禁軍猟書家決戦~蝦夷暗殺者軍団殲滅戦
「よし、みんな集まったわね。まずはみんな一度踏みとどまってここに来てくれたことに感謝するわ」
マリア・ルート(紅の姫・f15057)はそう切り出す。
――自転車のような痕跡を辿った先に、精神を強く集中した時にだけ見える、直径5m程の「超空間の渦」を発見した。おそらくハビタント・フォーミュラはその先にいる……その報が届いた時、皆我先にと向かおうとしたであろう。後はグリモア猟兵や組織のGOさえ出れば、というように。
――だが。
出たのはGOではなく、STOPだった。
禁軍猟書家――本来書架の王である「ブックドミネーター」を守護する為に編成された、精鋭の近衛兵達。
それらが逆に迎撃するように待ち構えている。その予知が出たのだ。
「……でも、私は敢えて、ここでGOを出そうと思う。組織もその方針よ」
というのも、ここで精鋭と思しき禁軍猟書家を駆逐できれば猟書家勢力の壊滅の可能性が現れるかもしれない。
年単位で続く長き猟書家との戦いにピリオドを打つ、嚆矢となるやもしれないのだ。
「というわけで、あんたらには……行ってもらうわ、禁軍猟書家戦」
とはいえ、渦の向こう側に何が待っているかは、全く掴めない。
どんな奴が待っているのかもわからない、そんな危険極まりない依頼。
「……ただ、私達があの超空間の渦でそこへと行けるなら、もしかしたら別の世界からもああいうのを使えば行けるのかもしれない。なら、『助けを呼んでみる』のも――ありかもしれないわね」
どうしても困った時には、だろうけど、と付け足しつつ。
「頼んだわよ……敵はとても強いだろうけど、私は信じてるからね」
●
――超空間の渦で飛ばされた先は、とても寒い大地だった。
ここはどこか。サムライエンパイアなことは確かなようだが、手掛かりが少ない。
……ふと、猟兵の一部は気づくだろう。一度見慣れた大地、あるいは報告書でのみ聞いた大地、そう。
『馬鹿な、なぜこの蝦夷地がばれた!?』
――蝦夷地だ。何やら女の忍者のような姿をした存在が猟兵を見て驚く。
『人も殆ど住まないこの地ならやれると思ったのに……くそっ!』
女忍者は逃げ出した。猟兵たちがそれを追いかければ、何やらアジトのようなものが見える。
猟兵たちは一度立ち止まり、様子を伺った。
程なくしてアジトから無言で迎撃の忍者たちが出てきた辺り、ここは相当な重要拠点だと。
そしてあの女忍者は特別な存在だとみて間違いなかった――。
結衣謙太郎
まさかの大当たりでした。
結衣(決戦モード)です。
禁軍猟書家の討滅戦!
以下詳細。
●メイン目標
禁軍猟書家『望月・千代』を討滅せよ!
●構成
現在皆さんは『サムライエンパイア』の北の果て、「蝦夷地」と呼ばれる寒冷な大地にあるアジトに女忍者――『望月・千代』を追った結果たどり着いた状況です。
忍者たちが出てきてますが警戒を強めただけでまだこちらに気づいてはいないので、奇襲ができます!
一気に制圧してしまいましょう!
サムライエンパイアの蝦夷地測量をある程度猟兵がしたおかげで地の利も後れを取ることはありません!
1章は忍者たち、2章は『望月・千代』との戦いとなります。いずれもロケーションはこのアジトで同じです。
●備考
第1章プレイングはオープニング公開と同時に受付開始します。
ただし全採用できない可能性はあります。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
また、このシナリオは禁軍猟書家決戦依頼です。
判定がいつもより格段に辛くなります。ご注意ください。
それでは皆さんのプレイングをお待ちしております。
●助けを求める
特定の言葉でないと、助けは訪れず、奇跡は起きないだろう。
『これを見ている貴方』は、その言葉を恐らく知っているはずだ――。
第1章 集団戦
『妖魔忍者』
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POW : 忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜刀神・鏡介
サムライエンパイアの蝦夷地か……何度か調査に来た事はあったが、まさか猟書家とはね
更に調査が進んでいれば、何か変わることでもあったのか……ま、そこは今更か
今はここを攻略するとしよう
利剣を抜いて、捌の型【水鏡:流】の構えで敵と相対
まずは囲まれない事を優先
刀と忍者刀ではこちらの得物の方が僅かに射程が長い。その差を活かして、相手が完全には力を発揮できない、微妙な距離を保つように牽制
尤も、このままでは俺からも攻めづらいので、ごくさり気なく隙を作り、敵がそこを狙うように誘導する
相手がどこをどのように狙うか分かっていれば、どれだけ高速の一撃を振るおうと関係ない
技が出るより早く、更に先を取って斬り伏せる
「サムライエンパイアの蝦夷地か……」
出てきて警戒を強める忍者たちを横目に見ながら夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は呟く。
「何度か調査に来た事はあったが、まさか猟書家とはね」
猟兵達は何かがあるのかもしれないとの考えだけで蝦夷地を調査していた。結局、織田信長のような新たなオブリビオン勢力こそいなかったものの、答えは猟書家というものだった。もう少し調査が進んでいれば変化があったのかもとも思うが、今更なことだ。
鏡介は利剣を抜き、忍者たちの前に立つ。それでも忍者たちは無言のままだ。連携しようというような声すらない。それどころかまるで言葉もなく意思疎通しているかのように集団で鏡介に目を向けた。恐らく余計なことを言わないよう訓練された忍者なのだろう、無言で忍者たちは鏡介の前に立ちはだかってくる。
この状況下で一番厄介なのは包囲されること。多勢無勢なうえに包囲戦をされたらいかに強い者でも疲弊せざるを得ない。そして刀と忍者刀では刀の方が僅かに射程が長い。それをわかっていたからこそ、鏡介は忍者たちとジワリと距離をとっていた。近くもなく遠くもない、微妙な間合い。相手も十全に力を発揮しにくいが己も力を出せない間合い。刀の先が微妙に触れる程度の距離。その間合いの中で一つ敢えて隙を作れば――あるいは相手が暗殺の訓練をされた忍者だからなのか防衛隊だからなのか――忍者たちが鏡介に一気呵成に攻めかかるは必然。
だが、これこそが鏡介の作戦。
流れる水にして、鏡の如く――捌の型【水鏡:流】。相手の動きをあえて誘い、先の、先々の、更にその先……何手もの先を読む型。あまり先々まで考えてしまうとバタフライエフェクトとかが怖いのだが、相手が襲いかかるその先程度ならば問題はない。一手先を読むのは戦法の基本だ。そこにさらに一手……即ち、相手がどこをどう狙うか。己はこの隙を与えた、与えてしまった、そこから相手はどう狙うか。それを見極めてしまえば、あとは技術力のみの問題だ。
「見えている」
戦争など数多くの戦いで歴戦の強者たる鏡介に技術力を問うのは愚問だ。
狙っていた箇所に迫る忍者たち、間合いが近づいたその瞬間に、鏡介の刀がカウンターで斬り伏せる。
「もう少し訓練の必要があるな。お前らも、俺も」
俺も、と付け加えたのはある種の追撃だろうか。赤い線を引いて倒れていく忍者たち、その戦闘音に増援の忍者たちが次々と現れだした。
大成功
🔵🔵🔵
鈴乃宮・影華
蝦夷地…北海道…でっかいどう…!
以前シルバーレイン世界で訪れた時は観光なんて空気じゃありませんでしたが(※【伯爵戦争】)
異世界とはいえ今回は……無理か、無理ですねそうですね
ちょっと寒いので『フォルティストラ』を着用
相手は忍者(ニンジャではない)近づかれると危険
先手が取れた今の内に遠くから始末したいところ
先程目撃した女忍者、彼女は多分禁軍猟書家本人かその関係者でしょう
という事は今アジトから出てきている彼等は、猟兵接近の報を受け警戒している
つまり、大なり小なり猟兵に敵意を持って行動中――なら、指定UCの攻撃対象として選択できますね
アジトへ向かうのは一通り雨を降らせ終わってからにしましょう
「蝦夷地……北海道……でっかいどう……!」
ぽえー、とした顔で意味不明なことを言った鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は相手が無反応なのを見るや咳払い。
(先程目撃した女忍者、彼女は多分禁軍猟書家本人かその関係者でしょう……という事は今アジトから出てきている彼等は、猟兵接近の報を受け警戒している。つまり、大なり小なり猟兵に敵意を持って行動中――)
カードを構え、イグニッション、と小声で唱えれば影華は一瞬で変身、と思えば気密装甲服まで現れその中にinする影華。黒燐大具足(極限環境対応型)『フォルティストラ』――寒いから着ていく作戦のようだが些かオーバースペックの気もする、だが大は小を兼ねるだろう、この場合には。
「相手は忍者であってニンジャではなかったのはまだ幸いですね。ニンジャはマズいので。一瞬でアバーッされちゃいます」
……果たして目の前のが忍者かニンジャかはさておいて。
「それでも近づかれると危険なのは変わりなし……先手が取れた今の内に遠くから始末したいところ」
実際忍者たちが迫る前に行動するのは有効だ。相手が近接攻撃で来るならそれが届かない遠くから遠距離攻撃するのは正攻法だろう。予知などで相手の攻撃方法が割れている場合有効な手段だ。忍者刀を使った相手の攻撃は30cm以内の対象にしか使えない、ならそこから遠くをキープすればいい。
「彼の力を以て世界に降り頻る――そして、篠突く雨がアナタを刺す」
そして降り注ぐは黒燐蟲の塊。無差別攻撃ではあるが、自身は黒燐蟲を使う者、そして装甲を着ているため問題なし。なんなら包囲戦とかをしかけようと作戦行動している忍者たちすら巻き添えにするので無差別攻撃をここでするというのは一定の効果があったりする。
「アジトへの道は……まだ開けなさそうですね」
それでも続々出てくる忍者たちを見て嘆息した影華。
(蝦夷地……以前シルバーレイン世界で訪れた時は観光なんて空気じゃありませんでしたが……)
――さぁ、心せよ! そしてしかと刮目し、見届けよ!
何が正しいか、何を為すべきか、全ては己の心ひとつだ。
この時この戦いこそが、未来の有様を定める≪善悪の彼岸≫なり!
真実を見極めよ、若き者達よ!
(異世界とはいえ今回は……無理か、無理ですねそうですね)
がっかりした感じの影華。とはいえ、規模で言えばあちらの方がはるかに上なのかもしれないが。
(仕方ありません、頑張りますか。何処かの誰かが、『普通』のままでいられるように)
降り注ぐ黒き雨と次々に湧く黒き忍者の中、少女は一つ決意を固めていた。
大成功
🔵🔵🔵
酒井森・興和
蝦夷地、と言ってたねえ
僕らの世界では北海道、のはず…
ふむ、『時代劇』で見た忍者の様相
忘却期最中の年代なのかね
寒さや雪は【サバイバルや悪路走破】で対処
敵の高速移動へは逆鱗を【毒使い、威嚇射撃】牽制と足並み乱し狙う
距離を取られて集団から衝撃波は厄介だ
ならば懐へ
【集中力と第六感】で致命的な被弾を躱し多少の怪我は【覚悟】で接近
三砂で撃ちUC発動
敵が炎に少しでも怯むか警戒すればそこへ【追撃】
【怪力】で敵の胴体、足下を三砂で【重量攻撃】返しは反対の手の飛斬帽で【なぎ払い、切断】する【早業の2回攻撃】
不意打ちには【咄嗟の一撃】で目の前の【敵を盾にする】
個を捨てた戦法を仕込まれているね
では狩り尽くすまで戦おう
降り注ぐ銀――否、黒い雨の中、男が一人状況を反芻する。
「蝦夷地、と言ってたねえ。僕らの世界では北海道、のはず……」
そう、北海道だ。だが、彼――酒井森・興和(朱纏・f37018)のいたシルバーレイン世界ではなく、サムライエンパイア世界の、だが。
思考を重ねていれば警戒を強めている忍者が彼を急襲せんと襲いかかる。遠くから来た斬撃波を寸前でかわしながら興和は勢いそのままに忍者に距離を詰める。ツルハシのような武器が地面を穿てば高熱の炎が迸り、忍者たちの視界と酸素を奪っていく。
「ふむ、『時代劇』で見た忍者の様相……忘却期最中の年代なのかね」
少し否か。これはあくまでサムライエンパイアの話であり、仮に昔のような年代の話であってもサムライエンパイアでは『今』だ。だから時代劇のような忍者が今いても不思議ではないし――そもそも彼らはオブリビオン。『過去』が生み出した産物なのだから。
――だが考察をする時間などない。視界と酸素を奪われてもなお、忍者たちは興和を殺そうと距離を置きながらの斬撃波を仕掛けていく。対してワンテンポ遅れて興和は肉薄を図った。
(距離を取られて集団から衝撃波は厄介だな……ならば懐へ)
多少の負傷を覚悟で接近戦を挑む興和が忍者たちの1人に肉薄しツルハシのような武器を下ろし炎を迸らせば、焼かれる仲間に多少たじろぐがすぐに彼など捨て駒かのように粛々と行動していく忍者たち、その行動は完全に統率が取れているかのよう、まるで――
(個を捨てた戦法を仕込まれているね――)
――暗殺者として、『己』を『殺した』かのように。
(では狩り尽くすまで戦おう)
――機械を壊すように。小石を蹴るように。たじろいだ忍者の下半身を穿てば反対の手の飛斬帽【丹霞】で上半身を斬る。人を人とも思わず、ただ紙をちぎるように。それができるのは、目の前の忍者が個を捨てて、まるで機械のような存在と化しているからであろうか。……その証拠に、その忍者を巻き込み、犠牲にする形での斬撃波が飛んでくる。興和は落ち着いて目の前のこと切れた忍者……ではなく、近くの生きている忍者を盾にした。
――何も言わずこと切れる忍者にフレンドリーファイアへの罪悪感すら抱かない忍者たち。
(ああ、完全に彼らは……)
救いようがないほど『暗殺者』に、『忍者』にされてしまったんだな、と。
狩りつくす彼の心には彼らとは違う寸分の躊躇いが一瞬あった。
成功
🔵🔵🔴
館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎
ここが蝦夷地、か
報告書に目を通した程度の知識しかないけど、かなり冷えるな
「寒冷適応」で多少耐えられるけど、早急に終わらせよう
忍法瞬断は至近距離に飛び込まなければ問題ないだろうから
少し距離を取った上で一気に仕留めたい
指定UC発動、左右の腕に各10本ずつ白刃を生成
「地形の利用、忍び足」で身を隠せそうな草むらや障害物に身を隠しつつ足音も殺して静かに接近
忍者たちの視線が俺から逸れているのを確認したら
両腕の白刃全てに「属性攻撃」で炎を纏わせてから一斉に忍者たち目がけて「投擲」だ!
炎の白刃の一撃で沈めばそれでよいが
仕留め損ねた場合は「ダッシュ」で接近し黒剣で一気に斬り伏せよう
「報告書に目を通した程度の知識しかないけど、かなり冷えるな」
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は報告書でしか見たことのない蝦夷地の実体験に白い息を出した。
寒冷適応はできる方だが、それでもこの蝦夷地は寒い。まぁ、それはこのような環境だからこそ隠れて鍛錬できることの証左でもあろうが。
忍者たちの戦いを見て接近戦が危険と判断した敬輔はコードを使い、白くなった左右の腕に10本ずつの刃を生み出す。それはかつて骸の海を名乗りし道人の力、その模倣。狙うはミドルレンジとばかりに足音を殺して障害物に隠れる。ここだけ見れば彼も暗殺者だ。なんとなく、ゲームなどに出てくる四肢に刃をつけた存在を想起させられる。
だが――接近戦をするつもりはない。彼がするのは中距離戦だ。忍者たちの視線がそれてるのを確認すると刃に炎を纏わせ、大きく腕を振り刃を飛ばす。数名の忍者たちがアンブッシュにやられる中、それで気づいた忍者たちが敬輔の方を向く。流石にアンブッシュだけで沈められるほどではなかったが、感触はいい。相手の陣形に穴を空けられた。
となれば、あとはその穴に駆け込めば肉薄できる。至近距離には入ってしまうが、アンブッシュで忍者たちが驚いて体制を整える前に黒剣で斬り伏せてしまえば問題ない。
――いや、そこは相手にも意地があるか、若干相手の攻撃を受けてしまい鍔迫り合いや押されることにはなるが、一軍団を陣形から崩すことで壊滅させることには一定の効果があったと言えよう。
この忍者たちを倒すことに情などない。憎悪のまま冷酷に斬り捨てる。情のない――否、情を捨てるように教育された忍者たちとどちらが上だろうか? それは勿論、感情を持った方であろう――それはこの戦闘結果からも明らかである。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
ああ、伯爵関連か。猟書家の前で『m'aider』だっけ?
で、まずは忍者をやれ、と。はいはい。
鬼火、鬼火ねぇ、|私の前ではそんなのおやつでしかないわ《多重詠唱拠点構築結界術大食い魔力吸収魔力供給エネルギー充填》。
ま、どんなに速くてもね、領域を支配する私の前では意味をなさないわねぇ。影縛り重ねて封印術、禁呪を持ちて汝らの|マヒ攻撃気絶攻撃身体部位封じ息止め《呼吸も鼓動も一切の活動を禁じる》。
お、耐える個体もいるのか、でもれぷりかせいはうぇぽんずの疑似聖杯剣で|間合い無視して攻撃できるのよね《斬撃波》、ごめんあそばせ?
「ああ、伯爵関連か。猟書家の前で『m'aider』だっけ?」
何かにゅって世界の壁を突き破ってきそうな――
「で、まずは忍者をやれ、と。はいはい」
――気がしたけど、気のせいだった。どこかのパーティーゲームの1作目みたいに、何か起きそうで起きなかった。
怖いよアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)。
「何よ、わたしを何度も『観測』して『記録』してるんだから、もう慣れたでしょ?」
慣れたけどー。
「シリアスも行けるってのはわかっているでしょ? それとも教育がいるかしら?」
やめてください触手出してこっちに向けないでください死んでしまいますしテイスト変わっちゃいます。せめてそれはあそこの忍者がアリスを見て放った鬼火に! ほらバックスタブ!
「まぁいいけど。鬼火、鬼火ねぇ、私の前ではそんなのおやつでしかないわ」
触手が素早くアリスの後ろに回り込んで鬼火を――食べた! もぐもぐ動いた後に口を開けて息をつく様はまるでごちそうさまと言っているかのよう。
「さて」
パチン、と指を鳴らしたアリスが改めて忍者の方を向く。
「食べたら運動しないとね。そうね、あなたたちの好きな忍術でどうかしら」
アリスが触手で放つは――影縛り。些かファンタジーな術ではあるが、相手の動きを止めるのにこれ以上ない代物。そしてアリスは触手を多数持っている、それはつまり手数も多いという事。一小隊程度の忍者たち全てを封印することなどお手の物だし何なら多重に部位を影縛りすることで呼吸も鼓動も一切の活動を禁じることが可能だ。
……普通呼吸と鼓動を封じられて生きられる存在などいない。人型である以上仕方ないことだが――否、人に限らず生物は大体そうだが――それでもオブリビオンという存在になり果て、そして暗殺者として鍛えられた以上、その域を超えてある程度は耐える存在もいるわけで。手のひらを顎に当てて愉悦するようなポーズをしながらアリスはその様子を眺める。目の前のそれをまさに楽しむかのように。
「お、耐える個体もいるのか、でも」
瞬間、巨大な輝く剣がアリスの手に発生し、それを軽々と振りぬけば耐えた忍者が糸が切れたように倒れる。
「私、れぷりかせいはいうぇぽんずの疑似聖杯剣で間合い無視して攻撃できるのよね。ごめんあそばせ?」
まさに今ここはアリスの支配領域。支配者たるアリスに勝てる忍者などいないのだった。
――次々と猟兵達により小隊が壊滅したことにより、これまた続々と増援がアジトから出てくる。
「戦力の逐次投入か、本気で中にはいれたくないっぽいわね」
余裕ありそうにアリスは状況を分析してみせた。
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
サムライエンパイアの蝦夷地、か。
結構寒いけど、確かに忍者がアジトを構えるには良い土地かも。
さぁ、忍術合戦始めよっか!
【見切り】【武器受け】【軽業】で
攻撃を防御。へぇ、良い斬撃だね。でも、ボクの術も悪くないよ?
一人を【瞳術『忍夜皐曲者』・蛇】で
硬直させて、盾にする。そして、その人の影に隠れて【忍具『火遁の巻物』】を使うよ。
消えない炎は、キミ達がその身に纏った気流と相性悪いんじゃない?どんどん燃え広がっちゃうよ。
さぁ、お仕舞いにしよっか。
炎を縫って【急所突き】【居合】【暗殺】。遠くの敵にはクナイを【ナイフ投げ】、そしてお返しの【斬撃波】。
キミ達、なかなかの忍者だったけど。相手が悪かったね!
「サムライエンパイアの蝦夷地、か。結構寒いけど、確かに忍者がアジトを構えるには良い土地かも」
サツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)は蝦夷地の気候を肌で感じながら呟く。確かに厳しい環境というのは他人に見つけにくい――探す気力も失わせる――だろうし、訓練の際に訓練道具にもできるだろう。だが、そんな環境で鍛えた忍者を前にしても、かつて霊峰天舞アマツカグラに住んでおり代理者として活動して、さらに猟兵へと覚醒したサツキは自信満々だった。
「さぁ、忍術合戦始めよっか!」
忍ばずに堂々と言ってしまう程度には。尚本人の名誉のために言うと忍ぶ時と忍ばない時のメリハリが大事らしい。
早速1個小隊の忍者たちがサツキを取り囲み、気流を纏い高速移動しながら衝撃波を放つ。並大抵の存在ならみじん切りになってもおかしくはない。しかしサツキは経験の『質』が違う。太刀とクナイで衝撃波も肉薄しての攻撃もすべて防いだりいなしたりしてみせる。
「へぇ、良い斬撃だね。でも、ボクの術も悪くないよ?」
……サツキの雰囲気が変わった。瞳がサツキ模様に変化し、忍者たちの1人を見つめる、そして、
「ボクの眼をもって命ずる、竦め!」
蛇睨み。忍者の動きが止まってしまう。術が成功したのを見るや否やその陰に素早く隠れ、巻物を広げる。
「火遁!」
すると全域に炎が舞い踊る。荒ぶる炎が忍者たちをすくませていく。
「消えない炎は、キミ達がその身に纏った気流と相性悪いんじゃない? どんどん燃え広がっちゃうよ」
まさにその通りだ。ダブルコード……コードの2つ使用というのは相手のコードも2つ来てしまう危険性が高いだけに危険だが、今回の相手のコードは気流を纏っての攻撃。つまり反応するために気流をリキャストするわけで――これが相性最悪! 気流に乗せられた炎を纏ってしまうことになってしまう!
感情がないなりにてんやわんやする忍者たちを尻目にサツキは余裕さを崩さない。
「さぁ、お仕舞いにしよっか」
反転攻勢。炎の隙間を縫った刺突、斬撃、時にはバックスタブと忍者らしいやり方も使いつつ。遠くの敵にはクナイを投げたり、或いは意趣返しとばかりに斬撃波をお見舞いする。気づけば炎が舞い踊る中サツキの周囲は死屍累々、その亡骸を炎が強く飲み込んでいく。装束も骨も肉も等しく灰塵とせんと、この場を火葬場とせんと燃え盛る。
「キミ達、なかなかの忍者だったけど。相手が悪かったね!」
それが忍者たちが聞く最後にして最期の言葉だった。
そしてこの炎のせいで忍者たちの増援は迂回して増援せざるを得なくなってしまった。コードの効果が切れて炎が消えるまでは猟兵たちにとって安全な場所ができたといえようか。
大成功
🔵🔵🔵
龍臥崎・まきな
(サムライエンパイア…私の知っている北海道ではないのですね)
※猟兵の力に目覚めて間も無いため、この世界や猟書家への思い入れは余り無し
この間まで銀雨世界で定住していた北海道が戦地である事と、総大将が望月千代という甲賀流の草である自分とシンパシーを感じる名を持つ忍者である理由だけで参加している
囲まれない位置取りを心掛け、息を殺してじりじりと接敵
(…甲賀流、龍臥崎。いざ参る)
不意打ちでUCの「自身の立体映像」を使い、攪乱させることで数の不利を補う
混戦の中、最端の敵をターゲットにし、マキリ錫杖に仕込まれた刃を居合の要領で振るう
「シッ!」
戦い方は決して驕らず侮らず
敵に対して一切の容赦をせず、詰将棋のように、冷めた感情のまま確実に敵にダメージを与えて行き、自分が相対する最後の一体になったら、すかさず立体映像を解除する
「…何処を見ている?」
ここで初めて言葉を発し、113本の水流手裏剣を作り出すことに切替え、全方位からの集中砲火で倒し切る
(…異世界忍者、何するものぞ。…とは言え、此処からが本番ですね!)
(サムライエンパイア……私の知っている北海道ではないのですね)
龍臥崎・まきな(みづかがち・f39683)は蝦夷地と己の知る北海道のギャップを感じていた。
そんな彼女にも忍者たちが等しく接近する。とはいえいい加減他の猟兵にやられまくったのか、その人数は少な目だ。とはいえ相手は腐っても練度の高い忍者。囲まれない位置取りを心掛け、息を殺してじりじりと接敵する。
(……甲賀流、龍臥崎。いざ参る)
そう、彼女もまた忍者。リタイアして住職になったこともあったが猟兵になったことで再び戦場に舞い戻った忍者だ。
まずは水流手裏剣を多数召喚し、コードの力で自分の立体映像にする。そうすればまるで自分の分身が数多いるように見えるだろう、そしてそれらがいきなり忍者たちを急襲すれば乱戦となりそれが攪乱となる。相手の数に対する数的不利はこれで補える、だがまだ足りない。そこで次の戦術だ。
まきなは攪乱に飲まれて陣からはみ出た忍者を発見すれば、俊足でそれに近づき――
(シッ!)
抜刀。マキリ錫杖に仕込まれた刃が居合の要領で振るわれれば一刀両断のもとに忍者が倒れる。
まきなのその戦い方は決して驕らず侮らず、敵に対して一切の容赦をせず、まるで詰将棋のようなもの。どこまでも冷酷に確実に敵に損害を与えて行く忍者らしい作戦。その応酬とループに次々と忍者たちが加速度的にやられていき、やがて忍者たちが最後の1体になった、その時。何を考えたかまきなは分身をすべて消した。今まで襲っていた者が突然消える出来事にあちこちを見渡す忍者。だが、遅い。
「……何処を見ている?」
まきなが初めて発した台詞、それは忍者の後ろから。バックスタブだ! 加えて忍者の全方位には113本の水流手裏剣が展開されている――忍者は最早包囲されていた! そしてまきなが指を鳴らせば、水流手裏剣は一斉に忍者の体を貫いていく。哀れ残酷にも全方位から手裏剣の嵐に傷つけられた忍者は倒れている忍者同様こと切れてしまった。
……まきなは周囲を見渡す。忍者の増援が来る気配はない。
(全員倒したか)
そう、増援も含めて全ての忍者たちを倒し切ってしまったのだ。
(……異世界忍者、何するものぞ)
ここまで来ると最早余裕さえも見えた。
……実のところ、まきなは猟兵の力に目覚めて間も無いため、サムライエンパイアや猟書家への思い入れは余り無い。ではなんで今回の件に参加したかと言うと、この間まで銀雨世界で定住していた北海道が戦地である事と、もう一つ……
『くっ、もう全員やられてしまったのか……!』
まきなの前に現れた先ほど逃走した女忍者。禁軍猟書家――望月・千代。
それが、甲賀流の草である自分とシンパシーを感じる名を持つ忍者だからだった。
(来ましたか、此処からが本番ですね!)
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『望月・千代』
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POW : 侵略蔵書「伊能大図」
【己の意のままに変化させた地形による攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を敵の動きを制限する状態に変化させて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 甲賀衆
レベル×1体の【甲賀忍軍】を召喚する。[甲賀忍軍]は【忍術】を自在に操り、【忍】属性と【影】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ : 甲賀乱舞
【無数の毒塗り撒菱】【無数の毒塗り苦無】【影から伸びる鎖鎌】【影から伸びる鎖分銅】【見えない忍者刀】【見えない焙烙火矢】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
イラスト:桃寸(もす)
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「日輪・黒玉」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
手塩にかけた暗殺者たちは全て倒された。
今やアジトにいるのは今出てきた逃げ出したくノ一のみ。
禁軍猟書家が1人、望月・千代。その表情には焦りが見えるがそれすらも演技かもしれない。そう、彼女は腐っても禁軍猟書家、戦闘力はとてつもなく高いだろう。
『猟兵よ、まずはここまでやることは褒めてやろう……だが』
胸元から取り出したのは――何かが入った小瓶。それを見るや急に落ち着きを取り戻したかのように。
『この毒薬と私の力の前に、生きていることはできない。
もとよりここを知られてしまったからには生かして帰すわけにはいかないが……な』
姿勢よく巻物を開きその上で小瓶を転がし、バウンドさせれば再び胸元に入れる。パフォーマンスに見えるが、身のこなしをアピールするには十分だ。
妖艶な微笑みを浮かべる彼女に、猟兵は果たしてどう立ち向かうのか。
※MSより
望月・千代がちらつかせている小瓶の中身は『皮膚に触れると体力を奪う毒薬』です。
望月・千代はコード発動と同時にこの小瓶を投げつけ、猟兵たちの体力を奪おうとしてきます。
なお、この小瓶への対策を行うと特別プレイングボーナスが発生します。
テラ・ウィンディア
サムライエンパイアか
久しぶりだなー
「さ、寒いですね…」(ぷるぷる黒ちび仔猫
【戦闘知識】
千代の戦い方の癖
性質や流派を分析
【属性攻撃】
炎属性を武器に付与
対毒
避けきって見せる!
【空中機動・ 見切り・第六感・残像・武器受け・オーラ防御】
高速で残像を残しながら飛び回り毒液を受けるぞ
間に合わない時はオーラで弾く!
乙女の柔肌にへかてにゃんのもちもちボディは汚染させないぞ!
【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
剣太刀による連続斬撃
槍に切り替えての猛攻
【弾幕・貫通攻撃・重量攻撃】
ドリルビット
ガンドライド展開
重力弾の弾幕で動きを止めれば
m'aider
出てきた武器も利用
上空に跳んで
US発動
重力を纏わせ渾身の一撃を捧げる!
ルカ・クルオーレ
既に思惑は狂ってしまっているのだから、諦めるって事は…しないか
それは残念
まあ、こちらの予定は変わらないわけだけどね、君を殺すっていう
そんなもの出したところで何も変わらないよ
Lama delle tenebre
毒薬瓶を叩き落し、ついでにダメージを入れられたら良いなあ
ここで攻撃が成功しなくても向こうの先制攻撃を防げれば重畳
……結局切り刻んでしまえば一緒だものねえ
近寄れなくても衝撃波を叩き込み、動きを妨げる
地形の変化も一緒に壊してしまえばあまり変わらないんじゃないかなあ
その上で近付いて、諦めもつく様に丁寧に殺してあげよう
――ああ、戦いが楽しくて忘れるところだったよ
m'aider
さて、何が出るのかな?
「既に思惑は狂ってしまっているのだから、諦めるって事は……」
『するとでも思っているのか?』
「それは残念」
ルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)はある程度予想できていた回答に苦笑する。
「まあ、こちらの予定は変わらないわけだけどね、君を殺すっていう。そんなもの出したところで何も変わらないよ」
『どうかな? やってみないと分からないぞ。それに』
千代が視線を逸らした先には――
「サムライエンパイアか、久しぶりだなー」
「さ、寒いですね……」
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と震えている黒猫ことヘカテがいた。
『あれらの命がどうなってもいいのだろうな? 純粋な子供が狙われていると分かれば少しは』
瞬間、千代の手元を横薙ぎが走る。千代のコードが中距離系なだけに絶対先制こそ取れなかったが、それでも会話で油断している千代に先制攻撃するには十分。
(……結局切り刻んでしまえば一緒だものねえ)
『やったな……やってくれたな。侵略蔵書――「伊能大図」』
千代が巻物にも似た侵略蔵書を開けば地形が歪んでいき、隆起した地面が槍のようになりルカを襲う。
(でも甘いんだよなぁ)
ルカの持ち込んだコードは近接範囲無差別攻撃。地形ごと砕きながら進んでしまえば死角から飛んでこない限りは大丈夫だ。
そう。
死角から来なければ。
「危ないっ!」
戦いを眺めて分析していたテラが真っ先に気づいた。股下、背面寄りの死角、ルカにせまる隆起した地面。テラは思いっきりルカを抱きしめそのまま転がる。振り回している大鎌ごとゴロンゴロンと回りながら回避していった。
「――ああ、死角だったか。助かる」
「ああ! おれがいる限り目の前でやられさせなんかしたくねぇからな!」
『小賢しい……! もう一度!』
千代が怒り、さらに激しさを増した地形の歪みが襲いかかる。
「ヘカテ!」
「はい! さぁ、乗って!」
テラの掛け声で黒猫がキャバリアとなるとテラを引き込むように乗せ、テラへと投げられた毒瓶はヘカテに当たって砕け散る。ファインプレー。もし素早く呼べてなければ、あとカンマ1秒でも遅れてたら毒瓶はテラに当たっていただろう……
「行くぞヘカテ! 乙女の柔肌にへかてにゃんのもちもちボディは汚染させないぞ!」
「いや柔らかくももちもちでもないしむしろ今硬くてゴツゴツなんですけどね!?」
「そうか? 乾燥肌か? この時期きついからな」
「テラ! ふざけるのは今はやめてください!」
『くっ、そんなものを用意してくるとは! 巨大な甲冑では毒は効かないか……だが、それでは動きにくいはず!』
しかしヘカテはそんな予想を超えて高速機動で千代に近づき剣と太刀による応酬を浴びせる。ルカの薙ぎ払いも途中から加入していき、斬撃祭になっていく。千代は辛うじて身のこなしで避けながら思考していた。
(なぜだ……? なぜ巨大甲冑がああも動ける? これもまた忍術……いや、侵略蔵書……いや、別世界の力か?)
カルチャーギャップって怖いですね。とはいえ、身のこなしがよすぎて中々決定打に届かない。
「あの動きどうにか止められないか……重力の魔力使うか! ヘカテ!」
「ええ、ドリルビットとガンドライド、展開しますよ! 魔力を回して!」
ヘカテから浮遊自走砲台とドリルビットが放たれる。ドリルビットが空中を飛び回って千代を攪乱していき、自走砲台が重力弾の弾幕を放っていく。
『猪口才な……』
千代も地形を変えて利用し飛翔するなど暗殺者らしい身のこなしを見せたが、やはりそれでも2人がかりに限界はあるもの、ついに重力波の弾幕が掠り、重力に体が囚われてしまう。
『っ……!』
「よっし! えーっと……そこのお前!」
コックピットを勝手に開けて身を乗り出しルカに語り掛けるテラ。
「ん? どうしたんだい?」
「今のうちに一気に決めるぞ! お前のその鎌剣みたいなの俺にはないけど……こんなキャバリアの無骨なのしか」
「テラ」
「今黙っててくれヘカテ! 大事な作戦会」
「『アレ』を使う時では?」
ヘカテの言葉に一瞬思考するテラ、しかしぽん、と手を叩く。
「そうか――来てくれ!」
――m'aider!
「……!? コックピット内に異質な反応が……!?」
瞬間、まるで世界が歪んだかのようにコックピットの中の一部の空間が歪み、テラのもとに何やら靴のようなものが落ちてくる。
「反応消失……でも、これは……?」
「助けを呼んだら靴が……?」
「――ああ、戦いが楽しくて忘れるところだったよ――m'aider」
遅れてルカも『その言葉』を詠唱する。するとルカの近くも歪み、そこから現れたのはルカの鎌剣によく似た、もう1つの鎌剣。
「こっちは鎌剣だね……つまり」
「ええ、これは……この武器で戦えと」
「いや靴が武器って――あっ」
テラはひらめいた。そう、ヘカテがいなくてもやれる自分の技。あれを使えとの啓示か!
「ヘカテ、射出だ!」
「ええ、回収は任せてください。テラ、ちゃんと履きました? 靴ひもは取れませんね?」
「おれそんなおっちょこちょいに見えるか!? ほら、行くぞ!」
『くそっ、なんだそれは……!』
ようやく重力から抜け出した千代は歪んだ世界と現れた鎌剣(さすがにコックピット内は見えない)を見て戸惑いを隠せない。その様子に薄ら笑みを浮かべるルカ。
「では、刈り取らせて貰おうか――」
ルカが出てきた鎌剣を利き手と逆に持ち――二刀流で構える。
「お前達の全てを」
そしてそのまま回転斬り! と思えば途中で急停止して逆回転や交差斬りもしてくる! 薙ぎ払いオールスターズといった攻撃に戸惑う中。
「おおおおおおっっ!! 力が、力がみなぎってくる! 今のおれなら、メテオになれる!」
文字通りに靴に炎を纏ったテラが上空から襲いかかる。
「星よ……世界よ……流星の力を我が身に宿せ……! 今こそ我が身、一筋の流星とならん!」
それはテラの最大最強の攻撃。
「メテオ・ブラスト……受けろぉ!!!」
超重力を纏った、かかと落とし。千代の胸に刺さるように、炎と重力を纏った踵落としがクリーンヒットした!
『ぐうっ――ああっ!』
ズザザザザ、と後ずさる千代。思わず息が荒くなる。
が。
『……だが、その程度か。その程度で挑もうなど、笑わせてくれるな!』
手でかかと落としで少しずれたのであろう胸元を直しながら再び嘲笑の笑みを浮かべる。
「なんでだ!? 明らかに今のいい感じに決まっただろ!?」
「……胸だ」
「は?」
「今のかかと落とし、胸に決まっただろう? だから彼女の豊満なそれが勢いを吸収しちゃったんだ。もし脳天に決まってたら決定打だっただろうけど……」
そこは腐っても禁軍猟書家、そして暗殺者のリーダー。寸前で命中位置をずらしたというのか……!
『さて、そんなものを持たれたら危険だな。一度消えてもらうか』
千代は侵略蔵書で地形を歪ませ、2人を自分よりはるか遠くへと追いやってしまった。
(やはり強敵ですか……)
辛うじて空に逃れたヘカテはテラを回収しながらその様子を眺めるしかなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
カシム・ディーン
てめぇ…ふざけてんのか?
「そうだよ…!酷すぎるよ…!」
望月千なんとかなら歩き巫女だろ!?お色気で色々翻弄する奴だろう!なんで毒とかガチ戦闘なんだよ!ふざけんなぁぁぁ!!(ふざけてるのはどっちだ!?
【情報収集・視力・戦闘知識】
千代の戦闘スタイルと動きと攻撃の癖を冷徹に分析
対小瓶&spd
【属性攻撃・迷彩・念動力】
光風属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し空気の断層で音や匂いを隠蔽
更に念動障壁で毒薬を届かせず
UC発動
【空中戦・弾幕】
超高速で飛び回り念動光弾で蹂躙
忍者毎千代も粉砕
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
連携連続斬撃で切り刻み
武装や毒薬瓶諸々強奪
これおめーに効くのかな?
容赦なくぶっかけ
「てめぇ……ふざけてんのか?」
「そうだよ……! 酷すぎるよ……!」
『誉め言葉だなそれは……だが何に対してだ? そんな残酷なことしたか?』
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒のメルシーがいきなり怒り出したから千代もハテナマーク。
これはいったいどういうことなのだろうか。では続きをどうぞ。
「望月千なんとかなら歩き巫女だろ!? お色気で色々翻弄する奴だろう! なんで毒とかガチ戦闘なんだよ! ふざけんなぁぁぁ!!」
『ふざけてるのはお前らの方だろう? 色気だけで禁軍猟書家など務まらない』
ろくでもない理由だったよやっぱり。千代の方が一理あったよ。
「とはいえお前の戦い方は大体見切った、メルシー! 光と――風だ!」
「ラジャったよご主人サ――え? 風?」
メルシーがいきなり首をかしげる。
「いいから早くしてくれ死にたくないんだ!」
「えー、ケチ!」
言いつつも光と風の力を使い光学迷彩のように隠れる。
実はいつもなら「光と水」を使っているのだ。それが今回いきなり「光と風」という別の組み合わせ。それはメルシーも混乱する。なぜそのような事をしたのか――千代はなんとなく把握していた。
『なるほど、空気の断層か……面白いことをする』
そう、光学迷彩に加えた空気の断層で音と匂いを隠蔽したのだ。千代は暗殺者だ――恐らく匂いにも音にも敏感だろう。盗賊であるカシムにはなんとなーくわかる。
『だが消えたところでそう遠くにはまだいっていないだろう。お前ら、出番だ』
合図をすれば甲賀忍者たちが次々に現れて適当に襲いかかる。
「ご主人サマあいつら見境ないよ! 逆に見切りにくいよ!」
「適当な攻撃が一番避けにくいんだよな……仕方ない、こっちから仕掛けるぞ」
『ああ、私も攻撃に参加しないとな』
思い出したように千代が甲賀忍者の間を縫って毒瓶を投げれば、毒瓶が消える――消える?
「ナイスだよご主人サマ!」
「ああ、メルシー、このまま一気に蹂躙するぞ!」
そう、コードを使って高速機動できるようになった2人はそのまま近接攻撃と念動光弾で蹂躙を開始したのだ。陣形を真っ向から壊していくように。こちらも見境なく、攻撃していく。千代は巻き込めたら御の字だ、とりあえずは。念動障壁も用意していたが、うまくキャッチできたのでいらなかったみたいだ。
「だいたい倒したか、あとは」
千代への攻撃……!
ガキン、と音がした。
千代がクナイで2人の攻撃を止めていた。
「嘘……だ!?」
「どうして!? メルシー達が見えるの!?」
『……微かな違和感……空気の流れ……忍者のやられ方……それらを鑑みればこのタイミングで来ることなど想定できる』
恐ろしい戦闘勘だ、それだけで2人を止めたのか――!
(戸惑うなカシム――!)
「そういや、これおめーに効くのかな? 容赦なくぶっかけてみるか」
戸惑うなと自己暗示するカシムが冷や汗をかきながら毒瓶を千代の目の前で破壊する。
『ああ、やはり持っていたか、だが』
千代が軽く回し蹴りをしながら後退する。
「いたっ! うわ、なんかかかった――え? あああああああ!!! なんか、なんかしみる! ご主人サマーー!! 痛いし力抜ける! なにこれ、メルシーになんてものかけるのそんなにメルシーが嫌になった!?」
「いやメルシーおめーはいい加減にしてほしいですけどそこまではしねーですよ!? まさか……」
カシムが呻くメルシーを尻目に千代を見れば千代は笑っていた。
『自分の使う毒を自分で喰らったらどうなるかくらい、察していないはずがないだろう?』
つまりあの一瞬で喰らったらマズいと考えてメルシーを自分の位置に持って行きながら後退したという事だ。
「いやあああああ!! メルシーもうお嫁に行けなくなっちゃう……」
「……っ、覚えているんですよ!」
このまま逃げてもメルシーが動けない。仕方ない、とメルシーをお姫様抱っこしてカシムが撤退を図る。幸い、メルシーの光学迷彩がまだ続いていたのが功を奏し、撤退自体は上手くいったがあまり千代に傷は与えられなかった。
……なお、メルシーに普段からいいようにやられているらしいヘカテは上空から日頃の行いですよ、ざまぁって顔をしていたらしい。
苦戦
🔵🔴🔴
ウルザ・ルーナマリア
初めての土地だなー。
あのくノ一っての?ぶっ倒しゃいいんだな。
一人じゃ勝てねーし、他の皆に繋げる事目指すか!
小瓶警戒、向こうの攻撃の瞬間投擲動作を見切り凍結攻撃で氷纏わせた銛を合わせ弾き直に触れないように対処。
地形の変化は野生の勘で危険の気配が濃い場所から離れるように回避するぜ!
向こうの隙が見えたらUC起動、銛の先端から放った冷気ぶつけて氷網巻き付けてやる!
…でもやっぱ強えな。動き難いのもあって強引に突破されそう。
今のおれじゃ勝てねー…だから助けを呼ぶ!!
m'aider!
飛んできた…大戦斧…いや斧槍、か?
折角の助け、氷の網を思いっきり引っ張り敵を寄せてそこに斧槍を叩きつけてやる!
※絡み等お任せ!
「初めての土地だなー。あのくノ一っての?ぶっ倒しゃいいんだな」
とりあえずまず状況を反芻したウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)。とはいえ実は彼はほぼほぼ初陣みたいなものだ。さすがに錬度の差があるだろう。
「一人じゃ勝てねーし、他の皆に繋げる事目指すか!」
自分の練度を鑑み支援に回ることにした。
『繋げる? 何を言う、暗殺者は1人でできてこそだろう』
だが千代がその言葉に反応する。侵略蔵書を開き地形を操作すればすぐに小瓶が飛ぶ。ウルザも負けじと反応。
「シーベアルグを舐めるなよ、こちとら都市国家で強い敵には慣れてんだ……!」
野生の勘で危険な地形を回避しつつ氷纏わせた銛を合わせ小瓶を弾くウルザ、弾かれた小瓶が地面に当たって壊れる。その隙に千代の死角に回り込む、この一瞬しか狙い時はない。銛の先端から冷気を放てばそれが針付きの氷の網となる。
『これは……氷の網か。なるほど、面白いことをしてくれるな』
「おうおう、大捕り物だ! お得意の身のこなしもそれじゃうまくできないだろうな!」
『――さて、どうかな?』
千代が薄ら笑いを浮かべる。氷の網が徐々に――溶けている気がした。
「ま、まさか……」
『侵略蔵書の力を使えば自分の周りの地温を高めることなど容易い』
温度を高めることで氷の網を溶かす。ここで逃げられてはマズいと再び冷気を放つがこのままでは千日手だ。
「……はは、やっぱ強えな。強引に突破される危険性もある。ああ、今のおれじゃ勝てねー……」
『思い知ったか、これが力の差というもの』
「だから助けを呼ぶ!! m'aider!」
『何?』
直後、ウルザの近くの空間が歪み、何かが落ちては地面に突き刺さる。
「これは……大戦斧……いや斧槍、か?」
ハルバードとも呼ばれるそれを構えれば、一瞬思考し、意を決したように氷の網の端を掴む。血が手に滲むがそんなの気にしていられない。
「こうなりゃ折角の助けだ、一発お見舞いしてやる!」
一気に氷の網を引きずれば千代がバランスを崩し持って行かれ、肉薄、ハルバードが叩きつけられる――!
『……今のは危なかったな』
壊れた氷の網から千代が出てくる。だが、ほぼ傷は負っていなかった。
『私が暗殺者として、忍者として鍛えて――身を捻らせなければやられていた』
そう、ハルバードの直撃を避けるために氷の網で傷つくことを恐れず、身を捻って直撃を回避したのだ。
『さて、「繋げる」とか言ったな。この状況でどう繋げてみせるんだ?』
歯噛みするウルザ。……だが、実は、この行動、一定の成果を得ていた。
破壊された小瓶。必然的に毒は地面に落ちる。
引きずられた千代。氷の網で囚われている以上当然体は地面にも擦られるだろう。
つまり――
……四肢が少し力がなくなっており、体力が少し奪われているのに、千代はまだ気づいていない。
毒の痛みとかを我慢するよう訓練しすぎたのか、それとも……
成功
🔵🔵🔴
サツキ・ウカガミ
おぉー。小瓶の曲芸。今度真似しよっと。
毒薬かー。わざわざ言うのは、注意を分散させたい感じかな?ただ、どちらにしても攻撃用なら、大した問題じゃないね。
小瓶を手にしたタイミングで【瞳術『忍夜皐曲者』・鏡魔眼】を発動。
小瓶はご自分でどうぞ!そしてやっぱり、それ以外にも同時に仕掛けるつもりだったね。小瓶に加えてその無数の武器、全部自傷に使わせちゃって、ごめんね。
さて、こちらも奥の手を。
m'aider。右手はボクの刀、左手には飛来する武器を。キミ、武器多そうだからね。ボクも二刀流で行くよ!
【2回攻撃・急所突き】で追撃。反撃は【見切り・武器受け】。
小瓶の存在は、黙っていれば良かったのに。お喋りが過ぎたね!
「おぉー。小瓶の曲芸。今度真似しよっと」
『曲芸? あれが曲芸に見えるか……』
サツキの感想に目を一瞬丸くする千代。だがこの時もうすでに精神戦が始まっているといえた。
(毒薬かー。わざわざ言うのは、注意を分散させたい感じかな?
……ただ、どちらにしても攻撃用なら、大した問題じゃないね。)
恐らく、千代の手を読んでいるのだろうサツキ。同じ忍者として何か思い当たるところでもあるのか。しかしそんなのを悠長に待つ千代ではない。
『さて、ではそろそろ本気で行かせてもらおうか』
胸元に侵略蔵書をしまえば、どこから取り出したのか大量の忍具を取り出す。そして勿論、小瓶も。
だが。
(かかったね!)
そのタイミングこそが、サツキが狙っていたもの。瞳の色が変われば……
「キミの敵は誰かな? そう。キミ自身だよね。だから……」
『何を言っている、これを見てまだそのような余裕』
「ボクの眼をもって命ずる、その攻撃は己に向けよ!」
『っ!?』
千代が向けた敵意が、魔眼によって鏡の如くはじき返される!
『なっ……私の、敵は……私……私は……私を……』
サツキ色の目になった千代が小瓶をクナイで破壊し、その中身をもろに浴びる。それを見たサツキはウィンク。
「小瓶はご自分でどうぞ!」
『あ、あぁぁあああああ!!』
苦痛が千代を襲う。これまで猟兵達を苦しめてきた毒だ、己でもその凄さは知っているはずなのに、なのに、なぜか浴びてしまう。
「そしてやっぱり、それ以外にも同時に仕掛けるつもりだったね。小瓶に加えてその無数の武器、全部自傷に使わせちゃって、ごめんね」
『あ……あぁ、そうか……敵が私なら……っ、あああっっ!!』
震える四肢は抗おうとしている証左か、それでも忍具たちを自分に突き立ててしまう。荒い吐息、流れる血、震え続ける体。それら全てが、抗いながらも耐えきれないことを意味していた。
「小瓶の存在は、黙っていれば良かったのに。お喋りが過ぎたね! さて、そっちが本気ならこちらも奥の手を」
――m'aider。
世界が歪み、サツキのもとに現れるは一つの忍者刀。月牙を右手に、現れた忍者刀を左手に。
「キミ、今見せてるそれ以外にも武器多そうだからね。ボクも二刀流で行くよ!」
駆け出し、肉薄すれば急所と傷ついたところを確実に狙っていく。千代も震えながらも応戦していくが、やはり十全に動けないだけあってかサツキに完全に防がれてしまう。
『っ――っ――よし、そろそろ、毒が、切れてきたか……』
数刻たって千代がようやく喋り出した。見ればだんだん震えも止まってる。それは毒耐性を毒を扱う存在として彼女が持っていたからなのか、それとも……とはいえ、一度ついた戦いの勢いは消えるものではない。
「今更切れたって遅いんだよね。ボクの眼は君をずーっと、逃がさないよ?」
千代が戦闘力と毒に自信があるようにサツキにも魔眼に自信がある。それをアピールすることは相手に想起に繋げさせ、戦闘経験と合わせさせることで引き気味の戦法をさせるには十分だった。即ち、千代の方からサツキと距離を取った。股への蹴り――をサツキはかわして鼠径部への命中にすげかえ――千代は勢いで後退した。
『見くびっていたのはこちらの方か……!』
ついに余裕を保っていた千代の余裕が崩れ、有効打だろう傷も与えられた。
これが恐らくは猟兵たちの反転攻勢へのブレイクスルーへとなれるか……!
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
確かにそれなりの手練れらしき気配は感じるが……
まあ、下手に逃げたりしない分、こちらとしては好都合ってところか
利剣から神刀に持ち直し、神気を纏う事で身体能力を強化して敵と相対
敵のUCはどうも規模が大きいみたいだし、まずは回避優先で撃たせてから対処する方向でいく
予兆をみてダッシュや神脚による二段ジャンプなどで影響範囲から離脱
毒の小瓶は狙えるなら斬撃波で撃ち落とすが、無理そうなら普通に回避
毒がばらまかれたとしても影響範囲が無限って事もないだろうし、短時間なら神気で影響を抑えられる。必要ならば突っ切っていく覚悟で
攻撃を凌いだなら廻・伍の秘剣【灰桜閃】。一気に踏み込み連撃を叩き込む
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
随分自信があるようだな
もっとも、暗殺者の教育を任される禁軍猟書家となれば
実力は推して知るべし、なんだが
…不意討ちされないだけマシと思っておこう
俺は愚直に斬るしかできないから
甲賀忍軍を呼ぶ前に懐に飛び込みたいところだ
指定UC発動
さらに『m'aider』と唱え現れた武器を左手に握り締め
「ダッシュ、地形の利用」+UC効果の高速移動で千代に接近だ
甲賀忍軍が召喚されるか小瓶を投げられたら
即座に黒剣を振り抜き衝撃波を発射し「範囲攻撃」しながら「吹き飛ばし」
甲賀忍と小瓶が纏めて吹き飛ばされたら、身を屈めて千代の懐に一気に飛び込み
黒剣と現れた武具の「2回攻撃」で一気に斬り伏せる!
「確かにそれなりの手練れらしき気配は感じるが……まあ、下手に逃げたりしない分、こちらとしては好都合ってところか」
千代を見た鏡介が神刀に持ち替え、神気を纏う。その鏡介の横に助太刀するとばかりに並び立つ敬輔。
「ああ、あれは随分自信があるようだな。
……もっとも、暗殺者の教育を任される禁軍猟書家となれば実力は推して知るべし、なんだが」
不意打ちされないだけましだ、と敬輔は感じた。とはいえもう相手は余裕をなくしており不意打ちする気力も系機もないのだが。
しかしそれでも、敬輔は自分で愚直に斬るしかできないため速攻で肉薄したいと感じている。故に……
「m'aider」
世界を歪ませて出現させた黒剣を左手に持ち二刀流となれば魂の力を纏って肉薄を図ってしまう。速攻をかけすぎた! これには千代もニヤリ顔。
『飛んで火にいる夏の虫……!』
ここぞとばかりに敬輔に襲い掛かる甲賀忍軍たち、そして小瓶も飛んでくるがすぐに衝撃波が黒剣から放たれ忍軍たちを吹き飛ばす。だがそれでもある程度の距離でしかなく、肉薄までは未だ遠い。
『これで……っ』
さらに千代は侵略蔵書を使用し地形まで歪めてきた、これでは近づこうにもなかなか近づけない。万事休すか。
「うん、まずは『出させた』」
この様子をしっかり遠巻きに眺めていたのが鏡介だ。そう、鏡介は何も言わず送り出していた。
捨て駒に、囮にするつもりではなかったが、千代のコードの規模が大きいと判断した鏡介は敢えて回避を優先し、『先に打たせる』方針に出た。忍軍や地形の歪み、それが出たのを確認した今――後攻、攻めに打って出る。勿論彼にも気づいた千代から毒の小瓶が飛んでくる。さぁどうするか、回避するか撃ち落すか……
(……いや。毒がばらまかれたとしても影響範囲が無限って事もないだろうし、短時間なら神気で影響を抑えられる。それに対し地面とかに当たると副産物的に|あの人《敬輔》も今以上に危なくしかねない)
ならば、ここは自分で受ける方がいいか。そのために、踏み込んで小瓶を割るように突っ切る! 小瓶が割れて鏡介に降りかかる。
『なっ、自ら!?』
これには毒の強さを知る千代も仰天。あれに自ら突っ込んでいくとは……! 肝が据わっている!
「つかまって」
「ああ」
敬輔がのばされた鏡介の手を掴み、そのまま一緒に踏み込みの勢いで肉薄する。
「隙は俺が作る、後は任せた」
鏡介がさらに地面をぐっと押すように踏み込むと、零距離まで接近、瞬間、千代を三度の連続斬撃が襲う。
『っ!』
油断した――というわけではない。ここまでの戦いで相応に千代も消耗しており、一瞬足が遅れた点もあるが、何より一つ。
『あの言葉を使わずに攻撃してくるか――!』
そう、鏡介は『あの言葉』を使わず、自らの力で挑んできた。ここまで千代に挑むものはほとんどが『あの言葉』を使ってきた。それは即ち、相手する存在にとってみれば『あの言葉が来たら強い攻撃が来る』と学習させるには十分。それゆえに、そのパターンにハマらない、『あの言葉』なしでの有効打はエスプリがあった。もろに三連撃を喰らった千代を灰色の桜舞う神気が包む。
「今だ!」
「ああ、一気に行かせてもらう!」
怯んだ今こそが契機。敬輔が懐に一気に飛び込み、2つの黒剣で何度も斬撃を食らわせれば、シメに2本を交差するように一気に薙いで大きく吹き飛ばす。
『あぁっ! ……は、ははは!』
あおむけに倒れた千代がよろめきながら起き上がる。神気によるスリップダメージも入っているのだが、それを受けてもまだ立っていられるようだ。
『1人では飛んで火にいる夏の虫でも、2人なら虫にはならないか!』
余裕そうにけらけらと笑って見せる姿は、まさに2人を『甘く見ていた、すぐ迎撃できると思っていた』証左であり、また『連携で有効打を与えたことに見直した』証左でもあった。それに2人は頷きあい、少し笑みを浮かべる、が――
『なら近づけるわけにはいかないな! お前たち、行け!』
まだ生き残ってた甲賀忍軍たちが2人を押しのける。強行突破が仇となったかまだ人数はそれなりにいた。2人は押しのけられて再び距離を放されてしまう。こうなると仕切り直しになってしまう。それに……
(っ、そろそろまずいか)
鏡介が短時間なら大丈夫かと思った毒のリミットが来ているのを肌で感じる。あくまで相手にそれを悟られないように気丈に振舞うが、今は一度息を整えた方がいいと感じていた。そして敬輔もまた鏡介のその様子にわかっているかのように黒剣を下ろしていた。
しかし2人には共通見解があった。
――千代のあの傷を見る限り、そう決着の時は遠くないだろう、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|使い方《技能》
『m'aider』……青銅製の張り型ああいやこけし。ふむ、私と同タイプの戦闘スタイルのものがはじまりの猟兵にもいたのねぇ。
で毒瓶?内容物を化術で|えっちなおくすり《錬金術、ドーピング》に改竄しちゃえば問題無いわね。|投げる直前に割ってしまえばかぶるのは千代さんだしね《高速詠唱早業先制攻撃》。
ふふ、|敏感になって動くのもままならないでしょ《マヒ攻撃、身体部位封じ》❤
忍軍の方は|『夜』の結界術に閉じ込めて封じましょ。結界の中では分身達がおいしく頂くでしょう《多重詠唱拠点構築結界術封印術禁呪式神使い人造生命の創造》。
というわけで、|腰が抜け《マヒ攻撃》|意識が飛ぶ《気絶攻撃》ほどの快楽で蹂躙してあげるわ❤せっかく|張り型《こけし》もあるのだから|淫技:無限抱擁《サキュバスアーツ・クレッシェンドインフィニティ》でじっくりとね♪
私の|領域支配からは逃げられない《結界術、逃走阻止》☆
|エナジードレイン《大食い》でえっちなのうみそおいしいです❤
鈴乃宮・影華
なんとなく脱ぐタイミングを逸して『フォルティストラ』を着用したままでしたが
おかげでその小瓶の中身を浴びずに済みそうです
さて貴女、身のこなしに大層自信有りげですけど
この前の戦争に参戦していた面子のような
絶対先制や射程無限や万物貫通やらはお持ちですか?
無いなら貴女の攻撃前にUC詠唱を挟めますし――
「こうして鈴乃宮・光華お姉ちゃんが、試される大地・蝦夷地に参上できるというワケにゃー!」
実は今、お姉ちゃんの周りには
めちゃめちゃ優しいサイクロンと
めちゃめちゃ厳しい世間の風が常に吹き荒れてるのにゃ……
甲賀ニンジャとその得物たちは
身を切る寒さは耐えられても
身を斬る暴風は耐えられるかにゃ?
「『m'aider』……唱えてみれば青銅製の張り型ああいやこけし」
ヤメロー! 調べて初めて知ったがヤバいから!
「ふむ、私と同タイプの戦闘スタイルのものがはじまりの猟兵にもいたのねぇ」
いたのかな……いたんだろうね……怖いなぁ……戸締りしとこ……
「あら、報告官にまで影響するかどうかはわかんないわよ? 私はするけど」
それはそれでものによるからご勘弁とも言いにくいんだよなぁ。
「で、毒瓶? 内容物を化術でえっちなおくすりに改竄しちゃえば問題無いわね」
『むしろもっとマズいものになってる気がするが!?』
あーあ千代がツッコんじゃった。ほら、千代はくノ一で暗殺者だからさ……後は察して!
「分かってるなら話は早い、さっそくなってもらおうか」
『分かってるからこそさせないように抵抗させてもらおう!』
肉壁を作るように甲賀忍軍たちがぞろぞろと現れ、忍具も大量に構える。ワンチャン自分がやられてもこれで気つけという算段だろうか?
(うーん、でも確かに厄介ね。忍者は結界の中に放り投げればいいんだけど、問題はあの毒……触手が影響受けるか未知数だし)
アリスのメインウェポンは触手だ。これがないと効率が半減するといっても過言ではないだろう。それに毒がかかった時にどうなるかが未知数な以上、警戒心は抱いてしまう。
(万一の時の為に毒を改竄して……で……投げる直前に割るしかないわね)
これまでの戦闘から大体コードを発動したと同時に投げてくるのはわかっている、だからそろそろ来るはず。
(……それでも忍者が邪魔だけど、やるしかないわね)
ここまで高速分析をしたアリスがその理由で触手を忍者たちの隙間を縫うように伸ばして小瓶の破壊にかかる。だが、それは千代も待ち構えていたこと。確かに近づく分破壊しやすくなるが当てるターゲットが自ら来てくれるのは夏の虫案件――! 千代も笑みを浮かべる!
現実は厳しかった。
アリスも千代も仰天していた。
乱入してきた謎の大具足――フォルティストラを装備した影華が小瓶を体当たりで破壊していた。
フォルティストラは大具足だ、当然毒の影響を受けないし、中の影華も影響を受けない。むしろアリスの思考した通り、体当たりで破壊されたことで千代に毒がかかってしまった。なお若干えっちなおくすりが混ざっている。改竄に成功した分だ。
(……これはこれで僥倖かしらね)
『あ……あ、あ……』
千代を再び麻痺と痙攣が襲う。二度目とはいえ、慣れるものではない。
「……なんとなく脱ぐタイミングを逸して『フォルティストラ』を着用したままでしたが、おかげでその小瓶の中身を浴びずに済みそうです」
むしろファインプレーである。
「さて貴女、身のこなしに大層自信有りげですけど、この前の戦争に参戦していた面子のような絶対先制や射程無限や万物貫通やらはお持ちですか?」
「ああ、神秘無効とかもあったわね」
『なん……だ? そん、なの……つか、えるか……使えたら……使え、たら』
「まぁそうでしょうね、使えたら使ってますよね、ですが使ってこない。ならば使えないという事。
加えて貴女は麻痺した状態。それなら貴女の攻撃前にUC詠唱を挟めますし――」
瞬間。
「こうして鈴乃宮・光華お姉ちゃんが、試される大地・蝦夷地に参上できるというワケにゃー!」
影華の口調が変わり――姉の口調となった。同時に暴風が巻き起こり、忍者や忍具を吹き飛ばしていく。
『なんだ……風、か? くっ、なぜだ、寒い、どころ、か、なんか恍惚感、まで、感じてしまう……もっと、もっと、だ……!』
どこかトロンとしたようなアヘ顔になっている千代。毒薬とえっちなおくすり混ざったの受けたらそりゃあ……ね。つい影華がツンツンとしてはひうっ、と声を上げる千代。
「ふふ、敏感になって動くのもままならないでしょ❤ 感度3000倍まではやってあげないけど」
あ、悠々とアリスが歩いてきた。そうか忍軍たちが吹き飛んだから。
「それもあるけど吹き飛んだ忍軍たちなら今頃『夜』の結界の中で分身達がおいしく頂いてるわ」
そっちの実況もしたいが尺の問題もあるので割愛。さて。
「この風が気になるのかにゃ? ふっふっふ、実は今、お姉ちゃんの周りには、めちゃめちゃ優しいサイクロンと、めちゃめちゃ厳しい世間の風が常に吹き荒れてるのにゃ……」
この風はどういうことなのか余裕そうに説明する影華。これも彼女のコードの力だ。世間の風(物理的暴風)だが。
「でもそんなんでも感じちゃう辺り今大チャンスなのかにゃ?」
「まぁそうでしょうね」
「それに甲賀ニンジャとその得物たちは身を切る寒さは耐えられても身を斬る暴風は耐えられるかにゃ?」
「ま、耐えられたところで私の分身たちがおいしく頂いちゃうけど。耐久力(意味深)あるのは好きよ?」
『は、私の、自慢の、忍軍たち、だ……そんな、ごときで、ひうっ!?』
アリスが千代の胸をこけしで軽くたたく。それだけで千代は報告書に書けない顔をして痙攣していた。
「そのリーダーがこれじゃあ、世話ないわね」
「ほんとにゃ、カメラにも風かけて映像見えにくいようにした方がいいかにゃ?」
マジでヤバい時はお願いします。まぁそれはともあれ現在進行形で千代に恍惚を与えながら傷つけている風が千代に切り傷を増やす中、アリスがいよいよとばかりにこけしをコードの力を込めながらソフトタッチ。
「腰が抜け意識が飛ぶほどの快楽で蹂躙してあげるわ❤ 弱火でじわじわと炙るように……じっくりとね♪ 私の領域支配からは逃げられない☆」
その後はアリスの攻め(意味深エナジードレイン)が薬が切れるまで続いたという。影華どんな顔して見ていたんだろうこれ。ちなみにこの辺りの映像は影華の風でよく見えないのでご想像にお任せします。
ちなみにこれ何がヤバいかって敵対心と快楽耐性も削ぐところ。つまり段々戦意喪失しながらも薬が切れてきても快楽耐性減少は残ってるわけで、つまり薬が切れるとどうなるかというと。
『……』
身のこなしは戻りながらもはー、はー、と息を大きくつく千代。戦意喪失と恍惚感が体を苛まれているいる状況になっている。
『わかっている、こんなの、暗殺者としてもくノ一としても失格だというのに、くっ……!』
もうすべて投げ出して目の前のアリスに全部求めたくなってしまう。でも最後の意地がつなぎとめている。精神だけでもそれなのに、フィジカルの方だってリアルに傷だらけで、千代の最初の余裕やぷにぷに色白の肌は見るもなく赤く染まっている。
もう少しで(形はどうなるかわからないが)倒せそう、と予感はしていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍臥崎・まきな
【SPD】
「――ふむ、曲芸か。毒薬の存在を詳らかに語る所からしても、技量は高いが草としては三流としか言えぬのう…」
口で挑発をしながら、両眼で静かにUC発動
(因往推来……因果を以て天眼通を成すッ!)
現在から未来を『観る』ことで投げつけられる小瓶を、ひいてはここから始まる攻撃を、神通力に等しい力で完全に『見切る』
(さて、攻め手に欠ける状況ですが…『あの話』、試してみるとしますか)
『――m'aider』‼
手にするは漆黒の刃を持つ円月輪
(呼び掛けに応える以上、何らかの意思が介在すると認識していましたが、私が『使える』武器を送ってくるとは……どういう仕組みなのでしょう?)
円月輪を手に、派手さは無いが無駄も無い動きで、喚び出された甲賀衆と相対。囲まれないように注意深く立ち回る
(異世界でもやはり同門…私の瞳術の力も相まって動きが完全に「分かる」上に……この円月輪の威力。負ける気が…しませんね!!)
「ちぇりゃああああああッ!!」
裂帛の気合と共に全身を使って力の螺旋を練り上げ、望月千代に円月輪を叩きつける
まきなはふむ、と千代を見て思考する。
(もう少しで倒せそうな傷模様ですが……今一つ決め手はない……なら)
あの話、そしてここまで聞こえてきたあの言葉。試してみるのも悪くはないだろう。だが、そのためにはまず隙を作らなければ。そこでまきなは一つ、演技を試みる。
「――ふむ、曲芸か。毒薬の存在を詳らかに語る所からしても、技量は高いが草としては三流としか言えぬのう……」
『なんだと……!?』
「暗殺者なのにそのように傷だらけでなおも立ち向かうところからも程度がしれる」
『おのれ、言ってくれるな! こんな体でも指示はできる! 行けっ!』
挑発してみたのだが意外と乗ってくれたようだ。千代の指示で忍者たちが襲いかかり、その隙間を縫うように千代から投げられる小瓶。
だが、計算通りだ。
(因往推来……因果を以て天眼通を成すッ!)
水練忍法『瞳術・三世因果』。まきなの昏き両の眼は、正に神通力が如く数秒先の敵の動きを正確に読み取る。現在から未来を『観』て、小瓶すらも完全に『見切る』。即ち、最適なルートを先に知ることができるという事。ひらりひらりと機敏な動きで小瓶をかわしつつ忍者の隙間を縫って千代に肉薄。
――ここで攻め手に欠ける状況なのがまきなの悩みだった。だが、他の猟兵たちの戦いの様子から『あの話』を試すに価値ありと判断し、使ってみる!
「――m'aider!!」
瞬間、まきなの近くの空間が歪み、漆黒の刃を持つ円月輪が現れる! 千代はまたかと動じない反面、まきなは逆に動揺していた。
(呼び掛けに応える以上、何らかの意思が介在すると認識していましたが、私が『使える』武器を送ってくるとは……どういう仕組みなのでしょう?)
そう、円月輪は彼女自身も装備として持っており、使える武器だ。まさか自分の情報がどこかに漏れている? ……だが今は考えている暇はない。
(先ほど突破して肉薄した以上、倒さなかった忍者たちは恐らく背後から来る、なら)
忍者たちが背後から来るのを察したか千代の後ろに回り込むまきな。当然千代も振り向いてバックスタブは取れなくなるが、忍者たちはこれで正面から来るため挟撃の心配はない。読みは当たり、千代の後ろから襲いかかる忍者たちをまきなは円月輪を手に無駄のない動きで次々と倒していく。忍者たちも包囲しようと躍起になっていたが、そのたびにまきなは近くの忍者の胸を蹴り、勢いで空中に宙返り跳び、その高さで輪の外に出てみせた。
(異世界でもやはり同門……私の瞳術の力も相まって動きが完全に「分かる」上に……この円月輪の威力)
まきなの顔にふっと笑みが浮かぶ。
(負ける気がしませんね!!)
忍者たち相手にはまず負けない、その言葉通りに忍者たちを蹴散らしたまきな、その勢いを殺さないまま再び千代に迫る。
「ちぇりゃああああああッ!!」
気合を込めて駆け出せば千代が応戦せんと侵略蔵書を構える。対してまきなも力の螺旋を練り上げ、円月輪にこめて叩きつける――!
侵略蔵書が、空を舞う。
その頁は、一部破れていた。
『なっ……私の、侵略蔵書が!』
「これで、終いよ!」
『――っ!!』
致命の一撃。心臓への、肺への、円月輪の一撃。千代も勿論腕で庇うが、もはやボロボロの姿で動きが鈍っており、一瞬遅れたのが災いした。
――胸からとめどなく流れる血。崩れ落ちるように倒れ、地に伏す千代。
『なぜだ……なぜ、私がここまで負ける! 余裕を見せ、動揺させ、精神面での優位を持って行く……それに禁軍猟書家の力と私の力量さえあれば、勝てるはずなのに! なぜ!』
――ああ、そうだ、私にも、あれがあれば! その言葉にまきなが何をしでかすのかと身構える。
『m'aider――!!』
だが、言葉に反して、千代の周りの空間は歪まず、当然新たな武器が出ることもない。
『――っ! なんで! どうしてっっ!!』
「どうやら、見放されたようじゃの」
地面を悔しそうに叩く千代に冷酷に告げるまきな。
『くそっ、お前らだけが! そうやって! 訳も分からぬ強化を受けて! ずるいと思わないのか!』
「ずるいと思う? それをおぬしが言うか」
――まきなには、なんとなく彼女の言いたいことがわかる。でもだからこそ、残酷に告げる。
「――ずるいことを、汚いことをするのは、忍者の、暗殺者の基本であろう?」
『ーーーーーーっっ!!』
千代の慟哭が響き渡る。まるで自分を否定するかのような言葉と、それを確かにと思わざるを得ない自分への、悔しさから。
「では、終わりにしよう」
もう黙れとでも言うようにまきなの円月輪が、千代の喉元を貫く。
「忍者らしく、無言のまま散れ」
首から血が流れ、声帯を貫かれた千代はついに喋れなくなり、顔まで地面に倒れる。
そして暫くどうにか動こうと痙攣していた体も、失血と蝦夷地の過酷な環境に耐えられず、遂には動かなくなった。
――禁軍猟書家が1人、望月・千代はここに死んだのだった。
●
――それは千代の死が確認出来てから一瞬のことだった。
周囲の空間が、『m'aider』を唱えた時よりも遥かに強い勢いと範囲で歪んでいく。まるでそれらに投げ出されるかのような浮遊感を猟兵たちが一瞬感じた、直後――歪みは突如止まった。周囲の風景は先ほどまでとは明らかに違い、どこかに転移させられたのだろうと察せられる。
ではここはどこなのだろう。少なくとも千代の姿はない。見た感じサムライエンパイアだが――今度は蝦夷地ではないようだ。
程よい冬の寒さ、春の芽吹き。それらが心地よく猟兵たちを撫でる。まるで戦い終えた猟兵たちを労うかのように。いずれグリモア猟兵が気づいて自分たちを回収してくれるだろう、そう考え猟兵たちはオブリビオンを警戒しながらも思い思い羽を伸ばす。
そんな中で、まきなはといえば。
(……カッコつけられましたかね、弟子に対して)
少しはこの戦いを自分の武勇伝にできたかな、と戦いを反芻するのだった。
(……そろそろ、『合流』してもいい頃でしょうか……それとも……)
●
禁軍猟書家を倒したこの先の未来に何があるかはわからない。
猟書家との戦いはまだ続くのかもしれないし或いは終わるのかもしれない。
それでもこの戦いが猟書家勢力壊滅への嚆矢とならんことを、猟兵達は願わずにはいられなかった。
成功
🔵🔵🔴