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熾火は照らすか、エースの冥加

#アリスラビリンス #クロムキャバリア #戦後 #鉤爪の男

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●アリスラビリンス・天使狙撃銃の国
 猟書家『鉤爪の男』は不敵に笑む。
 偽りの月、『骸の月』は完全に押し返された。彼が侵攻していた複合世界『アリスラビリンス』において彼が猟兵達よりも多くを持っていたのは時間だった。
「……来るか、猟兵達よ。しかし、時間は十分にあった」
 多くの配下は倒れた。
 だが、それは『鉤爪の男』にとって些細なことだっただろう。
 この状況こそが彼の望んだものの一端でしかないのだから。
「故に私も、総仕上げをさせていただこう」
 彼の手にしていた頭蓋覆う薔薇を持つ髑髏の装飾の成された蔵書が煌めく。
 その名は『量産型侵略蔵書』。

 かの蔵書がもたらす力は至ってシンプルだった。
『侵略蔵書』の『周囲の世界全てを、本の内容に取り込んでしまう』力。
 そう、彼が今まさに行っているのはアリスラビリンスの『不思議の国々を超弩級の闘争満ちるクロムキャバリアの戦場に書き換えること』である。
「『カーテンコール・ラビリンス』……! 現れよ、オブリビオンマシン。アリスラビリンスの全てを滅ぼし、『オウガ・オリジン』の遺した全てを手に入れよ」
 彼の手にした『侵略蔵書』によって書き換えられた戦場から砲火と共に飛び出したのは、鈍色の重装甲にフーレムを包んだ体高5mの戦術兵器『ガーディスト』であった。
 手にしたタワーシールドの如き武装と長物たるグレイブをを振るい、一気に不思議の国々を蹂躙していくのだ。

「猟兵たちよ、私はオブリビオンマシンと共に『獣人戦線』へと向かう。私は『ゾルダートグラード』と『人民租界』に通称ルートを持っている。オブリビオンマシンはさらなる闘争を呼ぶであろう」
 それは即ち、世界の破滅をもたらすもの。
『カーテンコール・ラビリンス』は『カタストロフ』であるということの証明。
 故に猟兵たちは知るだろう。
 それを止めるためには『鉤爪の男』を打倒しなければならない。

『鉤爪の男』は有り余る戦力で持って猟兵たちを押し留め、世界の破滅を引き起こせば良い。だが、彼はそうしない。
 逃げることも。
 隠れることも。
 いずれもしない。
 何故ならば。
「私が求むるのは超弩級の闘争、それのみであるが故に。さあ来い、猟兵たちよ!」
 彼の左手の巨大な鉤爪が雷を解き放つ。
 明滅する世界の中で彼は笑う。
 楽しげに。己に迫る超弩級の闘争を前に笑みをこらえることなどできようはずもなく。
「ユミルの直系たる等身大オブリビオンマシン、この『鉤爪の男』がお相手しよう――!」

●最終決戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はついに猟書家『鉤爪の男』との最終決戦……アリスラビリンスにて引き起こされた『カーテンコール・ラビリンス』によって書き換えられつつある国々を救う戦いでもあります」
 ナイアルテの瞳が爛々と輝いている。
『鉤爪の男』が振るう『侵略蔵書』の力は、世界を書き換える力。
 それによってアリスラビリンスの不思議の国々が戦場に書き換えられ、クロムキャバリアの戦場と化しているのだ。
 現地では愉快な仲間たちがオブリビオンマシン軍団を相手に懸命に抵抗を続けている。

「愉快な仲間たちの皆さんのおかげで、オブリビオンマシン軍団を押し返す度に『世界の書き換え』の力も弱まっていくようなのです」
 だが、彼らだけではどうにもならない限度tおいうものがある。
 例え、愉快な仲間たちがオウガとの戦いの経験があるとは言え、オブリビオンマシン『ガーディスト』たちの質と量の前には苦戦せざるをえないだろう。
「オブリビオンマシン軍団を撃退できれば、アリスラビリンス世界を『闘争の世界』へと書き換えるのを僅かに止めることができます」
 それは『鉤爪の男』に続く血路。
 だが、僅かな時間しか存在していないのだ。
 この隙に猟兵たちは『天使狙撃銃の国』を乗り越え、『鉤爪の男』を目指さなければならない。

「『天使狙撃銃の国』は不思議の国の何処かから何者かに狙撃され続ける世界です。『鉤爪の男』による世界の書き換えの影響か、その狙撃はどうやら無数の『クリスタルビット』によるもののようなのです」
 クロムキャバリア世界に存在したキャバリア武装の一つ。
 子機とも言うべき水晶体が『鉤爪の男』の元へと向かう猟兵を狙撃してきている危険な道のり。
 これを踏破して初めて『鉤爪の男』へとたどり着く事ができる。
 しかし、問題のオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は、その力は明らかに人間のそれを凌駕している。

「『鉤爪の男』、彼は人間大ながら通常キャバリア以上の戦闘性能を有する『等身大型オブリビオンマシン』なのです。さらに悪いことに彼はクロムキャバリアから持ち込んだ大量殺戮兵器、攻撃衛星『九竜神火罩』を不思議の国の空の上に高く打ち上げ、衛星軌道から無限に降り注ぐレーザー射撃で不思議の国もろともに皆さんを焼滅さんとするでしょう」
 つまり、『鉤爪の男』は人間大でありながらキャバリア以上の力を有しており、さらには衛星軌道上からの無限レーザー射撃で猟兵たちを追い詰めるということだ。
「攻撃衛星は高度400kmに位置しています。この攻撃衛星と『鉤爪の男』の両方を撃破しなければ……」
 不思議の国は滅び、『カーテンコール・ラビリンス』は成し遂げられてしまう。

 ナイアルテはそれがどんなに困難なことかを知っている。
 けれど、アリスラビリンスをカタストロフから救うためにはためらっている時間はあまりにも少ない。
「強敵と圧倒的な火力……いずれも予断を許さない状況であります。けれど、希望の灯火だけは絶やしてはならないのです」
 他世界を『鉤爪の男』のいうところの『超弩級の闘争』にさせぬためには、この困難な状況にこそ足を踏み入れなければならないのだから――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 ついにオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』との決戦になります。
『鉤爪の男』の正体は『等身大型オブリビオン』でした。
 彼がクロムキャバリアから持ち込んだ大量殺戮兵器、攻撃衛星『九竜神火罩』と大量のオブリビオンマシンを撃破するシナリオになっております。

●第一章
 アリスラビリンスの不思議の国々は既に侵略蔵書によって『超弩級の闘争の世界』へと書き換えられつつあります。
 ですが、飛来するオブリビオンマシン軍団を現地の愉快な仲間たちが押し留めています。
 彼らがオブリビオンマシンを撃破する度に世界を書き換えていた侵略蔵書の力が少しずつ弱まっていきます。
 つまり、オブリビオンマシンを撃破すればするほどに世界の書き換えの力は減衰し、押し返すことが可能なのです。
 彼らに加勢し、オブリビオンマシンを撃破しましょう。

●第二章
 冒険です。
 オブリビオンマシンを退けたことにより、わずかながらアリスラビリンスが『闘争の世界』に書き換わることが止まる時間が発生しました。
『鉤爪の男』へと迫る血路が拓かれましたが、しかし、彼へと続く世界『天使狙撃銃の国』は無数の飛翔する水晶体『クリスタルビット』の乱舞によって阻まれています。
 この隙を逃す手はありません。
 乱舞する水晶体の猛攻を、そして水晶体を手繰る存在を躱し、乗り越えて『鉤爪の男』へと迫りましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』との対決です。
 彼は『等身大型オブリビオンマシン』です。人間サイズながら通常キャバリア以上の戦闘性能を有しています。
 さらに上空400kmには彼が持ち込んだ攻撃衛星が座し、衛星軌道から無限に降り注ぐレーザー射撃が皆さんへと撃ち込まれ続けています。
 この攻撃衛星と『鉤爪の男』をどうにかしないことには、アリスラビリンスの国々は照度と化してしまうでしょう。

『鉤爪の男』と攻撃衛星、その両方を撃破しなければなりません。

 それでは、『超弩級の闘争』を望み、もたらさんとするオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』との最終決戦、皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『ガーディスト』

POW   :    グレイブカウンター
【EPキャバリアシールド】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【大盾】で必ず防御し、【RXキャバリアグレイブ】で反撃できる。
SPD   :    シールドアタック
【EPキャバリアシールドを押し出した】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【仲間】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    ヘビーガンナー
【両手持ちBSキャノン砲による砲撃支援体勢】に変形し、自身の【移動速度と|近接兵装《盾と槍》】を代償に、自身の【攻撃力と射程距離】を強化する。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「まーけーなーいぞー!」
 一斉に不思議の国を書き換えんとするオブリビオンマシンの大軍に樹木の如き体躯を持った愉快な仲間たちが駆け出す。
 根は足に。枝葉は腕に。
 彼らは不思議の国を守らんとする。
 いつか訪れる深く傷ついたアリスのためにこそ自分たちはいるのだ。そのためには、このふしぎの国を守らなければならない。
「鋼鉄の巨人だってー、ぼくらはー!」
 迫るオブリビオンマシン『ガーディスト』は、まるで草を刈るようにキャバリアグレイブを振るう。
 枝葉が散る。
 押し出されたキャバリアシールドの突進が、巨木の如き愉快な仲間たちを吹き飛ばし、キャノン砲の砲撃が炎を撒き散らす。
 まさに『超弩級の闘争』たる世界の先駆けのような光景。

 だが、それでも彼らは諦めない。
「立ち上がれー、みーんなー! アリスのためーにー! ぼくらができることをー!」
 彼らの巨腕の如き枝がオブリビオンマシン『ガーディスト』の鋼鉄の躯体を打ちのめす。
 ひしゃげる装甲、爆ぜる機体。
 一体のオブリビオンマシンを倒すと、世界を書き換える力が弱まっていく。
 それを見て、樹木の愉快な仲間たちは声を上げる。
「鋼鉄の巨人をーたおせばー! 書き換えられる世界のちからがー! よまわるー!」
 まだ絶望するには早すぎる。
 そうであるのならば、彼らはためらわない。砲火の中さえもためらわず進むのだ――。
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【WIZ】

遂に
鉤爪の男さんとの決戦…

自身のキャバリア
【フノス】に搭乗

『フノスちゃん、不思議の国を護る為にも…一緒に頑張りましょう…!』

フノス(はい、アリスちゃん、フノスも、頑張るのです…!)

味方と連携

機体背面の光翼で飛翔
【空中機動】【推力移動】等で
【空中戦】も行い
立体的に立回り

BXヴォーパルソードで
【切断】【なぎ払い】等の
近接攻撃や

BS-Fクリスタルトランプビットも展開
【エネルギー弾】の【誘導弾】を
【一斉発射】や【範囲攻撃】

機体を通じての
UCで
愉快な仲間を護り
猛吹雪で攻撃

『愉快な仲間さん達、大丈夫ですか…!』

敵の攻撃は
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動



 砲火荒ぶ中を進むは鋼鉄の巨人。
 その体高5mの戦術兵器の名を猟兵たちは知っているだろう。
 しかし、それは戦乱渦巻く世界クロムキャバリアに存在する兵器の名であり、アリスラビリンスには存在しないはずの兵器だった。
 打ち合う巨樹の愉快な仲間たち。
 だがしかし、砲火は彼らを打ちのめす。圧倒的な物量で持って世界を書き換える。それが『侵略蔵書』の力。
「うわーだめだー」
 打倒された愉快な仲間たちが呻く。
 
だが、彼らは見ただろう。
 戦場に煌めく光翼を。
 羽撃くように神姫の如き鋼鉄の巨人……否、可憐なる機神『フノス』の姿を。
「愉快な仲間たちさん……!」
 機神から響くは、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)の声だった。
 彼女が駆るプリンセスキャバリア『フノス』は光翼を広げ、そのアイセンサーをユーベルコードに輝かせる。
 オブリビオンマシンたちは、突如として現れた機神を前にキャノン砲を構える。
 敵が如何なる性能を持っているのかはわからない。
 けれど、彼らはマニュアルに従うように己たちの武装を捨て、砲撃でもって『フノス』を撃滅することを選んだのだ。

「『フノス』ちゃん、不思議の国を護るためにも……一緒に頑張りましょう……!」
『はい、アリスちゃん、フノスも、頑張るのです……!』
 機神と心通わせるアリスは、そのユーベルコードの輝きを解き放つ。
 それは氷河期魔法。
 【太古の氷姫の古代氷雪領界】(エンシェントプリンセス・アイスエイジレルム)とも言うべき、全てを凍らせる寒波にして吹雪。
 太古の氷雪をもたらすユーベルコードは、キャノン砲を構えようとしたオブリビオンマシン『ガーディスト』たちのフレームをきしませる。

「……――!!」
 彼らは何故己の機体が動かぬのかを理解できなかっただろう。
 機体の関節すらも凍りつかせる氷雪は、オブリビオンマシンと言えど、鋼鉄の戦術兵器であるからこそ凍りついていく。
「つめたーい。これは一体何なの……?」
「加護の力、です……愉快な仲間さんたち、大丈夫ですか……!」
 砲火によって燃えていた巨樹の愉快な仲間たちが枝を振って応える。
「だーいじょうーぶー!」
 見た目以上に彼らの戦闘能力はあるようだった。
 そんな彼らを見て安心したアリスは、『フノス』と共に動きを止めた『ガーディスト』たちに切り込んでいく。

 光翼が羽ばたき、不思議の国の空へと舞い上がる。
 クロムキャバリアに置いては、空を飛ぶことは自殺行為だ。
 けれど、此処においては違う。
 空に蓋をされていないからこそ、自在に飛ぶことが出来るのならば、地上戦を中心とした装備の『ガーディスト』たちは見上げることしか出来なかったことだろう。
「『クリスタルトランプビット』……!」
 光翼より放たれるカード状のビットが一気に『ガーディスト』たちを撃ち抜いていく。
 かろうじて氷雪の魔法から逃れた『ガーディスト』たちは、その爆発を見て後退していく。此方の攻撃が届かない遠距離で砲撃を加えるつもりなのだろう。

『アリスちゃん、敵が……!』
「切込み、ます!」
 手にしたキャバリアソードが煌めく。
 その刀身に煌めくは、空色のエナジー。
『フノス』が空を駆け抜けるように一気に『ガーディスト』たちに迫る。
 盾を構えようとするが遅い。
 振るう光焔刃の一閃が、『ガーディスト』の大盾ごと機体を切り裂き、両断する。
 その爆発を背にしながら『フノス』は更に飛翔を続ける。

 敵が『侵略蔵書』によって世界を書き換えるというのならば、一体でも多くのオブリビオンマシンを打倒しなければならない。
 未だ拓かぬ『鉤爪の男』への血路。
 ならばこそ、アリスは自身と『フノス』によって、その道を照らす。
 砲火奔る戦場において、自身のユーベルコードの煌めきと共に己の氷雪の髪からスノードロップの花は咲き誇るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

カーテンコールはさせマセーン!
アリスラビリンスの物語はまだまだ続けさせてもらいマスヨ!

ハロー、愉快な仲間たち!
安心してくだサーイ、ワタシたちが参りマシタ!
共に戦いマース!

なるほど、盾とグレイブによるコンビネーション!
数も相まって厄介な戦列でありますな!
であれば。カモン! バルタンズ!『バルバルバルバル!』

ミニ・バルタンたちを愉快な仲間たちに載せてもらい、散開!
ワタシが正面から攻撃してガーディストたちの注意を引き付けている間に、仲間たちに側面から一斉攻撃を叩き込んでもらいマース!
強力なグレイブであろうと、ビッグサイズのチェインハンマーで受け流せばダメージは抑えられマース!



『カーテンコール・ラビリンス』――それはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』がもたらすカタストロフ。
 炎の破滅もたらす『侵略蔵書』の力は、世界すら書き換える力を有している。
 鋼鉄の巨人、オブリビオンマシンが炎の中を進む。
 彼らは、このアリスラビリンスに、数多の世界に『超弩級の闘争』をもたらさんとしている。戦いだけが全て。戦いこそが己の存在意義であるというように、鋼鉄の巨人『ガーディスト』たちは進む。

 だが、それをさせぬと立ち塞がる者たちがいた。
 そう、不思議の国を護る愉快な仲間たちたちだ。彼らはいつか訪れるであろう深く傷ついたアリスのためにこそ存在している。
 アリスたちの心を癒やす大冒険。
 その助けとなるべく彼らはいつだって存在している。
 それこそが不思議の国の在り方だった。
「さーせない、ぞー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが鋼鉄の巨人たちと組み合う。だが、『ガーディスト』の手にした大盾が彼らを吹き飛ばし、手にしたグレイブでもって枝葉を薙ぎ払う。
「……」
 物言わぬオブリビオンマシンたちの目的は破滅。

 故に其処に意志はなく。
 ただ破滅をもたらすためだけに力を振るうのだ。振り上げたグレイブの刀身が炎に揺らめいていた。
 その瞬間、放たれた鉄球がグレイブの一撃を弾く。
「……!」
「カーテンコールはさせマセーン! アリスラビリンスの物語はまだまだ続けさせてもらいマスヨ!」
 鉄球に繋がれた鎖を巻き戻しながら現れたのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。
 彼女の振り回すチェインハンマーは体高5mのオブリビオンマシンの武装を弾いて有り余る一撃だった。

「ハロー、愉快な仲間たち! 安心してくだサーイ、ワタシたちが参りマシタ!」
「りょーへい、さんたちー!」
「ええ、共に戦いマース!」
 バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、一瞬何が起こったのかわからぬ程の捺さしな変化だった。少なくとも『ガーディスト』たちにとってはそうだった。
 そもそもが体高5mの鋼鉄の巨人たる己たちを前に立ち塞がるバルタンは人間大。取るに足らぬもの。
 そのバルタンよりもさらに小さな『彼女たち』――即ち、秘密のバルタンズ(シークレット・サービス)の姿を『ガーディスト』たちは脅威とみなさなかった。

「バルバルバルバル♪」
 だが、それが間違いなのである。
 バルタンが己を囮にしたことも、戦場の優位を猟兵たちに引き寄せた要因だろう。
「確かに『ガーディスト』、その盾とグレイブによるコンビネーションは数も相まって厄介な戦列でありますな! まさに古のファランクス陣形じみておりますが!」
 そう、密集陣形は確かに強烈だ。
 しかし、数が多くなればなるほどにタイミングを合わせるのが難しくなっていく。それが欠点だ。

 だが、オブリビオンマシンにとってタイミングをあわせることなど容易。故に、打ち破るのが難しいのだ。
「であれば!」
 振るうチェインハンマーの一撃が『ガーディスト』たちの盾に激突し、ひしゃげる。
 それでは止まらないのは百も承知。
「カオン、バルタンズ!」
 召喚されたミニ・バルタンたちが一斉に側面から『ガーディスト』たちに襲いかかる。
 お駄賃をバルタンは彼女たちに手渡している。
 お駄賃を上げるということは仕事に責任を負わせるということ。無償など戦い以外の時では称賛されるかもしれないが、戦いの時においては、それをもって果敢に戦わせる要因にせなるのだ。

 ならばこそ『ミニ・バルタン』たちの戦意は高いままだ。
「バルバルバルバルバル♪」
 彼女たちの一斉攻撃が側面から『ガーディスト』たちの群を打ち崩していく。
「ハッハー! やっぱりお駄賃があるとテンションあがりマース!」
「いーえーす!」
『ミニ・バルタン』たちの活躍と共にバルタンは愉快な仲間たちと共に迫りくるオブリビオンマシンの軍勢を押し戻すように、さらなる砲火の最中へと飛び込み、これを撃滅していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
遂に鉤爪の男と決戦の時か。
人間サイズのオブリビオンマシン、それが奴の正体だったとは。
しかも侵略蔵書の力に加え、あの哪吒が持っていた九竜神火罩まで
持ち出すなんて。
私達の手で、不思議の国を守らなければ……!

「夜の女王」に乗り込んで出撃、キャバリア戦だ!
サポートメカのフクロウさんEXに戦場の《情報収集》を
任せて、空中から敵部隊へ襲い掛かるぞ。
《空中機動》《操縦》《瞬間思考力》で敵の攻撃を躱しつつ、
【PSY-Bind】発動。目に見えぬプレッシャーで突撃の速度を落とさせ、
PSDホーネットによるマルチアングル《レーザー射撃》で
前から順に撃ち抜いていくぞ。どうした?
突撃隊が足を止めていてはダメだろ。



 砲火がもたらす炎の戦場を往くは鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『ガーディスト』。
 その大盾を構え、手にしたグレイブを振るう姿は圧倒的な戦いの気配を示しているものであった。
「――……」
 物言わぬ鋼鉄の巨人に立ち向かうのは、巨樹の愉快な仲間たち。
 彼らは枝葉を振るって鋼鉄の巨人を打倒さんとしていた。だが、数と質、両方において彼らは圧倒され続けていた。
「くーそー! 固まってつっこまれたら、だーめだー!」
 彼らの巨樹の身体が大盾と共に突進してくる『ガーディスト』の一撃に寄って吹き飛ばされる。

 地鳴りを思わせる音を響かせて愉快な仲間たちが倒れ伏す。
 そこに飛び込んでくる『ガーディスト』が振るうグレイブの一撃は、正しく首を狩るかのようなものであった。
 炎揺らめかせる刀身。
 そこに己の最後を見たであろう愉快な仲間たちの瞳がふせられる。
「待たせたな! 愉快な仲間たち!」
 それは『夜の女王』。巡るサイキックの輝きが炎のゆらめきすら消し飛ばすように輝いている。
「りょーへーさんー!」
「ああ、これより我等があなたたちを助けよう」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)の駆るサイキックキャバリアの一閃が『ガーディスト』を斬り裂いていた。

 だが、オブリビオンマシンたちに動揺はない。
 彼らはただオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』がもたらさんとしている炎の破滅『超弩級の闘争』の実現だけを願っている。
 それだけが己たちの存在意義であるかのように彼らは己の力を振るうのだ。
「『侵略蔵書』の力か……他世界の戦術兵器を持ち込んでくるとはな」
 ガーネットは『夜の女王』と共に戦場を疾駆する。
 空よりの強襲は一度きりしか通じぬ戦術。
 大地に降り立った後は、オブリビオンマシン『ガーディスト』たちと条件は五分。しかし、彼女はサポートメカである『フクロウさんEX』が上空より不思議の国の状況を俯瞰して捉えている。
「敵の勢力はまだ減ぜられていないか、ならば!」
 ガーネットの瞳がユーベルコードに輝く。

『鉤爪の男』の狙いは他世界を『超弩級の闘争』によって書き換えること。
 クロムキャバリアのオブリビオンマシンが不思議の国に乗り込んできており、そして、そのオブリビオンマシンを撃破すれば書き換える力が弱まるというのならば、答えは簡単だった。
「『鉤爪の男』……人間サイズのオブリビオンマシンであったというのは意外であるし、あの哪吒の持っていた攻撃衛星まで携えたというのなら!」
 己たちが守らねばならない。
『夜の女王』が迫る『ガーディスト』たちの突進を捉え、その瞳に輝くユーベルコード……エーテル波動の流れを読み解く。

 それは彼女以外には捉えることはできないものであったことだろう。
 生まれるエーテル波動の流れは、ガーネットのユーベルコードにして、上流たる己より下流に在りし者たちの空間認識能力を低下させる。
「……――!?」
『ガーディスト』たちは己たちのセンサーが正常に働かぬことを訝しんだだろう。エラーを吐出すシステム。
 けれど、認識できる敵機とを隔てる空間が認識できないのだ。
「どうした、突撃隊が足を止めていてはダメだろ」
 ガーネットは『夜の女王』と共に動きを止めた『ガーディスト』たちの間隙を縫うようにして走り抜ける。

 突破された、と『ガーディスト』たちが認識した時にはもう遅かった。
 それ違いざまに放たれたレーザー射撃が彼らを撃ち抜いて、火球に変える。爆発の中、しかしガーネットの、『夜の女王』の猛攻は止まらない。
 レーザー射撃を行っていたユニット『ホーネット』が宙に飛び立ち、さらなるオールレンジ攻撃でもって次々と『ガーディスト』たちを貫いていくのだ。
「……!」
「動けないだろう。これこそが、私の身体に流れるエーテル。千変万化の力によって縛鎖へと変わる私のユーベルコード!」
 PSY-Bind(サイキック・バインド)。
 それは不可視たる力を振るう力。

 見えぬ力に狂わされ、重圧を持って動きを止めた戦術兵器に利するところなど何一つ無い。
 そのさまをあざ笑うようにして飛ぶ『ホーネット』の導く火線の一撃が『ガーディスト』たちに何もさせぬまま不思議の国にて朽ちていく運命を刻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
クロムキャバリアの戦場に書き換える、環境改竄ですか…
いえ、今はやるべき事をしましょう

領域を展開し、ガーディストを爆弾化
愉快な仲間たちを巻き込まないように『浮遊型爆弾』として遠距離から迫るオブリビオンマシンの群れにぶつけて起爆
そのまま連鎖するように領域内のオブリビオンマシンを爆弾化させて一気にその数を減らしていきます

これは、我ながら凄まじいUCを作ったものですね
そう言って愉快な仲間たちを庇うように空気弾を作り出し、また出てきたオブリビオンマシンの軍勢にぶつけて爆散
そのまま押し切っていきます



 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の持つ『侵略蔵書』は世界を書き換える力を持つ。
 彼がアリスラビリンスに齎したのは、鋼鉄の巨人が戦場の主役たる世界クロムキャバリアの戦術兵器。
 砲火が不思議の国々を焼滅すかのように放たれる。
「させなーい、ぞー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが一斉に鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『ガーディスト』に飛びかかる。
 しかし、彼らは砲撃の一撃に吹き飛ばされる。
 移動することを止め、砲撃に特化した体制を取った『ガーディスト』はキャノン砲を構えている。
「大砲をばんばん、撃つなんてー!」
『ガーディスト』たちは敵の戦力に合わせて、接近戦を仕掛ける機体、防御を固める機体、砲撃を行なう機体に役割を分担していた。
 如何に巨樹の愉快な仲間たちが巨体であったとしても、これらを打ち破るのは容易ではなかった。

「クロムキャバリアの戦場に書き換える、環境改竄ですか……いえ、今はやるべきことをしましょう」
 フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)はその瞳をユーベルコードに輝かせる。
 領域内全ての存在を爆弾に変える力。
 彼女の瞳に映る『ガーディスト』たちは、全てが平穏を脅かす敵であり、悪である。少なくとも彼女にとってはそうだった。
「崩壊するは肉体と精神と魂魄。それは魂に宿る衝動を以て奈落を具象化する元型、その名を赤き糸の結合者と呼ぶ」
 聖女の深域・奈落へは燃え上がり灰塵となる様に(ドメインエクスパンション・クイーンズルクスリア)炸裂するユーベルコードは『ガーディスト』の一体を爆弾に変える。

 浮かび上がる『ガーディスト』に他の『ガーディスト』たちは戸惑ったかしれない。
「味方である機体を攻撃することはないでしょう。なら」
 フレスベルクの願いは、敵と悪の排除だである。
 領域の内部に存在する『ガーディスト』を爆弾化の異能でもって爆発させる。
 連鎖するように爆弾化された『ガーディスト』たちが弾けて爆炎の中に消えていく。

「これは我ながら凄まじいユーベルコードを作ったものですね」
 彼女は戦場にあって滅びるオブリビオンマシンの残骸の破片が降り注ぐ大地を見やる。
 敵の数は膨大である。
 膨大であるがゆえに彼女の爆弾化の異能を避けられない。
 そして、連鎖する爆発は次なる爆弾となる『ガーディスト』を吹き飛ばしていく。
「連鎖する爆弾化の異能は止められず、爆散していく定めと知りなさい」
「爆発がーつながっていくー!」
 巨樹の愉快な仲間たちは、その爆発の中を走る。
 彼らが戦うのは不思議の国々を護るためだ。
 アリスたちがいつか訪れる日を待ちわびる。深く心を傷つけられたアリスたち。彼らを迎え、共に冒険の日々に旅立っていくためには。

「『超弩級の闘争』たる世界は必要ない、ということでしょう。それならば、このまま押し切っていきましょう」
 フレスベルクは、その瞳をユーベルコードに輝かせ、爆炎荒ぶ血路を切り開いていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
クロムおキャバリア出身の悪者の成敗はクロムおキャバリア出身の猟兵にお任せあれ!
愉快なお仲間の皆様〜!
わたくしとヴリちゃんがお助け致しますのよ〜!
ヴリちゃん!クロムジェノサイダーですわ!

でっけぇお盾ですわね!
ヴリちゃんと良い勝負ですわ!
鉄壁の防御の必勝法…それは!
物理で殴るのですわ〜!
構えているお盾に真正面からヴリちゃんパンチ!
当たれば必殺パイルブレイク!
そのご立派なお盾を粉々にして差し上げますわ〜!
槍をシールドでガード!
お手々をアンカークローで捕まえてギロチンシザーでちょっきん!
反撃のスマッシャーテイルですっ転ばせるのですわ!
愉快なお仲間の皆様〜!フルボッコにするなら今の内でしてよ〜!



「愉快なお仲間の皆様~!」
 それは砲火荒ぶ戦場より、遠く聞こえる声だった。
 鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『ガーディスト』たちの構える大盾とグレイブの一閃を受け止めながら巨樹の愉快な仲間たちは、その声に周囲を見回す。
 だが、声しか聞こえない。
 一体全体どうしたことだろうかと彼らは首をかしげそうになる。
 けれど、今は戦いの最中だ。
 少しのよそ見が命取りになってしまう。
「……――」
 それ以上に脅威は眼の前の鋼鉄の巨人だ。

 彼らは疲れ知らずであり、また同時に恐怖を知らぬかのように愉快な仲間たちに突進してくるのだ。
「わたくしとヴリちゃんがお助け致しますのよ~!」
 まただ、と巨樹の愉快な仲間たちは思った。
 一体全体どこから……と今度こそ愉快な仲間たちは目を丸くして、その威容を見やるしかなかった。
 そこにあったのは、暴竜。
 いや、違う。
 それは暴竜型のキャバリア。
 二足歩行する黒き巨竜『ヴリトラ』。ラージシールドを構えた暴竜が突進によって組み合っていた『ガーディスト』を吹き飛ばすのだ。

 鋼鉄同士が激突し、火花散らす中、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は高らかに宣言する。
「暴力! 何事も暴力で解決ですわ~! クロムおキャバリア出身の悪者の成敗は、クロムおキャバリア出身の猟兵こと、このメサイア・エルネイジュにお任せですわ~!」
 その言葉に応えるように『ヴリトラ』のラージシールドが唸りを上げる。
 しかし、『ガーディスト』も負けていはいない。
 打ち合うシールド同士が軋む。
「……――」
「ヴリちゃんの突進を受け止めるとは中々やるようですわね! ですが、鉄壁の防御の必勝法……それは!」
 メサイアの言葉に応えるように『ヴリトラ』のサブアームに懸架されたラージシールドが打ち放たれる。
 
 その一撃は、俗に言うシールドバッシュとも言うべき一撃だったことだろう。
 盾と盾がぶつかる。
「そう! 物理で殴るのですわ~! どれだけガードを固めていても、衝撃は内蔵に到達するのですわ! ほらストマッククエイクですわ! ハートブレイクショットですわ!」
 あ、それ、ワンツー! とメサイアの掛け声に合わせて『ヴリトラ』のサブアームがシールドを打ち付ける。
 その一撃に鋼鉄の巨人たるオブリビオンマシン『ガーディスト』の巨体の足が浮く。
 それほどまでのパワー。
「どんなガードもヴリちゃんのパワーなら、風通しを良くして差し上げましてよ~!」
 ユーベルコードに煌めく『ヴリトラ』のアイセンサー。
 瞬間、シールドの隙間から『ヴリトラ』の前脚から放たれるインナーパイルの一閃がパイルブレイクの一撃となって放たれ『ガーディスト』のシールドを一瞬で撃ち抜くのだ。

「一体に感けていたら背後からやってくるのは悪者の常套手段ですわね!」
『ヴリトラ』が振り向きざまに振るうはアンカークロー。己に振るわんとしていた『ガーディスト』のグレイブもつ腕部を掴み上げ、引き寄せながらシールドに備わったギロチンシザーが切り裂く。
 さらに振り向きざまのスマッシャーテイルが脚部を薙ぎ払う。
 重たい音を立てて沈む『ガーディスト』を捨て置き、メサイアは『ブリトラ』と共に戦場を疾駆する。

「愉快なお仲間の皆様~! フルボッコにするなら今のうちでしてよ~!」
「ぼっこぼこ!」
 巨樹の愉快な仲間たちにトドメを任せる。
 メサイアが往かねばならぬのは、『鉤爪の男』の元。
 故に、痛めつけた『ガーディスト』にかまっている暇はないのだ。血路拓かんとする『ヴリトラ』の咆哮が轟き、メサイアはさらに突き進む――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
『超弩級の闘争』だって。
たたかうのはわたしも好きだけど、そんなに物騒なのをここに持ってくるのは違うよね
ここは不思議の国。綺麗で残酷な、誰かさんの夢の世界
だったら、そう。出てくるとすれば怪物の方が似合わない?

【深緑、豊穣なる守護を見せよ】
『高き森の怪物』に変身しつつ『高き森』を周囲に広げて、頑張ってる愉快な仲間さん達を助けてあげるよ
わたしの森が混じるけど、向こうと比べたらどうってことないよね
わたしが先頭に立って注目を集めるから、みんなもうひと踏ん張りだよ

大きなマシンも、今のわたしからすれば片手に収まるお人形さん
お行儀は悪いけど、足蹴にしてあげる
おもちゃのように片付けてあげる



『超弩級の闘争』――それはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が求めるものである。
 そして、同時に世界にもたらされるものであった。
 書き換えられる世界。
 戦火が満ちる不思議の国々。
 そこにあったのは、何処までも破壊のための炎だったことだろう。砲撃の火線が空に刻まれる度に、不思議の国々は燃えていく。
 その光景をみやり、確かにこれはその通りなのだろうとアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は思った。
「たたかうのはわたしも好きだけど、そんなに物騒なのをここに持ってくるのは違うよね」

 ここは不思議の国々。
 綺麗で残酷な、誰かのための世界。
 誰かとはアリスたちのことだ。深く心を傷つけられた者たちがやってくる世界。どうしようもなく残酷だけれど、美しい世界だ。
 鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『ガーディスト』が燃え落ちる世界に進む。
「アリスのために、がんばらないとー! おー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが鋼鉄の巨人と組み合う。
 確かにこれは悪夢のような世界だろう。けれど、とアウルは思うのだ。
 仮にこれが冒険のための世界であり、アリスが踏破しなければならない道筋なのだとしても。
「出てくるとすれば、怪物の方が似合わない?」
 彼女の瞳がユーベルコードに煌めき、彼女の姿が『高き森の怪物』へと変貌する。

 地に根差し、天を貫く、いと高き森の主よ。
 深緑、豊穣なる守護を見せよ(メラム・フワワ)。
 歌うように紡がれるユーベルコード。
 聖なる光で満ちた『高き森』が戦場の領域を塗りつぶしていく。
「森が光ってるー!」
「わたしの森が混じるけど、向こうと比べたらどうってことないよね」
 巨樹の愉快な仲間たちにアウルは微笑みかける。
 彼ら、それはそうかもーと頷く。
 炎がうずまき、戦いばかりが起こる世界。それをきっとアリスは喜ばないだろう。

 だから、と彼らはアウルを先頭にして戦い続けるのだ。
「みんなもうひと踏ん張りだよ」
 アウルは聖なる光で巨樹の愉快な仲間たちを癒やし続ける。
 己が前に立っている限り、己のユーベルコードは彼らを助け続けるだろう。アリスのために、深く傷ついた誰かのためにと戦う彼らこそをアウルは失ってはならぬと思うのだ。
「だから、大きなマシン。あなたたちはここには要らないの」
 彼女の巨躯は、まるで鋼鉄の巨人を意に介さない。
 砲撃が集中しても、聖なる光が即座に傷を癒やしていく。それ上に巨躯へと変身した彼女を『ガーディスト』たちは止めようがなかっただろう。

 彼女の足が持ち上がり、まるで床に散らばる玩具を足でどけるようにして振るわれる一撃が『ガーディスト』を吹き飛ばしていくのだ。
「今のわたしからすれば片手に収まるお人形さんたち。お行儀が悪いって言わないでね。これはお片付けなのだから」
 アウルは微笑むようにしなが、『ガーディスト』たちを蹴散らす。
『高き森の怪物』は笑う。
 例え、悪夢の如き世界であったとしても。
 ここに必要なのは己のような怪物なのだ。得体のしれぬ者。巨大なるもの。踏破せねばならぬのが怪物であるというのならば、『ガーディスト』たちオブリビオンマシンは戦火を広げるためだけの存在。

「あら、壊れちゃったのだわ」
 蹴り飛ばした『ガーディスト』の残骸を見やりながらアウルは巨躯を以て切り開かれた道を往く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
速やかに終えるか

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、斉射
更に射出の瞬間を無限循環。戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

創世し最古の理に例外はなく、全知の原理が逃すことはない
俺に数の力は役に立たんぞ
早々に退場するが良い

※アドリブ歓迎



 鋼鉄の巨人は体高5mの戦術兵器である。
 彼らはアリスラビリンス世界の怪物でもなければ、ブリキの巨人ですらない。
 クロムキャバリア、戦乱続く戦術兵器が戦場の花形たる世界からの来訪者にして、オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の男が齎した大戦力である。
 不思議の国々を次々と戦場に書き換えていく『侵略蔵書』の力。
 それは脅威と呼ばざるを得なかった。
 巨樹の愉快な仲間たちが必至に抵抗してはいるが、彼だけではいつかはオブリビオンマシンの数と質によって押し切られてしまうだろう。
「やーばいー! とまらなーい!」
 彼らは枝葉を広げてオブリビオンマシン『ガーディスト』の侵攻を阻む。

 けれど、構えたキャノン砲の砲撃を防ぎきれない。
 砲火が荒ぶ。
 何処まで行っても破壊をもたらすことを存在意義とする兵器とアリスと共に冒険の旅に向かおうという愉快な仲間たちとでは決定的に違っていたのだ。
 だが、そんな彼らの前に満ちる光があった。
 それは蒼の燐光。
「速やかに終えるか」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)にとって砲火は意味をなさなかった。

 戦場にありて全てを見通す原理。
 攻めるも守るも全てが纏う十一の原理によってあらゆる害を世界の外へと破棄する。
 余波という余波も起こらない。
「――……」
 迫る鋼鉄の巨人たち。
『ガーディスト』たちが放つ砲火はアルトリウスの眼前で立ち消えていく。
 その光景にたじろぐことはなかった。
 ただ砲火を打ち込み続ける。如何なる原理があるのだとしても、飽和攻撃を以て攻め立てれば、いずれ敵は滅びる。
『ガーディスト』たちはそう考えたのだろう。
「お前たちはここで行き止まりだ」
 アルトリウスの瞳がユーベルコードに輝く。

 創世の権能が顕す蒼光の魔弾が、障害を無視し万象を根源から消去する力を以て『ガーディスト』たちを討ち滅ぼしていく。
「弾切れを狙っているのならば、それは意味のないことだ」
 原理を回す。
 高速詠唱に寄って紡がれ、無限に加速して循環していく天を覆う魔弾。
 射出の瞬間を無限循環し、戦域を埋め尽くす魔弾は降り注ぐ雨よりも隙間なく戦場を満たしていくだろう。

「創世し最古の理に例外はなく、全知の原理が逃すことはない」
 アルトリウスは静かに睥睨する。
 見下ろす戦場は有象無象そのものだった。
 鋼鉄の巨人が如何なる存在であろうと関係ない。オブリビオンマシンであろうと、そうでなかろうと、数を頼みにする以上。
「俺に数のチアkらは役に立たんぞ。早々に退場するが良い」
 大地を濡らし、潤す雨の如き魔弾は戦場を埋め尽くしていく。

 魔弾の雨の後に残るのは虹ではなく、破界(ハカイ)の痕のみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
敵軍を見て
「此処はアリスラビリンスの筈だが。
この数のオブリビオンマシンが攻めて来るとは。
これも侵略蔵書の力か。」

フレイムテイルから炎を放ち愉快な仲間たちを援護しつつ
「無事かい?遅くなったけど助けにきたよ。
だけどもう少し戦って。俺の事を守って貰いたい。」
と不浄なる不死王の軍勢を発動。
「君達の事は奴らが守るから。」
死霊と魔物を敵に差し向ける。

「どうやら数を頼みにしているらしいが。
そう言うのはこっちも得手だ。」
死霊を敵にぶつけて綻びが出来た所に集中して
魔物を当て、魔物は死霊を貪り力を増しながら進撃させる。

戦列が崩れ乱戦となったところで不死王が出現し
死霊、魔物諸共敵を攻撃。
「地獄へご案内と行こうか。」



 戦火広がる戦場と化した不思議の国々を闊歩するのは鋼鉄の巨人。
 その名をオブリビオンマシン『ガーディスト』。
 大盾を構え、大筒の如きキャノン砲を携えた巨躯。それはどう考えてもアリスラビリンスの不思議の国々には似つかわしい威容だったことだろう。
 少なくとも、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)はそう思った。
「此処はアリスラビリンスの筈だが。この数のオブリビオンマシンが攻めて来るとは。これも『侵略蔵書』の力か」
 彼の言葉通りだった。
 これはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の持つ『侵略蔵書』の力だ。
 世界を書き換える力。

 それによってアリスラビリンスの不思議の国々は今やクロムキャバリアの戦場へと書き換えられているのだ。
 圧倒的な数と質。
 如何に巨樹の愉快な仲間たちがオウガとの戦闘経験を持っているのだとしても、膨大な数の前には圧倒されてしまうだろう。
「だーめだー! やっぱり押されてしまうー!」
 彼らも懸命だった。
 この不思議の国々は深く傷ついたアリスを出迎えるためのものだ。
 どれだけ自分の扉を見つけ出す冒険の旅に出るために立ち寄るだけにせよ、彼らには彼らの役目がある。
 だからこそ、オブリビオンマシンに抵抗し、砲火を受けながらも立ち上がったのだ。

 彼らを討ち滅ぼさんとする『ガーディスト』がキャノン砲を構える。
 だが、そこに炎が飛ぶ。
 それはフォルクの放った炎だった。
「無事かい? 遅くなったけど助けに来たよ」
「りょーへーさん!」
「ああ、だけどもう少し戦って。俺のことを守ってもらいたい」
「かまわない、よー!」
 フォルクは巨樹の愉快な仲間たちが自分を守るように布陣してくれたことに感謝する。
 ともに戦うこと。
 己の瞳がユーベルコードに輝き、フードの奥で紡がれる言葉が力をもたらす。

「偉大なる王の降臨である。抗う事なかれ、仇なす事なかれ。生あるものに等しく齎される死と滅びを粛々と享受せよ」
 己は一歩も動けなくなる。
 戦うことも、傷を追えば、このユーベルコードは解除される。
 しかし、今己を守る者たちがいる。
 彼らへの信頼を。彼らのアリスに向ける思いを。それらを信じるからこそ、フォルクは頼んだのだ。
「不浄なる不死王の軍勢(デスロード)の力を舐めるなよ。数を頼みにしているらしいが。そう言うのはこっちも得手だ」
 無数の死霊たちが迸るようにして『ガーディスト』たちに迫る。

 数と数。
 拮抗するように互いの力が激突する。
 死霊は砲撃に寄って吹き飛ばされるが、しかしさらにそれらを貪り力を増す魔物の群れが後詰のようにさらに迫るのだ。
「無駄だ。どれだけ先鋒を打ち払ったとて」
 フォルクの言葉通り、死霊を食らった魔物たちは、さらに『ガーディスト』たちを滅ぼしていく。
 だが、本領は此処からだった。
「不死王よ、数を頼みにする弱者共を打ち払え。さあ、地獄へご案内と行こうか」
 フォルクの言葉に応えるようにして現れるは、無数の死霊を、それらを喰らい力をマシタ魔物群れを束ねたとしても届かぬほどに強力無比たる骸骨姿の不死王であった。
 その剣が掲げられる。

「数は無意味。格別たる個の力によって群れは霧散するものと知るがいい」
 フォルクの言葉と共に放たれる一閃が戦場を分かつように放たれ、『ガーディスト』の軍勢を粉砕するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『鉤爪の男』がオブリビオンマシンだったとはね。
アリスラビリンスも獣人戦線も、これ以上の惨禍に晒させない!

「竜脈使い」で大地の気を把握し、「全力魔法」「範囲攻撃」「衝撃波」「仙術」「道術」で地烈陣。
盾を構えて攻撃を受け止めるつもりのキャバリアを、足下から崩す。
足下の地盤を砕けば、立ってさえいられないわよね。

隊形が崩れたところで、上空に待機させていたGPD-331『|迦利《カーリー》』からの「レーザー射撃」で撃ち抜いていくわ。
体勢の立て直しなんて認めない。
地烈陣を連打して、地の底へ埋葬してあげる。のし掛かる岩盤の重量で押し潰されなさい。

あたしの担当はこのくらいかな。他の援護に行かなくちゃ。



 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は猟書家である。
 その存在、その出自は謎に包まれていた。
 しかし、彼が語る所の『超弩級の闘争』とは、即ち戦乱満ちる世界であるということなのならば、他世界を知る猟兵たちは連想させられたことだろう。
 鋼鉄の巨人たる戦術兵器が闊歩する世界。
 クロムキャバリアの存在を。
「『鉤爪の男』がオブリビオンマシンだったとはね」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)にとっては意外な事実であったことだろう。
 オブリビオンマシンは即ち過去の化身たる鋼鉄の兵器。
 ならば、人間大である『鉤爪の男』は、それらを駆る者であったと思ったとしても不思議ではない。

 けれど、彼は等身大型オブリビオンマシン。
「その目的が他世界に『超弩級の闘争』をもたらすというのなら……アリスラビリンスも獣人戦線も、これ以上の惨禍に晒せない!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 龍脈を知覚し、大地の気を把握する。
 己の全力を以て輝くユーベルコードは、戦場全域を地震で砕く一撃。
「地烈陣(チレツジン)……! 足元から瓦解する一撃に盾など無意味であると知りなさい!」
 大地が割れる。
 不思議の国々の大地が崩落し、『ガーディスト』たちが巻き込まれていく。
 ひしゃげる装甲とフレーム。
 だが、それでも『ガーディスト』たちはた体高5mの戦術兵器である所の性能を見せる。如何に崩落に巻き込まれるのだとしても、それが人型であり、戦術を手繰るというのならば、それを乗り越えるだけの力がある。
 クロムキャバリアにおいて、花形である戦術兵器。
 その最たる所以を示さんとしていたのだ。装甲をひしゃげさせ、破片を散らせる。それでも、崩落から逃れようとするのは、オブリビオンマシンの性能の高さを思わせる。

 その破片が飛び散る中、空中を飛ぶものがあった。
 逆三角形のシルエット。
 それはゆかりの手繰る自律キャバリア、GPD-331『迦利』だった。
「……――」
『ガーディスト』たちは崩落に巻き込まれながらも、体制を整えようとしていた。
 けれど、それをさせない。
 ゆかりは、そのためにこそ『迦利』を上空に待機させていたのだ。
 この瞬間のために。

「地の底へ埋葬してあげるわ」
 空より放たれるレーザー射撃が『ガーディスト』たちの装甲を貫く。
 さらに其処にゆかりのユーベルコードが煌めく。
 大地がさらに割れる。
 地震が断続的に、途切れることなく放たれ続ける。割れた大地に巻き込まれ、さらなる崩落に寄って迫る岩盤の重量はオブリビオンマシンが支えきれるものではないだろう。

「素直に押しつぶされなさい」
 ゆかりは『迦利』が空で翻るのを見やる。
「あたしの担当はこのくらいかな。他の援護にいかなくちゃ」
 戦線は未だ膠着している。
 圧倒的な数と世界の書き換え。
『鉤爪の男』の目論見は、世界を渡ること。
 彼の語る言葉が真実であるというのならば、彼自身を行かせてしまえば、少なくともアリスラビリンスと獣人戦線という二つの世界が戦火に巻き込まれることになる。

 それをさせはしないと、ゆかりは開かれる血路を以て『鉤爪の男』へと迫るべく戦場を渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
({舞狂人形}のコクピットで話しかけるように呟く)
鉤爪の男…奴にはこの世界を傷つけてきた報いを受けさせねばなりません。
苦しい戦いになると思いますが最後まで共に戦い抜きましょう。
(直立していた舞狂人形が答えるように左足、右足の順に大地を踏みしめるように力強く足を繰り出し、左腕、右腕の順に押しのけるように勢いよく腕を伸ばすと{岩石の旋律}で『ダンス』を始める)
さぁまずはこの地に蔓延る屑鉄どもを粉砕してやりましょう。
(UC【蠱の宴】で敵の動きを阻害すると敵の装甲の薄い所を狙って『衝撃波』を纏った蹴りで『貫通攻撃』を行う)



 戦いとは常に苦しく辛いものだ。
 それを知っているからこそ、アリスラビリンスを戦乱に導こうとするオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』のことを播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は許してはおけないと思った。
 彼女が乗るジャイアントキャバリア『舞狂人形』のコクピットで静かに呟く。
「『鉤爪の男』……奴にはこの世界を傷つけてきた報いを受けさせねばなりません」
 ゆっくりと直立していた機体が左足、右足の順に大地を踏みしめるようにして繰り出す。

 その挙動をオブリビオンマシン『ガーディスト』たちは如何なるものであると判断しただろうか。
 挙動を確かめるための動作であったのならば、戦場に在ってこれ以上無いくらいに無意味であった。
 それは戦場に来る前に終わらせておくべきことであったからだ。
「苦しい戦いになると思いますが最後まで共に戦い抜きましょう」
 クロリアは呟く。
『舞狂人形』は応える。
 伸ばされる腕部。
 押しのけるような動作に『ガーディスト』たちが突進してくる。掲げた大盾は、それだけで質量攻撃となるだろう。
 華奢なフレームと軽装甲しか保たぬ『舞狂人形』においては防ぎ切れるものではなかった。

 けれど、クロリアは躊躇うこともなければ、不安を覚えることもなかった。
「さぁまずはこの地に蔓延る鉄屑共を粉砕してやりましょう」
 クロリアの瞳がユーベルコードに輝くのと同時に『舞狂人形』のアイセンサーが煌めく。
 かのキャバリアが見せた挙動はダンス。
 見るものにとっては、そのように思えただろう。
 だが、鋼鉄の巨人にしてオブリビオンマシンである『ガーディスト』たちには理解できぬことであった。
 理解できるものでもなかった。
 何故ならば、彼らは戦術兵器。
 その存在意義を問うのならば、戦うことだけだった。ダンスを理解することなどできようはずもない。必要としていない機能だからだ。

 故に、蠱の宴(コノウタゲ)を彼らは楽しめない。
「故に鉄屑と称しました。この旋律を理解できぬ者、楽しむということのできぬ者は」
 そう、そのユーベルコードはダンスによって生み出された旋律を楽しまぬ者たちの行動速度を5分の1にまで減少させるもの。
『舞狂人形』を前にして、それの速度現象は致命的だった。
 どうしようもないほどに決定的だった。

 振るわれる脚部の一撃が衝撃波を放ち『ガーディスト』たちを切り裂き、貫く。
「ただ、この振るう一撃を前に倒れることしかできぬと知りなさい。難しいことではないはず。楽しめば良いのです。ですが、それさえ出来ぬのでしょうね」
 クロリアは彼女の言葉通りに鉄屑へと姿を変えた『ガーディスト』たちを見下ろし告げる。
 かの鋼鉄の巨人たちは骸として朽ちるのを待つことしかできない。
 それを哀しいとは思わない。
 兵器は戦火を呼ぶ。
 確かに兵器は力だ。あらゆるものを押さえつけることができるだろう。使い方に寄っては、戦い以外のことをも成すことができたかもしれない。

「けれど、オブリビオンマシンに限っては、それさえできない。破壊だけ、戦火だけをもたらすことしかできない。『超弩級の闘争』……それは世界の破滅と同義。ならば」
 共に戦うと言った『舞狂人形』がステップを刻む。
 岩石の旋律。
 それは揺るがぬ意志を示す旋律。堅牢に、雄々しく。
 ただ、そこにあり続けることを表現した旋律は、戦火すら遠ざけるように戦場に響き渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:灰遠雷

ええ、参りましょう。終幕なぞさせませんからねー。
愉快な仲間の皆さんの奮闘に、負けないようにしませんとー。

霹靂に乗りましてー。しっかりと敵を視認しましてー。
UCを使用。機械というものは雷に弱いと聞きますしねー?

守るというのは、四悪霊の誓いですからねー。

※はりきるぷきゅクエ※
霹靂「クエッ!」
三半規管完全復活ok!守るためにも飛ぶ!
雷属性の攻性結界も張って、体当たりもできるようにしている
陰海月、四天流星を豆まきのように投げる。もちろん、しびしびするように雷つき!



『カーテンコール・ラビリンス』は宣言された。
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は、不思議の国々を『侵略蔵書』の世界を書き換える力によって『超弩級の闘争』へと変えようとしている。
 その一端としてクロムキャバリアの戦術兵器『ガーディスト』たちが跋扈する。
 砲火が荒ぶ。
 戦火があらゆるものモヤシ突くさんとして居る。
 巨樹の愉快な仲間たちがこれに抵抗しているが、数と質が違いすぎる。一体一体を倒していけるのだとしても、次から次へと書き換えられる世界から溢れ出してくるのだ。
「ええ、参りましょう。終幕なぞさせませんからねー」

 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はヒポグリフである『霹靂』に跨がり、抵抗を続ける巨樹の愉快な仲間たちを見下ろす。
 彼らの奮闘に、その意志に応えなければならない。
「クエッ!」
 先日の戦いから回復した『霹靂』の嘶くような声を聞き『疾き者』は頼もしく思うことだろう。
 守るために戦うこと。
 それができること。
『霹靂』は『疾き者』の心も、巨樹の愉快な仲間たちの心も解する。
「彼らに、彼らの奮闘に負けないようにしませんとー」
 その細められた瞳の奥でユーベルコードが煌めく。

 無数の敵。
 戦場を闊歩する鋼鉄の巨人たちを『疾き者』は見据える。
 己のユーベルコードは視認した全てを追尾する矢でもって射抜く力。
 ならばこそ、彼の瞳は『ガーディスト』たちを捉える。
「如何に盾を構えるのだとしても……悪霊からは逃げられない」
 手にした弓が黒く染まっていく。
 それは呪詛を込めたが故。
 如何に鋼鉄の躯体を持つオブリビオンマシンと言えど、悪霊たちの抱く呪詛は変わらず。射抜く、と定めた者を射抜くためだけに、その呪詛は迸るようにして矢を放つ。

 天に走る矢が弧を描き、落下する。
 その瞬間分かたれた矢が無数に雨のように戦場に降り注ぐ。だが、それは雨のようであったが、しかして矢自身が貫くべき的を知るかのように宙を走る。
「四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)。ええ、逃れるわけありませんとも」
 矢は次々と『ガーディスト』たちを貫く。
『霹靂』も『陰海月』も同様だった。
「ぷっきゅ!」
 はりきるように放たれる呪詛は雷の力を付与されている。当たれば『ガーディスト』と言えど、その機能を一時的とは言え停止されるだろう。
 彼らの成長を頼もしく『疾き者』は感じるだろう。
 彼らにそう教えたのではない。彼ら自身が自身の中から発露した行為そのものだった。
 自分たちに出来ることを。その想いがきっといつか花開くこともあるだろう。
 しかし、その花を散らす者がいる。

 それこそが『鉤爪の男』だ。
 他世界に『超弩級の闘争』をもたらそうとする者。ただ争うためだけに争いを引き起こし、戦火を広げていくだけの存在。
「それを許しておけるわけにはいきませんのでねー」
『疾き者』は開かれる血路を見やる。
 未だ『鉤爪の男』へと至る道筋は遠く。けれど、確実に届くと信じるからこそ、迫り来る戦火の権化たる『ガーディスト』たちを射抜き、これを撃滅し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
鉤爪の男の正体は「等身大サイズのオブリビオンマシン」でしたか。
好都合です。

何故ならば私もまた神聖メサイア教国が作り上げた「等身大サイズのクロムキャバリア」なのですから。
彼に引導を渡す役目はこの私にお任せを。

キャバリアを以てキャバリアを討つ。セラフィム・リッパー隊、プラチナムドラグーン隊、ストライクフェンリル隊、|交戦を許可します《Clear for engage》。

プラチナムドラグーン隊に敵の砲撃を防がせつつ、量子複製体による撹乱を。そこへストライクフェンリル隊とセラフィム・リッパー隊が後方より支援射撃。
TYPE[JM-E]に搭乗した私が、プラズマブレードの斬撃にて一気にカタをつけます。



 ジャイアントキャバリア。
 それは脳なき巨人。プラントから異常生産されることのあるという『ユミルの子』。
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は、その直系だという。
 事実がどうあれ、それは脅威であることに変わりない。
 等身大型オブリビオンマシンという存在の証明。おれによって導き出される戦いの激化は言うまでもないだろう。

 これまでオブリビオンマシンは乗り手を必要としてきた。
 心を歪め、思想を歪め、破滅へと向かわせる。争いの火種を撒き続けてきた。
「『鉤爪の男』の正体がどうあれ好都合です」
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は、不思議の国々に迫るオブリビオンマシン『ガーディスト』たちを見やる。
 彼らの戦法はシンプルだった。
 大盾を構え突進する機体、グレイブによる斬撃を行なう機体、そして支援砲撃を行なう機体。
 どれもが戦術として正しい。
 ジェイミィを狙うキャノン砲を携えた機体が放つ砲火は火線を描いて戦場を埋め尽くすようだった。

「なぜならば私もまた神聖メサイア教国が作り上げた『等身大型サイズのクロムキャバリア』なのですから」
「わー! りょーへーさんたちだ!」
「鋼鉄の巨人たちが大砲をー! ぶっぱなしてー! きてるー!」
 その言葉にジェイミィのアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「彼らに引導を渡す役目はこの私におまかせを」
 巨樹の愉快な仲間たちをかばうようにしながらジェイミィは、己のユーベルコードに寄って召喚された『プラチナムドラグーン』量子複製体たちが迫る砲撃の一撃を防ぐ。
 爆風が吹き荒れる中、ジェイミィはさらなる指示を飛ばす。
「キャバリアを以てキャバリアを討つ。セラフィム・リッパー隊、プラチナムドラグーン隊、ストライクフェンリル隊、|交戦を許可します《CIear for engage》」

 彼の背後から飛び出し、爆風を斬り裂いて進むキャバリアたち。
 量子複製されたプラチナムドラグーンが敵の火砲を防ぐのならば、セラフィム・リッパーとストライクフェンリルが後方からの支援射撃を行なう。
 それはともすれば『ガーディスト』たちと同じ戦術であったことだろう。
 同様の戦術を行なうのならば、後は単純な数、そして、その戦術を一手に覆すだけの個があればいい。
「一気にカタをつけさせていただきます」
 神聖メサイア教国が作り上げたコアユニットを搭載したジェイミィと瓜二つの姿をしたクロムが戦場を疾駆し、『ガーディスト』へと迫る。
 大盾を構えたとしても遅い。

 手にしたプラズマブレードの斬撃が大盾ごと『ガーディスト』の機体を切り裂く。
 爆発四散する機体を振り切ってジェイミィはさらに飛ぶようにして戦場を駆け抜けていく。
「敵の数は膨大なれど、敵を討てば世界を書き換える力が弱まるのならば」
 これこそが血路を開くための戦いである。
 己の背後には愉快な仲間たち。
 ならばこそ、誰一人とて犠牲にはさせぬとジェイミィは一気に戦場を飛ぶ。
 迫る砲撃は、僚機であるプラチナムドラグーンとセラフィム・リッパー、ストライクフェンリルが防いでくれる。
 それはまるで鏃のようにオブリビオンマシンの軍勢を引き裂き、この先にあるであろう『鉤爪の男』へと距離を詰めるように戦場を横断するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
そうよ、まけてはダメよ仲間の皆!
災厄戦で…この世界の未来を選んでくれたアリス達の為にも
負けないってキモチは
カチカチさんにも負けないのだから

カチカチさんに負けず大きな巨木さん達
お願い、一緒に戦ってくれる?
あのコ達が大盾を構えるよう、
立派な枝や根を揮ってほしいの
その隙に背後から【UC】の風魔法の糸で手足を捕縛し
動きを止めたり、属性攻撃でダメージを

いばらは捕縛と護りを優先
仲間の皆への攻撃は伸ばした蔓で武器受けたり、
紡いだ風の糸をオーラ防御にしてかばうわ
【小さなうたごえ】の皆も、
絵本から飛出て愉快な歌唱をお願いね
みーんなにお歌を届けるのよ
カチカチさんの視線をお誘いできるよう
この国が愉快を忘れないように



「わぁー! やっぱりだーめだー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが砲火に倒れる。
 燃える体。
 されどまだ燃え尽きていないのならば、立ち上がらぬ理由にはなっていない。けれど、多勢に無勢というものである。
 彼らの懸命さは、不思議の国々を守るためである。
 同時にいつか訪れるであろうアリスたちのためである。深く傷ついた心を持つアリスたちの心を癒やすために不思議の国々はある。
 例え、オウガが襲い来るのだとしても。
 自分たちが守らねばと立ち上がるのだ。
 だが、それでもクロムキャバリアより飛来したオブリビオンマシン『ガーディスト』たちの力は強大だった。

 鋼鉄の巨人が砲火と共に迫る。
 それは如何ともし難い。
「けど、それでもー!」
「ええ、そうよ、負けてはダメよ仲間の皆!」
 城野・いばら(白夜の魔女・f20406)の声が燃える戦場にありて響き渡る。白薔薇の君は炎の赤染まる戦場であっても、その白き可憐さを誇る。
「災厄戦で……この世界の未来を選んでくれたアリスたちのためにも、負けないってキモチはカチカチさんにも負けないのだから」
 その言葉に巨樹の愉快な仲間たちは頷く。
 そうだ。例え、己たちの身が滅びるのだとしても、戦うことをやめてはならない。いつかの誰かのためにと戦うのならば、己たちは今こそ踏ん張らねばならないのだから。

「お願い、一緒に戦ってくれる?」
「がーんばるー!」
「ええ、その意気よ。あのコたちが大盾を構えるよう、立派な枝や根を揮ってほしいの」
「まーかされたー!」
 いばらの言葉に巨樹の愉快な仲間たちが奮戦するように『ガーディスト』たちに枝葉を振るう。
 その一撃に鋼鉄の巨人はたじろぐ。 
 だが、打倒にはいたらない。わかっていたことだ。けれど、今までと違うことがある。

 それは背後にいばらがいるということ。
「紡いで、結んで――」
 彼女のアリスランス『トロイメライ』が糸の魔力を紡いでいく。
 魔法の糸は紡錘たる槍によって形を変えていく。
「――夢を、未来を、繋ぐ力となれ!」
 いばらは見ている。
 ユーベルコードに輝いている瞳で見つめ続けている。
 世界の未来を。
 アリスたちはいつか自分の扉を見つけて旅立っていくだろう。その背中を自分たちは見送り続ける。
 振り返ってもいいと思う。けれど、どうか健やかにと願う。穏やかな夢が見れますようにと願う。

「それをカチコチさんたちが阻むというのなら」
 魔法の糸が『ガーディスト』たちのてえ足を縛り上げ、その動きを止める。
 彼女の手元で一冊の本が開かれる。
 そこから飛び出す仕掛け頁。うさぎが駆けるように、跳ねるように動く姿は現実のものへと変わる。
 歌を届ける。 
 ただそれだけのために彼らは歌う。鋼鉄の巨人たる『ガーディスト』たちが自分に視線を向けるように、こちらに注意を引き付けるように。
 もうこれ以上、巨樹の愉快な仲間たちを傷つけさせはしない。

 そして、何よりも。
 戦場の炎に世界が書き換えられないように。
「この国が愉快さを忘れてはいけないのよ。だって、いばらたちは愉快な仲間たち。なら、いつだって笑いましょう。いつだってお歌を届けましょう」
 それがいつかのアリスのためになるはずだからと、いばらは紡錘の如きアリスランスを揮って『超弩級の闘争』に書き換えられた世界を押し戻していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
木々が、世界が燃える!
戦争だ!!あってはならない事だ!!
壊せ!!主よ!!!

亡国の主、操縦
突進する敵機から愉快な仲間をかばい【怪力】で受け、押し止め
【推力移動】で押し返しながら『破壊衝動』発動!

るぅうううあああああああ!!!!

崩壊霊物質が敵機キャバリアシールドを粉々に【解体】し3回攻撃
【早業】怪力と竜骨爪で敵機を引き裂き、穿ち、壊す!!

此処から……壊れ失せろぉおおお!!!!

【瞬間思考力】周囲敵機達を認識、
RXSハルバードをなぎ払い、物質透過能力で敵機のみを【貫通攻撃】
【念動力】崩壊霊物質を刃上で高速往復、チェーンソー化させて敵機盾、装甲ごと【切断】!!目に突く全ての敵を壊し尽くしてやる!!!



 戦火が広がっていく。
 これが『超弩級の闘争』であるというのならば、そこに意義を見出すことができなかった。
 少なくとも、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に取ってはそうだった。
 彼女の駆るジャイアントキャバリア『亡国の主』が咆哮する。
 装甲の内に秘める破壊の意志は、『超弩級の闘争』を破壊せんがためにくすぶるように礼物質を噴出させる。
「木々が、世界が燃える! 戦争だ!! あってはならない事だ!! 壊せ!! 主よ!!!」
 小枝子もまた咆哮する。
 迫るオブリビオンマシン『ガーディスト』の大盾。グレイブの一閃が機体に振るわれる。
 けれど、そんなことなど関係ない。
 グレイブの一撃を『亡国の主』が受け止める。
 装甲がひしゃげても構わなかった。

 その背には巨樹の愉快な仲間たちがいる。
 彼らをかばいながら『亡国の主』は脚部のスラスターを噴射させながら一気に『ガーディスト』たちを押し出す。
「るぅううううああああああああああ!!!!」
 神経が高ぶる。
 膨れ上がる熱量が小枝子の胸中を占めていく。ただ只管に己の肉体に秘められたものがkスぶるのを感じた。
 これは、この衝動は、どうしようもないものだった。

『超弩級の闘争』は確かに小枝子の存在意義を強烈に感じさせることだろう。
 けれど、それを否定する。
 肯定するということは、どうあっても小枝子の中の何かが許さない。
 放出される破壊衝動(ブレイカー)が『亡国の主』の装甲を押し上げていく。抑えられない衝動をぶつける相手を小枝子は得ている。
 ならば。
「壊せ」
 ただ一言命ずる。
 ただそれだけでいいのだ。

 噴出した崩壊霊物質が一気に『ガーディスト』たちのシールドを粉々に破壊し、『亡国の主』の腕部に形成された爪の如き霊物質が機体を切り裂く。
 穿つ胴から引き抜いた腕が、さらに叩きつけられる。
『超弩級の闘争』が世界を燃やすというのならば、小枝子はそれを許さない。
 戦うことしか出来ぬ兵士であるからこそ、それを否定することができる。
「此処から……」

 そう、争いとは悲惨なことだ。
 誰もが遠ざけたいと思うものだ。けれど、争いの火はどうしたって生命に迫ってくる。
「……壊れ失せろぉおおおお!!!!」
『亡国の主』の手には霊物質で形成されたハルバードがあった。剛腕で放つ一閃の一撃は『ガーディスト』たちを諸共に薙ぎ払う。
 薙ぎ払いの一閃はしかし、刃が止まる。
「まだだ!!」
 霊物質で形成された刃が高速で往復する。それは謂わばチェーンソーのように装甲を切り裂き、『ガーディスト』の手にした盾ごと斬り裂いていく。

「お前たちが齎す戦争は!! 戦場は!! 壊さねばならない!! お前たちの存在そのものが!!」
 今此処に在りて『亡国の主』を駆る小枝子は兵士である。
 目に付く敵は壊し尽くす。
「あってはならないことを示すというのならば!! 壊せ!! 主よ!!」
 ただそれだけのために彼女は咆哮し、『超弩級の闘争』に書き換えられた世界をこそ否定するように破壊の権化として戦場を横断していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

うん。慣れてきたのもありますが、落ち着きますね。
やっぱりステラさんは|やべー叫び《これ》がないとですよね。
天の声さんもそう思いますよね!

それにしてもゴーレムさんって演奏ちゃんと聴いてくれているんでしょうか?
ここはそれを確かめるためにも、【ベッソン】で演奏してみるしかないですね!

ステラさん、『愉快な仲間たち』のみなさまを回復しつつ、
ゴーレムにもダメージ与えていきますので、伝声管とメガホン、貸してください!

いえ、ステラさんの耳栓対策とかじゃないですよ?
純粋に効果の拡大ですから!

そんな対策とかしなくたって、
ステラさんがわたしの演奏を聴いてくれるのは解ってますからね!(キラキラ)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがします!!(後方待機メイド面から目をくわっと!)
いえ、愉快な仲間の皆様のお邪魔になるかと思い、抑えめにしました
誰がやべーメイドですか

さて
絶望迫りても、|熾火《希望》はいまだ消えず
鉤爪の男が闘争を招くなら
エイル様のメイドたる私はこう告げましょう
『戦いに際しては心に平和を』
ゆえにこの戦い、負けられません
ルクス様いきま……何故楽器を用意しました??

【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態
くっ、自殺願望など無いのですが!
戦況を覆すためには仕方ありません!
【テールム・アルカ】起動!
BS-Bサイレントヴォイスを装備して
やけくそです!なんでも演奏すると良いですよこの勇者!



 慣れと言うのは怖いものである。
 それをルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は実感することができていただろうか。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがします!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のいつも通りのやべー叫びを聞いてルクスはうんうんと頷いていた。
 落ち着く。
 落ち着くのかと、誰かがツッコミを入れような光景であったが、これがないとな、とルクスは実家のような安心を覚えていた。やべー実家である。
「やっぱりステラさんは|やべー叫び《これ》がないとですよね!」
「一体全体誰に同意を求めているのですか。いえ、これでも愉快な仲間の皆様のお邪魔になるかと思い、抑えめにしました」
 どこが? とルクスは思った。
 いつも通りの声量だったし、いつもどおりのやべー感じが出ていた。
 後方待機メイド面しているところからしてたちが悪い。

「誰がやべーメイドですか」
 あっやべ。
「さて、絶望迫りても、|熾火《希望》は未だ消えず、『鉤爪の男』が闘争を招くなら」
「メイドのステラさんなら」
「ええ、私はこう告げましょう」
 二人は世界に飛び出す。書き換えられた世界。『超弩級の闘争』満ちる世界。不思議の国々に迫る破滅を止めようとするように。
 ステラは飛空艇の姿へと変身し、その甲板上にルクスは立つ。
 吹きすさぶ風。
 熱をはらんでいるのは、それが戦場に砲火が入り乱れているからだ。燃える世界。
 けれど、その世界をしてステラは告げる。

「『戦いに際しては心に平和を』故にこの戦い、負けられません。往きますよ、ルクス様!」
 ばっちりと決まったステラであったが、しかし、その心が凍りつく。
 一体どうしたのかと問われたのならば、甲板上にてルクスがユーフォニアムを構えたからだ。
「えっ、ルクス様、何故楽器を用意しました??」
「いえ、ゴーレムさんって演奏ちゃんと聴いてくれているんでしょうか? ここはそれを確かめるためにもって!」
 ルクスが良い笑顔をしていた。
 甲板上。
 即ち、ステラに逃げ道はない。
 飛空艇状態だから耳栓もしていない。できないのである。

 ルクスは微笑んでいた。
 多分、他意はないと思う。思いたい。あの天使のような微笑みで、そんなことしないと思いたい。もしも、本当にルクスがこの状態のステラなら耳栓すら出来ずにちょくで演奏を聴いてくれるからと計算づくであったというのならば、もう何も信じられなく成ってしまいそうだった。
「ステラさん、愉快な仲間たちのみなさまを回復しつつ、ゴーレムにもダメージを与えていきますので! 伝声管とメガホン、貸してください!」
「自殺願望などないのですが!」
 誰が、とステラは飛空艇の身体を揺らす。
 嫌だと思う。
 どうあがいても地獄しか待っていないような気がする。進んでもルクスの地獄。退いたら不思議の国々が『超弩級の闘争』に染まる地獄。

「ええい、なら進む地獄へと足を踏み出しましょう! 戦況を覆すためには仕方ありません!」
 もうやけくそであった。
 ユーベルコードに輝く飛空艇。
 それはリサイズされた武装。つまり拡声器のようなものであった。
「なんでも演奏すると良いですよ、この勇者!」
 それは悪口なのか?
 そう思えるほどにやけくそ感溢れるステラの言葉にルクスはキラキラした瞳でユーベルコードを発動する。

「純粋に効果の拡大ですから。それに|そんな対策《みみせん》とかしなくたって、ステラさんがわたしの演奏を聴いてくれるのはわかってますからね!」
 振りじゃないんだけどなぁ、とステラは思った。
 けれど、そんなことを言っている暇などないのである。
 目の前に地獄があって、背後にも地獄があって、そして、背後の地獄は自分ではない誰かが陥るものであるというのならば。
 己の主人ならどうするかを考える。
 彼はきっと前に進むだろう。
 己の前にある、己に降りかかる地獄の炎をこそ彼は浴びて進む筈だ。

 なら。
「早く演ってくださいよ!!!」
「はぁい、任されましたぁ!! では、聞いて下さい、協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)!」
 煌めくユーベルコード。
 それと共に放たれる不協和音。
 精神をひっかくような音色と包み込むような音色が同一に存在する凄まじき旋律。
 それは相反して、同じ場所には存在できないはずであった。
 けれど、ルクスの演奏技術は幸いか不幸か。
 その矛盾の如き旋律を響き渡らせるのだ。強烈なる旋律は、オブリビオンマシン『ガーディスト』には破滅を。
 そして愉快な仲間たちには癒やしを与える。

 ついでと言ってはなんだが、ステラの、メイドの鼓膜は多分死んだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
どこであろうと、私はあなた達を止めるわ、オブリビオンマシン……!!
アルカ・スィエラ、プロトミレス(コルヴィルクス装備)……出るッ!!

被害を抑えるためにも多数居る集団を狙う
UCを発動し、コルヴィルクスの推力を全開、飛んでくる砲撃を「見切って」最小限の動きでかわし、
ツインGランチャーの重力砲を放って敵盾役の体勢を崩させながらステララディウスを連射し突っ込み、
そのままルーナグラディウス(斬撃)で体勢を崩した前衛や動きの鈍い後衛を叩き切り敵陣を抜けるように離脱、という動きを繰り返す!!

軍勢も、人間サイズのオブリビオンマシンも!攻撃衛星も!!
何が何体居ようが関係ない、全部骸の海に叩き返してやるわ……!!



 砲火荒ぶ戦場に鋼鉄の巨人が進む。
 世界を書き換える力。
『侵略蔵書』を持つオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』によってアリスランスの不思議の国々は『超弩級の闘争』たる世界に書き換えられ始めていた。
 これを押し留めるために巨樹の愉快な仲間たちが鋼鉄の巨人『ガーディスト』たちと組み合う。
「まーけない、ぞー!」
 振るう枝葉で『ガーディスト』を打ち据え、打倒するも迫る無数の『ガーディスト』たちが振るうグレイブや砲火によって次々と愉快な仲間たちは吹き飛ばされてしまう。
 愉快な仲間たちは確かにオウガたちとの戦闘の経験がある。
 しかし、オブリビオンマシン『ガーディスト』たちは秩序だった戦術でもって愉快な仲間たちを圧倒しているのだ。

 その光景を見やり、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は頭を振る。
「此処が何処であろうと、私はあなた達を止めるわ、オブリビオンマシン……!!」
 アルカの瞳が見据えるのは戦場。
『超弩級の闘争』をもたらさんとする『鉤爪の男』のことを彼女は許してはおけなかった。世界に悲劇を齎す存在。それがオブリビオンマシンであると彼女はもう理解している。
 わかっているのだ。
 己が見舞われた悲劇も。
 悲しみも、苦しみも、全てはオブリビオンマシンが引き金を引いたせいだと。
「アルカ・スィエラ、『プロトミレス』……出るッ!!」
 戦場に飛び出した漆黒のメガスラスターユニットを持つキャバリアがが戦場に一条の閃光を刻む。

 その光条と圧倒的な速度を『ガーディスト』たちは感知したことだろう。
 だが、それはアルカにとっては遅きに失することであった。
「遅い……!」
 迫る砲火を空中で『プロトミレス』が躱す。
 その動きは飛来する砲弾を見切っての最小限なる挙動。まるで砲弾が機体をすり抜けたと錯覚するほどの挙動だった。
 彼女の瞳はユーベルコードに輝いていた。

 この戦場において自分たちは劣勢に立たされている。
 オブリビオンマシンが溢れ出す書き換えられた世界は、圧倒的な数でもってすり潰されようとしていた。
 だからこそ、アルカは不利な状況にこそ飛び込む。
「――……」
「エースでも、大軍でも、誰が相手だろうと私は……」
『プロトミレス』のアイセンサーが煌めく。
 重力砲の一撃が『ガーディスト』へと叩き込まれ、その大盾を構えた巨体を傾がせる。
 その一瞬に飛び込んだ『プロトミレス』の腰部に備えられたビームランチャーの一撃が『ガーディスト』の装甲を撃ち抜く。

「負ける訳に、いかないのよ……ッ!!」
『プロトミレス』は確かに嘗て最新鋭機であったことだろう。
 けれど、今は違う。
 国は既に無く。そして時代は移ろう。故に最新鋭であることは、すでに失われて久しい。
「軍勢も、人間サイズのオブリビオンマシンも! 攻撃衛星も!!」
 アルカはコクピットの中で咆哮する。
 どれだけの敵がいようとも構わない。

 己の前にオブリビオンマシンとして、悲劇の権化として現れるというのならば、アルカにとって、それらは関係のないことだった。
 彼女は、ACE Breaker(エース・ブレイカー)として、此処にある。
 抜き払った実体剣の剣閃が『ガーディスト』たちの機体を両断し、爆風の中を駆け抜ける。
 機体が軋む。
 アルカの操縦技術はすでに当時最新鋭であった機体のそれを超えている。
「何が何体居ようが関係ない、全部骸の海に叩き返してやるわ……!!」
 燃えていく不思議の国々。
 何処まで行っても、炎は悲劇を運んでくるというのならば。
 アルカに躊躇う理由など無い。
 彼女は、自分以外の誰かに悲劇を起こさぬためにこそ戦うのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
鉤爪の男との決戦……けれど、その前にあの人達を助けないと…!
(ランスを手に挑むけれど、サイズ差もあって愉快な仲間を庇っての防戦で精一杯)

(そんな決定打の無い状況の中、勝手に発動したUCによって恰好が「ハートのドレスの少女」に、
人格もまた別人に“書き換わり”ます)

……あああもう!いつまであんな木偶人形の相手してるのよアリス!
いいわ、私が代わりに|殺《や》る!世界法則そのものが私を護るんだからあの大砲なんか無視よ無視!
そしていい加減ガシャガシャうるさい!好きな無機物からいくらでも「首切り殺戮刃物」を生やせる私の力で、その鉄臭い図体、中から外から全部ズタズタにして、全員纏めて「クビ」にしてやるわ!



 誰かを助けること。
 それはアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)の心の根底にあるものであったことだろう。
 記憶は喪われ、それでも継ぎ接ぎのような想いが彼女の中にはあった。
 戦火にさらされるアリスランスの不思議の国々。
 多くの愉快な仲間たちが炎に追われている。そんな最中、巨樹の愉快な仲間たちが鋼鉄の巨人たるオブリビオンマシン『ガーディスト』に立ち向かっている姿を彼女は認めただろう。
 確かに本来の彼女は臆病で気の弱い少女という一面を持っている。
 けれど。
 そう、けれど、なのだ。

 彼女は騎士。
 例え、鋼鉄の巨人が相手であったのだとしても、それでも助けたいと願ったのならば駆け出さずにはいられなかったのだ。
「あの人達を助けないと……!」
 振るうアリスランスの一撃は体高5mの戦術兵器である『ガーディスト』の装甲に弾かれてしまう。
 放たれるキャノン砲の砲撃が彼女の身体を吹き飛ばす。
 跳ねるようにしてアイリスの身体が戦場に落ちた。

「だいーじょうぶー!?」
 愉快な仲間たちの心配する声が聞こえる。心配させたいわけではないのだ。安心させたいのだ。
 もう大丈夫だと。
 そう言いたい。
 けれど、アイリスは防戦一方だった。
「……だい、じょうぶ……!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 確かに状況は良くない。愉快な仲間たちをかばって戦うのは限度があった。自らの傷を厭わぬとは言え、刻み込まれた傷はどうしたってアイリスを追い詰めていくのだ。

「……ああもう!」
 だが、そんな彼女の背中を押す声が彼女の中から響く。
 苛立つような、見ていられないと手を差し伸べるような、そんな気配。
「いつまであんな木偶人形の相手してるのよアリス! いいわ、私が代わりに|殺《や》る!」
 アイリスの姿がユーベルコードに輝き包まれていく。
 その光の向こう側にあるのは、断章「ひび割れハートのお姫様」(フラグメント・アリス・ザ・リッパー)。
 ハートのドレスの少女がユーベルコードの輝きの向こうにいる。
 迫る砲火も、爆発も、何もかも彼女には届かない。

 物理法則に守られたハートのドレスは、炎で燃えることもなければ煤一つ付くことはなかった。
「いい加減ガシャガシャうるさい!」
 激昂するようにアイリスが叫ぶ。いや、ハートのドレスの少女は、世界こそ己の前に跪くのだと宣言するように、その手に首切り殺戮刃物を掲げる。
「その鉄臭い図体、中から外からずたずたにしてやるわ!」
 瞬間、『ガーディスト』たちは己のフレームの内部が軋む音を聴いただろう。
 それは最後の音。
 彼らのフレームは無機物。

 そして、ハートのドレスの少女のユーベルコードは無機物の全てから彼女の手にしている首切り殺戮刃物を生やす事のできる力。
 故に『ガーディスト』たちは彼女の目の前に存在している以上、滅びを免れない。
 内部から切り裂く刃がフレームごと両断し、その機体をバラバラに、それこそ細切れのようにしてしまうだの。
 そんな彼女の目の前に『ガーディスト』の頭部が落ちる。
「いい、全員纏めて『クビよ!!」
 高らかに宣言する。
 それは絶対だった。ひび割れハートのお姫様の言葉は、勅命にして厳命。彼女がクビだと言ったのならば、それは即ち正しく『クビ』なのだ。

 次々と落ちていく『ガーディスト』の頭部。
 如何なる『超弩級の闘争』があるのだとしても、お姫様のまえに立ち塞がる障害は全て排除される。
 その鋼鉄の巨人の血潮の如きオイルの川をレッドカーペットのようにしてアイリスは進む。
 拓かれた道を悠然と、優雅に。
 そう歩むことこそ断章なれどお姫様たる所以なのだと示すように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・信子
●POW

鉤爪の男が等身大のオブリビオンマシン…
にわかに信じがたい話ですが、今は獣人戦線に訪れようとしている驚異と野望を阻止しなければなりませんが…侵略蔵書での侵略も見過ごせません

秋月信子…ピースメーカー・アキヅキカスタム、出ます!

愉快な仲間さん達を巻き添えとしたくありませんので、着弾地点付近に居ましたら外部通信経由で避難勧告
携行したバントライン砲でオブリビオンマシン部隊を【砲撃】しますが、足止めに過ぎません
大盾を有しているなら直撃はしていないとの予測から、土煙を煙幕としながら頭部のガンポッド・システムで牽制射撃を行いつつ【推力移動】で接敵
【零距離射撃】の『接射』による魔弾で完全に沈黙させしょう



 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』。
 彼は『等身大型オブリビオンマシン』である。
 その事実はにわかに信じがたい話であると秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は素直に思った。そして、彼が語るところによれば新たに見つかった世界、獣人戦線におけるオブリビオンの超大国の二つとも繋がりを持っているのだという。
「その驚異と野望を阻止せねばなりませんが……『侵略蔵書』、その力によって世界を書き換える力も見過ごすわけにはいきません」
 信子は、己の座すコクピットの中で息を吐き出す。
「秋月信子……『ピースメーカー・アキヅキカスタム』、出ます!」
 ヘルメットのバイザーに映るシグナルを捉え、己が駆る機体『ピースメカー』が戦場へと飛び出す。


 彼女がまず捉えたのは巨樹の愉快な仲間たちだった。
「まーだまだー! カチコチさんをぶっとばせー!」
「えい、えい、おー!」
 彼らは未だ鋼鉄の巨人たるオブリビオンマシン『ガーディスト』たちの侵略に抵抗する者たちだった。
 しかし、数、質共にオブリビオンマシンに敵うべくもない。
 それ故に信子は彼らを巻き添えにしたくはないと外部スピーカーをオンにする。
「あなた達、そこから離れてください!」
『ピースメーカー』が構える野戦砲。
 その名を『バントライン』。
 最前線で現地改修された改造兵器。キャバリアが携行出来る武装の中では恐らく最も長大な砲身であろう。

「わー、なんかでっかいの持ってるカチコチさん!」
「離れましたね……なら!」
 信子の操る『ピースメーカー』が携えた『バントライン』の砲口が火を吹くようにして砲撃の一撃を『ガーディスト』たちに叩き込む。
 大盾を構えた彼らには、その巨体を傾がせる程度しかできないだろう。
 だが、確実に足止めすることは出来たはずだ。
 砲撃の衝撃に寄って撒き起こる土煙の最中を信子は『ピースメーカー』と共に駆け抜ける。頭部に備えられたガンポッド・システムが牽制の一撃を『ガーディスト』たちに叩き込む。

「――……」
「ええ、これで終わるとは思っていませんよ!」
 だが、時間は稼げた。
 肉薄する『ピースメーカー』のアイセンサーが煌めく。構えられた大盾は確かに厄介だった。
 己の機体の武装では、大盾を貫くことはできない。
 だからこそ、土煙と牽制射撃によって敵の注意をそらしたのだ。
「直撃にならずともしのげた、と思いましたね! ならッ!」
『ピースメーカー』が土煙の中から飛び出し、『ガーディスト』の手にした大盾を『バントライン』の砲身がはねのける。

「――……!」
「この距離なら……外しは、しない……ッ!」
 それは痛烈なる一撃にして、肉薄した零距離射撃の一撃。
 接射ともいうべき近距離の砲撃は『バントライン』の砲弾を魔弾へと変える。いうなれば、絶倒たる一射。
 轟音が響き渡り『ガーディスト』の巨体が大地に沈む。
 戦いは続く。
 これが『超弩級の闘争』であるというのならば、この先にこそ血路結ぶべき敵がいる。
「『鉤爪の男』……世界を書き換え、闘争を求め続ける者。その野望を許すわけにはいかないのです」
 信子は己が駆る機体『ピースメーカー』の名が示すように。
『超弩級の闘争』と相反する平穏と平和を作り出すために、砲火荒ぶ戦場を疾駆するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

思い出したように現れる!
何度バラバラにしてやっても…
ミミズのように石の下から現れる!
過去とはそういうものかー
そういうものかな?

●ごろごろどかん ぐわぐわがっしゃん
あっちが軍隊のように動くというならボクはその要を狙おう!
ビッグ[球体]くんたちのローラー攻撃で彼らの盾を使わせてーー…
陣形の要となる位置、個体を【第六感】で見定めて球体くんたちを受け止めてる最中の背中を『神撃』でドーン!ドカーーンッ!
と立て続けに動けないところを反撃に移る前に撃破していくよ!
これぞあれだよ!がのげ…ごの…ごのせん?(後の先)

さぁー愉快な仲間たちのみんなー!
この要領でがんばってこー!!



「んもう! 思い出したように現れる!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思わず唸っていた。
 猟書家の侵攻。
 世界を書き換える『侵略蔵書』の力によって複合世界であるアリスランスの不思議の国々は、次々と『超弩級の闘争』たる世界へと書き換えられていっていた。
 それに抵抗するように多くの愉快な仲間たちが鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『ガーディスト』に立ち向かっている。
「何度バラバラにしてやっても……ミミズのように石の下から現れる! 過去とはそういうものかーそういうものかな?」
 そうなのかな? とロニは自問自答する。
 答えは出なかった。いや、出さなかったというのが正しいのかもしれない。

 どちらにしたってオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』はぶっ飛ばすことは決定しているのだ。
 なら、迷っている時間も問答している時間だって勿体ないのだ。
「あっちが軍隊のように動くというならボクはその要を狙おう! ビッグ球体君たちー!」
 彼の言葉と共に巨大な球体たちがまるでローラーのように大地を押しつぶしながら『ガーディスト』たちに迫る。
 構えた大盾が、その球体の一撃を押し留める。
 パワー負けしていない。
 それどころか、球体たちが押し切られそうになってしまう始末でもあった。
「わーお、パワーつっよい! でもね!」
 ロニは見定める。

 如何に陣形が強固であろうとも、軍隊であるというのならば、その要たる機体が存在しているはずなのだ。
 故にロニは戦場を跳ねるようにして、飛ぶようにして彼は『ガーディスト』たちの陣形の背後に回り込む。
「……――」
「だよね! やっぱり肝心要なのは真ん中! 中心! ならさ!」
 煌めくユーベルコードの輝きが見据えるのは、軍隊たる『ガーディスト』たちの中心に座す機体。
 あの機体を潰せば、この陣形を動かしている要は止まる。
 漲る力。
 迸る輝きは、空に在りてその小さな身体、拳より発露させる。

 それは信心無き者にも神々しさを感じさせるほどの拳であった。
 振り下ろされる拳。
「というわけで、ドーン! ドカ――ンッ!」
 放たれた一撃は周辺の地形すら変えるほどの神撃(ゴッドブロー)。
 吹き荒れる衝撃波が『ガーディスト』たちを吹き飛ばし、さらにロニは拳を振るい続けていく。

「これがあれだよ! がのげ……ごの……ごのせん?」
 なんかそんな感じ! とロニは軽快に笑いながら拳を叩き込み続ける。
 吹き荒れる光と衝撃。
 そのいずれもがオブリビオンマシンという存在を許してはおかぬ鉄槌の如き一撃であったことだろう。
「さぁー愉快な仲間たちのみんなー! この要領でがんばってこー!!」
 勝鬨は未だ遠く。
 されど、拓かれた血路が目の前に広がっている。進むべき道は既に定まっている。

 この先が何処につながっているにせよ、進むしか無い。
「待っててね、えーと、名前なんだったっけ。あるのかないのかわかんない名前だったとは思うんだけど!」
 ロニは書き換えられた世界が止まった瞬間を見計らって、『鉤爪の男』が座す『天使狙撃銃の国』へと走り出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『危険が危ない猟師の森』

POW   :    自らが的になって銃を受け止める事で、皆を守ります。

SPD   :    森に潜んでいる猟師を探し出して処理していきます。

WIZ   :    猟師の死角となる場所や、狙撃ポイントを割り出して猟師の行動を予測します。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 不思議の国々を包み込む炎が止まる。
 それは揺らめく炎ではなく。
 止め絵のように、その一瞬で止まっていた。愉快な仲間たちと猟兵たちの戦いによって、ようやく『侵略蔵書』の世界を書き換える力がわずかながら止まったのだ。
「りょーへーさんたちー! きをつけてー! この先は『天使狙撃銃の国』だからー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが拓かれた血路を往こうとする猟兵たちに言う。
 そう、この先にあるのは『天使狙撃銃の国』。

 何者かが猟兵たちを狙い、無数の飛翔する水晶体『クリスタルビット』によって狙撃してくるのだ。
「いっぱい、いーっぱい、水晶がびゅんびゅんしてるからー!」
「『天使』様がいるから、あぶーないよー!」
「水晶から、びーって出る光はとってもいたーい!」
 そんな風に彼らは猟兵たちが進もうとしている不思議の国の情報伝えてくる。
 わずかしか無い時間。
 けれど、道のりは危険そのもの。

「僕らは見送ることしかできないけれどー!」
 きっと、と彼らの瞳が、言葉が猟兵たちの背中を押し出す。
「『セラフィム』だってー、きっとりょーへーさんたちなら、のりこえられるー!」
 踏み出した先は、水晶体が乱舞する世界。
 視線を感じる。
 射抜くような視線。僅かにスキを見せた瞬間、水晶体から放たれる光条は猟兵たちを貫き、その生命を奪わんとするだろう。
 危険な道のりであることは言うに及ばず。

 されど、往かねばならぬという意志がある限り、猟兵たちを止めるには値しないのだ――。
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎

ありがとうございマース、愉快な仲間のエブリワン!
あとはワタシたちにおまかせくだサーイ!
天使狙撃銃の国。なかなか厄介なエリアデスネ!
しかし躊躇する余裕はありマセーン! 参りマース!

如何なる光線であろうとも、当たらなければ問題はありマセーン!
「骸式兵装展開、剣の番!」
ピサロ将軍の空中機動能力を活かして強行突破であります!
滑走靴による滑空性能と組み合わせて縦横無尽に駆け回り、光条の弾幕を潜り抜けマショー!

あまりに密集して避けきれないというのであれば……チェインハンマーを盾にしてビームを受け流せば良いだろう!
猟書家『鉤爪の男』、爛々とした闘争者よ。
今、貴様の求むる猟兵たちが行くぞ!



「りょーへーさん、がんばれー!」
 愉快な仲間たちの声援を背に猟兵たちは拓かれたる僅かなる血路の道筋を見やる。
 その先にあるのは『天使狙撃銃の国』。
 危険極まりない水晶体が乱舞する国であり、あらゆる箇所から狙撃されることを意味していた。
「ありがとうございマース、愉快な仲間のエブリワン!」
 しかし、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はそんな彼らの声援を背に受けて、闊達に笑う。
 不安はないのかと問われたのならば、バルタンは笑い飛ばすだろう。
 だって、自分たちは猟兵なのだ。
 これより先が自分たちにしかできないことであるというのならば、笑って前に進むべきなのだ。

 確かに『天使狙撃銃の国』の在り方は厄介なものであると言わざるをえない。
 けれど、今は躊躇している余裕も時間もないのだ。
「いーってらっしゃーい!」
 ぶんぶんと振るう枝葉。
 巨樹の愉快な仲間たちが手を降って見送ってくれる。彼らの思いもバルタンは負っていく。誰かのためになりますようにと願われたことは、決して裏切ってはならない。
 いつだってハイテンションに。
 いつだってくじけずに。
 いつだって堂々と正面から切り開いていくのがバルタンという猟兵なのだ。

「ではでは、あとはワタシたちにおまかさえくだサーイ! ハッハー!!」
 バルタンは勢いよく飛び込んでいく。
『天使狙撃銃の国』。
 その名の通り、踏み込んだ瞬間バルタンは自身に狙いをつける視線を感じた。
 それは特定のものではなく、不思議の国に存在する数多の水晶体の全てから発せられていることが理解できる。
『クリスタルビット』と呼ばれる兵器。
 その水晶体が一斉にバルタンへと襲いかかる。

 放たれる光条は、網目のようにバルタンを取り囲むようにして放たれる。
「如何なる光線であろうとも、当たらなければ問題ありマセーン!」
 そう、どれだけ光条が迫るのだとしても。
 彼女は猟兵であり、ユーベルコードを手繰る。今の彼女の姿は七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を模した姿である。
 それこそが、骸式兵装展開、剣の番。
 模倣によって得られる飛翔能力と機動力は、随一に至る。
 
 迫る光線の乱舞の中をバルタンは宙を蹴るようにして飛ぶ。
「ハッハー! 強行突破であります!」
 滑走靴が空気を滑るようにして走らせ、さらにバルタンの手足が羽のように羽ばたけば駆虫で自在に軌道を変える。
 光条迸る最中にあってもバルタンは笑う。
 あの光条に当たれば己の生命は危ぶまれるものであろう。
 しかし、笑う。
 笑って、笑って、笑い続けて、その先に待つのが一体どれほどの破滅なのだとしても。
 それでもバルタンは笑うのだ。

 一寸先は闇。
 誰もが未来を見通すことなどできはしない。
 輝ける未来も。暗澹たる未来も。
 何もかも不確定であるがゆえに、ゆらぎ続ける。確定したものは過去となり未来へと進む足場となる。
「ならば、何も恐れることはないのです。征きます、模倣様式・八艘飛び(イミテーションスタイル・フランシスカ)!!」
 バルタンが空を駆け抜ける。
 網目が狭まり光条が束ねられ回避不能たる光線となってバルタンを襲う。
 それをチェインハンマーを盾にして焼き切れる鋼鉄が飛び散る最中をバルタンは飛ぶ。

「ハッハー! 猟書家『鉤爪の男』、爛々とした闘争者よ。今、貴様の求むる猟兵たちが行くぞ!」
 大地を蹴る。
 空を蹴る。
 あらゆる場所がバルタンの足場。彼女の進めぬ道はなく。
 彼女の歩みを絶望と恐怖は止めない。
 故に、彼女はあらゆる艱難辛苦すらも踏み越えて、光条満ちる世界を駆け抜けて『鉤爪の男』へと一直線に走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

さてー、狙撃される場所ですかー。
ならば、陰海月と霹靂には一度、影の中に避難してもらいましてー。
狙撃されてもいいように念のためにUC使っておきましてー。
ですが、そもそも狙撃されないように隠密欺瞞結界張って、暗殺のように手早く…瞬間思考能力を働かせて有効経路を早業のダッシュで駆け抜けていきましょう。
ここで手間取るわけには、行きませんものねー?


陰海月「ぷきゅ」
霹靂「クエッ」
びゅーびゅーおじーちゃん、本当に忍者だなぁ…って思いながら、影の中から見ている。



「さてー『霹靂』と『陰海月』は共に影の中にいてもらいましょうか」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は共に戦ってくれていたヒポグリフと巨大クラゲの二匹を影の中に収めると、世界を書き換える力が止まったがゆえに現れた血路を見やる。
 その先にこそオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』がいるのだ。
 彼を討たねば、『侵略蔵書』によって複合世界であるアリスラビリンスの不思議の国々はクロムキャバリアの如き『超弩級の闘争』世界へと変わっていってしまう。
 今まさに僅かな時ながら書き換えの力が止まったのは幸いであった。

「りょーへーさん、きをつけてー!」
 背に愉快な仲間たちの声援を受けて『疾き者』は頷く。
 これより先は死地。
 踏み込んだ瞬間、己の肉体を捉える視線のような気配。
 それは空中に浮かぶ無数の水晶体『クリスタルビット』であった。その全てから放たれる光線が『疾き者』を襲う。
 隠密欺瞞結界を張っていたのだが、それを即座に看破されている。
 自らの力を知られているような感覚に『疾き者』は息を呑む。
 息をひそめるように瞬間的に思考をしぼる。

 疑問は時に思考を遅滞させる。
 故に『疾き者』は己の中に湧き上がった疑問を飲み込む。
「我等の力を知っている……? ですが、ここで手間取るわけには、いきませんものねー?」
 その瞳がユーベルコードに煌めく。
 因果はめぐり回る。
 どこまでも巡って撚り合わされ、より太くなっていく。紡がれた力が強ければ強いほどにそれは強固なるものとかわっていくだろう。
 故に、彼らのユーベルコードは己の全身を再構築しながら『四悪霊の呪詛』で多い、迫り来る『クリスタルビット』の光条の一撃を躱しながら、しかし不可避たる一撃を受ける度に再構築して飛ぶように駆け抜けていく。

「ただでは通れないと思っていましたがー。しかし、このユーベルコードであるのならば」
 身体を再構築していく。
 迫る光条の一撃は悪霊にとっては致命傷に至らない。
 それどころか、攻撃を受ければ受けるほどの戦闘力が増強していく。悪霊たる生命力を吸収する力があれど、その力が反応していないということは敵は生命体ではないということになる。
 この『超弩級の闘争』の一端たる世界にありて、『疾き者』は己を付け狙う『クリスタルビット』を躱しながら疾走る。

「ぷきゅ」
「クエッ」
 影の中で心配する声が聞こえた気がした。
 躱せぬ光条は致し方ないものである。しかし、影の中にいる二匹を心配させることは本意ではないだろう。
 故に『疾き者』は向上した戦闘能力と、己の冴えわたる思考でもって『クリスタルビット』の間隙を縫うようにしてひた走る。
 前に、前に。
 道は前にしか無い。刻まれる足跡は、すでに道ではなく轍というのだ。
 ならばこそ、振り返らない。
 光条満ちる世界も。
 何もかも己を止めるには値しない。

「そこ、ですねー?」
 見据える先にこそ『鉤爪の男』がいる。
『超弩級の闘争』を求める者。
 戦いを望まぬ者も等しく戦火に飲み込まれるを臨む者。それを、決して許しては置けぬからこそ『疾き者』は光条を縫うようにして『天使狙撃銃の国』を飛び出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【SPD】

クリスタルビット…
私のフノスちゃんも使う
キャバリアさんの兵器…

愉快な仲間さん
有難うございます
ここからは
私達に任せて下さい

『クロムキャバリアの兵器が、こんな所にまで…気を付けましょう、フノスちゃん…』

フノス『はい、どこから来るのか分からないのですから…気をつけなきゃですね…アリスちゃん』

引き続き
キャバリア
【フノス】に搭乗

光翼で
気持ち低めに飛び
【空中機動】【推力移動】
【滑空】等駆使し進み

隠れている敵や
クリスタルビットは
UC発動
焔の蜘蛛糸や
こちらのトランプビットで
動きを捕らえたり
ビーム攻撃等相殺

【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避行動も混ぜつつ
突破



『天使狙撃銃の国』に満ちるのは無数の水晶体だった。
 それらは全てが自律しているかのように空を飛び、踏み入った者へと光条の一撃でもって狙撃する。
 いずれの猟兵たちも、その不思議の国に踏み込んだ瞬間己が見られているという認識を得ることだろう。
「『クリスタルビット』……」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は自身の駆るキャバリアが使う武装と似た水晶体の煌めきをみやり息を呑む。
 彼女は愉快な仲間たちの声を背に此処へと足を踏み出した。

 残された時間はわずかしかない。
 その僅かな時間に『天使狙撃銃の国』を踏破してオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の元へと至らねばならないのだ。
「クロムキャバリアの兵器が、こんな所にまで……気をつけましょう『フノス』ちゃん……」
『はい、どこから来るのか解らないのですから……気をつけなきゃですね……アリスちゃん』
 自身のキャバリアが光翼をはばたかせて飛ぶ。
 瞬時にそれを捉えた『クリスタルビット』が光条を解き放つ。
 まるで網目のように。

 天網恢恢疎にして漏らさず、と言わんばかりの光条が乱れ打たれる光景はアリスに如何なる感情を湧き上がらせただろうか。
 だが、彼女は思い出す。
「りょーへーさんたちなら、できるよー!」
「がんばってー!」
 愉快な仲間たちの声。
 彼らは不思議の国々にありて、猟兵たちに託したのだ。
 世界を書き換える力。
『侵略蔵書』の力は強大だった。複合世界であるアリスラビリンスの国々と次々と戦乱渦巻く世界、クロムキャバリアの戦場に変えてみせた。

 だからこそ、アリスの瞳ユーベルコードに輝く。
 愉快な仲間たちののためにもこんな所で止まっている暇はないのだ。
「――全てを灼く紅蓮の星焔の蜘蛛糸…全てを癒す銀なる星の蜘蛛糸――それらの領界を…!」
 煌めくユーベルコードは万象あらゆる全てを灼く星焔の蜘蛛糸による領界を発生させる。
 それは煌めく糸。
 飛ぶ水晶体の『クリスタルビット』は蜘蛛糸を躱しながら『フノス』へと光条の一撃を叩き込んでくる。
 だが、それらの一撃は全てが致命傷になるはずであったが、アリスのユーベルコードに寄って即座に回復されるのだ。

「アトラクナクア・ヴァーミリオンウェブなら……!」
 第六感も心眼も残像も意味をなさぬほどの高精度の射撃。
 これが『天使狙撃銃の国』と銘打たれた世界であるというのならば、恐るべき存在である。
 だが、アリスは進むことを止めない。
 迫る『クリスタルビット』の射撃をかわし切る事ができなくても、進むことは止めない。止められることはない。
 ユーベルコードの輝きが満ちている限り、あらゆる生命を奪う攻撃を『フノス』は踏破していく。

『アリスちゃん、このまま……!』
「うん、『フノス』ちゃん……! もう少しがんばっ……!」
 迫る光条を背に受けながら、しかし『フノス』は飛ぶ。
 光翼が羽撃くのは自分たちのためだけではない。
 生命が惜しいのならば、戦いに赴かなければ良い。けれど、それでも戦いに足を踏み出したのは、愉快な仲間たちの声援があったからだ。
『超弩級の闘争』たる世界に書き換えられれば、勇気ある愉快な仲間たちも喪われてしまう。
 生命が喪われるということは、もう二度と彼らに会うことができないということだ。
「そんなのは嫌だと思うから……!」
 だから征くのだ。
 この先の、『超弩級の闘争』もたらさんとする元凶を討つために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
ん?おセラフィム?
どこかで聞いたような…
ま!こまけぇこたぁよろしいですわね!
それでは行って参りますわ〜!

回避に必要なもの!それは!
スピードですわ〜!
ヴリちゃん!インストレーションウェポンコール!
ゲイルカイゼル!
機動力を超強化!
全ブースターオン!
ゴール目指してヴリちゃんまっしぐらですわ!
狙いを定められる前に突っ走ってしまえばよろしいのですわ!
考えるより走れですわ〜!
走ってる最中にほんの一瞬だけ片側のブースターをオフにするのですわ!
するとカクカクした変な動きが出来るのですわ!
変な動きは読み難い!
正面を通せんぼする水晶はマシンガンで蜂の巣ですわよ!
フルスピードで駆け抜けるのがわたくしの人生ですわ〜!



 巨樹の愉快な仲間たちが言っていた。
『セラフィム』、と。
 僅かに世界を書き換える力が弱まり、拓かれた血路の先にあるのは『天使狙撃銃の国』。
 不思議の国の一つであり、危険な水晶体が飛び交い、光条を放つ世界。
 だが、その危険な国を通らねばオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の元へは届かないのだ。
「ん? お『セラフィム』? どこかで聴いたような……ま! こまけぇこたぁよろしいですわね!」
 メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は『ヴリトラ』のコクピットにありながら、何処かで聴いたような単語に首を傾げる。
 けれど、思い出せなかった。
 ちょっとこの皇女様は記憶力が残念であったが、致し方ないことである。

 彼女の良い所は、それを引きずらないところだ。切り替えが速いと行ってもいいだろう。
 即ち、それは機体の仕様を戦場に在りながら、一瞬で切り替える所にも反映されているのだろう。
 彼女が駆る『ヴリトラ』は『ガーディスト』たちとの戦いに置いてラージシールドを装備した『クロムジェノサイダー』仕様であった。
 けれど、此処から進むのならばメサイアは換装が必要だと判断していた。
「無数にビームが、びーっ! ってくるのでしたら、回避! さっと舞うように! 華麗にステップを踏むように回避してみせますわよ~! ということで!」
 そう、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

 変身換装(チェンジングウェポンシステム)。
 瞬時に『ヴリトラ』の装備が高機動仕様の『ゲイルカイゼル』へと切り替わる。
「回避に必要なもの! それは! スピードですわ~! インストレーションウェポンコールですわ~!」
 イオンブースターに湛えられた光が噴出するようにして『ヴリトラ』の機体を前に押し出す。
 一気に不思議の国の中を駆け抜ける『ヴリトラ』は正しく黒き鏃のように戦場にある全ての『クリスタルビット』を振り切るようにして突っ走っていく。
 彼女たちの出身世界クロムキャバリアの性質上、空を飛ぶことはできない。
 だからこそ、大地を疾駆する『ヴリトラ』は直線的な速度で言うのならば、弾丸のように早く空気の壁をぶち抜くようにして『天使狙撃銃の国』を走り抜けていく。

「ってぇ! ゴール目指してまっしぐらですわ~! って思っておりましたのに、何普通に追いついてきてますのよ!?」
 メサイアは目を見張る。
『クリスタルビット』から放たれるレーザー射撃が『ガイルカイゼル』仕様の『ヴリトラ』を捉えんとしているのだ。
 だが、そこはメサイアの妙技である。
 大地を疾駆する『ヴリトラ』に装着されたイオンブースターの片側が、出力を落とす。
 いや、完全にオフになってしまう。
 瞬間、機体が直線的な動きながら揺れるような、かくかくしたような挙動になってしまう。
 その動きに釣られるようにして『クリスタルビット』の射撃が『ヴリトラ』をかすめる。
 確実に直撃であったはずだ。

「おほほほのほ! 一瞬だけ片側のブースターをオフにしているのですわ~! こうやってかくかく不規則に動けば! 射撃が正確であればあるほどに捉えることはできないのですわ~! わたくしも敵にこれやられたらコントローラーぶん投げたくなりますわ~!」
 そう、奇妙な動きは読み難い。
 それ故にメサイアは『クリスタルビット』が疾駆する道行きを阻むように展開した瞬間、即座に腕部マシンガンでもって撃ち抜く。

「フルスピードで駆け抜けるのがわたくしの人生ですわ~!」
 疾風怒濤にしてジェットコースター。
 建てに放浪皇女を長いことやっているわけではないのである。
 メサイアの不思議の国踏破リアルタイムアタックは、最速記録をマークするように『ヴリトラ』と共に駆け抜け、『鉤爪の男』の元へと飛び込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
鉤爪の男への道を阻む障害ゾーンか。
摩利支天様のお力を借りるつもりではいるけど、隠行法と九字護身法、どちらでいくか。
隠形法は、見抜かれたら終わり。特にレーダーやサーモグラフィを使われてたら即座にばれる。
摩利支天九字護身法で行きましょ。

偶神兵装『鎧装豪腕』と幽世千代紙で折った禽獣型式神の大群を「式神使い」で使役して、敵の攻撃の的にする。
これだけ的を増やせば、あたしに向けて放たれるレーザーも減るでしょ。
後は九字護身法で耐えきるのみ。

『鎧装豪腕』には「盾受け」を命じ、折紙の式たちは減った端から補充していく。
このエリアを抜ければ、『鉤爪の男』の居場所ね。首を洗って待ってなさい。あたしがぶっ倒すから!



 僅かに止まった世界を書き換える力。
『侵略蔵書』の力は、クロムキャバリアより飛来したオブリビオンマシンを撃破することによって弱まり、止まる。
 しかし、その書き換える力が止まったのは僅かな時でしかない。
「結局のところ、大本の『鉤爪の男』を打倒しなければ世界の書き換えは止まらない、ということね」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は拓かれた血路を見やる。
「だいじょーぶ、りょーへーさんたちなら!」
「いけるいける! ガンガンいこーぜ!」
 そんな風に巨樹の愉快な仲間たちが頷いている。
 共に戦った彼らの声援を受けてゆかりは苦笑いする。どうにも彼らの口調と相まって緊迫感がない。

 けれど、それでいいのかもしれない。
「ま、そうね。『鉤爪の男』への道を阻む障害ゾーンだと思えば」
 それならばやりようは如何様にでもあるというものだ。
 選択肢は二つ。
 防御に振り切って進むか、それとも隠密性を重視すべきか。
 ゆかりは考える。
 隠形法は確かに嵌った時の強さは言うまでもない。けれど、『天使狙撃銃の国』に存在するという『クリスタルビット』の目を躱すことはできるだろうか。
 メリットとデメリットを考えた時、隠形を見透かされた時のリスクが高い。
 特に『クリスタルビット』がクロムキャバリアの兵器であるというのならば、レーダーやサーモグラフィーを使われた即座に自身の存在は知られるところになるだろう。

 ならば、と彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「オンマリシエイソワカ。摩利支天よ、この身に験力降ろし給え」
 摩利支天九字護身法(マリシテンクジゴシンホウ)によって彼女の身を包み込むオーラが堅牢なる力を持ち得る。
 踏み出した不思議の国は、瞬時にゆかりを認識する『クリスタルビット』から放たれる視線によって、此処が死地であることを理解させるだろう。
 強烈な視線。
 射抜くような視線は、そのままに『クリスタルビット』のレーザー射撃となってゆかりを襲う。

「いきなりじゃない!」
 オーラの防御を底上げしていなければ、その時点でおしまいだった。
『鎧装剛腕』と千代紙で折った猛禽型式神が一気に『天使狙撃銃の国』の空を舞うようにして飛ぶ。
 だが、その尽くが『クリスタルビット』によって撃ち落とされる。
 弾幕と呼んでも差し支えのないほどの飽和攻撃。
 だが、それ以上に脅威だったのが、ゆかりが容易した的の数という暴威を即座に縫うようにして、術者であるゆかり自身を狙ってきているという鋭き攻勢であった。

「まるでこっちが、こうするのがわかっているような動き……!」
 撃ち落とされる端からゆかりは猛禽型式神たちを補充していく。
 今はレーザー射撃をオーラで受け止められるが、そう何度も受け止めてはいられない。まるで『クリスタルビット』の射撃がオーラを削るように撃ち込まれ、束ねられてきているのだ。
 光条が束ねられれば束ねられるほどに威力が跳ね上がっていく。
「全く以て! 厄介なこと!」
 的を増やすのと、『天使狙撃銃の国』を抜ける。
 それを同時にしなければ、『鉤爪の男』の元にたどり着く前にゆかり自身が『クリスタルビット』によって射抜かれてしまう。
 その後に待つのは明確な死。
 焦れるようにゆかりは式神を操り、自身にレーザー射撃の集中を防ぎながら『鉤爪の男』の元へと向かう。

「こんな罠じみたことをしてくれちゃって……『鉤爪の男』、首を洗って待ってなさい。あたしがぶっ倒すから!」
 ゆかりは『鎧装剛腕』で迫る光条を弾きながら、融解していく装甲が火花を散らす光景の先へとただ只管に進み、『天使狙撃銃の国』を踏破するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
敵の先発隊は全滅したか。さて、次は配備された狙撃兵器を破壊していこう。対象のクリスタルビットは常に飛翔しているから、広範囲を一気に攻撃したほうが効率がいいな。
終末異界兵器「審判」を発動。すると上空から、天使のような姿の魔導兵器が姿を表す。
機械天使が吹きならす終末のラッパが、音の届く範囲の全てのビットにダメージを与えるぞ。
これでかなりの数を減らせるはずだ。残ったビットはにわとり型ドローンのメカたまこEXに《索敵》させて、クロスグレイブの《レーザー射撃》で破壊していこう。平和な不思議の国に、こんなものは必要ないからね。



 不思議の国々に迫っていたクロムキャバリアの戦術兵器、オブリビオンマシン『ガーディスト』の大軍は愉快な仲間たちと猟兵達によってようやく退けることができた。
 拓かれた道の先にこそ、『侵略蔵書』によって世界の書き換えを行っているオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が居る。
 しかし、その道はか細いものだった。
「敵の先発部隊は全滅させることが出来たが……お次は配備された狙撃兵器というわけか」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は僅かに残された道を見やる。

 この先にある『天使狙撃銃の国』は無数の『クリスタルビット』と呼ばれる浮遊兵器が存在して、足を踏み入れた者を狙っているのだという。
「びーってくる光のあれ! あれにはちゅーいしてね!」
「あたると痛いどころじゃーないから!」
 愉快な仲間たちの忠告を受け、ガーネットは頷く。
 共に征く『夜の女王』と共に彼女は『天使狙撃銃の国』へと飛び出していく。

 確かに浮遊する砲台にして弾幕兵器である『クリスタルビット』は脅威であった。
 だが、ガーネットが何の方策もなしに『天使狙撃銃の国』へと飛び込んだのではない。彼女はこうも考えていた。
「『クリスタルビット』は常に飛翔しているから、広範囲を一気に攻撃した方が効率がいいな」 
 敵から攻撃されるのを待つことはない。
 そう、此方から先制攻撃で『天使狙撃銃の国』を進む道を切り開いてしまえばいいのだ。

「ならば、告げる」
 彼女の瞳がユーベルコードに煌めき、『夜の女王』が掲げた先より飛来するのは、天使型魔導兵器。
 奇しくもクロムキャバリア世界において『クリスタルビット』と呼ばれる弾幕兵器を使う機体は『セラフィム』の名を冠していた。
「『武器庫』よ、異界兵器の一つ<審判>を解禁する権利を求める……開門せよ」
 天使型魔導兵器が吹き鳴らすは、喇叭。
 機械天使と呼ぶに相応しい威容。
 まさに終末を予見させるかのような光景であり、その魔導兵器へと『クリスタルビット』は光条を解き放つ。

 放たれる光条は一瞬で機械天使を撃ち抜く。
 だが、ガーネットによって呼び出された魔導兵器が吹き鳴らす喇叭の音は止まらない。
「終末異界兵器「ⅩⅩ:審判」(ワールドエンドウェポン・ジャッジメント)――……終末の喇叭は吹き渡る」
 ガーネットの瞳から放たれるユーベルコードの輝き。
 それは迫りくる『クリスタルビット』の尽くを破壊する。
 あらゆるものに終末を齎す音響兵器の如き力。

 それらは『クリスタルビット』とて躱すことはできない。
 音が響き、世界に満ちるのならばこそ、終末の喇叭が吹き鳴らされることを防ぐことなどできないのだ。
「平和な不思議の国に、こんなものは必要ないからね」
 終末の喇叭は『クリスタルビット』の水晶体を次々と砕き、ガーネットと『夜の女王』の前に道を示す。
 それは『天使狙撃銃の国』の先にあるであろう『鉤爪の男』の存在。
 そんな彼女を征かせまいと『クリスタルビット』が次々と迫るのを『夜の女王』が携える巨大な十字架をもしたビーム砲塔デバイスより放たれる光条が撃ち抜く。

「さあ、進もうか。『カーテンコール』は、この美しくも残酷なる迷宮には響かない。『鉤爪の男』、『カーテンコール』は君の齎した『超弩級の闘争』たる世界にこそ相応しい」
 ガーネットは己の武装が切り開いた道を一気に駆け抜け、『超弩級の闘争』齎す存在へと立ち向かうために水晶の破片を撒き散らしながら飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
狙撃か
まあ構うまい

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給


狙撃は全て消失にて返撃
煌皇を超え得るかどうか知らぬがどちらにせよ攻撃者は消え失せる
急ぐことだし意識を向けるまでもない
鉤爪の男は待っているのだろう
望み通り速やかに終わりをくれてやらねばなるまい

有象無象は退場しておくが良い

※アドリブ歓迎



 踏み出した先にあったのは無数の水晶体が飛び交う世界だった。
 水晶体の名は『クリスタルビット』。
 クロムキャバリア世界においてキャバリアの兵装の一つである。
 弾幕のごとく降り注ぐ水晶体から放たれる光線は凄まじい物量であったことだろう。
「狙撃か」
 その言葉を紡いだのは、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)だった。
 弾幕を前にして、そう呟いた言葉は聞く者からすれば見当違いに聞こえたかもしれない。
 けれど、『クリスタルビット』の全てが正確無比な射撃を行っている。
 これら全てを完全にコントロールしているということは、指示を出している存在があるということだ。

 明らかにこれまでとは異なる世界の性質。
「まあ、構うまい」
 自身にとっては関係のないことだった。
 不思議の国『天使狙撃銃の国』が如何なる様相を見せるのだとしても、降り注ぐかのような火線を前にアルトリウスが取る選択が唯一だった。
 即ち、やることが変わらないということだ。
 先刻の鋼鉄の巨人、オブリビオンマシンの猛攻と対処することは変わらない。

 纏う十一の原理が無限に回る。
 己に害あると判断したもの全てを世界の外へと破棄する。
 一切合切の全てを拒絶する力は、全てが原理に寄って消去される。肯定に必要な魔力は骸の海の外側から常時供給される。
 魔力切れということは興り得ないのだ。
「正確無比。だがそれだけだな。いや、そういうことではないのか」
 アルトリウスの周囲に存在する蒼の燐光。
 その全てが迫る『クリスタルビット』の射撃を吸収し無効化し存在原理を消し去る。
 しかし、弾幕兵装である『クリスタルビット』は次々と無限量のごとく湧き上がってくる。

「なるほどな。理解した。意識を向けるまでもない。謂わばこれは鏡だ。意味のないことだ。虚実を映し出されているようなものだ」
 故にアルトリウスは、『クリスタルビット』を手繰る存在に興味を示さない。
 己のユーベルコードは自動的だ。
 意識せずとも迫る一撃一撃は対消滅していく。
 ただ速やかなることを臨む。

 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は『超弩級の闘争』を求めている。
 ただ戦い続けること。
 それを存在意義とするのならば。
 猟兵たちを待つと言った彼のもとへと向かう。
 アルトリウスに取って、それが如何なる意味を持つのかなど言うまでもない。
「望み通り速やかに終わりをくれてやらねばなるまい。有象無象は退場しておくが良い」
 次々と打ち合い消えてく『クリスタルビット』。
 アルトリウスの歩みを止めるものはないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
……そうか、居るか、セラフィム!!

亡国の主操縦
【推力移動】で真っ直ぐ!天使狙撃銃の国を突き進む!
サイキックシールド展開【オーラ防御】狙撃を受け流し、
なお真っ直ぐ進む!!

接げろ!そこにいるのなら!!壊してその先へ征け!!!

【結界術】『禍葬天間接』発動
|怨念結界《サイキックシールド》で空間を歪め、
【乱れ撃ち】狙撃攻撃を反射、更に
【呪詛】崩壊霊物質で距離を無視して水晶体を呪い崩壊、
水晶体を減らし、人工魔眼の【第六感】で水晶体の大元を感じ取る!

其処にいるなら、壊れろ!!セラフィムーーーー!!!

加速の勢いを載せ、
RXSハルバードを、水晶体の大元へ投擲【空間切断属性攻撃】
身軽になったので鉤爪の男へ向かう!



 宙を舞う水晶体。
 その『クリスタルビット』と呼ばれた弾幕武装を朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は知っていた。
「……そうか、居るか、『セラフィム』!!」
 ジャイアントキャバリア『亡国の主』と共に小枝子は、乱舞する『クリスタルビット』を迎え撃つ。
 真っ直ぐ。
 愚直とも言えるほどの挙動でもって『亡国の主』は小枝子と共に『天使狙撃銃の国』を釣っくるようにして突き進む。
 その進撃に『クリスタルビット』は光条を解き放ち、迎え撃つ。
 全ての射撃が正確無比だった。
 サイキックシールドを展開し、オーラ防御でもって防御しようとしても無駄だった。

 かの無限弾幕の如き『クリスタルビット』以上の精度でもって、次々と光条がサイキックシールドを一点集中で撃ち抜いていくるのだ。
「『セラフィム』! 接げろ! そこにいるのなら!!」
 小枝子は咆哮する。
 光条の一撃がシールドを貫通して『亡国の主』の装甲を撃ち抜く。
 だが、次の瞬間、小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。

「壊してその先へ征け!!!」
 空間を歪めるほどの怨念結界が『亡国の主』を覆っていく。
 迫る光条を反射し、空間すら捻じ曲げる。
 それが禍葬天間接(ディスアーク)。

 迸る怨念は霊物質となって『クリスタルビット』を掴み上げ、呪いそのものでもって崩壊させるように握りつぶす。
 無限に湧き出し続ける水晶体の弾幕の最中を『亡国の主』は大地を蹴って一直線に進む。前に。前に。愚直に前に進むことしか小枝子にはできない。
 そして、小枝子の人工魔眼が燃える。
 熱と痛みを伴い人工魔眼の駆動は、この『天使狙撃銃の国』に存在するであろう『クリスタルビット』を手繰る大元を睨めつける。

「其処か! 其処にいるのなら、壊れろ!!『セラフィム』――!!!」
 魔眼が捉えるのは、赤き三面六臂たる鋼鉄の巨人。
 目と目が合った。
 瞬間、その赤き鋼鉄の巨人の三面がスライドするように6つのアイセンサーを『亡国の主』へと向け、手にしたロングレンジライフルの砲身を六腕でもって支える。
 小枝子は理解しただろう。
 不思議の国『天使狙撃銃の国』の名の由来を。

 それは『クリスタルビット』の正確無比なる射撃のことを意味しているのではない。
『あれ』こそが、この国の名の由来。
「自分は、自分たちは止まらないぞ、今更!『セラフィム』!!!」
『亡国の主』が大地をけって飛ぶ。
 ハルバードを構えていた腕部をロングレンジライフルの一撃が撃ち抜く。機体が傾ぐ。さらに第二射が機体の肩を貫く。
 だらりと腕部が落ちる。
 だが、それでも小枝子は見ていた。

 第三射が来る。

「自分を舐めるな!!!」
『亡国の主』の顎がハルバードの柄を噛み締め、加速の勢いでもって頭部を振り抜いて投擲の一射を放つ。
 ハルバードはロングレンジライフルの第三射が放たれるより早く、その銃身を斬り裂いて、破壊する。
 その最中を小枝子は駆け抜ける。武装は失いこそすれ、しかし身軽と成った『亡国の主』は『天使狙撃銃の国』を後にするように『鉤爪の男』の元へと飛ぶ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
力強い声援を頂きましたね。舞狂人形。
彼らが必死に紡いだ希望を絶やすわけにはいきません。
鉄屑掃除で準備もできました。
さぁ飛び立ちましょう。
(UC【蠱の翅】を発動し{蜂蜜色の陽炎}に{舞狂人形}が包まれると「天使狙撃銃の国」の空を切り裂くように飛翔する)
陽炎による『オーラ防御』で天使たちの光を多少防げるでしょうが
一点集中されると危ういですね。
しかし安心してください。舞狂人形。
天使たちのリズムは把握しました。
偏差射撃を狙うタイミングで軌道を変えて回避しましょう。
殺意しかない単調なリズムで助かりました。



 愉快な仲間たちは口々に猟兵たちの健闘を祈るように応援の言葉を紡いで、彼らを送り出した。
 それは真に溢れる言葉だったことだろう。
 誰もが願っている。
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が望む『超弩級の闘争』ではなく、アリスたちを迎えるための心癒やすための世界を。
 自分の扉を見つけるための冒険に出るための、美しくも残酷な世界を。
 だから、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は『舞狂人形』のコクピットの中で笑む。
「りょーへーさんたち、どうかおねーがいしますー! アリスたちのためにも!」
 そんな言葉に後押しされるようにして、僅かに世界を書き換える力の弱まった隙に『鉤爪の男』へと至るために『天使狙撃銃の国』へと足を踏み出すのだ。

「力強い声援を頂きましたね。『舞狂人形』。彼らが必至に紡いだ希望を絶やすわけにはいきません」
 鉄屑へと姿を変えたオブリビオンマシン『ガーディスト』たちの残骸を見下ろす。
 すでに此処に脅威はない。
 愉快な仲間たちの身の安全は守られたとも言えるだろう。
 ならば、後もう一つ守るものがあるのだ。
 そう、クロリアの言葉通り彼らの希望だ。世界を滅ぼさせぬと言う意志。
 誰かのためにと願う心があるからこそ、世界は存在しているし美しいのだとクロリアは満ちる旋律に身を任せるように、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 それと同時に彼女の『舞狂人形』のアイセンサーが煌めき、そのオーラが機体の背に蠱の翅(コノハネ)を生み出す。
「さぁ飛び立ちましょう」
 その言葉とともに『舞狂人形』がステップを踏むように助走を付けて、翅をはばたかせ、一気に『天使狙撃銃の国』へと飛び出す。
 そんな機体を一瞬で取り噛むのは無数の水晶体だった。
『クリスタルビット』。弾幕兵器とも言われる光線放つ浮遊する兵器。
 これもクロムキャバリアの武装であるというのならば、その光条の一撃をオーラ防御で防ぐ。
「……防げないッ!」
 光条は無数の『クリスタルビット』から放たれていた。
 完璧にコントロールされた光条が一点に照射され、オーラを貫いてくるのだ。

「けど……安心してください『舞狂人形』」
 装甲の焼けた機体が傾ぐ。
 だが、クロリアは周囲に存在する『クリスタルビット』が如何なる存在下を理解した。
 今の一撃で『クリスタルビット』を手繰る存在は完璧な存在だ。 
 狙いに躊躇いはない。
 先んじた猟兵たちの行動を持って計算されているのだろう。後続になればなるほどに学習するかのように『クリスタルビット』の動きは洗練されていくのだ。

 必ず猟兵の影を踏むように追いすがってくる。
 だからこそ、クロリアは理解していた。この『天使狙撃銃の国』を抜けるために必要なのは速度だ。
「天使たちのリズムは把握しました」
 成長して学習していくというのは、『クリスタルビット』を手繰る者だけの特権ではない。クロリアは生きているからこそ、自身もまた学ぶということを知っている。
 敵がこちらのリズムを読むというのならば、己たちは、さらに上回ることをすればいい。『クリスタルビット』の迫る光条の網を縫うようにして舞い踊る『舞狂人形』。
「此方への敵意しかない単調なリズム。私達のリズムを真に天使たちの主が理解するのと、私達がこの国を抜けるのはあまりにも遅きに失するというものです」
 クロリアは、己の中にあるリズムを『舞狂人形』に伝える。
 そして、彼女は見ただろう。

 空に浮かぶ銃身を破壊された三面六臂の赤い鋼鉄の巨人を。
 そのアイセンサー。
 そこにあるのは人の意志が介在しない無機質な輝きのみ。
「乗り手がいないのでしょうね。だから、単調過ぎる。それを人はゆらぎとも呼ぶのかもしれませんが」
 故にクロリアは読み切れたのだと『天使狙撃銃の国』に乱舞する光条の輝きをかいくぐり、『鉤爪の男』の元へと飛び込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
引き続きキャバリアの軍勢と共に進撃します。
愉快な仲間達の皆様に感謝を。

WHITE KNIGHT、最適なコースをお願いします。
「ある程度水晶体を撃墜したほうが良いだろう。ビームは使うな、反射されるからな」
了解。キャバリア各機は実弾装備へ換装を。

S.K.U.L.D.Systemによる未来予測とWHITE KNIGHTの予測演算をもとに最適な突破コースを確定、セラフィム・リッパー、プラチナムドラグーン、ストライクフェンリル全機による実弾攻撃で水晶体を撃墜しつつ最大戦速の空中機動にて一気に突破します。
念のためセラフィム・リッパー隊全機にクリスタルビットを展開させて、水晶体からの攻撃を反射させましょう。



 鋼鉄の巨人、キャバリアの部隊が『超弩級の闘争』に書き換えられた不思議の国々を疾駆する。
 炎に包まれた戦場。
 しかし、それ以上クロムキャバリアの戦場は拡大していかない。
 それも愉快な仲間たちと猟兵たちが共に戦い、オブリビオンマシンを打倒せしめたからだ。
「引き続き私たちは進撃致します。愉快な仲間たちの皆様に感謝を」
「いーいよー! こちらこそ、ありがとー!」
「気をーつけてーね!」
 その言葉に後押しされるようにして、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は戦場を後にするようにして『天使狙撃銃の国』へと飛び込んでいく。

 この世界を書き換える力が弱まっているのは僅かな間だけだ。
 その間に無数の『クリスタルビット』が乱舞する不思議の国を抜けなければならない。
「時間との戦いというわけですか……『WHITE KNIGHT』、最適なコースをお願いします」
『S.K.U.L.D.System(スクルドシステム)ver.3.0.1 Stand by... Completed.」
 赤熱する補助AI。
 演算速度が絶えず上昇していく。それほどまでに『天使狙撃銃の国』に満ちる『クリスタルビット』の数は膨大だった。
 先行した猟兵たちの切り開いた道は、すぐに無限弾幕兵装たる『クリスタルビット』によって埋め尽くされていく。
 それら一つ一つが完璧にコントロールされている。

 故に演算したAIが導き出した経路は、ジェイミィに苛烈なる挙動を強いるものだった。
「これが最適な突破コースだというのならば、少々無茶というものですが……」
『ある程度水晶体を撃墜した方が良いだろう。可能性を上げるというのならばな。でなければ、撃ち落とされるのは自身だと思うがいい』
「良いでしょうとも。やってみせましょう!」
 ジェイミィのアイセンサーが煌めくと同時に随伴するキャバリア部隊が大地を疾駆する。
 それに合わせるように『クリスタルビット』が乱舞する。
 光条が網目のように放たれ、まるで『大軍勢との戦いを経験している』かのような挙動を見せる。
 ジェイミィにとって、それは不測の事態ではなかった。

 ただ単一の敵を相手取るのならば、この『クリスタルビット』の数は大げさ過ぎるし、無意味であった。同時に無駄の極みであると言えるだろう。
 これは一騎で多数を相手取る戦い方だと看破する。
 それは正しい。
 故にジェイミィと随伴する機体は己たちの死角をカバーするようにして挙動し、迫る『クリスタルビット』を射撃武装で撃ち抜いて撃墜していくのだ。
「最大戦速。空中機動の許可を。此処はクロムキャバリアの蓋をされた世界ではないがゆえに」
 その言葉と共に『セラフィム・リッパー』隊の全機から『クリスタルビット』が放たれる。
 だが、それを予想していたかのように『天使狙撃銃の国』の『クリスタルビット』が次々と『セラフィム・リッパー』の放ったそれらを撃ち落としていく。
 反射させる暇すらなかった。

「……やはり大元がいるようですね」
 そして、ジェイミィのセンサーが反応する。
 一瞬の思考。
 敵は此方の挙動を理解している。
 故に『セラフィム・リッパー』隊が同様の武装でもってルートを切り開こうとした瞬間、『クリスタルビット』を制御する大元と同じように無数のキャバリアを率いているジェイミィを排除しようと拉げた砲身から放たれる一撃が彼を襲う。

 しかし、それは絶えず演算を行っていた補助AIからのアラートによって阻まれる。
 機体をかすめる射撃の一撃にジェイミィは狙撃の主を見やる。
 そこにあったのは三面六臂の赤い鋼鉄の巨人。
 拉げた砲身は、恐らく先行した猟兵が遭遇し一撃を与えていたからであろう。
「赤い、『セラフィム』……! ですが、今は……!」
 第二射がジェイミィを襲うことはなかった。
 拉げた砲身での一撃が限度だったのだろう。アレに構う暇はないとジェイミィは己の機体と共に『クリスタルビット』の攻勢を躱し、提示されたルートを駆け抜け、『鉤爪の男』の元へと飛び出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
ありがとう巨樹さん達
頑張ってくれたのに、手当て出来なくてごめんね
…戦火を止めたら戻ってくるわ
いってきます!

ぴゅんぴゅんしてる水晶さんが攻撃してくるのね
カチカチさんに詳しくない私には
とてもわかりやすい
でもね
ぴゅんぴゅんできるのは水晶さんだけじゃないのよ
白薔薇の日傘の力を借りて、UCで一気に駆け抜けるわ
光に当たると大変なら、今回は全力前進
前進、だけど真直ぐじゃなくバラバラに動き回って
進行方向を迷わせるように

避けきれない光は
頑丈に咲かせた不思議な薔薇の挿し木の茨で武器受け
直撃からかばうの
茨で叩けそうな水晶さんは、体勢を崩して軌道をずらし
激痛耐性のある体と火炎耐性の加護、
風魔法のオーラ防御で乗り切るわ



 燃え落ちた樹皮を痛ましいと思う。
 戦いにおいて傷はつきものだ。誰もが傷つかずにはいられない。
 だからこそ、巨樹の愉快な仲間たちの傷跡を見て城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は申し訳なく思うのだった。
 そんな彼女の気持ちを察したのか、彼らは枝葉をふっていばらを送り出す。
「だーいじょうぶー! さあ、りょーへーさん、行って!」
「……ありがとう巨樹さんたち。頑張ってくれたのに、手当できなくてごめんね」
「いいーよー! それよりもあのツメツメの男をー!」
「ええ、戦火を止めたらもどってくるわ。いってきます!」
 声援を背に受けて、いばらは『天使狙撃銃の国』へと足を踏み出す。

 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』へと至る道は僅かな時しか開かない。
 愉快な仲間たちと猟兵が戦ったからこそ得られた時間。
 その時間を無駄にしないためにも、彼女は危険満ちる水晶体乱舞する世界を進む。
「水晶さん……あなたたちはただ悪性だけで足を踏み入れた者を害するのね」
 いばらは理解していた。
 カチカチさん。クロムキャバリアの兵器、オブリビオンマシンのことに詳しいとはいえなかった。
 だから、とてもわかりやすい。
 水晶『クリスタルビット』から放たれる光条は一撃一撃が強烈な痛みを齎す。いばらであっても耐えきれないかもしれない。

「確かにぴゅんぴゅんされるのはとても恐ろしいし、大変なことだと思う。でもね、ぴゅんぴゅんできるのは水晶さんだけじゃないのよ」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 手にした日傘を広げれば、万事万端。準備はすでに整っている。
 どれだけ水晶が乱舞する世界でも、光条が網目のように彼女に迫るのだとしても、これは結局のところ『おでかけ』なのだ。
 そんなモードに見を包んだ、いばらが差す日傘はおひさまの光を浴びるようにきらめいていた。

 歩むことをやめないのがアリスだというのならば、いばらは、その道すがらに咲き誇るバラの花のようであった。
 白薔薇が咲くように広がった日傘と共に、いばらは進む。
 そう、ただ進むだけでいい。
 いつだってゴールは決まっている。アリスたちが『自分の扉』を目指すように。
「其処で見ているのね。完全なる悪性。けれど、それは完全なる善性と表裏一体なの。だから」
 迫る光条の一撃を、いばらは薔薇の挿し木を揮って火花を散らす。
 キラキラと輝くような光条が魔力込められた挿し木の切っ先とぶつかっては避けるようにして周囲に飛び散っていく。

 ステップを踏むように、いばらは飛翔し迫る水晶体たちと会話するように前に進んでいく。
 痛みは心を怯ませる。
 いつだってそうだけれど、その痛みを前にしても震える足を咎めてはならない。
 生きているのならば、その痛みこそ得難きものであるから。
「けれど、それでも意地悪をしてはいけないのよ。いつだって、いばらはドキドキしているの。今日は何処まで行こうかしらって!」
 白薔薇の日傘が、いばらの身体をふわりと浮かせる。
 風の魔法はきっと巨樹の愉快な仲間たちの応援を受けて彼女の背中を押す。
 迫る『クリスタルビット』の猛追を、いばらはあくまでふわりと軽やかにステップを踏みながら躱して進んでいく。

「水晶の主のあなた、きっと迷っているのね。揺らいでいるのね。なら、今はさようなら」
 いつかきっと、そのゆらぎが間違いではなかったと知るのだわ、といばらは微笑みながら『天使狙撃銃の国』の出口で優雅に一礼して、その先……『鉤爪の男』のもとへと向かうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
ふう、ちょっと疲れちゃった。でも休む暇もないみたい
そうだね、愉快な仲間さん達もああ言ってくれてるもの
まだまだ頑張らないとね

空飛ぶ水晶…攻撃さえしてこなければ、綺麗なだけで済んだのだけれども
これは、全力で走らないとダメそうだ

【新緑、始まりの息吹を此処に】
獣の姿に変身して、一気に駆け抜けちゃうよ
水晶からの攻撃は…頑張って避ける
研ぎ澄まされた五感と野生の直感が合わさった、獣のわたしの速度なら、それが出来る

駆け抜けるまでずーっと頑張るから、とっても疲れちゃうけど
獣になっておいて猟師に捕まるなんて事、カッコ悪いもの
ふふ、だったら、負けてられないね



 アリスラビリンスの不思議の国々を巻き込んだ『侵略蔵書』の力。
 それによって書き換えられた世界。
 戦火荒ぶ戦場。
 その最中に疾駆する鋼鉄の巨人。
 それらを蹴り倒していたアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は遊び疲れた子供のように息を吐き出した。
「ふう、ちょっと疲れちゃった」
 あれだけ無数のオブリビオンマシンを相手取ったのだ仕方のないことだったのかもしれない。
 けれど、巨樹の愉快な仲間たちが、そんなアウルの裾を引っ張っている。
「おつかれのところ、ごめんだけど、りょーへーさん!」
「とじちゃーう! かきかえの時ーが止まってるーのが、終わっちゃーう!」
「あら、そうなの。休む暇もないのね」
 彼らの言葉にアウルは頷く。

 時間は多くはない。
 けれど、前に進まねばならないというのならば、ためらっている時間はもっと少ない。
「ええ、まだまだ頑張らないとね」
 アウルは己のカタチを変える。
 青の瞳にユーベルコードが輝く。
 それは、新緑、始まりの息吹を此処に(シフトフォーム・ビギニングフワワ)と彼女の姿を変貌させる。
 獣の姿。
 獣脚が跳ねるようにして不思議の国『天使狙撃銃の国』へとアウルを飛び込ませる。
「気をーつけてーねー!」
 巨樹の愉快な仲間たちが手を振るのを背中に感じながらアウルは、空を乱舞する水晶体見やる。
 確かに綺麗だと思う。
 キラキラしているし。けれど、本当はそれが剣呑たる気配を放っていることをアウルは知っていた。

「これは、全力では知らないとダメそう」
 アウルの獣脚が跳ねるようにして大地を蹴る。
 瞬発力が上がっている。迫りくる『クリスタルビット』の光条を既の所で躱す。
 火線がアウルの肌を灼く。
 けれど、それは些細なことだった。
 彼女の中の研ぎ澄まされた五感と野生の勘が言っているのだ。此処で足を止めたらきっと、それで終わりになってしまうのだと。
「もっと早く。もう少しカタチを変えて」
 煌めくユーベルコード。
 アウルの青い瞳は残光のように『天使狙撃銃の国』を走り抜ける。

 とても疲れる。
 足が痛いと思う。息が切れる。
 けれど、それでも走らないといけない。出口を目指して。キラキラと光るのは光条が網目のように自分に迫ってきているからだ。
「獣になっておいて猟師に捕まるなんて事、カッコ悪いもの」
 だから、疾走るのをやめない。
 迫る光条の一撃を華麗に、しなやかに躱しながら、アウルは飛ぶ。
 砕けた大地を蹴って、さらにその先へ。
『鉤爪の男』が存在する場所へとひたむきに走っていく。

 光条の一撃一撃は全てが正確無比だった。
 そこにあったのはゆらぎのない攻撃ばかりだった。ある意味で正直だとさえ、アウルは思った。この『クリスタルビット』の主には、ゆらぎがない。
 獣のようなたくましさすらない。
 だから。
「負けていられないのよ」
 アウルは乱舞する光の中を微笑みながら、青い残光だけを刻み駆け抜けていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……無数のクリスタルビット、どこかで見た状況ね……
けれど、こっちもあの時のままじゃない、突破させてもらう……!

引き続きコルヴィルクス装備のプロトミレスでの、残像を生じるほどの最大速度で突っ込む。
攻撃精度がどの程度かは分からないけど、狙撃してくるだけなら立ち止まらず移動を続けている方が当たらない…筈

そしてUCを発動、速度を落とさないためにも回避機動は最小限に、
前方に固まっているならルーナグラディウス(砲撃モード)とツインGランチャーで砲撃を。
当たらなくても構わない、Gランチャーの重力球はそこにあるだけでも飛び道具の軌道を逸らせるもの

そのまま、一気に駆け抜けるわ……!!



「……この状況」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は己のキャバリア『プロトミレス』と共に不思議の国『天使狙撃銃の国』へと足を踏み出して、呟いた。
 記憶している戦場。
 それに似通った情景。
 無数の、それこそ無限に湧き出すかのような弾幕の如き水晶体。
「……無数の『クリスタルビット』、どこかで見たような状況ね……」
 あの時と今とではあらゆる物が違う。
 此処が不思議の国々で、そして、アルカもまたあの時のままではない。
 そう、成長しているのだ。
 なら、躊躇う必要など無い。恐れる必要など何一つないのだ。

「『プロトミレス』!」
 その言葉と共にアルカは再び『クリスタルビット』乱舞する戦場へと飛び込んでいく。
『プロトミレス』の背面に装備された大出力のメガスラスターユニットが大推力でもって機体を後押しする。
 目の前には加速を十分に得させまいと、駆け出した出鼻をくじくように『クリスタルビット』が迫っている。
 レーザー射撃による一撃ではない。
『クリスタルビット』による突撃。
 よく理解されている。
 確実に止めるためには質量をぶつけるのが的確だった。
 だが、だからこそ、アルカ振るった大型実体剣を十字に振り抜いて、迫る『クリスタルビット』を砕く。

 水晶の破片が舞い散る最中、残像を残すかのような速度で持って『プロトミレス』が『天使狙撃銃の国』を飛ぶ。
「攻撃精度は精確だっていうのなら……!」
 敵は『エース』だ。
 そう、直感的にアルカは理解していた。
 これほどの攻撃を仕掛けてくる『クリスタルビット』の主は、そういう存在なのだ。だが、同時にアルカは物足りないとも思っていた。
 熱量のようなものを感じない。
 生きているが故に感じる熱のようなもの。それは時として重圧となって己の身に降りかかるものだ。
 けれど、それをアルカは感じない。

「なら、それは『エース』ならざりし、と言う他ないわね!」
 手にした実体剣を腰部にマントし、ジェネレーターと直結されたビームの光条が迫りくる『クリスタルビット』の群れを一層しながら、さらに飛ぶ。
 追いすがる『クリスタルビット』へとグラビティガンが砲撃を行い、追随を許さない。
「正確無比、ただそれだけ。あの時はとは比べるべくもない」
 アルカは己の成長を感じるだろうか。
 臆すること無く前に進み続ける者にこそ訪れるブレイクスルーの如き限界の突破。
 相手が誰だろうと構わない。
 自身が負けるということは、即ち己に降り掛かった悲劇が誰かに襲いかかるということ。

「今はただそれだけを考えていればいい……!」
 悲劇は涙を生む。
 多くの悲しみだけが広がっていく。
 そんな世界は嫌だと思う心がある。自身の心に刻まれた記憶が。他の誰かにももたらされることなど。
 それだけは、とアルカは思うからこそ『プロトミレス』と共に『天使狙撃銃の国』を走り抜ける。 
 視界の端に赤い三面六臂の鋼鉄の巨人を見た、気がした。
 けれど、アルカは脇目もふらずに駆け抜ける。
 ただ、ただ、この戦火を齎した『鉤爪の男』を討つために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
(引き続きUC。ハートのお姫様状態)
ふん。疲れてはきたけどまだ|私《お姫様》が出てられるだけの時間はあるみたいね。
さっさと行くわよ!

例えそこがアリスラビリンスでなくても関係ない!世界が私にひれ伏し、何もかもが私の盾となり刃となるわ
それに、アリスと同じで第六感もあれば痛みへの耐性もあるのよ。この程度で私を、私達を止められると思わない事ね!

私の力で適当な(正しい意味で)地形を利用して、そこから刃を生やして狙撃を防ぎながらどんどん先へ進むわよ!

……走って。
……ああもう、アイツらの首は切れなさそうだし!私をこれだけ走らせた分も、あの男に一発入れてやりなさいよねアリス!



 砲火荒ぶ戦場の有様は完全に立ち消えたものではなかった。
 けれど、次々と世界を書き換える『侵略蔵書』の力は一時的に弱まり、不思議の国々を染め上げていた炎は一時停止したかのように止まっていた。
「ふん。疲れてはきたけどまだ|私《お姫様》が出てられるだけの時間はあるみたいね」
 アイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)は、ユーベルコードに寄ってハートのドレスの少女のまま、不思議の国『天使狙撃銃の国』へと足を踏み出す。
 躊躇いはなかった。
「だいーじょうぶー? おひーめさまー」
 巨樹の愉快な仲間たちが心配そうに見ている。
 だが、そんな彼らの心配を他所にハートのドレスの少女は不敵に笑っていうのだ。

「私を誰だと思っているの? 世界は私の前に跪き、首を差し出すのが常なのよ? なら、さっさと行くのが当然でしょ?」
 そんな彼女はさっさと『天使狙撃銃の国』へ飛び込むように走っていく。
 目の前に迫るのは無数の水晶体。
『クリスタルビット』と呼ばれる、あの鋼鉄の巨人たちと出自を同じくする世界の兵器であることをハートのドレスの少女は知らなかった。
 けれど、それは大したことではない。
 なぜなら、彼女はひび割れハートのお姫様。

 例え、此処がアリスラビリンスであっても、そうでなくても関係ない。
 彼女の物理法則は意味をなさない。
 あらゆる光条も、『クリスタルビット』による突撃も全てが彼女を傷つけるに値しないのだ。
「世界が私にひれ伏し、何もかもが私の盾となり刃となるのよ! この程度で私を、私達を止められるとは思わないことね!」
 漲るユーベルコードの煌めきを放つ瞳は、自身たっぷりだった。
 迫る『クリスタルビット』など全てが殺戮刃物によって砕けて散る。
 彼女に降りかかる全ての『クリスタルビット』は尽くが破壊され、その水晶の破片が満ちる先こそ彼女が進むべき道であった。

「ああもう、本当に面倒ね! こういう時はどうにかしてショートカットできないのかしら!」
 それに、と思う。
『クリスタルビット』を手繰る大元の首は落とせない。
 加えて、この水晶の破片だらけの道を自分は走って往かねばならないのだ。どう考えたって、何かしら馬車とかそういうので行くのがお姫様っていうものだろう。
 けれど、残念なことにそういうものがないのなら。
「走っていくしかないってわけよね! 私をこれだけ走らせた分も、あの男に!」
 そう『鉤爪の男』に。
 このアリスラビリンスを『超弩級の闘争』たる世界に書き換えようとしている諸悪の根源に。
 自分を走らせる原因となった男に。
「一発入れてやりなさいよねアリス!」
 ハートのドレスの少女は憤慨しきりであった。

 けれど、それでいい。
 アイリスができないことは自分たちがやる。そのために断章たる己たちがいるのだ。
 ならばこそ、彼女は迫りくる『クリスタルビット』を尽く破壊し、その煌めく道筋の先に在るだろう、このパンパンになったふくらはぎの痛みを引き起こした張本人を睨めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、首、首絞まってますから!?
しかもなんだか欲望だだ漏れてますけど、
ご主人さまハーレムとか、メイドとしてそれはありなんですか!?

……。

ステラさんって、暴走を誤魔化したいとき、
後方宇宙メイド顔とわたしのシリアスアレルギーで乗り切りますよね。

耳赤いからすぐ解るのに。

まぁ、そこは密かな楽しみとして、
いろんな世界にいろんなエイルさんや鉄板がいるのは、
不思議ではありますね。
せっかくですから、写真とか撮ってコレクションにしたらいいかもです。

って、また破壊っていいました!?
違いますからね!
あれは、えっと、たぶん、悪意を退ける光の波動、みたいな?

今回は悪意ありありなので、効くと思いますよ!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ひどい、もうエイル様のお声を聞けない
この責任はどうしてくれるんですか全世界中のエイル様全員所属の私専用ハーレムでもないと割に合わないのですがルクス様!!

まあクリスタルビットの時点でそんな気はしておりました
天使、セラフィム…おそらくは熾盛ですね
セラフィムエイル様のセラフィムビットじゃないだけマシというものですね

しかし等身大の熾盛…
確かジャック・マキシマムの時に?
いえ、その前に…ロボットヘッドのエイル様がいましたね
セラフィムとは一体何を指す言葉なのでしょうね

さてルクス様準備はいいですか?
ほら、ここにスピーカー置いておきますから
思う存分破壊してください演奏で
えっ?私は聞きませんけども?



 まだ耳鳴りがしている。
 世界の音全てが歪んでいるような気がする。自分だけが、そんな歪んだ世界に取り残されているような気持ちになってしまっていたステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、とても嘆いていた。
 放っておいたら、このまま身を投げかねないくらいの感じだった。
「ひどい、もう『エイル』様のお声を聞けない」
 あっ、いつもどおりのやつですね、と誰もが思ったかもしれない。
 けれど、ステラの手はしっかりと耳鳴りの元凶であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の首をしっかりと絞めていた。
「ステラさん、首、首絞まってますから!?」
「この責任はどうしてくれるんですか全世界中の『エイル』様全員所属の私専用ハーレムでもないと割に合わないのですがルクス様!!」
 そういうのはないですね、とルクスは思った。
 というか、欲望ダダ漏れである。
 なんていうか、こういうメイドって居て良いのかなってルクスは思った。

「御主人様はーれむとか、メイドとしてそれはありなんですか!?」
「むしろ、どうしてないのかと思うのですが!!」
 たっぷたっぷ。
 ルクスはステラの手を叩いて、ようやく開放される。
 ぜえはあと息を整えながらルクスは、ステラの暴走も大変だな、と思った。なんていうか、ここまで欲望ただ漏れなのは、フラストレーションが溜まっているせいなのかもしれないと思う。
 どうにかして発散……と思ったが、大体いつも叫んでいるから、それでどうにかならんだろうかとも思い直す。
 あ、ほら、現に一通り叫んだ後にステラは、いつものメイド面になっていた。

「『天使狙撃銃の国』……『クリスタルビット』の時点でそんな気がしておりました。天使、『セラフィム』……おそらくは『熾盛』ですね」
「あの」
「『セラフィム・エイル』様のセラフィムビットじゃないだけマシというものですね」
「えっと」
「しかし等身大の『熾盛』というのも存在しておりましたし……いえ、その前にロボットヘッドの『エイル』様がいましたね」
「あのー」
 ステラがすらすらと言葉を紡ぐのに対してルクスはじとっとした視線を向けていた。
 もしかして、と思ったのだ。
 もしかしなくても、あれだけの欲望をたっぷり叫んだことを恥ずかしがっているのだろうか。今更じゃないかとも思った。

「ステラさんって暴走を誤魔化したい時、後方宇宙メイド顔とわたしのシリアスアレルギーで乗り切りますよね」
「『セラフィム』とは一体何を指す言葉なのでしょうね」
 めちゃくちゃ切り上げた。
 食い気味に切り上げた。
 それが証左であるし、何よりルクスは見た。
 ステラの耳が真っ赤なのことを。平坦な顔しているが、図星の星を刺されて、ある程度の羞恥心を持ち合わせている事を示していたのだ!

 ごまかしていてもすぐ分かるのになぁってルクスは思ったが、ステラのメイドの尊厳を守ることもまあ、必要なんじゃないかなと胸に密やかにするのだ。
 いや、自分の楽しみとするのもまたいいだろう。そういうとこやぞ。
「でもまあ、確かに不思議ではありますね。いろんな世界にいろんな『エイル』さんや鉄板がいるのは」
 あ、そうだ、とルクスは笑む。
「せっかくですから、写真とか撮ってコレクションにしたらいいかもです」
 なーんて、と言うルクスの手をがっしりつかむステラ。
 え、マジな顔ですやん、とルクスはたじろいだ。

「それは良い案かもしれません。それはともかくとして、後でカメラを買いましょう。じゃなくて、ルクス様、準備良いですか?」
「え、何がです?」
「ここにスピーカー置いておきますから。覆う存分破壊してください演奏で。あれを」
 示す先にあったのは無数の『クリスタルビット』。
 まさかとは思うが、ルクスのCanon(カノン)でどうにかしろということなのだろうか。イエスである。

「今また破壊っていいました!?」
「ええ、その通りですが何か」
「違いますからね! あれはえっと、たぶん、悪意を退ける光の波動みたいなのが、私の演奏をユーベルコードに昇華して、そういうあれで!」
「はいはい」
 わかったから、はよ、とステラが適当な顔をして、さん、はい、みたいな手拍子まで加えている。
 あ、確実のこれ耳栓しているあれである。

「もうっ! 後で絶対に耳栓壊しますからね! さあ、悪意ましましの『クリスタルビット』! きなさーい!」
 ルクスの演奏がかき鳴らされる。
 それはもうユーベルコードっていうか、破壊音波魔法っていうか。
 演奏に似た何か違う何かであったし、破壊音波っていう躱しようのない無差別音波兵器をステラがスピーカーで増幅しては、一気に解き放つのだ。
 もう『クリスタルビット』にとってはどしようもない攻撃であったことだろう。

 次々と落とされていく水晶体の破片を見て、ステラはうんうんと頷くのだ。
「キラキラ光って綺麗ですね」
「演奏の感想いいですかね――!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋月・信子
●WIZ

『一難去ってまた一難、ね』
愉快な仲間さん達に見送られ、モニターに照らし出された私の|影《生き写し》が意識に囁きかける

『無策で行けば狙い撃ちって事よ。始まりの猟兵の武器を手にした影響でアーチャーからデアボリカスナイパーに覚醒したんだから、その辺は分かるでしょ?』
「そうですね…私だったら何処から狙い撃つか、でしょうか」
『狙撃手同士の戦いは、頭脳戦と心理戦の腹の探り合いよ。図体がデカい分、その辺も考えてよね』

|影《姉さん》からの助言を頭に入れ、ハッチを開けて自分の目で狙撃手の考えを探ってみましょう
【瞬間思考力】【聞き耳】【第六感】で検討が付けば、そこをボルトアクションライフルで【狙撃】です



「りょーへーさん、がんばってー!」
 そんな巨樹の愉快な仲間たちの応援を受けて、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は己のキャバリアのコクピットの中で息を吐き出す。
「一難去ってまた一難、ね」
 世界を書き換える力。
『侵略蔵書』による世界の書き換えは、一時的に弱まり止まっている。
 だが、時間が経てばまたすぐに書き換えが始まるだろう。それはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』を打倒しなければ終わらぬことを示していた。
「とは言え、無数の弾幕兵器が飛び交う世界なんていうのがあるなんてね……」
 どうしたものかと信子は弱気になってしまう。

 けれど、そんな弱気を一括するように己の影の助言者(シャドウ・アドバイザー)たる存在が鏡面のようになったモニターに映し出される。
『ったく、鈍くさいったらあっりゃしない。特別にアドバイスしてあげるから心して聞きなさいよ?』
 ユーベルコード。
 彼女にとって自身の影であり、己とは性格を真逆とする二重身。
 現状において信子が怯んでいるために出てきたのだろう。
『無策で行けば狙い撃ちってことよ』
 わかる? とモニターの向こう側に存在する無数の弾幕兵器たる『クリスタルビット』を示す。
 どれだけ撃ち落としても、他の猟兵が道を切り開いても、それを埋め尽くすように湧き上がってくる。

 あれを操作している大元がいるのだとしても人間業ではない。
「その辺のことはわかってる……でも」
『はじまるの猟兵の武器を手にした影響でアーチャーからデアボリカスナイパーに覚醒したんだからっていうのは分かるけど。だからって弱気になっていたらどうしようもないでしょ』
「そうですね……」
『なら、考えなさい。考えを止めない限り、足を止めていることにはならないのだから。時間は止まってくれないし、ましてや敵は待ってはくれないのだから』
 信子は考える。
 自分だったらどうするか。
『クリスタルビット』は弾幕兵器だが、同時に正確無比たる射撃武器でもある。 
 それを理解した時、大元はただ座して待っているだけか。

 答えは否である。
「私だったら何処から狙い撃つか、でしょうか」
『ええ、狙撃手同士の戦いは、頭脳戦と心理戦の腹のさぐりあいよ。図体がデカい分、その辺考えてよね』
「なら……」
 信子はキャバリアの機体のコクピットハッチを開く。
 それは自殺行為であったが、信子はどうしたって肌で殺気を感じなければと思ったのだ。
 メットを脱ぎ捨てる。
 肌の感覚がなければ、この正確無比の射撃は買わせない。
 故に彼女は頬を撫でる風と共に機体を『天使狙撃銃の国』へと走らせる。

 突き進むべき道はすでにわかっている。
「なら、このまま真っ直ぐ!」
『本当にわかってる?!』
 |影《姉さん》の声が聞こえる。けれど、信子はためらわなかった。鋭敏に成った感覚。
 センサーだけではない。肌から伝わる感覚もまた情報の一つだ。
 それを瞬間思考で整理し、聴覚と触覚、視覚、それらを超えた第六感で感じ取るのだ。
「……そこ!」
 迫る光条。
 それを躱し、機体が走る。
 次々と襲い来る『クリスタルビット』の猛攻。
 これはきっと追い込まれているといことなのだろう。けれど、信子にはわかっていた。

 己を狙うのならば、今の数瞬で決着はついていたはずだと。
 けれど、そうはならなかった。
 敵は先行した猟兵に寄って武装を破壊されている。攻撃してこない。さらに言えば、『クリスタルビット』だけで此方を処理しようとしている。
「なら、そんな思惑は!」
 斬り裂いて進むと機体の制御をキャバリアに任せてコクピットハッチから乗り出し、彼女はボルトアクションライフルを構え、『クリスタルビット』を弾くようにして弾丸を打ち込む。
 それらは連鎖的に『クリスタルビット』を激突させ、キャバリアの道を作り出していく。
「直接攻撃しないのなら、このまま!」
 駆け抜ける、と信子はキャバリアと共に『天使狙撃銃の国』を乗り越え、『鉤爪の男』へとひた走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

う~わ~や~ら~れ~た~!
とやられていくボクたち!
でも当たりではないね!当たってるけど!

とUC『神の鏡像』の攪乱兼囮役の分身で受け止めながら
ボク自身は【第六感】も当てに避けていこう
攻撃パターンは分身で何度も見たからね!パターンさえ読めば崩すのは簡単さ!

でも避けるだけってのもつまらないね!
何度も撃たれていればトリックだって分かるものさ!
大体こっちのほう!とお空を覆うくらいのドカデカ[超重浮遊鉄球]くんたちをドーーーンッ!て飛ばして潰せなくてもご挨拶といこう!
さーさー宴もたけなわだよ!
愉快な仲間のみんなももっともりあがって……来てないじゃーーーん!!
んもーしょうがないなー



「う~わ~や~ら~れ~た~!」
 次々と『クリスタルビット』が乱舞し、『天使狙撃銃の国』において、数多のロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が撃ち抜かれ霧散していく。
 言うまでもないことであるが、それはロニ本体ではなく分身であった。
 無数の『クリスタルビット』が光条を放つ度にロニの分身たちが撃ち抜かれていく。
 それは、ユーベルコード、神の鏡像(ゴッドシャドー)。
 無数の分身を増やし、それらによって『クリスタルビット』の光条の一撃を受け止め続けているのだ。
「当たりではないね! 当たってるけど!」
 冗談めかしてロニは笑う。

 そんな余裕がある程度には『天使狙撃銃の国』に満ちる無限弾幕兵器の如き『クリスタルビット』の猛攻を躱していた。
 攻撃パターンは理解している。
 大別するのならば、三種類。
 一つはレーザー射撃のような正確無比たる光条。
 一つは光条を網目のように交錯させて放つ広範囲攻撃。
 一つは『クリスタルビット』事態を質量兵器として突撃させてくる。

「なるほどね! まずは牽制のビームってわけだ! そこから!」
 無数の『クリスタルビット』が網目のように光条を交錯させて逃さぬように迫る。そして、それでも躱されるようならば『クリスタルビット』自体が突撃して来るのだ。
 三段構えの攻勢。
 それによって、事実ロニの分身たちは尽くが霧散させられていた。
「パターンさえ読めば崩すのは簡単さ。連鎖ゲームみたいなものだからね!」
 迫る『クリスタルビット』の攻勢を前にロニは笑う。
「でもさ、避けるだけってのはつまらないね!」
 パターン化されたゲームだって面白くはない。
 時には予想外の攻撃だっていいものだ。だから、結局のところ、この『天使狙撃銃の国』はトリックだらけ……いや、トリックだけの世界であるとも言える。
「ならさ!」

 ロニは空を覆うほどの球体を生み出す。
 浮遊していることのほうがおかしいと思えるほどの巨大さ。
 それを振りかぶるように投げ放つ。
「はい、ド――ンッ!!」
 それは一気に『クリスタルビット』の群れを割るような一撃であったことだろう。押しつぶすつもりで投げたのだが、『クリスタルビット』は全てが躱していた。
 けれど、それでいい。
「これは挨拶みたいなものだからね! さーさー宴もたけなわだよ! 愉快な仲間のみんなももっともりあがって……」
 ロニは振り返る。
 当然彼らは自分の後をついてくると思っていたのだ。
 
 だって神だから。
 当たり前のように自分の後ろから来ると思っていたのだ。
 けれど、びっくりするくらい誰も来ていなかったのである。
「………来てないじゃ――ん!!」
 驚愕する。
 今はそんな事をしている場合ではないのだ。投げは成った球体が割った『クリスタルビット』の群れをロニは跳ねるようにして飛んでいく。
「んもーしょうがないなー。ならボクたちだけで楽しんじゃおうか!」
 まあ、それはそれでいっか、と神ならではのあっけらかんとした態度でロニは分身たちともとに『天使狙撃銃の国』を駆け抜け、『鉤爪の男』の元へと急ぐのだった。
「ぱっとやって、とっぴんぱらりのぷって感じにしないといけないからね――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『鉤爪の男』』

POW   :    プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『天使狙撃銃の国』を走り抜けた猟兵たちが見たのは人間大のオブリビオンマシンにしてオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の振りかぶる鉤爪と打ち合うプラズマブレイド振るう赤い三面六臂の鋼鉄の巨人の姿だった。
 迸るプラズマの奔流。
 巨人と人間。
 有り余るサイズ差を物ともせず『鉤爪の男』は、赤い鋼鉄の巨人の巨体を吹き飛ばす。

「乗り手無き『セラフィム』など。私の求める『超弩級の闘争』には必要のない存在だ。完全なる悪性など持つからそうなる。機械でしかないからこそ、貴様たちは私の求める『超弩級の闘争』たる世界では弱者でしかないのだ」
 吹き飛ばされた三面六臂の巨人へと『鉤爪の男』の振るうユーベルコードが雷鳴のように轟いて叩きつけられる。
 さらに真空波が放射され、その躯体を打ち据え、切り裂く。
 赤い装甲の残骸だけが其処には残っていた。『鉤爪の男』は肩慣らしにもならぬと吐き捨てる。
 鋼鉄の巨人は、すでに機能を停止し、ただの残骸へと変わり果てる。

「……来たか、猟兵。やはり私の求める『超弩級の闘争』には諸君らのような強き者たちが必要なのだ。ただのワンサイドゲームほどつまらぬものはない。さあ、私に見せてくれ! 諸君らのユーベルコードの輝きを! それこそが『超弩級の闘争』を超えて、極限の闘争を私に齎してくれる!」
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は笑う。
 その身に宿した力は膨大そのもの。
 もとより『等身大型オブリビオンマシン』。
 曰く『ユミル』の直系。
 ジャイアントキャバリアを人間大にした存在。その力はキャバリア以上であることをは疑いようもなく。
 例え、キャバリアを用いるのだとしても、その力は容易に覆されるだろう。

「さあ、楽しもうではないか。『超弩級の闘争』を――!」
フレスベルク・メリアグレース
貴方が鉤爪の男…
挨拶は不要でしょう
これより、猟兵とオブリビオンとして超弩級の闘争をする
それで良いでしょう

指を鳴らすと同時、召喚器を使い未来属性と過去属性を使って衛星砲とUCを破却
そのまま反撃としてわたくしのUCを叩き込みます
これがわたくしのUC
衛星砲を持って衛星砲を制する
グリモアの力を使い次元を歪め、戦場内の距離座標を改竄
そのまま優位な間合いを持って衛星砲を叩き込んでいきます

ユミルの直系
貴方が何を知っているかは聞きません
何故なら、わたくしは『六番目の猟兵』…
あの世界の命運をかけた戦いで、それを解明してみせましょう



 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が手にした『侵略蔵書』が世界を書き換えていく。
 世界の有様すら容易に変貌せしめる力。
 その力によって天に座すは太陽。
 それが通常の太陽ではなく、『不思議の国の太陽』であることを猟兵たちは知るだろう。太陽の内側から顔をのぞかせるのは醜悪にして凶悪なる『アリス狩りオウガ』の眼であった。
 視線がかち合えば恐怖を巻き起こし、そして、同時に放たれる鎖に一度捉えられれば、繋がれたる者を奴隷へと堕とす縛鎖と成り果てるだろう。
「貴方が『鉤爪の男』……挨拶は不要でしょう」
 フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)の言葉に『鉤爪の男』は口角を上げて頷く。

 すでに此処は不思議の国でありながら『超弩級の闘争』の場である。
 彼の望むのは対話でもない。
 相互理解でもない。
 そんなものは必要としていない。
 ただ力と力とがぶつかることだけを是としているのだ。
「故に不要」
「これより、猟兵とオブリビオンとして『超弩級の闘争』をする。それで良いでしょう」
 フレスベルクの指が打ち鳴らされる。
 黒き銃型のデバイスの銃口が『鉤爪の男』に向けられる。
「空を見よ。その輝きが照らすのは聖杯ならざぬ焔の剣ではなく、王笏ならざぬ焔の聖槍。その世界を灼く一撃は骸の海に浮かぶ全てを司る」

 フレスベルクの瞳がユーベルコードに輝く。
 天にあるは太陽だけにあらず。
 故にフレスベルクのユーベルコードはグリモアの輝きによる次元歪曲現象を合図として、複数の衛星兵器を持って『鉤爪の男』を狙う。
 だが、それは同時に天にある攻撃衛星『九竜神火罩』の存在が煌めくことを示していた。
 砲撃を結ぶ攻撃衛星。
 共に同じ衛星軌道に在りて、それらは打ち合うことでもってフレスベルクへの直接攻撃を防ぐ。

「同じ衛星兵器を使うのならば、単純な話だな。数が利するということになる。笑ってしまうほどに単純な話だ。だが、それは拮抗していればの話だ。過去百年において破られることのなかった天の剣が!」
 放たれる無限とも思えるほどのレーザー攻撃。
 しかし、フレスベルクは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 デバイスの銃口が『鉤爪の男』に向けられる。
 召喚された攻撃衛星は、ただの囲い。

 その内部に存在する座標を打ち込むことこそが役割であるというのならば、世界を超えた世界体現兵装による爆撃の一撃が、太陽より顔をのぞかせる『アリス狩りオウガ』諸共に『鉤爪の男』を撃ち貫く。
「天空に坐すは王笏ならざぬ焔の聖槍(グングニル・アスガルド・ザ・サーティーシックス)……『ユミル』の直系。貴方が何を知っているかは聞きません」
 フレスベルクは踵を返す。
 膨大な熱量が吹きすさぶ中、『鉤爪の男』と『アリス狩りオウガ』が笑う声が聞こえる。
 戦いを楽しんでいる。
 己の窮地すらも楽しさにしてしまう敵を前にして問うことなど意味を成さないだろう。

 故に。
「わたくしは『六番目の猟兵』……あの世界の命運を賭けた戦いで、それを解明してみせましょう」
 フレスベルクは静かに頷く、いつか訪れるであろう世界の破滅を見据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
肩書きを並べるだけでも疲れるわ、『鉤爪の男』。よくもまあ、それだけ詰め込んだものね。
さあ、相手になってあげる。

人間大のキャバリアだというなら、電撃は痛いわよね?
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「破魔」「仙術」「道術」で九天応元雷声普化天尊玉秘宝経! 機械の身体に機能不全をプレゼントよ。

腕には腕を。偶神兵装『鎧装豪腕』顕現。「式神使い」で鉤爪攻撃を「盾受け」して。
あなたの鉤爪は片腕だけ。『鎧装豪腕』に突き刺したら、抜けなくなるのよね? でも『鎧装豪腕』にはもう片腕がある。
『鎧装豪腕』「怪力」で『鉤爪の男』をぶん殴りなさい!

これで出会い頭の緒戦は十分かしら? 最後にもう一発雷撃をお見舞いしてあげる。。



 膨大な熱量を伴った砲撃の一撃が天よりオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』へと降り注ぐ。
 強烈なる一撃。 
 されど、『超弩級の闘争』を求める彼にとって、その苛烈なる一撃こそ求めるものであったことだろう。
「良いぞ。これこそが求めたものだ。だが、足りない。もっとだ。猟兵。私が求める闘争は、これ以上なのだ!」
 彼の嘲笑の如き声が響き渡る。
 さらに天より猟兵たちを狙い続ける攻撃衛星『九竜神火罩』のレーザー攻撃が雨のように降り注ぐ中を村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)を狙い続けている。
 苛烈なる攻勢。

 ただでさえ、『ユミル』の直系を名乗る等身大型オブリビオンマシンなのだ。
 人間大でありながらキャバリアを凌駕する性能を持っているなど想像しようがなかった。
「まったく肩書を並べるだけで疲れるわ、『鉤爪の男』。よくもまあ、それだけ詰め込んだものね」
 ゆかりの言葉に『鉤爪の男』は笑う。
「そう言うな。私にとって私を示すものは私たらしめる存在意義のようなものだ。名が全てを表しているとは言わないが、諸君らは、そうした肩書に踊らされる者ではないだろう?」
「それもそうね。なら、相手になってあげようじゃないの!」
 絶え間なく降り注ぐレーザー攻撃は、ゆかりにとって対処しようのないことであったのだろう。
 熱がすさび、肌が焼ける。
 ジリジリとした痛みが、彼女の額に汗を浮かばせる。

「人間大のキャバリアだというなら、電撃は痛いわよね?」
 放たれるユーベルコードの雷撃が、視界を阻害するほどの強烈なる一撃と成って周囲の地形を破壊に巻き込みながら『鉤爪の男』に叩き込まれる。
 機械であれば当然のように対策は取っているであろうが、瞬間的な雷の一撃は如何に対策を取ろうが防ぎきれるものではない。
 立ち上る地形を変えるほどの衝撃の中で舞い上がる土煙の中をゆかりは走る。
 呼び寄せた偶神兵装『鎧装剛腕』を振るい、叩き込む。

「良いことだ。私は今、己の存在意義を噛み締めているところだ。完全なる悪性も、完全なる善性も変わらぬことだ。つまらぬことだ。だが、諸君ら猟兵は生命の埒外であるがゆえに、私の想像を超えてくる。『超弩級の闘争』の住人として相応しいだろうよ」
 故に、と振るう鉤爪の一撃が雷迸らせながら『鎧装剛腕』を貫く。
 引き抜くこともできなくなったゆかりの『鎧装剛腕』が軋む。
 迸る雷が内部より『鎧装剛腕』を爆発させ、その破片がゆかりの頬を切り裂く。

「っ、『鎧装剛腕』!」
 ゆかりは振るい上げたもう片方の式神を鉄槌のように『鉤爪の男』へと叩きつける。
 空より降り注ぐレーザー攻撃は、苛烈にして強烈。
 如何に『鉤爪の男』にも対応しなければならないとは言え、不利は否めない。
「楽しいな。これこそが生きているということだ。ひりつくような、魂というものの存在を実感できる。ゆらぎ、せめぎあい、そして滅びていく。逃れ得ぬ滅びこそが!」
 さらに飛び込んでくる『鉤爪の男』の表情は怖気が走るほどに純粋な笑顔だった。
 笑っている。
 戦いを楽しんでいる。
 天より注ぐ砲撃などまるで意に介し無いように、ゆかりを滅ぼすべく迫る『鉤爪の男』。

「そのつもりはないわよ! 最後に――!」
 九天応元雷声普化天尊玉秘宝経(キュウテンオウゲンライセイフカテンソンギョクヒホウキョウ )の一撃が再び『鉤爪の男』へと降り注ぎ、その衝撃波と共にゆかりは吹き飛ばされていく。
 やはり苛烈そのもの。
『超弩級の闘争』を求むる存在は、明滅する視界の中ですら笑い続ける。
 戦いこそが全てであると。
 そうあることが己であると世界に刻むように、その名の示す鉤爪を天に掲げ、圧倒的な力で笑い続けていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【WIZ】

鉤爪の男さん…

人間大でも
オブリビオンマシンさんと
変わらない…なら

『フノスちゃん…ここからは…私自身が…!』

装甲ドレス【ゲルセミ】を着装

【フノス】――キャバリアの力をトレースし
こちらも
等身大キャバリアというべき能力で以て…

『これで対等…でもないでしょうけど…鉤爪の男さん…貴方を、倒します!』

人間サイズにトレースした

BXヴォーパルソードで
【切断】【斬撃波】等
剣戟や
BS-Fクリスタルトランプビットも展開
【誘導弾】を【一斉発射】

UCで
自身等強化し
オウガや攻撃衛星等の
戦場全体も含めて
攻撃

敵の攻撃や
攻撃衛星にも気を付け
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御や回避



 クロムキャバリアは空に蓋をされた世界である。
 軌道上に存在する攻撃衛星『九竜神火罩』より降り注ぐ無限のとも取れるレーザー攻撃は、さながら雨のように戦場を穿ち続けていた。
 何処に居ても狙われる。
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は、この先は自分自身で戦わなければならないと理解した。
 敵はオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』。
 人間大のオブリビオンマシンであると言われている。単体でキャバリアを凌駕する性能を持つというのならばこそ、アリスは決心する。
「『フノス』ちゃん……ここからは……私自身が……!」
 天よりの砲撃荒ぶ中、己のキャバリア『フノス』からアリスは飛び出す。

 彼女の身を覆うのはフルメタルコート『ゲルセミ』。
 奇しくも、その姿は『フノス』と同じだった。それもそのはずである。今の彼女は『フノス』と同調することによって能力をトレースした謂わば等身大型キャバリアとも言うべき装甲に身を包んでいるのだ。
 翻る鋼鉄のドレス。
 その裾を翻して、アリスは天より注ぐ無限の如き光条満ちる戦場を飛ぶ。
「『鉤爪の男』さん……! これで対等……でもないでしょうけど貴方を……」
「倒すというか、猟兵。姿かたちが同じであってもな!」
 彼の手にした『侵略蔵書』が羽撃くように頁を広げる。
 天に浮かぶは攻撃衛星だけではない。
『不思議の国の太陽』より覗く醜悪にして凶悪たる『アリス狩りオウガ』の鉄鎖がレーザー攻撃を躱すアリスへと迫る。

 人間大にリサイズされた『ヴォーパルソード』の一閃が鉄鎖を切り裂く。さらに迫る『鉤爪の男』の一撃を受け止め、火花を散らす。
 剣戟の音が響き渡る中、アリスは見ただろう。
 眼の前の『鉤爪の男』の表情を。
 笑っている。
 楽しんでいる。純粋に戦いというものを恐れなく。ただ、喜びの感情とともに猟兵にぶつけている。
「これが私の望んだ『超弩級の闘争』。もっとだ。もっと……私の存在意義が求めている!」
 クリスタルトランプビットが展開され、誘導弾が『鉤爪の男』へと迫る。
 それを鉤爪が一気に薙ぎ払い、爆風が遊ぶ中、アリスの瞳がユーベルコードに輝く。

 だが、そこに『アリス狩りオウガ』の巨大な手が伸ばされ、アリスの身体を掴み上げる。軋む装甲ドレス。
 けれど、アリスは構わなかった。
「【太古の氷姫の古代氷雪領界】(エンシェントプリンセス・アイスエイジレルム)……!」
 金色の髪は氷雪の色に変わる。
 同時にスノードロップの花が咲き誇り、全てを凍らせる寒波が彼女より吹きすさぶ。
 それは太古の氷雪現象。
 吹きすさぶユーベルコードの氷雪は、己を掴み上げる『アリス狩りオウガ』の腕を凍りつかせ、粉々に砕く。

「……これも、また……私の氷河期魔法です……!」
 降りしきる天の雷の如きレーザー攻撃が氷雪の吹雪すら貫いてアリスへと迫る。
 オーラが砕かれ、破片が舞う中、アリスは躊躇うことなく『鉤爪の男』へと踏み込む。
 振るう『ヴォーパルソード』の刀身に宿るは氷雪の魔法の加護。
 凍てつくような斬撃が『鉤爪の男』へと振るわれる。
「……だから! 貴方を……!」
 斬撃は一直線に『鉤爪の男』の胴を捉え、その身に裂傷を刻む。
 切り傷から溢れるようにして凍結していく氷雪。
 アリスは、それを見届け、更に迫りくるレーザー攻撃をかいくぐり一気に加速して共に飛ぶクリスタルトランプビットと共に『鉤爪の男』を追い詰めていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
望みがなんであれ構わんが
闘争が叶うとは限らんぞ

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

光尽にて討つ
顕わすは破壊の原理
因果の原理を加え対象は召喚物含むオブリビオン及びその全行動に限定
それ以外は「障害」故無視され影響皆無

鎖もオウガも区別はない
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
お前の正体が何であるかも問わぬ
猟兵はオブリビオンを討つものだ
俺達が在る時点で、オブリビオンは等しく詰んでいるのだと知れ

※アドリブ歓迎



 ビット兵装と斬撃によって追い詰められながらもオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は笑っていた。
 己の求めるもの。
『超弩級の闘争』――それが今まさに猟兵たちとの戦いによって一端に手を掛ける事ができているという状況に笑っていたのだ。
 己の身体を切り裂く刃も。
 己の五体を撃ち抜く弾丸も。
 装甲を灼く炎も、軋むフレームも。
 何もかもが彼の心を満たしていくものであったからだ。
「私の求めた闘争だ。だが、まだ足りない。ユーベルコード煌めき、力と力とが激突する光景をこそ私は求める。世界の全てが、一片まで闘争の火によって照らされるその時まで、真に私が満足することなどないだろう。故に!」

 太陽より現れる『アリス狩りオウガ』が放つ鉄鎖が猟兵たちを襲う。
「望みが何であれ構わんが闘争が叶うとは限らんぞ」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は頭を振る。
 迫る鉄鎖も、頭上より降り注ぐ攻撃衛星によるレーザー攻撃も、すべて彼は逐一把握していた。
 原理は十一。
 無限に回す。害在るもの全てを世界の外へと破棄し、余波は消去していく。
「至れ」
 不可視の攻撃が走る。
 鎖も『アリス狩りオウガ』も関係ない。
「万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない」
「そうだろうな。どんな力もいずれは終わりを告げる。だが、私無き後も闘争が続けば良い。炎の滅びを齎すのはとうそうでなければならない」
 アルトリウスの存在は、『鉤爪の男』にとっては意味のないものであったことだろう。
 彼が求めているものとアルトリウスの力は相容れない。
 故にアルトリウスは意味のないことだと断じる。問い掛けるつもりもない。

 結局のところ、自身たちは猟兵とオブリビオンだ。
「猟兵はオブリビオンを討つものだ」
「オブリビオンは猟兵を排除せねばならない」
 互いの言葉は重なれど平行線だった。
 交わることはあれど、決して歩み寄ることもなければあわさることもない。
 滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかない。

「ゆえにこれもまた闘争の一つであろうよ。歩み寄れぬ。理解できぬということさえも理解出来ぬがゆえに、私達は滅ぼし合わなければならない」
 レーザー攻撃と鉄鎖がアルトリウスの眼前で止まり続ける。
 結局、そういうことだ。
「俺達が居る時点で、オブリビオンは等しく詰んでいるのだと知れ」
 その言葉に『鉤爪の男』は笑う。
「逆もまた然りだろう。猟兵。諸君らもまた同様だ。過去を殺し続けて己たちの足元に転がる骸さえ見ずに、ただ進むことしかせぬというのなら」
 ユーベルコードの煌めきが迸る。
 不可視の攻撃はレーザーと『アリス狩りオウガ』を切り裂く、『鉤爪の男』へと届く。
 切り裂かれた躯体は、その斬撃を前に癒えぬ傷を刻む。
「己の自身だけが決して不変であるということが結局のところ、終わることも始まることもないのだと知れ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

さてー、追い詰めましたよ、『鉤爪の男』。

早業で、そのオウガ含めて…四天流星を周りに撒きましてー。
上から来るレーザーのは、第六感を活用して避けましょうかー。あ、このときも四天流星は撒きますー。

さてー…ここを塗り替えられるわけにはいきませんのでー。
『鉤爪の男』を四天流星で囲うようにできましたら、すぐにUC使いましょうかー。
ええ、真っ黒な雷を。あなたは、四悪霊が呪うのに値する存在ですのでー。

この世界に…この国に闘争なんていらないんですよー。
あなたが何者であれ、これはかわらないことですー。



 不思議の国『天使狙撃銃の国』を切り抜けた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は躯体切り裂かれたオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』へと迫る。
 彼が求める『超弩級の闘争』は、世界を書き換えることによって世界を破滅に導く。
 此処に来てさえ、彼は笑っている。
「さてー、追い詰めましたよ」
『疾き者』がそう告げても、彼は笑っていた。
 楽しくて仕方がないというように。
 其れは何故か。
 言わずとも分かるだろう。彼にとって闘争こそが望み。
 故にこの状況は彼にとって喜ぶべきことだっただろう。

 争いを止めるために争う。
 その滑稽さに彼は笑い、また同時に望んでいたがゆえに笑っているのだ。
「結果、私が追い詰められようとも変わらないのだよ、猟兵諸君。何処まで行っても生命体というのは争うしかないのだから」
 天に在りて猟兵たちを狙い続けるものが二つあった。
 一つは攻撃衛星。
 無限にも等しく撃ち込まれ続けるレーザー攻撃は、雨のように『疾き者』に降り注ぐ。
 確かに第六感で攻撃が頭上から来る、ということがわかっていたとしても全てを完璧に躱すことなどできようはずもない。
 身体が焼ききれ、悪霊として束ねた呪詛が満ちる度に失った欠損が補填されていく。

 そして、もう一つは太陽より顔をのぞかせる醜悪にして凶悪なる『アリス狩りオウガ』であった。
 迫る鉄鎖を躱し、さらには天より注ぐレーザーをも躱す。
 それが如何に難しいことかは言うまでもない。同時に攻撃衛星と『鉤爪の男』を破壊しなければならない。
「……この世界に、この国に闘争なんていらないんですよー」
「そうかな。必要だとは思わないか。諸君らは世界が停滞することをそ厭うだろう。我等オブリビオンがそうするからだ。世界がきしみ、世界が悲鳴を上げるからだ」
 迫る鉄鎖とレーザーに翻弄されつつも、『疾き者』は常に『四天流星』を撒き続ける。
 それは予め仕掛けることに寄ってなされるユーベルコード。
 強大な一撃のために仕込む時間が必要なことが、このユーベルコードの難点の一つであった。

 一撃を見舞うより先に己たちが倒されてしまうという可能性さえあったのだ。
 だが、それでも『疾き者』はそうすることをやめなかった。 
 戦場は流動的なものである。
 故に、常に最善を選んだとしても最高の結果になるとは限らない。
「争いのない世界など停滞していると同じではないかね。何も起こらない。何も引き起こされない。そんな永遠の如き灰色の世界と。私の齎す刹那の明滅を見せる虹色の如き『超弩級の闘争』。一体どちらが世界の停滞を齎しているだろうか」
「考え違いをしているようなら言っておきますがねー。あなたが何者であれ、闘争を必要としない世界だってあるのですよ。これはかわらないことですー」
「見解の相違というやつだな。だが、それさえも争いだ。諸君らは!」
 鉤爪の一撃が『疾き者』を穿つ。
 
 だが、それが最後だった。
「時は今」
『疾き者』は掲げる。
 それが合図となって予め仕掛けていた『四天流星』が煌めく。
 輪を描くように囲うそれらは、『鉤爪の男』と『疾き者』の頭上より降り注ぐもの。
 真黒の雷。

 四悪霊・雷(シアクリョウ・カミナリ)。

 その一撃が迸る瞬間、『疾き者』は己の身体から引き抜かれる鉤爪の痛みと共に離脱する。
 落ちる雷は『鉤爪の男』を捉える。
「あなたは、四悪霊が呪うに値する存在ですのでー」
 故に、穿つのだ。
 争いのない世界が停滞などとは言わせない。
 緩やかに流れる川を見て淀んでいると告げる言葉など、悪霊には届かない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
キャバリア「夜の女王」に乗って出撃。
《低重力適応》《空中戦》で、高度400kmの戦いだ!

アリスラビリンスの次は、獣人戦線か。
お前はそうやって世界を渡り歩いて、災いを振りまいてきたわけだな。
手前勝手な願望のために!

JOXフォトンブレイドを振るい、真空波を《ジャストガード》。
《空中機動》で九竜神火罩の砲撃を掻い潜って、
PSDホーネットを射出。端末を《念動力》で遠隔操作して、
鉤爪の男を《追跡》《レーザー射撃》で攻め立てる。

…寿命を削ってもまだ戦う気か。何がお前をそこまで駆り立てる?

ここからは全力攻撃だ。《推力移動》で機体を加速させ、
《功夫》を駆使した【烈紅閃】の《連続コンボ》を叩き込むぞ!



 黒き雷が落ちる。
 戦場に吹き荒れる衝撃波は凄まじく、その威力の強大さを物語るものであった。
 しかし、それでもなおオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は立ち、なお笑う。そこにあったのは狂喜にも似た感情だったことだろう。
 そうであると思えたのは、その肉体を焼き切られながらも、しかして喜びに打ち震えていたからだ。
「私の求めた『超弩級の闘争』。生きている。私は、闘争の最中にある!」
 打ち震える身体は、最早彼にとって傷など意味など為していなかった。

 振るう鉤爪から放たれる真空波が周囲に荒ぶ。
「アリスラビリンスの次は、獣人戦線か」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はキャバリア『夜の女王』を駆り、フォトンブレイドの一撃を『鉤爪の男』へと叩き込む。
 体高5mの戦術兵器とのサイズ差を補って有り余るほどの性能を『鉤爪の男』は持っている。
 それもそのはずだ。
 彼は人間大、等身大型オブリビオンマシン。
 サイズ差など意味をなさない。

「そのとおりだ。私が求める『超弩級の闘争』を実現するのならば、超大国同士の激突は必至。多くの生命が煌めき、ユーベルコードが輝く闘争の場こそが、私の求めるものだ。ちょうど諸君らのように力強き者がいるのなら!」
 フォトンブレイドを押しのける鉤爪と真空波の一撃をガーネットは受け止める。
 されど、天より放たれる攻撃衛星のレーザー攻撃を躱す。
「お前はそうやって世界を渡り歩いて、災いを振りまいてきたわけだな」
「そうとも言えるが、災いというのは少し違うな。これは祝福だ。私なりのな。世界には闘争が必要だ。感じたことはないか。技術の進歩も、人の進化も、世代を重ねることに寄ってなされるものだと!」
「それを手前勝手な願望というのだ!」
『夜の女王』の腰部装甲の裏側から射撃デバイスが飛び出し、火線を『鉤爪の男』へと放つ。
 距離が離れたとしても、空より降り注ぐレーザー攻撃はガーネットを狙い続けてくる。
「……攻撃衛星……!」
 この戦場にありて無限に降り注ぎ続ける砲撃は、ガーネットたち猟兵にとって不利にしか働かない。

 距離を詰めれば『鉤爪の男』の真空波。
 距離を離せば、空よりの砲撃。
 だが、ガーネットの瞳がユーベルコードに輝き、『夜の女王』のアイセンサーが煌めく。
「退くな、猟兵! 諸君らは私と戦うために来たのだろう。私という存在を撃滅するために! ならば、退いてどうする! 私との闘争を楽しんでくれ!」
 笑っている。
 この戦いを『鉤爪の男』は頼んでいる。
『ホーネット』の火線が結ぶ最中を『鉤爪の男』はかいくぐるように飛び『夜の女王』へと迫る。

 攻め立てても、攻め立てても、それでもなお『鉤爪の男』は戦いへと駆り立てられるようにガーネットへと向かってくる。
 それは等身大型オブリビオンマシンである彼の生命を削る行いだっただろう。
 これまで猟兵が叩き込んだユーベルコードは傷浅からぬものばかりだった。だというのに、彼はためらわずに突っ込んでくるのだ。
「……まだ戦う気か」
「限界を越えるのが猟兵、諸君らだけのお家芸だと思っているんじゃあないのか! 私とてな!」
「何がお前をそこまで駆り立てる?」
「闘争だよ、猟兵!」
 振るわれた鉤爪の一撃とフォトンブレイドが火花を散らす。

「あくまで闘争のためにと言うか……! ならば、ここからは!」
 ガーネットのユーベルコードが煌めく。
「多少手荒に行かせてもらうぞ」
 鮮血のように紅いエーテルが『夜の女王』の腕部へと集中していく。
 それはフォトンブレイドを振るう斬撃の速度を引き上げるものだった。キャバリアは大地を戦場とする。
 けれど、『夜の女王』はキャバリアでありながら、重力から開放された戦場を知る。 
 故に、ガーネットと『鉤爪の男』の間に分かつものがあるのだとすれば、それは重力から開放され、空を飛翔する戦い。
 己を付け狙う攻撃衛星の砲撃の一撃を既の所で躱し、『夜の女王』が走る。
 レーザー攻撃に装甲が溶解しながらも、手にしたフォトンブレイドに紅のエーテルが集まっていた。

 その輝きは一瞬の明滅。
 あまりにも疾き一閃。
「穿ち、砕く! お前を駆り立てるのが闘争だというのなら、それを!」
 放つは、烈紅閃(レッコウセン)。
『夜の女王』が放った斬撃はあまりにも高速であったが故に一閃としか『鉤爪の男』にも知覚できなかっただろう。
 重力から開放された斬撃は、無数の刃となって『鉤爪の男』の身体へと癒えぬ無数の剣戟の痕を刻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「鉤爪の。お前の求めるのが平穏だろうが闘争だろうが
興味もないはない。此処で潰すだけの相手だからな。」

【残像】を発生させて常に移動し
敵や攻撃衛星からの攻撃を躱し。
ディメンションカリバーを発動。
魔石をフレイムテイルで握り込み【範囲攻撃】の炎の斬撃で
アリス狩りオウガと鉤爪の男を纏めて攻撃しながら
攻撃衛星からの攻撃を【見切り】その位置を推定。
【早業】で魔石を呪装銃「カオスエンペラー」に付け替え
銃を衛星に向けて死霊斬撃弾の【誘導弾】を放つ。
「天が幾ら高かろうがそこに在るなら
この弾丸は辿り着けるんでね。」

衛星からの攻撃が止んだ瞬間を逃さず
足を止めて【全力魔法】の魔力を集中させた
銃撃を鉤爪の男に向けて放つ。



 紅の斬撃が結ぶは傷跡。
 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の躯体に刻まれた傷跡は言うに及ばず、猟兵たちのユーベルコードによるものだった。
 どれもが浅からぬものである。
 だが、等身大型オブリビオンマシンである彼にとって、その傷は己の活動を止めるものではなかった。
「私の求めるもの。其れが今此処にある。ユーベルコードの輝きと生命の輝きとが、世界を照らしている。戦場とは、やはり良いものだとは思わないか猟兵」
 その言葉にフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は短く応えた。
 思わない、と。

 それが偽らざる思いだった。
 戦場に降り注ぐ天よりの砲撃。
 攻撃衛星より放たれる無限のレーザー攻撃は、猟兵たちを追い詰める。まるで絶え間がない。躱したと思っても熱波が肌を焼き、着弾の衝撃波が身を襲うのだ。
「鉤爪の。お前の求めるのが平穏だろうが闘争だろうが、興味もないものはないのだ」
 フォルクの言葉に『鉤爪の男』は笑う。
 天にあるのは攻撃衛星だけではないと。
 空に浮かぶ太陽より覗くのは醜悪にして凶悪なる『アリス狩りオウガ』。
 其れより放たれる鉄鎖とレーザー攻撃の飽和攻撃がフォルクを追い詰めていく。いかに残像で持って常に移動し、己を捉えさせぬのだとしても限界がある。

 握りしめた炎のラミアを封じた魔本を黒手袋へと変じた拳が震える。
 放たれる炎の斬撃が『アリス狩りオウガ』の鉄鎖と『鉤爪の男』を纏めて薙ぎ払う。
 しかし、それだけでは攻勢が止まらない。
「無駄だよ、猟兵。私にとって闘争とは娯楽ではない。無論、今私は楽しいと思っている。他の者は争いを好まないのかもしれないが、生命とは根本的に争いの中に生きて、争いの中でこそ進化するものだ。私という『ユミル』の直系が生まれたこともそうだ。絶え間なき破壊と再生」
 それを加速させるのが『超弩級の闘争』であると語る彼の瞳に有るのは狂喜であり、また同時に笑みであった。
 楽しくて仕方がないのだ。

 その表情にフォルクは被りを振る。
「此処で潰すだけの相手に語ることも意味をはなさない。これもまたお前は闘争だというのだろう。争い続けることが生命体の本文だと言いたいのならば、何故人は平穏を求める」
 フードの奥で煌めくユーベルコードがあった。
「広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ――ディメンションカリバー!」
 放つ炎の斬撃は『鉤爪の男』を吹き飛ばす。
 距離が空いた、と思った瞬間フォルクを襲うのは天空よりの砲撃。
 レーザー射撃の一閃が己へと降り注ぐのだ。

 だが、フォルクは構わなかった。
 肌を焼く炎の如き一撃。
 頭上に座す攻撃衛星は400kmもの高度にて此方を狙い続けている。到底届くわけがない。
「そう思っているのだろうな。天が幾ら高かろうが『そこ』に在るのなら」
 フォルクの目深に被ったフードの奥の瞳が天を見やる。
 確実に今己の身体を襲ったレーザー攻撃の大元、攻撃衛星がその先にある。
 ならばこそ、フォルクのユーベルコードは距離を無視し、空間すら断つ斬撃となって迫るレーザー攻撃を切り裂く。
「それだけで届くものか!」
「ああ、そうだろうな。だが、俺の銃は……そして、この魔石は!」
 フォルクの瞳が天を仰ぐようにして見つめる。

 確かに『そこ』にあると確信する。
 向けた呪装銃の銃口が攻撃衛星を捉えた。いや、正確には、その方向へと向けた、ということでしかないのかもしれない。
 けれど、彼のユーベルードは距離を無視する。
 ならば、届く。
 それこそが彼のユーベルコード。
「この弾丸は何処であろうとたどり着けるんでね」
 放つ弾丸がディメンションカリバーによって切り裂かれたレーザー攻撃の先へと飛ぶ。
「……! だが! 猟兵、キミ自身が無防備であるのならば、それはやはり無謀な策であると言わざるを」
「得ないというのだろう。だが、それも意味はない」
 放った呪装銃の銃口を突きつける。

 引き金を引くのに躊躇いはなかった。
 全力の魔力を集中させた一撃が『鉤爪の男』の身体を捉え、その装甲を撃ち抜く一閃となって疾走る――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『破壊翼』【呪詛】崩壊霊物質を纏い、真の姿化。
超巨大翼を広げ、崩壊霊物質の羽根を放射。
レーザー射撃・真空波を羽根で【武器受け】【解体】し無効化。

ォォォオオオオオオ!!

【継戦能力】損傷した亡国の主を取り込み、
人間大キャバリアとなって、駆ける。鉤爪の男へ、真っ直ぐ!
己が内から無限に発するこの衝動を、叩きつける為に!!

壊す!!!

【オーラ防御】サイキックシールド強化竜骨爪を【怪力】で殴りつける。
鉤爪と撃ち合い、高速で拳を叩きつける。
どれだけ壊れようと【念動力】で強引に動かし、
【肉体改造】|霊物質《怨霊機體》で腕を生やし
【早業】鉤爪、腕を掴み、残りの腕で【属性攻撃】
雷降拳銃から引き出した雷と共に、アッパーカットで打ち上げる!!

この世界を、この闘争を、全部!全部全部全部壊せ!!!
アアアア!!!!

背の超巨大翼で鉤爪の男を挟み込み、超巨大翼を伸ばす。
このどうしようもない世界を覆い包める程に、天上の星を穿ち貫く程に!
【|闘争心《怒り》】で崩壊霊物質の力を強め【範囲攻撃】
鉤爪の男を攻撃衛星に叩きつける!!!



 咆哮が轟く。
 それは大気を震わせる。
 否、戦場事態を震撼させる咆哮であったことをオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は笑いながら受け止めた。
 戦いの気配。
 それも極上たる戦いの気配であると彼は理解しただろう。
 赤い完全なる悪性たる鋼鉄の巨人など目ではない。
「おお……素晴らしい。破壊の権化よ。猟兵よ、キミのユーベルコードの煌めきを私に見せてくれ。その身に秘めたるものを!」

 戦場に広がる巨大な翼。
 あらゆるものを包み込む破壊翼(カスラクライム)の中心にあったのは朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の姿だった。
 彼女の背後に在るジャイアントキャバリア『亡国の主』は彼女を中心に、彼女自身に取り込まれていく。
 生命の埒外であるからこそ成さしめるユーベルコードの輝き。
 その最中にありながら白い髪を揺らし、黒き破壊の衝動を溢れさせる小枝子は、崩壊霊物質を身にまとう。
「ォォォオオオオオオ!!!」
 ただ咆哮する。
 損壊した『亡国の主』は、これより行われる戦いにおいて役には立たないだろう。
 けれど、彼女は共に在ることを選択したのだ。
 自らの内側に留め、己の力とする。

 謂わば、彼女は今、人間大のキャバリアそのもの。
 踏み込む足が衝撃波を生み出し、共に人間大オブリビオンである『鉤爪の男』へと迫る。
 振るわれる鉤爪から放たれる真空波が小枝子を襲う。
「壊す!!!」
 サイキックシールドによって強化されたガントレットが真空波を弾き飛ばす。
「やはり、生命の埒外! 私の望むものを見せてくれる。キミこそが破壊の権化。あらゆるものを破壊に巻き込みながら、あらゆるものを取り込んでいく。我等は兵器だ。斯くあるべきだな!」
 小枝子の振るったガントレットの爪と鉤爪が激突して火花を散らす。
 鍔迫り合いのように互いの躯体がきしんでいくのを小枝子は感じただろう。

 弾かれる手。
 だが、それは相手も同じだった。
 疾風のように互いの爪が打ち合う。それは剣戟の音にも似ていただろう。打ち据えられる度に風が荒ぶ。
 破壊を齎す翼。
 されど、目の前の相手を壊すには至らない。
 それどころか、打ち合う度に小枝子の身体がひしゃげていく。砕けていく。ひび割れていく。
「その強すぎる衝動に肉体がついていっていないではないか!」
『鉤爪の男』の一撃が小枝子を吹き飛ばし、そこに空より飛来する攻撃衛星からのレーザー攻撃が注ぐ。 
 身を焼かれる。
 翼が展開し彼女の身体を守るようにして覆う。
 しかし、それすら貫いてくる。

 痛みが体の中を疾走る。
 だが、小枝子にとってそれは意味のないことだ。
 損傷することなど、彼女は勘定に入れていなかった。どうしようもない衝動の前に痛みも、苦しみも障害なりえない。
 故に彼女は咆哮する。
「この世界を、この闘争を」
 迫る『鉤爪の男』を見る。

 アレが自分の破壊すべきものだ。
 振るう拳が放つ半ばでへし折れ、砕ける。だが、それを強引に霊物質でつなげる。真空波が、それすら寸断する。
「全部! 全部全部全部壊せ!!!」
「良いぞ! それでこそだ!!」
 振るわれる一撃。
 身を砕く一撃に小枝子の身体が折れ曲がる。だが、それすらも。

 いっそ砕けてしまえばよかったのにと思うほどの痛みが奔りながらも、小枝子の瞳にあったのは。
「超克の輝き……! 己自身も超えていくか!」
「アアアア!!!!」
 咆哮と共に小枝子を包み込む巨大なる翼。
 その翼が繭のようにレーザー攻撃も、真空波も防ぎ切る。
『鉤爪の男』は感じただろう。
 己の両肩にずしりとのしかかる重圧を。

 見よ。

 そこにあるのは破壊の権化を超克した存在。
「壊す」
 ただそれだけのために。
 広がる翼が『鉤爪の男』を挟み込む。
「……ッ!『ユミル』の子を取り込んだ因子……!」
「このどうしようもない世界を作り出したのが、書き換えたのがお前だというのならば!」
 小枝子の翼が変わっていく。
 あの赤い三面六臂の巨人が見せた射撃体勢。六腕でもって砲身を支えていた。ならば、己の翼もそうすればいい。
 繭の如き様相を見せいてた翼が広がる。
 そこにあったのは拳を構える小枝子の姿だった。

「|天上の星を穿つ貫く《オーバー・ロード》ほどに!!」
 怒りがあった。
 どうしようもないほどの世界。
 この世界。争いばかりが満ちて、終わりの亡き戦いを。
 故に小枝子は撃ち抜くように拳を振り抜く。
 その一撃は『鉤爪の男』を捉え、さらに直上に在る攻撃衛星にすら衝撃波を叩きこむ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
奴の戯言に付き合ってやる必要はありません
踊りましょう、舞狂人形
({舞狂人形}が救いを求めるように天を仰ぎ手を伸ばした後{晩秋の旋律}で『ダンス』を始める)
この光…例の攻撃衛星ですね
遥か彼方で気楽に飛んでいるようですが
ぼやっとしてると冬が命を刈り取りに来ますよ?
(UC【蠱の冬】で衛星に意識を向け枯死の『呪詛』で攻撃する)
鉤爪の男は{蜂蜜色の陽炎}で作った『残像』で攻撃をかわし
反撃として『衝撃波』を纏った蹴りを叩きこんでやりましょう

鉤爪の男、貴方の闘争心が満たされることはありません
なぜなら貴方は壊すことしか知らないから
闘争の果ての虚無に佇むくらいなら
ここで果てたほうが貴方にとって幸せですよ?



 天を貫くほどの衝撃波が戦場に荒ぶ。
 その最中、オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は確かに追い込まれていた。事実、彼の躯体はひび割れ、砕け、惨憺たる有様であった。 
 だが、それでも動いている。
 まるで生命の煌めきを放つかのように。
 その表情に浮かぶのは焦りでも恐怖でもなく。 
 ただ純粋なる己の存在意義を示すための笑みであった。
「楽しいな。これこそが『超弩級の闘争』というものだ!」

 その言葉に播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は己のキャバリア『舞狂人形』のコクピットの中で頭を振る。
 かの存在の主張は、言葉は、彼女にとって戯言でしかなかった。
「付き合ってやる必要はありません。踊りましょう、『舞狂人形』」
 そう、彼女にとって『超弩級の闘争』というものは意味のないことだった。
 争いが破滅を呼ぶ。
 世界の破滅を。世界無くば旋律などない。空虚なる場において一人であってもきっと『舞狂人形』は踊り続けるだろう。
 己だってそうだ。
 けれど、と思う。

 己の旋律は己の中だけにひびくものではないことを知っているからこそ、世界を守るのだ。ただ踊り続けていることだけが目的だったのならば、これほどまでに無益な戦いもなかっただろう。
 けれど、クロリアは知っている。
「ええ、そのとおりです。私もあなたも知っている。この寂寥感。この喪失感。いずれもが死の旋律。ならば」
 天を仰ぐのは救いを求めるからか。
 伸ばした手は生に執着するからか。
 しかして紡がれる旋律は晩秋の旋律。
 踊る『舞狂人形』のことを『超弩級の闘争』を求める『鉤爪の男』は理解できなかっただろう。できるはずもなかった。

 光条が空より降り注ぐ。
 その熱波が『舞狂人形』の装甲を溶かす。
 だが、それでも踊ることをやめない。
 残像満たす戦場にありて、それでも『舞狂人形』がしたことは、敵を打ち倒すことでもなければ、相対することでもなかった。
 あくまで踊り続けること。
 それこそが己の存在意義であると示すように、世界に旋律を響かせる。
「遙か彼方で気楽に飛んでいるようですが、ぼやっとしていると冬が生命を刈り取りに来ますよ?」
 クロリアの瞳がユーベルコードに輝く。
 放たれる呪いは、蠱の冬(コノフユ)の如く。

「私を差し置いて、天に座す攻撃衛星を狙うか。つれないな、猟兵!」
「『鉤爪の男』、貴方の闘争心が満たされることはありません」
「ほう?」
 振るう鉤爪と『舞狂人形』が刻むダンスの際に放たれる脚部の一閃が激突して火花を散らす。
 衝撃に機体がくるりと回りをながら着地し、大地を砕く。

「なぜなら貴方は壊す事しか知らないから。闘争の果の虚無に佇むくらいなら、此処で果てた方が貴方にとって幸せですよ?」
 戦いが生み出しのは破壊ばかりだ。
 口さがない者は言うだろう。戦いこそが進化を加速させるのだと。戦争こそが技術を発展させていくのだと。
 だが、結局行き着くところは虚無でしかない。
 どんな力も。
 どんな存在も。
 その先にあっては存在しえない。故に。
「だからどうしたと私は言わせてもらおうか! その虚無とやら!」
「他者の存在を理解できぬ報われぬ魂……なら、壊す以外を知らぬ貴方を!」
 放つ襲撃の一撃が『鉤爪の男』を捉え、そして舞踏によって得られた呪いが攻撃衛星へと迸る。

 今はまだ、と何も理解できぬ争いだけを望む魂に。
 響かぬ旋律を己たちの胸に秘めて。クロリアと『舞狂人形』は踊り続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

自称『ユミル』の直系でしたっけ?
禍々おーらがみょんみょんでてますし、思い切りばんばん湧き出てますね。
悪意だけ、ですけど。

あのひとは勇者として『調律』しないといけない気がします。

でも……これ、はー……。
やっぱりステラさんがお怒りです!? まったくもー! 鉄板壊したりするから!

こ、こうなったら短期決戦です!

ステラさん、お願いします。
|シリアスアレルギー《じんましん》出るまえに決めさせてください。

あまりやりたくはないですけど、緊急事態です。
たぶんいまのわたしの最大火力、『バンジー調律』手伝ってくださーい!

世界の想い、音叉の重さ、そしてバンジーのすんっとした感覚!
全てをまとめてくらえー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
あーーーっ!?なんてことしてくれるんですかこのバカぁぁぁぁ!!!
セラフィム!!|エイル様《主人様》の手掛かりになるかもしれないのに!!
くっ、人間の存在しないこの世界に|エイル様《乗り手》なく、セラフィムは|絆ぐ者《セラフィム》足り得ないということですか!!
とりあえずそれが確認できたからよしとします!

る、ルクス様大丈夫……?
いえ、その|覚悟《勇者気質》受け取りました
フォル、いらっしゃい!(鳥型キャバリアを呼び寄せ
それでは!
【ファム・ファタール】突撃、いきます!
攻撃を仕掛けつつルクス様の補助を
|お前《鉤爪の男》の|ファム・ファタール《破滅をもたらす運命の女》はルクス様のようですね?



 赤い残骸が戦場に残されている。
 それは猟兵とオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』との闘いの余波で吹き飛ばされ、それが如何なる存在であったかを無に還していく。
 その光景を見たのは、三面六臂の鋼鉄の巨人をよく知る者だった。
「あ――っ!? なんてことしてくれるんですかこのバカぁぁぁぁ!!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はめちゃくちゃに怒り狂っていた。
 それもそのはずである。
 彼女にとって赤い鋼鉄の巨人は彼女の主人の手がかりでもあったからだ。
 どうしようもない怒りが湧き上がってくるのを、メイドたる彼女は抑えきれなかった。 
 どれだけこがれたかわからない。
 掴んだと思えば、するりと抜けていく手がかり。

「それを、それを……!」
 その言葉に『鉤爪の男』は笑う。
 戦場には無限に撃ち込まれる攻撃衛星からのレーザー攻撃が熱波を生み出し、ステラとルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)を狙い続けている。
「ステラさんがやっぱりお怒りじゃないですかー!? まったくもー! 鉄板壊したりするから!」
 その理屈で行けば怒るのは師匠筋であるのだが、まあそれはいいとして。
「悪いことをした、とは言わぬよ。『アレ』の縁者ということなど私には知らぬところであったし、また知っていたところでやったことは変わりあるまいよ、猟兵」
『鉤爪の男』が放つ真空波が二人を襲う。

 レーザーと真空波の飽和攻撃を前に二人は決め手に欠いていた。
 これまで猟兵たちが叩き込んできたユーベルコードによる損壊など『鉤爪の男』は気にもとめていない。
 正しく狂喜。
 彼の表情に浮かぶのは笑みだけだった。
 己の望む『超弩級の闘争』。
 それが今まさに実現されているという実感のみが、彼の心を充足に満たしていくのだ。
「くっ、人間の存在しないこの世界に|『エイル』様《乗り手》なく、『セラフィム』は|絆ぐ者《セラフィム》たり得ないということですか!!」
「あれは機械でしかないよ。ただの装置と言っても良い。諸君のいう所の乗り手。ゆらぎ、完全ではないからこそ完璧なのだよ。そして、それゆえに私の求める『超弩級の闘争』たる世界ではな」
 振るう鉤爪の一閃をルクスの音叉剣が受け止める。
「弱者でしかない、と」
「そのとおりだよ。ただの機械如きが世界を滅ぼしうるものか」
「自称『ユミル』の直系でしたっけ? 禍々オーラがみょんみょんしていますね!」
「笑わせるな。この悪意こそ人に必要なものであろうが!」

 振るう一撃にルクスが吹き飛ばされる。
 腕に湿疹が出ている。所謂シリアスアレルギーというやつである。そんなアレルギーある!? と何処からかツッコミが入りそうであったが、シリアスなので入らない。いや、入っているも同然であろうとかそういうことはなしにしていただきたいところである。
「あんまりやりたくないんですけど、緊急事態です。ステラさん!」
「ええ、かしこまりました……! ですが、る、ルクス様大丈夫……?」
「いいですから! たぶんいまのわたしの最大火力なんですから!」
 それは彼女たちだけに通じる言葉だった。

 そう、ルクスにとってはもう何度もやりたいと思わないもの。
 けれど、そうしなければならないのならば、己の身を犠牲にしても。粉にしてもやらねばならぬのが勇者たる己の責務であるとルクスは知る。
 シリアスアレルギーとかなんとか言っている場合ではないのである。
「バンジー調律!」
 ステラの掲げた手に導かれるように鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』が飛来する。
 羽撃くように現れた、その鳥型キャバリアの鉤爪にルクスの身体が掴み上げられる。

「あー! やっぱり怖いのは怖いです!」
「今更! その|覚悟《勇者気質》はその程度ですか! 問答無用、いきます!」
 煌めくユーベルコードの輝き。
 空より降り注ぐレーザー攻撃を音速を超えた『フォルティス・フォルトゥーナ』が間隙を縫うかのように飛翔する。
 空気の壁を打ち抜き続ける音が響き渡り、ルクスの手にした音叉剣が煌めく。
「私を調律しようというか!」
「ええ、あなたこそ、わたしは勇者として『調律』しないといけない気がするんです……! って寒い冷たい空気が痛い!」
「がまん!」
「やだやっぱりむりですってばー! シリアスなのもダメですけど! でもバンジーも!」

 真空で生み出された三日月型の鎌の如きソニックブームが『鉤爪の男』の放った真空波と激突して霧散する。
 そこにルクスの瞳が発露するユーベルコードが煌めく。
「世界を正しき姿に! それが光の勇者の役目です!」
 音速と世界調律(セカイチョウリツ)。
 音叉より放たれる音の階層が『鉤爪の男』へと迸る。
『超弩級の闘争』だけを求め、そのためだけに破壊を齎し続ける存在に対してルクスが勇者として放つ事のできる最大の一撃。

「世界の想い、音叉の重さ、そしてバンジーのすんっとした感覚! 全てまとめてくらえー!」
 その強烈なる一撃が、シリアスをぶった切るように放たれ、『鉤爪の男』を痛烈に打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎!

ヒャッハー!
来マシタヨ、ミスター・鉤爪の男!
戦うために産まれた御身の渇望、ワタシには良く共感できマース!
アナタに必要なのは、全力でぶつかれる敵!
すなわちワタシたち猟兵の存在であります!
OK! 超弩級の闘争を満喫しマショー!

電撃を放出する鉤爪とぶつかるのは危険デスネー。
しかし、パワーであればサイボーグのワタシも負けてはいマセーン!
滑走靴の機動力と、チェインハンマーの頑丈さを信じて!
回避し、受け流し、距離を詰めマース!
九竜神火罩で焼き払おうとするならば鉤爪の男を巻き添えにする距離を維持しマース!

そして、頃合いを見計らいUC起動!
これがワタシの、オーバーロード!
極限のアタックをぶつけマショー!
フルバースト・マキシマム!

上空の九竜神火罩をグレネードランチャーで吹き飛ばしつつ、眼前にいる鉤爪の男にありったけの武装を叩き込みマース!
特に、このパイルバンカーはキャバリア用のビッグサイズでありますからな。
等身大型オブリビオンマシンであるアナタには、ぴったりの一撃でありますよ!



 巨大音叉剣の一撃がオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の身体を打ち据える。
 だが、未だ攻撃衛星は健在。
 放たれ続けるレーザー攻撃が無限に雨のように地上に降り注いでいる。
 苛烈なる熱波がすさび、周囲を破壊に巻き込んでいく様は、正しく炎の破滅そのものであったことだろう。
「ヒャッハー! 来マシタヨ、ミスター・『鉤爪の男』!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)のテンションというテンションはハイのハイに至っている。
 これが特別というわけではない。
 これが彼女の常。
 いつだって笑っていなければならない。どんなときだって前を向いて笑っているのならば、その者はどんな強大な力を前にしても強くあれるであろうから。
「戦うために産まれた御身の渇望、ワタシにはよく共感できマース!」
「私を理解するというか、猟兵。だが、それは喜ばしいことだな。つまりはそれは!」
「エエ! 全力でぶつかれる敵ということ! 即ち!」
「ユーベルコード同士の激突! 猟兵という存在……!」

 互いに通じ合うものがあった。
 同じ笑みを浮かべながら、湧き上がってきているのはまったく別の箇所。
 バルタンが笑うのは、闘争を楽しむからではない。
 これから先の未知なるものにたいして笑うものであったからだ。
「OK!『超弩級の闘争』を満喫しマショー!」
 放たれる雷撃。
 迫りくるレーザー攻撃。
 そのいずれもがバルタンにとっては必殺の一撃。けれど、バルタンは臆することはなかった。
 例え、『鉤爪の男』が等身大型オブリビオンマシンであり、キャバリアの性能を有に越えるものであったとしても。自分が戦わぬ理由など無い。
 果敢なる者にこそ強さが宿るように、バルタンは笑いながらレーザー攻撃が降り注ぐ中を一気に走り抜ける。

「ヒャッハー! 楽しいデスネ! これが闘争! 振るう力の意義、振り上げた拳の先が明確だということハ!」
 振るうチェインハンマーの一撃が滑走靴の加速に荷重されて『鉤爪の男』の振るう鉤爪と激突して火花を散らす。
 互いに一進一退。
 加えて『鉤爪の男』は数多あった猟兵との打ち合いで消耗している。
 だというのに、一切の衰えを感じさせないのは彼が、この逃走を楽しんでいるからだろう。
 狂喜とでも呼ぶべきであっただろうか。
 今の彼を突き動かしているのは、闘争への渇望を潤す炎のみ。
「これこそが私の求めたものだ。世界がこうあらねばならぬということ!」
「この距離ならば巻き添えを食いマース! ですが!」
 ギリギリと互いの武装が鍔迫り合い、互いの至近でもって言葉を紡ぐ。
「今更其れを私が躊躇うとでも思ったか!」
 放たれるレーザーの一撃がバルタンと『鉤爪の男』を巻き込みながら凄まじき熱波を生み出す。
 熱量の凄まじさは言うまでもない。

 等身大型オブリビオンマシンの装甲とサイボーグのスキン装甲が焼けただれる。
 だが、その火線の中にこそ煌めく光があった。
「これがワタシの、極限の――!!」
 それはオーバーロードの輝き。
 真の姿。
 燃える炎髪の如き色は青。
 歪なる鉤爪の如き腕部。
 吹き荒れる力の奔流は、それだけでレーザー攻撃の熱量をはねのけるものであった。

「全力であるというか!」
「エエ! これがファイト! フルバースト・マキシマム!」
 展開される全ての武装。
 まるでハリネズミのようにありったけの武装が展開し、上空へとグレネードランチャーの一撃が飛ぶ。
 それだけでは攻撃衛星は落とせないだろう。
 けれど、構わなかった。
 バルタンに取って、この戦いは猟兵としての戦い。己の欲望だけを満たすためだけに戦う者――即ち、『鉤爪の男』とは違う。
 戦いに笑い、駆け抜け、力を振るう。
 それ自体は何ら変わることのないものであっただろう。

 けれど、バルタンの中は既に得たものがある。
 笑う理由を。
 それを彼女は知っているからこそ、その力を、全ての武装を眼前の笑う男、『鉤爪の男』へと向けるのだ。
「これがワタシのありったけデース!」
 放たれる火器が『鉤爪の男』へと叩き込まれる。
 だが、それで終わらない。
 爆風の中に煌めく瞳。
 バルタンの炎髪が青い残光を生み出しながら駆け抜ける。その手にあったのは明らかに人が使うには不適合たる巨大なるパイルバンカー。
 それはキャバリアの武装。

「アナタにはぴったりの一撃でありマース!」
 杭の切っ先が『鉤爪の男』の右腕のガードを捉える。
 無駄だ、とバルタンは思った。
 止めようと思って止められるものではない。バルタンが笑うことをやめられないように。前に進むことが止められないように。
 どれだけ己の道行きが辛く険しいものであっても。
「ヒャッハー! ぶち、抜きマース!!」
 放たれた一撃は、そんな暗澹たる未来さえも貫くことを示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
あの機体…セラフィム…エイル……!?
…違う。「あいつ」の気配はない……いや、今はそれよりも鉤爪の男を!!

プロトミレスとドラグレクスでの連携戦闘を狙う
ドラグレクスは距離をおいてビーム砲撃と尾による薙ぎ払い狙い
相手の真空波にはGランチャーでの重力球をぶつける

けれど、後一手が足りない……
……だったら、一か八かの賭けよ。手が足りないなら増やせばいい…!!
吠えなさい、ドラグレクス…!!
UC【機界新生】!!衛星だろうが残骸だろうが、自我なき機械を機械細胞で侵食、制御下に置くわ!
衛星を止められれば御の字、最悪あの残骸だけでも再起動させ、全機での一斉攻撃を狙う!!

そのふざけた闘争、此処で終わらせる……!!



 幾人かの猟兵にとって、あの赤い残骸は意味を持つものであった。
 三面六臂たる赤い鋼鉄の巨人。
 その残骸は最早動くこともなければ、意味を成すものでもなかった。
「あの機体……『セラフィム』……『エイル』……!?」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は、その残骸とよく似たオブリビオンマシンと戦ったことが在る。
 だが、違うと理解できる。
 戦場に在りしパイロット飲みが感じ取れる重圧というものがあるのならば、目の前に残骸を晒す鋼鉄の巨人には、それがない。
『あいつ』の気配がない、とアルカは矛を交えたからこそ理解できるのだ。

「戦いの最中に余所見とはな!」
 穿たれた右腕が砕けながらも狂喜満ちる笑みと共にオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』がアルカの駆る『プロトミレス』へと迫る。
 振るわれる鉤爪の一撃を転移してきた『ドラグレクス』が受け止め咆哮する。
「……そうよね。そのとおりだわ、『鉤爪の男』! 今はあなたを!」
 ビーム砲撃が『鉤爪の男』へと放たれ、振るわれる尾の一撃。
 しかし、それを『鉤爪の男』は躱す。
 返す刃のように放たれる真空波と激突する重力球が力の奔流を走らせ、周囲に衝撃波を撒き散らす。

 アルカは『鉤爪の男』の力を見誤っていたわけではない。
 これまで先行した猟兵たちのユーベルコードがまるで効いていないわけではないのだ。確実に消耗している。
 そのはずであるというのに、己の躯体をきしませ、罅を走らせながらも『鉤爪の男』は笑っていたのだ。
 笑って滅びの一途を辿るはずの闘争を楽しんでいるのだ。
 さらに迫る攻撃衛星より降り注ぐレーザー攻撃がアルカと『ドラグレクス』を阻む。
 熱波がすさび、機体内部の温度が上昇していく。
「蒸し焼きになる、というのも一興ではないかな、猟兵!」
「そのつもりは!」
 だが、それでも追い詰められていくのは自分だと理解できる。

 一手。
 後一手たりない。
 アルカは今更だと思った。己の身を顧みるのならば、恐らく『鉤爪の男』には勝てない。
 ならばこそ、己の力を解き放つ。
 ユーベルコードの煌めき。
 真空波に切り裂かれた『プロトミレス』の腕部が飛ぶ。
「他所に意識を持っていって、私を見ないか!!」
 狂喜たる表情。
 だが、その表情は止まる。
「吠えなさい、『ドラグレクス』……!!」
 煌めくユーベルコードは赤い鋼鉄の巨人の残骸を立ち上がらせる。何故、とは問うまい。
 それはアルカの放った金属細胞が残骸を侵食した結果だった。

 ただの骸。
 されど、それはアルカによって、機界新生(メタル・ドミネーション)された機体。
 三面六臂たる六腕を振るい『鉤爪の男』の体に掴みかかる鋼鉄の巨人。
「……ッ! 残骸を手繰るか!」
「状況は最悪ってところだけど!」
 空より注がれるレーザー攻撃の熱線が赤い鋼鉄の巨人を貫く。
 砕け散る装甲。

 だが、『ドラグレクス』の尾の一撃が『鉤爪の男』を捉え、吹き飛ばす。
 そこに飛び込むのは片腕を失った『プロトミレス』。
 手にした実体剣を振りかぶり、機体のバランスを欠きながらも一撃を見舞うのだ。
「そのふざけた闘争、此処で終わらせる……!!」
『超弩級の闘争』。
 其れは他世界に悲劇を齎すもの。
 ならばこそ、アルカは渾身の一撃を以て『鉤爪の男』へと悲劇の連鎖断ち切る刃を叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
……これが本物の、鉤爪の男
この世界を闘争の世界に塗り替えるなんて絶対にさせません……!!!

アリスランスを構え突撃、降り注ぐ光に怯まず、勇気を持って挑みます!!
光はともかく、直接攻撃は激痛耐性で耐えますし、回避は第六感に任せます
私は…絶対に負けられない、負ける訳にいかないんです……

(焦りと疲労がピークに達し、敵オウガに捕まるか光に焼かれる直前でUC発動。限界ぎりぎりまで使用することで500秒近い過去まで遡り、
かつて「|彼ら《猟書家》自身が不思議の国を、現実改変の力をその蔵書へと奪いとったように」衛星砲の発射と敵UCの発動、アイリスの敗北という結末を「絵本の中の出来事」へと封印無効化し事実ごと抹消。
そのまま意識もろくにない状態、何かに突き動かされるように鉤爪の男に一撃を加えます)



 実体剣の一撃がオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の駆体を打ちのめす。
 砕ける駆体。
 だが、終わらない。
 空に在りし太陽を見やれば、その事実を知らしめられるようであった。
 太陽より現れるは『アリス狩りオウガ』の醜悪にして凶悪なる姿。放たれる鉄鎖は、あらゆるものを奴隷に貶め、その尊厳さえも食い破るかの如き悪意の牙を見せつける。
 しかし、其れ以上に脅威であったと言わしめるのは、『鉤爪の男』の表情だった。
 そこにあるのは苦悶でもなければ、憎悪でもなかった。
 笑っている。
 ただ、笑っているのだ。
 己が求めた渇望を満たす『超弩級の闘争』。その狂喜にとらわれているのだ。
「……これが本物、『鉤爪の男』」
 アイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)は己の胸が震えるのを感じたことだろう。

 これは恐れだろうか。
 痛みが襲い来ることへの。理解できぬ狂喜を前にしての。
 だがしかしである。
 彼女の中にある断章が全て煌めく。
 そうであってはならないと。恐れること。不安を覚えること。痛みへの忌避。
 いずれもが人の持つ弱さであるがゆえに、強さに転じることであると示すようにアイリスの胸の内側から勇気が溢れ出す。
「毅然としているな、猟兵。恐ろしいだろう。だが、キミが向ける槍の切っ先はなんだ」
 揺れるアリスランス。
 だが、心にあるのは勇気。如何に揺れているのだとしても、もうアイリスは決めたのだ。

 何を、と問われるのならば決まっている。
「この世界を逃走の世界に塗り替えることなんて絶対にさせません……!!!」
 鉄鎖が迫る。
 レーザーの攻撃が迸る。
 さらに『鉤爪の男』の振るう鉤爪さえもアイリスの胸に宿る勇気を一欠片も残さず奪わんと迫っている。
 打ち据える身への痛みを噛みしめる。

 歯を食いしばり、アイリスはしかして前を見る。
「言うことは立派であるが、力が伴っていない! 何もかも! 力無き者の言葉など何一つ世界には届かぬよ、猟兵!」
「……でもッ!」
 それでも、とアイリスは打ちのめされ大地を跳ねるようにして倒れ伏す。
 焦りがある。
 早く世界を書き換える力を止めねばという想い。
 されど、身体に蓄積された痛みと疲労が頂点に達しているのだ。

「それでも、私は……絶対に負けられない、負けるわけにはいかないんです……」
『アリス狩りオウガ』の鉄鎖がアイリスの四肢を縛り、引き立たせる。
 空より迫るレーザー攻撃の一閃がアイリスへと迫る。
 それは敗北の結果。

 だが、其れはならなかった。
 煌めくはユーベルコード。
 アイリスの胸にある勇気は認めない。
 この先に待つ敗北を是としない。故に彼女のユーベルコードは、一冊の絵本を具現化させる。
 そのタイトルは、欠落の国のアリス(ヴォイド・オブ・メモリー)。
 真黒き装丁。
 されど、頁に記される記述は空白。
 白紙の頁が示すは未来は未だ決定されていないことを示す。

「わたしは、みとめない。だから」
 遡及するは時間。
『現実』を改変する黒い闇が放たれ、アイリスが『鉤爪の男』と繰り広げた『超弩級の闘争』をこそ否定する。
 己の敗北を認めぬからこそ発露したユーベルコードは、『絵本の中の出来事』へと書き換えられ、黒き装丁の絵本の中に飲み込まれる。
「――……!?」
『鉤爪の男』は理解できなかっただろう。
 己は確かにユーベルコードを発露させた。だが、それすらも遡及した時間と、封印された勝利の事実ごと霧散し、抹消されたのだ。

「何を……今までの闘争は!」
「さよなら、ばいばい」
 もはやアイリスに意識はろくに残っていない。
 けれど、限界を。
 いや、誰が限界を決めたのだ。誰かに限界は決められるものではない。アイリスにとって、想像とは創造そのもの。
 己が敗北を認めぬのならば、その未来はやってはこない。
 何に突き動かされているのか、それ自体さえもアイリスは理解できていなかった。

 だが、その手にした槍の一撃は確かに届いたのだ。
『鉤爪の男』の手にした『侵略蔵書』。
 その装丁を打ち抜き、彼の力をアイリスは削ぎ落とす――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎

んもーめんどくさー
伏線?または横のつながりってやつー?

●超々々(中略)々々弩級の神話作戦
フッ、誰もボクの前回放った[超重浮遊鉄球]くんが伏線だったとは気付いてないみたいだね!
(まあ放った後で【第六感】で閃いた作戦なんだけど!)
そうクロキャバ化しつつあるこの世界であの子は周回軌道に達し、ちょうどいま!この真上にいる!
対地レーザーなら!真上には撃てないよね!(撃てても質量で押し切る感じで!)と九竜神火罩を上からグシャーッ!

巨人の子孫くん、空が落ちるのを見たことはあるかい?
かつてはキミのご先祖(ご先祖かな?)が落ちないようにそれを支えていたけれど…キミにそれができるかな!
と最大径の[超重浮遊鉄球]くんをそのままおとーす!
そして彼はやむを得ずそのUCで対抗するはずと想定して…
爪が刺さって抜けなくなったところをUC『神撃』でドーーーンッ!

さーてそれじゃあさりげなくめんどくさいとこ全部押し付けてくれた愉快な仲間のみんなーーー!
ヴィクトリーお祝いパーティしよーーー!!



 オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』は笑う。
 これこそが己の求めた『超弩級の闘争』であると。駆体は砕け、『侵略蔵書』の力は削ぎ落とされている。
 だが、それでも狂喜のままに笑う。
 喜びしかない。
 己の存在意義を示すのは闘争の中しかないのだから。
 ならば戦って滅びることこそが本懐であり本望。

 故に赤き鋼鉄の巨人の残骸は、己の運命を暗示していたのだとしても、なんら驚くこともなければ、己の運命を悲嘆することにすらならないのだ。
「んもーめんどくさー伏線? または横のつながりってやつー?」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)にとっては、それがそこにあることも、如何なる理由があってのことかも面倒なことの一つでしかなかった。
 如何なる物語があるのだとしても。 
 それが糸がより合わさるように紡がれているのも、いずれも関係のないことだった。
 ただ滅ぼすのみ。
「コネクションというのは大切だ、という教訓だろうよ。猟兵。面倒な伏線も張り巡らされた奸計も。何もかも覆せるのが力というものだ。それを諸君らは理解しているだろう?」
 迫る『鉤爪の男』。
 空より降り注ぐ攻撃衛星のレーザー攻撃が大地を熱波で包み込む。

 けれど、ロニもまた笑っていた。
「この世界を書き換えて、戦場に仕立て上げようっていうのはわかるのさ。けどさ、あの子は周回軌道にいるんでしょ? そして、真上にあってボクらを狙っている!」
 ならさ、とロニは笑う。
 攻撃衛星の砲撃は常に真下に向けられ、己より頭上にあるものを狙うことはできない。
「ボクの放った伏線ってやつを理解できなかったみたいだよね!」
 ロニの言葉と共に掲げた手に導かれるようにして、『天使狙撃銃の国』にて放った巨大球体が飛ぶ。

 それを撃ち落とさんとレーザー攻撃が放たれるも巨大な質量を誇る球体を落とせるものではなかった。
 遥か上空へと飛ぶ球体。
 ロニはそれを傘にレーザー攻撃を防ぎながら『鉤爪の男』へと迫る。
「巨人の子孫くん、空が落ちるのを見たことはあるかい?」
「いいや。見たことはないが、其れに類するものならば想像に難くない」
「かつてキミのご先祖が落ちないようにそれを支えていたけれど……キミにそれができるかな?」
 神話の全てが真であるとは言わない。
 だがしかし、ロニは笑って空より注ぐ球体を『鉤爪の男』へと振り落とす。
 攻撃衛星のレーザー砲撃に寄って損壊しているが、それは未だ巨大質量を保ったままだ。

 正しく彼の言葉通り『空が落ちる』という光景そのままであったことだろう。
 迫る質量を前に『鉤爪の男』は鉤爪を振るう。
 支えるのではなく、雷撃で砕こうとしているのだ。其れを可能にせしめるほどの力を彼が持っていることは言うまでもない。
 雷撃に砕かれる球体。
 如何ともし難い破壊の渦が放つ衝撃の中をロニは飛ぶようにして『鉤爪の男』に迫るのだ。

「んもー、まったく。さりげなくめんどくさいこと全部押し付けてくれた愉快な仲間たちのみんなとこれからヴィクトリーお祝いパーティしないといけないんだよね!」
 だから、とキミは此処までだとロニの拳がユーベルコードの輝きを解き放つ。
 それは信心無き者にさえ、神々しさというものを感じせるものであった。
「どーんっ!」
 神撃(ゴッドブロー)が球体の一撃を受け止め、ささえる『鉤爪の男』の胴へと叩き込まれる。
 軋むフレームは骨格。
 砕ける装甲は外皮。
 あらゆるものが人間大でありながら、しかして秘めた力は鋼鉄の巨人以上。
 ロニの拳に耐えうる力は、確かに神話の巨人そのものであったことだろう。

 しかし、神話はいずれ失墜する。
 全てが隆盛を極めた後に辿る運命は神ですら変えうることがないのならば。
「天を支えた巨人だって、最後には天を支えきれなくなるものさ。例え、空の星々になったとて、その役割は別の何かが担っていると人はいつか気がつくものなんだからさ!」
 放つ拳が神話の終わりを告げる。
 終わる神話があるのならば、新たに紡げば良い。
 それに抗わんとする巨人の直系をロニは好ましく想いながらも、その拳を振り抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・信子
●SPD&真の姿

相手は鉤爪の男だけでなく、成層圏よりも遥か上空のカーマン・ラインも超えた先…熱圏に浮かんでいる攻撃衛星
例え鉤爪の男を先に倒したとしても、攻撃衛星が健在ならば不思議の国は滅び、『カーテンコール・ラビリンス』は成し遂げられてしまう…

途方もない超高高度に浮かんでいる対象を狙い落とす可能性、それがピースメーカーが手にしている最大火力の『バントライン砲』です
常識では不可能でも|超常《ユーベルコード》を持ってすれば可能…という事は鉤爪の男がよく知っています
とすると、望みであるバントライン砲を自身の躯体と鉤爪を持ってして破壊に掛かるでしょう

『そこが狙い目。バントライン砲は囮で、本命は|真の姿《鎧装騎兵のヴァルキリー》になった信子よ。まさかキャバリアを操縦しているのが|私《影》だなんて思いもよらないでしょ?』
それでも時間との勝負です
相手が気づけばそこで作戦は失敗ですから
『あんたの操縦癖は何時も見てるから演じきってやるわよ。その代わりバスターランチャーでしっかり狙って撃ち落としてくるのよ』



 戦いにおいて戦術は要であるが、戦略は大局的なものであったことだろう。
 戦術は確かに戦場を席巻せしめることの出来る可能性を持っているが、対極たる戦略を覆すものではないことは言うまでもない。
 しかし、である。
 ことクロムキャバリアにおいて、それは正しくない。
 戦略を覆す戦術というものが存在しており、なおかつ、其れは過去に証明されてきたものである。
 故にオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』に油断はない。
 いや、それも正しくはないだろう。

 彼の顔を見れば分かることだ。
 楽しんでいる。
 この状況を。一手かけちがえば、己の敗北は必至。だが、そのギリギリの攻防をこそ彼は望む。それこそが『超弩級の闘争』。
 その果に滅びが待つのだとしても、一向に構うことはなかったのだ。
「楽しんでくれているか、猟兵。胸が踊るだろうか。己の生存本能の全てが訴えかけているだろう。眼の前の敵を穿てと!」
 振るう鉤爪から放たれる真空波が秋月・信子(魔弾の射手・f00732)のキャバリア『ピースメーカー』を襲う。
 そのキャバリアが持つ長距離支援砲『バントライン』。

 それこそが空に座す攻撃衛星を撃ち貫く可能性を有していることを『鉤爪の男』は理解していたのだ。
 そして、信子が如何にしてそれを成さしめようとしているのかも。
 空より注ぐレーザー砲撃は言うまでもなく脅威。
 故にかの衛星を撃ち抜くことは猟兵たちにとっても必須条件。だが、それを阻むのが己である。
「理解しているようだな。私が滅びても、この世界に攻撃衛星が在るのならば、炎の破滅はなされることを!」
 だからこそ、猟兵たちは『鉤爪の男』だけではなく攻撃衛星をも撃ち落とさなければならない。
 だが、それは難しいと言わざるをえないだろう。

 これまで多くの猟兵たちが攻撃衛星を狙い続けていた。
 損壊も与えている。
 けれど、未だあの星の境界線に座す魔星を堕とすことが出来ないでいる。
「常識では不可能!されど、|超常《ユーベルコード》ならばそれが可能であると私が理解できぬと思ったか!」
 キャバリアに迫る『鉤爪の男』。
 だが、彼には不可解であった。何故、重圧を感じないのかと。
 眼の前のキャバリアは確かに魔星を撃ち落とす可能性を秘めている。だが、それにしては……あまりにも。

「……ブラフか!」
『気が付かれた……けど、もう遅いわよ!』
『ピースメーカー』の中に在るのは、Esの影法師(ダークサイド・シャドウ)。
 そう、信子の影を依代にする彼女とは性格を真逆とする二重身。
 彼女が『ピースメーカー』を手繰り、囮となっていたのだ。
「やってくれるな、猟兵! それでこそというものだ! これこそが、この駆け引きこそが、『超弩級の闘争』の本質とも言える! 如何にして相手を出し抜き、破壊するか! 
そのためだけに……」
『言ってくれるじゃあない。けど、あんた、一つ間違えているわよ』
 確かにブラフであった。

 けれど、『鉤爪の男』は賭け違えていたのだ。
 魔星堕とす地上よりの砲撃。
 確かに打たせてはならぬ一手であった。ひしゃげる砲身。鉤爪から放たれる真空波がキャバリアの脚部を切り裂き、大地に沈ませる。
 その一手はかけちがえた。
 真に警戒すべきだったのは。
『信子!』
 その言葉に振り返った瞬間、迫るのはオーバーロードの輝き。
 超克によって鎧装騎兵たるヴァルキリーの姿に至った信子の手にしたボルトアクションライフルの銃口が『鉤爪の男』へと向けられている。

「それは……! はじまりの猟兵の!」
「世界の悲鳴を聞くのなら! その悲鳴にこそ応えるのが!」
 引き金が引かれ、弾丸が疾走る。
 その一撃が『鉤爪の男』の駆体へと吸い込まれ、凄まじい衝撃を解き放つのと同時に大地に沈んだ『ピースメーカー』の手にした『バントライン』が空より飛来するレーザー攻撃と相討ちになるように一撃を放つ。
 拉げた砲身。
 されど、撃ち抜く一撃は星の境界線に座す魔星を射抜く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
(キャバリアから降り、真の姿に身を変ずる)

貴様が欲するのは果てなき戦いの世界。
そして闘争──好きに生き、理不尽に死ぬのが貴様の望みか。
なるほど、どこまでも我々は対照的らしい。
同じ「等身大型キャバリア」でありながら、その主義主張は正反対か。

良いだろう、相手をしてやる。
我が名は「TYPE[Jaeger Model-Executioner] Michael」。亡国「神聖メサイア教国」最後の生き残りにして、貴様に裁定を下す機械仕掛けの|熾天使《セラフ》。
此処より先は言葉など意味をなさない。

敵の攻撃に対してはこちらもWHITE KNIGHTの予測演算にて対応。真空波を最小限の効率かつスラスターによる高速機動にて回避しつつCHESEDとGEVURAHで相殺する。さらに背中のウイングバインダー「SERAPH」より羽根型ソードビット「YESOD」を展開。飽和攻撃を実行。

機を見て間合いを詰め、CRESCENT MOONLIGHTを振るいブレード光波を浴びせつつ4連撃。

──殉ずるが良い。貴様の答えに。



 星の境界線に座す魔星を撃ち抜く光条を見上げるオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の瞳は落胆に染まらなかった。
 むしろ、喜びに満ちていた。
 あの一射によって少なくとも攻撃衛星はレーザー射撃までインターバルを要するようになっただろう。
 けれど、無限に放たれるレーザー射撃は終わりを見せることではない。
 わずか。
 ただ僅かに乱れが生じただけにすぎないのだ。
「これこそが戦場のゆらぎ。私の求めた『超弩級の闘争』そのものだ。楽しいな、これこそが生きているということだ。私が存在している意味というものだ!」
 そこにあったのは狂喜そのもの。
 狂おしいほどの歓喜だけが彼の駆体を占めていたのだ。

「貴様が欲するのは果てなき戦いの世界。そして闘争――好きに生き、理不尽に死ぬのが貴様の望みか」
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)はキャバリアから降り立ち、己の真の姿を晒す。
 同じ『等身大型』であるということ。
 それを示すようでもあった。
 だが、『鉤爪の男』は満身創痍ながらも笑っていた。
 意味のない問いかけだと。

「そのとおりだが? 理不尽でないことのほうが少ないだろう。世界というのは理不尽ばかりだ。不条理ばかりだ。あらゆるものが戦火にさらされている。常に危険はつきものだ。平穏などというものは虚実に過ぎない。在るとわかっていても、それを証明することなど誰が出来ようか」
「なるほど、どこまでも我々は対照的らしい」
 ジェイミィにとって、それは対極に位置するものだった。
 彼の望みは結局のところ、己の渇望を癒やすための利己でしかない。しかし、それが同時に否定しようのないものであることもまた理解していただろう。
 故にジェイミィはためらわない。

「我が名は「TYPE[Jaeger Model-Executioner] Michael」。亡国「神聖メサイア教国」最後の生き残りにして、貴様に裁定を下す機械仕掛けの熾天使」
 漲るは超克の輝き。
 オーバーロードの先に至りて示すは、己の存在。
「此処より先に言葉など意味を成さない」
「もとよりそのつもりだよ、同胞よ」
 赤熱する電脳。
 焼き切れるほどに数多示される戦闘予測。
 予測演算は、幾千、幾万の選択肢を提示し、示される未来を尽く己の敗北で染め上げていく。

 されど、そのワンセコンドにも満たぬ刹那のさなかにジェイミィは手を伸ばし、掴み取る。
 迫る真空波をスラスターによって最小限に躱す。
 装甲をかすめ、削られることを恐れる必要はない。
 手にした二丁一組たるビームライフルの光条が奔り、『鉤爪の男』を牽制する。だが、牽制であることを理解されているのだろう。踏み込んで来る『鉤爪の男』の速度は圧倒的だった。
 猟兵たちの放ったユーベルコードの一撃を一身に受け止め続けてなお、この性能。
 圧倒的とさえ言える力を前に『ジェイミィ』は彼とは裏腹に笑うことをしなかった。その必要性がないとも言える。
 結局、笑うということ。感情を表現するということは、己には必要ではないのだ。
 ただのツールでしかない。
 物事を円滑に進めるための道具でしかないのだ。

 しかし、思う。
 己がそうであるからと言って、感情を顕すことが無駄ではないと。無意味ではないと。
 生きる人々を見てきた。
 彼らの誰もが平和を求めただろう。安らかに眠る夜も。今日を思う朝も。
 何もかもが彼にとっては、得難きものである。
 故に、それを焼き滅ぼす為の世界を求める者を止めばならない。
「――終止」
 ジェイミィの背後のウィングバインダーよりはなたれるソードビットが迫る『鉤爪の男』を切り裂き、その足を止める。
 
 空より飛来するビーム砲撃をジェイミィは躱し、間合いを詰める。
 己を狙い続ける攻撃衛星をユーベルコードの輝き満ちるアイセンサーが残光だけを刻み込み、彼の駆体を『鉤爪の男』へと肉薄させる。
「――殉ずるが良い。貴様の答えに」
 振るうブレード光波は四連撃。
 十字は二つ。
 避けようのない連撃が『鉤爪の男』に癒えぬ傷を刻み込む。
 互いに背を向けた。
 決するのは勝敗ではなく。
 ただ、一つの決別だけが、その二連十字の意味だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
アナタも夢見たくてこの世界を訪れたの?
趣向をとやかくは言わないわ
けれど皆を巻き込むのは、困ったアリス
道行きを愉快に彩るのが私たちの役目
ならば、仲間の皆の分も
アナタの物語を案内しましょう…幕引きの時間よ

UCで紡ぐのは風の糸
トロイメライと不思議な薔薇の挿し木にきつく纏わせ
疾風になれ!
日傘の浮遊力に風の力を籠めて距離縮め
怪力と風の属性攻撃、
想いを籠めたトロイメライを打ち込む
挿し木を伸ばし、
武器受けたりしてツメツメ拘束と放電をお邪魔虫
電撃耐性と激痛耐性で耐えるけれど
厳しくても、ピンチをチャンスに!
この距離なら、私もとびきりの一撃を贈れるでしょう?

頭上からの攻撃は
反対方向に噴射した紡錘の吹き飛ばし効果で避けるわ
避けれない時は、伸ばした茨や風属性のオーラ防御を盾に

アナタが何処の誰さんかは知らないけれど
はじまりのアリスから、勝手に盗った力は返してもらうの



 駆体に刻まれた二連十字よりこぼれ落ちるは血潮の如きオイル。
 それはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が等身大型オブリビオンマシンであることを示していたことだろう。
 数多の猟兵たちのユーベルコードを受けてなお、その躯体は止まらなかった。
 右腕は砕かれ、手にしていた『侵略蔵書』は力を失った。
 天に座す攻撃衛星は損壊を受け十全ではない。
 けれど、彼の表情に有るのは憎悪でもなければ憤怒でもなかった。

 ただ笑っている。
 狂喜とも取れる笑みを浮かべ、ただ只管に笑っているのだ。
「これこそが私の求めたものだ。これこそが私の望み。私の夢。私の――」
「困ったアリス」
 その言葉を断ち切る声が合った。
 白薔薇の花弁が戦場に舞う。レーザー射撃の熱波に当てられて、舞い散っていた。
 その先に一人の猟兵が、城野・いばら(白夜の魔女・f20406)が佇むようにして立ち、その瞳をまっすぐに狂喜満ちる『鉤爪の男』の笑みへと向けていたのだ。
「アナタも夢が見たくてこの世界を訪れたの?」
「そうだ。私の夢見た『超弩級の闘争』。オウガたちを使えば、それが確実のものとなる。血肉滴らせる獣と、鋼鉄の巨人が渦巻く戦乱こそが」
 世界を炎の破滅に導き、絶え間なき争いだけが満ちる世界を作り出すことができるのだと彼は言う。

 その言葉に、いばらは頭を振る。
「ねえ、あなたは知っているかしら。私達の役目を。この世界を訪れるアリスたちは皆傷ついている」
 どうしようもない深い傷を心に負っている。
 自分ではどうすることもできない迷人たちが訪れる場所。
 そして、いばらたちは、そんなアリスたちと共に在る者たち。
「だから、自分の扉を見つける道行きを愉快に彩るのが、いばら達の役目。現実は恐ろしく、とても怖いもの」
「それから目を背けたところで意味はない」
「ええ、でも」
 それでも、といばらの瞳がユーベルコードに輝く。
 風がすさび、白薔薇の花弁が舞い散る。

 最中、彼女の手にした薔薇の挿し木に纏うは、魔法の糸。
「意味のあることなんて世界の全てのものに言えるでしょう。だから、全て無意味だって言えるもの。けれど、それはいばらたちが決めることではないの。アリスたちが決めるのことなの。だから……」
 不思議の国々に在りし仲間たちを思う。
「アナタの物語を案内しましょう……幕引きの時間よ」
「そのつもりはない!」
 疾走る『鉤爪の男』が放つ雷撃が、いばらに迫る。

 それを揮った薔薇の挿し木の先より放たれる疾風が受け止め、ユーベルコードの輝きが明滅する世界に迸る。
 ふわりと日傘を掲げた、いばらの身体が浮かび上がる。
 いつだって、いばらはアリスたちのことを思っている。いつも怖い思いを、辛い想いをしてきたのだから、夢の中だけは安らかにあってほしいという想い。
 伸びる挿し木が迸る雷撃の鉤爪を捉え、跳ね上げる。
「終わらぬよ。この闘争の世界は。いずれあらゆる世界に波及していくものだ。どうあって終わらぬのだよ。私がいなくても! 人が争うことは、傷つけ合うことは! 止められないのだ!」
 故に求めるのだろう。
 自ら破滅に足を踏み出すことになるのだとしても。

 それでも『鉤爪の男』は力をふるい続ける。
 あらゆる者を巻き込んで、ただ惨禍と戦火に彩ることをこそ至上とする。
 迫る天上よりの熱波伴う一撃をいばらは、トロイメライより噴出する風の力でもって躱し、更に迫る雷撃を薔薇の挿し木より現れる茨でもって受け止める。
 火花が散るように光が明滅する。
 くらくらするような輝きに、いばらは瞳を閉じそうになる。
 けれど、閉じてはならない。
 目の前に戦わなければならない者がいて、自分がそれを成すのだと決めたのならば、目を閉じている暇なんて何一つ無いのだと、迫る雷撃の最中さえ、いばらは足を踏み出して、大地を蹴る。
 あの巨樹の愉快な仲間たちがそうであったように。

 いつだって、いばらたちの背中を押すのは。

「誰かのためになりますようにって、気持ちなのだわ」
 だから、といばらの瞳はユーベルコードに輝く。
 いつだって過去は背中にある。
 紡がれた糸は、巻き戻す事ができる。振り返り、過去を知って、自分を知って、その扉を開けて前に進むアリスたちの背中をこそ、いばらは知っている。
 だから、それはきっと未来を繋ぐ力。

「Canette(アンルレ・ル・フィル)……アナタが何処の誰さんかは知らないけれど」
 振るうは疾風。
 吹きすさぶ風は、刃のようになって光の柱の如き砲撃だって斬り裂いて見せる。
 デタラメみたいな力。
 けれど、それでいいのだ。
 だって、自分は愉快な仲間たち。デタラメも全部ひっくるめて自分なのだ。
「はじまりのアリスから、勝手に盗った力は返してもらうの」
 それは、狂喜満ちる笑みを打ち消して照らす輝き。
 その輝きを、いばらは知っている。

 陽光の傍らこそ、いばらの標。
 故に、狂喜は彼女の暖かな光をかき消せない。
 疾風に揺れる白薔薇は、陽光に向かってこそ咲き誇るのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
ん〜?あの赤い機体はどこかで見たような…
って余所見をしている場合ではございませんわ〜!
やっと鉤爪様の元に辿り着きましたわ!
闘争とは暴力!
つまりわたくしの得意科目ですわ!
ヴリちゃん!リグ・ヴェーダモード!
ついでにわたくしもですわ〜!

おほほ
間違えましたわ
うふふふ…
変身完了ですわ
さあ闘争致しましょう
お空の上で殲禍炎剣擬きが狙っておりますので常に動き回るのですわ
戦いはやはり暴力に限るのですわ
鉤爪様に積極的に近付いてヴリちゃん引っ掻きヴリちゃん尻尾ですわ
ゴリゴリの格闘戦ですわ
小細工など無用でしてよ
あわよくばわたくしを狙った衛星砲に巻き添えにして差し上げるのですわ
巻き添えになる気配が無いのでしたらむしろ鉤爪様のお傍の方が安全までありますわ
鉤爪の一撃が来ましたらすかさずスイングスマッシャーで張り倒すのですわ
殴られてもただでは済まさぬですわ
突き刺さってしまったらヴリちゃん噛み付きで必殺零距離ジェノサイドバスターですのよ
衛星砲は最後に壊しに行けばよろしいのですわ
ヴリちゃんの翼はお飾りではありませんのよ



 数多の猟兵たちの攻勢があった。
 ユーベルコードが明滅する戦場。
 これが『超弩級の闘争』であるというのならば、オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』がもたらさんとしている世界の書き換えは、クロムキャバリア以上の混沌たる破滅であったことだろう。
 常に争いが引き起こされる世界。
 悲鳴と苦痛。
 そして、絶望と憎悪。
 それだけが塗りつぶしていく世界を彼は望む。平和と平穏が齎す時間など停滞しているのと同じだと彼は言ったのだ。

 だが、それをメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は肯定する。
 世界には争いが満ちている。
 別段『鉤爪の男』がもたらさなくても、世界には大小様々な争いに満ちている。取り分けて加速させる必要もない。
「闘争とは暴力! つまりわたくしの得意科目ですわ!」
「皇女殿下はよくわかっていらっしゃるようだ。だが、根本的な問題だな。猟兵であるあなたとオブリビオンである私。どちらにおいても相容れぬという感情だけが先立つ」
 彼の言葉にメサイアは頭を振る。
 褒められると嬉しい、とか思っている場合ではないし、また視界の端にちらっと映った赤い機体に記憶の何処かが刺激される思いであった。

 だが、そんなことに彼女は視線を奪われない。
 彼女の視線を今奪い続けているのは、暴力の気配のみ。
 そう、『鉤爪の男』。
 圧倒的な力を持ち、今もなお空に打ち上げた攻撃衛星による無限レーザー攻撃とともに猟兵を排除せんとしている。
「ヴリちゃん!『リグ・ヴェーダモード』! ついでにわたくしもですわ~!」
 その瞳に輝くのはオーバーロードの輝き。
 満ちる光は、彼女の純白のドレスを漆黒に染め上げる。
 同時に暴竜型キャバリアは、その身に纏う装甲を弾け飛ばしながら、本来の姿である真の暴竜たる姿を晒す。

 咆哮が戦場を震撼させる。
「清々しささえ感じるな。力の権化。ヴェーダの化身……!」
「おほほ……じゃなかった間違えましたわ。こういう時はそうですわ、うふふ……と意味深に微笑んで置くのですわ~!」
 諸々手遅れであるが、しかしメサイアは黒き暴竜と化した『ヴリトラ』と共に戦場を飛ぶ。
 天より放たれ続けるレーザー攻撃は無限。
 空に攻撃衛星が存在している限り、常に彼女たちを『鉤爪の男』は狙うことが出来る。いや、彼女たちの行動を制限することができるのだ。
「お空の殲禍炎剣お擬きが狙っておりますわ、よくってヴリちゃん?」
 咆哮が轟く。
 言われるまでもないと言っているようでもあった。

「戦いはやはり暴力に限るのですわ。小賢しい奸計も策も、全て食い破ってしまえば結局のところ勝ちというやつですわ」
『鉤爪の男』に迫る『ヴリトラ』。
 巨腕が振る爪の一閃が『鉤爪の男』の鉤爪と打ち合い、火花を散らす。
 窮地に在るはずなのに、それでも彼は笑っていた。
「ああ、結局そういうことだ。勝利者だけが言葉を発する権利を持つ。勝利者は敗北者の全てを蹂躙する権利を有する。故に!」
 弾かれる『ヴリトラ』の巨躯。
 だが、翼が羽ばたき、『ヴリトラ』は『鉤爪の男』との距離を埋めるように飛び込んでいく。
 レーザー攻撃は確かに厄介であるが……。

「こうも密着していれば、お空の衛星からの砲撃の巻き添えを鉤爪様も喰らうというもの! 小細工など無用でしてよ」
「どの口が言う!」
「うふふふ……これも小細工のうちの一つとも取られるのですね。ですが、ならば、密着していれば衛生砲は使えないということ」
「接近戦ならば私に勝てるという思い込みを!」
 振るわれる鉤爪の一撃が『ヴリトラ』の巨体に突き立てられ、その内部を雷撃の一撃が迸る。
 頭上に座すメサイアにさえ及ぶ強烈な雷撃が『ヴリトラ』の巨体を内側から焼き滅ぼすように迸るのだ。

「良い一撃ですわ。ですが、殴られてもただでは済まさぬのがエルネイジェ流横殴術(スイングスマッシャー)というもの! わっしょい!」
『ヴリトラ』の振るうスマッシャーテイルの一撃が『鉤爪の男』を打ち据える。
 さらに距離を詰める。
 翼が羽撃く。だが、打ち据えられた『鉤爪の男』が敢えて攻撃を受けて後方に飛んだのをメサイアは見逃していなかった。
 一撃受けて距離を取ろうとしているのだ。
「賢しい一手を使うのですね。ですが……!」
 レーザー攻撃の一撃が『ヴリトラ』の尾を焼き切るようにして撃ち込まれる。

 それでも止まらない。
「ヴリちゃん! 必殺――!」
「……ッ! この状況で距離を詰めるか……!」
「ええ、それこそが我が王家の信条でありますれば!」
 巨大な顎が『鉤爪の男』へと迫る。
 食い込む牙。だが、其れで終わらない。踏ん張るように『ヴリトラ』の巨体が大地を踏み割るかのように蹴った瞬間、噛みついた『鉤爪の男』と共に空へと舞い上がる。

 一直線に飛ぶのは上空400kmに座す攻撃衛星。
 そう、メサイアは狙っていたのだ。
 天に座す攻撃衛星。
 これを放置してはおけない。『鉤爪の男』だけにかまけていたわけではないのだ。
「狙っていたな……!」
「ええ、皇女と言うのは存外わがままでありますので」
『ヴリトラ』の翼は飾りではないのだと示すように攻撃衛星へと『鉤爪の男』を叩きつけ、さらに口腔よりみちるは破滅の光。
 即ち。

「必殺零距離ジェノサイドバスターですのよ!」
 吹き荒れる暴竜が解き放つ光条の一閃が空を切り裂き、攻撃衛星ごと『鉤爪の男』を撃ち抜く。
 滅びの光の向こうに霧散していく躯体をメサイアは見るだろう。
「『超弩級の闘争』も、暴力の前には露と消えるものでしてよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年03月11日


挿絵イラスト