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アステリズムの影法師

#スペースシップワールド #ブルーアルカディア #戦後 #プリンセス・エメラルド

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●帝国継承軍旗艦『ソング・オブ・オーンブル』
 惑星の存在しない宙域にひときわ大きく輝く船があった。
 それは多くの|漿船《クリスタルシップ》の亡骸を持って建造された旗艦である帝国継承軍旗艦『ソング・オブ・オーンブル』である。
「これだけの時間を頂ければ、流石に十分でした」
 猟書家『プリンセス・エメラルド』は『ソング・オブ・オーンブル』の艦橋に座して微笑む。
 確かに配下の猟書家の大半を失ったことは事実。
 されど、時が彼女に味方した。
 多くの時間を掛けて、帝国軍の再集結を為し、また|漿船《クリスタルシップ》を回収した。
 さらには|闇の騎士《オブリビオン・フォースナイト》の編成。
 これまで銀河帝国ですら手の出せなかった未踏宙域の怪物『クエーサービースト』の洗脳。
「そして、『希望の聖地オーンブル』にて鹵獲した、空の世界の魔獣達……」
 一大戦力と呼ぶにふさわしい軍容である。

「私は此処に、『|帝国継承軍《サクセション・フォース》の完成』を宣言致します。私達の軍勢はもはや、嘗ての銀河帝国など比較にならぬ程の軍備を手に入れ、洗脳により『クエーサービースト』宙域も航行可能となりました」
 その宣言に『ソング・オブ・オーンブル』の周囲に集まった大艦隊とも言うべき|漿船《クリスタルシップ》の中で『闇の騎士』たちの声が上がる。
 館内に蠢くブルーアルカディア世界の魔獣たち。そして、クエーサービーストすら従えた『ソング・オブ・オーンブル』は『プリンセス・エメラルド』の言葉が大げさではないことを示していたことだろう。

「待っていなさい、絢爛たる『スペースオペラワールド』よ」
 彼女は笑む。
 永きに渡り待ち望んだ世界への道筋が、今彼女の目の前にあるのだ。
「かつてあなた達が封印した、正当なる宇宙の支配者……善龍『スターゲイザー』の血族。彼らの『帝国継承規約』を引き継いだ私こそが、あなた達の新たなる支配者となるのです!」
 彼女の号令が『帝国継承軍』へと激と成って飛ばされる。
 このスペースシップワールドという垣根を越え、この世界を内包するスペースオペラワールドにすら猟書家としての侵略の手を伸ばさんとする『プリンセス・エメラルド』は盛大にして苛烈なる軍勢と共に進軍するのであった――。

●青
「私の機体の整備はどうか」
「ハッ! すでに万全にて」
 ありがとう、と『闇の騎士』の一人が『ソング・オブ・オーンブル』の格納庫の一つに収めた青い人型戦術兵器『ブラウエルフォーゲル』のコクピットに収まる。
 それは嘗て『青い稲妻』と称された『少佐専用の青の突撃騎士』 であった。
 伝説に謳われた機体。
 解放軍との戦いにおいて、一度の戦闘で6隻もの宇宙船を沈めた伝説はあまりにも有名であった。
 それを駆るのは『闇の騎士』。
 圧倒的な技量は、『帝国継承軍』が誇る最強戦力であることを知らしめるだろう。

「艦隊とクエーサービーストの指揮は私が執る。まずは、この初陣を持って嘗ての伝説を再現してみせるとしようではないか」
 その言葉に整備班のオブリビオンたちは敬礼を持って彼を送り出す。
 これは新たなる伝説の幕開けである。
 かの時代においても、彼は同じように謳われていた。伝説を再び生み出す者。
 スペーシップワールドに存在したという脅威の人型戦術兵器。
『青き天使』とも呼ばれた、『セラフィム』の伝説の再現。
 それこそが『闇の騎士』となって己の為すべきこと。

「猟兵……まずは、この力の試金石となって頂く――!」

●最終決戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はついに猟書家『プリンセス・エメラルド』との最終決戦の予知となります」
 彼女の表情は険しいものであった。
『プリンセス・エメラルド』が得たのは時間である。例え、多くの部下を喪うのだとしても、それでも彼女は時間によって膨大な兵数の『帝国継承軍』を編成することに成功したのだ。
 旗艦『ソング・オブ・オーンブル』。
『闇の騎士』にクエーサービーストさえも加え、多くの|漿船《クリスタルシップ》を舌がている。

 まことに致命的な事態に陥る前に予知できたことは不幸中の幸いであった。
「この大軍勢を瓦解させるためには、『プリンセス・エメラルド』を倒すしかありません。彼女を打倒できれば、『帝国継承軍』を束ねる大義名分はなくなります」
 ナイアルテの言葉は尤もであったが、敵の数は尋常ではない。
「敵の『闇の騎士』は人型戦術兵器を駆り、先駆けとなって皆さんにまずは迫ってきます。単体でも強力な敵ですが、『大量のオブリビオン艦隊』と『クエーサービーストの群れ』を従えているのです」
 それは即ち数の優位をもって、『先制ユーベルコード』を放ち、その上『大量の配下による攻撃』を仕掛けてくる。
 とてつもない敵であることは言うまでもない。
 これを倒せば、『ソング・オブ・オーンブル』の座標を得ることができるだろう。

「ですが、これだけではありません。例え『ソング・オブ・オーンブル』の座標を得たとしても、これを守るのは『小惑星サイズに巨大化』した『ウルゲル』と呼ばれるブルーアルカディアの魔獣なのです。しかも、今回は奇襲作戦……巨大な惑星ロボは使用できません」
 それはつまり、自らのユーベルコードのみで、小惑星サイズの魔獣と戦わなければならないということなのだ。
 これだけでも猟兵の消耗は激しいものだろう。

 これを打倒しても、『ソング・オブ・オーンブル』に座す『プリンセス・エメラルド』を守る壁は分厚い。
「彼女に肉薄できたとしても、大量の継承軍がテレポートで駆けつけてくるのです。これにより、皆さんは『大量の軍勢による全方位からの攻撃』と『プリンセス・エメラルド自身の先制ユーベルコード』に対処しなければなりません」
 この二つをどうにかしないことには勝利は程遠いということだ。

「彼女を倒せる事ができれば、旗艦は爆発し、彼女という旗印を失った継承軍は瓦解していきますし、暴走したクエーサービーストが艦隊を滅茶苦茶にしてくれることでしょう……ですが、その後しばらくすると彼女は旗艦ごと再蘇生します。けれど、これを繰り返せば……」
 確実に滅ぼす事ができるということだ。
 オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』。
 彼女との一大決戦を制し、動乱を運ぼうとする戦いに決着をつけるときだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 ついにオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』との決戦になります。
 膨大な数のオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れ、さらにはブルーアルカディアの魔獣による物量戦。
 それを躱し、旗艦『ソング・オブ・オーンブル』に肉薄し、『プリンセス・エメラルド』を打倒するシナリオになります。

●第一章
 ボス戦です。
『帝国継承軍』が誇る最強戦力、『闇の騎士』と呼ばれる『オブリビオン・フォースナイト』の一人が駆る『少佐専用の青の突撃騎士』 との戦いにあります。
 機体は体高5mほどの人型戦術兵器です。
 これに加え、『大量のオブリビオン艦隊』と『クエーサービーストの群れ』を従え、戦略上の圧倒的優位をもって『先制ユーベルコード』を放ち、その上『大量の配下による攻撃』でもって皆さんを圧殺しようとしています。

●第二章
 ボス戦です。
 膨大な数の軍勢と『闇の騎士』を打ち破った皆さんは、手に入れた『ソング・オブ・オーンブル』の座標を元に迫りますが、そこに現れたのは『小惑星サイズに巨大化』した『ウルゲル』と呼ばれる魔獣です。
 本来ならば、このサイズの立ち向かうためには惑星ロボが必要ですが、惑星ロボを持ち出すことができなかったため、自らの力とユーベルコードで対抗しなければなりません。

●第三章
 ボス戦です。
 旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の内部に飛び込み、オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』との最終決戦となります。
 彼女の周囲には絶えず、テレポートによって『大量の軍勢による全方位からの攻撃』が降り注ぎ、また彼女自身の『先制ユーベルコード』を皆さんに放ってきます。
 これらの両方に対処しなければ、彼女を倒すことはできないでしょう。

 それでは、帝国継承軍の誇る圧倒的軍勢に立ち向かう、皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『少佐専用の青の突撃騎士』

POW   :    見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを!
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に!
【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    これ以上はやらせんと言っている!
【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:最古青

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は春日・釉乃です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 青い人型戦術兵器が宇宙を駆け抜ける。
 それは閃光のようであったし、また流星のようでもあった。
「機体の状況は万全。これならば!」
『闇の騎士』、『証左専用の青の突撃騎士』たる『ブラウエルフォーゲル』は宇宙を駆け抜ける先駆けとなって『クエーサービーストの群れ』と『オブリビオン艦隊』を率いて旗艦『ソング・オブ・オーンブル』に迫るであろう猟兵たちを迎え撃たんとしている。
「如何な猟兵と言えど、この物量。策もなしに飛び込むこともあるまいが。しかし」
 彼は笑う。
 これが伝説の幕開けであると。
 かつて彼が聞いた宇宙の伝説。
『青い天使』とも呼ばれた『セラフィム』の伝説。

 それを己が再現んしようというのだ。
「この軍勢を見ても怯まぬ者をこそ打ち破ってこその伝説の幕開けであると言えるだろう」
 来るがいい、と『闇の騎士』は不敵に笑み、宙域に青き閃光となって走る――。
戒道・蔵乃祐
一点突破…!
状況は迷宮災厄戦と比べて格段にシンプルですね

この前線を越えられなければ戦禍は再び繰り返されるが
大将首さえ討てば銀河は今一度の危機を脱する
「兵は拙速を尊ぶ」とはよく言ったものです
|ならば突撃だ!!《Los! Los! Los!》
スキットルから蒸留酒をドーピング

◆酔八仙ドランクマスタリー
※キャバリア騎乗戦闘
限界突破の切り込みでスラスター全開

フェイント+見切りで一斉射される弾幕の中を一騎駆け
宇宙怪獣を足蹴にした|急制動で群れは躱していく《 ジャンプ+空中戦 》

稲妻の一斉発射は心眼+読心術で先読みし、シールドで武器受け
クイックドロウ+乱れ撃ちでライフル連射
接近戦は早業+グラップルの重量攻撃



 スペーシップワールドの広がる宇宙空間を埋め尽くすのは猟書家にしてオウガ・フォーミュラたる『プリンセス・エメラルド』の『帝国継承軍』の艦隊であった。
 途方も無いほどの数。
 全天を埋め尽くさんばかりの大艦隊。
 それだけではなく『クエーサービースト』の群れさえも従えている。
 これが時間という味方を得た『プリンセス・エメラルド』の力の総力であるというのならば、それは恐るべきものであったことだろう。
 しかし、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、その光景をあえてシンプルであるという言葉で表現した。

「ならば、一点突破……!」
 そう、この前線たる戦いを超えることができなければ、戦禍は再び繰り返される。
 解放軍と銀河帝国が嘗て争ったように、悠久にも似た戦いが広がっていくばかりなのだ。
 けれど、と蔵乃祐は思うのだ。
 オウガ・フォーミュラたる『プリンセス・エメラルド』さえお討てば、銀河は今一度の危機を脱する。
「『兵は拙速を尊ぶ』とはよく言ったものです。|ならば突撃だ!!《Los! Los! Los!》」
 キャバリアのコクピットの中で浮かぶスキットルを手に取り、蔵乃祐は一気に中身を煽るようにして蒸留酒を飲み込む。
 喉が焼ける。
 臓腑が熱を持つ。
 それこそが、己の戦いであるというように、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 しかし、その蒸留酒が己の肉体に満ちていくより速く迫るのは青き閃光の如き人型機動兵器とオブリビオン艦隊、そして『クエーサービースト』の群れであった。
 圧倒的な物量。
「なにかしようとしているようであるが、その先手を潰してこそ!『エース』であると言えようものだな!」
 青い閃光は『少佐専用の青の突撃騎士』。
 凄まじい速度で迫る人型戦術兵器は、全ての武装を展開し、その火線を蔵乃祐の駆るキャバリアへと引くように解き放つ。
「弾幕……! 思い切りがいいとは言えますが!」
 酔はまだまわらない。
 ならばこそ、一気にキャバリアのスラスターを踏み込み、速度が即座にレッドアラートをはじき出す。

 肉体に掛かる加速度。
 それを鍛え上げられた蔵乃祐の肉体が受け止め、その骨がきしむ音を自身は聞くだろう。
「フェイントを交えても!」
 迫る青い人型戦術兵器。
 その速度は圧倒的だった。技量、機体、共に万全にして最強の部類。けれど、蔵乃祐は迫るクエーサービーストやオブリビオン艦隊をこそ、利用する。 
 全方位からの攻撃。
 けれど、彼らが全て火線を放つ武装を持っているわけではない。
 クエーサービーストの巨体を足蹴にするように急制動でもって群れを躱しながら、己をおう火器の追従を振り切るのだ。

 だが、それを上回るのが『闇の騎士』たる『少佐専用の青の突撃騎士』である。
「甘いと言わせていただこうか!」
 シールドで受け止め、しかし、即座にライフルの連射で距離を稼ぐ。それでも食らいついてくる速度は見事というほかなかった。
 ライフルを捨てる。
 これはもう意味がないと酔いの回った頭で蔵乃祐は理解する。
 回ってきた、とも思ったことだろう。
「酔えば、酔う、、程に、」
 酔八仙ドランクマスタリー(マーシャルマスタリー)。それは己の中に取り込んだアルコールの質と量によって、己のリミッターを解除する力。

 煌めくはユーベルコード。
 酔を巡らせる為の運動は既に終わりを告げ。ここからが本領であるというように蔵乃祐はコクピットに浮かぶスキットルからこぼれた蒸留酒の球体となった雫をすするようにして唇を舌で湿らせる。
「征きましょう、ここからは接近戦です!」
 奮うキャバリアの拳。
 それは閃光のように走る『少佐専用の青の突撃騎士』に猛追し、変幻自在たる挙動で持って敵の群れを翻弄しながら迫るのだ。

「速度が上がった……いや、違うなこれは! 挙動が変わったということか!」
「ええ、例え視界がぼやけたとしても、酔えば酔うほどに!」
 それはさながら酔拳。
 そして、予測不可能たる挙動。あらゆる攻撃は今の蔵乃祐の動きを捉えられない。全てが予測不可能。
 全方位から攻め入る敵の攻撃も、何もかも酔いの前には一切の規則性を見出すことはでいなかったことだろう。
「こ、の――!」
「取りましたよ、この角!」
 それほどまでに蔵乃祐の駆るキャバリアは、予測できない動きを見せ、その拳の一撃を持って『少佐専用の青の突撃騎士』の頭部ブレードセンサーを叩き潰すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
ハハハ、伝説の幕開けか。随分と煌びやかな未来が見えている様だ。
夢想しているだけであれば幸せだっただろうに……
行動に移してしまったからには現実と向き合わないといけないね。

【敵先制UC】【配下からの同時攻撃】
青騎士、そして配下からの攻撃が届く前に身に纏った|魔力《オドⅣ》から魔力の奔流を放って破壊しましょう。(暴力×範囲攻撃)
余波は魔力障壁で遮断。(オーラ防御×結界術)

しかる後に『アーリマンの降臨』を発動。
戦場全体に死の波動を撒き散らしながら超音速で青騎士に肉薄。
『オーラセイバー』で斬り裂きましょう。(暴力×功夫×怪力)



「我が機体の角を折るか!」
 猟兵の手繰るキャバリアの拳の一撃が『闇の騎士』駆る『少佐専用の青の突撃騎士』たる人型戦術兵器のブレードアンテナを打ち砕く。
 体勢を崩したとて、それでも『闇の騎士』はオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』の軍勢の中に於いても最高戦力。
 その彼がただ一度の敗走でもって折れることはなかった。
 機体の制御は一瞬で終わる。
 青い閃光のように宇宙空間を駆け抜ける様は、まさに伝説の幕開けを信じさせるには十分であった。
「これは伝説の幕開けにすぎんのだよ!」
 武装が展開される。

 それだけではない。
 彼が指揮する『オブリビオン艦隊』や『クエーサービースト』の群れは、それだけで猟兵を全方位から囲い込む。
 無数の攻撃が迫り、これを躱すのは至難の業であったことだろう。
「ハハハ、伝説の幕開けか」
 しかし、そんな彼らを前にして笑う者がいる。
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は赤いコートを宇宙空間になびかせ、己の身に纏った真紅のオーラより放たれた魔力の奔流で持って押し止める。

 火線が取り囲むのだとしても、破壊のオーラを纏った彼には届かない。
 魔力障壁によって遮断される攻撃は、しかし『少佐専用の青の突撃騎士』によって破られる。
「そうだとも。これが、この一戦が……いや、この一撃がスペーシップワールドの歴史を変えるのだ」!
 引き抜かれたビームブレイドがシーザーに振り下ろされる。
 それを魔力障壁で受け止めながらシーザーは微笑みを絶やすことはなかった。
 ビームと障壁が激突して、奔流となって迸る。

「随分と煌びやかな未来が見えている様だ」
「それを現実のものとするだけの力が我等にはあり、また『帝国継承軍』を率いるあの御方……『プリンセス・エメラルド』には、その視覚がある」
 振り抜かれるビームブレイドの一閃。
 それを受け流しながらシーザーは瞳を閉じる。
「夢想しているだけであれば幸せだっただろうに……行動に移してしまったからには現実と向き合わないといけないね」
 彼の言葉に『闇の騎士』は訝しむ。

 猟兵の周囲を囲うのは圧倒的な物量だ。
 それだけではない。『クエーサービースト』の群れだってそうだが、いずれがも雑兵と呼ぶにはあまりにも強力な存在ばかりだ。
 だというのに、シーザーは頭を振る用に否定してみせる。
「何を言う。夢想と断じるのは、我等を打倒してから言ってもらおうか!」
 切り結ぶオーラとビームブレイドの閃光。 
 激突する最中、シーザーの瞳がユーベルコードに輝く。
「さあ、始めようか」
 身にまとうのは真紅のオーラ。
 輝くそれは、膨れ上がり、真紅の波動となって迸る。それは死の波動とも言うべき衝撃波の波。

 アーリマンの降臨(デウス・マールム)。
 それはシーザーのユーベルコードであり、また同時に個でもって軍を相手取るユーベルコードであった。
「紅い波動……! 全方位か!」
「そのとおりさ。だが、君はこれを躱すようだね。『闇の騎士』……そう呼ばれるに値する卓越した技量であると言えるだろう。けれど」
 手にしたオーラセイバーが光を放ち、迫る『闇の騎士』が手繰る『少佐専用の青の突撃騎士』が奮う一撃と切り結ぶ。

 斬撃によってビームブレイドの刀身がかき消され、機体の肩アーマーが切り裂かれる。
 更に殺到する『オブリビオン艦隊』の機動兵器群をシーザーは手にしたオーラセイバーで一瞬に切り裂くのだ。
「まだ足りないと言わざるを得ない。物量という圧倒的優位を前に、こちらに先制を取るのはよかったが……しかし私達の力量を低く見積もるのはやめたほうがいい」
 例え、個であっても軍を圧倒するのは何もオブリビオンの専売特許ではない。
 輝くユーベルコードは千差万別にして多種多様。
 ならばこそ、艦隊を食いものに出来るユーベルコードもまた存在するのである。

「これから君等の戦力を削ぎ落とす」
 それを証明するようにシーザーは己のオーラセイバーを構え、その赤き真紅の波動を撒き散らしながら『少佐専用の青の突撃騎士』を追いすがり、そのさなかに放つ波動で持って次々と『オブリビオン艦隊』を沈めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
プリンセス対決ですわ〜!
ここで引き下がったらプリンセスの恥ですわ!
ヴリちゃん!参りますわよ〜!

おキャバリアみたいなのが出て参りましたわ!
お速い!しかも敵だらけ!
ここはゲイルカイゼルで逃げ回りますのよ〜!
ブースターとスラスターでダッシュダッシュおダッシュですわ
大きなお船の影に入ってしまえば幾らかマシですわねぇ
一斉射は装甲で耐えながら射程外に逃れるのですわ
ミサイルならマシンガンで撃ち落としますのよ
やり過ごしたらハイパーブーストですわ
お船の影から影へとぎゅんぎゅんかっ飛び回って外野の攻撃を避けながら体当たりですわ
すぐに離脱して一斉射から逃れますのよ
これぞエルネイジェ流轢き逃げ殺法ですわ〜!



 オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』率いる『帝国継承軍』の戦力は嘗ての銀河帝国をも凌駕するものであった。
『オブリビオン艦隊』は言うに及ばず。
 さらにはこれまで未踏宙域に蔓延っていた『クエーサービースト』すらも洗脳せしめてみせたのだ。
 さらには旗艦『ソング・オブ・オーンブル』を守るようにして展開する最強戦力たる『闇の騎士』たち。
 その一大戦力を前にして引くに引けない猟兵がいる。

「プリンセス対決ですわ~! ここで引き下がったらプリンセスの恥ですわ!」
 そう、我等がエルネイジュ王国の姫にして、放浪の皇女、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)である。
 彼女は暴竜型キャバリア『ヴリトラ』と共に宇宙を駆け抜ける。
 高機動仕様の『ヴリトラ・ゲイルカイゼル』で周囲にあるデブリを蹴るようにして高機動たる所以を見せつける。
 しかし、敵もさるものである。
 猟兵によって打撃を受けながらも『闇の騎士』、『少佐専用の青の突撃騎士』である人型戦術兵器が閃光のように迫っているのだ。

「プリンセスを騙るか! 我等が姫君のために、貴様のような輩は!」
 閃光のように飛ぶ青色の戦術兵器。
 人型。 
 それをメサイアが認識した瞬間、彼女を取り囲むのは『帝国継承軍』の戦力であった。
 全方位からの攻勢。
 それは彼女に圧倒的な火力を突きつけるものであった。
「お速い! しかも敵だらけ!」
 メサイアは『ヴリトラ』と共にデブリを盾にしながら飛ぶ。しかし、集中するように火線が宇宙の闇を切り裂くようにして迫る。

 更には『少佐専用の青の突撃騎士』が迫っている。
 バズーカの砲撃に加え、距離を詰めてくる。
「この『ゲイルカイゼル』の速度に付いてきますわね! 生意気ですわ~!」
「我が剣から逃れられる思うなよ!」
 ブースターとスラスターを全開にしても、速度で追いつかれる。機体性能は互角。距離が離せないのだ。
 ならば、後はパイロットの技量次第となるであろう。
 メサイアは、即座に迫る『オブリビオン艦隊』の船影の影に飛び込む。
「小賢しい!」
 だが、それにも即座に敵は対応してくる。

 飛び出した瞬間を狙うように『少佐専用の青の突撃騎士』から放たれる火器の一斉射が『ヴリトラ』へと迫る。
 ミサイルの乱舞をマシンガンで撃ち落としながら、ビームバズーカを装甲で受け止める。
 溶解する装甲。
 荒ぶ爆風の中を『ヴリトラ』は飛ぶ。
「よくもやってくれましたわね! この装甲にどれだけお金額が注ぎ込まれていると思いますの!」
 一国の国家予算がどれほどのものであったのかを今はもう知る由もないが、それはものすごい金額であったことだろう。
 後で修繕する事を考えたらクラクラきてしまう。
 しかし、メサイアは、そういう賠償は勝って勝ち取ればいいと思った。彼女の瞳は未だ敗北に染まっていない。

 生きている。
 ならば、やるべきことは一つである。
「当たって砕くのですわ!」
 単純明快。
 その言葉に応えるように『ヴリトラ』のアイセンサーが宇宙の暗闇の中に煌めく。
「暴竜猛襲(ハイパーブースト)ですわ~!」
『ヴリトラ』が加速し、一気に『オブリビオン艦隊』の船影から影へと飛び回り、迫る周囲の攻勢を物ともせずに駆け抜けていく。
「……速い……! この私が見失うだと!?」
「そこですわ! そぉい!」
『ヴリトラ』の加速と共に己を弾丸とした一撃が『少佐専用の青の突撃騎士』に叩き込まれる。
 背部のユニットをひしゃげさせるようにして、『ヴリトラ』は機体を弾き飛ばす。

 そう、これこそが。
「エルネイジュ流轢き逃げ殺法ですわ~!」
 なんかそれはどうなんだと思わないでもなかったが、一撃離脱の突撃をぶちかました『ヴリトラ』は見事に『少佐専用の青の突撃騎士』の機動力を奪うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピカ・ネビュラスター
宇宙で好き勝手されるのは、銀河の魔女のボクとしてはちょっと気に入らないね
プリンセス・エメラルド……その野望、無茶苦茶にしてあげようじゃないか

先ずは闇の騎士が相手だね
数が多いだけの雑魚かと思ったら、なかなかやるみたいだね
とはいえ……本気を出すにはまだ早いかな

『ミューテーション・ダークマター』を発動して、全身を暗黒物質に変化させるよ
(発動前に攻撃を受けるなら、守護衛星『Aegis』が自動防御)

ふふふ……暗黒物質に有効な攻撃手段なんて無いよね?
それに、宇宙空間に紛れてしまえば……見つけることなんて不可能だよ

このまま闇の騎士の死角に回って
ウィッチクラフトと重力魔法を食らわせてあげるね



 猟兵の突撃攻撃に『闇の騎士』が駆る人型戦術兵器『少佐専用の青の突撃騎士』は、背面のスラスターを破壊されて機動力を奪われていた。
 しかし、『帝国継承軍』最高戦力である『闇の騎士』がこの程度で終わるわけがない。
 背面のスラスターという機動力を奪われたのならば、己のフォースの力でもって補えばいいのだ。
「機動力を奪った程度で勝ち誇られては困る。この機体の真価は我ら『闇の騎士』を乗せてこそである!」
 ひしゃげたスラスターから噴出するフォースが機体の機動力を補って有り余る力の発露となってさらに猟兵に迫る。

「宇宙で好き勝手されるのは、銀河の魔女のボクとしてはちょっと気に入らないね」
 スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は、スペーシップワールドの宇宙に転移して目前に迫る『帝国継承軍』の凄まじき軍容を知る。
 膨大な数の『オブリビオン艦隊』。
 それに加えて『クエーサービースト』の群れさえも従えている『帝国継承軍』は嘗ての銀河帝国をも凌駕する戦力を有していると言っても過言ではなかっただろう。
 球体の如き星、魔星『アークツルス』に腰掛け、スピカは迫る『少佐専用の青の突撃騎士』が己に狙いを定めたことをしる。

「『プリンセス・エメラルド』……その野望、滅茶苦茶にしてあげようじゃないか」
「あの御方の道を阻もうとするか、猟兵! 我ら『闇の騎士』は、そのためにこそ居るのだ! 露払いとさせて頂く!」
 抜き払うビームブレイドと、放たれるミサイルランチャー。
 さらに『オブリビオン艦隊』からの援護砲撃と『クエーサービースト』の襲撃。それが一斉にスピカに迫っている。
 逃げ場のない全方位攻撃。
 それを前にスピカは不敵に笑む。

「数が多いだけの雑魚かと思ったら、なかなかやるみたいだね。とはいえ……本気を出すにはまだ早いかな」
 放たれる砲撃を受け止めるは守護衛星。
 魔女術でもって作られた女神の楯の名を持つ強固な衛星がスピカを守る。しかし、敵の数が多い。全てから守れるわけではなかった。
 迫る『少佐専用の青の突撃騎士』。
「出し惜しみをするというのは! 我らを侮っているという驕りに他ならぬぞ、猟兵!」
 放たれるビームブレイドの一撃が守護衛星とぶつかって火花を散らす。
 押し切られる、と思っただろう。

 けれど、スピカは不敵に笑むままだった。
 初撃を受け止める。いや、耐え凌ぐのならば、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「ボクの体は、宇宙を満たす暗黒へと変わる……」
 彼女の体がまるで斑のように色を変えていく。
 それは『暗黒物質』へと肉体を変貌させるユーベルコード。
 ミューテーション・ダークマター。

 押し切られたビームブレイドの斬撃の一撃がスピカへと叩き込まれる。しかし、ビームブレイドの出力が吸われていく。
 暗黒物質とは質量を持つが、物質と相互作用しないものである。
 故に、スピカに打撃は意味をなさない。
「体そのものが、暗黒物質だと……!?」
「ふふふ……すでにボクの体は暗黒物質そのもの。暗黒物質に有効な攻撃手段なんてないよね? それに……」
 スピカの体が変貌していく。
 それは宇宙空間に紛れるように溶けていく。

 レーダーにすら映らぬ存在。
 其処に在る、ということはわかっても観測できぬのが暗黒物質。ならば、スピカの姿を『闇の騎士』と言えど感知はできず、人型戦術兵器のセンサーでもって捉えることはできないのだ。
「……何処だ!」
「応える義理はないけれど……けれど、肩慣らしにキミはちょうどよかったよ『闇の騎士』」
 スピカはそのまま、手のひらを掲げる。
 そこに現れるのは星杖ギャラクシア。
 彼女のウィッチクラフトの触媒となる杖。満ちる力は重力魔法。
 それは、『少佐専用の青の突撃騎士』の機体を捉え、その機体に満ちる闇のフォースを押しつぶしていく。

「さあ、ボクのウィッチクラフトを見せてあげよう――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

『セラフィム』って名前がでていたので、
なにかの手がかりになるかと思ったのですけど……。

ステラさんの怒りが怒髪天です!?

え?ニセモノ?
そ、それはほんとにごめんなさい!
わたし匂いとか解らないんで、その、悪気はなかったんです!
宇宙に放り出しとかやめてください!勇者でもさすがに無理です!

と、速やかに綺麗な土下座。

あ、はい!
でも、あのスピード……すごい速度です。

点で狙うのが無理なら、面でいくしかないですね。

ここは【Canon】で!

って、闇ピュアってなんですか!?
わたしはいつもぴゅあっぴゅあで頭脳派な光の勇者ですよ!

それにこれも闇魔法じゃないです!
闇を破壊する|光の《・・》魔法ですから!


ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
セラフィム?
……ただ青くて高性能なだけの機体でセラフィム??
なるほど
百回ほど輪廻してきてもらえますか?
百回ほど殺して差し上げますので

はい?ルクス様、あれがセラフィムだといいました?ん?
全然エイル様の匂いがしないじゃないですか!(ずずい)
仕方ありませんね
宇宙空間突撃で……さすがに勇者殺しの称号は物騒なのでやめておきましょうか

さて、と
ふむ、ルクス様にしては理知的な攻撃
さすが闇ぴゅあ勇者、この手は的確ですね
では続きましょう
【テールム・アルカ】起動
人型サイズにリサイズしたハイペリオンランチャーで
なぎ払うように砲撃
出力は私の天使核に直結で渾身の一撃
さぁ、遠慮なしにもっていきなさい!



 最初はよかれと思ってのことだったのだ。
『セラフィム』――それはスペーシップワールドにおいて存在したと言われる人型戦術兵器である。
 個体でありながら、他の機体とのリンクを得て共有する経験値。
 一介のパイロットを『エース』にまで成長させる歩行器。
 それが『セラフィム』であり、またその伝説は長く続くスペーシップワールドの歴史においても多くの伝説となって残っていることだろう。
 全容は知らずとも、断片はあちこちに残っているのかもしれない。
 だからこそ、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思ったのだ。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が探し求めている『主人様』と何らかの関係性があるのではないかと。

「『セラフィム』? ……ただ青くて高性能なだけの機体で『セラフィム』??」
 その顔は、ルクスをして、あっ。と思わざるを得ない表情であった。
 なんらかの手がかりが在るかもしれないと思っていたのだ。
 よかれと思っていたのだ。
 大事なことなので二回ほど言ったが。
 しかし、ステラの顔は明らかに怒っていたし、怒髪天な感じであった。これはやっちゃいました? な案件であるとルクスは即座に理解しただろう。
「あれって『セラフィム』じゃないんですか?」 
 ルクスが示したのは『オブリビオン艦隊』を率い、『クエーサービースト』の群れすら制御してみせる青い閃光の如き人型戦術兵器であった。

『闇の騎士』が駆るそれは猟兵のユーベルコードが放つ重力から逃れ、フォースを推進力代わりにして宇宙を駆けている。
「はい? ルクス様、あれが『セラフィム』だといいました? ん?」
 解釈違い此処に極まれりというやつであろう。
 完全に厄介なあれになっているステラにルクスはちょっと慄いた。
「え? 違うんですか?」
「全然『エイル』様の匂いがしないじゃないですか!」
 うわ。

 ルクスは、本当にうわ、と思ったがどうしようもないことである。
 彼女は匂いで判別できるわけではない。多くの猟兵がそうであろうが、できないものはできないのである。
 そして、悪気はないのである。
 純度ひゃくぱーの親切心であったのだ。しかしである。『エイル』絡みのステラに理屈は通用しない。常識もついでに通用しないのである。
「宇宙に放り出しとかやめてください! 勇者でも流石に無理です!」
 速やかに綺麗な土下座で許してもらう。
 しめやかな土下座であった。もしかして、土下座しなれていらっしゃる? しかし、ステラも流石に勇者殺しの称号はほしくない。というかいらない。物騒すぎる。

「さて、と」
 幕間はこんなもんでいいでしょうとばかりにステラは頷く。
 迫る敵は全方位攻撃に加えて、圧倒的な高機動力である。すでに自分たちは囲まれている。
「ですが……箱舟、起動。武装、転送。ハイペリオンランチャー、天使核直結……テールム・アルカ」
 放たれる『オブリビオン艦隊』からの砲撃。
 さらに迫る『少佐専用の青の突撃騎士』。
「エネルギーの膨張……来るか!」
 ステラの瞳がユーベルコードに輝いている。直結された天使核より流入したエネルギーは砲身を溶かすかのような熱量で持って宇宙空間に放たれる。
 その一撃は薙ぎ払うように放たれるも『闇の騎士』が手繰る人型戦術兵器を巻き込むことはかなわなかった。

 だが、それでよかった。
 初撃はただの牽制。
 そして、牽制が打ち込まれたのならば、本命が必ず存在するということである。それはルクスである。
 勇者としての彼女の力はステラも認めるところである。
「ルクス様にしては理知的な作戦です。さすが闇ぴゅあ勇者、この手は的確ですね」
「あ、はい! じゃない! 闇ピュアってなんですか!? わたしはいつもぴゅあっぴゅあで頭脳派な光の勇者ですよ!」
 そんなルクスに迫る『少佐専用の青の突撃騎士』。
 圧倒的な機動力でステラの一撃を躱して迫っていたのだ。

「いえ、どう考えても闇ぴゅあかと」
 闇ぴゅあとはどういう?
「いいですから、点で狙うのが無理なら面です!」
 確かに『闇の騎士』の力は凄まじい。ステラの砲撃の薙ぎ払いであっても躱してくる。圧倒的な機動力。
 けれど、それは敵を一点で狙うのならばの話だ。
 どれだけ高機動を誇るのだとしても、面の制圧能力の前には躱しようがない。
 例えば、音。
 全方位に迸る音を如何な高機動であっても躱すことは難しい。音速で伝わること以上に、それが見えないということが問題なのだ。

「Canon(カノン)、行きますよ!」
 放たれる破壊音波魔法。 
 それは周囲に無差別に放たれる音の波。防ぎよう無く、そして見ることのできない一撃は周囲のオブリビオン艦隊を巻き込み、クエーサービーストすらも苦悶へと叩き込む。
 いわば、阿鼻叫喚地獄。
 ステラはしっかり耳栓をしていた。あんちれぞなんす……えーと、とにかくすんごい耳栓で!

「さすがは闇魔法です」
「これ違いますよ!?  闇を破壊する|光の《・・》魔法ですから!」
 やっぱり破壊するんじゃないですか、と思いながらステラは自分の肩をゆさゆさ揺すって訴えるルクスの言葉を耳栓で受け流すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
セラフィムの伝説……。
いろいろ縁のある機体の名前がでてきたね。

そういうことなら、
オリジナルのセラフィムではないけど、こちらも相応にお相手しようかな。

『希』ちゃん、【ネルトリンゲン】は任せるね。援護よろしく!

わたしは【lanius】で出る、けどもー。

【lanius】には以前から記録していた、
『熾盛』シリーズの戦闘データをインストールしていくよ。

問題はわたしの機体が耐えられるか、だけど……。
そこは自分の作った【lanius】を信じよう!

機体の基本機動は『熾盛』の戦闘データを運用して、
さらに【E.C.O.M.S】を展開して相手の動きを制限。

ネルトリンゲンの射線に追い込んで、艦砲で一撃を狙うよ!



「ちぃ……猟兵共の攻勢……これだけの物量を持ってしてもかいくぐってくるか。指揮官機を狙う手腕、さすがであると言っておこう。だが、これ以上はやらせんよ!」
『闇の騎士』が駆る『少佐専用の青の突撃騎士』より放たれるプレッシャーは尋常ならざるものであった。
 相対するものに恐怖を与える重圧。
 それは、敵の動きをすくめさせ、さらに全方位で取り囲む『オブリビオン艦隊』と『クエーサービースト』の群れによって優位を取るものであった。

 けれど、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋にあって、その操舵をサポートAIである『希』にまかせてキャバリアで飛び出す。
 その機体には以前から記録していた『熾盛』の戦闘データをインストールしてある。
 クロムキャバリアにおいて悪魔とも救世主とも呼ばれた機体。
 不世出の『エース』が駆った機体。
 その戦闘データは電脳空間にも何故か流出している。そのデータをしてチートと言わせた機体のデータをインストールした機体が戦場を駆け抜けていく。
「問題はわたしの機体が耐えられるか、だけど……」
 けれど、自分の作った機体を信じなければならない。それが作った己の責務であり、また自分だけにしかできないことであったからだ。

「来るか、猟兵、このプレッシャーの中を!」
『闇の騎士』は見ただろう。
『セラフィム』の伝説の一端を。青い機体。その閃光の如き戦場を割る力を。
 どれだけの数の優位があろうとも関係ないとばかりに間隙を縫う機動力。すれ違いざまにふるわれるビームブレイドが敵を切り裂き滅ぼしていく。
「機体のデータを習得……データリンク、修正……! やっぱり、これっ!」
 滅茶苦茶な動きをしているとコクピットに座す理緒は理解する。
 人の思考の領域を越えている。
 アンサーヒューマンが持つ瞬間思考であっても、ここまで周囲の状況を見極めることは不可能ではないかと思うほどだった。

「面白い! その動き、その能力! 我が伝説の糧にさせてもらう!」
 プレッシャーを放ちながら『少佐専用の青の突撃騎士』が理緒の駆るキャバリアへと肉薄する。
 二つの機体が宇宙空間を駆け抜ける度に爆発が起こっていく。
 理緒の駆るキャバリアの性能は『熾盛』の戦闘データを運用しているため、機体に尋常ならざる負荷がかけられている。
 その負荷を逐一軽減するように修正しながら理緒は迫る全方位攻撃を躱し、さらに『オブリビオン艦隊』と『クエーサービースト』を相手取りながら、『闇の騎士』の『少佐専用の青の突撃騎士』とも渡り合っているのだ。

 これがどれだけ以上なことなのかを理緒は理解するだろう。
「……ッ! これ以上は」
「機体が持つまい、猟兵!」
 そのとおりだった。けれど、理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
 オーバーヒート寸前の機体。
 そこから射出されるのは、E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)による小型の戦闘デバイスたち。
「子機か! さかしいな……!」
 ビームブレイドがつぎつぎとデバイスを切り裂き、爆風の中を更に飛ぶ。

 しかし、理緒にとって、それは敵を射線に誘いこむための一手でしかない。
「ようやく、その射線に来てくれたねー!」
「追い込み……いや、誘き寄せられたか!」
 放たれるのは『ネルトリンゲン』の主砲。
 それはこれまで理緒の駆る機体に釘付けになっていた『闇の騎士』と『オブリビオン艦隊』にとって、あまりに唐突な砲撃であった。
 機体はブラフ。
 本命は艦砲射撃に寄る敵戦力の殲滅。

 理緒はオーバーヒートした機体のコクピットから、その爆発起こる宇宙空間の煌めきを見るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
……先の戦争の時、こっちの世界にちょっかいをかけてきてた連中です?
そういうのはどうせほっとくと碌な事しない、です

飛空艇形態のエル・セプスとレミエールⅢで推力移動、出力全開の高速飛行で
最初は回避に専念するです

でかい|魔獣《クエーサービースト》や艦体にCファングを打ち込みそれを使って方向転換したりぶん回して他のにぶつけたり、レミエールⅢもガム弾(捕縛)をばら撒かせながら飛び回り、こっちに気を取られて集まってきたところに、
(……|あいつ《パッセンジャー》を真似したみたいでちょっとあれです、けど)
【蒼穹の輪廻】に纏めて巻き込んで、エネルギーを奪って全員ガス欠にしてA.F.C.をぶち込んでやる、です…!



 ブルーアルカディアにおけるアルカディア争奪戦において、その姿を垣間見せていたスペーシップワールドに侵攻していた猟書家『プリンセス・エメラルド』。
 彼女が求めたのはブルーアルカディア世界に存在している魔獣たち。
 その魔獣が宇宙空間にある、ということは部分的であれ彼女の目的は達成されたことにある。
『帝国継承軍』――その圧倒的な戦力が広がる様は、まさに全天が敵であると言わしめるほどであったことだろう。
 少なくとも、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)の周囲を取り囲む『オブリビオン艦隊』と『クエーサービースト』の群れはそう形容するしかなかった。
「……こういうのはどうせほっとくと碌なことしない、です」
 捨て置くことはできない。 
 飛空挺形態の『エル・セプス』にドッキングした大型翼の無人支援機『レミエール|Ⅲ《トリア》』が齎す推力は、出力を全開にしたことにより、空気抵抗のない宇宙空間を凄まじい速度で走り抜ける。

 全方位から迫る砲撃を躱し、デブリを避け、更にヴィクトリアは飛ぶ。
 迫る『クエーサービースト』の巨体は凄まじく、まるで天井が墜ちてくるかのような光景であったが、ケルベルスファングを射出し、その鎖による遠心力で攻撃を交わす。
「これだけ数が多いと、面倒なことこのうえない、です」
「中々の反応速度と機体性能であるが!」
 其処に迫るのは『闇の騎士』が駆る『少佐専用の青の突撃騎士』。
 人型戦術兵器である機体がヴィクトリアの駆る『エル・セプス』へと迫る。凄まじい高機動。その推力は『エル・セプス』と同等であった。
 だが、これまで猟兵が紡いできた戦いの傷痕が『少佐専用の青の突撃騎士』の機体に甚大なる損害を与えていたのだ。

「その機体状況でこちらと競り合おうなどと!」
 ばらまかれる弾丸。
 それは敵を穿つのではなく、敵を捉えるためのガム弾。
 粘つく弾丸が次々とオブリビオン艦隊と『クエーサービースト』を引き寄せ、貼り付けていく。
 あれだけのガム弾である。
 接触しただけで張り付いて、互いの挙動を邪魔し続けるだろう。そうなれば混乱が引き起こされ、統率も何もあったものではないのだ。
「ガム弾ごときに何をしている……!」
 高機動力もこうして密集した状況では返って足枷になる。
 そうなれば、敵の塊となるしかない。その状況をこそヴィクトリアは狙っていたのだ。

 ブルーアルカディアでの戦い。
 嘗て『オーデュボン』の皇帝がそうしたように。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 更かしの波動放出を伴う黄金の羽の嵐が、宇宙空間に吹き荒れる。それは、エネルギーを吸収する波動。
 あらゆる敵から奪ってみせる力。
 同時に、味方には吸収したエネルギーを変換放出した天使の翼によって回復を授ける。ヴィクトリア自身をバイパスにしたエネルギー置換とでも言うべきだろうか。

 嘗ての皇帝『パッセンジャー』は、他者の為に使うことはなかった。使うことができなかったのかもしれない。
 けれど、とヴィクトリアは思うのだ。
「真似したみたいでちょっとあれです、けど……それでも! みんなガス欠です、から!」
 動きを止めた『オブリビオン艦隊』と『クエーサービースト』の群れ。
 そこに叩き込まれるのは、『エリック・フォース・キャノン』の砲身から放たれる光条の一撃。
『闇の騎士』駆る『少佐専用の青の突撃騎士』すらも巻き込んだ一撃は、暗闇の宇宙に黄金の輝きを満たし、蒼穹の輪廻(エンジェリック・リンカーネーション)を知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

はは、大軍勢よな。
しかして…なぁに!恐れることはない!
突撃あるのみ!この宇宙を気ままに駆け巡ろうぞ、霹靂!
うむ、動きは霹靂に任せてな…わしは敵を攻撃することに専念よ。
薙ぎ払い、突き…腕だけではなく、手首の返しも利用してな!
大きな敵には、UCを使用して攻撃しよう。


霹靂、戦闘知識からくる第六感でフェイント+回避していく!
一斉射撃対策に念のため、雷羽結界も張ってる。クエ!



 宇宙空間を染め上げるかのような『帝国継承軍』の大軍勢。
 溢れうるかのような『オブリビオン艦隊』に『クエーサービーストの群れ』。
 これを指揮するのは最高戦力たる『闇の騎士』。
 軍容を知らしめるだけで、それは嘗ての銀河帝国を凌駕する大戦力であると言えるだろう。
「はは、大軍勢よな」
 しかし、その光景を前にして馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)――その四悪霊の一柱である『侵す者』は朗らかに笑っていた。
 これだけの軍勢である。
 本来ならば恐怖しても致し方ないところであるはずだ。

「なぁに! 恐れることはない!」
 彼は己が駆るヒポグリフ『霹靂』の首元を擦る。
 どれだけの敵がいるのだとしても、己達がいれば一騎当千であると知らしめるように笑ってみせる。
 戦いに際して恐怖は適度に必要だろう。
 それは過度になれば、勇気と蛮勇を履き違えさせてしまうものであったから。けれど、適度な恐怖は、己の心に灯される着火剤となりうるのだ。
 肝要なのは結局、バランス。
「突撃あるのみ! この宇宙を気ままに駆け巡ろうぞ、『霹靂』!」
 その声にヒポグリフが嘶くように応える。

 宇宙空間に走れば、迫るは全方位の攻撃。
 猟兵達地の攻勢によって戦列は乱されているものの、その数は尋常ならざるものである。ならばこそ、『侵す者』は単騎で駆け抜けることこそ、敵をかき乱す為にひつよなのだと知る。
「うむ、動きは任せた! わしは……」
 直上より迫る『闇の騎士』駆る『少佐専用の青の騎士』。
 手にしたビームブレイドの一撃を槍で受け止め、そのエネルギーの奔流が飛び散る中、『侵す者』は笑う。
「わが一撃を受け止めるか!」
「はは、重さの乗った良い斬撃であるが!」
 戦いの趨勢を決めるのは機体の性能ではない。
 そう知らしめるように『侵す者』は受け止めた槍を手首で返すようにして受け流す。

 しかし、高機動のフォースを解き放ちながら迫る『闇の騎士』はすぐさま、『侵す者』の背後を取るだろう。
「背後を!」
「クエ!」
 迫る『オブリビオン艦隊』からの砲撃を『霹靂』が雷満ちる結界でもって弾き飛ばす。
 その爆風が吹き荒れる中に飛び込んでくる機体。
『少佐専用の青の突撃騎士』の巨体が迫っている。今度こそ、と思っているのだろう。
 だが、『侵す者』は笑う。

 たしかに巨大であることは重要な要因となるだろう。
 それだけで戦いに勝利するための決め手ともなり得るだろう。
 しかしだ。
 それを覆すのがユーベルコードである。
「巨大な敵には、しかして、これよ」
 四領域・焔極開放(シリョウイキ・エンゴクカイホウ)。
 これには条件がある。
 己の手繰る槍。
 その力は炎。されど、自らより小さきものを相手取ることは許されず。いつだって己より巨大なるものを相手取ることを宿命付けられた力。
 故に、迫る人型戦術兵器は、己の手繰る槍の獲物として申し分なく。

 故に笑う。
「――、何故、笑う!?」
「いいや、存分に力を振るう事ができる相手でよかったと思ったまでよ」
 奮う槍の突き。
 その一撃は一閃よりも苛烈。
 吹き荒れる炎は、その敵の巨大さに合わせるように膨れ上がり、迫る『少佐専用の青の突撃騎士』の装甲を余波だけで灼き焦がす勢いで持って放たれ、かすめれど、その一撃が『オブリビオン艦隊』を吹き飛ばし、『クエーサービースト』すらも寄せ付けぬ極炎となって、宇宙空間に在りし『帝国継承軍』を分断せしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
アルカ・スィエラ、プロトミレス……出るッ!

プロトミレスに搭乗、更にドラグレクスに騎乗し、残像を生じさせつつ推力移動で攻撃や敵の動きを見切り回避を試みながら騎乗突撃、邪魔をするならブレス攻撃からのルーナグラディウスでの斬撃での切断を狙って……相手のUCを考えれば盾にした方がいいし、航行不能に追い込めるならそうするわ

敵UCには敵艦を盾にしながらドラグレクスで距離を離し、加えてツインGランチャーの重力球で迎撃。
お返しに転送・接続しツインGランチャーと連動・強化した【BS-X2 GBバスターキャノン】を放つわ

再度斉射しようにも重力場でその攻撃も逃さない
周囲の連中ごと……堕ちなさい、漆黒の獄へと……!!



「アルカ・スィエラ、『プロトミレス』……出るッ!」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の駆るキャバリア『プロトミレス』が宇宙空間に飛び出す。
 スラスターの噴射口が光を撒き散らし、宇宙の暗闇に溶けるようにして消えていく最中、彼女の駆るキャバリアは閃光にように戦場に舞い降りる。
 そこに現れるのは空間転移してきた機竜『ドラグレクス』。
 またがるように騎乗した鋼鉄の騎士は、全方位を取り囲む『オブリビオン艦隊』や『クエーサービースト』の群れに怯むことはなかった。
 残像を残しながら撹乱するように飛ぶ『ドラグレクス』が砲撃の火線を躱しては、さらに飛ぶ。

 標的は、この艦隊を指揮しているであろう『闇の騎士』。
 彼が駆る機体を探し、アルカは戦sナーに集中する。
 敵の情報はすでに得ている。高機動型。さらには火力も増強されているだろう。
「『ドラグレクス』!」
 アルカの言葉と共に放たれるブレスが『オブリビオン艦隊』の艦船の一つを無力化しながら、『クエーサービースト』が襲いかかる巨体の一撃を躱す。
 手にした大型実体剣で『クエーサービースト』を切り裂き、その巨体をさらに降りそそぐミサイルランチャーとビームランチャーの一撃を凌ぐ盾にするのだ。

「盾にしたか。判断力はあるように思える……だが!」
 敵にトドメを刺すのではなく、航行不能にした状態のまま生きた盾とする。
 それは確かに通常の軍隊であれば有効な手段であったことだろう。だが、アルカが相対しているのはオブリビオンである。
『闇の騎士』には、そのような常識など一切通用しないのだ。
「我等には意味ないことだ!」
 放たれるバズーカの一撃が攻撃能力を失った艦船ごとアルカを仕留めようと放たれ、爆散する。
 その爆発を立てにしながら『ドラグレクス』が距離を取る。
 敵は高機動型。
 すぐに距離を詰められることは明白だった。だからこそ、瞬時に判断する。

「バスターキャノン転送、機体接続」
 唸りを上げる『プロトミレス』のジェネレーター。
 転送され、接続された砲身にエネルギーが充填されていく。長大な砲身は、大型故に取り回しが悪い。
 しかし、この宇宙空間であれば重さは気にしなくていい。
「受けなさい、GBバスターキャノン!!」
『ドラグレクス』に立ち、構えるBS-X2 GBバスターキャノン(グラビティ・ブレイク・バスターキャノン)。
 二門の砲身が連動し、強化された重力衝撃砲。
 その一撃は、『オブリビオン艦隊』へと叩き込まれ、その一点を中心に周囲に存在するあらゆるものを吸引する超重力場へと変わる。

 渦巻くかのような重力。
 光すら逃さぬ変重重力。それがアルカのユーベルコード。
「超重力場を形成するユーベルコードだと……!?」
「ええ、周囲の連中ごと……」
 アルカの瞳が輝く。
 放たれる暗獄の如き檻。吸い寄せられていく艦隊とクエーサービーストたち。しかし、『闇の騎士』駆る『少佐専用の青の突撃騎士』は、その吸引に抵抗するようにフォースの力を解き放つ。

「この程度で、私が……新たなる伝説を作らんとする私が……! こんなところで終わるわけには!!」
 ほとばしるフォースは力場すらものともしない。
 だが、そこに打ち込まれるるのは『プロトミレス』の砲撃。
 伸ばされた手を打ち払うように弾丸は『少佐専用の青の突撃騎士』の装甲を削り、生み出された超重力場へとかの機体を引きずり込ませるのだ。

「……堕ちなさい、漆黒の獄へと……!!」
「この、私が……! 馬鹿な……!」
 それが最後の言葉となって閉じる超重力場に押しつぶされながら、新たなる伝説の幕開けは為し得ることのできない幻想であったことを知らしめる。
 アルカは、機体の背を向け、さらに迫る『帝国継承軍』の軍勢、そして……。
「……! あれは……!」

 その脅威の姿を見る――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ウルゲル』

POW   :    尻尾で足場を掴む生態
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【鼻先の槍の刺突】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD   :    モザイク放射
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【侵食】属性の【モザイク混じりのブレス】を、レベル×5mの直線上に放つ。
WIZ   :    全身をバネのようにした突進
【鼻先、四肢、尻尾の槍のいずれか】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。

イラスト:イガラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリギ・マッカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 迫る『帝国継承軍』。
 そして、猟兵達は知るだろう。
 旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の座標を。
 しかし、それを阻むように現れたのは『小惑星サイズに巨大化した』魔獣であった。
 巨大な紫色をした体躯。
 目に位置する部分を覆う胞子状のなにか。
 そして何よりも、その咆哮。
「ギュオオオオオ――!!!」

 嘗て、それはブルーアルカディア世界において魔獣と呼ばれ『ウルゲル』と呼ばれた存在であった。
 しかし、それを知る者からすればサイズがおかしいと言わざるを得ない。
 クエーサービーストを捕食したことによって『小惑星サイズ』にまで巨大化したのだ。
 その威容はあまりにも巨大過ぎる。
 本来であれば『惑星ロボ』によってユーベルコードを巨大化させて討ち果たさなければならない存在。けれど、これは奇襲。
 故に『惑星ロボ』に頼ることはできない。
 自らの力、ユーベルコードでもって、この巨体に対峙しなければならないのだ。

 だが、あまりにも巨大過ぎる。
 猟兵達の動揺を嘲笑うかのように『ウルゲル』の咆哮が衝撃となって宇宙デブリを吹き飛ばす――。
メサイア・エルネイジェ
あらー!でっけぇサメちゃんですわね〜!
わたくしもクエーサービーストを食べたらあんなに大きくなれますかしら?

まずは突進を誘うのですわ
ヘイ!カモン!
向かってきたらイオンブースター点火!
横方向に全力おダッシュですわ
この手のでっけぇのは半端に距離を離すと危ないのですわ
なので擦れ違い様にお体に取り付くのですわ
ヴリちゃん!クラッシャークローでがっしりしがみ付いてお肌を食い千切るのですわ!
因みにお味は?エネルギーインゴットの方が美味しい?あらそうですの?
傷口に頭を突っ込んで滅亡の火焔ですわ!
SNSでやらかした方のように大炎上させて差し上げますわ!
身体の中からこんがり丸焼きになってしまえばよろしいのですわ〜!



 宇宙空間に迫る小惑星……否、巨大な魔獣『ウルゲル』の威容は、まさにそう呼ぶに相応しい存在であった。
「ギュアアアアア――!!!」
 けたたましい咆哮。
 それはあらゆる生命を食らい尽くさんとするかのような大顎であった。
『クエーサービースト』を捕食することによって巨大化した魔獣は、宇宙空間を小惑星サイズでありながらのたうつように駆け抜ける。
 その凄まじさは言うまでもないことだろう。
「あらー! でっけぇサメちゃんですわね~!」

 だが、そんな小惑星サイズの敵を前にしてもメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は変わらなかった。
「わたくしも『クエーサービースト』を食べたらあんなに大きくなれますかしら?」
 そんな疑問が湧き上がってくる。 
 たとえ食べたとしても、おそらくそうはならないだろうことは言うまでもないのだが、メサイアはたくましき姫君である。
 おそらく放浪の地がスペースシップワールドであったのならば、きっと食べていたであろうことをは想像に難くない。

「まずは――」
 メサイアは『ヴリトラ』と共に宇宙空間を駆ける。
 敵の突進を誘うためだ。しなるように『ウルゲル』の巨体が蠢き、その薄紫色の巨体を持って『ヴリトラ』に迫るのだ。
 圧倒的なサイズ差。
 それにより一息で持って『ヴリトラ』に届く巨体の鼻先に備えられた衝角。
 切っ先はたやすくメサイアの駆る『ヴリトラ』に届くことだろう。けれど、メサイアの瞳はユーベルコードに輝く。

 そう、突進を誘発させたのは、その巨体故に敵を点で捉えさせるためだ。
「イオンブースター点火! 全力おダッシュですわ~!」
 メサイアの掛け声と共に『ヴリトラ』の背面に備えられたイオンブースターが火を噴くようにして一瞬で切っ先を躱す。
 尋常ではない加速度Gがメサイアの体に負荷を掛けるがもはやその程度で彼女がたじろぐことなどない。
「この手のでっけぇのは半端に距離を離すと危ないのですわ!」
 だから、とメサイアは横移動で躱しながらのすれ違いざまの一撃を叩き込む。それは楔のように打ち込まれた『ヴリトラ』の爪。
 クラッシャークローの一撃は、『ウルゲル』の体表にしかと打ち込まれ、食いつくのだ。

「食いついたら食いちぎる! それがお食事のお作法ですわよ~!」
『ヴリトラ』の牙が突き立てられ、その薄紫色の体皮を引きちぎる。
 あら、美味しそう、なんて思ってしまうのはちょっとゲテモノがすぎる気がしないでもないのだが、それはそれである。
「ちなみにお味は?」
 メサイアのあくまで興味である。『ヴリトラ』が美味しいものはメサイアにとっても美味しもの。
 故に、彼女はそう尋ねるのだが、返ってきた返答はエネルギーインゴットのほうが美味しいという、それはそうですわね~となる回答であった。

「なら、しっかり焼いてみたらどうかしら? その傷口から頭を突っ込んで、滅亡の火焔(ジェノサイドフレア)ですわ~!」
 打ち込まれる『ヴリトラ』の東武。
 その口腔内部に備えられた砲口より放たれる熱戦は、無酸素環境でも燃焼する炎を解き放つ。
 この宇宙空間であろうとも関係ないというように『ヴリトラ』の炎は放たれ、その内部から焼滅していくのだ。
 燃え上がる炎。
 それはまさにSNSでやらかしたかのような大炎上である。
「どれだけ大きくっても、体の中からこんがり丸焼けになってしまえばよろしいのですわ~!」
 そう、メサイアの言葉通りである。
 如何な巨躯を誇るのだとしても、それが生物である以上内蔵もあろう、骨格もあるだろう。
 規格外の魔獣であろうともそれは変わらない。
「ギュアアア――!?!?」
 内部より焼かれる痛みは、たとえサイズ差があろうとも耐え難いものであろう。宇宙空間にのたうつ魔獣は、その巨大な体躯故に周囲の『帝国継承軍』を巻き込みながら、甚大な被害をもたらす。

 それは奇しくもメサイアの語るところのソーシャル・ネットワーキング・サービスの大炎上にも似た、取り返しのつかない事態を引き起こすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピカ・ネビュラスター
ふーん。なるほどおっきいね
でも、単純に大きいだけじゃあね

魔星『アークツルス』に乗って宇宙空間を飛び回って、
敵の突進は回避するよ

攻撃には『トリニティグラビティ』を使おうかな
無重力の宇宙空間だから、無理矢理の巨大化でもなんとかなるよね
でも、そこに重力をかけられたら……自重で潰れると良いよ
重力の方向を操作して、潰し、引き千切り、魔獣をやっつけてやろう

あはははは
ただ大きいだけじゃこんなもんだね
さーて、『プリンセス・エメラルド』はもう少し楽しませてくれるかな?



 内部より炎によって焼かれた『小惑星サイズの魔獣』、『ウルゲル』はのたうつように体をくねらせていた。
 痛みに喘ぐように、巨体を揺らせば如何に広大な宇宙空間と言えど周囲にあった『帝国継承軍』の艦隊に甚大なる被害をもたらすことは言うまでもない。
 しかし、未だ『小惑星サイズ』の『ウルゲル』が健在であることは脅威に他ならない。
「ふーん。なるほどおっきいね」
 そんな『ウルゲル』の姿を見やり、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は小さくうなずく。
 確かに脅威だ。
 大きいということは、それだけやれることも多い。 
 単純な質量差で押しつぶすこともできるだろう。それほどまでに巨大であるということは、優位に働く。

 しかし、スピカにとってはそれは重要なことではなかった。
「たとえ、『クエーサービースト』を喰らって巨大化したのだとしてもさ。結局のところ、単純に大きいだけじゃあね」
 スピカは、己が腰掛ける魔星『アークトゥルス』と共に宇宙空間を飛ぶ。
 その魔星の輝きに魅せられたのか『ウルゲル』が咆哮する。
「ギュアアア――!!」
 もしかしたのならば、その魔星の煌めきが、己を苛む痛みと思わせたのかもしれない。
 それは正しくはないが、猟兵のユーベルコードの炎を受けたのだから、ある意味で正しい判断であったのかもしれない。

「そんなに怖そうに吠えたってね」
 迫る巨大な魔獣。
 その鼻先に備えられた衝角の一撃を魔星が全速力で飛び、躱す。
「攻撃を躱した後は……三重星よ! その重力でもって、彼の者を引き千切れ!」
 スピカの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女が放つのはトリニティグラビティ。
「此処が無重力の宇宙空間だから、無理矢理の巨大化でもなんとかなるよね。でも、そこに重力をかけられたら……」
 放たれるユーベルコードの輝き。
 宇宙空間を走り抜ける、三つの星。

 それはぐるりと小惑星サイズへと至った『ウルゲル』の周囲を取り囲むようにして飛び、その星に宿った重力を解き放つ。
 それは三方向への強烈な重力。
 星の一つ一つが重力を生み出し、『ウルゲル』の巨体を引き付けるのだ。
「ギュアアア―!!?」
『ウルゲル』は理解できなかっただろう。
 己がかつて大空の世界ブルーアルカディアにあった時には常に感じていた重力。
 それは下方向ばかりのものであった。しかし、この宇宙空間、それもスピカが生み出した魔星による重力はあらゆる角度から重力を生み出す。

 引き寄せ、絡まり、『ウルゲル』の身動きは全く取れない状態であった。
 きしむ骨身。
 肉が、皮膚が、全てが重力によって引き裂かれていく。
 それはどうしようもないものであったことだろう。どうあっても見えぬ重力。それに逆らおうとすればするほどに巨大化した己の自重こそが枷となって『ウルゲル』の巨体を、進むことも退くこともできぬ坩堝へと落とすのだ。
「あはははは。ただ大きいだけじゃこんなもんだね。ほら、こうやって、ひっぱって……」
『ウルゲル』の巨体がたわむようにして引き伸ばされ。
「さらに、潰して……」
 上下からかかる重力に巨体が歪む。
「あとは引きちぎってやろう!」
 スピカの手繰る重力が『ウルゲル』の巨体を引き伸ばし、その退化したであろう翼を引きちぎる。

 痛みに喘ぐように『ウルゲル』の咆哮が響き渡る。
 けれど、それでもスピカはやめない。
 己のユーベルコードが切れるまで、その巨体を弄ぶように翻弄し続ける。
 引きちぎられた翼から迸る血のごとき体液は、宇宙空間に飛散していくことだろう。
「さーて、これくらいにしておいてやろうかな。『帝国継承軍』、たしかに戦力としては十分なのかもしれないけれどさ」
 オウガ・フォーミュラたる『プリンセス・エメラルド』はどれほどのものであろうかとスピカは笑む。

「もう少し楽しませてくれるかな?
 ただ巨体であるだけではスピカの敵ではない。それを示すようにスピカは魔星の上に腰掛けながら、退屈そうにあくびをかみ殺すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
オーバーヒートした機体を希ちゃんに回収してもらって、
今回は【ネルトリンゲン】で相手に対抗しよう。

しかし大きい。わたしの艦が小さく見えるとか、すごいね。
けどそれだけっぽい気もするかな。

でもあれだけ大きいと、ちまちま攻撃当てても効きそうにないよね。
おっきいの一撃、狙っていこう。

【モーフィング換装】で攻撃力5倍、攻撃回数を半分にセット。

最初の射撃でこちらを認識させて、意識を向けさせ誘い込んだら、
相手の攻撃を装甲とシールドで弾きつつ、取りついて、
【多重詠唱】で【テスカポリトカの鏡】をチャージ。

希ちゃん、リコイルキャンセラー解除。
発射の反動も利用して急速離脱するよ!

耐Gショック……はわたしだけか!



 キャバリアの装甲の隙間から白煙が上がるように機体の温度が上昇している。
 それを知らせるAIの音声に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はうなずく。
 敵の軍勢は退けたものの、しかし迫るは『小惑星サイズの魔獣』である『ウルゲル』だ。薄紫色の体躯は、ただあるだけで圧倒的な存在感を放っている。
 しかし、それに恐れることなく果敢に戦いを挑むのが猟兵である。
 煌めくユーベルコードの明滅が宇宙空間に幾度か走るのを理緒は見ただろう。
「ありがとう、『希』ちゃん。収容、お願いね」
 理緒はそんな戦いの軌跡を見やりながら、ミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』にキャバリアごと収容される。

 あれだけの戦いをこなしたのだから、この戦いが一段落ついたらオーバーホールしなければならないなと改めて思う。
「今度は『ネルトリンゲン』で相手をしようー……しかし大きい。わたしの艦が小さく見えるとか、すごいね」
 だけど、と理緒は艦橋に移動して迫る『ウルゲル』を見やる。
 大きさは脅威そのもの。
 けれど、ただそれだけであるように理緒には思えただろう。先んじて攻勢をしかけた亮平たちのユーベルコードがしっかりと、その身に傷として刻まれているからだ。

 内部から肉を焼く炎。
 外からの重力によってひしゃげ、引きちぎられた翼のような器官。
 どれもが浅からぬ傷として『ウルゲル』を追い込んでいるのだ。
「確かに傷は打ち込めているけど、あれだけ大きいと、ちまちま攻撃当てても……」
 理緒の懸念も尤もであった。
 本来ならばあの小惑星サイズの敵には『惑星ロボ』を持って対応するのがスペースシップワールドに置いては定石。
 しかし、今回は『プリンセス・エメラルド』の『帝国継承軍』に対しての強襲なのだ。
『惑星ロボ』はたしかに強力であるが、その巨体故に目立ちすぎる。

「だったら、おっきい一撃、狙っていこう」
「ギュアアア――!!!」
 咆哮が轟く。
 それは『ウルゲル』の突進だった。
 宇宙空間であろうと関係ない。巨大化したことにより、その突撃の効果範囲は恐るべきものであった。
 戦闘空母である『ネルトリンゲン』であっても、簡単に躱せそうもなく、また同時に轢き潰されてしまえばひとたまりもない。
「なら、今回はこれでいこう! モーフィング換装(モーフィングカンソウ)!」

 理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女のユーベルコードは状況に応じた最適の仕様へと彼女が乗るものを変える。
 今回に限っていうのならば、最大火力を打ち込むための『ネルトリンゲン』を換装していくのだ。
「『希』ちゃん、回頭! 船首の砲門にエネルギーチャージ! 砲撃でこっちに意識を惹きつけさせておいて!」
 放たれる砲撃。
 その砲撃を物ともせずに『ウルゲル』は突進を仕掛ける。
 鼻先に備えられた衝角は鋭く、『ネルトリンゲン』の装甲であってもたやすく斬り裂いて、宇宙の藻屑へと変えることができるだろう。

 それをさせぬと理緒は『ネルトリンゲン』のシールドを展開させる。
「流石に速い……! でもね、こっちに誘い込むのが目的なんだからー」
 これで正解なのだと衝角がシールドを貫く瞬間を理緒は見計らう。
 チャージは十分。
 多重に回されたジェネレーターから供給されるエネルギーが熱となって『ネルトリンゲン』の艦首装甲の下に備えられた『テスカボリトカの鏡』に湛えられていく。
 その光は暗黒の宇宙にあって、まるで恒星の輝きにも似ていたことだろう。

「『希』ちゃん、リコイルキャンセラー解除」
『発射の反動でそのまま、だね』
「そいうこと! 『テスカトリポカの鏡』照射! 耐Gショック……はわたしだけか! ともかく、照射!」
 放たれる膨大な熱量。
 それは熱線と呼ぶにはあまりにも膨大な光。
 束ねられた光条のごとき放射が、『ウルゲル』の巨大な体を打つ。

 薄紫色の体皮が光を弾く。
 けれど、チャージされた光は怱々に耐えきれるものではない。そして何よりも、すでに理緒の乗る『ネルトリンゲン』は照射の反動を持って急速に離脱している。
 衝角の一撃を躱しつつの照射。
 これを成しながら、理緒は己の肉体に掛かる衝撃に歯を食いしばりながら、彼女の艦が放った光条の一撃が『小惑星サイズの魔獣』たる『ウルゲル』との戦いに楔を穿ったことを知るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
異世界の巨大生物……世界を渡れるって厄介ね……私達が言えた事じゃないけれど。
けれど、単に異界で顕現したオブリビオンをこっちに連れて来たってだけなら、
此処で斃せば問題はない

アルカレクスへと融合合身、あの体の形状やブレスなら頭部の向きを意識すれば回避はだいぶ楽になる筈
そのまま死角と思われる位置どりを狙うわ
このサイズ差だもの、攻撃は真正面からは受け止めず、防御フィールドで斜めに弾き逸らすようにしていく、それと、直接攻撃の類を避けるのが難しければ被弾に合わせ後退することで少しでも衝撃を逃がすわ

位置を取れればUC出力全開、胴体そのものは無理でも脚、尾、翼……末端部分を狙って、一気に叩き切る……!!



『小惑星サイズの魔獣』――それはブルーアルカディア世界より鹵獲されスペースシップワールドに出現した個体である。
『クエーサービースト』を食らわせた事による巨大化。
 それは猟兵たちにとって脅威であったことだろう。
 そもそもが『クエーサービースト』自体、『惑星ロボ』によるユーベルコードの巨大化によって打倒してきた存在だ。
 しかし、この『帝国継承軍』への強襲故に『惑星ロボ』を移動させる時間的余裕はなかった。猟兵たちは己たちの力のみにおいてこれを打倒しなければならない事態に直面しているのだ。

 確かに恐るべき敵である。
「異世界の巨大生物……世界を渡れるって厄介ね……私達が言えた事じゃないけれど」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はキャバリア『プロトミレス』のコクピットの中で猟兵たちのユーベルコード煌めく宇宙空間を走る。
 けれど、とも思うのだ。
 単に異界で現れたオブリビオンを連れてきただけだというのならば、此処で倒せばなんの問題もないのだと。

「『ドラグレクス』!」
 騎乗した機械竜が咆哮するのと同時に『プロトミレス』と機械細胞が融合していく。
 融合して『アルカレクス・ドラグソリス』へと姿を変える。
 その姿に脅威を感じたであろう『ウルゲル』が咆哮し、その口腔より放つはモザイクのブレス。
 それは宇宙空間であっても迸るように広範囲に放たれる。
 猟兵たちの攻勢はたしかに『ウルゲル』を追い詰めていた。だからこそ、『ウルゲル』は生存本能において、これを打破しようとブレスを解き放つ。
「まるで近づくなと言っているようね……けれど!」
 どれだけ巨大になるのだと言っても、頭部からブレスが放たれるのならば、その攻撃の起点がすべて生物ゆえの頭部からというのならば、アルカにとって、それは躱しやすいものであると言えなかった。

「巨大化したがゆえの死角、自分の巨体さが仇となったわね!」
『小惑星サイズ』ゆえに己の体に近いものは知覚できない。
 アルカの駆る『アルカレクス・ドラグソリス』は一気に『ウルゲル』へと迫る。
 防御フィールドでブレスの影響を弾きながら、そらし、その巨体の真下へと潜り込む。
 アルカは眼前にある巨大な薄紫色の体表を見つめる。
「伸びて、ドラグキャリバー……!」
 アルカと瞳がユーベルコードに煌めくのと同時に『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが煌めく。
 手にしたドラグキャリバーの刀身が変形し、膨大なエネルギーの開放をもたらす。
 それは巨大な刀身。
 出力の限界を超えるかのようなエネルギーの迸りと共にアルカは、裂帛の気合と共に振るい上げる。

 狙うは尾。
 胴体を両断するのは如何な己のユーベルコードでも難しい。
 けれど、その巨体を形成する尾ならば、可能だ。
「そして薙ぎ払え、戦場ごと……私達の敵を!!」
 振るうは、虹剣ドラグキャリバー(ドラグキャリバー・カラドボルグ)。
 刀身から放たれるエネルギーは一気に尾へと振り下ろされ、両断して見せる。
「ギュアア――!!!!?」
 それは小惑星サイズへと至りながらも、しかして的を大きくしただけに過ぎないことを示すかのように叩き込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
くぇーさーびーすととかいうの食べるとああなるです?
まあいいです。それじゃ……いくです、“そら”なら私達の戦場、です……!

突進は相手の向きと挙動に集中して避けるです
サイズが違うから距離感には気を付けて、いつもより大きめに回避、スピードを上げてレミエールⅢと一緒に飛空艇形態で周囲を飛びながらA.F.C.やガトリングを撃ち込んでいくです
むむ……さすがにいつもより大きい分火力が足りないです

だったらUC【ダミーフリート】で飛空艇もどきを615機呼び出し、
周囲に展開して魔法弾幕で一斉攻撃させたり、突進に合わせて迎撃陣形とるです。ダミーを破壊すれば爆発するし開けた口の中に突っこんだら中で爆破してやるです!



 大空の世界、ブルーアルカディアより大宇宙の世界スペースシップワールドに運び込まれた魔獣『ウルゲル』は、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)が知るものとは、異なるものであった。
 その威容は小惑星を思わせるほど巨大であり、尾を両断されてなお旺盛なる生命力は凄まじいというほかなかった。
「くえーさーびーすとというの食べるとああなるです?」
 ヴィクトリアは、ただ食べるだけで大きくなるのならば、それはとても良いことのように思えた。
 自分が食べたら大きくなるのだろうかと夢想する程度の余裕があったとも言えるだろう。

「ギュアア――!!!」
 怒りの感情を発露させるように『ウルゲル』の咆哮が響き渡る。
「まあいいです。それじゃ……いくです、“そら”なら私達の戦場、です……!」
 尾を失ってなお全身をバネにするようにして『ウルゲル』は標的と見定めたビクトリアへと、その鼻先に備わった衝角の切っ先を向ける。
 あれだけのサイズである。
 突進の威力は凄まじく、生身単身の猟兵をすりつぶすのには十分過ぎた。

 けれど、ヴィクトリアは突進の一撃を見定める。
 彼我のサイズ差は言うまでもない。
 此方にとっては膨大な距離であっても、敵にとっては、僅かな距離でしかないのだ。だからこそ、ヴィクトリアはいつおのように、ではなく大きめに回避運動を取る。
 スピードを上げ、『エル・セプス』に接続した『レミエールⅢ』の加速を持って突進の一撃を躱す。
 すれ違いざまにガトリングの弾丸を打ち込むも効果が薄い。
 巨大化することによって体皮の分厚さも上がっているのだろう。不気味な薄紫色の体皮は、尋常ならざる分厚さであった。

「むむ……さすがにいつもより大きい分、火力が足りてない、です」
 ならば、とヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
 機体から射出されるのは飛空艇もどき。
 それはダミーフリートと呼ばれる戦闘用の小型飛空艇。一撃で消滅してしまう脆弱性を持っているが、それは問題にはならない。
 何故ならば、ヴィクトリアが呼び出したのは六百騎を超える小型飛空艇もどきであったからだ。
 周囲に展開する小型飛空艇の眼前に魔法陣が展開し、さらなる突進を見せようとする『ウルゲル』を迎え撃つように陣形を組む。

「さあ全機行くです」
 ヴィクトリアの指揮と共に放たれる魔法弾幕はまさに戦場を一変させる幕そのものとなって『ウルゲル』の突進を妨げるだろう。
 だが、それを突破してこその魔獣であるとも言える。
 巨体を活かし、飛空艇もどきを吹き飛ばさんとする。
 しかし、それはヴィクトリアにとっては思うツボであった。
「ただのダミーだと思って甘く見ていたら、痛い目を見る、です!」
 彼女の言葉通りであった。
 
 飛空艇もどきはたしかに一撃で消滅する。
 しかし、消滅時に爆発を引き起こし、それ自体が機雷のような役割を果たすのだ。なまじ巨体であるがゆえに、その巨体で持って飛空艇もどきを廃除せんとした『ウルゲル』は己の巨体故に爆発に打ちのめされ、さらなる爆発によって突進もままらならいのだ。
「ギュアア!?!?」
 咆哮する。それはまるで痛みに喘ぐようであもった。
 その咆哮上げる口腔眼前にヴィクトリは飛び出し、ランチャーの一撃を叩き込む。

「さあ、中から爆破してやれ、です!」
 ヴィクトリアの号令と共に放たれる飛空艇もどきたちが一斉に『ウルゲル』の口腔に飛び込み、その内部で爆発を引き起こし小惑星のごとき魔獣を内側から瓦解させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

ステラさんステラさん、有能メイドとしましては、あれ、なんとかできます?

ま、まぁ、とりあえず聞いてみますか!

外からがダメなら中から行けばいい?
なるほど、体内に突撃して内側からの攻撃ですね。

ってことらしいですステラさん。いざ体内へ!
……体内?

勢いで言ってみて気づいたときには時すでに遅し。

猛スピードで突っ込んでいくフォルさんから、
ぽーい、と投げられ、『ウルゲル』さんの口の中へ……。

わたしだけですかー!?

慌てて【ベッソン】を演奏したら、体内に響く破壊音波に、
『ウルゲル』さんに、ぺっ、と吐き出されます。

うふふふふ……。
今回はほんとに死んじゃうかと思いましたよ?(ハイライト家出中)


ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
ふむ
あそこまで大きいとなると流石に
とりあえずフォル(鳥型キャバリア)を呼びましょうか

んーフォルの反応が悪いですね?
どうしましたフォル?
え?食べられるの、怖い?
まぁ、貴方鳥ですし
このサイズ差では仕方ないですね

ルクス様どうしまs……え?
……わかりました体内ですね?
フォル、よしなに……(そっと目を逸らす)

あー……(勇者を見送る仲間の図)

まぁ、外から支援しましょう
フォル、【アン・ナンジュ・パス】で仕掛けます
外からべしべし攻撃すれば
きっとルクス様も助かるはず、はず……
助からなかったらそれはそれで……あ、出てきましたね
ハイライト家出程度で済んでよかったですね
ルクス様(心から帰還を祝う笑顔)



 宇宙空間に猟兵たちのユーベルコードが煌めき、『小惑星サイズの魔獣』となった『うるゲル』の咆哮が轟く。
 尾を両断され、口腔、体内から焼かれてもなお『ウルゲル』は健在であった。
 それも『クエーサービースト』を捕食したことによる巨大化の恩恵であったのだろうか。生命力にあふれる『ウルゲル』はいまだ宇宙空間でのたうつように巨体を揺らし、その衝角と巨体、そして何よりも解き放たれるモザイクのブレスによって脅威として健在であることを知らしめるのだ。
「ギュアアア――!!」

 そのけたたましい咆哮にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ちょっと肩をすくませる。
「ステラさんステラさん、有能メイドとしましては、あれ、なんとかできます?」
 流石に巨大すぎるとルクスは思ったのだろう。
 そんな彼女の言葉にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、ふむ、と知的な丸メガネ姿で『ウルゲル』の巨体を見やる。
「あそこまで大きいとなると流石に。とりあえず……あら?」
 ステラは、あの巨大な魔獣に対抗するために己のキャバリアを呼び出そうとして反応が鈍いことに首を傾げる。
 どうやら、鳥型であるがゆえに、また同時に意思を宿すが故にあの巨体に慄いているようであった。

「……どうやら『フォル』は食べられるのが怖いようです。まあ、このサイズ差では仕方ないですね」
「えぇー……」
 ルクスはそういうものなのかと思ったが、ステラ曰く、そういうことなのだった。
 ならば仕方ないな、とルクスは勇者の特権(ユウシャノトッケン)を発動する。
 勇者は大抵のことはなんとかできるものなのである。
 小惑星サイズの魔獣だってなんのそのなのだ。

 ぽん、とユーベルコードの輝きとともに二人に小さなルクスが現れる。
「いえ、常識的に考えて無理ですって! できる人に任せましょう。かえって足手まといになるかもしれませんし」
 常識的なことを言う魔法使いの弟子ルクスちゃん。
 けれど、その対面で勇者ルクスが言うのだ。
「外からがだめなら中からいけばいいのです。ほら、あの猟兵さんだって、口にぶっこんでますし」
 その言葉にルクスはなるほどなーと納得する。
 確かのあの薄紫色の体皮は頑強そのもの。外から貫いたり切ったりするのは、とても大変そうだ。
 ならば、体皮ほどではないであろう内側の粘膜からぶち抜くのは良いアイデアのように思えたのだ。

「ってことらしいですステラさん。いざ体内へ!」
 神アイデアきたー! とばかりにルクスが意気揚々とステラに告げる。
 理知的メガネをかけたステラは、体内かーと思った。どう考えてもろくなことにならないだろうな、ということは予想できた。
 けれど、まあ、勇者がそういうのなら、とばかりにステラは鳥型キャバリアである『フォルティス・フォルトゥーナ』に告げる。
「では、フォル、よしなに……」
 目をそらした。
 あー、今目をそらした! と普段のルクスならば気がつけただろう。けれど、今のルクスはそうではないのだ。

 光の勇者ルクスちゃんからのナイスアイデアに心躍っていたのだ。色々見落としていたことにまだ気がつけていない。
 そんな彼女を掴み上げる『フォル』。
 あれ、とルクスはそこで気がつく。
「……体内?」
 勢いで全部なんとかしてきた勇者である。
 今更、ってこともあるのだが、その危険性に気が付いたときには時はすでに遅しというやつである。
 まるで放り投げられるように『ウルゲル』の口腔へと投げ放たれるルクス。
 いくらなんでもちょっとあれである。

「わたしだけですかー!?」
 そう、体内に飛び込んで攻撃する。
 それはナイスアイデアであったが、しかし、ルクス的にはステラも一緒、みたいなところがあったのだ。
「あー……」
 そんなルクスの勇姿を流れ星を見るみたいに見送るステラ。
 名前的にステラのほうが本来そっちな気がしないでもないのだが、まあ、それはおいておくとする。

「って、本当の飲み込まれちゃうー!? こ、ここは! 演奏を! 演奏をしなければ!!」
 ばっくんと飲み込まれるルクス。
「フォル、アン・ナンジュ・パス(アンナンジュパス)で仕掛けます。外からべしべし攻撃すれば、きっとルクス様も助かるはず、はず……」
 鳥型キャバリアが宇宙空間に走るようにして飛ぶ。
 高速機動によって放たれる鉤爪の一撃や、突撃が『ウルゲル』の巨体を打ち据え、その体を揺らす。
 強靭な薄紫色の体皮を斬り裂いてなお、ルクスは口腔に飲み込まれたままだ。
「……これでもなお吐き出しませんか」

 だが、ただでは転ばぬのがルクスである。奏でる演奏はまさに破壊音波。ものすごい音が響き渡り、『ウルゲル』は困惑する。
 なんか不快な音が体の中で響き渡っている、と。
「ギュア!?」
 ぺっぺっとえんがちょって感じで『ウルゲル』がルクスをはじき出す。
「あ、出てきましたね」
 雑に吐き出されたルクスを『フォル』が救出する。

「うふふふ……今回はほんとに死んじゃうかと思いましたよ?」
 ハイライトが家出している。
 いや、どっちかというと、これちょっとあれな感じである。粘液でベトベトであるい。なんていうか、完全に事後なあれ。
 その実、ただの粘液まみれである。いいね。
「ハイライト家出程度で済んでよかったですね、ルクス様」
 にこり、と微笑むステラ。
 心から帰還を祝う笑顔であったが、ルクスは盛大に叫ぶのだ。

「やばそうって思ったら止めてくださいよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
おっと、これは大きいね。
だが、会話もできない様だし早々に退場願おうか。
『シヴァの支配』を発動。
破壊神の姿に変じ、|究極の破壊《魔法》で一気に決めましょう。



「おっと、これは大きいね」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は宇宙空間に広がる『小惑星サイズの魔獣』たる『ウルゲル』の姿に驚いた顔を見せた。
 けれど、それは関心した、というよりもただ大きいという事実を確認下だけにすぎないものであったんかもしれない。
 通常の魔獣であっても人より巨大な存在である。
 あの大空の世界ブルーアルカディアの魔獣であるのならば、それは珍しいことではない。

「これが『クエーサービースト』を食らった結果だというのならば、驚くべきことであるが、しかし……」
「ギュアアアアア――!!!」
 咆哮する『ウルゲル』。
 それは猟兵たちのユーベルコードによって外と内からの攻勢にさらされ、のたうつが故であった。
 尾は寸断され、翼の如き器官は引きちぎられている。
 それほどまでに猟兵の攻勢は苛烈だった。
 本来ならば『惑星ロボ』を用いて迎撃するたぐいの敵であっても、猟兵たちは己たちの力とユーベルコードを持ってこれに対処してみせるのだ。

 その結果がこれである。
「尋常ならざる生命力であると言わざるを得ないね。だが、会話もできないようだし、早々に退場願おうか」
 唸るようにして突進してくる『ウルゲル』の巨体を前にシーザーは赤いコートを翻す。
 その身を包むのはユーベルコードの輝き。
 シーザーが変じるのは無敵の破壊神。
 巨大化したとしても『小惑星サイズの魔獣』を前にしては微々たるものだろう。
 しかし、威風堂々と立ちふさがる姿に満ち溢れるのは自信そのものだった。

 自身の能力になんら不備があるとは思わない。
「――終焉だ」
  シヴァの支配(デウス・イムペリウム)。
 それこそがユーベルコードの名。
 あらゆるものを破壊でもって支配せしめる力。迫る突進を障壁によって防ぎ、受け止める。
「ギュアアアアア――!?」
『ウルゲル』は衝角の先にて己を妨げるものを見ただろう。
 だが、それを理解することはできなかった。
 己よりも矮小なる体躯。
 だというのに、掌一つで己の巨体を受け止めた上で、止めているのだ。
「君はただ大きいということを誇っているようだが、それはこの銀河においては無意味だろうね」
 シーザーは告げる。
 その金色の瞳に輝くユーベルコードは絶対である。
 障壁による完全防御は、彼に傷一つ負わせること許さぬであろうし、また同時に彼の掌に集まる魔法は、まさに銀河を砕く一撃。

 振るい挙げられる拳は無造作であった。
「さあ、自慢の衝角も砕ける時が来た。これが手向けの一撃だよ」
 シーザーの一撃が落とされる。
 まるで神々の鉄槌の如き衝撃が宇宙空間に広がる。
 銀河すら砕くと言われる魔法。
 それはシーザーにとっては拳の一撃と同じことであっただろう。衝角がへし折れ、『ウルゲル』の痛みに喘ぐような咆哮が轟く中、彼は静かに笑み、そのさまを見下ろすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

規格外の大きさ、というやつであるな?
だが…大きいの相手だと、やはりわしなのよな。ここに機械(惑星ロボ)がなくてよかった。わしだと『何もしてないのに壊す(本当に触っただけ)』からな…陰海月が泣く。

回避は霹靂に任せるが…うむ、今の霹靂ならば、わしからの合図も無用か。
この空間を利用してくるならば、巨体であろうと自由に動いてくるであろうからな…。

しかし、巨体なのが災いしたな。
わしのこのUCが、最大効力を発揮するでな!
黒燭炎の炎は成長しておるから…それを加えての、突き攻撃よ。


霹靂、たとえ敵が大きくても怯まない。クエ!
急加速に空中機動で避けていく。宇宙楽しい。



 猟兵のユーベルコードの一撃によって『小惑星サイズの魔獣』と化した『ウルゲル』の衝角がへし折れる。
 宇宙空間に衝撃波と共に広がる苦悶に喘ぐかのような咆哮。
 のたうつ巨体は、それだで脅威であったが、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『侵す者』の戦いに挑む態度は変わらなかった。
 ヒポグリフである『霹靂』と共に戦場を駆け抜け、そのへし折れた衝角の残骸を蹴って飛ぶ。

「規格外の大きさ、というやつであるな?」
「クエ!」
 だが、それは意味のないことだと言うように『霹靂』が嘶く。
 それもそうだと言うように『侵す者』はうなずく。
 ただ大きい相手というだけであるのならば、己の役割である。それに、とも思う。
 ここに機械がなくてよかった、と。
 彼は何もしないでも機械を壊すものである。得てして壊すものは、言うのだ。『何もしてないのに壊れた』と。
 いや、絶対に何かしているはずだと言うのは、『陰海月』の弁であったことだろう。
 しかし、それは今関係ない。
 何もしてないのに壊れることは仕方のないことだ。だからこそ、此処に『惑星ロボ』が来ていないことに安堵するのだ。

 本当に触っただけなのだと、何度『陰海月』をなだめたことかわからない。
「と、まあ、そんな思い出に浸っている場合ではあるまい。ゆくぞ、『霹靂』!」
「クエ!」
 宇宙空間は無重力。
 空の世界の住人であった『ウルゲル』も『霹靂』もこの重力なき世界においては、あらゆる意味で力の加え方が違う。
 対する『ウルゲル』は巨体であるがゆえに、周囲にあるものを利用できない。
 けれど、『霹靂』は違う。
 漂う破片や、残骸、多くのデブリと呼ばれる漂流物を利用し、蹴るようにして飛び跳ね『ウルゲル』へと迫る。

「うむ、楽しいか、『霹靂』。ならば、わしもやるとしようか!」
 煌めくユーベルコードの輝き。 
 手にした黒槍は、四領域・焔極開放(シリョウイキ・エンゴクカイホウ)によって、己よりも巨体である敵をこそ打ち負かす力となる。
 それは『小惑星サイズの魔獣』である『ウルゲル』においても例外ではない。
 放つ槍の一撃は薄紫色の体表を一瞬で溶解させるように貫き、その強靭な体皮に覆われた肉を貫き、骨を穿つ。
「ギュアアアアア――!?」
 己のみを穿つ一撃。
 それはこれまでの猟兵の一撃とは異なるものであったことだろう。

 削るような飽和攻撃でもなく、また己の衝角をへし折るような極大の一撃でもない。
 ただの槍の一撃。
 それだけで己の強靭な、それこそ鎧の如き体皮がバターでも切るかのように穿たれ、骨身にまで斬撃を届かせたのだ。
「巨体が災いしたな。わしの炎は成長しておるでの……それに」
 己が駆るヒポグリフ『霹靂』もいる。
 如何な巨体であっても怯まぬ勇猛さを持つ『霹靂』と共にあるのならば、『侵す者』は一騎当千の存在として、その槍の力を解き放つであろう。

 さらに叩き込まれる槍の一撃は、小惑星を砕く楔を打ち込むかのようであった。
「クエ!」
 宇宙空間を縦横無尽に駆け抜ける『霹靂』は楽しそうであった。
 それに気を良くしたように『侵す者」は豪快に笑う。
「縁断ちて得た力なれど、極まれば星の如き体躯を持つ者であっても穿つ力となる……かの? 何れにせよ、わしの一撃を受けて朽ちるがいい、空の魔獣よ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
ふむ、面倒なものを飼い慣らしているようですね…

プリンセス・エメラルド麾下のクリスタリアン
猟書家達や家令の集結を待たずして決戦を開始したのも、この特級戦力を有するのであれば理解できます
逆に言えば傲りか、或いは結局のところ、信を置く部下など彼女には誰も居ないのかもしれませんがね…

◆鳥之石楠船神
※キャバリア騎乗戦闘

天の鳥船と共に飽和攻撃を仕掛けます
天羽々矢と氷柱の雨による乱れ撃ちで弾幕を張り、重量攻撃で錨を打ち込んで船首突撃からの接舷
十束剣・布都御魂を銛にして切り込み+投擲で宇宙鯨を狩り立てます

身動きが取れないところで悪足掻きの突進は見切り+空中戦で躱し、早業+クイックドロウのバースト射撃で削ります



 翼を引きちぎられ、尾を両断され、身の内側から焼かれ。
 しかして、咆哮するのは大空の世界ブルーアルカディアに在りし魔獣たる『ウルゲル』。本来ならば、それだけの打撃を受ければ絶命しても仕方のない損耗であったはず。
 だが『クエーサービースト』を食らった『ウルゲル』は『小惑星サイズの魔獣』へと変貌を遂げいていた。
 その巨体ゆえから、旺盛なる生命力の発露か。
 未だ健在であることを知らしめるように咆哮が宇宙空間に響き渡る。
「ギュアアアアア――!!」

「ふむ、面倒なものを飼いならしているようですね……だが、衝角はへし折られ、強靭なる体皮にも穴が穿たれている。ならば、勝機を逃す手はありません」
 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)はキャバリアと共に戦場に飛び込む。
 敵の首魁たる『プリンセス・エメラルド』がどうして今此処に戦力を集中して動きだしたのかを彼は理解する。
 クエーサービーストを飼いならし、さらには魔獣すらも巨大化させているのならば、それは広大な宇宙の世界であるスペースシップワールドであれど如何ようにも突破することができるということだ。
 彼女が目指す絢爛たるスペースオペラワールドに至るのも時間の問題であったことだろう。

「逆にいえば傲りか、或いは結局のところ、信を置く部下など彼女には誰も居ないのかもしれませんがね……」
 これだけの特級の戦力を有していれば、そうなるものであるのかもしれないと蔵乃祐は思う。
 いつだって人の道を歪めるのは力だ。
 大きすぎる力はいつだって正道を逸脱させるものである。それを御して進むことができるのが王道を歩むことのできるものであると知るからこそ、蔵乃祐は頭を振る。
「天津国より顕現せよ葦原中国平定。乃ち天孫降臨神話の儀!」
 煌めくユーベルコードと共に招来されるは、鳥之石楠船神(トリノイワクスフネノカミ)。
 敵が巨大であり、また強大な力を有するというのならば、飽和攻撃でこれを撃滅せんとするのだ。

『建御雷の眷属神器』で武装した高天原の幽霊たち乗る天の鳥船より放たれるのは、氷柱の雨。
 それは弾幕のように『ウルゲル』に降り注ぎ、その強靭なる薄紫色の体皮に穿たれた穴へと集中的に打ち込まれる。
 さらに錨が打ち込まれ、蔵乃祐が駆るキャバリアが手にした巨大な銛の如き神器を叩き込む。
 それは宛ら銀河を征く時代における捕鯨劇のような様相であった。

 宇宙という大海原にのたうつ『ウルゲル』。
 そして、それを仕留めんと周囲を取囲む猟兵と天の鳥船。
 打ち込まれた楔のごとき錨は、その動きを鈍らせ、銛の一撃が徐々に『ウルゲル』の巨体を弱らせていく。
「空の世界より連れてこられて、銀河の海にて沈む、か……その変遷を思えば、同情することもできますが」
「ギュアアアアア――!!」 
 だが、その言葉を遮るように渾身の力を振り絞って『ウルゲル』の巨体がたわむようにして跳ねる。

 なおも藻掻く姿に蔵乃祐はキャバリアと共に突き進む。
 手にした重火器の銃口でもって狙いをつけるは、『ウルゲル』の眉間。
 すでに鼻先の衝角はへし折られている。
 ならばこそ、人においては眉間の間たる急所にありったけの弾丸を叩き込む。
「これにて捕鯨劇は終幕とさせていただきましょう。残すは」
 打ち込まれた弾丸は『ウルゲル』の脳に値する器官へと到達し、その内部を著しく損壊させる。
 ひときわ大きくたわむようにしてはねた巨体は、もう二度と動くことはない。
 小惑星の如き体躯は、今を持ってまさしく宇宙という海原に浮かび、漂流するしかない物言わぬ物体へと成り下がったのだ。

「オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』、その人のみ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『プリンセス・エメラルド』』

POW   :    プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD   :    侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

イラスト:鶸

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 膨大な数の敵戦力をかいくぐり、小惑星かと見紛うほどの魔獣を退け、猟兵たちはついに旗艦『ソング・オブ・オーンブル』へと至る。
 その巨大なクリスタルショップは、たしかにオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』の座乗する艦と呼ぶに相応しき絢爛さを持っていたことだろう。
 だが、その内部に在りし彼女を打倒さなければ、『帝国継承軍』は銀河帝国以上の戦力を持ってスペースシップワールドを支配し、この世界の外部に存在するスペースオペラワールドへと先端を開くだろう。

 それは世界にとって、破滅に等しい。
 吹き荒れる戦乱が呼び起こすものは、多くの悲劇と惨劇であったはずだからだ。
 猟兵たちは対空砲火を物ともせず、『ソング・オブ・オーンブル』の内部へと突入する。
 そこにあったのは、巨大な庭園の如き空間。
「よくもやってきたものです、猟兵。ですが、この艦に来たということは、己たちの滅びを受け入れるということ」
 侵入者たる猟兵の姿を見ても『プリンセス・エメラルド』は、その気品さを失うことはなかった。
 静かに立ち、指を打ち鳴らす。

 瞬間、彼女の周囲に現れるのは『闇の騎士』たち。
 いかなる力か、テレポートによって彼らは常に現れる。
 彼らは『帝国継承軍』においても最高戦力。手にしたフォースセイバーの迸りは、その力を証明するようであった。
 大量の軍勢たる『闇の騎士』と共に『プリンセス・エメラルド』は笑む。
 全方位から取り囲み、己は常に猟兵に先制するほどの力を有している。これで敗北することなどあり得ない。

 そういうかのように彼女は告げるのだ。
「『帝国継承規約』を手にした私こそが、この宇宙の正当なる支配者。跪きなさい、猟兵。そうすれば楽に殺して差し上げます。これがこれまで我々の邪魔立てをしてきたあなた達に対する私の慈悲です――」
スピカ・ネビュラスター
王手をかけられたのに威勢がいいね
と思ったら、ここにそんな罠を仕込んでいたのか
これを防ぎきるのは流石に厳しいね

……でも、倒したくらいでやられるようなラスボスじゃないんだよ
先制攻撃を受けて倒されても、『無限に再臨せし災厄』で復活するよ

魔星と融合し、体の一部が銀河のように変わり、暗黒物質がそれを繋ぐ
(宇宙とかのイメージで変身内容お任せ)
何度も倒され変身しているうちに、大体の攻撃は効かなくなるはずだ

そうしたら、ウィッチクラフトで反撃だね
隕石落としや重力操作で殲滅してあげよう

あはははは!!
キミの野望は、ここで潰えるんだよ!!



 見事な庭園の広がる旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の艦内にオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は悠然と佇んでいた。
 猟兵たちは『闇の騎士』率いる『オブリビオン艦隊』を撃破し、『小惑星サイズの魔獣』すらも打倒して旗艦に突入しているのだ。
 言ってしまえば、これは|王手《チェックメイト》とも言うべき状況だろう。
 だが、彼女はいまだ余裕を取りこぼすことはなかった。
「ええ、たしかに此処まで来られたこと事態、称賛に値するでしょう。ですが、それだけです。私……『帝国継承軍』を率いる私こそが、この宇宙の正当なる支配者。ならばこそ、その不敬を断じなければなりません」

 その言葉と共にテレポートによって現れる数多の『闇の騎士』たち。
 彼らは『帝国継承軍』において最高戦力。
 手にするフォースセイバーは赤黒く力の奔流を解き放ち、迫る猟兵を取囲むように全方位攻撃を仕掛けてくるのだ。
「流石に厳しいね」
 スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は迫りくる『闇の騎士』、そして『プリンセス・エメラルド』が呼び寄せた宇宙船からの光線砲撃を前に状況をいち早く理解する。

 王手をかけた、と思った瞬間が最も油断しやすい。
 それは古今東西において変わらぬ事実であったし、また猟兵たちにおいても事実であったことだろう。
 これだけの罠を仕掛けられていたという事実が、自分たちをここから生きて返さぬという強い意思を感じさせた。
 だが、とスピカの瞳が妖しく輝く。
「来るかい、『闇の騎士』!」
 光線の砲撃がスピカの体を滅し、さらに『闇の騎士』が放つフォースセイバーの斬撃が彼女の体を切り刻む。
 一片も残さぬという強烈な攻撃にスピカの体は滅び……たかのように思えた。
 だが、それは事実ではない。

 確かに倒した。
 手応えがあった。
 だが、スピカは魔女にして『ラスボス』である。
「……でも、倒したくらいでやられるようなラスボスじゃないんだよ」
「――馬鹿な、確実に今……!」
 驚愕おののく『闇の騎士』たち。だが、彼らの行動は迅速にして果断であった。瞬時に距離を詰め、その手にしたフォースセイバーでスピカを切り裂かんとして、その刃が止まる。
 さらに迫る砲撃にすらスピカは傷一つ負わぬ姿で立っていた。
 明らかにおかしい。
 一体何が起こっているのか、『闇の騎士』はおろか、『プリンセス・エメラルド』さえ事態を把握できていなかった。

 見よ。

 それは、無限に再臨せし災厄(ムゲンニサイリンセシサイヤク)。
 魔星と融合し、スピカの肉体は銀河を内包するかのような姿へと変貌する。繋ぐ暗黒物質があるからこそ、明滅する銀河の星々を輪郭にすることを許されているかのような姿。
 不定形にして、固定。
 その存在たる証明を示すようにスピカは、あらゆる攻撃に耐性を持つ存在へと消化していく。

「残念だったね。その攻撃はもう効かないよ」
 指先がなぞるは銀河のウィッチクラフト。
 生み出すは巨大なる岩石。いや、隕石。重力を手繰り、『闇の騎士』たちの動きを止めるばかりか、その体を重力によって押しつぶす。
『プリンセス・エメラルド』は驚愕するだろう。
「その力は一体……!」
「言っただろう。ボクはラスボスだって。倒したくらいでやられるようなラスボスじゃないんだよって。だからこれは」
「ち、違う、これは……! 私こそが宇宙の正統なる後継者!」
 放たれる光線の一撃を暗黒物質の腕が払う。
 もはや、光線は効かない。

 故にスピカは笑う。
「あはははは!!」
 盛大に。
 ラスボスであると語る彼女だからこそ、その高笑いは対峙する『プリンセス・エメラルド』にとって不可解であり、また嫌悪の対象となったことだろう。
 その嫌悪の感情こそが、ラスボスを目の前にした者の感情であると示すように、スピカはその指先で描いたウィッチクラフトによる隕石落としで持って旗艦『ソング・オブ・オーンブル』ごと『プリンセス・エメラルド』に攻撃を加える。

 瓦解する旗艦の装甲。
 更に迫る重力が逃げ出すことすら許さず、『プリンセス・エメラルド』の体に亀裂を走らせる。
「キミの野望は、ここで潰えるんだよ!!」
 その姿は、まさにラスボス。
 宇宙の支配というエンディングなど見せはしないと迸る銀河の輝きでもってスピカは堂々たるラスボスの威容を見せつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
ごめんなすってー!
プリンセス頂上決戦に参りましたわ〜!

取り巻きが沢山なのでお船のお外に逃げるのですわ!
ヴリちゃんは全身格闘武器の塊なので集団に突っ込んで轢き逃げですのよ〜
今度は破壊光線ですわ〜!
ブースター全開!
船体に沿って駆け抜けるのですわ!
ソング・オブ・オーンブルから離れずエメラルド号が迂闊におぶっぱ出来ないようにするのですわ
因みに左右片側のブースターのオンオフを短く繰り返すと連続で直角に動けますのよ〜!

エメラルド様はこのお船の中!
つまり!お船を爆発させてしまえばお亡くなりになられるのですわ!

その為にはやはりパワーが不可欠!
ヴリちゃん!リグ・ヴェーダモード!
ついでにわたくしもですわ〜!
うふふ…真の力をご覧になって?

お船を爆発させるにはやはりエンジンを狙うのがよろしいのですわ
大抵はお船の最後尾に着いておりますわね
こんなに大きいお船ですから誘爆させたらすげぇことになりますわ

ヴリちゃん、滅亡の瞬光ですわ
このお船をエメラルド様の棺桶にして差し上げますのよ
ダイナミックお火葬ですわ
お覚悟あそばせ



 オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』の座乗する艦、旗艦『ソング・オブ・オーンブル』は旗艦と呼ぶに相応しき巨大さとまた同時に華美を兼ね備えたクリスタルシップであった。
 その艦内に設けられた空間に彼女は優雅にざしていたが、猟兵の登場によってそれは戦場へと様変わりを遂げた。
 しかし、テレポートによって出現する『闇の騎士』たちによる全方位攻撃は苛烈を極めるだろう。彼らは『帝国継承軍』にとって最高戦力。
 彼らが存在するだけで『プリンセス・エメラルド』の守りは硬いとも言える。
 だが、しかしである。

 そう、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は型破りの皇女。
 彼女の考えることはおおよそ戦いというものの枠組みを、それこそ戦場という枠組み自体を破壊するものであった。
「ごめんなすってー! プリンセス頂上決戦に参りましたわ~!」
 そんな彼女がいるのは、旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の外。
 すなわち宇宙空間である。
 なぜ、と思うだろう。メサイアは取り巻きたる『闇の騎士』が鬱陶しかったのである。ならば、と旗艦の外より『プリンセス・エメラルド』を戦場ごとぶっ潰してやろうという腹積もりなのである。

 だが、それをさせぬとするのが最高戦力たる『闇の騎士』たる所以。
「させると思ったか」
「ええ、ですから! ヴリちゃん!」
 メサイアの言葉とともに彼女が駆るキャバリア『ヴリトラ』のアイセンサーが煌めく。かの暴竜型キャバリアは全身が格闘武器の塊。
 すなわち、取られる択は唯一つ。
 そう、突っ込んで轢き逃げる。ゲイルカイゼル仕様であったのが幸いしたとも言えるだろう。メサイアは『ヴリトラ』と共に一直線に艦外へと飛び出し、『闇の騎士』たちを吹き飛ばすのだ。
「くっ……だが!」
『闇の騎士』たちも最高戦力たる所以を見せつける。

 手にした赤黒いフォースセイバーの一閃が『ヴリトラ』の装甲を切り裂く。
 さらにそこに迫るのは『プリンセス・エメラルド号』であった。サイキックエナジーによって呼び出された宇宙船から放たれる光線が『ヴリトラ』を襲う。
「今度は光線ですわ~! ですが、ブースター全開! おほほほ、これだけ旗艦に張り付いて艦の上を走り回れば光線も撃つに撃てぬというものでしてよ~!」
「こいつ……! ちょこまかと!」
 テレポートによって続々集まってくる『闇の騎士』たち。
 だが、それをイオンブースターの左右をスイッチすることによって左右に機体を揺らすようにして直角の機動でもって躱し続ける。

「おほほ!『プリンセス・エメラルド』様はこのお船の中! つまり!」
 メサイアは閃いた、という顔をしていた。
 そう、敵がこの旗艦にいるのならば、何も内部に突入して彼女だけを狙わなくてもいいのである。
 彼女が狙っているのは戦場そのものたる『ソング・オブ・オーンブル』の破壊。
 戦場の枠組みすら壊す閃きをメサイアはためらいなく実行するのだ。
「このお船を沈めれば、すなわちお亡くなりになるのですわ! そのためにはやはりパワーが不可欠! ヴリちゃん!『リグ・ヴェーダモード』!」
 暴竜たる真の姿をさらけ出す『ヴリトラ』。 
 まさにその名を冠するキャバリアに相応しき真の姿。
 黒き竜の頭上にて座すのは漆黒のドレスを纏て妖艶に微笑むメサイア。
 その美貌、まさに一国の皇女と呼ぶに相応しき優雅さ、華美さ、いずれにせよ、美しいという言葉以上に語られる言葉は存在しないであろう。

「ついでにわたくしもですわ~!」
 その言動以外は。
「うふふ……真の力をご覧になって?」
「『闇の騎士』よ、あの者を止めなさい。かの者はこの艦ごと破壊するつもりです」
『プリンセス・エメラルド』は『闇の騎士』たちに告げる。
 彼女は他の猟兵たちとの戦いも控えている。
 もっと言えば、『プリンセス・エメラルド号』の操作で此処を動けないのだ。
 ならばこそ、メサイアに『闇の騎士』を差し向けるのは当然出会ったことだろう。
 だが、それはあまりにも荷が勝ちすぎていると言うものであったことだろう。

「うふふ、お船を爆発させるにはやはりエンジンを狙うのがよろしいのですわ。古今東西、大体のお船にはエンジンが最後尾についているというものですわね! こんなに大きいお船ですから誘爆させたらすげぇことになりますわ」
「止めろ、やつを!」
 メサイアがやらんとしていることを理解した『闇の騎士』たちが殺到する。
 だが、メサイアは黒き暴竜の頭部に座して笑む。

 迫る『闇の騎士』たち。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、滅亡の瞬光(ジェノサイドバスター・ラディカルレイ)に等しきもの。
「このお船を『プリンセス・エメラルド』様の棺桶にして差し上げますのよ。お覚悟あそばせ」
『ヴリトラ』の口腔より輝く光。
 滅亡の光は、あらゆるものを、どんなものでも、すべからく滅ぼす光。
 極大なる光の奔流が『ソング・オブ・オーンブル』の巨大なる艦体へと打ち込まれる。それは『闇の騎士』たちを巻き込んだ一撃であり、展開したフォースの障壁であっても防ぎきれるものではない。

「うふふ、ダイナミックお火葬ですわ」
 旗艦『ソング・オブ・オーンブル」を包む込む極大なる光。
 爆発が巻き起こり、凄まじい勢いで宇宙空間に衝撃波が走り抜ける。それは『ヴリトラ』のもたらす破滅の光。
 巨大なクリスタルシップすらも揺るがす衝撃は、『プリンセス・エメラルド』を動揺させるのには十分であったことだろう。
「た、戦いの場において、盤面ごとぶち壊そうとする者がありますか!」
 だが、そんな彼女の叫びにメサイアは微笑んで言うのだ。

「そんな面倒なお船に乗っているのが悪いのでしてよ。取り巻きもたくさんテレポートさせて、さらにご自身の船まで呼び寄せるだなんて。そんな見せびらかしたがりはお下品でしてよ?」 
 だから、滅ぼすのだというようにメサイアの微笑みと共に再度、ジェノサイドバスターの一撃が『ソング・オブ・オーンブル』を直撃するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……案の定というか。
己の背負う民は無く、部下は屍の騎士か傀儡の巨獣
その正当性とやらも別のオブリビオンから奪った力で掠め取ったものだと聞いてるけれど?
精々「国の混乱期に現れる自称正当なる王、なならず者の頭目」……道理で「王族殺し」の依頼の筈なのに、何も感じない訳ね

引き続きアルカレクス、相手の先制UCだけど、
敵をキャバリアクラスの相手と思ってEN消費無視・全力での周囲全方位への防御・拘束フィールドで対抗するわ
時間さえ稼げればUC、超重力をかけ周囲を足元へと押しつけ動きを鈍らせ、紅炎、ドラグカプトからビーム砲撃を!
移動できないけど、フィールドでの防御と、金属細胞の自己修復で耐えきってみせる……!



 揺れるクリスタルシップ『ソング・オブ・オーンブル』は猟兵の外側からの攻撃に傾ぐようであった。
 その震動の中にあってもオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は未だ己を宇宙の正当なる支配者であると言う。
 猟書家。
 それは簒奪者の名である。
 かつてオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』より奪い取ったユーベルコードによって『フォーミュラ亡き世界』に侵攻を開始した彼女たち。

「私こそがこの宇宙の支配者足り得るのです。かつての銀河帝国ではなく、それらをすべて継承したこの私こそが!」
 クリスタリアンの最長老たる『プリンセス・エメラルド』。
 彼女がこの『帝国継承軍』の旗印。
 なれば、彼女さえ打倒してしまえば、大義名分を失った『帝国継承軍』は瓦解するだろう。
「……案の定というか」
 その『プリンセス・エメラルド』を強襲するのは、『アルカレクス・ドラグソリス』であった。
 機械竜と融合を果たしたキャバリア『プロトミレス』を駆るアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)が『ソング・オブ・オーンブル』の壁面を打ち抜きながら一気に『プリンセス・エメラルド』に迫る。

「己の背負う民は無く、部下は屍の騎士か傀儡の巨獣。その正当性とやらも別のオブリビオンから奪った力で掠め取ったものだと聞いているけれど?」
 その言葉に『プリンセス・エメラルド』は亀裂走る翡翠の体を押して笑う。
「力とは、存在しているものです。それを如何ように使うが、その者の道行を決めるのです。その出自を問う意味などありますか?」
 揺らめくようにして消えていく『プリンセス・エメラルド』。
 そして、同時にテレポートによって出現する『闇の騎士』たち。
 彼らが手にした赤黒いフォースセイバーの斬撃が『アルカレクス・ドラグレクス』へと迫る。

 しかし、その斬撃をアルカはジェネレーターの出力を全開にしての全方位への防御フィールドを放ち、受け止める。
 斬撃を受け止めたフィールドが力の奔流でもって視界を明滅させる。
「精々、ならず者の頭目といったところかしら……道理で『王族殺し』のはずなのに何も感じない訳ね」
 アルカにとって、それは必然であったことだろう。
 彼女の過去を鑑みれば、『プリンセス・エメラルド』が簒奪者であることは許せぬことであったはずだ。
 けれど、その己が熱情にも似た感情を抱かぬということがすべてを物語っていた。
「その物言い、どこぞの王族と見ました。ですが、それで? あなたは何を成すというのです。亡国を復興しますか? それともすべてを投げ捨てて、ただの一人として存在し続けますか? どちらにせよ、いずれにせよ。あなたは」
「その物言いは聞かない。私にとって、あなたの言葉は何も響かない。ドラグキャリバー!」

 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
 手にした陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)が地面に突き立てられる瞬間、それは紅炎を噴出させる。
 放たれる超重力が『プリンセス・エメラルド』と『闇の騎士』たちを捉え、その動きを止める。
「超重力……! ですが、この程度……!」
 ぎしり、と音を立てる『プリンセス・エメラルド』の姿。
 姿を消していたが、超重力に囚われ、その姿を見せる。
 しかし、それはブラフだった。己の姿を晒すことによって、もう一体の姿を隠した『闇の騎士』をアルカへと差し向ける。
 
 けれど、それは竜型の紅炎によって阻まれ、さらにはドラグカプトからのビーム砲撃によって撃ち抜かれる。
「騙し討ちは!」
「……! ならっ!」
 全方位から迫る『闇の騎士』たち。超重力を振り切った彼らが手にしたフォースセイバーの斬撃が『アルカレクス・ドラグソリス』の装甲を切り裂く。
 だが、その斬撃は即座に金属細胞が修復してのける。
「再生する……! この速度で!?」
「ドラグキャリバー、あなたがただ敵を斬るだけの剣でなく、絶望と闇夜を断つ剣である事を……今、此処に示せ!」
 満ちるは勇気をもたらす光。
 それは、一瞬で傷を癒やし、再び超重力で迫る『プリンセス・エメラルド』を押しつぶす。

「今此処であなたを打倒できなくても。超重力で押さえつけてさえいれば……!」
 そう、猟兵は一人で戦う者ではない。
 己のユーベルコードで押さえつけてさえいれば、逃すことはない。
 必ず此処で仕留めるために、アルカは己のユーベルコードで持って『プリンセス・エメラルド』の逃走を阻み続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

怒るというか、生きてて良かったです。生きてて。

って、なんですなにごとですなにぷれいです!?

え?天の声さんにサービスなら、
ここはステラさんも粘液まみれじゃないですか?
(手を広げて、にっこりと笑顔で)

まぁ、どっちにするかは、
天の声さんのリクエストに従うことにしましょう。

微百合と粘液、天の声さんどっちが好きですかー?

まぁ天の声さんの性癖はこれで理解したとして、
演奏家もしちゃっていいんですか!?

今日は大盤振る舞いですね!

それでは遠慮なく全力の【ボレロ】でいかせていただきます!

エメラルドの輝きも素敵だとは思いますが、
ぴゅあっぴゅあな光の輝きを見せちゃいますよ!

そう……敵は……耳栓だー!


ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
そんなに怒らないでくださいよルクス様
ともあれまずは綺麗になりましょうか
特別サービスで私が拭って差し上げます
それとも舌で舐めとった方が良いですか?
ふふ……(距離が近い)
いえ、たまには天の声にサービスしておこうと思いまして
邪魔は無粋ですよ?

さてルクス様準備はよろしいですか?
せっかくの舞台ですので演奏会してくださいませ

周囲の闇の騎士は私が押さえましょう
【アウクシリウム・グロウバス】
この場の支援はお任せくださいこの二丁拳銃にかけて
問題は…ルクス様の演奏なのですが
うーむプリンセス・エメラルドクラスだと
私も死を覚悟せねばなりませんか
いえ、世界の平和のために耐えてみせましょう
エイル様のために!



 ぷんすこぷん。
 それは擬音であった。なんの擬音かというと、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の頭のあたりから響く擬音であった。
 擬音なのに響くとはこれ如何に。
 しかしながらルクスがそうなるのも無理なからぬことであった。
 巨大な魔獣の口腔に飛び込んで演奏するという一大冒険の後であったからか、なんかこうルクスの体はべとべとであった。多分唾液的なそういうあれ。都合よく服だけ溶ける粘液的なあれ。
 まあ、そういう事実はないので、ただベトベト勇者がそこにはあった。
「そんなに怒らないでくださいよルクス様」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が彼女のべとべと粘液を拭いながらなだめる。

「怒るというか、生きてて良かったです。生きてて」
 本当にもう本当にってやつである。一歩間違えれば胃液の中で服どころではない話であった。
「って、なんですなにごとですなにぷれいです!?」
「いえ、特別サービスで私が拭って差し上げようかと。それとも舌で舐め取った方がよいですか?」
 距離がちかーい!
 なんかステラがどこかを見ている気がするが、なんらかのサービスの気配を感じる。
 だが!
 勘違いしないで頂きたい!
 挟まりたくないのである! 何と何の間とは言わないが! 挟まりたくないのである!

「なんです? なんの話しているんですか?」
「いや、その前に何を悠長なことをしているのですかあなた方は」
 そんな彼女たちの間に、いや、前にあるのはオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』とテレポートしてきた『闇の騎士』たちであった。
 挟まってないのでセーフである。
「邪魔は無粋ですよ?」
 ステラの言葉にルクスはそういうことならと手を広げて彼女に近づく。

 それをステラは手で制する。見破られているのである。
 どう考えてもべとべとなルクスはそのままステラも巻き添えにしようとしていたのである。だがしかし、できるメイドであるステラはそれを制するのだ。
「さて、ルクス様準備はよろしいですか?」
「微百合と粘液、天の声さんどっちが好きですかー?」
「本当に何を仰っていらっしゃる!?」
『プリンセス・エメラルド』の困惑した声と共に彼女の体が『皇帝乗騎』へと変貌していく。
 本当にそうですよね。わかります。
 さらに『闇の騎士』たちの手にしたフォースセイバーが閃光となってルクスに迫る。

「せっかくの舞台ですので演奏会してくださいませ。『闇の騎士』は私が抑えましょう」
 2丁拳銃を構え、ステラが前に出る。
 赤黒い閃光の如き斬撃と銃撃の音が響き渡る中、ルクスに迫るのは『プリンセス・エメラルド』の駆る『皇帝乗騎』。
 その巨体の威容は言うまでもなく。
 振るう拳の一撃はたやすく猟兵を屠るだろう。

 しかし、その一撃はステラの銃撃の一撃に阻まれる。
「この場をおまかせを。支援もメイドの嗜みなので」
 至れり尽くせりである。
 そんな支援を受けてルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「演奏家もしちゃっていいんですか!?」
 いいのである。いいぞ。今までの分まで存分に。そんな声が聞こえたような気がする。木のせいである。
「やったー! 今日は大盤振る舞いですね!」
 ずしん、とものすごい音を立ててグランドピアノが戦場に降り立つ。
 それだけで衝撃波が荒ぶ。

「グランドピアノ……!? 何を……勘違いをしていませんか?」
『プリンセス・エメラルド』の困惑も尤だ。
 どう考えても戦場に似つわしいものである。しかし、それでいいのだ。ステラは『闇の騎士』を引き付けながら、死の覚悟をする。
 保ってくれよ、アンチルクスレゾナンスなんちゃらかんちゃらプラグ!
「いえ、世界の平和のために耐えてみせましょう。『エイル』様のために!」
気合が違った。
 半分以上、私情であるが。
 そう、『闇の騎士』たちもなんのこっちゃと思ったであろう。此方の猛攻を凌ぐための気合であろうか?

 だが、違う。
 そう、ステラが警戒していたのは『闇の騎士』でもなければ『プリンセス・エメラルド』でもない。
 味方であるルクスの演奏であった。
「失礼な! 敵味方の識別はできるんですけど!? というわけで、わたしの魂を響かせますよ!」
 響くはボレロ――のはずである。情熱的な旋律。だが、どこか壊滅的な音のズレを感じる。
 ズレは歪となって響くのではなくひっかくように『プリンセス・エメラルド』たちの鼓膜をぶち抜く。

「なっ、なんです、これは?! え、演奏?! 音波攻撃ではなく!?」
「エメラルドの輝きも素敵だと思いますが、ぴゅあっぴゅあな光の輝きを見せちゃいますよ!」
 ルクスの気合も違った。
 だが、悲しいかな。その音は気合が入れば入るほどに、致命的なズレとなって響き渡るのだ。
『闇の騎士』たちが悶絶している。『プリンセス・エメラルド』も同様であった。
 だが、そんな中ステラだけが平然としている。メイドだからか? 否。 アンチルクスなんちゃらかんちゃらプラグのおかげである。

「わたしの本当の敵……そう……敵は……耳栓だー!」
 やっべ。
 耳栓さん逃げて――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
どうせ次は別の世界に手を伸ばすです、というか既にしてるです。
だから此処で倒すです

エル・セプス(外装)で、早速誰か……流石に首領は無理として乗騎か闇の騎士の誰かにケルベロスファングを叩き込み、レミエールⅢのガム弾撃ちこみでべたべたにしてから怪力でぶん回して他のにぶつけ、(レミエールにはそのまま周囲にガム弾掃射させつつ)包囲を崩して離脱し距離を取るです

距離を取ったらUC、いくです
本体、乗騎、騎士、おまけで船からもエネルギーを奪ってやるです

……そういえば確かに「船を沈めるな」とも「先に沈めるな」とも言われた憶えはないです
ついでに船にもガンガンA.F.C.の砲撃を叩き込んでボロボロにしてやる、です!



 猟兵の奏でる演奏に悶絶していたオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は漸くにして立ち直った。
 凄まじいものであったと彼女のエメラルドの宝石を思わせる肌は青ざめていた。
 それほどまでに凄まじいものであったのだ。
「くっ……ですが、我が『皇帝乗騎』は未だ健在。『闇の騎士』もまた同様です……ならば!」
 
 周囲にテレポートで集まる『闇の騎士』たち。
 彼らは『帝国継承軍』において最高戦力である。いずれも雑兵と呼ぶにはあまりにもオーバースペックであった。
「これが宇宙の正当なる支配者たる私の力……! このままスペースオペラワールドに……!」
「その次はまた別の世界に手を伸ばすです、というか既にしてるです。だから此処で倒す、です」
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は飛空艇をまとう外装形態で『ソング・オブ・オーンブル』へと飛び込む。
 彼女の言葉通りであったことだろう。

 此処に至るまでに相対した魔獣は本来、大空の世界ブルーアルカディアに住まう魔獣である。
 ならばこそ、この宇宙を支配した後のことは言うまでもない。
 支配者と言うのは常にそうである。
 もっと、と求めるのだ。求めることをやめられない。いかなる言葉を弄しようとも、例外なくその支配を広げようとする。
 だからこそ、ヴィクトリアは艦内に砲撃を叩き込みながら『プリンセス・エメラルド』へと迫る。
「狼藉を!」
 迫る『闇の騎士』と『皇帝乗騎』を駆る『プリンセス・エメラルド』。
 それをヴィクトリアは視認し、『闇の騎士』の一体にケルベロスファングを叩き込み、ガム弾を叩き込む。
 べとつくガム弾は『闇の騎士』にとって、僅かな一瞬の隙にしかならなかっただろう。
 けれど、それでヴィクトリアには十分だった。

 彼女の飛空艇『エル・セプス』は外装形態。
 その状態でヴィクトリアは『闇の騎士』の一人を鎖で繋いだケルベロスファングで振り回し他の『闇の騎士』にぶつけて薙ぎ払うのだ。
「ですが、私の一撃を止められません!」
 放たれる『皇帝乗騎』の拳。 その一撃をヴィクトリアは受け止め、跳ねるようにして叩きつけられる。
 けれど、即座に体制を整える。外装形態であったことが幸いした。
 もしも、これが通常の飛空艇形態であったのならば、ヴィクトリアはそこで終わりだったことだろう。

「でも、これで距離は取れた、です! 蒼穹の輪廻(エンジェリック・リンカーネーション)……! これで全部エネルギーを奪ってやる、です!」
 煌めくユーベルコードの輝き。
 不可視の波動を放出する黄金の羽の嵐が戦場を満たしていく。
『皇帝乗騎』を駆る『プリンセス・エメラルド』は気がついた。ヴィクトリアの放つ黄金の羽の嵐は、あらゆるエネルギーを吸い尽くすのだと。
 そして、吸い上げたエネルギーは彼女の傷を癒やす。
『皇帝乗騎』の一撃でひしゃげた装甲すら癒やすエネルギーの放出は、天使の翼のように舞い散る。

「……そういえば」
 ヴィクトリアは外から砲撃の震動にうなずく。
 他の猟兵がそうしていたように。
「『船を沈めるな』とも『先に沈めるな』とも言われた覚えはない、です」
 ヴィクトリアは『ソング・オブ・オーンブル』の内部に在りて、その砲門を向ける。
 他の猟兵が外から戦場そのものの枠組みを破壊するというのならば、己は内側からだというように砲撃を行う。
「しょ、正気ですか……! そんなことをすれば……!」
 猟兵たちも危ういのだと。
 けれど、ヴィクトリアは構わなかった。どのみち、ここで倒せなければ他世界に累が及ぶ。
 それを扨せぬために彼女は戦っているのだ。
「そんなの関係ねー、です!」
 迫る『皇帝乗騎』と『プリンセス・エメラルド』に砲撃を叩き込むのと同時に、彼女は『ソング・オブ・オーンブル』を破壊の渦に引きずり込む。

 天使の羽が舞い散る中、爆風だけが『プリンセス・エメラルド』への答えだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

はは、面白いことを言う。だからこそ、『わしら』は戦い(呪う)のであるが。
しかしなるほど…危険であるから、霹靂は影へ下がらせたが。
初撃凌ぐにしても、四天霊障の攻性結界広げておこうか。物はそこにあるから、隠れられんし。
引っ掛かったら、第六感からくる見切りで避けようぞ。

さて、UC使えるようになったら即使おう。そうすることにより…徐々に四天霊障の攻性結界が強くなるのよなぁ。
うむ、果ては押し潰しするとしようか。
四悪霊の前に軍団とか置くと、こうなるのだよ。


霹靂「クーエー…」
影に下がったけど、とても心配。
おじーちゃんは強いの、わかってるんだけど…。



 それは面白いことであった。
 少なくとも、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)たち四悪霊にとって、その支配に抗うことこそが戦いであり、呪いであったからだ。
 オブリビオンのもたらす戦乱。
 支配とは戦乱の先にある。
 同時に新たなる戦乱の火種でもある。
「だからこそ、『わしら』は呪うのであるが」
『侵す者』は見据える。

 己の周囲に気配は感じれど、『闇の騎士』とオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』の姿はない。
 透明化しているのだろう。
 それがクリスタライズ・オリジンの力。
 確かに脅威であるといえる。
 だからこそ、己の結界たる霊障を広げる。完全に不可視になるのだとしてもそこに存在しているというのならば、霊障に触れた瞬間にわかる。
「それしかできないのではなくて?」
「ああ、それしかできないからこそ、『わしら』は戦うのだ。当然のことだろう。この身はすでに悪霊。ならばこそ、『今』を生きる者の枷になることなどあってはならぬのだ。

「虚しいとは思いませんか。すべてを意のままにすることができる力を持ちながらそうしないのは、怠惰以上に傲慢であると」
「いいや、思わない」
 迫る『闇の騎士』たちのフォースセイバーの斬撃を躱しながら『侵す者』は見る。
 不可視なれど、そこにあるという確信を持つ。

「それに意味はない」
 今も己の影の中に隠れている『陰海月』と『霹靂』のことを思う。
 己が守れるものは一体なんであろうかと思う。
 すべてを守れるとは思わない。
 己の、己たちの手の届く範囲は思う以上に狭いものだ。けれど、それは多くの者にとって同様であろう。
 だからこそ、懸命に手を伸ばすのだ。
 歩むことをやめないのならば、届くものもあるだろう。停滞の中にあるオブリビオンにはわからぬことであったかもしれないが。

「因果は巡りて回る。どこまでも――四悪霊・『回』(シアクリョウ・マワル)」
 己の身を再構築していく。
 迫る刃も。ユーベルコードの致命傷に至る一撃も、この身には関係ない。
 斬り裂いたと思った肉体も、即座に再構築されていく。
 鳴く声が聞こえる気がする。
 心配しているのだろう。わかっている。どこまで言っても、心配をかけてしまうことも。
 だからこそ、疾く終わらせなければならないと思う。

 満ちる結界、その四握力の呪詛が満ちて、満ちて、戦場を包み込む。
「数など悪霊の前では無意味よ。なにせ、再構築しながら、それに比例して強まるものでな」
「……膨れ上がっていく……!?」
「ああ、四悪霊の前に軍団とか置くと、こうなるのだよ」
 己たちの呪詛に際限はない。
 争いを憎み、争いを排除しようとする。
 その意思においてのみ、四悪霊は正しくまとまるのだから。

 吹き荒れる霊障が『闇の騎士』たちを吹き飛ばし、透明化した『プリンセス・エメラルド』をあらわにする。
 そう、悪霊からは逃げられない。
「呪詛で、剥がされた……私のユーベルコードが!」
「そういうことなのだよ。ならば」
 手にした黒槍が迸るように呪詛をまとい、その一撃を『プリンセス・エメラルド』へと叩き込む。
 激震起こる『ソング・オブ・オーンブル』において、その一撃はあまりにも静かで、また同時に『プリンセス・エメラルド』の翡翠の玉体にさらなる亀裂を走らせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
帝国継承規約か。君は銀河帝国の何を継承するつもりなのかな?
遥か昔に滅び、オブリビオンとして復活してもまた滅んだ過去の遺物だ。あるのは負債だけだと思うがね。まあ、君自身もそうであるのだから縋りたい気持ちも分かるよ。

先制UC&全周囲攻撃
各種オドの活性化による魔法障壁の形成により影響を遮断。
(オーラ防御×結界術)
しかる後に『真紅の煌天』を発動。
魔法障壁はさらに強固な無敵状態に。その上で先程の戦いで見せたのと同様の究極の破壊魔法。銀河も砕く一撃をプリンセスエメラルドを起点に|発動《プレゼント》しましょう。

さようならだお嬢さん。気宇壮大な野望は良かった。惜しむらくは実力が伴わなかった事だね。



 侵略蔵書『帝国継承規約』――それに記されたのは『不変である事』。
 それはクリスタリアンの最長老である彼女にとって、都合の良い事実であったことだろう。
 星の海原を征く世界。
 スペースシップワールド。それを支配することこそが彼女の、オウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』の目的であった。
 そして、彼女がスペースシップワールドを支配した後に目指すはスペースオペラワールド。
 だが、それを阻まんとする者たちがいる。
 そう、猟兵である。
「『帝国継承規約』か。君は銀河帝国の何を継承するつもりなのかな?」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は赤いスーツの裾を払いながら、未だ外と内部からの砲撃によって破壊される旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の内部にある『プリンセス・エメラルド』に告げる。

「しれたこと。すべてですよ。いいえ、それ以上とでも言うべきでしょうか。愚問ではありませんか、猟兵」
 亀裂走る宝石の体。
 翡翠の体は美しいの一言であったことだろう。
 けれど、シーザーは頭を振る。
「はるか昔に滅び、オブリビオンとして復活してもまた滅んだ過去の遺物だ。あるのは負債だけだと思うがね」
「遺産と捉えるかは、見解の相違であると言えるでしょうが」
 放たれる光線と『闇の騎士』たちの赤黒いフォースセイバーの剣閃。

 それらは一瞬でシーザーに迫っている。
 テレポートによる全方位攻撃。
 その凄まじさは言うまでもない。
「まあ、君自身もそうであるのだから、縋りたい気持ちもわかるよ」
 魔法障壁によって斬撃を受け止め、光線の一撃を防ぐ。
 けれど、光線の威力は凄まじい。障壁が砕かれ、光線がシーザーの赤いコートを焼く。
 だが、シーザーは涼しい顔で煤を払うように・その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「ルフス・ドゥオ――真紅の煌天(シンクノコウテン)は此処に。君たちの攻撃はもうわかった。次からもこう行くとは思わぬことだ」
 告げる言葉は真実。
 振るうフォースセイバーの一閃も光線の一撃も無敵の魔法障壁に阻まれる。
 先程砕いたものとは次元が異なる。
 シーザーの黄金の瞳には自信しか満ち溢れていなかった。
 己の想像を、己の能力を、一片も疑うことのない自負があるからこそ、そのユーベルコードは無敵足り得るのだ。

 掲げた魔力の塊。
 それは破壊をもたらすものであると理解できただろう。
「外の獣にも打ち込んだものであるがね。いやはや、私にしては、いやに謙虚だと思うよ。あの一撃を君たちはすでに観測していたと思うから……」
 だから、防げるとは思わぬことだとシーザーの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは銀河を砕く一撃。
「これは|プレゼント《発動》だ。受け取るといい」
「銀河を砕く一撃が、こんなに簡単に放つことが……!」
「いいや、できるさ。私は何一つ私自身の能力に疑念を抱かない」
 放たれる魔法の一撃は、『闇の騎士』たちが全面に押し出したフォースの障壁すらも砕く。
 軽減できているかもしれないが、しかし、それは無意味だ。

 びしり、と大きな音が響き渡るのをシーザーは聞くだろう。
「さようならだ、お嬢さん」
『プリンセス・エメラルド』が抱いた野望は、気宇壮大であると言わざるをえない。 
 それを好ましく思うことはあれど、しかし、とシーザーは告げる。
「惜しむらくは、君に実力が伴わなかったことだね」
 吹き荒れる爆風が『ソング・オブ・オーンブル』の船体を大きく揺らし、シーザーの放った魔法の一撃、その威力を知らしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【邪蛸】
どもー!私怨で帝国軍バラし隊・特攻隊長のパウルでっす☆
今日は最愛の恋人・ジャスパーとカチコミにきたよ♪
―…テメェに折る膝なんてな、この宇宙どころか全異世界にねェんだよ!

Glanzでタンデムしながら戦場を駆けるよ。
先制で透明化されたら
すぐにGlanzに搭載したサーモグラフィを起動。
FMXの如き【運転】テクで敵攻撃の回避を試みる。

車体を傾けバランスを崩したと見せかけて
敵が高火力攻撃を仕掛けてきたトコロで―UC発動!
展開したKrakeで【カウンター】射撃を。
ご自慢のチカラを身をもって体感した気分は如何だい、オヒメサマ。
掌で敵の首を絞めたい衝動を抑えて
イマはジャスパーの為に、グリップを握ろう。


ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
ふは、特攻は俺の得意分野だぜパウル
じゃあ頼れるNo.2ってことで
久々にGlanzの後ろに乗っけて貰って
正直鼻歌でも歌いたい気分
しかも今日は強敵相手
最ッ高にスリリングなツーリングが楽しめそ

呑気に笑いながら腕にナイフを走らせる
溢れた血で作るのは空中を浮遊する盾
こいつとパウルの操縦テクで敵の猛攻を掻い潜るぜ
どうしても間に合わねえ分は俺の翼で受け止める(【かばう】)
傷を負いながらも
パウルの縦横無尽な駆け方にヒュウと口笛が漏れる

銀河帝国がコイツに何したかも知らねえで
軽々しくその名を口にするモンじゃねェよ
接近したら盾を解除
無数の空飛ぶ血色のナイフへと変化させて奴へと叩きつける



 極大なる魔法の一撃が旗艦『ソング・オブ・オーンブル』を大きく揺らす。
 その最中で猟兵たちのユーベルコードによって、その翡翠の玉体に亀裂走らせたオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は、息を吐き出す。
 疲労、消耗、困惑。そして何よりも己の道を阻む猟兵という存在に対する苛立ちが彼女の息を荒くさせる。
「よくも此処まで……『皇帝乗騎』!!」
 彼女を取囲むようにして『闇の騎士』たちが布陣し、さらに彼女の体を包み込むのは巨大なビーグル『皇帝乗騎』。
 その威容はまさに皇帝豊部に相応しいものだった。

 しかし、そんな彼らをよそに荒ぶような風が吹く。
 一陣の風のように。
 白銀の無骨なるフレームが輝く宇宙バイクが蒼き光線を戦場に結ぶようにして、走り抜け抜けながら『闇の騎士』たちを蹴散らす。
「何事です!」
「どもー! 私怨で帝国軍バラし隊・特攻隊長のパウルでっす☆」
「ふは、特攻は俺の得意分野だぜパウル」
 お株を奪うなよ、というように笑う声が響き渡る。
「言うなよ、最愛の恋人とのタンデムなんだ、怒りと喜びで頭の中シェイクされているような気分なんだから♪」
「じゃあ頼れるNO.2ってことで」
 蒼き光線放つ宇宙バイクを駆るのは、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。
 その背にあるのは、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)。
 二人は共に戦場を睥睨していた。
 パウルにとって、此処はそういう場所だ。帝国を継承しようというクソッタレどもの巣窟であると言える。
 だからこそ、彼は眼帯に覆われた右目が、見開いた左目が翡翠の『プリンセス・エメラルド』を見据える。

「不敬な。その眼差し、その言葉。どれもが不愉快です。今ならば跪き、頭を垂れれば、苦しまずに殺してあげますよ」
「――……テメェに折る膝なんてな、この宇宙どころか全異世界にねェんだよ!」
「おいおい、パウルの後ろにのっけて貰ってるんだ。正直鼻歌でも歌いたい気分だってのに、水を差すんじゃあねえよ」
 一瞬で加速する宇宙バイク。

 しかし、迫るは『闇の騎士』たち。
 手にした赤黒いフォースセイバーの斬撃は鋭い。さらに言えば、すでに『皇帝乗騎』を駆る『プリンセス・エメラルド』の姿はクリスタライズによって姿を消している。
 何が跪けばだ、とパウルは怒りをかみ殺すようにして宇宙バイクを走らせる。
 そんな彼の腰に、その胴に回されたジャスパーの腕の硬さにパウルは、そうだったと怒りながら、どこか頭の隅で冷静な自分がいることに気がつく。
 どれだけ透明になるのだとしても。
「音と体温まで消せねぇってんならよぉ!」
 宇宙バイクに搭載されたサーモグラフィが起動する。そして、宇宙バイク前輪が浮く。一瞬のことだった。
 眼前を旋風が走る。

 それは透明化した『闇の騎士』の一撃であった。
 一瞬の判断。そして、同時にそれはフリースタイルモトクロスの如き挙動であった。前輪が跳ね上がったのならば、後輪は滑らせる。ぐるりと廻る車体。
「ハッ、最ッ高にスリリングなツーリングが楽しめそ」
「だろー!」
「呑気な遊びのつもりで!」
 見えぬ『皇帝乗騎』が拳を振るう。だが、それは血の盾が防ぐ。

 ジャスパーの腕からは滴るように血が流れている。
 彼が自傷することによって作られる盾。それは『皇帝乗騎』の一撃によって砕けるが、しかし、再び形作る。
 血液は凝固する。
 されど、ジャスパーの腕から流れ落ちる血は流動してさらなる盾を形作る。次々と生み出される盾。 
「造作もねえよ、こんくらい」
 血の盾がフォースセイバーに切り裂かれてもジャスパーは気にも止めなかった。いくらでも作れる。
 イーコールの匣(アルス・マグナ)の中に満ちるのは己の血潮。
 生きていると感じる。
 それ以上に、パウルの駆る宇宙バイクが生み出す律動。縦横無尽な、それでいてでたらめな挙動にタンデムシートに腰掛けながら、口笛が漏れる。

 それはまるで吐息みたいにパウルの耳をくすぐるだろう。
「くすぐってぇよ」
「いいじゃねえか。これくらい。約得だと思ってくれよ」
「おちょくって――!」
 姿を隠していたユーベルコードが解除されながら『プリンセス・エメラルド』は迫る。
「わが『帝国継承軍』を此処まで虚仮にすることは……! 銀河帝国のすべてを継承し、この宇宙を支配――」
「おい、軽々しくその名を口にするモンじゃねェよ」
 ジャスパーの声が底冷えするように響き渡る。

 血潮は熱く。
 飛沫がパウルの頬を濡らす。ジャスパーの腕より滴る血潮は、言葉とは対象的だったことだろう。
 血の盾はすでに形を変えている。
 ナイフの形。すべて切り裂く形。己たちに迫る『皇帝乗騎』の装甲を切り裂きながら、その内部にある『プリンセス・エメラルド』の姿を露出させる。
 パウルが銀河帝国に何をされてきたのかを知るものは、多くはないだろう。
 おそらく考えられるだけのことはされたのだろうと思うし、それを蒸し返すつもりはない。痛みを与えることができるのは、他者ではなくて、己だけだと思う心があるからこそ、ジャスパーの血潮は滾る熱を持って『皇帝乗騎』を切り裂く。

「ご自慢のチカラだ、オヒメサマ」
 Sympathy for the Devil(アクマヲアワレムウタ)が響く。
 ユーベルコードに煌めく瞳があった。
 その名を聞くたびに苛立ちが満ちる。
 己の掌が疼く。この手で、絞め殺してやりたいという衝動はある。しかし、頬を伝う血の熱さを知ってしまったのなら。
「これは、私の……!」
 カウンターのように放たれる四門の砲台から迸る力の奔流。
 それが『皇帝乗騎』ごと『プリンセス・エメラルド』を吹き飛ばす。

「イマはコイツの為に」
 己の掌が握りしめるのはグリップだ。これはタンデムツーリング。恩讐あるからこそ、それゆえに抑え込む。
 それがきっと、と思う前に濡れる唇の熱さに、二人は同じ表情を浮かべ端を釣り上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
2年前の迷宮災厄戦、猟書家達はアリスラビリンスを侵略する側であり
猟兵はカタストロフに対処しながらフォーミュラ無き世界も防衛しなくてはならなかった

今回も後手に回ったとはいえ、僕達が攻め込む側で貴女は張り子の帝国を守る側です
その違いが、明暗を分けた

◆手裏剣投げ+大戦輪轢殺暴風圏
殺到するセイバー連携をキャバリアで武器受け、皇帝乗騎の体当たりをコックピット|から緊急脱出《ジャンプ+空中戦》してやり過ごす
クイックドロウ+乱れ撃ちの影縫いで騎士達|を釘付けに《早業+投擲》
限界突破の怪力で大戦輪のギロチンを王女に叩き付ける重量攻撃

貴女は覚えていないかもしれませんが
漸く何時かの雪辱を果たせます
それだけは
御無礼



 きしむフレームの音を聞きながらオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は己の駆るビーグル『皇帝乗騎』と共に立ち上がる。
『闇の騎士』たちは次々とテレポートし続けている。
 まだ戦力の不足はない。
 猟兵がどれだけ至るのだとしても、ここから巻き返せると彼女は思った。
「私こそが宇宙を支配するに値するのです。この世界を手に入れ、絢爛たるスペースオペラワールドさえも、手に入れて見せるのです」
 彼女にとって時は味方であった。
 猟兵たちが己の目論見を知るのだとしても、それでも時間があればあらゆるものを覆せる。

 だからこそ、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は踏み込む。
 始まりは二年前だった。
 迷宮災厄戦。
 それは猟書家たちが表立った活動を見せた戦いであったことだろう。アリスラビリンスを侵略する彼らにとって、最たる標的は『オウガ・オリジン』のユーベルコード。
 猟兵にとっては後手に回った結果であった。
 カタストロフに対処しながら、フォーミュラなき世界の簒奪を狙う彼らに対しても抗わなければならなかった。
「今回も後手に回ったとは言え、僕たちが攻め込む側で、貴女は張り子の帝国を守る側です」
「私の『帝国継承軍』を張り子だと?」
「ええ、その違いが明暗を分けた」
 迫る『闇の騎士』たちのフォースセイバーをキャバリアの装甲で受け止めながら、蔵乃祐は迫る『皇帝乗騎』の突撃を受け止める。

 ひしゃげるキャバリアが地面に押し倒される。
 けれど、そこにすでに蔵乃祐はいない。
 突撃と同時に背面から飛び出した彼は、空高く舞い上がっている。放たれる手裏剣が『闇の騎士』たちを縫い留める。
「彼らは、確かに脅威。最高戦力と呼ぶに相応しいのでしょう!」
 だが、と蔵乃祐は空より見下ろす。

 かつての戦いを思い返す。
 あのときも巨大ビーグルである『皇帝乗騎』を駆る『プリンセス・エメラルド』と戦ったのである。
 オブリビオンである彼女は記憶していないだろう。
 けれど、わかっているのだ。
『皇帝乗騎』の癖は変わってない。その膂力を誇るような突撃。
 巨体を活かすためには、そうすることが最適解。
 だからこそ、わかりやすいとも言えた。

 キャバリアを犠牲にしての初撃を凌ぐ。
「貴女は覚えていないかもしれませんが」
「何を言っているのです、あなたは!」
 蔵乃祐は窮地に在りながら笑う。仕方のないことだ。あのときのことを雪辱と思うのは、己だからだ。
 過去の化身である彼女には見目姿は同じであっても、異なる存在。
 故に、これを雪辱とし、灌がんとするのは己のみ。
「御無礼」
 放たれる手裏剣が『プリンセス・エメラルド』と『闇の騎士』たちに降り注ぐ。
 影を縫い止め、その動きを止める。

 その間隙を縫うようにして蔵乃祐は走り抜ける。
 見つめる。
『皇帝乗騎』はすでに多くの猟兵たちの打撃を受けて軋む。
 ならばこそ、その軋む一点を穿つ。
 振るう拳。
「 勧 善 懲 悪 !!」
 その一撃はあのときと同じ一撃。

 吹き荒れる炎に背を向け、蔵乃祐は、爆散する『皇帝乗騎』、そして『プリンセス・エメラルド』を敗北へと叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
『ソング・オブ・オーンブル』には【セレステ】で突入。

プリンセスは……いつもなら愛でるところだけど……。
今回はそんなことも言っていられないね。

相手の先制UCは、むしろそのまま使ってもらっちゃおう。

相手が『皇帝乗騎』を召喚したら、
こちらもその後すぐに【リフレクションマリス】を発動。

戦闘力、強化されるんだよね。でも、生命力は共有。
ってことは、相手の攻撃を反射すれば、一気に2倍以上のダメージを与えられるから、
わたしとしては、むしろうぇるかむだよ。

『後の先』って知ってる? 先制したからって絶対有利ってことにはならないんだよ。

相手の攻撃を反射しつつ、
こちらからも【M.P.M.S】で攻撃を上乗せしていくよ!



 拳の一撃で爆炎を上げる巨大ビーグル『皇帝乗騎』。
 しかし、未だオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』は諦めていなかった。炎を上げ、軋む機体のままに彼女は突き進む。
 確かに猟兵の力は脅威だった。
 侮っていたわけではない。個としての力は確かに己のほうが上だ。
 これは偽りなき事実。
 そして、覆すことのできない真実でもあった。

 けれど、現実は異なる。
「このままでは……!」
 敗北する。
 あれだけの時間をかけ、あれだけの戦力を集め、形成したかつての銀河帝国を上回る『帝国継承軍』が、瓦解してしまう。
 じりじりと迫る焦燥に彼女は急かされる。
 しかし、その前に立つのは一人の猟兵。
「プリンセス……いつもなら愛でるところだけど……」
 今回はその暇もないのだと、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は告げる。彼女は『プリンセス・エメラルド』が未だ『皇帝乗騎』を捨てぬことを理解していた。
 だからこそ、電脳術式で編み上げた結界でもって取囲む。

「――これは……!」
「そうだよね。戦闘力を強化するだけじゃなくて、生命力も共有しているのなら、それは解除できない。けれど」
 振るう一撃が理緒に叩き込まれる。
 しかし、その一撃は彼女に届かない。
 編み上げられた電脳術式が、その一撃を反射するのだ。振るった腕部の一撃はそのままに『皇帝乗騎』の腕部を砕き、また『プリンセス・エメラルド』の腕を砕く。
 飛び散る翡翠の破片と悲鳴。

 同時に『闇の騎士』たちも切り裂かれる。
 この戦場にあって、理緒の瞳がユーベルコードに輝く限り、あらゆる攻撃が彼らに戻る。
 他者を傷つけることは己を傷つけること。
 それが必殺の一撃であればある程に振るった者は、絶命するしかない。
「わたしとしては、むしろうぇるかむだよ」
 これは|『後の先』《カウンター》。
 故に最も攻撃が読みづらく、また同時に必ず当たる、といってもいい。

「なぜ、私が……こんなっ!」
「先制したからって絶対有利ってことにならないんだよ」
 理緒は砕け散った破片を弾くようにしてミサイルランチャーを展開する。
 すでに『プリンセス・エメラルド』の消耗は猟兵たちの攻勢によってあと一歩の所まで来ている。

 ならばこそ、ためらう理由はない。
 放たれたミサイルが『皇帝乗騎』ごと『プリンセス・エメラルド』を打ち砕く。
「こんな、私は、まだ……! まだ宇宙を手に入れて、いない……! こんな、道半ばで、あれだけ時間をかけたというのに……! ここで!」
 終われない。
 けれど、彼女の野望は潰える。爆風の中に消えていく翡翠の体。
 その破片が飛び散った瞬間、旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の船外にあった、『帝国継承軍』の艦隊は、突如としてコントロールを失った『クエーサービースト』たちによって壊滅させられる。

 これまで洗脳で従えていた彼らは、『プリンセス・エメラルド』が倒されたことによって開放され、目の前の敵をすべて滅ぼすもとの制御不能なる怪物へと戻るのだ。
「わー、これは大変だ。何もしなくても、このまま滅びてくれそうだね。じゃあね、プリンセス。愛でる暇もなかったけれど」
 此処で野望は潰える。
 それを知らしめるように理緒は、爆発を引き起こしていく旗艦『ソング・オブ・オーンブル』から『ネルトリンゲン』でも脱出する。

 その後方に見える爆発の明滅。
 暴れまわるクエーサービースト。
 残骸へと変わるオブリビオン艦隊。
 どれもが、『プリンセス・エメラルド』という唯一人のためだけに存在していた。彼女という存在がなくなった今、もう彼らに大義名分はない。
 あれだけの時間をかけた『帝国継承軍』も瓦解する時は一瞬。
 その儚さを感じながら、理緒はひときわ大きな爆発を引き起こす『ソング・オブ・オーンブル』……その星のきらめきを歌う影法師を背にするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月23日


挿絵イラスト