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『プロテイン・クッキングスタジオ』――つい先日オープンしたばかりの、超巨大調理施設のバックヤードにて。
魚、鶏、タコさんウィンナーなどのタンパク質豊富な感じの頭部を突き合わせつつ、怪人達がひそひそと話し込んでいるようだ。
「ふふふ、いよいよオープンしたな。我らの施設が……」
「『あの計画』を始動する時が来たか……」
「キマイラフューチャーが我々の手に落ちる時ももうすぐだ……!」
意味深な資料を広げつつ、怪人達は何かの計画を進めようとしている様子。
「キマイラ達よ、とにかく我々の施設を盛り上げるのだ……」
「『あの計画』こそが逆転の一手よ……」
「クックック……楽しみだな……」
怪人達の会話も、計画の内容もなんだかふわふわしている。
けれど良からぬことなのは間違いがないだろう。
このまま放っておけば――キマイラフューチャーがプロテインの手に落ちる日もそう遠くないのだ!
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「集合お疲れ様! 今日はキマイラフューチャーで事件だよ!」
猟兵達に笑顔を向けつつ、口を開くのは藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)だ。
「なんでも最近オープンした『プロテイン・クッキングスタジオ』っていう施設があって。名前の通り料理の出来るおっきなスタジオなんだけど、そこが怪人の拠点だったんだ。という訳で乗り込んで怪人をボコボコにしよう!」
やるべきことはシンプルだ。とにかく施設に乗り込み、怪人と戦ってボコす。
怪人達はまだ動いていないが、放っておけばなにか大きな事件を引き起こす可能性が高いだろう。それを阻止するためにも、とにかくボコす必要があるのだ。
「あ、でも施設自体はちゃんとしてるところだし、キマイラのスタッフもいるみたいだからさ。怪人をやっつけたら、施設を使っても大丈夫だって! という訳で事件が解決したら……料理、していかない?」
そう言いつつ美雨が取り出すのは、なんだか桃色のチラシだ。
「なんでも『贈り物キャンペーン』なんてやるつもりらしくて。それ用の材料とか道具とかいっぱい用意してあるみたいだよ」
例えばプレゼント用のお菓子の材料だったり。特別なディナーのレシピだったり。
バレンタイン向けのハートの型やラッピングの道具なんかも多数用意されているようだ。
「なんでもコンコンコンで手に入る世界だからこそ、あえての手作りで……みたいな感じなのかな。キマフュらしい面白アイテムもいっぱいあるみたいだし、色々作れそうだよ」
なんかこう、ゲーミングカラーに輝くチョコとか、走るチョコとか、そういうものも作れるかもしれない。
不思議で楽しいキマイラフューチャーだからこそ、出来ることもあるはずだ。
「楽しいことをするためにも、まずは怪人を退治しないとね。という訳で、よろしくお願いするね!」
美雨はそう話を締め括り、猟兵達を送り出すのだった。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
お料理しませんか。
●一章『タンパク質三人衆』
良からぬことを企んでいる怪人達です。
ボコりましょう。
●二章『フューチャークッキング!』
怪人が去りちゃんとした施設となった『プロテイン・クッキングスタジオ』で料理をしていきませんか?
この施設は名前こそタンパク質に寄ってそうですが、実態は超巨大なクッキングスタジオです。業務用の設備すら備えた何でも作れる施設です。
材料や道具はコンコンコンで入手出来るので、何でも使えます。
ちょうどバレンタインデーやホワイトデーに向けた贈り物キャンペーンなんかもやっているようです。
王道なお菓子や料理を作るのも良し、なんだかコミカルなものを作るも良し。
公序良俗の範囲で好きにお楽しみください。
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どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『タンパク質三人衆』
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POW : ニワトリ怪人・ウェポン
【ニワトリ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : サカナ怪人・ジェノサイド
【サカナ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : タコさんウィンナー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【タコさんウィンナー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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転移を終えた猟兵達を出迎えるのは、広々とした空間と――なんだか美味しそうな怪人達。
「何っ!? もう猟兵が嗅ぎ付けてきただと!」
「『あの計画』は必ず遂行するのだ……!」
「邪魔はさせん!」
怪人達はやる気十分。
彼らの目的は分からないが、悪いことを考えているのは間違いない。
戦場になるのはスタジオの一部だ。広さはとんでもないため、戦いにおいて支障になるものはない。
施設にある調理器具などは自由に使っても構わないだろう。
あの怪人達を――とにかく調理してやるのだ!
リグ・アシュリーズ
料理を作るのね?(食欲バーサーカーがあらわれた!)
調理器具使い放題に惹かれてやってきたわ!
ということで、アイシングクッキーを作るわ!
まずは乾燥卵白と粉砂糖をふるって、
水を加えてミキサーでぶいーんってするの。
脇に挟んだ短機関銃の引き金を引いて、
角が立つ硬さになったらコルネの中に流し入れて。
土台にするクッキーはハートにひよこ、お魚さん。
ベースをひいておめめを書いたり、タコさん風にしてみたり。
傍らの何かに剣をぶっ刺しながら彩りを加えていくわ!
伸びの甘いところはつまようじで整えて、完成!
うん、上出来ね!
仕上がったものはかりっと、その場で頬張っちゃおうかしら。
あれ、ところで何か踏んづけてる……?
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「話は聞かせてもらったわ! 料理を作るのね!」
ばーん! と扉を蹴破らんばかりの勢いで、スタジオへと突っ込むのはリグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)だ。
過酷な闇夜の世界で生まれ育ったリグにとって、食事というのはとても大切なもの。
だからこそ、今日は調理器具使い放題のスタジオでたっぷり料理をしたい。のだけれど。
「我々の邪魔をするな!」
怪人達が黙って歓迎してくれる訳はない。彼らはそれぞれ不思議な構えを取りつつ道を塞ぐ。のだけれど。
「それじゃあ楽しむわよ!!」
「ギャーッ」
妨害に気づくことなく、リグは怪人ご調理場へとやってきた!
まずはコンコンコンから必要な材料と道具を集めて作業台へ。その辺に怪人達もドガっと置けば準備も万端。
バレンタインも近い訳だし、今日は甘いものでも作ろうか?
「そうね、アイシングクッキーを作りましょう!」
まずは乾燥卵白と粉砂糖を手際よくふるって、そこに水を加えてミキサーで混ぜて。
「えーっと、他にも色々使わないとね……」
そのまま脇に挟んだWOL-8の引き金を引けば、ミキサーの振動がより強まっていい感じ。なんか弾が飛んだ方向から悲鳴も聞こえたが、それはミキサー音に掻き消された。
角が立つまでしっかり材料が泡だてば、今度はコルネの中に流し入れて。こういう作業も結構楽しい。
そのままリグが手に取るのは、土台となるクッキーだ。
「わっ、これ可愛いわね。さっそく飾り付けましょう!」
選んだのは丸っこいハート形やひよこ形のクッキー達。それとその辺で伸びてたおさかな怪人。
それにどんどん飾りをつけをして、ついでに隣で倒れてたタコさんウインナー怪人も可愛く飾り付けちゃったりして。
ほら、元々つぶらだったおめめが更に可愛く彩られたよ!
「い、一体何が……」
「っとと、崩れちゃったら勿体ないわよね。固定しておかないと!」
タコさんウィンナーやおさかなさんはちょっと大きめ。固定に使うのは串やフォークではなく、黒剣くらいの大きさがいいだろう。
ぶすっと突き刺してやれば、もうクッキーやアイシングが崩れることもない。
あとは爪楊枝で綺麗に形を整えたのなら、みんなまとめてオーブンへ!
甘い匂いと香ばしい匂いが鼻を擽る感覚に、リグは思わずニコニコと笑みを浮かべていた。
それから暫く時間は経って。
無事に焼き上がったハートのクッキーを片手に、リグはまったり休憩していた。
「うん、上出来! 他のクッキーも上手に焼けたみたいね!」
喜びのあまり元気なステップを踏み出せば、オーブンから逃げ出そうとした|何か《こんがり怪人》も踏み付けちゃったけど。
あとできちんと掃除しておけばきっと大丈夫だ! 怪人は勝手に骸の海に消えるしね!
「よーし、まだまだ作って食べるわよ!」
元気いっぱいの食欲バーサーカーとなったリグは気付かぬ内に仕事を果たし、そして美味しく楽しい思い出も積み重ねていくのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ザクロ・シャハブ
ザクロは激怒した(外見からは分からないけど)
怪人の中に人参が入っていないことに激怒した
「その作戦は成功しない。俺が潰すから」
初手は黒縁を掴みながら間合いをあける
「まず、お前らはなんでタンパク質系怪人しかいないんだ?
ん?プロテインはタンパク質…もしやその計画には統一感が決め手か?」
攻撃は素早く回避して【残像】を俺と錯覚させる当たったらやむ無く受けよう(激痛耐性使用)
「そもそもプロテイン…タンパク質だけで計画が成功するとも思えないが…さて、もういいか」
ある程度会話を伸ばせたらUC発動
全員黒縁で斬り倒す
残れば【斬撃波】で露払い(二回攻撃使用)
「次からは人参怪人を雇うんだな…ところで作戦ってなんだ?」
●
「くっ、先程は酷い目に遭った……だが我々の作戦はまだ終わらん!」
怪人達は黒焦げになりつつも、悪巧みを止めてはいないようだ。そんな彼らの元に、また一人の猟兵が姿を現す。
「何かふざけたことを言っているようだが、お前らの作戦は成功しない。俺が潰すから」
「何奴ッ!」
怪人達が視線を向ければ、そこに立っていたのはザクロ・シャハブ(懐中兎計・f28253)だ。
彼の表情はいつもと同じ無表情。けれどその身体からは、明確な怒りが滲み出ていた。
ザクロは赤い瞳で三体の怪人を一瞥すると、大きく息を吐く。
事前の説明でも現場でも状況は変わらない――あの怪人達、鶏と魚とウインナーしか存在しない。
どうして人参が存在していないのだ。人参こそ至高の食材だというのに。
「まず、お前らはなんでタンパク質系怪人しかいないんだ?」
ザクロは黒縁の柄を握りつつも、まずは怪人達へと言葉を向ける。思わぬ疑問に怪人達も少し驚いたが、すぐに胸を張って言葉を返してきた。
「ふっふっふ、タンパク質こそ必要な栄養素だからだよ! あと英語だと格好いい!」
「ん? プロテインはタンパク質……もしやその計画には統一感が決め手か?」
「猟兵如きに我々の計画の真髄を話すか!」
会話を続けるうちに、先にしびれを切らしたのは怪人の方だ。
彼らはサカナ怪人を中心に陣形を組むと、凄まじい勢いで回転攻撃を繰り出してきたようだ。
確かにその動きは凄まじい。けれど――。
「そんな生臭い攻撃、当たる訳ないだろう」
ザクロは的確に攻撃の隙を見抜き、その隙間をひらりと通り抜ける。同時に残像もばらまけば、相手は完全に此方を見失うだろう。
「そもそもプロテイン……タンパク質だけで計画が成功するとも思えないが……さて、もういいか」
ザクロが話を振ったのは、自身に有利な状況を作り出すためだ。
怪人達は攻撃こそ繰り出しているものの隙だらけ。ザクロは身を屈め、静かに呼吸を整えると――。
「――黒兎流・微吟」
刀を振り抜き、怪人達より速く鋭い一閃を放つ。
その一撃は見事に怪人達を吹き飛ばし、彼らを食材らしくばっさりと斬り伏せた。
刀身についた血や肉汁を振り払い、ザクロは再び息を吐く。
「次からは人参怪人を雇うんだな……ところで作戦ってなんだ?」
「ふふ、話す……ものか……」
怪人はそう吐き捨てると、ぱたりと倒れ伏す。
その様子は秘密を守ったというよりは……。
「……もしかして、作戦の中身すら存在してなかったのか? 人参も使わないような奴らに出来るのはその程度だった、ということだな……」
栄養素が偏るのはやっぱり良くないのだ。タンパク質は大切だけど、野菜――特に人参も忘れずにね!
大成功
🔵🔵🔵
ケイラ・ローク
トーゴ【f14519】を誘って行くねっ
あら~
さすがキマフュー産エネミー!ムキムキボディなのになんておトボケ頭なの♥あたしチキンちゃんが気に入ったかも~
つぶらな目とトサカがキュート
よし、ではカワイイ系で参りますぅ♪
ダンスでパフォーマンスしながらレーザー射撃の乱れ撃ち♥
ほらほらニワトリさん!一緒にダンスしましょ、こんがりチキンにクッキング♪
フラワービームを使ってユーベルコードをご披露するわ!
どう?かわいいでしょっ?
…
トーゴから変な視線を感じるわね
なぁに?ケイラちゃん可愛いな、ってドキドキした?
あ~そうですか
しませんか知ってたキミってトーヘンボク
ところで!
いつもみたいな殺戮モードはダメですからねっ
鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と
えねみい?んん、魚と鶏は解るがあの赤いの何?
たこさんうぃんな?…たこ?たこ?…たこってあんなだっけ?エンパイアのたことキマフューのソレじゃ違うのかねェ
……、……
(ケイラの射撃やらUCやらをまじまじまじまじ見る)
え。あ、ハイハイねこ耳かわいい
でもなんでドキドキせにゃならんのだ、ってなんだよ人をトーヘンボク呼ばわり…Σつか、人を殺戮狂みたいにゆーなよなー
【忍び足/追跡】敵に接近しUCを拝借したフライパンに流しソレで叩く
高圧電流で過熱してるからジュってなって麻痺…するかな?
UC相殺されても叩きまくる
拝借した菜箸も【投擲/串刺し】
焼き鳥かばーべきゅうみたいにしちゃる
アドリブ可
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「おのれ猟兵達め……!」
怪人達は施設の中を逃げ回りつつ、猟兵達との戦いを続けようとしているようだ。
彼らの雰囲気やセリフこそシリアスだけれど、見た目はやっぱりどこかシュールで。不思議な姿の怪人を前に、ケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)は笑顔を弾ませていた。
「あら~、さすがキマフュー産エネミー! ムキムキボディなのになんておトボケ頭なの♥」
「えねみい? んん、魚と鶏は解るがあの赤いの何?」
楽しげなケイラの隣では、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)がこてんと首を傾げて。サムライエンパイア出身の彼にとって、あの手のウインナーは馴染みのないものなのだろう。
「あれ、トーゴ知らなかった? あれね、タコさんウインナーだよ」
「たこさんうぃんな? ……たこ、たこ?」
なんだかタコという割には、おとぼけのような。思い出すのは故郷の大きなタコさんだが、世界や文化も違えば小さなタコさんもいるのかもしれない。
なんとなく納得しているトーゴの隣では、相変わらずケイラがニコニコしていて。
「あたしチキンちゃんが気に入ったかも~。ほら、つぶらな目とトサカがキュートだよ」
「ああ、鳥の類はそんなに見た目も違わないな。なんとなく分かるな」
おさかなさんもおさかなさんだよねー、なんて言葉を重ねていれば、動いたのは怪人達のほうだ。
「おのれ猟兵、我々を放っておいてほのぼのするな!」
怒りの怪人さんが投げつけてくるのはニワトリ兵器にタコさんウィンナーアタック。見た目はシュールだけれど攻撃としてはちゃんとしていそうだ。
敵意を向けられた瞬間、猟兵達はきりっと雰囲気を切り替えて。
「あ、攻撃してきたよ! という訳でこっちも応戦しよう!」
「おう、思いっきりぶっ飛ばしてやろう」
迫る攻撃を回避しつつ、猟兵達もまたユーベルコードの構えを取った。
「よし、ではカワイイ系で参りますぅ♪」
ニワトリ兵器をひらりと躱しつつ、そのままケイラはステップを踏み出す。
軽快な足取りは楽しい踊りに変わり、一歩二歩。同時に眩い花のビームを放てば、ニワトリ怪人も踊りの中へと放り込まれた。
「コケ!?」
「ほらほらニワトリさん! 一緒にダンスしましょ!」
ケイラが更にくるりと踊れば、ビームは強く煌めいて――ニワトリさんをこんがりグリル!
香ばしい香りのチキンさんと一緒に、ケイラの踊りはまだまだ続く。
その最中、ケイラの視線はトーゴへと向けられていて。
「…………」
「トーゴ、黙ってないでリアクションをちょーだい! なぁに? ケイラちゃん可愛いな、ってドキドキした?」
「え。あ、ハイハイねこ耳かわいい」
「雑ー!」
踊りを続けつつもケイラちゃんはお怒りの様子。対するトーゴは頬をかきつつ苦笑いを浮かべていた。
「なんでドキドキせにゃならんのだ、攻撃は凄いと思ったけど」
「あ~そうですか、ドキドキしませんか。知ってたキミってトーヘンボク」
「なんだよ人をトーヘンボク呼ばわり……」
「あ、あとついでに! いつもみたいな殺戮モードはダメですからねっ」
「人を殺戮狂みたいにゆーなよなー。確かに今から怪人はやっつけるけども……」
話を続けつつ、トーゴは迫るウインナー攻撃(熱々のウインナーがこう、飛んでくるのだ)をひらりと回避。
そのままフライパンと菜箸を拝借しつつ、こっそりと敵の方へと向かい出す。
「ケイラは派手に踊っててくれ。その方がオレもやりやすい」
「そんな人を囮みたいにー!」
「実際派手だからいいだろー」
やり取りはコミカルにしつつも、戦いは真剣に。
トーゴはフライパンに高圧電流を流し込み、一気にウインナー怪人と距離を詰めて――。
「――喰らえ」
「ぐぇっ」
すこーんと怪人の頭部を殴り抜いた。
元々こんがり焼けていた感じの怪人は、さらなる熱に当てられこんがりジューシーな感じになっていく。
ならばもっと黒焦げにしてやるまで……トーゴは何度もフライパンを振りかざし、怪人をボロボコに殴っていく。
「や、やっぱりバイオレンスだよ!」
なかなか壮絶な光景にケイラが目を丸くする。それでも踊りとビームのペースは一切落としていないようだ。
そんな彼女をちらりと見つつも、トーゴは攻撃を続けている。
「実際焦げやすいからな……っていうかケイラもニワトリを焦がしてたじゃんか」
「た、たしかに……?」
怪人、美味しそうだし焼きやすそうだから仕方ない。
ケイラのビームとトーゴの熱したフライパンがいい感じに敵を熱していけば、あとは仕上げをするだけだ。
「よーし、焼き鳥かばーべきゅうみたいにしちゃる」
「行け行けー♪」
フィニッシュは菜箸による突き刺しで。すっかり焦げ焦げになった怪人達は、次々振るわれる刺突攻撃により満身創痍となることになった。
彩りはケイラのダンスによる花のエフェクトで。
今日のメニューは怪人のコンガリ焼き、きらきらのお花を添えて。
完成した戦いの結果を見遣り、ケイラとトーゴはハイタッチで喜びを分かち合う。
「やった! 大勝利だね!」
「なんか不思議と楽しかったな……お疲れ様」
こうやって向け合う笑顔こそが、一番の彩りかもしれない――そんな思いが、二人の胸に過って行った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
チル・スケイル
『あの計画』…?
怪人は倒すだけですが、詰問する必要がありそうですね
(※真面目に言ってます)
突撃杖『ストゥーマ・フシロ』を両手に携え、氷の弾丸を撃ちまくります
着弾した氷弾は氷の蛇に変化し、怪人たちを縛り上げます
そして質問に答えない限り、怪人たちは溢れんばかりの凍気に苛まれます。最悪の場合、氷の彫刻になる事でしょう
さあ、|拷問《インタビュー》の時間です
『計画』についてお答えください
※細かい事はお任せします
●
「くっ、我々の計画が……!」
猟兵達の猛攻からどうにか逃れつつ、怪人達は立て直しの準備をしている様子。
チル・スケイル(氷鱗・f27327)はそんな彼らを追跡しつつ、険しい表情を浮かべていた。
「『あの計画』……? きっと良からぬことを企んでいるのでしょうね。怪人は倒すだけですが、詰問もしなければ」
実際怪人の計画はふわふわしているようだが、それでもチルは真剣だ。『ストゥーマ・フシロ』を両手にしっかり握りしめ、目指すは怪人達の元。
どうやら彼らは巨大な冷蔵庫ゾーンへ逃げ込んだようだ。
「ちょうど良かったですね。寒い場所なら得意ですから」
チルは氷の魔法を操る冒険者。彼女からしてみれば、怪人達は最早飛んで火に入る夏の虫どころか、飛んで凍りつく美味しい食材といったところか。
兎にも角にも、まずは相手を捕まえなければ。チルは冷蔵庫に突っ込むと同時に、氷の弾を発射しだした。。
「冷厳なる白蛇に、我が氷雪を巡らそう。出よ、氷蛇」
淡々とした呪文と共に放たれる氷弾は、一瞬で氷の蛇に変貌すると怪人達を縛り上げていく。
「ギャーッ! 凍る、凍る!」
「冷凍フィッシュと冷凍チキンと冷凍ウインナーになってしまう!」
怪人達は一瞬にしてチルド食材と化して、その場に正座させられることとなった。
そんな彼らの元に、チルはまっすぐに詰め寄って。
「この魔法はあなた達が質問に答えない場合、冷気を放ち続けます。最悪の場合、氷の彫刻になる事でしょう」
「な、なんと……」
「さあ、|拷問《インタビュー》の時間です。喋れるうちに話す事を、強く推奨します……『計画』についてお答えください」
漂う冷気に負けないくらい冷たいチルの声色に、怪人達はぶるりと身を震わせる。しかし――。
「だ、誰が話すか! あの偉大な計画を!」
怪人達は一切口を割るつもりはないらしい。チルは小さく息を吐くと、更に魔力を高めていく。
「……これでもまだ話す気になりませんか?」
「ひっ、私のヒレが!」
見ればサカナ怪人の尾ひれとかが、もうカチコチになっている。少し力を加えれば割れてしまいそうだ。
更に魔力を高めれば、タコさんウインナーの足や鶏の鶏冠も凍りつき始めていて。
いよいよ限界を感じたのか、怪人達は諦めたように笑顔を見せていた。
「わ、我らの計画は……ふふ、みんなをタンパク質まみれにして……マッチョにすることだ……」
「みんなマッチョになれば……キング・ブレイン様の配下にも相応しいだろうしな……」
計画自体はふわふわしていたが、彼らも彼らなりに悪事を企んでいたのは事実のようだ。
その全容を聞き届け、チルは魔法杖を握り直す。
「……教えていただきありがとうございます。ですが、やはりその計画は見過ごせませんね
相手が真剣ならば、こちらも真剣に。
チルは決意を籠めて氷の魔術を展開し、一気に怪人達から熱を奪っていく。
そして全てが凍りつく時、戦いもまた静かに終わるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携歓迎
プロテイン…深い意味はないんですが以前ふと筋肉を付けたいと思いたち、お茶にプロテインを入れれば気軽に美味しく摂取できるのではと研究してたんですよ
最終的にプロテイン抜きにしたら満足いくお茶ができたので色々悟りました
…何の話でしたっけ
UCで|ゴーストの皆さん《お茶友》を招待して戦っていただきましょう
あの怪人の姿ですとネコ科かイヌ科っぽい外見の人が来たら喜びそうですね
ようこそお茶会へ、今日のお相手はあちらのサカナ怪人でしたのでゆっくりご歓談…(しょっぱいタンパク質ー!と叫びながら怪人へ向かっていくゴースト達を見送って)
…プロテイン入りのお茶やお菓子って実は需要ありますかね…?
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戦場に突入するより少し前。ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は施設の入口を見上げつつ、思案を巡らせていた。
施設名の「プロテイン・クッキングスタジオ」は怪人の性質、すなわちタンパク質が由来なのだろう。けれど一般的に「プロテイン」と言われれば、健康や筋トレのために摂取する食品を思い浮かべる人が多いはず。ディルもその一人だ。
そんな彼も年頃の青年である。筋肉をつけるため、プロテインを飲んでみようかと思い立ったことだってあるのだ。
そしてディルは生粋のティーソムリエである。そんな彼が効率的にプロテインを取るために、お茶と共に飲むことを考えるのは自然な流れだろう。
どのくらいの比率でプロテインを混ぜればいいか。どの茶葉と相性がいいか。何度も何度も研究を重ね、出した結論は――。
「最終的にプロテイン抜きにしたら満足いくお茶ができたんですよね、うん」
しみじみと思い出を振り返りつつ、ディルは施設内へと足を運ぶ。あれ、なんの話をしていたんだっけか。
ディルの頭上に「?」が浮かぶ頃――迫ってきたのは、ドタドタという足音だ。
「貴様ーップロテインをバカにするかーッ」
ディルの先程の呟きにツッコミを入れるべく、満身創痍の怪人達は命懸けで走ってきていた。
「いえ、お茶とプロテインの関係について考えていたんですよ」
「プロテインは最強だぞ! ほら、ミルクティー味のプロテインとかあるだろ!」
「確かにそういう商品もありますが、私の場合は紅茶が基礎でして……という訳で、あなた達にはお茶の素晴らしさを教えましょう」
ディルが自然な流れで紅茶を淹れると、その香りに乗じるように|お茶友《ゴースト》達が姿を現す。今回のお茶友はキマイラの近い存在のようで、シルエットはどこか動物的だ。
ちょうどおさかな怪人がサカナ攻撃も繰り出そうとしている。ここはお茶友達に任せた方がいいだろう。
「ようこそお茶会へ、今日のお相手はあちらのサカナ怪人でしたのでゆっくりご歓談……」
「しょっぱいタンパク質ー!!」
お茶友、本能には抗えない。彼らはディルの案内より早く怪人達に駆け寄ると、爪をバリバリしたり歯を突き立てたりと好き放題。
なんというかジェノサイドな感じだ。そんな彼らの様子を眺めつつ、ディルはお茶を淹れ続け、出来上がれば自分で一口。今日も美味しい。
お茶に惹かれたゴースト達は、プロテインも大好きな訳で。やっぱりこの双方にはちゃんと需要があるのだろう。
「……プロテイン入りのお茶やお菓子って実は需要ありますかね……?」
まだまだ研究すべきことは沢山あるのだろう。
新たな見聞を広めるディルの隣で、すっかり食べ尽くされた怪人達は成仏していった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『フューチャークッキング!』
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POW : 料理やお菓子作りは気合い!
SPD : 料理やお菓子作りは計算!
WIZ : 料理やお菓子作りはアイデア!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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怪人達は無事に倒され、彼らの計画も阻止することが出来た。
こうしてキマイラフューチャーに残されるのは、超本格的な超巨大調理施設『プロテイン・クッキングスタジオ』。
従業員になる予定だったキマイラ達も乗り気だし、施設自体はこれからも安心安全に運用されるようだ。
そして実施予定だった贈り物キャンペーンも無事に開催されることとなる。
調理場には様々な食材に道具、ラッピングのための道具が並べられていて。
これらは自由に使って構わない。
誰かに贈る料理を作るも良し。自分で食べる料理を作るも良し。
この近未来の世界で、何かを手作りすることにきっと意味があるのだから。
ザクロ・シャハブ
落ち着いたところで料理でも作るか
「友達に振る舞いたいな…ポトフを作ろうと思う」
材料はキャベツ、人参、じゃが芋、玉ねぎ、ソーセージ…まぁ、茹でるのに適した野菜とか肉が余ってればそれでも良い
人参、じゃが芋は火が通るのが遅いから先にちょっと茹でる
そして材料全部入れて弱火で煮込む
コンソメ、塩コショウは好みで
「簡単?まあ温かい料理と考えたらこの料理が最初に浮かんだ」
特別感があるとは言いにくい
でも俺は身近にある料理で感謝を伝えたいと思った
「それに、ポトフは真面目にやると長時間煮込む料理だから、ある意味手が込んでるぞ」
じゃが芋、人参に串が通ればOK
「最近寒いから温かい料理を振る舞って、たくさん話してくれ」
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過酷(?)な戦いを乗り越えて、ザクロ・シャハブもほっと一息。
せっかくだから調理場に足を運び、何かを作ってみようか。
「そうだな。友達に振る舞いたいな……ポトフを作ろうと思う」
スタッフのキマイラ達にも声をかけ、まず用意するのは材料達。
キャベツにじゃがいも、玉ねぎにソーセージといった一般的な材料と、人参も勿論忘れずに。
それらの材料を下拵えしたら、まずは人参とじゃがいもを鍋の中へ。
暫くして柔らかくなれば、残りの材料も一緒に茹でて。
まだ味付けもしていないけれど、材料の煮えていく香りはどこか心地の良いものだ。
「味付けしたらもっと美味しくなるだろう、うん」
コンソメと塩コショウで味を整えれば十分美味しい。
シンプルながらも王道なポトフを前にして、ザクロの耳はぴくぴくと動いていた。
それから暫くすれば、無事にポトフも完成だ。
「それで、念のために味見を頼みたいんだが」
ザクロは手近なキマイラ達に声をかけ、早速ポトフを振る舞っていく。
「温かい料理と考えたらこの料理が最初に浮かんだ。簡単だが、味は保証する」
スタジオで行われているのは「贈り物」をテーマにしたイベントだ。その場で作るとなると、ポトフは些か家庭的かもしれない。
特別感、という点では一歩遅れを取ってしまうが、それでもこの選択は間違っていなかったと感じている。
その理由をキマイラ達に問われれば、ザクロは耳をぴくりと動かして。
「俺は身近にある料理で感謝を伝えたいと思った。それに、ポトフは真面目にやると長時間煮込む料理だから、ある意味手が込んでるぞ」
キマイラ達はなるほどー、と感心しつつポトフを味わっている様子。
誰もがほっこりとした表情を浮かべる様に、ザクロも内心温まる心地がした。
しっかり茹でたじゃがいもや人参はホクホクで美味しいし、他の材料も優しい味わいと調和している。
外は寒くとも、大変な戦いのあとでも。このポトフを食べれば、誰もがきっと心穏やかに過ごせるはずだ。
それに材料もレシピも家庭的だから、キマイラ達もきっと真似しやすいに違いない。
「最近寒いから温かい料理を振る舞って、たくさん話してくれ」
ザクロ先生の言葉を受けて、キマイラ達も「はーい!」と元気に返事して。
こうやって生まれる暖かなやり取りもまた、一つの贈り物の形だろう。ザクロは確かに、それを人々へと伝えたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
山立・亨次
【華熊】
じゃあ作るか
(必ずしもプロテインを入れる必要はないのでは、という言葉は呑み込んだ)
プロテインチョコバーな……
レーズンと、苺もスライスして入れるか
……ん、じゃあ計量頼む
ココア味のソイプロテインにベーキングパウダーを混ぜといて
バターとチョコをレンジで加熱
溶けたらよく混ぜて、苺とレーズン投入
さっき混ぜた粉も加えて更に混ぜて
全体が纏まるように様子見ながら牛乳も少しずつ混ぜて……
型に入れて平らにして、後は焼いて冷やして、チョココーティングで出来上がりだ
トッピングはあんたがするんだろ
……腹筋……?
(取り敢えず先輩の望むまま余ったチョコを腕型に形成)
………………ありがとう……??(受け取り首傾げ)
壽春・杜環子
【華熊】
れーっつくっきーんぐ!
で、何を作…ぷろていんって?
ほう。ふむ(説明を読み
…体を作る、つまりあなた達の“成長期”とやらには必要なのでは?!
さあ、亨次くんがんばって!
わたくし味見となんかきらきらって魔法かける係で良いんですのよ!
…って言ったら本当に味見係に
なんということでしょう―わあ美味しそう…あ!
苺とレーズンも…?計るのやります!
出来上がりに小さく拍手
わ、凄いあの魔法の粉が美味しそう!
おっといけないデコの番
ねぇねぇ亨次くんこういう腕のチョコくださいな?
チョコバーに腹筋を書いて、腕チョコつけて
ネットでみたポーズを生成
…ふう!見た目からムキムキです
ふふ、最初の一つはあなたの分ですからね!
●
キマイラフューチャーに楽しい施設が出来たと聞きつけ、笑顔いっぱいで足を運ぶのは壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)だ。
「れーっつくっきーんぐ! さて何を作りましょうか!」
「色々揃ってるみたいだからな。何でも作れそうだが……」
杜環子の後方では山立・亨次(人間の猟理師・f37635)が設備を観察している。業務用の設備を見ているだけでも次々レシピが浮かんできそうだ。
一方杜環子が気にしているのは――恐らく怪人の置き土産と思われる、なんだかメタリックな袋だった。
「……ぷろていん?」
見慣れない袋を持ち上げざっと説明に目を通り、ふんふんと頷いて。
「……亨次くん亨次くん」
「どうした?」
「ほら、このぷろていん。『体を作る』って、つまりあなた達の“成長期”とやらには必要なのでは?!」
そう言いつつ目を輝かせる杜環子とプロテインの袋を交互に見遣って、亨次も一度頷いて。
「ぷろていん、使いましょう! さあ、亨次くんがんばって!」
「ああ、分かった。それじゃあこれを使ってみようか」
亨次は素直に袋を受け取りつつも、「必ずしもプロテインを入れる必要はないのでは」なんて思っていたけどそれは内緒だ。
適当に材料を作業台の上に並べれば、準備も万端。亨次の脳内でもレシピが纏まったようだ。
「そうだな、プロテインチョコバーなんてどうだろうか」
「まあ美味しそう。それで……」
早速レシピを考える亨次を前にして、杜環子はにこにこと微笑む。
「わたくし味見となんかきらきらって魔法かける係で良いんですのよ! お料理は亨次くんにお任せします!」
「ああ、任せてくれ。杜環子は適当に寛いでくれていればいい」
「あ、あら。本当に良いんですの?」
杜環子的には半分冗談のつもりだったが、亨次は素直に言葉を受け取り準備を進めている。
もちろんそれは怒っているとかではなく、大丈夫だと判断したからだろうが――こう、ちょっと気まずい。
だから亨次がレーズンやスライス苺をざざざっと取り出した際に、杜環子もすすすっと近づいて。
「苺とレーズンも……? 華やかになりそうですね! それで、わたくしも何か手伝いましょうか?」
「ん? それなら計量、お願いしようか」
「はーい、計るのやります!」
「それじゃあ頼んだ。俺の方もどんどん進めておこう」
亨次は材料が入ったボウルと計量カップなどの道具を手渡し、自分の作業の準備を整える。
先輩後輩、並んでお料理タイムのはじまりだ。
今回亨次がチョイスしたのはココア味のソイプロテインだ。
これにベーキングパウダーを混ぜつつ、その傍らでバターとチョコを加熱。溶けたら纏めて混ぜて、しっかり生地を作っていって。
更に杜環子に計ってもらったレーズンと苺も生地に混ぜ込み、しっかり混ぜ続ける。
水分は牛乳で、入れすぎないように気を付けて。
そうして生地が無事にできれば、あとは型に流し入れて焼いて冷やして――最後にチョコでコーティングすれば、特製プロテインチョコバーの完成だ。
「よし、こんなものだろうか」
「わ、わわわ……」
出来上がったチョコバーを前にして、落ち着いた亨次とハイテンションな杜環子の態度は対照的だ。二人とも、喜んでいるという点では同じだけれども。
「ぷろていん、魔法の粉だったんですね……美味しそうです!」
ぱちぱち拍手をする杜環子に対し、亨次はチョコバーをずずいと差し出して。
「ほら、トッピングはあんたがするんだろ」
「そうでしたデコの番です。それでわたくし、考えがあるのですけど……」
なんだかそわそわしつつ杜環子はぐっと腕まくり。そのままポーズを取るのだけれど、それは普段の彼女とは違う――なんかこう、力こぶを作るようなポーズだ。
「ねぇねぇ亨次くんこういう腕のチョコくださいな? ネットで見たんです。こう、ムキムキの腕に腹筋といった感じの」
「……腹筋……?」
「はい! ぷろていんな感じですわ!」
「…………分かった」
亨次の表情は変わらないが、頭上には「?」が浮かんでいる気がする。
それでも彼は貰ったアイディアの通り、余りのチョコで手早くムキムキ腕を作ってくれた。
その隣では杜環子がチョコペンを使って、格好いい腹筋を書き上げて。
そのままムキムキ腕を合体させれば――ボディビルダーの如きかっこういいチョコの完成だ!
出来上がった品を皿に盛り付け、杜環子はにこにこ微笑んで。
「……ふう! 見た目からムキムキです」
「満足したなら良かった。確かにこう、プロテインな感じだな……?」
まだ微妙に「?」が浮かんでそうな亨次に対し、杜環子はずずいとお皿を差し出す。
「ふふ、最初の一つはあなたの分ですからね!」
「………………ありがとう……??」
亨次の表情はやっぱり変わらないけれど、頭上の「?」は三個くらいに増えた気がする。
首をこてんと傾げる亨次を前に、やっぱり杜環子は満足げだ。
「いっぱい食べていっぱい成長するんですよ。先輩は見守っていますからねっ!」
「ありがとう……その気持ちは大事にさせてもらう」
なんだかんだで、先輩と後輩のバレンタインもばっちりだろう。
同じ作業に勤しみ、共に成長を分かち合う。そういう楽しみが、きっと二人の間に流れているのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイラ・ローク
トーゴ【f14519】と参加
って!キミぃ~
なに帰ろうとしてんのよ!
折角この施設好き放題使えるチャンスなのに~💧
見て!この至れり尽くせりプロユースな設備とユーザーフレンドリーな…
…
そうよね、解んないよね
ここってキッチン、つまり台所なのよ…
ケイラちゃんがキミにお菓子を作ってあげるねっ
パウンドケーキ、あ。ミルフィーユもいいわね
あたしはミルクレープ食べたいかな
キミに聞くとプリンて言いそうだけど
なにが良い?
結局はホットケーキを焼いたわ
んふふ
ふわふわで良い出来♥
バターと蜂蜜シロップもたっぷり♥いい香り~(ねこ耳と猫又尻尾がぱたぱた)
贈り物用には合間に焼いたチョコパウンドケーキ
日持ちするし後であげましょ♪
鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と
怪人もやっつけたしお仕事終わりかねェー
ええ?にわとりと魚とタコういんな倒したじゃん
ぷろーゆうすゆーざふれんどりい?
てかここの施設何するとこなん?研究所、てゆーとこ違うんか?
は?台所?アホみたいにデカいここが?嘘よォスペースワールドの宇宙船でもあるまいし、なに作んだよ
ケイラがお菓子?オレに?
そだねェ桜餅か白玉にきな粉かけたヤツが欲しーな
プリン美味しいけど今は我慢…(←勝手にプリンを食すのは年に2回の掟を課してる)
お、これ知ってる
ホットケーキだろ?
ん、エンパイアには無い感じの甘さだ
美味しーなー
実はお土産にみたらし団子作ってた
ほれケイラ、一本あげる
タレ欲張って漬けんな
零すぞー
●
「怪人もやっつけたしお仕事終わりかねェー」
鹿村・トーゴは身体を解しつつ、自然な足取りで施設の出口へ向かう。あとは報酬なりを受け取って家に帰るのみ、なのだけど。
そんなトーゴの行く手に、すかさずケイラ・ロークが立ち塞がって。
「って! キミぃ~。なに帰ろうとしてんのよ!」
「ええ? にわとりと魚とタコういんな倒したじゃん。他にすることある?」
「ほら見てよ!」
ケイラが指差すのは施設内の素晴らしい設備達。業務用・プロ用の設備が揃ったキッチンは眺めているだけでもなかなか楽しい。
「折角この施設好き放題使えるチャンスなのに~。ほら見て! この至れり尽くせりプロユースな設備とユーザーフレンドリーな……」
「ぷろーゆうすゆーざふれんどりい?」
聞き慣れないカタカナにトーゴがこてんと首を傾げる。けれどその表情からは、もっと根本的なものが読み取れそうで。
「てかここの施設何するとこなん? 研究所、てゆーとこ違うんか?」
「…………そうよね、解んないよね」
トーゴの生まれ育った文化や彼本人の好みを思えば、そんな反応が返ってくるのもさもありなん。
ケイラは少し遠い目をしつつ、ぽそりと言葉を紡ぐ。
「ここってキッチン、つまり台所なのよ……」
「は? 台所? アホみたいにデカいここが? 嘘よォスペースワールドの宇宙船でもあるまいし、なに作んだよ」
「何って、ほら。何でも! 何でも作れちゃうんだから! だから今日はケイラちゃんがキミにお菓子を作ってあげるねっ」
ずずい、と押し切る形でトーゴの背を押しつつ、ケイラはにこにこ笑顔で調理場へと足を運んでいく。
一方トーゴの顔にはまだ微妙な色合いが滲んでいて。それは施設の内容というより、ケイラの発言に対してだ。
「ケイラがお菓子? オレに?」
「そう! せっかくの機会だもん。ほら、トーゴは食べたいものある?」
「そだねェ。桜餅か白玉にきな粉かけたヤツが欲しーな」
「あたしはミルクレープ食べたいかな。パウンドケーキ、あ。ミルフィーユもいいわね……って、あれ?」
自然に会話を続けつつも、今度はケイラが首を傾げる。そういえば、トーゴの回答はなんだか予想外のところにあったから。
「プリンじゃなくていいの?」
「ん……」
ケイラの疑問にトーゴはちょっと目を逸らす。その顔には今日一番の苦悶の色が滲んでいた。
「プリン美味しいけど今は我慢してる……」
プリンは年に2回まで。トーゴが自分自身に課した掟だ。
だから甘いものがいっぱい食べられるチャンスでも、今日は我慢。トーゴの真剣な表情を見遣り、ケイラはふっと微笑んで。
「そういうことなのね。それじゃあ別のものにしましょ。すぐに作ってくるから!」
「ん。分かった」
ぱたぱたと駆けていくケイラの背を見送りつつ、トーゴも周囲をきょろり。
はてさて、何をしようか。
それから少し時間は経って。
ケイラは甘い香りを纏いつつ、トーゴの元へと戻ってきていた。
「じゃーん! ほら出来た!」
にこにこ笑顔のケイラの手元には、ふわふわホットケーキが載せられた皿が。
バターと蜂蜜シロップも用意すれば準備も万端だ。
美味しそうな香りには。トーゴも柔らかな表情を浮かべている。
「お、これ知ってる。ホットケーキだろ?」
「そう! んふふ、良い出来になったわ。一緒に食べましょ!」
二人で切り分けて、シロップとバターもかけたのなら頂きます!
一口食べればふわふわの食感と優しい甘さが口の中を駆け巡る。
「ん、エンパイアには無い感じの甘さだ。美味しーなー」
「上手く焼けたね! ふふ、香りも味も最高!」
のんびりトーゴの隣では、ケイラが耳と尻尾をぱたぱたさせて喜んでいる。
ホットケーキが上手くいったのは勿論、仲のいい友人と美味しいものを分かち合えるのも嬉しいものだ。
食事が終わればしっかり後片付けもして、帰宅の準備を。
その最中、二人がほぼ同時に取り出したのは小さな箱だ。
「トーゴ、お土産にチョコパウンドケーキも焼いたの。日持ちもするし、よかったら食べて♪」
「お、ありがとう。それにちょうど良かった、オレからもこれ」
可愛くラッピングされた箱を受け取りつつ、トーゴも自分の箱を開けて。中には――。
「ほら、みたらし団子。一本あげる。せっかくだしここで食ってくか?」
「いいの? ありがとう!」
ケイラは満面の笑みを浮かべつつ、団子の串を受け取る。タレがたっぷり付けられたお団子は、つやつや輝いていて美味しそうだ。
「っと。あんま欲張ってタレ漬けんなよ。零すぞー」
「そのくらいがいいのよ! ふふ、和風の甘さもいいわね~」
トーゴも自分の分の団子をつまみつつ、楽しげな友人の顔を見遣る。
和風の甘さも洋風の甘さも。生まれも育ちも違っても。美味しいものを分け合える楽しさは、きっと誰も変わらない。
「今日は楽しかったわ! ありがとう!」
「こっちこそ。たまにはこういうの、良いな」
甘い思い出を胸に、二人は並んで帰路につく。
願わくば、また一緒に出かけられますように。そんなことを思いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リグ・アシュリーズ
うーん、なんだか平和な一日ね!
怪人さんも出てこないし、好きなだけお料理できそう!
というわけで、王道のトリュフ!
お茶好きな誰かさん(f37834)と勝手にコラボしちゃおうかしら。
(※相手の手元見てない)
まずは、二色の刻みチョコに温めた生クリームを注いで、
バターと一緒にゆっくり混ぜ合わせるわ!
そうね……ちょっとアクセントで、
シナモン、マーマレード、山椒とチリペッパーでスパイストリュフに。
まるめたチョコをパットに移して、
余ったのを「はい、あげる!」と誰かさんに手渡し。
食べてもいいけどお料理に入れてもいいのよ?(※見てない)
あとは冷やせばできあがりね!
でもスパイス余っちゃった……使、う?(※見てない)
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携可
さてプロテインの研究をしても良いのですが…バレンタインが近いのです。イベントに備えてお菓子を作ってみましょう
予行練習という奴ですね
今年のバレンタインのお菓子は苺とチョコレートにしてみましょう
ということで。苺のムースタルトとチョコケーキにしましょうか。苺は甘く、チョコは少しビターに作ります
食べやすく一口サイズにしますね
合わせるお茶ですが。チョコの香りを優先させてアッサムのミルクティーですかね…ならCTCでも…ですがダージリンも…(以下延々と悩みまくる
…っていけないこんな時間…ま、まだ時間もあるし持ち帰りましょう
●
「うーん、なんだか平和な一日ね!」
ぐぐーっと伸びをしつつ、リグ・アシュリーズは施設の中を歩いていた。
ちなみに彼女、これまでの騒動は全く感知していない。彼女の中にあるのは楽しく料理していた記憶だけだ。
「怪人さんも出てこないし、好きなだけお料理できそう! バレンタインらしいもの、作っちゃう!」
いくつかの材料を手にとって、早速調理場へ。その最中目に入ったのは、見覚えのある青年の姿だ。
リグの視線の先にいたのはディル・ウェッジウイッターだった。彼もどうやら、今からお菓子を作ろうとしている様子。
「さてプロテインの研究をしても良いのですが……」
せっかくのバレンタインだ。予行練習も必要だろう。先輩や友人達も何やら作っていたという話を聞いているし、自分も、という訳だ。
ディルもまた手際よく材料を集めていけば、リグの姿が目に入って。
「ああ、どうも。リグさんもお菓子作りで?」
「ええ! 王道のトリュフでも作ろうと思ってるわ!」
「いいですね。私は何を作りましょうか……」
ディルの方はしっかりリグの材料も観察しているが、リグの方はあんまりディルの手元を見ていない。
とりあえず「二人ともお菓子作るんだな」くらいのふわっとした認識だ。それで多分、困らないだろう。きっと。
という訳でお料理タイム。
リグは早速ビターチョコとホワイトチョコを刻んで、温めた生クリームやバターと一緒に混ぜていく。
これだけの甘いものをたっぷりと使えるのは、故郷では考えられなかったことで。甘い香りが鼻をくすぐる度に、笑顔が溢れてしまいそうだ。
「でもせっかくだから、ちょっと凝ったこともしたいわよね……」
そこでチョイスするのはシナモン、マーマレード、山椒にチリペッパー。
それらをチョコと混ぜわせることで、スパイストリュフにしようという訳だ。
甘いだけではない、大人な香りにリグの顔はやっぱり笑顔。
さてさてどんなチョコが出来るだろうか?
隣から漂う香りを味わいつつ、ディルもまた自分の作業を進めていく。
「オーソドックスなものもいいですが……そうですね、苺なんかも使いましょうか」
シルバーレインで購入するとなかなかお高い苺も、キマイラフューチャーなら使い放題だ。
だから苺をたっぷり使って、まずは甘酸っぱいムースタルトを作り上げて。
それなら合わせるチョコはビター風味がいいだろう。ビターチョコケーキをさっと焼き上げれば、苺の甘い香りとのハーモニが楽しい。
出来上がったお菓子はしっかり一口サイズに切り分けて、他の人に渡しやすいように。
それに一口のサイズが的確なほうが、紅茶にもきっと合わせやすいだろう。
出来上がったお菓子を満足気に眺めていれば――目に入ったのは、此方をちらりと見つめるリグの姿だ。
「リグさん、どうされました?」
「はい、あげる!」
ずずい。リグが差し出したのは、少しスパイシーな香りのするチョコ生地だ。
「食べてもいいけどお料理に入れてもいいのよ? 紅茶ともきっと相性いいでしょうし!」
「おお、なるほど。スパイスを入れる手もありましたか。ありがとうございます、いただきます」
ディルも笑顔でトリュフを受け取り、一つしっかり味わって。
自分ひとりで思いつかないレシピに出会えるのも、こういう場の特権かもしれない。
「でしたら私のものもどうぞ。苺のムースタルトとチョコケーキです」
「わっ、ありがとう! いただきます!」
リグもディルからお菓子を分けてもらい、早速食して。
甘酸っぱい苺も、ビターなチョコも。どちらの味わいも楽しくて、幸せだ。
「ふふ、お互い上手く行ってそうで良かったわ。私の分は、あとは冷やすだけなんだけど……」
そう言いつつリグが差し出すのは、余ったスパイス類だ。
「……使、う?」
「ふむ……そうですね。参考にさせていただければ」
ディルはスパイス類を受け取りつつ、再び調理台の元に立つ。
次に彼が用意するのは――ティーセットだ。
「チョコの香りに合わせてアッサムのミルクティーを淹れようか迷っていたんです。CTCやダージリンも捨てがたく……スパイスと合わせるのも……」
「おお……流石ティーソムリエ。本格的ね……」
今度は二人でお悩みタイム。
プロテイン・クッキングスタジオはなんでも作れる。だからこそ選択肢も無限に増えるし、迷う時間もたっぷり増える。
きっとトリュフが固まる時間になっても、紅茶の選択肢はまだまだ溢れ出るだろう。
そうなったら、出来上がったお菓子類を纏めて持ち帰ろうか。
「リグさん、良ければ紅茶も一緒に考えませんか? 他の方の意見があれば、私も助かりますし」
「勿論! いくらでも相談相手になるわ!」
怪人との戦いはカオスだったし、お菓子作りや紅茶選びもそれぞれのペースで。
それでも不思議と噛み合うのは、猟兵達の縁があってこそかもしれない。
楽しく美味しい時間は、穏やかに過ぎていく。
最後に手元に残るのは――出来上がったお菓子達と、楽しいお茶会の時間。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
チル・スケイル
いつもお世話になってる3つの旅団のみなさんに、手作りのスシを贈りましょう
いつも楽しい話やためになる話を聞かせてもらって
マグロ、サーモン、イカ、タマゴ、巻き物…色とりどり、かつ奥ゆかしい王道のスシを作りたいです
スシネタを切るのはいいのですが、スメシを作るのは少し自信がないです…
道行くキマイラの皆さんに聞いてみましょうか…すみません、質問があるのですが…
…この板(タブレット)で?ケンサク?
なるほど、質問すると答えてくれるのですね
ではよろしくお願いします、タブレットのケンサクさん(タブレットにお辞儀)
●
贈り物、と聞いてチル・スケイルが思い浮かべるのは、世話になっている旅団の人々だ。
いつも楽しい話やためになる話を聞かせてもらっているお礼を籠めて、自分が作るのならば――やはり手作りのスシだろう。
キマイラフューチャーのコンコンコンを駆使すれば、魚介類を入手するのは難しくない。
マグロにサーモン、イカといった魚介類は勿論、タマゴに巻き寿司などなど。ざっと思い浮かべるだけでも、ネタの種類には事欠かない。
それらを色とりどり、かつ奥ゆかしいスタイルに仕上げれば、王道の美味しく綺麗なスシが出来上がるに違いない。
材料集めは簡単に済ませられるし、スシネタを切ったり焼いたりといった行為も問題はない。
備え付けられた設備は立派なものが多いが、シンプルな包丁や扱いの難しくないコンロも備え付けてある。
それらを駆使してスシネタを作る傍ら、チルの脳裏に浮かぶ不安は。
「……スシネタは用意できましたが、スメシは少し自信がないですね……」
あの美味しいスメシは、どうやって作ればいいのだろう。
困ったチルが周囲をきょろりと眺めれば、目に留まったのはスタッフのキマイラだ。
ゴールデンレトリバーがベースらしいキマイラは、愛らしいエプロンを身に纏っている。どうやら料理を教えてくれる先生のようだ。
チルはキマイラの元まで歩み寄り、丁寧に頭を下げる。
「すみません、質問があるのですが……」
「どうしました?」
「スメシを作りたいのですが、作り方を教えていただけないでしょうか?」
「ああ、お寿司を作ってらっしゃるんですね。まずはすし酢を作ってご飯と合わせて、ってやっていくんですけど……僕が説明するより、こっちのほうが分かりやすいかな」
そう言いつつキマイラが取り出したのは、一枚のタブレットだ。
「この中にレシピアプリがあるんで、それで検索してもらえたら。分かりやすい説明が出てきますよ!」
「……この板で? ケンサク?」
アックス&ウィザーズの冒険者であるチルにとって、機械の扱いは不慣れなものだ。
だから操作の方法もキマイラに聞いて、まずは勉強して。どうやらこの黒い板、質問を投げかければ答えてくれるらしい。
「なるほど、質問すると答えてくれるのですね」
「はい! 美味しいお寿司、出来るといいですね!」
「ありがとうございます」
チルはタブレットを片手に、自分の調理スペースへ戻る。
適当な場所にタブレットを置いたのなら、ぺこりとお辞儀して。
「ではよろしくお願いします、タブレットのケンサクさん」
『こんにちは、よろしくお願いします! ご要件をどうぞ!』
「それではスメシの作り方を……」
その後チルは、タブレットの力を借りて無事にスメシのレシピを知ることが出来た。
タブレットと力を合わせて作ったスシは、思った通りの美味しさで。
暖かな達成感を胸に抱きつつ、チルはしっかり協力者達に感謝の気持ちを述べるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エリシャ・パルティエル
イロハ(f10327)と
新しい施設みたいだし宣伝のお手伝いが出来ればって思うの
コンコンコンもあるし手作りは少数派かなって
だからこそ手作りの良さを伝えていきましょ!
スタッフさん、良かったら楽しい手作りクッキングの動画を撮って
施設の紹介とかしたいんだけどいいかしら?
さあ、撮影開始ね!
「お菓子作りは難しいって思ってない?
意外と簡単にできるものもあるのよ!」
猫ちゃん柄のエプロンをつけて
まずは入門編!
マシュマロに串を刺して…
それをレンジでチンして溶かしたチョコにつけて
固まる前に好きなトッピングして冷やすだけ
色とりどりのスプレーチョコにアラザン
星やハートのシュガーにナッツ類もあるわよ
「入門編が楽勝ってあなたはこちらはどう?
SNSでも映える恵方巻風ロールケーキよ!」
この施設は使いやすくていいわね
ふふ、イロハ可愛く撮れてるわよ!
ちょっと形が個性的でも手作りってそういうもの
オンリーワンよ!
愛情込めて作ったものは可愛くラッピング
ね、わくわくするでしょ?
みんな『プロテイン・クッキングスタジオ』へ遊びに来てね!
冬原・イロハ
エリシャさん(f03249)と
アドリブ歓迎
私もプレゼントでいただいたエプロンをつけて
「ここは新施設『プロテイン・クッキングスタジオ』。超巨大調理施設なのですって! クッキングが初めてのキマイラさんも、簡単、可愛い、美味しい! お菓子が作れる入門編です」
カメラにぐーんと顔を近づけてご挨拶
「簡単、可愛い、美味しいお菓子作りはエリシャ先生が教えてくれます」
先生とスタッフさんの方へカメラを回してもらって
私は恵方巻風ロールケーキを作ってみます
生地はホットケーキの粉
扱いやすい設備に感動しながらクッキング…生クリームがあっという間に(はわ)
…スポンジにふわっと塗って、イチゴを置いて…(奮闘)
あっ、カ、カメラさん、向こうはもう終わったんですか!?
緊張しながらくるくると巻いていきます
一本目は歪だけど、二本目はちょっとだけ上手にできたかしら?
手作りってひとつひとつが個性豊かかも!
と、失敗してても全力笑顔をエリシャさんとカメラに向けて
可愛くキャンディラッピングでお菓子たちを包んで、出来上がり!
●
「こんにちは、キマイラの皆。ここは新しい施設みたいだし、宣伝のお手伝いが出来ればって思うの」
「私も、エリシャさんと一緒にお手伝いしたいです」
施設に訪れてすぐ、提案されたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)と冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)の優しいアイデア。
それはすぐさま採用されて、一瞬で撮影用の機材が揃う。その辺りの手際の良さも、良い意味でこの世界らしい。
色々なものがすぐ動画にできて、コンコンコンで必要なものも揃えられる。それはこの世界の大きな利点だろう。
その中で手作りの良さを伝えたい、というのもまた大切なことで。エリシャとイロハの思いは、キマイラ達にもよく伝わっていた。
今回撮影するのは手作りクッキングの様子。料理が好きな猟兵達だからこそ、きっと楽しい様子が伝えられるはずだ。
エリシャとイロハはお気に入りのエプロンを纏い、早速調理場へと足を運ぶ。
エリシャが纏うのは可愛らしい猫ちゃん柄のエプロンで、イロハのはプレゼントで貰ったケットシーサイズのエプロン。
お気に入りのものを身につければ、ぐっと気合も入るというものだ。
それじゃあ早速――撮影スタート!
「ここは新施設『プロテイン・クッキングスタジオ』。超巨大調理施設なのですって! クッキングが初めてのキマイラさんも、簡単、可愛い、美味しい! お菓子が作れる入門編です」
動画のスタートは、ぐぐっとカメラに顔を寄せたイロハの笑顔から。
「簡単、可愛い、美味しいお菓子作りはエリシャ先生が教えてくれます」
「ごきげんよう! お菓子作りは難しいって思ってない? 意外と簡単にできるものもあるのよ! という訳で、今日は簡単なお菓子を紹介するわ!」
カメラが回って、今度は手を振るエリシャを映し出す。その隣にイロハも立って、スタッフ達も笑顔を向けて。
導入部分はばっちりだ。猟兵達はそのままスタッフの手も借りて、早速調理を始めていく。
入門編ということで、まずはシンプルな料理から。
エリシャが用意したのは串に刺したマシュマロに、レンジでチンして溶かしたチョコレート。あとはトッピング用のカラフルな材料達だ。
「使うのはこれだけだし、包丁や火も使わないわ。でもね、こうやって組み合わせると……」
まずはマシュマロにチョコを絡めて、そのままスプレーチョコやアラザンを振りかけて。
他にも可愛らしいシュガーの飾りに香ばしいナッツもトッピングすれば、見た目から楽しいお菓子の出来上がり。
「ほら、可愛いでしょう? あとはチョコがしっかり固まるまで、冷蔵庫で冷やすだけね」
そう言いつつエリシャが取り出すのは、先に作っておいたチョコ掛けマシュマロ。
料理番組によくある「事前に作っておいたのがこちらです」というやつだ。
「このまま食べても美味しいけれど、可愛くラッピングするのも良いわよ。それにマシュマロだけじゃなくて、ビスケットやフルーツを使っても美味しいわ。皆も作ってみてね!」
マシュマロ片手に手を振って、入門編はこれでおしまい。
「入門編が楽勝ってあなたはこちらはどう? SNSでも映える恵方巻風ロールケーキよ!」
エリシャはそのまま、別の調理台で頑張るイロハの元を目指していく。
時間は少し遡り。イロハはエリシャとは別に、もう少し複雑なお菓子を作っていた。
「私が作るのは恵方巻風ロールケーキです。ホットケーキの粉とクリームと、フルーツと。材料も難しいものはありません」
イロハの手元には、既に焼かれた生地が並べられている。
その横で道具を借りて、生クリームを泡立てようとするが――流石キマイラフューチャー。泡だて器も超高性能だ。
「はわ、生クリームがあっという間に。すごい施設です……」
感動をそのまま胸に、今度は飾り付けだ。
生地の上にふわふわの生クリームをふわっと塗って、その上にはイチゴをいい感じのバランスで置いていって。
その眼光は鋭い。こう、職人的な感じだ。
「イロハ、とっても格好いい顔になってるわね」
「はわ!? エリシャさん」
声をかけられれば、思わず勢いよく顔を上げて。イロハの目に飛び込んだのは、にこにこ笑顔のエリシャとカメラのレンズだ。
「あっ、カ、カメラさん、向こうはもう終わったんですか!?」
その言葉にカメラさんが返すのはサムズアップ。エリシャの様子からも、彼女がしっかり仕事を終えたのは伝わってきている。
「この施設、使いやすいから頑張っちゃった。ふふ、イロハも可愛く撮れてるわよ!」
「はわ……そ、その。頑張ります」
イロハはまだ照れている様子だけれど、お菓子に向ける表情は真剣。
エリシャに見守られつつトッピングを終えれば――ここからは緊張の一時だ。
トッピングを終えた生地を、ぐっと握って。
イロハはゆっくり呼吸しつつ、ロールケーキを巻いていく。エリシャはイロハが緊張しすぎないよう、少し後ろで見守っていた。
「……あら」
一本目は無事に巻き終わったけど、少し形が歪で。けれどコツは掴めた。次はきっと。
「もう一本巻きますね……!」
「イロハ、頑張って!」
応援を受けながら巻いていけば――新たなロールケーキは、可愛らしく丸まった!
「ちょっとだけ上手にできたかしら?」
「ええ! それにね。ちょっと形が個性的でも手作りってそういうもの、オンリーワンよ!」
ほっと息を吐くイロハに、エリシャが優しく微笑みかける。そのアドバイスはイロハも、動画を見ている人も勇気づけてくれるだろう。
「手作りってひとつひとつが個性豊かかも! それにとっても楽しかったです!」
「それなら良かった。愛情込めて作ったんだもの、可愛くラッピングもしちゃいましょう!」
「はい!」
エリシャにつられるように、イロハも楽しげに笑みを浮かべて。
二人で出来上がったお菓子をラッピングすれば――出来上がったお菓子達は、なんだかきらきら輝いているようだ。
マシュマロは小さな袋に入れて、リボンで可愛く彩って。ロールケーキもキャンディラッピングにすれば、可愛さと上品さが混ざり合う。
無事にお菓子が出来たのなら、最後はしっかり締めなくては!
「ね、手作りってわくわくするでしょ? みんなも『プロテイン・クッキングスタジオ』へ遊びに来てね!」
「ありがとうございました!」
動画のラストは出来がったお菓子と共に、笑顔で手を振るエリシャとイロハ。
こうして出来上がった動画はすぐに編集され、アップロードされることとなった。
二人がキマイラ達と作った動画は大バズりし、スタジオにも多くのキマイラが押しかけることだろう。
あの二人の猟兵さんみたいに、可愛いお菓子が、楽しい料理が出来たのなら。みんなきっと、そう思うはずだから。
その思いが皆の胸に宿ったのは――何よりも猟兵達が楽しそうだったから。
撮影が終われば、猟兵達も互いの健闘を称え合う。
「エリシャさん、今日はありがとうございました」
「こちらこそ。イロハと一緒にお菓子を作れて、とーっても楽しかった! また一緒に作りましょうね!」
「はい! 色んなレシピ、教えてもらいたいです!」
こうやって交わす約束も、手作りのように暖かいものだった。
大成功
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