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(苺をかけた)仁義なき戦い

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コノハ・ライゼ



ジュジュ・ブランロジエ




「ずりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
『大雪山・逆雪崩落としーーー!!』
「ひぃぃ姉貴、こいつら意味わかんねーよー!!」
 青空の中小男の悲鳴がこだました。
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)はそっと空を見た。綺麗な青い空だった。
「コノさん! 決まったー!!」
 朱地に桜柄の衣装を着たジュジュ・ブランロジエ(白薔薇の人形遣い・f01079)は元気いっぱい、どや顔で振り返った。そうねえ。とコノハは微笑みを向ける。ついでに言うとコノハはシンプルに灰青の着物に藤色の羽織を着ている。ストールや帽子もかぶっているので、ちょっとハイカラな感じがする、というのがジュジュの弁であった。
「さあさあ、次はどこに描こうかなー」
「んー。まあ、向こうが吹っ掛けてきた喧嘩だしねェ」
 墨を含んだ筆を持ったジュジュが、やる気満々でにじり寄る。コノハは苦笑する。きっと彼らも、数分前のことを後悔しているに違いない……。

 最初、喧嘩を吹っかけてきたのは向こうであった。
「へいそこの兄妹! 俺たち姉弟と勝負しないか!?」
 声をかけてきたのは二人組の男であった。小さな少女と大きくて熊のような弟の妖狐二人組である。
「あんたたちでちょうど100人切りだ!」
 熊男が得意げに言う。うーん、とジュジュはちょっと考え込んだ。周囲を見ると、どうやら神社の催し物の一つらしい。怪しい勧誘や、物騒な喧嘩ではないようだが……、
「今日は初詣に来ただけだから、戦うっていっても……」
「ちなみに俺たちに勝ったら、商品が出るんだぜ! このへんじゃちょっとお目にかかれない。超高級苺ひと箱……」
「やるわ」
「コノさん……!」
 得意げに熊男が苺と言ったとき、それまで黙っていたコノハがずずいと手をあげて、そう来なくっちゃ! と熊男が楽しげに笑う。そしてジュジュはすでに作られる苺菓子に思いをはせるのであった……。

 で、だ。
「羽根つきってアレでしょ……テニス的なヤツ」
 何の勝負かすら聞かずに手をあげてしまったコノハに、ジュジュはメボンゴを背中に括り付けながら頷く。
「うん。やったことないけどコノさんと組むなら絶対に負けない!」
『メボンゴもやりたいけど応援してるね!』
「うん、ダブルスだもんね」
「これが羽子板。持ち方は……こう」
 持ち方から教えてもらってる二人。姉の言葉にふんふん、とジュジュは聞いて、軽く素振りをしている。
「まあほら、どうとでもなるわよ、タブン」
 コノハもまた、羽子板の素振りをしながら言う。
「射撃は得意じゃないケド拾うのだったら全然イケそうだし、うさちゃん(メボンゴ)の応援があったら負ける気しないわネ。それに……」
 それに。言いかけてコノハは口を噤む。いざとなったらルールの隙ついたアレやコレも……なんて心の内が思わず漏れそうになって
「戦いなら一緒の経験いっぱいあるしコンビネーション抜群だもんね!」
 きらっきらの笑顔でそうジュジュに言い切られて、コノハは思わず押し黙った。
「ん? あれ、なんか違っちゃった……?」
「ううん。何でもないわヨ。戦いの経験、活かしましょうネ」
「うん!」
 嘘はついてない。そんな顔でコノハはそう言って、ジュジュは大いに頷いてから……、
「コートは……ないの? どこに打ってもいいのか……」
 なんて、途方に暮れた顔をしていた。

 最初こそ、羽を落としたジュジュだが……、
『初めてだからね。仕方ないね』
「ほら、静かにして」
「わ~。筆がくすぐったい〜」
 顔に大きく花丸柄を掻かれるジュジュ。それをコノハはぽけっと見つめる。
「ナンか平和ねぇ~」
「はら。そっちの兄ちゃんも顔だしな!」
 負けても顔に墨を塗られるだけ。はぁぃ。とコノハは答えて顔に猫のひげを描かれる。
「……ねえ、コノさん、私の顔どんな感じになってる?」
「え? う~ん、そうねぇ……楽しい事になってるケド、ショーの役には立たないカシラ……」
「本当? コノさんはかわいくなってるのに……!」
「そ、そうかしら。ジュジュちゃんもかわいいわヨ? 花柄だし」
 可愛いは可愛いとコノハは苦笑する。苦笑して……、
「ま、あんま書かれるのも癪だし……追い上げていきマショ」
「うん、コツは掴めた!」
 負けてばかりではいられない! コノハの言葉にジュジュもやる気充分、というように両手をあげた。

 それからは一方的な展開となった。
『妖怪さん達コノちゃに翻弄されてる〜』
「ふふふ、楽しいね!」
 とにかく拾ってフォローしまくるコノハと、ガンガン打ちまくるジュジュ。
 慣れると体も良く動くし、そうなると二人に敵はない。
「あは、そうね意外と楽しいかも……。ケド猟兵的にも負けはナシね!」
「もちろん! 勝ちにいくよ!」
「ひぃ~~」
 あとは圧勝である。数分後には、
「美味しい苺……いただきます!」
『いっけー! 大海原・苺大福打ち~!』
「うーん。苺大福、タルト、パフェもいいわねぇ~」
 そんな彼らの声が聞こえた、らしい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年02月28日


挿絵イラスト