|鋼《シュタール》の物語 辺境解放戦
|吸血鬼《ヴァンパイア》に支配される巨大な地下世界、ダークセイヴァー第四層。
だが実のところ吸血鬼の支配は世界の隅々までには及んでいない。
辺境と呼ばれる場所の殆どは「異端の神々」と呼ばれる超存在が蠢く未開の地なのだ。
勿論、世界の支配者を自認する吸血鬼達は最初からこの状況を受け入れていた訳ではない。
かつては多くの吸血鬼達が軍勢を率いて「異端の神々」の討伐を目論んだこともある。
しかし、結末は悲惨なものだった。
多くの神々を屠る事にこそ成功したものの本質が不死である神々を真の意味で滅ぼす事はできなかった。
殺された筈の神々は次々と自分を殺した吸血鬼に憑依。その魂と肉体を奪い取ったのだ。
この結果を受けて吸血鬼達は辺境の支配を断念する。
「この辺境、大森林が『鋼』の第一都市の西に広がっています」
グリモア猟兵ステラ・リデルが状況を説明する。
『鋼』とは吸血鬼に反抗する人類による組織『闇の救済者』の一つでなかなかの勢力を持つ。
第一都市とはその『鋼』の拠点である。吸血鬼の小領主の街を奪取したものだ。
西には今言ったように辺境の大森林が広がり、北から東にかけてはかつて襲撃して来た大領主の領土が広がる。南は小領主の都市群がある。
西以外を吸血鬼領主たちに囲まれている『鋼』は現在、戦士達の練兵や食糧生産力の増強などひたすら自強に努めているのだが、その存在の噂を何処から聞きつけたのか一縷の希望を抱いた人々が第一都市に少しずつ流入している。これにより第一都市の許容範囲を超えてしまっていた。
「第二の拠点が必要ですが、次に吸血鬼の都市を襲えば連鎖的に戦争状態に陥るでしょう」
近隣の大領主からの攻勢を一度は退けた『鋼』。大領主はその痛手を回復中であるし、他の小領主たちは単独で『鋼』を落す戦力を持たない。かといって小領主たちが連合を組んで落とすほどの旨味も『鋼』にはない。いわば現在は大領主が痛手を回復するまでの薄氷の休戦状態である。
そこで『鋼』から吸血鬼の都市を襲えばどうなるか。小領主たちは明確な脅威として連合を組む可能性が高いし小領主連合との戦いになれば大領主も完全回復を待たずに動くだろう。
そうなれば『鋼』の勝機はないに等しい。
「そこで辺境です」
西の大森林は「異端の神々」の庭である。そこを獲っても吸血鬼を刺激することはない。
また所在を掴まれている第一都市と違い、隠れ家的な運用も可能であろう。
つまり狙い目であるが、では実際に獲れるかと言えば吸血鬼すら断念したのだ。至難である。
「ですが|私達《猟兵》ならば可能でしょう」
『鋼』の上層部はステラと話し合い、大森林を獲った場合は新たな拠点を作る事を決めている。
当然の話だが獲る為に『鋼』も協力を惜しまない。
参加する猟兵の判断次第だが戦力要請をすれば虎の子のUC使いも派遣される。
「大森林を獲ると言っても勿論、その全てという訳ではありません」
全体から見れば極一部。第一都市よりの部分だ。それでも危険であることは変わらないが。
その一部分の主とも言える「異端の神々」はかつての吸血鬼との戦いで体を失い、吸血鬼の魂と体を奪った存在、「狂えるオブリビオン」と呼ばれる存在だ。
何故、「狂える」と呼ばれるかというと文字通り一切の理性を持たないからである。
その支配領域に侵入すれば誰であろうとも攻撃対象となる。そこに吸血鬼、人間、猟兵の区別はない。
この狂気が元来の性質なのか一度死んだことによるものなのか、或いは吸血鬼の肉体を奪った副作用なのかは謎であるが、倒すしかなく倒せばこの周囲一帯を安全に使用する事が可能だろう。
「注意していただきたいのは、この狂気は伝染するということです。狂えるオブリビオンの支配範囲に入ると『声』が聞こえてきます。その声は魂を蝕みます。何らかの対処をしなければ魂が狂気に支配される可能性すらあります」
またすでにこの『声』によって狂気に陥ったオブリビオンの群れも支配領域には跋扈しており、それとの戦闘も避けられないという。
「危険な戦いになるでしょう。ですが皆さんの実力であれば達成する事は可能です。『鋼』の為、ひいてはこの世界の人類の為に力を貸して頂ければと思います」
この後、細々とした情報を確認し、ステラの提案を受けた猟兵達は夜と闇の世界に転移される。
淵賀
初めまして。またはお久しぶりです。
ダークセイヴァー第四層を舞台とした物語となります。
『鋼』の物語の三作目ですが、前回を知っている必要は全くありません。
名前は出していませんが『鋼』のNPC達は居ます。顔見知りの方は触れたり、連れて行ったりしても構いません。ただし、連れて行く場合は狂気対策をしてあげましょう。しないで連れて行くと狂気に侵されます。
全三章構成。冒険→集団戦→ボス戦となります。
それでは今回のシナリオに関して纏めます。
第一章について。
『鋼』の第一都市から大森林に侵入していくところです。
侵入前に第一都市で交流したり見物して貰ったりしてもOKです。
また、NPCを知っているなら(知らなくても)声をかけて連れて行く事もできます。
(生き残れればNPCのLVが上がります)
大森林には魔獣とかもいますが猟兵にとって危険度は高くありません。ただし、『声』が聞こえてきます。
この『声』に何らかの対処をしないと狂気に蝕まれます。具体的には成功率-10%って感じです。
NPCを連れてきている場合、放置すると狂います。(対処すれば大丈夫です)
第二章について。
狂えるオブリビオンの狂気に侵されたオブリビオンの群れが襲ってきますので倒してください。
やはり『声』は聞こえています。
第三章について。
狂えるオブリビオンとの決戦です。狂ってはいますが戦闘能力は極めて高く、戦闘判断も的確です。
倒せば『声』は聞こえなくなり、周囲は開拓可能となります。
ちなみに猟兵が倒しても異端の神々に憑依されることはないようです。
以上です。
プレイングは各章全て受付開始のタグを入れてからとなります。
〆切に関しては特に設けず、送信可能な間とさせて頂きます。
それではお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。
第1章 冒険
『異端の神々の庭』
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POW : とりあえず突っ込む。
SPD : 森を走り抜ける。
WIZ : 魔力の痕跡を探す。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『鋼』の拠点である第一都市は『異端の神々』が跋扈する辺境ぎりぎりの場所に位置する都市だ。
辺境の都市故に吸血鬼勢力にとって魅力に乏しく、それもあって『鋼』が奪取対象に選んだという経緯がある。
西方に進めば真の意味での辺境、異端の神々が住まう大森林が広がる。
今回の作戦はその大森林の比較的浅い部分を自らの領域とする|異端の神々《狂えるオブリビオン》を打倒して、空白地となった場所に『鋼』の新たな拠点を築こうというものだ。
所在が吸血鬼勢力に把握されている第一都市と違い、大森林の中に拠点を築くことが出来れば、緊急時の退避先にもなるだろう。
大森林の攻略の為に猟兵達はまず第一都市に送られる。
此処で歓待を受けて英気を養ってから挑むかもしれないし、即座に大森林に向かうかもしれない。
これは猟兵のそれぞれの自由である。
◆状況説明
『第一都市』に転移した貴方は此処から大森林を目指します。
第一章の目的は森林を進み、狂えるオブリビオンを探しに行くのですが、狂気に誘う『声』にさえ対処すればそれほど危険ではありません。(ただでさえ昼でも暗い地下世界の大森林という事で『声』がなくても常人には危険極まりありませんが猟兵の持つUCや技能、素の能力であれば問題ないでしょう。『声』を除けば気軽なプレイングで森を踏破することができます)
ギミック1:狂気に誘う『声』に対処する。
大森林に入ると「力を求める」ような『声』が絶えず聞こえてきます。これに耳を傾けていると猟兵と言えど影響を受けます。(成功率-10%)最悪、狂気に囚われてしまうかもしれません。何らかの方法で対処する事をお勧めいたします。
ギミック2:『鋼』の協力
今回の異端の神々討伐は『鋼』の為であるので当然ですが彼等は極めて協力的です。
実力的な問題で自分達から同行を申し出る事はありませんが、誘えばほいほい着いてきます。
育成や交流目的で連れて行くのも良いかもしれません。
ただし、その場合、『声』に対処していないと発狂してしまいます……。
オマケ要素なのでNPCの名前は出しませんが、前回までに登場したNPCは誰でも誘えます。
同じNPCが重複して呼ばれた場合は連携リプレイになるか、それが時間的に厳しい場合は先に来たプレイングを優先いたします。
御梅乃・藍斗
連携、アドリブ可
この昏い世界に一筋でも光明をさせるように、僕もお手伝いしましょう
逞しく生きようとする人たちの力になれるのなら嬉しい限りだ
NPCの皆さんは連れて行きません
やむを得ない事情ならまだしも、選べる範疇でむざむざ危険に晒すことはない
…僕に護りきる自信がないだけとも言えるのは、甚だ情けないですが
森林について【情報収集】し、【サバイバル】知識を活かしつつ探索を
「声」が聞こえてきても【受け流し】、任務をやりきるという【覚悟】と【狂気耐性】で耐えます
可能であれば指定UCで声そのものを防ぎたいですね
力が欲しい? そんなのは外に求めるものじゃない、内から高めるものだ
そんな雑音で僕は足を止めませんよ
●御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)
『鋼』の拠点である第一都市。
曲がりなりにも人類が統治するこの都市は吸血鬼の苛政に苦しむ都市とは違った雰囲気だ。
開放感、活気を感じる。
そんな街の様子を見て転移して来た猟兵、御梅乃・藍斗は顔を綻ばせる。
『鋼』の戦士達には以前の遠征先で協力する事があったが、この街を実際に目にするのは初めてである。
彼にはこの街が儚いながらも昏い世界を照らす灯火に見えた。
そしてこの灯火を絶やさぬよう、更なる光を放てるように自身の力を振るおうとも思う。
数刻後、藍斗の姿は大森林の中にあった。
少し時間が掛かったのは転移して来たのを『鋼』の人々に見つかり、歓待を受けていたからだ。中には以前の依頼で藍斗が鍛えた『鋼』の戦士達もいた為に断り難く、また彼等の近況を知りたい気持ちもあった。
彼等に見送られて街を出た藍斗の歩みは力強い。
ちなみに彼は単独で行動している。『鋼』の戦士達を連れて行こうと思えば連れていけたが彼はそれを良しとはしなかった。やむを得ない事情があるならばまだしも、今回はそれがない。むざむざ危険に晒す必要はないという判断だ。もっとも護りきる自信がないだけかもしれないと自身の判断を客観的に分析してやや自嘲的な笑みを浮かべる。
そんな藍斗の心情に呼応した訳ではないだろうが、何処からともなく『声』が聞こえ始める。
それは狂気を秘めた力を求める声。耳を傾ければ力を求め、焦燥感に襲われる異端の神々の声だ。
「くだらない。力が欲しい? そんなのは外に求めるものじゃない、内から高めるものだ」
いつの間にか藍色の闘気を帯びた藍斗は吐き捨てる様に『声』に答える。
藍斗の強靭な精神、そして藍色の闘気の特質により、『声』に秘められた狂化の力は彼に影響を及ばせない。
確かな足取りで藍斗は大森林の奥へ奥へと進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
人が溢れて森を切り開く。そしてそこに棲むモノが人の世に解き放たれる。
こちらの森に棲んでいるのは未知なる災厄ではなさそうであるがな。
『鋼』の顔見知りがいたら無理矢理同行している
前回自身にとどめを刺した兵士もいたら連れている
2分と少しでどこまで行けるかな。まぁ、治れば再度感染させればよいか。
声への対処
自身の体全てを命令文一つだけ保持した知性の欠片も無い単純下等生物《ウイルス》に戻す
同行したNPC全員に感染、吸血鬼化させることで一時的な不死性を付与
獣化、霧化などし目的地まで駆け抜けるように命令する
先導はNPCの纏め役に任せる
発症期間が過ぎたら再感染させる
やり過ぎると通常の赤死病への免疫は作られる
●ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)
鬱蒼と木々が生い茂る大森林。暗闇の世界であるダークセイヴァーにおいても特に濃い闇の領域である。
この大森林の前に今、人間の集団の姿があった。否、一人の吸血鬼と人間の集団と言うべきか。
吸血鬼の名前はブラミエ・トゥカーズ。
吸血鬼と言っても|この世界の存在《オブリビオン》ではなく異世界、カクリヨファンタズムで生まれた妖怪。
御伽噺の吸血鬼である。古き良き伝承に従って貴族然とした装いに身を包んでいる男装の麗人だ。
「人が溢れて森を切り開く。そしてそこに棲むモノが人の世に解き放たれる。
もっとも、こちらの森に棲んでいるのは未知なる災厄ではなさそうであるがな。さあ、始めるぞ」
ブラミエの声に人間の集団――『鋼』の戦士達は緊張しつつも覚悟を決めた顔で頷く。
『鋼』の戦士達が彼女と行動を共にしているのはブラミエがそれを望んだからだ。
それは彼女がこの世界、『鋼』の拠点、第一都市に転移して来た時に遡る。
ブラミエが街に足を踏み入れると猟兵の到来を知らされている『鋼』の人々は好意的に迎える。その中には以前、ブラミエが関わった農村解放の為の遠征に従事していた『鋼』の戦士達もおり、彼等は彼女の顔を覚えていて、より積極的に歓迎を表していた。
その中にブラミエは一人の青年の顔を認める。忘れもしない自分に|とどめ《・・・》の一撃を与えてくれた銀の槍を持つ戦士だ。かつての農村解放のおり、ブラミエは『鋼』の参謀と謀って戦士達に武勲と自信をつけるべく魔獣に扮して彼等を襲った。
狂言でありほどほどのところで退散するつもりであったが、|自身《吸血鬼》に特効の銀の槍の存在で予定が狂いうっかりとどめまで刺されてしまったのだ。吸血鬼の不死性によりすぐに復活を果たしたが……正直怖かった。滅ぼされることに慣れている訳ではないのだ。
勿論、『鋼』の戦士達はそんな舞台裏は知らない。
無邪気に魔獣を退治したと信じており、ブラミエのことは農村解放の際に協力してくれた猟兵と言う認識だ。
ブラミエがにんまりとした笑みを浮かべる。銀の槍を持った戦士、確かオスカーといったか。
オスカーを捉まえて『狂えるオブリビオン』退治に同行するように命じる。|魔獣《ブラミエ》退治の際の戦士達もいるのであれば集める様にと加えて。
UC使いに至らないオスカーにとっては訳の分からない指名であるが猟兵の指名は名誉なことであるし、何か理由があるのであろうという信頼もある。魔獣退治時の面子十数人を集めてブラミエに同行する事になる。
そして現在。
大森林の『狂えるオブリビオン』の領域に至れば狂気に誘う『声』が聞こえてくると知らされている。
猟兵にすら効力を発揮する『声』は常人である『鋼』の戦士達には覚悟を決める、気を強く持つ程度では抗う事は不可能であろう。
これに対するブラミエの答えは『|伝承再現・泡沫の暗黒時代《バイオハザード・クリムゾン・ナイト》』であった。
このユーベルコードは自らの身をウィルスに変じて感染した者を時間制限はあるものの吸血鬼へと変化させて操る事が可能だ。
吸血鬼の精神耐性があれば狂化の効力に抵抗する事が可能であろう。
ブラミエの身体はウィルスに変じて跡形もなく消えて『鋼』の戦士達を吸血鬼に変える。
赤く輝く瞳となった彼等はブラミエが指名していたオスカーを先頭としてある者は獣化、ある者は霧へと姿を変えて大森林を進む。
聞こえてくる『声』を跳ね除けて。
大成功
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リューイン・ランサード
吸血鬼に認知されない拠点&退避所の構築はとても重要です。
今後、攻勢をかける際に大森林内を移動しての奇襲も可能になるかもしれませんし。
経験を積む為にジキスムントさんに話して、フリッツさんや志願者と一緒に大森林に行きます。
大森林での移動訓練や拠点候補探しを行いながら進む。
『力を求める声』が聞こえてきたら、同行者達に「狂気に囚われないよう心を強く持って、大切な人達の事を考えて抗って下さい。」と指示。
そして破魔・浄化・狂気耐性・結界術・全力魔法によって狂気を退ける結界を形成。
自他共に狂気を消し去ります。
「良い訓練になりました。後で皆さんに術式を教えます。」
そしてUC:式神具現で元凶の異端の神々を捜索。
●リューイン・ランサード(|波濤踏破せし若龍《でもヘタレ》・f13950)
『狂えるオブリビオン』を討伐する事による辺境大森林の開拓と第二の拠点作り。これに関してリューイン・ランサードは大いに賛成であった。『鋼』の第一都市の所在は吸血鬼に認知されており、撃退したとはいえ襲撃も受けている。今後も戦火に晒されるのは避けられないであろう。その際に吸血鬼に所在を知られていない拠点があることは重要である。
非戦闘員の退避場所としても使えるし、万が一第一都市が落城不可避となった場合でも再起の拠点とすることもできるだろう。また今後攻勢に出た際には吸血鬼達が不可侵と考える大森林を行軍進路に使えば奇襲を容易にする可能性もある。
第一都市に転移を果たしたリューインはまず『鋼』の指導者であるジキスムントに話を通す。
顔馴染みであるUC使いフリッツやその他の志願者を大森林に同行する許可を得る為だ。『異端の神々』が跋扈する大森林は危険ではあるが実戦経験を積む貴重な機会でもある。リューインには彼等を鍛え、かつ無事に帰す自信があった。ジキスムントに否はない。彼も猟兵監督下での実戦に価値を見い出している。本人も行きたがったくらいだがそれは周囲の者に止められていた。
フリッツもリューインの指名に喜んで応じる。そこにかつてのへたれた雰囲気の青年の姿はなかった。
フリッツは彼の指揮下にある戦士達を纏めてリューインと共に大森林に挑むこととなる。
大森林を進むリューイン達。木々が密集してろくに直進もできない環境である。
今回は大森林の中の行軍訓練の意味もある。
リューインは他の世界で培った知識を基に様々なアドバイスを行いながら進む。
進むべき道は大森林侵入と同時に放った鳥の姿をした式神、リューインと五感を共有するそれで見極めている。
そうしている間に『声』が聞こえてくる。力を求める狂気に誘う『声』だ。
「狂気に囚われないよう心を強く持って、大切な人達の事を考えて抗って下さい」
即座に指示するリューイン。フリッツたちは承諾の声を発して耐えようとする。
しかし、『異端の神々』の『声』は直接的に精神を蝕む。魔法的なものだ。
心の持ちようは大切であるがそれだけで耐えられるものではない。そして、それはリューインにも分かっていた。
彼は指示を出すとともに結界を構築する。
結界内に入った『声』に籠められた狂気を弱め浄化し、また狂気に対する耐性を強化する『術式』。
これにより結界に護られたフリッツたちは『声』に耐える事に成功する。陰陽師でもあるリューインの面目躍如であろう。
「どうです、耐えられそうですか?」
「はい、楽になりました。『声』は聞こえていますが、これなら問題ないと思います」
リューインの問いかけにフリッツが仲間を見回し、代表して答える。
「それは良かった。この結界の術式は後で皆さんに教えます」
気軽に言うリューインにフリッツが驚く。教えてもらえるのは嬉しいが覚える事は可能であるのかと。
リューインからすればこれはUCではなく陰陽師の業の一つだ。
リューインの|領域《レベル》で再現する事は難しいだろうが術式自体の発動はフリッツたちでも可能であろう。
まあ、一朝一夕での習得はできないかもしれないがやる気があればできるだろうし、この世界では有用な術式である。
フリッツたちならば努力を惜しまずにきっと習得できるだろう。
そんなことを話しながら彼等は進む。式神が既に見つけている『異端の神々』までの距離はもう少しだ。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
ふふ、お手伝いにしに来ましたー。この世界、来るの久しぶりなんですよねー。
微かにでも活気あるのは、いいことですねー。
さて、すぐに森へ行きますかー。『私たち』、初対面ですしねー。声をかけても怪しいだけでしょうから。
『声』が聞こえる、ということですがー。
狂気耐性を施した結界でも張っておきましょう。聞こえてるのが表に出ている私だけとは限らないですしね。
力ですかー。他者から貰ったとして、それは自身の力ではないですからね。
求めるならば、まずは己を高めよ。なんてねー。
●馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)
『鋼』の拠点、第一都市の雑踏を一人の男性が歩いている。
壮年から老年へと向かう年頃の男の名前は馬県・義透。
『狂えるオブリビオン』を討つ為にこの地を訪れた猟兵の一人だ。
「微かにでも活気あるのは、いいことですねー」
穏やかな風貌に相応しい何処かのんびりとした優しい声音で独り言つ。
第一都市の雑踏は確かに義透の言う通り、ダークセイヴァーには珍しい活気があった。
うんうんと何かに頷く義透。
傍から見ると誰かと会話をしてそれに相槌を打っている様に見えるが彼の周囲に会話相手は居ない。
「さて、すぐに森へ行きますかー。『私|たち《・・》』、初対面ですしねー。声をかけても怪しいだけでしょうから」
その言葉と共に義透の姿は第一都市から消える。
そして、それから半刻も経たない内に彼の姿は『異端の神々』の庭たる大森林の前にあった。
第一都市からの距離を考えれば恐るべき速度である。
「『声』が聞こえる、ということですがー。結界を張っておきましょう。聞こえてるのが表に出ている私だけとは限らないですしね」
狂気への耐性を持つ結界を展開する。ユーベルコード『|四悪霊・『界』《シアクリョウ・サカイ》』の権能により強化された結界は神さえも驚く程の強度を持つ。
歩を進め、狂気へと誘う『声』が聞こえて来るようになっても義透の心に些かの揺らぎを与える事もできない。
力を渇望する『声』、結界なくそれを聞けば従えば力を得られる様にも感じられるだろうことが分かる。
「力ですかー。他者から貰ったとして、それは自身の力ではないですからね。求めるならば、まずは己を高めよ。なんてねー」
他者からの貰い物の力などに価値はないとのんびりとした口調ながらも怜悧な声音で答えて義透は歩みを続ける。
大成功
🔵🔵🔵
初里・ジン
【WIZ】
「知らない土地だし情報収集も兼ねて住民と交流しようかな。マジックでも披露しながらね。」
まずは第一都市で大森林に関する情報収集と自分がここで動きやすくするために街で手品の【パフォーマンス】を披露しつつ交流を図る
「さあ、寄ってらっしゃい!観覧料は僕に大森林の事を教えてくれるだけでいいよ。」
交流が終わったら1人で森林に向かい、魔力の痕跡を探しながら進む。声にはあえて自分の耳に微弱な氷の魔術による【属性攻撃】を当て一時的に凍らせる。自身は【氷結耐性】があるため短時間なら耐えられる
「耳が凍傷になる前にさっさと探そう。凍ってるから聞こえないけど長くは保たないしね。」
※連携&アドリブOK
●初里・ジン(黒い奇術師・f10633)
『|第一都市《エアスト・シュタット》』の広場の一角で人だかりが出来ている。
その中心にいるのはアース系の世界の者が見れば|奇術師《マジシャン》と一目で分かる装いをしている青年、初里・ジンである。彼は今、その装いから想像できるようにマジックを披露していた。
ジンのマジックの腕前は彼が普段過ごす世界ではまだまだ売れない、と評されるレベルであるが此処はダークセイヴァーである。マジックという存在自体、生まれて初めて知ったという者ばかりが観衆。
ジンの手品に拍手喝采が送られていた。
軽く住民との交流の為にと手品を始めたジンだが、ここまで良い反応をされるとやはり嬉しいもの。
最初の予定時間を大きく越えてマジックを披露したのだった。
こうして住民とのファーストコンタクトを大成功で終えたジン。
「観覧料は僕に大森林の事を教えてくれるだけでいいよ」
という彼に住民たちは知っている限りのことを伝えてくれた。
と言っても住民たちが知る事は多くはない。絶対に近寄ってはいけない場所とされているからだ。
それでも第一都市からどう行けば良いのかは知れた。
この過程で当然と言うか『鋼』の戦士達にもジンの存在は知れ、案内も提案されるがそれは謝絶する。
行き方さえ知れれば問題ないし、『声』を聞くだけで発狂するような場所に連れていくつもりはなかった。
すっかりジンのマジックのファンになった住民達に見送られて第一都市を後にする。
力を求める声、人を狂気に誘う声が四方八方から聞こえて来る大森林をジンは確かな足取りで進む。
道しるべは魔力。異端とは言え神と呼ばれる存在だ。
その痕跡は常人に見えずとも魔術に携わる者が注意深く見れば分かる。ジンはそれを手掛かりに進む。
その足取りに乱れはなく『声』による影響を受けているようには見えない。
当然の様にジンは『声』に対処して森林に臨んでいた。
『声』に対してジンがとった対処方法はシンプルなものだ。聞けば影響を受けるのだから聞かない。
自身の耳を微弱な氷魔術により凍結して『声』は勿論、全ての音を遮断したのだ。
「耳が凍傷になる前にさっさと探そう。凍ってるから聞こえないけど長くは保たないしね」
氷結に対して耐性を持つジンであるが冷たくない訳ではない。
手早く『狂えるオブリビオン』を見つけて倒したいな、と思いつつ歩みを続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
力無き者は虐げられる故に、誰もが力を求めるのでしょう
其れはきっと、大領主であろうと同じなのでしょうね
◆行動
レギーナさんを伴って森林を闊歩しましょう
此れもまた、彼女がこの世界を生きる為の糧となりそうですので…
お久し振りです、レギーナさん
目的地まで少し話しましょうか
異端の神々ですら力を求めて狂うこ世界に於いて、貴女は『何故』力を求めるのでしょうか?
そして貴女の求める力とは何でしょうか?
私は、『力』とは武力でも知力でもなく…
「境遇に嘆くのではなく、己に出来る道を模索し歩む」事だと考えています
だからこそ己の力が及ばない状況になっても、誰かと共に勝利を引き寄せられるのだと…
貴女は既に其の強さを持っているのですから…
狂気の声に耳を傾ける必要などありませんよ
【暗視】で闇を見通し侵攻
自身とレギーナさんを【限界突破】する程【狂気耐性】と【環境耐性】を高めた【オーラ防御】で覆います
もしも本格的に狂気に呑まれそうなら『涅槃寂静』にて「浄化」属性の「風」を行使
正気へと引き戻しつつ、声を聞こえ難くしましょう
●霧島・絶奈(暗き獣・f20096)
『鋼』の拠点『第一都市』西方に広がる大森林。
闇に閉ざされた異端の神々の庭であるその場所に二人の女性があった。
一人は猟兵である霧島・絶奈。
外見は小柄な女性であるが、その本質は神。彼女達の歩く大森林の主と本質的には同じ存在だ。
もう一人はレギーナという少女。『鋼』に所属する|UC《ユーベルコード》使いの戦士。
こちらはUCが使えるという点を除けば普通の少女である。
絶奈は以前から『鋼』の戦いに関わって居り、この少女に目をかけて色々と教えていた。
その甲斐もあってレギーナは『鋼』において軍師、参謀的なポジションに就いている。
自身を成長させてくれた存在としてレギーナもまた絶奈を師として深く敬慕している。
そんな二人が並んで歩いているのは今回の『狂えるオブリビオン』討伐をレギーナの糧にしようと考えた絶奈が彼女を誘ったからである。
レギーナは嬉々としてついてきたのは言うまでもない。
明かりを灯してなお暗い森林の中であるが絶奈の目は暗闇を見通す。
レギーナの手を引いて苦も無く進んでいた。聞く者を狂気に誘うという『声』はまだ聞こえてきていない。
『狂えるオブリビオン』の棲み処はまだ先ということだろう。
此処まで弟子の近況などを聞いていた絶奈が話が一段落したと見て次の話題を振る。
「もうすぐ『声』が聞こえて来ると思われます。力を求める『声』だそうですね。
異端の神々ですら力を求めて狂うこ世界に於いて、貴女は『何故』力を求めるのでしょうか?
そして貴女の求める力とは何でしょうか?」
突然の師の問いかけにレギーナは真摯に考える。
レギーナという少女はこの世界では珍しくもない天涯孤独の少女である。
原因は当然の様に吸血鬼。
彼女を愛してくれていた両親も親しかった友人も全て戯れに殺された。
その様な立場になった場合、多くの者は絶望して廃人同然となるか憤怒で復讐に身を焦がす。
レギーナは後者であったが、彼女の華奢な体格は戦いに向いているとは言えない。
血の滲む様な訓練を経ても基本的な戦闘能力は『鋼』の一般戦士に劣る。
(これは『鋼』の戦士達が常人としては平均値が高いせいでもある)
UCの未来視の力込みだと一対一では負けないものの二対一以上だと厳しい。
もっとも猟兵は例外として同年代の少女としては優秀である。
それに厳しい訓練を積んだと言っても数年だ。この先十年、二十年と継続すれば今より更に強くなるだろう。
だが、それでも両親を惨殺した吸血鬼と一対一で戦い、勝てるかと問われれば否だ。
それがはっきりと分かるだけに絶奈と初めて逢った頃のレギーナの心は絶望が色濃くなっていた。
絶奈はその時の彼女に直接的な暴力、武力ではない『知識』という力を提示した。
戦術で個としては弱い集の力を束ねて強大な個に勝つ。
その考え方は絶望に覆われつつあったレギーナの心の闇を払拭する光となった。
それ以降は絶奈がいる時は彼女に、居ない時は彼女の言葉を支えに戦術能力を磨いている。
その結果は『鋼』の参謀として認められていることからも分かるだろう。
だから、レギーナの絶奈に対する答えは決まっていた。
何故、力を求めるのか?
それは吸血鬼を滅ぼす為。
求める力とは何か?
知識。状況に臨機応変に対応し、勝利を掴む為の戦術。
嘘偽りのない答えを絶奈に返す。その答えに絶奈は微笑んで頷く。
彼女の思い、求めるものは納得できるものだ。
その上で自分の考え、レギーナに知っておいて欲しいことを話す。
「私は、『力』とは武力でも知力でもなく……「境遇に嘆くのではなく、己に出来る道を模索し歩む」事だと考えています。だからこそ己の力が及ばない状況になっても、誰かと共に勝利を引き寄せられるのだと……」
絶望の中でも諦めずに進むことができる、それ自体が『力』であると絶奈はいう。
そしてその『力』をレギーナは既に持っていると。
天涯孤独の身となった時に絶望で諦めて歩みを止めたか? 否。
自身が非力である事を悟って後、鍛錬する事を止めたか? 否。
レギーナは諦めず歩き続けていたからこそ絶奈の目に留まったのだ。
「ですから力を求める『声』が聞こえてきても……それに耳を傾ける必要などありませんよ。
貴女は既に『力』を持っているのですからね」
レギーナから見ると師である絶奈は完璧である。
吸血鬼を超える武力を持ち、自身に教授するように知識、知力もある。
そして何よりこれまでに積み重ねた信頼がある。
そんな彼女が発する言葉だからこそレギーナは素直に頷く。
力を求める『声』。それに耳を傾ける事は自分の足で歩く事を捨てる事になるのであろうと。
絶奈は狂気に誘う『声』への対策を幾つも持っている。だが、本人が望んで耳を傾けてしまえばその効果は薄い。
もともとそれほど心配はしていなかったがレギーナの様子を見て、これならば大丈夫であると確信する。
実際にそのしばらく後に聞こえてきた『声』が影響する事は絶奈は勿論、レギーナにもなかったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『黒百合騎士団員』
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POW : 斬撃
【装備している剣による斬撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 闇斬撃波
【闇を纏う事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【斬撃の衝撃波】で攻撃する。
WIZ : 闇剣強化
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【闇のオーラを纏った剣】に変化させ、殺傷力を増す。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達が歩を進める大森林ではかつて戦いがあった。
辺り一帯の主である『異端の神』と吸血鬼の軍勢との戦いだ。
軍勢を率いる吸血鬼は強く、率いる軍団も精強であった。
異端の神も絶大な力を振るって吸血鬼の軍勢と戦ったが、衆寡敵せず。
吸血鬼の軍勢は多くの犠牲を払いながらも遂には異端の神を打ち倒す。
吸血鬼勢力の勝利。
しかし、吸血鬼の軍勢が大森林を出て凱旋することはなかった。
勝利の直後、軍勢を率いる吸血鬼が悲鳴と共に倒れる。
倒したはずの異端の神。体を喪ったそれが憑依したのである。
支配権をかけた精神の戦いは一両日続き、遂には吸血鬼の魂は取り込まれる。
だが、異端の神の完全復活という訳でもなかった。
自らを滅ぼした吸血鬼への憎悪、憤怒。そして、滅ぼされる間際の絶望と力への渇望。
肉体を喪い、吸血鬼に憑依し、その魂を取り込み肉体を奪う過程で異端の神の精神もまた狂っていた。
狂った『異端の神』の精神と吸血鬼の肉体を持つ『狂えるオブリビオン』の誕生である。
『狂えるオブリビオン』の狂気は吸血鬼が率いていた軍勢も呑み込んだ。
『黒百合騎士団』の名前で知られた精強な吸血鬼の軍勢は理性を失いながらも主である『狂えるオブリビオン』を護る様に大森林を出る事無く彷徨う事になる。
猟兵達の前に現れた軍勢。その正体がソレであった。
===============
【状況説明】
大森林を進んでいた|貴方《猟兵》達の前に黒い鎧を身に纏った女性吸血鬼の軍勢が姿を現わします。
彼女達は狂気に蝕まれており、会話は通じませんが、狂気に侵されていない貴方達を敵と判断しています。
かつての一糸乱れぬ統率が取れた動きは見る影もなく、木々の間から無秩序に襲い掛かってきます。
狂気に誘う『声』は聞こえ続けていますが、第一章の対処を継続していると考えますので特にプレイングに文字数を割く必要はありません。(あえて違う対処をして頂く分には書いて頂いても大丈夫です)
御梅乃・藍斗
連携、アドリブ可
…歪んでいますね、まったく
鬼も神も共倒れとは悪い冗談だ
統制を失った騎士団なんて恐れるに値しない
指定UCで黙らせます
きみたち、いちいちうるさいですよ?
【勝者のカリスマ】【恐怖を与える】で衝撃波とともに精神へもプレッシャーをかけます
怯んだところを【残像】【居合】で斬ります
向こうも衝撃波で攻撃してくるなら【受け流し】で対処しつつ、負傷しても【激痛耐性】で怯まぬように
僕もけっして強くはないから
狂気に侵された君たちの姿は明日の僕かもしれない
だからこそそんな可能性とは決別しなければ
大森林の中に鋼と鋼の打ち合う音が響く。
複数の黒い鎧を纏った騎士達と少年剣士、御梅乃・藍斗との剣戟の音である。
黒い鎧を纏った騎士達はかつて『黒百合騎士団』と呼ばれた存在。
全てが女性吸血鬼で構成された精強な騎士達であったが、今は『狂えるオブリビオン』の狂気に侵されている。
正常を保つ藍斗を敵と定めて襲っているが、そこに連携はない。ただ、数は圧倒的であり、それは脅威であった。
だが、相対する藍斗は沈着。
怜悧な輝きを放つ妖刀を振るい、互角以上の戦いを繰り広げている。
闇を纏った騎士の斬撃波を危うげなく躱す。
騎士達はその身体能力の高さから単純な力や速度は人間を遥かに上回っている。
だが、狂気に侵されているが故か戦い方に工夫がない。
今も素直に分かりやすく闇を纏い斬撃波を放ってきた。
幾ら速度があろうとも見え見えの攻撃に対処できない藍斗ではない。
その知性を感じられない戦い方に憐みすら覚える。
「……歪んでいますね、まったく。鬼も神も共倒れとは悪い冗談だ」
自らに襲い掛かる騎士達。狂気に侵された彼女達だが過日では精強な軍勢だったと聞く。
それが狂気に侵されて御覧の有様、数こそ多いが連携なくばらばらに攻め寄せてくる素人の集団だ。
異端の神も神を倒そうとした吸血鬼達も今では全員仲良く狂気の世界の住人である。
まさに悪い冗談だろう。
口々に理解のできないことを喚きながら襲ってくる騎士達に憐みの他に苛立ちも覚える。
それは一つの可能性を考えたからだ。
藍斗は自身の力を過信していない。自分は最強でもなければ無敵でもない。
この狂気に囚われた騎士達の姿が明日の自分の姿ではないと言い切る事ができるであろうか?
しかし、すぐに頭を振るう。そんな可能性はいらない。認めない。
この狂った騎士達も『狂えるオブリビオン』も倒し、『鋼』にこの地を解放する。
決意を新たに刀を握る力を強くする。
「きみたち、いちいちうるさいですよ?」
そして放たれるのは常人の可聴域を超えた|咆哮《UC》。それは衝撃波となって藍斗の周りの騎士達を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた騎士を追う様に加速して一刀両断。
そこで脚を止めずに体勢を立て直せていない騎士達を次々と切り伏せる。
若き剣豪と狂える騎士達の戦いは前者優位で進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
同道者達は控えさせる
赤死病の症状である異常な身体強化に伴う新陳代謝促進・消化能力低下・栄養失調を補わせる為、輸血パック与える
怖がらされたままでは妖怪として沽券に関わるので大いに怖がってもらわなくてはならない
その為に彼等《お弁当》を連れて来たのだから
意趣返しも含まれているが
狂った異界の同類よ。人が紡いだ御伽噺の吸血鬼がお相手しよう。
狼(見覚えあるかもしれない)や蝙蝠になって襲い掛かる
斬撃で切断され血になる
血から霧になる
霧から狼や蝙蝠になり再び襲う
相手が滅びるまでループ
多細胞生物の振りをする、猟兵になった病原菌
人間の構成と同じとしてもその数60兆
日光や消毒液の様に面制圧ができない斬撃では手数が不足
『鋼』の戦士達。銀の槍を持った戦士オスカーを始めとした彼等は息を潜めてそれを見ていた。
狂気に囚われた吸血鬼の騎士達と彼等をここまで誘った猟兵、ブラミエ・トゥカーズとの戦いをである。
狂える吸血鬼の騎士達、『黒百合騎士団』が姿を見せた時に『鋼』の戦士達は共闘を申し出た。
しかし、ブラミエはこれを拒否。
狂気に誘う『声』に抗う為に赤死病に罹患させた彼等にその症状からくる弊害を補わせる為に輸血パックを与えながら控えて戦いを見ておくように命じる。
「怖がらされたままでは妖怪として沽券に関わるのでね」
と『鋼』の戦士達からすると謎の言葉を残して狂える騎士達と相対したものだった。
「狂った異界の同類よ。人が紡いだ御伽噺の吸血鬼がお相手しよう」
ブラミエの宣言に狂える騎士達は意味の分からない言葉を発しながら襲い掛かる。
意思疎通すら不可能な彼女等の姿に若干の憐憫を覚えつつもその姿を狼に変えるブラミエ。
戦闘能力に秀でた狂乱の病を纏う狼への変身はユーベルコード『|伝承解放・悪しき風と共に来たるモノ《トリプルドロンチェンジ》』の権能である。
騎士に飛び掛かりその牙を喉に突き立てる|狼《ブラミエ》。
だが、騎士達の反撃も苛烈であった。周囲の騎士から斬撃波が容赦なく飛ばされる。
狼が噛み付いた仲間を全く気にした様子もなく放たれたそれは騎士諸共に狼をも斬り裂く。
これには観戦していた『鋼』の戦士達から悲鳴が漏れる。
少し前まで狼に既視感を覚えて首を捻っていたがそれが吹き飛ぶ衝撃だ。
しかし、斬り裂かれた狼は吹き出た血が霧へと変わり、やがて狼の身体全体が霧散するが、当然それで終わりではない。
霧が集まり今度は蝙蝠に姿を変えて騎士達を襲う。
再び飛ぶ斬撃波で襲われている騎士ごと蝙蝠も斬り裂かれるが……先程と同様に霧へと変じ、また狼が姿を現わす。
それからはその繰り返しだ。徐々に数を減らす騎士達。『鋼』の戦士達はその戦いを驚愕と共に見守るしかない。
ブラミエ・トゥカーズ。この御伽噺の吸血鬼の本質は伝承に縛られ、名と体を得た旧き致死性伝染病である。
彼女を構成する病原菌、その全てを滅ぼさなければ彼女は復活する。
病原菌全てを一息に消滅させれば彼女を倒すことが出来るが……それを実現するには『黒百合騎士団』の騎士の攻撃手段は相性が悪すぎた。
騎士の斬撃は鋼をも容易に断ち切る威力を持つがそれで億を超え兆の単位にもなるブラミエを構成する病原菌を一瞬で滅ぼせるかというと答えは否だ。
騎士達にはブラミエを倒す手段がない。
それでも狂気に侵された騎士達は絶望することなく斬撃を放ち、ブラミエは何度も斬り裂かれながらも騎士達を少しずつだが確実に滅ぼしていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リューイン・ランサード
吸血鬼の軍勢ですか!
シマドゥ島民は「女首は手柄にならん」と言うので今回は使えませんし…。
個々の戦闘能力は有るけれど、連携は取れていないし、範囲攻撃は無さそうですね。
巨木や大きな岩を背にして(地形を利用)、フリッツさん達ともども密集隊形で護りを固める。
更に結界術・高速詠唱で背後や側面に防御壁を形成し、前だけ向いて戦えるようにする。
UC:罪砕乃炎を使用。
134個の炎を敵数に均等に分けて燃やす。
突っ込んでくる敵は雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃・マヒ攻撃でダメージとマヒを与え、その後フリッツさん達と連携攻撃。
自身も光の属性攻撃を籠めた双剣で2回攻撃。
状況次第でビームシールド盾受けでかばう。
「吸血鬼の軍勢ですか!」
狂気へと誘う『声』を物ともせず、順調に大森林を進むリューイン・ランサードとフリッツを始めとした『鋼』の戦士達。遂に『|異端の神《狂えるオブリビオン》』の領域に足を踏み入れたのか、狂気に囚われた女吸血鬼達の騎士達が姿を現わす。木々の間から続々と現れる様はまさに軍勢の襲来と言えるだろう。
「僕たちはどう動きましょうか? いつものシマドゥの戦士の皆さんを呼びますか?」
「シマドゥ島民は呼べません。フリッツさんは密集陣形を!」
「えっ、どうかしたんですか?」
武器を構えながらリューインに問うフリッツ。
密集陣形を、との指示に的確に従いつつもシマドゥ島民を呼べないというリューインに疑問の声を出す。
シマドゥ島民とはこれまでの集団戦でリューインがUCを用いて呼び出す戦士達であり、その無法な強さをフリッツは知っている。それだけに続々と湧く吸血鬼騎士達に対抗する為に呼ぶかと思ったのだが。
「フリッツさん、敵をよく見て下さい。女性ですよね?」
「えっ……ええ、そうみたいですね」
確かに現れる騎士達は見る限り全員女性だ。多分、騎士団員の条件に性別があったのであろう。
しかし、それがどうしたのかとフリッツは戸惑う。女性であろうと吸血鬼。強力な戦士である事に変わりはない。
「良いですか、「女首は手柄にならん」。これがシマドゥ島民の常識です」
「ええ……」
つまり、手柄にならないから呼び出せないという事だ。フリッツ絶句である。
「心配はいりません! フリッツさん達も経験を積んで立派な戦士になっています。
皆さんはもうシマドゥ島民に匹敵する……いえ、言い過ぎました。
ですが、僕とフリッツさん達が力を合わせれば十分に勝てます。これは本当です」
リューインに力を認められて奮い立たない『鋼』の戦士はこの場にはいない。
士気を上げ、吸血鬼騎士の軍勢との戦いが始まる。
大森林という木々が生い茂り、開けた空間の少ない戦場をリューインは巧みに利用する。
巨木や大岩などで後背からの襲撃を避け、可能な限り正面のみに注力できるように『鋼』の戦士達を率いて戦う。
『闇のオーラ』を纏って襲い掛かる吸血鬼の騎士達の攻撃は強力であるが、数は多いと言えど連携はない。
それに対して『鋼』の戦士達はフリッツ以外の個の力は明確に劣っているが、連携は良くとれており隙を見せない。
彼等が同数であれば伯仲の戦いになるであろう。
だが、数は吸血鬼騎士が多い。では吸血鬼が優勢かというと全くそうではなかった。
個として圧倒的な力を持つリューインが『鋼』の戦士達と連携することで一方的な戦いとなっている。
今回、リューインが行使するUCは『|罪砕乃炎《ザイサイノホノオ》』。
この百を優に超えるリューインが自在に操ることが出来る冥府の紅蓮はある炎を敵を燃やし、ある炎は樹木を燃やす事で敵の進路を限定的にして操る。そうやって炎を操りながらもリューイン自身も双剣を振るって騎士を撃ち破っていく。そんなリューインとよく連携をとって戦う『鋼』の戦士達。
肉体のみならず魂までも焼き尽くす炎に照らされる戦場で吸血鬼騎士達は次々と討ち取られていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
さてねー。指揮をとる者が存在しない、撤退もしない輩って厄介な面がありますよねー。
ほら、まともに退いてくれませんから。
ひたすらにこっちに来ますからねー。
先制で【四悪霊・『回』】使いましてー。
森林での戦闘で、忍びが負けるわけにはいかないんですよ。
だからこそ…見つけたのならすぐに漆黒風を投擲。攻撃を受けても構わず、ひたすらに。
安全のためにも、残しておくわけにもいきませんからねー。
ええ、攻撃を受けたとしても。即座に回復しますからねー。関係がないのです。
…狂気というものは怖いものですね。本当に。
狂える騎士に黒い何かが飛来する。
狂気に侵された頭であってもその何かが危険なものである事をこれまでの戦闘で十分認識している騎士。
闇を纏った剣で打ち払おうとするが、それを掻い潜る様に黒い何かは騎士の額を捉えて突き刺さり、騎士は倒れ伏す。突き刺さったのは棒手裏剣と呼ばれる武器。
光の加減で緑色が微かに見えるが、それ自体は何の変哲もない尋常な武器である。
しかし、その使い手は尋常な存在ではない。
「森林での戦闘で、忍びが負けるわけにはいかないんですよ」
そう嘯くのは馬県・義透。
『|異端の神《狂えるオブリビオン》』退治にこの地に訪れた猟兵の一人だ。
大森林の大地には既に幾人もの騎士の亡骸が転がっていた。無論、義透の戦果である。
本人が言ったように大森林という視界も足場も悪い戦場を利用して縦横無尽に戦う様はゲリラ戦を得意としたと言われる忍びの戦い方だ。しかし、狂った精神ゆえに連携もままならない騎士達であっても個々人の戦闘能力は本物。何人倒されようとも意に介さず我武者羅に義透を倒さんと押し寄せる。
「さてねー。指揮をとる者が存在しない、撤退もしない輩って厄介な面がありますよねー」
激しい戦闘をこなしながら飄々と嘯く。
指揮官なくバラバラに襲い掛かってくる騎士達には義透の言う様に撤退という文字はない。
狂気に侵されている故にその選択肢がないのだろう。
騎士達が意図している訳ではないが完全に人海戦術であり、流石の義透も無傷ではいられない。
斬撃が掠めて腕を裂き、斬撃波が脚を穿つ。
しかし……。
「関係ありませんねー。その程度の攻撃では」
義透の傷は禍々しい雰囲気を醸したと思えば、そのすぐ後には回復している。UC『|四悪霊・『回』《シアクリョウ・マワル》』の権能である。しかも、ただ回復するに非ず。受けた傷の分、その戦闘力を増し、生命力の吸収能力までも得ている。この権能があるからこそ義透は敵の攻撃を意に介さずに、寧ろ進んで受けてその戦闘力を増して騎士達を狩っていくのだ。
時間が経つにつれて義透はますます戦闘力を増して一方的な戦いになるが、それでも騎士達は撤退を選ばない。
「……狂気というものは怖いものですね。本当に」
『狂えるオブリビオン』討伐後、この一帯は『鋼』の者達が開拓するであろう。
その時に騎士達の討ち漏らしが居れば犠牲が出るかもしれない。その可能性を考えれば手を緩めるという選択肢はない。容赦なく数を減らしてく義透だが……傷つくことを厭うどころか積極的に受け入れながら戦い続ける義透の姿もまた、見方によっては狂気と言えるものかも知れなかった。
大成功
🔵🔵🔵
初里・ジン
「さあ、皆様!今から僕が摩訶不思議なイリュージョンをお見せしよう!」
耳が凍っていると不利なので解かし、声への対策は今自分は舞台に立っている…という自己暗示で役に入る事によって意識を逸らす事を試みる。派手に動いているため敵の注目を集めてしまうが、想定内
「では、消失マジックだ!」
敵は自分を囲んでくると予想し【全力魔法】の光の魔術でフラッシュ。それと同時に【目立たない】ように身体を液状化させて木陰に隠れ、あたかもジンが消えたように見せかけて敵が動揺したらその隙にM・T・Bを発動
「もし敵が仮面を被っていたら失敗したね。それだと目眩しは使えないから。」
撃ち漏らした敵は【属性攻撃】の雷の魔術を放って追撃
「さあ、皆様!今から僕が摩訶不思議なイリュージョンをお見せしよう!」
大森林の只中。吸血鬼の騎士達が押し寄せる戦場で初里・ジンが高らかに宣言する。
唐突にも思える戦場でのこの行動には当然意味がある。
一つは狂える『声』への対策。此処に来るまでは耳を凍らせることで物理的に『声』を防いでいたが、流石に戦闘状態で音が聞こえないのは拙い。そこで新たな対策として考えたのがある種のマインドコントロール。戦場を舞台に見立て演者であるという意識に集中する事で狂気の声を雑音として遮断するというものだ。これは上手く行っている。
もう一つは敵の注意を集めるということ。
残念ながら敵は狂気に侵され、イリュージョンとは何か等と意に介している様子はないが、狂える戦場で正常な精神を保つジンを敵として見定めているのは確かだ。ジンを倒そうと押し寄せているので結果として目的は果たしている。その様子にジンはニンマリと笑う。
「では、消失マジックだ!」
その言葉と共にジンの身体全体が激しく輝く。全力で行使される光の魔術。
煌めく閃光が辺りを照らし、ジンを注視していた騎士達の目を眩ませる。
吸血鬼は夜目が効くだけに効果抜群であったが、その再生力によりすぐに視界を回復させる。
だが、その時にはジンの姿はない。消失マジックの言葉の通りの失踪だ。
種は彼の種族にある。
ジンはブラックタール、液状生命体だ。普段は漆黒の肌をした人間の青年の姿をとっているが、実のところ総体積は変えられないもののその形状は融通無碍。自由に変えられる。
今も吸血鬼達の目が眩んだ数瞬の間に液状化して彼女達の足元を通り抜け、木陰に隠れてみせていた。
ジンの姿を見失い、動揺する騎士達。
幾ら数が多かろうと、強力な武器、武技を持とうともそれを振るう相手を見失えばどうにもならない。
そこに無慈悲に天から数百本の魔剣が降り注ぐ。
雷の属性を秘めた虚空から降り注ぐそれは当然、ジンの仕業だ。
『|M・T・B《マジック・サンダー・ブレード》』。タネも仕掛けもない彼のユーベルコードの権能である。
「もし彼女達が仮面を被っていたら失敗したかもね。それだと目眩しは使えないから」
液状のままするすると登った木の上から魔剣の雨に貫かれる騎士達を見ながら独り言つ。
人間の姿に戻ったジンは樹上から雷の魔術で追撃を行い、この戦場での勝利を決定づけるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
個としては強くなったのかもしれませんけれど…
本来の強みを失って差引ゼロ所かマイナス迄振切れては弱体化と言うものです
◆行動
『暗キ獣』を使用
軍勢はレギーナさんに預け、【集団戦術】の実地演習としましょう
慢心は大敵ですが、恐れる必要はありません
敵は強みを失った寡兵です
今の貴女なら十二分に対応出来るでしょう
口は出しませんがフォローはしますので、森林地帯に於ける対ゲリラ戦の訓練とでも考えて下さい
私は『声』対策を継続しつつ【暗視】で敵の動きを警戒
会敵時は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
レギーナさんが危なそうなら庇います
辺境大森林に戦闘の音が鳴り響く。音の響き具合から大多数が相争っていることが分かるだろう。
戦っているのは狂気に侵された吸血鬼『黒百合騎士団』の騎士と動く死体、屍者の軍勢と屍獣の群れ。
狂っているからこそ怖れを知らずに死者の群れと力戦する騎士達。
既に死しているからこそ死を恐れず狂騎士を迎え撃つ屍者と屍獣。
その様はこの世に現出した地獄の様にも見えた。そんな光景を一段高い場所から見下ろす二人の女性がいる。
猟兵の霧島・絶奈と『鋼』に属するUC使いレギーナである。
もっとも絶奈の今の姿は尋常な女性とは形容しがたい。端的に言えば蒼白く光る霧を纏った『異端の神』である。そんな絶奈の隣に立つレギーナにはそれを特に気にした様子はない。ありのままに受け入れている。この姿を見るのも初めてではないので当然か。
絶奈が隣にいるという安心感も大きいのであろう。彼女は全身全霊を戦場に集中している。
集中して何を行っているかというと屍者、屍獣の軍勢の指揮であった。
そもそも屍者、屍獣の軍勢は何処から現れたのか。
それは絶奈のユーベルコードである。『|暗キ獣《ソラト》』。その権能により呼び寄せられたのが死の軍団だ。
「貴女なら十二分に対応出来るでしょう」
そう言って絶奈は呼び寄せた軍勢の指揮権をレギーナに渡したのだ。
吸血鬼の軍勢。狂気に侵された騎士達は個としての力は強化されているかもしれない。しかし、その代償として群としての力を喪失している。差し引きはゼロどころかマイナスに振り切れているだろう。
そうであるならばこの戦場はレギーナを鍛える教材として使える。それが絶奈の考えだ。
森林地帯における対ゲリラ訓練と考えればなかなか良くできているのではないだろうか?
そんな絶奈の指示にレギーナは喜んで頷く。
この死の軍団を預けられるのは初めてではない。
自分の考えに応じて動く死者の軍団は生者の軍団を動かすよりも容易いかもしれない。
これは注意するべきことと頭に留めながらも縦横無尽に動かして吸血鬼の軍勢と戦う。
絶奈はそんな様子を優しく見守る。相変わらず聞こえている狂気に誘う『声』がレギーナを蝕まぬ様に阻みながら。形勢不利となれば介入する気でいたが、彼女の|弟子《レギーナ》は期待に応えてよく軍を動かし、その必要はないようだった。
『異端の神』討伐の為に大森林に入り、主と共に狂気に囚われた『黒百合騎士団』。
長い間彷徨い続けていた彼女達は猟兵達と『鋼』の戦士達によってこの日、解放されることになった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『吸血妃アルカーディア』
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POW : 不滅の血統
【自身が傷つけば傷つくほど、真の力】に覚醒して【吸血鬼としてより格の高い存在】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 吸血妃の力
【万物を断ち切る鉤爪】【あらゆる干渉を防ぐ結界】【敵対者の心を砕く強大な威圧感】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 封印術式解放
全身を【近づく者の命を奪う呪詛のオーラ】で覆い、自身の【為に行われた儀式の規模と捧げられた血の質】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
イラスト:オギナノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鏡繰・くるる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『吸血妃アルカーディア』という存在がかつていた。
精強な女性吸血鬼のみで構成される黒百合騎士団を率いる強壮な諸侯の一人であった。
個人の武勇も秀でており、野心家。
その野心から異端の神々の討伐、辺境開拓を志した。
その結果を猟兵達は既に知っている。
『狂えるオブリビオン』
異端の神を打ち倒すものの、その不死の精神に襲われて魂と体を奪われた吸血妃の成れの果てである。
吸血妃に倒され、そしてその体を奪った『異端の神』。
それが元来どんな姿であったのかを知る者はいない。本人すらも覚えてはいないであろう。
狂気を撒き散らしながら力を渇望するのは敗戦の後悔か他に理由があったのかも誰も知らない。
確かな事はこの『狂えるオブリビオン』が存在する限り、大森林は安全ではないということ。
『鋼』の為、人類の灯火の為に猟兵達は『狂えるオブリビオン』の討伐を志す。
========
【状況説明】
狂える『黒百合騎士団』を滅ぼした貴方達の前にそれを待っていたかのように『狂えるオブリビオン』が姿を現わします。
戦闘能力は極めて高くLV260ほど。狂気に侵されながらも直感は冴えており、罠にハメるのは難しい存在です。
会話はまず成立しませんが理解そのものはしているふしがあります。
狂気に誘う『声』は止んでいます。気にせずに戦いましょう。その攻撃力は強力なので『鋼』の戦士達を使う場合、犠牲を覚悟してください。隙を作ることくらいはできるかもしれませんし、『鋼』の戦士達はそれを厭いません。
マリエ・ヘメトス
藍斗さん(f39274)と共闘
彼女は異形の存在によって、今もこの地に囚われているのね
それとも異形が彼女自身?
どちらにせよ、迷い苦しんでいることには変わりがないわ
終わらせてあげなくちゃ
指定UCで藍斗さんとわたしを繋ぐ
これでふたり同時に斃れない限りは負けないから
彼は近接で、わたしは相手と一定以上の距離を保ちながら
攻撃をされれば【誘導弾】や【カウンター】【足払い】で対処
届かないかもしれないけど、彼女に声はかけ続ける
野心強く気高かったはずのあなたが、こうして歪んだ執着に身をやつしているのは不本意ではないのかと
どうかその心を鎮めてほしいと【祈り】【慰め】続けましょう
御梅乃・藍斗
マリエさん(f39275)と共闘
貴女は何がしたかったんですか?
領土を広げることですか、戦に勝つことですか
いずれにせよもう遅いんです
かなり格上の相手のようですが、半端に傷を負わせるだけでは無駄のようですね
ならばいっそ懐に飛び込みます
【残像】【覚悟】で一気に肉薄し指定UCを使用
【生命力吸収】でUCの精度を上げます
直接的に傷つけるより、中から命を奪いたい
抵抗はされるでしょうが【激痛耐性】があります
もう貴女の戦いは終わったんです
勝って得るものも、認めてくれる存在もない
どうか諦めて眠ってください
『|異端の神《狂えるオブリビオン》』。彼女の力は先程戦った吸血鬼騎士達と比べて圧倒的であった。
そもそもの身体能力も脅威であったが、ユーベルコード解放後はまさに別格。
近付くだけで命を削る呪詛をその身に纏い、最初から高かった戦闘能力をさらに増大化させている。
それが音速を遥かに超える速度で飛翔して迫ってくるのだ。
その狂神と接近戦を演じるのは御梅乃・藍斗。
卓抜した剣技の使い手である藍斗であっても狂神の連撃を凌ぎきる事は難しく既に幾つもの傷を負っている。
その藍斗を見守る様な位置にいるのはマリエ・ヘメトス(祈り・f39275)。
狂神との決戦直前に藍斗と合流した猟兵である。
「貴女は何がしたかったんですか?」
「領土を広げることですか、戦に勝つことですか」
戦いながら藍斗は問いかける。異端の神に体と魂を奪われた吸血妃。
その存在は既に消滅したと思われるが、それでも一欠片の残滓があると信じて。
しかし、狂神に特段の反応は見られない。
ひたすらに藍斗の命を刈り取ろうと攻め手を緩めずに襲い続ける。
そもそも現状の狂神と接近戦を演じること自体が藍斗の身体を蝕んでいる。
命を削る呪詛、その圏内だからだ。それを藍斗な強靭な精神と強固な意志で耐えて戦い続ける。
だが、如何な藍斗であっても通常ならば既に力尽き倒れているだろう。
そうなっていない理由は彼等の戦いを見守るマリエにある。
彼女は戦いの開始時にユーベルコード『死により生者は分かたれども』を発動していた。
このUCの権能は単純であるが強力。|術者自身《マリエ》と|対象一人《藍斗》を黒絹の糸で繋ぎ、繋がれた両者は同時に死なない限り死なないというものだ。
だが、有効距離はある。
決して短くない距離であるが狂神にとっては瞬きするより早く詰められる距離でもある為、藍斗が近接で狂神を引き付け、マリエは有効距離を保つ様に動く。これは藍斗と狂神が超高速で戦闘を続けている為になかなか難しいことであったがマリエはこなしていた。
藍斗と戦う狂神。彼の呼びかけに反応を見せない様子を見ながらもマリエは思う。
吸血妃。かつて野心に燃えた女性は異形の存在によって今もこの地に囚われている。
いや、既に吸血妃の存在は一欠片もなく異形の存在がいるのみかもしれない。
だがどちらにせよ狂える『声』を発し続けていたということは迷い苦しんでいることに間違いはないだろう。
ならば終わらせてあげるべきだ。
だから、マリエは祈りと共に言葉をかけ続ける。
己の信じる神に戦い続ける『狂神』の荒れ狂う心を鎮めて欲しいと願いながら。
その願いが通じたのか、それとも呼びかけられる声を煩わしく思ったのか藍斗と戦闘を続けていた狂神の目がマリエを捉える。目の色からは何を考えているのか窺い知れない。しかし、標的をマリエへと変えたことが藍斗にははっきりと感じられた。
「貴女の相手は僕です」
狂神がマリエに向かう事を許さじと接近戦の距離をさらに詰め、零距離。抱き着くように密着する。
狂神の纏う呪詛はさらに藍斗を蝕み、邪魔をされた狂神の鉤爪が体を貫く。
致命傷である。通常ならばだ。
マリエの『死により生者は分かたれども』は未だ有効。
藍斗はこの状態で自らのユーベルコード『|Zelophobia《ゼロフォビア》』を発動する。
指先の触れた存在から生命力を奪う或いは与える権能。行使されるのは当然前者、奪う権能だ。
狂神が声にならない悲鳴を上げ、藍斗を振りほどこうする。
しかし、藍斗はその圧倒的な膂力に晒されながらも離さず、命を奪い続ける。
「もう貴女の戦いは終わったんです。
勝って得るものも、認めてくれる存在もない――どうか諦めて眠ってください」
狂神の内から命の力を奪い自身を回復する藍斗。その藍斗を纏う呪詛を強め、また物理的にも排除しようとする狂神。永劫に続くかの様な時間の後、生き残るのはマリエの加護を得た藍斗であろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
初里・ジン
【SPD】
「さあ、僕は逃げも隠れもしない。お前を倒すマジックを魅せてやろうか!」と言葉は理解だけできるなら挑発は効くか試す。挑発は敵から結界と状態異常技を使用する選択肢をなくすための策である
敵が挑発に乗り鉤爪で近接攻撃してきたらこちらも【全力魔法】の炎の魔術を発動。自分の身体を【火炎耐性】【激痛耐性】を駆使して包む捨て身の魔法で反撃
敵が咄嗟に距離を取ったらすかさずアストラレイランスを投げつけて【串刺し】を狙う
「安直だけど吸血鬼には炎と光の魔術が有効だと思うのさ。」
挑発に乗らなかったら上記の流れを炎の魔術により【属性攻撃】からのランス投げの連続攻撃に変更
※アドリブ&連携OK
吸血鬼の騎士達を殲滅した後に姿を現わせた『|異端の神《狂えるオブリビオン》』。
吸血妃の姿をした|狂神《それ》はまだ距離があるのに圧倒的な威圧感を放っていた。
常人ならば心を砕かれ、膝を折るであろう圧迫感を受けながらも猟兵、初里・ジンは心を奮い立たせる。
「さあ、僕は逃げも隠れもしない。お前を倒すマジックを魅せてやろうか!」
敢えて強気に啖呵を切る。逃げも隠れもしないからかかってこいと。
ジンは今、自らが全力で抗している圧迫感の正体を知っている。敵の扱うユーベルコードは常としてグリモアベースで説明を受けていた。
『吸血妃の力』と呼称されるユーベルコードの権能だ。
万物を断ち斬る鉤爪、あらゆる干渉を防ぐ結界、敵対者の心を砕く強大な威圧感。
これらで自身を強化し、さらに攻撃力、防御力、状態異常力のいずれかを重視する事により、選択したものの威力を増す驚異的な権能。
ジンが啖呵を切った理由はこの何を重視するかの『何』を自分の望むものに誘導する為である。
もし防御力重視を選択され、結界が強化されればジンの攻撃が何処まで通用するか不明だ。
また、状態異常力を強化されれば、今、精神を軋ませている圧迫感がさらに強化されるだろう。
そうなれば流石に耐えられるかは分からない。
だから攻撃力の強化を選ばせたかった。勿論、これとて危険である事には変わりはない。
だが元々地力は向こうの方が上である。長期戦をするつもりはない。一瞬の勝機を掴む。その為の挑発だ。
問題は狂気に蝕まれた敵に挑発が効くかであるが。
「――――」
声にならない声を上げて狂神が動き出す。その万物を切り裂く鉤爪はさらに禍々しい瘴気を宿したように見えた。
それを確認してジンは心中で「ヨシ」と呟く。
挑発の効果があったかは不明であるが狂神は攻撃力重視を選択してジンを斬り裂こうと向かって来ているのだ。
狂神の速度は異常に疾い。脳が理解を拒むレベルで瞬間的に間合いを詰めてくる。
そして振りかざされる鉤爪。
回避は不可能。だが、ジンには覚悟があった。
鉤爪がジンを切り裂く刹那の間際の大爆発。
己を巻き込む事を厭わぬ全身全霊を懸けた炎の大魔術の行使である。
爆炎は狂神を襲い、ジンの命を刈り取るに十分な威力を持っていた鉤爪は狙いを逸らして肩口を切り裂くに終わる。
態勢を立て直す為に大きく飛び退く狂神。その身に纏う結界を炎を散らせるために使っている。
その瞬間を狙っていたのがジンだ。彼は炎に焼かれ、鉤爪に斬り裂かれた激痛に耐えながら見逃さなかった。
「Penetrating light…行け!」
眩い光が発生し、急速に集束。光輝なる槍と化して飛び退く狂神を追って飛翔する。
意識を炎に割いていた狂神は直撃の直前で気づくが防ぐこと能わず。
結界を貫通してユーベルコード『アストラレイランス』の光の槍が狂神の体を貫くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
『侵す者』から黒燭炎を密かに借りる。炎成長はなし
はてねえ。貴女は何をしたかったのか。それを知る術は、もうないのでしょうが。
どれだけ呪詛を纏おうが無駄なのです。だって『私たち』は悪霊で命はすでになく、さらに呪詛耐性もありますからねー。
いいえ、むしろ呪詛は…こちらの領域です。
UCを使用。ええ、あえて間合いに飛び込み…漆黒風は全て投げるのです。
本命は借りて手の内にいきなり出現させる黒燭炎ですからね。
真価は発揮できなくとも、突きと薙ぎ払いならば、私もできるのですよー。
ええ、これも呪詛はついてますから。強化されていた貴女は、地に落ちるのです。
そこへ再び、黒燭炎の突きをね。
他者の命を簒奪する呪詛。瘴気の様なそれを全身に纏う吸血妃の姿をした『|異端の神《狂えるオブリビオン》』。
生命のある存在であるならば恐怖を覚えずにはいられない狂神を前にしかし馬県・義透は揺るがない。
「はてねえ。貴女は何をしたかったのか。それを知る術は、もうないのでしょうが」
などとある種呑気に独り言つ。その表情には周囲に満ちた呪いを気にした様子もない。
それもそのはず狂神の呪詛は命を奪う呪詛。
だが義透にはその奪うべき命がない。そう、実のところ彼は既に死した存在『悪霊』であるのだ。
呪詛はむしろ彼|等《・》の本質。呪詛に満ちた空間も義透には影響しない。
そんな義透の様子に狂神は理性ではなく本能で彼の本質を認識し警戒心と共に纏う気配が増大化する。
かつて吸血妃が異端の神との戦いを期して行われた大規模な血の儀式。
戦闘能力を増大化させるそれは今では狂神が自在に使いこなし、その力の糧となっている。
呪詛が効かぬから何だ、相手が霊的な存在であるらばその魂魄全てを破壊すればいいと本能が判断していた。
「まあ、できるかもしれませんが……それを待つ気はありませんねー」
狂神の気配が増大化し始めた瞬間、義透は駆け始める。機先を制するのは戦いの常道である。
駆けながら持てる|棒手裏剣《漆黒風》を全て投擲する。
神速で飛翔するそれ等には全てユーベルコード『|四悪霊・『乖』《シアクリョウ・ソムク》』の力が込められている。
その権能は凝縮した呪詛で対象を貫くというもの。これにより傷つけた存在に更なる追加効果もあるが。
「―――」
狂神は迫りくる漆黒風を神速を超える速度で振り払われた鉤爪で全て叩き落す。
そして、武器を放ち切った義透をも斬り裂かんと超音速で間合いを詰め、振りかぶるが。
無手に見えた義透。その手にいつの間にか|黒い槍《黒燭炎》が現れ、握られている。
完全に意表を突いた槍による刺突。
タイミングは完全に体の中心を貫くものであったが、それでも狂神は驚異的な反応速度で対応。
逸らし掠めるに済まされる。不意打ちは失敗か。
否であった。黒燭炎にも当然に『乖』の権能が込められている。
その全てを落された漆黒風と違い黒燭炎の一撃は浅いながらも狂神を傷つけている。
だから発動する。『乖』の追加効果が。
追加効果、それは傷つけた存在が強化されている場合、その強化を解除してしまうというもの。
さらに以降の強化をも無効化する強力な呪詛だ。
「―――!?」
強化を突如解除された狂神は強化を再度しようとして果たせず、それが一瞬の隙となる。
歴戦の義透がそれを見逃す事はありえない。
再び振るわれた黒燭炎の一撃は今度は確実に狂神の中心を貫くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リューイン・ランサード
うっわ、強そう<涙>。
回れ右して帰りたいところですが、(鋼メンバーを見捨てる訳にはいかないので)フリッツさん達は下がっていて下さい。
中途半端な攻撃は強化されて倍返しされそうなので、逃げられなくなっちゃうけどUC:オリジナル・ライトを発動。
相手の攻撃は(「きたきたきたきたきたきたきたきたきたーっ!!」とか叫びながら)第六感・瞬間思考力で読んで、見切りで躱すか、ビームシールド盾受けで防ぐ。
余波は展開したオーラ防御で防ぐ(「オーラ防御が無ければ即死だった<汗>」)
2回攻撃の1回目で光の属性攻撃・高速詠唱で閃光を放って目くらまし。
2回目は接近した間合いでオリジナル・ライトを振るって丸ごと消滅させます!
表情の抜け落ちた、能面の様な表情でこちらに向かってくる吸血妃アルカーディアだったモノ。
『|異端の神《狂えるオブリビオン》』を見てリューイン・ランサードが抱いた感想は……
「うっわ、強そう」
であった。いや、マジでヤバそうなのである。纏う雰囲気が先程戦った吸血鬼騎士などとは格が違う。
周囲の空間を歪めそうな、というか実際歪めている呪詛を纏っている。
正直、泣きそうだった。出来れば回れ右して帰りたいところだが、すでに相手にこちらの存在を捕捉されている。黙って帰らせてはくれないだろう。それでも全力で逃げれば逃げ切れるだろうが、残念ながらリューインは一人ではない。フリッツを始めとした『鋼』の戦士達と行動を共にしていた。彼等全員を連れて無事に逃げ切る事は流石に不可能だ。ならば……覚悟を決めるしかない。
「フリッツさん達は下がっていて下さい」
敵は強大。狂神の相手をするのは成長しているといっても『鋼』の戦士達には荷が重すぎる。
フリッツ達もそれは分かっている。悔しそうな顔をしながらもリューインの邪魔にならない様に離れていく。
意外な事に狂神はそれを黙ってみている。
彼等と狂神の間に立つリューインを警戒しているのか彼等に興味がないのかあるいは他に理由があるのか。
やがて『鋼』の戦士達の姿が見えなくなった頃に狂神が動き出す。
静かな動きだし。しかし、その速度は怖ろしく疾い。
「きたきたきたきたきたきたきたきたきたーっ!!」
覚悟は定まっているが怖いものは怖い。きたきたと叫びながらもリューインが選択するユーベルコードは『オリジナル・ライト』。権能は『自らの逃走を禁じる事』を代償に武器を『担い手以外の全てを光に変える創世の光』に変化させてるというもの。
この攻撃に特化したと言って良いUCを選択したのは一撃必殺を狙うが故。
狂神のユーベルコードには傷を負えば傷を負うほど爆発的に戦闘能力が増大化するものがある。
それを考えれば中途半端な傷を負わせれば不利。長期戦になれば敗北するであろう。
それ故の一撃必殺狙いだ。
刹那の瞬間に間合いを詰めた狂神の一撃。
リューインを護る様に展開したビームシールドは一瞬で貫通。しかし、シールドが消失するまでの一瞬が死命を分ける。研ぎすました直感に導かれて身を捻り、紙一重の場所を鉤爪が通り抜ける。
即座に二撃目を振るおうとする狂神だが、崩れた体勢ながらもリューインの魔術の発動が一瞬早かった。
閃光。
激しい光が発生して狂神の視界を一瞬奪う。その一瞬で体勢を持ち直したリューインは必殺の一撃を放つ。
全てを光に変え、消滅させる畏怖すべき創世の光が狂神の全身を包み込むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
今の貴女の為に捧げられたモノ等何一つありません
ですが、死出の花道は飾って差し上げましょう
故に愉しみましょう
この『逢瀬』を
◆行動
安全域まで離脱して下さい、レギーナさん
経験や知識は生きてこそ活かせるものです
少なくとも此処は、貴女が命を懸けるに値する戦場ではありません
…そう
確かに「生きてこそ」です
ですが、「どう生きるのか」も重要ですね
吸血妃を乗っ取った異端の神よ
今の貴女は死んでいないだけです
【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置
罠を避ける直感があるなら、そう弁えて設置するまでの事
物量による【範囲攻撃】を見舞いましょう
場所自体を迂回するのだとしても…
進路が読みやすくなるだけです
<真の姿を開放>
『涅槃寂静』にて「死」属性の「濃霧」を行使し【範囲攻撃】
どれ程速く動けても、空間其の物が貴女に牙を剥きます
更に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
命を簒奪するのは貴女だけの専売特許ではありませんよ
大気を空間を歪ませる様な呪詛。
『|異端の神《狂えるオブリビオン》』の訪れを察知した霧島・絶奈は傍らのレギーナに退避を促す。
今から始まるのは神だった|存在《モノ》と神になった|存在《モノ》との戦い。
おそらくレギーナを護りながら戦う余裕はないだろう。人ならざる戦いの余波は容易く人間の命を奪う。
「安全域まで離脱して下さい、レギーナさん。経験や知識は生きてこそ活かせるものです」
絶奈の言葉に例え命を落としても構わない。少しでも役に立ちたいと少女は訴える。
その必死の訴えに淡く微笑みながらも首を横に振る。
レギーナが努力によって得た力、経験や知識を活かせる場所は此処ではないと。
命を懸けるのに値する戦場は必ず来るが今ではない。その時を待つのも戦いであると。
絶奈に説得され、彼女の無事を祈ってレギーナが離れていく。
少女の姿が見えなくなって少し、遂に狂神がその姿を絶奈の前に現わす。
「……そう、確かに「生きてこそ」です。ですが、「どう生きるのか」も重要ですね」
そうは思いませんか、と狂神に語り掛ける。狂神は黙して語らず。
ただ、その身に纏う呪詛の濃度が上がっていくように見えた。戦闘態勢に入ったということだろう。
もとより会話が成立するとも思っていない。
「吸血妃を乗っ取った異端の神よ。今の貴女は死んでいないだけです」
死んでないだけの生に意味はない。
そう断罪するように告げて絶奈の姿も真の姿、異端の神の姿へと変貌する。
先制攻撃は絶奈。周囲に展開設置させていた魔法の指向性散弾を発動させる。
ほとんで全周囲から発射される散弾だが狂神に気にした様子はない。
狂神の反応、移動速度は散弾の発射初速を遥かに超えていた。
絶奈が散弾の罠を発動させた次の瞬間にはすでに狂神は間合いに入っている。
そして、振るわれる鉤爪。絶奈の鉄壁の障壁をも斬り裂き彼女の体を抉る。
さらに斬り裂かれた障壁の狭間から命を奪う呪詛の流入を感じる。
この圧倒的な暴力を前に絶奈の口角は上がる。
好戦的な笑み。彼女を慕う|少女《レギーナ》には見せない類の貌だ。
「流石です。ですが、命を簒奪するのは貴女だけの専売特許ではありませんよ」
体を抉られながらも全く怯まず、絶奈の全身から衝撃波が連続して放たれる。
吹き飛ばされる狂神。
それと同時に絶奈の傷が逆再生するかのように塞がる。刹那の間に狂神の命の一部を奪い己のものとしたのだ。
「死んでいないだけの貴女。今の貴女には何も必要ありません。
ですが、死出の花道は飾って差し上げましょう」
『|涅槃寂静《ヨクト》』。
呪詛に満ちた空間を上書きするようにさらに禍々しい『死』そのものの様な濃霧が周囲一帯を包む。
そこに存在するだけで死が迫りくる空間。絶奈のユーベルコードの権能である。
戦場空間を今、支配するのは絶奈。
狂神が如何なる速度を誇っても、それが音速の何十倍のものであろうとも関係ない。
戦場に居る限り、『死』が狂神を蝕むのだ。
その空間で間合いを詰めるのは絶奈。
死の空間でぶつかる神だったモノと神になったモノ。戦いを制するのは今を生きる神だったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
吸血鬼にではなくその中の邪神に対して多少憐みと同情
名も体も喪い吸血鬼の皮を被る羽目になるとは面倒であろうな。
名を与えられ檻に閉じ込められた余には解らぬ話であるがな?
『鋼』はもしもの際には森ごと焼き払うように言う
これよりの余は品がない故にな。
吸血鬼の殻を破り真の姿へ
赤い霧を漂わせ手枷足枷をした中世風村娘の形に凝縮した細菌の集合体
てめぇならわしを殺しきれるかもしれねぇがな?
近づいたらヤバいのはそっちだけじゃねぇのを知っておけよ。
城壁を一兵でも超えたらわしの勝ちだからな。
呪詛のオーラに対して正面からウイルスの霧となって襲い掛かる
普通に殺菌される
ただし血の質は最悪なのでマイナスの比例式とさせ、弱体化を狙う
そこを『鋼』に遠距離から攻撃させる
効果はあっても無くてもどうでもよい
そうした事が重要
敵を撃退した後、吸血鬼に戻りここにいる生者達にエールを送る
未踏の森に進む『鋼』の戦士たちに
未踏の森から進撃を開始する異世界の同種《未知の病》に
どこの世界であっても殺し合うのは今を生きる者の特権なのだから
アドアレ歓
吸血妃アルカーディア。異端の神の討伐を志した結果、その体と魂を簒奪された存在。
その結末に憐みを覚える者もいるだろうが、異世界の吸血鬼であるブラミエ・トゥカーズの感想は違った。
彼女が抱いたのは吸血妃にではなくその中の異端の神に対する多少の憐憫だ。
そもそも吸血妃が仕掛けた戦である。彼女がどの様な結末を迎えたとしてもそれは自業自得。
対して異端の神はどうか?
確かに今生きていると言えるのは吸血妃ではなく異端の神であるが、元来の名も体も喪い吸血鬼の皮を被る羽目に陥っている。しかも、狂気に蝕まれて。面倒この上ない状態と言えるだろう。
もっとも異端の神の感情を実感することもできないと彼女は知っている。
吸血鬼の皮を被る。これは実のところブラミエも同様であるのだ。
彼女の本質もまた吸血鬼に非ず。
彼女は名を与えられ、檻に閉じ込められた結果、今の御伽噺の吸血鬼の名と体を得た存在だ。
ある意味、異端の神の現状と似ている。だがブラミエは吸血鬼としての自分が嫌いではない。
だから異端の神の心情を推測はできても実感はできないのだ。
だが――異端の神、狂神の力は強力。久しぶりに殻を破り、自分の本性を表す必要があるようだ。
そう判断したブラミエは自らが連れてきた『鋼』の戦士達に指示を出す。
まず離れておくこと。戦況が把握できるぎりぎりまで離れて待機。
ブラミエが戦った結果、弱体化が確認できれば決して近づきすぎず、遠距離から狂神を攻撃する事。
もし、弱体化が見られなかった場合は森に火を放ち、森ごと狂神を焼き払う事。
遠距離からの攻撃は素直に首肯した彼等だが森に火を放つことには難色を示す。
それは類焼を心配してなどではなくブラミエの身を案じてだ。
最終的には「余は不滅である」という言葉を信じて彼女の指示に従う。
『鋼』の戦士達が離れ、狂神が近付く。
濃い呪詛を纏いながらも外見は狂気に侵されているとは思い難い静謐な表情をした吸血妃。
しかし、その瞳を見れば確かに狂っているのが分かる。
「さて、始めるか。これよりの余は品がないが許せよ?」
言葉と共にブラミエは吸血鬼の殻を破って真の姿を曝け出す。
赤い霧を周囲に漂わせた枷足枷をした村娘の姿。
「てめぇならわしを殺しきれるかもしれねぇがな?
近づいたらヤバいのはそっちだけじゃねぇのを知っておけよ。
城壁を一兵でも超えたらわしの勝ちだからな」
先程までの貴族然とした口調とはまるで違う粗野な口調で宣戦布告。
同時に村娘の姿が崩れ赤い霧が濃ゆくなり爆発的にその量を増やす。
実のところブラミエの真の姿とはこれだ。赤い霧に見えるのは霧に非ず、細菌。
そうブラミエは細菌の集合体であるのだ。
『|災厄伝承・赤き死の夜宴《ウタゲハアサヒガノボルマデ》』。
感染した者を飢餓と狂乱を与える致死性伝染病に侵すユーベルコード。
真の姿を晒している際の効果は吸血鬼の姿の時よりも遥かに増す。
対する狂神のユーベルコードは『不滅の血統』。自身が傷つけば傷つく程、より存在格を増し、戦闘能力を増大化させるという凶悪なものだが、今のブラミエ相手では些か相性が悪いと言えた。
戦闘能力と共に威力を増した呪詛が赤い霧を喰らう。
呪詛は細菌の抵抗を許さず次々と喰らい殺していくが――問題は細菌の数である。
今や戦場全体を覆うようになっている赤い霧。しかも増殖を続けている。
呪詛が如何に細菌を喰らい、また狂神の放つ力で消滅させても、減るよりも増える方が速い。
徐々に、本当に僅かずつではあるが細菌が狂神の呪詛の壁を侵食する。
そして遂にはその身に到達する。
「城壁を一兵でも超えたらわしの勝ち」
ブラミエの最初の宣言は真実であった。そこから急速に戦局はブラミエに傾く。
致死性伝染病、それは異端の神が神である頃ならばその不死性ゆえに無効化できたかもしれない。
しかし、今の身体は吸血鬼である。病が体を蝕む。
そして『不滅の血統』は元々寿命を削る程に体に負担が大きいユーベルコードだ。
相乗効果で急速に弱体化を始める。
そこに戦いを見守っていた『鋼』の戦士達から弓矢や魔法による遠距離攻撃が放たれる。
「それでいい」
ブラミエは思う。現実的には彼等の攻撃が効いているとは言い難い。
狂神が今も弱り続けているのはブラミエの力だ。
だが、彼等は彼女の指示通り逃げ出さずに留まっており、また今、怖れる事無く攻撃を仕掛けている。
称賛すべきだろう。この戦う意志こそが重要なのだ。
―――
貴族然とした姿に戻っているブラミエが森に入っていく『鋼』の一団を見守る。
彼等は『|異端の神《狂える神》』が討伐され、安全となった森を開拓して拠点を築く者達だ。
そこには彼女に連れられて狂神と戦った戦士の姿も見える。戦う意志を持つ彼等は生きるにふさわしい。
そして、大森林を見て、そこにいるであろう自身の同類、《未知の病》のことを想う。
人間が生存圏を広げれば未知の細菌と出会うのは必然に近い。
|彼等《病原菌》は人間を殺すであろう。だが、人間もそれを克服しようとするだろう。
どこの世界であってもそれは自然なことだ。生きるという事はそういうことなのだ。
『|過去《オブリビオン》』が生きる者を害するのとは違う。
全ての生きる者達にエールを送り、御伽噺の吸血鬼は暗闇の世界を後にする。
大成功
🔵🔵🔵