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自爆キャバリアを食い止めろ

作者：黒代朝希

「4月に入っていきなりだが、自爆テロが起きようとしている。貴様らにはそれを阻止してもらいたい」
　アドナ・セファルワイド（セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942）は自分が寮長を務めている商業地区歓楽街方面の学生寮の一室にて爆弾発言を噛ます。
「妾には予知の異能があってな？　不幸な未来が成立し得るならば先んじてそれを知って行動を変えられると考えて良い」
　取り出した分厚く豪華な古書のページを捲ると、虚空にホログラフの様に映像が投影される。
　その内容は『商業地区の巨大なビルディングにて自爆テロが起きている』というもの。
「これらの惨劇はキャバリア……人型起動兵器に爆弾を積み込んで自爆してのものだ。このテロは数日後に実行される」
　だからこそ、アドナは君達を集めてこの惨劇を阻止してもらう依頼を出す。
「どうか引き受けてはくれぬか？　せっかくの入学シーズン。このような無粋なテロで茶々を入れられてはたまらぬだろうからな」

　アドナの説明によると、自爆テロに使われるキャバリアは『ギムレウス』というコードネームを持つ長距離支援機を改造した物らしい。
　今回使われるのは長距離砲撃の代わりにインファイト……接近しての砲撃戦を得意とする改造型との事だ。
「砲撃だけでなく、無機物を地雷に変換する能力も有している。立ち回りの際は足元に気を付ける事だな」
　テロリストは現在、ビルの地下フロアの一角……巨大な倉庫区画から改造型の『ギムレウス』を十数機持ち込み、現在は自爆用の爆弾が届くまで待機しているとアドナが告げる。
　未来予知による情報収集のアドバンテージ。味方になるとこれほど頼もしく敵だと恐ろしい事極まりない能力はないだろう。
「なお、倉庫区画は広く頑丈で多少の砲撃戦では崩落の危機はない。暴れすぎてもいけないが、大量破壊兵器を使わぬ限りは大丈夫だ」
　つまりは、迅速にテロリストを壊滅させる事。
　それだけの簡単な依頼だ。
「ちなみに、キャバリアを有していない物にはキャバリアを貸し出そう」
　規格としてはスタンダードな量産型キャバリア……その分、取り回しについては運用しやすいと言えよう。
　勿論、自前のキャバリアを所持しているならそれを使っても良い。

「今回のテロは大企業に対する私怨からの復讐らしい。もっとも、下手人がなぜそのような事をするかは余の予知でも見えなんだ。流石に全てを見渡せる程ではないのでな」
　作戦に用いる物資等の手続きを取る準備を進めていくアドナは、君達にそう語り掛ける。
「だが、この事件を解決すれば希島にはしばらく平和が続く事だろう」
　軽くウィンクし、君達を送り出す準備を整えるアドナ。
　そのそつの無さとウィンクの魅力は、紛れもなく熟成した精神性を持つ女性が持つものであった。

第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動 SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動 WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動 イラスト：YoNa 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「復讐でも死んだらそこで終わりでは……気にしても仕方ありませんか」
　ユーベルコード『ゴルディオン・オーラ』によって全身を黄金のオーラで覆い、自身の意志の力に比例した戦闘力増強とマッハ11の飛翔能力を獲得したイリスフィーナ・シェフィールド（相互扶助のスーパーヒロイン・f39772）は、飛行して砲撃を避けながら改造型『ギムレウス』へと接近。
　精密砲撃用モードに変形した背部大型キャノン砲――改造型『ギムレウス』の一体が装備しているその砲塔をへし折り、飛行能力が付与されたエネルギーのマント『ブルー・マリン』を靡かせて拳を振るう。
「キャバリアにわたくしの力が通じるか試させてもらいますわっ」
　幼少期から子役として活躍していた杵か、その膂力は見事なもの。
　主に腕や足の関節部を狙って破壊し、１体に固執しない。
　常に周りの状況に対して警戒し、縦横無尽に動いていく――その立ち回り方は、かつて殺陣の経験から逆算したものなのか。
「自爆するような方達ですから同士討ちでも気にしないかもしれませんわね――同士討ちを狙えそうならギリギリまで引き付けて避けますわ」
　今回自爆テロを行おうとしているテロリストが用いたキャバリアの性質上、迫撃戦に持ち込まれるとお互いの兵装――砲塔が邪魔となって敵を排除しにくくなる。
　故、こうしてイリスフィーナに攪乱されているのだ。
「全機無力化したら中の人を出してふん縛って、その後は捜査機関に引き渡して終了ですわね……お褒めいただけますかしら」
　そんなどこか、承認欲求に飢えている……いや、『渇望』していると言って良い感情。
　イリスフィーナが有する形の良い唇からは、そんな言葉が漏れていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「コニー、黒い兎の機体で戦場へ参上☆　希島のおめでたい時期に自爆騒動は起こさせないよ！」
　次に地下区画へとやってきたのはコニー・バクスター（ガンスリンガー・ラビット・ガール・f36434）。
　黒兎の量産型キャバリア(コニー専用)である『ブラック・ラピッド・ラビット(Code:BRR)』は偵察、奇襲、遊撃等の中衛が特技で高機動が売りのキャバリア。
　両手でビームダガーの電磁刃を構え、ホープコード『｜電光石火《ヒット・アンド・ウェイ・オブ・ブラック・ラビット》』を起動させる――具象するのは、ビームダガーによる『猛速度で繰り広げられる一撃離脱の連続攻撃』だ。
「暴れ回れ！　コニーの黒き兎よ！！――敵機の数はそれなりに多いから、少しでもやっつけて！！」
　敵機が変形させようとした『背部大型キャノン砲』の砲塔を切り落とし、続けざまにキャバリアの四肢を切断して無力化していく『ブラック・ラピッド・ラビット(Code:BRR)』。
　それは正に黒き兎の如き機動力。
　既に交戦から30秒も立っていないのにコニーは複数機を無力化に成功。
「よぉし、何機かやっつけたよ！　さあ、後は逃げ回って撹乱でもするかな？」
　敵の索敵機能を妨害する量産型キャバリア(Code:BRR)用の幻影発生装置を起動し、敵機に捕われないように戦場を逃げ回って撹乱して逃走するコニー。
　敵部隊も逃がさないとばかりに『背部大型キャノン砲』を『精密砲撃用モード』に変形させ、撃ち落とそうとするが――
「言ったはずだよ。攪乱するってね」
　幻影――分身を生み出したように黒き兎は地下区画で複数体動き回り、正確な砲撃を不可能にしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「こんな場所で自爆テロとは穏やかではありませんね？看護師としての仕事でこの島に来たはずですのに……結局傭兵家業を続けることになるのかしら？」
　オリガ・ピスクノヴァ（戦場のピクシーナース・f30074）は有機バイオ製のレプリカントであり、戦場で調達した量産型キャバリアを自在に操る操縦のエキスパートにしてキャバリアを降りても戦う看護兵。
　用意されたキャバリアを少々設定を弄った後、騎乗して現場に急行する。
「フレームのセッティングはアサルト形態に……では、これで突撃していきましょう」
　機体の全武装を連携して使用する事で素早い一撃を放ち、使用済み武装や装甲のパージ等を行い更に身軽になる事で加速能力を得る搭載武装操作ユーベルコード『｜突撃戦法《アサルト・コンバット》』を発動したオリガ。
　装備したミサイルを放つと同時にマシンガンを乱射し、ローラーダッシュにより敵キャバリアの懐に入る。
　そのままアームパンチによる一閃で装甲を叩き割り、離脱しながら追撃として火器をフル乱射。
　そんなコンボを繰り返し、ヒット＆ウェイ戦法で次々と自爆テロを企んでいた者達を無力化していく。
「自爆などさせませんので、きちんと罪は償ってくださいね？」
　――命の糧は戦場にある。
　その言葉を信条とするオリガにとって、敵のテロリストと言えども自爆させて終わりにする……等という安易な結末は決して選ばせたりはしない。
　それが看護兵としての『生命体の埒外』を有する彼女の『六番目の猟兵』、なのであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、最後は私ですか……」
　アレクサンドラ・ヒュンディン（狗孤鈍狼・f25572）は迫り来る改造ギムレウスの群れ――が駆逐されている中で捕縛したパイロットの前に立ち塞がり、ユーベルコード『｜少女弄舐《ショウジョウルテン》』を発動。
「これで、楽になっていただければ……ぺろ、れろ……はっ、はっ……わう……」
　犬舌による舐めまわしによって傷口を愛撫し、回復させるユーベルコード。
　それによって捕縛したキャバリアパイロットの傷を癒し、同時に心を開かせる様にする策だ。
「(……とはいえ、自爆テロとなると、簡単に心を開かないでしょうね)」
　癒えていく肉体に反し、封じられた四肢が無ければ即座にアレクサンドラへ襲い掛かろうとするパイロットの憎悪。
　『｜少女弄舐《ショウジョウルテン》』は傷口をアレクサンドラが舐める事で高速回復が見込めるユーベルコード。
　曰く『舐めときゃ治るの凄いやつ』であるが、精神に関する悪影響を取り除けるわけではない。
「精神に関して、ん、直接『舐める』事が出来れば、れちょ、話は違うんでしょうが……」
　そう言いながらパイロットを拘束したままミ見える傷口を舐めて癒したアレクサンドラ。
　だが、他にも捕縛したパイロットは多数存在している。
　故、アレクサンドラは犬の舌で複数のパイロットの傷を舐めとり治癒させていく。
「んりゅ……これで大体のパイロットは回復させましたかね……」
　そう言って項垂れる捕縛されたパイロット――自爆テロを行おうとした者達の様子を見て肩をすくめるアレクサンドラ。
　この後における彼ら――改造キャバリアを使っての自爆テロ未遂を行おうとしたテロリストへの処遇は、アレクサンドラが直接関与する事ではない。
　あくまで今回アドナに任せられたのは『自爆テロの阻止』であり、その後の政治的なやり取りではない。
「エンドブレイカーの力を用いれば、話は別なんでしょうが」
　エンドブレイカー世界とグリモアベースが開通した後、エンドブレイカーの自分と融合して記憶が混乱気味な彼女はそう言い残し、鎮圧されたテロ現場から去っていくのであった。

　こうして、キャバリアを用いての自爆テロは阻止された。
　これによってまた一つの悲劇は食い止められた、という事だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年04月17日