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【サポート優先】灰燼より来たれ

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #戦後

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#アルダワ魔法学園
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#【Q】
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#戦後


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●死者の群れ
 其れが騎士はいつか終わりに、膝を屈した。
 騎士が守護するべきは、いつも弱者であった。
 しかし――騎士の刃は、断頭を仰せ仕るのみぞ誉と謳われ、負の想いを束ねて紡いだ。
 騎士の終わりは誰もが識るものではない。識る者はほんの少しの知り合いだけ。
 騎士は戦場で散ったではなく、己の苦心に心を壊して自害したのだ――。

 がしゃり。がしゃり。

 騎士は災魔と成り果てて、今度は迷宮の下位の災魔を指揮・統率して歩みだした。
 いや、――違う。あれは騎士本人などではない。
 苦悩は形を得て鎧に宿って返り咲く――怨鎧は、壊れた心をそのまま写して、現れた。
 騎士のように振る舞いながら、騎士ですらない"なにか"。
 騎士本人でなどあるはずもなかった。
 率いて歩くは、騎士がかつて"己が剣で終わらせたものたち"であり"成れの果て"。
 自害という終わりが、いつかの未練を引き連れて――死霊の兵を集め、報復に現れる。
『晒すが首は、一つのみ。さあ住処も生き様も、哀れに暴かれよ』
 己が此処に、並べ奉った死者たちが。
 その首一つで、頭を揺らし嗤えるか否か。
『終わりに嘆き、慟哭を口にせよ』

●逆巻く思惑
「恨みの矛先は、始まりの場所に戻るっていうのはよくある話よね~。ある剣術武道道場に、災魔の群れが押し寄せるみたいなの」
 空裂・迦楼羅(|焔鳳《えんぽう》フライヤー・f00684)はざっくりと説明して、改めて詳しく語る。
「主犯格の騎士は、その武道道場の出身ね。"誉高き闘うもの"である事を称賛し、"騎士"の称号を与えられていたそうね」
 元々はアルダワ学生の一人で剣術に優れた者だったらしい。
「苦悩に屈した理由はわからないわ。でも、アルダワ迷宮には時折、負の感情を持ったまま骸の海から戻ってきた骸骨が大量に現れるのだけど……どうやら、騎士の強い意志についてきちゃったみたいね」
 指揮官として、騎士は立ち、連れてきた死霊の兵たちと道場潰しを行うことだろう。
 こうなったのは、この場所があったからだと、逆恨みを受けることになる。
「……道場が排出した優秀な騎士の"鎧"が中心になって騒動を起こすのよ?酷い話だわ、幸いにも道場主も門下生たちもいるもの、皆がなるべく早く道場破りを追い返してしまえば、だあれも困らないはずよ!」
 集団の死霊兵は、生きている存在に対する攻撃性が高く凶暴。
 よって、生きている者たちがいればいるほど、攻撃対象はバラけて一人ずつの負担が減るだろう。
「"騎士"と呼ばれる指揮官は、猟兵じゃないと手に余っちゃうようだから――道場の主も門下生も実力相応の相手しかしないわ。貴方達にまかせてくれるはず、ってこと!」
 小さな事件も、大きな事件もオブリビオンが関われば同じこと。
「脅かされる平穏を、取り戻したげたいの。ねえ――協力して?」


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 このシナリオはアルダワ魔法学園の二章構成。

●概要
 剣術武道道場に、災魔が襲撃します。食い止めましょう、全てが滅ぼされる前に。
 ボスの"鎧"が滅びる前、以前はこの道場一強いとされた学生でした。
 鎧は学生ではありません。騎士として君臨した学生の心を映しとった"鎧の災魔"です。

●集団敵
 死霊兵。
 囚人や罪人が骸の海から骸骨として蘇った姿で、なんらかの負の感情を詰んで死した兵士たち。
 "鎧の災魔"が生前、追い返し続けた対象。
 生きている者を最優先して襲う凶暴性があるため、生きていない"鎧"に対して強者であり従うべき者であると認識し、ボスに追従します。

●ボス
 鎧の災魔。
 生前の騎士が自害に至った原因、報復、恩讐の対象は道場の方へと向きました。
 大量の死霊兵を屠り続ける事に、だんだんと心を病んだメンタルの弱い子だったのでしょう。
「何故悲劇と嘆きを聴き、砕き、終わりを叩きつけかえさねばならなかったのか」
 道場へと報復する事に心の傾向が支配されているため、其れ以外に理想を見ていません。

●その他
 このシナリオは、速度を重視して運用を行います。
 飛び入り参加はタイミングがあえば大丈夫。
 タグでのお知らせを行いませんので、完全にタイミング次第です。
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第1章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悲鳴と、怯え
 災魔たちの姿を見て、門下生たちは一様に動揺した。
 当然だ、驚くべき事に場所こそが狙われ、自分たちもまた狙いつけられて居るのだから。
「怯えるな、お前たちは戦えるんだ!」
 道場主が励まし、気力を持ち直し相対するもののどこか頼りない。
 此処は猟兵達が、さり気なく紛れ込んで手を貸すのが良いだろう。
根津・玲生(サポート)
 ダンピールの魔女×人形遣い、25歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、敵には「威圧的」(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●武器だけが倒す術ではない
 門下生達の悲鳴、骸の群れの、乾いたカラカラという音。
 攻め入る軍勢の数は圧倒的に多く、怯えるのも無理はない。
 しかし――魔女でも在る根津・玲生(ダンピールの魔女・f34925)はふふと柔らかに笑って門下生の前に身を滑り込ませた。
 彼女の手元に武器らしいものはなく。
 門下生たちは一様に驚いた。しかし、彼女は、大丈夫、と言い含めるように笑っている。
「さあお願い、私の――おともだち」
 血に汚れた弓の一射を受けるのは、玲生ではない。
 彼女の|お人形、お友達《ディアフレンド》だ。
 とん、と優しく置かれたお人形は完全に無気力。放たれた弓の一射による汚れた矢は、お人形に刺さるようなことはなかった。
 むしろ、威力を吸収して纏めてお返し。
 遠距離威力の幻の矢を、生成して投げ返すのだ。
 これが魔女の嗜みだ。魔女の元に預けられていたことの在る、人形遣いの魔女の、愛嬌だろう。
 口数は少なく。しかし、直してあげた人形を傷つける事もヨシとしない。
「これ、返すわね」
 玲生はふわ、と手を上げて、銃を打つような動作をすると生成された"幻の矢"は飛んできた方向へ飛んでいく。
「おともだちを、傷つけるのは、だめ」
 生きてる人を、いじめるのも、だめ。
 狩人の恩人はどのように戦うのだろう。
 ふと、疑問に想いながら――やはりふふふと、笑うのだ。
 あの人のように、私も誰かを救っているかしら。
 自身も力になりたいと、望んだ存在へ、一歩ずつでも近づいて、いるかしら。
「危ないから下がって。私より前に、敵なんていないのよ」
「は、はい!」
 剣を構えた門下生たちは一斉に下がるだろう。
 彼女の前に、矢の腕で叶うものはない。
 むしろ、彼女に攻撃を向けたなら、たやすく返されて返り討ちが目に見えた。
「(すごい……!)」
 門下生たちに尊敬の眼差しを背中から向けられた玲生が退けた死霊兵の数は、彼女が微笑む数だけ増えていく。かしゃん、かしゃんと骸の崩れる音が色んな場所から聞こえた。
 そうだ。これが――魔女という存在。
 アルダワ学生の門下生たちは、"負けてられない"とやる気を出しつつも、一様に生唾を飲んだようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。


レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
 人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
 普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


ベイメリア・ミハイロフ(サポート)
メイン参加者さまのお邪魔にならぬようにしつつ
状況を見て行動を行おうと思います

日常では、まったりのんびり楽しみたいと思います
探索が必要であれば、情報収集・聞き耳を活用し
さりげなく目立ちすぎない程度に行動を

戦闘での行動は、絶望の福音又は第六感・見切りにて相手の攻撃を予見し回避又はオーラ防御・武器受けからのカウンターを狙いつつ
広範囲に敵がいます場合にはRed typhoonを
1体に対してはジャッジメント・クルセイドにて攻撃をいたします
チャンスがあれば早業・高速詠唱からの2回攻撃を
回復が必要なら、この身を削ることになろうとも、生まれながらの光を使用いたします

呼び方ファーストネーム+さま
一人称:わたくし



●連続で畳み掛けるということ
 降り注ぐ矢の雨に、怯えるように門下生は逃げ惑う。
 しかし道場から背は向けず、なんとか剣で受けて致命傷を避けようと必至に見えた。
「あ、サポート??請われれば頑張るのにゃ!」
 さあオーダーはなんだにゃ?と、ミルディア・ディスティン(UDCの不可思議メカニック・f04581)は戦闘中に尋ねてきた。今必要なものは何かと問うのだ。出来るものなら作るし、戦うべきなら、武器を手に一緒に立ち向かったことだろう。普段はUDCのメカニックであり生粋の技術肌であるからこそ、出来ることは口に出して問うミルディアだ。
「あ、言われなくてもなんとなく分かったにゃ。この場合はあちらの背後の様子とかだにゃ?」
『分かってて言ってんだろ?さあ俺らの出来ることをちゃっちゃと始めようぜ』
 ミルディアから飛び出す好戦的な男性口調はなんだったのか。
 門下生たちが尋ねる前に、指をぱちんと鳴らし、何かが足元を駆け抜けていく。
 |影の追跡者《シャドウチェイサー》は見つからない。
 走る速度もさることながら、存在が見つからないからこその偵察に向いている。
 影を僅かに持ち上げて五感を共有した影の追跡者から見れば、"敵の背後"は丸裸だ。
「正真正銘、罠とか増援はないにゃ!押し返してしまえばそれで終わりにゃ!」
 攻め攻めでこれまで積み重ねてきた君たちの実力魅せれば勝てるにゃ!と門下生たちを後押しするミルディアの言葉を皮切りに、死霊兵たちが一斉に動き出す。
 その行動は弓を番えて打ち放す動作――狙いすました攻撃で、初速は決して遅くない。
 真っ向勝負の鋭い一射が飛んでくる!
「あら。あら。早いですねぇ」
 死霊術士の姫神・咲夜(静桜・f24808)は、骸の群れに口元を隠して、それから丁寧な物腰で喚ぶだろう。願いを叶えてくれるだろう、死霊たちへ、届くように心で語りかけるのだ。
 ――さあ、起きてください。
 ――貴方達が立ち上がる場所は、"此処"ですよ。
 靴音を鳴らし、清楚な彼女は死霊を喚ぶ。
 咲夜の呼びかけに答え、立ち上がるのは死霊騎士と、大きな胴の死霊蛇竜。
 蛇竜が尻尾を凪ぐように触れば、矢はどれも撃ち落とされる。
 命中はした、と認識した死霊兵が剣を構えて襲いかかってくるが、死霊騎士が蛇霊を護るように薙ぎ、砕いて抵抗を終わらせる。
 決して、咲夜へ矢が至らぬように立ち回れば、彼女より後ろに攻撃はいかない。
 闘い続ける力として、存分に暴れても"敵以外は傷つかない"。
「大した威力を備えていないと、私も思います」
「ではもっと、苛烈に行っても構いませんね」
 今や修道女のベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は、歌うように言葉を転がす。
 命の終わりに、悲劇を得た皆様へ、安らぎを届けましょう。
 眼球さえ無い彼・彼女たちの骸に、長い痛みが続かないよう。
 儚く、そして弱く光る"星"を見た気がした。
「数える星の数夢うつつ、夢の数星うつつ」
 綺麗な輝きを呼ぶように。あどけない少女の姿へ至るベイメリアは紅の聖書をバッ、と開く。
 聖女の内容を兼ねた、赤い革の魔導書はあどけない彼女を神々しく引き立たせる。
 ふわりと浮かび上がり、舞い散る赤い花びらをひらひらと残して彼女は誰より早く、飛翔するだろう。
 秘密の乙女は――何をするかわからない。
 意思疎通を取らぬ者相手には、もっと不可解に映るだろう。素早く飛翔する"生者"が、死霊兵の周囲を動くものだから、わたわたと、敵は目標に物理的に惑わされる。
「注ぐ光が、救う光となりますように」
 選んだ属性は"光"。浄化の輝きを魔導書から放ち、光を浴びた者たちの行動を妨害する。
 浴び続けていては、怨念が、恩讐が、浄化されて存在意義を失って、からん、と残った骨が地面を叩く。
 ベイメリアの光と、咲夜の引き付けて叩く攻撃方法で、還される個体は増えていく。
「……す、すごい」
 みるみるうちに、敵の数は減っていく。
 彼女たちの適切な対処に、門下生は驚くばかりだ。
 猟兵たちの活躍に、ついていけるだろうかと今度は別の視点で足がすくみだしたようだが――。
「私達にも怯えることは、ないでしょう?私達と意思の疎通を取る気があちらにはないようですよ」
 レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は涼しい顔だ。
 普段と同じく無表情――ただ青い瞳を細めている。
 死に方が凄惨だったのだろう魂は、生者を求めて襲いくるという。
 考える知能は、きっとない。
 ――怪我に、毒や呪詛が在るわけではなさそうですね。
「お帰りいただくまで、どうか諦めませんよう。私が此処で皆様を励ますように――歌いますから」
 鼓舞。耳や心を傾けて、そして正々堂々、持てる力を尽くすのです。
「さあ皆様――聴きなさい、聖なる歌を」
 エンチャント・キャロルの歌い出しはとても静かなものだった。
 戦場と化したこの場所で、静かな聖歌が紡がれる。疲れたものに、綺麗だと共感するあなたに、癒やしを。戦うあなたは、まだ意志をそがれてなど居ないでしょう?
 カッ、と空の雲が割れて、日差しがレインにスポットライトを当てた。
 神秘的な雰囲気の聖歌は、優しくも温かみを感じさせる歌だった。
 邪悪な災魔たちが怯む。彼等の弓が誰にも当たらなくなる。
 連続攻撃に失敗した群れは、次の攻撃も外し続ける。攻撃が、外れた敵は、木偶の坊にも等しいだろう。恐れるモノではないと理解できたなら、踏み込む門下生達の剣術の腕が上がったかのようにも見えた。
 果敢に挑む彼等の腕は、決して弱くない。
 日々訓練する彼等の剣術が、弱いはずがないのだ。骨の山が地面を埋めて、浄化されては消えていき生者に負かされた死霊兵たちは成す術なく骸の海へ還されていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにない相手に対しても無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。
オブリビオンに対しては持ってるなら『リア充ころし(焼却)』と『ガソリン』を併用して消毒という名の焼却を図ります。なんらかの原因でそれらを持っていないなら……なんとかして焼却します。



●味方こそ最大の|敵《味方》
 ――は?此処って紛れもなくリア充の巣窟では?
 剣術を道場で習うやつとか格好いい奴らだろ。
 志とか持ってんだろ、戦うってカッケーって思ってんだろ。
 ――おい、リア充してんじゃねえか……。
 不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は、己が葛藤に身悶えしていた。
 年齢イコール彼女イナイ歴だ、さあ此処で、彼の年齢を思い出してみよう。
 ――いやいやいやいや思い出す必要はねえ。
「つまりだよ、リア充全員爆発しろってんだよ!」
 理不尽だった。門下生一同も、敵の骸の群れも。
 どいつもこいつも、"戦うカッケー奴らの群れじゃないか"と疑い出したなら、もう止まらない。
 それはダメだと、静武は燃える。物理的にハートが耐えられない。特にオブリビオンは『生前』に何があったかしらないが『恨みを晴らす死後のチャンスに恵まれた』奴らが多い。
 豪運のリア充とか許せねえな。
 そんな理不尽パワーを燃やして、轟々燃やすはダークヒーローメンタルだ。
「答えはいらねえ、燃えていけ。リア充はなあ、全部消毒するんだよ!!」
 リア充への怒りは理不尽の力。
 その手に構えた|リア充ころし《火炎放射器》が吠える!
 ぶわあああ、と燃え広がる炎の海に静武は笑う!
「いいよいいよ燃えろ燃えろ!あ、これもおまけだとっとけぇ!」
 男は弓や剣に怯むことなく群れの中に飛び込んだ!
 液体をだくだくぶちまけてニヤリと笑う。
 じわあと地を染めたが、液体は死霊兵たちにもろに掛かった。
「それ、なんだかわかるか~?わかんねえよなあ~?」
 ジャキン、と構え直す|リア充ころし《火炎放射器》を構えれば半生焼けの汚物たちの完全消毒は完遂可能!
「血濡れた剣の一撃もぉ、僕に受ける前に消毒エンドさせちまえばぁ……当たらないだろ!」
 まるでどちらが悪者か、と言わんばかりの攻撃にカルシウム不足にしか思えない骸は無惨にも叩き伏せられ消えていく。
 攻撃性が高くて凶暴でも、恐れるべきは非リア充の|正義の味方《静武》であった。
 年齢を感じさせないフットワークで、焚き付けた炎を拡散しどんどん|汚物《オブリビオン》は延焼に屈して焼かれていく。
 具現化した炎の海はリア充に飛び火するので、該当者は是非一定ライン以上に彼に近づかず、出来る対処を行いましょう。
 門下生たちは、静武が消毒する方角を任せ他の場所から襲いくる死霊兵を倒すように動きだした。
 ほら、――適材適所って、あるからね。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『騎士の怨鎧』

POW   :    戦鎧の妙技
【縦横無尽の剣閃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    闘鎧の秘技
【自身に刻まれた戦闘経験から的確に】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    魔鎧の禁忌
【魔核の稼働制限を解除。超過駆動状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●騎士の怨鎧
『数を減らし、戦う力を示した所で』
 歩みを止める理由にはならない。
 鎧は語る。災魔であることで、"目標に据えた行動が達成する"まで停まる気がないのだろう。
『さあ刃を握れ。力を誇れ。此処で全て終わらせよう』
 引き連れてやってきた死霊兵の数が減っても、行動の理念は変わらない。
 道場を潰せ。壊してしまえ。
 行動はそれだけを示していた。
 構える剣は、誰が為。
『この場で学んだ剣筋を。学園で学んだ魔核の起動を、成果を此処で魅せてやろう』
 物は主の経験を憶えている。
 だからこそ、これは――過去に壊れた主の為の憂さ晴らしたる|鎮魂歌《レクイエム》。
神崎・伽耶(サポート)
『やってみなきゃわかんないしねぇ!』(明るくニヤリ)

アドリブ連携OK。
普段の口調は「庶民的(あたし、キミ、だ、だね、だろう、だよねぇ?)」です。

後先考えず、反射的に行動しますが、他の猟兵に迷惑をかける行為はあまりしません。
姉御肌で、一般人には優しく、時に厳しく接します。

行動原理は好奇心、攻撃よりは防御が得意で、遊撃的なポジションを好みます。
機動力、観察力を生かし、バフやデバフを多用し、トリッキーな攻めを得意とします。

思い付きで動く、常識のある奇人変人ムーヴで描いていただけると大変喜びます。
いっそNPCだと思っていただいてもヨシ!

よろしくお願いします。


天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす

戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。



●遊撃手の連撃
「あなたの願いは、叶えてあげられないけれど……」
 日溜まりのようなささやかな願いだったならば。
 天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)は積極的に叶えたいと思うのだが。
 怨鎧の願いを、叶えてやることは出来ない。
 かの者の願いは、破壊であり、破滅だ。
 学び培った力で、破壊など悲しい事件そのものだ。
「だからこそ、私なりに"負けたくない"願いを叶えたいと思います」
 此処で学ぶ者たちに。
 此処を護り、力を教える道場主に。
「正面から正々堂々、とはやや違いますが……私の得意なことで対応させて頂きましょう」
 すっ、と取り出す術扇。
「回転動力炉の制限を一時解除……これなら!私の瞬間的全力を魅せることができます!」
 からりからり、あの日のように回るだろう。
 回転動力炉が回りだせば、詠唱兵器のリミットオーバーは始まる。
 通常以上の実力を出し、成果を跳ね上げて挑める――代わりに、負荷は当然叶恵に還る。
 長い時間の仕様は出来ない、――だからこそ。
「――いきます!」
 高め上げた妖力に、麻痺の効果を乗せて衝撃波として打ち込む。
 ひらひらと、白燐蟲を護衛につけて。ふるりふるふる、風に乗せて。
 衝撃波を越えられても、白燐蟲が麻痺を浴びせてくれるように願って。
『――くっ!』
 白の衝撃、白燐蟲の波刃を真っ向から乱れ打ち。
 力強い衝撃を飛び上がって躱した後にビリビリと、鎧が浴びたのは痺れであった。
 手が震え、剣をまともに震えない。
 経験からくる回避はたしかに成功したが、神秘の光を仄かに放つ白燐蟲に敵意などなかったのだ。
 敵意のない白燐蟲が、停まるように麻痺の属性を強く与えただけだ。
「戦いは力だけで解決しませんよ」
「そーそ!予想外の対応のほうが戦いはどっちに転がるかわからないからね」
 何故か、怨鎧の傍に神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)の姿があり、麻痺を自ら貰って二へへ、と彼女は笑っていた。
 ひと呼んで思いつきの伽耶。突拍子もない動きで、敵も味方も驚かせるに長けた猟兵だ。
 今回はやや、飛んで火にいるなんとやらに自分がなったわけだが――理由なくそんな事をしないのも彼女だ。
「あたしを停めようってか?いーや、無理だね!あたしは停められないよ!」
 発動する力は、自動の力。
 |FREED ARROWS《フリード・アローズ》。
 ぶわあ、と全方位に舞い上がったのは浄め祓う蒼羽であった。
 前へ前へと勇み、立ちふさがる騎士の向こうにはまだ死霊兵たちがいる。
 だからこそ、"停められない"と口にした伽耶は全方位の攻撃力をそいでみせたのだ。
 生者へ向けて歩む凶暴な敵たちは、門下生たちへ襲いかかり――振り上げた剣の威力そのままを返されて仰け反る。その隙を、門下生達が一気に畳み掛ける。きっかけを作れば、形成はどんどん崩れだす。
 ほら、歓声が聞こえるだろう。
 実力を尽くして押し返せ、と力いっぱい戦う恐れなき者たちの声が。
『……それが、そちらの力だと』
「そだね!あ、そうそう……」
 無防備な伽耶に対して、騎士は無慈悲に剣を向けて振り抜いた――が、その刃が目標を捉えることはなかった。
 まるで壁でも叩いたかのよう。
 がん、と強力な見えない壁を叩いたかのように、騎士は無様に腕を取られバランスを崩す。
 蒼羽の群れに阻まれて、威力そのものを自分で負ったのだ。
 己の剣戟を、重さを制御できるものなどありはしない。
 騎士の過去の戦いの中でも――己の剣に全てを込めて戦ってきた。
 故に、その攻撃はただ破壊と終わりのためにあった。威力そのものを反射されたなら、騎士は為す術もなく勢いよく自分の力で後方へたたらを踏むことだろう。
「日々ギリギリで生きてるあたしは、こーんな感じの裏技構築が得意なのだ!」
 にへへ、と伽耶は明るく笑っていた。
 戦いの中でも、ギリギリを感じる瞬間にやはり笑顔こそが似合うと彼女は思うのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自信過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言

戦闘は戦場で技術を覚えて自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘スタイル。
多彩な戦闘スタイルを理屈でも説明できる。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 
怪我は厭わず行動します。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。

◆性格・人柄
敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい少女。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
UC「神罰」
半径レベルmの【範囲攻撃】です。
強力なスポットライトのような光の【属性攻撃】で物質を透過します。
媒体は【祈り】。敬虔な聖職者の祈りは【早業】【高速詠唱】で発動。
最後衛で距離を取り戦います。

◆冒険
基本『お任せ』です。



●連鎖の果てに

「貴方も、読書など如何ですか?」
 普段ならば高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)はそう言った。
 戦場でなければ。危機として馳せ参じていなければ。
「まるでおとぎ話みたいなお話ですね……」
 司書はマイペースに目を瞑る。
 騎士の意志を継ぐように、終わった時間に悔いるように。
 訪れた"鎧"を目にして、語りかけ続ける。
「恨み嘆き、悲しむ兵を引き連れて。この場を滅ぼせたとしてです。キミの気持ちは晴れるのでしょうか」
『……否』
 晴れることはないのだと、歩く鎧は理解する。
 災魔と成ったその身は、"もしもこの場で剣技を磨かなかったら"と悔いる。
 鎧の主――主は強く今も尚、生きていたのではないか、と。
 構える剣、躍動する戦鎧。
 妙技は騎士の――主が記憶。経験から、縦横無尽に閃く剣閃。
 何人も、逃れる手段はないようにと――刃が届く全てを破壊の剣が蹂躙する。
 涙など、鎧が流すものでなし。
 災魔となった鎧は、ヤドリガミですらない。
 悔いた想いの、成れの果て。
「お嬢ちゃん、そういうのは多分……」
 七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)は問うた彼女を見つめて目を細めた。
「わかっています。だからこそ、こうします。光の剣に、斬れない物などありませんよ!」
 |光子連結剣《フォトンセイバー》で剣閃を裂く。
 無差別な攻撃だからこそ、光は剣閃を凪ぐ。
 刃が相手に届かずならば、続いては――相手が驚異と迫る番。
「指揮能力には恐れ入るが、なら徹底抗戦じゃあなく攻め続けないとな――だが俺に挑むには10年早いな!」
 フレンドリーにニッと笑った龍厳は、ついでその視界、及び視線の先に標的を見据えた。
「なにしろその剣戟は、俺には届かない!」
 カッ、と光煌き轟く雷撃が鎧の元へ堕ちる。|ジャッジメント・レイ《イェーガー》――天から注ぐ雷が雷槍。
『届かずとも、……この身に中身など在りはしない。有りはしないのだ』
 雷の直撃を浴びて、発光する鎧の中で怖気だつ程の鈍い色が迸る。
 あれを理解する者が居たならば、内蔵された魔核の稼働制限を取り払う光であると分かったことだろう。
 亡き主に嘆くため、禁忌に触れ超過駆動開始。
 ぢぢ、と散る赤の輝きは黒い鎧に映り照る|耀《ひかり》は超攻撃力と超耐久力を得て、代わりに理性を取り零していく。
 戦うための考えなど、もういらないと言わんばかりに鎧は剣を手に動き出した。
 一人でも多く、首を落とし――剣での道場潰しを成さんが為に。
「刃を持ち、振り上げる身のこなし……水心子真峰、推参」
 さあ、真剣勝負といこう。
 太刀を構え、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は身を屈める。
 大柄な騎士の怨鎧は、自身に刻み込まれた経験に体を震わせて。
 戦闘経験から的確に、真正面から危機を察知し、見据えた。
「抜くと思ったか?」
 太刀のヤドリガミは、佩いているが抜刀することはない。
 手にするは、錬成カミヤドリが一振り。複製されたホンモノに近い、本物ではない本体の写しだ。
 強く地面を蹴り、ぐあんと一気に斬りかかる。
 これは手にした写しが一振りで巻き起こす斬り込みではない。
 轟く嵐は、これまでの経験と同じ数逆巻く"他にも複製された本体の写し"。
『……数ばかり多くても、敵はひとつ。そうだろう』
「そうだな」
 本体は抜かずの一振り。
 真峰が使うはどれもが写し。総数132本(内一振りはその手に)はその周囲に展開された。
 どれもが、手足のように念動力で駆ける。
「それに私は、正々堂々のほうが好みだ」
 刀が乱舞で、撹乱すれども切り結ぶは正面から。
 どれが打ち込むかを見切らせないだけだ。
『それは、こちらも同じだ』
 剣で受け、鎧は攻撃を緩和する。
 攻撃を予期して、戦う鎧は躱すのだ。
 破壊して逃げるのではなく、剣に当てて弾いて退ける。
「良い経験をしてるんだな、――じゃあ次は"右"から行く!」
 あえて次の行動を口にして、剣に写しの刃で挑みかかる。
 さあ標的をこちらに変えるんだ。
 私達が相手になるぞ。

 三者同時に攻撃の中で、押される鎧は逃げる様子を魅せないが――。

「主張を抱いて、力を引き連れて暴れて」
 それで"あなた"の願いは、叶えられそうですか。
 小宮・あき(人間の聖者・f03848)は、困るものたちの声を聞き、暴れまわる存在を見上げるようにして、微笑んだ。
「……ああ、そうですね」
 祈りと願いと最も遠い所から還って来たのでしょう。
 爽やかに流れていく風に遊ばれるように靡く髪。
 あきは、ただ聖者が一人として此処に立つ。
「ふふ、もう――いいのですよ」
 無差別に動き、破壊する剣は迷いがない。
 迷う心を置き去りに、ただ破壊の為に攻撃力と耐久を跳ね上げて。
 無理をして動き、他の猟兵が畳み掛ける"動きの速さ"をただ追い続ける機構と化した。
 もう、握った剣が何を破壊しようとしているかさえ理性は失われ続けていることだろう。
 だからこそ、あきの言葉は流れる言葉と同じく、敵の心に留まれない――。
「大丈夫。だって、"騎士"の魂は|鎧《あなた》と共に在るのでしょう?」
 なら。貴方が勝手に歩いていることも。
 思い出地を破壊しようと出向いたことも。
 "|騎士《こころ》"が知ったら、どう思うのでしょう。
 だから私は祈ります。此処で、祈ります。
 ユーベルコード、神罰の範囲に名前を知らない騎士――貴方はいるから。
 空を裂くように、カッと強いヒカリが降り注ぐ。
 太陽の輝きではなく。光を強めた属性を束ねたチカラ。
 祈りは高速の詠唱によって導かれ、鎧の魔核を透過して――騎士の一番弱い部分を晒す。
 輝きを遮る闇はなく。
 否定に抗う理性を亡くした騎士の鎧は、祈りの明るさに照らし出されるように闘鎧の禁忌を宥め停められることだろう。魔核の停止、それはすなわち――怨鎧の、歩みの終わり。
「闘うその剣を振るう必要はもうないのです」
 だからもう、休んでいいのです。
 騎士の鎧ならば、恐らくは――護るべきは苦悩の中でも主が"生きた証"だと、思います。

 輝きの中に祝福されるように、騎士と怨鎧とその軍勢は電池が切れたように倒れ込む。
 還るべき場所へ、彼等は順に消えていくのだ。
 "今を生きる人々"のいる場所は、彼等が"帰る"場所ではないのだから。
 迷宮の中に、また彷徨い居でるその日まで。
 思い出と想いを護る核となり、静かな眠りを――約束しよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年01月22日


挿絵イラスト