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銀と桜の縁

#シルバーレイン #ノベル #サクラミラージュ

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御鏡・幸四郎
シルバーレインとサクラミラージュにはそれぞれに同一存在である、八重と幸四郎がいます。
これは存在を想像すらしていなかった二人が、第二次聖杯戦争で邂逅する物語。

【設定】
◆サクラミラージュ
御桜・八重(f23090)(15歳)御桜神社の巫女である猟兵。
御鏡・幸四郎(20歳)八重の従兄。御桜神社で修行中の神主見習いの一般人。(登場無し)

◆シルバーレイン
御鏡・幸四郎(f35892)(30歳)菓子工房を営む菓子職人。
スケルトンの姉とTW2を戦い抜いた霊媒士。
神崎・八重(28歳)幸四郎の従妹。旧姓御桜。元メディックで今は看護師の白燐蟲使い。(登場無し)


金沢市街を駆けていると、同じように戦う猟兵とすれ違う。
「八重?」
思わず呼び止めると、向こうも自分の名を呼んで立ち止まる。
八重がなんでこんなところに……?
よくよく見れば、年の頃も着ている物も違う。
でも姿形はそっくりで、自分の呼び方も同じ。
果たして、これは、誰なのか?

戸惑う二人に敵の襲撃。
今はとりあえずこの場を切り抜けよう。
八重に白燐奏甲をかけてもらい、突破します。
って、自分で突っ込むんですか!?

自分の知る八重とは戦い方が違うし会話もちぐはぐ。
見えてきたのは、出身世界が違う同一存在であること。
多世界が存在する以上、こんなことも起きるのですね。

どうにかこうにか切り抜けて二人で一息。
不思議な感じですが、これも何かの縁。
これからよろしくお願いしますね、八重。


御桜・八重
シルバーレインとサクラミラージュにはそれぞれに同一存在である、
八重と幸四郎がいます。
これは存在を想像すらしていなかった二人が、第二次聖杯戦争で邂逅する物語。

【設定】
◆サクラミラージュ
御桜・八重(f23090)(15歳)御桜神社の巫女で學徒兵の猟兵。
御鏡・幸四郎(20歳)八重の従兄。御桜神社で修行に励む神主見習いの一般人。(登場無し)

◆シルバーレイン
御鏡・幸四郎(f35892)(30歳)菓子工房を営む菓子職人。
スケルトンの姉とTW2を戦い抜いた霊媒士。
神崎・八重(28歳)幸四郎の従妹。旧姓御桜。元メディックで今は看護師の白燐蟲使い。(登場無し)


金沢市街を駆けていると、同じように戦う猟兵とすれ違う。
「幸にぃ?」
思わず呼び止めると、向こうも自分の名を呼んで立ち止まる。
幸にぃがなんでこんなところに……?
よくよく見れば、年の頃も着ている物も違う。
でも姿形はそっくりで、自分の呼び方も同じ。
果たして、これは、誰ー!?

戸惑う二人に敵の襲撃。
今はとりあえずこの場を切り抜けよう。
幸にぃは下がってて。道はわたしが開く!
うぇ、そんなの出来ないよ!?

一般人の筈が立派に戦ってる幸にぃとは会話もちぐはぐ。
段々見えてきたのは、出身世界が違う同一存在であること。
多世界が存在する以上、こんなことも起きるんだねー

どうにかこうにか切り抜けて二人で一息。
不思議な感じだけど、これも何かの縁。
これからもよろしくね、幸にぃ♪



 世界とは不思議なものだ。
 いつだって驚きをもたらすのだから。


 2023年1月。
 かつて銀の雨降る世界は再び戦い巻き込まれ、ここ金沢が戦場となった。
 人狼騎士団の一群を蹴散らした御鏡・幸四郎ははぐれた仲間と合流すべく、今、街を走る。
 遠くより足音が聞こえ幸四郎が頭を上げる。
 戦場を求めてかこちらに走る少女。
 その姿に彼は……そして彼女は見覚えがあった。
「八重?」
「幸にぃ?」
 すれ違い様に呼び合う二人。
 御桜・八重も同じように見覚えのある青年の姿に視線が釘付けとなった。

 ――どうして幸にぃが。
 ――どうして八重が。

 こんなところに……?
 互いに戸惑いは隠せない。
 よくよく見れば年の頃だって違う。
 幸四郎の知る従妹は看護師として世界中を飛び回っており、沢山の子供を育てているはずだ。
 だがここに居るのは明らかに十代の八重……本人が着ないであろう巫女服を除けば。

 それは八重も同じ。
 彼女の知っている幸四郎は|自分の世界《サクラミラージュ》で神職の修行中で、洋装に銃を持つ姿は見たことないし、而立した一人の男性ではなかった。
「でも……」
 少女の呟きに。
「呼び方は同じ……」
 青年が続く。

 果たして、これは――
「誰?」
「誰ー!?」
 その疑問は銃声が打ち消した。

「詠唱ライフル――人狼騎士団のようですね」
「分かるの? 幸にぃ?」
 八重の言葉に幸四郎は頷きガンナイフを構えた。
「銃声と一緒に回転動力炉の駆動音が聞こえましたから……八重?」
「回転……どーりょくろ?」
 気になって視線を向ければ、そこには首を傾げる少女が一人。
「細かいことは後です、今はこの場を」
「うん、切り抜けよう!」
 八重が二刀を抜くと、今度は青年が目を見開いた。
「刀?」
「うん」
 幸四郎の言葉に少女が答えた。

 ――ひょっとして

 探偵騎士としての知性が青年へ解を導かんとした時。
 人狼騎士の一群が突撃を仕掛けてきたのはその時だった。

「来たよ、幸にぃ」
「ええ八重、白燐奏甲を」
 八重の言葉に応えるかのように幸四郎が銃を構える。
「幸にぃは下がってて。道はわたしが開く!」
「って、自分で突っ込むんですか!?」
 前に出た少女に対し青年は普段上げない声を上げ、そして顔を見合わせる。
「白燐奏甲……うぇ、そんなの出来ないよ!?」
 八重の言葉に幸四郎は確信した。
「なるほど私達はおそらく……異なる世界の」
 ガンナイフが銃声を発し、同時に二刀が煌めいた。
「――同一の存在」
「異なる世界の存在ー!?」
 紫煙漂う銃を持った青年に少女が声を上げる。相手に先制を与えるべく放たれた人狼騎士の一斉射は全て叩き落され。そして――
「詳しい事は後で、今は!」
「――うん!」
 今度は二人の猟兵が敵陣へと飛びこんだ。

 もし世界が複数あるとして、その世界で同じ人物がいる可能性はゼロではない。
 世界の存在は猟兵によって証明された以上、同一の存在もありうる事。
 そして今、御鏡・幸四郎と御桜・八重が出会ったことでそれが証明された。

 勿論、住む世界、文化、生き方の違いはある。

 少なくとも八重にとっての幸四郎は只人であり、神職に身を捧げている存在。
 拳銃を片手に剣や槍と渡り合い、どこかで見たような不思議な技を使い霊気を纏わすことも無い。
 幸四郎にとってもそうだ。
 彼の知る八重はゴーストが起こす災害に対する医療チームを立ち上げ世界中を走り回っている。
 今のように巫女服を纏った少女ではない。
 違いはある。けれど同じ存在であることに変わりは無い。
 だから少しずつだが息が合い、動きは重なっていく。

 世界が違い、生き方が違い、それぞれが個性を持っていたとしても、世界と運命が紡いだ生命は同じであるのだから。

 幸四郎も八重も言葉に発さずともそれを悟る。

 八重にとっての幸にぃも
 幸四郎にとっての神崎・八重も

 今、ここに居ないけれど。
 |違う世界《となり》には居るのだから。
「今です、八重」
 御鏡・幸四郎が天に向かってガンナイフの引鉄を引けば――雑霊の雨が降る。

 |雑霊弾雨《ゴースト・スコール》

 相手を麻痺させる魔弾の雨。そこへ――
「うん、幸にぃ!」
 御桜・八重が飛びこんだ!

 |桜彗星《サクラ・コメット》

 桜色のオーラが尾を引く強烈無比な突進。
 人狼騎士の一団に立てる者は誰一人居なかった。


「世界がいっぱいあると」
 八重が刀を納め、幸四郎へと振り向く。
「こんなことも起きるのですね」
 少女がはにかむように笑みを浮かべると、青年もそれに応じるように口角を緩めた。
「不思議な感じですが」
「これも何かの縁だね!」
 二人の言葉が重なる。
「これからもよろしくね、幸にぃ♪」
「こちらこそ。よろしくお願いしますね、八重」
 ハイタッチが街に響いた。

 世界とは不思議なものだ。
 壁を隔てた誰かとの出会いを繋いでくれるのだから。

 これは銀と桜の縁の話。
 戦争の間に起こった小さくも大切な出会いの物語。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年02月06日


挿絵イラスト