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空の際より降り注ぐもの

#アリスラビリンス #クロムキャバリア #戦後 #鉤爪の男

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#鉤爪の男


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●カーテンコール・ラビリンス
 アリスラビリンスに潜んだ鉤爪の男は、猟兵たちの手がすぐそこまで迫っていることに、気づいていた。
 そして、彼自身も行動を起こす。
 アリスラビリンスを構成する、全ての不思議の国を戦火に包む為。
「侵略蔵書よ、この世界を書き換えよ」
 空が、別な空へと変わってゆく。
 本に落ちた紅茶の染みのような、不自然な輪郭を伴って。
「そして現れよ、オブリビオンマシン」
 似つかわしくない、機械の駆動音。――男の、故郷の技術。
「アリスラビリンスの全てを滅ぼし、オウガ・オリジンの遺した全てを手に入れよ」
 すべてを滅ぼし、獣人戦線を目指すのだ。ありったけの闘争の火種を、かの世界にばらまく為に。
 その途上には、きっと、猟兵が立ち塞がる。それを、彼は心底から、歓迎し、心待ちにする。
「私が求むるのは超弩級の闘争、それのみであるが故に」
 喜びに鉤爪を震わせ――『鉤爪の男』は、空へと手を伸ばす。

 地獄の闘争の緞帳が、再び上がろうとしていた。

●グリモアベース
「アリスラビリンスに潜んでいた猟書家、鉤爪の男が大規模な侵攻を開始したわ」
 いつものグリモアベースで、コルネリア・ツィヌア(人間の竜騎士・f00948)がそう切り出した。
「方法としては、『侵略蔵書』という書物の力を使って、周囲の世界全てを本の内容に取り込み、書き換えてしまうの。既に今、アリスラビリンスの不思議の国々は、クロムキャバリアの戦場――それも、超弩級の闘争の世界に取って代わられつつある」
 現状、『愉快な仲間たち』が懸命に押し返し、どうにか書き換えを弱めている。だが、彼らだけでは、質も量もオブリビオンマシンに敵わない。
「オウガを相手に出来るから、すぐにやられてしまうことはないけど。出来るだけ早く加勢する方が望ましいわね」
 最前線に飛び込むなり、愉快な仲間たちを援護するなり、各々の得意分野や性分で、関与の方法は変わってくるだろう。
 どうあれ、猟兵が味方につけば、それだけで戦況を引っくり返せる。
「オブリビオンマシン軍団は、四足型キャバリア『バスターレオ』の集団よ。機動力が高くて、強襲向き。炎で燃やしてくるわ」
 燃やすことに燃料を消費しやすいのが難点だが、今回のような短期決戦では効果的な配置だろう。
「機動力の良すぎる所や、燃料が付け込む隙ね。搦め手も割と効果的かも」
 得意分野と経験を活かせば、問題なく対処出来る筈だ。

「オブリビオンマシン軍団を退ければ、少しの間書き換えが止まって、不思議の国の本来の姿が現れるわ。それが、鉤爪の男へ繋がるルートでもある」
 そこは、モノクロームの花畑。
 静かな悲しみで、文字通り色を失った国だ。
「侵略される前から、そういった国だったようよ。涙も出ないほど深くて静かな、居れば居るほど悲しくなる国。だけど」
 闘争の痛みを感じているのか。語りかけたり、ペンキなどで色づけたりするような行動に、いつも以上に呼応してくれるようだ。
「ただ歩き続けるだけでも、鉤爪の男の居場所に導いてはくれるわ」
 この辺りは居場所にも関わってくる、と前置きして、コルネリアは続けた。
「まず、前提として。鉤爪の男の正体は、人間大ながら通常機体以上の戦闘性能を有する『等身大型オブリビオンマシン』よ。ユミルの直系、というものでもあるようね」
 クロムキャバリアで稀に生産される『ユミルの子』がジャイアントキャバリアとなること、更にジャイアントキャバリアの特性を考えれば、共通点が見えてくる。
「で、故郷から大量殺戮兵器を持ち込んで、対処して欲しいのは本人とこれなんだけど……ええとね。名前は、|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》といって……うん、攻撃衛星なのよね。クロムキャバリア製の」
 あの世界、暴走衛星とかあったわよね、と、遠い目をしている。
「鉤爪の男は、その攻撃衛星を不思議の国の空高く打ち上げて、衛星軌道上から無限にレーザー射撃を繰り出して、アリスラビリンスを焦土にしようとしているわ」
 定められた通りに動く機械が、不思議の国をいちいち区別する筈がない。
 どんな国であっても。喜怒哀楽、平和不和問わず、焼き尽くすだろう。
「で、鉤爪の男は、既にその衛星の傍に――つまり、高度400kmの高みに居るわ。いっそ好都合ということにして、両方まとめてどうにかしてきて頂戴」
 ちなみに高度400kmは、UDCアースの基準で言えば宇宙ステーションがある辺りだと付け加える。
「猟兵として、高度400kmという地点単体には、不利になる要因はないわ。そこに昇る方策と、辿り着いてからしっかり両方撃破することを意識して」

 尚、昇る方法となると、コルネリアは微妙な顔をする。
「空を飛ぶ手段を所持しているなら、それが一番手っ取り早いわね。接近時も、少し工夫すればいきなり撃墜はされない筈よ」
 ただ、戦闘に入ってからは、頑張って欲しいとしか言えない。
「あとは、モノクロームの国の花畑だけど……国自体が、この異常事態を感じてるのかしら。呼びかけや、お願いで、空たかくジャンプ出来るトランポリンみたいな、大きな花をちょこちょこと出してくれているみたいなの」
 もし、事前の道程で色づいていたのなら。花に乗っての跳躍力は、更に高くなるかもしれない。
「仮に落ちても、花が集まってトランポリンになってくれるから、復帰は可能よ。……身体的な復帰はね」
 急降下の後にトランポリンで打ち上げられる精神的負荷に関しては、猟兵たちが自力で頑張るしかない。やはり不思議の国、そこらへんのメンタル面には配慮がない。というより、『そこに配慮が必要だとは知らなかった』といった方が正確かもしれない。
「高度400kmの攻防戦、ものすごく大変だとは思うけど、アリスラビリンス焦土化を阻止する為にも、どうか、頑張って」
 健闘を祈ります。と締めくくったコルネリアの声は、色々な意味で真剣であった。


越行通
 こんにちは。越行通(えつぎょう・とおる)です。
 この度は、猟書家『鉤爪の男』との決戦シナリオをお送りします!

 第一章は集団戦。炎と機動力を武器にする、四足型キャバリアです。
 プレイングでご指定があれば、愉快な仲間たちも一緒に戦います。
 また、その場合、プレイング冒頭に『★』マークを付けて頂いた場合、仲間たちの詳細(姿や戦闘手段など)は、猟兵さんの行動・プレイングに沿うかたちになります。
 第二章は冒険。モノクロームの花畑を進みます。
 基本、ひたすら進むことになります。途中で何かをすることも出来ます。
 ここで起こした行動次第では、第三章での行動にほんのりとプラス補正がかかったり、何か面白い感じになるかもしれません。
 第三章はボス戦。高度400kmにある衛星と『鉤爪の男』を撃破することが目標です。
 『鉤爪の男』は闘争が好きなので、猟兵の方々が来るのをすごく楽しみに待ち構えています。
 衛星ともども全力で撃破して下さい。(撃破による不思議の国への流れ弾は、今シナリオでは何もありません)

 決戦シナリオが合計20本成功したときには、『鉤爪の男』を完全に滅ぼすことが出来ます。
 どうか、思うままに、自分らしく、この決戦に挑んで下さい。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『バスターレオ』

POW   :    ストレートタックル
【ブースターによる直線的突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    インセンディアリー
レベル×1個の【焼夷弾】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    ブーステッドブレイズ
自身に【インゴットを燃焼させて生み出した炎】をまとい、高速移動と【高熱の炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:イツクシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 胸が苦しくなるような空気に、思わず咳き込む。運んでくれている双子のジンジャークッキーたちも、何処か具合が悪そうだ。
「ごめんね、せめて、水辺まで……そこで、この変な空気、何とかするから」
「マカセテ!」
「ありがと……」
 せっせと運んで貰った先、まだ無事な水辺に下ろされる。と、すぐに水を汲んできてくれたらしいお喋りなティーポットおばさんが、身体の隅々まで水をかけてくれて、ようやく一息ついた。
「大丈夫? もっと汲んできましょうか? ほら、葉っぱも出して。そこの地面が柔らかいからお座りなさいな。ああ、お茶の葉があれば、ジンジャーちゃんたちも治してあげられるのに」
「ダイジョブ! ぼんねっとのうさぎ、ガンバッテナオシテクレタ!」
 かけて貰った水と、水辺の空気を必死で取り込みながら、その言葉にほっとする。
 たまたまジンジャークッキーたちが散歩をしていなければ。ちょっと話し込んで、あの瞬間に一緒にいなければ。こうして、一緒に揃うことは、叶わなかったろう。
「オウガとよく戦う子たちが、頑張ってくれてるわ。この水場だけは確保するって。心配だけど、そうして貰えないと、あたしは何も出来ないし。……と、あんまりお喋りはダメね! お水、もっと運ばないと」
 ほんのり沈んだティーポットおばさんが、それでも飛びはねて頑張ろうとしている。
 頭に咲く青色のボンネットからふわふわ光を放ち、ジンジャークッキーたちの疲労を癒す。
「まだ頑張れるよ。諦めないよ」
 愉快な仲間たちの一員として、『ボンネットうさぎ』は、再びの決意を固めた。
 空はどんどん、知らない色と形を連れてくる。それでも。――それでも。
ティモ・バッケスホーフ

猟兵にめざめたとおもったら、故郷がたいへんなことになった
初戦闘なのにいきなりクライマックス
みんなでおれたちの世界をまもろう!

うわーっ!おおきな機械
かっこいいのは好きだけど、いまはいらない!
排除するよ

まずはドラゴンに変身してたいあたり
あっちは突撃してくるようだけど
かみついたり尻尾もつかって、正面からぶつかる
動きをおさえてカラまわりさせて燃料をたくさんつかわせれば、とまるはず

たいあたりはじかれたら、地面にあなをほってじゃまをする
段差がたがたで動きにくくさせて、突撃の威力をおさえる
あつい炎は翼のはばたきと風のドラゴンブレスで対処しよう




 この『世界』には無かった灰と煙の匂い、どんな獣の鳴き声にも似つかない、機械の駆動する轟音。
 大地や空が文字通り『塗り変えられて』ゆくのをじっと見つめながら、ティモ・バッケスホーフ(|無辺際《ひかりのうみ》・f39747)は真顔で呟いた。
「初戦闘なのにいきなりクライマックス」
 ――猟兵にめざめたとおもったら、故郷がたいへんなことになった――
 なかなか出来ない経験である。そうそう経験してたまるかとも表現出来る。
「まあ、ほら……オウガとの戦いだって、みんな初めては初めてだから……」
 でかくて頑丈な農耕用スコップを構えた愉快な仲間(砂色の石の身体を持つちょっと小柄なナイスガイ)が、どうしようかなーという風情で数秒考え込んだ後、苦しいフォローをする。
「やっつけりゃおーけー、負けたら世界の終わりで、オウガと一緒だって」
「だよね。うん、そうだ。ちょっと面食らってた」
 火なら強いから俺も行く、と言ってティモについてきたもう一人、立って歩ける火トカゲはもっと大雑把だったが、その言葉にティモが気を取り直す。
「ここでおわってる場合じゃないんだ。みんなでおれたちの世界をまもろう!」
「おう!」
 持ち前の切り替えのよさを発揮しながら、愉快な仲間たちは機械の駆動音目指して走りはじめた。

「うわーっ! おおきな機械」
 ぐるるるる、と唸り声によく似た音を立てながらの『バスターレオ』の突撃を素早く散ってかわし、とんと着地して振り返る。
「かっこいいのは好きだけど、いまはいらない!」
 竜の尻尾を一振り、ぱたんと強く地面を叩く。
 耳をぴんと立て、ばさりと大きく翼を広げて、ティモは低く宣告した。
「排除するよ」
 天に伸びた翼の先から、ゆるやかに変身が始まる。

「“それは素晴らしく運命的な瞬間”」
 お話の頁には、すべてがある。
 夜空の星、地上の篝火、風の吹く高い峰、大きなものが眠る火山。
「英雄が倒すべき敵。財宝の守護者。厄災の主。そのつよさのひと欠片を、ここに」
 少年の見た目から、見上げるほど大きなドラゴンへと、瞬きのうちに輪郭を変えてゆく。
 現れたドラゴンを目印に、機械が波のように押し寄せる。押し流される錯覚を覚えるほどの駆動音と、炎。
 けれども。それらを打ち破るようにして、力強い羽ばたきの音が響いた。

『たいあたりー!』
 多数の突撃を、ティモの変化したドラゴンは真正面から体当たりで迎え撃つ。
 凄まじい速さの突撃を尻尾で払い、首を巡らせて数体まとめて噛み付く。口を閉じた隙に寄って来た機体を前脚で押さえつけ、燃え盛る機体をその場に縫いとめる。
 ――動きをおさえてカラまわりさせて燃料をたくさんつかわせれば、とまるはず。
 一箇所に纏めるように、噛み付いていた個体や抑えていた個体を尻尾側へと放り投げ、翼を広げた低空飛行で、再び全力の体当たりをお見舞いする。
 その質量と勢いに、何体かが同士討ちのように延焼を起こし、動きを止めた。

 先制では有利を取ったティモだが、相手はとにかく数が多く、短期決戦に長けた機械たちである。
 ティモが引き付けている間に、石人形がせっせと地面に穴を堀り、火トカゲがさらにそれらを炎で焦がして、ぼこぼこと硬い地面を即席で作り上げる。
 用意が出来た、という合図のため、火トカゲが青色の炎を一筋、空へ向かって放つ。
 がたがたの段差で動きを阻害するというティモの作戦。その完遂の為、ティモに集中している機械たちの気を引くべく、彼らは大きく声を上げ、火を噴いた。
「いくらでっかくなったからって、大勢対いちはズルいぞ! 俺も混ぜろー!」
「炎の質も量ももーしぶんないけど、使い方がだめだ! ぜんぜん愉快じゃないぞ! もっと綺麗で愉快な炎を見せてやる!」
 ティモという脅威を前にしつつも、挟撃を恐れた機械たちは、挑発に乗るかたちで彼らに引き寄せられる。
 狙い通り、がたがたの地形の動きにくさで、突撃の威力は削られている。強引に地形を壊すような突撃で、勢いが削がれているのが見て取れた。
 ふたりを捕らえようと放たれた炎に全力の風のブレスを吹きつけ、翼の羽ばたきと合わせて消せるだけの炎を消し、敵側を常に風下に置いて、同士討ちを狙う。
 戦況が有利に傾く中でも、仲間たちに炎の一欠けらや、突撃の照準が向けられることはあったが。
『そうはさせるかー!』
 素早く伏せるふたりを、ティモの翼や尻尾が守り通す。
「さんきゅーだぞティモ! まだまだいくぞー!」
『「おおー!」』

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、16歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にブリザード・キャノンを使って戦う。
 あとはお任せ。宜しくお願いします!




 超弩級の闘争の世界へと書き換えられていく度に、破壊と殺意に満ちた空気が、周囲を渦巻いてゆく。
 それらの先触れである『バスターレオ』の噴出す炎を前に、氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)は苦さを飲み下して、しっかりと地を踏みしめる。
「ゆっくりと、自然に任せて溶けてゆくのは、好きなんですけどね」
 愉快な仲間たちを後方に逃がし、迫り来るバスターレオの前に立ち塞がるべく、足を進める。
 案じるように雪菜を見るかれらに、大丈夫、と力強く頷いて。
 あらかた逃がしきって、いよいよバスターレオの突撃圏内に入るかというタイミングで、雪菜は頭上へと掌を向けた。
「雪よ、降りなさい……そして全てを凍てつかせ、世界を白く染めなさい!」
 侵食を受けていた空の中で、ぴしり、ぱきり、と、僅かな音が鳴る。
 それを皮切りに、炎と闘争に満ちていた周囲一帯に、白い雪が舞い始める。
 初めは雫のように。やがて宙に踊る白がはっきりと輪郭を持ち、重みを増して、目の前を白く染めてゆく。
 『バスターレオ』たちは、周辺の気温の極端な低下をすぐに感知し、内部に仕込まれた|インゴット《燃料》を燃やしはじめる。
 凄まじい温度の炎を前に、突然の雪はすぐに蒸気を上げて溶けるかと思われた。――だが。
「この雪は、融けません」
 そう告げた雪菜が、腕に嵌めたブリザード・キャノンから多数の氷の弾丸を放つ。
 持ち前の機動力で避けようとするバスターレオたちであったが、融けない雪が足元に積もり、絡み付いて、常時の機動力を発揮出来ず、氷の弾丸に強かに撃ち抜かれる。
「闘争の世界でも、雪くらいは降りますよね。――なら、絶対書き換えたり出来ない、雪景色をあげましょう」
 燃え盛る炎に、大抵の攻撃に耐えうる装甲に、雪は静かに降り積もり、重みを増してゆく。
 一方、元々の備えを持っていた雪菜は、積雪に足を取られることなく軽やかに動き回り、動きの鈍ったキャバリアを一体ずつ、確実に屠ってゆく。
「ここは通行止めです。それでも突破するっていうなら、こっちも本気でお相手します!」

成功 🔵​🔵​🔴​

春夏秋冬・ちよ(サポート)
風景画が趣味のお節介な旅老猫

優しいお婆ちゃん猫で猟兵としての経験は浅いですが、アルダワの学生としてとても長い間戦い続けた歴戦の戦士です

口調はステシをベースに優しいお婆ちゃんをイメージ

動物と会話して道や情報等を得ます

UCは竜を疑似再現、その力を借りる物
何の竜の力かは状況、やりたい事によって指定を
(例:火竜・刃竜・筋肉竜等々 真面目からネタまで可)

戦闘は素早い身のこなしで回避重視、杖か閉じた傘(又はUC)による鋭い攻撃
所謂蝶のように舞い、蜂のように刺す
得意技はUCで騎乗か飛行してのランスチャージ

一人称追加・おばあちゃん

禁止事項
真の姿の解放(覚醒)
UC『凶夢の魔竜騎士』二種の併用
公序良俗に反する行動




「あらあら。随分と、暴れん坊さんだこと」
 超弩級の闘争の世界の只中で、常のおっとりと優しげな調子のまま、春夏秋冬・ちよ(旅する老猫・f19400)は呟いた。
 小柄なその姿を目指し、四方八方から、凄まじい温度の炎が浴びせかけられる。
 地を焦がし、むきだしの地面が焦げる匂いが立ち込めている。
 先ほどまで小首をかしげていたちよの姿はかききえ、既に攻撃の集中する地点から離れた場所に、本来のちよが杖を手にして。
「やんちゃ盛りがこんなに大勢いるとなると、おばあちゃんも、ちょっと頑張らないとねぇ」
 衣を翻し、愛用の杖を掲げて、朗々とした声でちよは詠唱する。
「術式展開、再現するは竜の爪」
 天空に、夥しい数の『槍』が現れる。
 五本一組。属性は竜の爪。擬似的に再現されたその力もまさしく、万象を切り裂く竜のものに等しい。
 竜の属性を帯びた魔法の槍は、高温の炎にも揺らぐことなく、はがねの装甲へと降り注ぐ。
 卓抜したちよの技量は、爪を再現する槍を幾度も、幾度も呼び寄せる。
 槍は装甲を切り裂き、前進を押し留め、尽きることなく降り注いで、バスターレオの群れを塞き止める。
 膠着から、次第に、バスターレオの劣勢へと傾く。
「あら。足が速い分、すぐに息切れしちゃうのねえ」
 ちよの見立て通り。突破力と機動力を追求したその性能は、ひとたび膠着状態に陥れば、不利に働く。
 そして、尖兵としての命令のみに忠実なかれらは、それであっても、前進か機能不全以外の道を、持っていないのだ。
「おばあちゃんはね。ここを通すわけにはいかないの。決して。決してね」
 ちよの背後には、懸命に戦い、傷を癒し、諦めない、愉快な仲間たちが居る。
 術式は未だ稼動し続けている。ちよの技量で『装填』出来る槍の残数に状況を掛け合わせて考えても、ちよの方に軍配が上がるのは、最早明らかだった。
 それでも、一切手は抜かず、魔法の槍がバスターレオへと降り注ぎ続ける。

 ――ごめんなさいね、とは、言わなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。

◆性格・人柄
敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい少女。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
UC「神罰」
半径レベルmの【範囲攻撃】です。
強力なスポットライトのような光の【属性攻撃】で物質を透過します。
媒体は【祈り】。敬虔な聖職者の祈りは【早業】【高速詠唱】で発動。
最後衛で距離を取り戦います。

◆冒険
基本『お任せ』です。




 今も戦い続ける愉快な仲間たちの休憩場所にも、世界の侵略の手が伸びようとしていた。
 愉快な仲間たちの奮闘、そして猟兵の参戦によって、それらは徐々に押し返されつつある。だが、決して油断出来る状況ではない。
 早く傷を癒さなければと逸るものを、大丈夫だと押し留めて――小宮・あき(人間の聖者・f03848)は、世界の侵食に立ち向かう。
「お困りの方を助けるため、どこへなりとも参りましょう」
 花のような髪に、今はない澄んだ空の瞳。声も表情も、柔らかく優しかった。
 けれども、その慈しみを向けるのは、懸命に抗う愉快な仲間たちだからだ。
「戦争ですらない。ただ、大規模の闘争を求めるだけ。本当に、それだけなんですね」
 どちらが良いかなどとは、勿論言うつもりはない。
 ただ、この闘争は、本当に空虚だ。ただただ世界を蹂躙する。それすらも、通り道でしかない。
 そして。目の前に立ち並ぶキャバリアたちは、己の意思を持たない。
 あきを捉えようとする焼夷弾、その複合や延焼は極めて合理的で、『仕留める』正解を導くための計算だけがそこにある。
 弾丸、或いは今も上空にあるという、衛星軌道から放たれる破壊の力に等しい。

 景色に溶け込んで回避し、時に魔法で迎撃しながら。商人としての癖で、あきは、思考する。
 古今、学ぶ機会を逃し、考えることなく長されるままに、愚かな活動に手を貸してしまうことは、珍しくない。
 だがここに並ぶ兵器たちは――そもそも、『設計思想』の中に、思考活動というものがないのだ。
 それを哀れむかどうかは、意見が分かれるところだろうが。

「分け隔てのない、神罰を与えましょう」

 祈りのかたちに手を組むと、闘争の空に、一点の光が点る。
 光は地上へと伸び、あきも、バスターレオ達も、すべてを照らし出す。
 あきの眼差しが、居並ぶバスターレオの群れを捉える。その瞳に照らされた個体は次々に頭上からの光に撃ち抜かれ、機能を停止してゆく。
 そうして、光に貫かれて消える度。祈る聖者の足元から、世界は元に戻っていく。
 炎に焦がされた森も、悲鳴のような機械の駆動音も、徐々に遠のいていって。
「――感謝いたします」
 目に入る限りの個体を見送り、あきはもう一度、祈りを捧げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ~……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ~?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ~。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう~。
案ずるより産むがやすしともいいますしぃ、躊躇うよりはいいですよねぇ~?
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ~。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう~。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ~。
※アドリブ・絡み歓迎




「ねーちゃんねーちゃんねーーーあぶないってばーーーしっかりしてってばーーーー!!!!」
「ぅゅ……くぅ~……あらぁ?」
 地平線の向こうにはたゆたう炎。空いっぱいに広がる、闘争に闘争を重ね果てた空気。そして目の前で、必死にぴょんぴょん跳ねる箒と、オロオロするジンジャークッキー。
「いつの間にか始まってましたかぁ~?」
「最初っから始まってたよクライマックスだよ!!」
 状況把握のはずがいつのまにか眠りそうになっていた四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は、箒の剣幕(?)にも動じず、あれあれ、と目をこすった。
「いつもこうなんですぅ、すぐ眠くなっちゃってぇ~」
「この状況で!?」
 箒の結び目のリボン、にくっついた花のアップリケの目と口が、めまぐるしく『表情』を変える。
「そうですねぇ、さっさと解決してぇ、安心してひと眠りするためにぃ、頑張りますぅ~」
「そりゃおれらもそーしたいけど……って、ねえちゃん、何すんの!?」
「一気にぃ、やっちゃいますぅ~」
 そぉれ、とのんびりした声に反し、猛烈な吹雪が、眠斗を中心に吹き荒れた。
「わわわわっ!? えっなにこれ!? ……なにこれ」
「雪だるまアーマーですぅ。これでぇ、吹雪の中でもぉ、元気に活動できますよぉ~」
「あ、ほんとだ……」
 オロオロしていたジンジャークッキーたちが、雪だるまアーマーの効果を得て、元気一杯にバスターレオ目掛けて突撃を仕掛けている。
 一方のバスターレオは、内部から噴出した炎で吹雪を押し返そうとしている。
 今の所、吹雪の勢いと炎の勢いは、同等であるように思われた。
「このままずっと吹雪が続いたら、勝てるかな……どうかな……」
「出し惜しみなしの、目一杯ですけどぉ……待つより、さっさとやっちゃいましょぉ~」
 相変わらずの口調のまま、片手にうつくしく繊細な髪飾りを持ち、もう片方の手で、どすんと音を立てて何かを置いた。
「………………重くない?」
「へーきですぅ~」
 積もった雪にがっしりめり込んだ、真っ白でやたらとでかい錘を軽々と持ち上げ、眠斗は朗らかに笑った。
「そ~れぇ~」
「わーーーー皆撤収ーーーーー!!!!!」
 そのまま、雪玉でも投げるくらいのノリで、バスターレオの真っ只中に放り投げられる錘を見た箒が、慌ててジンジャークッキーたちを呼び戻す。
 実際のところ、雪だるまアーマーの防御力で割と大丈夫ではあったのだが、見ているほうの心境としては呼び戻したかった。心臓のない箒にも、(危険に)ドキドキする心は存在するのだ。
「よーいーしょー」
 武器サイズに大きくした髪飾りでばっさばっさとバスターレオを切りつけて進み、何体かを巻き添えに地面に刺さった錘を再び持ち上げる。
「早く片付けてぇ、ゆっくりのんびり、お昼寝しましょぉ~」
「ウン、ソウダネ」
 ジンジャークッキーの誘導に専念すること、眠斗には決して逆らわないことを、箒心に誓った瞬間であった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『モノクロームの思い出』

POW   :    悲しくなんてないから元気を出してと声を掛ける

SPD   :    絵の具やペンキを使って彩ってみよう

WIZ   :    そのまま佇んでみてもいいのかもしれない

イラスト:久佐葉

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 闘争が退けられ、本来の世界のすがたが現れる。
 視界は白と黒。咲き誇る花も行儀よくならぶ樹も全て、そのどちらかの色をしている。
 争いが遠のいた今、僅かな間、本来の静寂を取り戻した世界は、音もなく、悲しみの中に沈んでいる。

 猟兵たちを招くように、丘のようになった場所がある。
 そこに、ひときわ大きな花がある。不自然な、けれど、不思議の国ならひとつくらいはありそうな、遠めに見てもやわらかな花。
 鉤爪の男へ続く目印であり、世界が用意した『そこへいく手段』だ。

 ……。

 足元に、小さな湖がある。
 両手で享けられる程度の大きさを湖というのは、本来、正しくない。
 そうであっても、この世界はそれを『湖』と呼ぶ。世界が、悲しみと共に、伝えてくる。
 それは、色彩を洗い流した涙で出来た、小さくて深い湖だ。
 鏡のように空を映し、底は深く果てがない。この世界を現す、白黒の湖だ。
 空を映す湖から、猟兵たちは、世界の感じるものを、同時に感じ取る。

 ここは、悲しみの国だ。
 涙は流れつくして湖になった。湖はいつも足元に佇み、深く静かな悲しみで、世界を満たしている。
 同時に、ぐいぐいと額を押さえつけるような、息苦しさと重みが、世界を襲っている。
 ここはずっと悲しい。
 けれど、滅びたいと思ったことは、一度もない。
 ずっと。ずっと。……。

 何事か呼びかけたり、直接色彩で彩ったなら、世界は応えるだろう。
 しばし世界に耳を傾けても良い。世界は猟兵たちを害することはない。
 勿論、真っ直ぐに丘への道を歩んでも良い。
 小高い丘とクッションのような花は、悲しみと隣り合わせの、世界の望みそのものだ。
ベイメリア・ミハイロフ(サポート)
メイン参加者さまのお邪魔にならぬようにしつつ
状況を見て行動を行おうと思います

日常では、まったりのんびり楽しみたいと思います
探索が必要であれば、情報収集・聞き耳を活用し
さりげなく目立ちすぎない程度に行動を

戦闘での行動は、絶望の福音又は第六感・見切りにて相手の攻撃を予見し回避又はオーラ防御・武器受けからのカウンターを狙いつつ
広範囲に敵がいます場合にはRed typhoonを
1体に対してはジャッジメント・クルセイドにて攻撃をいたします
チャンスがあれば早業・高速詠唱からの2回攻撃を
回復が必要なら、この身を削ることになろうとも、生まれながらの光を使用いたします

呼び方ファーストネーム+さま
一人称:わたくし


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。




「これ美味しいにゃ!! ほっくほくで、つるんとして、かりかりにゃ!」
「こちらのお菓子も、さくさくほろほろとして、たいへん美味しゅうございますね」
 白黒の花畑、小さな湖の傍らで、ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)とベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)による、心暖まるおやつの時間が開催されていた。
 ベイメリア提供のパイを満面の笑みでもりもり平らげるミーヤの周辺は、文字通り色づきつつあった。ほのかに花びらを照らし、染めるその色は、こんがりしたパイ生地の黄金色や、さつまいもペーストとリンゴの風味に魅了されたミーヤの心に満ちた幸福の黄色、橙色と、暖かさに満ちている。
「やっぱり、悲しいには美味しいが一番にゃ!」
「ええ、さようでございますね」
 微笑んだベイメリアが、安心と共にもうひとつお菓子をいただく。しゅわしゅわ口の中で溶ける駄菓子に口元を緩め、これを色にするならば何色になるだろう、と思う。
 答えのように、傍らの花びらが、柔らかな空色を帯びた。

 この世界に足を踏み入れたとき。
 世界の悲しみを受け止めたミーヤは、しゅんと耳を倒し、うつむき加減で立ち尽くしていた。
 同時に足を踏み入れたベイメリアもまた、世界の悲しみと、それを含めて押し潰す意思の存在を感じ取っていたが、傍らのミーヤから零れた言葉を認識するほうが早く、強かった。
「おなか、すいた……」
 心底ひもじいと全身で訴えるその姿に、ベイメリアは|一番の特効薬《たべもの》を即刻すぐさま何をおいても差し出すと決めた。

「お陰で元気いっぱいにゃ! それに、さつまいももりんごも甘くて、今なら空も飛べそうにゃ! にゃにゃー!!」
「ふふ。わたくしも、何と申しましょうか。とても……」
 そこで言葉を切って、ベイメリアは一度、モノクロームの遠景を見る。
 瞬く間に流れた涙が、心に満ちたかと思えば、流れ去った空白に白黒の輪郭だけが残る。
 過ぎた思い出の中には、色褪せるものもある。この小さな世界は、そうしたもので出来ているのだろう。
 そしてこれからも、そうして在るのだろう。
「今のわたくしとミーヤさまの気持ちが、この世界に色をお贈り出来るなら……それはとても、光栄で、嬉しいことだと思います」
「ミーヤの美味しいは通じたにゃ。昨日のごはんやおやつのことを話したら、元気になるにゃ?」
 メニューを思い浮かべたのだろう。ふにゃりと笑顔になると共に、また少し、色彩が広がる。
「この世界を助けたら、明日や明後日のごはんがあるにゃ! お花さん、力お借りするにゃ! ジャンプは得意だにゃ、にゃ!」
 ぽふん、と触れたクッションの花が、明るい橙を帯びた。
「ベイメリアさんは平気にゃ? お空のてっぺんまでは邪魔はなさそうな気はするのにゃ」
 問われたベイメリアが、微笑んで胸に手を当てる。
「わたくしは空中を浮遊する心得や身を守る術がありますので、跳躍の最中に何かが起きても対処できます。それに、この世界を壊させない為とあらば、怯む理由などございません」
「にゃにゃーん! じゃあ、せーので、思いっきりとぶにゃー!」
「はい。必ず、辿り着いてみせましょう」
 ぱん、と軽く手と手を打ち合わせて、ふたりは『花』に飛び乗った。
 ――その勢いの何十倍かの反動をばねに、彼女たちは空へ空へと、遠ざかっていく。

 少しして。はらはらと、空から花びらが舞い降りてくる。
 それは、ベイメリアの衣と同じ色の、薔薇の花びらだ。
 薔薇に触れたものが、何かを感じ、聴いたと思わせるように、わずかに色を帯びる。

 静寂が戻る。
 訪れたものの色彩を、ほのかに留めたまま。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティモ・バッケスホーフ
いっしょに戦ってくれた仲間たちに
先へ行くからとおわかれを言って進む
ありがとー!

色がなくて、かなしい空間…
眠るのにはよさそう、かも?クッションもあるみたいだし…

かなしいのに、こんなに荒らされてもっとかなしいよね…わかる…おれも故郷があちこちボロボロでかなしい
でもかなしさによりそっても飲みこまれちゃいけない!

ティンクルスターをよびだす
カラフルでぴかぴかな星たちで自己主張しながら元気いっぱい世界とお話をする
大丈夫!おれたちがあんなヤツばーんとやっつけるから心配しないで
シュシュっと誰かをなぐるまねをしながら丘へ歩いていく
しょんぼりしてる花や風や木々たちに陽気に語りかける
かなしいときも愉快をわすれないよ




「じゃあ、おれ先へ行くから」
 オブリビオンマシン軍団をあらかた撃退し、後始末も終わったところでティモ・バッケスホーフ(|無辺際《ひかりのうみ》・f39747)は前を指差して言った。
「親玉がいる、星のおとなりまでのぼってくる」
 いっしょに戦ってくれてありがと、と礼を言うティモに、愉快な仲間たちがてんでばらばらに声をかける。
 こちらこそ。ありがとう。がんばれ、いっぱいがんばれ。きっとだいじょうぶ、ティモなら大丈夫。
「ありがとー!」
 もう一度。お腹の底から答えて、ティモは白黒の世界へと踏み出した。

 闘争というペンキの下から現れたモノクロームの空間に、眼鏡の奥の目をくるりと回す。
「色がなくて、かなしい空間……」
 広々とした空の白を見る。真っ白な雪も、この空に比べたら色彩があると思う。
 丘までの道程に、点々と色づいた場所があるのは、他の猟兵が残していったものだろう。
 痛いほどの静けさに、小さく耳を動かす。
「眠るのにはよさそう、かも? クッションもあるみたいだし……」
 けれど、やはり世界は白と黒だ。ひたひたと染み入る悲しみに、ティモまでもが白黒になりそうな錯覚を覚える。
 いつから、どうして、悲しいのだろう。
 オブリビオンマシンは追い払ったけれど、それでも、『じぶん』を書き換えられた痛みと、いまも押さえつけられている苦しさが、ぽすぽすと触れたクッション花を通して伝わってくる。
「かなしいのに、こんなに荒らされてもっとかなしいよね……わかる……おれも故郷があちこちボロボロでかなしい」
 ティモの大事な天文台は辛くも難を逃れたが、見慣れた森の風景、遠くに見える地形は変わってしまった。
 愉快な仲間たちのご近所さんの中にも、住処を踏み潰されたり燃やされたりして、もういちど居心地の良い場所を作らなくてはならない。
 見慣れたご近所さん。見慣れた風景。いつもそこにあった、ふるさと。
「あ、だんだんしみじみかなしくなってきた……だめだ。かなしさによりそっても、飲みこまれちゃいけない!」
 ふん、と拳を握り、ティモは空を見上げる。
 ティモは愉快な仲間たちである。一緒に悲しんだ後は、立ち上がって愉快に笑うのだ。
「おほしさま、ちょっとのあいだおりてきて!」
 両手を上げたティモに応えて、虹よりもっとカラフルな星の群れがぴかぴかと輝き、ティモの周囲を回る。
 風景のひとつひとつを星で照らし、耳と翼をぴんと伸ばしてシャドーボクシングをしてみせながら、丘への道を歩く。
「かなしいけど、大丈夫! おれたちがあんなヤツばーんとやっつけるから、心配しないで」
 おずおずと、白い花がティモの行く道を開く。その花弁に、星の光がほんのりと移る。
「ね、ここを通って、きれいな色をのこしたひとがいるんだよね。こんなにきれいな色だから、きっとすてきなひとたちだったよね」
 しんなりとして見える葉っぱに、控えめに俯く花のひとつひとつに声をかけながら、ティモと星たちは丘を行く。
 かなしいときも愉快をわすれない。
 やがて丘の上に辿り着き、星のひとつに飛び乗ったティモの背後から、ふいに風が吹いた。
 風は、ティモの髪や翼を揺らし、空へと昇る。
 見上げて、もう一度ふいた風に、後ろを振り向く。
 ――風の通り過ぎたあと。ティモの歩いてきたところは、色とりどりのカラフルな道に変わっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『鉤爪の男』』

POW   :    プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「来たな、猟兵達よ」
 不思議の国の、高度400km地点。
 黒々とした空間に聳える、攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』が、今や小さな的ほどの不思議の国へと照準を合わせている。
 そして、その傍らで、書物を手にした鉤爪の男が、猟兵たちをとっくりと見やる。
「私がオウガ・オリジンの遺産を手にし、さらに『獣人戦線』へと渡ってしまうのは、『困る』だろう」
 男の『鉤爪』が、笑うようにかたかたと震えている。
「この場所にすら到達出来る、猟兵達との本気の闘争こそ、我が望み。――さあ、来るが良い! ユミルの直系たる等身大オブリビオンマシン、この『鉤爪の男』がお相手しよう!」

 空の際、星の傍ら。無数の不思議の国の、端の端で。
 ひとつの世界の命運を分ける、闘争が始まる。
琳谷・花咲音(サポート)
自身とよく似た姿の影(背格好は同じ、性別とロングヘアが違う)悪魔【影(エイ)】を召喚するガジェッティア。

柔らかな口調と行動で男女どちらともとれないジェンダーレスな雰囲気。
女の子になりたい訳じゃない、男女の垣根はなく自分は自分。
友人(感情を結んでいる人)以外には『僕』。
友人には『私』。

戦闘時にはガジェットを臨機応変に変化させて戦う。
火力はないので手数で押す…又は牽制などサポートの立ち位置にいる事が多い。

【影】は本人と鏡合わせのような行動をとる事が多い。

生贄として、魔法媒体として様々な因子を詰め込まれた存在。
その影響で召喚したものを身に宿して戦う降霊術も得意とするが、その戦い方は好きではない。


シィエー・スミス(サポート)
 ブギーモンスターの魔女×四天王、70歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、嘘をつく時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
 鹿(エルク)の魔女。全身を白い布で隠しており、ブギー・ブギーフェイス時以外は極端に脱ぎたがらない。とある神の信者もしくは化身、そのもの。真実は不明

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。




 巨大な攻撃衛星が聳え、『鉤爪の男』が待ち構える地点に。
「たーーたかいにきーたーよーーー、っ!」
 地上から真っ直ぐに飛来した緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は、鉤爪の男に劣らぬ戦への渇望を湛えて、手にした斧を振りかぶった。
 金属同士がぶつかり、軋む、耳を傷めるような音が周囲に響く。
「良い初撃だ」
 言葉と同時に変形した鉤爪が変形し、斧を流し、その表面に超電撃の鋭い光が発生する。
 ためらいなく斧を衛星方面に放り投げ、透乃は背負っていた巨大なにんじんの葉部分を引っつかみ、無造作に鉤爪の男めがけて振る。
 絵本に出て来そうな鮮やかな色の、長くて丈夫な葉の付いた重く巨大で頑丈なにんじんは、男が繰り出した左手の鉤爪を受け止め、超電撃放出モードによる電流を浴びて尚、そこにあった。
「ほんとに抜けなくなるんだ。錘にされたら厄介かな」
 やっぱり自前で受けて気合で耐えたほうが良かったかなー、と、にんじんを蹴って後方へ離脱した透乃が考えているところに、すい、と小型の蒸気機械が幾つか滑ってくる。
 それらを足場にとん、とん、と跳んで、首尾よく衛星に突き刺さった斧を引っこ抜く。
 勢い余って空中をくるんと回ったところで、後方に近づいていたシィエー・スミス(エルクの魔女・f31366)の体躯ですとんと受け止められた。
「ご無事ですか」
「大丈夫!」
「にんじんごしに電撃浴びてたけど、痺れなかった?」
 ガジェットを足場代わりに展開していた琳谷・花咲音(気ままな異邦人・f35905)に問いかけられた透乃は、けろりとして言った。
「あ、それは痺れたよ。完全に遮断したわけじゃないし」
 手をぐーぱーしながらあっけらかんと答える透乃に、シィエーは布の内側から小さく言った。
「あなたの障害になる痛みではなかったのですね」
「そうそう。じゃあ、にんじん引っこ抜いてくるねー!」
 告げると同時に、斧の傷跡も新しい衛星に思い切り体重をかけ、だらんと提げ持った斧に、跳躍による遠心力を載せて、彼女は再び闘争へ赴いた。
「……まるで、お散歩に行くかのようですね」
「気が合いそうだね……」
 突き刺したにんじんを得物として振り回す男に、頭頂部付近の髪の一部をくるんとしたアホ毛に変形させ、先ほどより遅く、そして重い一撃一撃で迎え、叩く姿に、つかのま二者は見入った。見入るほどの余裕がこちらにあるということでもある。
「どうしようかな。あっちの支援と、衛星に侵入して壊すのと、ガジェットの量的には余裕があるんだけど」
 花咲音が召喚したガジェットに搭載された機能の中、差し当たり小さく分裂してゆく機能を足場として利用していた。
 とはいえ、それだけで終わってしまうものではないことは、既に把握していた。
「鉤爪の男が何処まで機械なのかによっては、良い一撃入れられそうだし……決め手がね」
 注意深い目で状況を観察する花咲音の傍らで、シィエーはそっと頭を上げて衛星を見つめ、それから鉤爪の男との距離を見比べる。
「さきほどの、斧の亀裂を広げたならば、衛星への侵入は容易くなりますか」
「うん。あの亀裂からでも食い込めるけど、やっぱり単純な大きさがあると、時間の短縮にもなるね」
「そうですか。では……私は、布を取ります。この巨大な衛星を貫き、貫通したとき。あの猟書家にとって、奇襲となる場所で」
 彼女の言葉の意味する所を理解した花咲音が、同じく衛星と鉤爪の男を見比べる。
「わかった。それじゃあ、僕は衛星破壊に専念するよ。あっちが気づいてないうちに」
 『あっち』と指した先では、鉤爪の男がにんじんの影から超電撃を発したり、それを回避した透乃が男の頭を踏み台にしたりと、双方やりたい放題だった。衛星への小細工には、そうそう気づきそうにない。
 それでは、と、シィエーが足場のガジェットを伝って、花咲音から離れた、衛星の側面へと回る。
 彼女が残した言葉を耳に、花咲音もまた、自分の仕事の為に動き始めた。

 斧の亀裂。鉤爪の男の死角。ガジェットを伝って聞こえる、花咲音の一工夫。あるいは、気遣い。
 花咲音のカウントに合わせて、暗闇で、ひとり、知恵の布を脱ぐ。
 身体が軋む。捻り、捻れて、膨らみ、開いた口にずらりと並ぶ鋭い歯。真っ黒な目玉から、理性が、知恵が、消えてゆく。
 目の前の壁に、槍を突き立てる。血が出ない。そう。だからもっと。槍を伸ばす。血を求めて。ばきゃりと目の前が広くなる。でもまだ血が出ない。まだ伸びなければいけない。どんどん、どんどん、槍を伸ばして、巨大なモノを掘り進む。もっとだ。まだだ。もうすこし。血を。
 不意に、視界が開けた。
 ぎょろりと動かした目が、ヒトガタの何かを見つける。
 考えるまでもなく、跳んで、槍を、伸ばす。
 ――あれに、槍を、突き立てなければならない。
 最後に言葉として浮かんだ思考が、そのまま実行される。

『これが光ったら、こっちに男を全力ホームランしてね』
 男の背面に回ったガジェットの表面に文字を浮かべるという方法で伝達された内容に、はてなと思いながらも、まあいいかと透乃は引き受けた。
 実際、先ほどから、一進一退でお互いに吹き飛ばしあっているのだ。吹き飛ばされることは回避にも通じる辺り、目の前の男は実にわかっている。ああ、すっごく楽しい。
 楽しみのまま、合図通り、鉤爪の男を、斧の側面で思い切り遠心シュートを決めた。
 一時、男が遠く離れて。
「……? 何か来た?」
 目をこらそうとした透乃の目の前に、男が鉤爪に刺していた筈のにんじんが、重量相当の速度で落下してきた。
「おっと。……あれ、何かちょっと気配が」
 変わった、と言いかけた所で、目の前に複数のガジェットが集合し、次いで何か凄まじい波が通り過ぎるような感触があった。
 再び散ったガジェットの向こう。男の気配が高速で動き、先ほどと同じ波をばらまくのが、見えた。

 ――私の姿を、見ないようにして下さい。
 シィエーが残した言葉を吟味しながら、これで大丈夫かなあと花咲音は思案する。
 分裂したガジェットの一部は既に衛星に取り付き、一部を透乃のフォローにも回した。あとは、中空を漂う一部が、シィエーを受け止めようといつでも動ける。――それを望むかどうかが、どうにもわからないけれど。
「まあ、使う使わないは自由ってことで。備えあれば憂いなしだよね」
 彼女が衛星に残した孔から、複雑な回路を要所からカットしてゆき、緊急稼動している箇所へと潜りこませる。
 同時に、周囲に残したガジェットを起点に周辺の状況を見て――花咲音は、咄嗟に、ガジェットの多数を透乃とシィエーの防衛に回した。
 シィエーに貫かれた男が、先ほど以上の速度で飛びながら、鉤爪を虚空に振るっている。
 ――透乃との戦いぶりを見れば、あれが意味のない威嚇などである筈がない。
 その直感と共に、隠れ潜んだ己の周囲、そして展開したガジェットの周囲に、青色が漂う。
「わかった。――|こう使うんだね《・・・・・・・》」
 ガジェットと青色が真空波を受け止め、流し、その方角をすべて衛星へと向ける。
 新たに衛星に生じた夥しい損傷に、さすがに背中に冷たいものがよぎる。
「来てくれたんだね。ありがとう」
 漂う青色の他にも、色彩は細く枝分かれして伸びている。鮮やかな赤は透乃に。星のような黄色はシィエーに、続いている。
 か細く、とても長く。時間をかけて昇ってきたらしい色彩の続く遥か下には、猟兵たちの足跡で彩られた不思議の国があった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エダ・サルファー(サポート)
アックス&ウィザーズ出身の聖職者で冒険者です。
義侠心が強く直情的な傾向があります。
一方で、冒険者としての経験から割り切るのも切り替えるのも早いです。
自分の思想や信条、信仰を押し付けることはしません。
他人のそれも基本的に否定はしません。
聖職者っぽいことはたまにします。
難しいことを考えるのが苦手で、大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚りません。
とはいえ、必要とあらば多少は頭を使う努力をします。
戦闘スタイルは格闘で、ユーベルコードは状況とノリで指定のものをどれでも使います。
ただ、ここぞでは必殺聖拳突きを使うことが多いです。

以上を基本の傾向として、状況に応じて適当に動かしていただければ幸いです。


ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 猟書家の男の左腕が、かたかたと笑っている。
 それに呼応し、男もまた口元を吊り上げた。ひとときの狂気に身を浸し、高速移動の後の高揚が|機体《からだ》の隅々まで満ちている。
 相応に損傷もしているが、まだ己も衛星も無事に軌道上にある。
「我が故郷で不可能な闘争だ。――このようなことは!」
 言葉と共に鉤爪を振るう。飛来した弾丸がオレンジ色を帯びて弾けるのにも構わず攻撃元へと跳べば、銃と逆の手に持った剣から扇状の光が溢れてこちらを叩き、人影を後方へと遠ざける。
「ごきげんよう。挑戦的な招待状に応じて、終幕を見届けに参りました」
 空中で体勢を整えたローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)が、剣を手に淑女の礼を取って、僅かに顎を持ち上げる。
「花という花を灰色にしてしまう印象でしたけれど、その胸の薔薇は赤ですのね。その源は――」
 言葉と共に放たれた銃弾は、薔薇の精霊の魔力を帯びて空間を奔る。
 銃弾を鉤爪で払い、時に抉られながら前進する男は、銃弾の数と威力が増すごとに笑みを深くする。
「「闘争」」
 聞くまでもないことだ、という顔の男と鍔迫り合いをしながら、ローズは周囲に更に薔薇の花弁を浮かべ、オレンジが祝福するようにそれを彩る。
「心臓の位置にある、黒ずんだ薔薇。とても、『鉤爪の男』らしいこと」
 ――貫いても、動き続けるのかしら?
 一塊となった花弁の一撃に男が身を捩る。崩れた均衡の隙間から狙いをつけた精霊銃の一撃は、男の左腕の装甲を削るに留まった。
 それでも、と男を押し包むように花弁を周囲に展開する。中心に置かれた男は、右手の書物を掲げた。
「来い。生憎アリスはここには居ない、が――殺し尽くし生き延びて、私の闘争の列に続け。そうすれば」
 即座に距離を置いたローズが花弁と魔力を操作して距離を取る。
 遥か彼方にも、ひどく近くにも見える灰色の太陽から、悪魔が姿を現す。
「闘争し続ければアリスもその中だ。行け」
 悪魔が笑った。
 尽きぬ魔力を纏ったローズへと、多数の鎖が伸ばされる――
「ところがどっこい! 隆起しろ!」
 ローズのすぐ背後にあった衛星に強いエネルギーがぶつかる、突然その一部が吹き上がるようにして壁を形成。
 鎖を跳ね飛ばし、防ぎきった壁の上にふわりと着地したローズが、間髪をいれず、一輪の薔薇を、灰色の太陽へと投げつける。
 それまで余裕に満ちていた男が、僅かに眉を寄せた。
 すぐにオレンジの薔薇を払いのけるも、男の動作を見切ったようなタイミングで薔薇が飛び、悪魔の出現を阻止し続ける。
 であれば別の手を、と、男が切り替える。

 それまで、一分も満たなかった。
 だが、それは充分すぎる時間だった。

 隆起した壁は集まり、延び続け、召喚された悪魔の近くへ辿り着く。
 側面をしっかりと『掴んで』壁を蹴り、ためらいなく悪魔へと手を伸ばしたのは、衛星を掴んで適度な所までよじ登り機を伺っていたエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)だった。
「生まれた理由が闘争っていうのには、つべこべ言う気はないんだ」
 悪魔の首根っこを文字通りしっかりと掴み、壁を蹴った勢いに乗って、鉤爪の男の頭部へと、その頭部を全力で叩き付ける。
「ただ、やられっぱなしをよしとするなら、こんなとこまで昇っちゃ来ねえんだよ!」
 さすがにまともに頭突きを食らわされた鉤爪の男は顔を大いに歪め、悪魔の方はくたりと脱力してずるりと落ちる。
 衝撃から立ち直ろうとする男に、エダは蹴りを一つくれてやると、黄色を帯びた白に輝く拳を握る。
 この空間で動く為の、念動力。余りある祈りと気合。そして、この四肢があるならば。
「太陽まで吹っ飛ばしてやるよ、闘争大好きの爪オトコ!」
 踵に込めた力が、軽く動きすぎるこの空間で地上以上の力を生む。
 修行の日々で得た感覚を研ぎ澄ませて、エダはただまっすぐに、握った拳を突き出す。
 防ごうとした左腕を、狙い済ました弾丸が襲う。
 脅威ふたつ。優先順位がつけられないまま、咄嗟の反応は、銃弾を弾くことを選んだ。
 がらあきの胴に、エダの拳が真っ直ぐに吸い込まれる――

 星を思わせる速度で、鉤爪の男の身体が吹き飛んだ。
 侵略された太陽が、弱弱しく輝き、燃えている。その中心へと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティモ・バッケスホーフ
わー......
ずいぶんたかいとこにきちゃったな
宇宙とか衛星ってひびきにはわくわくするけど、ここは悪のそうくつ
この世界にわるいことするものは、きれいさっぱり排除しよう

剣をとりだしてかまえる
あの爪ぜったいヤバいやつだよね
むかってくる爪をおれの衛星ではじいてちかよらせない

剣に星のちからをまとわせて
攻撃衛星ごと、 鉤爪の男をまっぷたつ!
残骸が落ちていかないようにおれの衛星でこなごなにしていく

このアリスラビリンスに闘争とかいらないよ
全部壊しちゃって、 全部なくなっちゃって、 なんて
そんなのつまらない
俺は楽しいことは好きだけど、お前の楽しいことは嫌いだな


火土金水・明
「まさか、等身大オブリビオンマシンとは気が付きませんでした。まあ、オウガ・フォーミュラになれるくらいですから、何かは隠しているとは思ってはいましたが。」「相手が数を増やして攻めて来るのなら、こちらは戦場全体を範囲にして纏めて攻撃することにします。」
魔法の箒に跨って【空中戦】と【空中機動】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【ホーリーランス】を【範囲攻撃】にして、『猟書家『鉤爪の男』』と戦場全体を纏めて巻き込めるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【第六感】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です。」
アドリブや他の猟兵の方との絡み等は、お任せします。




 無理やりの侵略ですべてがあやふやになった空間に、攻撃衛星は損傷箇所から火花を散らしながらも未だ健在で浮かんでいた。
 見下ろせば、細く細く色彩を伸ばす不思議の国。それも、今は小指の先ほどにしか見えない。
「わー……ずいぶんたかいとこにきちゃったな」
 まろやかなフォルムの翼をふよふよさせて、ティモ・バッケスホーフ(|無辺際《ひかりのうみ》・f39747)は眼下の不思議の国から周辺に目をやった。
 くすんだ灰色の太陽。そのまん前に、男が浮かんで、書物を掲げている。
「あいつが、悪のおやだまなんだよね」
「そうですね。猟書家の中でも、ずっとアリスラビリンスに潜伏していた『鉤爪の男』……まさか、等身大オブリビオンマシンとは気が付きませんでした」
 ティモに応えながら、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は答えから逆算して幾つかの事項に思いを馳せる。言われてみれば、と納得出来る位に、筋道の手がかりが見えてくるものだ。
「まあ、オウガ・フォーミュラになれるくらいですから、何かは隠しているとは思ってはいましたが」
 本当に猟書家は謎が多い。その上、オブリビオンの枠に囚われない動きをしている節すらある。
 明が言い終えたタイミングで、灰色の太陽が、一際大きく震えた。
 ティモは瞬時にいやなにおいに似たものを感じる。
「オウガだ。いっぱい……よびだしてる。めいれいしてる」
 太陽から、次々と溢れ出す。すがたは悪魔。既に視線は男ともどもこちらを捕らえ、各々空中に鎖を伸ばし始めている。
 その様子に、数秒思考した明は、魔法使いの黒帽子を被り直して、あふれ出る悪魔たちを更に超え、もっと広くを視界に収める。
「相手が数を増やして攻めて来るのなら、こちらは戦場全体を範囲にして纏めて攻撃することにします」
「うん。宇宙とか衛星ってひびきにはわくわくするけど、ここは悪のそうくつ」
 あの衛星は一切を灰色にしてしまうだろうし、この宇宙は悪者が世界をいじめるために広げた空だ。
 ティモの口調が真剣みと静けさを帯びる。
「この世界にわるいことするものは、きれいさっぱり排除しよう」
「ええ。まずはオウガから、お掃除してしまいましょう」
 言うが早いか、魔法の箒は凄まじい勢いで加速し、地上からの柔らかな色彩がそこについてゆく。

 イメージは輝ける槍。軌跡は複雑な幾何学模様。多重に上乗せした詠唱で、槍はいかなる装甲も貫く強度を備え、神聖な光には|脈打ち続ける祝福《悪魔への苦しみ》を。
「クロ、もう一周」
 使い魔の鳴き声で、戦場を焼き尽くす槍の雨の出来上がり。
 そうして明が戦場を駆け巡るごとに、空中にいくつもの輝く幾何学模様が顕れ、神聖な輝きを帯びた槍が逃げ場なく悪魔たちを串刺しにしてゆく。
 明を捕らえようとしてか鎖を伸ばした悪魔も、脈打つように傷口で輝く光にもがき苦しみ、消えながら落下してゆく。
 それらを見送りながらも、思考より早く明は七色の杖を振るい、己の姿を真っ直ぐに貫いた鉤爪の持ち主に告げた。
「残念、それは残像です」
「そのようだ」
 明の言葉でなく、手ごたえに従って振るわれた鉤爪を魔力の壁で受け止め、箒の加速と七色の輝きで多数の残像を残しながら、鉤爪の男を翻弄し、時に槍の軌跡に誘導する。
「逃げの一手か。先ほどからの槍の雨、なかなか手ごたえのある威力だが」
「私の役目は、少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です」
 残像と防御で凌ぎ続けながら、男から目を逸らさず、明は告げた。
「ですからこれで打ち止め、……というわけでもないのですが」
 防御を貫かんと鉤爪を振り上げた男に、心の中だけで告げる。
 ――闘争に夢中で、背中ががら空きですよ。
 悪魔を蹴散らして飛んできたティモの剣が、男の背後で閃いた。

 星型の可愛らしいファンシーな衛星が三連で男を襲撃する間に、ティモは油断なく剣を構え直す。
 あの爪ぜったいヤバいやつだ、という確信は、明の多重爆撃を経た今でも変わっていない。
「このアリスラビリンスに闘争とかいらないよ」
 素早く呼び戻した衛星で爪を弾き、鉤爪の軌道が明らかに突き刺すことが狙いだと見てとって、ティモは常より低い声で言った。
「全部壊しちゃって、全部なくなっちゃって、なんて。そんなのつまらない」
 愉快な仲間たちとして、楽しいことや面白いことには、譲れない一線がある。
 不思議の国が毎日愉快で楽しいのは、大抵、愉快な仲間たちや訪れたアリス、それ以外のお客さんも含めたみんなが、楽しく過ごそうとしているからだ。
「私は。我が鉤爪は、とても楽しい。歓喜してやまない。底無しに、欲しがっている。求めているのだ」
 追いすがる爪を受け流し、時に切りつけて。時に明の魔法が追いかける中、二者の戦いの場は衛星近くへと移ってゆく。
 世界を滅ぼす準備を、今も続けている攻撃衛星。
「俺は楽しいことは好きだけど、お前の楽しいことは嫌いだな」
 勢い良く後退すると同時に、剣が星の力を帯びる。
 地上から昇る細い色彩が、ティモの残したすべてに報いて返そうというように彼を包んで、剣の切っ先へと集まってゆく。
 ティモが後退した意味、かれが手に込めた力を感じて、男の左腕がかたかたと笑う。
 歓喜と共に伸ばされた鉤爪へ、それまでとは比較ならない速度で飛んだティモの、輝きの剣が振り下ろされる。
 剣の軌跡は、男を捉えて、その背後、攻撃衛星をも切り裂いた。
「――!」
 可愛らしい星が追い討ちをかけ、攻撃衛星に背中をつく形で、もう一度飛び上がったティモを見上げて、『鉤爪の男』もまた飛びあがろうとする。
 その側面から星が突き刺さり、狂った軌道の中で『鉤爪』が伸ばされる。
 それを、全力で飛ぶ流星のごときティモの一撃が、攻撃衛星ごと真っ二つにする。
 崩れた鉤爪、その残骸をすかさず砕いて、衛星を操って、ちいさくちいさく、こなごなにする。
「不思議の国に、落っことしたり、絶対にさせない」
 衛星の殴打の合間、男が何かを言おうとしたようだった。
 その目は最後までティモを見て、その手足は最後までティモを捕まえようとして。
 ――身体中から弾けた火花と、小さな爆発ひとつだけを残して、その稼動を終えた。


 鉤爪の男だったものも、真っ二つにした攻撃衛星も、小さな爆発を起こしながら、ばらばらの破片になってゆく。
 ティモが砕いたぶんも合わせて、破片は爆発の途中で吸い込まれるように消えてゆき、――ふと、それら全ての音と景色が遠ざかる。
「書物と持ち主が失われたからでしょうか。恐らくもう、ここは維持出来ません」
「残骸も、だいじょうぶ? ――あ」
 目の前に、見えない壁が出来たような感覚。
 それはぐいぐいと、衛星の破片や焼けた頁を押しやり、残されたそれらは全部が壁になった内側に、消えてゆく。――無いものとして、排除されてゆく。
 一方、ティモと明もまた、やんわりと壁に押されたような、時計ウサギの穴を通ったような感覚を覚える。

 ――不思議の国が、呼んでいる。

 閃きが確信に変わったのは、ほんのすぐあと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年04月03日


挿絵イラスト