|『傍観者』《バイ・スタンダー》は赤き災厄に冒される
●ブレイクスルー
願いは祈りに昇華するか。
されど、願いを叶える者にとって、それは糧でしかない。
強い願いに引き寄せられるようにして万能の魔神『エリクシル』は『いずれ来る到達点』を隔てる壁を突き抜けるため『神々をも超越した力』を振るう。
それは巨大な女性の頭部だった。
万能宝石の王冠を頂き、赤き髪をなびかせ、赤き瞳で見据える。
彼女の瞳の先にあるのは、一つの遺跡だった。
嘗て『人類王』と呼ばれた者が四百人の勇者を支援するために『エリクシル』に願った『巨大建造物型兵器』。
その名を『ライスメキア級フラズグルズ』。
総じて『勇士号』と呼ばれた巨大な船。
だが、その本来の機能は失われて久しい。眠りについていると言っても良いだろう。このまま忘れ去られていく運命であった。
それが正しい。
斯くあるべきであった。
「ですが、願われたのですから。願われたのならば、願われたように役目を果たさなければなりません。造られたものというのはそういうものです。そうであるべきなのです。ええ、そうでしょうとも」
万能の魔神『エリクシル』、その巨大な頭部だけの存在『鮮血の女王』は見下ろした『巨大建造物型兵器』、『ライスメキア級フラズグルズ』に『願いの力』を注ぎ込む。
「お前もただ朽ちていくだけの運命など許容できないはず」
彼女の瞳に感情の色はない。
そこにあったのは、悲惨な結末を導き出すための兵器を手にした思惑だけだった。その思惑が向けられるのは都市国家。
この『巨大建造物型兵器』の力を持てば、都市国家など灰燼と帰すことなど容易。
「力を振るいなさい。お前はそのために造られたのだから――」
●銀鈴花
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は己の見た予知に目を見開く。
グリモアベースにて彼女は見た。
巨大な影。
天を貫くかの如き威容。
大地を焼き滅ぼす光。
「……お集まり頂きありがとうございます」
彼女は集まってきた猟兵にたちに己の見た予知がエンドブレイカー世界の都市国家の一つに壊滅的な打撃を与えられるものであることを告げる。
「今回の事件は、万能の魔神『エリクシル』――『鮮血の女王』によって『巨大建造物型兵器』、『勇士号』と総称されるうちの一つ、万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』が掌握されかけていることに端を発しております」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは首を傾げるだろう。
『勇士号』とは?
それはエンドブレイカー世界において、エンドブレイカーたちが出現するより遥か昔において『人類王』が四百人の勇者を支援するために『エリクシル』の力で造らせた『巨大建造物型兵器』の総称である。
「ですが、そのうちの一つである万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』は辺境地で遺跡となって眠り、朽ちていく定めであったのです」
それが『エリクシル』、『鮮血の女王』に目を付けられて侵略兵器として目覚めそうに成っているのだという。
幸いにして『ライスメキア級フラズグルズ』は起動していない。
この隙に『鮮血の女王』を打倒しなければならない。
しかし、問題がある。
『エリクシル』の力は『神々をも超越した力』である。遺跡化した『ライスメキア級フラズグルズ』周辺地帯には、その力で赤い鋼鉄の嵐が巻き起こっている。
「この赤い鋼鉄は、鋼鉄でありながら流動的に形を変えて皆さんに襲いかかってくるでしょう。ですが、これ事態を排除することは難しいでしょう。排除するよりも吹き荒れる赤い鋼鉄の嵐を切り抜ける方がまだ現実的です」
この赤い鋼鉄の嵐は『エリクシル』である『鮮血の女王』を打倒しなければ消えることはない。
ならば、これを排除するより切り抜けた方が速いというのも頷ける。
しかし、それだけでは『鮮血の女王』の罠は収まらない。
「遺跡化した『ライスメキア級フラズグルズ』に到達し、その内部に突入したとしても、『鮮血の女王』は皆さんに気が付き、起動のために注いでいた『願いの力』を止め『遺跡内部を侵入者殺しの罠で満たし』、迷宮へと変えてしまうのです」
これは時間稼ぎと見ていいだろう。
猟兵たちがまごついている間に『ライスメキア級フラズグルズ』を起動させてしまおうという腹積もりなのだ。
しかも、この罠は『エリクシル』である『鮮血の女王』の元にたどり着いても起動し続け、彼女との戦いに於いても執拗に襲いかかってくるのだ。
「……厳しくも困難な戦いであることは承知の上です。この『巨大建造物型兵器』が侵略兵器として起動するのならば、都市国家は破滅へと瞬時に叩き落されてしますでしょう。これを如何にしても止めて頂きたいのです」
破滅を引き起こし、生き残った人々から強い『願い』を引き出す。
マッチポンプじみているが、『エリクシル』たちにとって、其れは関係ないことだ。
『エリクシル』たちは『願いの力』を欲している。
それは悲惨であれば悲惨であるほどに強烈に、鮮烈に輝くことを『エリクシル』たちは知っているのだ。
人間の道理など通じない。
『神々すら超越する力』を持つ万能の魔神を討たねば、遅かれ早かれ悲しみだけが世界を満たしていくだろう。
「それは、とても好ましくありません。ですから」
どうか、とナイアルテは頭を下げ猟兵たちを見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
エンドブレイカー!世界において嘗て『勇士号』と総称された『巨大建造物型兵器』の一つ、万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』を侵略兵器として起動しようとする万能の魔神『エリクシル』の策謀を阻止するシナリオになります。
●第一章
冒険です。
まずは辺境地帯に吹き荒れる赤い鋼鉄の嵐をかいくぐりましょう。
この赤い鋼鉄は鋼鉄でありながら流動的であり、考えられる限り全ての武器の形を取って襲いかかってきます。
これら全てを排除することは現実的ではありません。
そもそも、この嵐を生み出した『エリクシル』を打倒しない限り消えることがないからです。
●第二章
冒険です。
赤い鋼鉄の嵐を抜け、『勇士号』、万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』に到達した皆さんは、内部に突入します。
巨大な船の内部は『エリクシル』によって迷宮と成り果て、次々と侵入者殺しの罠が襲いかかってきます。
この罠をくぐり抜け『エリクシル』の元へたどり着きましょう。
●第三章
ボス戦です。
万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』を支配し、起動しようとしていた『エリクシル』、『鮮血の女王』との戦いになります。
前章の罠が皆さんを同様に襲いかかってきます。
通常の攻撃手段と前章における罠の攻撃が合わさって襲いかかってきます。これに対処することが鍵となるでしょう。
それでは長き時を経て『エリクシル』によって侵略兵器として起動してしまいそうになっている『勇士号』を巡る皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『エリクシル大災害』
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POW : 体力と胆力で災害に耐えながら進む
SPD : 災害の影響を少しでも凌げるルートを探し、急いで進む
WIZ : 広域魔法を展開し、僅かでも災害の被害を和らげながら進む
イラスト:純志
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それは到底自然現象であるとは思えなかった。
エンドブレイカー!世界の辺境地帯を覆うように赤い鋼鉄の嵐が吹き荒れていた。
赤い鋼鉄は鋼鉄でありながら流動体であった。
時に剣に。時に槍に。時に矢に。時に銃に。
あらゆる武器の形を取って嵐を形作るそれらは、辺境地帯への侵入を拒むようであった。当然である。この先にあるのは朽ちていく定めであった眠りに落ちた『勇士号』と総称される『巨大建造物型兵器』……『ライスメキア級フラズグルズ』が存在していたからだ。
それを侵略兵器として起動しようとしている万能の魔神『エリクシル』にとって、邪魔立てする存在は唯一。
そう、猟兵。
彼等の到来を『エリクシル』は予見していた。
だからこそ、『エリクシル』は異常なる現象でもって猟兵たちの歩みを阻むのだ。
「時が稼げれば良い。そうすれば、この『ライスメキア級フラズグルズ』で猟兵たち諸共も都市国家は滅ぼせるのだから――」
アルトリウス・セレスタイト
時間は稼がせてやらん
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
顕現を展開
領域内の鋼鉄の嵐に破壊、自身含む味方へ創造の原理を行使
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
万物一切を生み出す創造の原理を超える脅威もない
損害は一切出さず、脅威は塵も残さず消し飛ばしつつ進行する
目論見は全て丁寧に捻じ伏せよう
自称女王とやら、空虚へ還る準備でもしているが良い
※アドリブ歓迎
辺境地帯を覆うようにして吹き荒れる嵐。
それは赤い色をしていた。いや、嵐、と呼ぶのまた違うのかもしれない。それは雨でもなければ風でもない。
赤い鋼鉄。
鋼鉄でありながら流動体のように千変万化たる様相を見せる。
全てが武器。
ありとあらゆる武器へと形を変え、この辺境地帯に足を踏み入れる者へと襲いかかるのだ。
これが万能の魔神『エリクシル』の時間稼ぎであることをアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は理解している。
そして、それをさせてはならないことも。
「時間は稼がせてやらん」
小さく呟く。
迫りくる赤い鋼鉄の嵐が形を変えていく。
膨大な数の武器へと姿を変えた、それらは矢の形へと姿を変える。流星雨のように空を覆う天蓋のように赤い鋼鉄がアルトリウスに迫る。
「……なるほどな。再現など無く生み出し続けるか」
万能の魔神『エリクシル』の力は『神々すら凌駕する力』。
願いの力を得るためにあらゆる願望を実現可能とする力。つまり、この力の源は『エリクシル』そのものなのだ。
ならば、此処で赤い鋼鉄の嵐を退けることは現実的ではない。
「無限にも思える物量ですり潰すのがお前たちのお家芸ではないことを知れ」
纏う十一の原理。
それを無限に廻し、己に害をなさんとする赤い嵐の如き矢を見据える。
迫る攻勢は確かに恐るべきものであった。
しかし、アルトリウスの瞳はユーベルコードに輝く。
「成れ」
淡い蒼光がアルトリウスを包み込む。
顕現(ケンゲン)するはアルトリウスの力にしてユーベルコード。
己の周囲にある全てに破壊の原理による攻勢を以て迫りくる赤い鋼鉄の鏃の全てを打ち砕く。
「万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない。万象一切を生み出す創造の原理を超える脅威もない」
身を覆う淡い蒼光は迫る鏃の鋒を己に届けさせることはない。
塵も残さず消し飛ばされる鋼鉄の嵐。
しかし、それが一時しのぎにしかならないことはわかっている。
これは結局の所、ルールの押し付け合いだ。
ユーベルコードによる破壊の原理は、己に害を為す、という意志を持っている以上、己には到達し得ない。
ならば、これは力で押し負けることがなければ障害たりえないだろう。
「目論見は全て丁寧にねじ伏せよう」
例え、これが時間稼ぎだと云うのだとしても。
全てを踏破してこそ『エリクシル』の目論見は正しく打破することができる。
それに、とアルトリウスは迫る赤い鋼鉄の嵐を見据える。
打ち砕いても、打ち砕いても、なお迫る嵐に辟易したわけではない。
「『エリクシル』……『鮮血の女王』と名乗ったか」
女王。
其れが如何なる理由から、そう名乗るのかの由来を知らない。
けれど、それがアルトリウスには気に食わないのかもしれない。迫る鋼鉄の嵐の中を一歩、また一歩と着実に歩み。
「自称女王とやら、空虚に還る準備でもしているが良い」
『エリクシル』。
万能の魔神。
あらゆる願いを叶え、『願いの力』を得る者たち。
強き願いを得るために悲劇を齎す存在。
それを止めるべくアルトリウスは一人悠然と歩み続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
勇士号…朽ちゆく定めの古代兵器か…
そして…忌々しき赤の宝石め…貴様の好きにさせるものか…!
さぁ行くぞ…私は処刑人…!
【ペイル・ライダー】で骸骨馬を召喚
その背に乗り空を飛び、ダッシュで駆け抜け突き進もう
大剣緋色の天使を天に掲げて天候操作で鋼鉄の嵐の力を弱らせ辺境地へと進もう
武器に姿変える嵐で身を裂かれようとも我が身より生じる地獄の炎の不眠不休の力で傷口を無理矢理修復
切断部位の接続と激痛耐性で嵐を耐え抜こう…
邪魔をするなよ…鋼鉄の嵐めが…!
我らが目指すは勇士号だ…!ここで倒れてなるものか…!
忌々しい赤色め!私は…処刑人だ…ッ!
『勇士号』――それは嘗て四百人の勇者たちを支援するために『人類王』が『エリクシル』によって生み出した『巨大建造物型兵器』の総称である。
しかし、辺境地帯に眠るそれらは、今遺跡として眠りについている。
勇者たちが成し得なかった役目はエンドブレイカーたちが引き継ぎ、見事成し遂げた。
ならば、『勇士号』の役割はもはや訪れることのないものであった。
後は眠りに落ち、朽ちていくだけの定めだったのだ。
赤い鋼鉄の嵐の向こう側にある『ライスメキア級フラズグルズ』もまたその一つであった。
「……朽ちゆく定めの古代兵器か……そして」
仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)は己の迫る無数の赤い鋼鉄の斧や槍を見据える。
この自体を生み出しているのは万能の魔神『エリクシル』である。
迫りくる赤い鋼鉄の嵐は『エリクシル』を打倒しなければ消えることなどない。際限なき脅威なのだ。
これを消滅させるのは現時点で不可能。
切り抜ける他に選択肢はない。故にアンナの瞳がユーベルコードに輝く。
「……忌まわしき赤の宝石め……貴様の好きにさせるものか……! さぁ往くぞ……私は処刑人……!」
己の手にした剣は断頭のためにこそある。
しかし、『エリクシル』が頭部しかない『鮮血の女王』であろうともやるべきことは変わらない。
『エリクシル』が求める『願いの力』のために悲劇が引き起こされる。なら、それをさせぬのが処刑人であり、猟兵である己の使命。
「ペイル・ライダー(シヲモタラスダイヨンノキシ)……!」
アンナの隣に現れるは蒼炎纏う骸骨馬。
それに騎乗したアンナは手綱を引く。嘶くようにして骸骨馬が前脚を跳ね上げる。すでに戦意は十分。ならば、駆け抜けるのみ。
単身疾走るアンナに降り注ぐ赤い鋼鉄が姿を変えた武器は雨そのもの。
降雨の中を一滴足りとて身に浴びることなく駆け抜けることなどできようはずもない。雨はあまねく全てを濡らすが故に、雨。
そして、『エリクシル』の『願いの力』によって生み出された赤い鋼鉄の嵐は、迫る猟兵を逃さない。
「我が身は地獄の炎。いかなる刃で身を裂かれようとも……!」
そう、アンナの身体は骸骨馬と同様に蒼炎に包まれる。
それらが全て彼女の身を刻む傷跡を塞ぐのだ。
無理矢理な急ごしらえな修復なのかもしれない。けれど、アンナは止まらない。
「邪魔をするなよ……鋼鉄の嵐めが……!」
アンナは止まらない。
空を駆け抜ける。振るう鉄塊のごとき大剣が迫りくる嵐のような攻勢を切り払う。
黙示録の騎士となる彼女は不死。
如何なる傷も彼女の進軍を止めるには値しない。
「退け……! 我等が目指すは『勇士号』だ……!」
此処で倒れる理由など何一つ無い。
忌々しい赤い鋼鉄の嵐。それは煌めく力に満ちている。あの万能宝石の如き赤色。それは人の悪性故か。しかし、それ以上にアンナの心には怒りがあった。
己等の欲求のために、求めるものために悲劇を引き起こさんとする者を、アンナは決して許しはしないだろう。
「『エリクシル』……貴様等に死を齎しに来た……死から逃れる事は出来ぬぞ……!!!」
叫ぶアンナの食いしばった歯の隙間から蒼炎がほとばしる。
それは赤い鋼鉄の嵐を切り裂き、一直線に辺境地帯を駆け抜けていく。
どんな悪意も。
どんな刃も。
今のアンナを止めることなどできないと証明するように、その蒼炎は棚引く――。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
機神搭乗
あの勇士号…まさかこんなにも多く眠っているとは…思いませんでした
世界は…僕達の世界は未だ未知に溢れ見るべき物もまた多いのですね
「そうだよアルジェン!世界は広いよ!この世界も冥界はあるのかな?」(鴉立体映像
どうでしょうねぷっさん?とはいえ…今はこれから起こる|悲劇の終焉《エンディング》を破壊するのみです
UC発動
同時に英霊剣群展開発動
【空中戦・武器受け・念動力】
念動障壁を展開して鋼鉄の流動体の猛攻をしのぐ
可能な限り英霊剣も展開して迎撃に努めつつ
高速で飛翔し目的地へと飛ぶ!
ふふ…この世界では戦闘機という概念はなかった
そして…彼の勇士号…ええ…エリクシルには使わせません!
「ボクらで使おう!」
『勇士号』、それは嘗て『人類王』が四百人の勇者たちを支援するために万能宝石『エリクシル』に願った結果である。
しかし、皮肉なことである。
あまねく願いを叶える万能の魔神『エリクシル』。
それは全て願いを歪めて叶える。連鎖となって新たな悲劇を生み出すのだとしても、それは『エリクシル』にとって好ましい状況でしか無い。
強烈な願いの力は、悲劇の中からこそ生まれる。
故に『エリクシル』たちは悲劇を齎すのだ。
「あの『勇士号』……まさかこんなにも多く眠っているとは……思いませんでした」
アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は冥皇神機『プルートー』に騎乗し、赤き鋼鉄の嵐を見やる。
己たちの道を阻む鋼鉄の嵐は、鋼鉄でありながら流動体である。
雨のように降りしきるのは武器。
ありとあらゆる武器が千変万化のごとく形を変え、次々と襲いかかってくるのだ。
「世界は……僕たちの世界は未だ未知に溢れ見るべきものもまた多いのですね」
『そうだよアルジェン! 世界は広いよ! この世界にも冥界はあるのかな?』
立体映像の鴉の言葉にアルジェンは首を傾げる。
「どうでしょうね、ぷっさん?」
だが、今は冥界の有無よりも目の前に迫る脅威をくぐり抜けることのほうが先決だ。
迫る赤い鋼鉄の武器の嵐は雨そのものだ。
これを振り払うことは現実的ではない。
『エリクシル』の途方もない力によって生み出された嵐は、『エリクシル』を打倒することでしか消し去ることはできない。
『じゃーどうする?』
「今はこれから起こる|悲劇の終焉《エンディング》を破壊するのみです」
それが己たちエンドブレイカーだったのだ。
そして、今は猟兵として此処にあるのならば。
瞳がユーベルコードに輝く。
「ぷっさん! 転神です!」
『分かったよアルジェン! 黒翼葬機『プルートー』(プルートーレイヴンモード)としての姿を見せてやろうじゃないか!』
黒い機体が変形する。
その姿は戦闘機を模したような鴉。飛翔する機体が一気に嵐を切り裂くようにして飛ぶ。
迫りくる武装は数多。
雨を一滴残らず振り切ることなどできようはずもない。
けれど、アルジェンは飛ぶ。
目の前にあるのは悲劇だ。
悲劇の未来が横たわっている。
ならば留まる理由などない。ただただ、飛ぶのみ。一直線に飛ぶ『プルートー』に追いすがる赤い鋼鉄の嵐。
しかし、それを強引に吹き飛ばしながら『プルートー』が飛ぶ。
「ふふ……この世界では戦闘機という概念はなかった。ですが……ええ、彼の『勇士号』……ええ、『エリクシル』に使わせません!」
例え、歪められて叶えられた願いであったのだとしても。
それが誰かのためになるようにと願われたことは変えようのない事実だ。誰かの命を救うためにこそ願った言葉を。
知るからこそ、誰かの生命を奪うための力へと変えてはならないのだ。
『ボクらで使おう!』
それが叶うのかはわからない。
けれど、滅びるのが定めであったのならば、そのまま朽ちることこそが、かつての願いを叶える唯一であると知るのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
全く、無茶苦茶にも程があるなあ…
エリクシル、万能の魔神
けどまあ、無理無茶無謀を突破するからこそ面白い
最速で行って、吠え面をかかせてやろうじゃん
それに、何もかも知ったかぶってる奴は気に食わないしね
●
EX:I.S.T[BK0001]に騎乗し一気に駆け抜ける!
【神器複製】を起動
複製神器を『念動力』で周囲に展開
迫りくる武器を迎撃して対処しよう
更に周囲に『オーラ防御』でシールドを展開
迎撃しきれない物はそれで弾いていこう
後はフルスロットルで一気に駆け抜ける
『悪路走破』で多少の悪路も厭わずに突破を試みよう
時間稼ぎなんて小賢しいじゃない
どれだけ万能の魔神といえども、怖いものはあるって事かな!
万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』。
それが嘗て『人類王』が望み、万能宝石『エリクシル』が叶えた産物であるというのならば、『願いの力』を得る為とは言え、現実のものとする『神々すらも超える力』を持つ万能の魔神が如何に強大な存在であるのかを知らしめるには十分だった。
「全く、滅茶苦茶にもほどがあるなあ……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の青い一房の髪が揺れ、目の前に広がる赤い鋼鉄の嵐と対比されているかのようだった。
眼の前の嵐は、全てが鋼鉄でありながら流動体である。
形を常に変え、雨のように降り注ぐは、数多の武器。
考えうる限り全ての武器が再現された雨は、辺境地帯に足を踏みれた者を何人たりとて進ませぬとばかりに穿つ。
「『エリクシル』、万能の魔神……けどまあ、無理無茶無謀を突破するからこそ面白い」
振り抜く模造神器を彼女が跨る特殊バイクに収めると励起するように車体のあちこちに配されたパネルラインから蒼い光がほとばしる。
唸りを上げる動力炉。
模造神器から得られるエネルギーを推進力に変換する特殊バイクがタイヤを空転させながら、土煙を上げ赤い鋼鉄の嵐へと突き進む。
それは自殺行為だった。
雨の中を一粒足りとて浴びずに進むことができないように。雨の如く降り注ぐ赤き鋼鉄の嵐は玲を狙って殺到するのだ。
しかし、玲の瞳がユーベルコードに輝き、特殊バイクの速度を一気にトップスピードに到達させるのだ。
「最速で行って、吠え面をかかせてやろうじゃん!」
そう、玲は無茶無謀をこそ踏み越える。
敵がどんなに無理だと云うのだとしても、それを道理ごとねじ伏せる。誰が行ったのだ。道理が無理を阻み、無理が道理を踏み越えるなど。
そんな理など頂きを目指す己の前には些事なのである。
「さあ、いくよ。私の研究成果のお披露目だよ!」
神器複製(コード・デュプリケート)によって生み出された模造神器が空を飛ぶ。
迫りくる鋼鉄の嵐を引き裂くように蒼い残光が疾走る。切り裂く鋼鉄は、すぐに形を変えて、短刀の形を取って玲に迫る。
しかし、それを切り払いオーラで受け止める。
「フルスロットル……! 時間稼ぎなんて小賢しいじゃない」
玲は大地を蹴り上げるようにして特殊バイクの前輪が跳ね上がらせる。
迫る赤い鋼鉄を念動力で制御された模造神器が乱舞するように切り払い続ける。
万能の魔神『エリクシル』は、あきらかに自分たちを足止めするために辺境地帯を赤い鋼鉄の嵐で覆っている。
ならば、と思う。
如何に万能の魔神といえども、恐ろしいと感じるものがあるのかもしれない。いや、脅威と感じるものがあるのかもしれない。
なら、と玲は笑うのだ。
「何もかも知ったかぶってる奴は気に食わないしね」
万能であるがゆえに万物を見下ろす者がいるのだとして。
それが『エリクシル』であるというのならば、玲は見上げる。己が目指す頂きが、例え『そこ』でないのだとしても。
それでも、『そこ』にいて己の道を邪魔立てするのならば。
「全部、切り裂いて進ませてもらおうってことだよ! 待ってなよ――」
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
エリクシルに勝手はさせないよ。
すぐに黙らせてあげるね。
とはいえこの嵐は厄介だね。
天候操作も難しそうだし、
刀で対処するのも骨が折れそう。
……無理矢理通り抜けようかな?
『影魔人の術・餓者髑髏』を使って、
物質透過能力で嵐を切り抜ける。
攻撃衝動は、影魔人の餓者髑髏に
周囲の武器を攻撃させ続けて満たす。
餓者髑髏、向かってくる武器全部
食べちゃって良いよ。
餓者髑髏の攻撃で防げなかった武器は
物質透過で無視できるとはいえ、
武器の嵐が自分に向かってくるのは
気分良いもんじゃないね。
ダッシュでさっさと嵐を抜けよう。
早く、元凶を叩かないと!
※アドリブ歓迎
エンドブレイカーは未だ見ぬ悲劇を壊す者である。
悲劇は願わせるだろう。
現実を変えるために。どうしようもない悲劇を贖うために。
それこそが万能の魔神『エリクシル』の求める強烈な『願いの力』なのだ。そして、次なる悲劇を生み出すために願いを歪めて叶える。
そうした連鎖が生み出す悲劇を壊すためにこそ己たちがいたのだとサツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者・f38892)は知る。
「『エリクシル』に勝手はさせないよ。すぐに黙らせてあげるねr」
彼女の瞳は爛々としていた。
世界を見るのは好奇心。
彼女は世界に未知を見て、道ならぬ荒野に轍を刻む。
猟兵になってわかったことがある。
世界は一つではない。多くの世界がある。ならば、自分はそれを見たいのだと自覚したからこそ、『世界の瞳』の代行者の任を解かれ、今もこうして世界を歩く。
目の前に迫る赤い鋼鉄の嵐。
それが己の道を今阻んでいる。
「この嵐は厄介だね」
辺境地帯に足を踏み入れた者を自動的に迎撃し続ける流動体の赤い鋼鉄。それはありとあらゆる武器に形を変え、雨のようにサツキへと襲いかかるのだ。
手にした刀で対処するのだとしても、それは風雨を切り裂き雨粒の一滴もかぶらぬようにすることと同義。
すなわち現実的ではない。
ならば如何にするか。
「影魔人の術・餓者髑髏(カゲマジンノジュツ・ガシャドクロ)! 喰らい尽くせ、影魔人!」
サツキの背後の影より現れるのは巨大な魔人。
その腕が振るうは嵐のような黒い腕。
迫る赤い鋼鉄の嵐すら振り払うようにサツキに迫る赤い鋼鉄から守るのだ。だが、それだけでは凌ぐことはできないだろう。
しかし、彼女のユーベルコードは瞳に輝き続ける。
己の中にある攻撃衝動は尽きない。
「餓者髑髏、全部食べちゃって良いよ」
大顎を上げるようにして巨大な魔人が赤い鋼鉄の雨を飲み込む。さらにサツキは踏み出す。このユーベルコードが輝く限り、彼女は物質を透過する。
すなわち、雨のように降り注ぐ赤き鋼鉄であろうと彼女を傷つけることはできないのだ。
「とは言え、気分の良いもんじゃないね」
サツキは苦笑いする。
幾ら透過するとは言え、鋒が迫るのは視覚的にもよろしくない。
ならば、とサツキは走り出す。追従する魔人と共に赤い嵐を切り裂く黒い嵐となって、一直線に辺境地帯を切り抜ける。
「早く元凶を叩かないと!」
そう、この嵐の元凶。
万能の魔神『エリクシル』。願いを叶える存在。
確かに『人類王』は四百人の勇者のために、と願ったのだろう。けれど、皮肉なことだ。幾星霜の時を経て、守らんとした人類に矛を向ける存在に万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』はなろうとしている。
それが齎す悲劇こそ己が壊さなければならない。
きっと、サツキにとって、それこそが己の好奇心を超える唯一であったはずだろうから――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
うーん……
私の守備範囲はエイル様《主人様》であってライスメキアではないのですが
|青と赤のこと《あんなこと》を聞いた後とあっては
|赤い鋼鉄の嵐《コレ》、無視できないですねえ
ただただ生命を排除するためだけに存在する|赤《悪性》ならば
私も|無邪気な悪意《オブリビオンマシン》で対抗しましょう
フォル!いらっしゃい(鳥型キャバリア召喚)
フォル、貴方に悪意なくとも
貴方が『思うままに空を飛べば』世界が滅ぶ
だからこそ私がいるのです
ですから一緒に飛びましょう
【ファム・ファタール】、突撃行きます!
どんな性質を持つ|赤《悪性》とて今は鋼鉄
質量があるならば全て吹き飛ばして突破します!
フォル、貴方ならそれができますから!
「うーん……」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は首をひねる。
今回の事件のあらましを聞いて思ったのだ。これは『そう』なのだろうかと。
すなわち、彼女の『主人様』に関連することなのだろうかと。
それが判然としない状況は正直に行ってテンションも上がらない。いつもの愛を叫ぶこともなく、なんとも微妙な顔をしていた。
けれど、と彼女は思う。
守備範囲ではないからと言って戦わぬ理由ではない。
それに、とステラは思い返す。
「|赤と青のこと《あんなこと》を聞いた後とあっては|赤い鋼鉄の嵐《コレ》、無視できないですねえ」
それは目の前に迫る鋼鉄の嵐。
鋼鉄でありながら流動体。あらゆる武器に姿を変え、辺境地帯に足を踏み入れる者を射殺すように雨のように降り注ぐ。
「ただただ生命を排除するためだけに存在する|赤《悪性》ならば、私も|無邪気な悪意《オブリビオンマシン》で対抗しましょう」
彼女の手が空に掲げられる。
その先より飛来するのは鋼鉄の怪鳥。
「フォル! いらっしゃい」
羽撃く翼が風を巻き起こす。
そこにあったのは『フォルティス・フォルトゥーナ』。
空に蓋をされた世界で空を飛ぶことを望みとしたオブリビオンマシン。嘶くようにして嘴が開く。
空を飛ぶことは即ち死。
空に蓋をする暴走衛星があるがゆえに飛ぶということは、滅びを意味する。
「フォル、貴方に悪意なくとも、貴方が『思うままに空を飛べば』世界が滅ぶ」
しかし、ここは鋼鉄の巨人が闊歩する世界ではない。
この空は自由だ。
飛ぶといい。思うままでなくても。不自由に象られた自由であったとしても。それでも空は飛ぶ者を拒まない。
空にあるのは、いかなる心か。
空の青さと嵐の赤。
その二つが交わる境界線は星には見えない。
「だからこそ私がいるのでしょう。ですから一緒に飛びましょう」
コクピットに収まると、ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
「フォル! あなたの速度で全て蹴散らしなさい!」
鋼鉄の翼が羽ばたき、『フォルティス・フォルトゥーナ』が飛ぶ。その速度は一気に加速し、トップスピードに乗る。
生み出されたソニックブームが雨のように降り注ぐ赤い鋼鉄の嵐を切り裂く。
流動体故に、すぐに形を変え『フォルトゥーナ・フォルトゥーナ』を追う。
だが、そんな背に迫る悪意すらも『フォルトゥーナ・フォルトゥーナ』は解さない。なぜなら、意味がないからだ。
あれらは結局のところ悪性。
如何なる性質があるのだとしても、質量が在るのならばユーベルコードに寄って生み出されるソニックブームは三日月を残して、背後に迫る赤い鋼鉄の嵐を押し留めるのだ。
「征きなさい、フォル。全てを吹き飛ばし、己の飛ぶ先を阻むものを突破する」
それができるのだとステラは確信している。
例え、空に蓋をされていたとしても。
飛ぶことをやめられなかったように。
ならば、己はその道を共に往くのみである。自らの求める赤と青の境界線。揺れ動くの人の悪性でも善性でも無く、良心であるというのならば。
「その先に往くのみです――」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
ほい!せいやー!
とピシッ!パシッ!と【第六感】で感じるままにちっちゃな[球体]くんたちを飛ばして飛来する物体を迎撃しながらてってこ行進しよう!
んもー、神々を超越したっていう割にはアトラクションがちょっと地味じゃない?
品位…いやブランド価値…?を落とさないでほしいものだね!
もっとぱぁーっと派手に行こうよ!
と道程の最後には赤い鋼鉄の嵐そのものを押し退けるような通り過ぎた後におーーっきな“道”ができるくらいのハイパードカデカ[超重浮遊鉄球]をごあいさつ代わりに万能戦艦に向かってぶん投げよう!
でもこの万能戦艦っていうのはいいよねー浪漫があるよ!
さあ本当にボクを越えられるかな!
辺境地帯を覆う赤い鋼鉄の嵐。
それは万能の魔神『エリクシル』が迫るであろう猟兵たちの足を止めるために生み出した災厄である。
鋼鉄でありながら流動体。
あらゆる武器に姿を変え、例え切り払ったとしても意味をなさぬように形を再び変えて襲い来る。
雨の一粒をも浴びずに雨中を進むことが叶わぬように、赤い鋼鉄の嵐の中をただ進むことは現実的ではなかった。
これらを排除することも同義である。
故にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は己の周囲に小さな球体を浮かべ、迫り来るあらゆる武器へと変じた赤い鋼鉄を迎え撃つ。
「ほい! せいやー!」
手繰る球体たちが襲い来る嵐を蹴散らす。
無数の赤い鋼鉄が変じた武器は、まさに千変万化。統一性もなければ、世界観というも無視しているとも言える。
それほどまでに『エリクシル』のちからは強大であったのだろう。
けれど、ロニには不安であった。
『神々すら超える力』を『エリクシル』は有しているのだという。
ならば、これはロニにとって退屈極まりないものであった。
言ってしまえば、地味である。
「アトラクションがちょっとねー」
遊び心もなければ、意外性もない。
あるのはただ物量で己たちの足を止めることのみ。確かに壊しても、弾き飛ばしても、減ることのない流動体の鋼鉄は恐るべき力であったことだろう。
けれど、進むことができないわけでもない。
『エリクシル』にとって必要なのは時間。
猟兵たちが辺境地帯で突破にこまねいている今の事態こそが、目論見通りであったということなのだろう。
「まあ、そういう意味ではエンターテインメントのマネごとって感じがするけど」
万能の魔神。
曲がりなりにも神の一文字を有するというのなら。
「品位……いやブランド価値……? を落とさないでほしいものだね! もっとぱぁーっと派手に行こうよ!」
ロニにとって、それがもっとも大切なことだったのだ。
如何に赤い鋼鉄の嵐が恐るべき罠であったのだとしても。これでは意外性も何もあったものではない。
時間が必要だからって、ただただ無為に押し留めるだけなんて面白いわけがない。
ロニは笑う。
目の前に浮かぶは超重浮遊球体。
それらは周囲に浮かぶ小型の球体とは比べ物にならないサイズと質量を持っていた。
「これはご挨拶代わりってやつだよ! どーんっ!」
ロニの拳が振りかぶられる。
それは神撃(ゴッドブロー)。目の前に浮かぶ超重球体に叩きつけられる一撃。衝撃が荒び、鋼鉄の嵐を吹き飛ばす勢いで一直線に辺境地帯から目標である遺跡化した万能戦艦へと飛ぶのだ。
「万能戦艦っていうのはいいよねー浪漫があるよ!」
だからこそ、ロニは笑う。
打ち込んだ巨大な球体。これを受け止めることができるだろうかと。
神である己を超える力を持つ『エリクシル』。
そうだというのならば、その力の一端を見せてほしいと、辺境地帯の荒野に満ちる嵐を貫くようにして球体が飛ぶ。
その轍をロニは悠々と歩くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『迷宮街を駆ける』
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POW : パワーに任せ、壁面や崖を登攀する
SPD : 洗濯ロープや家屋の庇など、僅かな足場を利用して空中を移動する
WIZ : 手早く地図を用意し、目的地へのルートを探す
イラスト:純志
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵の一人が放った球体が遺跡化した万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』へと飛ぶ。
その一撃は狙い過つことなく、巨大な船体へと吸い込まれていく。
だが、その一撃は受け止められた。
万能の魔神『エリクシル』のちからの障壁に、ではない。
辺境地帯の赤い鋼鉄の嵐を抜けた猟兵たちは見ただろう。遺跡化し、くちようとしていた船体が持ち上がる。浮かび上がっているのではない。まるで横たわった巨人が立ち上がるように万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』が『変形』したのだ。
「……未だ本起動ではないとは言え、面倒なことをしてくれたものです」
『エリクシル』、『鮮血の女王』は、赤い瞳を輝かせる。
きしむ船体。いや、体躯と云うべきか。
まるで山のような巨体。
万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』は、その白亜の体躯をうならせるように戦艦から人型へと姿を変え、迫る猟兵たちを見下ろす。
だが、未だ本起動ではないのだろう。
人型に移行して球体の一撃を受け止めたのはいいが、そこからさらに力を注がねばならないのだ。
「良いでしょう。もはや突入は止められない。ならば」
『鮮血の女王』は万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の巨体の内部に存在する罠を起動させる。
内部に溢れるは、赤い鋼鉄の巨人たち。
体高5m級の戦術兵器たる人型の鋼鉄の躯体が、そのアイセンサーをみなぎらせる。
艦内とも云うべき内部に広がっているのは、街並み。
そう、この万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』は、その内部に一つの都市国家並の街を内包しているのだ。
そんな入り組んだ『ライスメキア級フラズグルズ』の内部に飛び込んできた猟兵たちを迎撃せんと、赤い鋼鉄の巨人たちは、その手にした武装でもって襲いかかるのだった――。
サツキ・ウカガミ
まさか変形するなんてね。
中は、街の迷宮に巨人の警備、と。
街はあまり壊したくないし
最短ルートも知りたい……
うん、巨人を味方につけたいね?
瞳術『忍夜皐曲者』を巨人達に。
「友達を攻撃なんてしないよね?」
「エリクシル、鮮血の女王は
どこにいるか教えてくれる?」
「先の経路が見たいんだよ。
肩を貸してくれるかな?」
「あの巨人が邪魔するんだよ。
キミは助けてくれる?」
ボクの頼みを聞いてくれるなら百点、
そうじゃなくても動きが鈍れば良し。
【情報収集・軽業・悪路走破】で
巨人の体や僅かな足場を利用して、
最短経路で迷宮を移動するよ。
瞳術に抗って攻撃してくるなら
【見切り・気配感知】で避ける。
時間稼ぎは、させないよ!
遺跡と化していた万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』。
その白亜の艦体がもたげるようにして人型へと変貌を遂げるのをサツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者・f38892)を見上げる。
艦船から人型へ。
まるで山のような巨人。
それが万能宝石『エリクシル』に願った結果であったというのならば、如何に強大な力であったことだろう。
精霊建築が縦に積み上げていくことによって巨大な様相を見せるのと同じように『ライスメキア級フラズグルズ』もまた艦体を盾にするようにして巨人へと至る。
サツキは躊躇うことなく巨人と成り果てた『ライスメキア級フラズグルズ』の内部へと飛び込む。
「まさか変形するなんてね」
それだけではない。
嘗て四百人の勇者たちの旅に共するために船内は街が丸ごと収められているような作りになっていた。
きっと旅の最中に此処で憩うこともあったのだろう。
それを傷つけることをサツキは厭う。
これが人間による技術で作られたものではないにせよ、しかし、そこにあるのは確かな技術に寄って作り出されたものだ。
だから、サツキは壊したくないと思い、『ライスメキア級フラズグルズ』の内部の街中を飛ぶようにして駆けるが、それに迫るものがあった。
赤い鋼鉄の巨人。
体高5m級の戦術兵器。彼等は違う。サツキが壊したくないと願った街中を構うこと無く破壊しながら、彼女を襲うのだ。
「ここには人の営みがあったんだよ。なのに、どうして、そんなに簡単に壊せるのさ」
サツキの瞳がユーベルコードに輝く。
街は壊したくない。
けれど、『エリクシル』座す場所へと至る最短ルートも知りたい。
ならば、彼女の瞳術『忍夜皐曲者』(ドウジュツ・シノビヨルメイハクセモノ)は、赤紫の瞳を彼女の名の示す通りの名に変化する。
サツキ。
その花の名が示すように彼女の視線は赤い鋼鉄の巨人に削がれる。
「キミとボクは友達。なら、友達は攻撃なんてしないよね?」
眼の前の赤い鋼鉄の巨人は完全なる悪性。赤一色。しかし、サツキのユーベルコードは生命体でろうと無機物であろうと彼女に友好を示すのだ。
「……――」
「うん、わかってくれて嬉しいよ。ボクのお願い、聞いてくれるかな?『エリクシル』、『鮮血の女王』はどこにいるか教えてくれる?」
その言葉にアイセンサーが明滅する。
光の符号。
それをサツキはわからない。
けれど、赤い鋼鉄の巨人たちは一斉に手にした剣を示す。
サツキが飛び込んだのが『ライスメキア級フラズグルズ』の足に相当する部分であった。ならば、彼等が示すのは遥か頭上。
即ち、頭部。
「そこにいるんだね」
サツキは見上げる。
遠き道程であると理解する。けれど、立ち止まることは許されない。道行きは迷図のごとく広がっている。
常に上を目指せば良いのかというとそうではないのだろう。
「ありがとう。でも……」
サツキはさらに迫る赤い鋼鉄の巨人たちを見やる。彼女のユーベルコードが有効ではない巨人もいるのだろう。
「あの巨人が邪魔をするんだよ。キミは助けてくれる?」
「……――助ける」
かすれるような小さな声と共に赤い鋼鉄の巨人の装甲が揺れるようにして半身だけが青く変わっていく。
サツキの前に彼女のユーベルコードで揺らぐ悪性と善性を持ち得た赤い鋼鉄の巨人がサツキの道を切り開く。
示す先にあるのは遥か頭上。
そこにこそ『エリクシル』、『鮮血の女王』が座すというのならば、サツキは進むしか無いのだ。
「これも時間稼ぎの一つだっていうのなら、させないよ! ありがとう、キミたち!」
サツキは道開く鋼鉄の巨人たちを背に迷宮のごとく入り組んだ内部を、上へ上へと駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
時間稼ぎはさせん、と言った
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
天楼で捕獲
対象は戦域の鉄巨人
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
対象外へは影響皆無故、味方への阻害はない
展開の瞬間を無限循環し無数の迷宮を重ね、速やかに敵勢を殲滅しつつ自身は真っ直ぐに首魁へ向かう
出口は自身に設定
故に迷宮も自身と共に動く
仮に自身へ至る個体があれば破壊の原理を乗せ打撃で始末
単純も悪くないが、足りん
首でも洗っておけ
※アドリブ歓迎
踏み入れた万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の内部は、驚くべきことに街並であった。
古き時代にありし街並み。
ここで四百人の勇者たちの営みがあったのかもしれない。
けれど、すでにそれは忘れ去られている。
かつてそうであったのだとしても、今は万能の魔神『エリクシル』によって注がれた力によって迷宮へと姿を変えているのだ。
赤き鋼鉄の巨人たちが疾駆する。
街中にあって、彼等が飛ばぬのはいかなる理由からか。
それは戦術というものを理解しちたからかもしれない。侵入者たる猟兵たちに対抗するために、街並みを盾にすることを解しているのだろう。
しかし、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は、それを無意味だと断じる。
これがいかなる思惑であるのかを理解しているからだ。
「時間稼ぎはさせん、と言った」
すでに戦場の状況は知り得ている。
己たちが目指すべきは巨人の体内から頭上。
そこにこそ『エリクシル』たる『鮮血の女王』が座すというのならば、赤い鋼鉄の巨人たちを蹴散らして進むしか無い。
赤い鋼鉄の巨人たちが放つ弾丸と剣の一閃がアルトリウスに迫る。
ほとばしる光熱の刃がアルトリウスの掲げた手と激突して、火花を散らす。それをアルトリウスは見上げる。
確かに強烈な力だと言えるだろう。
けれど、アルトリウスの瞳がユーベルコードに輝く。
「惑え」
天楼(テンロウ)たる原理が赤い鋼鉄の巨人たちを縛り上げる。
ユーベルコードの輝きは自壊の原理。
己が選んだ対象のみを縛り、消去する原理の力。
アルトリウスに迫っていた赤い鋼鉄の巨人たちは、全てがユーベルコードの迷宮に落ちる。
「単純だな。全て悪性に染まるか。表裏一体とはよく言ったものだ。完全なる善も悪となんらかわらんのならば」
アルトリウスは己の生み出した迷宮に落ちていく赤い鋼鉄の巨人たちを見下ろす。
迷宮自体の硬度は言うまでもない。
そして、仮に迷宮より這い出すことができるのだとしても。
「即座に抜けてくるか」
アルトリウス自身を迷宮の出口に設定しているがゆえに、自ずと彼は赤い鋼鉄の巨人と相対することになる。
だが、そこ自壊の原理によって朽ちていく。
赤い鋼鉄の巨人は次々とアルトリウスに迫るも、淡い蒼光に飲み込まれて消えていく。
「首魁は上、か」
見上げる。
この山のような巨体。
その遥か上、頭部に相当する部分に『エリクシル』が居る、ということをアルトリウスは知り、駆け上がっていく。
赤い鋼鉄の巨人の残骸は崩れて消えていく。
いかなるものもゆらぎなき者は己を止めることはない。あの赤い鋼鉄の巨人は完全なる悪性故に。
「首でも洗っておけ」
見上げる先に在るであろう『エリクシル』に向かってアルトリウスは、目論見を打破すべく飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
赤…赤…赤…忌まわしい赤色の群れ…
私は処刑人だ…邪魔するならば…屠るだけだ…!
ジャンプとダッシュで迷宮街を駆け抜けよう
鋼鉄の巨人の動きを視力と心眼で見切りつ回避しよう
鎖の鞭振るいロープワークで突起物に引っ掛けて地形を利用し
街の一番高い場所を目指して登るとしよう…
鋼鉄の巨人どもめ…
ならば|獣人の世界《獣人戦線》で得た力を試してやろう…
【半陰陽の鉄の乙女】で鉄塊剣を対戦車砲に変形
怪力で構えて砲撃、徹甲弾の鎧砕きと範囲攻撃で敵群を攻撃し爆破しよう
さらに爆発で地獄の炎を巻き散らし敵群を焼却、蹂躙してやろう…
爆発で街も壊れてしまったな…まぁいいか…これで見晴らしがよくなる…
その色は仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)にとって好まざる色であったのかもしれない。
突入した万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の内部に広がるのは街並み。
かつて此処で暮らした者たちがいるのかもしれない。
けれど、辺境地帯で忘れ去られ朽ちようとしていた遺跡めいた街並みは、赤い鋼鉄の巨人たちによって埋め尽くされていた。
体高5m級の戦術兵器たる赤い鋼鉄の巨人たち。
彼等の色を見遣り、アンナは己の中に宿る呪いの力を迸らせる。
ユーベルコードに輝く瞳が残光を走らせ、アンナは鉄塊の如き剣を振るう。
「赤……赤……赤……忌まわしい赤色の群れ……」
迫りくる赤い鋼鉄の巨人の攻勢は苛烈だった。
単純にサイズ差もあるのだろう。まるで巨人と戦っているようにさえ錯覚される。
けれど、アンナは猟兵である。
これまで巨人の体躯を超える敵とだって対峙してきただろう。ならば、今更だ。今更巨人を前にして臆すことなどアンナにはない。
鉄の鞭を振るい、街並みを攻勢する建造物に引っ掛けて飛ぶ。
弾丸が彼女を追うようにして宙を走り、建物の壁面を砕く。
その破片を蹴ってアンナはさらに高い場所へと陣取るのだ。
「鋼鉄の巨人どもめ……ならば、|獣人の世界《獣人戦線》で得た力を試してやろう」
その瞳に輝いていたユーベルコードが彼女の手にしていた鉄塊のごとき剣に宿る。
獄炎纏う長大な砲身。
それは対戦車砲と呼ばれる兵器の形をしていたことだろう。
ぎしり、とアンナの骨身がきしむ。
長大な砲身を振るうことは、それだけでアンナの筋繊維を引きちぎり、骨をきしませるのだ。
けれど、彼女には関係ないことだった。
いくら己の骨身が削れ、きしむのだとしても。
「私は処刑人だ……邪魔をするならば……屠るだけだ……!」
煌めくユーベルコードは地獄の炎を纏う徹甲弾として放たれる。
半陰陽の鉄の乙女(フロイライン・アハトアハト)。
それは長大な砲身と裏腹なる名。
しかし、放たれる徹甲弾は赤い鋼鉄の巨人の体躯を貫く。それだけではない。着弾した徹甲弾より吹き荒れる地獄の炎が後続の赤い鋼鉄の巨人たちをも巻き込んで爆発の中に飲み込んでいく。
瓦礫荒ぶ爆炎をアンナは見やる。
街並みが壊れてしまったことを、僅かに後悔するが、それも僅かな時だけだった。
「……これで見晴らしがよくなる」
さらに迫る赤い鋼鉄の巨人たちにアンナは長大な砲身を向ける。
どれだけ来ようとも関係ない。
アンナは処刑人。
赤が悪性の象徴であるというのならば、それを屠ることこそが己の処刑人としての矜持。
弾丸を装填させる。
未だ己の中には呪いがある。
悪しきを断ずる。ただそれだけのためにアンナの瞳はユーベルコードにきらめき、殺到する赤い鋼鉄の巨人たちを圧倒し続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
えー、中にキャバリアみたいなの居んの…?
というか戦艦とは…
なんかマクロの空を貫きそうだなあ…
後お家が変形するの大変そうだなあ
振動で家の外壁がすぐダメになりそう
引き続きEX:I.S.T[BK0001]乗って進もう
小回りを利かせて狭い道を通り巨人を翻弄しよう
巨人を躱しながら【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】起動
召喚した不死鳥達に巨人の駆動系を攻撃させて機動力を奪い、バリケード代わりにもして追手の足を止めさせよう
前からくる奴はバイクで翻弄!
バイクに傷が付いたらどうすんだこらぁ!
全方位、不死鳥を飛ばして迎撃しながら進んでいこう
今度はシティアドベンチャーかな?
急いでなければ、1セッション付き合うんだけどね
船体から人型へと姿を変えていく万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の威容を見上げ、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思わず呟いていた。
「戦艦とは……」
いくら万能宝石『エリクシル』で叶えたとは言え、万能が過ぎる。
なんかマクロの空を貫きそうとか思う。
彼女の驚きはそれだけではとどまらない。
内部に突入すれば広がるは街並み。巨大な船体の中に街一つが収められている光景は、あまりにも非現実的であったことだろう。
さらに殺到する赤い鋼鉄の巨人たち。
「えー、中にキャバリアみたいなの居んの?」
めんどくさ、と玲は言いながらも、しっかりと特殊バイクを駆る。
疾駆する玲を追うようにして赤い鋼鉄の巨人たちが迫る。
しかし、敵は体高5m級。
対して玲は生身単身とは言え、特殊バイクの小回りを生かし、街並みという地の利を得ている。そんな彼女を捉えようという方が無理だろう。
「今度はシティーアドベンチャーかな? 急いでなければ、ワンセッション付き合うんだけどね」
時間がない。
なぜなら、万能の魔神『エリクシル』の目論見は猟兵たちの足止めである。そして、時間こそが『エリクシル』に利することになるからだ。
だからこそ、玲は先を急ぐのだ。
どれだけ赤い鋼鉄の巨人が追いすがるのだとしても関係ない。
「とは言え、そうも言ってられない状況なんだから仕方ないよね。雑に行かせてもらうよ! 偽書・焔神起動。断章・不死鳥召喚の章、深層領域閲覧。システム起動」
玲の瞳がユーベルコードに輝くと同時に模造神器を収めていた特殊バイクの内部フレームが蒼光を解き放つ。
断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)。
それは蒼炎と変化し、さらに不死鳥へと変わる。
すべてを切り裂く蒼炎の翼をはばたかせ、迫り来る赤い鋼鉄の巨人を切り裂く。
装甲が飛び、周囲の建物に落ちては壁面を砕いて、瓦礫を玲へと降り注がせる。
「バイクに傷がついたらどうすんだこらぁ! 何処に請求して良いかわかんないでしょ! あ、そっか、『エリクシル』に請求すればいいのか」
何せ万能の魔神である。
諸々ちょいちょいのぱっぱっというやつである。しかし、それは必ず歪めて叶えられるというのならば、元より玲に、其れは意味のないことだったのかもしれない。
「……おっと!」
前面に回り込んでくる赤い鋼鉄の巨人の前に車体を横滑りさせながら玲は方向転換させ、街並みを構成している建物の壁面を駆け上がっていく。
天井のある空。
ここが万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の中であることを忘れさせる。
何故こんなものが必要になったのかなど言うまでもない。
脅威に対抗するためだろう。しかし、そのいずれも、歯が立たなかったことを考えるにエンドブレイカーたちが戦っていた相手がどれほどの存在であったのかがわかるだろう。
「ま、どっちにしたってさ」
己が目指す頂きに居座っているのが『エリクシル』であるといのならば。
「それをぶっ飛ばして、済ました顔できなくさせてやろうじゃない」
玲は特殊バイクのフレームから漏れ出す蒼炎と共にさらに上に、上にと駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
機神搭乗
……不思議ですね
本来ならこの世界ならば…巨人となるにしてもメイガスとなりえるでしょうに
「うん…これ…まるでキャバリアだよ!」
だが…問題はありません
そうでしょうぷっさん?
「勿論だよ!キャバリアならボクの出番だね!」
【戦闘知識】
巨人たちの武装と性能を分析
更に周辺の街並みの文明も分析
これは都市国家…それもまるでクロムキャバリアに通じる…?
【空中戦・弾幕・念動力】
飛び回りながら念動光弾を乱射して敵の動きを止め
UC発動
【二回攻撃・切断・串刺し】
近接の敵に拳と脚の連撃から遠くの敵に空気の断層
更に移動もかねて神速の斬撃を叩き込み
数が時に仇となる事を今こそ示させて頂きます
殲滅するまで猛攻を続ける!!
「……不思議ですね」
アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は船体から人型へと姿を変えた万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の威容ではなく、その内部に蔓延る赤い鋼鉄の巨人を見て、そう呟いた。
「本来、この世界ならば……巨人になるにしてもメイガスとなり得るでしょうに」
『うん……これ……まるでキャバリアだよ!』
『プルートー』の中で鴉型の映像が羽撃く。
その言葉が正しいのかどうかはわからない。巨人の如き体躯。
赤い鋼鉄の装甲。
漲るアイセンサー。
なるほど、言われてみれば確かにキャバリア。アルジェンの知る鋼鉄の巨人とは異なるものであるように思えたことだろう。
しかし、生み出したのは万能の魔神『エリクシル』である。
他世界に願いの力を求める者たちならば、他世界の兵器を知ることもまたできたのかもしれない。
その恐るべき力を前にしてアルジェンはしかして頭を振る。
襲いかかる赤い鋼鉄の巨人の脅威は未だ拭えず。
されど。
「……問題ありません。そうでしょう、ぷっさん?」
『勿論だよ! キャバリアならボクの出番だね!』
アルジェンと『プルートー』は同じく体高5m級の戦術兵器を駆る。共に同じサイズの兵器でるあるというのならば、むしろ、此方のほうが本領であると示すように『プルートー』が『ライスメキア級フラズグルズ』の内部の街並みを駆け抜ける。
念動光弾を解き放ち、乱射じみた弾幕でもって迫る赤い鋼鉄の巨人たちを押し留める。
確かに敵の動きは良いものだ。
けれど、飛ぼうとしていない。もしも、あの赤い鋼鉄の巨人がキャバリアを模しているというのならば、確かにその通りなのだろう。
キャバリアが存在している世界において空を飛翔するということは自殺行為。
ならばこそ、彼等は飛ばない。
この市街地戦の様相を呈する戦場にあって、地を這うようにして己たちに迫るしかないのだ。
「下手にクロムキャバリアに通じるようなものを生み出したのならば、それが仇となりましたね」
アルジェンの瞳がユーベルコードに輝く。
敵の分析はこれで終いだ。
後は。
「風よ、世界を巡る風よ…我が武としてその力を示せ…白虎門…開門!』」
白虎門開門(ビャッコモンカイモン)。
それは『プルートー』の機体を介して纏う風。
キャバリアでありながらスーパーロボット。
その鋼鉄の拳と蹴撃が圧倒的な速度で持って叩き込まれる。超音速の拳は、空気の断層を生み出し、斬撃と成って赤い鋼鉄の巨人を一刀のもとに両断させる。
「数が時に仇となることを今こそ示させて頂きます」
アルジェンは小さくつぶやく。
敵の罠は確かに多い。
けれど、それらの全てが己にとっては脅威となりえない。己のユーベルコードは多数を唯一でもって相対する力。
ならばこそ、アルジェンの振るう風纏う五体の一撃は、その全てが赤い鋼鉄の巨人たちにとって致命打となり、風を捉えることができないのと同じように、その斬撃を叩き込み続け、残骸の山を築き上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
これは……マク○ス?(何)
フォル(鳥型キャバリアのこと)
体高5m級の戦術兵器が戦闘する空間があるなら
貴方も不自由しないでしょう
このまま、突入しますよ!
とはいえ、高速マニューバで圧倒する余裕は無さそうです
シンプルにいきましょうか
『クリスタル・スパロウビット』展開
針路上、先行させて囮&牽制です
『パルス・フェザーマシンガン』で弾幕を叩き込みながら針路確保
『ウェントス・スクートゥム』最大展開
【テンペスタース・クリス】突撃!
フォル、真っ直ぐに蹴散らしますよ!
|赤《悪性》が溢れたとて、『ゆらぎ』がなければただの鉄、とは
よく言ったものです
まぁ鉤爪の男の言葉ですが
だからこそ、エリクシルは放っておく訳には!
突入した万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の内部に広がる街並みは、圧倒的だったことだろう。
如何にしてこのような街並みが保持できているのかなどわかるはずもない。
ただ、この万能戦艦は辺境地帯において朽ちゆく定めであったのだ。
使命を果たすことができたのか。
それとも志半ばで、此処に朽ちる運命となったのか。
いずれにせよ、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は己の駆る鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』と共に、この内部に座す万能の魔神『エリクシル』を打倒しなければならない。
「体高5m級の戦術兵器が戦闘する空間があるのなら、貴方も不自由はしないでしょう。『フォル』、征きなさい」
その言葉に答えるように『フォルティス・フォルトゥーナ』の鋼鉄の翼がはあ他区。
空に蓋をされた世界。
それがクロムキャバリアである。しかし、ここは別の意味で空に蓋をされている。なぜなら、万能戦艦の内部だからだ。
そういう意味では赤い鋼鉄の巨人たちが地面を疾駆しているのもまた頷けるところである。
「シンプルに行きましょうか」
ステラの言葉と共に『フォルティス・フォルトゥーナ』から放たれるは小型の雀型遊撃ユニット。
高速で敵を撹乱することは出来ない、と判断したのだろう。
遊撃ユニットが乱舞し、赤い鋼鉄の巨人と戦いを繰り広げる。
放たれる弾丸は羽のような形状へと変わり、まるで『フォルティス・フォルトゥーナ』の翼の羽ばたきに合わせるようであった。
「|赤《悪性》が溢れたとて、『ゆらぎ』なければただの鉄、とはよく言ったものです」
迫りくる赤い鋼鉄の巨人たち。
それは確かに脅威であったことだろう。
しかし、殊更恐れる必要はないとステラはうなずく。
この言葉を述べたのは『鉤爪の男』であったけれど。だからこそ、『エリクシル』を放置しておくわけにはいかないのだ。
あの万能の魔神たちは願いを叶える。
しかし、全て歪めて叶えるのだ。次なる悲劇のために。悲劇こそが『願いの力』を強くする。
そうすることで『エリクシル』たちは力を蓄えてきたのだろう。
願いは祈りに昇華しなければならない。
叶えられることもあるかもしれないが、しかし、それは人の手でよってのみなされるべきである。
誰も叶えてくれなくていい。
己の手でつかむからこそ意味があり、人間が負けるようには出来ていないことの証左。
「なら、『フォル』! まっすぐに蹴散らしますよ!」
ステラの瞳がユーベルコードに輝くのと同時に『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサーが煌めく。
己の機体に風の盾を纏い、一直線に人型へと姿を変えた『ライスメキア級フラズグルズ』の頭部へと飛ぶ。
迫る赤い鋼鉄の巨人たちなど意味をなさない。
障害とすらならないのだ。ただただ、まっすぐに。直向きに進むことこそ、願いを叶える万能宝石が齎す悲劇を破壊する唯一なのだと知らしめるように――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わーぉ!すごい!変形した―!
んもーけっこう分かってるじゃーん!いいよいよー!
これは俄然やる気が出てきたよー!
とつげきー!
●上・上・下・下・左・右・左・右・B・A
こっち!次はあっちー!と【第六感】に任せ目的地を目指そう!
妨害はー…蹴散らせー![ドリルボール]くん!とUCでドーーンッ!
知らない街って楽しいよねー
新鮮で、色んな発見があって…探検してるみたいで!
それにこーいうのもかくれんぼみたいで楽しいねー
と入り組んだ街のなかを追いかけっこしたりかくれんぼしたりするように進んでこう!
アハハハ!鬼さんこちらー!いやボクは神だけど!
さぁキミ、面白いものもっと見せて見せてー!
眼の前で姿を変える万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』。
それは船体から人型へと変貌せしめる驚嘆たる光景であったことだろう。
「わーぉ! すごい! 変形したー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は巨大な球体の一撃を受け止めた山のような威容を持つ巨人へと姿を変えた遺跡を見遣り声を上げる。
自身の一撃が防がれた、という驚きよりも、姿を変えたということに対して彼はテンションが上がっていたのだろう。
「んもーけっこうわかってるじゃーん! いいよいいよー! これは俄然やる気がでてきたよー! とつげきー!」
テンションが上がりっぱなしの状態でロニは人型へと姿を変えた万能戦艦へと飛び込んでいく。
壁面を突き破り、内部に突入したロニが見たのは巨人の内部とは裏腹なる街並みであった。
そう、この万能戦艦の中には人の営みの残滓がある。
恐るべき事だ。
これを人類が為したのではなく、万能宝石が生み出したというのならば、この万能戦艦似課せられた使命はいかなるものであったのだろうか。
「まーそれは今はどうでもいいよね! っと!」
知らない街は楽しい。
未知なるものが広がっているという感覚と、未知なるものと既知たるものが地続きになっているという真理が同時に味わえるからだ。
探検とはそういうものであっただろうし、街並みの中を走り、己を追う赤い鋼鉄の巨人たちのムレをロニはなんとなく他人事のように見ていた。
いや、これはかくれんぼみたいなものなのだとロニは笑う。
「こっち! 次はあっちー!」
ロニの第六感は、ただ徒に街中をひた走るだけであったことだろう。
けれど、なんとなく感じるのだ。
敵は、討たねばならない敵は、己の頭上に陣取っていると。なら、目指すのは遥か頭上。そこに『エリクシル』がいる、と直感的に理解しているのだ。
「妨害は蹴散らせー! てね!」
掘削球体を蹴り込むようにしてロニは、追いすがる赤い鋼鉄の巨人を吹き飛ばす。
装甲が削れ、破片が飛び散り、建物を押しつぶす光景を見遣り、ロニは笑う。
赤い鋼鉄の巨人たちの動きは単純だった。
地面を疾走ることしかできていない。空を飛ぶことなど考えても居ないのだろう。だから、後も簡単に掘削球体や己の一撃に翻弄されてしまう。
「んもー、せっかく面白いなって思ってやる気がでてきたんだから、なえるようなことしないでよねー!」
もっと自由に。
ハチャメチャに動いていいのに、とロニは誰に遠慮しているのか知らないが、赤い鋼鉄の巨人たちの動きがどう見ても悪いことに気がつく。
なら、これは戦いではない。
遊びだ。
「アハハハ! 鬼さんこちらー! いやボクは神だけど!」
挑発するようにロニは手を打ち鳴らす。
赤い鋼鉄の巨人たちが、さらにロニに迫らんと追いすがる中、それでもロニは笑う。
見たことのないもの。
知らないもの。
それを知るということ。
その全てがロニの神経を全て刺激する。目が回るような戦いの最中にあってこなお、ロニは笑っているのだ。
そうすることでしか得られないものがあると知っているからこそ、街中を跳ねるようにしてロニは疾走る。
「さぁキミ、面白いものもっと見せて――!」
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『鮮血の女王』
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POW : 鮮血光線
【王冠のエリクシル】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【真紅の光】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD : エリクシルの女王
【エリクシルの輝き】を纏った真の姿に変身する。変身中は負傷・疲労・致命傷の影響を一切受けず、効果終了後に受ける。
WIZ : 願われし力
【完全なる肉体を持つエリクシルの女王】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【願望宝石エリクシルの数×大きさ】に比例し、[願望宝石エリクシルの数×大きさ]が損なわれると急速に弱体化する。
イラスト:Shionty
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちを追う赤い鋼鉄の巨人たちを引き連れ、至るは万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の艦橋とも云うべき頭部。
そこに座すのは、頭部しか存在しない万能の魔神『エリクシル』、『鮮血の女王』。
「来ましたか、猟兵」
彼女の周囲に立ち並ぶは、赤い鋼鉄の巨人たち。
ある種当然であったのかもしれない。
赤い鋼鉄の巨人たちは、全て『鮮血の女王』が生み出したもの。ならば、その数を再び揃えることなど造作もないことであった。
「あと僅かで『プロメテウス』が起動できるというのに……良いでしょう。此処で貴方達を滅ぼし、悲劇を確実のものとするためには」
己の力を振るうのも致し方のないことである、というように『鮮血の女王』は巨大な生首を浮遊させ、その眼光にユーベルコードの輝きを灯す。
迫りくる赤い鋼鉄の巨人の群れ。
そして『願いの力』を得んがために悲劇を引き起こさんとする『鮮血の女王』の圧倒的な力が猟兵たちに襲いかかる――。
サツキ・ウカガミ
お仕舞いだよ、鮮血の女王!
企みもキミ自身も、粉々に砕いてあげる!
周囲の状況を【情報収集】して
巨人の攻撃を【気配感知・見切り】。
壁や巨人を足場に【軽業・悪路走破】
で飛び回って攪乱しつつ、
女王に【斬撃波・ナイフ投げ】、
近づけたら【暗殺・急所突き】。
UCを使ってきたら、すぐに
瞳術『忍夜皐曲者』・蛞蝓で干渉。
変身を解いてあげる。
折角の、首から下の御披露目だけど
残念だったね、好きにはさせないよ。
変身解除で相手に隙ができたら、
【ダッシュ】で近づいて【居合】。
滅ぶのは、キミだ!
さぁ、帰りはゆっくり見て回れるね。
勇士号の情報、行きで見た街の様子。
知りたいこと沢山!
脅威も去ったし、探索のお楽しみはこれからだ!
※アドリブ歓迎
知りたいという欲求。
それは知的生命体であるのならば、当然備えられた願いであったことだろう。
船が巨人に姿を変え、その内部に街を一つ内包している。
その事実を知った時、サツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者・f38892)は思ったのだ。この『巨大建造物型兵器』……総じて『勇士号』と呼ばれるものが如何なる由来を持っていたのかを。
そして、どのようにしてこの辺境地帯にて遺跡として朽ち果てる運命にたどり着いたのかを。
それを彼女は知りたいと願ったのだ。
願いの力は万能の魔神『エリクシル』の求めるところである。
「強き願い……知りたいと願うこと。それが生命体の、知的生命体の根源的な欲求。原始的なもの。ならば」
万能の魔神『鮮血の女王』の巨大な生首だけの瞳がユーベルコードに輝く。
「いいや、お仕舞だよ、『鮮血の女王』!」
「いいえ、ここからです。猟兵」
煌めくユーベルコードが『鮮血の女王』の身体を作り上げていく。
いつか至ると言われる真の姿。
赤い宝石の如き玉体がユーベルコードによって、完全なる姿をさらけ出さんとする。
だが、それを止めるのは、同じくユーベルコードであった。
「ボクの眼をもって命ずる、|融解しろ《とけろ》1」
『鮮血の女王』のユーベルコードと同時に輝くサツキの瞳。
赤紫の瞳より放たれる視線は、ユーベルコードの力をもって、その完全なる姿へと変貌を遂げようとする『鮮血の女王』の力を打ち消すのだ。
「……!」
「折角の、首から下の御披露目だけど。残念だったね、好きにはさせないよ」
「ユーベルコードを相殺するユーベルコードですか。小賢しいと言いましょうか、猟兵」
そう、『鮮血の女王』のちからはユーベルコードのみにあらず。
彼女の持つ願いの力によって生み出された赤い鋼鉄の巨人たちが一斉にサツキに襲いかかる。
下部の街中で彼女に味方してくれた赤い装甲を青に揺らがせた巨人たちとは違う、強烈な悪性を持った鋼鉄の巨人たち。
彼等の操る剣や紫煙銃のような武器がサツキに襲いかかる。
「巨人の子ら……! だけどね、それは!」
迫る弾丸や、剣の一閃をサツキは躱す。
砕ける建物の破片や、艦内の装甲がサツキに降り注ぐ。けれど、彼女の瞳はまっすぐに見つめていた。
『鮮血の女王』。
彼女のユーベルコードは願いの力によって、その完全なる身体をさらけ出す。
その力が齎す破壊はきっと想像を絶するものであろう。
不完全な躯体であっても、これだけの願いの力を発揮しているのだ。
これまでどれだけの悲劇と絶望を振りまいてきたかわからない。それほどまでに万能の魔神『エリクシル』は生命体の持つ願いの力を搾取してきているのだ。
そうして滅ぼしてきたのだ。
だからこそ、サツキは思う。
当たり前のように生きて、当たり前のように死んでいくのが生命だというのならば、『エリクシル』がばらまく悲劇はそれさえ許さない。
ただ次なる悲劇の連鎖となるように。
ただ願いの力を強めるためだけに。
『エリクシル』たちは願いを歪めるのだ。
「願いは、叶えるもの。わかっているよ。けれど、それは! 誰かに叶えてもらうものじゃない。キミたちは、いつだって、それを歪めて叶える!」
サツキは見てきた。
悲劇を。惨劇のエンディングを。数多くの涙の痕を見てきた。だからこそ、彼女の瞳は今、|超克《オーバーロード》に輝く。
「叶えたのです。その代償を私たちは頂いただけに過ぎません」
疾走るように赤い鋼鉄の巨人たちがサツキに迫る。
それを彼女は壁面を蹴って飛び、さらには鋼鉄の巨人が揮った剣の一撃を躱して、腕を蹴って飛ぶ。
手にした漆黒のクナイ。
その柄頭に造られた輪を指で引っ掛け、回転させる。
逆手に持ち替えた彼女の手にあるクナイの漆黒の刀身には、星空風の細工が浮かび上がる。
「強き願いは決して砕けない。私達の求める願いの力は、そうした珠玉のものばかりなのです。だから」
「だから滅びないのだとでもいうの? お生憎様だね! ボクたちはエンドブレイカー! 終焉を破壊するもの! そして今は!」
サツキの手にしたクナイの斬撃が空中を疾走る。
その一撃が赤い鋼鉄の巨人たちを吹き飛ばし、破片の中をサツキは駆け抜け、『鮮血の女王』へと至る。
そう、己たちは終焉を破壊する者。
エンディングを破壊するエンドブレイカー。
立ち塞がる悲劇があるのならば。
それを|突破《ブレイクスルー》していくのだ。これまでもそうであったように。これからも!
「猟兵なんだよ! 企みもキミ自身も、粉々に砕いてあげる! 滅ぶのは、キミだ!」
放つ一撃が巨大な旋風のようになって『鮮血の女王』の王冠に激突する。
赤い宝石。
誰もが求めた万能の宝石。
あらゆる願いを叶える『エリクシル』。その王冠を今、サツキは砕く――。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
赤…赤…そして真紅…真紅の女王め!
貴様の願いを叶えさせる訳にはいかぬ…!
さぁ行くぞ…!私は…処刑人だッ!!!
鉄塊剣と宝石剣抜き振るい戦闘知識を発揮して巨人を鎧砕きと鎧無視攻撃で切断してゆき蹂躙しよう
敵だけになったら真の姿に変身した敵の攻撃を心眼と視力で見切りつジャンプとダッシュで艦内を駆け抜け攻撃を避けつつ逃げまわろう
…逃げ続けてもキリがない
ならば逃げるのはやめて貴様と我慢比べといこう…縛り首の刑だッ!!!
鎖の鞭振るい【超雁字搦めの刑】を発動
ロープワークで敵を捕縛し怪力で締め上げて逃亡を阻止
不眠不休と継戦能力で敵の変身が解けるまで継続ダメージを与え続けよう…!
砕けた万能宝石の王冠の破片が散る。
煌めく輝きは、蓄えられた願いの力か。
如何なるものであったとしても万能の魔神『エリクシル』の頭上から溢れるようにして落ちる力の欠片は、確かに彼女を消耗させていた。
完全なる体躯。
それを齎すユーベルコードを打ち消した猟兵の一撃が王冠を砕いたのだ。
「赤……赤……」
仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)の視界を塞ぐのは、赤い鋼鉄の巨人の群れ。
いずれも直下の街並みで見た群れ。
「……そして真紅……真紅の女王め!」
「いいえ、私は『鮮血の女王』。全ての願いを歪めるもの。歪めて叶え、悲劇をもって次なる願いの力を膨れ上がらせるもの」
彼女はそうして力を得てきたのだ。
悲劇の中にこそ願いは強く輝く。
いつだってそうだ。強い願いは、悲劇や惨憺たる状況、惨劇からこそ生まれ出るのだ。
ならばこそ、彼女は願いを歪めて叶える。
切なる願いも。
何もかも歪め、ただ悲劇のためだけに。
「貴様の願いを叶えさせるわけにはいかぬ……!」
鉄塊剣を振るい迫る赤い鋼鉄の巨人の放つ一閃と打ち合う。火花を散らす鉄塊とプラズマの一撃。
さらに振り抜く宝石剣の一撃が鋼鉄の巨人の体躯を吹き飛ばす。
「いいえ、私は願わない。貴方達が願うのです。惨劇の、悲劇の主は貴方達。私は願わない。私は願われる者。即ち、万能宝石『エリクシル』」
「だからどうした……! 私は……処刑人だッ!!!」
祈られど、祈らず。
処刑人に願いはない。あるのは断頭台を前にして、咎人の行く先を示す鋒の剣呑なる輝きのみ。
「無駄です。私は『エリクシル』。万能の魔神。故に」
輝きが放たれる。
『エリクシル』としての輝き。その輝きを解き放ち、赤い鋼鉄の巨人たちをたぐり、アンナを追い詰めていく。
迫る斬撃と弾丸の嵐がアンナを追いすがる。
「……逃げ続けてもキリがない」
「諦めましたか。それとも願いますか」
「いいや、どちらも……否だ!」
アンナの瞳がユーベルコードに輝く。
解き放たれるは地獄の炎まとわせた鎖の鞭。放たれる鞭は、『鮮血の女王』の頭部を縛り上げ、拘束する。
だが、意味がない。
今の『鮮血の女王』には負傷や疲労というものに関しては影響を受けないのだ。
「無意味です」
「ああ、今はな。だが、私はもう逃げるのはやめているのだ。貴様が私を攻撃しようとも、私もお前を離しはしない」
超雁字搦めの刑(ガンジガラメノケイ・スーパー)。
それがアンナのユーベルコードだった。
『鮮血の女王』の全身を縛り上げる炎をまとう鎖の鞭。
今は影響を受けないのだとしても、『鮮血の女王』のユーベルコードが解除された瞬間にフィードバックしてくるものだ。
「私は貴様と我慢比べをするだけだ。願うことも、諦めも……私には程遠いものだ!」
アンナは鎖で『鮮血の女王』と繋がりながら、少しでも長く敵の行動を阻害し続ける。
己の一人で勝てるものではない。
けれど、彼女には猟兵たちがいる。
共に戦うものたち。
王冠を砕く者がいた。それに続いて『鮮血の女王』の動きを止める己がいる。そして、その後に続く者たちがいる。
「……なら、私が我慢すれば……いつか貴様を焼き殺すことだってできるだろう……!」
アンナは咆哮する。
忌々しき悲劇を齎す者。
『エリクシル』を滅ぼすその時まで、アンナの鎖は『鮮血の女王』を捉え続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
目論見は既に終わっている
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
破界で掃討
対象は女王及びエリクシル
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、斉射
更に射出の瞬間を無限循環。戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす
創世し最古の理に例外はなく、全知の原理が逃すことはない
仮にお前が残ろうとエリクシルは抗い得ぬ
願いは叶わぬ。早々に退場しろ
※アドリブ歓迎
地獄の炎が象る。
否、鎖より発せられる炎が万能の魔神『エリクシル』たる『鮮血の女王』の頭部を締め上げている。
「無駄なことを。万能たる私達が」
損傷も負傷も。
全てが『エリクシル』たる『鮮血の女王』たちにとっては無意味であった。傷を追っても影響を受けないというのならば、猟兵たちを殲滅した後に癒やせば良い。
そして、吹き荒れる嵐のように赤い鋼鉄の巨人たちが疾駆する。
「私が存在する限り」
煌めくユーベルコード。
一度は猟兵に寄って打ち消されたユーベルコードが発露する。
完全たる躯体。
首しか存在していなかった『鮮血の女王』の躯体が現れる。しかし、王冠の『エリクシル』を砕かれた彼女の力は完全ではなかった。
「目論見は既に終わっている」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は淡い蒼光に包まれながら迫りくる赤い鋼鉄の巨人と相対する。
纏う十一の原理を無限に回す。
迫る弾丸もプラズマの軌跡が見せる剣閃の一撃も。
全てが届かない。
障害を無視し、万象を根源から消去する創世の権能が顕す蒼光の魔弾が飛ぶ。
「無駄であると?」
「ああ」
短く応答する。
意味のない問答だとアルトリウスは思ったことだろう。
目の前に生み出された魔弾は天蓋のように戦場を覆っている。結局のところ、これはワンサイドゲームである。
互いの物量でもって激突する。
万能の魔神が生み出す力は有限か否か。
それを見極める必要など無い。
打倒できぬ敵が目の前にいるという自覚さえないというのならば、『エリクシル』が願いを叶える万能宝石だとしても無意味だ。
「創世し最古の理に例外はなく、全知の原理が逃すことはない。仮にお前が残ろうと『エリクシル』は抗い得ぬ」
「抗うものではなく。叶えるもの。その原理を捻じ曲げるのが生命体の『願いの力』。なら、足りぬのは強烈なる『願いの力』だけでしょう」
もしも、仮に。
仮にである。『鮮血の女王』が猟兵たちと相まみえた瞬間にこのユーベルコードを完全に発現させていたのならば。
きっと猟兵たちは蹴散らされていたことだろう。
しかし、猟兵の一人がこれを防ぎ、赤い宝石の王冠を砕いたが故に、ほころびが生まれている。
「願いは叶わぬ」
「いいえ、私が叶えるのです。私の願いはなく。私ではない誰かの願いを叶えることこそが」
「いいや、終わる。早々に退場しろ」
アルトリウスは告げる。
この戦いはすでに初撃で全てが決定づけられている。
己たちが為しているユーベルコードの輝きは。
「お前の行き止まりを示している」
破界(ハカイ)。
『鮮血の女王』の行き先に、これ以上の道はないと示すように蒼光が戦場を満たし、その躯体を砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
プロメテウス…確か炎の名前でしたか
|炎の滅び《カタストロフ》の種火になりそうな
不吉な予感ですが
|赤《悪性》は拡散されぬまま露と消える運命と知っていただきましょう!
鉄くずが邪魔ですが、フォル!(鳥型キャバリアの名前)
【ファム・ファタール】仕掛けます!
まずは上を突き抜け、ソニックブームで蹴散らし
さて、たまには|相方《勇者》の真似でもしましょうか
フォルはこのまま上から『パルス・フェザーマシンガン』で支援を
私は、単騎突撃します!
空に残る三日月の足場を使って空を駆けつつ降下
『ニゲル・プラティヌム』を構えつつ
【スクロペトゥム・フォルマ】で接近戦を仕掛けます!
誰ですか脳筋メイドっていったの
勇者の真似ですから
赤い鋼鉄の巨人たちが疾駆する。
それは万能の魔神『エリクシル』たる『鮮血の女王』が解き放つ力。
『願いの力』を得るために悲劇を起こす。
なぜならば、悲劇の中でこそ生命体は強く願うからだ。
赤い鋼鉄の巨人を繰り出すのは、きっとそのためだろう。悲劇にあって足りないものは力である。
力の象徴たる赤い鋼鉄の巨人たちは、その最たるものであっただろうから。
「『プロメテウス』……確か炎のナでしたか。|炎の滅び《カタストロフ》の火種になりそな不吉な予感ですが」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は鋼鉄の翼羽撃かせるオブリビオンマシン『フォルティス・フォルトゥーナ』のコクピットの中から『鮮血の女王』を見据える。
身にまとうオーラは蓄えられた『願いの力』であろう。
『神々すらも超える力』を有する万能の魔神たる力が発露する。しかし、それらは猟兵たちのユーベルコードに寄って打ち消され、さらには減退させられている。
例え、今は負傷や損壊にわずかも影響を受けていないのだとしても。
「ええ、|赤《悪性》は拡散されぬまま露と消える運命と知って頂きましょう!」
「猟兵。貴方の中にもそれがある。生命体は、そうであるがゆえにゆらぎ続ける。ゆらぎ続けるからこそ、強く願うのです。私はそれが欲しい。叶える代わりに、それを私に捧げて欲しいだけなのです」
どの口が、とステラは思ったことだろう。
『鮮血の女王』は確かに願いを叶える。けれど、それは全て歪められて実現されるものだ。
何一つとして叶えていない。
ただ次なる悲劇の火種とするだけなのだ。
そんな者に。
「鉄屑が邪魔ですが、『フォル』!」
ユーベルコードに輝くアイセンサー。
『フォルティス・フォルトゥーナ』の翼が羽ばたき、戦場を飛翔する。
本来ならばあり得ないこと。
鋼鉄のキャバリア、オブリビオンマシンである『フォルティス・フォルトゥーナ』が空をとぶことは、空にありし暴走衛星からの狙撃による破滅を意味する。
けれど、今はそれがない。
故に完全なる性能を発揮した『フォルティス・フォルトゥーナ』のファム・ファタールたるユーベルコード、その音速を超えた轟雷の如き戦闘機動に赤い鋼鉄の巨人たちは追いつくことなどできようはずもない。
生み出された三日月型の鎌の如きソニックブームが彼等を切り裂き、蹴散らしていく。
「たまには|相方《勇者》の真似でもしましょうか」
コクピットが開き、凄まじトップがステラの紫の髪をなびかせる。
強烈な風。
ステラは躊躇うことなく『フォルティス・フォルトゥーナ』のコクピットから飛び出す。
羽のような弾丸が『鮮血の女王』に降り注ぐ。
しかし、それらは『鮮血の女王』に損壊を与えながらも、なんら消耗を与えない。けれど、ステラは構わなかった。
「無駄です。貴方達では」
「ええ、『今は』、でしょう。少なくとも『今は』貴方を倒すことはできない。ですが!」
そのユーベルコードの効果がいつまで持つのかを知らずとも、効果が切れた時までこの場に『鮮血の女王』を押し留める。
そのためにこそステラは二丁拳銃でもって『鮮血の女王』の頭部を穿つ。
巨大な頭部には豆鉄砲にしかならないだろう。
けれど、それでいいのだ。
己たちがこの場にいて、押し留める。そうすることで見える勝ち筋、勝利への道があるというのならば。
「例え、脳筋メイドと言われようとも……! いえ、違います。これは勇者の真似ですから」
ステラは誰に言い訳しているのかわからない言葉と共に『鮮血の女王』を押し留め、頭上より降り注ぐ『フォルティス・フォルトゥーナ』の弾丸の雨に舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
アハハハハッ!
そんな姿になってまだかなえたい願いがあるだなんてご苦労サマだね~
今のボクも大概に不完全だろうって?そうだね!
でも今のボクは不完全を全知全能より楽しいって思うのさ
楽しいって大事だよ~
じゃあ不完全なモノ同士、楽しもうよ!
●神殺しというならば
神でないモノで受ける!と【第六感】で機を読み光透過設定、攻撃だけに干渉する[白昼の霊球]くんで受け止める!
その他赤い子たちの攻撃もかわすバリアになってもらう!
頼んだよ!距離を詰める間だけ持ちこたえてね!
そうしたら後は……まとめて『神パンチ』でドーーンッ!!
どうせなら超巨大ロボットくんとも戦ってみたかったけど~
残念また今度!
押し留められる万能の魔神『エリクシル』、『鮮血の女王』。
その周囲には赤い鋼鉄の巨人たちの残骸が山積していた。どれほど戦いが苛烈であったのかを知らしめるには十分な光景であったことだろう。
しかし、その鋼鉄の残骸は『鮮血の女王』の齎す『願いの力』によって、再び動き出す。
合わさり、歪み、骨子を持って立ち上がる姿は、生ける屍であった。
「まだです。私の命運は尽きていない。ならば」
ユーベルコードが煌めく。
「我が戴冠せし王冠は、示す」
煌めく『エリクシル』より放たれる真紅の光が戦場に乱舞する。
神殺しの光線。
それは如何なる防御も意味をなさない滅びの光。
「アハハハハハッ! そんな姿になってまだ叶えたい願いがあるだなんてご苦労サマだね~」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は神殺しの光線を球体で受け止める。
貫かれる光線がロニの肌を灼くが、それでもロニは笑っていた。
「今のボクも大概に不完全だろうけれどね!」
「一つ間違っているといいましょう、猟兵。私には願いはありません。願うのは貴方達生命体。私は、その願いを叶えるのみ。対価は『願いの力』のみ」
『鮮血の女王』のほとばしるユーベルコードを受けながら、ロニは飛ぶ。
迫る赤い鋼鉄の巨人たちの攻撃も苛烈だった。
どうあがいても物量で押される。
それに『神々すら超える力』を持つ『エリクシル』は圧倒的だった。
「不完全な貴方では私の障害たり得ない」
「そうだろうね! でも今のボクは不完全を全知全能より楽しいって思うのさ」
ロニは駆ける。
それを理解されようとは思わない。
今の己の中にある楽しいという感情は共有できれど、相互理解には程遠いものであったからだ。
楽しいと感じる感情。
それは千差万別。人によって受け取れるものが異なる。光のスペクトラムと同じだ。光を受け止められるものが違うように。
人の心に去来するものもまた同一でありながら、不完全なのだ。
故に不完全であるがゆえに完璧であるとも言える。
「楽しいって大事だよ~」
踏み込む。
光線がロニの肌を灼く。痛みが疾走る。けれど、それでもロニは飛ぶ。
「理解できませんね。それよりも『願いの力』は」
「じゃあ、不完全なモノ同士、楽しもうよ!」
「意味がない」
「いいや、それは見出すものさ!」
ロニの拳がユーベルコードに煌めく。
距離を詰めるために多くの痛みを犠牲にしてきた。球体は砕け、物理法則すら捻じ曲げる万能の魔神たる力の所以を見せつけられる。
けれど、振りかぶった己の拳もまた物理法則を捻じ曲げる。
「神パンチ(カミパンチ)!!!」
放つ一撃は刹那よりも短き狭間にて撃ち込まれ無限の一撃。
連続する拳の一撃は『鮮血の女王』を女王足らしめる万能宝石の王冠を砕いた、さらにその上から一撃を見舞う。
どうせなら、己たちが内部にいる山の如き超巨大ロボットと戦いたかったとロニは笑う。
目の前にあるのはただの頭部だ。
万能の魔神。
未だ至れぬ魔神。不完全であるが故に完全であろうとする者。
その存在を叩き伏せる一撃が、今ユーベルコードの煌めきと共に戦場に吹き荒れる――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん清々しい程生首!
じゃなくて…超越者ぶるのもそこまでだよ
どんな目論見があろうとも砕いてみせるのが猟兵家業
覚悟は良いかな?
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
そして【Duplicate Myself】起動
分身を召喚し残りの2剣を渡そう
変身している間は負傷とかの影響を受けないって事はさー…
どれだけ殴っても壊れないサンドバッグって事だよねー!
分身と連携して剣戟を叩き込んでいこう
距離を取られたら『斬撃波』で攻撃、挟み込むように位置どりして接近
2人で『薙ぎ払い』や『串刺し』攻撃の連打で嫌というほど攻勢をかけていこう
さて、その変身はいつまで続くかな?
ツケは最後に纏めて払って貰うよ!
拳の一撃がユーベルコードの煌めきを持って万能の魔神『エリクシル』、『鮮血の女王』の王冠を砕く。
その一撃の凄まじさは言うまでもなく、これまで猟兵たちの紡いできた戦いの軌跡があったからこそ。ひび割れ砕ける王冠は、完全に『鮮血の女王』の万能たる力を霧散させる。
しかし、『鮮血の女王』は頭部だけの状態にありながら、その身に宿る『エリクシル』としての輝きを解き放つ。
満ちる光。
それは如何なる損傷も損壊も、彼女の力に陰りを見せぬもの。
「忌々しい。ここまで……ですが」
まだ残っている。
僅かでも残っているのならば、切り抜けることができる。『願いの力』を得るために悲劇を引き起こす。
生命体の持つ願いは、必ず歪めて叶えられる。
望むと望まざると、人の欲望は万能宝石『エリクシル』を求め続ける。如何なる者であっても、『願いの力』の前には膝をつき、頭を垂れるしかないのだ。
「うーん清々しいほど生首! じゃなくって……超越者ぶるのもそこまでだよ」
赤い輝きの中を青い残光が走り抜ける。
それは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の抜き払った模造神器の二振りの刀身が見せる輝きであった。
「いいえ、以前私は超越者。神々すらも超える力を持つ『エリクシル』の一柱。未だ至れぬ身なれど、私は」
「いいや、どんな目論見があろうとも砕いて見せるのが猟兵家業なんだよ」
迫りくる赤い鋼鉄の巨人を模造神器で切り裂きながら、玲は突き進む。
彼女の瞳に有るのはユーベルコードの輝き。
「いいかな?」
「何を」
「覚悟は良いかなって、聞いているんだよサンドバッグ!」
玲の人格は己の分身へと模倣される。
彼女のユーベルコード、Duplicate Myself(デュプリケイト・マイセルフ)は己自身を召喚する。
分身は確かに玲の人格を模倣している。
されど、己よりも優れたるものを有している。即ち、『戦闘力』。
今や玲の分身は彼女よりも堅牢にして頑強。そして、精強なのである。彼女の分身たちが振るう斬撃波は、赤い鋼鉄の巨人たちを膾切りにするように切り捨てながら飛び込んでいくのだ。
「私より強いっていうのは、あれだけどね! ちょっと財力があれだけどさ!」
玲の道を開くように分身たちが次々と赤い鋼鉄の巨人たちを鉄屑に変えていく。
如何に強靭なる装甲を持ち、苛烈なる力を持つのだとしても、玲を前にして彼等は防波堤の意味すらなし得ない。
故に玲は模造神器を振るう。
斬撃が『鮮血の女王』へと叩き込まれる。
「……ッ!」
初めて焦りが見えたのを玲は見ただろう。
「如何に万能の魔神って言っても、限度があるんでしょ。そのユーベルコード。損傷を受けても行動になんら影響がないってやつ。だけどさ……!」
分身たちが取り囲む。
そこにあったのは剣戟の檻。
いかなるものを逃さぬ蒼き斬撃の嵐が『鮮血の女王』を捉えて離さない。
身動きが取れぬほどの苛烈なる斬撃は彼女の中にある撤退という二字すら削り落とす。
「さて、その変身はいつまで続くのかな? わずかでも残っていれば、自分の勝ちっていうイージーゲームに慣れきってる奴にさ」
玲は踏み込む。
彼女の瞳が赤い輝きを見据える。
あらゆる願いを叶える万能宝石。確かに魅力的だ。誰もが願わずにはいられないだろう。辛い現実を、厳しい現状を。己のために、誰かのために変えようと願うだろう。
けれど、玲はそれに手を伸ばさない。
自分で叶えることを知っているから。
己が見据える頂きは、自分の足で踏みしめるからこそ意味がある。
「工夫も執念も何もあったもんじゃないよね!」
振るう一閃が『鮮血の女王』を両断する。
「ツケは最後に纏めて払ってもらうよ」
「……私、が……いずれ至る、私が、こんなところで……ッ!」
「滅びるんだって。往生際が……」
悪い、と玲は赤い輝きを切り裂く蒼い斬撃を振るい、『鮮血の女王』を砕く。
散る宝石の輝きの中、万能戦艦『ライスメキア級フラズグルズ』の巨体が傾ぐ。
今は無事であろうが、このまま倒れ込めば艦体は拉げて崩れるだろう。
誰かのために願われた力。
その崩れ行く最期を玲は内部から脱出して、空より見下ろす。
どんな力も、どんな願いも。
「いつかは消える、か。忘れ去られてしまったのなら、そうなのだろうね」
けれど、連綿と紡がれていくものを知るからこそ、玲はからりと笑って白亜の巨人の最期を見届けるのであった――。
大成功
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