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【妬鬼姫戦線A1】第2話 新たな旅立ちと悲劇を変える力

#アナザープレヱス・リフレイン #妬鬼姫戦線A1

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#アナザープレヱス・リフレイン
#妬鬼姫戦線A1


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 猟兵達は一度、迎賓館に集まった。迎賓館には数多くの避難者たちが収容されていた。
 何とか翌朝を迎えることが出来たが……ゆっくり休むことが出来たのは、ごく僅かなようだ。
「皆さん、聞いてください。申し訳ないのですが、ここでの収容人数が多いようです。ぐっすり休めなかった方々も多いでしょう。先ほど連絡を受けて、帝国ホテル、学校、百貨店にて、受け入れが可能な事が判明しました。可能な方はそちらの移動をお願いします。その代わり、我々、桜塚特務部隊が責任もって、現地まで送り届けます」
 そう告げるのは、特務部隊を指揮する隊長、|神崎重造《かんざきじゅうぞう》だ。
 その言葉に安心している者も多く、ちらほらと移動を希望する者達が出ている様子。

「このまま、じっとしていられないわ……先手を打たなくっちゃ」
 そう声を上げるのは、キヨ。
「誰か、私と一緒に来てくれる人はいるかしら? 私の家には不思議な物があるの。一緒に来てくれるなら、それをあげるわ! だから、来てくれる人を求めるわ」
「ちょっと、キヨ! そんなの危ないわ!」
 そんなキヨを止めるのは、従妹の桜子だ。
「ゾンビがいっぱいいるのよ。家に戻るなんて、危険すぎるわ」
「でも、私の持っている物が役立つかもしれないでしょ? 今は緊急事態なんだから」
 その言葉に桜子は言葉を濁す。
「それなら、私も行くわ。キヨだけじゃ危ないから」
 その言葉に、キヨは少し困った顔を浮かべるのであった。

 そんな様子を不安そうに眺める少女がいる。腕に包帯を巻いたその少女は、涼介の妹の百合だった。
「お兄ちゃん……怖い……」
 傷の所為か熱が出始めている様子。
「大丈夫だよ。百合のことは俺が守ってやるからな」
「うん……」
 他にも何人か怪我した者がいるようだ。彼らもまた少し具合悪そうに、床の上で横になっているのであった。

「皆様、一度目のリフレイン、お疲れさまでした。引き続き、迎賓館に赴き、彼らの手助けをお願いします」
 そう告げるのは、グリモア猟兵の響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)だ。
「どうやら、迎賓館では収容人数がオーバーしているようなので、移動をお願いしているようです。そこで、皆様には、その護衛をお願いしたいのです。それだけではありません、キヨ様達が一度、家に戻り、家にあるものを持って行きたいと言っています……こちらも合わせて、護衛をお願いします」
 それともう一つと、リズは告げる。
「現在、迎賓館には怪我人も数多く存在しています。もちろん、タダの怪我の方も多いのですが……ゾンビによって傷つけられた方々も少なくありません」
 前回は、ゾンビに傷つけられた怪我人達がゾンビになってしまって、襲ってくる事態となっていた。
 もし、それが起きてしまえば、迎賓館内部は崩壊しかねない。
「前回は、彼らを地下へと隔離し、その後、ゾンビになってしまった者達を全員倒すことによって、その難を逃れました。同じ流れで対処するか……それとも別の方法で苦難を越えるかは、皆様の判断にお任せします。それと、キサラさんからは助言をいただきました。何かをするなら、『人目に付かないようにせよ』とのことです」
 未だ、リフレインの効果がどれほどのものなのか分からない。
 正史とズレた世界が、どのような影響を及ぼすのか……それは現地で試してみないとわからないだろう。
「どうか皆様、気を付けて行ってきてくださいませ」
 そういって、不安そうにリズは猟兵達を現地へと見送ったのであった。


「君は学校で人々を救ってくれたそうだね。素晴らしい働きをしたと聞いている」
 重造は、そういって、狐々愛・アイ(愛は優しさ、愛は力・f36751)に声をかけてきた。
「その腕を見込んで、君には帝国ホテルに向かって欲しいんだ。それと……もしよければ、これを手渡して、ホテルにいる者達と会ってきて欲しい」
「ホテルにいる人達と……?」
「ああ、よろしく頼む」
 そういって、重造は許可証らしき手紙をアイへと手渡したのだった。


柚葵チハヤ
 少し遅くなりましたが、第2話のお届けです。柚葵チハヤです。
 今回のシナリオは、迎賓館で人があふれてきたので、移動しましょう編となります。
 他にも懸念事項がありますので、よく見て、ご参加くださいね。

 今回のシナリオに参加できるのは【コンバート】【猟兵】の方です。この方であれば、途中参加大歓迎ですので、ぜひご参加ください。また、【イマジン】【アナザー】は、猟兵になれる条件がなくなってしまったので、そちらは非推奨とさせていただきます。ご了承ください。

 今回は以下の選択肢から選んで、ご参加ください。

 (1)迎賓館からの移動を手助けする。
 主に移動中の護衛となります。こちらに向かう方がいないと、移動中にトラブルが発生するかもしれません。

 (2)キヨ・桜子と共に、一度、家に戻る。
 こちらも移動中の護衛が主となります。こちらに向かう方がいないと移動中にトラブルが発生するかもしれません。また、無事、家にたどり着いた時は、キヨの部屋で『天からの落とし物』を得ることが出来ます。欲しいものがあるのでしたら、プレイングにて指定をお願いします。

 (3)迎賓館での怪我人の対応をする。
 こちらは怪我人をどう対処するかが重要となります。場合によっては基地となっている迎賓館を出ることになりかねません。対処方法については、オープニングをご確認ください。

 (4)その他。
 上記以外の行動をする際はこちらで。場合によっては、何か重要な手がかりを得られるかもしれません。出来るだけ具体的な方法を記載ください。

 複数で参加する際は、お相手の名前やID、グループ名をお忘れなく。
 それでは、皆さんの熱いプレイング、お待ちしていますね。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

役所・太助
4その他
リフレインの話を聞いて以来
【I0011 称号 対策本部長】と神通力【~指揮経験】と五年前の記憶を総動員して以下の準備をする
①妬鬼事件後に作成した避難所運営手順書を増刷し、避難受入先宛の感謝の手紙を付ける
②ゾンビワクチンの現物、材料を今の時間軸が困らない範囲で調達し、製法手順書を調達する
③五年前の記憶を頼りに医者、区長、避難者の人心を束ねたノウハウを整理し頭の中で最適化しておく

3怪我人対応
現地では以下の順に取り組む
①各避難所送迎責任者に避難所運営手順書と手紙を託す
②現地の医者を至急束ね医療体制構築、ゾンビ攻撃の怪我人への至急投与、予防用の増産に取り組む

五年前地下室民ゾンビ化を阻止する狙い



◆本部長は大忙し!
 くしゃくしゃと、癖のある髪を更に乱しながら、役所・太助(人間の公務員・f39613)は、書類の作成に明け暮れていた。
「えっと、避難所運営手順書はこれでよし……でござるな」
 さっそく、出来たばかりの書類を印刷して、増刷していく。
「後は……そうそう、ゾンビワクチンの製法手順書……は、今は渡すべきじゃないって言われたから駄目でござったな」
 次々と印刷されていく、その書類を見ながら、次の手、次の手を考えていく。
 時期尚早と、太助の時代のグラウェル達にやんわりとダメだしされてしまった。しかし、ごく一部で限定的なものであれば、用途を申請すれば、ワクチンの持ち出しや使用は許可されている。
 既にそのワクチンは太助のいる時代では、量産体制が整えられており、誰もが受けられるワクチンになっている。
 太助の時代では、生まれた子が受けるワクチンの中で、一番最初に受けるワクチンとなっている。
 そのことを思い出しながら、妬鬼姫戦線の方へと目を向けよう。
 そちらはまだ、事件の最中で、ワクチンの作成はまだ完成していない。研究の手助けをしてはいいが、現物を渡すのはNGである。
 妬鬼姫戦線のグラウェルが、完成させなければ行けないものなのだ。それを変えれば、未来が変わってしまう可能性があるとのこと。
「後は……五年前の記憶を頼りに医者、区長、避難者の人心を束ねたノウハウを整理しておく……でござるか」
 こつこつと自分のこめかみを叩きながら、太助は眉を顰める。
 一定時間ごとに増えていく紙束。あふれる前にそれを集め、ページごとにまとめておいていく。
「あっと、手紙もしたためないと! やることがいっぱいでござるなぁ」
 そう、やることがいっぱいだ。各施設にいきわたるように手順書を用意して、更に手紙も加えて送るのは、かなり大変だ。
 しかし、それをやることには意味がある。
 マニュアルがあるのとないのとでは、今後の動きが変わって来るだろう。
「確か……帝国ホテルに行く隊員がいたから、それはそっちに託すとして……問題は他の施設でござるな」
 こればっかりは、自分の足で稼ぐしかない。今はまだそこへ行く者がいないのだから、自分の足で向かわなくては……。
「……よし、手順書ができたでござる」
 手紙も用意し、今度はこれを各避難所に届けるのだ。
「それに……怪我人を集めて、対処するのも忘れずに、でござるな! あの惨劇を繰り返したくはないのでござるよ……」
 太助は悲痛な表情で、出来たばかりの書類をしっかと持って行くと、足早に各避難所へと届けていくのであった。


※作成した書類は、各拠点へと無事に運ばれました。これにより、最低限の安全が確保されました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベスティア・ジェヴォーダン
(2)護衛とアイテムゲット
「前よりいい結果にすれば、未来も変わるはず」
ケガ人がゾンビ化する可能性を残る責任者に告げ、隔離や拘束を頼んでおき、キヨ・桜子に同行。
積極的に前に出て、I0001でゾンビを倒し、血や体組織を回収して持ち帰り、グラウェルに渡して少しでも早いゾンビ治療法の確立を促す。
同行者がケガをしないように守りながら家に向かい、武器や防具のほか、治療法の研究に役立ちそうな実験・医療関係の備品や医療・鬼・ゾンビ関係の資料を回収。
移動中や家では『小さな仲間たち』で呼び出したネズミやカラスに手伝ってもらい、周辺のゾンビへの警戒や有用なアイテムの捜索。
他参加者・NPCとの絡み、アドリブは大歓迎。


山田・ふわ
迎賓館にいる人達も心配だけれど、それはきっと旦那である太助に任せれば大丈夫。ふわはキヨ・桜子の護衛を決意する。
護衛中、ゾンビを自慢の拳のみで倒していくふわ。
「本当は鬼斬丸を使いたいけど、キヨちゃん達を怖がらせたくないから使わない方がいいよね」
そんな独り言を呟きながら。
無事にキヨの家にたどり着いた後、キヨの護衛が目的だったので何を持っていくか何も考えていなかったが、どうせならと探す。
前回は武器の金属バットを持って行ったが、今は鬼斬丸があるので不要だ。
ふわはあるものを見つけた。
それは、武器でもなんでもない。手のひらサイズのロケットペンダント。
「そういえば太助さん、いつも家族の写真を胸元に忍ばせてるって言ってたしね」
これに入れれば、家族の写真がくしゃくしゃになることもないだろう。それに、いつも誰かのために無理をする彼の御守りになってくれれば。
こんな非常時だからこそ、大切な人には無事でいてほしい。以前は自分のことしか頭になかったが、今回は違う。今のふわには家族がいるのだ。



◆二人の強すぎる護衛達
「前よりいい結果にすれば、未来も変わるはず」
 その信念の元、ベスティア・ジェヴォーダン(羞恥心ゼロ・f39599)は、さっそく、桜塚特務部隊の隊長に、ケガ人がゾンビ化する可能性を言付けした上で、必要であれば、隔離や拘束を頼んでおいた。
 どこまで活かされるか未知数ではあるが、やらないよりはいい。
 それより……ベスティアが気になったのは。
「もっと、護衛を募るべきだわ」
「これ以上はいらないわよ。それに多過ぎたらこっちも動きづらくなっちゃうわ」
 桜子の言い分もわかるし、キヨの言いたいことも分かる。
「二人は喧嘩してるのか?」
 そう尋ねれば。
「違うわ」
「意見の相違ね」
 その息の合った桜子とキヨの反応に。
「仲良くしないとダメ。それとベスが護衛に入るから大丈夫」
 そのベスティアの言葉に二人は顔を見合わせた。
「で、でも……」
 そんな中、ぶつぶつと呟く女性がもう一人。
「迎賓館にいる人達も心配だけれど、それはきっと太助さんに任せれば大丈夫だよね」
 背中に長い一本の刀を差した山田・ふわ(人間のデスブリンガー・f39711)だ。
「あ、キヨちゃん! やっほー! ふわも護衛するから、安心してね!」
「あ……その、よろしく」
 ちょっと余所余所しいのは、気のせいだろうか?
 二人のメンバーを加え、一行はさっそく、キヨの家へと向かうのであった。

 ズバッ、ズバッ!!
 慣れた手つきで、ベスティアは、大きめのコンバットナイフでゾンビを次々と斬り裂いていく。
 その隣では、その自慢の拳(!)で、ボカバシッと、ふわがゾンビ達を蹴散らしていっていた。
「本当は鬼斬丸を使いたいけど、キヨちゃん達を怖がらせたくないから、使わない方がいいよね」
 いや、あの……拳の方がかなり迫力があるように感じるのは……たぶん、気のせいだということにしておこう。うん。
「二人とも、本当に強いのね……」
「これなら、安心して家まで行けそうだよ」
 ちょっと驚きながらも、安定感のある護衛達の活躍に、桜子もキヨもホッとしている様子。
 少々、数は多いが、慎重に進めば、どうということはない。その分、時間がかかってしまったが、致し方ないだろう。
 それに……。
「サンプル確保」
 ゾンビのサンプルをいくつかゲットして、ベスティアは、少しご満悦な様子だ。こんなにたくさんあれば、ここのグラウェル達にも褒められるだろう。それが嬉しい。

 無事に家にたどり着いた一行は、さっそく必要なものを回収していく。
「二人ともありがとう。必要なものがあれば、好きなのを持って行って」
「……キヨってば、こんなに隠し持っていたのね……」
 大八車にいっぱいの荷物に桜子は呆れながらも、自分も何か護身用に何かないか物色している様子。
「ベスはこれをもらっていく」
 ベスティアが選んだのは、研究に役立ちそうな試験管や試験管スタンドを貰っていくようだ。他にも研究に使えそうなものを物色しつつ……こっそり発動させるのは、|小さな仲間たち《リトル・ファミリア》。呼び出したネズミやカラスに手伝ってもらい、周辺のゾンビへの警戒や有用なアイテムの捜索もお願いしているようだ。
「キヨちゃん達が無事でなによりだよ……」
 正直、ふわは何を貰うかなんて考えていなかった。
 前回は武器の金属バットを持って行ったが、今は鬼斬丸があるので不要だ。
「ん? これ……なんだろ?」
 ひょいっと取り出したのは、ペンダント。
「ああそれ。ほら、貸してみて」
 キヨがふわのもつペンダントを、ぱかっと開いて見せた。どうやら、このペンダントには写真を入れられるようだ。
「こんな風に、中に絵とか入れられるようになってるのよ。気に入った?」
「うん、ふわは、これにする!」
 にっこり微笑んで、ペンダントを首に下げる。
「そういえば太助さん、いつも家族の写真を胸元に忍ばせてるって言ってたしね」
 それに、このペンダントに入れておけば、家族の写真がくしゃくしゃになることもないだろう。それに、いつも誰かのために無理をする彼の御守りになってくれれば……。
 こんな非常時だからこそ、大切な人には無事でいてほしい。以前は自分のことしか頭になかったが、今回は違う。今のふわには家族がいるのだから……。
 こうして、四人は必要な物品を大八車に乗せると、そのまま迎賓館へと戻っていったのだった。



※ベスティアさん:グラウェル達にゾンビのサンプルと研究用品を渡しました。これにより、研究がまた一段階進むことになります。

※ふわさん:アイテム「写真入りロケットペンダント」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。なお、鬼切丸については、各自でアイテム化して、愛用武器にしてください。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルフィナーシャ・ミェーチ
(3)
ゾンビ化を防止するためには、治療薬をのんでいただくしかありませんの。しかし、大々的に治療薬を配るわけにもいきません。そこであったかいジンジャーティーに入れて、皆様に給仕することにいたしますの。小さな子でも飲めるよう、蜂蜜とスコーンもつけましょう。迎賓館の皆様に給仕すれば怪しまれることもないでしょうし、万が一の予防にもなりますの。

じいやにもしっかり飲ませてやりませんと……折角救った命をこの手で奪わなければならなくなってしまいますの。

キサラ様の話では、わたくしたち…リフレインの行使側の者に対する影響は軽微とのことですが…不確定な要素もございますゆえ、フレイアと名乗っておくことにいたしますの



◆悲劇を現実にしないために
 温かいジンジャーティーに、蜂蜜を添えたスコーン。
 物資が乏しい現地にとって、それは温かくも素晴らしい差し入れだった。
「さあ、皆様。お一つずつどうぞ」
 アルフィナーシャ・ミェーチ(美徳令嬢・f39600)は、にこりと微笑み、迎賓館にいる者達全員に、それを配っていく。
 もちろん、これはタダの給仕ではない。
(「ゾンビ化を防止するためには、治療薬をのんでいただくしかありませんの。しかし、大々的に治療薬を配るわけにもいきません」)
 そこで、アルフィナーシャが考えたのは、ジンジャーティーにその治療薬を混ぜたのだ。
 ちなみにスコーンはおまけである。
「暖かくて美味しいね!」
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
 人々から掛けられる感謝が、なんだかくすぐったく感じる。

「……フレイア様、とおっしゃるのですね」
 ありがとうございますと、暖かなジンジャーティーを口に運ぶのは、じいやこと、ヨハンだ。
 もちろん、このジンジャーティーにも治療薬は入っている。
「私の知るお嬢様に似ていらしたので……間違えてしまい、申し訳ありません」
「いえ、お気になさらずに……ですが、たいした怪我でなくて安心いたしましたわ」
 すっかり空になったカップを受け取り、アルフィナーシャは笑みを深める。
 そう……この手を赤く染めずに済んだことを喜ぼう。
 アルフィナーシャのささやかな作戦が、今、全て完了したのであった。


※称号「影の救世主」を獲得しました。後程、獲得リストをご確認ください。また、これにより、迎賓館の人々のゾンビ化は防がれました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狐々愛・アイ
お手紙は確かに預かりました、隊長。
出立までは此処で手当を行います、ランタンや医療物資をお借りしますね。

まずは涼介さんの元へ。隣の方は……妹さん、ですか?
手当の心得はありますので、良ければ傷を診させて下さい。
お疲れでしょう……涼介さんも妹さんも、この治療中位は「目を閉じて」休むだけでも違いますよ?

……ランタンを通じて『生まれながらの光』を。
同時に治療するフリをすれば……治る所を視認されなければ誤魔化せるでしょう。
ゾンビ化の可能性を、少しでも取り除ければ。

ぼくはこの後、ホテルへの護衛の任に就きます。
妹さんは、まだ動けないと思いますので……涼介さんが守ってあげてくださいね。

さて、ここからはホテルへの移動です。
今使えるのは「ボウ・オブ・アムール」と"I0004・矢20本"。
神通力による疲労が少々ありますので、接近戦は避けます。守るべきヒトもいます、矢は使い切る位の気持ちで移動しましょう。

ホテルに着いたら、状況報告を済ませてから「重造隊長から手紙を預かりました」と言って渡すべき人を探しましょう。



◆百合と帝国ホテルで出会う者は
「お手紙は確かに預かりました、隊長」
 重造から受け取った手紙をしっかりと受け取りながら、狐々愛・アイ(愛は優しさ、愛は力・f36751)は、その足で涼介の元へと向かった。
 幸い出立まで時間があるので、途中でランタンと治療用の救急箱をも借りることが出来た。
「隣の方は……妹さん、ですか?」
 ちょうど、百合がいるところで、涼介と会うことが出来た。
「ああ、妹の百合だ。ほら、挨拶して」
「あ……百合、です」
 恥ずかしそうにぺこりと頭を下げる。と、百合の傷がアイの目に留まる。
「手当の心得はありますので、良ければ傷を診させて下さい。お疲れでしょう……涼介さんも妹さんも、この治療中位は『目を閉じて』休むだけでも違いますよ?」
 ランタンを通じて、アイは生まれながらの光を発動させ、百合の傷を癒していく。包帯をしているので、どれほど綺麗になったかはわからないが、痛みが引いたお陰が顔色がよくなっているかのように見える。それに、先ほどアルフィナーシャがジンジャーティーに入れた治療薬を飲ませているので、ゾンビになることもない。
(「同時に治療するフリをすれば……治る所を視認されなければ誤魔化せるでしょう。ゾンビ化の可能性を、少しでも取り除ければ」)
 このアイの力で傷も跡形もなくなければ、良いのかもしれない。

「ぼくはこの後、ホテルへの護衛の任に就きます。妹さんは、まだ動けないと思いますので……涼介さんが守ってあげてくださいね」
「ああ、任せてくれ」

 涼介に見送られ、アイは帝国ホテルへと移動者たちと共に出発していく。
 今回は矢を全て使い尽くすつもりで向かう。
 何故なら、今、アイの側には移動する一般人がいる。しかも、出かける前に使った力の疲労も踏まえてのことである。
「こっちまで行かせませんよ!!」
 貰った矢を有効に使って、ゾンビ達を蹴散らしながら、彼らを傷つけることなく無事にホテルへと送り届けることが出来た。
 残念ながら、ホテルに行く過程で、矢は文字通り使いつくしてしまったが。

「重造隊長から手紙を預かりました」
 さっそく、ホテルでのまとめ役である軍人にアイは持ってきた手紙を手渡す。
「これは……分かりました。会っていただきましょう」
 少し困惑しながら、彼の案内でアイは、そのままホテルの最上階へと連れていかれていく。
「……最上階?」
「さあ、こちらにどうぞ……」
 案内されて来た最上階の一室。
「どなたですか?」
 そこにいたのは、亡くなった帝の代わりに今代の帝となった、幼い帝がそこに居たのだった。


※称号「帝と謁見した者」を獲得しました。後ほど獲得リストをご確認ください。また、今後は望めばすぐに帝に会うことが可能です。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月10日


挿絵イラスト