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銀河帝国攻略戦㉗~我が赴くは孤高の宙(そら)よ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #オブリビオン・フォーミュラ #銀河皇帝

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 時は未来、所は宇宙。
 銀河帝国皇帝たる男が駆けつける部下達を前に口を開く。
「星々を統べる銀河帝国は我一人から始まった」
 遠き星々を見上げながら彼は悠然と語り始める。
 そして天を仰ぐように手を広げる。
「オブリビオン・フォーミュラとなり、この世界に蘇った時も我は一人であった」
 それは孤独かそれとも孤高の想いなのか……。
「銀河帝国が巨大になるにつれ、多くの配下が付き従うようになったが銀河帝国の本質は変わっていない」
 淡々と思い出話をするかのように彼は言葉を続けそして大いなる力と共に宣言を始める。
「我一人がいれば、それが銀河帝国なのだ」
 その瞬間増援として現れた全ての戦力が何も残さず消え去る。
 それは膨大なエネルギーとなり皇帝の中へと全てが、そう全てが吸収されていく。
 配下など無用、そう初めからこうすればよかったのだ。
 信用も信頼も忠誠も全ては虚構。
「我あっての帝国、いや……我こそが帝国なのだ」
 そう宣言した銀河帝国皇帝には驕りも油断ももはや無いのであった。

「やっとです……やっと我々の牙は帝国旗艦『インペリウム』にいる、銀河皇帝へと届けることができます」
 グリモア猟兵である村雨・ベルが興奮気味に語り始めた。
「ですが銀河皇帝は配下を全て吸収し一筋縄ではいかない相手となっています。まともに戦っても勝ち目はありません」
 真剣な面持ちで皆を見つめる目にはおちゃらけなど無くひたすら緊張が走っている。
「持てる力と振り絞る勇気、そして自分が出来る最良をお考えください」
 力押しだけでは勝てないとそこで断言する。
「銀河皇帝は帝国旗艦『インペリウム』内の全てを掌握しています、いつどこで襲い掛かられてもおかしくはないのです」
 そしてすぅっと一呼吸。
「帝国皇帝に先制攻撃を許してしまう……そうお考えください。その初撃を潜り抜けた者にしか先は無いと思っていただいてかまわないと思います」
 後方で待つしかないという想いと共に深々と頭を下げ、
「私に出来る事は皆さんの無事を祈り送り出すことだけになります。絶対に生きて帰ってきてくださいね。その……無理はしないように!」
 最後は泣きそうな笑顔で皆を送りだすのだった。


轟天
 銀河皇帝は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー』

POW   :    マインド・クリエイション
【銀河皇帝を不老としている生命維持機能】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【白騎士と同性能の人型兵器『マインド』】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    フォース・インベイジョン
【銀河最強のサイキックエナジー】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【意志とユーベルコードを奪う洗脳念波】で攻撃する。
WIZ   :    ワープドライブ・ペネトレーション
【外宇宙から、知られざる『黒き槍の船』】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。

イラスト:木野田永志

👑14
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テラ・ウィンディア
対先制
現在交戦しているそして交戦後の「白騎士」の情報を可能な限り集めその上で戦闘知識を駆使して動きと能力を把握
第六感と見切りを加えて確実に回避を敢行

貴様がリスアットか(けして皇帝と呼ばない

貴様は唯の個だ…そんなのは帝国とも皇帝とも言えない

「国」としての在り方を根底から間違えていたから貴様ら帝国は破れ
そして今もまた破れるんだ
子供のおれでも分かる理屈だ

属性
剣槍脚

空中戦で猛攻
戦闘知識と第六感と見切りを全て動員して動きを見据え串刺しで貫き回避試み

そして

貴様に天は似合わない
故に…大地に落ちろ
メテオブラスト(更に踏み付けを付与して更に強化

後は己が倒れるまで何度もメテオブラストと剣と槍を含めた猛攻を続け




「「「「銀河帝国万歳!! 皇帝陛下万歳!!」」」」
「「「「銀河帝国に勝利を!!」」」」
「「「「 我等がリスアット・スターゲイザー陛下に栄光と勝利を!!」」」」

 玉座の間、しいてはその帝国旗艦『インペリウム』艦内全てから響いていたであろう喝采の声。
 銃床が金属の床に軍靴の音と共にリズム良く響き渡っていた偉大なる銀河帝国を称える大合唱が一斉に……消えた。
 そう消えたのだ、残響音のみが微かに残るのみとなりそれでさえも数瞬の後には過去の物となる。
 そこには最初から何者さえが存在していなかったのかと思えるほどに綺麗さっぱり何も残っていない。
 後に残るは『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー唯一人。
 その威容は見るもの全てに威圧と神秘性、そして隷属を自然押し付けてくるものである。
 静寂に包まれたその空間は孤独に依るものか、それとも孤高の徒であるのかを決めるのは誰でもない。
 それはオブリビオン・フォーミュラと成り果てた彼にしか理解できぬ事なのだから。

「我は全にして個、個にして全。……我こそが銀河帝国そのものなのだ……」

 誰もいぬ孤高の玉座で静かに宣言をした銀河皇帝が何かを感じ取ったかのようにゆっくりと手を翳す。
 背負う生命維持装置の一部の形が崩れ、人型兵器『マインド』がその異形を現す。
 白騎士と同等の能力を持つマインドが何も無い空間へと幾本ものレーザーを一斉に発射した。
 はたしてそのレーザーが向かう先の空間がぐにゃりと歪みそこに姿を現したのは一番槍で飛び込んできた、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の小柄な姿であった。
 まるでそこに現れるのがわかっていたかのような幾本ものレーザーがテラに命中……する直前、愛用の星の力を宿す宝剣を盾にして身代わりにしながら常識では測れない刹那のタイミングで仰け反りつつ宙を舞い、さらにギリギリのタイミングで空中に飛ぶことでそのほとんどを避けきる事が出来ていた。
 それは本当に細い糸を手繰り寄せるような努力の積み重ねが紡いだ結果である。
 事前に白騎士の戦法を調べ把握、精鋭に相応しい戦闘知識に裏付けされた戦況把握、でっぱりの無いスレンダーなボディならば仰け反っても命中する面積が少し少ないという幸運。
 加えて敵の未来予測での不意打ちに対して五感を越えた感覚での見切りが幸運を引き寄せたのだ。
「貴様がリスアットかっ!」
 あえて銀河皇帝の名ではなく個としての名を叫ぶテラ。
 敬称すら付けれぬ蛮族よと侮蔑の表情で見返す銀河皇帝。
「礼節も知らぬ童とはいえ銀河帝国皇帝に対し不敬であるな」
 皇帝の念を受け人型兵器『マインド』の追撃の一撃がさらにテラへと襲い掛かる。
 変幻自在の剣筋を受けようとなどせず身体の赴くまま直感でどうにか避けるテラ。
「貴様は唯の個だ…そんなのは帝国とも皇帝とも言えない!」
 動きを先読みしてマインドへと繰り出した槍の一突きを脇で避けられ肘と膝とで受けられ次の瞬間、槍がボキリと音を立て折られてしまう。
「この世の真理を解せぬ童が帝国を、皇帝の何たるかを語るなど笑止」
『マインド』のカウンター攻撃たるレーザーが左右から襲い掛かるがこれをテラは空中に再び飛び上がり、『マインド』がこれを剣撃にて仕留めようと大地を蹴った。
 だがこれはテラの仕掛けた罠。
(「貴様に天は似合わない 故に…大地に落ちろ」)
 大きく振り上げた右足に超重力が収束しそして強力な踵落としが『マインド』の振り上げた剣ごとそれを押し戻し地面へと叩き付けた。

 その攻防を見届けた銀河皇帝がうっすらと笑いを浮かべながらゆっくりと歩き始めた。
「もはや童と語る口は持たぬ」
 その返答を許さぬ威圧感にテラは言い足りぬ言葉の続きを紡ぐ事は出来なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリューラ・センティファ
バイクに【騎乗】した状態で転移。
変形しコクピット内に張り付き外から狙われ難い態勢を取る。更にバリアを全開にして【盾受け】。
カウルと機体を盾にし我本体への被害を最小限に。機体を捨ててでも初撃を凌ぐ。
初手、機体から離脱し【質点操作】。これは「体積を持たない質量」を無数に発生させ電磁場で誘導し、集束して作った疑似ブラックホールを敵にぶつけて攻撃する能力。
白騎士と同じ能力なら攻撃はおそらくレーザー。重力場も電磁場も光を曲げる。この技を皇帝に放つ事は即ち射線上ではレーザーは直進出来ないという事。最悪直撃されなければ耐えてみせる。
白騎士が移動するなら我も双方を射線に入れられる位置へ移動。絶対に逃さない。




「招かねざる客来たれり……」
 フムンと鼻を鳴らし、懲りずに増援を送り込み続ける猟兵の出現を感知した銀河皇帝が新たな人型兵器『マインド』を作り出し次なる戦闘への準備を整え終わる。
 隙や容赦などというものとは無縁の淡々とした仕草で白騎士と同等の能力を持つ『マインド』に命ずるのはただ一つ。
 猟兵を始末すべし……と唯それだけである。

 そして事態は動き出す。
 静寂に近い静けさの玉座の間に甲高いエンジン音が突如響き渡る。
 歪んだ空間から突如現れ猛然と加速する黒塗りの前二輪型宇宙バイクが、内臓された超高回転型のユニットを全開でブン回すことで発せられる爆音を響かせ、その存在感を 否が応にも辺りに撒き散らしていた。
 一見、無人に見える黒塗りの宇宙バイク『ウェイバーⅡ』のコクピット内部に張り付くような形で操縦しているのはクリューラ・センティファ(Q・U・A・L・L・・f12129)、ブラックタールの身体を持つ黒き猟兵だ。

 初手で受け手に回るのならばこちらも最大限の防御と装甲を用意する、さらに運動エネルギーと質量を加える事で守勢から攻勢へと転じる。
 シンプルにして豪快なこのプランを実行するべく転送と同時に前面にパーティクルバリアの粒子を集中して展開する。
 密度を高める事で防御力を高める事が出来るがデメリットは他の角度からは防御が疎かになってしまう。
 だが今回は真っ向勝負の正面決戦、初手を凌げればいいと当初より覚悟を決めた特攻だ。

 その出現を未来予測してたであろうレーザーが次々と『マインド』より発せられそれは『ウェイバーⅡ』の進行方向に置き打ちの形の射線を取るためそれらは上手くバリアを盾にし突撃する宇宙バイクの耐久度をまるでテストするかの如く襲いかかってくる。
 すでに何発ものレーザーがバリアを貫通して『ウェイバーⅡ』の正面装甲を削り始めコクピットを守るカウルにも命中したその打撃はパーツを欠けさせ砕きそして穿ち、1秒とたたずとカウルが吹き飛びクリューラの身体が外気に晒された。
「GRRR………」
 機体を捨てる覚悟を端からしていたクリューラが唸りながら半身を起こしUC質点操作デマイクロブラックホールを真正面の空間に作り出すと、強力な電磁場が形成され襲い来るレーザーの軌道を次々と曲げてみせていた。
(「重力場も電磁場も光を曲げ射線上ではレーザーは直進出来ない……最悪直撃されなければ耐えてみせる」 
 
 だがそこまでは『マインド』の未来予測の範疇だったのかもしれない。
 力場に曲げられ弾かれるレーザーが、微妙に角度調整され跳弾的に何もない空間で捻じ曲がったレーザーが次々とバリアの無い手薄な『ウェイバーⅡ』の車体側面に大きな穴を穿ち車体各部から一気に炎が吹き上がる。
 前輪の片方を支えるフレームがその衝撃で折れ僅かに進路が反れてしまうと『マインド』と『ウェーバーⅡ』が衝突せずに紙一重ですれ違う。

 前輪が折れた事で前のめりに崩れた車体が床との摩擦で火花を上げながら炎の地走りを残しそして壁に激突すると『ウェイバーⅡ』がバラバラになり爆発炎上した。

 ……クリューラはそれに巻き込まれ死んでしまったのか?

 燃え上がる炎の中に黒い影が現れ、片足を引き摺るようにクリューラがその焦げかけた黒いボディに鞭打ち臨戦態勢を取ろうとする。
 
 だがレーザーなどの追撃はなぜか来なかった。
 ゆっくりとこちらに振り返る人型兵器『マインド』。
 その胴体はマイクロブラックホールに円形状に抉られ、まるで何も無くなってしまったかのように後方で悠然と構える銀河帝国皇帝の姿がよく見える。

 クリューラはそれを見届けると左手を突き出し親指を下向きに立てたまま前向きに崩れおちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイ・グランガイオス
二人称三人称:~さん コンビネーション内容はアドリブで

フォース・インベイジョン対策
「視界内の敵が対象」ちゅーことで、手持ちの武装を使ってどうにか【目潰し】できへんかな?
もし発動を邪魔するのが無理そうでも、来るのは事前にわかってるんやから
【覚悟】を決めて【気合い】で一矢報いるまで耐える!

洗脳念波に耐えながらギリギリまで近づいたら、プログラムド・ジェノサイド発動!
「ウチあんまこの技好きやないねんけど…今だけ任すわ!」
洗脳され切る前にプログラムに身を委ねて、自動化されたコンビネーション攻撃で皇帝に一矢報いるで!
もしこの技が奪われても、皇帝が下手に使ったらデカイ隙を晒すだけやしな!


スカル・ソロモン
なるほど、絶対に先制を取るとは面白い。
ではそれに応じ、乗り越えて見せようか!

フォース・インベイジョンの洗脳念波に対抗するには、意志を強く持つのが重要か。
私は真っ当なヒーローではないが、この『身体』と私は契約を交わしたのだ。
人々を恐怖に陥れるこの力を振るう代わりに、人々を救い、あまねく世界に光をもたらせと!
これでも義理堅い方でね。この世界とそこに住まう人々を救うためならば、銀河皇帝などに後れを取るものか!

それに個人的にも、私の上に君臨しているというのが気に食わない。
銀河皇帝何するものぞ! 魔王の力、このユーベルコードをくらうがいい!
「その一片まで消滅せよ銀河皇帝! ブラックホールスマッシュ!!」




 戦い方は千差万別それぞれに長所も短所も色々あるものだ。
 視界内の者を洗脳するという銀河皇帝の能力に対して戦うにしてもそれぞれのやり方がある。
「個にして全、全にして個」……を謳う銀河帝国皇帝にわざわざ単体で戦いを挑む必要などどこにもないのだ。
 たった一人に見えている銀河帝国皇帝の中には吸収された彼の部下達のエネルギーが大量に詰まっているのだから。 
 
 ここに2人の猟兵がいる。
 『殲滅機グランガイオス』の兄妹機として作られた砲撃支援機ノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)。
 そして魔王の仮面として造られたと自称する髑髏を模したヒーローマスク、スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)。
 そのどちらも数奇な運命で現在のボディを使っている歴戦の猟兵である。

 片やインストール事故によるとある少女の人格が詰まったウォーマシン。
 そしてもう片方はかつて己を倒しに来た変身ヒーローの肉体を奪い、使わざるをえなくなった髑髏仮面の魔王。

「なるほど、絶対に先制を取るとは面白い」
「えぇぇぇ、おもろいかこれ? ビビってまうで」
 銀河皇帝の能力に笑って見せるスカルとそれを露骨に嫌がっているノイ、双方が勝つための布石を限られた時間で考える。
「『視界内の敵が対象』ちゅーことで、手持ちの武装を使ってどうにか目潰しできへんかな?」
 などと装備一覧をチェックしながら思案するノイのとある装備に気付いたスカルがノイの巨体の肩をポンと叩く。
「ちょうどいい物があるじゃないか……では銀河皇帝とやらのそれに応じ、乗り越えて見せようか!」
 骸骨面がクックックックと悪い笑いを漏らしていた。
 
 変わった組み合わせとなったそのどちらも通常の猟兵達とは精神性が違うベクトルに働いた者達であり今回の対帝国皇帝戦に際し洗脳念波に立ち向かうと決めた者なのだ。
 その戦いは熾烈なものとなるだろう……そうわかっていながらも二人は戦場へと転送され出撃していったのである。


 瓦礫を突き破りながら轟音と共に玉座の間に突如として突入してきたノイの個人輸送艇グランブースターは到着するなり派手に爆散した。
 未来予知ですでに動きを読まれていたため多数のレーザーにて迎撃され無残なスクラップと化してしまったのだ。
 だがこれは最初の一手。
 銀河皇帝からの初手の発動は阻止不可能である、ならば来るのは事前にわかっているのだから輸送艇を破壊される覚悟を決めてそれを盾にすれば一矢報いれるんではないかというわけだ。
(ちなみにスカルにとっては自分の腹が痛まない策であるのが何とも痛快である)
 その爆発の中から飛び出す二つの影。
 グランアームLのビームシールドを展開しながら炎を押し退け間合いを詰めようとするノイ、そして両腕でマスクを守りながら煤けた身体で猛然とダッシュしようとするスカル。
 
 その二人に銀河最強のサイキックエナジーが強烈に襲いかかった。
 UC:フォース・インベイジョン……意思とユーベルコードを奪う洗脳念波、
その強烈な力の前に二人の動きが一気に緩慢なものへと変わっていく。
 戦う意思を強く持ち自分の原点を強く強く心に念じ続けるスカル。
(「私は真っ当なヒーローではないが、この『身体』と私は契約を交わしたのだ。人々を恐怖に陥れるこの力を振るう代わりに、人々を救い、あまねく世界に光をもたらせと!」)
 だがその想いも誓いもその全てが塗り替えられていく、書き換えられこのままでは全てを忘れ銀河帝国の下僕へと成り果ててしまう……。

「我が軍門に下れ雑兵共」
 銀河皇帝のゴミでも見るかのような目がこちらに向けられ、そして全てを見下した言の葉を放つ。
 
(「……これでも義理堅い方でね。この世界とそこに住まう人々を救うためならば、銀河皇帝などに後れを取るものか!」)
 最後の一線を越えさせまいと強く念じるスカルだったがもおうそれも限界寸前だった。
 だがその窮地を救ったのはノイのある意味力技だった。

「ウチあんまこの技好きやないねんけど…今だけ任すわ!」
 スカルと同じく洗脳念波により身体の自由を奪われかけていったノイだったが、一か八か『プログラムド・ジェノサイド』を発動したのがギリギリ幸を奏したのである。
 プログラムに身を委ねて、自動化されたコンビネーション攻撃を放つノイにはもはや洗脳も何も関係がない。
 予め決められたパターンを終えるまでその攻撃はやむ事がないのだ。
 こうして持てる銃器を次々と乱射しながら突入されては銀河皇帝といえどそちらを優先して対処しようとする。
 
「我には解せぬ蛮勇よな……」
 呆れたように銀河皇帝がそのユーベルコードを奪い、そしてそれをそのままノイへと叩き返し始めたのだ。
 ビームシールドを貫通し、ノイのグランジウム超合金のボディに銃創が刻まれていき後ろへと吹き飛ばされた。
 そして銀河皇帝の放つそれはプログラム通りの一連の動作を終えるまで止める事ができない。
 
(「皇帝が下手に使ったらデカイ隙を晒すだけやしな……後は頼むで骸骨の兄ちゃん……」)
 満身創痍のノイが崩れ落ちながら視線を膝をつきそうになりながらも必死に耐えているスカルへと送る。

 ノイへと『プログラムド・ジェノサイド』を発動してしまった銀河皇帝の洗脳念波が一時的にも弱まった事でスカルは辛うじて利き腕を前に突き出し残った力を振り絞り強く念じた。

(「私の上に君臨しているというのが気に食わない。銀河皇帝何するものぞ! 魔王の力……出血大サービスだ。こんなものを見られる機会はそうは無いぞ?」)

「その一片まで消滅せよ銀河皇帝! ブラックホールスマッシュ!!」
 
 スカルを中心に発生した巨大ブラックホールが猛威を奮いそれは未だプログラム通りのコンビネーションを続ける銀河皇帝へと確実にダメージを与えた事を薄れゆく意識の中確認したスカルは仁王立ちのまま限界を迎えたその意識を失った。

 これは2人だったからこそ一矢報いた戦いの記録である。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ウルフシャ・オーゲツ
さて、皇帝の生み出すマインドとやらは白騎士と同等ということ。つまりは未来も読むと言うことじゃろうかな?
ならばうちの未来は読めたか?
粉々に碎け散るうちの未来をな!
困惑するなら何より。
たとえ攻撃を受けても本体の致命傷だけをかわすことに専念。どうせ仮初めの体は砕け散る!
「さぁ受け止めて見せよ! それともなにか、マインドも皇帝も、うちの一撃をかわさねばならぬ貧弱かぁ!」
 仮初めの体を爆散させるそのさま、これは危ない。他の猟兵が見たらトラウマものかもしれぬ。
「ここに来るまでにうちがこの体に貯め続けた食事、全部ぶちまけて、吹き飛ばす。マインドよ! 皇帝よ! さぁ、銀河最強のその力をウチに見せてみよ!」




 時は未来、所は宇宙。
 光すら追い越すワープ航法が存在するスペースシップワールドにも歴史というものが多聞に存在する。
 『後世の歴史家』と呼ばれる人々が書き記すありとあらゆる歴史書の中には骨董無形なる内容のものが含まれているというのも周知の事実であるのだが。
 これは後年発見された偽書なのかそれとも当時を知るものが書き記した駄文なのかは、それはもはや当事者同士にしかわからない事柄なのかもしれない。
「現実とは時にして小説より奇なり」とはよく言ったものである。
 およそ信じがたい内容であろうとそこから紐解ける文の節々に当時何が起こっていたかを推察するに値する何かがあったことは間違いがないのだ。
 歴史的発見とは発想の転換こそが大事である。
 壷だと思っていた土器が実は上下逆さまであり、実際のところ儀礼用の鈍器の一種であったなど最たる例なのかもしれない。
 これは地球時間でいう所の2019.2にスペースシップワールドで勃発していた銀河帝国攻略戦における戦い(?)に記されていた1行の文章なのだ。。
 後年発見されたこの一冊の書(薄い本)にはこう記されていた。

『宇宙船世界にて銀河皇帝を自称せし者、賞味期限の過ぎた菓子を捨てたもう」

 この戦争中であるになぜわざわざ記されたのかわからない一行に、後年の歴史家のお歴々が頭を悩ます事になるのは未だ遠き未来の話なのである。



(「さて、皇帝の生み出すマインドとやらは白騎士と同等ということ。つまりは未来も読むと言うことじゃろうかな?」)
 ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)がとても真面目に敵能力を考察する。
 いいぞそれでこそグリモア猟兵でもある君に相応しい立ち振る舞いだ。

(「ならばうちの未来は読めたか? 粉々に碎け散るうちの未来をな!」)
 何言ってくれちゃってるの君???

(「困惑するなら何より。たとえ攻撃を受けても本体の致命傷だけをかわすことに専念。どうせ仮初めの体は砕け散る!」)
 それ普通死んでるっていうからな!? こんなもん採用したら誹謗中傷とかツッコミの嵐止まらないからな!?
 そんなどこかの運命の声をガン無視したウルフシャはノリノリで大声を出した。
 
「さぁ受け止めて見せよ! それともなにか、マインドも皇帝も、うちの一撃をかわ(さねばならぬ貧弱かぁ!)……ひばらぎひでぶっ!?」 

 玉座の間につくなりすっごくいい笑顔で豊かな胸を張り偉そうに笑ってる最中のウルフシャの肉体が、人型兵器『マインド』の未来予知するまでもないレーザーの集中砲火により見事なまでに破裂した。
 ……そう上半身が吹っ飛び跡形もなくなったのだ。
 これはいけない、とてもじゃないがゴールデンタイムのお茶の間では放送できないBPOやPTOが黙っていないぞ。
 というか耐性のない猟兵だとトラウマものだから今後は禁じ手な!

 そして吹き飛んだ物の中に『未開封で百年経過した中身が怖すぎるお菓子箱』が混じっていて、そしてそれは宙を舞い偶然にも銀河皇帝の手に収まる。
 フムンと胡散臭そうに銀河皇帝がそれに目を滑らせ菓子箱を軽く吟味する。
 何の変哲も無い箱の表紙をひっくり返し裏面を見たのだがはたしてそこに記されいたのは100年前の日付の賞味期限の刻印。

「くだらぬ……」
 銀河皇帝の足元の床に急に人一人分のサイズの穴が開き、そこへと菓子箱を投げ捨てた。
 そうして穴へとその菓子箱が姿を消す寸前、急にその菓子箱が言葉を発したのである。
「ちゃ……チャアんス! ここに来るまでにうちがこの体に貯め続けた食事、全部ぶちまけて、吹き飛ばす。マインドよ! 皇帝よ! さぁ、銀河最強のその力をウチに見せてみよ!」
 その瞬間、UC流星が如く(チェンジ・ステラドラグーン)が発動し『マインド』が間に割り込み防ごうとするがその惨事を止める事も出来ないまま……ウルフシャは出撃前に出前取って食べたチャーシューメン(税込み890円)を洗いざらいぶちまけた。

 轟く怒声……破壊される金属音。

 ダストシュートを降下していくウルフシャにはどうなったのかははっきりと視認も出来ないし声を聞く手段もなかった。
 やりきった……そんな充足感に満たされながらお菓子箱が船外へと放出されてしまい宇宙ゴミ(スペースデブリ)の仲間入りを果たす。


 ……ウルフシャは、こうして星になったのである。


(なお、直後に転送で無事回収されたことをここに付け加えておく)

失敗 🔴​🔴​🔴​

郁芽・瑞莉
転移する皇帝にステルス性を持つ黒き槍の船の召喚、
厄介この上ないですね…。

すぐさま、神霊体に変身。
ダッシュで緩急、残像や迷彩、フェイントを混ぜて攪乱。
回避が無理ならオーラ防御と武器受けで流し、
直撃は何としても避け各種耐性で動きを鈍らせません!

「これは八咫烏と同種技…ならば!」
黒き槍の船や皇帝の存在を失せ物探しでのコツと、
感覚の第六感を合わせて位置を特定したら。

カウンターで衝撃波を束ね属性攻撃、
破魔に全力魔法と威力を高めた物を誘導弾としてなぎ払い、
撃ち落します!
五感共有なはずなので、怯んだ隙を逃さず、
2回攻撃で発生させた2発目の衝撃波で本体たる皇帝も狙いますよ!
「今持てる全てを重ねた一撃ですよ!」


エムピースリー・シャローム
あぁ、あぁ、あぁ!!
なんと懐かしく、厭わしい!!

貴方は知ろうとせぬだけなのだ
異なる価値観を、異なる命を!

貴方のそれは、孤高ではない
思い通りにならぬことを認めぬただの癇癪なのだ!!

盾受けと時間稼ぎにより観察する時間を設けます

そして歌を、曲を奏でましょう
月へ連れて行ってという古い歌曲を

インペリウム内に響く歌曲はソナーです
反響から船の位置を突き止めましょう

位置を把握したならば船から攻撃を受けてもシールドをすぐ回せるようにし
皇帝へ突き進みヒートソードを振るいます

貴方のユーベルコードに二回目はありません(歴戦兵)

私は地上から月を想い歌う自由を求める
過ぎ去りし日々よ
未だ来たらぬ世界は現に在る者達が進むのだ


フィロメーラ・アステール
「よーし、全力でキメてやるか!」
攻撃がわかれば奇襲の効果は半減だ!

【失せ物探し】の洞察力と【第六感】の導きで攻撃を察知!
船は発見し難くても、召喚される際の空間に変化が起こるかもしれないぜ!
五感までしか共有できないなら六感目に付け入るスキがあるかもしれないしな!
後は【空中戦】【ジャンプ】の機動力と【残像】【ダッシュ】の加速力、そして【気合い】で回避!

初撃をかわせても追跡してきそうだが、もう遅い!
【星の遊び場】を発動!
【破魔】属性のブラックホールを呼び出すぞ!
聖なる重力【属性攻撃】の【全力魔法】はオブリビオンを吸い込む!
つまり皇帝! たぶん船も!
五感を共有して2倍になった潰されアタックをくらえー!


灯璃・ファルシュピーゲル
現地の他猟兵とは積極的に連携

民があって初めて国家はあるんです・・
自分以外を捨てた時点で、皇帝でも国でもありません
ただの過去から来たバケモノです

先制攻撃確認と同時にユーベルコードで黒霧を纏った狼達を召喚
「第六感・見切り・聞き耳」で敵側の放つ狼と皇帝の位置を確認し
相殺狙いで狼を吶喊させ迎撃しつつ、同時に黒霧を皇帝の目の前で
広げさせて煙幕代わりにして一時的に敵の視界妨害を狙います

自身は同時に射撃準備
「戦闘知識・スナイパー・2回攻撃・鎧無視攻撃・鎧砕き・暗視・情報収集・地形の利用」で装備の暗視装置のサーモグラフィを使用して煙幕越しの避けにくい精密狙撃を頭・足狙いで撃ち込み反撃
し確実なダメージを狙います


フォンミィ・ナカムラ
うぁ、すごいプレッシャー……
でも、負けてなんてられないもん!あたしはあたしに出来る最善を尽くすよ!

【オーラ防御】を身体に纏ってから【属性攻撃】で自分のまわりに炎を纏わせる
あたし自身は【火炎耐性】である程度耐えられるし、あたしに近付けば五感を共有してる槍の船を通じて皇帝にも熱が伝わるよね
それで怯ませることがまず第一の目的!

【全力魔法】の【エレメンタルファンタジア】で自分を中心に炎の竜巻を生成
そのまま自分を皇帝めがけて【吹き飛ばし】、体当たりするように皇帝に炎をぶつけるよ

「この炎は、この世界の人たちの勇気の灯だから……!」


アルテミス・カリスト
「ただ一人での帝国。
仕える騎士もいない、守るべき民もいない、そのような国に意味などあるのでしょうか。
正義の騎士アルテミスが、あなたの考えが正しいかを確かめてあげましょう!」

銀河皇帝に対峙して、大剣を構えます。

気を付けるべきは敵の先制攻撃。
それをしのいだとして、反撃に繋ぐことができるか……?
ならば、ここは騎士として、行動は一つですね!

「銀河皇帝!
あなたの意志、この私が全力をもって受け止めてみせます!」

【無敵城塞】で皇帝の攻撃を堪え忍びましょう。

そして攻撃を耐えたら身体を張って仲間をかばいます。
仲間の盾となることこそ騎士の本懐!

「一人で戦う銀河皇帝に、猟兵の絆の力を見せてあげます!」




 幾多の攻めに対して耐えた者がいた。
 己の特技を生かし戦い抜いた者もいた。
 やるだけやって星の塵になった者がいた。 

 そして今、玉座の間における攻防も転換期を迎える時がきた。
 個でありながら全の如き攻防を駆使する銀河皇帝に対し、猟兵側も持てる力を最大限活用するための戦い方を自然行うようになっていく。

 ……たった一人で戦う銀河皇帝へのアンチテーゼ。
 すなわち猟兵達が互いの力合わせ立ち向かうという事である!


 此度の突撃部隊の先陣を切ったのはアルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)だった。
 幾人かの猟兵の前にまるで自分が盾だというばかりに気合を入れる。
「銀河皇帝! あなたの意志、この私が全力をもって受け止め(てみせます!)…ってあばばばばばばばっ!?」
 大剣を構えたアルテミスに人型兵器『マインド』より放たれたレーザーが次々と命中し、黒き槍の船からも主砲や光子魚雷が撃ち込まれ瓦礫が辺りに巻き散らかされていく。
 これで『無敵城塞』の発動が間に合ってなかったとしたら今頃ミンチどころではなかったかもしれない。
 だが今回アルテミスには最大の幸運があった、敵がゴブリンでもスライムでも触手でもない銀河皇帝が相手なのだ……くっ殺騎士であろうとこれならば乗り切れる。
 信じたくないのだがこの娘これでも現時点の最強クラスの堅さだったりするのだ。

「くっ……想像以上の威力ですね」
「ぁ、あぁ、あぁ!!なんと激しい、開演のベルなのだろう!!」
 灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)とエムピースリー・シャローム(ウォーマシンのシンフォニア・f01012)がアルテミスに庇われた形でその後ろから無事な姿を見せる。
 灯璃はそう言いながらも黒霧を纏った狼達を召喚しそしてそれを放った。
 作り出された狼が銀河皇帝の前で一気に黒霧を広げさせ少しの間だがその視界を奪う事に成功する。

「ーーーーー♪」
 その霧で満たされた中、歌が曲がを奏でられ楽曲が空間を満たす。
 それは遠い遠い昔の『月へ連れて行って』という古い歌曲、エムピースリーが謳うそれは反射し玉座の間に響きわたる。

 その間隙を左右に回り込みながら突き進む者達もいる。
「巫覡なるこの身に神祇を宿し、禍を薙ぎ清めましょう!」 
 UC:巫覡載霊 薙ノ舞により神霊体にその身を変じた郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)が残像や迷彩などを駆使し、黒き槍の船よりの攻撃を可能な限り避けようとダッシュで間合いを詰めにかかる。
 いくらか回避できなかったものも纏ったオーラと神霊体による打撃の軽減で無傷とはいかないが耐えきる事ができた。
 そして気付く、この銀河皇帝の使う黒き槍の船の力の根底が自らの使う技との類似性に。
「これは八咫烏と同種技…ならば!」
 瑞莉の第六感が、そして空間に満ちた歌声の反響音の僅かな違いからもそれを感じ取った。

「よーし、全力でキメてやるか!」
 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)の小さな身体(わずかに22cmの!)を宙に舞わせその残像などを空中に残し反対サイドから回り込む。
 煙をかき乱し歌による反射音の変化……そして脳裏に囁く違和感それらが一致した所で身体が自然に急旋回をし不思議な軌道を取り飛び続ける。
 そのまま直進していれば通過した空間を黒き船の船体が通過したりと神がかった確立で初撃を耐え凌いだ。

 それとは真逆に一直線に正面へと突き進もうとする者もいる。
 全身に炎のオーラを纏い一心にそれを重厚なまでに集約しながら突き進むフォンミィ・ナカムラ(スーパー小学生・f04428)が恐怖に立ち向かいながら自分に活を入れる。
(「うぁ、すごいプレッシャー……でも、負けてなんてられないもん!あたしはあたしに出来る最善を尽くすよ!」)
 その身に黒き槍の船からの砲撃が幾つも命中し何度も意識が飛びそうになる。
 だが黒霧に覆われる直前に見た銀河皇帝の立ち位置からだいたいの方向を感じ取るとその魔力を振り絞ろうとその集中を高めていく……。

 黒き槍の船体が次々とあわられては消えそして別の角度から再度攻撃を始める。
 銀河皇帝の前に拡散された黒霧が薙ぎ払われ視界が戻りかけた瞬間、それを狙って待っていた者が行動を起こす。
 それはもちろん地面に寝そべり狙撃姿勢になりながら一瞬のチャンスを待っていた灯璃である。
(「民があって初めて国家はあるんです・・自分以外を捨てた時点で、皇帝でも国でもありません。ただの過去から来たバケモノです」)

 暗視装置の不鮮明な視界を第六感で補い煙幕越しに狙撃した第1射は銀河皇帝の頭を狙うがこれは読まれていたのか生命維持装置を盾にされ不発に終る、だが瞬時に角度修正した2射目が足へと直撃し確実にその役目を果たした。

 それを受けてか銀河皇帝との間を阻むかのように次々と黒き槍の船が出現するがここに全員の一斉の反撃が打ち込まれる事となる。
 炎を纏ったままのフォンミィがその船体にぶつかる寸前全力で練り上げた炎の竜巻が爆発的に広がるとその熱さも痛みもが船体を通じて銀河皇帝へと共有されていく。
「この炎は、この世界の人たちの勇気の灯だから……!」
 その瞬間、船体を巻き込んだ大爆発が起きた。

 それに負けじと舞う妖精娘の最高にラッキーな時間がここに始まる。
 回避をしながらもフィロメーラが丹念に練り上げた魔力を今解き放つ時が来たのだ。
 破魔の力を宿した聖なる重力を集約すると銀河皇帝のいるであろう方角へとその力の種を放出する。
 細かい狙いなど必要はない……なぜなら。
 豆粒ほどしかない大きさのブラックホールが急速に大きく膨れ上がると、銀河皇帝を守りに割り込んできていた黒き槍の船の船体を丸く抉り取っていた。
「あたしにまかせろーバリバリー♪」
 UC:星の遊び場(トリッキー・スター・ファンダム)のその命中を確認するとフィロメーラが心底楽しそうにダブルピースでニヒッといい笑顔を見せ付ける。

 黒き船のビームを大剣で弾きながら騎士アルテミスは叫ぶ。
「ただ一人での帝国。仕える騎士もいない、守るべき民もいない、そのような国に意味などあるのでしょうか!」
 大剣で飛んできたミサイルを弾きビームの軌道を変え後ろには攻撃を届かせない。
「正義の騎士アルテミスが、あなたの考えが正しいかを確かめてあげましょう!」
 アルテミスが己の信ずる騎士の誓いを発奮しいつも以上の働きを見せ後ろに続くエムピースリーには一切の打撃を通してはいなかったのである。

 アルテミスが守りに専念してくれていたおかげでエムピースリーは高らかに響き渡る声で銀河皇帝への言葉を紡ぐ事ができている。
「貴方は知ろうとせぬだけなのだ 異なる価値観を、異なる命を!」
 個であり全、全であり個というそんな銀河皇帝のありかたに異論を唱える。
「貴方のそれは、孤高ではない! 思い通りにならぬことを認めぬただの癇癪なのだ!!」
 ヒートソードを掲げ思いの丈を放ったエムピースリーに向けられた殺意、それはもしかすると銀河皇帝からの無言の返答だったのかもしれない。

 突如出現しようとする黒き槍の船、だがしかしそれはエムピースリーより放たれた正確な、そう『歴戦兵』でなければとても繰り出せない正確な一撃によりその出現を相殺されこちらの世界に出てくることができない。

 それらの黒き船が受けた打撃は全て五感共有をしている銀河皇帝へとフィードバックされてしまい、さすがにこれだけ一度に受けたダメージに銀河皇帝の守りに一瞬の隙が出来てしまっていた。

 床面から突き出てきた黒き槍の船体の甲板上に飛び乗ると瑞莉は神代の巫女の如き軽やかさでその甲板上を銀河皇帝に向けて掛け抜ける。
 ここまでの回避で避け切れなかった分、身を纏う衣装がボロボロに破れてしまっているが気にしている場合ではない。
 限界まで練り上げた破魔の力を2回分の内まず一発を全力で一点に誘導して道を塞ぐ装甲版を破壊すると、もう一発分残していた魔力もここで使い切るつもりで衝撃波を放とうとする。
 だが僅かに間に合わないかもしれない。
 
 その時銀河皇帝の瑞莉に伸ばした手に灯璃の放った弾丸が風穴を開け動きが止まる。
 無言で廃莢し次弾をリロードにかかる灯璃。

 その仲間が作ってくれたチャンスを無駄にする瑞莉ではない。
 6人の猟兵達全員の力が合わさっ放たれた衝撃波は銀河皇帝へと命中しそして……その無敵かと思われた玉体を壁へと叩きつけたのである。

 「今持てる皆さんの……全てを重ねた一撃です……よ!」
 限界を超え変身が解けた瑞莉がその場に崩れ落ちながら口走った言葉は銀河皇帝へと届いたのだろうか……?

 衝撃で崩れた柱の土煙で視界が無くなり玉座の間に轟音が響き渡るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

白石・明日香
教祖(ワルゼロム)や他の同行者とは密に連携を取る。
先制攻撃対策
可能なら真の姿を解放して少しでも地力の差を埋めながら行くとしよう。
現在交戦中の白騎士の情報を可能な限り入手してそれを活かす。
敵が放ったマインドの攻撃は入手した情報を活かして「残像」で回避、邪魔な奴は容赦なく「薙ぎ払い」皇帝の元へ!
【戦闘】
使用UC:血統覚醒
初めまして皇帝陛下。あんたが倒れるまで付き合ってもらうぜ!
血統覚醒して残像を残しながら少しでも攪乱して身にまとっているマントで攻撃をいなしながら接近!全力の一撃を皇帝に叩き込む!


ワルゼロム・ワルゼー
銀河皇帝…成程、大したプレッシャーよな
されど、我々とて最早退けぬ身
精々意地を張らせて貰おうか

真の姿への変化でポテンシャル強化を狙う
同行する白石・明日香ほか、他の参加メンバーとの連携を図る
互いに呼びかけ合い、隙を補うように行動

対先制:生まれながらの光で対応。同時に味方への回復支援
最前線に立って戦うだけが、戦闘ではあるまいよ

ワープドライブ・ペネトレーションに対しては、第六感で出現位置を予想し、残像で回避
回避が間に合わない場合、オーラ防御&激痛耐性の総動員で耐え抜く
カウンター気味に呪詛を込めた闇属性攻撃の魔弾で皇帝を狙撃
これが手傷にもなれば幸いだがな
可能なら原罪のフラクタルによる直接攻撃も狙う!


キリエ・ニール
チーム【惑星】で参戦
お初に失礼皇帝陛下
この一刀にてご挨拶、
行くぞ必殺衝撃剣!

僕はドーム状の衝撃波を放ち、ソナー探知よろしく周囲一面を探る。
僕とユナの第六感であれば。 知られざる船について学習してきた僕であれば。
意識を向けられているならば、その意識を察知することができるはず…! 発見次第、捨て身の衝撃波を零距離で放ち衝撃で動きを妨害。
その間にコードで召喚した戦士に船へ接近させ、炎槍で刺突、船を焼く。
五感を共有するならば火の熱さを感じるだろう…?
その間に僕が突撃
数打から召喚した短刀をもっての、強固な皮膚も鎧も貫く刺突。
そして、刺突で突き刺した刃から放つ二回攻撃…衝撃波。
これが僕の必殺、衝撃剣!


ユナ・アンダーソン
チーム【惑星】と行動
銀河帝国皇帝……悲しい人ね
行こうキリエ
止めてあげなきゃ
礼儀作法2で挨拶しつつ
第六感7、激痛耐性8、武器受け3、気合い1、覚悟1を用いて黒き槍の船の一撃をいなし防ぐ
キリエほど感は鋭くないけど攻撃方法はわかってる
直撃さえしなければ!
かばう5、おびき寄せ5で攻撃を引き受けキリエをかばいつつ
防御に専念してキリエのチャンスを作る
キリエはやらせない!
傷ついたキリエを優しさ12、手をつなぐ12、祈り9、激痛耐性8、鼓舞15、覚悟1を用いて傷奪う星痕を使用
あなたの傷を私にちょうだい?
叶うならコミュ力13、優しさ12、手をつなぐ12、祈り9で最後を看取る
最期まで独りぼっちなんて悲しいじゃない


スカル・ソロモン
意識を取り戻した後、自分や他の猟兵達と皇帝の戦闘から皇帝との戦い方を【学習力】で学び取り、自身の【戦闘知識】と組み合わせて昇華する。

皇帝の先制攻撃は昇華した戦闘知識に加えて【第六感、オーラ防御、ジャンプ】と各種【耐性】で回避及び防御して耐える。

攻撃を耐えた後は【武器改造】でタクティカル・スパインを魔力を噴き出して飛ぶミサイルに改造し、【捨て身の一撃、勇気、覚悟、気合い、鎧砕き、怪力、範囲攻撃、属性攻撃、串刺し、槍投げ、吹き飛ばし】を使って皇帝へと射出、爆破する。

だがこれは本命じゃない。
かすり傷でもいい、その【攻撃】が当たりさえすれば、スカル・ブランディングを発動して死の宿命を皇帝に刻み込む!!


大神・零児
召喚した狼型の炎(ゴーストウルフ)は半分を防御と感知用に自分の周りに
半分は攻撃に

防御兼感知用の炎と「第六感」「野生の感」も併用して『黒き槍の船』の軌道を「見切り」、「武器受け」と「オーラ防御」で防御か「ダッシュ」による「残像」と「フェイント」で回避

回避、防御が間に合わないならばとっさに「カウンター」ぎみに妖刀「魂喰」で「念動力」をのせた「なぎ払い」で「衝撃波」を放射状に放ち『黒き槍の船』を打ち消す

攻撃側は全て「ダッシュ」させて立体的に動かし「残像」を発生させ撹乱、それによる「フェイント」と「だまし討ち」により、死角から回り込ませた炎で「衝撃波」を発生させながら「2回攻撃」

(アドリブ&共闘歓迎)




 長きに渡る銀河皇帝との戦いは、分水嶺を越え一気に猟兵側へとその流れを進めていた。
 どこまでも無敵であると思われた銀河皇帝であっても猟兵達の連携の前にその優位性を失いつつある。
 1対1の戦いのままであれば確かに一人一人が戦うには格上の存在であるのだが個々が己のパフォーマンスを発揮しつくした猟兵達が相手では徐々に損耗が増していくことを感じとらずにはいられない。
 援軍として注がれていたエネルギーが枯渇し始めたのも計算外の事だったかもしれない。
 別の戦場で次々と撃破されていく他艦隊の影響がもうここにも現れ始めているのだ。


「銀河皇帝…成程、大したプレッシャーよな!」
 相手が銀河皇帝であろうとその態度は傲岸にして不遜、ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)が外典マリス・ウィザードをその手に見得を切る。
「されど、我々とて最早退けぬ身……精々意地を張らせて貰おうか」
 教団「システィ・マリス」の教祖たる彼女の姿が真の姿へと覚醒を放たしていく。
 神気を纏い己を限界まで高めていくワルゼロムは次々と現れる黒き槍の船を前にしても教祖としての悠然とした態度を崩す事は無かった。

「明日香殿!」
「応っ!」
 ワルゼロムの脇から飛び出た白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)がそれを一閃、薙ぎ払いそれの軌道を変えようとする。
 その一撃に反対側から飛び出し同じタイミングで合わせるよう妖刀「魂喰」で薙ぎ払うのは大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)だった。
 互いに初見ではあるが流派も何もかも違う二人であるが、剣を極めんとすると同じ結論へと至る……つまりはそういうことなのだろう。
 片や荒々しく、片や綿密に、薙ぎ払われた黒き船が消滅しそれが猟兵達に届く事はなかった。
 特に明日香は己の信奉する教祖たるワルゼロムには一指も触れさせぬ、そのような覚悟を見せつけすでに真紅の瞳が覚醒し力を発現させていた。
 銀河帝国皇帝を相手どるこの二人に油断などない。

 零児にとってみても息の合う連携を見せる二人と肩を並べるのに何の支障もありはしない。
 すでに周囲に展開を終えていた狼型の炎(ゴーストウルフ)が次なる襲来を感知するとそれも一閃し消し飛ばす。
 少々の傷もワルゼロムから発する聖なる光がそれを癒し継戦能力には何の問題もない。
 これが一人で戦う事を選んだ銀河皇帝と猟兵達との大きな差であった。

 その零児(の操る召喚した狼型の炎)と同じく周囲に衝撃波を放ちソナーのように敵の襲来を感知している者もいる。
 古代の戦士を引き連れたキリエ・ニール(勘頼りの放浪者・f00824)そしてユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)の2人によるコンビだ。
 互いに支えあいそしてここに来るまでに敵について可能な限りの学習をしてきた二人にとって黒き船の出現予兆はもはや勘だけに頼らずとも理解し対処できるレベルとなっている。
 数多くの猟兵達の戦い方がここにもフィードバックされ動きが洗練されていく。
 これもまた個で戦おうとする銀河皇帝では出来ない強みの一つだろう。
 足りない部分を補い合いそして伸ばすべき部分は伸ばす。

「はっ!」
 キリエの放った衝撃波が出現したばかりの黒き船の動きを一瞬止め、そこに古代戦士の炎槍が突き立てられその船体を焼きながら玉座の間の壁へとそれを叩きつける。
 その船体に与えた打撃は全て銀河皇帝に伝わっているのだろう、未だ砂煙収まらぬ玉座の間に苦悶の声が響く。

 ここまでの攻防を猟兵達が全て無傷で行ったとでもお思いだろうか?
 そんな事は無い、キリエも古代戦士もギリギリの攻防を覚悟を持って臨んでいるだけであって決して無傷で戦い抜けているわけではない。
 受ける打撃をユナが守りを固めつつもかばいそして星の光を持って癒していたからこその安定感なのだ。
 別々に参戦した双方のチームに癒し手がいることのによる継戦能力の高さは今回集結したメンバーにとって大きなプラス要因である事は間違いない。

 その癒しは銀河皇帝との戦いを未だ続けているこの男にも届く事となった。
 他のメンバーがここに到着する前から戦い続け、そして弁慶よろしく立ちながら絶命しかけていた髑髏を模したヒーローマスク。
 そう我等が魔王()スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)の意識が暗い闇の底から起き上がってくる。

 ワルゼロムの生まれながらの光、そしてユナの傷奪う星痕、この二つの癒しが偶然にもこの戦場に存在しそして顕現した事で瀕死の状態からここに戦線復帰するまでにはどうにか回復することが出来たのだ。
 魔王であるその身でありながら生まれて初めて神に祈ってもいいぐらいかもしれない。
(もちろん祈らないが……)
 スカルのその驚くべき頭脳がフル回転し、目にした周りの猟兵達そして倒すべき皇帝の戦い方を驚くべき速度で学習。
それらを自らの戦闘知識として噛み砕き身に纏いそしてそれが今新たな力として昇華させると右腕を突き上げた。

(「祝え、全猟兵の力を受け継ぎ(中略)その名も魔王スカル・ソロモン!まさに蘇生の瞬間である!」)

 どこかで微妙に間の抜けた魔王復活を賛美する声が聞こえた気もするがきっと走馬灯のようなものだろう気にしてはいけない。
 人型兵器『マインド』が迫り斬りかかるがそれを纏うオーラでいなしながらジャンプで避けるスカルの動きは先ほどまでとはまるで別人。
 着地と共に自己進化を遂げたスカルは愛杖タクティカル・スパインを構えるのだった。 
 今ここに銀河皇帝と運命を決する最後のメンバーが揃ったのある。


「幾星霜を経て尚、我に逆らう愚か者共め……」
 瓦礫を吹き飛ばしその奥から悠然と歩き出す銀河皇帝の姿はダメージを負ってはいるものの未だ健在である。
 とはいえ万全の力を誇った開戦当初と違い力の供給が減りつつある身では後何度あちらこちらの戦いを続ける事が出来ようか。
 だがそれでもその至高の身に流れる矜持は片膝すらも地につけてはいない。
 この宇宙を統べる銀河皇帝がそのような醜態を晒すわけにはいかないのだ。
 だがこの者達は何なのだ。
 次々と際限なく湧く雑兵共の群れ群れ群れ。
 倒せど倒せどキリが無く解放軍を前に壮観を誇った帝国艦隊が帝国旗艦『インペリウム』の他の宙域で次々と撃破されていっていることはわかっている。
 ありえるのだろうか?
 帝国より逃げ惑う事しか出来ぬひ弱な人類にここまでの事が出来ようなどとは……。
 そしてこの短期間に銀河皇帝たる我の攻撃に順応できる者が急速に増えているという事実。
 
 だが銀河皇帝たる者がこの玉座から動く事等許される事ではない。
 帝国の威信にかけここで全てを終らせる……とでもいうのだろうか

『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーは玉座の前まで歩みを進めると、その両の掌に纏った悪しきオーラを掲げながら猟兵達の前から一歩も退こうとはしなかった。

「来るがよい愚物共、我が帝国の威光の前に塵芥に還るがよい」」
 

 幾多の攻防が続き黒き船も人型兵器『マインド』もその出現数が徐々に減らされていく。
 全員にも疲労の色が見え初めているが回復手が2人もいるこの場においては他の戦線に比べればかなり余裕があるほうだ。
 逆に次々と戦いを続けてきた銀河皇帝にこそ損耗が目立つようになってきている。
 その均衡を破ったのは猟兵側からだったのである。

 先陣を切ったのは大きく吼えながら駆け出した零児だった。
 ダッシュからの跳躍で発生した残像に黒き船からの攻撃が集中、そこで生じた一瞬の隙を見逃さず一気に皇帝の間合いの中へと飛び込む。 
「てめぇ、喰らいやがれ! ……てなっ?」
 だがそのまま斬ると見せかけたタイミングで剣の軌道を力任せに無理やり変え残像を残し間合いを外したのだ。
「何!?」
 直情型に見えた零児の勢いに騙された皇帝の拳が空を切り、そのタイミングでセンサーとして使わずここまで慎重に迂回させていた魔炎幽狼(フェンリル・ゴーストウルフ)が死角より襲い掛かる。
 そこから発する衝撃波は皇帝の震脚で相殺されてしまったのだが、これによって皇帝はその場から動けないタイミングが生まれたのである。

「お初に失礼皇帝陛下、この一刀にてご挨拶……っ」
 途中邪魔する黒き船を古代戦士に押し付け猛然と間合いに飛び込むキリエ。
 数打という専用ケースから何本も召喚した短刀を持ちキリエが零児が作り出した隙を無駄にはしない。
 類稀なる戦闘経験とそして鎧の弱点を知り尽くしたその刺突は皇帝の硬き防御を突き破りその肉体へと刃を通した。
 だがそれもまたキリエにとっては前段階……なぜなら。
「これが僕の必殺、衝撃剣だ喰らえ!!」
 貫通した鎧の内側で衝撃波がズンと音を鈍い立てそしてそれがさらにもう一度メキッと嫌な音を鳴らした所で、皇帝の放つ裏拳に腹を叩かれキリエが吹き飛ばされた。  
「玉体に傷付けるとはこの痴れ者めが!」
「ぐあっ……」
 メキメキッとこれもまた重い音を立てながら転がったキリエを駆け寄ったユナが抱き起こし手を繋ぐと。
「あなたの傷を私にちょうだい?」
 と優しく声をかけながら『傷奪う星痕』で致命傷になりえたかもしれない傷を癒していく。
 
 そのような回復の時間を与えぬつもりだった銀河皇帝も、背後の虚空より伸びた闇の刃に背を貫かれてしまえばそれどころではない。

「衆生済度、寂滅為楽。我が慈悲と憐憫をその身に刻んでくれようぞ!」
 ここまでの戦いの流れで正面から闇の魔弾を放つ程度の回復手にしか見えなかったワルゼロムがその掌を皇帝に翳しここまで温存してきたUC『原罪のフラクタル(フラクタル・セイヴァー)』を撃ち込んだのだ。
 噴出す出血そして漏れ出した大量のエネルギー、皇帝の中に吸収された力が傷を癒すべく外へと漏れ出してきているのだ。

 ここで攻めきらねばジリ貧になる、完全に不意を衝かれた皇帝に対しさらに吶喊するのは明日香である。
 己が教祖が作り出したこの好機、身を捧げずして何の信徒であろうか。
 そのような想いが覚悟を決めさせたのかもしれない。
 残像を残し途中邪魔をする『マインド』をかわしながら身に纏うコートを一気に脱ぎ去り駆け寄ろうとする。

「私も加勢しよう!」
 これまで背骨を模した杖である『タクティカル・スパイン』で『マインド』をいなし続けていたスカルだったがここに来て杖に込めた魔力を解放する決断をする。
 槍投げのように大きく構えるとそれを銀河皇帝へと放ったのである。
 防御を捨て魔力の限りをこめて発射されたそれはまるでミサイルのように魔力を噴出して飛んでゆき闇の刃で貫かれ動けない銀河皇帝の胸に見事命中した。
 それは鎧を貫通しながら爆発しその視界を塞ぐ。
 間合いを詰める明日香は爆風をコートを盾に防ぎつつ、さらに刃で薙ぎ払い等々その必殺の間合いに飛び込む事が出来た。
 コートを投げ捨て剣と刀を振り上げると、両腕の筋肉が肥大化し全力を持ってそれを同時に振り下ろした。
「初めまして皇帝陛下。あんたが倒れるまで付き合ってもらうぜ!」
「くっ……」
 銀河皇帝が闇のオーラを纏った両手の掌でそれら二刀を受け止め、互いの一歩も譲らぬ押し合いが始まる。
 切りかかる明日香、受ける皇帝……僅かに押し返される刃。

「おいおい俺を忘れんなや?」
 自らの脇腹に刺さる妖刀「魂喰」を目にし皇帝が視線を横にずらすと零児が肩で息をしながらざまぁ見ろという仕草で指を立てニヤリと笑う。

「これはオレも形振り構ってられないな……ぐぁぁぁぁぁっ!!!」
 明日香の瞳の輝きが一段と増し、そして真の姿へと至る寸前まで高まった気が溢れ出す。
 全身の筋肉が極限まで肥大化し着衣が破れるのと同時に皇帝の掌のオーラを易々と貫通しその両の腕をなます斬りにしてしまう。
 気を使い過ぎ倒れかける明日香に背後からワルゼロムが駆け寄ってくるのが視界に入った。
「さすが明日香殿、見事な一刀である!」
 自らの教祖からの賛辞に明日香はニヤリと微笑み返し答えた。

「ぐあああああああ……っ」
 両腕が使い物にならなくなりよろけて数歩後ずさる皇帝が更なる反撃を試みようとした時
 意外な方向から声が飛ぶ。

「さあ、エンディングの時間だ」
 ポーズを決め人差し指で皇帝を指す骸骨面の魔王(ヒーロー)スカルである。
 指を中心に巨大な刻印のような物が現れると、それは狙いを外さず撃ちだされ先ほど杖が命中した胸に命中。
 銀河皇帝に『死の宿命を与える刻印』を植えつけたのだ。
 
 そしてスカルはそのまま大ジャンプ、大きな軌道を描き飛び蹴りを放つ。

 それはまるでスローモーションのようだった。
 ワルゼルムとユナの癒しの光が満ちる中、零児と明日香が回転しながら銀河皇帝を前後より横薙ぎに切り裂き……
 そこへ死の刻印が植えつけられた心臓の上へとスカルのキックが命中すると満身創痍の銀河皇帝の身体はよろめきながらその玉座へと運ばれそして座り込んでしまった。
 そしてそれはこの激戦の終わりを意味する光景となったのである。
 

 もはや立ち上がる事の無い孤独な玉座に座り永遠の眠りにつく銀河皇帝。
 その玉座に全員への応急処置を終え近づいたユナが銀河皇帝のもはや動かぬ手を取り祈りを捧げる。
「最期まで独りぼっちなんて悲しいじゃない」
 そのユナの言葉が今ここに立つ猟兵達と、孤高にして孤独な道を選んだ皇帝の差なのかもしれない。

 銀河帝国攻略戦ももはや終盤を迎えている。
 そんな激戦を尻目に、銀河の星々はただ静かに瞬き続けているのだった。

 銀河の歴史にまた一つ戦いの記録が刻まれたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月24日


挿絵イラスト