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カレーなる変貌

#UDCアース #UDCダイナー

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 都市伝説や昔話の導入として、連綿と語り継がれるお決まりの文言の1つ。
「怪物の肉は得も言われぬ美味を誇り、食した者に不老長寿を齎す」
 その真偽は定かではないが「|怪物《UDC》を食材として提供する店」は確かに「実在」していた。
「UDCはそういう飲食店を『UDCダイナー』と呼称し、発見次第即座に取り潰しを行っております」
 大富豪だけを相手にする孤島のレストラン、パスワード式のエレベーターでのみ入店できる秘密の寿司屋、あるいはロードサイドにぽつんと佇む、かつては盛況だったであろう寂れたドライブイン……そこの店主がどのような経緯でUDCを使った料理を提供するようになったのかは不明である。
 究極の美食を求めて? シェフの私怨が狂気に変わって? ……いずれにせよ、料理を提供する料理人、店員、そして常連客達はUDCの肉を日常的に食した事で既に人ならざるものに変貌してしまっているという。
「そんなUDCダイナーと思われるレストランが1つ新たに分かりました」
 そう言ってルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は豹のマスクを模した紋章が刷られた名刺を集まった猟兵達に見せた。
「元プロレスラーの方が営業されているカレー屋、とのことです」
 そのことが発覚したのは、全くの別件でとある企業が摘発されたことがきっかけだった。
 訪問したUDC職員達を前に、その会社の会長と直属の秘書が人と蟲が入り混じった姿に変異したためにその場で討伐された。
 そして家宅捜索や使用人からの聞き取り調査を経て浮上してきたのがそのカレー屋だった。
 UDCの肉が使われた料理には「虫歯が治る」「肌が若返る」などの普通の食材ならもたらされない健康効果が確認されており、当の会長も数年前に自宅で転倒したことによる後遺症で足が不自由だったが、最近杖を使わず自分の足だけで散歩している姿を近隣の住民達に目撃されていた。
 おそらく会長はUDCダイナーの恩恵に与ったのだろうとUDCは推測している。
「多い時は1日に2〜3回は行ってたそうで。知人にも『ここのカレーを食べたら人生が変わる』と何度も熱心に誘っていたそうです」
 さて、問題のカレー屋へ話を戻そう。
 店主である元プロレスラーは現役時代そこまでパッとした成績は残せなかったが、料理が趣味で所属していた団体のHPに自慢のレシピをいくつか公開しており、引退後にこのカレー屋を開いたのはコアなファンの間では有名な話であった。
 その店に対する某グルメサイトの評価は星3.1。
 店のある山の麓にある契約農家から仕入れた鶏や野菜をふんだんに使ったカレーは味自体はファン贔屓を抜いても星4、5に相当すると絶賛されていたが『美味しいカレーは水から』という理由から一部の車が入れないほどの山奥に開いたことが大きく評価の足を引っ張っているようだ。
 ただ一番新しいレビューの投稿日は今から約1年前で止まっている。
 単純に不便すぎてレビューを書く人間が行かなくなったのか……というわけではなく、カレーをこよなく愛するブロガーが自身のサイトで最後のレビューが投稿された日にちの数日後にアップしていた記事にその理由と見られる情報が書かれていた。
「ここですね。『鳥インフルエンザや高齢化による契約農家さんの廃業が影響して、近々完全予約制に移行するという』……この時点ではまだ普通のカレー屋だったと思われます」
 UDCがこのブロガーに取材を申し込んだところ、快く応じてくれた。
 ブロガー自身はこの記事を書いてから店を訪れていなかったものの予約するのに必要な条件である名刺は貰っていた。
「この名刺に書かれている携帯番号からしか予約は取れず、入店の際は入口のドアの隙間からこの名刺を入れることで鍵が開かれる仕掛けだそうです。そして帰るときに自分の名前が印字された名刺の束が渡されることで、他の方に紹介する権利が得られるそうで……今回は会長の家から押収したこの名刺を使って問題のカレー屋に入店します。生前に渡された、とかなんとか理由をつければ怪しまれることはないでしょう」
 そのカレー屋が本当にUDC入りの商品を提供しているかどうかは確定していない。あくまで状況的に「怪しい」だけである。
 今回、猟兵達はこのカレー屋が白か黒かを判断するために実際にカレーを頼み、食することが必要となる。
 もしいきなり軒先で大暴れして、全くの無罪だったらただの迷惑・業務妨害になってしまう。また真っ黒だったとしても、騒ぎに気付いた瞬間に逃亡して行方をくらましてしまうだろう。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず……今回は相手の目前にまで迫ってあちらから出てきたところを叩いてください。もちろん、どうしても食べたくない場合は『食べている風に装ってバレないように別の容器に移し隠す』とか『食べる必要のない他の依頼を受ける』ことも出来るでしょう。無理はされないでください」
 そう断りを入れた上で、ルウは話を聞いていた猟兵達の顔を改めて見回した。
「UDCからの注文は『もし黒であれば店にいる者誰一人逃すな』です。負の連鎖は自ら足を踏み入れてしまった者の間だけで止めましょう」




第2章 ボス戦 『ジャガーマスク』

POW   :    ジャガークロー
【鉤爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    残虐ファイト
戦闘中に食べた【贄の血肉】の量と質に応じて【全身の獣化が進み】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ファナティック・ビリーバ―
戦闘力のない【儀式を見守る狂信者達(ファン)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【偉大なる神を讃える声】によって武器や防具がパワーアップする。

イラスト:蛭野摩耶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエルサント・エストレージャです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お初のお客様でしたね。お口に合いましたか?」
 初めての来店者に名刺を渡すためか、厨房から店主が出てくる。
 現役時代き被って活動していたのか、その素顔はジャガーを模したマスクに隠れて見えなかった。
 しかしUDCによって意識を混濁させていなかった猟兵達には分かった。そのマスクが店主の体と癒着して、すでに一体になっていることを。
「すでに知られているとは思いますが、こちらを入れれば当店で注文することが出来ますので。近しいご友人などに配っていただけるとこちらは嬉しく思います」
 そう言って人間の物ではなく肉食獣の牙が生えている口で笑みを浮かべた。
ティナ・ルウ
ティナとしては美味しいカレーを食べさせてもらいましたし(きちんとごちそうさま、と言います)、ティナを攻撃してきたわけではないので、できれば戦いたくはないのですが、怪物になるカレーを出す店とバレた上店主自身も完全に人間ではなくなっているので戦わずにはすまなそうですね。(降参はしてくれないでしょうし)
戦闘になれば向こうも正体を出して来るはずなのでこちらも吠えたり唸り声を上げて威嚇したり四つ脚で歩き爪や牙で戦う獣に近いティナ本来の形で戦います。
向こうも獣化するので、獣同士力と力で真っ向からぶつかるつもりです。
※プレイングはですます調ですが、実際の口調は人の言葉に不慣れなので、たどたどしい感じです。



「うん! とーってもおいしかた! ごちそうさま!」
 ティナとしてはとっても美味しいカレーを食べさせてもらったし、殴りかかられもしてないので、文句もなく素直に笑顔で手を合わせる。
 もちろん、獣じみた視力で店主の頭部の毛皮と上半身の間に着脱可能であることを示す隙間がないことには気づいていた。
 でもティナはこのカレーを気に入っていた。
 店主がもう人間で無くなっている、ということを待機しているUDCの人に伝えて、突入してもらって、抵抗もなく確保されて、UDC-Pに登録されて、出来れば食堂でUDCの肉を使わないカレーを作ってくれないかな、とまで思っていた。
「ところでお客様は、蝶野様からいつ頃この名刺をいただいたのでしょう?」
「ちょーの?」
 そんな時にかけられた質問にティナが首を傾げると店主は笑顔のまま爪をたてた。
「ええ……この間どっかの誰かさんに殺されてた俺の常連客様だよ!」
 そして突然荒くなった口調と共に筋骨隆々とした腕が思いっきり振り下ろされると直撃したテーブルは割れて高々と空の皿やフォークが宙を舞った。
 ティナはその破片を被る前に咄嗟に跳んで、両の手足で店の床を捉えて止まる。
 店主は「近しいご友人などに配って」と言っていた。しかしティナはもらった相手の名前を知らない。聞こうともしなかった。
 答えられなかったことで店主はティナが本来の持ち主からもらったのではないと判断したのだろう。実際正しいのだが。
 興奮からか、鼻で息をする店主の体からは絶えず骨が鳴る音がして、二足歩行から四足歩行しか出来ない体系に変わっていた。
 直感からきてくれなさそうだな、と残念がりつつティナは四つ脚の体勢のまま唸り声を上げて威嚇する。
 煩わしそうに着ていた服を爪で剥ぎ取り、完全なジャガーと化した店主は咆哮と共にティナへ襲いかかった。
 しかし四つ脚で歩き爪や牙で戦うのは獣に近いティナ本来の形。
 獣同士力と力で真っ向からぶつかり合い、男女の斤量の差を感じさせないほどの拮抗を見せる。
 それは【フードファイト・ワイルドモード】による身体能力の底上げだけでなく、UDCの肉を摂取したことによる効能も多分にあっただろう。
 衝突に巻き込まれてしまった空の椅子が音を立てて横転する。しかしこの間も他の客は一心不乱にカレーを貪っている。
 それは火事の中でもラーメンを啜る客がいるのと同じように、はたから見て異様な光景であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大丸・満月
アドリブ連携可
あー、美味かった。
だがまだ足んねーなぁ…言うが早いか中央のキッチンへ走る。
そしてカレーや料理をガンガン【大食い】で食べていく。
これまでなら単なる食欲の暴走か敵か戦いながらだと
判断が遅れるはず。

そのまま向かってくるまで食べたら【ワイルドイート】発動、
こんだけ美味かったら質も充分だろと強化された分のスピードで屈むとジャガークローを躱しながらの水平蹴りで転がすか。

蝶野って名前が出て、相手プロレスラーなら後二人の技をどっちか出さないと失礼だろと言いながらキッチンに飛び乗ってからジャンピングエルボードロップを畳み掛ける。

悪いな、オレはメジャーよりインディーが好きでな
こういうのが好きなんだ。



「あー、美味かった。だがまだ足んねーなぁ……」
 UDCの肉や体液が大量に含まれた物体を取り込んだことですっかり精悍な顔つきになった満月は言うが早いか中央のキッチンへ走る。
 どうやら店主一人で回していたらしく、中に他の店員はいなかった。
「お客様!?」
 単なる食欲の暴走か、商売を妨害する敵か分からないまま慌ててやって来たホールの店員にへ近くにあったフライパンを投げつける。
 いくらUDCとなっていても今の満月の腕力から放たれたそれを顔面から食らってはひとたまりもなく、店員はひっくり返って気絶した。
 自分達猟兵軍団が食べ始めて以降に新しい注文やオーダーがなかったため、カツなどの調理済みのトッピングはまな板などの上にはない。
 でも炊き上がったご飯はある。すでに火が入って温まった油はある。そして仕込み済みのトッピングの用意も。
 しかし満月はそれらを用意する手間も惜しいかの如く、コンロにかけられたままの寸胴いっぱいに煮込まれているカレーをお玉で掬って食べ始めた。
 立派な営業妨害だが、カレーに夢中でティナと店主のキャットファイトにも興味を示していない客は誰一人として騒がない。
 そして店主もティナとの戦闘中かつジャガーの狭い視野では、満月がお玉で掬いきれなくなった分を攫うために寸胴を持ち上げるまでキッチンの異変には気付けなかった。
「ガアッ!」
 完全に人らしい発声を失った店主がティナを突き飛ばしてからキッチンに飛び込む。
「こんだけ美味かったら質も充分だろ」
 空になった寸胴を床に転がして満月は強化された分のスピードで屈み、強靭な前脚から振るわれまジャガークローを躱す。
 そのついでに放った水平蹴りで店主の後ろ脚を払って転がした。
「にしても蝶野ねぇ、偶然かもしれないが相手プロレスラーなら後二人の技をどっちか出さないと失礼だろ」
 そんなことを言いながら満月はキッチンに飛び乗って振り返る。
「悪いな、オレはメジャーよりインディーが好きでな。こういうのが好きなんだ」
 そして前口上を終えると飛び上がって自身の片肘を振り下ろしながら倒れ込み———かつて「破壊王」と呼ばれた男の十八番であったジャンピングエルボードロップを畳み掛ける。
 最初の足払いこそしばらく動けなくなるほどの一撃ではなかったが、四つ脚になったことで上から見た表面積が増していた店主は避け切れずに背中で重い一撃を喰らうことになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​