伝染性パリピ探偵の箱庭事件簿
柊・はとり
今話題のトロピカル因習アイランドで不可解な殺人事件に巻き込まれるはとりをお願いします
・どんな場面から始まっても大丈夫です(いきなり殺人が起きたり、いきなり解決編でもOK)
・事件解決まで行かず途中で終わっても大丈夫です
・雰囲気ミステリーで大丈夫です
・シリアスでもコメディでも大丈夫です
・オブリビオン絡みでもそうじゃなくても大丈夫です
・MS様のグリモア猟兵さんやNPCさん、宿敵さんの登場OKです
・オブリビオンが原因の場合、最終的に物理で事件解決してもOKです
●はとり
殺人事件アレルギーの呪われた高校生探偵
事件経験値は高いが、トロピカル因習アイランドには若干困惑気味
ボケは仕方なく拾ってくれる事もあるが、スルーする事の方が多い
参照画像はこれです(たぶんイラついているので殺意高め)
https://tw6.jp/gallery/?id=145503
ノリだけでリクエストしていますのでなんでもOK
お時間ございましたらご検討よろしくお願いいたします!
じとり、と粘っこく感じる密林の圧迫感。
その中を、走る人影がふたつ。
「おいパリピ探偵、歩く先に事件を多発させてんじャねえよ!」
「いや別に……」
フィッダ・ヨクセムへ向けてそんなつもりはない、と言い切りたい柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は言い切らない。どうとでもいえ。たとえ無表情の島民に、重火器を向けられて追いかけられているこの状況でも。
「お前がいるといつもこうだ。事件のほうが来る!」
「お前も予知という名で事件を持ち込んでるだろ!」
ボケたつもりのないフィッダが舌打ちし、はとりは身を転がして草むらの影に身を隠す。
ついでだ、と言わんばかりにフィッダの海賊衣装の羽織を無造作に掴んで転がした。
「ッてえ!!」
「静かに」
追いかけてきていたトロピカルフラワーを纏った集団は、ざかざかと二人の隠れた草むらの傍を通り抜けて、どこへとも知れずに走っていく。耳をすませば、聴こえてくるのは耳馴染まないわらべ唄。
「いったか」
ニコニコ笑う若者たちと、ぺたぺたと気の抜けたサンダルの音。
あれらとは正反対の冷たい重火器は、此処に至るまでに"村"の掟に染まらぬ来訪者を蜂の巣にして殺した。
マシンガンは火を吹いて、絶命を生贄の産声だと抑揚なく嗤い合う様をはとりはきいて、そして探偵は偵察中に些細なミスを犯した。注意を欠かずに移動できれば、こんな騒ぎの先頭を走る必要はなかった。
あんなところに、測ったようにか細い枝さえなければ――。
「此処には祀る神がいるそうだ。島民たちはおおよそ習わしに従順で、生贄を差し出すのは当然の義務と思っている」
「……祀りあげて毎日宴だパーリナイ?」
「……ああ、余所者は確定で神の供物なんだぞうだ。見覚えのあるバス停が不法滞在していたようだから、助けてただけだが」
ジト目。
「ご心配どーも。だがアンタ、気づいてる?」
やれやれ、とフィッダが大きめのため息をつく。
「この島の空は、"偽物"だ。俺様の眼は誤魔化せねェぞ、此処はどちらかといえばアリスラビリンスに近い」
嘘と偽りで硬めた虚偽の島。
トロピカル因習アイランドには、死者と流血、捧げた心臓だけが鼓動する。
朽ちて果てて、海の青と鮮血で色を鮮やかに増やしていく洗脳系異常性のイマジナリー|草花《トロピカル》。
「その事か、異変と異常性には気がついていた」
「……いつから?」
「島に上陸して、殺人を見た時点で」
殺意をあげるはとりがメガネをクイ、と持ち上げて位置を直す。
手元に構えた、装備で"破壊対象"を指し示して事件の終わりを開示する。
「地蔵と石畳が連なる路を進めばわかる。彼岸花しか咲かないその先は"神様"とやらが居るだろう」
それがオウガであれ、UDCであれ、それ以外であれオブリビオンならどのみちまともな神ではない。
愉快犯で、支配者気質で、どうあがいても犯人顔をしていることだろう。
知能は低くしかし狡賢い、狂気で人間の心を奪うに長けた厄介なやつが。
「島にオブリビオンのデッドマンしかいないのも、元々島民など居なかった証拠だ。あの武装は、俺のよく知るものだし」
銃の稼働方法も、調整方法も製造方法もおそらくアポカリプスヘル製。
無造作に放棄されていた銃の一丁を拾い上げたはとりが確認済みだ。
自前を一丁持っているので、成り行きでフィッダに一丁預けている。
グリードオーシャンの海賊たちが奪って、奪われてこの地にばかり集まったイカれた玩具どもだ。
「成程ね、なら――俺様は魔法弾でも詰めて派手に燃やしてやるぞ。暴れるか、迷探偵」
「犯人を暴いてからな、洗脳なら頭を叩く方がスマートだ」
「へいへい、パリピ探偵の指示には従うんで、指示があればどーぞ」
「俺の指示に従うと言ったな?じゃあ――」
静かに、探偵はフィッダにキツめの睨みを効かせる。
「パリピ探偵は訂正しろ」
「やだ」
はとりの中で、俺のどこがパリピだっていうんだ、という気持ちが湧く。
なりふり構わず無条件に撃ちまくるトリガーハッピーになど――。
「――ああ、まあいいか。お前は鼻が効くそうだな、なら俺の死角は全部狙撃しろ」
「良いぜ、戦略競争を兼ねた略奪開始だ。殺ろうか」
「あくまで正当防衛であることは忘れるな」
駆けていったパリピの群れを、今度は猟兵達が追いかける。
その先には、きっと鎮座する"何者か"が存在するから。
戦闘は避けられないが、因果と祟の無限ループくらいは断てるかもしれない。
そんな思いは、連続殺人が起こるアイランドの平和を救える。
探偵がいる限り殺人は起こるが、探偵がいる限り事件収束もまた約束される。
「――さあ犯人は、お前だ」
かちゃり。銃は"犯人”の頭に突きつけられる。
悲鳴も、懇願も、落胆も、罵倒も、そこには何もなかった。
撃ち込んだ弾丸は、貫き壊し、"箱庭"の終わりを彩る。
「そしてこれが、本来あるべき――」
乾いた、音が爆ぜる――。
成功
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