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第二次聖杯戦争㉒〜何処までも透明な光

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #聖杯剣揺籠の君

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「お疲れ様。皆が頑張ったおかげでいよいよ最終決戦ね」
 御乃森・雪音(La diva della rosa blu・f17695)はまずここまでの戦いを勝ち抜いた猟兵達へ労いの言葉を贈る。
「金沢大学周辺は、オブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』が支配する白く輝く淫欲の領域に変貌してしまったらしいの」
 そこでは聖杯の力を引き出した揺籠の君が、その全身からあらゆる生物を死の絶頂に至らしめる催淫効果を持つ「いんよくのかぜ」を巻き起こしていて、絶頂に至った者達は「行為を繰り返しながら死ぬだけの獣」となり、死んだ生命全ては揺籠の君に吸収され、彼女をどこまでも強化するようになってしまっている。
「早く制圧しなければ、すぐに日本全域――そのまま地球上全てを覆い尽して全ての命が揺籠の君を強化させるだけの存在となるわね」
 防ぐ手段は唯一つ。彼女を打ち破り、勝利するのみ。
「聖杯は猟兵という存在を「揺籠の君を殺しうる者」と認識したみたい。だから戦いに向かえば一旦「いんよくのかぜ」の放出は止められるわ。揺籠の君は通常の力に加えて、聖杯の力も行使してくるからかなり厳しい戦いにはなると思うけれど」
 聖杯武器は、あらゆる物質を引き寄せる黄金の篭手「神の左手」、突き刺した対象に宇宙の終焉まで癒える事のない毒を注ぐ「リリスの槍」、そして射程距離無限かつ命中した対象のユーベルコードを全て奪う「聖杯剣」の3つ。これらの効果が追加されているため、何らかの対策を取らなければ戦いにならない可能性もある。
「金沢大学は聖杯の効果で水晶の宮殿の様な姿に変貌してしまっているわ。大学内の陸橋で、揺籠の君は猟兵が来るのを待っている」
 最後の舞台を飾る宮殿。雪音が伸ばした手の上で青い光が薔薇を形作り、そこへと繋がる転移の扉が開かれる。
「行ってらっしゃい、戻ってくるのを待ってるわ」


真空。
 見て頂き有難う御座います、真空。(まそら)です。

 プレイングボーナスは【聖杯武器の追加能力に対処する/揺籠の君の先制ユーベルコードに対処する】です。

 1章完結戦争シナリオのため、公開後即受付し、少数採用となるかと思われます。

 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称も)とID】のご記入お願い致します。
 今回のシナリオの構成上、大人数は厳しいかと思います。

 皆様の参加、心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『聖杯剣揺籠の君』

POW   :    うずまくいんよく
【神の左手】による近接攻撃の軌跡上に【いんよくのたつまき】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。
SPD   :    せいはいうぇぽんず
【あらゆる物質を引き寄せる「神の左手」】【癒える事なき毒を注ぐ「リリスの槍」】【対象のユーベルコード全てを奪う「聖杯剣」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    みだらなひとみ
【揺籠の君の淫靡な眼差し】が命中した部位に【淫欲に満ちた思念】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。

イラスト:飴茶屋

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ローズ・ベルシュタイン
アドリブ連携歓迎

■心情
聖杯武器、何とも厄介な能力ですわね。
ですが、どんな武器でも付け入る隙はありますわ。

■行動
聖杯武器は、神の左手に対して【落下耐性】で体勢を崩さない様にしつつ
リリスの槍には【ジャストガード】で突き刺しを防御し【毒耐性】で毒に耐えますわ。
聖杯剣は【見切り】で避ける様にしたり【盾受け】で防御し
ユーベルコードを奪われても、装備中の武器や技能で戦います。

敵の先制攻撃は、思念を流し込まれても【狂気耐性】で平常心を保ちつつ
爆破された箇所も【激痛耐性】で耐えます。

先制攻撃を凌いだら白銀勇霊装(UC)で反撃。
今までに受けた負傷を戦闘力上昇に変えて
【生命力吸収】を加えた『夕の憩い』で攻撃。



 金沢大学……そこにかかる陸橋「アカンサスインターフェイス」。覆う様に形を為した宮殿の中心で、水晶の屋根を透かして落ちる日光が、揺籠の君を照らしている。神々しくも見える光景だが、ここまでの道のりで見てきたものを思えばとてもそうは思えない、とローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は小さく首を振った。
『きましたねりょうへい、ゆりゆりがつよくなるために』
 脳内に直接響く甘く蕩けるような声。しかし、ローズは惑わされる事無く手のロングソードを揺籠の君へと向ける。
(聖杯武器、何とも厄介な能力ですわね――ですが、どんな武器でも付け入る隙はありますわ)
『さあ、ゆりゆりのもとへきなさい』
 ぐん、と身体を引き寄せる力を感じる。ローズは抵抗せずにバランスを保ち、続く攻撃に備えて構えていた剣でリリスの槍の直撃を払い除け避ける。聖杯剣の攻撃を咄嗟に出した盾で受け流すと、引き寄せる力が弱まった瞬間に距離を開いた。
『あきらめなさい、りょうへい』
 盾越しに揺籠の君の視線がローズを捉える。くらりとするような感覚が襲うけれども、今までの経験で培った狂気への耐性で操ろうとする力を振り切り、反撃へと移る。
「今度はこちらの番ですわ――我は纏う薔薇の気高さに等しき極みの鎧!」
 淡い緑を帯びた大振りの薔薇が伸び上がり花開く。中心部が淡く桃色に色づいた花がそのまま白銀へと姿を変えて、ローズを覆う美しい鎧が現れた。
 振り上げた剣は夕陽の色を宿し、手にするローズの髪色と併せて燃え上がる炎の様。かつり、と水晶の床を蹴って距離を詰めたローズの剣が揺籠の君を大きく切り裂く。
『あつめたいのちが……!』
「その力、貴女に渡しておくわけにはいきませんので」
 揺籠の君が蓄えた生命の力がローズの剣に吸い取られていく。切り裂かれた痛みよりも、奪われた力に揺籠の君は傷を押さえながら哀しげな声を零した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カレル・レグロリエン
多分最初は距離を保とうとする僕を引き寄せてくる
それはもう抗わない、抗う手段がない
だから打ち勝つべきは続く槍と剣だ!

……ッ
僕は弱いし、怖い……!
だから、だからこそ……!
使えるものは全部使うッ!!

エステル、妖精たち!
僕の目になって、剣と槍を見て!
僕に向かうその軌跡を、示して……!

エステルたちが示してくれる軌跡から
★窮地での閃きをフル稼働させて最適な動きを算出して
吸い寄せられたままでも★空中機動で身を捻って
Sillainで受け切って見せる!

後は即座に森精之夢を展開して
耐え切るだけだ……!
攻撃は先制攻撃と同様に
エステルたちの助言を受けて都度対応して
森精之夢が切れたらかけ直して
最後まで気は抜かない……!



『そこのおまえも、ゆりゆりにいのちをささげなさい』 
 戦いの場へと踏み込んだカレル・レグロリエン(緑の夢に星を灯す・f36720)へと視線を向けた揺籠の君が先程の戦いの傷を癒そうと、即座に聖杯武器を起動させてカレルを引き寄せにかかる。
 しかし、それは彼の推測通り。
(多分最初は距離を保とうとする僕を引き寄せてくる……それはもう抗わない、抗う手段がない)
 転移する前の説明から取るべき対策をカレルは既に組み立てていた。
(――だから打ち勝つべきは続く槍と剣だ!)
 引き寄せられつつも姿勢を整え、神の左手はそのままに、リリスの槍と聖杯剣の動きに集中する。
「……ッ、僕は弱いし、怖い……! だから、だからこそ……! 使えるものは全部使うッ!! エステル、妖精たち! 僕の目になって、剣と槍を見て! 僕に向かうその軌跡を、示して……!」
 カレルの声に応えて、彼の肩からぴょんと飛び降りたのは小さなリス。そして、エステルと共にカレルを支えるのは、守るように周囲を飛び回る小さな光を纏う妖精達。
 エステルが攻撃の来る方角を示し、妖精達が手を引く様に武器を構える位置を示す。物語を綴る導の形をとるアリスの槍が、揺籠の君の攻撃を受け止め、逸らしていく。事前にある程度予測出来ていていたからだろうか、それとも窮地においての猟兵の勘か。引き寄せられたままの不安定な姿勢から、カレルは怒涛の攻撃をどうにか受けきり、水晶の床に降り立った。
『そのちいさきいのちがじゃまですね』
 揺籠の君の視線がエステルに向く。大切な相棒を傷つけさせるものかとカレルは即座に反撃の為の力を展開した。
「――世界を守る為に。母さんの故郷の力を借りるよ」
 日差しに煌めく水晶の宮殿が、一瞬で日差しを通さぬ深き森へと変貌する。揺籠の君が訝し気に辺りを見遣る間に居る筈の無い複数の気配が現れた。幻影の森妖精達が弓を構え、ひゅんと音を立てて矢が放たれる。幻影のはずの其れ等が露な肌を傷つけ、揺籠の君は目を見開いた。
『これが、りょうへいのちから』
 揺籠の君が幻影ごとカレルを切り裂こうと武器を振るっても、幻影のエルフ達の中に潜んでいるカレルはエステル達の導きで、直撃を受けずに済んでいた。
「まだまだ、最後まで気は抜かない……!」
 Sillain――万年筆の形をしたアリスランスを握ったまま、カレルは必死に戦う。彼の物語を守る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニーニアルーフ・メーベルナッハ
…酷い光景です。
こんな光景を、全ての世界に広げるなど、何としても止めねばなりません…!

神の左手の先制UCによる引き寄せを利用し接近を試みます。
竜巻にだけ巻き込まれぬよう、跳躍と【蟲使い】で操る蟲達に引っ張って貰うことでの回避を。
聖杯剣は攻撃動作から斬撃の発生位置とタイミングを【瞬間思考力】で判断し、屈んだり跳躍したりで回避。
槍も同様に躱しますが、避けきれない場合はブレンネン・ナーゲルでの受け流しを。
一つを躱したところに他の攻撃が来る可能性を踏まえて、回避を行います。

UC発動可能となり次第土蜘蛛の檻を発動、糸で僅かなりとも行動を制限の上で、吸収した腕力に【怪力】を上乗せした一撃を打ち込みます。



「……酷い光景です。こんな光景を、全ての世界に広げるなど、何としても止めねばなりません…!」
 ニーニアルーフ・メーベルナッハ(黒き楽園の月・f35280)は転移してからこの水晶の宮殿までの短い距離の間ですら確認できた異常な光景を思い返す。このままなら其れが地球全てに広がるなど、許せるわけが無い。
 そして辿り着いた宮殿の中心。揺籠の君がニーニアルーフを見遣り微笑む。
『さあ、おまえのいのちをゆりゆりにささげなさい』
 揺籠の君が金色に輝く左手を掲げると、その場に小さないんよくのたつまきが発生し、ニーニアルーフを巻き込み引き寄せる。巻き込まれないように咄嗟に蟲笛を鳴らし、白燐蟲を自身の代わりに竜巻の中へと向か合わせて、そのまま引っ張ってもらう。ぐんぐんと進むニーニアルーフの目前に、リリスの槍と聖杯剣の輝きが迫ってきた。
『むしをつかっても、このこうげきはさけられない』
 振り下ろされる聖杯剣を跳躍で躱し、リリスの槍の攻撃を赤手の鉤爪で受け止め横へと流す。更なる攻撃を避け、僅かに後ろへと下がると揺籠の君の行動を遮るために、土蜘蛛の糸を宮殿中に張り巡らせていく。透明な宮殿の中に、透明な糸が広がり日差しを受けて白く輝きを放ちながら、揺籠の君を拘束し力を吸い取っていった。力を取られ鈍る動きに、揺籠の君が眉を顰める。
『ゆりゆりのいのちのちからが……』
「今です!」
 蜘蛛糸を掻い潜り、距離を詰めていたニーニアルーフの鉤爪が揺籠の君を切り裂く。吸い取った力と、元々の怪力を乗せた一撃は揺籠の君の予測よりも遥かに鋭く、重かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天瀬・紅紀
全てを壊したい、か
骸の海が壊れたら時が動かなくなりそう
それ以前に…全ての命奪わせる訳に行かないよね

向こうは元々武器を扱うタイプじゃ無いだろうし…
連続攻撃は全力集中で受け流す
槍や剣は軌道見極め、見に受けぬ様に
篭手の引き寄せで姿勢崩されても冷静早急に立て直す
一撃一撃は軽い…なら凌ぐのみ

手数で攻めるなら此方も得意なんだよね…!
UC発動からの高速移動開始
纏った炎を彼女目掛けてぶっ放し、真空刃も武器の間を縫う様にお見舞いしてやる

心も記憶も想いも無くすなんて自分無くすのと一緒なのに
君が何を思ってそこまでしたのか、目的も理由も…もう解らないけど
その強い感情こそが、君が生きていた証だと…そう僕は思うよ



「全てを壊したい、か……骸の海が壊れたら時が動かなくなりそう」
 全ての世界を支えると言われている骸の海。その破壊を願うと言うのは、即ち世界の破壊と同じなのでは無いだろうか。天瀬・紅紀(蠍火・f24482)は水晶の宮殿を進みながら物思いに耽る。こつこつと鳴る足音は隠しても意味は無いだろうからそのままで、向かうは光射す宮殿の中心。
「それ以前に……全ての命奪わせる訳に行かないよね」
『ゆりゆりのちからになれるのだから、もんだいはありません』
 小さな独り言のつもりだった声に揺籠の君から答えが返る。そこまで近付いていたのかと顔を上げると、傷付きながらも悠然とした佇まいで揺籠の君が壇上から此方を見降ろしていた。
(向こうは元々武器を扱うタイプじゃ無いだろうし……一撃一撃は軽い。なら凌ぐのみ)
『なにをかんがえているのかわかりませんが、おまえもゆりゆりのいのちになりなさい』
 迫るリリスの槍の一撃をぎりぎりまで軌道を見極め躱し、聖杯剣は刀を使い受け流す。神の左手の引き寄せで距離を詰められ、間近で見た揺籠の君はどこか虚ろな気配を漂わせていた。
「心も記憶も想いも無くすなんて自分無くすのと一緒なのに」
『なにをいいたいのか、わかりませんね』
 交わした視線は何も通わぬままに逸らされて。篭手の効果が消え、距離を開くと紅紀の広げた掌の上に、反撃の炎が灯る。
「――始めるよ、僕も君も燃え尽きるまで」
 手数の多さなら負ける気はしない。全身に炎を広げ、揺籠の君の周囲を高速移動しながら死角を狙い炎を放つ。見えない位置から放たれる炎は揺籠の君の身体を、髪をじわじわと燃やして。
『あつい……いのちがこぼれていく』
「君が何を思ってそこまでしたのか、目的も理由も……もう解らないけど」
 聖杯剣とリリスの槍の間を抜ける様に届いた真空の刃が腕を切り裂き、がらん、と音を立てて槍が床に落ちる。
「その強い感情こそが、君が生きていた証だと……そう僕は思うよ」
 骸の海を恨み、全ての命を欲して最強を願ったその思いを否定する事無く受け止めた、紅紀の放った刃が揺籠の君を大きく切り裂いた。
『これでおわり……』
 倒れたその場で朽ち消え逝く揺籠の君を紅紀は足を止め見送る。
「君の物語を、僕は忘れないよ」
『――』
 返す言葉は声にならないまま消え、水晶の宮殿も氷が溶ける様に崩れ去って。破壊の後は残りつつも広がる青空を紅紀は見上げる。
「さ、帰ろうか」
 守り切った世界で、新たな物語を綴る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月21日


挿絵イラスト