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銀誓館学園はゴーストタウン!?~あの夏服と緋色のメリー

#グリードオーシャン #猟書家の侵攻 #猟書家 #メリー・バーミリオン #冒険商人 #宝島


●緋色のメリー、○○デビュー!?
「野郎共、調子はどうだ?」
 屈強な男達はガラガラと扉が開くと同時に聞こえた少女の声に、探索の手を止め一斉に振り返った。
「どれもこれもお宝と呼ぶには……って、どうしたんスか姐御、その服!?」
 男達は姐御と呼んだ少女――メリーの姿に驚いた。メリーはいつもの海賊服一式ではなく水兵服に身を包んでいたのだ。水兵服は眩しい白色で少女の体を包み、下に穿いたチェック柄のスカートは一部を紐で結んであり、健康的な太股を覗かせている。その奥に着けているのを水着だと知っていて、かつ普段より総合的な露出度は下がっているのに、海賊達はメリーの姿に見惚れてしまっていた。
「試しに着てみたら身体が軽くてな。さすが宝島の服ってやつか? お前らも探すといい。これはお前らのガタイじゃ着れないだろうけど、男物もあるはずだ……おい、聞いてるか? ここ探したんなら次行くぞ?」
 メリーは踵を返し、リノリウムの床をローファーで歩き出す。
「……姐御、可愛くね?」
「あれは反則だろ……」
「この島の宝は姐御ってことか?」
 メリーの新たな一面を見せ付けられた海賊達は、動揺のあまり口々に語り始めた。
「つ・ぎ・い・く・ぞ!」
 その評論会は怒気を孕んだメリーの一声で閉会し、海賊達はぞろぞろと部屋を出る。

 その様は、勝ち気な委員長女子と渋々動き始める男子の移動教室授業であった。

●ホームでアウェイな宝島
「皆さぁん、お集まりいただき、ありがとうございますぅ。それではぁ、わたしが視た事件の予知をお話ししますぅ」
 銀誓館学園の高校生女子用冬服に身を包んだミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)はグリモアベースに集った猟兵達に語り始めた。

「グリードオーシャンでぇ、コンキスタドールの賞金稼ぎのメリーが宝島でグリモアベース侵略の手掛かりになりそうな財宝を探し回っていますぅ。皆さんはメリーが上陸した島で先に財宝を確保してぇ、その後でメリーを迎え撃って骸の海に帰ってもらって下さぁい」
 今回の島はぁ……と口にしながらミントが浮かべたグリモアには、驚くべき光景が映し出されていた。

「ご覧の通りぃ、この島は『銀誓館学園』ですぅ」

 かつての、あるいは現役の学生からも猟兵として覚醒する者がいる、今やシルバーレインにおける猟兵達の支援組織が映っていた。
「この銀誓館学園はシルバーレインの島に含まれていた詠唱銀がグリードオーシャンに落ちたことで力を帯びてぇ、強力なお宝を中心に『ゴーストタウン現象』を発生して出来たものですぅ。シルバーレインに現存する方の学園には一切の異変がないことは確認できていますのでぇ、そこはご安心下さいねぇ」
 グリモアの映像はメリー一行を映し出し、猟兵達は再びの驚きを隠せなかった。

 メリーが銀誓館学園の高校生女子用の夏服を纏っていたのだ。

「この島では詠唱銀……つまりシルバーレインで出来た物が力を帯びますぅ。それに気付きつつあるメリーは海賊に詠唱銀を集めさせて男の人用の制服を造ろうとしているのでぇ、詠唱銀を奪ったり邪魔したりして下さぁい。メリーの制服は完全に編み上がっていて詠唱銀に戻すのは難しいですけどぉ、他の海賊の強化を防げばぁ、皆さんならメリーとの直接対決に持ち込めるはずですぅ。わたしは制服のメリーはかわいいと思いますけどぉ、強くなるのは困りますよねぇ」

 グリモアの映像は、校門前に佇む学園の高校女子夏服の少女を映した。
「それとぉ、この島にはシルバーレインの島を追っている冒険商人が到着していますぅ。ヒナという名前の今年16歳になる人間の女の子でぇ、回転動力炉を単体で動かして詠唱兵器化する前の詠唱銀を吸い取ったり分け与えて強化するユーベルコードを持っていますぅ。この子と協力すれば詠唱銀集めは楽になると思いますぅ」

 グリモアはズームアウトし、島の上に広がる銀誓館学園のキャンパスを映し出した。
「さっき言った通りぃ、この島では詠唱銀が力を帯びるのでぇ、持っている人は持ち込むといいですよぉ。異世界に現れた銀誓館学園のゴーストタウンですからぁ、人によっては詠唱銀の濃さでこの島限りの『運命の糸症候群』を患うかもしれませんねぇ。とにかくメリーに銀誓館学園を調べられたらグリモアベースの侵略に繋がる何かが見つかってしまいそうですからぁ、よろしくお願いしますねぇ。それじゃ行きますよぉ。グリモア・イリュージョン、ワぁン・ツぅー・スリぃー!」

●登校
 猟兵達は銀誓館学園ゴーストタウンの校門前に転送され、ヒナと言葉を交わす。容姿だけ見ればヒナは現役の女子高生だが、グリードオーシャン生まれの冒険商人だという。彼女にとってもシルバーレインの島がコンキスタドールにいい様にされるのは望ましくなく、猟兵達とヒナの協力態勢は難なく整った。それを見届けたかのように、銀誓館学園からは定刻を知らせるチャイムが鳴り響く。
「さあ、行きましょ」
 ヒナの後を追うように、猟兵達は異世界の銀誓館学園に登校するのだった。


鷹橋高希
 銀誓館学園の高校女子夏服を着たメリーが見たい、から逆算した結果、学園がゴーストタウンになりました。

 シナリオフレームの難易度は普通、全2章となっております。
 完結目標は2023年5月満月への侵略対抗。

 シナリオフレームによるプレイングボーナスは全章共通で「冒険商人と協力する」となっております。
 さらに本シナリオ限定のプレイングボーナスとして「シルバーレイン(世界)のアイテムを使用する」を設けます。

 ちなみに「この島限りの『運命の糸症候群』を患う」はプレイングボーナスとしないので、大人も子供もお○さんも平等に戦えます。大人の卒業生がサポート参加で患うこともありません。学園内を少年少女の姿で駆け抜けたい方向けです。

 第1章:冒険 『落ちてきたゴーストタウン』
 銀誓館学園内の詠唱銀を集めたり、海賊の詠唱銀を奪ったりして下さい。
 学園のどこで仕掛けてもOKです。地の利を活かしてやり込めましょう。

 第2章:ボス戦 Vs. 『メリー・バーミリオン』
 第2章進行後に断章を執筆する予定ですが、余程のことがなければ、舞台は第六猟兵の「サバイバル」に相当する場所です。
 制服を着たメリーを「黙」らせてやりましょう。

 オープニングが公開され次第プレイングを受け付けますが、プレイングの送信曜日によっては、システム上、不受理として返却される可能性が高くなります。
 私のリプレイ執筆可能時間は週末に多く取れる傾向にあり、日曜日の32時30分まで有効となる木曜日(水曜日32時30分までを除く)がプレイング送信曜日として最適です。
 また、必要に応じてプレイングを採用せずリプレイ文章を提出する可能性(断章等)があります。
 リプレイの進捗(特に、完成させられずの不受理)はマスターページで随時更新します。

 なお、本シナリオのNPC・ヒナはTW2:シルバーレイン中のいずれの登場人物とも関係ありません。そのための2007年度生まれ(=2013年度まで未就学児)。

 今なら2021年末に銀誓館学園高校女子夏服姿のイラストを発注した皆様の気持ちが解る気がする。
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第1章 冒険 『落ちてきたゴーストタウン』

POW   :    しらみつぶしに歩き回ってひたすら調査

SPD   :    人海戦術、数で一気に調査を進める

WIZ   :    成り立ちを推理して目ぼしい場所を突き止める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。



●体育
「とおおおりゃあああー!」
 緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は体育館の床を蹴って飛び跳ね、バスケットボールにおけるダンクシュートの如く和風の大斧・重戦斧【緋月】を海賊達目掛けて振り下ろした。
「おわっ!?」
「何だこのアマァ!?」
 大斧は床を打ち砕き、襲撃を受けた海賊達は各々の得物を構えるが、透乃の追撃は続いていた。大斧が弧を描くと同時に、赤い色のマイクロビキニではあまりにも頼りない透乃の大きな乳房も遠心力に任せて揺れ、その度に透乃の猛攻は――ユーベルコード「乳揺ぶーすと」で――激しくなっていく。
「一旦逃げるぞ! 姐御に報告だ!」
「揺れすぎんだろ……!」
 海賊達は詠唱銀を捨て、乳房を揺らして迫り来る透乃から逃げ去っていった。
「……凄いわね」
 先行していた透乃に追い付く形となったヒナは銀誓館学園の高校女子用夏服を纏っていた。はい、とヒナは携えていたもう一着の夏服を透乃に差し出すが、突き出てきた掌で断られる。
「常夏のグリードオーシャンじゃ夏服でも暑いよ!」
「それなら構わないけど……その胸、痛くないの?」
「全然っ! おっぱいは揺れることに意義があるんだよ♪」
「見てるこっちの胸が痛みそうだわ……」
 透乃が誇らしげに胸を張ると、その乳房はぽよんぽよんと揺れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。



●保健室
 春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が訪れた、グリードオーシャンでゴーストタウン化した銀誓館学園の小学校校舎に設けられた保健室は、一般病院の小児科診察室と然程変わらなかった。壁に張られた色紙には健康をテーマにした様々な言葉が踊り、本棚代わりのカラーボックスにも同じテーマの絵本が傾いていた。
「ここを折って、目を書いて……これで出来上がり」
「目が入ると確かにサメね。なるほど……」
 遙とヒナはテーブルで折り紙を折っていた。少年少女達の身体だけでなく心も気遣うのが小児科医だ。遙の指が折り上げていく様々な海の生物は、二つ上の学部の銀誓館学園制服を纏うヒナの心をも虜にしていた。しかし、荒々しく開けられた扉の音が折り紙を止めさせた。
「何者だアンタらぁ!?」
「……ここでは静かにして下さい」
 保健室には相応しからぬ荒々しい海賊達に遙は毅然と言い放った。
「俺達ゃ服を編むための銀を探してんだ。探させてもらうし、持ってるなら寄越せ」
「お断りします。出て行って下さい。『命を持たない紙の鳥、散らず褪せない紙の花、くるりくるり、舞い踊れ』」
 先程まで遙が折り上げていた、サメをはじめとした海の生物の折り紙126体の群れ――ユーベルコード「仕掛け折り紙」が浮かび上がり、海賊達に襲い掛かる。
「痛ぇ! 何だこれ!」
「やめろ! くそっ、逃げるぞ!」
「姐御に知らせろ! こいつら猟兵だ!」
 折り紙の群れに追いやられ、海賊達は逃げていった。
「折り紙に命が宿るのね……」
「あの子達の想像力はもっと凄いけどね」
 遙は保健室の片隅を見遣る。そこには「銀の雨が降る時代」の少年少女達の記憶の残滓が詠唱銀の粒子に煌めいていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミルナ・シャイン
グリードオーシャン出身かつ、銀誓館学園に通う現役女子高生。銀誓館の高校夏服を纏う。

まあグリードオーシャンに銀誓館学園ができたんですの?驚きですわ。
でも学園にコンキスタドールはいりませんわ、ご退場いただきましょう。
ヒナ様、わたくしと話を合わせてくださいな。
「ああどうしましょう…!あるメガリスを発動させるため詠唱銀を90億も集めないといけないなんて!わたくし達だけではとても…お願い、詠唱銀をお持ちならどうかお譲りください!」
制服姿で海賊達を【誘惑】しつつ、かよわい【演技】で詠唱銀をくれるよう懇願。
うまいこと騙し取れたなら「ありがとう!お礼に…斧の一撃をプレゼントですわ!」【だまし討ち】で【切断】。



●青
 ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)とヒナは廊下を進んでいた。
「本当に銀誓館学園そのものですわね……驚きですわ」
 ミルナは現役の女子高生として銀誓館学園に通っており、だからこそ内装が寸分違わず毎日見ている光景だと判る。違いがあるとすれば、窓の外に広がる景色の遠くが鎌倉市の街並みではなく一面の海の青で、所々開いている窓から現地以上に潮風が香ることだ。
 ミルナ達は開け放たれた教室の隅に二人の海賊がしゃがみ込んで探し物をしている姿を認め、そっと近付いていく。
「あったぜ! この調子なら――」
「何があったんですの?」
 ミルナの声に海賊達が振り向きながら顔を上げる。男達は白く細い脚――ミルナは人魚であり魚の下半身だが――を包むスカートに視線が行くのを振り切るように立ち上がった。
「お願いがありますの……。わたくし達はあるメガリスを発動させるため、詠唱銀を90億も集めないといけないのです」
「きゅ、90億!?」
 ミルナが切り出した話に海賊が驚くと同時にヒナにはアイコンタクトが飛んでいた。
「そうなのよ。途方もない量、私達だけじゃいつまで経っても集まらないわ。見たところあなた達の詠唱銀集めは順調みたいね。だからお願い」
 交渉と人心掌握は冒険商人であるヒナの強みだ。海賊の手を握り、瞳を見つめて少しずつ顔を近付けながら語り掛けていた。
「お願い、詠唱銀をお持ちならどうかお譲りください!」
 ミルナも続けてもう一人に懇願する。海賊達の詠唱銀集めが順調であり、この場には四人以外誰もいない。そして何より、潤んだ瞳、肌にじわりと浮いた汗、その汗を制するように青く長い髪から清潔感のある香りが漂う距離……夏服の少女という「秘宝」の誘惑。彼等には抗えるはずもなかった。

「このことは口外をしませんわ。あなた方はまた詠唱銀をお探し下さいまし。本当にありがとう」
 海賊達の詠唱銀を受け取ったミルナ達は二人を見送る。教室を出ようとする男達。
「――お礼がまだでしたわね。コンキスタドールには……斧の一撃をプレゼントですわ!」
 その声に振り向いた海賊達が見たのは、スカートとフリルのペチコートを翻して青い刃の斧を振りかぶった人魚の姿だった。

 開校当時から変わらないチャイムが銀誓館学園内に――島内に鳴り響く。それを動かす電力などグリードオーシャンにはない。
 それでも時間は――青春はここにあるのだと示すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴乃宮・影華
……うわぁ、マジで銀誓館学園だ
江ノ電走ってないけど、周りメッチャ南国だけど、凄い見慣れたキャンパス!
で、ここを海賊が汚そうとしていると――万死に値しますね

せっかくなので制服着用
ヒナさん、プール行きましょうプール
この学園には室内プールがあって……いえ、確かにひと泳ぎしたい気候ですけどそうじゃなくて
実は――平日のお昼休みの時間だけ、このプールは割れます
その地下には一般人にはナイショの闘技場があります!
「海賊達には多分まだ気付かれてないので、今なら詠唱銀集め放題ですよ」
指定UC起動、蟲達に隅々まで探索してもらい残らず回収するとしましょう



●プール
「……うわぁ、マジで銀誓館学園だ。江ノ電走ってないけど、周りメッチャ南国だけど、凄い見慣れたキャンパス!」
 鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)はヒナと共に探索していた。グリードオーシャンに現れたゴーストタウンの銀誓館学園は影華が通っていた頃と変わりなく、江の島と呼ばれた陸繋島並みに潮風が強いことを除けば、夏休みの到来を指折り数えながら過ごした、見慣れた――見慣れていたのを思い出した光景だった。

「そうなのね。私は伝承とかでしか知らなかった。さすが卒業生ね。制服も馴染みがあるもの」
 影華はヒナと揃って高校女子用の夏服を着ていた。久方振りの――もう二度と袖を通すはずのなかった制服は、現役だった頃からプロポーションの良かった影華の身体を違和感なく包み、白いセーラーカラーが日射しに輝いていた。

「ヒナさん、プール行きましょうプール。この学園には室内プールがあって……」
「泳いでもいいけど詠唱銀は?」
「いえ、確かにひと泳ぎしたい気候ですけどそうじゃなくて」
 そんな会話をしながら二人はキャンパス内のプール棟を訪れた。あの頃と何も変わらないガラス屋根の、屋外のような室内プールだ。
「実は――平日のお昼休みの時間だけ、このプールは割れます。その地下には一般人にはナイショの闘技場があります!」
「それはあなたが言うのだから間違いないのよね。でも、お昼休みって――」
 ヒナの言葉を遮るようにチャイムが鳴った。影華が何度も耳にした、始まりや解放を知らせる音だ。そして影華の言葉通りにプールは割れて、その間に下り階段が現れた。
「海賊達には多分まだ気付かれてないので、今なら詠唱銀集め放題ですよ。能力者同士の闘いの場、きっとたくさん見つかります。『彼の力を以て世界に請う――来て、私の仲間達!』」
 影華の靴が階段を叩く度、白い制服が一瞬だけ黒い靄を映した。靄は先行して階段の先へ降りていく。ユーベルコード「黒燐弾・特務群」。偵察や捜索に特化した影華の黒燐蟲だ。

「行きましょうヒナさん。足元に気を付けて」
 銀誓館学園。ゴーストタウン化したものではあっても、影華の青春の学び舎。
(ここを海賊が汚そうとしていると――万死に値しますね)
 制服のポケットのイグニッションカードは、今でも取り出すコツを覚えている。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳶沢・成美
まあ銀誓館学園なら異世界転移しても違和感は全くありませんがね
いやこれは銀誓館学園っぽいゴーストタウンですが
僕も詠唱銀を稼ぐためにゴーストタウンをまわった……ような気がする、うん
基本的に敵を倒して詠唱銀や詠唱兵器を手に入ればいい
ゴーストタウンとはそうしたものですよ
さあ、三角定規二刀流をお見せしましょう

そういえばここの屋上にも百葉箱があるのかな?
詠唱銀を使って詠唱兵器を作ったり、詠唱銀を凝縮して銀塊にしたりとかしたような?
詠唱銀を凝縮して銀塊にすると他人に譲渡しやすいんですよね
ま、多少は目減りしてしまうんですが



●屋上
 猟兵達とヒナがプール棟に向かう前に遡ること数刻。
「――あなたはシルバーレインから別の似た世界に転移していた、そして銀誓館学園も別の世界に転移……ここに来た、と」
「まあ銀誓館学園なら異世界転移しても違和感は全くありませんがね。いやこれは銀誓館学園っぽいゴーストタウンですが」
 鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)は夏服の少女・ヒナと共に廊下を歩いていた。
「僕も詠唱銀を稼ぐためにゴーストタウンをまわった……ような気がする、うん」
 成美は階段を見つけると上り始めた。
「屋上行ってみよう。そういえばここの屋上にも百葉箱があるのかな? って思って」
「百葉箱?」
「温度を測る計器を守る箱だね。だけど銀誓館学園では――」

 屋上の扉は難なく開いて、二人は青空から降り注ぐ日射しの眩しさに目を細めた。潮風が香る中、緑色のフェンスとその向こうの海原の前に佇む白い百葉箱を認めた成美はコンクリートに足音を立てて近付き、箱を開く。
「――詠唱兵器を作ったり、詠唱銀を凝縮して銀塊にしたりとかできるんだ。ほら」
 成美は百葉箱に収められた様々な武器と詠唱銀の塊をヒナに披露する。
「それは知らなかった。学生だったあなたのお話はためになるわ」
「君も武器を取るといい。最近は回転動力炉をオミットした物もあると聞くけど、君は単体の回転動力炉を持っていたね? 敵と戦うには武器が必要だ」
「敵って……やっぱり海賊?」
 成美はフェンスの向こうを指差した。キャンパス内には未だメリー配下の海賊がいるのだ。
「基本的に敵を倒して詠唱銀や詠唱兵器を手に入ればいい。ゴーストタウンとはそうしたものですよ」
 成美の開いた魔導書から影のカラスの式神――ユーベルコード「影烏」が羽ばたいて四方八方に飛んでいく。
「これで敵の位置は一目瞭然。さあ、三角定規二刀流をお見せしましょう」
 二枚の三角定規を構えた成美、そして百葉箱の詠唱銀を集めてから詠唱兵器に回転動力炉を取り付けたヒナはゴーストタウン探索の一歩目を踏み出した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
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●学園黙示録
 猟兵達と冒険商人・ヒナがゴーストタウンとしてグリードオーシャンに現れた銀誓館学園のプール棟に入ると、程なくチャイムが鳴り響き、二つに割れたプールの間に階段が現れた。
 一行が階段を下りた先には、体育館のように広々とした空間が広がっていた。

 学園黙示録。

 銀誓館学園の能力者同士がぶつかり合う闘技大会の名だ。
 かつての銀の雨降る時代に、能力者達の詠唱兵器が火花と詠唱銀を散らした闘技場がそこにあった。
 階段から射し込む陽の光は遥か上段だが、空間は詠唱銀の粒子が塗り込められたように仄かに明るかった。

「あれは……」
 ヒナが指差した先に猟兵達の視線が向く。

 そこには、銀色に輝く、銀誓館学園の校章が付いたトロフィーが浮かんでいた。

「そいつがお宝か!」
 階段の向こうから少女の声が響き、猟兵達は一斉に振り返る。

 チェックのスカートが捲れるのも――水着だから――気にせず階段を数十段も跳び越して降り立ったのは、高校生女子用の銀誓館学園夏服を纏った金髪の少女。

「そいつは私んモンだ。この『緋色のメリー』のな」
 メリー・バーミリオンは、回転動力炉の付いたサーベルを猟兵達に突き付けた。
 配下の海賊達も遅れて階段を降りてくる。猟兵達の詠唱銀回収と奪取は奏功しており、制服や詠唱兵器を持つ者はメリー以外にはいなかった。

 その時、トロフィーは輝きながら遥か高く浮かび上がり、周囲に銀色の光線を放った。
 光線が描き出したのは、制服姿の能力者達の人影だ。まるで決勝戦を観ているかのような歓声の如き共鳴音が反響する。

 そう、これは猟兵達とコンキスタドールの決勝戦である。
 優勝者に贈られるのは詠唱銀のトロフィー。メガリス程の力はないと考えられるが、場合によってはメガリスより遥かに危険な存在にもなり得る程の詠唱銀の塊だ。

「服でも武器でも置物でも、この目は宝を見逃さない! 文句があるなら……」

 猟兵達は身構え、ヒナも臨戦態勢を取る。

「かかって来な!」
 メリーのサーベルの回転動力炉が起動し、決勝戦の火蓋が切って落とされた。
ミルナ・シャイン
【銀海豚】3人で。

ヒナ様、とっても心強い助っ人二人をお呼びしましたの!銀誓館学園OBの白夜様、それにOGにして現教員の八坂先生ですわ!お二人共元能力者で、かつて黙示録でも共に戦っていたそうですの。お二人共今はわたくし達と同じくらいの年齢になっておられますけれど…
あらお二人とも、今も十分お若いですわよ?中身も。

わたくしと元能力者のお二人、それにヒナ様にも加わっていただければ4人チームで戦いに挑めますわ。一緒に戦ってくださいませ!

前衛はおまかせくださいな、海賊たちは斧の【なぎ払い】で纏めて蹴散らしますわ。
ボスのメリー相手には尾ビレで高く【ジャンプ】し高所からUCの兜割りを叩き込みますわ!


鳥羽・白夜
【銀海豚】3人で。

限定的な運命の糸症候群で高校生の頃の姿に。
かつて着ていた高校男子夏服を着用。
まさか昔の制服をまた着ることになるとは。捨ててなくてよかった…

プール地下の闘技場とか懐かし…って言いたいとこだけどここグリードオーシャンなんだよな…ここまでそっくりだと錯覚しそうになるわ。

どうも…中身は三十路のおっさんだけどな。
いや…えーっと…
そ、そうそう歳は関係ねえし!

とにかく10年ぶりくらいの黙示録いっちょやるか!起動イグニッション
紅い刃の大鎌を手に。

ここはあの頃から使ってる技でいくかな。
黒影剣発動、姿を隠し海賊たちから生命力を奪いつつ大鎌の【斬撃波】で【切断】し各個撃破。


八坂・詩織
【銀海豚】の3人で。

限定的な運命の糸症候群により高校生の頃の姿に。
驚きですね…プール地下の闘技場まであるなんて。あの頃のままじゃないですか。
それに白夜さん若い!
…その言い方だと私も中身アラサーのおばさんになりますが。
ありがとうございます、そうですね今は年齢あまり関係ないですね。

それじゃ久しぶりの黙示録頑張りましょうか。ヒナさんもよろしくお願いしますね。
起動イグニッション
髪を解き、瞳は青く変わり防具『雪月風花』を纏う。

ここは昔から使っている技の出番ですね。
氷雪地獄発動、大津波が来ても吹雪の【凍結攻撃】で纏めて凍らせます。
あの頃あまり戦績良い方じゃなかったですけど海賊に詠唱銀は渡しません。



●【銀海豚】 V/S 緋色のメリー
「それにしても驚きですね……プール地下の闘技場まであるなんて。あの頃のままじゃないですか」
「懐かし……って言いたいとこだけどここグリードオーシャンなんだよな……ここまでそっくりだと錯覚しそうになるわ」
 そんな言葉を交わしながら八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)と鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は階段を降りていく。やがて階下に着いた二人を迎えたのはミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)と高校生女子用の銀誓館学園夏服を纏った少女・ヒナだった。

「ヒナ様、こちらが銀誓館学園OBの白夜様、それにOGにして現教員の八坂先生ですわ!」
 ヒナは二人を見て、そこのお姿はと呟いた。
「そう、『運命の糸症候群』。ここの詠唱銀に中てられたみたいでな。元々は、っつうか中身は三十路のおっさんだ」
「その言い方だと私も中身アラサーのおばさんになりますが。この制服も私が現役で着てたものです」
 白夜はシャツにスラックスの少年、ミルナのセーラー服を指差す詩織もまた同じく女子用の制服を纏った少女であり、ミルナとヒナを合わせて四人の「高校生」が談笑している画となった。

「おう、ガキが一丁前にハーレム気取りか?」
「可愛い娘は俺達が相手してやるぜ?」
「こっちは姐御しか居ねぇからなぁ」
 その青春の一コマに水を差したのはメリーの配下の海賊達だ。若々しくも大人へと変わりゆく途中の美少女達に下卑た笑みを向けている。
「……今は年齢あまり関係ないですね」
「そうだな、ガキって言われちまった」
 まだ慣れない身体の軽さと声色に、詩織と白夜は顔を見合わせて微笑んだ。
「それじゃ久し振りの」
「十年振りの『学園黙示録』、いっちょやるか!」
 二人は同時にイグニッションカードを掲げ、同じ言葉を唱える。

「「起動イグニッション!!」」

 白夜の手には赤い三日月型の刃を持つ大鎌が握られ、詩織は袖と裾に花と蝶を舞わせた着物に身を包み、瞳を青く輝かせた。

「これが……!」
「そうですわ。お二人共元能力者で、かつて学園黙示録でも共に戦っていたそうですの。わたくしと元能力者のお二人、それにヒナ様にも加わっていただければ四人チームで戦いに挑めますわ。一緒に戦ってくださいませ!」
 ミルナはヒナが頷いて詠唱兵器を構えたのを見て、白夜に並ぼうと前に出た。

「野郎共、やっちまいな!」
 メリーの号令に応じて海賊達は一斉に駆け出した。学園黙示録で優勝するにはチームを四人以内で結成して勝ち抜かなくてはならない。しかしメリーの目的は優勝ではなく財宝だ。前衛を務めるミルナと白夜が相手取るのは、二桁に収まるとも思えないほどの大攻勢だった。
「まるで戦争だな。ここはあの頃から使ってる技でいくか」
 白夜が呟くと、その姿が海賊達の影に溶けるように消えた。忽然と消えた白夜に戸惑う海賊達だが、鋭い斬撃を音もなく浴びて仄銀色の闘技場に赤色を差して倒れていく。
 ――黒影剣。ユーベルコードへと昇華した魔剣士の能力アビリティである。
「くぅぅ……!」
 一方、ミルナは詩織から受け継いだ制服に徐々に刀傷を増やしていた。群がる海賊達を青い軌跡で薙ぎ払っているが、白夜の姿を見失った海賊も集まってきていたのだ。
「お嬢ちゃん、諦めて楽になれよ」
「ご冗談を。あなた方に屈するようでは、お母様のような立派な騎士にはなれませんわ」
「なあに、俺達が立派な――ぐぉっ!?」
 ミルナに迫った海賊が背中から血を噴き出して倒れる。
「俺はいなくなったわけじゃないぜ。コンビネーションで戦ってんだ」
「そう、わたくし達はチーム【銀海豚】。仲間と共に戦っていますのよ!」
 姿を現した白夜、そしてミルナ。息の合った赤と青の刃は海賊達に隙を与えなくなった。

「野郎共……! これならどうだ!」
 次々と倒れていく手下の姿に動いたのはメリーだ。猟兵達にサーベルの切っ先を突き付けると回転動力炉が唸り、大量の海水がサーベルから溢れ出して瞬く間に津波と化して闘技場を攫っていく。
「津波なら私がお受けしましょう」
 その言葉と共に詩織の手から風花――花のように舞う雪の名にして結晶輪の銘――が舞い、イグニッションによって解けた黒髪を撫でながら吹雪の竜巻を広げていく。やがて風花と津波がぶつかり、津波は猛烈な吹雪に凍り付いた。雪女である詩織の前には夏服を汗に透かす常夏の学び舎さえユーベルコードの名の通り「氷雪地獄」と化すのだ。
「このっ……!」
 メリーの悪態を余所に津波は鎌首を擡げる前に凍り付き、ついにはサーベルまでもが凍り付き始め、メリーは吹雪を切り払うように刃を薙ぐ。それでも風花は収まらず、夏服に剥き出しの四肢に降り掛かっては凍り付かせていく。
「あの頃あまり戦績良い方じゃなかったですけど、海賊に詠唱銀は渡しません。さあ!」

 詩織の呼び掛けに応じて凍った津波を跳び越えたのは二体の雪だるま――ミルナとヒナだ。詩織の齎した、火照った身体を心地よく涼ませる雪だるまアーマーに身を包み、ミルナは尾ビレを、ヒナは詠唱兵器を振りかぶる。
「お母様直伝の一撃、これは強烈ですわよ!」
 苦虫を噛み潰したように歯を食い縛り辛うじてサーベルを頭上に構えたメリー。しかしミルナは一切の躊躇を見せず自身の尾ビレをサーベルの刃文に叩き付けた。火花が散り、サーベルが折れ、メリーの頭上から身体に尾ビレが食い込む。ユーベルコードの名に違わない「兜割り」の一撃だった。
 見た目通りの致命傷を受けたメリーのサーベルに付いた回転動力炉が甲高い回転音を上げ、周囲の詠唱銀を集めてメリーの傷を、サーベルを急速に治していく。その様は魂が肉体を凌駕するかのようだ。
「はぁっ!」
 ヒナの詠唱兵器がその回転動力炉を撃ち付けると、回転音は音階を下げていき、程なく停止する。メリーの肉体とサーベルは猟兵達の猛攻を受ける前の状態を取り戻すが、セーラーカラーの夏服は左右に分かたれたままメリーの肌とビキニ状の水着を晒し、決勝戦の趨勢を物語っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鳶沢・成美
学園黙示録ですか、結社の仲間と参加したりしなかったりだったかな?
ま、いいや今はそれは重要じゃないでしょう

さあハ〇ガーヌンチャクを参考に編み出した
三角定規二刀流と同時に【火雷神道真】お見舞いしますよ
礫の弾幕と放ちつつ両手に持った三角定規型詠唱定規で接近戦
除霊建築士として積んだ功夫で相手の攻撃を武器受け受け流し
カウンターの武器落とし攻撃
そのサーベルは物騒なので置いておいてください
そこにとどめに火雷神道真の礫を叩き込む

これがUDCアースの僕とシルバーレインの僕の融合戦法です



●融合戦法 V/S 緋色のメリー
「学園黙示録ですか、結社の仲間と参加したりしなかったりだったかな? あんな風に相手がしぶとく粘ったり粘らなかったり」
「そうなのね……」
 先の猟兵達とのコンビネーション攻撃を終えて距離を取るヒナに語ったのは鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)。
「ま、いいや。今はそれは重要じゃないでしょう。僕もやらなきゃね」
 新書サイズの魔導書を開いた成美の前の空間に銀の光の五芒星が描かれ、そこから現れたのは――。
「道真さんよろしくー」
 鎌倉の地にも天満宮を擁する、学問の神にして怨霊――ユーベルコード「火雷神道真」。銀色の雷を迸らせる菅原道真と共に、二枚の三角定規をそれぞれの手に持った成美が歩み出す。
「姐御を守れぇ!」
 傷の癒え切らないメリーの盾となるべく海賊達が躍り出るが、道真が放った雷の礫が十数人を焼き払えば、その弾幕を掻い潜る術を持たない海賊達の足は止まってしまう。穴を使ってヌンチャクのように二丁の三角定規を回しながら進む成美を迎えたのは、メリーのサーベルの切っ先だった。
「喰らえ!」
 回転動力炉を唸らせ、裂けた白い夏服を翻してサーベルを振り下ろすメリー。成美は刃を三角定規で受けると同時に回して受け流す。三角定規をヌンチャクとした功夫の動きと、道真の放つ雷の礫がサーベルを振り切る隙を与えず、刃が湛えた津波は成美達猟兵の方には向かずに消えていく。
 メリーが純粋な斬り結びを仕掛けるとなっても得物の数に勝る成美の優位は揺らがない。それでも一筋の隙を見出したメリーは、成美の心臓目掛けて刃を突き出した。
「そのサーベルは物騒なので置いておいてください」
 敢えて隙を与えた成美は冷静に、三角定規の手を入れていない方の穴でサーベルを絡め捕り、弾幕の外の海賊へと弾き飛ばす。メリーの口が驚愕に開くと同時に道真は雷の礫の全てを叩き込み、その口からは絶叫が響いた。
「これがUDCアースの僕とシルバーレインの僕の融合戦法です」
 回していた三角定規をピタリと止め、演武を終えたように構える成美。倒れ伏したメリーは黒焦げでもおかしくなかったが、焼け焦げたのは纏っていた白いセーラーカラーのシャツとチェック柄のスカートの裾だけだった。
 ――メリーは、まだ力尽きてはいない。成美は構えを解かずに足先を柔らかくして次の動きを探る。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華
えぇ、えぇ、そうですよね
この学園で、雌雄を決するというなら此処をおいて他にない!
ポケットにしまったイグニッションカードを取り出し、さぁ今一度告げましょう
「――起動イグニッション!」
制服+運命の糸症候群で身も心もJKです!

さて、学園黙示録は集団戦
向こうはもう配下を引き連れているので、こちらも遠慮なく指定UC起動
「そちらがそんなに沢山なら、こちらもリザーバーという事で文句は言わせませんよ!」
なお『ソリウム・ベルクス』は空中を走れるので津波の回避が楽になります
先輩方や同期や後輩の幽霊が海賊共を蹴散らしている内に
ヒナさんから強化を受けて『ラディウス』をぶん投げ〆としましょう



●銀誓館学園 V/S 緋色のメリー
 海賊の肩を借りて立ち上がるメリーは満身創痍だ。纏った制服は焼け焦げたスカートのみで防具として機能していない。それでも瞳に湛えた光は――信念は潰えていないのだ。

 ここでの闘技大会で敗れた者が――そして度重なる熾烈を極めた戦いに若き命を散らした能力者がそうだったように。

(……えぇ、えぇ、そうですよね。この学園で、雌雄を決するというなら此処をおいて他にない!

 鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は眼鏡を制服の胸ポケットに収め、代わりに取り出したイグニッションカードに視線を落とす。
 銀誓館学園高等部卒業後、浪人生となった影華には一浪や視力低下の比ではない災禍が降り掛かった。それらを背負い新たな戦いに身を投じた影華には、ぼやけたイグニッションカードの輪郭の中に「あの頃」の姿がはっきりと見えていた。
(……さぁ、今一度告げましょう)
 イグニッションカードを掲げ、影華は口を開く。

「――起動イグニッション!」

 カードから銀色の光が弾け、掲げた手には魔力を宿す槍……皇国兵団専用兵装『ラディウス』が握られる。その腕を振り下ろして靡く髪の艶やかさは――そして顔も、肌も。大人の色香を醸し出す術を知る前の瑞々しさを湛えていた。

 運命の糸症候群が、影華を「少女」に――銀誓館学園の女子高生に変えたのだ。

「それが貴女の……!」
「そうです。身も心もJKの私」
 眼鏡を外した、に留まらない影華の変わり様にヒナは驚いた。その様は二人の女子高生の何ということのない日常会話だ。
 しかし、この二人が見た目通りの可憐で華奢な存在ではないのを嫌というほど思い知っている海賊達からは鋭く敵意むき出しの視線が突き刺さる。その視線に影華の赤い瞳が向いた。

「そちらがそんなに沢山なら、こちらもリザーバーという事で文句は言わせませんよ!」
 影華の言う「リザーバー」とは、学園黙示録で対戦する両チームの戦力差を公平に近付けるための「控えの使役ゴースト」だ。しかし、銀誓館学園のゴーストタウンのプール地下闘技場で出くわした二勢力の闘争でしかない現状にそんな控え選手など存在しない。即ち、影華がこれから喚ぶのだ。
 影華はスカートのポケットから髑髏のキーホルダーを取り出して海賊達に突き付けた。

「彼の力を以て世界より喚ぶ――我が呼び声に応え、いざ来たれ生命使い!」
 キーホルダーは巨大化しながら、骸骨馬6頭立ての馬車――移動式皇国本陣『ソリウム・ベルクス』へとその形を変えていく。引き戸の扉が開けば、その向こうには片隅に校内放送等で使うモニターの吊り下がった銀誓館学園の教室を模した内装が広がっており、少年少女達が詠唱兵器を手に次々と降り立つ。彼等には共通点があり、一つは小中高と年齢によって違うものの夏服・体操服・スクール水着に冬服と銀誓館学園の制服を纏っていること、そして、彼等の身体が半透明――幽霊であることだ。
 2012年まで続いた銀の雨降る時代シルバーレインの能力者の戦いでは、命を落とした者も少なくなかった。しかし、彼等の青春いのちと引き換えに、彼等の大切な人達は、銀誓館学園は――そして世界は守られたのだ。その彼等の青春ちからを今一度借りるのが、影華のユーベルコード「蟲喰孔・友情出演『銀誓館学園』」である。

 次々と「教室」を飛び出し海賊達と戦端を開く「能力者」達の攻勢は最早、学園黙示録の枠を越えた集団戦となっていた。無数の詠唱兵器とアビリティが海賊達に襲い掛かり、圧倒していく。メリーの繰り出した津波は能力者達を呑み込むが、『ソリウム・ベルクス』は影華達を乗せて宙を駆け、津波をやり過ごすと同時に新たな能力者達がリノリウムを蹴って躍り出ていた。

「『教室から冒険は始まる』って言葉がありましてね。私達はあの画面に映る校内放送を見て、それから教室を飛び出したのです。だから、行きましょう。この教室から、一緒に」
「ええ!」
 影華達は教室から再び闘技場に降り立ち、海賊達の間を抜けてメリーと相対する。ヒナの戦い方は満身創痍のメリーとなら互角。しかしヒナの回転動力炉は鍔迫り合いからメリーのそれを削いで、影華に力を与えていた。
「今よ!」
 まるで現役時代から培ってきたコンビネーションのように、影華の『ラディウス』が銀色の魔力を噴射してメリーを回転動力炉ごと貫き、闘技場の壁を突き抜けていった。

「勝負あり! 勝者、『銀誓館学園』!」

 決着と優勝者の名が響き渡り、勝ち鬨にも似た詠唱銀の共鳴音と共にトロフィーが猟兵達の元に舞い降りる。
 それを手に取ると銀誓館学園のゴーストタウンは元の詠唱銀に解けながら島の大地に還っていき、下校時刻のチャイムと共に掻き消えたのだった。
 暫くこの島を更に調べると言うヒナと猟兵達は別れ、トロフィーを持ち帰るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月05日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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