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第二次聖杯戦争㉑〜ベンジャミン・リターンズ

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #キリング・フィールド #生と死を分かつもの #閻魔王 #ベンジャミン・バーニングバード

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●予知:閻魔王発見!
 かつて金沢大学の工学部があったという小立野。
 そこは今や、恐るべき『|闇の大穴《キリング・フィールド》』と化している。
 立ち込める漆黒の闇の中は、まるで人類の過去から未来のすべてが混ざったような街並みとなっている。

 穴の開いた掘っ立て小屋。巨大な防空壕。
 天を突くほどの鉄塔に、壊れた線路と横転した大型バス。
 様々な建物や遺物が並ぶ中、その中央箇所。
 祭壇のように積み上げられた屋根の上に、彼は佇んでいる。

 『生と死を分かつもの』。
 閻魔王を名乗る謎めいたオブリビオンである。

「見つけたぞ、お前が閻魔王だな!」

 静寂を引き裂くように、騒々しい声が響き渡る。
 閻魔王が視線を向けた先には、一体のオブリビオンが立っている。
 そこにいるのは、もふもふした着ぐるみのゆるキャラ。
 昨年末に撃破されたカクリヨファンタズムの猟書家幹部の一人。
 『ベンジャミン・バーニングバード』である。

「ユリ様! シズク様! このぼく、ベンジャミンが閻魔王を見つけたよ!」
「さあ、一緒に来てもらおうか! 抵抗しても無駄だよ!」
「クエエエエ! クエックエエエッ!!」

 ベンジャミンと、ベンジャミンが率いる数多の新しい妖怪であるゆるキャラの軍団が武装して閻魔王を包囲する。
 閻魔王を雇い主であるオウガ・フォーミュラのもとへと連れて行くことができると、舞い上がっての有頂天だ。
 だが、ベンジャミンたちは知らない。
 ここがシルバーレインという異なる世界であることも、自分たちが閻魔王と呼ぶオブリビオンの懐から召喚された存在だということも。

「…………ふむ」

 騒々しく喚きたてる猟書家に視線を送り、閻魔王は仰々しい様子でつぶやく。

「……ふたつの三日月、銀色の雨の時代。……久しく、久しく忘れていた。
 ……|吾人《われわれ》は既に『骸の海』なれば、戯れに世界に染み出すもまた必定か」
「何言ってるんだろうこいつ」

 ベンジャミンが首をかしげるが、閻魔王は頓着する様子はない。
 閻魔王はベンジャミンたちの思惑には、関心はないのだ。

 確かに閻魔王はカクリヨファンタズムの猟書家が探していた存在だ。
 だが、オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』 が欲しているものは、閻魔王から『大祓骸魂』の手に渡った懐刀『|生と死を繋ぐもの《ヤマラージャ・アイビー》』なのだ。
 偽物の世界を殺し、爆死と蘇生を繰り返す。
 そんな二人の病を断ち切ることのできる、何でも殺すことができるモノであって……彼女たちが求めているものは、『生と死を分かつもの』ではない。
 それでも。
 閻魔王を名乗るものを発見すれば、『生と死を繋ぐもの』の手掛かりが得られるかもしれない。

「トゥルダクよ、再会の悦びに啼いているのか。地獄の獄卒よ、カクリヨは今も健在であるか」
「うん? まあ、まだカクリヨは健在だけれども。そんなことより、大人しくついてきてもらおうか!」
「かつて吾人の眼前には『生の世界』が、背後には『死の世界』が広がっていた。
 いまや吾人の前では万物が渾然となり、時すらも未来に流れるとは限らない」
「どういうこと?」
「……まもなく、世界の宿敵である吾人を討つために、六番目の猟兵たちが訪れよう」
「なんだって!? ぼくが見つけた閻魔王を横取りしようというのか!」

 ベンジャミンたちが驚き、そして士気を向上させる。
 ようやく見つけた閻魔王という、雇い主の|指令《オーダー》を果たす成果。
 それを前にして、奮起しないはずがない。

「ベンジャミン・バーニングバード。
 吾人を求むるのであれば、猟兵たちを退けてみせよ。さすれば……」
「|All right《わかったよ》! このぼくが猟兵たちを返り討ちにして、お前を持ち帰るんだ!」
「クハハハハッ! 選りすぐりの精鋭であるこのぼくなら何の障害にもならないね!
 ユリ様とシズク様の病を治す唯一の手段である閻魔王、必ずお届けするよ!」
「そうすればぼくこそが、ユリ様とシズク様の寵愛を一身に受ける最高峰のゆるキャラとなる!
 ―――予定だ!!」
「クエックエックエエエエッ!!」

 ベンジャミンたちが、戦備えを始める。
 ここが天下分け目の決戦だと思い込み、全身全霊で猟兵たちに対峙しようとする。
 その様子を、『生と死を分かつもの』……閻魔王を名乗るオブリビオンは、何かを「学ぶ」かのような仕草で眺めていた。

●招集:一か月も経たずに再孵化したのか?
「ハロー、エブリワン! ミッション発令デース!」

 年が明けてしばらく経ち、第二次聖杯戦争も終盤に差し掛かろうとしている頃。
 グリモア猟兵のバルタン・ノーヴェが、猟兵たちに招集をかけた。

「今回、ワタシが予知したのは、キリング・フィールド!
 漆黒の闇の中、ごちゃまぜになった町の中に佇むオブリビオン、『閻魔王』の撃退デース!」

 カクリヨファンタムズで噂されてきた存在、閻魔王。
 それがシルバーレインに出現し、オブリビオンとして蠢動しているというのだ。
 かつてのシルバーレインに生じた『生と死の境界線』そのものだという話も聞くが、当時のことを知らないバルタンは詳細を説明することができない。
 ただ、強大なオブリビオンが現れた。その一点だけは、間違いがないことだ。

「正確には、閻魔王を名乗る『生と死を分かつもの』という存在でありますが、まー、お気になさらず!
 閻魔王は猟兵とオブリビオンの戦いを見物するように、自動攻撃に任せて手出ししてくる様子はありマセン!
 ……時々口は出すかもしれマセンガ!」

 閻魔王は、|漆黒の闇《キリング・フィールド》の中に踏み込んだ猟兵を自動的に先制ユーベルコードで攻撃してくるという。
 一時的な制圧、撃退することはできるだろうが、トドメを刺せるかどうかわからないほどの強敵だという。

「そのうえ閻魔王はワタシたちのよく知るオブリビオンを召喚して使役していマース!
 その者の名は……猟書家『ベンジャミン・バーニングバード』!
 先月完全撃破したはずの新しい妖怪であります!」

 プロジェクターに投映されるのは、麦わら帽子を被ったヒヨコの着ぐるみ。
 自動小銃を構え、サバイバルナイフを下げた、経営不振で倒産したUDCアースのとある民間軍事会社のゆるキャラだった存在だ。
 バルタン・ノーヴェとの宿縁により討ち果たされたはずのベンジャミンが、なぜここにいるのか。

「どうやら、閻魔王は骸の海からオブリビオンを自由に取り出せるようであります!
 放置しては際限なくオブリビオンが出現することが危惧されマース!

 倒したオブリビオンを呼び戻す……渾沌氏『鴻鈞道人』を思い起こさせる存在だ。
 野放しにしておくわけにはいかないだろう。

「閻魔王とベンジャミン、二体のオブリビオンによる先制攻撃は非常に厄介デショー!
 しかし! 皆様であれば、必ずやこの強敵を打破できると信じておりマース!」

 倒せなかったらベンジャミンと閻魔王を野放しにするだけだ。
 もし彼らがカクリヨファンタズムに界渡りすることがあれば、今現在も猟兵たちと死闘を繰り広げているオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』のもとへ閻魔王が合流する事態に陥るかもしれない。
 その時、何が起こるか……予想することは、誰にもできない。

「それではエブリワン! よろしくお願いしマース!」

 グリモアを起動して、バルタンがゲートを開く。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回のシナリオは一章構成です。シルバーレインの戦争シナリオとなります。
 『閻魔王と、召喚されたベンジャミン・バーニングバードを倒す』ことが目的です。

 ベンジャミンに関しては、リバーソンのシナリオ『飛べない鳥は空を想う』
 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=45835
 及び、 #ベンジャミン・バーニングバード のタグをご参照ください。
 また、ノベルにて執筆していただいた、IF予兆もございます。
 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=47230

 閻魔王とベンジャミンは、それぞれ先制攻撃ユーベルコードを行使します。
 閻魔王はキリング・フィールドに入った者だけを自動的に攻撃しますが、ベンジャミンたちは全力で猟兵たちを撃破するために知恵を絞ってくることが予測されます。
 召喚されるゆるキャラの軍団、自動小銃やサバイバルナイフによる攻撃、猟兵たちに有効だと判断して召喚する軍用兵器。
 それら先制攻撃ユーベルコードへの対処は必須です。

 プレイングボーナスは、『閻魔王とベンジャミン・バーニングバードの「先制ユーベルコード」に、両方とも対処する』です。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。

 |登場人物《オブリビオン》:『ベンジャミン・バーニングバード』
  カクリヨファンタズムの猟書家の一体です。
  趣味はバーベキュー。特技は銃火器の扱いと肉を削ぎ落とすこと。
  使用する先制攻撃ユーベルコードは、猟兵側が選択したユーベルコードの能力値と同じものとなります。

 POW:あつまれ、ゆるキャラの軍団
 【自動小銃やサバイバルナイフ】で武装した【人々に忘れられたゆるキャラ】の幽霊をレベル×5体乗せた【軍用装甲車】を召喚する。

 SPD:今夜はバーベキューにしよう
 【自動小銃やサバイバルナイフ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

 WIZ:CQ・CQ・BBQ
 いま戦っている対象に有効な【軍用兵器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
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第1章 ボス戦 『生と死を分かつもの』

POW   :    テンタクル・ボーダー
戦場全体に【無数の触手】を発生させる。レベル分後まで、敵は【死の境界たる触手】の攻撃を、味方は【生の境界たる触手】の回復を受け続ける。
SPD   :    キリングホール
レベルm半径内に【『死』の渦】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ   :    閻魔浄玻璃鏡
対象への質問と共に、【無数の触手の中】から【浄玻璃鏡】を召喚する。満足な答えを得るまで、浄玻璃鏡は対象を【裁きの光】で攻撃する。

イラスト:佐渡芽せつこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:復活のバーニングバード・アーミー!

 猟兵たちがゲートを潜った先では、猟書家『ベンジャミン・バーニングバード』率いるゆるキャラの軍団によって野戦築城が為されていた。
 急ごしらえの塹壕を掘り、廃材でバリゲードを構築し、随所に|簡単な罠《ブービートラップ》を仕込み。
 閻魔王『生と死を分かつもの』を中心に据えた、円形の防御陣形を敷いていた。

 多数のゆるキャラたちに囲まれた中央に座す、閻魔王。
 その隣でベンジャミンは、バーベキューを焼いていた。

「「「いえーい!」」」
「クハハッ! 見よ、このBBQ味の|軍用糧食《レーション》!
 部隊の士気もモリモリ上がっているぞ!」
「うーん、|Good tasty《美味しいね》!
 実際に焼いた肉も美味しいけど、瓦礫に潜伏中の部下たちは火を使えないからね!」

 どうやら『|闇の大穴《キリング・フィールド》』の混沌とした有様を有効活用して、廃墟や残骸の陰にも部隊を忍ばせているようだ。
 その中にいるベンジャミンも、ナイフを握って開戦の時を待っていることだろう。
 暗い闇の中、閻魔王の放つ『死』の渦に合わせて切り込んでくることが予想される。

「ほら、閻魔王! お前も食べるといい! 力がつくぜ!」
「……その肉は、吾人なのだがな」
「HAHAHA! 細かいことは気にするな! 無数にあるんだからさ!
 食べるとほら、何か回復するし」

 ベンジャミンは閻魔王(の触手)を削ぎ落しては串に刺し、味付けをしてジューシーに焼いている。
 その香りと美味しさに、ゆるキャラの軍団の士気は上々だ。
 召喚する軍用兵器のカタログも開き、どのような猟兵が訪れようと対応できるよう万全に備えている。

「大丈夫さ! 閻魔王の触手もぼくたちの連携で上手く活用してあげるよ!」
「ユリ様とシズク様の期待に応えてみせるさ! HAHAHA!」
「クハハハハッ! あ」

 そして。
 キリング・フィールドに入った猟兵たちに向けて、閻魔王の自動的な攻撃が振るわれる。
 それを察知したベンジャミンたちが瞬時に武器を構える。
 待ち伏せという有利の中、ゆるキャラたちは猟兵たちに先制攻撃を加えるのだった。

「|Hey Guy's《野郎共》! |Open Combat《戦闘開始》!」
「「「いえっさー!」」」「クエーッ!!」
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
閻魔王様、実はゆるきゃら好きでしょうかぁ?

『FAS』により飛行、『FMS』のバリアと『FES』の耐物理結界、『FGS』の重力結界を展開し、『FIS』の転移により上方へ一気に退避しましょう。
閻魔王様の『触手』は生える位置から離れることでUC発動までの時間を稼ぎ、ベンジャミンさんの召喚した『幽霊』が此方を狙うなら、武装の性質上攻撃手段は『重力』の影響を受ける『火器類』、バリアと結界の重複で防げる筈ですぅ。

そして、この空間なら余波は無視出来ますので。
【夅皨】を発動し『玉』を形成、六千を超える直径130m以上の隕石雨を降らせ、『祭器』各種でベンジャミンさんに[追撃]しますねぇ。



●初手なるは星堕とし。

「閻魔王様、実はゆるきゃら好きでしょうかぁ?」

 そう呟くのは、自身の成長に合わせて特別に調整した和風メイド服姿を着こなす少女。
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は『祭器』の数々を伴い、『|闇の大穴《キリング・フィールド》』と化した小立野へと姿を見せた。
 るこるは三対のオーラの翼『フローティング・エアロフォイル・システム』により飛行し、浮遊する12枚の円盤『フローティング・ミラーコート・システム』で展開したバリアと20枚の浮遊する布『フローティング・エレメンタル・システム』がもたらす耐物理結界。
 そして重力の操作を行う16本の錫『フローティング・グラビトン・システム』による重力結界を張り巡らせ、万全の防御態勢を敷いていた。
 宙に漂うるこるを目撃したベンジャミン・バーニングバードが、防御陣形の中から声を張り上げる。

「きたぞー! 迎撃部隊、出動ー!」
「ひゃっはー!」「ねらいうつぜ!」「がんほー!!」

 ベンジャミンの命令に応じて出撃するのは、自動小銃やサバイバルナイフで武装した軍団。
 ベンジャミンによって召喚された、人々に忘れられたゆるキャラの幽霊たちだ。
 数百体に及ぶゆるキャラの兵士たちが軍用装甲車に乗り込み、るこるに襲撃を仕掛けるべくキリング・フィールドを疾走する。

「うーん……相変わらず、見た目は可愛いですけど、恐ろしさが有りますねぇ。
 数も増えているようですし」

 放たれた弾丸はバリアと結界に阻まれ、るこるに届くことはない。
 だが、銃撃と連携するように閻魔王の自動触手が追い打ちをかける。
 それは、数分から数時間、戦場全体に無数の触手を発生させ、死の境界たる触手の攻撃を与え続ける《テンタクル・ボーダー》だ。
 動きを察知したるこるは、16本の浮遊する水晶柱『フローティング・インタディクト・システム』を使用して、瞬間移動で上方へ一気に退避する。

「触手も火器類も、『重力』の影響を受ける性質上バリアと結界の重複で防げる筈ですぅ」

 触手の、そして迫りくるゆるキャラの軍団の攻撃が及ばない位置まで舞い上がり、るこるは眼下を見下ろす。
 触手も銃弾も、張り巡らされた重力結界に潰され、るこるのもとまで届かない。
 だが、猟兵たちに攻撃を加えると同時に、生の境界たる触手の恩恵を受けてゆるキャラの軍団が回復することができる。
 触手をどうにかしなければ、ゆるキャラの軍団を倒しても復活してしまうことだろう。
 ゆえに。
 距離というアドバンテージで時間を稼ぎ、るこるはそのユーベルコードを発動させた。

「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『婚星の加護』をお与え下さいませ」

 るこるの周囲に、綺麗な『玉』が形成されていく。
 その数は、六千個を優に超す。
 るこるが形成した『玉』の群れが星のように漆黒の闇の中で輝いている。
 そしてその『玉』―――『星海召喚玉』を纏ったるこるが高くから舞い上がった上空から、下にいる敵の軍団へと攻撃を開始する。

「この空間なら余波は無視出来ますので、遠慮は要りませんねぇ。
 それでは……行きますよぉ」

 ユーベルコード《豊乳女神の加護・夅皨(チチガミサマノカゴ・フリソソグヨウセイ)》。
 形成した『星海召喚』を一つ消費するごとに、直径135mもの『隕石』を一つ召喚するというものである。
 六千個を超える『玉』を消費したことで、キリング・フィールドに六千の流星が降り注ぐ。
 ゆるキャラたちの幽霊たちの悲鳴が、地表に着弾した隕石の轟音にかき消される。

「――――――!!」「――、――――!!」

 おびただしい隕石の雨が、軍用装甲車諸共ゆるキャラの幽霊たちを粉砕していく。
 逃げ場も、隠れ場もない。
 バリゲードも塹壕も区別ない、諸共蹂躙する範囲攻撃だ。

「―――ふむ。『使徒』。体質、資質、そして信仰……なるほど……」

 当然のように、閻魔王の触手も等しく叩き潰されていく。
 だが、閻魔王がしげしげと飛行するるこるを眺めて、何かを『学ぶ』ように視線を釘付けにしている。
 隕石の直撃を受けても観察を止めることのない閻魔王は相手にせず、るこるはベンジャミンに焦点を合わせ、攻撃を集中させるする。

「くっ……! またしても、ぼくの軍団が……! だけど」
「そこですぅ」

 隕石に身構えていたベンジャミンだったが、るこるの祭器……砲台に変形した浮遊する20台の球体『フローティング・レイ・システム』による砲撃を受けて吹き飛ばされ、飛んでいった先で隕石に叩き落される。

「おのれ、るこるー!」
「ひとまずは、このくらいでしょうかぁ?
 あとは皆さんにお任せしましょう」

 隕石を落とし終え、るこるが戦場を見渡せば……驚くべきことに、まだベンジャミンも、ゆるキャラも、そして閻魔王の触手も再び湧いてきている。
 かなりの数を消耗させることはできたとはいえ、容易く殲滅するには至らない様子だ。
 これ以上の手の内を閻魔王に学ばれる前にと、るこるは戦線を仲間たちに託して帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はっはっは、まさか妾が一度ブッ飛ばした相手を見逃すわけがなかろう?
フォローとかアフターケアも万全、きっちり華麗にボコってくれよう!

各種オーラを全身に纏い、更に左腕を前に翳して身体を庇って、
光の攻撃は可能な限り威力を軽減させよう
ベンジャミンの方も射撃系攻撃に誘導しての同じく防御だ
左腕を見せつけておいて、接近戦の選択肢を捨てさせる!

右手を上げ、指を鳴らし、さあ降り注げエモき花々よ!
はーはっはっは! エモい攻撃は幾度繰り返しても美しい!
闇の大穴とかえらくカッコ良いではないか
だが、諸共にすべて埋めるぞ?
土ではなく、花弁の下に還るがよい!
妾自身はガードを続けたまま、もちろん接近されたら左腕で迎撃する!



●その花、その姿、いとエモし。

 隕石により多大なダメージを受けた、閻魔王とベンジャミン・バーニングバードの連合軍陣地。
 そこへ堂々とした立ち居振る舞いを魅せる猟兵が推参する。

「はっはっは、まさか妾が一度ブッ飛ばした相手を見逃すわけがなかろう?」
「なんだ……?」

 全身にオーラを纏い、絶望を粉砕し希望を掴み取る神殺しの『左腕』を前面に翳して。
 真の蛇神にして邪神たるキマイラ、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が参上した。
 絢爛たる菘の様子を見つめて、ベンジャミンははっと気づく。

「お前! 知ってるぞ、ぼくは覚えてないけど記録にある!
 以前ベンジャミンを空高くまで殴り飛ばしていった猟兵だな!?」
「おお、妾を見知っているのか。それは重畳! なーに、安心するがいい!
 妾はフォローとかアフターケアも万全、きっちり華麗にボコってくれよう!」
「やれるもんならやってみろ! 閻魔王ー!」

 ベンジャミンの要請に応じて、閻魔王が面を上げる。
 触手に覆われた顔ばせの奥に在る瞳が、菘をじっと見据える。

「……キマイラ。数多の生物を掛け合わせた生命。
 汝の在り方、生き様……世界を、現在を如何とす。
 如何にして生きようというのか」

 閻魔王は菘へと問いかけると共に、無数の触手の中から鏡が召喚して光を照射する。
 《閻魔浄玻璃鏡》。
 菘から満足な答えを得るまで、浄玻璃鏡から放たれる裁きの光が菘を焼き続けることになるだろう。

「ふっ……!」

 だが、菘は意に介することなく『左腕』を翳して光の威力を軽減させる。
 ひたすらに受け身に回る菘の防御態勢を見て、攻め時と判断したベンジャミンが軍用ヘリを召喚する。

「CQ・CQ・BBQ! そのまま光を当て続けるんだ閻魔王!
 ぼくが後ろに回り込んで、無防備な背中を蜂の巣にしてあげるよ!」
「はっはっは……思い通りに動いてくれるものよ!」

 菘の防御は、ベンジャミンの行動を誘導するためのものだった。
 ベンジャミンの一体をカクリヨファンタズムの空の果てまで殴り飛ばしたという、菘の『左腕』。
 その渾身の一撃を警戒し、その上閻魔王のユーベルコードにより菘の動きを抑えていると見せかけてることで。
 接近戦を避け、遠距離からの射撃攻撃をするように誘発させたのだ。

 ベンジャミンのヘリが菘の頭上に差し掛かったその時。
 菘は笑顔で右手を上げ、|指を鳴らす《フィンガースナップ》。
 甲高い音と共に、菘がユーベルコードを発動する。

「さあ降り注げエモき花々よ!
 真にバトルに必要なのは何たるか、解さぬならば花に散れ!」

 次の瞬間、空から無数の花弁が降り注いできた。
 それは、空に召喚した魔法陣から菘に対して敵意や戦意といった負の感情を向けた対象へと与えるダメージを伴う花の雨。
 《花驟雨(ヘリオガバルス)》!
 花びらは命中率が非常に高く、ベンジャミンの操縦する軍用ヘリを容赦なく包み込む。

「なっ!? 何だこれは!? さ、避け切れな、うわあああ!」
「はーはっはっは! エモい攻撃は幾度繰り返しても美しい!」

 操縦不能に陥った軍用ヘリ諸共、ベンジャミンが墜落する。
 そこへ追い打ちをかけるように、落下して来るベンジャミンを迎撃する菘。
 接近してきた軍用ヘリを正面から、『左腕』で殴り飛ばす!

「喝采せよ! これぞ妾の一撃よ!」
「ぎゃああああ!!」

 軍用ヘリが粉々に砕かれ、中にいたベンジャミンは錐揉み回転をしながら漆黒の闇の中へと消えていく。
 絶え間ない裁きの光が菘に向けて照射されているが、次々に降り注ぐ無数の花弁によって、浄玻璃鏡が埋められる。
 閻魔王から菘に対して敵意はなく、自動攻撃によるものであるため裁きの光が停止することはないが……花弁に遮られることでその威力は軽減され、『左腕』によるガードを続ける菘を焼くことは無くなった。

「……それが、汝か。汝の行く末か」
「……フッ。はーっはっはっは!」

 高笑いを上げる菘は、閻魔王の再三の問いに答えない。
 『|闇の大穴《キリング・フィールド》』の大地へと延々と落ちてくる花弁に、徐々に触手が埋め尽くされていく。

「闇の大穴とかえらくカッコ良いではないか。だが、諸共にすべて埋めるぞ?
 土ではなく、花弁の下に還るがよい!」
「……実に、愉快な戯れである。汝の歩みの賜物か」
「はーっはっはっは! それはだな……」

 美しい花びらを十分に撒き散らしながら、菘は笑顔で『左腕』を握り直す。
 その視線は、残存するベンジャミンたち軍団ではなく閻魔王へと向けられていた。
 そして……右手で操作し、配信動画の画面端に必ず表示されてるデフォルメIC『ミニミニ妾マーク』を見せつける。

「妾の活躍が知りたければ、配信中の動画を見るがよかろう!
 アーカイブで過去の動画も視聴できるぞ!」
「ほほう」

 菘の動画に夢中になる閻魔王。
 しっかりと動画配信の宣伝を行い、菘はチャンネル登録者数を増やすことに成功した。
 大丈夫、ここで撃退すれば問題にはならないはずです。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジェン・カーム
機神搭乗

生と死を分かつもの…この世界の冥府の神ともいえる存在でしょうか
「いや…あれは生死という概念そのものかもしれないよ。モルス君の方が近いのかな?」(鴉立体映像

資料は読みましたが…とてつもなく恐ろしい方ですね
だからこそ…挑みましょう

【戦闘知識・オーラ防御】
閻魔王とベンジャミンの動きを分析
同時に光のオーラを展開し隠れた敵の位置も察知
「って何してんの此奴ら!?」
慌てないで
彼ら何人も潜んでます

対先制
【空中戦・武器受け・弾幕・念動力】
念動障壁展開
念動光弾の弾幕を展開し敵の銃撃と死の渦に対抗し飛び回りながら回避か剣で受止

【二回攻撃・切断】
UC発動
破壊の波動を展開し蹴散らしながら閻魔王に波動を叩き込む!



●閻魔王と冥界神。

「生と死を分かつもの……この世界の冥府の神ともいえる存在でしょうか」
「いや……あれは生死という概念そのものかもしれないよ。モルス君の方が近いのかな?」

 賢者の石で構成され鴉の立体映像と言葉を交わし、戦場を見据える銀髪の|トライブ《エンドブレイカー》。
 彼の名は、アルジェン・皇・カーム(銀牙狼・f38896)。
 小世界にある都市の一つ、天津神楽の武家に産まれ、とある目的のために多世界を巡る猟兵である。

 鴉の本体であるキャバリア、意思を持つ相棒の冥皇神機『プルートー』に搭乗し、閻魔王を見据えている。
 閻魔王もまた、何かを『学ぶ』ようにじっと『プルートー』を見つめている様子だ。

「資料は読みましたが……とてつもなく恐ろしい方ですね。
 だからこそ……挑みましょう」
「クエーッ!!」
「うおっ、着ぐるみが突っ込んでくるぞ!」

 自動的に攻撃を繰り返す閻魔王の触手が迫る中、戦場を駆け抜けてベンジャミン・バーニングバードがサバイバルナイフを手に襲い来る。
 『プルートー』を《今夜のバーベキューにしよう》とでもいうのだろうか。
 ベンジャミンの躊躇いのない突進を避けるべく、アルジェンは上空へ移動する。
 その回避行動を狙い閻魔王が《キリングホール》を放つが、アルジェンはその動きを分析して機敏に飛び回り、『死』の渦を回避する。
 『|闇の大穴《キリング・フィールド》』という漆黒の闇の中、威力が三倍に上昇しているユーベルコードも、当たらなければ支障はない。
 そして光のオーラを展開して、戦場を探知するアルジェン。
 瓦礫や廃墟の陰に無数のベンジャミンが潜み、自動小銃を『プルートー』に向けていることに気が付いた。

「慌てないで。彼ら何人も潜んでます」
「って何してんの此奴ら!?」
「「「クキョキョキョキョッ!」」」

 一斉に立ち上がり、自動小銃による弾幕を浴びせかけるベンジャミンたち。
 ぐるぐるとした瞳のどこに焦点があるのかわからないが、命中率を重視した弾丸は精確に『プルートー』を捉える。
 その物理的な銃弾を、アルジェンは念動障壁を展開して受け止める。
 『死』の渦と弾丸の連携攻撃に対処しながら、閻魔王とベンジャミンへの反撃のユーベルコードを発動させる。

「大丈夫です。ぷっさん! その力……今こそ示しましょう!」
「ああ、行こうアルジェン!」

 『プルートー』が瞬いた次の瞬間、大量のベンジャミンたちが粉砕された。
 それは、『プルートー』から放たれる万物を分解崩壊させる波動。
 《対神滅殺機構『冥界の神』(スピアオブハーデス)》!

 単純な銃火器とナイフだけを装備したベンジャミンたちでは、冥府の神がもたらす破壊からは逃れられない。
 猟書家たちを蹴散らして、数多の瓦礫を巻き上げながら、『プルートー』が時速13500kmで飛翔して閻魔王へと突進する。

「クエーッ……!」「ギャギギギギ……!」
「おお、おお……! 何という輝きか……!」
「受け取れ、閻魔王!」「これが、僕とぷっさんの力です!」

 アルジェンと『プルートー』が、万物を分解崩壊させる波動を閻魔王に叩き込む。
 その勢いに、『生と死を分かつもの』が上下真っ二つに割断された。

「おお、おお……これぞ、異界の……冥界の神の力か……」
「やはり一筋縄では行きませんね」「だが、痛手は与えられた。深追いは避けよう」

 分かたれた閻魔王は、その身の触手をくねらせて再集合を遂げる。
 だが、その意気、活力は大幅に削られているようだ。
 少なくない数の潜んでいたベンジャミンも撃破し、敵陣を崩したアルジェンは十分な戦果を上げたと判断し、この辺りが切り上げ時と見て戦線から離脱するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結城・有栖
…ゆるキャラ再びです?

「今回は触手も一緒ダケドネー。
飛んでくる攻撃に注意しなヨ」

任せてください、オオカミさん。
その為のトラウムです。

今回はトラウムに乗り、シュトゥルムシステムで飛翔させて出撃です。
銃弾などの細かい攻撃は風の【オーラ防御】で受け流し、死の渦は【野生の勘】で察知して【見切り、空中機動】を使って回避します。

攻撃に対処しつつ、UCでトラウムの周囲にオウムさん達を12羽召喚したら、反撃開始です。
シュトゥルムの風を使い、【魔獣戦技・烈風一閃】で音速の斬撃波をオウムさん達の模倣と合わせて一斉に放って攻撃です。

オウムさん達が消えても竜巻は残ると思うので、敵陣に飛ばして【追撃】してあげます。



●多重竜巻包囲陣。

「撃てー! 撃てー!」
「撃ち落とせー! 焼き鳥にしてやるんだー!」
「ベンジャミンの敵討ちだー!」
「……ゆるキャラ再びです?」

 無数の触手とゆるキャラたちが蔓延る戦場を、キャバリアに乗る小さな猟兵が見下ろしていた。
 数多の自動小銃から放たれる銃弾を風のオーラ『シュトゥルムシステム』で受け流し、結城・有栖(狼の旅人・f34711)は相棒であるオウガと共に空中を機敏に駆けていた。

「今回は触手も一緒ダケドネー。飛んでくる攻撃に注意しなヨ」
「任せてください、オオカミさん。その為のトラウムです」

 オウガブラッドのアリスナイトである有栖は、魔女のような姿をしたキャバリア『トラウム』に搭乗して『|闇の大穴《キリング・フィールド》』へと馳せ参じていた。
 以前、有栖の身に宿すオウガである『オオカミさん』の力を借りて翻弄し、叩き落したベンジャミン・バーニングバードとの再会だ。
 だが、かつて倒した相手であっても有栖は油断をすることなく、『シュトゥルムシステム』を使用して飛翔し続けている。
 滞空して留まることがないように飛び続ける『トラウム』の中で、有栖はベンジャミンたちの攻撃に交じって放たれる自動攻撃を察知すると、素早く回避行動を取る。

「来ますね」「当たらないヨー」
「……ふむ。風に好く馴染んでいる、か。
 それに……その身に宿す、オウガとも、実に……」

 閻魔王の自動攻撃《キリングホール》の発動を察知し、数十メートルに及ぶ『死』の渦を野生の勘で回避していく。
 範囲が広く、命中すれば生命力を奪われる恐るべきユーベルコードも、その発動の流れを見切って華麗に宙を舞う有栖を捉えることはできない。
 しかし、躍起になって自動小銃を乱射し続けるベンジャミンたちと違い、閻魔王はじっと『トラウム』を……有栖と『オオカミさん』を見つめ続けている。

「……見られてますね」「かといって、手を抜ける相手じゃないヨ」
「そうですね。それなら……オウムさん達、出番ですよ」

 頃合いを見て、空中で態勢を整えた有栖がユーベルコードを展開する。
 『トラウム』の周囲に突如として、真ん丸なオウムが12羽召喚される。
 《想像具現・モノマネパロット(ソウゾウグゲン・モノマネパロット)》。
 有栖の想像から具現化された、有栖のユーベルコードを模倣するオウムたちである。

「ほう」「何か増えたぞ!?」「キャラ被りかっ!?」
「反撃開始です。行きますよ、オオカミさん」
「あいよー! 音速の斬撃、見きれるカナ?」

 有栖たちは『シュトゥルムシステム』の巻き起こす鋼をも切り裂く烈風を用いて、ユーベルコード《魔獣戦技・烈風一閃(レップウイッセン)》を繰り出していく。
 速度マッハ5.0以上の烈風を纏った斬撃が、音速の斬撃波となって戦場に降り注ぐ。
 触手も、そしてベンジャミンたちも。
 有栖と、オウムたちが模倣する計13本の風の刃に切り裂かれていく。

「ぐああああ!!」「ぎゃああああ!」「緊急回避ー!」
「ん。何人か避けられましたか」「オウム達の模倣は命中率が低下するからネー」
「でも、オウムさん達が消えても竜巻は残るので」

 間一髪難を逃れたベンジャミンもいたが、斬撃波が通り過ぎた軌跡には複数の烈風の竜巻が残留していた。
 体勢を崩したベンジャミンたちは、無数の竜巻から逃れることはできない。
 あっという間に烈風に囲まれ、ベンジャミンたちは竜巻に巻き上げられていく。

「うわあああ!!」「と、飛ばされるぅ!」「ぐえええっ!」
「これでこのあたりのベンジャミンさんは一網打尽ですね」
「ほう……なるほど……これが、アリスナイト……」

 ベンジャミンたちが切り刻まれていく中、閻魔王は泰然とした様子で迫る竜巻を眺めている。
 防御陣形を蹂躙する追撃の竜巻に呑まれ、触手諸共閻魔王もまた切り刻まれていく。

「効果はあるみたいです、けど……これ以上長居するのは良くなさそうですね」
「それじゃあ撤収しようカ」
「はい。帰りましょう」

 閻魔王が持ち直し、再び触手を張り巡らせる前に。
 有栖は『トラウム』の踵を返して、漆黒の闇に包まれた戦線から帰路につくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴鹿・小春
うーんあの生と死を分かつものがマスコット…?連れてるとは。
縷々モードとかの穴埋めにでも使ったり?
名に学ぼうとしてるかわかんないけど学ばれる前にゆるキャラBBQの材料にしちゃわなきゃね!

破魔の力織り交ぜたオーラ全身に纏いガード、結界術で強度上げて死の触手に対抗。
触手の動きは集中して見切り密度薄い方へ回避しつつ鮫剣でぶった切って道切り拓くよ!
幽霊軍団連れた装甲車が来たら小銃持ちには猟銃で狙い撃って牽制しつつ近づいてくるのを電撃纏わせた斬撃波で纏めて斬って生命力奪取!
UC準備できたら発動しつつ呪詛の罠ばら撒き敵を食い止めベンジャミンへ針金猟犬の群れを、閻魔王に紅蓮撃叩き込むよ!

※アドリブ絡み等お任せ



●再び見えし、生と死の境界線。

「うーん、あの生と死を分かつものがマスコット……? を連れてるとは。
 ルルモードとかの穴埋めにでも使ったり?」
「ほう……。汝は、……銀色の雨の時代の、生き残りか」

 閻魔王『生と死を分かつもの』と対峙するのは、ロマンと綺麗なものが大好きな銀誓館卒業生。
 真クルースニクの真カースブレイド、鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)だ。
 かつての強敵を前に妖殺しの鮫剣『つうれん』を抜き、笑顔を浮かべて相対している。

 小春は自動的に攻撃を仕掛けてくる無数の触手、死の境界たる《テンタクル・ボーダー》に対抗するべく、結界術で強度を上げた破魔の力を織り交ぜたオーラによる防御を纏って防いでいた。
 視界から溢れるほどの触手の動きに集中して見切り、鮫剣を振るって密度の薄い箇所を狙い、道を切り開いていく。
 どれほど強敵であろうと構うことはない。
 閻魔王に一撃を叩き込むため、小春は真っ直ぐ前進していく。

「懐かしい。久しく忘れていた輝き……吾人に想起させてくれるものよ……」
「何を学ぼうとしてるかわかんないけど、学ばれる前にゆるキャラをBBQの材料にしちゃわなきゃね!」
「言ったな! 《集まれ、ゆるキャラの軍団!》 こいつをBBQの具材にしてやれ!」
「「「ひゃっはー!」」」

 突き進む小春の前に割り込むように、ベンジャミンとゆかいなゆるキャラの軍団が集まり攻撃態勢に入る。
 軍用装甲車に乗り込んだ数多のゆるキャラの幽霊たちが、武装した自動小銃を小春に向ける。
 だが、ゆるキャラたちが引き金を引くよりも素早く小春は動く。
 クイックドロウで祖父が使用していた熊撃ち用の『詠唱猟銃』を抜き、連射する。
 的確に狙い打たれた魔力の銃弾がゆるキャラたちを威嚇し、敵軍の射撃攻撃を牽制しているのだ。

「ははは! 元気のいい幽霊たちだね!」
「くっ! かまうな、このまま轢き潰せー!」

 装甲頼りに加速して、小春を轢き殺そうとアクセルを噴かせる軍用装甲車。
 それに向けて、小春はカウンターで電撃を纏わせた斬撃波を叩き込む。
 車両ごと両断されたゆるキャラたちから生命力を奪取し、自身の魔力へと転換していく。

「うわーっ!」「やられたー!」「ベンジャミンさまー!」
「何て奴だ……! 銃も車もダメなら、人海戦術だ!
 閻魔王の触手と連携して、白兵戦だーっ! ぼくに続けー!」
「「「ラジャーッ!」」」

 ゆるキャラたちが生の境界たる《テンタクル・ボーダー》を受けて回復し、ベンジャミンと共にサバイバルナイフを手にして小春へ殺到する。
 無数の触手と共に飛び掛かるゆるキャラの軍団だが、その時にはすでに小春はユーベルコードを発動する準備を完了させていた。

「よーし、土蜘蛛と処刑人の力、たっぷり味わわせてあげるよ!」

 次の瞬間、ベンジャミン率いるゆるキャラの軍団が次々に貫かれ、噛み砕かれ、捕らわれていく。
 小春が移動する時に呪詛で作り設置した処刑の庭の罠が作動し、敵の軍団を食い止めているのだ。
 これぞ、小春のユーベルコード。
 《処刑の檻(パニッシュメント)》だ。
 極めてレベルの高い呪詛で仕込まれた罠の数々は、民間軍事会社のゆるキャラだったベンジャミンの目をもってしても見抜けない。

「うわああああ!」「いたたたたっ!」「あばっ、ばばば!」
「な、バカな、このぼくが、敵のブービートラップにかかるだなんて……!」
「一度かかれば何度でも、何人相手でも再起動できるんだよね!
 さあ、行ってこい『針金猟犬』!」

 狼の力を混ぜ込んで作り出した|漆黒の鉄靴《レッグギロチン》『騒速』から放たれる殺戮ハウンドの群れがベンジャミンに噛みつく。
 ベンジャミンは手にしたサバイバルナイフで抵抗するも数多くの猟兵を捌き切ることは適わず、貪られるように噛み倒されてる。

「あ、あ、あっ……! ユリ様! シズク様ーッ!」
「……土蜘蛛に、処刑人。なるほど、人狼騎士の末裔よ。それが、汝の……」
「さーてね? これ以上観察させるつもりは、ないよっ!」

 障害を排した小春が一気に閻魔王へと接近する。
 自らが呼び出したベンジャミンが倒れようとも何ら反応を見せない閻魔王は、無防備にただじっと、小春を見つめている。
 呪剣を変形させたチェーンソー剣による紅蓮撃を叩き込まれてもなお、怪しく光る眼差しが逸らされることはない。

 しばしの間攻撃を繰り返してから、小春は再生した触手に囲まれる前に閻魔王から離れ、無事なうちに戦場から撤収するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリー・フランツ
心情:くそぉ、あの鳥頭はマヌケだが部下の数が多い。
こりゃキツい戦いになりそうだ。
手段:敵の先制攻撃は周辺の瓦礫、または個人携帯型磁場展開式偏向フィールドによるバリアで受け流す、長持ちせんからホントにヤバい時に発動させよう。
閻魔王からの問いはなんだ?
死生観か?
そんな禅問答みたいな事なんぞ知るか!

先制を凌いだら反撃だ、【宇宙海兵強襲部隊】を召還、相手がゆるキャラ軍団なら此方も数で攻める。
ついでに鳥頭に持参したクソ不味い戦闘糧食も食わせてやる、これがホントの糧食ってもんだ。

閻魔王には俺も含め残存する海兵隊の集中攻撃、俺のブルパップ式小銃の弾やプラズマグレネードも全部くれてやる



●傭兵の生き様。

 戦場となった小立野の各地にて、猟兵たちの活躍により猟書家ベンジャミン・バーニングバードたちとその仲間のゆるキャラの軍団が次々に撃破されていく。
 敵軍が用意していた陣地も破壊され、バリゲードもブービートラップも失われた今、ベンジャミンはユーベルコード《CQ・CQ・BBQ》により召喚した軍用兵器の戦車を操縦し、閻魔王の自動攻撃と連携して一発逆転を狙い攻勢に出ていた。

「クハハハハ! どうしたコソコソと! ぼくが怖いか、猟兵!」
「くそぉ、あの|鳥頭《ベンジャミン》はマヌケだが触手の数が多い。
 部下のゆるキャラ共は他の奴らが片づけてくれたが……こりゃキツい戦いになりそうだ」

 激しい砲撃は冷静に回避して、副武装の機関銃は瓦礫を遮蔽にして逃れて。
 厳しい宇宙環境で生き抜いてきた、頼りがいのあるスペースシップワールド出身の傭兵にして『|闇の大穴《キリング・フィールド》』に現れた最後の猟兵。
 ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は敵軍の猛攻をしのいでいた。

「やれー、閻魔王! お前の力を見せてやるんだ!」
「……問おう、高き空の果て、星々が瞬く闇の中に生きし者よ」

 ベンジャミンが操る戦車がキャタピラを動かして瓦礫を乗り越え、あちこちの隙間から触手たちが湧いて出る。
 頑丈な戦車を盾にして無数の触手が合わさり、浄玻璃鏡を召喚する。
 ヴィリーへの質問と共に、閻魔王は《閻魔浄玻璃鏡》の裁きの光を放射する。

「チッ! ……閻魔王からの問いはなんだ?」

 瓦礫に身を潜めるヴィリーを見つめて、閻魔王が問いかける。
 この場に現れた猟兵たちからは得られなかった、閻魔王からの質問。
 満足な答えを得るまで、裁きの光が浄玻璃鏡から放たれ続けることになる。

「如何して生きようとするのか。何を成して死するというのか。
 数多の死を臨み、数多の死をもたらし、数多の生を勝ち取った汝は。
 果たして、何を得られるというのか。答えは、如何に」
「……死生観か?」

 照射される裁きの光を、ヴィリーは咄嗟に個人携帯型磁場展開式偏向フィールドを展開して受け流す。
 どれほど威力のある攻撃であろうと、降り注ぐ光は光学兵器やエネルギー弾と同じ、ビームのような攻撃である。
 出力の都合上長持ちせず短時間しか展開できないが、この偏向シールドを張れば閻魔王の攻撃と言えども耐えることはできる。
 稼いだ時間で、ヴィリーは閻魔王の問いの内容に思考を割いた。

「よくやった閻魔王! そのまま抑えておけ!」
「……何を言うかと思えば……」

 意気揚々とベンジャミンが戦車の砲口をヴィリーに向ける。
 だが……その火が噴かれる前に、ヴィリーが問いに答える。
 閻魔王の質問に声を張り上げて応答し、そして反撃に転じる。

「生だの、死だの……そんな禅問答みたいな事なんぞ知るか!」
「……それが、汝か」
「俺は俺だ、文句あるか!」
「……なるほど」
 
 ヴィリーの答えに納得したのか、裁きの光が弱まった。
 その隙を見逃さず、ヴィリーはユーベルコードを展開する。
 直ちにヴィリーと閻魔王たちの間に、揚陸挺が召喚される。
 無重力でも重力下でも運用できる飛行型強襲揚陸挺から、650人の重装甲気密服を着用した宇宙海兵隊が現れる。

 《宇宙海兵強襲部隊(スペースマリーンゴーストショウカン)》。
 レーザーライフルやロケット砲、近接武器で武装を固めた海兵隊の幽霊を召喚するユーベルコードである!

「行くぞ野郎ども、今日は死ぬには良い日だ!」
「なっ……! これは、こんな兵力を温存していたのか!」
「相手の数は減っている、こっちの方が数が上回った。総員、攻めろ!」

 驚くベンジャミンの戦車に向けて何十発ものロケット砲が叩き込まれ、麦わら帽子を被った猟書家が吹き飛んで地面に転がった。
 戦場に蔓延る無数の触手の群れも、海兵隊が装備する高周波振動剣で切り捨てられ、パイルバンカーやレーザーライフルで貫かれていく。
 触手とベンジャミンという障害を失った閻魔王は、抵抗する様子もなくじっとヴィリーを見つめ続けている。
 そんな閻魔王目掛けて、ヴィリーは海兵隊たちと連携して集中攻撃を浴びせかける。

「とっておきだ、たっぷりくれてやる」
「|善哉《よきかな》」

 『ブルパップ式小銃』の擲弾が、蒼白い爆炎を放つ『プラズマグレネード』が。
 人類の火器がこれでもかと『生と死を分かつもの』に叩き込まれ、その身を焼いていく。
 常ならば過剰なほどの火力を以てして、ようやく閻魔王の存在感が薄れていく。
 撃破に成功したのか、撃退できたのか、閻魔王の行く末はわからないが……少なくとも、この場から閻魔王はいなくなった。
 猟兵たちは、小立野を奪還することに成功したのだ。

「……ふー。ひとまず、これで作戦は成功でいいんだな。
 ……あとは、あいつか」

 閻魔王が消失したと判断して、ヴィリーは最後に残った一体だけとなったベンジャミンに近づいていく。
 警戒を解かない海兵隊を伴って、継戦能力を喪失したベンジャミンを見下ろす。
 部下も、兵器も、バーベキューすらも失ったベンジャミンは、横たわったまま身を起こすことなく閻魔王のいた箇所を見つめ、手羽先を伸ばしている。

「閻魔王、閻魔王……! ユリ様と、シズク様の、もとに……!」
「……やれやれ」

 ヴィリーはため息交じりに、持参した『戦闘糧食』を取り出す。
 塩漬けの肉詰め缶と鉄板のように硬いビスケットのサンドは、長期保存が可能で高カロリーの兵士の味方だ。
 なお味は論外である。
 ヴィリーはブルパップ式小銃を構えたまま、ベンジャミンの口に糧食を突っ込んだ。

「ぐぎゅる」
「これがホントの糧食ってもんだ。覚えていきな」

 控え目に言って不味い物体を食わされたベンジャミンは、もぐもぐと咀嚼して嚥下する。
 ギョロリと瞳を動かして、半眼でヴィリーを睨みつける。

「……こんなものを食べてたら、もっと美味しいものが食べたくなるだろうに」
「そうだな。だから生きて帰ろうって気にもなるのさ」

 乾いた一発の銃声を最後に、キリング・フィールドの戦いは幕を下ろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月26日


挿絵イラスト