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第二次聖杯戦争㉒〜いまひとたび、さよならを

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #聖杯剣揺籠の君

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●終局を待ちながら
 金沢市の果て、金沢大学はその様相を一変させていた。
 水晶の宮殿と呼ぶに相応しい佇まいとなった荘厳な地は、目を覆いたくなる淫蕩の宴が繰り広げられている。
 白く輝く淫欲の領域――齎したるは聖杯の力を引き出したオブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』。あらゆる生物を死の絶頂に至らしめる『いんよくのかぜ』の影響下に置かれた者達は、その効果通りに果てて死んだ生命を揺籠の君に吸収されその力を高めていく。
 このまま強化され続けば石川県全域、日本全域、果ては世界全てまで効果範囲が広がってしまうだろう状況、しかし聖杯剣揺籠の君はそのいんよくのかぜの放出を停止させる。
『ゆりゆりをころせる、りょうへいがくるんですね』
 陸橋の上、見晴らしのいいその場所で、オブリビオン・フォーミュラは呟いた。
 本当に欲しい『すべてのせかいのすべてのいのち』――それを得る為には他の世界へと渡る方法を得なければならないが、その前に倒されてしまってはおしまいだ。
 骸の海を全て壊してしまいたいほどに恨んでいたような気がするが、過去も、未来も、心も全て聖杯にあげてしまったからよく分からない。
 だから、リリスたる彼女はシンプルに考える。
『りょうへいたちもたいせつないのち。ゆりゆりはおなかがすいて、こうふんしてきました……!』
 最強を目指す――聖杯武器を携えたオブリビオン・フォーミュラはとびきり無邪気に微笑んだ。

「第二次聖杯戦争もいよいよ最終決戦だね!」
 グリモア猟兵、鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)は集まった猟兵達を盛り上げるように気合十分に呼びかける。
「それでオブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』がいるのは金沢大学のアカンサスインターフェイスって陸橋の上だね。周囲は綺麗な水晶の宮殿みたいな状態になってるけど……リリスの力の特にヤバい奴みたいないんよくのかぜって力で酷い事になってるからあんまり見ない方がいいと思う。死んだりはしないけどね」
 それはさておいて敵の能力なんだけど、と小春は話を切り替える。
「今、聖杯剣揺籠の君はいんよくのかぜの放出を止めて、装備している三つの聖杯武器の力に変換してるんだ。あらゆる物質を引き寄せる黄金の篭手『神の左手』、射程距離無限かつ命中した対象のユーベルコードを全て奪う『聖杯剣』……この二つは昔巡礼士総帥ランドルフさんも持ってたから見た目だけは知ってる人もいるかも。そしてもう一つが突き刺した対象に宇宙の終焉まで癒える事のない毒を注ぐ『リリスの槍』だね。いずれの効果も先制攻撃でのユーベルコードに追加する形で使ってきて、どれも滅茶苦茶強い。肝心のユーベルコードは神の左手で殴りつけつつその軌跡上にいんよくのたつまきを発生させて引き寄せるものと、聖杯武器を組み合わせた連撃、更に眼差しを向けた部位に思念を流し込んで操ったり爆発させたりする力になるよ」
 どれも厄介だから上手く対処法を考えて挑むのがいいよ、と小春は説明を終えて懐中時計のグリモアを取り出す。
「ここで倒せなかったらいんよくのかぜは世界中を覆って全ての生命が聖杯剣揺籠の君に吸収されて、無限に強化されてしまう。そうなったら倒しようもないだろうから、ここでどうにか倒し切ってほしい」
 それじゃ、頑張って倒しに行こうと明るく締め括り、グリモアから溢れ出した輝きが猟兵達を包み込む。
 ――転移したのは水晶の宮殿の如き景色、眼前にはオブリビオン・フォーミュラ座する巨大な陸橋。
 この第二次聖杯戦争にピリオドを打つ為に猟兵達は行動を開始した。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 やっぱり聖杯は規格外。

 このシナリオはシルバーレインの『金沢大学』にかかる陸橋『アカンサスインターフェイス』で『聖杯剣揺籠の君』と戦うシナリオとなります。
 聖杯剣揺籠の君から普段発せられている『いんよくのかぜ』は『聖杯』に停止させられ、その力全てを『聖杯武器』の戦闘力に変換されているのでいんよくのかぜへの対処は不要です。
 あらゆる物質を引き寄せる黄金の篭手『神の左手』、突き刺した対象に宇宙の終焉まで癒える事のない毒を注ぐ『リリスの槍』、そして射程距離無限かつ命中した対象のユーベルコードを全て奪う『聖杯剣』の三つの聖杯武器の効果は、ユーベルコードの効果に追加されるため対策が必要となります。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……聖杯武器の追加能力に対処する/揺籠の君の先制ユーベルコードに対処する。
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 それではご武運を。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『聖杯剣揺籠の君』

POW   :    うずまくいんよく
【神の左手】による近接攻撃の軌跡上に【いんよくのたつまき】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。
SPD   :    せいはいうぇぽんず
【あらゆる物質を引き寄せる「神の左手」】【癒える事なき毒を注ぐ「リリスの槍」】【対象のユーベルコード全てを奪う「聖杯剣」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    みだらなひとみ
【揺籠の君の淫靡な眼差し】が命中した部位に【淫欲に満ちた思念】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七那原・望
まぁ、いんよくのかぜが停止しても耳はともかく目は別に……でも多分どのみちわたしは見ないほうが良い光景なのですよね?

第六感と心眼と気配感知で敵の行動を見切ります。
引き寄せられる事は構わない。問題は残り2つ。
まずは自身に多重詠唱の不透明な結界術を。そして早業で敵の足元からオラトリオを不意打ちで放ち、全身を拘束しつつ、オラトリオに仕込んでおいた闇属性の結界を纏わせた布で目隠しさせ、淫靡な眼差しを塞ぎます。

目隠しは操ったところで結界とオラトリオで抑えてるから関係ない。
爆破するなら両目が吹き飛ぶ。
両手も封じて完封です。

追加のオラトリオでリリスの槍と聖杯剣を取り上げたら、それらを使ってセカイへの報復を。



●赤きアネモネの少女の影は縛り付けて
 精神を侵すおぞましき風が止んだ壮麗な水晶宮殿の中心、陸橋に静かに立つ聖杯剣揺籠の君。
『きましたか』
 巨大な剣と槍を手にした彼女は、やってきたオラトリオの猟兵へと振り返った。
 七那原・望(封印されし果実・f04836)という彼女はいつものように目隠しをしていて、それ以外の五感で周囲を認識している。当然この水晶宮殿で繰り広げられた結果たる光景を見ることもなかった。
(「まぁ、いんよくのかぜが停止しても耳はともかく目は別に……」)
 ともあれ、年齢としてはまだ少女である望にあの光景はあまりに悍ましすぎるだろうから、見ない方が良いのは間違いない。
『それでは、はじめましょうか』
 揺籠の君はいきなりその黄金に輝く神の左手を広げ、望を掴まんと襲い掛かってくる。
 捕まえてから接近戦用の大剣や槍でシンプルに攻めてくるのだろう、望は研ぎ澄まされた第六感でその攻撃を見切り、把握した軌道を回避する為に大きく横へと跳ねる。
 だが、神の左手のあらゆる物質を引き寄せる引力が、跳ねた望を揺籠の君の間合いへと再び引き戻そうとしてきて。
(「引き寄せられても構わないですが……」)
 それ自体は想定済みだが問題は残りの二つ、突進を躱された揺籠の君が視線に魔力を宿し此方を振り返らんとしている。
 その淫靡な視線をまともに受けてしまえば望といえど抵抗の間もなく操られてしまうだろう――そう直感した望は、自身の身体を覆うように赤い不透明な結界を展開。
 そして同時、『影園・オラトリオ』という名の影を操る。エクルベージュ色の影は実体を持って聖杯剣揺籠の君の足元から胴体、首や両腕へと恐るべき速度で絡みつき、更に仕込んでいた闇の結界を纏わせた布で淫靡な視線を向けてくる目を覆った。
『めかくしですか。たまにはいいですよね』
 何やら言っているが関係ない。自身を覆う結界と揺籠の君の眼を覆う闇の布、仮に目隠しを操ろうとしても、実体ある影が抑え込んでいて簡単には外されることはないだろう。
 二重に視線を塞いだ望が引き寄せられる力に逆らわず一気に仕掛ける。
 追加で影を操り揺籠の君が両手に持っていた得物を引き剥がすと同時、ユーベルコード【セカイへの報復】を起動する。
「これがお前の造りあげた世界の在り方。お前というセカイの支配域。今度はお前を甚振る残酷なせかい。まだ嗤える物なら、嗤ってみなさい!」
 影で取り上げた聖杯剣を単なる大剣として振るう。放たれた光の斬撃が聖杯剣揺籠の君を切り裂いた。
 数瞬の静止、体感時間を引き延ばされているその間に周囲を疑似世界で囲み無数の神罰の雷が降り注ぐ。
 他人に強いてきた理不尽を体感させられつつ幾度も雷に焼かれるオブリビオン・フォーミュラ。けれど疑似世界の範囲から脱出した彼女の雰囲気は何故か恍惚としていて。
『いっしゅんのような、えいえんのような……しげきてきな。これも、りょうへいのちからなのですね』
 ――応報、断罪の苦痛を受けながらも揺籠の君は神の左手を望に向け、聖杯剣とリリスの槍を影の高速を振り払う程の抗い難い力で引き寄せる。
 聖杯剣が空中でくるりと回転、揺籠の君を縛る影を切り裂いて闇の目隠しははらりと落ち。
 その下の表情は微笑んだまま、余裕は失われていない。が、ダメージは確かに刻まれている筈。
 底知れない聖杯剣揺籠の君に対し、エクルベージュの影を操り槍の追撃を躱しながら、望は一旦距離を取り次の機会を伺うことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィッダ・ヨクセム
俺様は猟兵だが元々|詠唱兵器《バス停》のヤドリガミだ
回転動力炉なんて、普段何の役にも立たないんで外してるが
まァ、今日はむしろ魔力を高める補助代わりに在る方がいいかな

歪んだバス停でする攻撃には必ず炎の追加魔法を纏わせよう
俺様は、自分を繰る火狐だ
燃やすや穿つに、バス停自分を使うのに躊躇いはねえ

瞳には対処、出来ねえかも
そういう感情は……認知したことがない
堕ちる気持ちにもなるかもしれん
手とかを操作されるなら、流血するまで噛みついてでも抵抗して止めるが
壊したいと汚濁した気分で思うかも

俺様は武器として若い
人化して数年
俺の心は人としてなら見た目より幼い
そーいう欲は、武器心が勝つ

なあ、お前をぶッ壊してやろうか



●バス停宿りの焔
『きぶんがあがってきました。つぎは、あなたですね』
 目隠しを外した聖杯剣揺籠の君が迎えしは紫髪のヤドリガミの青年、フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)。
 彼の本体はこの世界の詠唱兵器であるバス停だ。この揺り籠の君との戦いでは普段は取り外している詠唱動力炉をその本体に再度装着している。
 普段役には立たないそれをこの場で装着したのは願掛けのようなもの、けれど実際魔力が高まっているから不思議なもので。
 回転を始める動力炉、高まっていく魔力が炎となってフィッダの腕や本体であるバス停に纏わりついていく。
 歪んだバス停は炎の力を繰るファイアフォックスたる彼自身、だからそれに躊躇いはない。
『あつあつですね。はげしくなりそうです』
 本気なのか戯言か分からぬ抑揚の声で言った揺籠の君の淫靡な視線がフィッダの炎に覆われた腕をじっと見つめ射抜く。投げかけられた視線はリリスの魔力の乗った、射抜いたものを生物日生物問わずに操り人形へと変えてしまう魔性。
 しかし、湧き上がってくる感情が何なのか、フィッダにとっては分からない。
 青年の姿の彼がいまだそれを感知したことがないのはこの体を得てたった数年だから。世間にも知識にも疎く、あまり人の世の経験を重ねていないのだから。
 初めて感じた生物として原初の欲の一つは酷くむず痒い――なんとも形容し難い感情をフィッダに与え、未知であるからこそ、フィッダが一瞬でにそれに支配されきることはなかった。
 だが、彼の思考は底なしの沼に捕らわれたかのように堕ちて、沈み、混濁する。
 抗いがたい視線の魔力に駆り立てられたように溢れてくるのはもっと別の、破壊衝動。それに導かれるままに彼の手は自身の首にかけられて――咄嗟に、腕に噛みつく。
 牙が皮膚を破り、血の味がヤドリガミの口内に広がって、そして乱された意識がはっきりとしてくる。
 武器として若く、人となって数年の彼は、武器としての欲へと意識を集中。このまま噛んだ腕を食いちぎり砕いてしまいたいという自己破壊の衝動を押し殺す。
 その矛先を向けるべきは聖杯剣揺籠の君――フィッダはユーベルコード【赫地爪撃】を起動させる。
「なあ、お前をぶッ壊してやろうか」
 血に塗れた口から発された言葉とともに、歪んだバス停を取り巻く炎が獣を形作る。肉食獣の牙と爪、速度を生み出す足が橋を蹴ってオブリビオン・フォーミュラへと襲いかかる。
 単なる炎だけで作り出したその炎は淫靡な視線を擦り抜けて柔肌へと食らいつき、同時に食い千切られた錯覚を与えて解けて。
『あらあらしいのもいいですね』
 その錯覚にもまるで揺るがぬ聖杯剣揺籠の君、その瞳は変わらず淫蕩に満ちていて、フィッダへと聖杯剣を薙ぐ。
「無敵か!?」
 聖杯剣の一閃を躱しながら吐き捨てるように叫ぶフィッダ。
 確かにダメージは刻み込まれている。だが、痛みを感じていないのではなく、それを快楽と捉えているとしか思えないオブリビオン・フォーミュラは、先程と同じ滑らかな動きで毒槍をフィッダに向けて突き出してくる。
 それを焔纏いしバス停で地面を叩き大きく跳ねて躱し、離れた位置に着地。そのままフィッダは一旦聖杯剣揺籠の君から距離を取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリク・フォーサイト
揺籠の君
以前、相対したとき、僕はお前への怒り、復讐で戦った
だけど、後で気が付いた
巡礼士の力は人々を守るためのもの
「だから、改めて僕は守りし者として、お前を倒す!」

オブリビオン・フォーミュラである揺籠の君を倒せば、オブリビオンの力を大きくそげる
であれば、命を賭してでも戦うまでです

「心眼」「功夫」による「武器受け」「盾受け」で直接触れないように攻撃をしのぐ

いんよくのたつまきの引き寄せの勢いを利用して「ランスチャージ」
「勇気」を以て立ち向かいます

逆に動きが取れないほどに引き寄せの勢いが強い場合、「斬撃波」で牽制

隙を作って先制攻撃を凌いだら、UCを発動
「破魔」の「ランスチャージ」で「怪力」を込めて揺籠の君を攻撃します

「聖杯は我ら巡礼士のもの。返してもらうぞ!」
ランドルフ総帥は学園の方の方と行き違いもあったと言いますが
その身を削って、聖杯を手に戦ったと聞きます
そんな聖杯を揺籠の君に使わせるなど、放置はできません

「人々を守る、それが僕の使命。我は銀嶺の騎士、マリク・フォーサイト!」



●道半ば
 本来扱い得ぬ聖杯武器達を自在に操り、聖杯剣揺籠の君は猟兵達の猛攻を凌いでいた。
 その光景を前に、イグニッションカードにより全身鎧を纏い武装を完了した巡礼士の少年は静かに息を吐く。
 この世界に生まれた巡礼士であるマリク・フォーサイト(銀嶺の少年騎士・f37435)の精神は、聖杯剣を携えしオブリビオン・フォーミュラを前にした今も静かに凪いでいる。
『もっとあらあらしくあそんでもいいんですよ』
 昨年の晩夏に倉敷で相対した時のような微笑み、けれどその時より遥かに恐ろしい力を聖杯剣揺籠の君から感じる。
 屈して欲望のままに従え――蟻地獄のような魔性が囁きかけるが、それに靡くような精神を少年騎士は持ち合わせていない。
「――以前、相対したとき、僕はお前への怒り、復讐で戦った」
 それは単なる事実。聖杯を以て人類を護る事を宿命とする巡礼士にとって、世界を破壊するために聖杯を使われる事に憤らない筈はないのだから。
 しかし、後で気が付いた。
(「巡礼士の力は人々を守るためのもの」)
 何のために巡礼士の力はあるのか、それをあの戦いの時に見失ってしまっていたのではないか。
 そんな戦い方で偉大なる巡礼士の先達に胸を張って勝利したと言えるのか――だから、今回の戦いでは二の足は踏まない。
「だから、改めて僕は守りし者として、お前を倒す!」
 オブリビオン・フォーミュラである揺籠の君を倒せば、この世界のオブリビオンの力を大きく削げるのは間違いない。それならば命を賭してでも戦い、そして勝利すると。
『そのあついまなざし、おいしそうです。たっぷり、じょうねつてきにたのしみましょう』
 強い決意を宿した巡礼士を微笑むオブリビオンも、彼を次の標的と定めて聖杯武器――かつて巡礼士総帥ランドルフが神秘根絶の為にその身を削って変化させ、或いは鍛造したそれらを構える。
 銀誓館学園と意見の相違、行き違いでランドルフが道を分かち戦った時も絶大な力を発揮したと聞くそれらは、如何なる理由か揺籠の君が扱う今も負けず劣らぬ力を発揮しているようだ。
 だが、
「聖杯は我ら巡礼士のもの。返してもらうぞ!」
 巡礼士総帥が命を賭して叶えんとした人類守護の願いを汚辱に塗れさせるような行為を、マリクは決して認められない。
『さあ、いきましょう』
 聖杯剣揺籠の君が黄金の籠手を装着した左腕を軽く振るえば強烈な吸引力が発生する。
 地に足を踏みしめ反撃にかからんとするが、鍛えた肉体と練り込んだ功夫を持ってしても勢いが強烈過ぎて姿勢が定まらず、前に踏み出そうとしたらその瞬間体を持っていかれてしまうだろう。
 その引力を維持したまま揺籠の君が躍りかかってきた。咄嗟にマリクは腰に帯びた長剣を抜いて斬撃波を返す。
 聖杯剣揺籠の君の胴を狙ったそれは有効打になるような威力もない牽制であり、荒々しき竜巻に飲み込まれ消失してしまったが、ほんの一瞬揺籠の君の足が鈍り、吸引力が弱まる。
 その好機を見逃さずマリクは理性の名を冠する聖槍を構え、竜巻の発生源へと疾風の如き勢いで突進を開始。
 停止は考えない、地に足をめり込ませながら引き寄せの勢いを加速に利用し向かってくるマリクにオブリビオン・フォーミュラは僅かに目を見開くが、即座に毒槍を突き出してくる。
 触れれば消えぬ永遠の猛毒を流し込んでくるリリスの槍を前に、マリクは目を逸らさず更に前へ踏み出す。恐怖を勇気に塗りつぶし、討つべき敵の隙を心眼で見切り腕に装着した白銀の盾で槍に直に触れぬよう腕を弾いて――そこは、突撃槍の間合い。
「英霊よ、照覧あれ! これが悪を討ち滅ぼす力です!」
 詠唱、理性の名を冠する聖槍に魔を祓う聖なる輝きが収束。裂帛の気合と共に、必殺の一撃を繰り出した。
 非物質化した突撃槍の穂先は防ごうとした神の左手にも干渉されず、少年の剛力を以て揺籠の君の魂のみを貫いて。
『ふしぎです。からだはいたくないのに』
 致命傷には至らなかったようだが、魂を傷つけた手応えを感じながら駆け抜けたマリクへ聖杯剣揺籠の君は振り返り呟いた。
 振り返る彼女と同時、少年巡礼士も振り返り再び槍を構え直し突撃体勢を取る。
「人々を守る、それが僕の使命。我は銀嶺の騎士、マリク・フォーサイト!」
 そう高らかに少年巡礼士は宣言する。
 ――巡礼は長く、目的地は遠い。その道半ばではあるけれども、彼の理性の槍の穂先には紛れもなく、聖杯にも劣らぬ人類の守護者たる輝きが宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】
ユニさん、フカヒレさん、ゆりゆりさんを成敗してしまいましょう!

神の左手は魔法障壁(オーラ防御×結界術)で影響を遮断。
リリスの槍&聖杯剣はゆりゆりの動きを見切り、『クロノスの大鎌』で弾き逸らしたり躱したり。(第六感×瞬間思考力×見切り)
先制UC:『アルテミシアの翼』から質量を持った魔力弾による弾幕を張り、視線にぶつけることで自身まで視線が届くことを防ぐ。
しかる後に『氷獄の魔帝』を発動。
真の姿に変じ、無限の魔力で無限に戦闘力をマシマシ。
無限の魔力を圧縮しまくって超々高威力魔力弾を作成してゆりゆりさんにプレゼントいたしましょう。

なかなか気宇壮大な志をお持ちの様ですが……ここまでですわ!


フカヒレ・フォルネウス
【魔王国】
フッ。彼女を討てばシルバーレインの戦争も終結ですね。
参りましょう、アルテミシア様、ユニさん!

三種を組み合わせた連続攻撃、厄介ですねぇ。
バブルワンドから多属性の泡を放って煙幕代わりにしつつ。
引き寄せや、槍や剣の盾にする鮫を順次呼び出して壁にすることで対処しましょう。
アイテム欄にある鮫たちを逐次僕の前にシュート!
(手下を身代わりにするワル)

これで反撃までの時間は稼げましたね。
淫欲の領域、でしたか?
残念でしたね、この場はすでに僕の領域。
UCで周辺地域一帯を操作することでえっちの意味を書き換えておいたのです!
えっちな環境に適応した|ヘル《Hell》シャークよ、リリスの女王へ下剋上の時です!


ユニ・バンディッド
【魔王国】アドリブ歓迎
自慢の視力で動きを盗み、リリスの槍や聖杯剣を先読み回避。あらゆるものを引き寄せる神の左手には、武器改造の錬金術で生み出した、硫化アリル(玉葱の涙の素)マシマシの悪魔的超催涙ジュエルドロップを叩き込むよ。
フカヒレさんの煙幕や鎖鮫に、超催涙ジュエルドロップによる「涙でよく見えない」状況を作り出して、ゆりゆりの連撃や眼差しを妨害。
隙をみて範囲攻撃でもするかの様に魔法陣を高速展開し【ショータイム!】飛び出せ、デザイン泥棒の贋作建造物、魔王城。
そして魔王様の真の姿開放やフカヒレさんの領域展開に、ユーベルコードによる贋作生成で羽根吹雪など演出協力!実体と幻を入れ替えつつ支援するよ。



●氷獄の熾天使は鮫と贋作と共に
 巡礼士の少年に続くは異世界のデビル達。
「ユニさん、フカヒレさん、ゆりゆりさんを成敗してしまいましょう!」
 共に戦う二人の悪魔を従え高らかに宣言する魔王国の女帝たる堕天使、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)。真紅の軍服を纏い黄金に輝く三対六枚の光の翼を広げた姿はデビルに留まらぬ荘厳さだ。
「フッ。彼女を討てばシルバーレインの戦争も終結ですね」
 鍔広の海賊帽を被り直しながら鮫の悪魔であるフカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)は女帝の宣言に応え、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)も手の中で飴玉を転がしながら構える。
「参りましょう、アルテミシア様、ユニさん!」
『にんげんとはすこしちがったあじがしそうですね。おいしそうです』
 フカヒレの言葉に瞳を欲に潤ませながら揺籠の君が口を開き、黄金の籠手を装着した腕を薙いだ。
 神の左手への強烈な吸引力、それをアガメムノンが魔法障壁を展開して力を遮断する。
 吸引しながら聖杯剣を構え突っ込んでくる聖杯剣揺籠の君に対し、クロノスの大鎌を構えた女帝が迎撃、刀身に直に触れぬよう大鎌のリーチを利用し真下から跳ね上げ軌道を逸らす。
 オブリビオン・フォーミュラたる聖杯剣揺籠の力量は相当のものであるが、感覚を研ぎ澄ませ見切りに集中したアルテミシアであるならば一撃を凌ぐことは十分可能。
 そして同時、黄金の翼をばさりと広げ質量を持った羽の形の魔力弾を連続で発射する。
『じゃま、ですね』
 執拗に顔――目を狙うアルテミシアの魔力弾の弾幕に、うっとおし気に揺籠の君は左腕の籠手を翳しガードする。
 まるで鳥の羽がリリスの女王の顔を隠すようにして舞い、砕けて只の魔力へと還っていく。
 それこそがアルテミシアの狙い、魔性の視線を通さぬための牽制は上手く機能して、女帝は操りの魔力から逃れる事に成功。
 そのタイミングで聖杯剣揺籠の君に多種多様な色の泡の波濤が襲い掛かる。
 フカヒレの魔法の短杖から放たれたそれは泡の一つ一つが多属性、揺籠の君の視界を覆い尽くす勢いで、唯一視認できたユニへとオブリビオンは即座に標的を切り替え地を強く蹴る。
 神の左手で掌握せんとする聖杯剣揺籠の君の軌道を見切り大きく跳ねて回避する。神の左手への引力が働くのと同時に置き去りにした宝石のような飴玉が吸い込まれて黄金の籠手に触れると同時に弾けた。
 それはユニが錬金術で生み出した特製の悪魔的超催涙ジュエルドロップ、玉ねぎの涙の素をオブリビオンにすら通用する濃度・強度に改造したそれに聖杯剣揺籠の君の瞳にじわりと涙が浮かび視界が滲む。
『これはすこし、めにしみます』
 揮発し周囲に拡散する硫化アリルという催涙成分を、神の左手の力を強め引き寄せ目に届かせないようにしながら流れるようにリリスの槍で突いてくる。
 が、ユニはそれを優れた視力で動きを盗む――先読み予測していたユニは盗賊の軽やかさで刺突を避けて槍を足場に大きく跳ねる。
 更に聖杯剣の薙ぎ払いで連携させてくるが、間に大きな影が割り込んできて致命の一閃を代わりに受けて消滅していく。
『これは……サメ、ですか』
 攻撃を止めずユニへとリリスの槍で追撃を仕掛けながら揺籠の君は呟く。
 聖杯剣が切り裂いたのは鎖の体を持つ、フカヒレの眷属である長い体のサメであった。
 聞くところによれば、かつて聖杯剣は転移門ルルモードという異形の本体を一閃してその力を奪ったという。
 それとユーベルコードの吸収が同様であるならば、直に斬られなければ簒奪は防げる可能性が高いとも考えられる。
 要するに。
「さあ、行ってください!」
 彼の手下である鮫の一体、四脚の生えた草食の黄駆鮫が狙いをフカヒレへと変えてきた揺籠の君の前に見た目に寄らぬ機敏さで壁として立ちはだかった。
 黄駆鮫が切り裂かれ貫かれる間にフカヒレ自身は距離を取り追撃を回避する。眷属のサメによる身代わり戦法、身も蓋もない実にワルな戦法である。
『ばりえーしょん、ゆたかですね』
 酒の濃霧をブレスとして吐き出すサメを霧ごと切り裂き影から飛び出してきた黒き鮫に刺突を阻まれ、眠たげなサメが黄金の籠手に引き寄せられて明後日の方向に放り出された。
 その神の左手の引き寄せに乗じ、ユニが生成していた催涙ジュエルドロップを次々に投擲してきて視界を封じてくる。
 人間大サイズのものは認識できても滲んだ視界では咄嗟の判断が甘くなり、その精度であるならば熟練の猟兵であるデビル達ならば回避は十分に可能。
 さらには操りの感情を流し込む視線も視界を封じられ滲ませられてしまう事で、羽の魔力弾を放ち続けるアガメムノンに対し上手く通せなくなっている。
 その優れた力量で延々と続く揺籠の君の連続攻撃を上手く凌ぎきる悪魔たち。しかし、サメの数には限りがあって。
 この場に連れてきた眷属の最後のサメが聖杯剣に切り裂かれ、フカヒレも後がなくなってしまう。
『ずいぶんとねばりましたね。がんばりやさんです』
 奮闘を湛えるような言葉ではあるが、揺籠の君の眼には見逃すという選択肢はないようだ。
 だが、フカヒレは全く絶望した様子もなく、
「これで反撃までの時間は稼げましたね」
 がワルらしくにやりと笑んだ。
 時間稼ぎ、その通りだ。揺籠の君の手数すべてを出し尽くさせるための時間、それを稼ぐ為に力を振るった彼。
 彼の言葉と共にユニが高速で大量に魔法陣を展開、
「――大怪盗も真っ青、騙りの摩天楼。稀代の贋作師。偽物は真物に。真物は偽物に。偽りの王冠を腕輪に」
 広範囲に影響を与えるかのような贋作の怪盗のショータイムが開始され、陸橋に贋作の魔王城が出現する。
 デザイン泥棒の贋作建造物を出現させるという盗賊魔術の演出、目にも止まらぬ速度で塗り替えられていく景色。
「始めよう、騙り語れ」
「さあ、審判の時です」
 贋作の悪魔の宣言と同時に女帝が宣告、ユーベルコード【|氷獄の魔帝《サタン》】の詠唱であるそれと同時にアルテミシアが|六対十二枚の漆黒の翼《・・・・・・・・・・》を開き、熾天使の神々しい姿を現した。
 真の姿を曝け出したアルテミシアの魔力は限りのない無限、それを限界まで圧縮して一つの魔力弾を生成していく。
 その一撃逃れようとする聖杯剣揺籠の君、だがこの陸橋の周辺一帯の気配が魔王城のものとはまた別の剣呑な変化が生じている事に気付く。
「残念でしたね、この場はすでに僕の領域」
 いんよくのかぜが停止しているだけではない、もっと根本的に異なる――、
『……さめ、ですか?』
 首を傾げる聖杯剣揺籠の君が魔王城の壁の影から現れた姿を視認する。
 フカヒレのユーベルコードにより周辺地域一帯に生やされたそれは、全環境対応型、この淫欲の領域――今は魔王城だが、それにも適応した万能サメ。
 魔王城の展開と合わせ周辺一帯を掌握したフカヒレはこの陸橋含む周囲をえっちの意味を書き換えていて。
「この場はすでに僕の領域。鮫に食われよ!」
 フカヒレの号令と共に、周囲から飛び出した|ヘル《Hell》シャークが襲い掛かる。
 同時、ユニの盗賊魔術により生成された贋作の羽根吹雪が音を遥かに越える速度で聖杯剣揺籠の君に殺到。ユニの盗賊魔術により生み出された精巧な贋作に、冷静に揺籠の君は刃で切り裂かんとする。
 しかしその迎撃行動を見切ったユニはその贋作を幻に変えて、剣は空を切ってしまう。
 その羽に紛れる形でリリスの女王への下剋上を果たさんとするサメはリリスの槍の刺突もものともせず喰らい付き、その柔肌を食い千切った。
 一瞬怯む揺籠の君、それを睥睨するは無限の魔力を持つ女帝。
「なかなか気宇壮大な志をお持ちの様ですが……ここまでですわ!」
 無限故に損なわれる事のない魔力は魔力弾を生成した後でも変わらずアルテミシアの総身に満ち満ちていて、それを以て揺籠の君へと極大の魔力弾を放つ。
 聖杯剣を盾に防ぐ――だがその余波全てを殺し切る事はできない。
 轟音と共に盛大に炸裂した魔力弾が贋作の魔王城ごと周囲一帯を包み込んだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小雉子・吉備
【農園】
事情は色々あったんだろうけど

やっている事
生命の営みと尊厳を
愚弄してるのと同じだよ

貴女の様なのは
遠慮なく叩き斬れる!

[POW:先制UC&聖杯武器対策込み]
開幕〈九頭雉鶏精メダル〉使った真の姿にオーバーロード

【空中戦&空中浮遊&推力移動】で空駆け

神の左手先制UCに対し【高速詠唱&属性攻撃(氷雪)】込め周囲の時間延滞効果の〈スロウフールハウル〉の合成【砲撃&弾幕&範囲攻撃】を【念動力】でキビの周囲に幾つか展開踏ん張り

残りは引き寄せする
ゆりゆりちゃんに垂れ流し
その格好でコレ寒いよね
強引に神の左手中断を

リリスの槍と聖杯剣は同タイミングで
展開の【オーラ防御&結界術&全力魔法】魔法障壁で【第六感&瞬間思考力】で【見切り】【盾受け&武器受け&ジャストガード&受け流し】

皆と【集団戦術&団体行動】連携
アイシャちゃんのUCも共感

〈ひいろ&なまり〉ちゃんに【動物使い】撹乱指示

テラちゃん合点だよ!と連携
【早業&怪力&2回攻撃】UC
ゆりゆりちゃん
喰うなら命よりこっち

ライムちゃん自爆余波は
【オーラ防御】で対応


テラ・ウィンディア
【農園】

…あいつも何か願いや…目的があったんだろな…
でも…それで何もかも捨てるのはきっと間違ってるぞ…!

アイシャは支援ありがとう!
その力…存分に生かすぞ!

対先制聖杯
【弾幕・属性攻撃・重量攻撃】
なんでも引き寄せるなら…!
ガンドライド
ドリルビット
展開!
重力弾と石の弾丸の弾幕展開して神の左手に向けて叩き込んで攻撃妨害!

【見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け・オーラ防御】
飛び回りながら残像を残して攻撃を全力回避
序でにオーラでライムの自爆余波ガード

UC準備開始
…元々こいつは時間がかかる技だ
だから…必ず発動させるぞ

【二回攻撃・切断】
飛び回りながらも武器を狙っての刀と剣による連続斬撃から更に槍で串刺しにするぞ

あんたがとても…とても強いというのは判ってるぞ!
だから…おれも全力を尽くす
今のおれ最強最大の技を叩き込む!

【二回攻撃・切断・貫通攻撃】
吉備!息を合わせるぞ!

吉備と連携して剣と太刀での連続斬撃を叩き込む!
常にゆりゆりの攻撃の初手をくじくぞ!

UC準備完了
星々の終焉…その破壊の力…!
とくと味わえー!!


アイシャ・ソルラフィス
【農園】

ここまで無邪気に邪悪で傍迷惑だなんて……

『神の左手』は|<全力魔法+盾受け>《魔法障壁》で踏ん張って耐えて、
『リリスの槍』は魔法障壁+<受け流し>で切っ先を逸らして、
『聖杯剣』は斬られる瞬間に|<見切り+瞬間思考力+高速詠唱>《即時展開》した魔法障壁+<ジャストガード>で弾き、
『みだらなひとみ』は<勇気>で耐えてる間に、風と土の<属性攻撃>を<なぎ払い>する事で砂塵を起こして<目潰し>を狙います

ライムさん特攻爆弾の余波も魔法障壁でガード

その後はボクのUCでみんなを強化して、後方から持てる技能をフル活用で、味方みんなの攻撃が命中するよう|<全力魔法+属性魔法>《精霊魔法》による援護射撃
特にテラちゃんのUCは絶対成功させる為にも<時間稼ぎ><捕縛>等で念入りに

本来もちもちで粘りのある柔らかいきびだんごの生地で、どうしてあれだけの斬れ味が?!
すごい……これがキビさんの執念……!!

こんなこと言いたくないけど、あなたはもうここにいていい存在じゃないの! 揺籠の君!
ここで終わらせる!


蛇塚・レモン
【農園】
技能適宜活用

間に合った、かなっ?
それじゃ、わくわく武闘派ファーム、出撃だよっ!

武器を振るうにしてもユーベルコードを狙うにしても
五感に頼らざるを得ないよねっ?
ってことで、出番だよライムっ!

即時白い勾玉から式神化させたライムの魂魄を
オーラガン(指鉄砲)に宿らせて発射!
みんな、防御をっ!

ライムは敵の目の前で閃光と1億℃の超高熱の炎で大爆発!
敵の目と耳を潰して、カウンターで聖杯武器ごと吹っ飛ばす!
あたいも黄金霊波動でオーラ結界を張って自己防御!

これが蛇塚姉妹十八番の魂魄式スタングレネードだよっ!
これであたい達がどこにいるか分からないはずっ!
淫靡な眼差しも向けられないねっ!

でもそう長くは持たないはず
だったら、この隙に完全封殺しちゃうよっ!

実戦で使うのは初めてだけど……クサナギ変形っ!
蛇腹剣を巨大な狙撃銃に変形させて念動力で空へ飛翔っ!

そちらが色欲の大罪なら……こっちは暴食の大罪で対抗だーっ!
世界をえっちになんてさせないよっ!

これが、あたいの全技能と霊力を籠めた、全身全霊の最大火力っ!(UC


蛇塚・ライム
<ライム>
【農園】

まず|私《わたくし》は姉さんの霊力で式神(霊体)化
弾丸として敵に向かって発射されるわ
いつもの事なので慣れっこですの

当然、敵は私たちを引き寄せてくるわよね
でもそれを逆手に取るわ

聖杯武器を相棒カマドGの拳で弾いて
姉さんの魔術技能と私の爆炎紅蓮色の覇気とヒヒイロカネの勾玉で
敵へ向かって閃光と1億℃の業火を爆裂させるわよ!

ほら武器で防がないと蒸発しますわよ?
でも聖杯武器ごと超高熱で瞬間膨張した大気で吹っ飛ばしますけどね?
ついでにカウンターで聖杯武器と敵の左腕の粉砕・焼却を狙いますの
私も多少は反動を喰らうでしょうけど……

姉さんや仲間のおかげで敵を封殺している間に
私はカマドGに搭乗しアタッカーとして揺籠の君を潰しますわ

この戦場にて受けた全ての猟兵の負傷及び自身の大負傷や窮地が
私のユーベルコードのパワーとなって威力を高めてくれますの
さっき自爆特攻したのも、この時の為ですわ!

テラさん、吉備さん、アイシャさん、参りましょう!
仲間の連携からカマドGの最大火力で超灼熱の爆炎をぶちかまします!



●束ね、乗り越える
 贋作の魔王城に塗り替えられた戦場をサメが暴れ回り、音速の贋作魔術が攪乱、そしてそれらを総括するかのような堕天使の渾身の魔力の直撃を受け、リリスの槍に縋るようにしながらも聖杯剣揺籠の君は立ち上がった。
 派手に破壊された戦場は贋作の魔王城と元の陸橋が混ざり合いどこからどこまでが真実か贋作かもわからない。
 それでも、聖杯剣揺籠の君はその存在が本物であると示すかのように立ち続けている。
 既に満身創痍、いつ消滅してもおかしくないが発せられるプレッシャーは今まで以上のものとなっている。
 そんなオブリビオン・フォーミュラのおわす陸橋上に、新たなる猟兵達がやってくる。
「間に合った、かなっ?」
 呼吸を整える金の髪の少女は蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)、彼女を筆頭に集った五人は【農園】の仲間たちだ。
『せんきゃくばんらいですね。たのしめそうです』
「ここまで無邪気に邪悪で傍迷惑だなんて……」
 ここまで傷つき尚も調子も微笑みも崩さぬ聖杯剣揺籠の君に、アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)というエルフの少女も愛用の杖を握る手に力が籠る。
 そして自分自身を捨ててまで願いを叶えようとするその強烈な意志に、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は思いを巡らせる。
「……あいつも何か願いや……目的があったんだろな……」
「事情は色々あったんだろうけど……」
 その行いは生命の営みと尊厳を愚弄してるのと同じだと、小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は揺籠の君の行いを否定する。
「でも……それで何もかも捨てるのはきっと間違ってるぞ……!」
 既に聖杯剣揺籠の君に成り果てた彼女はもう後戻りできない。それでもテラは言わずにはいられなかった。
「貴女の様なのは遠慮なく叩き斬れる!」
 吉備が士気高く宣言し九頭雉鶏精の描かれたあやかしメダルを媒介に召喚した雉鶏精型テクターを召喚、装着して雉鶏精としての雉の羽をばさりと羽ばたかせる。
「それじゃ、わくわく武闘派ファーム、出撃だよっ!」
 レモンの宣言と同時、吉備とテラが空へと跳躍し飛翔を開始、残る三人も散開し行動を開始する。
『さいごのじかん、たっぷりたのしみましょう』
 最初の獲物を空の二人に定めたか、揺籠の君は神の左手の力を発動させて振るい、猛烈な竜巻を発生させる。
 命を振り絞るかのような聖杯剣揺籠の君の力は負傷してなお凄まじく、強烈な引力が猟兵達――特に地に足をつけていない二人に桁違いに強く襲い掛かる。
 足を橋に減り込ませる位強く踏みしめアイシャは耐えていて、それ程の力でなくては抗えない事を示していた。
 それは空中戦を得意とする吉備の飛行能力でも徐々に引きずり込まれるほど、そしてもしも自由を奪われればあの竜巻に巻き込まれ全身をずたずたにされてしまうことだろう。
 即座に吉備は詠唱を高速で行い周囲に特殊な魔法弾幕を展開し、一部を念動力で空中に固定する。弾の周囲の時間が引き伸ばされたかのように遅くなり、つまりは吉備が神の左手に引き寄せられる速度も減速する。
「なんでも引き寄せるなら……!」
 更に虚空よりテラの愛機のヘカテイアが現れ、装着した浮遊砲台群と二体のドリル型ビットが展開、神の左手に向けて重力弾と石の弾幕を発射。
 念動力による固定を受けていない魔法弾と共に揺籠の君を狙う弾丸は引力によって弧を描くような軌道で黄金の籠手目掛け加速していく。
「その格好でコレ寒いよね」
 時間遅延以外にも凍結の力を重ねた魔法弾を放っていた吉備、直撃を厭うてか振るわれた神の左手により生じたいんよくのたつまきによって魔法弾は飲み込まれ消失する。
 他の弾丸も竜巻に絡め取られ明後日の方向へと放り出されるか消失してしまうが、その対処の為にテラと吉備に対して働いていた引力が僅かに弱まる。
 それを見逃さず二人は分かれ、飛翔。捉えきれぬと判断した揺籠の君は視線を地上へと落とし、そしてアイシャを視た。
 魔性の美貌を向けられた彼女に淫靡なる思念が注ぎ込まれていく――その思念に抗うように勇気を奮い立たせるが、それすらも濁流のような強制力の前に風前の灯だ。
 まだ体の自由があるうちに――赤瞳に燃える勇気を一層輝かせたアイシャが精霊魔法を行使すれば、舞い上がる砂塵の帯が聖杯剣揺籠の君に叩きつけられる。
 軽く振るわれた神の左手に砂は吸い寄せられてしまいその視界を奪うことはできなかった。
 だがその視線を一瞬遮ることに成功。そして同時、レモンが指鉄砲を構えて、
「出番だよライムっ!」
「ええ、全力でお願いしますわ姉さん!」
 レモンの白き勾玉から出現した魂魄が彼女の指先へと移り、蛇塚・ライム(その罪名は『憤怒』/IGNITE POP DiVA・f30196)の声が響く。
 淫靡な視線が即座にレモンの指に向けられる。しかし、それに絡め取られるよりも先にレモンは魂魄を式神化させたライムを発射、操られる感覚はあっても発射された今は既に関係ない。
 霊能力により形作られた式神の弾丸と言えど神の左手の引力の影響は受けるようで、揺籠の君の頭部を狙った弾丸はその左手へと吸い寄せられてしまう。
 しかしそれこそが二人の狙い。神の左手に命中する直前、揺籠の君の眼前で式神弾から勾玉がするりと抜け出るように現れて、
「みんな、防御をっ!」
 レモンの掛け声に合わせ総員防御態勢、直後勾玉を中心に紅蓮の爆炎が炸裂。
 聖杯剣を突き出しかけていたため咄嗟の防御は間に合った。されどこの超高熱とそれに伴う大気の膨張による衝撃は完全に無視はできない。
 目も耳も潰すような至近距離からの閃光と熱、大爆音が揺籠の君を吹き飛ばした。凄まじい爆発を直に受けても聖杯武器を手放さないのはある意味で一体化しているからなのだろうか、それを考察する間はないだろう。
 ちなみにこの戦法は蛇塚姉妹の得意技であり何度も実行しているから既に慣れっこである。
 当然のようにその余波を回避する術は仲間たちも用意しており、オーラや魔力障壁で各々爆発の余波を防いでいた。
「これが蛇塚姉妹十八番の魂魄式スタングレネードだよっ!」
 黄金霊波動による結界を纏うことで爆発の余波を防いだレモンが叫び、じゃらりと愛用の蛇腹剣『クサナギ』を抜く。
「実戦で使うのは初めてだけど……クサナギ変形っ!」
 レモンがそう呟きつつユーベルコードを起動すれば、蛇腹剣ががちゃがちゃと音を立てて形を変えていく。
 それと同時に念動力で身体を空へと飛翔させる。上空へ向かう彼女に対し聖杯剣揺籠の君は咄嗟に反応できない。五感の多くが先程の大爆発で上手く働かなくなって知覚できないからだ。
 魔性の視線も聖杯武器の数々も自動で攻撃するのではなく、あくまで使い手たる揺籠の君によりその力を発揮するものである。もっと言えば、揺籠の君自身は五感により周囲を認識し、それで把握した敵に向かい強大な力を行使している。
 当然その淫靡なる視線を向け操作することも叶わない。
 とはいえ、そう長くは持たないだろう。かつて銀誓館の能力者を敗北寸前までに追い込んだ存在が、そんな簡単に倒せると思えるような甘い考えは農園の猟兵達にはない。
 だから、一気に畳み掛けて完全封殺する。
 そして一瞬視線が途切れ爆風の過ぎ去った後に響くのはアイシャの応援の声。
「みんな! 怪我しないように、気をつけて!」
 爆風が過ぎ去り視界が拓けた陸橋上に、魔法障壁を展開したアイシャの応援の声が響く。
 願いの声を背の聖痕が受け取り引き起こされた奇跡、彼女のユーベルコード【|守護の祈り《プレアー・オブ・プロテクション》】が発動したことにより応援に応えんとした農園の面々の戦闘能力が底上げされる、
「アイシャは支援ありがとう! その力……存分に生かすぞ!」
「テラさん、吉備さん、アイシャさん、参りましょう!」
 爆発の余波で自身も吹き飛ばされたライムが合流し、その言葉に仲間たちが続く。
 空から襲い掛かるテラに対し、揺籠の君は視界を封じられ気配だけでリリスの槍を突き出し迎撃する。
 かかん、テラの目にも止まらぬ速度の連続剣が毒槍の刺突をずらし、そして空中で回転しながら持ち替えた紅龍槍『廣利王』で揺籠の君を狙う。
 迷い無き一撃はリリスの女王を貫くには十分な威力、それを察した揺籠の君は大きくバックステップで跳ねてテラの紅蓮の龍牙の槍を回避した。
(「強い!」)
 並の相手であれば決定打になっていたであろう攻撃を凌がれたテラは心中で驚嘆する。強力な相手だとは最初から理解している、そして、こんな相手だからこそ、
「だから…おれも全力を尽くす」
 今の自分の最強最大を――ライムの自爆の余波を防ぎながら既にテラはユーベルコードを発動していた。
 効果が発揮されるまで二分強、オブリビオン・フォーミュラを相手に稼ぐには途方もなく感じる時間。それでも倒すには必要だと彼女は直感していた。
(「だから……必ず発動させるぞ」)
「吉備! 息を合わせるぞ!」
「テラちゃん合点だよ!」
 テラよりさらに上からの返答と同時、吉備がユーベルコードを起動し一気に急降下する。
「起備団合の斬馬装、限定解除……北海道の文化が産んだ起備団合の駄菓子兵器の重くしなる一撃、受け止め味わってっ!」
 流麗な所作から放たれた反撃の一刺しを躱し、すれ違いざまに分厚い茶の刃がオブリビオン・フォーミュラに叩きつけられる。
 振り下ろし気味に放たれた一撃は聖杯剣揺り籠の君を切り裂き、その勢いのまま陸橋に深々と斬撃を刻み込んだ。
「本来もちもちで粘りのある柔らかいきびだんごの生地で、どうしてあれだけの斬れ味が?!」
 それこそ吉備の執念なのだろう、離れた位置にいたアイシャが思わず感嘆の言葉を口にする、
『なかなかのいちげきですね。ですが、まだたりません』
 傷を受けながらも揺籠の君は毒の槍を再び飛翔戦とする雉鶏精の背に突き出さんとするが、その毒の槍を落下の速度で降ってきた真紅の鋼神の腕が阻んだ。
 槍に宿る恐るべき癒えぬ毒も苦痛を感じぬ金属には通じない――、だが揺籠の君は軽く地面を跳ねると赤き剛腕の上に飛び乗って鋼神の肩へと一息に駆け上がり大きく跳躍、先に空中に逃れていたテラを両断すべく聖杯剣を振り上げた。
 その軌跡には竜巻も発生している――だが、テラはその一撃を変幻自在の軌道で飛翔し回避する。
 持ち前の全感覚を研ぎ澄ませ命中即ち必死の攻撃を回避し続けて、更には竜巻の合間を残像を残しながら飛び回る彼女は聖杯武器を持ってしても捕らえるには少々困難だろう。
「ひいろちゃん、なまりちゃん! 攪乱お願い!」
 カードを手にした吉備が命じれば、ちんまりとした青色の狛犬と赤き猿が虹色の光線や火炎で揺籠の君を狙う。
 式神達の攻撃を聖杯剣で斬り払う揺籠の君、更に命令を下した吉備に対して神速の刺突で反撃する。
 全力で展開した魔法障壁で刺突を一瞬阻み、その間に体を躱し槍の一撃から逃れる。
 ――強烈。吉備の優れた勘と思考力で最高のタイミングで防いでもそれが精一杯だった。

 一方の上空、変形を終えたクサナギの形は巨大な狙撃銃ともいうべき姿で、レモンは琥珀から深紅へと変じた左眼で撃つべきオブリビオン・フォーミュラを見据える。
 発動した蛇神の権能により位置と距離の把握は正確、その情報を以て狙いを定め調整していく。
「そちらが色欲の大罪なら……こっちは暴食の大罪で対抗だーっ!」
 空のレモンを他所に揺籠の君はライムに対し聖杯剣で斬りかかる。
 必殺のタイミングでの一閃――だが、横から飛び込んできたアイシャが即時展開した魔法障壁で刀身を逸らすように弾く。
「こんなこと言いたくないけど、あなたはもうここにいていい存在じゃないの! 揺籠の君!」
 聖杯剣の太刀筋に注意し見切り、それに応じた角度を瞬時に計算して最高のタイミングで合わせた彼女の防御により一瞬の隙が生じた。
「世界をえっちになんてさせないよっ! これが、あたいの……全身全霊の最大火力っ!」
 空から脅威を感じたのか、聖杯剣と神の左手を頭上に構え咄嗟に狙撃を防がんとする揺籠の君、しかし、
「ゆりゆりちゃん、喰うなら命よりこっち!」
 斜めに滑空するような角度で至近距離に飛び込んできた吉備の目にも止まらぬ二連撃が聖杯剣にぶち当たり、その衝撃で体勢が大きく崩れた。
 そのタイミングでレモンのユーベルコードによるその光線が放たれる。彼女の全力を賭して放たれた紙の左手を透過して揺籠の君本体を正確に貫く。
「狙った獲物は……必ず食い破るよっ!」
 神罰の光線は淫欲に溺れるリリスをの力と感覚を喰らい尽くすように封じ、更に蛇神の呪いが苛み苦痛を与える。
 それに抵抗するためか、動きが止まった揺籠の君目掛け、勾玉を媒介に出現した鋼神の拳が一直線に突き出される。
「最後に笑うのは、この私よ!」
 この戦場に存在する猟兵たちの負傷が大きければ――窮地であればある程に力を増すというユーベルコード【蛇炎神拳・肆式『卯月』】。それをカマドGの拳から放てば超灼熱の白き爆炎がリリスのオブリビオン・フォーミュラを蒸発させんと炸裂する。
 憤怒そのものを体現したかのような高温を前に揺籠の君は神の左手を薙いで発生させた竜巻をクッションに直撃を回避せんとするが、自爆特攻までして自ら負傷し窮地に追い込んで増幅した業火の威力すべてを殺し切れはしない。
 灼熱の余波で消し飛びこそはしなかったが、衝撃に弾き飛ばされた揺籠の君が地面に叩きつけられる。
「テラちゃん、今だよ!」
 アイシャが振り向いた先には長い時をかけ準備を完了したテラの姿。
「お前に終焉を与える……!」
 星の力を宿す小剣が切っ先の向こうには聖杯剣。
 ユーベルコード【|真・滅界虚空全終焉《スーパーノヴァ・エンディング》】――十分な時間をかけて発動したその力により、聖杯剣揺籠の君の周囲に障壁とブラックホールが出現する。
 それはこの後の事象から周囲の空間を隔離するためのものであり、本命はその直後にやってくる。
「星々の終焉……その破壊の力……! とくと味わえー!!」
『ほしぼしのひかり……きれい、ですね』
 テラの咆哮、聖杯剣揺籠の君のどこか超然としたつぶやき。
 それらを塗りつぶすかのように障壁内に超新星爆発の光と衝撃が満ちた。
 ユーベルコードの攻撃が終わり、テラの展開した障壁が消え去った後には――なにもない。
 聖杯剣も、リリスの槍も、神の左手も。聖杯武器の数々と共にオブリビオン・フォーミュラは消滅していた。

 銀の雨降る世界の決戦の一つはかくして終焉を迎える。
 淫蕩な空気の残滓を消し去るかのように、冬の冷たい風が金沢の地を吹き過ぎていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年04月05日


挿絵イラスト