飛ばされる火炎放射兵。
猟兵を前にしては、火炎放射兵など最早相手にもならなかった。
「俺達も負けるな! 今こそ攻め時だ!」
「おらぁッ! くたばれゾルダート野郎!」
更にこの勢いに便乗するかのように、体勢を立て直した獣人達も後に続く。
もしかしたら勝てるかもしれない。
僅かに掴んだ希望を胸に、最後の力を振り絞る獣人達。
「さぁ、旨い飯を皆で食うためにくたばるんじゃねぇぞ!」
「「「おぉーーーッ!!」」」
この戦いに勝ち、みんなで旨い飯を食う。
その約束を原動力に、貫鉄と獣人達は敵陣へ切り込むべく塹壕内を突き進む……。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
ふむ…少々手狭ですが、塹壕内でも頭脳戦車の活動に大きな支障は無さそうですね
大規模な塹壕戦などサイバーザナドゥではほぼありませんから、今回の業務では貴重なデータが取れそうです!
不意に敵と鉢合わせる事のない様、索敵と情報収集を行いながら塹壕内を進みます
おや、敵の反応ですね
いずれも火炎放射器で武装…私達でバーベキューでもするつもりでしょうか、恐ろしい!
ですが私は煮ても焼いても食べられませんよ、残念でしたね
まずはプラズマグレネードを投射し、退避行動を誘発
続けて対象の付近にターゲットマーカーを撃ち込み、火力支援を要請します
あとは支援砲撃と共に私もガトリング砲を掃射して、手早く料理してしまいましょう
●恐怖のフィールドテスト
「地形状況確認、並びに通路幅計測。ふむ……少々手狭ですが、塹壕内でも頭脳戦車の活動に大きな支障は無さそうですね」
サイバーザナドゥ産の頭脳戦車であるロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)は、周囲の状況をフルスキャンしつつ頭部に搭載されているであろうスピーカーから合成音声ボイスを独り言のように発する。
今回、彼がこの任務に参加する事となった背景には大きな目的があった。
「大規模な塹壕戦などサイバーザナドゥではほぼありませんから、今回の業務では貴重なデータが取れそうです!」
どこか楽しそうな口ぶりのロジャー。
カツラギ・アーマメンツ社製の兎型歩行戦車『カニンガム』の特別仕様機である彼は同社製品PRのため、いかなる場所でも活躍出来ると言う確かな実績が求められている。
この塹壕戦に参加したのも、『狭い場所での戦闘にも問題なく対応出来る』と言うデータを収集するための、言わばフィールドテストと言ってもいいだろう。
「周辺索敵を開始、反応は……多数ですね。とにかく歩き回ってみるとしましょう」
そう言いロジャーは軽快な足取りで塹壕内を進む。
ブリーフィングで火炎放射器を持ったゾルダートが敵である事は情報としてインプット済みなので、獣人と間違って誤射するような事はあるまい。
「おや、敵の反応ですね。いずれも火炎放射器で武装……私達でバーベキューでもするつもりでしょうか、恐ろしい!」
それから少し塹壕内を進んだところで、ロジャーは火炎放射兵と遭遇すると頭部アイセンサーを赤く光らせる。
わざとらしい事を口にし、向こうからの攻撃を誘発するつもりのようだ。
「うおッ!? なんだァ、こいつは!?」
「よく知らねえが、焼かれるのがお望みのようだ。やっちまえ!」
未知の敵を目にするや、すぐさま戦闘体勢に入った火炎放射兵が炎を放つと、ゴォッと激しい炎がロジャーの身を焼いていく。
だが、その程度の攻撃で破壊されるようなほど彼はヤワではない。
「……ですが私は煮ても焼いても食べられませんよ、残念でしたね」
ロジャーは余裕の一言を放つと、プラズマグレネードを投射し反撃。
投射されたプラズマグレネードが炸裂し、塹壕内を染めていく。
「手榴弾!? ……クソ、ここは退くぞ!」
「チクショウ、炎が効かないとかどうなってやがんだ!?」
これは分が悪いと見たか、火炎放射兵が慌ててその場から退避しようとする。
さすがに強い敵と戦うのは得策ではないと、奴らも理解しているようだ。
「敵の退避ルート確認。火力支援における攻撃範囲計測……ここですね」
そこへロジャーは火炎放射兵の退避ルート付近へターゲットマーカーを撃ち込む。
火炎放射兵ではなく、退避ルート付近にである。
「標的を設定しました。速やかな火力支援を要請します」
それからおよそ1.6秒後、彼がコールした直後『|火力支援部隊《ファイア・サポート》』による支援砲撃が次々と放たれる。
着弾予測地点や砲撃範囲などを綿密に計算した上で支援砲撃を要請した結果、完全に逃げ道を塞がれた火炎放射兵がパニックを起こす。
「どぉッ、砲撃!? ど、どこから撃ってきやが」
「目標ロックオン、FCSオンライン。掃射します」
「ア゛ッ!?」
無慈悲なる死の宣告と共に、ロジャーが背部に搭載されている『RAC-10ガトリング砲+』を混乱状態の火炎放射兵に放つ。
避けようのない攻撃をまともに受け、奴らはあっと言う間に粉々になった。
「敵の排除確認、並びにデータ収集も確認。なかなかいい具合ですが、まだまだデータを取らなければなりませんね。引き続き、やっていきましょう」
支援砲撃要請を止めてロジャーが満足げな様子で頷くも、十分なデータを取るにはまだまだ足りないと言わんばかりの様子で彼は再び塹壕内を進む。
恐怖のフィールドテストは始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『地獄の塹壕戦』
|
POW : 積極的に攻撃を仕掛ける
SPD : 敵の潜んでいそうな箇所を探す
WIZ : 敵の作戦を読み、その裏をかく
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●地獄の塹壕戦・Act2
「む、向こうの戦力は弱卒ばかりじゃねぇのかよォ!? どうなってやがんだァ!」
「ええい、ここは退くんだ! このままではやられる!!」
「信号弾を撃て! 赤だ!!」
猟兵達の介入により、戦況は動いた。
獣人側の塹壕内に潜んでいた火炎放射兵の大半は倒され、運良く生き延びた少数の者達とゾルダート歩兵が慌てて自分達の塹壕へと引き上げていく。
これは奴らからすれば予想外の事だろう。
「敵が撤退信号を出した!? まさか、引き上げていくのか……?」
「や、やったぞ! 奴らを叩き出したんだ!!」
「オラァ、尻尾を巻いて国へ帰りやがれ! このゾルダート野郎共!!」
質と数で勝っているはずのゾルダートグラードが押されていると言う事態に、希望を失いかけていた獣人達の心にも火が付く。
もしかしたら勝てるかもしれない、と。
しかし奴らが本陣に一時撤退したともなれば、いずれ体勢を立て直して再びこちらへと攻め込んでくる事だろう。
そうなってしまえば元の木阿弥、またこちら側に新たな犠牲が出るに違いない。
……であれば、今やるべき事は一つだ。
猟兵達はこの勢いのままに敵の陣地へ攻め込むべきだと提案する。
「えっ、このまま敵陣へ攻め込むだって!? しかし我々は……」
「いいじゃねえか、俺達には最強の味方がいるんだろ? なら攻めるしかねえぜ!」
「確かにな。アンタらが付いてくれてるなら負ける気がしねえや!」
どうやら猟兵と言う強い味方を得てか、獣人達の士気も高まっているようだ。
ならばやるしかあるまい。
……だが、敵の陣地へ攻め込むためには奴らの掘った塹壕を突破が必須である。
向こうの地の利を生かした伏兵や奇襲に注意しつつ、残存した火炎放射兵やゾルダート歩兵を蹴散らすのだ!
いざ、進軍!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
好機ですねぇ。
それでは、反転攻勢と参りましょう。
『FAS』で僅かに浮遊し足場の影響を遮断、『FLS』の空間歪曲障壁で攻撃に備えまして。
【酷郭】を発動、『塹壕戦』の戦場全体に『裁域』を形成しますねぇ。
『律』への抵抗の差から潜む敵の位置の把握は可能、『FPS』の探査を重ねれば詳細情報も得られますぅ。
その上で、敵方の周囲の『大気の爆破』や『FIS』の転移で『FBS』を送り込んでの斬撃で、奇襲を狙う相手に対し、逆に奇襲を仕掛けますねぇ。
後は、強襲に備え『FMS』のバリアと『FES』の結界は友軍の保護に回し、『FAS』の羽弾と『FGS』の重力弾も併せ着実に仕留めつつ進みましょう。
●奇襲返し
「好機ですねぇ。それでは、反転攻勢と参りましょう」
「ああ、行こう! それにしても、あいつらもこんな塹壕を掘っていたとはな……」
獣人達の掘った塹壕から繋がったゾルダート側の塹壕入口を目にし、獣人達は驚きを隠せない様子だ。
敵はここから自分達の領域に戦力を送り込んでいたのだろう。
「さて、ここは私が先行しますので後を付いてきて下さいねぇ」
獣人達からやや先行する形で、るこるが敵側の塹壕へと入り込む。
奴らからすればこうして攻め込まれる事は予想外であったろうが、万一の対策として対人地雷やブービートラップを通路内に仕掛けている事は十分考えられる。
それ故るこるは『FAS』で浮遊しつつ足元の危険を避け、『FPS』による探査機能で地形の詳細を把握。
更には『|豊乳女神の加護・酷郭《チチガミサマノカゴ・ノガレエヌクルワ》』でこの戦場全体に『裁域』を形成、潜んでいるであろう敵の位置をも把握する徹底ぶりだ。
「……皆さん、止まって下さい」
敵塹壕内に仕掛けられた罠を慎重に避けて先行するるこるが不意に足を止めると、後から続く獣人達も停止する。
「どうした?」
「この先に敵さんが潜んでいます。こちらが近付いたところを飛び出してくるかと」
彼女が言うにはここから真っ直ぐ進んで曲がった先で、ゾルダート歩兵がアンブッシュを仕掛けようと隠れているそうだ。
このまま何も知らずに前進すれば、向こうから奇襲攻撃を受けてこちらに被害が出る事は避けられまい。
「伏兵か。俺達には見えないが……分かるのか?」
「ええ。向こうは気付かないと思っているようですが、私にははっきりと」
道はいくつも分かれている事から、ここで迂回すれば奴らとの遭遇は避けられる。
だが、それでは面白くない。
「なので、一つ提案なのですが……」
同じ頃、塹壕内ではゾルダート歩兵と火炎放射兵の生き残りの一部が潜伏していた。
「敵が塹壕内に入ったと連絡があった。もうすぐ奴らが来るぞ」
「ヘッ、上等だぜェ! 仲間の仇はキッチリ取らせてもらわねぇと……」
いつ獣人が攻めてきてもいいよう、警戒態勢を取る敵兵達。
そこへ突然、通路が爆発する。
るこるが戦場に形成した『裁域』による大気の爆破だ。
「な、敵襲!? 一体どこからだ!」
「いや手榴弾かもしれねェ、ここは落ち着いて周囲を」
火炎放射兵が潜んでいる通路から少しだけ横穴から顔を出すと、何かが高速回転して飛んできたではないか。
「なんだこぶぺッ!?」
運悪く顔を出していた事が災いしたのか、それが何かを認識する直前、|高速で飛来してきた何か《るこるが『FIS』の転移で送り込んだ『FBS』》に頭を切り落とされ火炎放射兵が絶命する。
一瞬の出来事であった。
「やられた!? 奴ら、こちらの位置が分かるとでも……」
「……今だ、仕掛けろッ!」
予想外の方向から攻撃を受け、混乱するゾルダート歩兵。
その隙を突いて、獣人達が逆奇襲を仕掛ける。
どうやらるこるの提案とはこれの事だったようだ。
「向こうから奇襲!? ええい、やってくれる!」
銃弾飛び交う中、敵歩兵が慌てて迎撃体勢を取りライフルを撃ち返す。
しかしこんな事もあろうかと、るこるが獣人達に展開していた『FMS』のバリアと『FES』の結界の二重防御壁で彼らを守る。
「ここは誰一人として欠けさせませんよぉ」
「こ、こいつ……ぐぁッ!」
そこからるこるは『FAS』の羽弾と『FGS』の重力弾を放ち、獣人達を援護。
通路に潜んでいた伏兵を駆逐していく。
――猟兵と獣人達の反撃は始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
チル・スケイル
オブリビオンは及び腰、この機を逃さず追撃しましょう
その為に、さらなる戦力増強を。
冬よ、我が氷血を捧げよう。不壊の騎士を遣わしたまえ!
氷ゴーレム騎士軍団を召喚し、共に進撃しましょう
ゴーレム軍団を形作る頑丈な氷は、大抵の弾丸は受け付けません。伏兵が銃撃したとしても、ものともせずに接近し、氷の剣で斬り伏せるでしょう
ネックとなるのは生き残りの火炎放射兵が放つ、強力な火炎ですが…その時は私が狙撃杖から氷の魔法弾を発射し、脳天を撃ち抜きます
●氷の剣と盾
「オブリビオンは及び腰、この機を逃さず追撃しましょう」
「ああ、あいつらに倍返しだ! 俺達の底力を見せてやろうぜ!!」
チルの呼び掛けに勇ましく応える獣人兵士。
憎きゾルダートグラードに反撃出来るともあってか、彼らは俄然やる気だ。
「ですが、敵地に乗り込むと言う事は地の利は向こうにあります。それこそ罠などが仕掛けられている可能性は高いと見ていいはずです。なので慎重に行くべきかと」
「むう、言われてみれば確かにそうか……あいつらが塹壕内に潜んで奇襲を仕掛けてくる事も十分ありえるな」
「弾避けになる物があると楽になるでしょう。その為に、さらなる戦力増強を」
そう口にすると右手を水平に掲げ、詠唱する。
「冬よ、我が氷血を捧げよう。不壊の騎士を遣わしたまえ!」
チルが『|氷術・士《アイスナイツ》』で地中より氷ゴーレム騎士を召喚すると、隊列を組んで前へと出る。
獣人よりもサイズは大きいが、塹壕内を進むのには特に問題もあるまい。
「お、おぉ!? これは氷で出来たパンツァーキャバリア……と言うには大分小さいな。よく分からんが凄いな、こいつぁ!」
「正しくは氷ゴーレム騎士軍団です。そうですね……ここで言うところの白兵剣戟士のような物、と思っていただければ」
召喚された氷ゴーレムを初めて目にしたであろう獣人が驚き、チルが補足する。
何せ数は多いため、仮に何体かやられたとしても進軍に支障は出ない事だろう。
「それでは皆さん、出撃しましょう」
氷ゴーレムを先頭に立たせ、チル率いる獣人兵士達が敵地へと乗り込む。
例え地雷の仕掛けられた通路であってもゴーレムは迷わず前進し、敢えて地雷を踏み抜いて処理すると言う力業をもって前進する。
これにより氷のボディには多少ヒビが入ったが、進軍に問題はないようだ。
「間抜けめ、のこのことやってきたか!」
「ここで無様に死ねい!」
……更に一行が進むと、今度は潜んでいたゾルダート歩兵が奇襲を仕掛けてきた。
奴らが地形に隠していたと思しき重機関銃が盛大に火を噴き、獣人達を始末しようとするが、先頭に立っていた氷ゴーレムが盾となって立ち塞がる。
「そぉら、バラバラに……な、なんだこの氷の塊は!?」
「じゅ、重機関銃の弾だぞ!? 何故効いていないんだ!?」
攻撃が通じない事に驚愕するゾルダート歩兵。
そもそもにしてゴーレム軍団を形作る頑丈な氷は、大抵の弾丸を物ともしない。
例え重機関銃の弾でも、せいぜい傷を付けるくらいが関の山だ。
そうして弾を受けつつも氷ゴーレムが構えと共に前進すると、ゾルダート歩兵を氷の剣でバッサリと切り伏せた。
氷で出来た剣とは言え切れ味は抜群だ。
「よくも仲間をやりやがったなァ! これでも喰らいやがれェー!!」
すると、今度は隠れていた火炎放射兵の生き残りが怒りと共に火炎放射を放つ。
氷の天敵とも言える火炎はこのゴーレムにとって最大の弱点。
このままでは氷ゴーレムがあっと言う間に溶かされてしまう。
「……いけない!」
「あぱッ!?」
その事に気付いたチルが狙撃杖『カシュパフィロ』で氷の魔法弾を発射。
放たれた氷の魔法弾はそのまま火炎放射兵の脳天を貫き、一発で沈黙させる。
敵を見つけ、即座にヘッドショットを決めるとはなかなかの腕前だ。
「危ないところでしたね……どうやら奇襲は切り抜けたようです。行きましょう」
奇襲でゴーレム達はいくらか傷付いたが、これ程度ならば想定内。
チルは後ろの獣人達に呼びかけると、再度塹壕内を突き進む。
……その後も襲い来る伏兵の攻撃を氷ゴーレムはよく凌ぎ、そして切り伏せ、時にはゴーレムの後ろからチルや獣人達が援護射撃などをしながら退けていく。
この強固なる氷の剣と盾があれば敵の伏兵など恐れるに足らず、である。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「機を見るに敏というか、血の気が多いというか。実に獣人らしくて好ましい」
嗤う
「敵の塹壕なら、使えなくなっても問題ないでしょう?どうせこの後、敵の拠点も崩壊させるのです。更地になっても問題ありません。…行け、真・黄巾力士」
黄巾力士を全長400mまで巨大化
黄巾力士の指や拳を敵の塹壕に突き込ませそのまま塹壕施設を抉り取る
全塹壕を敵ごと掘り返し崩落に任せて埋めながら進ませる
自分は黄巾力士の上空を風火輪で飛行しながら竜脈使い黄巾力士の能力強化
継戦能力を高める
竜脈使いつつ戦場俯瞰しながら黄巾力士への攻撃を発見した場合は雷公鞭振るいその地点に雷撃
「オブリビオンでは肥料にもなりませんが、まあいいでしょう」
嗤う
●塹壕内より巨人を見た
いよいよ反転攻勢に打って出るチャンスが来たともあってか、獣人達の士気はこれまで以上に高まっていた。
「機を見るに敏というか、血の気が多いというか。実に獣人らしくて好ましい」
そんな獣人達の様子を見て、冬季が一人嗤う。
彼らからすれば、反撃を機会を得たここからが本番なのだ。
「それにしても、ゾルダートの奴らがこんな塹壕を掘ってこっちに繋げてやがったとはな……こいつは厄介だが、行くしかねえな」
「敵の塹壕なら、使えなくなっても問題ないでしょう?」
「うん? そりゃまあそうだが……」
早速敵側の塹壕へ攻め込もうとする直前、冬季が不意に獣人達へ声を掛ける。
「どうせこの後、敵の拠点も崩壊させるのです。更地になっても問題ありません」
「更地って……それこそ戦車や爆撃機の部隊とか必要になるんじゃないか?」
正論を口にする獣人兵士。
当然ながら彼らにそれだけの戦力はない。
「そのための|我々《猟兵》ですよ。まあ見ていて下さい……行け、真・黄巾力士」
冬季は黄巾力士の一体に命令を下すと、『|真・黄巾力士《シン・コウキンリキシ》』を発動させ、その身を少しずつ巨大化させていく。
気付けばパンツァーキャバリアの何十倍もの大きさとなった黄巾力士は、まさに大巨人とも言うべき存在だ。
「な、なな……なんだぁ、こりゃあ!?」
「あの黄巾力士には近付かない事です。巻き込まれて死にたくはないでしょう?」
ただただ驚愕する獣人達をよそに、冬季は彼らに注意を呼び掛けると風火輪で浮かび上がり、黄巾力士の頭上へと舞い上がる。
そのまま巨大化した黄巾力士はズシン、ズシンと足音を響かせると、ゾルダート側の塹壕へ向けて歩き出すのであった。
「早速地均しと行きましょう。黄巾力士、やれ」
冬季の命令を受けると、黄巾力士が敵塹壕に向けて拳を叩き込んだ。
巨体から繰り出される拳は、まさに大型爆弾にも匹敵する威力だ。
「うおぉッ、アレは一体なんだ!? あんなの見た事ないぞ!?」
「げ、迎撃だ! すぐに火力のある武器を……」
塹壕内に潜んでいたゾルダート歩兵が大巨人を前に唖然とするも、直ちに迎撃体勢に移ろうとする。
そこへ黄巾力士が拳を地面にめり込ませたまま、超巨大なショベルカーめいて塹壕施設を豪快に抉り取る。
「「うわあぁぁぁ……!!」」
そのまま土もろとも遠くへと投げ捨てられるゾルダート歩兵。
まさに成す術なし、と言ったところである。
「パンツァーファウストを出せ! デカブツでも多少は効くはずだ!」
「バズーカもだ! 狙いを一点に集中しろ!!」
仲間が易々とやられた様子を見て、いくらか離れた場所からゾルダート歩兵が黄巾力士に重火器を向ける。
足を狙えば動きくらいは止められるとでも思ったのだろう。
「いやはや、これは愉快。敵の慌てふためく様が……おや?」
一方、上空で竜脈を使い黄巾力士の能力を強化する事で継戦能力を高めるサポートを行っていた冬季が、今まさに遠距離攻撃を仕掛けようとしているゾルダート歩兵の姿を見つける。
あの程度の攻撃で黄巾力士がやられる事はないが、だからと言ってそのまま撃たせてやるつもりもない。
「危険は前からだけではない事を見せてやるとしましょう。はっ!」
雷公鞭を振るい、敵兵のいる地点に激しい雷撃を落とす冬季。
向こうは前方に気を取られていた事もあってか、落ちてきた雷撃に対処する余裕もなくその身を激しく焼かれ、あっと言う間に絶命した。
「オブリビオンでは肥料にもなりませんが、まあいいでしょう」
次々と蹂躙されていくゾルダートを見て、冬季は一人嗤うと黄巾力士と共に引き続き敵の塹壕を荒らし回る。
そしてその様子を遠くから眺める事しか出来なかった獣人達は皆、こう思った。
『あいつが敵じゃなくて心底良かった』……と。
大成功
🔵🔵🔵
初志・貫鉄
即興共闘歓迎
【POW】
兵士達の中でも落ち着いて戦場を推測できる面々に助力を仰いで共に敵塹壕内に進軍だ。
防御は、オーラ防御と激痛耐性で耐える。
回避は、同行兵の負傷原因だしな。
塹壕で壁向こうに敵が潜んでいると判断されたら、自分の野生の勘も生かし、その壁をUCで破壊。土砂で行動不能にしてやろう。
土砂を崩して、道を分断すれば有利になると聞けば、聞いた通りにUCで地形破壊。
要は、俺の役目は、準備の少ない自衛できる破壊工作要員だな。
俺的考えだが、【猟兵の力で勝つ】のではない。【猟兵と力を合わせて勝つ】のが重要だ。
自分達も戦っている、勝ちに貢献している。過剰ではない自信、勝利者の誇りを持たなきゃな。
●塹壕内を掻き回す者達
「いよいよ反撃の時だ。みんな、覚悟は出来たか?」
貫鉄が呼びかけると獣人達は勇ましく『おぉーッ!』と返す。
その様子を見る限り、彼らはまだまだ戦えるであろう事を確信する。
「やる気十分だな、行くとしようか……と、その前にだ。この中で『落ち着いて戦場を推測出来る』面々はいないか? 要は戦い慣れしたベテランって奴だな」
いざ獣人達を率いて出陣と言う直前で貫鉄が問うと、獣人兵士達の中から数名が名乗り出てくる。
数にしておよそ数名だが、彼らの顔は何度となく戦いを生き延びてきた歴戦の戦士の目をしている者達ばかりであった。
「もう少し数がいれば良かったんだが、今動ける奴らは俺達くらいだ。すまんな」
「いいや、十分すぎるぜ。それじゃあ、お前さん達は俺と共に先行して進軍。残りの面々は後から付いてきてくれるか?」
貫鉄の提案に獣人達も素直に従う。
先程の戦いで一人も欠けずにゾルダート兵を叩き出す事が出来たのは、彼が自分達を鼓舞してくれたおかげでもある以上、従わない理由などない。
士気も最高潮と言った状態で、貫鉄と獣人達が敵陣へと攻め入るのであった。
貫鉄が先頭、その後ろにベテランの獣人兵士、更に後ろに獣人兵士と言う隊列を組み、一行が敵塹壕内を進む。
「さて、どこに敵が潜んでいるかだが……」
「やはりこの場であれば死角になりそうな物陰だな。塹壕内は特に多いぞ」
歩きながら周囲を警戒する貫鉄の問いに、後ろを往くベテラン獣人兵士が答える。
「……となると、あの先にいるかもしれないって訳か」
一旦足を止めた貫鉄が少し広くなった通路に視線を向ける。
死角となっている部分は多く、もしかしたら敵兵が多く潜んでいるやもしれない。
「どうするんだ? 必要ならグレネードを投げるが」
「いや、ここは俺がやる。見ていてくれ」
貫鉄がそう言うと、獣人達に一度止まるよう手で合図をする。
そしてその場で全神経を集中し構えると。
「……そこだッ!」
踏み込むと同時に、貫鉄が『|馬頭明王尊旅路開拓《ハヤグリーヴァ》』を裂帛の気合と共に放つ。
狙いは塹壕内の壁、その向こう側にきっと奴らがいると野生の勘が告げている。
強烈なインパクトと共に木の壁が崩壊すると、土砂崩れが巻き起こった。
「「う、うわあぁぁぁッ!?」」
その向こうからゾルダート兵の叫びが聞こえてくると、下半身が土砂に巻き込まれて行動不能に陥ってしまう。
これでは奇襲どころではなく、ただの的も同然だ。
「こ、拳で壁を!? しかしその手なら、道を分断すれば有利になるか……!」
「なるほど、分断戦法か。ならば引き受けた」
貫鉄のパワーに驚くベテラン獣人兵士であったが、土砂崩れを起こして分断させると言う手段を耳にすると、早速彼は動き出す。
「丸腰でやってきたか、間抜けめ!」「オラァ、くたばりなァ!」
通路を分断しようと前進する貫鉄に向け、ゾルダート兵が飛び出し攻撃を仕掛けようとするが、全力のオーラ防御で耐え凌ぎ……
「でえぇぇいやッ!」
「こいつ、何故倒れん!?」「お、おい!? 壁が……アァァァーッ!?」
再度、塹壕を構成する木の壁に向けて|馬頭明王尊旅路開拓《ハヤグリーヴァ》を叩き込むと、盛大に土砂崩れを巻き起こし通路を分断。
その場にいたゾルダート兵が土砂で分断されるか生き埋めにされる。
「今だ! 奴らは油断しているぞ、攻めろーッ!」
そしてその隙を突いて攻め込む獣人達。
これにはゾルダート兵も成す術なくやられていく。
「うむ、いい調子だ。このまま突き進むぞ」
自衛可能な破壊工作要員となった貫鉄は、それからも塹壕内で土砂崩れを巻き起こし、敵を分断させる事で獣人達と共に伏兵をことごとく打ち破っていく。
――あくまで猟兵の力だけで勝つのではなく、猟兵と力を合わせて勝つ。
貫鉄はその事を忘れず、獣人達を援護しつつ進軍していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
お次は追撃戦ですか
敵陣に近い程あちらに地の利が出てくるので厄介ですね
ここはUCによって戦闘ドローンを呼び出し、数の力で攻略するとしましょう
まずは2〜3機を先行させて隠れた敵がいないか偵察を行いつつ、囮になってもらいます
まんまと炙り出された敵はすぐさま残りのドローンで囲んで蜂の巣にしてやりましょう
●数には数で
「なあアンタ、その凄い武器は一体どっから出してんだ?」
「その小さい体のどこにそんなパワーがあるんだ?」
いざ敵側の塹壕へ攻め込む直前、ロジャーは獣人兵士達から質問攻めを受けていた。
どうやら先の塹壕戦での戦いぶりを目にしていた者がいた事から、その噂が色々と広まってしまったようだ。
これには彼も想定外の状況と言ったところであろうか?
「それらの質問に関しては全て、企業秘密と言う事で詳しく話す事は出来ません。申し訳ありません」
……かと思いきや、律儀に返答するロジャー。
なんとも真面目な頭脳戦車である。
「私の事はさておき、お次は追撃戦ですか。敵陣に近い程あちらに地の利が出てくるので厄介ですね」
「けど、あの野郎共を完全に叩き出すには危険を承知で攻め込むしかねえぜ」
「それはそうです。ですので、ここは私にお任せを」
胸を張るような動きと共に、ロジャーが『|戦闘支援要請《カツラギ・アーマメンツ・ドローン》』で小型の戦闘用無人兵器……戦闘ドローンを呼び出す。
どこからともなくやってきた戦闘ドローンは獣人側の塹壕上空に次々と集結し……
「なあ、あの飛んでる奴……一体いくつあるんだ?」
「俺ァ三十くらいから数えるの辞めたぜ」
「……いや、冷静に考えなくても多すぎじゃねえか!?」
上を見上げる獣人達も驚くほどの数、実に……595体!
間違いなく、ここにいる獣人達よりも多いと言えるだろう。
「向こうが数で勝るなら、こちらも数で対抗するまでです」
そう淡々と語るロジャーは、ドローンを敵塹壕へ放つのであった。
――同じ頃、敵側塹壕内にて。
「既に敵が侵入してきたと報告はあったが、こっちにはまだ来ないな」
「向こうの数はそう多くないんだ、俺らの方には来ないんじゃないか?」
死角となっている通路の壁際に潜み、奇襲の機会を伺うゾルダート歩兵達。
敗走した仲間によれば援軍が向こうに現れたらしいが、地の利はこちらにある。
そんな事を考えていると……
「……おい、アレを!」
ゾルダート歩兵が指差した先には、3機編成で頭上を飛ぶ小型の飛行物体が。
ロジャーの放った戦闘ドローンだ。
「飛行物体!? アレはもしや偵察用か何かか!」
「こちらの位置がバレては奇襲どころではない! 落とせ!」
すぐさまゾルダート歩兵がドローンへ向けてライフルによる射撃を行う。
その内の2機に着弾すると機体が煙を吹き、あらぬ方向へと墜落、爆散した。
運良く撃墜を免れたドローンは慌てて反転、逃走を試みる。
「チッ、仕留めたのは2機だけか!」
「1機でも逃したら情報を持ち帰られるぞ、追え!」
ゾルダート歩兵が仲間に合図すると、急いでドローンを追いかける。
なんとかアレを撃ち落としてやろうと走りつつ射撃するが、さすがにその状態で当てるのはゾルダートであっても困難だ。
「く、逃げ足の速い奴め……うおッ、なんだ!?」
そのままドローンの追跡を続けていたゾルダート歩兵であったが、突然背後からの爆発に思わず足が止まる。
一体何事かと振り返ると。
「なッ……!?」
ゾルダート歩兵は言葉を失う。
自分達の頭上で無数のドローンが銃口をこちらに向け、浮遊している。
「まさかこれは……我々を炙り出すための罠だったとでも……」
敵にまんまとハメられた事に気付いた直後、ドローンから鉄の雨が降り注ぐ。
そして悲鳴を上げる間も無くゾルダート歩兵は蜂の巣にされ、その場に倒れた。
「……と、このように数の力で攻略すれば皆さんに被害が出る事はないのです」
センサーアイ経由でドローンからのリアルタイム映像を流し、プレゼンめいた口調で説明するロジャー。
これには獣人達も感嘆の声を上げるしかない。
例えドローンが落とされても彼らが傷付く事は一切ないし、この程度の被害はロジャーからすれば許容範囲内。
ドローン囮戦法は確実に敵の伏兵を削り取っていき、塹壕内をセーフゾーンへと変えていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『爆撃機型パンツァーキャバリア』
|
POW : オートガトリング
レベルm半径内の対象全員を、装備した【両腕部から飛び出すガトリング砲】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : キャバリアダイブ
【プロペラ飛行】によりレベル×100km/hで飛翔し、【機体重量】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ : 爆撃機編隊
レベル体の【量産型パンツァーキャバリア】を召喚する。[量産型パンツァーキャバリア]はレベル×5km/hで飛翔し【地上掃射ガトリング砲】で攻撃する。
イラスト:イプシロン
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●地獄の塹壕戦・Act3
猟兵と獣人が力を合わせ、敵側の塹壕内を突破していく。
数で勝るはずのゾルダートグラードの軍勢は次々と撃ち破られ、次第に押し込まれていくのは誰の目から見ても明らかであった。
「な、何だと!? 敵がこの本陣に迫っていると!?」
「ハッ、あと数分もしない内にやってくるのではないか、と……」
敵本陣内の指揮テント内で、ゾルダート指揮官が副官からの報告に驚愕する。
見張り台からの報告では『色々とあり得ない事』が塹壕内で起きており、潜んでいた兵士達の大半がやられてしまったとの事だ。
「バカな……向こうは弱卒の獣人しかいないのではなかったのか……?」
想定外の事態に狼狽する指揮官。
今回も楽な任務になるはずだったのに、こんな事になろうとは。
もしこの失態が上層部に知られては、降格だけでは済まされまい。
「し、指揮官……いかがいたしますか?」
「こうなれば已むを得ん、プランCだ! それと私も出るぞ、機体の用意を!!」
「ハッ、直ちに!」
命令を受け、副官がテントから出ていくと指揮官は一人呟いた。
「私とて名誉あるゾルダートの軍人、このまま無駄死にはせんぞ……!」
「やっと敵の本陣が見えてきたぞ! あそこを攻め落としちまえば……」
「お、おい! アレを!」
塹壕を突破し、敵の本陣とは目と鼻の先と言うところにまで達した一行であったが、そこから現れた物に対し、獣人達が身構える。
出撃前のブリーフィングで聞いた、爆撃機型パンツァーキャバリアの部隊だ。
これまでの戦いでゾルダート兵の大半がやられたはずだが、それでもまだあれだけの戦力が残っているのはやはり驚異と言う他ない。
「奴ら、隠し玉を出してきたか……みんな、対キャバリア戦に入るぞ!」
「ここまで来たら出し惜しみは無しだ! 絶対生きて帰るぞ!!」
だが、幸いにも獣人達の戦意は未だ燃え尽きてはいない。
ならば彼らに負けないよう、こちらも全力で奴らと戦うしかないだろう。
今こそ敵パンツァーキャバリア部隊を撃破し、この戦いに終止符を打つのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
このままチェックメイトと参りましょう。
『ガトリング』に獣人さん達が巻込まれると大変ですぅ。
『FAS』で飛行、『FLS』の空間歪曲障壁で守りつつ、早急に【溯圉】を発動、戦場全体に『搭乗型機械使用禁止』のルールを敷きますねぇ。
味方も使えなくなる分或る程度公平な上、機体に関わらず『操縦者』を直接対象とする効果ですので、操者自体が強力な相手で無い以上『威力強化』が無くても捕えられるでしょうから、後は『FIS』の転移で『FBS』を操縦席に送込りみましょう。
キャバリアを捨てれば継戦可能ですが、その場合は生身で猟兵と戦うことになりますので。
通常兵器等は、鹵獲後獣人さん達の補給物資に。
●封じられた|二足歩行型戦闘車輌《パンツァーキャバリア》
「さて、このままチェックメイトと参りましょう」
るこるは『FAS』で低空飛行状態のまま、足音を立ててやってくるパンツァーキャバリアを見据える。
彼女はこの獣人戦線で爆撃機型パンツァーキャバリアと交戦した経験がある事から、向こうがどのような兵器を搭載しているか大体は把握しているつもりだ。
いかなる攻撃が飛んできたとしても即時対応が出来るよう、るこるは相手の動きを注視していると、接近してきた爆撃機型パンツァーキャバリアが射程距離に入ったのか、両腕からガトリング砲がガシャンと飛び出してきた。
「付け上がるなよ獣人共、これでお前達の進撃も終わりだ!」
「ガトリング砲! でしたらこれで……!」
るこるは反射的に獣人達が隠れている土嚢の詰まれた場所へ、『FLS』の空間歪曲障壁を緊急展開。
その直後に敵のガトリング砲が火を噴くも、吐き出された弾丸は空間歪曲障壁に弾かれ、あらぬ方向へと着弾する。
間一髪だ。
「うおぉ、危ねぇッ!?」
「怯むな! 撃ち返せ!!」
「っしゃあ、喰らいやがれッ!!」
土嚢の裏に隠れた獣人達が身を乗り出し重火器で反撃する。
発射されたロケット弾は当たり所が悪かったか、パンツァーキャバリアの装甲の一部を破壊するのみに留まったようだ。
やはり生身で戦うには分が悪いのか。
「さすがにこのままでは厳しそうですねぇ。なら、これでどうでしょう? ……『キャバリアの使用を一切禁じますぅ』!」
攻撃が効きづらいのであれば、別の手を使って戦うまで。
るこるが『|豊乳女神の加護・溯圉《チチガミサマノカゴ・サッキュウノテッソウ》』で堂々と宣言した直後、やってきたパンツァーキャバリアが突然漆黒の球体状の物に包まれた。
「これは一体……ええい、こんな物!」
ゾルダートパイロットは閉じ込められた空間の中で壁を破ろうとガトリング砲を撃ちまくるが、まるでびくともしない。
先の溯圉で宣言したルール『全ての搭乗型機械の使用禁止』を破ったがために、亜空獄に幽閉されてしまったのだ。
脱出方法はただ一つ『該当する機械の放棄』のみ。
因みに獣人達は元々生身で戦っているため、何も影響はない。
「何故だ、何故破れんのだ!? こっちはパンツァーキャバリアなのだぞ!?」
当然、向こうはそんな事など知る由もなく、力で脱出を試みようとしているが全ては無駄足に終わり、ただ苛立つ事だけしか出来ないゾルダートパイロット。
……そこへ突然、コクピット内部に何かが送り込まれてくる。
「む、何だこれは……なぁッ!?」
送り込まれた何かが突然光の刃を出すと、丸鋸のように高速回転し内部を切り刻む。
るこるが『FIS』の転移で送り込んだ『FBS』だ。
「い、いかん! このままでは切り刻まれる!! き、緊急脱出ッ!」
身の危険を感じたか、慌ててレバーを引いて脱出する。
すると、謎の空間から吐き出されるように飛び出してきたではないか。
「で、出られた!? くそ、一体なんだったん……ぐはッ!?」
そしてゾルダートパイロットが脱出した直後、完全に油断しきっていたところに待ち構えていた獣人兵士から、猛烈な射撃による歓迎を受ける。
この他にも脱出が間に合わず内部で切り刻まれるなどしたのか、主がいなくなって擱座したパンツァーキャバリア部隊がその場で動かぬオブジェと化した。
「何とか第一波を切り抜けたか……ところでアレは鹵獲出来るんじゃねえか?」
「ええ、戦いが終わったら皆さんのお好きなように」
「そいつぁ助かるぜ!」
思わぬ補給物資に喜ぶ獣人達。
鹵獲兵器は今後の彼らにとって大きなプラスになる。
るこるの溯圉は、それも踏まえての行動であったのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
チル・スケイル
相手のキャバリアが高度を上げて…まさか、特攻するつもりでしょうか?
命と引き換えの殺戮などさせません、それを止めに来ました
幸い、敵機の性能は把握しています。いくら速くても、偏差射撃ができる
|氷術・滑《アイススムース》
コクピットを狙撃し、外側から凍らせて内部を滑らかにする事で、操作不能にします
いかに凶悪な必殺技があろうと、使えなければ無意味。
氷点下のコクピットに閉じ込められたオブリビオン兵士は、遠からず凍死するでしょう…
生死の瀬戸際だからこそ、冷静沈着に対処。生存の秘訣です
●|デス・フロム・グラウンド《地上からのやってくる死》
「敵の第二波だ! 数はさっきとほぼ同じのようだぞ!」
「そら、次が来るぞ! みんな、気張っていけよ!」
第一波撃退から少しした後、敵の本陣から新手のパンツァーキャバリアが出てきたのを確認した獣人達が迎撃体勢を取る。
「あのパンツァーキャバリアのガトリング砲は驚異的です。警戒しなければ」
時を同じくして、土嚢の積まれた壁の後ろから敵の姿を見たチルが呟く。
以前、歌姫のコンサートに襲撃してきたところを撃退した事から、この敵についてはいくらか把握しているつもりだ。
「な、先発隊がやられているだと!? 一体どうなっている!?」
「分からんが向こうに余程の腕利きがいるかもしれん、警戒しろ!」
その一方で、敵本陣から出てきた爆撃機型パンツァーキャバリアは先に猟兵達にやられ、地面の上で物言わぬオブジェと化した友軍機を目にする。
例え向こうに対装甲武器があったとしても、展開していたパンツァーキャバリア数機がそんな易々と短時間で破壊出来る訳がない。
……だとすれば、獣人側に腕のいい戦闘猟兵か何かがいると考えるべきか。
「どうする、普通に攻めるのは危険かもしれんぞ?」
「ならばこいつの特性を生かして戦うまでだ! それなら奴らも対抗は出来まい!」
その直後、爆撃機型パンツァーキャバリアが一斉に飛行状態へと移行。
地上から空を飛ぶ。
「と、飛んだ!? くそ、この武器じゃ空中にいる敵を狙うのは不可能だ!」
手持ち武器ではどうにもならないらしく、獣人達が悔しげに上空を見上げる。
「相手のキャバリアが高度を上げて……まさか、特攻するつもりでしょうか?」
あの状態ならば普通は空中からガトリング砲を撃つ事だろうが、それが来ないに違和感を覚えたチルはまさかのケースを想定する。
全長5m、機体のほとんどが鋼鉄で構成されたパンツァーキャバリアが高速で突撃をしてきた場合、その衝撃はかなりの物だ。
それこそ土嚢の壁など易々と吹き飛ばしてしまい、裏に隠れている獣人達をミンチにするなど容易い事……
「命と引き換えの殺戮などさせません」
ここで倒されるのはゾルダートのみ、獣人達はこれ以上傷付けさせない。
チルは狙撃杖『カシュパフィロ』を手にすると、銃口を上空へと向ける。
(幸い、敵機の性能は把握しています。いくら速くても、偏差射撃ができる)
アイアンサイトを覗き、ハゲタカのように上空を飛び回るパンツァーキャバリアの剥き出しとなっている操縦席部分に狙いを付けると、チルは迷わず引き金を引く。
音もなく放たれた氷の魔法弾は操縦席部分へと見事着弾し、穴を開けた。
「し、下から!? 生意気な真似を……死ねい!」
地上から狙撃を受けた事に驚くも、キャバリアダイブでチルのいる地上へ向けて特攻を仕掛けようとした、次の瞬間。
「な、なんだ……急に冷えて……レ、レバーも効かんだと……!?」
まるで氷漬けになったかのような錯覚を受けるゾルダートパイロットであったが、コクピット内が急激な温度低下に見舞われ、キャノピーも霜に覆われた事が錯覚ではなく現実であると思い知らされる。
チルが狙撃の際に『|氷術・滑《アイススムース》』を氷の魔法弾に乗せた事で、着弾したコクピット部分をピンポイントで凍らせた事が原因だ。
「さ、寒い……だ、誰か、助けて、く、れ……」
徐々に意識が超低温で奪われ、極寒の中で凍死したのか。
コントロールを失ったパンツァーキャバリアが地面へと墜落。
スクラップと化す。
「いかに凶悪な必殺技があろうと、使えなければ無意味」
それだけ口にするとチルは冷静に狙撃を続け、更に敵機を撃墜し地上にパンツァーキャバリアの残骸を増やしていく。
――生死の瀬戸際だからこそ、冷静沈着に対処する。
それこそが生存の秘訣なのだ。
大成功
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鳴上・冬季
「ある程度の鹵獲が済んだようですし、残りは廃棄でよろしいですか」
「黄巾力士だけに仕事を任せては、手を抜いたと謗られるかもしれません。折角足を運んだ世界でそう思われては業腹です。私もそれなりの成果を出すとしましょう」
嗤う
「自ら飛び込んでくるとは実にありがたい。その功に免じてその鉄の棺桶ごと焼き尽くして差し上げよう…七尾転仙」
人化の術解き巨大な七尾の雷狐に
物理攻撃無効で敵の特攻を無力化
逆に機体の金属部分を電撃放ちつつ通り抜け回路をショートさせ砲弾も誘爆させる
中のゾルダート兵も電撃で黒焦げにする
「異世界ではオブリビオンマシンに操られる操縦者も多かったことですし、再利用には気を付けてくださいね」
嗤う
●戦場に雷狐降り立つ
「ある程度の鹵獲が済んだようですし、残りは廃棄でよろしいですか」
戦場にパンツァーキャバリアの残骸がいくらか増えた辺りで冬季が獣人達に尋ねる。
どうやら敵襲の合間に工作兵が急ぎで応急処置と回収を済ませたらしく、ここに転がっているのは損傷の激しい物ばかりのようだ。
「そうだな、あんまり多いと回収も大変だしな」
「分かりました、ではそのように」
「……みんな、第三波だ! さっきよりも数が多いぞ!」
戦場を観測していた偵察兵の報せと共に、敵本陣からパンツァーキャバリアの増援が更にやってくる。
先程よりも数を増やしてきたのを見るに、こちらを全力で潰しに来たと言ったところであろうか?
「ま、まだあんなにいるのか!? く、対装甲武器の弾は足りるのか……?」
「ゾルダート野郎から奪った奴はまだあるが、一発でも無駄には出来ねえな……」
敵の多さに獣人達の戦意が少しばかり揺らぐ。
不利だった状況から一転、猟兵のおかげで戦況をひっくり返し、憎きゾルダートグラードを叩き出す直前まで来る事は出来たが、改めて敵の戦力を目にしてしまうと萎縮してしまうのも無理はない。
「なに、今は我々がいるのです。恐れる事などありません」
「ま、まあアンタがそう言うならそうなんだろうが……」
「黄巾力士だけに仕事を任せては、手を抜いたと謗られるかもしれません。折角足を運んだ世界でそう思われては業腹です。私もそれなりの成果を出すとしましょう」
先の戦いでは敵の塹壕の徹底的に荒らし回った様子を獣人達がその目で見ていた事から、彼らが冬季の実力を疑う事など微塵もない。
だが、本人的にはまだ暴れ足りないのだろう。
冬季は一人嗤うと、最前線へ向かっていくのであった。
「敵は一人のようだが何をするか分からん、一気に攻めるぞ!」
敵パンツァーキャバリアが冬季の姿を確認する同時に一斉に飛行状態へと移行。
空中を大回りで旋回しつつ、地上へ向けてキャバリアダイブを敢行する。
その様子を見て、冬季はニヤリと嗤った。
「自ら飛び込んでくるとは実にありがたい。その功に免じてその鉄の棺桶ごと焼き尽くして差し上げよう……七尾転仙」
詠唱と共に人化の術を解き、自身の姿を『|七尾転仙《ナナビテンセン》』で巨大な七尾の雷狐に変化する。
すぐさま向こうもその事に気付いたようだが、体当たりしてしまえば終わりだとばかりに空気を切り裂く音と共に高速で突撃するも……
「そら、死ねいッ! ……な、すり抜けアッバババババーッ!?」
渾身の突撃は雷狐と化した冬季の身を虚しくするりと抜けた。
その直後、激しい電撃が機体とゾルダートパイロットを丸ごと焼き、内包されていた爆弾や砲弾に引火・誘爆する事で次々と爆発四散していく。
……ただ突撃しただけで、だ。
そもそもにして機械で出来ているパンツァーキャバリアは電撃に弱い事は言わずもがなであり、七尾転仙で変身中の間は『雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力』を得ている事から、あの特攻攻撃はまさに自殺行為も同然であった。
仮に奴らが七尾転仙を目にした後、突撃を思い留まっていればもう少しは生存出来る時間が伸びていた事だろうが、全ては後の祭りだ。
「ふむ、こんなところでしょう。幾らかの成果は出せた事かと思いますが」
「ア、アンタ……キツネ獣人、だったのか? しかも自然階梯の……」
変身を解いて戻ってきた冬季を獣人達は再度の驚きをもって迎える。
たった一人であれだけの事をやってしまうのだから、当然の反応ではあるが。
「まあ似て非なる物とでも言っておきましょう。……ああ、それよりも」
「な、なんだ?」
「異世界ではオブリビオンマシン……ここではパンツァーキャバリア、でしたか。それに操られる操縦者も多かったことですし、再利用には気を付けてくださいね」
獣人達にそれだけ忠告すると、冬季はまた嗤うのであった。
大成功
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ロジャー・カニンガム
いやー、凄い数のパンツァーキャバリアですね
はじめからこの物量が投入されていたら、この防衛線も後方の街も我々が辿り着く前に木っ端微塵になっていたでしょう!
まあ…現状そうなっていない訳ですから、
敵指揮官殿の素晴らしい采配には感謝しなくてはなりませんね
さて、塹壕に邪魔されない空から襲ってくるのは確かに厄介ですが、
向こうも空中にいる限り、こちらからの攻撃を遮る物は一切存在しません
なので|追尾式ミサイルの弾幕《ユーベルコード》で撃ち落としてやりましょう
一発や二発ではありませんから、逃げ切れるとは思わない事です
しかしあの武装に変形機構まで備えていながら飛行可能とは…
どのような構造なのか、興味は尽きませんね
●ミサイル・フィーバー
「敵がまだ来る! まだ来るぞ!!」
「さっきよりも数が更に増えたぞ! 向こうも本気って訳か……!」
第四波の襲来に獣人達の間で緊張が走る。
出撃した部隊が立て続けに全滅した事を受け、向こうも異常事態と感じたのか。
敵本陣より現れたパンツァーキャバリアの数は倍に増えていた。
「いやー、凄い数のパンツァーキャバリアですね。はじめからこの物量が投入されていたら、この防衛線も後方の街も我々が辿り着く前に木っ端微塵になっていたでしょう!」
……しかしロジャーは動揺するどころか、むしろ楽しそうな様子だ。
確かに彼の言う通り、最初から物量ですり潰していれば守るべき彼らの故郷も今頃は焦土となり、屍が無数に転がる事になったに違いない。
そうしなかった理由についてはブリーフィングで語られた通りだが、結果的にそれが裏目に出て現在に至る訳だ。
「まあ……現状そうなっていない訳ですから、敵指揮官殿の素晴らしい采配には感謝しなくてはなりませんね」
と、何気に辛辣な事を口にするロジャー。
ある意味では敵が無能で良かったとでも言うべきか。
「さて、敵への対処は……おや?」
ロジャーが敵機のやってくる方角を注視していると、複数の新たな反応をセンサーアイが捉える。
光学式カメラが対象をズームすると、空を飛ぶ量産型パンツァーキャバリアの部隊……現在交戦しているのと同じタイプの姿があった。
あれだけの数ともなれば、さすがに獣人達では太刀打ち出来まい。
「同じ爆撃機型のようですね……さて、塹壕に邪魔されない空から襲ってくるのは確かに厄介ですが、向こうも空中にいる限り、こちらからの攻撃を遮る物は一切存在しません」
冷静に敵機を分析すると、ロジャーは周囲の獣人達に警告する。
「皆さん、一度後退するか伏せて耳を塞いでいて下さい。多分うるさくなりますので」
「え? うるさくなるって……そりゃどう言う事だ?」
「ミサイルで敵機を迎撃します、それも沢山。発射音が出ますよ?」
間近の爆音で耳がおかしな事になりたくはないでしょう?
そう告げると獣人達は言われた通りその場に伏せ、耳を両手で塞いでいく。
付近の獣人達の(耳の)安全を確保したのを見届けると、ロジャーは長距離から敵に次々とロックオンし、サイトを赤く染める。
「一発や二発ではありませんから、逃げ切れるとは思わない事です」
そしてロジャーは『|誘導弾斉射《ミサイル・サーカス》』で数多の追尾式ミサイルを一斉に発射する。
一発だけならまだしも、発射音が一斉に重なったとなればその音は凄まじい爆音……否、それ以上だ。
「獣人共め、我々の数の前に屍を晒すが……なッ、なんだァーッ!?」
「さ、散開ッ! 散開ーッ!!」
「ダメだ間に合わ……うあぁぁぁッ!!」
一方で、敵パンツァーキャバリアが眼下に潜んでいるであろう獣人達を視界に捉える直前、地上から放たれた無数のミサイルが牙を剥いて襲い掛かる。
ある者はあっと言う間に撃墜され、またある物は緊急反転し逃げようとするが追い付かれて落とされ、またある者は迎撃を試みようとガトリング砲で応戦しようとしたが、圧倒的な弾幕を前にあえなく撃ち落とされるなど、空中で爆発による花火が次々と花開きスクラップとなったパンツァーキャバリアが地へと落ちていく。
「……全敵撃墜確認。いいデータが取れましたね、開発主任も喜びそうです」
戦果を確認した後、センサーアイを青く光らせ喜びをアピールするロジャー。
今回の獣人戦線におけるフィールドテストの結果は良好なようだ。
「おいマジかよ、あれだけの数の敵を数分もしない内に……」
「しかしあの敵機、武装に変形機構まで備えていながら飛行可能とは……どのような構造なのか、興味は尽きませんね」
驚きを隠せない獣人をよそに、ロジャーは撃墜したパンツァーキャバリアに興味津々と言った様子で呟くのであった。
大成功
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初志・貫鉄
チーム『軽食屋台 功徳』
即興共闘歓迎
「デカイので来られちゃ、俺だけじゃ無理だな。」
コックコートを脱ぎ褌一枚になり、拳を握り天につき出し唱えよう。
「招来仏装 ふんどしん!」
天から落ちてくるキャバリアに乗り込めば、即座にUCを使い、覇気を纏い大空に舞い上がる。
流石に、兵隊さんの砲撃待ちは出来ないので、申し訳ないがここは猟兵の仕事ってことで。
敵のキャバリアの位置情報等をヒヨクコウリンを通し、パートナーに送信。
俺の仕事は、偵察と撹乱、足止め。
野生の勘と見切りで回避。オーラ防御で撃墜を避ける。
戦闘終了後は、約束を守らなくちゃな。帰陣後、軽食屋台功徳、臨時開店!特製五段重ねバーガーの大盤振る舞いだ!
リムティア・クィリス
チーム『軽食屋台 功徳』
即興共闘歓迎
「後詰めは大事だけど、コックさんがいなきゃ機動厨房も只の装甲車なのよね。」
功徳丸を運転してゲートを越え、味方陣地内で安定する場所に駐車してから、キャバリアに搭乗。
最前線との距離はあるけど、UCを使えば狙撃手のお仕事は出来るのよね。
的の大きいボディよりも、攻撃と飛行の要の手を部位破壊したいわ。
流石に長距離反撃はないと思いたいけど、こまめな移動と味方塹壕の地形利用も大事よね。
キャバリアって大きいけど、ないよりは……ね?
戦闘が終われば、臨時開店らしいから開店準備ね。当店にお酒はございませーん。代わりに、強炭酸コーラで、この場で得た勝利の余韻にハジケちゃってね。
●決着、そして……
それは突然の事であった。
獣人側の塹壕にある陣地内に大きなゲートが開かれる。
未知の何かが自陣に現れた事に、獣人達がざわめく。
「な、なんだ!? 中から何かが出てくるぞ!」
「まさか敵か!? くそ、ここにいるのは負傷兵ばかりだってのに……!」
獣人達は傷付いた体に鞭打って、動ける者達が武器を片手に警戒する。
開かれたゲートの中より現れたのは大型トレーラー『功徳丸』であった。
「はい、到着っと! ええと、駐車出来そうなところは……」
トレーラーの窓が開くと、後詰としてグリモアベースよりやってきたリムティア・クィリス(愛され看板おねーさん・f26831)が周囲を確認……すると、早速獣人達から銃を向けられている事に気付き、慌てて口を開く。
「ああ、待って待って。私は敵じゃないから。あなた達を助けに来たのよ」
「なんだって? まさか……猟兵、か?」
「そう、その猟兵! ……っと、どうやらもう最前線で派手に始めてるようね」
遠方から聞こえてくる戦闘音を耳にしたリムティアが、こうしてはいられないと功徳丸をバックさせ安定しそうな場所に駐車。
その後、運転席から降りトレーラーの荷台を開く。
その中には一台の女性型軽装甲キャバリア『アメノウズメ』があった。
「後詰めは大事だけど、コックさんがいなきゃ機動厨房も只の装甲車なのよね」
一人呟き、リムティアがアメノウズメに搭乗。
機体を起動させ、荷台部分が左右に開く事でその姿を現す。
「おお、アレは……パンツァーキャバリアだ!」
「あのデカいトラックに積んでいたのか……!」
強力な援軍の登場に、獣人達が沸く。
これなら敵が攻め込んできても安心だ、と言ったところであろうか。
「さてさて、急がないと」
すぐに味方だと認識してもらえた事にホッとしたリムティアが、アメノウズメを動かし荷台部分に置かれていたロングレンジライフル『ミスティルティン』を掴む。
武器を手に取った直後、機体のメインカメラを戦闘音が聞こえてきた場所……敵本陣の付近に向け一気にズームすると。
「ウチの人は……あ、いたいた。やってるわね」
コクピット内のメインモニタに映し出されたのは、パートナーである貫鉄がジャイアントキャバリアで戦っている姿であった。
その様子を確認してすぐ、リムティアは貫鉄に向けて『到着した』と連絡を入れる。
これでこちらの準備は完了だ。
――時はいよいよ後がなくなり、敵が第五波を投入し最後の戦いを挑んできた頃。
リムティアがやってくる前に遡る。
「……なあアンタ、パンツァーキャバリア相手にはやっぱ拳で戦うのか?」
「いや、さすがにデカイので来られちゃ、俺だけじゃ無理だな」
「無理かぁ。拳でガンガン敵をブチ壊す様を見てみたかったんだがなァ」
交戦の直前、獣人が冗談めかして返す。
これまでの戦いで彼らも少しだけ冗談を言える余裕が出てきたようだ。
「お前さん達の期待には添えられんだろうが……まあ見ていてくれ」
それだけ言うと、貫鉄はコックコートを脱ぎ褌一枚になった。
この謎の行動には獣人達も目を白黒させるしかない。
「ア、アンタ!? 一体何を……」
「招来仏装、ふんどしん!」
貫鉄は拳を握り天に突き出し魂の叫びを放つ。
すると次の瞬間、天より何かが落ちてきたではないか。
落ちてきたのは貫鉄のジャイアントキャバリア『明王仏装 憤怒神』である。
そのまま彼は落ちてくる憤怒神に向けてダッシュすると、猛然と飛び乗り『|孔雀明王尊浄瑞嵐《マハーマーユーリー》』で覇気を纏い、大空に舞い上がる。
「ここから先は猟兵の仕事だ。お前さん達は安全な場所に下がっていてくれ」
眼下の獣人達にそう告げると、憤怒神は敵パンツァーキャバリアと戦闘を開始する。
ここでの彼の役割は偵察と撹乱、敵の足止め。
パートナーの到着まで、あくまでやりすぎない程度に戦いつつ敵の狙いをこちらに集中するのが主な目的だ。
「ええい、奇妙な奴め……落ちろ!」
突然天より降ってきた何かに面食らうゾルダートパイロットであったが、それが敵だと認識するや即座にガトリング砲による攻撃を仕掛ける。
「そうだ、どんどん撃ってこい。俺はここだ!」
例えに憤怒神搭乗していても、動きのキレは生身の時と変わらない。
地上から放たれる対空砲火を貫鉄はアクロバティックめいた動きで躱していく。
「リム、早く来いよ。でなければ、待ちくたびれて獲物に手出ししてまうぞ?」
空中を飛び回りつつ、敵のガトリング砲による弾幕を避け続ける貫鉄。
……それから少しすると、リムティアより到着の連絡が入ってきた。
「来たか。さあ、やってくれ」
貫鉄は素早く敵のキャバリアの位置情報等を憤怒神の背面部に装着されている片翼型レーダーユニット兼バランサー『ヒヨクコウリン』を通し、送信する。
これでお膳立ては全て整ったと言えよう。
「はいはい、敵位置確認っと。演算処理全開、外装排除後排熱システム全開……」
リムティアは貫鉄より送られてきたデータを確認すると、すぐさま『|岩戸の隙間抜き《ネイキッド・スナイピング》』で高機動狙撃モードに移行すると、獣人側の塹壕より数キロ先に見える敵の本陣に照準を合わせる。
このモードでは防御力が大幅に低下するものの、攻撃力と射程距離を強化する事から長距離狙撃には持ってこいのユーベルコードだ。
「そこっ」
放たれた狙撃は貫鉄と交戦中のパンツァーキャバリアの腕部分を的確に射抜き、一撃で破壊する。
相手は交戦中と言う事で、空中を動き回っている状態であるにも関わらず、こうして狙撃を決める辺りはさすがの腕前だ。
「なんだ、狙撃!? コ、コントロールが……!」
一方で見えない場所からの攻撃を受け、攻撃と飛行の要となっている腕を破壊された事で墜落するパンツァーキャバリア。
一体どこから撃たれたのかを知る間もなく、地面に叩き付けられ爆発する。
「はい当たり。流石に長距離反撃はないと思いたいけど、こまめな移動と味方塹壕の地形利用も大事よね」
念のためと言う事でリムティアは狙撃地点を移動して狙撃、その後また移動して狙撃と万一の事を考慮しつつ、敵機を確実に射抜いていく。
そのため、どこから撃たれているのかは分からず……
「ええい、誰か早く敵の位置を……ぐぁッ!? お、落ちる、落ちるゥーッ!?」
「し、指揮官!? いかん、指揮官が落とされ……うわッ!?」
……実際のところ、向こうに反撃する手段はなく、ただ一方的にやられていく事しか出来ないまま最後に残っていたパンツァーキャバリア隊も全滅。
侵攻してきたゾルダートグラードの大部隊は壊滅と言う結果に終わるのであった。
「さあ、生きて帰ったからには約束を守らなくちゃな。軽食屋台功徳、臨時開店!」
「「「うおぉぉぉぉーッ!!」」」
貫鉄が約束の特製五段重ねバーガーをドカッと簡易テーブルの上に置くと、獣人達の間から歓声が沸き上がる。
戦いの後、猟兵達は獣人達の陣地……リムティアが停めた功徳丸の付近で戦勝パーティーを行っていた。
生きて帰った獣人達への最高のご褒美タイムである。
何せここまで缶詰やビスケットだけで食い繋いできたのだ、命を賭けた激戦の後の旨い飯ほど格別な物もあるまい。
「……かぁぁぁーッ、こいつぁ美味ェぜ! 姉ちゃん、ビールはねえかビール!」
「当店にお酒はございませーん」
飲めや歌えやの宴会モードの中を動き回るリムティアが舌を出して答えると、獣人達の間から『えぇー』と溜息が漏れる。
「代わりに、強炭酸コーラで、この場で得た勝利の余韻にハジケちゃってね」
とリムティアは冷蔵庫から次々と強炭酸コーラを取り出し、受け渡していく。
「……リム、相変わらず上手く決めてくれたな」
「ええ、そりゃあもう誰かさんのおかげでやりやすかったですしー?」
周囲が賑わいを見せる中、屋台内で獣人達に振舞う糧食製の肉を忙しなく焼く貫鉄がリムに声を掛けると、彼女は笑ってそう返すのであった。
――戦勝パーティーはまだ始まったばかりである。
大成功
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