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餅が焼ける? 世界を換える超弩級侵略!

#アリスラビリンス #クロムキャバリア #戦後 #鉤爪の男

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●風雲オモチ城
「うぬぅ……ここまでか」
 オモチ城の城主、望月大福は口惜しげに唸った。
 天守閣からの眺めは惨憺たるものであった。見たこともないほどに精密な構造を持つ、黒々とした巨躯の人形兵たち。それらが十重二十重に城を包囲しており、さらにはあちこちから火の手も上がっている。火には熱さに耐性のある五平餅兵たちが対処に当たっているようだが、じり貧なる様は瞭然としていた。
 もはや、落城は時間の問題である。
「敵に不様に餡子をさらすよりは、潔く……」
 大福は望月家重代の銘刀黒文字を腹にあてがった。周囲に居並ぶ家老たちの中から、嗚咽が漏れる……が。
「……いや」
 求肥をギラリと白く輝かせ、大福は思い直す。
「同じ死ぬなら、最期まで戦おう。皆の者、城を枕に討ち死にじゃ! オモチ武士の魂、異界の侵略者どもに見せつけて散ろうぞ!」
 黒文字を高々と掲げ、大呼する。同時、彼と志を同じくする周囲の|古強餅《ふるつわもち》たちは応と鯨波を上げた。

●超弩級の闘争
「皆もとっくに知ってるだろううが……今、アリスラビリンスで大規模な異変が起きてる」
 渋面の大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)が、嘆息混じりに言う。
「首謀は『鉤爪の男』だ。奴は侵略蔵書の力を使って、アリスラビリンスに存在する小世界の世界構成情報を『超弩級の闘争の世界』へと書き換えていってる。結果、クロムキャバリアにしかいないはずのオブリビオンマシンが山ほど召喚されて、現地の愉快な仲間たちと戦争になってる」
 鉤爪の男の正体は、人間サイズながら通常機体よりも遥かに高い戦闘能力を有するオブリビオンマシンだった。彼が召喚する戦力がクロムキャバリアのオブリビオンというのは、そういう縁があるためであるようだ。
「作戦は大きく二段階に分けられる。まず第一段階、愉快な仲間たちと共闘してオブリビオンの大軍を撃退する。これによって世界の書き換えが一時的に食い止められて、鉤爪の男につながる道が開放されるはずだ」
 今回赴く小世界は、和菓子が擬人化したような仲間たちが暮らす、江戸時代風の国である。
 防衛力としては火縄銃や弓矢、刀などで武装したオモチ武士たちがいる。彼らはオウガとの戦闘経験も豊富であり、それ相応に善戦はできるものの、オブリビオンマシンの大軍を押し返せるほどではない。
 ここに猟兵の戦力を追加することで、ひとまず小世界の崩壊を防ぐのが、第一段階での目標になるわけだ。
「そして第二段階、鉤爪の男を倒す。ただ……標的は奴一人だけじゃない。奴が持ち込んだのはオブリビオンマシンの軍勢だけじゃなく、攻撃衛星『九竜神火罩』も、だ」
 それは、かつて封神武侠界を危機に陥らせた、超常の兵器の名である。この攻撃衛星を破壊しそびれたならば、よしんば鉤爪の男を討ち果たしたとしても、アリスラビリンスのカタストロフは避けられない。
 両方の撃破。これは絶対の条件となる。
「決戦は高度四百キロ、九竜神火罩そのものがフィールドになる。自力で空を飛べる者はそれでよし。そうでなくてもオモチ武士たちの能力をもってすれば、その小世界中で最も高い山の頂上から攻撃衛星への道を作れる……みたいだ」
 指を天に向けつつ、朱毘は言った。微妙に半信半疑、といった表情ではあるが。
「何でも、餅が伸びるらしい」


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。|大神《おおかみ》|登良《とら》です。

 第一章は、オブリビオンマシンとの集団戦です。オープニングに登場するオモチ武士たちとの共闘になります。オモチ武士はオブリビオンが相手でもそこそこ戦える程度には強いです。猟兵ほどではありませんが、戦力として数えられると思ってください。

 第二章は、鉤爪の男の元へと続く道を走破する冒険パートです。大して凄いことは起きません。腹ごしらえしながら国で一番高い山に登ります。

 第三章は、猟書家『鉤爪の男』との決戦、及び攻撃衛星『九竜神火罩』の破壊を行います。決戦場は高度四百キロ。宇宙空間に近い環境下、攻撃衛星そのものを足場に戦うことになります。山のてっぺんから攻撃衛星まで餅が伸びるので、飛翔系の能力がなくとも決戦場まで走っていけます。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『プロトタイプガーゴイル』

POW   :    トライデント・チャージ
【通常の3倍の速度で突撃し、ビーム三叉槍】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    悪魔のマシン
自身の【パイロット強化システムのコア】が輝く間、【反応速度が超絶強化された機体】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    イービル・アイ
【脳波コントロール】によって、自身の装備する【6基の目玉型ビームビット】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。

イラスト:猫家式ぱな子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳴上・冬季
「面白いですね、この国は。大変気に入りました」
嗤う

「この地に縁を持つためにも、敵には疾く退場してもらいましょう。…出でよ、黄巾力士火行軍」
・砲頭から制圧射撃し敵の行動阻害15体
・砲頭から徹甲炸裂焼夷弾で鎧無視・無差別攻撃し敵を蹂躙する15体
・上記2組をオーラ防御で守る15体
の45体を1隊として3隊計135体黄巾力士召喚
1隊は遊撃として敵側面に回り込ませ
2隊で半円作り進攻

自分は風火輪
普段から連れ歩く黄巾力士は飛来椅で空中から戦場俯瞰
竜脈使い全黄巾力士の能力底上げし継戦能力高める
損耗した部隊はどんどん組換え敵か召喚黄巾力士が全滅するまで戦闘
自分への攻撃は飛行黄巾力士に庇わせ合間に雷公鞭で雷撃も行う



●黄金の援軍
 その姿は猿のようでもあり、犬のようでもあった。背中に備えられた翼を鑑みれば、コウモリも連想される。
 しかし、決してそのどれでもないと断言できる。まずは、体が五メートルほどの巨体であるから。さらに、肉体を構成することごとくが肉でも毛でもなく、鋼であるからだ。
 その名をプロトタイプガーゴイルという、別次元の世界たるクロムキャバリアのオブリビオンマシンであることを、オモチ武士たちは知らない。ただ、悪意をもってこの世界を侵略し、蹂躙し、破壊しようとしていることはわかる。
「くぅ……押し返せ!」
「おおっ!」
 柏餅兵らが隊伍を整え、槍衾を成して突撃する。だが、ガーゴイルの鋼の装甲を貫くことは容易でなく、逆にその巨体とビーム三叉槍の刺突攻撃に圧倒され、押し込まれてしまう。
 防衛線が瓦解する――が、その直後。
 どどどどどっ!
「!?」
 地鳴りのような音が断続的に響き、それと同時にガーゴイルの群れのあちこちで爆裂する炎と火花が見えた。
 柏餅兵らが唖然としていると、彼らの後方から黄金色のオーラに身を包んだ人型機械の集団が出現して、彼らを押し退けるような格好で進み出てくる。
 ガーゴイルとは見た目が異なり、体高もせいぜい二メートル弱ながら、メカニカルな見た目。すわ敵の新手かと、柏餅兵らが焦る。
 しかし、それはほんのわずかの間。世界の加護ゆえだろう、彼らはすぐに気が付いた。
「これは――猟兵が来てくれたか!」

「面白いですね、この国は」
 上空二、三百メートル程度、戦場を俯瞰できる程度のところを飛行する黄巾力士の背の上にて、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は喉奥を鳴らす。
 三桁単位の黄巾力士を召喚し、大きく三隊に分けて操るというのは、神経がすり減る仕事には違いない。しかし、それだけの甲斐はあった。本隊と遊撃隊とに分かれての角度のある砲火攻撃は、崩れかけていたオモチ武士らの陣を立て直すには十二分な勢いをもたらしている。
「この地に縁を持つためにも、敵には疾く退場してもらいましょう。進め、黄巾力士火行軍」
 笑みを浮かべつつ発した冬季の号令に従い、彼の指揮する黄巾力士たちはさらに砲撃の密度を濃くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
大福の殿さまー、助っ兎にきたよー
力を合わせて、ここから大逆転勝利しちゃおう!

敵の突撃が厄介かもしれないね
『Delicious』の力を借りちゃおうかな(UC発動)
突いてきた槍に噛みついて受け止めてもらうね
あんまり美味しそうじゃないけど許してねー
その後オモチ武士くん達には射撃で敵を狙ってもらおうかな
ボクも銀のナイフをたくさん飛ばして支援してくよ
射撃で敵が体勢を崩したら『Delicious』の口からビーム三叉槍を発射!
突撃並の速さで飛んでくる槍を避けられるかなー?
避けきれないなら、連続で撃って複数体狙ちゃおうか
コピーは時間制限があるし、使えるだけ使った方が得だよね
当たれば仲間の反撃チャンスにもなるし



●反撃の号砲
 甲冑を着込んで打って出た望月大福は、改めて周囲を見回し、そして首を傾げた。
 天守閣から望んだ際の光景ではオモチ勢が劣勢であったはずなのだが、今は明らかに盛り返している。城主たる大福が出陣したことによって士気が上がったからにしては、効果が出るまで早すぎる。
「……何が起きた?」
「あ、大福の殿さまー」
 手を振りながら駆け寄ってきたのは、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)だ。
「お主、時計ウサギか」
 直接の面識こそないものの、アリスラビリンスに住まう者として、小世界から小世界へと道をつなぐ時計ウサギという存在はよく知っている。ゆえに、彼女がウサギ穴を通じて別世界から援軍を招いたのかもしれない、と連想はできた。
 しかし、気配からしてそれだけでないというのもわかる。
「いや、ただの時計ウサギではないな。猟兵……猟兵たちが来てくれたか」
「うん、助っ兎にね。力を合わせて、ここから大逆転しちゃおう!」
 柔らかい微笑を浮かべつつ、シウムがヒラリと手を振る。
 同時に彼女の手から銀色の刃を持つ脇差が……いや、脇差ほどにも大振りなステーキナイフが放られた。
 もっと言えば、ステーキナイフと呼んで良いのかもわからない、謎の刃物である。いわゆるステーキナイフというものは目玉や口を備えていたりはしないし、「しゃっしゃっ!」と謎に甲高く笑ったりもしない。超常存在であるのは容易に知れる。
「前衛は請け負うから武士のみんなは射撃で援護して!」
「心得た。鉄砲隊、前へ!」
 大福が軍配を振るうや、火縄銃を装備した磯辺餅兵らがドッと進み出る。
「撃て!」
 号令一下、轟音を響かせ一斉射撃する。
 密集して鉄の城塞のごときとなったプロトタイプガーゴイルらに濃密な弾幕が炸裂し、きな臭さと火花とをまき散らして瓦解する。
 そこへ、哄笑を上げるステーキナイフ――Deliciousが飛来する。
「味見してやらぁ!」
 縦横に閃く銀刃。
 体勢を崩しつつもガーゴイルらは三叉槍を振るうが、振るった端からビームの刃部分を噛み砕かれる。
 機械たる彼らに驚愕の感情はあるか。何であれ攻撃手段を失って動きを止めたわずかの間に、Deliciousの口から放たれた三叉のビーム刃に貫かれる。それは【Yummy Offense(ヤミー・オフェンス)】によってコピーされたガーゴイルらの槍そのものだった。
「コピーは時間制限付き……ガンガン使うよ!」
 轟々たるビームの槍衾は、堅牢を誇ったガーゴイルの陣を見る間に突き崩していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アリスラビリンスではいつもの事だけど、変わった住人の国だねえ。
ま、闘争よりかはお菓子の方がずっと好みだし、
オブリビオンマシンはさっさと骸の海に帰ってもらおうか。

さて、数で囲われてる状況ならこっちも数で対抗しようか。
髪を少し切って【巨獣生成】で大型の獣を沢山作って戦わせるよ。
大きさもあたしの3倍で大体キャバリアと同じくらいの大きさだから、
作った獣で敵を正面から押さえられれば愉快な仲間たちも戦いやすくなるだろうしね。
足場にするなり盾にするなり使っていいよと声をかけておけばいいかな。
あたしも作った獣に乗って斧をぶん回して戦ってよう。

まったく、お菓子は焼けばいいってもんじゃないのにねえ。



●猛き牙城
 その顎は狼のようであり、牙は獅子のようであり、爪は虎のようである。胴は熊に似て、腕はゴリラに似る。コンドルめいた翼を生やし、ワニめいた尻尾を生やす。
 既存の獣のどれでもない、混沌とした獣。それが徒党を組んで、プロトタイプガーゴイルの軍勢の前衛と激突している。
 獣とガーゴイルは、体格はほぼ互角。獣は爪牙を苛烈に振るってガーゴイルの装甲を斬り裂こうとし、ガーゴイルはビームの三叉槍を振るって獣を焼き切らんとする。
 鋭利と鋭利がぶつかり合い、炸裂する火花が肉と鋼を焼く。きな臭さの弾ける戦闘は、互いを削りながら拮抗状態になる。
 そこへ、獣の背を駆け上がったペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)が、巨竜の骨ほぼそのままといった風情の大斧を担ぎ上げつつ躍り込む。
「さっさと――」
 ガーゴイルはそれに反応はするものの、三叉槍を振りかぶった途端、ぐんと首を伸べた獣の顎が柄に喰らい付き、動きを封じる。
「骸の海に帰ってもらおうか」
 骨斧が振り下ろされる。次の刹那には刃はやすやすとガーゴイルの頭をかち割り、さらに余勢でもって胸部の半ばまで斬り進めた。
 バチン、と電光の弾けるような音を最期に、ガーゴイルは動かなくなる――が、それを押し退けるようにして後続のガーゴイルらがペトに襲い掛かってくる。
 しかし、繰り出された三叉槍のビーム刃が彼女を捉えることはない。瞬時に身を翻しざまに繰り出された斧の薙ぎ払いが槍を弾き、その直後に獣の平手打ちがガーゴイルを吹き飛ばす。
「おお……!」
 わずかの間にガーゴイルの前線を切り崩してみせたペトの勇姿に、獣たちの背後にかばわれる格好になっていた梅ヶ枝餅兵たちが、感嘆の声を上げた。
 そちらにちらりと目をやりつつ、ペトが言う。
「正面はあたしが支えるよ。オモチさんたちも、この子らを足場にでも盾にでも好きに使ってくれていいから、押し返そう」
「心得た。皆、行くぞ!」
 梅ヶ枝餅兵たちは、あるいは弓矢を、あるいは薙刀を手にしてどやどやと獣らの背を這い上がり、獣の頭や肩越しに攻撃を加えていく。
 その光景を見やったペトは、一瞬、感覚が狂う。アリスラビリンスでは常であるが、闘争の場にあるにしては住人たちの見目はあまりにファンシーだった。
 とはいえ、現実として無体な侵略者によってこの小世界は戦場になっているし、城のあちらこちらで上がる火の手は、まだ消えそうにない。
「まったく……お菓子は焼けばいいってもんじゃないのにねえ」
 苦い顔になりつつ、ペトは斧を振るう手の鋭さを増した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



●モチが粘る
 ガジェッティアというジョブを鑑みれば自然なることとして、ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)の主たる武器は蒸気式魔導機械、即ちガジェットであった。
 一口にガジェットといってもその形状や作用は様々だが、彼女が愛用するガジェットは銃ないし砲と呼ぶべき代物である。
 そして、それを活性化して放つ【ガジェット・クラスター】は、目に見える範囲の集団敵を高密度、高威力の砲火でまとめて薙ぎ払うというものだ。プロトタイプガーゴイルの群れを相手にするという今のような状況には、まさしく打って付けのユーベルコードといえる。
 ただ、その性能を発揮するには、最低限二つの条件を満たさなければならない。一つは、広く視界を確保すること。もう一つは、十秒間何者にも邪魔されないチャージ時間を持つこと。
 まずは視界の確保。これはさほど難しいことではなく、オモチ城に備え付けられている物見台に上れば済む。
 問題は十秒という時間。何事もない中ならばともかく、超常存在同士の戦闘の最中となれば、途方もなく長い時間といっても過言ではない。
 しかし、幸いといおうか、この場にいるのはミーヤだけでもないし、猟兵だけでもない。
「ちょっとだけ、時間をかせいで欲しいのにゃ……」
 物見台の周囲を囲む桜餅兵たちに、ミーヤは声を掛けた。
「お任せくだされ。猟兵殿には指一本触れさせませんぞ!」
 桜餅兵らは野太刀を振り上げて気炎を上げた。
 迫るガーゴイルの軍勢はこれまでの戦闘で大分目減りしたとはいえ、それでもかなりの数がある。しかも単眼と胸部とが赤い光を放ち、明らかに尋常でない様子がうかがえる。
 だが、その様を前にしてなお桜餅兵らは怯まない。
「花は桜木モチは武士! 我ら桜餅の赤備え、目に焼き付けよ!」
 剣林をきらめかせながら、轟然たる突撃が敢行された。
 大挙する刃が鋼の巨体を斬り裂き、あるいは弾かれる。反撃に振るわれるビーム三叉槍も竜巻さながらの苛烈さで振るわれ、桜餅兵らは一閃で数名がまとめて吹き飛ばされる。
 三秒もあればその場の全てがすり潰されそうな、猛威の坩堝。
 それでも桜餅兵たちは踏みとどまり、獅子奮迅の戦ぶりをもって、ミーヤのある物見台への攻撃を許さない。
 そして、三秒が五秒になり、永遠に等しかった十秒がついに経つ。
「チャージ完了! いっけえにゃー!」
 ミーヤが怒鳴ると同時、ガジェットの銃口が太陽のごとき輝きを放つ。
 輝きと同時に放たれたのは、何百条ものレーザービームと黒鉄の弾幕。瞬く間もなく――否、瞬く必要のない機械たるガーゴイルでも捉えられぬ神速の暴嵐が、軍勢をまんべんなく叩きのめす。
 それが最後の一押しとなって、ガーゴイルの群れは壊滅した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『突然現れた謎の食べ物』

POW   :    やった! 素直にいただこう!

SPD   :    見つけた瞬間すでに手が動いていた(もぐもぐ)

WIZ   :    食べて本当に大丈夫なのか、とりあえず、毒味してみよう

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●餅と月
「ほう、敵将は宇宙に」
 事情を把握した望月大福は、膝をポンと叩いた。
「お任せを。オモチ武士、ことに我が望月家は代々月の餅つき兎一族とは縁が深くございましてな。ゆえに、月と往来する手段もござる」
 そう言いつつ、大福は彼方の方を指差した。
「あれに見えるは、我が国一番の山、鏡餅山でござるが……」
 見れば、まあそんな名だろうなという形状だった。真っ白い扁平な円形の土地(なのだろう、多分)が、大きく二つ重なった構造。その山の巨大さからするとやや小さすぎるきらいのある、オレンジ色の丸い岩(だろう、恐らく)が一つドンと乗っかっている。
「あの頂上で我らオモチ武士が儀式を行えば、山が伸びて宇宙への道ができまする。狙いが月でないとなると少々コントロールは必要ですが、それはこちらでやりましょう。さ、まずは山登りでござる。餅でも食いながら参りましょう」
 どうやらオモチ武士は、餅を食べるらしかった。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
ああ、確かに鏡餅っぽい形してるねえ。
しかしまあ、事前にグリモア猟兵の人に聞いてはいたけど本当に伸びるんだ。
しかも月まで届くって……まあ不思議の国だし気にしても仕方ないか。

自力で宇宙まで飛んでいけないことは無いけど、
その後戦うんだから無理にやっても余分に疲れるだけだしね。
素直に道を作ってもらおうか。

さて、山登りは元々得意だし特に気にする事もないね。
食べ過ぎで動きが鈍らない程度に餅を食べながら普通に登っていこう。

おー、お餅もいっぱいあるねえ。
何かおすすめとかはあるかい?



●腹が減っては戦ができぬ
 月まで伸びる、餅の山。
 にわかには信じがたい話ではあるが、事前にグリモアベースでもそうと説明されていたからには、真実なのだろう。
「……まあ、不思議の国だもんねぇ」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)がその気になれば、己の超常なる翼をもって、宇宙までだろうが飛んでいくこともできる。
 しかし。
「おー、お餅がいっぱいあるねぇ」
 鏡餅山の頂上までの道行きを共にするオモチ武士一行は、それぞれ己の姿に似た餅を担いで歩いているようだった。その種類は実に様々、色もとりどりである。食べるのが好きなペトにとって、それは見逃しがたい光景である。
 付け加えるなら、宇宙に行った後は鉤爪の男との対決という大仕事が待っているので、今はなるべく体力をキープしておくべきというのは、実際正しい。
 というわけで、ペトはオモチ武士たちと一緒に登山をすることにした。
「色々あるみたいだけど……おすすめはあるかい?」
「ふむ? おすすめとな」
 ペトの言葉に真っ先に反応したのは、大福だった。
「それならやはり大福。元は腹太餅とも呼ばれているだけあって、腹持ちや良し。山登りには最適で……」
「お待ちください!」
 高い声がして、大福に似た見た目の何者かが大福を押し退けてペトへと寄ってくる――仮にも城主たる者にその扱いはどうかと思ったものの、思いの外フランクな関係性を築いているのだろうか。
 とまれ、赤い鎧を着込んだ女性らしきオモチ武士は、熱っぽい調子でペトに言う。
「ペト様には、ただの大福より相応しいものがありまする。フルーツを使うことで甘酸っぱさを獲得した大福、その代表格たる苺大福は女性人気が高いのです。ペト様にはぜひこちらを……」
「あいや待たれよ!」
 赤い鎧の女武者(口ぶりからして苺大福だったらしい)の台詞を遮り、今度は黒い鎧のオモチ武士が割り込んでくる。
「女性に人気というならば、生チョコ大福とて負けてはおりませんぞ!」
 さらに。
「待て待て! それを言うならばクリーム大福を忘れてもらっては困る!」
「お待ちを。甘いばかりが餅にあらず。チーズ芋餅をお試しあれ」
「おやおや……」
 次々に押しかけてくるオモチ武士たちに、ペトは思わず苦笑した。オモチ武士それぞれ、強い矜持があったらしい。
 食べ過ぎないよう注意するつもりであったが、ひょっとしたらそうもいかないかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「お誘いありがとうございます。ですが私、仙人なので食事を必要としないのです」
嗤う
「ですから貴重な糧食は、貴方のお国の方々でご利用ください」
嗤う

「しかしただ貴方達の真心を無下にするのも心苦しい。貴方達が食べられそうなものを提供しましょう」
壺中天の時のない部屋で大量保管している甘味の中から餅っぽいと思われるもの(豆大福、羽二重餅、赤福、ずんだ餅、安倍川餅等)をどんどん出す

「私にとって食はただの娯楽です。食べなくてもこの身に全く影響はない。娯楽の一部門でしかないゆえに、そのもてなしを受けては肩身が狭くなるのです」
「甘いもの、突き詰めれば砂糖でしたら口にしますが。それを言い出すのは無粋でしょう?」
嗤う



●報恩謝徳
 見た目は餅でできているとしか思えないような色合いの鏡餅山だが、足を踏み入れてみた感触では、餅であるような餅でないような、何であるとも判然としない代物だった。
「食べてはいけませんぞ。我々も食べたことはありませぬが」
 何やら長老然とした空気感を醸し出す栃餅兵――兵というよりは将だろうか――が、同行する猟兵たちに向かって言う。
「食べるのであれば、我々が十二分な兵糧を持ち込んでおりますのでな。それはいくら食べていただいても構いませぬ。何しろ猟兵の皆様は、我が国の大恩人でございますゆえ」
 その言葉の通り、オモチ武士らはそれぞれ行李めいたものを担ぎ、己の分身めいた餅を大量に持って歩いている。オモチ武士の種類は多種多彩、比例して彼らの持ち歩く餅も多い。
 しかし、それを勧められた鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は苦笑いを浮かべた。一つには、注意されるまでもなく足元の地面をつまんで食べたりはしないということ。そして今一つには。
「お誘いはありがたいのですが、遠慮させてもらいます。私は仙人でして……」
「おや。禁忌となる食材でもござるか」
「いえ、そういうわけではないのですが、単純に食事そのものを必要としません。美味を楽しむ娯楽の一部門として、何かしら食べることもありますけど」
 言いつつ冬季は、山の下に広がる町の光景を見やった。
 猟兵が早くに駆けつけ、オモチ武士らも奮闘した甲斐があって、まず大きな被害は出なかったといっていい。とはいえ、戦火にさらされたのは事実であって、復興にあたっては何であれ物資はいる。食料もその内の一つだろう。
 ならば、自分に回すような無駄をするべきではないと、冬季は考えていた。
「娯楽で食べるというのは、例えばどのような?」
「甘いもの、突き詰めれば砂糖でしたら口にしますが……」
 それを聞いた栃餅は、ポンと膝を叩いた。そして、薄茶色の麻袋らしき物を取り出し、冬季に押し付けてくる。
「ならば、この和三盆を差し上げまする。我が国自慢の高級砂糖、餅菓子その他にも使われる逸品ですぞ」
「いえ、ですから……」
「曲げてお受け取りくだされ」
 心なしか、口調を強くして栃餅が言う。
「先も申しましたが、皆様は我が国の大恩人。これしきのことで返せる恩ではありますまいが、さりとて何もせずにおくのは我らの沽券に関わります」
「――……」
 そうまで言われてなお突き返すというのは無粋だろう。苦笑のまま、冬季は受け取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
おおー、おもち食べられるんだー
早くいこー、美味しい楽しい山登りだー!

どんなおもちを用意してくれるかなー
きなこだったり、あんこだったり?
この国特有の味つけとかあったりしないかなー、あったら嬉しいね
こういう時、浮かぶ銀のお皿が活躍するかも(ふわっと人数分出し)
それぞれのお皿に違う味をのせたら、みんなでシェアも出来そう♪

山がどんな風に伸びるかも気になるね、こっちも楽しそうな気がする!
伸びてる時の景色はすごくよさそうだなー、見逃さないようにしないと
でも観光に来たわけじゃないから、最後はちゃんと気を引き締めないとね
一生懸命国を守った大福の殿様たちの頑張りをムダにしないように
それにまたおもち食べたいしっ♪



●モチが伸びる!
「美味しい楽しい山登りだー!」
 うきうきとした声で言いつつ、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)は歩みを進める。
 国一番というだけあって、鏡餅山の標高はかなりのものだ。とはいえ、白い謎物質でできた地面は歩くに易い。難所といえば、扁平な構造が重なっている部分が急峻となっているため、縄梯子やら何やらを駆使して登らなければならなかったことくらいか。しかしそれも、猟兵の体力をもってすれば何というほどのこともなかった。
 必然、シウムにしてみれば、様々な餅を楽しみつつハイキングしているのと同じことだった。
「うーん、きな粉もあんころも最高!」
 念力でふわふわと宙に浮かせた銀皿に、シウムは餅のアソートを載せている。オモチ武士それぞれから一かけずつ集めたそれらは、どれを食べても美味である。
「ところで大福の殿様、ここってお菓子の国みたいだけど、ここならではの味つけのおもちってある?」
「さて。他国の餅事情には明るくないゆえ、そもそも何が我が国にしかないのか……」
 大福は首を傾げつつ、しばし考え込んでいたが。
「まあ恐らく、この辺は珍しいのではありますまいか。果物の女王と呼ばれるマンゴスチンを使ったフルーツ大福でござる」
「おー!」
 フルーツ大福は様々あれど、マンゴスチンは確かに珍しいかもしれない。早速一つもらったシウムは、その独特の甘酸っぱさに舌鼓を打った。

 鏡餅の頂上にある橙の巨岩は、それ自体が一つの小山のような大きさだった。その周囲を取り囲むように、数十ないし百にも届こうかという数の臼が置いてある。
「皆の者、やるぞ!」
「はっ!」
 大福の号令一下、オモチ武士らは杵を手にして臼へと取り付き。
「よっ!」「ほっ!」「よっ!」「ほっ!」
 ぺったんぺったん! と力強く餅つきを始める。どうやら、これが宇宙への道を作る儀式らしい。
 儀式が始まって二分ほどだろうか。餅つきの震動が伝わりでもしたように、グラグラと地震が起きる。
「……?」
 何事かと猟兵たちが身構えるのとほぼ同時、巨岩にピシリと縦の亀裂が走り、さらに次の瞬間には綺麗に四つに割れた。
「仕上げぞ!」
「おお!」
 どん! とオモチ武士らが一斉に臼を叩く。
 刹那、割れた岩から餅のような白い何かが伸び上がり、雷のような速度で天を貫く。
 その一瞬で生まれたそれは、さながら急勾配の餅の橋であった。
「おおー……!」
 驚きの光景に、シウムは目を輝かせた――が。
 物見遊山気分は、ここで終わらせなければならない。この橋を渡った先は、最終決戦の場なのである。
「……猟兵殿、あとはお任せした」
 大福がそう言って、頭を下げる。鉤爪の男との戦いにおいては、はっきりいえば彼らは足手まといになってしまうため、ここで別れることになる。
 だが、命懸けで戦ってオブリビオンの軍勢を押し返した彼らのこれまでの頑張りは、本物である。
「うん、任された」
 シウムは力強く首肯し、橋へ向かって足を踏み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『鉤爪の男』』

POW   :    プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●空の果ての戦場
 伸びも伸びたり四百余キロメートル。白い架け橋が、べちん! と音を立ててへばりついたのは、宇宙空間に浮かぶ攻撃衛星『九竜神火罩』だった。
 有り体に表現するなら、それは巨大な大砲である。オーバーテクノロジーの産物だけあって、何やらよくわからない機械によってゴテゴテと飾り付けられてはいるが、何より目を引くのは長大な砲身で、飛行場の滑走路がすっぽり収まる程度はあるだろうか。謎の機械群が構成する区域なぞは、それと比すればオマケのような広さである……それでも、並の野球場かそれ以上分はあるだろうが。
 そんな砲身の根本あたり。
 本来なら生身の生命体が無事でいられるはずのない空間に、その超常存在は悠然と立っていた。
「あの大軍を押し退けるとはな……いや、予想外とは言うまい。これまでの戦い振りを思えば、あの程度では時間稼ぎにしかならなくて当然」
 淡泊な口調で、冴え冴えとした声色で、その男は言う。言いつつ、その場に至った猟兵らに鋭利な眼光を向ける。
「来るがいい。ユミルの直系たる等身大オブリビオンマシン、この『鉤爪の男』がお相手しよう!」
 異形の機械腕の備わった黒爪がすり合わさり、カチン、と剣呑な音が鳴る。
 それは、戦いの――超弩級の闘争の始まりを告げる合図だった。
木元・祭莉(サポート)
「よっし、おいらに任せといてー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、14歳の人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子ですが、やる気だけは人一倍!

あまり悩まずさっと決断して、臨機応変に切り替えて、いつも楽しそうにテンション高く行動します。
本人マジメでも、結果コミカルになりがちです。

ユーベルコードは、地味に戦闘力底上げに使うことが多いです。
最後は、グラップルの正拳一撃で締めるのが理想形。

多少の怪我は耐性のおかげで気付かず、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!


メメ・スカルリリー(サポート)
〇人間の魔女×闇医者、女です。
普段の口調は(自分の名前、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)です。
戦闘時の口調は(自分の名前、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、かしら?)です。
「メメ、あなたのお手伝いをしたいの。本当よ?」

ぼんやり・のんびりした性格の幼い魔女です。
口数は少なめです。
巨大なハサミと魔法で戦います。
また、医術でサポートしたりします。

〇ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!(アドリブ・連携 歓迎)



●侵略の太陽
「まずは、侵略蔵書の力を味わってもらおう」
 そう言った鉤爪の男が、ドクロマークが装丁されたおどろおどろしい本を開く。
 途端、彼の頭上十数メートルほどのところに、不意にどす黒い球体が出現した――いや、パッと見て球体と認識するには、巨大に過ぎる代物だったのだが。
 視界いっぱいを埋めるそれの直径は、二、三百メートルもあろうか。黒いような青紫色のような昏い炎に包まれ、輪郭は揺らめいている。
「何だよ、あれ……?」
 木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)が冷や汗を垂らすのとほぼ同時、球体の表面のそちこちがドロリと歪曲する。
 さらに、歪曲して生まれた隙間から三、四メートル程度の人型の影が次々に出現する。よく見れば、それらは黒鱗を備えたリザードマンめいた何かだった。その筋骨隆々の体躯に、服の代わりといおうか鎧の代わりといおうか、鈍色の鋼鎖を幾重にも巻き付けている。
「オウガどもよ、私に従え。その代わり、目の前の肉は好きなだけ喰らうがいい!」
 鉤爪の男がそう叫ぶと、黒鱗のリザードマン――オウガの大群は、一斉に咆吼を上げた。鬨の声か、あるいは歓喜の雄叫びか。まあどちらであったにせよ、食肉扱いされた猟兵たちにとってはたまったものではない。
「やばい!」
 どっ! と黒い津波のようにオウガらが押し寄せる。
 先頭のオウガが顎を開いた刹那、祭莉は決然と踏み込んでオウガの喉元目がけ正拳を叩き込む。
 手応えは硬く、重く、鈍い。決して大柄ではないながら彼とて猟兵、その拳の威力は超常のそれであるはずが、それでも押し返すに至らない。
 拮抗が生じた刹那、鋼鎖がジャラリと耳障りに鳴って解け、幾条もの触手のごとくに祭莉を押し包まんとする。
「――っ!?
 が、同時。
 祭莉と鎖との間に銀の閃きが割り込んだ。縦横に迸った斬撃の網は、メメ・スカルリリー(白百合の魔女・f39414)の繰り出した巨大な鋏によるものである。
 銀器の山をぶちまけたような甲高い騒音が響き渡った一瞬後、鋼鎖は寸断されて散らされる。
「大丈夫?」
「助かった!」
 メメに答えると同時、祭莉はオウガの腹に蹴りを放つ。巨槌のごとき一撃に今度はオウガも耐えかね、体をくの字に折って吹き飛ばされる。
 まず一体……だが、ただの一体。
 息をする間も与えられず、後続のオウガによって祭莉とメメは取り囲まれてしまう。
「うわー、これ厳しいかな……?」
「……何とかするしかないわ」
 四方八方から、鋭利な爪を備えたオウガの腕が突き出される。
 転瞬、祭莉は拳や肘を素速くかち合わせてそれらを逸らし、メメは鋏を閃かせて受け流す。
 動作の速度、精度では猟兵二人が勝る――が、手数が違う。
 反撃に繰り出した祭莉の回し蹴りがオウガの顎を吹き飛ばした次の刹那、その足首に鎖が絡み付く。
 さらに、メメが振り回した鋏の根本にも鎖が絡み、縛り上げて動きを封じる。
「うあ!?」
「――っ!」
 今度こそ、と、オウガたちは口を開き、二人に噛み付きに掛かる。食いちぎり、肉を味わうために。動きが止まった二人にはそれを回避する術はなく。
 ぞぶり!
 と、ついにその牙が肉を捉える――が。
 それは、二人の肉ではなかった。こぼれ落ちるようになったメメの帽子からいつの間にか乱雑に生えた、人間のそれに近しい歪な手足。【おぞましき魔女の愛(ミート・クリエイト)】による仮初めの肉である。
「――何!?」
 驚愕の声を上げたのは鉤爪の男である。
 肉を食んだオウガらはといえば、わずかな間だけ困惑したような表情を浮かべつつも、猟兵への攻撃より『食事』を優先した。鉤爪の男が彼らを従わせたのは、肉を対価としてのこと。それを貪るのは当然の権利ということだろうか。
「ちっ……使えん獣どもが!」
 その隙を突き、祭莉とメメとは鎖の拘束から脱する。
 そして、オウガの群れを無視して一気に鉤爪の男へと突撃する。さらに。
「元凶があれなら――!」
 祭莉は【乱歌咆哮(ハウリング・ハウル)】を鉤爪の男の頭上にある球体へと放った。その場の全員の耳と、空間そのものをつんざくような衝撃の音波。それにさらされた球体は纏っていた炎を吹き飛ばされ、表面の歪曲も凪ぐ。
「むぅ――!」
「つかまえた」
 焦った表情を浮かべた鉤爪の男に、メメの鋏が斬撃を浴びせる。
 喉元まで迫ったそれを、鉤爪の男はすんでのところで左腕を盾にして防いだものの、鋼の手の甲は半ばまでざっくりと斬り裂かれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴上・冬季
「こんな所で哪吒の宝貝ですか。…忌々しい」
「仙界大戦絡みの遺物など、そうそう人目に晒したくないのですよ、私は。破壊せよ、真・黄巾力士」
黄巾力士を全長632mまで巨大化
巨大化しても足りなかろうが砲身内部に向けて巨大化した砲頭から徹甲弾連射
可能ならばそのまま砲身内部に連射したまま吶喊させ内部からの破壊目指す
黄巾力士全損は勿論覚悟の上
「仙であれば損得抜きで見過ごせないものもあります。これが正しくそれだったというだけです」
嗤う

自分は鍵爪の男と戦闘
雷公鞭振り回して雷撃
敵の攻撃は仙術+功夫で縮地(短距離転移)して回避

「私にとっては九竜神火罩の破壊こそが優先です。それまでは私に付き合っていただきます」
嗤う


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
まったく、こっちは闘争なんて望んで無いってのに、
仕掛けられれば相手するしかないなんて面倒な話だよ。
まあ仕方ない、少しだけアンタの趣味に付き合おうか。

さて、相手の武器は鉤爪とそこから放つ電撃か。
まずは斧で鉤爪と打ち合って様子見しながら、
タイミングを見計らってあえて腕で鉤爪を受け止めようか。
電撃はあたしも使う分それなりに耐性があるからそのまま耐えて、
刺さって抜けなくなった鉤爪ごと持ち上げて【崩天地顎】で足場に叩きつけるよ。
足場は九竜神火罩だから叩きつければ壊すことに繋がるしね。
体力の持つ限り何度でも叩きつけ続けるよ。

あたしと、アンタと、九竜神火罩、どれが最初に壊れるか試してみようか!


シウム・ジョイグルミット
この国を守るためにも、あの大砲(攻撃衛星)を壊さないとだね
【空中浮遊】で移動しながら、大砲重視で攻撃するよ(UC発動)
美味しいおもちをいっぱい食べたから、威力マシマシな大球でいけるかな
砲身の外側と中を狙って何度も撃ってみるね
外側に当てるのは、あんまりダメージにならなくてもいいかな
本命は中で、見えない所から飴に変えていくね
外側狙いの方はあえて飴にしないで、弾かれたら悔しがる【演技】を見せちゃおう
中が飴に変われば、そのうち砲身に脆くなる箇所が出てくるんじゃないかな
そしたら他の猟兵くん達にもお願いして集中攻撃で折れるか試してみよー
その後はもう大砲全部飴に変える勢いでたくさんUCぶつけるよ、お覚悟っ!



●闘争を破壊してもたらされるものは
 猟兵の奮闘により、未遂に終わったとはいえ。
 九竜神火罩。世界を滅亡させるために創造された業火の巨砲は、かつての大戦においてあと一歩のところで封神武侠界を焼くところであった。
 その砲口が、今はアリスラビリンスの小世界に向いている。切迫ぶりでいえば鉤爪の男よりも上位にあるともいえ、猟兵にとっては絶対の破壊目標となっている。
「弾けちゃえーっ!」
 上空に浮かぶシウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が、両手を掲げる。
 そこに球電よろしく滞空するのは、銀に輝く塊――もっと細かくいえば、銀製のフォークやらナイフやらスプーンやらを球状に密集させたものである。
 戦場に持ち込む兵器として見るといささか半端というか、奇妙な代物とも映る。しかしそれはユーベルコードの産物であって、超常の魔力、破壊力を秘めている――の、だが。
 砲身の根本に拡がる機械群目がけて投げ落とされた銀塊は、しかし、ガシャンというあっさりした音とともに四散した。ぶつけられた九竜神火罩の表面には、傷の一つさえ刻まれていない。
「何でー!?」
「相変わらず猟兵というものは面妖な技を使う。だが――」
 左手の鉤爪から雷撃の粒子を弾けさせつつ、鉤爪の男はシウム目がけて跳躍する。
「完成した九竜神火罩の防護機構を甘く見るな。物理火力だろうが魔術式だろうが、簡単に破壊できはせん!」
「うわ!?」
 放電する剛爪がシウムを捉えんとする寸前に、シウムは半ば恐慌状態で銀食器を投げ付けつつさらに上空へと逃げる。食器群のことごとくは一薙ぎのうちに粉砕されたものの、それでも稼げた一瞬が功を奏し、シウム自身は斬撃にも雷撃にも触れることはなかった。
「どうした? 小虫のように逃げ回るだけでは、カタストロフは止められんぞ!」
 そんな鉤爪の男の様を見つつ、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は忌々しげに口の端を歪めていた。
「こんな所に、仙界大戦絡みの遺物を引っ張り出すとは……」
 唾棄するように言ったは、仙人、つまりは封神武侠界にある仙界とも縁ある者である。そのため、かの衛星兵器に対する敵愾心は、ひとしおだった。
 利害得失を度外視して臨まねばならぬ存在。冬季にとっては、九竜神火罩は正しくそれだった。
 そんな冬季を、鉤爪の男は殺気に充ち満ちた隻眼をもって睨めつける。
「超弩級の闘争には持ってこいの舞台装置だろう。不服か?」
「当たり前です。人の世にちょっかいを出される前に、完全に破壊する。行け、真・黄巾力士!」
 呼び声に応えるように、ずどん! と機械群の地面を踏みしめたのは、巨大な人型機械。冬季のエネルギーを最大限まで注ぎ込まれて天をも衝こうかという威容を成し、それに比例して備えられた砲台も巨大化している。
 しかし、それを一瞥した鉤爪の男は特に驚くでもなければ怯むでもない。
「虚仮威しにしても、非合理的だな。それほどに図体を大きくするということは、被弾率が絶望的になるということだ!」
 いかにも機械兵器の本場出身らしいことを口にしつつ、鉤爪の男は左手を振るった。
 刹那、鉤爪の軌跡に沿って真空の斬撃波が生み出される。一瞬にして生み出された数百数千の刃は、縦横無尽の網目を形成して黄巾力士を包み込む。
 人間大であれば、当たってとしてせいぜい四撃か五撃。しかし、巨躯の黄巾力士は無数の刃を余さず受けてしまう。一閃で容易に巌を断ち割り、鉄を斬り裂き、命を刈り取る刃が。
「っ――!」
 何々と表記もできないような甲高い破砕音が間を空けずに鳴りまくる。
 ユーベルコードの産物ゆえに超常の装甲を持つ黄巾力士といえど、それを防ぎきれるものではない。ましてや、網目の隙間に巨体を潜らせて回避などという真似もできようはずがない。
 あと数秒もあれば鋼鉄の巨人はスクラップに変わるだろう――と思われたが。
「……面倒な話だよ」
 どこか投げやりにも聞こえるぼやきとともに、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)が巨骨の大斧を振りつつ、鉤爪の男の背後に迫る。
 金虎に似る異形の腕は速度と膂力が併存する。生み出された猛撃は鉤爪の男をして片手間での相手を許さず、【インサニティ・ブレイド】を中断しなければならなかった。
 ごっ!
 と、左手の爪でペトの斧を――並のオブリビオンであればバターより容易に両断しうる一撃を――揺るぎもなく受け止めつつ、鉤爪の男が言う。
「力で押してくるか。闘争はこうでなくてはな」
「こっちとしては、闘争とは無縁な世界で平和を満喫したいんだけどねえ」
 薄く嘆息しながら、ペトは言った。
 次いで、冬季に向かって視線を送る。
「こっちはどうにか抑えるから、そっちはそっちの本命を優先して」
「……わかりました」
 巨大黄巾力士の背に乗り、冬季は飛んだ。狙いは九竜神火罩の砲口である。黄巾力士はボロボロになってはいるが、備えられた巨砲は健在である。
「やらせるか!」
「こっちの台詞」
 再び爪から真空刃を放とうとする鉤爪の男だが、左腕を翻らせた刹那にペトが渾身の力で斧を振るって叩きつけ、それを許さない。
 鍔迫り合いの姿勢になり、鉤爪の男とペトとが睨み合う。
「……なるほど。お前を先に倒した方が早いか」
「さて。あたしとアンタと九竜神火罩、最初に壊れるのはどれかな?」
 ペトの言葉を聞きつつ、鉤爪の男は半ば勝利を確信していた。
 黄巾力士の力が相当のものだというのは、彼も見抜いてはいた。だが、それでも彼の見立てでは、九竜神火罩の防御力の方が勝る。十二分な時間を掛ければあるいは破壊も可能かもしれないが、それでも鉤爪の男がペトを――たかが猟兵一人を――撃滅する程度の間では絶対に足りない。
 ――そのはずだった。
「滅せ!」
 冬季は九竜神火罩の砲口にドッキングでもするように黄巾力士の砲を合わせ、撃てる限りの砲弾を見舞った。
 それは、外側を叩くよりは内部に攻撃を届かせた方がダメージは大きかろうという打算による。とはいえ、超常兵器たる九竜神火罩はそれでも容易には破壊などできない。
 ――そのはずだった。
 しかし。
 ぼ、ぼぼぼぼぼぼ……!
「……?」
 連続する爆発音に、鉤爪の男は目を大きく開く。そして。
 ぼ、ごぉっ!
 瞠目した視界に、九竜神火罩の砲身の半ばが内側からへし折れ、根本の機関部も爆発して粉々になって猛炎を吹き上げるといった光景が跳び込んでくる。
「馬鹿な!?」
 冷静さの消し飛んだ声色で叫ぶ。
 あり得ない。絶対にあり得ない。堅牢この上ない防御を施した九竜神火罩がこれほど簡単に破壊されるなど。
 だが、現実として彼の眼前にて、それは飴細工のようにもろく崩れ、破壊され尽くそうとしていた。
 そう――飴細工のように。
 それは実は、比喩のようで比喩ではなかった。
「やったぁ!」
 シウムが快哉の声を上げる。
 鉤爪の男はついに気が付かずにいた。彼女が破れかぶれめいて打ち付けていた銀食器の塊――【Popping Candy(ポッピング・キャンディ)】の魔力は超常なる攻撃衛星を確実に蝕んでおり、その内部構造の一部を機械から飴細工へと変質させていたことを。衛星の外殻を叩いて傷を付けられず悔しがっていたのは、ただの演技に過ぎなかったということを。
 そうやって鉤爪の男が放心したのは、それでも決して長い間のことでもなかったのだが。
「最初に壊れたのは九竜神火罩だったね」
 ペトが鉤爪の男の左腕をつかんでねじり上げ、振り回すには充分過ぎる時間だった。
「次に壊れるのはアンタだよ」
「おの、れ――」
 我に返った鉤爪の男が、爪から轟雷を放つより先に。
 彼はペトの【崩天地顎(コラプション・バスター)】によって飴化していない機械群に叩きつけられ、一弾指の間にぺちゃんこに潰されてしまったのである。

 かくして、和菓子の国を襲った超弩級の闘争という危機は終焉を迎えた。
 闘争が去った後の国には、穏やかな平和がもたらされることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年04月04日


挿絵イラスト