都市伝説や昔話の導入として、連綿と語り継がれるお決まりの文言の1つ。
「怪物の肉は得も言われぬ美味を誇り、食した者に不老長寿を齎す」
その真偽は定かではないが「|怪物《UDC》を食材として提供する店」は確かに「実在」していた。
「UDCはそういう飲食店を『UDCダイナー』と呼称し、発見次第即座に取り潰しを行っております」
大富豪だけを相手にする孤島のレストラン、パスワード式のエレベーターでのみ入店できる秘密の寿司屋、あるいはロードサイドにぽつんと佇む、かつては盛況だったであろう寂れたドライブイン……そこの店主がどのような経緯でUDCを使った料理を提供するようになったのかは不明である。
究極の美食を求めて? シェフの私怨が狂気に変わって? ……いずれにせよ、料理を提供する料理人、店員、そして常連客達はUDCの肉を日常的に食した事で既に人ならざるものに変貌してしまっているという。
「そんなUDCダイナーと思われるレストランが1つ新たに分かりました」
そう言ってルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は豹のマスクを模した紋章が刷られた名刺を集まった猟兵達に見せた。
「元プロレスラーの方が営業されているカレー屋、とのことです」
そのことが発覚したのは、全くの別件でとある企業が摘発されたことがきっかけだった。
訪問したUDC職員達を前に、その会社の会長と直属の秘書が人と蟲が入り混じった姿に変異したためにその場で討伐された。
そして家宅捜索や使用人からの聞き取り調査を経て浮上してきたのがそのカレー屋だった。
UDCの肉が使われた料理には「虫歯が治る」「肌が若返る」などの普通の食材ならもたらされない健康効果が確認されており、当の会長も数年前に自宅で転倒したことによる後遺症で足が不自由だったが、最近杖を使わず自分の足だけで散歩している姿を近隣の住民達に目撃されていた。
おそらく会長はUDCダイナーの恩恵に与ったのだろうとUDCは推測している。
「多い時は1日に2〜3回は行ってたそうで。知人にも『ここのカレーを食べたら人生が変わる』と何度も熱心に誘っていたそうです」
さて、問題のカレー屋へ話を戻そう。
店主である元プロレスラーは現役時代そこまでパッとした成績は残せなかったが、料理が趣味で所属していた団体のHPに自慢のレシピをいくつか公開しており、引退後にこのカレー屋を開いたのはコアなファンの間では有名な話であった。
その店に対する某グルメサイトの評価は星3.1。
店のある山の麓にある契約農家から仕入れた鶏や野菜をふんだんに使ったカレーは味自体はファン贔屓を抜いても星4、5に相当すると絶賛されていたが『美味しいカレーは水から』という理由から一部の車が入れないほどの山奥に開いたことが大きく評価の足を引っ張っているようだ。
ただ一番新しいレビューの投稿日は今から約1年前で止まっている。
単純に不便すぎてレビューを書く人間が行かなくなったのか……というわけではなく、カレーをこよなく愛するブロガーが自身のサイトで最後のレビューが投稿された日にちの数日後にアップしていた記事にその理由と見られる情報が書かれていた。
「ここですね。『鳥インフルエンザや高齢化による契約農家さんの廃業が影響して、近々完全予約制に移行するという』……この時点ではまだ普通のカレー屋だったと思われます」
UDCがこのブロガーに取材を申し込んだところ、快く応じてくれた。
ブロガー自身はこの記事を書いてから店を訪れていなかったものの予約するのに必要な条件である名刺は貰っていた。
「この名刺に書かれている携帯番号からしか予約は取れず、入店の際は入口のドアの隙間からこの名刺を入れることで鍵が開かれる仕掛けだそうです。そして帰るときに自分の名前が印字された名刺の束が渡されることで、他の方に紹介する権利が得られるそうで……今回は会長の家から押収したこの名刺を使って問題のカレー屋に入店します。生前に渡された、とかなんとか理由をつければ怪しまれることはないでしょう」
そのカレー屋が本当にUDC入りの商品を提供しているかどうかは確定していない。あくまで状況的に「怪しい」だけである。
今回、猟兵達はこのカレー屋が白か黒かを判断するために実際にカレーを頼み、食することが必要となる。
もしいきなり軒先で大暴れして、全くの無罪だったらただの迷惑・業務妨害になってしまう。また真っ黒だったとしても、騒ぎに気付いた瞬間に逃亡して行方をくらましてしまうだろう。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず……今回は相手の目前にまで迫ってあちらから出てきたところを叩いてください。もちろん、どうしても食べたくない場合は『食べている風に装ってバレないように別の容器に移し隠す』とか『食べる必要のない他の依頼を受ける』ことも出来るでしょう。無理はされないでください」
そう断りを入れた上で、ルウは話を聞いていた猟兵達の顔を改めて見回した。
「UDCからの注文は『もし黒であれば店にいる者誰一人逃すな』です。負の連鎖は自ら足を踏み入れてしまった者の間だけで止めましょう」
平岡祐樹
皆様、ゲテモノ? カレーのお時間です。
お疲れ様です、平岡祐樹です。
1章は問題のカレー屋に客として潜入します。
UDCが食材として使われた料理全てを完食しなければ、オーナーシェフである店主を表に引きずり出すことはできません。
ちなみに猟兵が食べてもあとで腹をUDCに食い破られたり、怪物に変貌してしまうことはありません(むしろ10人中10人が見て分かるレベルで健康になります)。
腹を括って食べるか、バレないようこっそり処分して完食したように見せかけるかは各自にお任せします。
相対する者はもうすでに後戻りのできない状態です。情け容赦は無用ですので全員始末してください。
ちなみに顧客名簿などを見つけられれば、偶然この日に訪れてなかった常連客をUDCが数珠繋ぎに確保することが可能となります。証拠となる書類が燃やされたり裁断されたりしないかは、皆様のプレイング次第です。
第1章 冒険
『UDCダイナー潜入』
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POW : 気合いで全部の料理を食べる
SPD : 他の客や店員にバレないよう、食べているふりをしながら料理を始末する
WIZ : 万一に備え、薬や魔術でUDC食材の危険に対策しておく
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大丸・満月
アドリブ可
というか…小型車でもこんな山道に来れる奴は
大抵健康になれそうな気がするがな。
そんな事言いつつお店へ。
まあ一応グールドライバーの影響で
UDC食ったら痩せる体質だからリトマス試験紙として最適だわな。
とりあえず食べて痩せてきたら健康になったというのに
紛れる気はするが、念の為【フェロモンモード】発動して
魅了出来るだけ周りの店員や客を釘付けにして
後から来た仲間の不信感を減らしていこう。
痩せながらカロリーを取り続けるから
どんどんフェロモンを上げつつ大食いしていくか。
今の所はまだ見た目は人間だからな、
モテても悪くないが…後から虫になるんだよなぁ。
そこが微妙だなと思いつつ喰い続ける。
舗装されていない山道の途中で大丸・満月(人間のグールドライバー・f42686)は立ち止まって小太りな体を伸ばした。
周囲は木々に覆われており絶景というわけではない。ひょっとしたらお店のある場所だけ拓けているのかもしれないが。
「というか……小型車でもこんな山道に来れる奴は、大抵健康になれそうな気がするがな」
懐に忍ばせてある名刺の元の持ち主は足を悪くしててもこの悪路を杖をついて登り切ったはず。病は気から、というが健康に対する執念を想像すると思わず舌を巻いてしまう。
しばらく進んでいくと木で作った粗雑な看板が見えてきた。そしてその表記に従って坂を下ると一軒の民家が姿を現した。
その扉にポッカリと開いたポストの口に名刺を放り込む。すると鍵が開けられる音がした。
「いらっしゃいませ」
中から扉を開けた店員がニッコリと微笑んで満月を店内へ案内する。
中央にキッチンがあり、その周りにカウンター席やテーブル席がある様子は店主の前職の仕事場、プロレスリングを彷彿とさせた。
1人であるがテーブル席に通された満月は、まずはトッピング無しのオーソドックスなカレーを注文した。
先客の背中越しに見える厨房を1人で回している———おそらく店主であろう男はマスクを被っていた。ファンサービスなのか、それとも。
水を飲みつつ、備え付けの福神漬けとらっきょうを見聞していると先程の店員が銀皿に載せられたカレーライスを持ってきた。
「お待たせしました、タイガーカレー大盛りですー。そちらの福神漬けとらっきょうが無くなったらお声がけくださーい」
そして伝票と一緒に束になった名刺が置かれた。説明はなかったが、本来ここに来るまでの経緯を知っているなら長々と言う必要は確かにないだろう。
店員が去ってからカレーを口に含めば程良い辛さとコクが広がった。市街地では中辛と名乗っていてもかなりスパイシーな店もあるが、ここはそういうことは無さそうである。
半分くらいまで平らげた満月は水を飲むために一旦食べ進める手を止めてコップに視線を移す。
そこには汗を大量にかいてないにもかかわらず、顎周りがちょっと細まった自分の顔が映っていた。
グールドライバーになったことで発現した「UDCを食べたら痩せる体質」はリトマス試験紙として最適。もちろん、判定は黒だ。
コップの中身を完飲して一息ついた満月は念の為【フェロモンモード】を発動する。
このフェロモンの元となるのは脂肪。そして脂肪を形成する物はカロリー。いくら食べれば食べるほど痩せてしまうUDC料理でもカロリーは存在する。
カロリーが脂肪に蓄積する経緯を丸ごと省略して、即座に魅了の力へ変換される。
食べたそばから痩せてきたら普通ならおかしいが「健康になった」というのに紛れる気はしている。だがわざわざ魅了の力を発現させたのは客や店員の意識を自分に向けることで、後から来店してくる同胞達が何か粗相を犯しても不審に思われないようにするためだった。
「今の所はまだ見た目は人間だからな、モテても悪くないが……後から虫になるんだよなぁ」
そこが微妙だな、と思いつつ満月は最後の一口を飲み込んでテーブルに置いてあったメニュー表に手を伸ばした。
「すいません」
追加の注文を求めるための声に客や店員の視線が満月に向けられる。そして何の気配もなく張られていた魅了の網に絡め取られた。
大成功
🔵🔵🔵
アラタマ・ミコト
此度の戦に向け長きに渡る修練を積み重ねてまいりました。
荒魂鎮神命、いつでも準備は出来ております。
……さあ、徳を積み『れあどろっぷ』確率を跳ね上げたあらたまちゃんの戦いが今始まるのです!
ここの『れあどろっぷ』は全てあらたまちゃんが頂くのです!!
「此度の戦に向け長きに渡る修練を積み重ねてまいりました。荒魂鎮神命、いつでも準備は出来ております」
店員からの最後の確認にアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は自信満々に頷いた。
『昨日は8時間程『だんじょん』に籠もって『げーじ』を貯めてきたのです。今なら『れあどろっぷ』間違いなしなのです!!』
「は、はぁ……」
自信満々なアラタマの姿に店員は困惑と疑念を抱く視線を向ける。
それもそのはず、顔色が病人のように悪い小柄な女の子が特盛りのトッピング全載せを頼んだからである。
絶対に食べ切れないだろう、とやんわりと諭しても全く引く様子のないアラタマに店員は折れて厨房に注文を伝えた。
そうしてアラタマの目前に山盛りのご飯にルーと揚げ物がこれでもかと盛られた皿が鎮座することとなった。
その横には単純に皿に乗せ切れなかったのか、味がぶつかり合うことを避けたのか、多種多様なトッピングを載せた小皿が並べられていった。
店員が何度も何度も厨房と席を往復する様に周囲の客も思わずカレーを貪る手を止めて視線を向けてしまう。
「これが『かれぇ』でございますか」
わけのわからない怪物の肉やら何やらが入っているとは聞いているが、猟兵の体に支障はないならば何ら問題はないだろう。食べ切れなくともその分は「いんべんとり」にこっそり入れて「ゆーでぃーしー団体」のしかるべき部署に提供すればいい。
「それでは、いただくのです」
約8時間飲まず食わずでレベリングやらファームをしてきたアラタマの体にスパイスの効いたコク深い液体と米が染みていく。
ただどんな難病も治すカレーでもすでに即身仏———屍人であるアラタマの頬に血を通わせることは出来なかった。
成功
🔵🔵🔴
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください
・何か役立つ素材があれば【何でも工房】でアイテムや建造物の合成を短時間で行えます
UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
ゲームの中なら蜘蛛の目やらトカゲの尻尾やら平気で食ってたし食わせたりもしていた。
しかしそれはあくまで画面の中、自分とは全く関係ないからこそ出来た所業。実際に目の前にそれが出されるのとは全然話が違う。
印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は店員から見えない角度で引き攣った笑みを浮かべていた。
「一応僕が食ったら寄生されずに健康になれるらしいけどさ……」
有事に備えて連れを装って召喚しておいたエイラが対面に控えてくれているものの、ある問題が起きていた。
カードのキャラである彼女はカレーを食べられない。つまりラビニアは2人前のカレーを食べなければならないのである。
最初ラビニアは普通に自分の分のカレーだけを注文するつもりだった。しかし店員から「お連れ様もお決まりですか」と聞かれたところで歯車は狂った。
ここに山を登ってきてまで来て、自分は食べずに|人《ラビニア》が食っているのを見ておしまい……それはあまりにも不自然すぎる。
|男《もと》の体なら、まあ2人前でも何とかなっただろう。しかしバグプロトコルの汚染によって女体化してしまった今の胃袋で乗り切れるかどうか。
疑われるか、体の限界に挑むか。|小心者《ヘタレ》の慧兎が取った選択は。
「お待たせしました、16文カツカレーです」
「どうも……」
UDCの肉を使ったカツなのか、ルゥに溶け込んでいるのか、目の前に置かれたカツカレーを前にしてラビニアは深く息を吐く。
「そしてこちらがセンジョ野菜カレーです」
ああ、なんで僕はボリューミーな物を先に注文してしまったのか……。
まさに後悔先に立たずであるが、ラビニアは意を決してスプーンを手に取って挨拶をした。
成功
🔵🔵🔴
ティナ・ルウ
美味しいカレーがお腹いっぱい食べられると聞いてやって来ました。
山奥でも山育ちのティナなら平気ですから。
行動や思考が獣に近く、普段から魔物の肉も普通に食べているのでUDCの肉入りカレーでも平気ですから。
念のためフードファイト・ワイルドモードで肉体も活性化させておきます。
今回は表向きは普通のカレー屋なので、立って歩いたり、食器を使って食べるなど人間のように頑張って行動するようにします。
いつものように四つ脚で歩いて床に座って食べ始めたら確実に不審者ですから。
(UDCのスタッフに念入りに言われたので)
※プレイングはですます調ですが、実際の口調は人の言葉に慣れていないので、たどたどしい感じです。
美味しいカレーがお腹いっぱい食べられると聞いてティナ・ルウ(人狐・f19073)は意気揚々と店員が掌を差した方へ向かう。
車が通れない険しい山道でも山育ちのティナにとっては日常茶飯事。普段から魔物の肉も普通に食べているのでUDCの肉入りカレーも全然平気。
ただUDC職員が心配していたのは、周りに見知らぬ人がいる時につい普段の行動をしてしまわないか……の方であった。
ティナの行動や思考は獣に近く、普段は四つ脚で歩いて床に座って食べている。しかしいくら外界から隔絶された場所にあるとはいえ、表向きは普通のカレー屋。いつもの調子でいたら確実に不審者扱いである。
なのでUDC職員から念入りに言われていたティナはちゃんの後ろ脚だけ使って立って歩いて、席についた。
ただ道中どうやって行くか、ということに釘を刺していなかった結果、お手拭きは真っ黒になった。
「おすすめ、どれ?」
「おすすめですか?」
「ティナ、なんでも、食べる! おじさん、何食べてもいい、言ってた!」
ニコニコ笑顔で背もたれの隙間から通した尻尾を振るティナだが、ここで怪訝に思う客はいなかった。……気づいていてもわざわざ言いにこないだけかもしれないが。
見ている猟兵達が肝を冷やす中、ティナの前へ大判のカツが乗ったカレーが運ばれて来る。
「うわぁ!」
「お待たせしました、16文カツカレーです」
ここで口からがっついてはいけない、と食欲に抗ったティナは【フードファイト・ワイルドモード】に体を整える。このあと店主さんと戦うなら、このカレーからいっぱいパワーを貰わなければならないからだ。
ティナは使い慣れないスプーンを鷲掴むと、周りにいる他の人間と同じようにルゥとご飯を一緒に掬い取って口に入れた。
「んん〜っ!」
食べ慣れないスパイスで口の中がヒリヒリする。でも食べたいと思う手が止まらない。
カツも乗せようとするがなかなか乗らない。でもフォークを突き刺せば簡単に取れた。
ルゥに浸っていたことで衣はサクサクじゃない。でもものすごく合う。
「おねーさん、おかわり!」
あっという間に食べ終わったティナは元気に声を上げる。
ただここは飲食店。どれだけ食べても無料な社員食堂とは話が違う。
この女の子はお家と同じ感じで言ってないか、と疑いを持った店員は恐る恐る尋ねる。
「もう一皿、同じ物をご注文ということでよろしいですか?」
「うん!」
念の為の確認に対してティナは元気に頷いて財布を見せる。中にお札がいっぱい入っているのをみて、店員は厨房に追加の注文を伝えに行った。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ジャガーマスク』
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POW : ジャガークロー
【鉤爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 残虐ファイト
戦闘中に食べた【贄の血肉】の量と質に応じて【全身の獣化が進み】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : ファナティック・ビリーバ―
戦闘力のない【儀式を見守る狂信者達(ファン)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【偉大なる神を讃える声】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:蛭野摩耶
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「エルサント・エストレージャ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「お初のお客様でしたね。お口に合いましたか?」
初めての来店者に名刺を渡すためか、厨房から店主が出てくる。
現役時代き被って活動していたのか、その素顔はジャガーを模したマスクに隠れて見えなかった。
しかしUDCによって意識を混濁させていなかった猟兵達には分かった。そのマスクが店主の体と癒着して、すでに一体になっていることを。
「すでに知られているとは思いますが、こちらを入れれば当店で注文することが出来ますので。近しいご友人などに配っていただけるとこちらは嬉しく思います」
そう言って人間の物ではなく肉食獣の牙が生えている口で笑みを浮かべた。
ティナ・ルウ
ティナとしては美味しいカレーを食べさせてもらいましたし(きちんとごちそうさま、と言います)、ティナを攻撃してきたわけではないので、できれば戦いたくはないのですが、怪物になるカレーを出す店とバレた上店主自身も完全に人間ではなくなっているので戦わずにはすまなそうですね。(降参はしてくれないでしょうし)
戦闘になれば向こうも正体を出して来るはずなのでこちらも吠えたり唸り声を上げて威嚇したり四つ脚で歩き爪や牙で戦う獣に近いティナ本来の形で戦います。
向こうも獣化するので、獣同士力と力で真っ向からぶつかるつもりです。
※プレイングはですます調ですが、実際の口調は人の言葉に不慣れなので、たどたどしい感じです。
「うん! とーってもおいしかた! ごちそうさま!」
ティナとしてはとっても美味しいカレーを食べさせてもらったし、殴りかかられもしてないので、文句もなく素直に笑顔で手を合わせる。
もちろん、獣じみた視力で店主の頭部の毛皮と上半身の間に着脱可能であることを示す隙間がないことには気づいていた。
でもティナはこのカレーを気に入っていた。
店主がもう人間で無くなっている、ということを待機しているUDCの人に伝えて、突入してもらって、抵抗もなく確保されて、UDC-Pに登録されて、出来れば食堂でUDCの肉を使わないカレーを作ってくれないかな、とまで思っていた。
「ところでお客様は、蝶野様からいつ頃この名刺をいただいたのでしょう?」
「ちょーの?」
そんな時にかけられた質問にティナが首を傾げると店主は笑顔のまま爪をたてた。
「ええ……この間どっかの誰かさんに殺されてた俺の常連客様だよ!」
そして突然荒くなった口調と共に筋骨隆々とした腕が思いっきり振り下ろされると直撃したテーブルは割れて高々と空の皿やフォークが宙を舞った。
ティナはその破片を被る前に咄嗟に跳んで、両の手足で店の床を捉えて止まる。
店主は「近しいご友人などに配って」と言っていた。しかしティナはもらった相手の名前を知らない。聞こうともしなかった。
答えられなかったことで店主はティナが本来の持ち主からもらったのではないと判断したのだろう。実際正しいのだが。
興奮からか、鼻で息をする店主の体からは絶えず骨が鳴る音がして、二足歩行から四足歩行しか出来ない体系に変わっていた。
直感からきてくれなさそうだな、と残念がりつつティナは四つ脚の体勢のまま唸り声を上げて威嚇する。
煩わしそうに着ていた服を爪で剥ぎ取り、完全なジャガーと化した店主は咆哮と共にティナへ襲いかかった。
しかし四つ脚で歩き爪や牙で戦うのは獣に近いティナ本来の形。
獣同士力と力で真っ向からぶつかり合い、男女の斤量の差を感じさせないほどの拮抗を見せる。
それは【フードファイト・ワイルドモード】による身体能力の底上げだけでなく、UDCの肉を摂取したことによる効能も多分にあっただろう。
衝突に巻き込まれてしまった空の椅子が音を立てて横転する。しかしこの間も他の客は一心不乱にカレーを貪っている。
それは火事の中でもラーメンを啜る客がいるのと同じように、はたから見て異様な光景であった。
大成功
🔵🔵🔵
大丸・満月
アドリブ連携可
あー、美味かった。
だがまだ足んねーなぁ…言うが早いか中央のキッチンへ走る。
そしてカレーや料理をガンガン【大食い】で食べていく。
これまでなら単なる食欲の暴走か敵か戦いながらだと
判断が遅れるはず。
そのまま向かってくるまで食べたら【ワイルドイート】発動、
こんだけ美味かったら質も充分だろと強化された分のスピードで屈むとジャガークローを躱しながらの水平蹴りで転がすか。
蝶野って名前が出て、相手プロレスラーなら後二人の技をどっちか出さないと失礼だろと言いながらキッチンに飛び乗ってからジャンピングエルボードロップを畳み掛ける。
悪いな、オレはメジャーよりインディーが好きでな
こういうのが好きなんだ。
「あー、美味かった。だがまだ足んねーなぁ……」
UDCの肉や体液が大量に含まれた物体を取り込んだことですっかり精悍な顔つきになった満月は言うが早いか中央のキッチンへ走る。
どうやら店主一人で回していたらしく、中に他の店員はいなかった。
「お客様!?」
単なる食欲の暴走か、商売を妨害する敵か分からないまま慌ててやって来たホールの店員にへ近くにあったフライパンを投げつける。
いくらUDCとなっていても今の満月の腕力から放たれたそれを顔面から食らってはひとたまりもなく、店員はひっくり返って気絶した。
自分達猟兵軍団が食べ始めて以降に新しい注文やオーダーがなかったため、カツなどの調理済みのトッピングはまな板などの上にはない。
でも炊き上がったご飯はある。すでに火が入って温まった油はある。そして仕込み済みのトッピングの用意も。
しかし満月はそれらを用意する手間も惜しいかの如く、コンロにかけられたままの寸胴いっぱいに煮込まれているカレーをお玉で掬って食べ始めた。
立派な営業妨害だが、カレーに夢中でティナと店主のキャットファイトにも興味を示していない客は誰一人として騒がない。
そして店主もティナとの戦闘中かつジャガーの狭い視野では、満月がお玉で掬いきれなくなった分を攫うために寸胴を持ち上げるまでキッチンの異変には気付けなかった。
「ガアッ!」
完全に人らしい発声を失った店主がティナを突き飛ばしてからキッチンに飛び込む。
「こんだけ美味かったら質も充分だろ」
空になった寸胴を床に転がして満月は強化された分のスピードで屈み、強靭な前脚から振るわれまジャガークローを躱す。
そのついでに放った水平蹴りで店主の後ろ脚を払って転がした。
「にしても蝶野ねぇ、偶然かもしれないが相手プロレスラーなら後二人の技をどっちか出さないと失礼だろ」
そんなことを言いながら満月はキッチンに飛び乗って振り返る。
「悪いな、オレはメジャーよりインディーが好きでな。こういうのが好きなんだ」
そして前口上を終えると飛び上がって自身の片肘を振り下ろしながら倒れ込み———かつて「破壊王」と呼ばれた男の十八番であったジャンピングエルボードロップを畳み掛ける。
最初の足払いこそしばらく動けなくなるほどの一撃ではなかったが、四つ脚になったことで上から見た表面積が増していた店主は避け切れずに背中で重い一撃を喰らうことになった。
大成功
🔵🔵🔵