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応援合戦! 男の娘チアリーダー率いしデュエリスト

#アスリートアース #その他スポーツ #応援合戦 #男前咲学園応援団 #マイ宿敵 #闇堕チアーズ #インモラル・ドミネーターズ #野球

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#野球


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●アスリートアース とある学園
「コウ君、何で、ボク達に声をかけてくれなかったの?」
「そ、そうは言ってもだな……」
 チアリーダー衣装に身を包んだ少女に迫られる少年。
「確かに、ボク達じゃダークアスリートに対して力不足かもしれない。でも、ボク達チアリーディング同好会も何か助けになるかも知れなかったじゃない! 実際、助っ人の人達にはチアリーダーの人たちとかいたじゃない!」
「それは……」
 迫られているコウと呼ばれた少年は応援団に所属している。かつて、ダークリーガーと応援合戦をしていた時、猟兵に混じって戦っていたこともある。
「チア部はまだ公式の部活として認められていないから?」
「そうじゃなくてさ……いや、いいよ。はっきり言おう」
 コウは覚悟を決めて宣言する。

「うちは男子校なんだよ! なんで女子の格好でチアしてんのってなるじゃん! ダークリーガーが対戦相手って決まっていっぱいいっぱいのところにカオスな情報ぶっ込まれて部の状況とかがグッチャグチャになるのが嫌だったんだよ!」
 一気に捲し立てるコウ。少女と思われたチアリーダーは男だった。そもそも、この学校『|男前咲学園《おまえざきがくえん》』は中高一貫の男子校である。
「ハァ!? そんな理由!? 男ならそのくらい受け入れる度量を持とうよ!」
「男なら、女子の格好するのがおかしいだろ! そもそもチアだって男子チアとかがあるのに、なんで女子の格好でやるんだよ!」
「男子チアのダイナミックなパフォーマンスより、女子の可愛い感じのがやりたいの! それに、豪快な応援がしたいなら、そもそも応援団に入るじゃん、みんな!」
「男が可愛いを求めてどうするんだよ!」
 ぎゃいぎゃいと話は平行線だ。
「コウ君のバカ! 多様化の波に乗れていない時代遅れ!」
「おい、アキ!」
 走り去ってゆくチアリーダーことアキ。
「お前のそんな姿、俺は見たくなかったんだよ」
 走り去るアキを見送り、コウはポツリと漏らす。
「でも、そんな事も言ってられないか」

 数日後。コウは応援団の団長と副団長に先日のことを報告する。
「なる程、チアリーディング同好会か。うちの学園にも存在しているとは聞いていたが、石川の幼馴染が始めていたとはな」
「押忍」
 副団長の言葉にコウは返事をする。
「ダークリーガーでゴチャゴチャしていた時に報告するのを避けたのは、良いとも悪いとも判断はしかねる。だから、そのことは特には何も言わない」
「押忍」
「だが、前もって知っていれば何かしら協力を得られていたかもしれん。次からはもっと早く報告を頼むぞ」
「押忍……」
 副団長の軽い注意に俯くコウ。
「まあ、言いたくない気持ちも分からんでもない。だが、よく教えてくれた」
 すかさず団長がフォローを入れる。
「……アキは、肘を壊して野球ができなくなってからずっと塞ぎ込んでいたんです。それがチアを始めてから活き活きとしてきたんですけど、男がチアを……女子の方のチアの真似事するのは受け入れることができなくて。もし合同で練習するとかになったら、どう言う顔して出ればいいかとか」
「石川ッ!!」
 団長がコウに喝を入れるように大声を出す。
「練習に行くか! ワシらに話してくれたと言うことは石川もどこか覚悟はできているのだろう。なら、今はもう悩むな! 声出して体動かして悪いわだかまりは吐き出すぞ!」
「お、押忍!」
 強引ではあるが、コウを元気付けて部室の外へ連れて行こうとする団長。その時、
「団長、ダークリーガーが!」
「雑魚はおどきなさい」
 団長に要件を告げにきた応援団員けばし現れたのは一人のダークリーガー。どこかアイドル然としつつも露出の高いコスチュームに身を包んだツインテールの少女であった。サッと目を逸らす団長。
「んぬぉっ!!」
「あらぁ、大分ウブな団長さんなのね♪」
 嘲笑を浮かべる少女。
「ここは神聖な学舎だ。本来、お前のような存在が来ていい場所ではない。何が目的だ」
 副団長がずいッと前に出て対応する。
「そんなの決まっているじゃない。この学校をアタシの支配下にしようと思って〜。ほら、ここ男ばっかでむっさいでしょ? あたしみたいな可愛い子に支配してもらった方が幸せでしょ?」
「そんなことはさせんぞ!」
 目を逸らしながらも声を張る団長。
「なら、試合を組みましょう。それぞれがチームを応援し、試合に勝った方がそのまま勝利よ。スポーツは何でもいいわよ」
「ああ、いいだろう」
「ただし、助っ人は呼ばせてもらいます。本来ならこちらが受けるメリットもないですからね」
 団長が勝負を受け入れ、副団長が条件を提示する。
「あら、あっさり受けてくれるのね」
「風体、雰囲気から察するに、本職はカードデュエリストじゃないですか? 特殊カードなりで言いなりにされたりなどして、変に不利な条件で戦わされるよりはマシ、といったところですよ」
「ふぅん。じゃあ、人質は必要なかったわね」
「何!?」
 ダークリーガー『マクラヴィア』がサッと手を挙げると、漆黒のチア服を着た男女……否、男子達が現れる。その中に、コウの見知った顔もいた。
「アキ!」
「あら、知り合いがいたのね。チアリーディン同好会ってどんなものかと思ったけど、所詮は同好会止まりだったわね。今はもう、ダーク化してアタシの部下だけど。あなた達が勝ったら、解放してあげてもいいわ」
 そう言って嘲笑を浮かべるマクラヴィア。
「もっとマシな勝負になることを期待しているわよ」

●グリモアベース
「そんな訳でダークリーガーと『応援合戦』でバトルしてもらいたいっす」
 飄々とした口調で猟兵達に語りかけるのは宙に浮いたお面こと、ヒーローマスクのリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)である。
「前に参加した人もいるかもしれないっすけど、『応援合戦』は応援して|支援《バフ》」や|妨害《デバフ》を仕掛けて実際に試合している選手達を勝たせる競技っす」
 他にもパフォーマンスで点数を競うような形式の勝負もあるらしいが、今回は先ほど話した形式で戦うらしい。
「相手チームはダークリーガー『ドミネーターズ』幹部『マクラヴィア』って言うらしいっすね」
 カードデュエル界では割と有名な組織の一員らしい。カードによる支援が応援合戦にも有利と見込んでこの界隈に殴り込みをかけたのかもしれない。
「勝負は数日後に決まったみたいなんで、みんなには応援団に協力してほしいんすよ」
 具体的には、試合当日まで練習に付き合ったり、当日は応援団の一員になってダークリーガーと戦ったりなどだ。
「ちなみに、応援する競技は野球になるみたいっすね」
 ちなみに向こう側はダーク化選手やカードから召喚したモンスターに選手をさせるらしい。
「ダークリーガーは試合に敗れて負けを認めたら消滅して、ダーク化した選手も元に戻るみたいなんで、よろしく頼むっす」
 そして、リカルドは思い出したように付け加える。
「あと、色々と『青春』してる団員もいるみたいなんで、暇があれば、絡んでみてもいいかもしれないっすね〜」
 そんな風にお気楽なことを言いながら、リカルドは猟兵達をアスリートアースへと送るのだった。


麦門冬
 どうも、マスターの麦門冬です。再び、その他スポーツの『応援合戦』のシナリオです。応援で試合している選手達を支援するというスポーツになります。
 第1章では、そんな応援団の人たちと一緒に練習したり、どんな感じの応援をするかを打ち合わせるシーンです。NPCに絡んでみてもいいかもしれません。
 第2章では、いよいよ試合当日です。試合内容は野球。相手チームは応援や妨害を仕掛けて自分チームを有利に進めようとしますので、こちらも負けずに選手を応援しましょう。
 第3章では試合も5回裏位まで終わり、後半戦に入ります。猟兵側が有利な試合運びになる中、ボスが本腰を入れるような感じだと思ってください。

 以下、補足事項です。

●男前咲学園
 生徒の自主性を重んじた中高一貫生の男子校です。多種多様な生徒が集まっており、スポーツが優秀な生徒も多く在籍しています。応援団も古くからの伝統があり、彼らに勇気づけられて優秀な成績をおさめた部活も少なくないとか。

●応援団
 気合いと熱血とド根性でひっぱてゆく団長と冷静な分析と状況判断で支える副団長が率いる部活です。かつては異性を苦手とする者が多かったですが、以前の戦いを経て、多少は慣れてきています。
 UCは【サウンド・オブ・パワー】に似たタイプの味方を強化するUCが使えます。

●応援合戦
 まだ公式化されていないスポーツです。試合を応援する『応援』と、パフォーマンスの評価を競う『演舞』の2種の形式があり、今回は『応援』で競います。基本的には応援したチームが勝てば、応援していた応援団も勝利となります。
 猟兵は応援されているチームの助っ人として参加することも可能ですが、その際はダークリーガーに負けを認めさせにくい(大成功になりにくい)可能性があります。

●コウ
 男前咲学園応援団の団員。『男ならこうあるべきだ』的な思い込みは強い方だが、素直に人の話も聞ける実直さはあります。本名:石川・耕三。

●アキ
 コウの幼馴染。かつては野球でピッチャーをやっていたが、腕を故障して挫折。何故か女装してチアリーディングをすることに新たな道を見つけた。本名:福井・昭彦。
 チアリーディング同好会には女装していない男子部員もちゃんといます。

●マクラヴィア
 デュエル組織『インモラル・ドミネーターズ』幹部の一人。魅了したりファンを操る技に長けています。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『その他スポーツを練習しよう』

POW   :    体当たりで果敢にチャレンジする

SPD   :    器用にコツを掴みながら練習する

WIZ   :    ルールや戦術の理解を深める

イラスト:十姉妹

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒江・式子
(※|建前《本音》)
|話は聞かせて頂きました《男の娘と聞いてダッシュで来ました》
|何やら複雑な事情があるようですね《男の娘はとても良いものです》
簡単には受け入れられない
|その感性もまた多様な価値観の一つです《そんなノンケも良いものです》
ですが、|福井くんが女装を隠さずいられるのも《男の娘とノンケ少年の並びもまた趣深いもの》
|きっと石川くんへの信頼あっての事ではないでしょうか《大変尊いものです》
|こればかりは時間のかかる事だと思います《薄い本が厚くなりますね》
彼を助けた後でゆっくり考えましょう
私も微力ながらお手伝いさせて頂きます

と言っても私に出来るのは
マネージャーの真似事をしつつ、近くに異性がいる状態に慣れてもらうくらい
私の事は顧問の教員か何かと思って、お気になさらず
グラウンドの下見もしておきたいですね
ベンチやバッターボックス周辺に大きな日陰でもあれば
私の|UC《妨害》を目立たずに使えるのですが……

(終始真面目です)
(テンションが上がっても表出する前に茨に喰われ希釈される為、無表情のまま)


兎崎・舞夢
※アドリブ・連携歓迎
男子校の応援団かあ
応援者に貴賎なし!
…なんだけど、異性を意識しちゃうのは悩ましいね
そうなると…うん、私はこの方法しかないや

方針:異性も『選手』として意識できるように、共に応援団の練習をする

押忍!今日からお世話になります!
応援団と同じ練習着で参加
一切ブレず、応援団として練習するよ
持久力には自信があるんだ、ドンとこい!

10分以上の全力【パフォーマンス】になってきたら【指定UC】が起動
団員みんなの精霊から、初心を思い出させてほしい

みんなの応援する気持ちって、相手によってブレるの?
私たち応援者が見るべき本当の相手って誰?
真に応援してるなら、相手は男女じゃなく『選手』だよ!

応援団の練習メニューが終わったら、場所を借りて私個人のチアリーディングの日課練習を始めるよ
どんな目で見られようと、私は応援する事に手を抜く気はない
この気持ちが伝わるといいんだけど

どうしてそこまでするのか?
親友との約束なんだ…もう言葉は交わせないけど
君はどうなのかな
大事な友達と、ちゃんと向き合える?
ね、耕三くん


シスカ・ブラックウィドー
WIZ
よし、コウ君を新しいステージに引き上げてあげよう(笑顔)
チアリーダーのコスプレで男前学園に潜入。性別は伏せておこう。アキ君とは気が合いそうなので、女子のていで仲良くチアの相談をする。可愛い振り付けの練習とかしてコウ君に意見を求めてみるね。
「アキ君、可愛いよね? ボクの次ぐらいに」



●華々しき三者三様
「|話は聞かせて頂きました《男の娘と聞いてダッシュで来ました》。微力ながらお手伝いさせて頂きます」
 男前咲学園応援団に助っ人に来た猟兵、黒江・式子(それでも誰が為に・f35024)は応援団達にそう語りかける。ちなみに、彼女の言葉と共に溢れ出る本心は団員達に届く前に彼女の心に巣食う|茨《ソーン》に遮られている。
「押忍! 今日からお世話になります!」
 続いて挨拶したのはチアリーディング選手である兎崎・舞夢(可能性を伝えて -応援者-・f37809)だ。
(男子校の応援団かあ。応援者に貴賎なし! ……なんだけど、異性を意識しちゃうのは悩ましいね)
 そう考えた彼女は本来のチアリーダーの姿ではなく、応援団のメンバーと同じような練習着で来ている。
「シスカです! よろしく♪」
 一方、シスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)はチアリーダーの格好で来ていた。
「ほう、|素敵な格好ですね《ここにも男の娘が》」
「えへ⭐︎」
 シスカは男ではあるが、あえてその事は明かしていない。式子は密かにテンションが上がったようだが、すぐに茨によって|沈静化する《スンとなる》。
「押忍! 今回もよろしくお願いします!」
「「「押忍!!」」」
 合同での練習に来た女性陣(一部男性含む)に対し、ドギマギしているようだが、しっかり顔を見て挨拶できている。
(おや?)
 その様子に舞夢は少し考えを改める。この応援団が猟兵達と……つまりは女性陣を交えて一緒に練習するのは二度目。最初に行った時よりも慣れが出来ているようで、これなら自分達に慣れるのも思ったより早いかもしれない。
「持久力には自信があるんだ、ドンとこい!」
 後の練習に関しては滞りなく進む。舞夢とシスカは応援団に混じって練習し、式子はマネージャーの如く周囲を補佐することで、女性のいる環境に慣れさせてゆく。
「私の事は顧問の教員か何かと思って、お気になさらず」
 更には、舞夢は応援団達と練習を重ねることでユーベルコード|【初志貫徹】《コール・ユア・ドリーム》によって団員達の守護精霊を呼び出し、初心を思い出させる。
「みんなの応援する気持ちって、相手によってブレないよね?」
「「「押忍!」」」
「私たち応援者が見るべき本当の相手って誰? 試合をしている選手達だよね?」
「「「押忍!!」」」
「真に応援してるなら、私達は男女じゃなく『仲間』だよ!」
「「「押忍!!!」」」
 舞夢の掛け声に威勢よく返す部員達。部員達は知っているのだ。合同練習が終わった後も、一人でチアリーディングの個人練習を行なっている彼女の姿を。そんな舞夢の努力に報いねばと団員達もしっかり彼女についてきている。これならば、試合当日の連携も心配は無さそうだ。心配があるのならば……、

「コウ君、ちょっといいかな?」
 練習の合間、シスカはコウに声をかける。
「自分に、何か用ですか?」
「えっとさ、さっき練習してた振り付けなんだけどさ、どうかな?」
 少しあざと目なくらいにかぶりを振りつつ、問いかける。
「よかったんじゃないですか? 応援されてる側もきっと元気が出ると思いますし」
 当たり障りない感じに答えるコウ。実際、猟兵の身体能力で繰り出されるパフォーマンスとシスカの可愛らしい演技で完成度の高いものになっていた。
「じゃあさ、例えばアレをアキ君がやっていたら、同じくらい元気出そう?」
「は?」
 急に幼馴染の名前が出てきて面食らうコウ。
「アキ君、可愛いよね? ボクの次ぐらいに」
「どう言う意味っすか……?」
 コウの目に剣呑な光が宿る。だが、ふと我に返って目を逸らす。
「いや、自分は可愛いとかそう言うの分からないんで」
「|何やら複雑な事情があるようですね《男の娘はとても良いものです》」
 そんな二人の会話に式子が割って入る。
「うおっ!?」
「シスカ|さん《・・》の方が可愛いと言い切らないあたり、福井くんへのことも可愛いと思っているのでは?」
「俺は……いや、自分はそんなこと……」
「簡単には受け入れられない……|その感性もまた多様な価値観の一つです《そんなノンケも良いものです》」
 式子には見えた。シスカの質問に、アキへのネガティブな意見を嗅ぎ取ったコウが垣間見せた感情。これは|一筋の光明《脈がない訳ではない》であると。
「ですが、|福井くんが女装を隠さずいられるのも《男の娘とノンケ少年の並びもまた趣深いもの》。|きっと石川くんへの信頼あっての事ではないでしょうか《大変尊いものです》。だから君も、|彼の信頼に応えるべく《相思相愛だから》彼の活動のことを上に報告したのでは?」
「いや、それは、自分の主観で応援団の今後に為になるかもしれない情報を抱えるのはよくないと判断しただけであって……それに、俺がどう思おうが、あいつはあいつなりに努力していたみたいだし」
 あくまで自分の気持ちの事は外そうとするコウ。
「|こればかりは時間のかかる事だと思います《薄い本が厚くなります》。彼を助けた後でゆっくり考えましょう。私も微力ながらお手伝いさせて頂きます」
 表情は無表情ながら、優しく語りかける式子。
「|ボクもできる限りのことを手伝うよ《コウ君を新しいステージに引き上げてあげよう》」
 シスカも本音を押さえながらも追従する。
「皆さん、なんでここまで……」
「私の場合は親友との約束ってのもあるかな……もう言葉は交わせないけど」
 そんな三人の会話に今度は舞夢が加わる。親友のことを思い出したのだろうか。どこか遠い目をする舞夢。
「君はどうなのかな。大事な友達と、ちゃんと向き合える?」
 そして、語りかけながらコウの目を見る。
「ね、耕三くん」
「俺は……」
 ぎゅっと拳を握り締めるコウ。恐らく、この問題に答えが出るまでには時間がかかるだろう。だが、
「とにかく今はアキを取り戻すのが第一優先だ。アイツとの付き合いをどうするのかも、ダークリーガーに捕まったままじゃ、どうにもならないしな!」
「ええ、今はそれでいいでしょう」
「うん、一緒に頑張ろ⭐︎」
「そろそろ練習に戻ろっか」
 少年の決意を受け、猟兵達も応援の練習に戻ってゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●下準備
「何をしているので?」
「グラウンドの下見を少し」
 副団長の質問に式子はそう答える。舞夢やシスカは団員達に混ざって応援のパフォーマンスの練習をしているが、式子は式子でグラウンドの下見に来て情報収集をしていたのだ。
「ベンチやバッターボックス周辺に大きな日陰でもあれば、私の|ユーベルコード《妨害》を目立たずに使えるのですが……」
「なるほど」
 アスリートアースにおいて『応援合戦』とは、ただ応援させて鼓舞するだけでなく、ユーベルコードを用いて味方の選手を支援、強化することも含まれる。そして、妨害に関しても選手を直接攻撃するようなものでなければ問題ない風潮もある上、直接害するような妨害であっても、試合の流れを切ってしまうほど露骨なものでなければ、気づかれないように行えば問題ない場合が多い。
「我々が戦ったダークリーガーの中にはこっそり使い魔の様なものを走らせて妨害したり、触れると呼吸不全に陥る蝶の幻影を飛ばす者がいましたね。そこまで直接的でなくとも、相手チームの注意を引く、審判を魅了して判定を甘くさせるなんて戦術もあったりする様ですね……おっと、話が逸れましたね。妨害にいい場所ですか」
「ええ」
「選手以外が立ち入れない場所ですと、見つかった際に退場させられてしまう可能性がありますからね」
 試合に使うグラウンドは男前咲学園の野球グラウンドを使うことになっている。グラウンドの外とはネットやフェンスで区切られており、応援団などはそれぞれのベンチの近くで応援することとなる
「ベンチ周辺であれば日陰になる様な構造物はありますし、なんだったら応援団のパフォーマンスで妨害を行うタイミングでブラインドを作ったりなども考えておきましょうか。バッターボックス周辺は、バックネットの向こう側でないと姿は隠せそうにないですかね。距離は20m以上離れるものだと考えてください」
「なるほど」
 副団長の説明を受け、式子は当日の作戦に頭を巡らせるのだった。


第2章 集団戦 『闇堕チアーズ』

POW   :    いけいけ、ゴーゴー!
【応援などのパフォーマンス 】によって【ものすごいやる気】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
SPD   :    がんばれ、がんばれ
【ダークリーガーチームへの応援 】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    みんなー、いっくよー!
【応援などのパフォーマンス 】を披露した指定の全対象に【ダークリーガーのチームを勝利させたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:安子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プレイボール
「ふぅん、ちゃんと逃げずに来てくれたんだぁ。ああ、そこにいるのが助っ人? へぇ」
 試合当日、相手を見下すような目でダークリーガー『マクラヴィア』は猟兵達を見定める。
「いずれにせよ、アタシのファン達の敵じゃないんだけどね」
 マラヴィアの方で用意した野球選手だろうか。普通のアスリートに混じってカードゲームの人型モンスターのような存在も整列している。そして、
「アキ!」
 コウは相手チームに混じっている幼馴染に思わず声をかける。彼はダーク化したチアリーダー『闇堕チアーズ』として漆黒のチア服を身に纏っていた。
「コウくん……」
 声をかけられたアキはコウのことをギッと睨む。
「コウくんに見せてあげるよ、ボクの応援を。それにね、男が女子の格好をするのがおかしいって言っていたけど、女装っていうのは男にしかできない最も男らしい行為の一つなんだ。これでボク達が勝っちゃったら、チアリーディングの方が応援団より男らしいってことになっちゃうかもね〜」
 そして、邪悪な笑みを浮かべて自陣へと去ってゆく。
「おい、アキ……」
「やめておけ」
 アキを追おうとするコウを団長が止める。
「ダーク化した状態で自分の気持ちが暴走している状態なのだろう。ああなっては何を言っても無駄だ」
「団長……」
「言いたい事は、勝ってダーク化を解いてからだ。分かったな」
「……押忍!」
 己の本文を思い出し、自陣へと戻ってゆくコウ。そして団長は猟兵達へ振り向き、礼をする。
「それでは皆さん、よろしくお願いします!」
 しばらくして試合は始まり、先攻である男前咲学園の野球部員がバッターボックスへと入ってゆくのだった。
●1回裏
 1回表の攻撃は三者凡退で討ち取られた男前咲高校野球部。
「フシュルルルル……」
 ピッチャーはなんか竜派ドラゴニアンみたいな姿の巨躯。マクラヴィアの召喚したモンスターということだろうか。その姿と豪速球に気押され、見送り気味に討ち取られてしまったのだ。そして、1回裏……、

「ボール」
「フォアボール」

 際どいコースを狙ったピッチャーの球がことごとくストライクゾーンから外れる。否、審判の厳しめの判定で打者を塁に送り出すことになってしまった。
「この調子で【みんなー、いっくよー!】」
 この勢いをさらに乗せようと声援を送るアキ。その可愛らしさにダークリーガーチームにやる気が湧き上がる。
「おい、アレってもしかして福井か?」
「マジかよ。クソッ、福井だと分かっていても……グギギ」
 アキのことを知っているのか、野球部のメンツからもそんな声が聞こえてくる。
「よそ見するな! 前!」
「え? うおっ!?」
 アキに気を取られていたらしき内野手が自分に打球が向かってきていることに気付く。すぐに捕球し塁へと投げるが、一足早く相手は塁を踏む。
「ナイスラン! この調子だよー!」
 自チームの頑張りに喜び、愛嬌を振り撒きながら応援するアキの姿に「俺も向こうチームに履いてたらあんな風に応援してくれるのかな?」とか呟く選手がいたり。
「チッ」
 そしてその様子に舌打ちするピッチャー。
「部を辞めていった奴なんて気にするな! 今は試合に集中し……ロォッ!!」
「ボール」
 投げた球はまたもボール。ストライクゾーンに入っているはずだが、審判の判定が厳しい。
「なら、これなら文句ないだ……ロッ!」
 ストライクがなかなか入らず、そして味方のミスも重なりイライラが重なったピッチャーが、その怒りをぶつけるように豪速球を投げる。ど真ん中に。

 カァン

 気持ちいいまでの打球音が球場に響き渡り、白球はフェンスを越えてゆく。ダークリーガーチームはいきなり先制点を三点叩き出すのだった。

 1回裏 男前咲学園 0−3 ダークリーガー
(※いきなりビハインドですが、頑張って取り返しましょう。以下、補足です。
・この章から参加した場合でも、前の章から一緒に練習していたことにしていても構いません。途中参加歓迎です。
・男前咲学園応援団の一部の団員達は【サウンド・オブ・パワー】に似たタイプの味方を強化するユーベルコードが使えます。みんなで更に協力することで、その効果を上げることができます。敵のユーベルコードに対策する以外にも、こうした味方への強化をゴリゴリにかけることも戦術の一つです。
・応援だけでなく、野球の選手として参加することも可能ですが、その場合は判定は厳しくなります。少なくとも単体のソロのプレイングでは大成功は不可能と思ってください。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
(※さらに補足
 今回はこのような形で試合の目立った動きを抜き出すような形で描写しようと思います。『こういうシチュエーションの時にこんな支援をする』『相手のユーベルコードに対して団員にこんなことをさせる』みたいに状況を指定してもいいですし『こんな形で応援するので、うまい具合にパワーアップしてください』でも、こちら状況を考えて描写しますので、皆さんのプレイングをお待ちしております)
ミーガン・クイン(サポート)
 サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。
私の得意な魔法(ユーベルコード)は、
対象を大きくする【拡大魔法】と、
対象を小さくする【縮小魔法】ね♪
武器は自慢の【巨大化薬】と【縮小薬】。
これらで圧倒的な体格差を作り出して、敵を【蹂躙】しちゃうのが私の戦い方。
それに、【誘惑】と【奉仕】で倒錯的な遊びをするのが私の趣味ね♡

 他の猟兵さんとの絡みや連携はご自由に。
でも私の魅力はお仲間さんには刺激が強いかしらねぇ?
公序良俗は守ってあげるわぁ。
でも、えっちなことは好きよぉ、淫魔だもの♡

 私の力はお役に立てるかしらぁ?
うふふ、よろしくねぇ♪


メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。

その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●2回表
 その後は何とか守備の連携で追加の失点を1点までに抑えた男前咲学園。何としても攻撃で勢いをつけたい。
「何としても塁に出ねば……」
 ここで最初の打者は4番であり野球部のキャプテンである。
「【がんばれ、がんばれ】!」
「フシュー」
 チームの応援で力が漲るダークリーガーチームのピッチャー。
「ストラーイク!」
 なかなかの豪速球。制球力が甘く、ストライクゾーンから多少外れても、魅了された審判はストライクをカウントする。
「こうなったら、南無三!」
 球を選ぶ余裕などない。キツめのコースでもバットを振らざるを得ない。
「くっ!」
 ボールはバットに当たるがサードゴロ。サードの夜叉が難なく捕球し、一塁で送球する。これで1アウトかと思いきや、
「ガッ!?」
 ファーストが球を受け損ねてボールが後方へと飛んでゆく。
「チャンスよ♪ そのまま走れ〜♪」
 豊満な肢体を揺らしつつキャプテンを応援するのはチアリーダー姿になったミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)だ。
 実は出力を微量にした縮小魔法【人権剥奪】をミーガンが放ったことで、ファーストの選手のサイズが遠目からはわからない程度に縮小し、サイズ感がずれたことでボールを受け損ねたのだ。
「おおおおおおおおおお!!!」
 このチャンスを逃すまいと一塁を蹴り、二塁まで駆け込むキャプテン。慌てて拾ってからの送球は間に合わず、セーフとなる。
「ナイスファイト♪」
(チャンスを手にした時の達成感。こういう青春って感じの感情もたまには悪くないわね)
 喜ぶ選手達の様子にサキュバスであるミーガンが密かに舌なめずりするのだった。

「あの……私がこんな重要な打順でいいんですか?」
 どこかおどおどしながらバッターボックスに入ったのは、野球部の助っ人として参加しているメイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)。
「【いけいけ、ゴーゴー!】」
「ふしゅるるる……」
 チアリーダーの応援を受けてやる気になっている竜っぽいモンスターのピッチャー。
「……相手は……ドラゴンですか」
 おそらくはダークリーガーがデュエル用のカードから召喚したモンスターだろう。
「例えカードのモンスターだとしても、ドラゴンを悪用するのは許せません」
 幼い頃からドラゴンと心を通わす事が出来たメイリンにとって、ドラゴンは大切な存在。ダークリーガーの手駒などは許せるはずがない。
「今、その役目を終わらせてあげます」
 先ほどのおどおどした態度はどこへやら。スッと落ち着いた態度でバットの代わりに竜槍【ポラリス】を構える。
「シュッ!!」
 ピッチャーの豪速球が放たれる。
「私の中に眠る竜の力よ、この一打に宿りて敵を貫きなさい!」
 竜のオーラを纏い、ユーベルコード【飛竜の聖槍】を発動し槍を振るメイリン。威力とミート力を高めた一撃は白球を捉え、鋭い一条の白線を描く。
「グゴォっ!?」
 その白線はピッチャーライナーとなり、ピッチャーの顔面を直撃する。倒れるとともに、カードへと戻ってゆくピッチャー。
「今は安らかに眠ってください」
 そう呟きながら、塁へと出るメイリン。この一打で走者をホームに帰し、男前咲学園は点を取り返すのだった。

 2回表 男前咲学園 1−4 ダークリーガー

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鏑木・クリス
アキ君もチアリーディング同好会も凄く応援してあげたいって個人的に思うしダークリーガーから解放してあげないとね♪

こっちもチアリーディングのコスチュームに着替えて応援だよ。
とはいえ向こうは人数も揃ってて一子乱れぬパフォーマンス。一人だけだとこれは押されっぱなしかも。

だったらこっちだって数を増やすよ!
●天使降臨を発動!手札から召喚した天使達とこっちも負けずにパフォーマンス!野球部の皆を全力で応援するよ!これでうまい具合に強化してくれると嬉しいな♪

アキ君なら私も『同じ』だって動きや仕草で分かってくれるんじゃないかな?男の娘チアリーディングなのは君たちだけじゃない、ここにも同士がいるってさ。

これは野球部の皆だけじゃない、アキ君達にも向けたチアリーディングだよ。ダークリーガーなんかに負けるなってね。それをパフォーマンスを通じて伝えたい!

(アドリブ大歓迎です パフォーマンスの内容も好きにやってもらって構いません)


シスカ・ブラックウィドー
闇堕ちチアーズ……。敵ながらなかなかのファッションセンスだ……。ボクも混ざりたくなってきた(笑)
おっといけない。ここはアキを正気に戻すため、ボクがコウを誘惑してやきもちを焼かせるしかないッ!
ボクが魅せてあげよう! 真のチアというものを!
ユーベルコード、『男の娘メイドカフェ』発動! 分身して大量のメイドさんになり、試合の合間に選手達を癒すぞ☆



●3回表
 敵の攻撃を抑え、男前咲学園に回ってきた3回目の攻撃。
「アキ君もチアリーディング同好会も凄く応援してあげたいって個人的に思うしダークリーガーから解放してあげないとね♪」
 そう呟くのはチアリーダー姿の鏑木・クリス(ヒミツの新人アスリート・f38174)だ。
「とはいえ向こうは人数も揃ってて一子乱れぬパフォーマンス……この人数だとこれは押されっぱなしかも」
 猟兵の人数としてはチアリーダーの数は相手より少ない。また、
「【みんなー、いっくよー!】」
 アキをはじめとする『闇堕チアーズ』の応援は自陣だけでなく相手チームにも影響を及ぼす。こちらも応援に気合を入れなければいけない。
「だったらこっちだって数を増やすよ!」
 カードデュエリストでもあるクリスは手札を出し【天使降臨】を発動! 召喚されたのは9体の天使達。
「咲け咲け大輪! 男咲き!」
 応援団と連携したパフォーマンスで応援する天使達とクリス。効果はテキメンだったようで、
「ボール」
 審判も、猟兵の応援で魅了から脱したのか、ダークリーガーに甘かった裁定から公正なものへと戻っている。
「グググ……」
 新しく交代したピッチャーも制球力を犠牲にした速球が入らないのを見ると、コントロール重視の球へと変えるが、

 キィン!

 球の勢いが落ちた所に、猟兵たちの応援でパワーアップした打者のバットが上手く当たり、ボールは守備の間を抜けてゆく。
「今こそ誇れ! 男咲き!」
(アキ君なら私も『同じ』だって動きや仕草で分かってくれるんじゃないかな? 男の娘チアリーディングなのは君たちだけじゃない、ここにも同士がいるってさ)
 同じ男の娘チアリーダーとして、クリスはアキにもエールを送る。
(これは野球部の皆だけじゃない、アキ君達にも向けたチアリーディングだよ。ダークリーガーなんかに負けるな)
「今こそ輝け男咲き!!」
「くっ!」
 アキの方も、応援を受けている自覚があるかは不明だが、クリスのパフォーマンスが男前咲学園の反撃に影響を及ぼしていることに意識はしているようだ。
(アキ君、君の輝きを取り戻して!)
 クリスはアキに向けてエールを送り続ける。
 そして、クリスの頑張りもあってか、応援を受けて元気を出した男前咲学園野球部はこの回2点取り返すのだった。

 3回表 男前咲学園 3−4 ダークリーガー

「闇堕ちチアーズ……。敵ながらなかなかのファッションセンスだ……。ボクも混ざりたくなってきた」
 アキをはじめとする『闇堕ちチアーズ』にそんな感想を抱いたのはシスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)だ。
「おっといけない。ここはアキを正気に戻すため、ボクがコウを誘惑してやきもちを焼かせるしかないッ!」
 どうしてそのような結論に至ったのかは不明ではあるが、シスカは行動を起こす。
「ボクが魅せてあげよう! 真のチアというものを!」
 シスカがユーベルコード【男の娘メイドカフェ】で呼び出したのは本物そっくりの分身シスカだ。
「お疲れ様、さっきの走塁、カッコよかったよ⭐︎」
 先ほどホームベースを踏み、戻ってきた選手に労いの言葉をかけ、タオルや飲み物を差し出す分身シスカ達。
「あ、ああ。ありがとう」
 シスカを男の娘と知っているかいないかは分からないがどぎまぎしながら受け取る選手。
「みんなもこれからよろしくね!」
「がんばれ♪ がんばれ♪」
 そして、他の選手達にもご奉仕して選手達を癒してゆく分身シスカ達。そして、その対象は選手達だけではない。
「チェンジ!」
「応援団のみんなもお疲れ!」
「このままの勢いで乗り切ろ!」
「押忍!」
 攻守交代のタイミングで応援団も労う分身シスカ達。特に、
「コウくんもお疲れ様。水分補給大丈夫」
「汗拭いてあげるね。すごい頑張ったよね!」
「お、押忍!」
 コウによく世話を焼くシスカ。
「ぐぬぬ」
 陣営は違うので直接は声をかけてはいないが、『応援団相手にもそういうことをするのは違うんじゃないかな』みたいな視線を飛ばすアキ。
(うん、効いてる効いてる♪)
 手応えは十分。これなら試合中でもダーク化の洗脳が解ける可能性を感じ取るシスカなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒江・式子
……中々|拗らせているようですね《闇堕ちも良いですね》

副団長さんに頂いた案を参考に
大きな応援旗を振るパフォーマンスに合わせUC発動
足元から拡がる茨を旗の影に紛れさせ
なるべく多勢の影を絡め捕ります
相手からは勝利への意欲などを奪う事でやる気を削ぎ、集中力を切らせ凡ミスを誘発
味方からは雑念などを取り除いて試合と応援に集中してもらいましょう
もし応援旗とUCに気づかれたとしても旗を振る=妨害と言う勘違いを誘えるでしょう
上手くすれば、ここぞと言う時(次章)に意表を突けるかもしれませんね

合間を縫って裏方でも動きます
ウォータージャグや凍らせた濡れタオルなど準備は万端
皆さん、倒れない程度に張り切って行きましょう



●3回裏
「……中々|拗らせているようですね《闇落ちも良いですね》」
 応援団とは違った形でサポートに回っているのは黒江・式子(それでも誰が為に・f35024)だ。彼女はウォータージャグや凍らせた濡れタオルなどを準備し、選手や応援団を裏方としてサポートしていた。
「少し、|初心を見失っているようですね《興味深い状態ですね》」
 本当は『可愛いから』で始めた男の娘チアリーダーも試合開始時に行っていた『男らしい行為』とか言っていたことから、コウに否定されていたことに色々と囚われているのだろう。
「皆さん、倒れない程度に張り切って行きましょう」
「「「押忍!」」」
 |茨《ソーン》に感情を吸われ、抑揚のない式子の声掛けではあるが、揺るがない大人としての態度と見てとられているのか。応援団からの信頼は厚いようである。
「さて……」
 3回裏のダークリーガーの攻撃が始まった際、式子は動く。
「少し失礼しますよ」
 応援団が旗を振り応援する裏で、式子は自身の影を茨の形に伸ばし、グラウンドへ広げてゆく。ユーベルコード【竹馬の友】だ。
「?……なんだ?」
 影の茨が男前咲学園野球部のピッチャーに触れた時、彼の心がスッと晴れたような感覚に陥る。初回にスリーランホームランを打たれてから、多少は立ち直っていたものの、焦りや苛立ちのようなものを抱えていたのだが、それが消えたのだ。不都合な感情を吸収する式子の茨の力だ。一方で、
「【みんなー、いっくよー!】」
 アキをはじめとする『闇堕チアーズ』が応援をするが、選手達に与えている『ダークリーガーのチームを勝利させたい』という感情も式子の茨が吸い取ってゆく。ユーベルコードの相性的にも式子の茨の方が性能を上回っているようだ。
「アウト!」
 勝利への感情を吸われ、パフォーマンスが雑になった敵陣の選手は凡打を繰り返し、あっという間に討ち取られ、攻守交代となる。
 そして、男前咲学園の4回目の攻撃。
「ふむ……これは良き流れです」
 式子の茨の力で集中力の上がった味方の打撃と逆に集中力を欠いて凡ミスが起きやすくなっている相手チーム。小さいヒットを繰り返し、出塁を重ねて一点をもぎ取る。だが、ここで流れの横槍を入れる声が。
「ちょっと、うちの選手に何かしてるんじゃないでしょうね!?」
 ダークリーガー『マクラヴィア』である。
「見たわよ、そこの旗の方からうちの選手に影みたいなの伸ばして攻撃したところを。審判、これは妨害行為よね?」
「む?」
 マクラヴィアの指摘を受けて主審や副審が確認を取ろうとするが、抗議の声を上げたことは迂闊だった。
「ゴー、ファイッ!」
 他の猟兵が召喚していた天使の応援団が光り輝き影を視認しづらくし、その間に式子が影の茨を回収する。
「こちらは、旗を振っているだけですが。旗が気になって妨害っていうのは無理がありますよね?」
 しれっとポーカーフェイスでとぼける式子。
「あ、ああ」
 カメラでは動きを捉えられない超人スポーツが横行するアスリートアースで審判の判定は絶対であり、後で不正がわかっても試合を巻き戻したり判定を覆らせることはない。応援合戦はそうした審判の目を掻い潜っての妨害も勝負の要である。こうした指摘に対する対策をしていた式子達猟兵側と、そうした対策に対応しきれなかったダークリーガー側に差が出た。
「露骨な言いがかりで試合を切るのはよろしくないですね」
「ぐぬぬ……」
 しれっとした式子の言葉にマクラヴィアは悔しげに唸るのだった。

 4回表 男前咲学園 4−4 ダークリーガー

大成功 🔵​🔵​🔵​


●5回表
「みんな、がんばれー……」
 得点が追いつかれてから、アキの心も折れかけていた。最初にリードしていたはずが、じわじわと追いつかれ、ついには並ばれた。
(何で? 苦しい……)
 自分がマウンドに立っていた時だって窮地に立たされた時もこんなに辛くはなかったはずだ。猟兵の応援が圧倒的だから? いや、違う。それを言うなら選手のスペックはこちらが上なはずだし、ダーク化して猟兵に匹敵する力が得られているはず。
「フレ、フレ、ファイト!」
 応援の声もどこか空虚に感じてしまう。そして、チラリと応援団の方を見る。
「ゴーゴー、ファイト! 男前咲!」
 応援団に混じってチアリーダー達も応援をしている。そしてアキには分かる。中に男の娘も混ざっていることを。そのことはアキの中で励みになる部分もあったが、自分との差を突きつけられてしまう。
(ボクとあの人達、どこが違うんだよ……)
 そんな雑念もキィンとバットの響く音で試合に引き戻される。
「あ……」
 猟兵達の応援による強化、ダークリーガーチームの集中力の切れなどもあったが、それらの要因が積み重なり、ツーランホームランという形で結果が出る。
「あ、ああ……」
 これで2点のビハインド。点差はたった2点だが、このままの流れを覆すことができる気がしない。
(ボクには……無理だったのカナ)
 目尻に涙が浮かび、膝を突きそうになった時、

「腕が下がってるぞ! 諦めようとしてるんじゃねえぞバカヤロー!!」

「ッ!? コウくん?」
 アキがその怒鳴り声にビクッとなり顔を上げると、コウと目が合う。
「……」
 顔を赤くして、フイッと顔を背けた態度から、明らかに自分に向けて言ったのだとアキは確信する。
「敵を応援するとか、何考えているんだか」
 でも、思い出せたことがある。なぜ自分が孤独なマウンドでも最後まで投げ抜けたか。
(ずっと応援してくれていたもんね)
 応援してくれる人がいて、自分は一人じゃなかったからだ。だからきっと、自分も『彼』みたいに誰かを応援できようになりたいと憧れを抱くようになって。
「まだ……取り返せる」
 アキは他の心が折れかけたチアーズのメンバーにも声をかける。
「野球は9回裏まで何が起こるかわからない。だから、ボク達のできることをするよ!」
 そして、開き直ったからこそアキはそこでようやく気づく。向こうの男の娘チアリーダー達もこっちにエールを向けていたことに。
(周りが見えていんかったとか、カッコ悪いし、きっとカワイクもないよね)
 深く息を吸い、味方ピッチャーへ応援、と言うよりは喝を入れるように怒鳴る。その日の試合で一番大きく声が出た瞬間だった。
「いっけええええええええ!!! ぶち込めえええええええええええ!!!!」

 その後のアキ達闇堕チアーズのがむしゃらな応援に後押しされてか、ダークリーガチームは見事に相手打者を抑えて失点を止め、5回裏の攻撃でも1点繋ぐのだった。

5回裏 男前咲学園 6−5 ダークリーガー


第3章 ボス戦 『『ドミネーターズ』幹部・マクラヴィア』

POW   :    アイドルマジック・『私の美貌に酔いしれて☆』
レベル×1体の【マクラヴィアのファン兼決闘者】を召喚する。[マクラヴィアのファン兼決闘者]は【所持するバトルカードに応じた種族や】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    フィールド魔法・『アイドルワールド♪』
レベルm半径内を【マクラヴィアの為の専用ステージ】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【マクラヴィアの為に尽くす行為】が強化され、【マクラヴィアへのあらゆる攻撃】が弱体化される。
WIZ   :    違法カード・『チャーム&フォール❤』
【現在禁止指定の、強力な魔法カード】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:てしままどか

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠碧山・六華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●辺境伯『マクラヴィア』
「チェンジ!」
 主審の掛け声と共にへたり込む『闇堕チアーズ』。真面目に練習を重ねてきていた彼らではあったが、同好会故の|試合《実戦》経験の乏しさがネックとなっていた。その為、猟兵対ダークリーガーというハイレベルな試合において彼らの予想以上に体力と精神力が保たなかったのだ。
「応援……しないと。コウくんみたいに……最後まで」
 体力の限界を超えても気力を振り絞って応援していたアキだったが、攻守交代のタイミングでついに集中力の糸が切れる。
「すごいな、向こうは」
 対する応援団はまだまだ余力があるように見えた。猟兵達のサポートや、団員達の培った経験からくる立ち回りなどもあるのだろう。そして、猟兵や応援団長達という、安心して試合に臨める為の精神的支柱があったことも。
「あれ? 何で負けちゃってるのよ。さっきまで勝ってたじゃない」
 一方で、アキ達を率いていたマクラヴィアは少し口出しするくらいで、ふんぞり返って後ろから見てたり自身の|とりまき《ファン》をはべらせているだけだった。
「チア部って言うから使えると思って配下にしたのに役立たずじゃない。え、同好会? どっちでもいいでしょそんなの」
「申し訳……ありませ……」
 息も絶え絶えになりながら自分達のボスに言葉を返す。
「まあ、いいわ。もう戦えなさそうだし、使えない道具も|餌《コスト》くらいにはなるでしょ」
 そういうと、マクラヴィアは自分のとりまきに声をかける。
「あなた達のモンスターも出しなさい。圧倒的なパワーで蹂躙したら、この子達は好きにしていいわよ」
「ヒャア! さすがマクラヴィア様! 話が分かる!」
「え、男の娘ですって? 色々付いててお得じゃないですかい!」
 下卑た笑いを浮かべ、色めき立つ取り巻き達。
「デーモンロード!」「深海の王!」「鋼鉄の戦乙女!」
 野球選手達も選手を総とっかえし、更に強そうなモンスター達へとメンバーが入れ替わる。
「さて、試合が終わるまでの間に、アタシのファン達が楽しめるように『調教』してあげようかしら?」
 交代で下げた選手モンスターを闇堕チアーズにけしかける。だが、
「あら、相手チームに干渉するのは良くないんじゃないのかしら?」
 モンスター達を阻む様に猟兵達や彼ら彼女らが使役する天使や竜がチアーズの前に立ちはだかり、応援団の一部がチアーズを保護する。何かを感じ取り、ダークリーガー側の陣地に前もって来ていたようだ。
「チアーズの体力はそろそろ限界だったし、流れ的にも動くならこのイニングって読んでたからね」
 助けに来た猟兵がそう言って自陣を見やると、読みが当たって得意げな頭脳班の姿がある。
「アタシのモノを奪おうだなんていい度胸じゃないの」
 マクラヴィアが一瞬殺気立つが、
「どうした、乱闘か!?」
 主審が騒ぎを聞いて駆けつけてくる。
「まあ、いいわ。どうせアナタ達もアタシが勝てば、アタシの配下になるんだから」
 そして、主審を追い払うとユーベルコードを発動させる。
「フィールド魔法【アイドルワールド♪】 これでアタシの無敵の布陣が整ったわ」
 応援席をユーベルコードの力で自身のステージへと変えるマクラヴィア。
「『|辺境伯《マクラヴ》』の力、見せてあげるわ! せいぜい楽しませなさい!」
 そう言ってマクラヴィアは試合を再開させるのだった。

 ゴタゴタから試合再開の準備をする中、チアーズの保護に来た応援団員の一人、コウはアキを抱えて自陣へと戻ってゆく。
「コウくん……あんなこと言ったのに……ボクなんか助けて」
「喋るな。ダーク化の影響? ってのもあるんだろ? それに、そこまで追い詰めたのは俺も責任があると思う。だから、その、すまん」
 アキの言葉に、どこか照れながらも答えるコウ。
「お前に後で色々言いたいことがある。だが、それは俺達があの女のチームに勝ってからだ。少し、待ってろよ」
「……うん」
 コウにそう返事をすると、アキは眠る様に意識を失う。ダークかも解けたのか、チアリーダーの服も空色へと変わる。
「待ってろよ、アキ」
 アキを安全な場所に寝かせると、コウは応援団の制服の乱れを治し、ハチマキを締め直す。
「押忍ッ!!」
 覚悟を決めた少年の顔がそこにはあった。
 
(※ここから|ボス戦《わからせタイム》です。ボスであるダークリーガーは負けを認めると消滅します。ファンは適当に散り散りになって逃げます。以下、補足です。
・この章から参加した場合でも、第1章から一緒に練習していたことにしていても構いません。途中参加歓迎です。
・男前咲学園応援団の一部の団員達は【サウンド・オブ・パワー】に似たタイプの味方を強化するユーベルコードが使えます。みんなで更に協力することで、その効果を上げることができます。敵のユーベルコードに対策する以外にも、こうした味方への強化をゴリゴリにかけることも戦術の一つです。コウも覚悟を決めたことで、何か応援団っぽいユーベルコードに目覚めるかもしれません
・応援だけでなく、野球の選手として参加することも可能ですが、その場合は判定は厳しくなります。少なくとも単体のソロのプレイングでは大成功は不可能と思ってください。
・なんかマクラヴィアが既にPOWとSPDのユーベルコードを発動させている雰囲気にはなっていますが、猟兵のユーベルコードの能力値に対応していないユーベルコードには基本的に対策してなくても大丈夫です。
・リプレイ描写の仕方は2章みたいな感じになると思います。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
隣・人(サポート)
『目が回るほど殺してやるわ』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × ヴィジランテ
年齢 24歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 奴隷だった 改造制服 アンニュイ 不健康な顔立ち
口調 ビハインド(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
嘘をつく時は 幽閉中(自分の名前+ちゃん、てめぇ、ね、よ、なの、かしら?)

人型のオブリビオンを相手にする事を好みます
好きな殺し方は撲殺、得意な殺し方は斬殺
相手の平衡感覚を奪って一方的に殺したい

ギャグっぽいユーベルコードの際は口調・幽閉中
🌈シャワーも好いぞ

あとはおまかせ、宜しくお願い致します



●6回表
「さあ、アタシのステージを彩る哀れな|打者《生贄》は誰かしら?」
 自身のステージを展開して意気揚々なマクラヴィアに対し、現れた打者は、
「バットなら、隣人ちゃんにお任せ……」
 なぜか既に満身創痍といった感じでフラフラな隣・人(22章39節・f13161)だ。
「何でいきなりフラフラなの!?」
「それが、バッターサークルでぐるぐる回っていたみたいで」
 |取り巻き《ファン》が言うには、バッターサークルで建てたバットをおでこに当てて、ぐるぐると高速回転していたらしい。
「まさか、あいつ、『ぐるぐるバット』の使い手か!?」
「知っているのか?」
 何か訳知り顔な取り巻きと、それに反応する別の取り巻き。
「その他スポーツ『ぐるぐるバット』とは、競技者が『ぐるぐるバット』を行いその内容で点数を決められる。内容としては『回転数』『回り方』『リアクション』だ。回転数はその名の通り、多ければ多いほど高くなる。回り方は美しさもだが『ぐっだぐだ』具合も重要になるぞ。そして『リアクション』これが最も難しい。審査員の好み次第だろう。つまりはカオス!!!」
「まとめると、どう言うことなんだ?」
「その道のプロだとしても、野球の強さには直結しない!」
「しないのか!」
「なんだ、大したことないのね。ざぁこ♪」
 取り巻き達の話を聞いて調子に乗るマクラヴィア。だが、
「せいっ」
 脱力したフォームで相手のボールをミートし、いいところを突く。
「な! 早く止めなさ……い?」
 夜叉が慌ててボールを拾い、送球するが、隣人ちゃんは1ルイベースへ向かって走ってはいなかった。ぐるぐるバットの回転によって真っ直ぐ走れないのだ。ベースを逸れてグラウンドの外へとフラフラ走ってゆく。
「やっぱり雑魚じゃない! いい球打てても、ちゃんと走れなきゃ意味ないじゃない」
 ヒヤリとしながらも、調子づくマクラヴィア。だが、嫌な予感は止まらない。
「ゴールは、こっちか」
 1塁を逸れて隣人ちゃんの走る先は、マクラヴィアが展開しているステージだ。
「と、止まりなさい!」
 マクラヴィアは違法カード【チャーム&フォール】を行い、魅了攻撃を仕掛けるが、隣人ちゃんは止まらない。何故なら友好的になろうが、自分の意思では止められるモノでもないからだ。そして、到着したステージに手をつく。
「もう、ゴール? なら、いいわね」
 そして口から放たれる虹。
「いやああああああああああああああ!!!」
 ステージが清掃されるまで、ダークリーガーチームの勢いは削がれっぱなしになり、その後に続く打者に点を奪われるのだった。

6回表 男前咲学園 7−5 ダークリーガー

成功 🔵​🔵​🔴​

黒江・式子
色々付いてお得、ですと?
|なんとも浅薄な《そこは否定しませんが》
見た目だけが魅力では無いでしょう
あなた方は本当に男の娘が好きなのかと問いたい
問い詰めたい
小一時間問い詰めたい

今までとのギャップ
周囲や自分自身との葛藤
そして、それらを乗り越えるべく最初の一歩を踏み出す勇気……
多様な色合いを映し出す心こそ最も美しいもの

敢えて言いましょう
素人は黙っとれ──

旗が無ければ妨害も無い、と言う心理を逆手にとって不意打ちを
私の足元からバックネット裏を経由し、相手ベンチへ延ばした茨で敵の影を絡め捕りましょう
|違法カード《敵UC》は取り巻き達に受け止めさせ
審判に訴える等、こちらを不利にする行動は阻害させて頂きます
(|一度に大人数を操る負荷で《茨が式子の興奮を喰い切れなくなって》鼻血が出る)
|代償《コスト》度外視ですがご心配なく
男の娘から得られる栄養は健康長寿に大変良いので実質帳消しです
(暴論)
(本音ポロリ)

|流れ落ちる汗や涙《青春》は斯くも|美しい《尊い》もの
|今の私には眩しいばかりです《ごちそうさまでした》


シスカ・ブラックウィドー
なんか、ボクに似てるオブリビオンだな......。余計なものがついてるけど(でかい胸を見て)
さて、男の娘たちを好きにさせるわけには行かない! この戦場の最カワが誰なのか思い知らせてやる!
ユーベルコードを発動し、48人くらいのグループを作ってボスにアピール合戦を挑むよ!


鏑木・クリス
アキ君やチアリーディング同好会の皆の気持ち、受け取ったよ!皆の分も全力で応援するね!

いよいよ試合も終盤、●全力チアリーディングで野球部を文字通り全力で応援だよ!

「GO!FIGHT!WIN!私だけじゃない、アキ君も、チアリーディング同好会の皆も、ここで応援してるんだよ!負けるな!絶対勝てるよ!」

応援団の皆と私のチアリーディング。男女(私も男の娘だけどバレてないようだし♪)混合の応援であんな見せかけのアイドルステージなんて打ち壊してやるんだから♪

それはそうとアキ君やチアリーディング同好会やっぱり気になるなー
この件が決着付いたら後で遊びに行こっと♪

(アドリブ大歓迎です)



 時は6回表が始まる前に戻る。

「色々付いてお得、ですと?」
 マクラヴィアの取り巻き達の言葉に黒江・式子(それでも誰が為に・f35024)はピクリと反応する。
「|なんとも浅薄な《そこは否定しませんが》」
「な、なんだと!?」
 彼女の|心の声《副音声》に気づける訳もない取り巻き達はその言葉に憤る。
「見た目だけが魅力では無いでしょう。あなた方は本当に男の娘が好きなのかと問いたい問い詰めたい小一時間問い詰めたい」
 式子の感情は|茨《ソーン》に吸収され、表に出ることはない。だが、それでも式子から滲み出るスゴ味にたじろぐ取り巻き。
「今までとのギャップ、周囲や自分自身との葛藤、そしてそれらを乗り越えるべく最初の一歩を踏み出す勇気……多様な色合いを映し出す心こそ最も美しいもの」
 式子の言葉は止まらない。雄弁さに釣り合わない|無表情《静けさ》がものすごい圧力となっている。離れて語りかけられているのに、まるで目の前にいるかのような……、
「敢えて言いましょう」
 そして、彼女は言い放つ。

「素人は黙っとれ──」

「ヒィ……」
 取り巻き達は、その圧に呑まれ、中には尻餅をつく者もいた。
「ななな何よ! あ、あんなのにビビっちゃって! あんなおすまし顔、負かしてぐちゃぐちゃにしてやんなさい!」
 そんな中、マクラヴィアは取り巻きたちを叱咤し、飲まれた勢いを取り戻そうとするのだった。
 
●6回裏
「なんか、ボクに似てるオブリビオンだな......。余計なものがついてるけど」
 マクラヴィアの|余計なもの《でかい胸》を見ながらそんなことを言っているのはシスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)。
「さて、男の娘たちを好きにさせるわけには行かない!」
「うん! アキ君やチアリーディング同好会の皆の気持ち、受け取ったよ! 皆の分も全力で応援するね!」
 そしてシスカの意気込みに鏑木・クリス(ヒミツの新人アスリート・f38174)も続く。
「ふん! 気持ちだけで勝てるとは思わないことね!」
 汚されたステージの清掃も終わり、フィールド魔法【アイドルワールド♪】のステージでふんぞりかえるマクラヴィア。それだけ、自身や取り巻きが召喚した選手達に自信があるのだろう。
「さあ、みんなアタシに尽くしなさい!」
 フィールド魔法の効果で|ダークリーガー《マクラヴィアに尽くす者》の能力が増強される。
「オオオオオオオオ!」
 その効果か、先頭打者がいきなり右中間を突き抜ける二塁打を放つ。
「こっちも負けないよ! この戦場の最カワが誰なのか思い知らせてやる!」
「GO!FIGHT!WIN!私だけじゃない、アキ君も、チアリーディング同好会の皆も、ここで応援してるんだよ! 負けるな! 絶対勝てるよ!」
 だが、猟兵サイドも黙っている訳にはいかない。シスカがユーベルコード【|とても可愛い乗組員たち《シスカガイッパイ》】によって|戦場《ハコ》に合わせた格好であるチア姿のシスカを大量に召喚。およそ48人くらいのグループとなって選手達を応援し、クリスも【全力チアリーディング】で応援団達と協力してパフォーマンスを披露する。
「いっけぇええ!!」
 コウ達応援団が足場を組み、そこへクリスが乗り、打ち出される様に大きなジャンプをする。飛翔するクリスの背中に光の翼が広がり、本当に飛翔している様に見える。
「うおおおおおおおお!!」
 ユーベルコードの力で|応援団や選手達《勝利への意志を共有する》の身体からも光の翼が生え、その動きが加速する。続く打者も鋭い打球で出塁しようとするが、飛ぶ様にダイビングキャッチした内野手の連携プレーで捕球した球をそのまま先に出ていた走者へ叩き込み、ゲッツーで終わらせる。
「なっ……!」
 マクラヴィアが驚愕する間にも続く打者も凡打で終わり、6回裏位の攻撃は終わるのだった。

 6回裏 男前咲学園 7−5 ダークリーガー

「この試合、何としても勝利をアタシに捧げなさい!」
「まだまだいっくよー!」
 ライブステージで応援をするマクラヴィアではあったが、シスカもアイドルグループばりのライブを披露して対抗する。
「さ、クリスも一緒に♪」
「うん! あんな見せかけのアイドルステージなんて打ち壊してやるんだから♪」
 更にはクリスも参加し(周りは殆ど気づいていないが)男の娘2人のセンターで応援の力に|相乗効果《シナジー》が生まれる。
 この応援合戦の結果は試合にも如実に現れ、加速した走者達が次々と塁に出てはホームベースを踏んで帰ってゆく。
「くっ、こんなはずじゃ……辺境伯位のアタシがこんなことに……」
 マクラヴィアは地団駄を踏むが、まだ手は残っている。
「こうなったら……」
 正統派デュエリストの間では使用することを禁じてとされている違法カード【チャーム&フォール】である。
「これで、審判を支配しちゃえば……」
 自分達に有利なジャッジをしてもらえる上に、あからさまな妨害も目を瞑ってもらえるだろう。
「さあ、アタシのトリコになりなさい!」
 満を辞して禁止カードを審判に放とうとするが、
「ぐわああああ!」
 急に取り巻きの1人がマクラヴィアの前に飛び出し、行動を遮る。
「なんで邪魔をするのよ!」
「そ、それが、体が急に……」
 取り巻きの言葉に、マクラヴィアは周囲を窺う。何か影の様なものも見えたが、すぐに引っ込んで消えてしまった。
「あの女……」
 後半から旗を振っていなかったので、こちらに対する妨害はしていない様に見えていたが、派手なライブパフォーマンスに紛れて何か仕掛けていたことを察するマクラヴィア。そして、妨害を行ったのは式子であろうと言うことを。
「しんぱ……」
「お待ちください! 尻尾を掴めなければ、先ほどと同じように!」
「ぐ……」
 すぐさま文句を言いに行こうとしたマクラヴィアだが、取り巻きに止められる。現行犯を捕まえられねば、後から何を言おうと判定は覆らないのはアスリートアースの鉄則だ。
「こちらを不利にする行動は阻害させて頂きましたよ」
 歯噛みするマクラヴィアの様子を遠くから眺めるのは式子だ。無論、式子はユーベルコードにて妨害行為を行なっていた。【悲劇の|紡錘《ツム》】で自身の影を茨状に伸ばし、影を絡め取った相手を操るというもの。その影も、グラウンドのバックネットから出て迂回させる大回りなやり方だったので、気づかれずに取り巻きを操り、先ほどのマクラヴィアの妨害のほか、選手への支援のタイミングをずらして、ダークリーガー達が最大限の支援を行えないようにひっそりと妨害してきた。
 だが、このユーベルコードも無制限に使える者ではない。体に負担がかかり、寿命が削れる。
「ん"ッ」
「どうしまし……席を外しましょうか?」
 副団長が式子の鼻から血が出ていることに気づく。|一度に大人数を操る負荷で《茨が式子の興奮を喰い切れなくなって》鼻血が出たのだ。介抱しようとする。
「|代償《コスト》度外視ですがご心配なく」
 スッと手で制し、問題ないと伝える式子。だが、

「男の娘から得られる栄養は健康長寿に大変良いので実質帳消しです」

 茨が式子の感情を喰らいきれなくなった分、つい本音がポロリと出る。
「あ」
「とりあえず応急処置をしますので、少し離れた席に座りましょう」
 応援の喧騒で周りに聞かれていなかった様だが、副団長に促されるままに席を移動し、氷嚢を顔に当てられ、応急処置を受ける式子。
「このまま治療する動きをしていれば、カムフラージュになるでしょう。それに、落ち着くまでは少し離れた方が良いでしょう。それに……」
 フッと応援団や猟兵達の様子に視線を移す。
「こう言った角度から仲間の頑張りを見るのも中々でしょう」
 その慈しむ様な目線にどこか親近感を感じる式子。
「副団長さん、あなたもしや……」
「ああ、言っておきますが、私は見る専ですよ」
「ふむ、それは|腑に落ちました《少し勿体無い》」
 少し休憩して調子を戻した式子はしばらくは治療を受ける振りをして|応援《妨害》を行うのだった。

 7回表 男前咲学園 12−5 ダークリーガー

●決着
 クリスやシスカの応援団と組み合わせたパフォーマンスによる選手達の強化と、式子による影ながらの援護によって、男前咲学園野球部の勢いは止まらない。

「嘘よ……」

 7回裏 男前咲学園 12−5 ダークリーガー

「アタシは『インモラル・ドミネーターズ』の幹部」

 8回表 男前咲学園 20−5 ダークリーガー

「その中でも『|辺境伯《マクラヴ》』の位を持つエリートなのよ!!」

 8回裏 男前咲学園 20−5 ダークリーガー

「何でこんな学校の部活風情にここまで!? ありえない!!!」

 9回表 男前咲学園 34−5 ダークリーガー

「どうして……こんなことに……。アタシ達が蹂躙しているはずだったのに……」
 あっという間に開いてゆく点差に呆然としているマクラヴィア。取り巻きも半分くらいは逃げているが、そのことにも気づからない。
「ま、まだよ。この回を抑えて、裏で30点返せば…………30点も?」
 自分で点差を口にして絶望感に襲われる。
「と、とりあえず選手も新しいのを召喚して、それで、それで……あ」
 自身の手札を確認した時に、カードを取り落とす。そしてそこで地震への異変に気づく。
「え? 嘘!? まだ|負けは認めて《サレンダーして》いないわよ!!」
 マクラヴィアの身体が消え始めているのだ。口では状況を拒んでいても、心がすでに折れて、負けを認めてしまっているのだ。泥臭く勝ち上がってきたアスリートであれば、最後まで希望を捨てずに戦えたかもしれないない。だが、自身の元からの強さと才能に溺れたダークリーガーには、苦境から立ち直る精神も、それを支える拠り所もなかったのである。
「アタシが負ける!? 嫌よ! そんなの! 嫌!」
 泣き言を叫びつつ、マクラヴィアの肉体は消滅し、骸の海へと還ってゆくのだった。

 9回表 男前咲学園 34−5 ダークリーガー

 ダークリーガーチーム試合続行不可のため、ゲームセット!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●試合終了 もう一つの決着
 最後はあっけない幕切れとはなったが、猟兵達と男前咲学園は応援合戦にて、見事勝利することができた。
「アキ君やチアリーディング同好会やっぱり気になるなー」
 試合が終わった後、部室棟をぶらつきながら、クリスはそんなことを呟く。
「勝負もついたし、後で遊びに行こっと♪」
「まだ、|決着はついていませんよ《本番はここからです》。」
 クリスに声をかけたのは式子だ。そして、手招きする式子に連れられたのは、部室棟の裏。建物の陰から覗き込んでみると、そこには木の根元に腰掛けているコウとアキの姿があった。
 
「……」
「……身体、大丈夫か?」
 しばしの静寂の後、口を開いたのはコウだ。
「うん。一応、校医の先生に診てもらったけど特に問題ないって」
「そうか」
「ゴメン。なんか迷惑かけちゃって。ダークリーガーから学校を守ろうと思ったのに、逆にダーク化なんかして……あんなことに」
「気にするな。俺達だって猟兵さん達の助力が無きゃ、同じことになっていたかもしれねえ」
 コウはそう話すが、アキの視線は地面の方に向かっていて陰鬱とした表情だ。
「それに、試合をしてみて分かった。あんな緊張感とプレッシャーと。練習とは全然違った。最後まで保たなかった……」
「でも、試合は初めてだったんだろ。俺だって最初はあんなもんだった。先輩達が引っ張ってくれなきゃ潰れてたさ。だから……」
 コウは少し言い淀みながら、言葉を紡ぐ。
「よくやった方なんじゃねえかな」
「コウくん……」
 顔を上げ、コウの横顔を見つめるアキ。
「けどな、勘違いするなよ。俺はお前がチアを続けるのを認めた訳じゃねえ。ただ、俺の価値観を押し付けてやめろって言うのはカッコ悪いって思っただけだ」
 アキの顔を見るのが気恥ずかしいのか、コウは部室棟の壁を見続けている。
「だからさ、認めさせてみろよ。男ガチアリーディンやってもおかしくないって。これから多分、合同で練習する機会も増えるだろうから」
 そう言って軽く肩をぶつけてくるコウ。
「うん。でも、ボクの場合は普通のチアリーディングっていうより男の娘チアリーディングって言った方が誤解を与えにくいかな?」
「なんかややこしいな」
「でも大事なことだ、よ」
 今度はアキがコウに肩をぶつける。そこから他愛ない会話へと移ってゆく二人だった。そして、その姿を見ていた二人はというと、
「アキ君の力になってあげたいなーこれは」
 クリスはアキとコウの様子に自分と同じ道を歩む者へのエールを決意し。
「|流れ落ちる汗や涙《青春》は|斯くも美しい《尊い》もの。|今の私には眩しいばかりです《ごちそうさまでした》」
 式子はどこか甘酸っぱい青春を堪能するのであった。

最終結果:成功

完成日:2023年07月01日


挿絵イラスト