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麦酒の海、禁酒令!

#封神武侠界 #戦後 #ハビタント・フォーミュラ #エクスマトリックス・オーバーロード #禁軍猟書家

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●麦酒の沸きドコロへ
 ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、とある依頼の説明を始めた。
「『第二次聖杯戦争』の大勝利、お祝い申し上げます。さてその後、金沢市・卯辰山公園を調査していた猟兵の皆さま方により、直径5m程の『超空間の渦』が発見されました」
 精神を強く集中した時のみ見えるこの渦の正体は、異世界に逃走した『ハビタント・フォーミュラ』が使用した次元の門……『|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》』の入口と推測される。
 猟兵達の戦場制圧が想定以上に迅速だったため、敵は逃走経路を抹消する暇もなく、隠蔽する事が精いっぱいだったのでしょうと、ヴェルタールは語る。
 この渦に飛び込めば、ハビタント・フォーミュラの足取りを追うこともできるかもしれない。
「ですが、渦の先には『禁軍猟書家』なる敵が待ち受けている事が予知されました」
 元々、書架の王である『ブックドミネーター』を守護する為に編成された、精鋭の近衛兵達だという。
 待ち受ける禁軍猟書家の罠。あるいはこれも、ハビタント・フォーミュラが、猟兵の追跡を想定した対策の一環なのかもしれない。
「ですが、禁軍猟書家との遭遇は、我々にとってもチャンス。この相対を逆手にとり、敵を撃破できれば、長きにわたる猟書家との戦いに終止符を打つ道筋が見えてくるかもしれないのですから」
 その第一歩となるならば、あえて苦難に飛び込む事もやぶさかではあるまい。

 ヴェルタールの予知によれば、超空間の渦に飛び込んだ先は、『封神武侠界』……のはずだった。
 しかしそこにはなぜか、骸の海の中、球状に浮かぶ『麦酒の海』が広がっていた。
「この海の成分を分析したところ、金色の麦酒……すなわちビールであると判明いたしました。更に、この海底からは、酒を飲めば飲む程強くなる危険なオブリビオン『くじゃくさま』の群れが、それはもう泡のように湧き出し、襲い掛かってきます」
 無限のエネルギー源を味方につけたくじゃくさまは、麦酒を飲みまくって強化した状態で攻撃してくるだろう。
「千鳥足でもお強いようですね、このくじゃくさまは」
 古今東西、酔っ払いには手を付けられないと相場が決まっている。ならば、そもそも相手に酒を飲ませなければいい。
 つまり、くじゃくさまに酒を飲ませないような工夫があれば、戦いは楽になるでしょう、とヴェルタールは助言した。

 くじゃくさまを撃退すれば、いよいよ禁軍猟書家である『きりんさま』との対決に臨むことが出来る。
 『麦酒を無限に湧き出させる』という能力を持つ、この麦酒の海の元凶である。
「厄介なことに、きりんさまの周囲には、麦酒バンザイと集まってきた精鋭のくじゃくさまが、多数酒宴に興じております。またもや麦酒でパワーアップしながら、きりんさまと同時に襲い掛かってきます」
 きりんさまとくじゃくさま、ダブル『さま』との戦闘となるが、先の戦闘同様、『飲酒、ダメ絶対』作戦が有効だ。

「禁軍猟書家とは、なんとも不可思議な能力を操るものでございますね。皆さまはアルコールに惑わされず、敵の撃滅に専念してくださいませ。もちろん、未成年の飲酒はいけません、ゼッタイ」
 めっ、と猟兵達を戒めるヴェルタールだった。


七尾マサムネ
 酔拳的なパワーアップの仕方をするオブリビオン鳥たちと、酒宴の主である禁軍猟書家『きりんさま』を何とかしましょう!

 一章、二章ともに、「敵に麦酒を飲ませない」方法がとても有効です。
 もちろん、このお酒、未成年の猟兵さんは飲んじゃダメです。
 大人な猟兵さんもあんまりおすすめできないと思われます。オブリビオン製?のお酒なので……。

 それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『くじゃくさま』

POW   :    美しさは罪
【尾羽によるビンタ】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
SPD   :    見惚れておしまい
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【自前の尾羽】で包囲攻撃する。
WIZ   :    見惚れなさいよぉおお!!
【無数の尾羽】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マックス・トール
きりんさまって、呼ばれた気がするけど、違うんだよね。
ウサギが逃げ出した穴には、同族もいるのね。
酒、ぼくは好きじゃないんだよ。
あのお猿さんが知ったら飛び込みそうだけど、伝えないほうがいいね。

だったら、首を伸び縮みさせながら相手にスキを突かせないように薙ぎ払いながら敵を吹き飛ばそう。
でも、相手は鳥だしねー…尾羽が邪魔そうだけどね。
時折フェイントで前足伸ばして槍のように蹄を突き立てたりするよ。



 きりんさまって、呼ばれた気がする。
 けれど、どうも違うらしい。
 ハビタント・フォーミュラを追って、マックス・トール(伸縮自在・f38807)がたどりついたのは、球状の空間。骸の海ならぬ麦酒の海だった。
「ウサギが逃げ出した穴には、同族もいるのね」
 きりんさま。禁軍猟書家だなんて、たいそうな肩書の持ち主。
 しかし、外見だけなら、マックスとさほど変わりない。なんなら、普通のキリンに混じっていても気が付かないかも。
 現状を把握しようと、周囲を見回そうとしたマックスの嗅覚を、独特の香りがふんわり包む。
 アルコールの……その中でも、麦酒の放つ香気だ。
「酒、ぼくは好きじゃないんだよ。あのお猿さんが知ったら飛び込みそうだけど、伝えないほうがいいね」
『おーっほっほ!』
 マックスは、奇声を耳にした。
 視界に、麦酒の海を泳ぐようにして、キャッキャとはしゃぐ妖獣ども……くじゃくさま達の姿が飛び込んでくる。
『おビール! おビールだらけですわ~!』
 麦酒風呂。ある意味、封神武侠界っぽい酒池肉林を感じさせる響きではある。
 匂いだけで、くじゃくさまの体は、ほんのり赤みを帯びている。本格的に酒宴に興じられようものなら、マックスは酔いどれ鳥の厄介さを体験する事になるだろう。
「だったら」
 ぐいん。
 マックスは首を伸ばした。麦酒溜まりに顔を突っ込もうとしていたくじゃくさまに向けて。
『ぴゃっ! なんですの!? それよりおビールを……』
 ぐいん。
『なんのっ、もう一度……!』
 ぐいん。
 酒を飲もうとするたび、マックスの首が伸びてきて、それを阻む。
 それどころか、くじゃくさま達を薙ぎ払い、あちらこちらへと吹き飛ばしてやった。
『ぴゃー! あれってきりんさま?』
『似てるけど違いますの』
『おビールタイムを邪魔するなんて許せませんわ!』
 きっ!
 くじゃくさまが、恨みがましいまなざしでマックスを睨んだ。
 きらびやかな尾羽が、発射される。びゅん、と空というか海を飛び回って模様を描く。
「おっと」
 しゅん。
 とっさに首を縮ませて、尾羽をかわすマックス。
『あの首に気を付けていれば安心安全ですわ!』
 早くもマックス攻略法を編み出したと、悦に入るくじゃくさま。
『もうその手は通じませんのよ!』
「ごめん、今度はこっちなんだ」
 ぎゅん。
 マックスが新たに伸ばした前足が、くじゃくさまの顔面を捉えた。
『ぎゅむっ』
 めりこむ蹄。それはもう、槍のように鋭かった。ほろ酔いなんてばっちり覚めてしまうほどに。

成功 🔵​🔵​🔴​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携カオス叩き込み大歓迎
一応、それなりに酒は強い方

いやちょっと待って!?
これ、罠と知らずに飛び込んでいたら
酒精に弱い猟兵はひとたまりもないんじゃないか!?
僕はまだ大丈夫だけど…酔っ払いが量産される前に予知されてよかった

くじゃくさまに酒飲ませない工夫、か…
いや、目の前のくじゃくさま
見惚れておしまいとアピールしつつ
グビグビと麦酒を飲んでいるんだけど
コレ、どうやって止めよう…(思案)

というわけで、「属性攻撃(炎)」を黒剣に纏いつつ指定UC発動し
燃え盛る炎の「衝撃波」で周囲を「なぎ払い」麦酒を蒸発させながら
自前の尾羽ごとくじゃくさまも纏めて「吹き飛ばし」てやるな
…何だろう、このカオス



 どぶん。
 超次元渦に飛び込んだ館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)を迎えたのは、液体に満ちた球状空間だった。
 途端に押し寄せるアルコール臭。ここが麦酒の海……!
「いやちょっと待って!? これ、罠と知らずに飛び込んでいたら酒精に弱い猟兵はひとたまりもないんじゃないか!?」
 恐るべし。
 逃亡者の悪戯心……というより、悪意を感じる敬輔。
「僕はまだ大丈夫だけど……酔っ払いが量産される前に予知されてよかった」
『おビール最高ですわ~』
 とろけるような声に、敬輔は振り返る。
 そこには、凛々しい尾羽をもったくじゃくさま達が集って、目をキラキラさせている光景が。
『右も左もおビール! 夢の国ですわ~!』
「僕的には、右も左もくじゃくさまだらけの鳥の国だけど」
 敬輔のつぶやきは、届いていないらしい。
 今はうっとりしているだけだからいいが、本格的に飲みモードに入られたら厄介だ。酔っぱらって、右も左もわからなくなったら困る。
「くじゃくさまに酒飲ませない工夫、か……」
『あら、宴に彩りを添えにやってきたんですの? さあ、私達の艶姿に見惚れなさいな~!』
 ふぁっさぁ。
 ようやく気付いた敬輔へと、尾羽をこれ見よがしに広げてみせるくじゃくさま。
 構える敬輔。あの尾羽は追尾型ミサイルのように、こちらを執拗に狙ってくるはずだ。
「……いや」
 グビグビ。
 目の前のくじゃくさま達は、見惚れておしまいとアピールしながらも、麦酒を飲むのに夢中だ。
『ぷっはー! この一杯のために生きてますわ!』
『きりんさま、サイコーですわ!』
 始まるきりんさまコール。
 敬輔は、生暖かいまなざしでくじゃくさまの酒宴を見守った。いや見守ってる場合じゃない。
 誰かがストップをかけないと、くじゃくさまは、どんどこパワーアップしていってしまう。
「でもコレ、どうやって止めよう……」
 表情を消した敬輔は、黒剣に炎をまとわせた。
 ユーベルコードで、さらに火力マシマシ。
「えい」
 燃え盛る炎の衝撃波が、野放しにされていた尾羽をなぎ払う。更には、軌跡上に存在する麦酒を蒸発させながら、くじゃくさままで到達。
『あら何かがこちらに……わひゃー!』
『ふぁいやーですわ!』
 なぜか歓声とともに、吹き飛ばされるくじゃくさま達。
『お花火! お花火が見えますわ!』
『猟兵、もっと私達を楽しませるのですわ~ヒック』
 吹き飛ばされたり踊り狂ったり、敬輔を酒宴に迎えたり。くじゃくさまは、麦酒の海をエンジョイしていた。
「……何だろう、このカオス」
 敬輔の瞳からは、正気の色が薄れていくようだった。一滴も飲んでいないのに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

千鳥足のくじゃくさまを観察
…ふらふらしてる
ま、まつりん、支えに行った方がいいかな?

くじゃくさまに近づけば
ふわふわ羽毛の魅惑の丸ぼでぃ
…かわいいが過ぎてしんどい(はぁはぁ)
ばしばし当たる尾もしゅっとしてて素敵
ある程度はうさみん☆に受けてもらってダメージ分散しつつ
くじゃくさまにはお酒のおつまみ、畑のお肉=大豆を目一杯お振舞いしよう

さ、どんどん食べて?
そして食い潰れてその魅惑ぼでぃをわたしにさらけ出して?
出来うる事なら、そのご立派な尾と丸ぼでぃに包まれてお昼寝してみたい
鳥くささ、控えめに言ってサイコー

まつりんもくじゃくさま一杯やってく?
堪能したら海に還そうね(抱き潰し


木元・祭莉
あー、アンちゃん(f16565)のトリスキー発作がー。

孔雀さまが波打ち際をよちよち。
後ろをアンちゃんがフラフラ。
うーん、トリ臭いよりも酒臭くない?

キリン様?
あ、柄杓に顔絵が貼ってある。
へえ、このお酒はキリン印なんだね。

ちょっと舐めてもいい?
ぺろ。
うわあああー!(叫び)

たまこが水浴びした味がした!(←何故知ってる)
たぶん! きっと!
これは。ダメだ。ぜったい。死ぬ。(超絶まがお)

そうだ、口開けなきゃ飲めないよね。
くるり回って、ふわり舞い上がり。
扇乱舞!(しゅぱぱと羽根を打ち払い)

大丈夫、おいらが正気に戻してあげる!(友好的?)
絆で嘴をぐるぐる巻いて、飲酒は禁止!

あー、アンちゃんの愛がつよいー。



『無限おビール、さいこーですわ~』
『ふわふわのお夢心地ですわ~』
 金色の海に抱かれて。
 すっかり千鳥足のくじゃくさま達を、木元・杏(ほんのり漏れ出る食欲系殺気・f16565)は、どきどきわくわくしながら観察していた。
「……ふらふらしてる。ま、まつりん、支えに行った方がいいかな?」
「あー、アンちゃんのトリスキー発作がー」
 木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)は、はすはす、鼻息の荒い杏を見て、棒読みした。
 ドクター・祭莉は、唯一の治療法を杏に示した。トリのもふもふを堪能するしかない。
「ならば」
 そそっ……。
 くじゃくさまに近づく杏。
 間近で見る丸鳥さまは、ふわふわ羽毛の魅惑の丸ぼでぃ。
「……かわいいが過ぎてしんどい」
 はぁはぁ。もうこれはもふるしかない。
『庶民め、ですわ!』
『おノーブルなわたくし達に馴れ馴れしく近づくなど許せませんわ!』
 ぐさぐさ。
 くじゃくさまが発射した綺麗な尾羽がばしばし当たっても、杏の笑顔はノンストップ。
「尾もしゅっとしてて素敵」
『この方、効いてませんの?』
『おかしなやつですわ!?』
 くじゃくさまに蔑まれても、むしろ杏にとってはご褒美の類。喜びが痛覚を無効化している。
 とはいえ、尾羽全部を受けていたらさすがに大変なので、半分くらいはうさみん☆に受けてもらってダメージ分散。
 そんな、見ようによっては微笑ましい光景を、祭莉はただ見守っていた。
「孔雀さまが波打ち際をよちよち。後ろをアンちゃんがフラフラ」
 おまけに尾羽がぐさぐさ。なんとまぁ牧歌的な光景だろう。
 もうこのままでもよくない? 祭莉は一瞬そう思ったけれど、そういうわけにもいかないのです、というグリモア猟兵の笑顔が脳裏をよぎった。……笑顔?
「くじゃくさま。庶民からの差し入れ」
 すっ。
 杏が差し出したのは、お酒のおつまみ。畑のお肉すなわち大豆を目一杯お振舞いした。
『こっこれは』
『気が利きますわね~』
 ぽっぽー。
 とは鳴かないけれど、杏のお供え大豆を、くじゃくさま達はむさぼった。
 杏の献上に、くじゃくさま達は、何の疑問を持たずに歓喜している。すっかり酔いが回っている証拠だろうか。
「さ、どんどん食べて?」
 もきゅもきゅ。
 言われなくともと、豆をついばむくじゃくさま達。
『美味ですわ~』
『このおつまみがおビールを最高オブ最高にするのですわ~』
「そして食い潰れてその魅惑ぼでぃをわたしにさらけ出して?」
『何か言いましたの?』
 ふるふる。
 杏は首を横に振った。
 食欲を満たした上に、アルコールにすっかり呑まれ。すっかり無防備になったくじゃくさま達に、杏は身を投げ出した。
 苦情は出ない。ご立派な尾と丸ぼでぃに包まれた杏は、念願のお昼寝に興じる。ふかふかくじゃくクッションが、その身を包む。そしてトリ吸い。
「鳥くささ、控えめに言ってサイコー」
「うーん、トリ臭いよりも酒臭くない?」
 祭莉はそう思ったけれど、その前に、杏から丸鳥が差し出される。
「まつりんもくじゃくさま一杯やってく?」
「一杯?」
『麦酒無限沸き、きりんさま、サイコーですわ~』
 崇めるポーズのくじゃくさま。
 祭莉は、首を傾げた。くじゃくさまの手……手? に握られた柄杓に目が行く。
「キリン様? あ、柄杓に顔絵が貼ってある」
 ちょっと写実的なイラスト。なんだか癖になる感じ。
「へえ、このお酒はキリン印なんだね」
『きりんですわ~』
「ちょっと舐めてもいい?」
『気分が良いのでお特別に許しを出してさしあげますわ~』
 酔いどれくじゃくさまに勧められ、祭莉がチャレンジ。
 ぺろ。
 舌に触れるか触れないかのうちに。
「……う、うわあああー!」
 祭莉の絶叫が、麦酒の海にとどろいた。
「ぺっぺっ! たまこが水浴びした味がした! たぶん! きっと!」
 なぜ知っているのか。もしそうならどんなシチュエーションだったのか。
 真相は闇の中ながら、ともかく、そうとしか形容の出来ない味が、祭莉の舌を焼いた。
「これは。ダメだ。ぜったい。死ぬ」
 超絶まがおで超絶断言する祭莉。
 これはくじゃくさまにも飲ませたらいけない。
 そういえば、ずももん、と、さっきより存在感が増しているような気がする。
『お礼に尾羽でもてなして差し上げますわ! 頬をお出し!』
「ビンタする気だよね!? そうだ、口開けなきゃ飲めないよね」
 祭莉は、くるり回って、ふわり舞い上がり。
「扇乱舞!」
 しゅぱぱ! 酔いに任せて襲い来る尾羽ビンタを打ち払う祭莉。
 尾羽が爆発し、アルコールも吹き飛ぶ。
「大丈夫、おいらが正気に戻してあげる!」
 夢色の絆が、くじゃくさまの嘴を、ぐるぐるに巻いた。
『むぐぐー!!(これじゃおビールが飲めませんわ!!)』
「飲酒は禁止!」
 びしっ!
 祭莉の発した禁酒令が、くじゃくさま達を地獄のずんどこに突き落とした。それはもう、ふくよかだったボディが、しゅしゅっとやせ細るほどに。
 その頃、杏は、くじゃくさまを堪能していた。ここは天国のビーチでは? 至福ゲージもMAX。
「さ、そろそろ海に還そうね」
『海……ですの……?』
 次の瞬間、とろん、ととろけていたくじゃくさまの目が、ぱっちり開かれた。
 ぎゅむっ。
 杏の笑顔と怪力に包まれて。くじゃくさまは、抱き潰されていくのだった。
『あ~天にも昇る心地ですわ~』
『さらばですわ~……』
「あー、アンちゃんの愛がつよいー」
 天使の輪と羽を新たに得て。
 昇天していくくじゃく様たちを、祭莉は手を振って見送ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

結・縁貴
スー帅哥(f23882)と

オブリビオン製の酒を見て、飲めないの残念…って顔出来るの才能だよね
褒めた訳じゃないかなァ!

しかし…酒臭ェ…!
哎呀、頭くらくらする…
(※本性が虎に近い瑞獣なので、アルコール耐性が低いです)
…まァ見ての通り苦手だね
傍で飲まれるくらいは問題ないんだけど、流石に量が多いな
場繋ぎで斬っとこう
(自分の「酩酊感」の御縁を斬る)
応? 此れ、敵にも通じるかな?

丸い。転がりそう。そして五月蠅ェ!
触りたいなら酔いを冷まそうか(「酩酊感」の御縁を斬る)
…いや駄目だ、酔ってなくとも敵だったなこの鳥
眠らせるの?お優しいね、スー帅哥
眠ったまま火炙りとか拷問かよ!?
や、優しくない!むしろ容赦ない!


スキアファール・イリャルギ
縁さん(f33070)と

無限ビール…なんと羨ましい、お酒代浮きそう
(※お酒は滅茶苦茶飲める人)
…味見しちゃダメですか?
むぅ、オブリビオン製でなければよかったのに
えっ天才ですか私。照れますねぇ(※天然)

わっ縁さん大丈夫ですか?
騶虞にお酒って好くないのでは? 早く終わらせねばですね
おぉ、酩酊感とも縁が切れるとは流石です
…この手、使えるのでは?

はっ、これは他世界でも存在するもっちり鳥さん(勝手に命名)
なんと可愛らしい、撫で――あっでも酔っ払っていてダメそう
はっ縁さんナイスです…って凶暴さが変わってない!
ここは私のUCで眠らせてみます
もっちりを堪能したらお酒の海に沈めて炎(属性攻撃)で燃やしますので…



 広がる金色の揺らめきの正体は、麦酒。
 禁軍猟書家の作り出した摩訶不思議現象を、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は、羨望のまなざしで見つめていた。
「無限ビール……あぁなんと羨ましい、お酒代浮きそう」
 幸いにも、お酒は滅茶苦茶飲める。
 しかも、きりんさま印の麦酒とあれば、味はなんだか保証されてる気もする。
 ごくり。スキアファールの喉が鳴る。
「……これ、味見しちゃダメですか?」
「普通に駄目じゃないかな」
 スキアファールから懇願の問いを向けられた結・縁貴(翠縁・f33070)は、ふるふると頭を左右に振った。
 ぽこぽこと浮かびあがる炭酸の泡は、得体がしれない。縁貴としては、よくないものを感じ取っていた。
「むぅ、オブリビオン製でなければよかったのに」
「スー帅哥、オブリビオン製の酒を見て、飲めないの残念……って顔出来るの才能だよね」
 縁貴が生温かな笑顔で言うと、スキアファールはついつい破顔した。
「えっ天才ですか私。照れますねぇ」
「いや褒めた訳じゃないかなァ!」
 真に受けて上機嫌のスキアファールに、縁貴はスパンとツッコミを決めた。実にツッコミがいのある天然であった。
 だが縁貴は、大声を出したついでに、顔をしかめた。
「しかし……酒臭ェ……! 哎呀、頭くらくらする……」
「わっ縁さん大丈夫ですか?」
 ふらり。よろめく縁貴を、慌ててスキアファールが支えた。
「騶虞にお酒って好くないのでは?」
「……まァ見ての通り苦手だね。傍で飲まれるくらいは問題ないんだけど、流石に量が多いな」
 何せ本性が虎に近い瑞獣なので、アルコール耐性は低い。スキアファールとは正反対である。
「これは早く終わらせねばですね」
 スキアファールが惜しそうに見つめた麦酒の海が、音を立てた。
 ずばっ。
 見た目上に変化はない。縁貴が斬ったのは、自分の『酩酊感』の御縁。
 途端に解放感。縁貴の体が、元の重さを取り戻す。頭が不快に重いわけでもなく、体が奇妙に軽いわけでもない。適正体重。
 縁貴の復帰を見て、スキアファールが思わず手を打った。
「おぉ、酩酊感とも縁が切れるとは流石です」
 ? ……!
 スキアファールは不意にひらめきを得た。
「……この手、使えるのでは?」
「応? 此れ、敵にも通じるかな?」
 いける。
 そんな確信を得たスキアファールの視界に、丸いものがカットインしてきた。
『おビール~』
『おビールですわ~』
 自慢の尾羽をぴこぴこさせて、酒にはしゃぐのは、くじゃくさま達の群れだった。
「はっ、これは他世界でも存在するもっちり鳥さん。なんと可愛らしい、撫で――」
 スキアファールが、くじゃくさまに手を伸ばそうとすると。
 しゅば、ばしばしっ!
 くじゃくさまの尾羽が、スキアファールを襲った。
『庶民が気軽に手を触れようなどと、お百万年早いですわ!』
 よく見れば、くじゃくさまの目が座っている。もう酔いが回り始めているのか、質が悪いタイプの目つきだ。
 とっさに縁貴が、スキアファールをかばう。
「スー帅哥、危ない離れて危険動物だ」
『それにつけてもおビールですわ~』
『きりんさまは神さまですわ~』
 わちゃわちゃ。むやみに集まってくるくじゃくさま達の鳴き声に、縁貴は思わず耳をふさいだ。
「丸い。転がりそう。そして五月蠅ェ!」
 しかしそれでも、スキアファールは羨望のまなざし。
 そこで縁貴は、一肌脱ぐことにした。
「触りたいならひとまず酔いを冷まそうか」
 じゃきん。
 縁貴が取り出したるは、巨大な鋏。
 その凶器を見て、器用に尾羽でボディを覆い隠すくじゃくさま。
『ひっ、それでわたくし達を丸裸にするつもりですのね!?』
「安心して。尾羽は傷つけないでおいてやるから」
 先ほどの要領で、『酩酊感』の御縁を狙って斬る縁貴。これでくじゃくさまも酔いがさめて、少しは大人しくなるはず……。
「はっ縁さんナイスです」
 スキアファールが、再び、まるボディに手を伸ばす。
 ぺしっ!
『無礼ですわ!』
『おさわりはご法度ですわ!』
「凶暴さが変わってない!」
「……駄目だ、酔ってなくとも敵だったなこの鳥」
 縁貴の方へも、尾羽が飛来する。
「自慢の尾羽、軽率に武器にしがちじゃねェ?」
 確かにきらきらとして美麗だが、斬られたら、縁どころか首が飛ぶタイプだ。
 さっ。スキアファールが、今度は縁貴の前に出る。
「ここは私のユーベルコードで眠らせてみます」
「眠らせるの? お優しいね、スー帅哥」
 さぁっ、と黒のアイリスの花びらが舞う。スキアファールの『優しさ』に包まれて、くじゃくさま達がスヤァ……と、つぶらな瞳を閉じていく。
 ここぞとばかり、くじゃくさまをもちもちするスキアファール。
「ああ、これこそ望んだもっちり……」
 ひとしきり堪能したスキアファールは、くじゃくさまをリリース。
「さあ、お眠りください」
 お酒の海に沈めて、炎で燃やし尽くした。
「いい手並み……って、いや眠ったまま火炙りとか拷問かよ!?」
 縁とくじゃくさまを断っていた縁貴が、現場を二度見した。
「や、優しくない! むしろ容赦ない!」
 思いのほか無慈悲極まる手口に、さすがの縁貴も戦慄したという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
UCで鎧武者召喚

オジサンがどうしても行きたい戦場があるっていうから来てみれば
何よこれ、ビール?
こらこら、嬉しそうにビールの海にダイブするんじゃないの!
(鎧武者オジサンの首根っこ掴んで呆れ顔

まあ、未成年はどうせ飲めないしね
アルコールなんて全部飛ばしてやるわ
オジサン、行くわよ!

折角のアルコールを飛ばすと聞いてショックなオジサン尻目に
炎の属性攻撃でビールに着火
くじゃくさまを炎で包む
こういうの、フランベっていうんだっけ?

ビールと焼き鳥は良く似合うと、槍と、懐から焼き鳥のたれを取り出すオジサン

何て用意が良いの……なんて感心してる場合じゃなかったわ
そうねくじゃくさまなんて、みんな焼き鳥にしてやるんだから!



『どうしても行きたい戦場がある』。
 そう鎧武者オジサンに真顔で請われ、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)が訪れたのは、超次元渦の向こう側。金色の海であった。
「何よこれ、アルコールの匂い……ビール?」
 どばーん。
 小太刀がちょいと鼻を押さえていると、水柱が上がった。
「わっ、こらこら、嬉しそうにビールの海にダイブするんじゃないの!」
 むんず、と鎧武者オジサンの首根っこを掴んで、小太刀は呆れ顔。
 ハビタント・フォーミュラの罠の正体が、酒の海だとは。まあ、ある一定の対象には効果的だろう。……ちょうど実例もここにいることだし。
 小太刀は、しょんぼりする鎧武者を解放してやりながら、嘆息一つ。
「まあ、未成年はどうせ飲めないしね。アルコールなんて全部飛ばしてやるわ。さ、オジサン、行くわよ!」
『……!!』
 ガーン。
 そんな擬音がはっきりと聞こえるほどのショックを受けるオジサンを尻目に、小太刀は、オブリビオン退治に乗り出した。
 そう、オブリビオンだ。敵は。アルコールに罪はない。たぶん。
『ああっ、またもやお猟兵ですわ~』
『何か面白いお芸を披露して見せるのですわ~』
 もう立つのもおっくうらしい。くじゃくさま達が、てとん、と座り込んで小太刀達に所望する。余興のカツアゲである。
『なにかしないと「こう」ですわ~!』
 ふぁっさぁ、広げた尾羽が、しゅばしゅばと発射された。小太刀達を容赦なく襲う。
「もう完全に酔っ払いね。じゃあこういうのはどうかしら?」
 着火。
 ビールが燃えた。とにかく辺り一面、空気レベルで充満するアルコールに火を着けたわけなので、当然の如く、くじゃくさまも炎で包まれた。
「こういうの、フランベっていうんだっけ?」
『ぴゃー!』
『お火だるまですわ~!』
 わたわた。右往左往して消火しようとするくじゃくさま達。
 すっ。オジサンが、何かを取り出した。消火器……ではない。
 槍。戦場なので当然だ。
 焼き鳥のタレ。焼き鳥がいるので当然だ。……当然?
「ビールと焼き鳥は良く似合うもんね。何て用意が良いの……なんて感心してる場合じゃなかったわ」
 小太刀が、改めてくじゃくさま達と向き合う。
「そうねくじゃくさまなんて、みんな焼き鳥にしてやるんだから!」
 オジサン、うなずく。
 この決意だけ聞けば、勇ましい猟兵のごく普通の戦いなのだった。
 海にたたずんで、ハーッ……と一杯やっている鎧武者から目を逸らしさえすれば。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『きりんさま』

POW   :    敵が冷えてる〜 心ウキウキワクワク~
自身の【麦酒を冷やして格納しているどこかの場所】から、戦場の仲間が受けた【冷たい麦酒が飲みたくて仕方がない切望】に比例した威力と攻撃範囲の【麦酒を冷やすのに最適な高威力の冷気】を放つ。
SPD   :    キリン↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓
戦場全体に【喉が乾き麦酒がとてもうまそうに見える状態】を発生させる。レベル分後まで、敵は【麦酒が飲みたくなって集中できない状態異常】の攻撃を、味方は【喉が渇いてる時の麦酒すげーうめー!】の回復を受け続ける。
WIZ   :    デデデン デデ デデン(ちょっと贅沢な麦酒~)
【飲みたくて仕方が無くなる贅沢な麦酒 】を降らせる事で、戦場全体が【誰もが麦酒を飲みたくて仕方がない宴会場】と同じ環境に変化する。[誰もが麦酒を飲みたくて仕方がない宴会場]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:井渡

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御柱・神です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ふんわり……。
 くじゃくさま達が、天に昇っていく。麦酒の海から、骸の海に転居していくのだ。
 それも、ビールをろくに堪能もできずに。
『むーん、なんたることなんだよ』
 にゅっ。
 今度は長い首が現れた。
『きりんだよ』
 今度こそ、きりんさまだ。
『猟兵。禁軍猟書家の邪魔をするなら容赦はしないんだよ』
 どう容赦しないというのか。きりんさまはさっそく実例を挙げた。
 すなわち、麦酒を無限に湧かせる、という所業を。
 ぽこぽこ、炭酸の泡が浮かび上がり、きりんさまの周囲に、黄金の海を広げていく。
『おビール~』
『おビールの香りですわ~』
 またしても。
 アルコール臭に誘われて、くじゃくさまも湧いてきた。
 誰も頼んでいないのに、きりんさまを中心にして、くじゃくさまの輪ができる。自然発生的に踊りの時間が始まる。
 ダンシングくじゃくさま……もはやキャンプファイヤーの様相。ただし火気厳禁。
『さあ皆で酒宴を楽しもうよ。そいでもって猟兵をこの楽園から追い出すんだよ』
『ご了承ですわ~』
『飲みますわ~』
 くじゃくさまは、すっかり酒盛りムード。
 囲まれたきりんさまも、華麗なステップで、大いに崇められた。
 これ以上の酒盛りを許してはいけない。猟兵ストップをかけるのだ。
響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいた……って」
 丁寧に頭を下げた響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は、フリーズした。
『おビールですわ~』
『おビール湧き湧きですわ~』
 動物たちが、宴会を開いている。
 いや違う。
 可愛らしい鳥のように見えるのはオブリビオン『くじゃくさま』達だし、その中心でやけに崇められているのは禁軍猟書家『きりんさま』だ。
「う、う~ん……」
 しばしリズは、この酒宴を眺めた。困り顔で。
 その間にも、リズの足は、勝手にくじゃくさま達の方へと近づいていた。
 何せ、くじゃくさまは、まるまるとして可愛らしい。しかし、今は、きりんさまの力によって湧いてくる麦酒に夢中の、ザ・酔っ払い。
 何より敵だ。しかもビールを飲むと、どんどんパワーアップしていってしまう。
『来たね猟兵。さあ、おすそ分けだよ』
 きりんさまの声と共に、どこからともなくメロディが響いてきたかと思うと、麦酒の雨が降り出した。きりんさまのユーベルコードだ。
『ひゃっはーですわ~!』
『高級おビールですわ~』
 歓喜の舞を踊るくじゃくさまの皆さん。
 リズさえも、思わず無性に飲みたい衝動に駆られてしまう、金色の雨。
 いつの間にかリズは、くじゃくさまの輪に引きづりこまれていた。
「まず、この子達がお酒を飲むのを止めないといけないのですよね……」
 可愛い、と、飲みたい。
 同時攻撃を仕掛けてくる二つの衝動に抗いながら、リズはルナティック・クリスタを握りしめた。
 やはりここは、きりんさまを狙うしかない。首が長くて狙いがつけやすいのは幸いだった。
 祈りとともに、ルナティック・クリスタを掲げるリズ。
 閃く天光。麦酒の雨に混じって、雷の雨が降り注ぐ。
『こっ、これは、電気おビールですの!?』
『しびしびで刺激的ですの~!』
 酒宴に興じていたくじゃくさま達が、雷麦酒を口にして、次々と痺れていく。これではお酒も飲めない。
 雷は、元凶であるきりんさまへも降り注いだ。
『猟兵、邪魔しないで、一緒に酒盛りを楽しむんだよ』
 きりんさまがリズを睨み、首を左右に振る。
 だが、雷を喰らったせいで、思うように雨が降らせられない。麦酒の雨を、雷の雨が凌駕しているのだ。
『も、もっとおビールを~』
『しびしびのおビールを~』
 へろへろと、申し訳程度に尾羽を飛ばしながら、くじゃくさまはあちこちにこてんと転がる。
 無防備になったそれを、リズは抱っこして、つかの間カワイイを堪能したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

結・縁貴
スー帅哥(f23882)と

きりんさまねェ…
「封神武狭界で麒麟と言ったら瑞獣!
同名で信仰されるとか、紛らわしい事をするな…!」
って此方の麒麟様(死後の禍々しい姿)が申しており。
(※魔の物しか呼び出せないので黄泉からお越し頂きました)

まァ、俺も瑞獣の端くれだから分からなくもない
あのきりんが「瑞獣の麒麟様だ!」とか勘違いされると流石に複雑

さて、とは言え生前より力は乏しいな
応、好い手がある?
成程…はは、御見事だね!
よーし、じゃあやっちゃって下さい(禍々しい)麒麟様!
スー帅哥の新武器と一緒に攻撃だ!
…B級キネマの如き光景だなァ

終わったら食事に行こうよ
俺、焼き鳥食べたくなった。スー帅哥は麦酒も飲んだら?


スキアファール・イリャルギ
縁さん(f33070)と

きりんが喋ってる??(宇宙怪奇)
って宇宙を漂っている間に縁さんが禍々しい麒麟を召喚していらっしゃる!?
麒麟がきりんに怒ってる…不思議な光景
でもその怒りはごもっともです麒麟さん
あのきりんは存在してはいけないきりんです、色々な意味で

UC発動、くじゃくさまを掴んだり口を塞いだりで飲酒を妨害
あとこの酒、酒属性として呑み込めませんかね?
しかしこれではきりんさまに痛打は――
なので縁さんから戴いた情報を試します
この胡乱な状況を打破する力をください一番目の猟兵!『m'aider』!
武器を使い麒麟さんと共に攻撃!

ビールと焼き鳥、最高の組み合わせですね…!
はい、一緒に行きましょう縁さん!



「あァ、スー帅哥が彼方側に飛んでっちまった」
「…………」
 結・縁貴(翠縁・f33070)が、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)の顔も前で手を振った。
 スキアファールの意識は、今まさに、混沌なる宇宙を漂っていた。
 スキアファール達が送り込まれたこの空間。
 華やかな羽を持つ、くじゃくさま達が、酒盛りに興じている。どこから調達したのか、おつまみまで分け合って。
 そこまではいい。ちょっと慣れた。
 だが、この宴の主催者、麦酒無限湧きの根源がきりんであるのはいかがなものか。
『きりんだよ』
「……きりんが喋ってる??」
 宇宙怪奇。
「帰ってこォい」
 縁貴は、猫妖精とともに宇宙に飛んだスキアファールの精神を案じつつも、くじゃくさまに崇められて上機嫌風味の禁軍猟書家を見やった。
『きりんさまだよ』
「きりんさまねェ……」
 長い首をもたげる珍獣……もとい、オブリビオンに、対抗心を燃やすものが一人。
 いや、一体? 一柱?
『封神武狭界で麒麟と言ったら瑞獣! 同名で信仰されるとか、紛らわしい事をするな……!』
「とまあ、此方の麒麟様が申しており」
 黄泉からお越しいただいた、魔の物の言葉をお伝えする縁貴。
 なお、その外見がきりんさまよりよほど禍々しいのは、死後の姿だからだ。
「まァ、俺も瑞獣の端くれだから分からなくもない」
 突き詰めればきりんさまの権能とは、無限に麦酒を湧かせることくらいではないか。
 そんなきりんが、周りからうっかり『瑞獣の麒麟様だ!』などと勘違いされると、流石に縁貴も複雑な感情を抑えきれぬ。
「はっ」
 不意に、宇宙が縁貴の掌に代わる。スキアファールの意識が、久しぶりに引き戻された。
「……宇宙を漂っている間に縁さんが禍々しい麒麟を召喚していらっしゃる!?」
 スキアファールの目前、縁貴の麒麟は、きりんさまと睨みあっている。というか、一方的に敵意を燃やしている。
『おや、同族のようだけどずいぶんと恐ろしい』
 きりんさまが、縁貴の麒麟様を鏡でも見るようにしげしげと見つめた。
「麒麟がきりんに怒ってる……不思議な光景」
 普通の動物に近い方のきりんさまが、より余裕を漂わせているのは、どういうわけか。
「でもその怒りはごもっともです麒麟さん。あのきりんは存在してはいけないきりんです、色々な意味で」
 その背後に浮かぶ文様を見ていると、影人間であるスキアファールでさえも、何か大いなる力に触れてしまいそうな、禁忌を感じざるを得ない。
 止めよう。
『ふぎゅっ』
 麦酒をがぶ飲みしていたくじゃくさまのくちばしが閉じられた。
 更には、そのまるボディまでもが、謎の手に掴み取られていく。
 スキアファールの呼び出した、痩せぎすの影手の仕業だ。
 あまつさえ影手は、周囲に満ちる金色の酒までもぐわりと呑み込み始めたではないか。酒もまた、一つの属性であった。
『ぷぎゅー!(おビール! おビールが飲みたいですわ!)』
 くじゃくさま、禁断症状。
『まあ、きりん同士、一緒に麦酒を飲もうよ』
 ぱあああ……!
 きりんさまが、長い首で円を描くようにすると、世界が輝きだした。
 途端に訪れる渇き状態。縁貴に、麦酒が飲みたくて飲みたくて仕方ない状態が発生する。
が、死んだものにはろくに通じなかったらしい。
 麒麟様は怒りに身を任せ、くじゃくさまごときりんさまへと襲い掛かった。
『おビールサイコーですのに!』
『乱暴ものが割り込んできてサイコーになれませんわ!』
 災厄の襲来に、くじゃくさま達の宴が、わやくちゃにされた。
「くじゃくさまは何とか出来そうですね。しかし集中を乱されてはきりんさまに痛打は――」
「確かにうちの麒麟様も、流石に生前より力は乏しいな。……応、スー帅哥、好い手がある?」
「ええ、縁さんから戴いたあの情報が」
 スキアファールは、ある言葉でもって、世界に請願する。
「この胡乱な状況を打破する力をください一番目の猟兵! 『m'aider』!」
 きりんさまの傍らの空間を破り、スキアファールのもとに一筋の光が飛来する。それは、青龍偃月刀。
 四神の一、東方守護の霊獣の名を冠する武器にて、きりんさまを成敗せよ、という導きであろうか。
 授かりし武器を振るってみるスキアファール。使い手に最適化されたのか、切っ先が影の如く黒く染まる。
 その斬撃は、空間を切り裂くついでに麦酒のアルコールを吹き飛ばし、ただの水へと変換した。
「成程……はは、御見事だね!」
 スキアファールの勇姿に手を鳴らした縁貴は、麒麟様(しごのすがた)を焚きつけた。
「よーし、じゃあやっちゃって下さい麒麟様! スー帅哥の新武器と一緒に攻撃だ!」
 是非もなし。
 軛を外されたように、麒麟様はいなないた。
 スキアファールを背に乗せると、居並ぶくじゃくさま(よいどれのすがた)を蹴散らし、きりんさまへと突進する!
『わあ』
 のんびりとした悲鳴を上げるきりんさまへと、スキアファールは青龍偃月刀を振り下ろす。
 一振りごとに、麦酒が切り払われる。
 斬撃そのものによってぽんぽんと丸鳥達が宙を舞い、酔拳めいたきりんさまと麒麟様が、丁々発止、アクションを繰り広げる。
「……B級キネマの如き光景だなァ」
 麒麟様(まがまがしいすがた)とスキアファールの戦いぶりを見て、感心する縁貴。
 ふと、その心に、欲求が泡のように湧いてくる。きりんさまのユーベルコードとは無関係に。
「俺、なんだか焼き鳥食べたくなった。終わったら食事に行こうよ、スー帅哥は麦酒も飲んだら?」
「ビールと焼き鳥、最高の組み合わせですね……! 是非一緒に行きましょう縁さん!」
 助力してくれた青龍偃月刀に感謝しつつ、スキアファールは大いに賛同した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
大惨事カオスも問題なし!

(死んだ魚の目をしつつ)
いや…あの
禁軍猟書家とわかっているけど…どうにも気が抜ける
って何故麦酒できりんなのか…聞いちゃダメだな、はい

どう考えても火気厳禁な状況ではあるけど
さっきからどうにも麦酒が飲みたくなって集中できないし
ついでにくじゃくさまもまた増殖しているし
いっそのこと全部燃やして早く片付けよっか(暴論)

というわけで指定UC発動後
「属性攻撃(炎)、衝撃波」を出鱈目に「範囲攻撃」
これなら集中できなくても大丈夫…なはず

…ところで
こんなカオスな状況だからこそ、試したい

『m'aider』!

さて、何が出て来るか?
あ、麦酒入りの瓶だけは勘弁な!


マックス・トール
きりんさまって、細かいところまで、ほぼ同じ姿なんだよー!(あとは個体識別レベルの違いはあるけど)
あ、だったら、あっちが持ってない能力で戦うだけなんだよー!

きりんさまには、首を伸ばして頭にダメージ狙いで行く。
上手く行けばKO行けそうだが、下手すると自分もダメージ受けそう。

麦酒が飲みたくなる?
我慢して孔雀巻き込みながら首や前足伸ばして攻撃続ける

アドリブ歓迎



 金色なる不思議空間のただ中で。
 館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、死んだ魚の目をしていた。
 その視線の先には、一頭の、
『きりんだよ』
「いや……あの」
 誇らしげに名乗る敵に、敬輔の呆れは上昇曲線を描く。
「禁軍猟書家とわかっているけど……どうにも気が抜ける」
 そもそも何故麦酒できりんなのか。
 しかしそれは一番聞いちゃダメな気がしたので、敬輔は空気を読んで、口をつぐんだ。
『さあ、麦酒沸きだよ』
 きりんさまの足元?から、金色が湧立つ。
 麦酒のおかわりだ。すると突然、敬輔の喉が渇きを訴え始めた。
 ついでに、くじゃくさままで湧いてくる。
『おビールですわ~』
『二時間飲み放題ですわ~』
「二時間、って……」
 どうしたものか……と敬輔が頭を悩ませていると、新たなきりんが、ぬっ、と現れた。
「あっ」
『あっ』
 新きりん……マックス・トール(伸縮自在・f38807)ときりんさまは、互いの姿を認識した途端、同時タイミングで硬直した。
 二者の間に、不思議な感覚が共有される。その名を親近感といった。
「えいっ」
『えいっ』
 右足上げ。
「やあ」
『やあ』
 左足上げ。
 マックスがポーズをとると、なんでかきりんさまも微妙なタイムラグとともに、ポーズをトレースした。
 鏡写し。
「…………」
『…………』
「…………」
 マックスときりんさまと、その相対を見守る敬輔。
 三連の沈黙が場を包む。しかしてくじゃくさまは酒盛り中。
 そして、謎の沈黙を破ったのは、マックスであった。
「……きりんさまって、細かいところまで、ほぼ同じ姿なんだよー!」
 だよーだよーだよー……! 海に響く訴え。
 個体識別レベルの違いはあるものの、初めましてのオブリビオンや猟兵だったならうっかり間違ってしまいそうである。普通の人は多分見分けつかない。
『きりんさま、もっとおビールが欲しいですわ!』
 ちょいちょい、と尾羽を飛ばして催促するくじゃくさま。
 しかしそれは、きりんさまではなくマックスだ。
「ごめんだけど、無限湧きできる方のきりんはあっちなんだよ」
『えっ、あっ……お失礼しましたわ!』
 くじゃくさまも間違うほどなら仕方ない。……仕方ない?
 しかし、マックスにもきりんとして誇りがあるし、むしろ、きりんさまを超えなくてはならない事情がある。
「だったら、あっちが持ってない能力で戦うだけなんだよー!」
 マックスが果敢に立ち向かうというなら、敬輔も助力するのはやぶさかでない。
 だが、くじゃくさまの増殖も現在進行形。このままでは、麦酒の海が、くじゃくさまの海になってしまう。
「いっそのこと全部燃やして早く片付けよっか」
 ぽつり、と。敬輔は暴論を投げると、構えた黒剣から、魂魄を解放した。
 どう考えても火気厳禁な状況ではあるのだが、敬輔も、どうにも麦酒欲が加速して集中できない。よって、判断が雑になるのもやむなし。
 炎の力を宿し、宴会場……もとい麦酒の海全域へと出鱈目に攻撃を開始。
 標的を定めているわけではないから、集中を削がれている状態でも問題はない。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、と古代の人は言った。
『お火! お火ですわ!』
『おビールが大変なことにですわ!』
 わちゃわちゃ。
 逃げ惑うくじゃくさまの群れ。自分の尾羽にも引火しているのだが、それよりも麦酒が失われる事のほうが、死活問題らしい。
 右往左往するとり。ばたばたするきりん。アニマルパラダイス。
 だが、こんなカオスな状況だからこそ、試したい事が、敬輔にはあった。
「『m'aider』!」
『え、なんて?』
 聞き返したきりんさまの傍らの空間が、何かを吐き出そうとする。
「さて、何が出て来るか? あ、麦酒入りの瓶だけは勘弁な!」
 果たして敬輔のもとに現れたのは、長剣。ただしその刀身から束に至るまで、黒と黄色のストライプに彩られていた。
「きりん柄の……武器……?」
 敬輔が長剣を手に取ると、刀身が光を放った。すると、周囲の麦酒を吸い込み始めたではないか。
 ひとしきり収束したところで、金色のビームに変換、きりんさまに放射した。
「……そういう魔法剣? つよっ」
 敬輔は、きりん柄剣を二度見した。
「すごい武器があるものなんだよ」
 マックスも、敬輔の活躍に負けじときりんさまに立ち向かった。
 首を伸ばし、狙うは相手の頭部へのダメージ。
『!!』
 痛打が、きりんさまを襲った。マックスの一撃が、クリーンヒットしたのだ。幸い、自分の首へのダメージは最小限に抑えられた。
『やるね、猟兵。けど、首の使い方で負けたとしても、ぼくにはこの力があるんだよ』
 くじゃくさまの支持を集めるきりんさまが光を放つと、マックスは無性に喉が渇くのを感じた。またしてもユーベルコードの力。
「うーん、麦酒がたくさん……」
 その気になれば、いつでも喉を潤すことが出来る環境。
 見れば、くじゃくさま達も酒宴を満喫中。渇きさえもエッセンスに変えている。ならばマックスもご相伴に……。
 だがマックスは、ふるふる、と頭を振った。衝動を何とか我慢。
「オブリビオンをやっつけるのに集中してれば、気もまぎれるはずだよ」
 と、いうわけで。
 マックスは、周りのくじゃくさま達を巻き込みながら、首や前足を伸縮。酒宴への攻撃を続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
小太刀も合流して【かんにき】!

ひゃっ!
にゅっと出た首に反射的に小太刀の後ろに隠れて

おとうさんが言ってた。キリンの首、にょろにょろ伸びたり縮んだりくねくねしたり、挙句に結んだりもする。|恐怖《ほらー》。
なので怖くて見た事がないわたし、本日、初・きりん

小太刀、くねくねしてる?
まつりん、首延びてきゅっと結んだりしてる?
……よし
意を決してばっときりんさまin my eye!

よくわからないけどなんだか楽しそう
ん、お肉を持って仲間に入り、囮をせねば
【お肉のチカラ】で今度はしっかり牛肉出して、くるんっとれっつだんしん☆
目一杯宴会を楽しむ気合い!
アイテム視肉さんにお肉の配膳してもらい、うさみん☆は武器受けしつつおじさんのお酌をしよう
んふ、お肉の魅力の前では麦酒なぞ雑魚同然
さぁ、皆もお肉沢山召し上がれ?
あ、視肉さんは食べちゃだめ(あわわ

きりんさま、その首は食べにくくない?
上手な飲み食いの仕草にほおぉ、と感嘆
あ、あの、首、くねくねしたり結んだり、ちぢめたり出来る?(期待のまなざし)

きりんは怖くない、理解した


木元・祭莉
かんさつにっき(略して【かんにき】)でコダちゃん見っけ!

円ら孔雀を追跡した我々が目にしたのは、狂乱の宴であったー。
あ、オジサンもいる。やほー♪

えーと、酔っ払いのいなしかた……(木元家の教えを紐解き)
『とりあえず、持ち上げとけ』
……なるほどー?

ということなので、宴会に乱入する!
ワッショイ!(まるどりさまをぶん回し)
ワッショイ!(どかんと打ち上げ)
麦の海に、アターック!(きりんさまに どーん☆ぶっつけ)
ナイス巻き込みぃ♪(ぐっ)

ビアといえばガーデン、ガーデンといえば焼肉だー!
アンちゃんもコダちゃんも、楽しんでるー?
いぇーい!(オジサンもぶん回す)
あ、麦酒に引火したねー♪(場酔いしてる子)

きりんさまも、燃えてるかーい?
え、おいらもおビール飲まないのかって?
うん。だって。

みせいねん、だからね?(まがお)

くねくねしてるトコに飛び乗って。
しゅーっと滑り降りて、反動ぱんち!
犯罪教唆の犯人は、お首ぐるぐるの刑だーっ!(きゃっきゃっ♪)


鈍・小太刀
【かんさつにっき】
あれ、杏と祭莉んがいる?……成程くじゃくさま
二人ともすっかりまるどりハンターね

杏、それってろくろ首……いや、ろくろキリン?
そういやオジサン何処いった?

宴会に混ざって超楽しそうなオジサン
ビールもいいけど麦酒ならこっちもいいと
持参のウイスキーをくじゃくさま達と飲んでたり
もしやこれは、キリンさまのアイデンティティを崩す高度な作戦!?
いや、単に飲みたいだけだったよ

焼肉を美味しく食べて
ワッショイ!な祭莉んに拍手を送り
突っ込み所の多さから現実逃避

愈々収集つかなくなってきたら
お空に助けを求めたくなるのも道理よね
『m'aider』
飛んできたハリセンをフルスイングして
キリンさま達を吹っ飛ばそう



 麦酒サモナーきりんさまのご登場に、沸き立つくじゃくさまたち。
 その輪のちょっと外縁に、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は見知った顔を見つけた。それも、2人分も。
 そのうちの1人、木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)も、にぱっ、と笑顔を咲かせた。
「円ら孔雀を追跡した我々が目にしたのは、狂乱の宴であったー。あ、コダちゃん見っけ!オジサンもいる。やほー♪」
「ん、やほー」
 木元・杏(ほんのり漏れ出る食欲系殺気・f16565)も、しゅたたっ、と駆け寄る。
 【かんさつにっき】、集結!
「あれ、杏と祭莉んがいる? ……成程くじゃくさま」
 事の経緯をするりと納得した小太刀が、うなずく。
「二人ともすっかりまるどりハンターね」
「まーねー。……あれ、アンちゃんどしたのー?」
 祭莉が首をかしげる。
 先ほどまでくじゃくさまに歓喜していた杏の様子が、おかしい。
 妙にソワソワ、何かを警戒しているようだ。祭莉の服の裾をぎゅっと掴んで、辺りをしきりに見回している。
 その原因は、というと……。
『きりんだよ』
「ひゃっ!」
 サプライズ・ロング・ネック。反射的に杏は、小太刀の後ろに隠れる。
 そんな杏に、きりんさまは意外と友好的。
『怖くないよ』
「おとうさんが言ってた」
 あくまで人畜無害を主張するきりんさまに、杏は訴えた。
「キリンの首、にょろにょろ伸びたり縮んだりくねくねしたり、挙句に結んだりもする。恐怖。なので怖くて見た事がないわたし、本日、初・きりん」
 祝・きりんデビュー。
「小太刀、くねくねしてる? まつりん、首延びてきゅっと結んだりしてる?」
 しきりに二人に確認を求める杏。オジサンは……いいか。
「うん、フツー……かな」
「今のところは青信号♪ ……主に黄色だけど」
「……よし」
 意を決して。
 ばっときりんさまin my eye!
『きりんだよ』
 視界いっぱいのキリン。
 だけど、思っていたより割とフツー。猟書家だというし、ひょろ度も野生のきりんよりハイパーなのかと構えていたのが拍子抜けしたくらい。
「これならだいじょう……ぶ?」
 こくり。杏のきりん安心度がほんのり上昇した。
 とりあえずこの件は、いい感じにまとまったようす。それはそれとして。小太刀は、徐々に増えつつある気配に警戒した。
「相変わらずまるいとりがいっぱいね……」
 一度、小太刀達が追い払ったはずのくじゃくさまの群れが、新たな麦酒湧きに誘われて、再集結してきたらしい。
『おいそこのお庶民、お酌するのですわ!』
「しかも悪酔い度アップしてるし……」
 小太刀達に絡んでくるくじゃくさまに、祭莉は、うーんとシンキング。
「えーと、酔っ払いのいなしかた……」
 脳内検索スタート。
 ぽくぽくちーん。
 謎の効果音とともに、木元家の教えを紐解く祭莉。
『とりあえず、持ち上げとけ』
「……なるほどー?」
 そういうのならそうなのだろう。祭莉は、偉大なる教えにしたがうことにした。
 ということなので、宴会に乱入する。もうすっかりどんちゃん騒ぎで、くじゃくさまパラダイス。
「やほー。おいらも混ぜて混ぜてー」
『おつまみでもくれますの?』
「うーんと。ちょっと違うけど。ワッショイ!」
 まるどりさまをぶん回し。
「ワッショイ!」
 まるどりさまをどかんと打ち上げ。
「麦の海に、アターック!」
 とどめに、どーん☆ と、きりんさまに向かって叩きつけ!
『ぴゃー!?』
『ですわー!?』
『痛いんだよ!?』
「ナイス巻き込みぃ♪」
 ばしーん、と弾き飛ばし合う、とりときりん。
 ぐっ、と祭莉、サムズアップ。
 (祭莉の力で)飛び交うくじゃくさま。尾羽も舞い飛ぶし、麦酒の泡も飛び散って。
 ところで、泡が数字のようになってダメージ表示めいているのは、目の錯覚なのだろうか。
「よくわからないけどなんだか楽しそう」
 杏が仲間になった。お肉を持って、囮だ。そのつもりなのだ。
 ぎゅっ、と力をこめてユーベルコード。
 今度はしっかり牛肉を出して、くるんっと、れっつだんしん☆
 目一杯宴会を楽しむ気合いに満ち満ちた杏に、祭莉は、ぱちん、と指を鳴らしてご協力。
「ビアといえばガーデン、ガーデンといえば焼肉だー!」
 酒宴から肉宴にチェンジ。祭莉がくじゃくさま達を煽る。煽りまくる。
「ほらほら、お肉がやってきたよ♪」
『おにく!』
『おにくですってよ!』
 杏をサポートするように、視肉さんが、お肉の配膳&セッティングに勤しむ。
『おにくですわ~』
『おビールとよく合いますわ~』
『なんならおビールもいらないくらいですわ~』
 くじゃくさまも、焼かれていく肉に首ったけ。
「んふ、お肉の魅力の前では麦酒なぞ雑魚同然。さぁ、皆もお肉沢山召し上がれ?」
『やりましたわ~!』
 どわっ、と、宴の中心が焼肉にスライドする。
 くじゃくさまに祭莉にオジサン。そしてきりんさままで。
「あ、視肉さんは食べちゃだめ」
 慌ててストップをかける杏。
「そういえばきりんさま、その首は食べにくくない?」
『問題ないんだよ』
 ぎゅん。
 きりんさまの首が、焼肉との距離に合わせて縮んだ。
 意外に上手な飲み食いの仕草に、ほおぉ、と感嘆する杏。
 シュールな光景に若干引きつつ、視肉さんから食器を受け取った小太刀は、あることに気づく。
「あ、どうも……って、そういやオジサン何処いった?」
 鎧武者の姿がない。今の今まで、そばにいたはずなのに。
「あっ」
 小太刀が気づくと、向こうも「あっ」って感じで肩を震わせた。
 小太刀の視線の先には、宴会に混ざって超楽しそうなオジサンの姿が。ノリに任せて祭莉にぶん回されているけれど楽しそうなのでいいか。
 オジサン、着地したところで、やみくもに飛んでくるくじゃくさまの尾羽を受け流しつつのうさみん☆から、お酌の続き。
 それどころか、ビールもいいけど麦酒ならこっちもいいと、オジサン持参のウイスキーをくじゃくさま達と酌み交わしている。
『おウイスキーも美味しいですわ~』
『お美味ですわ~』
 くじゃくさまは、オジサンの振る舞うウイスキーのとりこになっていた。とりだけに。
「なんなの一体……はっ!?」
 小太刀の背後に、激しい稲光が駆け抜けた。
「もしやこれは、キリンさまのアイデンティティを崩す高度な作戦!?」
 ごくごく。ぷはー。
「……いや、単に飲みたいだけだったよ」
 そんなことだろうと思ったよ。
 もはや世界は、金色麦酒の園。
「アンちゃんもコダちゃんも、楽しんでるー? いぇーい!」
 祭莉、くじゃくさまをぶん回す。くじゃくさまくじゃくさま、一羽飛ばして鎧武者オジサン。
 ついでに焼肉を美味しく食べて、ワッショイ!な祭莉に拍手を送る杏と小太刀。
 小太刀も、もうこのカオスに、完全に心身をゆだねている。いや、あまりに突っ込み所が多すぎて、現実逃避を遂げただけだった。
 ハイ! 挙手して立ち上がったオジサンが、自慢の槍術を披露する。だが、火力操作を失敗したのか。
 ぼぉう!
「あ、麦酒に引火したねー♪」
 ふらんふらりん。
 一滴も吞んでないけど祭莉はふらふら。完全に場酔いしてる。
 一直線、宴の隅っこでくじゃくさまに囲まれているきりんさまに、絡みに行く祭莉。
「きりんさまも、燃えてるかーい?」
『も、燃えてるんだよ……それより、猟兵も麦酒を吞むんだよ。それともぼくの麦酒が飲めないっていうのかな』
「うん。だって」
 きりんさまのユーベルパワハラに、すんっ、と祭莉は応えた。
「みせいねん、だからね?」
『あーそうだね』
 まがおで言われたら、さすがのきりんさまも、ぐうの音も出なかった。
「あ、あの」
 杏が、おずおずと、しょんぼり気味のきりんさまに話しかけた。無性に喉は渇いているけれど、それどころではない。
「首、もっとくねくねしたり結んだり、ちぢめたり出来る?」
『んー』
 杏から期待のまなざしを向けられたきりんさまは、リクエストにお答えした。次々、宴会芸のように首を千変万化。
「杏、それってろくろ首……いや、ろくろキリン?」
「きりんは怖くない、理解した」
 愉快な動物。杏はまた一つ大人になった。
 調子に乗ったきりんさまが、いっそうくねくねしていると、そこに祭莉が飛び乗った。
 長い首を滑り台のようにしゅーっと滑り降りて、反動ぱんち!
「犯罪教唆の犯人は、お首ぐるぐるの刑だーっ!」
『か、勘弁してほしいんだよ……』
 きゃっきゃっ♪
 こども祭莉も、この空気をすっかり楽しんで。エア酒宴。
「あーどうしてお空は金色なのかしら」
 ふと小太刀は、ちょっぴり正気と再会を果たした。
 相変わらず宴会は大盛況。きりんさまが首を振れば麦酒が湧き立ち、くじゃくさまも沸き立つ。お肉の焼かれる音と匂いは、アルコールとハーモニーを奏でている。
 とどめに、愉快に踊る木元きょうだいとオジサン。
「お空に助けを求めたくなるのも道理よね」
 『m'aider』。
 ぽつり呟いた小太刀の手元めがけて飛んできたハリセンを、はっし、と掴んで。
 フルスイング。
 すぱーん!
 きりん&くじゃくさま達が、海の彼方に吹っ飛ばされた。
『麦酒の海は不滅なんだよー……!』
 だよーだよーだよー……。
 祭莉と杏の拍手が、きりんさまの悲鳴に重なった。

 気づいたとき、猟兵達は、清澄な空気に包まれた霊山にいた。
 きりんさまを倒したことで、封神武侠界へと戻ってきたらしい。
 一連の出来事、まさに夢体験。
 しかし、一部の猟兵は、手元に残る武器を見て、今までのことが良くも悪くも現実だと確信するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月19日


挿絵イラスト